« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »

2020年5月

2020年5月31日 (日)

【耳学】感染症対策の本丸=「免疫力」を高めること。

新型コロナ対策で注目の「免疫力そのは?医師が解説

TOKYO HEADLINE web 2020年5月31日(日)17時02分配信

 いまだに有効な治療法や予防法が確立されていない新型コロナウイルス。「免疫力」を高めることが感染症対策に重要とされているが、そもそも「免疫力」とはどのようなもので、どうすれば高めることができるのだろうか。「つなぐクリニックTOKYO」院長の渡邊康夫先生に解説してもらった。

 新型コロナウイルス感染症の予防に免疫力が注目されています。そもそも免疫とはどういった仕組みですか?

渡邊康夫(以下、渡邊)「免疫とは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物や異物を、体外へ排除してくれる防御機能のことです。体内に生じた異常物質や老廃物、病的細胞なども排除してくれます。体内には『ホメオスタシス』と呼ばれる恒常性(生物の体内の状態を一定に保つ性質)を維持しようとする働きがあります。人によって正常時の体温は異なりますが、皆さんの健康な時に体温が一定に保たれているのも、ホメオスタシスが働いているからです。この生体防御の仕組みこそが、免疫ということになります。免疫が正常に働かないとどうなるかというと、病気になってしまうのです。たとえば、免疫不全状態になると感染症やがんなどの悪性腫瘍になる可能性が高くなります」

 新型コロナウイルスのような未知のウイルスに感染した場合、免疫はどう作用するのでしょうか?

渡邊「免疫は、大きく二つの免疫に分けられます。一つ目が『自然免疫』です。『自然免疫』とは、私たちが生まれつき持っている免疫系のことで、たとえば、体内に微生物が侵入すると白血球の一種である好中球やマクロファージには攻撃する働きがあります。未知のウイルスに感染した場合は、この自然免疫が働くことになります。

 二つ目が『獲得免疫』です。『獲得免疫』とは、さまざまな抗原(病気のもととなるもの)を体に取り込むことで獲得していく免疫のことをいい、自然免疫では対処できなかった場合に発動します。過去に体の中で起こった免疫反応の特徴を、特定の細胞が記憶することによって新たな免疫機能を獲得し、次に同じ抗原が体の中に侵入した時に防御反応をするようになります。この獲得免疫の仕組みを上手に応用したものが予防接種(ワクチン)です」

 では、どのような状態を免疫力が高いというのでしょうか?

渡邊「免疫力が高いということは、体が若々しく健康に保たれている状態だと言えます。しかし、ストレスが過剰になったり生活習慣が乱れたりすると、免疫の機能が正常に働かなくなります。 免疫が正常に機能するための鍵となるのが自律神経で、自律神経には交感神経と副交感神経があります。全身の活動力を高める交感神経は、血圧や血糖を上げ、血液を筋肉や脳に集める働きがあり、主に日中の活動している時に優位になります。体を回復させる副交感神経は、内臓の機能を高め、免疫機能を正常にする作用があり、主に夜間のリラックスしている時に優位に働きます」

 免疫力を高めるにはどうすれば良いのでしょうか?

渡邊「免疫力を高めるには、良い生活習慣を送ることが重要です。良い生活習慣の人ほど長生きであるという研究結果があって、『喫煙をしない』『飲酒は適度か全くしない』『定期的に運動する』『適正体重を保つ』『(個人差はあるが)7~8時間程度の睡眠をとる』『適量の食事を摂る』といった良い習慣が多くある人ほど、身体的・精神的な健康度が高くなっています。また、若い頃から良い習慣を身につけている人が健康であるのはもちろんですが、高齢になってから生活習慣を改善した場合でも、健康上の効果があることが分かっています。  

 生活習慣を改善する時期は早いに越したことはありませんが、いつから始めても遅すぎるということはないのです」

創価学会と「幸福の科学」 2大新宗教の対照的すぎる感染対策

NEWSポストセブン 2020年3月25日(水)7時00分配信/小川寛大(雑誌『宗教問題』編集長)

 キリスト教徒は教会に、仏教徒は寺にと、宗教は「集う」ことでその信仰心を深めてきた。数々のイベントが自粛になるなか、彼らは現在どう活動しているのだろうか。新宗教を代表する2団体の取り組みは対照的だった。雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏がレポートする。

小単位の会合もやらない

 日本以上に感染が拡大し、3月18日現在で8413人の感染者を出している韓国でクラスター(感染者の小規模集団)となったのは宗教団体だった。

 1984年に設立されたキリスト教系新興宗教団体「新天地イエス教会」。信者同士が、体が触れるほど密着して床に座り、1時間半以上「アーメン」と叫ぶ礼拝をしていたことから、その教会の中で感染が広がったと見られている。2月下旬時点での韓国の感染者のうち約半数が同教会関係者だったという報道もある。

 そんな隣国の騒動があるなかで、日本の宗教団体は新型コロナウイルスにどう対処しているのか。

 東京にみぞれが降った3月14日土曜日、新宿区信濃町は静寂に包まれていた。信濃町と言えば、公称会員827万世帯を誇る創価学会の本部所在地。広宣流布大誓堂や創価文化センターなど、数多くの教団関連施設が立ち並び、休日ともなれば全国、全世界から創価学会員が訪れ、ごった返す。しかし、JR信濃町駅そばの商店主はこう語る。

「2月下旬ごろから本部での行事はすべて自粛だそうです。この町を訪れる方々も激減しました」

 立ち並ぶ創価学会関係の施設に出入りする人の姿は、ほとんど確認できなかった。創価学会広報室に問い合わせると、

「2月17日に、本部の諸施設(創価学会総本部)の利用中止と諸行事の中止、全国各地域のすべての学会施設の利用中止、『座談会』を含めた個人宅で行なう小単位の会合も行なわないと決定しました」

 とのこと。この活動停止に近い“自粛”を3月末まで続ける予定だという。

 2月20日には機関紙『聖教新聞』が、原田稔・会長ら幹部による紙上座談会を掲載。手洗いや不要不急の外出を控えることの重要性を説いたうえで、「御書(日蓮の著作)を徹底して研さんするチャンスであり、小説『人間革命』『新・人間革命』(池田大作・名誉会長の著書)を読み深める好機であると捉え、取り組んでいきたいと思います」(志賀昭靖・青年部長)と決意を述べていた。

選挙に影響が出る?

 学会員たちは現在、どのように過ごしているのだろうか。

「僕は日頃から不まじめな2世会員ですから、大した影響はありません。ただ、昔から熱心に信心してきた母親は、学会の活動がほぼ全部なくなってしまったことで、手持ち無沙汰になっています」

 そう語るのは、東京在住の男性学会員だ。

「母は、空いた時間のほとんどを学会の活動に捧げていました。地域で行なわれる座談会や御書の勉強会などで、休日のスケジュールはびっしり。創立記念日などには信濃町本部の記念行事に参加し、選挙があれば公明党候補の事務所に詰めてずっと応援していました。それがなくなり、生きがいを失ってしまったようになっている」(同前)

 別の若手学会員はこう言う。

「私の祖母もそうですが、生涯を創価学会に捧げてきた古参信者には、“学会仲間”以外に友人・知人が少ない人も多いんです。座談会などは中止になっていますが、地域の学会員たちが公園や喫茶店などで集まることもあるらしい」

「この自粛が長期化するとまずい」と危惧する学会員もいる。静岡県在住の古参学会員は言う。

「4月26日に投開票の衆議院静岡4区補選では、公明党も推薦する自民党の深澤陽一氏(元静岡県議)と、野党統一候補・田中健氏(元東京都議)の一騎打ちという構図になってきた。

 公明党として絶対に落とせない選挙だが、創価学会が事実上活動停止しているこの状況下では、選挙準備にどうしても影響が出てしまう」

 団体の今後を心配する声もある。

「若い会員たちの多くは単に『親が学会員だったから』という理由で入会した2世や3世で、活動に熱心な人はそれほど多くない。池田名誉会長の指導を直接受けた熱心な世代の会員たちは、ほとんどが高齢者です。今回の“自粛”で古参学会員の学会行事に関わるモチベーションが切れてしまったら、大げさでなく将来的な影響が出てくるかもしれない」(別の古参学会員)

ウイルスを死滅させる

 一方、この状況下でも普段と変わらない活動を続けている教団が、大川隆法・総裁率いる幸福の科学だ(公称会員数は1100万人)。

 教団のニュースサイト「ザ・リバティWeb」によれば、大川氏は2月22日に香川県で、3月14日に宮城県で、会員らを前に講演。それぞれ約1300人、約1200人が詰めかけたという。

 とくに2月22日の講演会で大川氏は、聴衆にマスク姿が多いことを見て、

「(マスクは)実際全然要りません。(中略)コロナウイルスを死滅させることも可能です。そういう法力を持っております。だから全然気にしないで、治しに来たと思ったほうがむしろいいかもしれません」

 などと語ったことが、「ザ・リバティWeb」で報じられている。

 また、2月18日に発行された大川氏の霊言本『中国発・新型コロナウィルス感染 霊査』では、新型コロナを撃退する免疫として、「神への信仰」を挙げた。教団本部広報局は次のように説明する。

「今回の感染は“中国発”であり、神を信じない共産主義独裁国家・中国による人権弾圧と覇権主義の魔手が世界に広がる危険性に対する神の警告と考えております。(教団の)行事の開催は、支部や精舎(教団施設)での(大川氏の)法話映像の拝聴や祈願等が中心で、特に制限しておりませんが、アルコール消毒等の感染予防や衛生管理には充分配慮しています」

 さらに、「信者の方々から(新型コロナに対する)不安の声は聞いておりません」という。

「大川氏の法話を聞けば、新型コロナに感染することはないのか」という質問に対しては、「『信仰すれば感染しない』と断定するものではなく、祈願や法話を通して、恐怖心を取り除き、信仰心を高めることで、免疫力が向上し、結果として感染の予防に繋がると考えます」との回答だった。

 教団関係者は幸福の科学会員の日常をこう話す。

「基本的には大川総裁や教団幹部らの話を聞いたり、教団からの出版物を読んだりといった“静かな活動”が多い。みんなで集まってワイワイ騒ぐといった活動はメインではなく、幸福の科学の行事がクラスターになる可能性は低いのではないか」

