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2020年2月24日 (月)

【新型肺炎】武漢<=ラクーンシティ>説に関する記事を追う

新型コロナは「人工的に作られた可能性あり」=台湾の学者

フォーカス台湾 2020年2月22日(土)19時44分配信

 台湾大公共衛生学院の方啓泰教授が22日、新型コロナウイルスについて、学術的には人工的に作られた可能性があるとの見方を示した。結論に至るには詳細な調査が必要だとしている。もし事実であった場合、自然界で存続することは難しく、全ての患者が治癒すれば消失するという。

この日は、新型コロナウイルスや公衆衛生をテーマにした台湾公共衛生学会主催の講座が台北市内で開かれ、方氏は講師の一人として講演した。

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新型コロナウイルスをめぐっては、中国の研究所で人工的に作られ、それが外部に流出したことを疑う声が上がっている。方氏はこれについて、中国科学院武漢ウイルス研究所には危険性の高いウイルスが保管されているが、所内の管理状況には多くの欧米の学者が前々から疑問を抱いていたと指摘した。

その上で新型コロナウイルスに言及し、コウモリの身体に見られるコロナウイルス(RaTG13)と96%一致することがこれまでの研究で判明しているが、ウイルス学の観点に立てば99%以上でなければ一致とは見なせないとした。

また、他のコロナウイルスにはない4つのアミノ酸残基が含まれていることをフランスの研究チームが発見したと述べ、進化における突然変異でこうなる確率は非常に低く、実験室の中で人為的に加えられた可能性が考えられるとの見解を示した。

方氏はこの見解について、今は学術上の理論でしかないと強調。これを証明するためには実験室で証拠を探すなど内部調査が必要であり、短期間には答えは出ないだろうとしている。

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新型コロナウイルスは生物兵器になり得るのか?

JBpress 2020年2月23日(日)6時00分配信/数多 久遠(軍事評論家)

 新型コロナウイルスは生物兵器なのではないか、という言説は、日本での感染が広がり始める前から目にするようになり、それは今も続いています。

 その大きな理由とされるのは、危険度が高い病原体を扱うことができるBLS-4(バイオセーフティーレベル4)」の研究施設が武漢に存在しているから、というものです。ウイルス兵器を開発するならば、BLS-4施設は必須です。

 そして、この事実に加えて、中国共産党政府の隠蔽体質と研究者を含めた中国人全体の衛生意識が低いというイメージから、新型コロナが生物兵器なのではないか、それが管理体制の不備で漏れ出してしまったのではないか、という疑念が沸き起こったのではないかと思います。

 私は医療やウイルスの専門家ではないので、医学的見地からこの問題を語ることはできません。しかし、自衛隊在職時に特に弾道ミサイル防衛に携わる中で、その弾頭としてNBC(Nuclear=核、Biological=生物、Chemical=化学)兵器が使われる可能性が高いことから、自衛隊内で教育も受け、独自に研究もしてきました。

 そこで以下では、新型コロナウイルスが生物兵器として価値があるのか否か、という点から、この問題を考察してみます。

生物兵器として威力・効果は十分か? 

 新型コロナウイルスが生物兵器であることに否定的な論拠は、その致死率が兵器として考えた場合に低いという点にあります。

 生物兵器として警戒されている病原体、2001年に発生したアメリカ炭疽菌事件で使用された炭疽菌や、エボラ出血熱、それに以前、筆者が小説(『半島へ 陸自山岳連隊』祥伝社)で取り上げた天然痘などは、致死率が50%を超える可能性もある極めて毒性の強い病原体です。

 致死率は、母数となる罹患者の認定や医療レベルによる救命率によって変動します。また中国政府が発表する数値に信用が乏しいため、新型コロナウイルスは、現時点で言われている2%程度という数字よりも高い致死率である可能性が高そうです。とはいえ、それでも上記の警戒すべき病原体と比べれば、かなり低い致死率であることは間違いなさそうです。従来の考え方に則れば、致死率の低い新型コロナは生物兵器とは考え難い、と言わざるをえません。

 しかし、戦争のあり方も、そこで使用される兵器も、変わってきています。生物兵器に関しても、致死率が低くても有効な兵器になり得るケースがあります。

 ベトナム戦争時、アメリカが小銃弾を威力の大きな7.62mm弾から、小口径の5.56mm弾に変更した理由は、携行弾数の増加や連射時の精度向上が大きな理由でした。威力が低下することで致死性が下がっても、軍事行動においては、それがメリットにもなることもあるのです。たとえば、敵兵を銃撃した際に死亡させてしまうよりも負傷に留まらせた場合の方が、応急治療、後送に手間をかけさせることができます。つまり、銃弾の致死性を下げることで、敵側の前線の戦力を効率的に低下させることができるというわけです。