 しかし、1000人以上が集まる講演会で、“信仰の力”がどこまで防波堤になるものなのか。

 宗教には、疫病や飢饉などの際に聖職者が積極的に街頭に出て民衆を励ましてきた歴史もある。各団体の社会への向き合い方が問われている。

ポストコロナの暮らしは微生物との共生関係

Forbes JAPAN 2020年5月31日(日)11時30分配信

微生物についてどんなイメージがあるだろうか。

乳酸菌、ビフィズス菌などの細菌類、話題の真核生物ミドリムシ(ユーグレナ)など、食品として取り込むことで人体に良い影響を与えてくれるものから、新型コロナウイルスのようなウイルスも微生物のうちに分類される。要するに、目には見えない小さな生物をまとめて微生物と言う。

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)の感染症拡大により、あらゆる場所で頻繁に除菌が行われるようになるなど、微生物自体に悪い印象がつきまとっているが、そもそもウイルスには感染症を引き起こす病原性ウイルスの他にも人体に悪影響を及ぼさないものもたくさんいる。

また、私たちの周りからあらゆる微生物を排除しようとしたところで、それは不可能だろう。なぜならヒトの細胞数は37兆個程度であるのに対し、ヒト常在微生物の細胞数は細菌だけで38兆個にものぼるからだ。微生物は私たちの手にも、顔にも腸内にも、至る所に常にいる。そして彼らは独自のコミュニティを築き、様々な営みを行うことで、私たち人間に影響を与え続けている。このように身近な存在の微生物に、私たちは正しい知識をもち合わせているだろうか。

「都市環境微生物」という学問分野に身を置く伊藤光平は、微生物と人間の関係に着目することで人々の健康や生活を発展させるべく研究を行なっている。伊藤が代表を務める微生物調査プロジェクト「GoSWAB」では「微生物と人が共生する社会の実現」を掲げ、微生物を用いた都市環境デザインを目指している。

新型コロナウイルスの流行によって、目に見えない極小の世界との関わり方を考えざるを得ない状況になっている昨今。微生物と人間が良い関係を構築し共生していくにはどうしたら良いのだろうか──。

室内の微生物の多様性が院内感染を防ぐかもしれない

伊藤たちの取り組みは、都市や室内環境での微生物の多様性とバランスを保つことに重点を置いている。微生物の多様性が保たれた環境は、人間にとっても良い環境であるからだ。微生物の多様性が上がると拮抗現象により、人間にとって悪い微生物が独占的に増殖することを防ぐことができるからだと言われている。動植物の生態系が一部でも欠けると、生態系全体が崩れていくのと同じように、微生物のコミュニティ(マイクロバイオーム)もその多様性を保つことで適切な均衡を保ち、ひいては人間にとっても良い環境であると言える。

実際に都市と比べて多様な微生物が生息する農地で育った子どもは、喘息など自己免疫疾患の重症度が比較的に軽度であることもわかっており、幼児期までに多様な微生物に触れることが免疫を上げることにも繋がると言われている。

では、都市で暮らす上で多様な微生物と関わるにはどうすればよいのだろうか。伊藤は最も簡単な方法として「自然換気」を推奨する。室内には滞在している人間から落ちたヒト常在微生物などが多いが、窓を開けて換気することで室内の有害物質の濃度が下がるだけではなく、土壌など自然環境に生息する微生物が室内に入ってくるため室内の微生物の多様性を手軽に上げることができるのだ。

「たとえば、病院では機械換気が行われているのですが、機械換気だと自然換気に比べて室内の微生物の多様性が下がり、さらに病原性の微生物の割合が高まることがわかっています。これが院内感染の原因の1つになっているのではないかとの指摘もあります」

その除菌は本当に有効なのか?

過度な除菌・殺菌は禁物、なぜ?

さらに伊藤は、過度に除菌・殺菌を行うことに警鐘を鳴らしている。細菌を抗菌薬などで除去しようとすると、一定数死なない細菌が出てくることがある。これを薬剤耐性菌という。抗菌作用のあるものを恒常的に使用することによって耐性がある細菌が生き残って増殖するようになり、結果として薬では太刀打ちできない細菌の数が増えてしまうのだ。

こういった薬剤耐性のある細菌がもし病原性をもっていた場合、私たちはその細菌に感染しても薬による治療ができない。2050年にはガン死亡者数を薬剤耐性微生物による感染症死者数が上回るのではないかとも予測されており、今後大きな社会問題の1つになる可能性があるという。

「GoSWAB」活動の様子。都市のあらゆる所を綿棒でこすり、ゲノム解析をして場所ごとの微生物を明らかにする

除菌・殺菌の徹底が叫ばれるこの時世だが、意外な落とし穴があった。通常の石鹸などで消毒する分には薬剤耐性菌は出ないとされているが、一部の抗菌グッズや歯磨き粉などの抗生剤を使用した日用品が室内に残留し、耐性菌の増殖を助長することもわかっているという。

微生物を一概に排除するのでなく、多様性やそのバランスを崩さないまま関わっていくことの妥当性がわかる。

伊藤は今回の新型コロナウイルスの感染拡大について、「微生物は目には見えない生物なのでどのように対策をしたらいいかわからず、過度な除菌をしてしまったり、逆に効果がなさそうな製品を使ってしまったりと、未知との恐怖が目を曇らせている可能性があります。もちろん感染拡大防止のために専門家が推奨している範囲で適切な衛生対策はすべきですが、必要以上に怖がっている人が多いなという印象を受けました」と語る。

では適度な除菌とは何なのか。難しくも思えるが、例えばドアノブや玄関など室内でも多数が触れる箇所を意識的に除菌をするなど、場所ごとの住み分けを行うのがいいのではないかと言う。

実際、室内にいる微生物で人間に有害なものは2割程とも言われており、むやみにそれら除去しようとすると残り8割の無害な微生物まで殺してしまい、多様性が下がる。健康でいるために目に見えない微生物を取り除こうとしがちだが、状況に応じては多くの微生物を取り込んだほうが良いとは、なんとも皮肉な事実だ。

室内に微生物を放出

しかし、その微生物の特性を人間の生活に活かそうとする取り組みもある。空気中や人間が接触するエリアなど、場所特有の微生物コミュニティの種類やその働きを研究し、空間づくりに活用することで、最適な環境をデザインしようというものだ。住環境だけでなく、仕事の能率が上がるオフィス、院内感染が起こりにくい病棟、食中毒の危険性を低減させる食品加工施設など、こういった空間づくりが環境問題解決の鍵になるのではないかという研究が世界中で行われている。

室内に微生物を放出し、森林のような空気をつくる

伊藤はこのような微生物を除去するアプローチの反対に、プロバイオティクスという有益で無害な微生物を環境中に加えるアプローチに可能性を見出している。伊藤が率いるGoSWABの活動では、室内に森林のような良い空気を作り出す「GreenAir」というデバイスを開発中だ。

「GreenAir」は1日に数回、森林由来の増殖力が強く無害な細菌を室内に放出。空気中や家具の表面など至る所に付着した細菌は病原菌の栄養源となる有機物を代謝して、有害な微生物が増殖するのを防いだり、花粉やダニなどのアレルゲンや不快な匂いを消費してくれる。高層ビルや大きな道路による排気ガス、騒音などの問題により、換気をすることが難しい都市の住居で用いられることが想定されている。

このデバイスを置くことにより、微生物コミュニティのバランスを適切に保ち、健康に暮らせる室内環境を実現する。微生物を用いた都市デザインを目指す伊藤が実用化するサービス第1弾と言えるだろう。

今後は微生物コミュニティのゲノム情報と、都市や室内から取った温度、湿度、建築材質、人口などの様々な環境データを統合的に解析しながら、都市に住む微生物と人間との相互作用を明らかにして研究を重ねていくという。また、都市における緑化が微生物の多様性を回復させ、人間の健康に寄与する可能性があることもわかっていることなどから、ゆくゆくはデベロッパーや行政、建築家などとも協業して微生物の多様性が高くなるような次世代の都市づくりを目指したいと話す。

私たちは普段から、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を食べたり、微生物を活用した創薬による治療を受けるなど、意識せずとも微生物の恩恵を受けている。目に見えないものとの関わりであるため注目されにくいが、多様な微生物との「共生」は新しい概念ではなく、人間が生きる上で前提としてあるものなのだ。

綿棒で採取したものをゲノム解析する

伊藤は今後の微生物による都市デザインはどのように変化していくとみているのだろうか。

「Withコロナ時代と言われ始めていますが、ウイルスを始めとした微生物が身近にあるまま人間が生きているというのは、新型コロナウイルス以前からのことです。いま公衆衛生が話題になっているのもあって、微生物の話題はどんどん増えていくと思います。抗生剤で過剰に殺菌するようなことを続けていくと人間にも不利益になってしまうので、今すぐに微生物との戦いをやめなくてはいけないという雰囲気になっていくのかな。ウイルスに対して正しい知識を持って向き合い、共生を模索していかなくてはいけません」

新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、いっそう明確になった世界の国々との「共生」。そして、ウイルスとの「共生」。これは、アフターコロナ時代のキーワードとなっていくだろう。マイクロスコピックな世界との共生に目を向けてみると、そこには無限の可能性があることを感じるのではないだろうか。

 

2020年5月30日 (土)

【ヘイトキル】白人警官<黒人を拘束✍殺害>動画が拡散

白人警官 第3級殺人容疑で逮捕 人種差別への抗議デモ続く

毎日新聞 2020年5月30日(土)10時14分配信

 米中西部ミネソタ州ミネアポリス市で黒人男性が白人警官に首を押さえ付けられ死亡した事件で、地元当局は29日、この警官(事件後に解雇)を第3級殺人(計画性のない殺人)などの容疑で逮捕し、訴追した。

 事件に関与したとみられる他の元警官3人についても捜査中という。同市では28日も人種差別などに抗議する暴動が起き、警察署が放火され炎上した。抗議デモは全米各地に広がっており、今回の逮捕が沈静化につながるかは見通せない。

Photo_20200530180602Photo_20200530180201

 米メディアによると、逮捕されたのは元警官のデレク・ショービン容疑者(44)。25日に偽造紙幣を使った疑いで黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)を手錠を掛けて拘束した際、約9分間、膝で首を地面に押し付けた。フロイドさんは意識を失い、病院に搬送されたが死亡した。当時の映像がインターネット上で拡散され、ショービン容疑者らの訴追を求める声が高まっていた。

 ミネアポリスで26日から始まった抗議デモは29日も続いた。暴動化した28日には、州当局が治安維持のため500人以上の州兵を出動させた。29日にはCNNテレビの記者らが生中継中、移動要請に従わなかったなどとして州警察に拘束され、手錠を掛けられる一幕もあった。記者らは間もなく釈放され、ウォルツ州知事はCNNに謝罪した。

 抗議デモは西部アリゾナ州フェニックス、首都ワシントンなど、日増しに各地に拡大。東部ニューヨーク市では28日、参加者数十人が拘束された。

Photo_20200530175301Photo_20200530175401

心優しい大男」警官に首抑えられ👤死亡した黒人男性の素顔

AFPBB NEWS 2020年5月30日(土)14時34分配信

 米北部ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、警官から首を膝で押さえつけられ、助けを求めながら死亡した黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)は、テキサス州ヒューストン(Houston)からミネアポリスに移り、新しい生活を始めたばかりだった。親族や知人は、フロイドさんは寛大な心を持つ男性だったと話している。

 兄弟のフィロニーズ(Philonese Floyd)さんは、フロイドさんが亡くなった翌日の26日、「誰もが私の兄弟を愛していた」と語った。フロイドさんの死を受けて大規模な抗議デモが行われており、米国にはびこる人種差別への非難が再び巻き起こっている。

 フィロニーズさんは米CNNに対し、「彼は心優しい大男だった」「誰も傷つけたりしなかった」と述べた。

 死亡したフロイドさんは北部ミネソタ州へ移り、トラック運転手の仕事に就いた。最近ではレストラン「コンガ・ラテン・ビストロ(Conga Latin Bistro)」の警備員として働いていたものの、新型コロナウイルス流行のため同州でも封鎖措置が取られたため一時帰休となった。

 親しい人たちは、フロイドさんはより良い人生を歩もうとしていたと話す。

 身長約2メートルと目を引く長身だったフロイドさんは、バスケットボールやアメリカンフットボールでスター選手として活躍。ヒップホップ音楽も始めた。しかし仕事を見つけるのが困難となり、ヒューストンを離れることになった。

 同じ高校に通ったジョナサン・ビール(Jonathan Veal)さんは、最後に連絡を取り合ったのは今年1月だったと明かす。フロイドさんはテキストメッセージで、「子どもたちのために少し頑張らないといけない」「私の信仰は本来あるべき状態に戻りつつある」と話していたという。

人生を変えようとしていた愛情のある人

 しかし今月25日、武器を持たず手錠を掛けられ、地面に横たわった状態のフロイドさんは、警官から膝で首を9分間押さえつけられ、苦しみながら息を引き取った。この様子の映像が撮影されていた。

 警察によると、食料品店で25日、フロイドさんがたばこを買うのに偽造通貨を使用したとみて店員が通報。フロイドさんには偽造容疑が掛けられていたという。

Photo_20200530181201

 姉妹のブリジット・フロイド(Bridgett Floyd)さんはフロイドさんについて、完璧な人ではなかったが、警察の手にかかって亡くなったのは「悲痛なことだ」と語った。

 この事件を受け、警官4人が解雇された。そのうち29日に逮捕されたデレク・ショービン(Derek Chauvin)容疑者は、第3級殺人などの罪で訴追された。

 フロイドさんには2人の子どもがいたと報じられている。ヒューストンに住む娘(6)の母、ロキシー・ワシントン(Roxie Washington)さんは、フロイドさんは献身的な父親だったと話した。

 地元紙ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)によるとワシントンさんは、「彼はとても大柄だから、いつもけんか腰だと誤解されていた」「でも彼は愛情のある人だった・・・・・・そして娘のことを愛していた」と語った。

 フロイドさんと旧友のスティーブン・ジャクソン(Stephen Jackson)さんの友情は、ジャクソンさんが米プロバスケットボール(NBA)のスター選手になってからも変わらなかった。

 ジャクソンさんはインスタグラム(Instagram)に投稿した動画で、「僕たちはお互いを双子と呼び合っていた」と感情的に語り、フロイドさんは子どもたちを支えるために仕事をしようとミネソタに引っ越し、「人生を変えようとしていた」と述べた。

黒人暴行死、デモ全米に拡大 相次ぐ差別殺人に不満噴出

時事通信 2020年5月30日(土)16時30分配信

 米中西部ミネソタ州ミネアポリスで25日、黒人男性が拘束時に白人警官に首を圧迫されて死亡した事件をめぐり人種差別に抗議するデモは全米に広がった。

Photo_20200530175101Photo_20200530175501

 免職となった元警官は29日、殺人などの容疑で逮捕されたが、米国で相次ぐ人種差別を背景に市民の不満は収まらず、デモは30日も続いた。

 米メディアによると、夜間の外出が禁止になったミネアポリスでは29日深夜以降もデモが続き、放火とみられる火災や略奪が再び起きた。ミネソタ州は動員する州兵を1700人以上に拡大する。元警官の逮捕後も首都ワシントンのホワイトハウス前やニューヨーク、ロサンゼルス、アトランタなど米各都市でデモが起き、一部は暴徒化した。デモ隊からは、死亡した黒人男性が拘束時に繰り返した「息ができない」や、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」のシュプレヒコールが起こった。

 捜査当局などによると、逮捕された元警官はデレク・ショビン容疑者(44)。偽札使用の疑いが持たれたジョージ・フロイドさん(46)の拘束時に首を8分46秒にわたり膝で圧迫。フロイドさんの反応がなくなってからも2分以上圧迫し続けたとされる。フロイドさんは搬送先の病院で死亡が確認された。

 米国では今月、白人による黒人に対する暴力などが相次ぎ報じられ、人種差別に抗議する動きが相次いでいた。ジョージア州で2月、ジョギング中の黒人男性が撃たれて死亡する事件があり、今月に入り白人父子による襲撃を撮影した動画の存在が判明し、父子は逮捕された。ニューヨークでも最近、引き綱を外して飼い犬を散歩させていた白人女性が黒人男性に注意を受け、「アフリカ系の男が私の命を脅かしている」と通報。この様子が収められた動画が拡散し、女性は人種差別的言動を理由に勤め先から解雇された。

 白人警官による丸腰の黒人への過剰な暴力も後を絶たず、2014年には白人警官が相次ぎ不起訴になったことで全米で大規模デモが起きた。うちニューヨークの事件では問題の警官が懲戒免職になったのは19年。フロイドさんの事件では事件翌日に関わった警官4人が免職になり、うち1人は「異例のスピード」(当局者)で逮捕に至った。ただ、今回の事件で一気に噴出した差別問題への不満が収束する見通しは立っていない。 

 黒人暴行死抗議デモ破壊略奪横行州兵出動 

BBC NEWS Japan 2020年5月29日(金)13時34分配信

 米ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性が警察に拘束された際に死亡したことに抗議する運動が28日、2日目を迎え、州兵が派遣される事態になった。

Photo_20200530181301Photo_20200530181601

 ミネアポリスでは25日、レストラン警備員としての勤務歴があったジョージ・フロイドさん(46)が警察に拘束された際、首を膝で押さえ付けられた。

 フロイドさんがうめき声を上げ、「息ができない」と白人警官に繰り返し訴える様子が動画に撮影されていた。フロイドさんはその後、死亡した。

 27日の抗議では、店舗での略奪なども発生したために警察が催涙ガスを使用した。

 28日にはさらに多くの抗議運動が計画されている。また、イリノイ州シカゴ、カリフォルニア州ロサンゼルス、テネシー州メンフィスなどでも抗議が起こった。

 ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は28日、ミネアポリスのジェイコブ・フレイ市長などの要請を受けて、「平和時緊急事態」を宣言。州兵の派遣を認めた。

Photo_20200530174601Photo_20200530174901

 ウォルツ知事は、抗議活動の最中に行われた強奪や破壊行為、放火が、ミネアポリスで多くの店舗にダメージを与えたと説明した。これらの店舗には、人種的マイノリティーが所有する店もあったという。

Photo_20200530175001Photo_20200530175201

 その上で、「ジョージ・フロイドさんの死は正義とシステムの変化につながらなければならない。さらなる死や破壊につなげてはいけない」と、平和的な抗議を呼びかけた。

 ミネアポリスのフレイ市長はこの日、フロイド氏を押さえつけていた警官を刑事訴追すべきだと述べた。フロイドさんの拘束に関わっていた4人の警官はすでに懲戒免職となっている。

 アメリカでは警察による黒人市民の殺害行為が相次いでおり、大きな怒りを呼んでいる。先にはケンタッキー州で、ブレオナ・テイラーさん(26)が捜査する住所を間違えた警察によって射殺された。

 また、今回の事件は2014年にニューヨーク市で警察に逮捕される際に死亡した黒人男性エリック・ガーナーさん(43)の事件と重なる部分が多い。ガーナーさんの死は「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」運動の原動力となった。

 警察に対する抗議活動は26日午後から始まり、数百人が事件のあった交差点に集まった。

Photo_20200530174501Photo_20200530174801

 デモの主催者は、デモを平和的なものに保ち、新型コロナウイルス対策の社会的距離を維持するよう努めた。デモ隊は「息ができない」、「被害に遭っていたのは自分だったかもしれない」と声を上げた。

 翌27日には、抗議参加者は数千人に膨れ上がった。警官に石を投げつけたり、催涙ガス缶を投げ返したりする参加者もあった。

 警察署の前では、抗議者を中に入れないように警官が人の壁を作り、こう着状態になる場面もあった。

「正義が必要だ」

 フロイドさんの兄弟のフィロニス・フロイドさんはCNNの取材で、この警官らが死刑になることを望むと話した。

「もう兄弟を取り戻すことはできない。正義が必要だ」とフィロニスさんは話した。

 また、自分の兄弟を「白昼に処刑した」警官らは逮捕されるべきだと述べ、「黒人男性が死ぬのを見るのはうんざりだ」と語った。

 一方で、抗議参加者が怒りをあらわにしているのも理解できると述べた。

「私と同じ痛みを感じている人たちを止めることはできない」

 ミネアポリス警察トップののメダリア・アラドンド氏は、フロイド氏の死が与えた「痛みや絶望、トラウマ」について謝罪。警察がミネアポリスの「希望のなさ」を助長していたと話した。