 生物兵器による攻撃でもこれと同じことが言えます。致死率の高い病原体を用いるよりも、致死性が必ずしも高くない病原体の方が、長期にわたって大量の患者が存在することになるため、医療リソースを食いつぶし、敵に負荷をかけることができます。新型コロナウイルスが、こうした企図を持って開発されたものだとすれば、致死率が高くないことをもって生物兵器ではないと結論してしまうのは誤りだということになります。

 ただし、そのような、そこそこの致死率と高い感染力をもつ病原体を用いた生物兵器は、戦場を選んで使用する必要があります。これは化学兵器でも同じようなことが言えますが、効果の持続性が長すぎるNBC兵器は前線では使用しにくいのです。理由は、眼前にいる敵部隊を化学兵器や生物兵器で打倒しても、その効果が残っている間は部隊を前進させることができないためです。

 化学兵器は一般的には毒ガスと呼ばれているため、空気のようなモノだと思っている方が多いかもしれません。しかし、ほとんどの化学兵器は、ミスト状に散布された液体です。サリンのように、単体では揮発して拡散してしまいやすい化学兵器は、添加物を加えて容易に拡散してしまわないように作られます。そして、この添加剤を調整することで、化学兵器の場合は持続性をコントロールすることができます。敵兵を殺傷した後、すばやく前進したければ持続性を抑えます。一方、後方地域の活動を長期間にわたって低下させたければ、持続性を高く調整した化学兵器を使うということです。

 生物兵器の場合、この持続性のコントロールが極めて困難です。それは基本的に使用される病原体に依存してしまうためです。また、敵の医療能力によっても持続力が大きく変動してしまいます。このため生物兵器が使用された実例は少なく、使われたケースでも、炭疽菌のように人から人には感染せず、持続力が低いものが使いやすい生物兵器となります。この点からみると、新型コロナウイルスは生物兵器としては極めて不適なものと言わざるを得ません。感染力が高いため、影響が及ぶ範囲が、時間的にも空間的にも、コントロールしにくいためです。

 しかし、武漢をはじめとした大都市が封鎖されるなど、今回の影響力の大きさを見ると、従来の考え方に基づいた、戦争におけるNBC兵器の使用とは異質な使用方法を想定することができます。つまり、平時において、敵の首都など経済活動の中心地で使用し、敵の国力を削り取るために使用するものだと考えれば、極めて効果的な兵器と言えるのです。

 2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件の死者は2996人、負傷者は6000人以上でしたが、新型コロナウイルスでは中国での死者が2300人(2月22日現在)を超えたことを考えれば、直接的な人的被害が同時多発テロを上回るのは確実でしょう。同時多発テロの物理的損害額は、100億ドルを超えますが、中国だけを考えても、今回の新型コロナウイルスの被害額は、これを余裕で超えそうです。効果という点では、極めて優秀であると言えます。中国だけでなく、水際阻止が不十分であった日本でも2020年のGDPは大幅に低下することになりそうです。

 以上のことから、新型コロナウイルスの生物兵器としての可能性については以下のように整理できるかと思います。

 (1)その性能においては、従来型の戦争で使用することを考えた生物兵器だとは考え難い。

 (2)ただし、平時を含めて対象国の政経中枢で使用することにより、対象国の国力疲弊を目的とする(国力漸減型)、テロ的な使用をされる生物兵器にはなり得る。

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生物兵器としてオペレーションは容易か? 

 次に、新型コロナウイルスが生物兵器だと考えた場合の運用性、つまりオペレーションの容易さを考えてみたいと思います。

 兵器としての生物兵器の運用を考えた場合、問題は「投射能力」(兵器を攻撃対象にまで到達させる能力)です。核であれば弾道ミサイルなどが投射能力と呼ばれますし、戦略的な観点では空母の保有数・能力が投射能力と言われることもあります。

 生物兵器をテロ的に使用する場合、まずは攻撃対象に接近する必要性、ありていに言えば、ウイルスを携行して入国する必要性があります。ウイルスはX線検査にも金属探知機に引っかかることもないため、保安検査をくぐり抜けるのは容易です。つまり、警戒網を突破することは容易です。