 国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官もこの問題を非難し、「強固で広く普及した人種差別」を認識し、対処すべきだと指摘した。

 また、抗議参加者に平和な活動を呼びかけるとともに、警察には「現状を悪化させないよう細心の注意を払う」よう訴えた。

 ドナルド・トランプ大統領の報道官は28日、大統領はフロイドさんの動画を見て「非常に動揺していた」と述べた。

 このほか、俳優のジョン・ボイエガさん、レブロン・ジェイムズさん、歌手のビヨンセ、ジャスティン・ビーバーさんといった著名人も、次々に怒りを表明した。

Photo_20200530181401Photo_20200530182101

フロイドさんに何があったのか

 警察の声明によると、偽の20ドル札を使おうとした客がいると商店から通報があった。

 警察によると、警官たちは自動車内にいたフロイドさんを発見。車から離れるよう命令すると、フロイドさんは抵抗した後、手錠をかけられた。その後、フロイドさんの「体調に異常」が見られることに気づいたという。

 現場で撮影された動画からは、フロイドさんと警察のやりとりがどうやって始まったのかは映っていない。しかし、白人警官1人に膝で首を押さえ付けられたフロイドさんが「息ができない」、「殺さないで」と言っているのが確認できる。

 ミネアポリス当局によると、フロイドさん拘束に関わった元警察官はデレク・ショーヴァン氏、トウ・サオ氏、トーマス・レイン氏、J・アレクサンダー・クング氏の4人。

 地元メディアは、フロイドさんの首を押さえつけていたのはショーヴァン氏だと報じている。

 ミネアポリス警察官協会は、4人は捜査に協力していると述べている。地元メディアに掲載した声明で同協会は、「今は判断を急ぐ時ではない」と述べた。

「すべての動画を検討し、検視官の報告書を待たなくてはならない」

「こうやって耳を傾けている」 ――ジェシカ・ラッセンホップ、BBCシニアスタッフライター(ミネアポリス)

 暴力的で破壊活動の続いた夜の翌朝、まだ燃えている建物の煙でミネアポリスの空気は重かった。

 あらゆる壁や標識に新しい落書きがほどこされている。バス停の待合スペースは、ガラスが割られて骨組みだけになっていた。

 ミネアポリスの繁華街の一角が、紛争地帯のような雰囲気になっている。

Photo_20200530180402Photo_20200530180601

 もっとも被害が大きかったのは、フロイドさんの死に関与した警察官が働いていたとみられるミネアポリス警察の第3管区だ。

 この日の朝も少なくとも100人の抗議者が集まり、管区の駐車場入り口を守る警官に向かって叫んでいる。警官はヘルメットをかぶって沈黙を守っている。屋上からは、武装した警官が監視している。

 盗難にあった「ターゲット」の駐車場には、店舗から出されたがれきなどが積みあがっている。ガラスの割れたドアやウィンドウからはなおも、興味にそそられた人々が出入りしている。その荒廃ぶりに、誰もがそわそわと興奮しているようだった。

Photo_20200530180801Photo_20200530180401

 破壊は無差別だった。銀行から小切手換金店、リカーショップなどが標的となったほか、公立図書館では窓が割られ、本棚や書見台にガラスが散乱した。ターゲットと同じショッピングモール内にあるチャータースクールの教室は、非常警報が鳴らされたせいか、床が水浸しになっていた。

 市内にまん延した市民の怒りは明らかだった。叫び声や嗚咽がずっと聞こえていた。この抗議行動が数週間とは言わないまでもあと数日は続くこと、さらなる暴動が見込まれることは分かりきった結論のようだ。ある参加者は私に、「悲しいことだけど、こうやって耳を傾けているんだ」と言った。

Photo_20200530180001Photo_20200530181001

警官の黒人暴行死 デモ隊暴徒化非常事態宣言 米ミネソタ州

共同通信 2020年5月29日(金)10時44分配信

 米中西部ミネソタ州ミネアポリス近郊で黒人容疑者が逮捕時に白人警官から暴行を受け死亡した事件を巡り、ミネアポリスや州都セントポールで28日、抗議のデモ隊が暴徒化し、ワルツ州知事は非常事態を宣言、鎮圧のため州兵に動員を掛けた。デモ隊がミネアポリスの警察署の一部を占拠したとの情報もある。米メディアが伝えた。

 ミネアポリスでデモ隊が暴徒化するのは2日連続。中心部の店舗の窓を割り、略奪するなどした。一部で火の手も上がり、警察は催涙ガスやゴム弾で鎮圧を図った。

 抗議デモは東部ニューヨーク・マンハッタン中心部でもあり、少なくとも40人が拘束された。

 

2020年5月29日 (金)

【コロナショック】<流行病より>厄介なブラジルの大統領!?

新型コロナより遥かに厄介なブラジル大統領

Newsweek日本版 2020年5月21日(木)12時11分配信

貧困層が次々とウイルスの犠牲になっているのに、ボルソナロ大統領は危機の存在さえ真っ向から否定する

 世界の指導者の中でも、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領ほどコロナ禍への対応のひどさで「注目」されている人物はいないかもしれない。

 ブラジルでの新型コロナウイルスの感染者は22万人を超え、死者は1万5000人に迫る。いずれも世界で6番目に多い。(編集部注:18日にイギリスを抜き、感染者数は世界3位に)それでもボルソナロは、新型コロナウイルスについて「国民への脅威はない」と主張。異を唱える者がいれば、相手がジャーナリストでも国会議員でも、あるいは閣僚でも、攻撃の手を緩めない。

 ボルソナロは2018年の大統領選で、既成勢力に反発する風潮に後押しされて圧勝を遂げた。今回のコロナ禍の前から、彼は対立をあおる指導者だった。しかしブラジルで新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するにつれ、科学や公衆衛生を軽視する彼の欠点がさらに際立っている。

 5月初めには「社会的距離」を無視して、友人とジェットスキーを楽しんでいる動画がネット上に出回った。4月末には国内の死者が5000人に達したことについて記者から質問され、「だから何なんだ?」と言い放った。

 世界でも格差の大きい国の1つであるブラジルに、新型コロナウイルスは最悪の影響をもたらしている。約1200万人に上る最貧困層は、大都市の外れにあるファベーラと呼ばれるスラム街に暮らす。人口密度が高く、各種サービスへのアクセスも悪い地域だ。歴代政権はファベーラの周囲に壁を建てて、観光客などの目に触れないようにしてきた。

 いま新型コロナウイルスはファベーラを中心に拡大し、ただでさえ乏しかった医療サービスは崩壊寸前だ。貧困層を支援しようとする活動家は対応に苦慮している。

 エリアナ・ソウサ・シルバは、リオデジャネイロでファベーラの住民を支援するNGOへジス・ダ・マレのディレクター。約14万人が住むマレ地区を拠点に活動を展開している。新型コロナウイルスの感染拡大は貧しい住民への支援活動にも悪影響を及ぼしていると、彼女は言う。

 へジス・ダ・マレが最優先課題として取り組んでいる活動の1つが、ファベーラの住民の中でも最も貧しい約6000世帯に食料を確保するというもの。ホームレスの人々や病人にも、毎日300食以上の食事を提供している。 

 このプロジェクトは、雇用創出という恩恵ももたらしてきた。ブラジルでは全国で失業率が悪化傾向にある。4月には経済省民営化担当局のサリム・マタール局長が、12%超という現在の失業率は近いうちに2倍になる恐れもあると語った。

事態を悪化させる連邦政府

 連邦議会は3月末、非正規雇用者や自営業者を対象に、緊急援助金として月600(約1万1000円)を支給する法案を可決。4月9日から給付が始まっているが、計画の実施には遅れや混乱が生じている。

 シルバによれば、援助金を受け取るには銀行口座や、サイトやアプリでの申し込みが必要なため、マレ地区の住民で受け取れる人はほとんどいない。運よく受給できたとしても、「この金額では焼け石に水」だと、彼女は言う。

光が見えない支援活動

 ファベーラでは医療システムが崩壊している。シルバによれば、マレ地区には医療センターが7カ所と中規模の病院が1カ所あるが、どれもコロナ禍の前から限界に達していた。彼女に言わせれば、医療システムは「完全な混乱状態」にあり、新型コロナウイルス感染症以外の病気の治療は中止されている。

 特に危険にさらされているのが、ホームレスや薬物依存の問題を抱えている人々だ。マリア・アンジェリカ・コミスは、サンパウロでホームレスや薬物依存者を支援する団体エ・ジ・レイのコーディネーター。コロナ禍が始まってから組織の役割を転換し、健康指導プログラムを実施したり、医療用品や飲料水の配給などに取り組んでいる。

 だが、活動には光が見えない。「状況は実に急速に悪化した」と、コミスは言う。支援は企業などからの食料の寄付に頼っているため、コロナ禍の影響でビジネスが停滞すれば、寄付が打ち切られて食料は底を突く。

 さらにコミスは、事態を悪化させているのは連邦政府だと主張する。「ブラジルが新型コロナウイルスのせいで危機にあることを、政府は組織ぐるみで否定しようとしている」。サンパウロ市当局はホームレスへのサービスを何とか継続し、食料を提供しようとしているが、とても十分とは言えない。

「警察関係者の暴力も問題」と、コミスは言う。ホームレスの人々が警官から嫌がらせを受けたり、ゴム弾や催涙ガスで攻撃されるなどしている。

 新型コロナウイルスの検査や医療を受ける機会がほとんどないなかで、ホームレスの人々は通りで死にかけている。彼らにも医療機関を受診する権利はあるが、「病院に行っても偏見や差別にさらされることが分かっているため、行かない人が多い」と、コミスは言う。

ギャング団が感染防止策

 本誌が取材する前の10日間に少なくとも20人のホームレスが亡くなったと、コミスは語る。もちろん把握できている数字は全体像のほんの一部であり、多くの死者は記録にも残らない。大惨事の本当の規模を測ることは困難だ。

普通の生活を続けるよう焚きつける大統領

 リオデジャネイロのファベーラ、コンプレクソ・ド・アレマンで支援活動を行う団体コレチーボ・パポ・ヘトのラウル・サンティアゴ副代表は「新型コロナウイルスの危機は、既にあった大きな不平等をさらに拡大させた」と語る。そこから生まれたのは新たな「惨事」だと、彼は言う。

 大統領が危機を無視する限り、問題に真正面と向き合うことはできない。「私たちが抱える最大の問題は、WHO(世界保健機関)に盾突く主張をするボルソナロのような人物が大統領の座にあることだ」と、サンティアゴは語る。「社会的距離の確保を励行せずに普通の生活を続けるよう、人々をたきつけている」

 コレチーボ・パポ・ヘトは、飲料水もなく密集した環境に暮らす住民を守ることに苦心している。食料不足による飢えは「これまで以上に現実的な問題になった」と、サンティアゴは言う。団体の活動は寄付に頼っているため問題山積で、政府からの支援は全くないと、彼は訴える。

 一部のファベーラでは、政府の仕事をギャング団が肩代わりしている。ファベーラを長年取り仕切ってきた犯罪組織が、医療品や飲料水を配給したり、外出禁止令を出すなどの措置を独自に講じているという。

「政府はファベーラを助けるために動くつもりはない」と、サンティアゴは言う。しかも、危機を乗り切るための情報さえ与えていない。

 ボルソナロは5月5日、ブラジルの新型コロナウイルス大流行の「最悪の事態は終わった」と宣言した。だが、死者と感染者は増え続けている。しかもブラジルはこれから冬に入り、感染症が流行しやすい季節を迎える。

 取材した活動家の中に、大統領のような楽観主義者は1人もいなかった。ボルソナロの発言に納得するかと尋ねると、サンティアゴは吐き捨てた。「ばかばかしい」

再感染は致命的」医師の動画に批判殺到、専門家「信用しないで

BuzzFeeD JAPAN 2020年3月1日(日)10時03分配信

「新型コロナウイルスの再感染は致死的」。そう説明する現役医師の動画がネット上で拡散されている。感染症の専門家で神戸大学教授の岩田健太郎医師は「そういう事例の報告はない」「引用論文が明示されていないものは信用しない方がいい」と注意を呼びかけている。

中国のドクターによると…」

問題の動画は東京都町田市の「多摩境内科クリニック」がYouTubeに公開したもので、3月1日までの再生回数は6万回を超える。

ニコニコ動画にも同内容の動画が投稿されており、こちらは4万3千再生。動画を紹介するツイートは2500回以上リツイートされている。

動画は同クリニックの福富充院長による「新型コロナウイルスの再感染は致死的、という話をします」という言葉で始まる。

福富院長は「中国の新型コロナウイルスを治療したドクター」の話として、「新型コロナウイルスに感染して、もう治ったと思っていて、また再感染することがあって。2回目に感染した時は死亡してしまう」と説明。

コロナで抗体依存性感染増強?

死亡の理由は「抗体依存性感染増強現象」(ADE)によって説明できると述べ、そのメカニズムを次のように解説している。

《初感染の後、症状がなくなって「退院おめでとう」「治った」と思わせておいて、チームでやってくる。新型コロナウイルスって全部同じじゃなくて、少し違ったやつもいるんですよ。フェイントみたいなものですよね》

《血清型が少し違うウイルスがやってくるんですよ、治った人のところにね。で、再感染を起こすと。すると何が起きるか。体の中に免疫ができていて、普通だったらその免疫が2度目に入ってきたウイルスをやっつけて大丈夫なはずなんですけど、やっつけられないんですよ》

《ウイルスのところに抗体がくっついて、そうすると免疫担当細胞のところに引き寄せられるんですね。免疫担当細胞って警察みたいなものですけど、捕まえる警察のところにみんな集まってきて、免疫担当細胞に感染する》

《だから、免疫不全を起こすということで。免疫不全っていうとみんなすぐエイズ、HIVを考えると思うんですけど、免疫不全ってHIVだけのものじゃなくって、いろんなウイルスにそういう性質があって、確認されてるんですね》

《新型コロナウイルスもきっとこういう同じ仕組みで。過去のコロナウイルスと同じような仕組みで免疫不全、ADEを起こしているんだろう、ということですね》

80年に1回の凶悪なウイルス

福富院長は「インフルエンザなんてレベルじゃない」「すごい凶悪な、80年に1回、人々が忘れたころに社会に大混乱を起こすウイルス」などと新型コロナウイルスの危険性を繰り返し強調。8分40秒あまりの動画の最後を、こんな言葉で結んでいる。

《再感染を起こすとコロナウイルスを免疫がやっつけることができなくて、心不全を起こして突然死する》

《風邪なんてもんじゃないです。本当に風邪のようなフリをしてるだけですので。「ほかのウイルスと同じようなものですよ」って、それ騙しですので。みなさん絶対に、このウイルスには騙されないでください》

岩田教授再感染は確認されていない

BuzzFeed Japan Medicalは、動画の内容について岩田健太郎教授に見解を聞いた。(※岩田教授の話は2月28日時点の情報に基づいています)

――新型コロナウイルスの再感染で「抗体依存性感染増強」になり、突然死するということは起こりうるのでしょうか。

「起こりうるか」という質問に対する答えは常にイエスなんですけど、「起こりやすいかどうか」についてはノー、「起こっているか」についてもほぼノーです。

文献を検索しましたが、調べた限りではそういう事例の報告はありませんでした。

そもそも「2回感染した」という事例は、1度も確認されていない。検査で陰性になった後に陽性になったという人が、「2度目に感染したのか」はまだ謎なんです。

大阪の事例にしても、中国の事例にしても、陰性になったのは検査で見つけられなかっただけで、ずっと感染していただけなのではないか。再感染より「再燃」(いったん減少したウイルスが再び増加すること)の可能性の方が高いと考えています。

再感染が確認されていないということは、それが心不全を起こすということも当然確認されていない、ということです。

見つかってから数ヶ月しか経っていないウイルスについて、あたかも「そういうことがあるんだ」という風に主張することは、あまり誠実なやり方とは言えません。

やるならせめて、「これはあくまで仮説だけど」ぐらいの言い方をするのが、良心的な医者の態度だと思います。

免疫という言葉に注意

――そもそも「抗体依存性感染増強」とは。

何をもってそういう話をしているのかよくわかりませんが、2度目の感染で重症化する感染症はあります。デング熱なんかは典型的です。

デングのウイルスは4種類あって、1回感染するとその1つのウイルスタイプにはもう感染しないだろうと言われているのですが、別の3種類のものに感染すると、免疫増強が起きて重症化することがよく知られています。

――しかし、それが新型コロナでも起きているという根拠はないと。

そうですね。そんな話はないです。

動画の中で「血清型が少し違うウイルスがやってくる」という発言がありましたが、まだそんなものは確認されていません。

――現役医師が不確定な情報をネットに流すことについてはどう思われますか。

「自己免疫」って言っちゃうと何でもありなので、よく使われるんですね。「自己免疫」とか「免疫応答」とか。

「免疫力増強」も、インチキ医学を見分ける際のキーワード。「免疫」という言葉を使うと、うまく説明できた印象を与えることができる。非常に都合のいい言葉です。

サイトカインストームはコロナに限らない

――動画のなかでは、新型コロナウイルスによる「サイトカインストーム」(免疫系の暴走)についても言及されていました。

重症化すると炎症が激しくなり、サイトカインストームが起きることはあります。ただ、それはほぼすべての重症感染症で起こることで、新型コロナに限ったことではありません。

こういう時に言われがちなのが、免疫を強くするためのサプリメントがいいんじゃないか、免疫抑制剤を使うといいんじゃないか、といった話。

2003年のSARSの時もまったく同じ議論が起きて、(免疫抑制効果のある)ステロイドを使った事例が多くありました。SARSの場合はステロイドは治療効果がないか、むしろ悪くなる、ということであまり推奨されなくなったんです。

結核性髄膜炎など、ステロイドの効果がある感染症も一部にはあります。でも片手で数えるほどです。世の中には物凄くたくさんの感染症がありますけど、免疫を抑制することで良くなる感染症というのはほとんどありません。

例外的に稀な事象を、さも一般事象であるかのように広めてしまうことを「過度な一般化」と言います。

HIVとコロナはまったく別物

――動画の説明欄には「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫不全のしくみに近似」とも書かれています。

全然似てないです。コロナで起こっていることとHIVとは、似ても似つかない。まったく別物と言っていいと思います。免疫不全があるという証拠も不十分です。

ウイルス感染を起こすと白血球が減ったりして、一種の免疫抑制的なことが一過性で起こることはあります。それは割とどのウイルス感染でも起こることで、HIVとはまったく意味が違います。

引用論文でわかる信頼性

――動画の説明は「中国の新型コロナウイルスを治療したドクター」の話が根拠になっています。

「誰かが言っている」というのは、まったく愚にもつかない話。引用論文が明示されていないものは、一切信用しない方がいいです。

――こうした医療情報に接する際に、視聴者・読者が注意すべきことは。

バズワードに引っ張られない方がいいです。みなさん「免疫力」とかの言葉に弱いので。

「有名人だけが使っている」「みんなが知らない」「政府が騙している」といったワードには注意してください。

BuzzFeed Japan Medicalは、多摩境内科クリニックに対して、情報の根拠となる論文や中国人医師の名前などを問い合わせているが、回答はない。返答があり次第、追記する。

抑え込んだ」はずが死者10万人アメリカ合衆国

BBC NEWS Japan 2020年5月29日(金)16時48分配信/ジョン・ソープル(北米編集長)

 それは不気味な、そして悲劇的に完全なほどの対称となっている。

 合わせて44年に及ぶ朝鮮、ヴェトナム、イラク、アフガニスタンの各戦争で死んだ米軍人の人数と、ドナルド・トランプ米大統領が「見えない敵」と呼ぶ新型コロナウイルスの感染症COVID-19でわずか3カ月のうちに死んだ米国民の人数が、ほぼぴったり同じなのだ。