 次は、パンデミックに至らせることができるかどうかが問題となります。

 新型コロナウイルスをテロ用生物兵器として考えた場合、発症前にも感染力を持つという特質は、とても効果的です。

 自著のネタバレになってしまいますが、生還を意図しなければ、テロ実行犯自身がウイルスに感染して入国し、発病前に攻撃対象国内をスプレッダーとして動き回ることで、感染を一気に広めることさえ可能です。

 ウイルスは、初期の感染部位で増殖したウイルスが、血液によって全身に広まる1次ウイルス血症という状態になります。この後、それぞれのウイルスにとって増殖しやすい部位(自然宿主細胞)でさらに増殖し、正常な細胞を破壊、ウイルスによっては毒物を放出するため、病気として発症します。

 従来のウイルス性肺炎を起こすコロナウイルス(SARSなど)の場合は、肺で増殖し呼吸を困難にします。狂犬病では中枢神経系で増殖し、精神錯乱などの神経症状を呈します。この自然宿主細胞において、ウイルスは活発に増殖するため、血中、さらにはリンパ液などにもウイルスが大量に放出される2次ウイルス血症の状態になります。多くのウイルスでは、この段階で体外にウイルスが大量排出され、感染力を持つということになります。

 インフルエンザの感染力が強いのは、病気の治りかけから治った後だと言われます。それは、初期の感染部位(粘膜)でのウイルス増殖では、体外に排出されるウイルスが多くないためです。新型コロナウイルスの場合、初期の感染段階ですでに体外への排出が多くなるのでしょう。すなわち、ウイルスが自然宿主細胞での大量増殖を始める前の初期感染部位での増殖と、一次ウイルス血症での段階で、ウイルスの体外放出が始まるのだろうと思われます。この点は今後の研究で明らかになるでしょう。

 新型コロナウイルスでの生物兵器テロを考えた場合、この点は非常に重要です。誰もが、スプレッダーとなってしまい、無警戒の場合は、容易にパンデミックを引き起こすことになるからです。

 感染拡大という観点で、もう1つ注目すべき点は、前述した新型コロナウイルスの致死率の低さです。

 生物兵器として使用される可能性が高く、極めて致死率の高いエボラウイルスは、最近でもアフリカでたびたび発生しています。WHOなどの努力もあって、世界的な流行となることなく封じ込めに成功していますが、エボラの感染は、医療技術が低かった過去においても発生していたと思われます。それでも感染が世界的に広がらなかったのは、感染力に比較してエボラの致死率が高かったからだという推測があります。つまり、感染力に比して致死率が高いウイルスは、宿主である感染者を死亡ないしは重篤な状態にしてしまうため、感染が広がらない結果になるためです。

 新型コロナウイルスの場合、「致死率が低く、感染者が2次ウイルス血症となって大量のウイルスを体外に放出させつつ、医療機関での受診を求めて動き回った」ことが、感染を広めたのだと思われます。

生物兵器として開発は容易か? 

 病原体を用いて生物兵器テロを企てる場合、困難が予想されるのは病原体の開発です。新型コロナウイルスの場合はどうでしょうか。

 BLS-4施設のような高度な研究施設の建設維持は、ISIS(いわゆるイスラム国)のような組織には不可能でしょう。ただし、ネズミなどの実験動物を使用して、自然発生的、あるいは放射線などを使用して変異ウイルスができることを期待する手法は可能です。

 信憑性に欠ける情報ですが、今回の新型コロナウイルスでも、似たような事象があった可能性が懸念されています。中国では、過去に研究施設の関係者が実験動物を食用として不正に横流ししていた事件があったそうです。今回も、武漢病毒研究所から病原体を宿したままのネズミ等が市場に流れたのではないかとの見方があります。こうした手法であれば、費用対効果には疑問が残りますが、テロ組織でも開発は可能です。

 この場合、研究場所が感染源となってしまう可能性もありますが、逆に攻撃対象国内でこうした意図的な病原体の発生を期待して、動物を感染させることはできるでしょう。たとえば鳥インフルエンザウイルスを、攻撃対象国の養鶏場に意図的に散布することは、極めて容易で効果的だろうと思われます。また、自然に生息しているネズミやコウモリに、元となる病原体入りの飼料を与え、意図的な繁殖と変異病原体の発生を期待することも可能です。人への感染を作為するには、現地の人間が食べるなど何らかの接触をする動物である必要がありますが、ペットともなるハムスターが宿主になれそうなウイルスであれば、日本などでは使える手法かもしれません。