 トランプ氏は新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼んでいるが、それは後述する。

 COVID-19の死者数を、がんの死者数や交通事故の死者数と置き換えると、同じように厳しい、またはもっと衝撃的な統計となるだろう。ただ悲しいことに、死亡交通事故や末期がんはこれまでずっとあった。一方、パンデミック(世界的流行)はなかった。突如としてアメリカの10万の家族がこの春、新型ウイルスによって早期に人生を断ち切られた、愛する人の死を悼んでいるのだ。アメリカの感染者は150万人に上っている。さらにそれを上回る何百万人もが仕事を失っている。

 トランプ氏が2017年にホワイトハウスの執務室に入って最初にした事の1つは、バラク・オバマ前大統領が移動したウィンストン・チャーチルの胸像を、元の中心的な位置に戻すことだった。オバマ氏はマーチン・ルーサー・キング・ジュニアの銅像を置くため、チャーチルの胸像を動かしていた。

 そして、新型ウイルスとの戦いでは、トランプ氏は自らを戦時の指導者に見立てた。ニューヨーク・マンハッタンのビル建設地でシャベルをふるうことはできたかもしれない不動産王が、「運命の人」になろうとした。ナップサックに指揮棒を入れて戦場で部隊に作戦実行を命じる、経験の浅い元帥になろうとしたのだ。それだけでなく、国民の生活を守り、おびえた国家を勇気付けようとした。

 トランプ氏には、チャーチルのような秀でた弁舌の才能はない。有名な「私たちは海岸で戦うだろう」(we shall fight them on the beaches)に匹敵する演説をしたことがない。炉辺談話で、ルーズベルト風の落ち着きを醸し出してもいない。屈辱の日々はあったが、どれも原因はトランプ氏の発言であり、アメリカに対する攻撃ではなかった。

 ともかくも、自称戦争指導者として、少なくとも敵に関する初期の警告を無視した責任は問われなければならない。彼の立場はチャーチルよりネヴィル・チェンバレンに近い。

アメリカの死者(単位:人)

朝鮮戦争 (1950-1953年):36,500

ヴェトナム戦争 (1961-1975年):58,000

イラク戦争 (2003-2011年): 4,500

アフガニスタン戦争(2001年-現在): 2,000

COVID-19 (2020年2月-現在): 100,000

 アメリカの初期の新型ウイルス対策は、1月下旬の重要な行動が目を引く。トランプ氏は中国から渡米してくる米国民以外の人々について、入国を禁止したのだ。これは賢明で決断力のあるものだった(ただ、トランプ氏は中国からの渡米者全員の入国を禁止すべきだったと主張する人もいる。私にはアンフェアに思えるが)。しかし、この戦術がトランプ政権にもたらした優位性は、翌2月に何もせず無能さをさらしたことで消滅した。

 検査を拡大する試みは悲惨だった(トランプ氏は疾病対策センターに煮え湯を飲まされた)。個人防護具(PPE)の調達ははかどらなかった。連邦政府の主要用具の緊急備蓄は、ハバードおばさんの戸棚のように空っぽだった。トランプ氏は、国家安全保障会議における世界健康安全保障に関する部門をそっくり解散していた。3000万ドル(約32億円)規模の米政府の危機対応基金(Complex Crises Fund)もなくしていた。これらの決定が、COVID-19と戦うアメリカの力を大きく損なった。

 トランプ氏はこの間、中国から来た新型ウイルスは大したものではないと、熱心に国民に説いた。そして、経済に大打撃を及ぼすものではまったくないとした。トランプ氏にとって経済は、11月の大統領選挙における再選戦略の核だった。

 このころの数週間のトランプ氏の発言は、振り返る価値がある。

1月22日:「中国から来たのは1人で、我々はその人を管理下に置いている。まったく問題ない」

2月2日:「中国から来るのをほぼ抑え込んだ」

2月10日:「4月までには、理論上、少し暖かくなれば、奇跡的に消え去るようだ。それが本当だと願っている。ただ、我々の国はよくやっている。習(近平)国家主席と話をしたが、中国はものすごい努力をしている。すべてうまく行くと思っている」

2月11日:「この国では、基本的に12人しか感染者がいないし、そのほとんどは回復していて、完全に回復した人もいる。だから実際にはさらに少ない」

2月24日:「新型コロナウイルスはアメリカではほぼ掌握されている。すべての人および関係各国と連絡を取っている。CDC(疾病対策センター)と世界保健(機関)は精一杯、非常に賢明な取り組みを続けている。株式市場の状況もよさそうだ!」

2月26日:「いま15人いて、その15人が数日でゼロ近くに減るのは、私たちの対応が見事ということだ」

危機? いったい何の危機? 

 ところが3月になると輪郭がはっきりし、大変な状況が見え始めた。ニュースはすべて恐ろしい内容だった。検査不足のため、地域内で広範囲に感染が広がった。人々は新型ウイルスに感染したが、どこで感染したのか、誰から感染したのか、どのように感染したのかははっきりしなかった。感染経路の追跡はもはや不可能だった。

 最初の感染は西海岸ワシントン州で確認されたが、COVID-19はたちの悪い方法ですべての人々を攻めてきた。この厄介なウイルスは、真に集中すべきところとは違うところに、私たちの目を向けさせた。COVID-19が大暴れしたのは東海岸だった。中でも、アメリカで最も大きく、最も裕福で、最も人口密度が高い都市ニューヨークに、壊滅的な影響をもたらした。

 ニューヨーク市はあっという間に感染拡大の中心となり、トランプ氏が育った同市クイーンズは中心の中心となった。そこから伝わってくる画像は、明らかになりつつあった惨状の規模を、米国民と大統領に知らしめた。エルムハースト病院では、駐車したトラックの冷凍コンテナに、死体安置室に収容し切れない死体を保管した。感染流行のピーク時に同病院の若い医師に話を聞くと、日々繰り返されるぞっとするような生死について語ってくれた。

 地球上最も裕福な国の、最もお金がある都市で、看護師たちはごみ袋をPPEとして身に着け、集中治療室へと向かっていた。それしか手に入らなかった。救命救急の相談員は、患者の様子を調べる時にスキーのゴーグルを着用していた。病院には顔面用のマスクがなかった。ブロンクスでは小さな島に集団墓地が掘られた。そこに近親者がいない死者や、葬儀の費用を残さなかった死者が埋葬された。コモンウェルス戦争墓地の無名戦士の墓碑に刻まれた言葉のように、「神は知っている」という状況だった。

 地球を何度も木っ端みじんにできる軍事力をもつ全能の超大国アメリカは、ぼろぼろの状態で、自分の庭で起きていることすら掌握できていない様子だった。アメリカという物語において、この時期が同国の偉大さを示すようになるとは考えにくい。

 クイーンズがトランプ氏の育った土地なら、マンハッタンは同氏が財を成した土地だ。金もうけと言えばウォール・ストリートであり、米経済の脈拍と酸素量を測ることができる。トランプ氏はそのベッドわきに立ち、1時間ごとに数値をチェックするのが好きだ。だが、米経済の活動を停止せざるを得ないことが明らかになると、ダウ・ジョーンズ指数は急落。サーキット・ブレーカーが発動された。トランプ氏と側近は、大統領再選の戦略が崩壊の危機にひんしていら立った。

 ところが、冷え切った経済への大量の資金投入に連邦議会が同意しそうだとのうわさが伝わると、急落から一転、目のくらむような上昇が起きた。

 アメリカの死者の2万5000人以上は、ニューヨーク州で記録されている。同州のアンドリュー・クオモ知事は、新型ウイルスで最初の政界のスーパースターとなった。彼は連日、どこで何が起こり、どんな対応がなされ、まだ何が必要か、事実に基づいた非常に詳細な発表を実施。全米の人々がテレビの視聴予約を設定した。

 生粋の民主党員でクイーンズ育ちのクオモ氏には、多くの共和党員から称賛のまなざしが向けられた。何人もの民主党員は心の中で、「ジョー・バイデンではなく、彼が11月にわが党の大統領候補だったら」と考えた。クオモ氏は昔ながらの新聞のように、何が事実で何が意見なのかを明確に説明した。高度に洗練された45分間で、ニューヨークが奈落の底に落ちる模様をニュースとして語り、意見コラムのように個人的見解を示した。自らの対応は完璧ではないと認め、もっと早く動くことができたと話した。さらに、称賛に値すると思った時は、トランプ氏をたたえた。政府に活を入れる必要があると思えば、手厳しいことを言った。

 クオモ氏に国中の関心が集まっていたころ、トランプ氏もホワイトハウスで毎日、記者会見を開くことを決めた。同氏がどれほど群衆のわめき声が好きで、必要としているかは明白だ。政権運営は退屈だ。遊説に出て、支持者らから熱い声援を受けることが、彼のエネルギーのもととなっている。それが彼の心臓を脈打たせ、血液をめぐらせている。

 ロックダウン(都市封鎖)はこの大統領から、2つの大好物を奪った。ゴルフと、愛すべき騒がしい群衆に向かって演説できる夜の集会だ。トランプ氏を訪ねて来る国家元首はいなくなり、その場の議題に無関係の自分の考えをテレビカメラが伝えてくれる機会もなくなった。世間の注目という酸素に飢えていたトランプ氏は毎日、記者会見室に現れた。そして私たち記者は、彼の人工呼吸器という最もふさわしくない役割を果たした。決して信頼していないジャーナリストたちに挿管されても、それがうまく行くはずがなかった。

 マイク・ペンス副大統領には、新型ウイルスの対策チームを率いる役割が与えられた。彼にとっては毒杯となり得たが、その仕事を落ち着いてこなした。すべてに関して詳細を押さえていたペンス氏は、政府のさまざまな部署とホワイトハウスの連結役として、また、政府のさまざまな部署と50州の知事たちの連結役として、うってつけの存在だった。さらにもう2つのことを、ペンス氏は鮮やかな手際で成し遂げた。トランプ氏を最大限にたたえることを決して忘れず、彼の指導力に敬意を表した。そうしないと災難が降りかかるからだ。そしてペンス氏は、共感を示すことも決して忘れなかった。米国民の苦しみについて語り、家族を亡くした人々に哀悼の意を表した。ペンス氏には簡単にできることだったが、トランプ氏がそうすることはほとんどない。

 記者会見室では登場人物が替わることもあった。他の2人の強固な登場人物に、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長で独立心の強いアンソニー・ファウチ博士と、オバマ政権でエイズ対策を率い、トランプ政権で新型ウイルス対策の調整官に任命されたデボラ・バークス医師がいる。この2人の科学者は、トランプ氏の判断を証拠に基づいたものにするつもりだった。しかし2人のアクセスは限定的だった。

 米経済の活動が休止されるとすぐ、ビジネス重視の人々がトランプ氏に、彼が医師から指示されている治療法は病気よりひどいとささやき始めた。国民を仕事に復帰させよ。経済活動を再開せよ。失業、景気後退、恐慌、米経済の荒廃は、死者数より恐ろしいことになる。トランプ氏は最初、アメリカはイースター(今年は4月12日)までに再開し、教会が人でいっぱいになるようにすべきだと訴えた。だがそれは、バークス氏とファウチ氏に阻止された。このことについて質問されたファウチ氏は、反対を表明せずに大統領に反対する術を実例として示した。彼は「スケジュールは人が決めるのではなく、ウイルスが決める」と記者団に述べた。老練だった。

 しかし、再開を求める力が圧倒的となった。失業者が急増し、トランプ氏は「強い経済」という選挙戦略が失敗に終わると考えた。

 この間、死者数はどんどん増加した。2月には水滴だったものが、次第に一筋の流れとなった。その流れは、絶え間ない水流となった。そして4月後半には激流となった。

 コロナウイルスは感染する人を選ばなかった。だが、命を奪う対象は選んだ。統計は衝撃的だった。黒人やラテンアメリカ系は、死亡する確率がずっと高かったのだ。長年続く健康面での不平等が表面化した。貧困状況の中で成長した人は、コロナウイルスに感染すると命取りとなり得る持病がある確率が高かった。高血圧、糖尿病、肥満、心臓病だ。さらに、密集度が高く数世代が同居する家で暮らし、社会的距離を取るのが不可能な工場や食肉処理場で働いていると、当たり前だが、COVID-19にかかりやすいのだ。

 ジェローム・アダムス公衆衛生局長官は、自身も黒人であり、この問題を率直に取り上げ、力強く訴えた。しかし、その代償を払うことになったようだ。ホワイトハウスの記者会見に姿を見せることがなくなったのだ。彼の発言に誰かが腹を立てたに違いなかった。

 記者会見におけるトランプ氏自身の危うい言動も、共和党の戦略家たちから望ましくないと見られるようになっていた。大統領の支持率は下降していた。私は彼のかなり異常な記者会見に2度臨んだことがある。1つは、トランプ氏が自身のことばかり話したものだ。彼のスタッフは選挙運動のような長ったらしいビデオを作り、彼の感染流行対策がいかに見事かを詳細に説明した。2時間超に及んだこのときの会見の最初の45分間、トランプ氏は自身について語った。メディアがどれほど彼に対してアンフェアか述べた。「かわいそうな私」という内容だった。45分の間、新型ウイルスの死者のことも感染者のことも、まったく触れなかった。仕事を失って請求の支払いをどうしたらいいか困っている何百万人についても言及しなかった。

 もう1つは、トランプ氏がコロナウイルス感染症の治療として、消毒剤の注射について語ったものだ。記者会見室のわきに座っていたバークス医師は、大統領の発言を聞いている間、激しい胃痛に襲われているように見えた。ただ、立ち上がって、「これは危険なたわ言です」と言う自由はないようだった。トランプ氏の言動は茶化され、嘲笑された。

 しかし、批判の高まりとともに、トランプ氏は反発を強めた。

 彼によって不名誉な立場に置かれた罪人が2人いる。1人は中国だ。当初は習国家主席をたたえたトランプ氏だったが、その後、中国は同氏の標的となった。中国はうそをつき、隠ぺいした。これは武漢インフルエンザだ。中国は自国民を守ったが、それ以外は守らなかった。トランプ氏の目にはさらに悪いことに、中国が世界保健機関(WHO)を脅し、WHOの弱くて気の小さいリーダーは中国の脅しに負けたと映った。その結果、この新種のウイルスの危険性を世界に十分に警告できなかったと考えた。ここにはもちろん、責任転嫁はあった。だが、トランプ氏にも一理あった。WHOの欠陥についても、中国指導部の率直さについても。

 このすべてがトランプ氏の支持基盤を活気付けた。ただ、米経済の活動再開へと毅然と変化していった同氏の姿勢ほど、活気付けるものはなかった。乱暴なデモが、特に民主党知事の州で起こった。それをトランプ氏は鎮めようとはしなかった。カリフォルニア州では、自由主義の共和党員と小規模商店主の支援を受けたサーファーたちが浜辺で抗議した。「ベイウオッチ」が「ティー・パーティー」と融合した奇妙な瞬間だった。ミシガン州では、自動小銃で重武装し、映画の傭兵役のオーディションのような格好をした男たちが、州議会議事堂を取り囲んだ。

 民主党員か共和党員か、トランプ好きかトランプ嫌いかをまったく考慮しないウイルスがもたらした公衆衛生の緊急事態が、アメリカを分断し、激しく二極化していた。他のすべてと同じようだった。

 アメリカの再開を望むならトランプ支持者だ(大まかに)。早過ぎる再開に慎重なら民主党員だ(大まかに)。もしあなたが、ヒドロキシクロロキンの危険性に関する食品医薬品局(FDA)の助言をトランプ氏が無視したという事実をとても気に入っていて、ともかくもヒドロキシクロロキンを摂取すると決めたのであれば、彼の陣営にしっかり入っている。

 トランプ氏は誰もがマスクを着用すべきだと公言しながら、自らはしていない。彼の支持者らはこの事実を、本当はしなくていいのだという明確なメッセージと受け止めている。さまざまな医療アドバイスが出される中、一部はマスク着用を扇動行為であり、過保護国家の象徴だとみなしている。

 客にマスク着用を求める商店主は、店の外をパトロールする暴力的な集団に脅されている。ばかげたことだ。マスクは病気の拡大を止めようとする小さな努力ではなく、「闇の国家」による抑圧の象徴であるかのようにみなされ、引き裂かれ、破損されている。私たちの撮影スタッフは、抗議者たちを撮影するとき、マスクをしているとして彼らに押しやられ、嫌がらせを受けている。言うまでも無いが、彼らは社会的距離を順守する気などさらさらない。

 そして、アメリカが死者10万人という恐ろしい節目を迎えた現在、将来はどうなるのか? 

 世論では、頭と心の戦いが起きているように思える。科学が本能的直感と対立している。国家の役割と個人の権利がぶつかっている。

 仮に、行動を追跡できる携帯電話のアプリが新型ウイルスの第2波を防ぐのに欠かせない道具だとして、それを効果的なものにするためには、人口の大部分が個人情報を提供することが重要になる。そうしたことは起こるだろうか?  国家が強大になり過ぎることの危険性を建国の父たちが心配したアメリカで、そうしたことは想像できない(これはトランプ氏に対する好き嫌いをはるかに超えたものだ)。そしてもし、効き目のあるワクチンが見つかったらどうなるのか?  ワクチン反対派の一団(トランプ氏はかつてそれを支持していた)は間違いなく大挙して出動し、科学や医学、国家、ビッグ・ブラザー、その他もろもろに対する疑念をかき立てるだろう。

 トランプ氏はここ2カ月ほど、アメリカほどコロナウイルス検査をしてきた国はないと、繰り返し自慢している。「他国は迫ってすらいない」と彼は言う。アメリカより人工呼吸器を多く作った国も、アメリカほど多くのPPEを前線で働く人たちに供給した国も、ないと言う。トランプ氏は、アメリカが成し遂げたことを世界の指導者たちがうらやんでいると主張している。本当か?  ドイツ、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、ギリシャが、うらやんでいる? 

 どうにも信じがたい。

 アメリカより多くの死者や感染者が出た国はない。他のどの国も今のところ、迫ってすらいない。

a

関連エントリ 2020/05/26 ⇒ 【新型肺炎】南半球の“震源地”ブラジルでは毎日✍800人死亡。

 

2020年5月28日 (木)

【京都アニメ放火】拘留と治療を同時平行<手錠ナシ>被疑者(42)逮捕のワケ

治療平行、手錠なき逮捕 歩行不能「要件満たすのか」と専門家

京都新聞 2020年5月28日(木)10時15分配信

 京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警は体が自由に動かせない状態の青葉真司容疑者(42)の逮捕に事件発生から10カ月で踏み切った。事件当時の記憶が薄れる前に取り調べをする必要があるが、重度のやけどで通常の勾留はできない-。この矛盾を解決するため、京都府警捜査本部は医療スタッフが常駐する大阪拘置所で勾留し、治療を続けながら取り調べを進めるという異例の捜査を選択した。

 青葉容疑者は会話に支障がない程度まで回復したが、体は自由に動かせず、ベッドから自力で起き上がるのも難しい。移植した皮膚の炎症防止など治療も欠かせず、警察の留置施設に収容するのは不可能だった。

 一方で捜査本部は、青葉容疑者の記憶の減退が進み、事件当時の精神状態や犯行の背景に関わる供述の正確性が損なわれることを懸念。動機を解明できなくなる恐れがあるとして、可能な限り早い逮捕を模索した。

 捜査本部は、入院時と同様の治療を施すことができれば逮捕は可能と判断。医療設備が整い、専属の医師や看護師が複数いる大阪拘置所を収容先の候補に決めた。

 だが、逮捕までには曲折があった。捜査関係者によると、捜査本部は青葉容疑者の容体が一定回復したとして今年1月以降、少なくとも4回にわたって逮捕を本格検討した。だが、青葉容疑者はやけどの影響で急に高熱を出したり、大阪拘置所の刑務官が新型コロナウイルスに感染したりして、実現しなかった。

 5月ごろからは発熱の頻度が減って容体が安定。新型コロナ感染防止のための緊急事態宣言が21日に近畿で解除されたこともあって、逮捕の環境が整った。

 これまで青葉容疑者が語ったとされる「小説を盗まれた」とは何を指すのか。引き金になる出来事はあったのか。体調管理に細心の注意を払いながら、捜査本部は本格的な動機解明を目指す。