 このように考えると、極端なことを言えば、毎年のようにアメリカで季節性インフルエンザが流行するのは、誰かが意図的に流行を作り出している可能性もあり得るわけです。

国としての防疫体制の強化が必要

 以上のように、新型コロナウイルスは、従来考えられてきた“戦場で使用される生物兵器”とは考えられませんが、攻撃対象国の経済・国力にダメージを与えることを目的とするテロ的兵器としては、可能性を排除することはできないでしょう。

 今後、世界各国は、そうした国力漸減型生物兵器を開発・使用しようとする国家やテロ組織が出てくることを警戒する必要に迫られます。もちろん日本も、厚生労働省はもとより、自衛隊の防疫能力の強化が必要でしょう。医療従事者だけでなく、防疫の知識と装備を持った”動ける人間”を多数準備しておくことが求められます。

 幸か不幸か、自衛隊は、鳥インフルのような人には脅威の低い病原体で経験を積んでいたため、今回、それほど混乱もなく対応しているようですが、外には聞こえてきていない問題も発生しているでしょう。

 新型コロナウイルスとの戦いは、これからが本番だと思いますが、まだ準備のできていない部隊にも早急に教育を施すなどして、緊急の体制強化が必要です。

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新型コロナ「バイオ兵器」の裏にされているもの

JBpress 2020年2月24日(月)6時00分配信/安田 峰俊(ルポライター)

 昨年(2019年)12月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスCOVID-19は、中国政府の懸命の抑え込みにもかかわらず流行が内外に拡散。2月なかばからは日本国内で感染経路が判然としない感染者が続々と見つかるなど、すでに日本も流行地に飲み込まれつつある。

 COVID-19については、中国の習近平政権が事態をおおやけにした1月20日すぎから囁かれている噂がある。すなわち、このウイルスは人為的に作られたもので、武漢市に設けられた世界レベルのバイオ研究施設「武漢ウイルス研究所」から流出した“バイオ兵器”であるという説だ。同研究所は人民解放軍と関係が深いともみられている。

 ・・・もっとも、この説はまず事実ではないと考えていい。たとえば世界で最も権威がある査読制の医学雑誌のひとつ『The Lanset』が2月19日に発表した「COVID-19と闘う中国の科学者、公衆衛生専門家、および医療専門家を支援する声明」を読むだけでもそれは明らかだ。

 この声明は、COVID-19が人為的に作られたとする説を、恐怖とデマと偏見を広めるだけの「陰謀論」だと強く非難し、ウイルスが野生生物に由来することを論じた学術論文のリンクを多数提示している。

 この問題は高度に専門的な分野なので、(私を含めた)素人は学術的知見を尊重して判断をおこなうべきだろう。すくなくとも2月23日現在において、COVID-19がバイオ兵器であることを示す有力な根拠は見つかっていない。

「バイオ兵器」説のソースは怪しい

 そもそも、COVID-19バイオ兵器説に初期に言及したのは、統一教会系のアメリカの新聞『ワシントン・タイムス』(有名な『ワシントン・ポスト』とは別)や、アメリカ亡命中の中国人大富豪・郭文貴の自前のメディア『GUO MEDIA(郭媒体)』などだった。

 さらに2月上旬から熱心にこの説を伝えたのが、中国共産党と対立する新宗教・法輪功系の『大紀元』『新唐人』といった媒体である。

 統一教会と法輪功はいずれも反共的な政治色の強い新宗教で、必ずしも客観的に正確な情報を出すとは限らない。また、郭文貴は2017年にYouTubeを通じて中国共産党高官のスキャンダルを次々と暴露して話題になった人物だが、その情報が虚々実々なのは関係者の間では有名だ。しかも2018年に入るころから「ネタ切れ」ゆえの飛ばし情報がいっそう増えている。

 (なお、私は2017年12月にニューヨークで郭文貴本人に会ってインタビューをおこなったほか、2018年5月から翌年1月までは『SAPIO』誌上で郭文貴の連載を編訳していた。詳しくは拙著『もっとさいはての中国』をお読みいただきたい。)

 いずれにせよ、COVID-19のバイオ兵器説はかなり怪しいメディアばかりが出所で、情報の受け手のリテラシーが問われる試金石だとすらいえる。日本ではそうしたソースをもとにバイオ兵器説を肯定的に論じる政治家やジャーナリストが何人かいるが、彼らの名前はよく覚えておいたほうがいいだろう。

陰謀論を必死で否定する不思議

 もっとも、世間の陰謀論には2種類がある。すなわち「アポロは月に行かなかった」「東日本大震災は未知の地震兵器のしわざ」といった完全に荒唐無稽なトンデモ説と、「ケネディの暗殺者は複数犯だった」「オウム真理教は北朝鮮と協力関係があった」など、すくなくとも状況証拠としてはつじつまが合う部分があったり、当事者の証言などが出ればひとつの解釈として検討可能だったりする仮説のふたつだ。

 正直なところ、私は今回のCOVID-19のバイオ兵器説について、当初は前者の立場だったが、最近はすこしだけ後者に傾いた。つまり陰謀論である点は揺るがないとはいえ、話に「尾ひれ」がつくに至ったなんらかの元事情くらいは存在するかもしれないと想像するのだ。

 理由は、他ならぬ中国側が妙に、バイオ兵器説やウイルス漏洩説の否定に躍起になっているからである。

 たとえば2月2日、党機関紙『人民日報』の傘下紙『環球時報』は、アメリカでバイオ兵器説を主張していた上院議員のトム・コットンの言動に猛烈に反論する記事を掲載。さらに数日後にもバイオ兵器説を否定する内容の長文の社説を掲載した。

 もっとも、1~2回くらいデマを否定するだけならば理解ができる話だ。むしろ気になるのは、その後の動きである。やがて2月15日前後に、中国ではなぜか武漢ウイルス研究所やバイオ兵器にかかわる話題が妙に増え、当局の影響が強いメディアが必死で火消しに回る光景がしばしば見られたのだ。

 仮に荒唐無稽なトンデモ説ならば、最初にガツンと1回否定したあとは放置して一笑に付せばいい。なのに、それをスルーできずに神経質に潰して回る様子が、どうも不自然さを感じさせるのである。

真の感染者第1号についての噂

 たとえば2月なかばには「新型コロナウイルスの第一の感染者」とされる人物の名前がネット上で囁かれる騒ぎがあった。

 フランスの政府系国際放送局『ラジオ・フランス・アンテルナショナル』中国語版によると、この人物は武漢ウイルス研究所に所属する「黄燕玲」という名前の女性研究員で、実験室での研究中にウイルス漏れ事故により感染死。遺体を火葬する際に葬儀関係者にウイルスが感染していった――、と噂されていたという。

 また、中国国内のネットユーザーは武漢ウイルス研究所のホームページ上に黄燕玲の名前が見られたにもかかわらず、なぜか細かいプロフィールが削除されていることも確認している。黄燕玲は2012年に同研究所の修士課程に入学した人物だったのだ(中国でこの手の研究所の研究員は本来、修士課程入学者でもそのまま同じ研究所で勤務を続ける例が多い)。

 いっぽう、北京の夕刊紙『新京報』が2月15日夜に武漢ウイルス研究所研究員の石正麗と陳全姣に対しておこなった電話取材では、2人はともに黄燕玲という名の研究員の存在について「把握していない」と説明。反面、「現時点では研究所関係者で誰ひとり新型コロナウイルス肺炎に感染していない」と回答していた。

異常にナーバスな武漢ウイルス研

 さらに奇妙なのはここからだ。武漢ウイルス研究所は2月16日に声明を発表し、前日の石正麗たちの証言をひるがえす形で、黄燕玲が「2015年に」修士課程に属し、バクテリオファージ溶解素の機能及び抗菌広域スペクトルを研究分野とする研究員だったことを認めたが、彼女は他の省ですでに職を得て武漢には戻っていないとした。

 武漢ウイルス研究所からのデマ訂正メッセージは、あまりにも素早く出されたうえ、中国国内における報道の扱いも大きい(例えば2月17日には『中国網』日本語版で、日本語に訳された内容まで出ている)。中国の報道をウォッチし慣れた者の目にはかえって不自然な印象も与えなくもない。

 すくなくとも、当局が武漢ウイルス研究所に疑いを持たれることにかなりナーバスであることはわかるだろう。

 ちなみに研究所が2月16日に出した声明は「感染対策の重要な時期におけるデマは、当方の科学研究活動を強く妨害した。当方は法に基づき法的責任を追及する権利を留保する」といった文言で締めくくられており、ずいぶんものものしい雰囲気である。

なぜか生物災害防止分野を諜報機関へ

 さらに、これに先立つ2月14日には、習近平がトップを務める中央全面深化改革委員会の会議上でも動きがあった。

 習近平が講話のなかで、バイオセーフティ(バイオハザード [=生物災害] の防止対策)関連の法整備と、バイオセーフティ分野を国家安全部の管轄下に置くように講話をおこなったのだ。国家安全部は主に対外諜報を担うインテリジェンス機関であり、ずいぶんきな臭いところにバイオ研究機関の舵取りを任せることになったのである。

 習近平はなぜわざわざ、COVID-19についての陰謀論が流れる時期にこんなことを言いはじめたのか。中国内外のネットユーザーを中心に、不思議がる声は小さくない。

別の研究所がCOVID-19の発生源? 

 こうした騒ぎの極めつけは、華南理工大学生物科学・工程学院教授の肖波涛が2月6日、国際的な学術情報シェアサイト『Research Gate』上に投稿した「新型コロナウイルスの考えられる原因」と題するレポートにまつわる顛末である。内容は今回のCOVID-19の発生源が武漢市内の海鮮市場であるとする従来の通説に疑義を呈したものだ。

 今回のウイルスはコウモリが宿主とされるが、肖のレポートによれば、武漢にはコウモリを食べる習慣がなく海鮮市場でコウモリを取引していた形跡もない。おそらくその原因は海鮮市場からたった280メートルの距離にある「武漢市疾病予防コントロールセンター」であろうという。

 レポートによれば、このセンターは動物実験を目的に、湖北省で155匹、浙江省で450匹のコウモリを捕獲していた。捕獲に携わる研究員は2017年から2019年にかけてさまざまなメディアの取材を受けており、そのなかで、捕獲の際にコウモリの血液を浴びたことがあり、感染症の危険性があることから2週間の自主隔離をおこなった経験があること、さらに別のときにはコウモリの尿を浴び、やはり自主隔離をおこなったことなどを述べていた。

 ゆえに肖は、武漢市疾病予防コントロールセンターから、こうしたコウモリにかかわるサンプルや汚染物質が適切ではない形で遺棄されたことが、今回の新型コロナウイルス発生の真の原因ではないかという仮説を立てたのである。

発表者は失踪、レポートは削除

 もちろん肖のレポートは『Research Gate』上の投稿に過ぎず、専門家による査読を経た学術論文ではない。現在はCOVID-19について、全世界でかなり怪しげな論文やレポートの発表が横行しており、肖のレポートを無批判に信じることは危険である(そもそもCOVID-19がバイオ兵器だとする説も、インドの研究者による粗雑な論文が根拠のひとつとなったものだ)。

 ただ、現在までにほぼ確定したCOVID-19の特徴――。すなわち、「人為的に作られたウイルスでは“ない”」「コウモリが宿主だったとみられる」「人口1100万人の大都市・武漢のほぼ中心部(漢口)に突然あらわれた」といったファクターを合理的に説明するうえでは、肖レポートの仮説はかなり説得力がある。

 野生のコウモリを捕獲して実験をおこなう機関が市内にあったから、天然物のウイルスであるCOVID-19が、農村部や近隣の小都市を経ずにいきなり大都市のどまんなかに出現することになったのだ。

 もっとも香港や韓国・ドイツなどの各メディアによると、論文発表者の肖はすくなくとも2月15日ごろまでに連絡が取れなくなり、該当のレポートも『Research Gate』から削除されてしまったようだ。

 この時期はちょうど、上記の「真の第1感染者」デマが生じたり、習近平がバイオセーフティ関連の講話をおこなった時期と一致する。もしかすると中国当局が異常なほどセンシティブになっているのは、荒唐無稽なバイオ兵器説が広まると困るからではなく、武漢市疾病予防コントロールセンターの実験廃棄物からウイルスが漏れてバイオハザードに至ったという、COVID-19の「真の裏事情」を知られたくないからかもしれない。

フェイクニュースに騙されないために

 もっとも、仮に肖レポートの推測が正しかったところで、中国共産党の支配体制が崩壊でもしない限り、真実は永遠に明かされることはない。現在もっと重要なのは、すでに日本社会をも飲み込みつつある未知のウイルスの性質をより正確に理解して適切な警戒心を持ち、感染の予防と社会混乱の阻止に務めることだ。

 「正しく理解し正しく怖がる」行為とは、マスク着用や手洗いの徹底、医療機関のキャパシティへの配慮や感染者への差別の抑制といった部分のみにとどまらず、明らかに事実とは異なる(しかも特定の宗教的信念や政治的イデオロギーに基づいて流布されている)フェイクニュースの拡散に加担しないことも含まれている。

 今後も混乱が予測される情勢だからこそ、可能な範囲で冷静に対処していきたいところだ。

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