 専門家からは疑問の声も上がる。刑事訴訟法では逮捕ができる要件として、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由とともに、逃亡や罪証隠滅の恐れがある場合と定めているからだ。

 立命館大の渕野貴生教授(刑事訴訟法)は、逮捕・勾留の要件は自力で歩いて逃げられる程度の身体機能があることと指摘。逮捕から勾留請求までの手続きを1日で済ませた点からも、「普通の勾留には耐えられない、ぎりぎりの健康状態の人を身体拘束したことになる」と見る。

 その上で「警察は『医師から勾留可能との判断を得た』と説明したそうだが、医師の判断と逮捕要件を満たすかの判断は全くレベルが違う話。容疑者は取り調べに耐えられる力が限られており、意図しない供述を強いられる危険性が大きい」と警鐘を鳴らす。

 龍谷大の斎藤司教授(同)も今回の逮捕に「疑問を感じる」とした上で、「容疑者の健康面、精神面に配慮しながら供述を得ることが必要。取り調べに医療関係者や弁護人を立ち会わせてコントロールすることがあってもいい」と話す。

 京都府警の川瀬敏之捜査1課長は逮捕後の記者会見で「本人の容体が回復し、勾留に耐えられると判断した。逃亡、罪証隠滅の恐れがあると考えている」と述べ、身柄を拘束しない任意捜査ではなく、逮捕が必要だったとの考えを示した。

京アニ容疑者逮捕「逃亡あるか」「適切な条件整備」と専門家分かれる

毎日新聞 2020年5月28日(木)15時00分配信

 「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)で2019年7月に起きた放火殺人事件で、全身やけどで入院中だった青葉真司容疑者(42)=さいたま市見沼区=が27日、殺人や現住建造物等放火などの疑いで京都府警に逮捕・送検された。寝たきりの状態が続く青葉容疑者の逮捕をどう見るか。3人の専門家に見解を聞いた。

 ◇「入院先で話聴くべき」葛野尋之・一橋大教授

 葛野尋之(ひろゆき)・一橋大教授(刑事法)の話 刑事訴訟法で容疑者の逮捕・勾留は、逃亡や証拠隠滅の可能性がある場合に限られている。重症で歩けない状態の容疑者に、逃亡と証拠隠滅の現実的な可能性があるのか疑問だ。むしろ、逮捕に伴う不利益があまりに大きい。治療の中断で病状が悪化する恐れがあり、新型コロナウイルス感染のリスクも高い。もし本人保護が目的であれば、警備を徹底すれば済む。取り調べのためなら法に反しており、重症状態の容疑者を逮捕・勾留して供述を得ても、任意性が問われることになる。供述を求めるのであれば、回復状況を見極め、入院先で任意性を担保した上で話を聴くべきだった。

 ◇「懲罰的発想は間違い」白取祐司・神奈川大教授

 白取祐司・神奈川大教授(刑事訴訟法)の話 刑事訴訟法の趣旨からも人道上の観点からも、要件を欠く不当な逮捕だ。必要性のない逮捕はしてはならず、今回は容疑者に逃亡の恐れも証拠隠滅の恐れもない。勾留施設の態勢を整えたといっても、身体拘束をすることで本人の健康状態にマイナスになることは明らかだ。もし「重大な放火殺人事件を起こした容疑者を逮捕しないことは、世間が許さない」という懲罰的な発想があるとすれば、それは間違いだ。容疑者の重い病状に対する配慮が、悪を見逃すことにはならない。弁護士会にも協力を求め、入院先で弁護士と医師が立ち会い、任意で取り調べを進めればよかった。

 ◇「記憶が鮮明なうちに聴取を」椎橋隆幸・中央大名誉教授

 椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)の話 警察は容疑者の回復を待ち、勾留施設の環境も整えた。こうして条件整備してきたことを考えると、今回の逮捕は適切だと考える。これだけの重大事件であり、被害者はもちろん、多くの国民も真相の解明を願っている。動機は何だったのか、責任能力はあるのか、記憶が鮮明なうちに事情を聴くことが重要だ。身柄拘束をしないと、自傷行為など自暴自棄的な行動をする恐れもある。病院で任意で話を聴くよりも、適切な施設で録音・録画し、医師の意見を聞きながら取り調べを行うことが望ましい。二度と同じような悲惨な事件を起こさないためにも、捜査を尽くしてほしい。

青葉容疑者、死亡率95%だった…治療した医師「君も罪に向き合って

読売新聞オンライン 2020年5月28日(木)7時30分配信

 世界中のアニメファンらに衝撃を与えた京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警は27日、全身やけどで一時は瀕死の状態だった青葉真司容疑者(42)の逮捕に踏み切った。発生から10か月余り。殺人事件としては平成以降、最多の36人が犠牲となった事件の取り調べは、異例ずくめの形で始まった。

Photo_20200528180401Photo_20200528180501

 「青葉容疑者の治療に力を尽くしたのは、被害者と真相解明のためだ。罪に向き合ってほしい」。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)で約4か月、治療にあたった医師の一人が読売新聞の取材に経緯を語った。

 熱傷患者の専門治療ができる同病院に、容疑者がヘリで搬送されてきたのは事件2日後の昨年7月20日。やけどは全身の9割超に及び、最初に搬送された京都市内の病院では手に負えなかった。当時の症状から計算した死亡率は「95%超」。医師は「救命は難しいかもしれない」と感じた。

 実施したのは「自家培養皮膚移植」と呼ばれる治療法だった。焼けずに残った部分の皮膚の細胞を培養で増やしてシート状にし、やけどした部分に移植する。培養に3~4週間かかるため、この間の全身管理が難しい。皮膚の機能がなくなると体内の水分が失われるほか、感染症にかかりやすく、死亡リスクもある。

 青葉容疑者は、事件時に身に着けていたかばんのひもの下や、足の付け根などに、わずかに正常な皮膚が残っていた。数センチ角の皮膚を切り取り、専門の業者に頼んで細胞を培養。その間、やけどの激しい部分の皮膚を取り除いては、動物のコラーゲンでできた「人工真皮」を貼り付ける手術を繰り返した。

 8月中旬に1回目の培養皮膚移植を実施。体の表面の20%程度が覆われると、血圧など全身状態が徐々に改善した。3回目の移植で救命のめどが立ち、移植は9月中旬、5回目で終わった。10月上旬には呼吸管理のための管を抜き、会話もできるようになった。

 青葉容疑者は現在のさいたま市で生まれ、定時制高校を卒業後はアルバイトを転々とした。21歳の頃に父親が職を失って自殺後、窃盗事件やコンビニ強盗事件を起こしていた。

 服役中は刑務官に繰り返し暴言を吐いたり、騒いだりし、精神疾患と診断された。出所後は、生活保護を受給しながら、さいたま市のアパートで暮らしていたが、音楽を大音量で流すなどの奇行が目立ち、住民とトラブルにもなっていた。

 青葉容疑者は近大病院でのリハビリ中、「意味がない」「どうせ死刑だから」「(自分は)意味のない命」などと投げやりな態度を見せた。食べ物の好き嫌いも激しく、病院食を拒むことも多かった。

 しかし、この医師が「私たちは懸命に治療した。君も罪に向き合いなさい」と繰り返し諭し、リハビリをさせると、次第に態度の変化も見られた。

 昨年11月の転院時、青葉容疑者は医師に「他人の私を、全力で治そうとする人がいるとは思わなかった」と漏らしたという。

京アニ容疑者逮捕】容疑者の叔父「足が震えて…針のムシロです

文春オンライン 2020年5月27日(水)15時42分配信

 発生から10カ月、「京都アニメーション」第1スタジオ放火殺人事件で、京都府警は5月27日、さいたま市の無職・青葉真司容疑者(42)を逮捕した。

 社員36人が死亡、33人が重軽傷を負ったこの事件。なぜこのような惨劇が起きてしまったのか――。青葉容疑者の人物像を報じた「週刊文春」(2019年8月15・22日号)の記事を再公開する。(記事中の年齢、日付、肩書などは掲載時のまま)

◆ ◆ ◆

「亡くなった方や遺族のことを思うと、自分たちが今、ここにこうして生きているのも許されない気持ちになります……」

 こう語るのは、7月18日、「京都アニメーション」第一スタジオに放火し、36人もの命を奪った青葉真司容疑者の実の伯父だ。

◆ ◆ ◆

針のムシロの思いです

 青葉の父は、6人の子供がいる家庭を持ちながら、自身がバスの運転手をしていた幼稚園の先生と不倫。3人の子供を儲けた。

 青葉の母の兄にあたる伯父が、こう声を絞り出す。

「妹が駆け落ちし、親父とお袋の弟が『居所がわかった』と連れ戻しに行ったのですが、妹は『帰らない』と言った。私は許せなかったので、一切の連絡を絶っていました。ところがその後、私の妻に『電信扱いでお金を振り込んでほしい』と無心してきたのを知りました。子供がいるのも聞いていましたが、今回の事件を知って、脚が震えて立っていられなくなった。関係ないでは済まされない。針のムシロの思いです」

 何の罪もない伯父にまで深い苦しみを与えている青葉。その両親は離婚し、1999年には子供たちを引き取っていた父が自殺した。既に再婚していた母は、周囲に「前の旦那は病気で死んだ」と話していたという。

 その後、青葉はきょうだいとも断絶。12年にコンビニ強盗で収監された。

刑務所で小説を書くのでペンと紙をください

 元刑務所仲間が振り返る。

「青葉っちはネクラで喋るのがちょっと遅い。強盗は『女に騙されて金を盗りに行った』と言ってた。夕方の食事が終わると、刑務官に『小説を書くのでペンと紙をください』と頼むんだ。何を書いているのかは教えてくれなかったけど」

 今回の事件後、京アニからは過去に投稿された青葉と同姓同名で住所も一致する応募作品が見つかった。

「さいたま市内にある自宅アパートの家宅捜索では、PCや複数のスマホのほか、京アニ関連グッズも多数押収。同社が制作した『響け!ユーフォニアム』のサイン色紙や同社関連書籍などが見つかった。大量の白紙の原稿用紙も発見されています」(社会部記者)

あのクソアニメ会社が……〉警察が注目するネットの書き込み

 青葉は犯行前、「響け!ユーフォニアム」の舞台のモデルとなったJR宇治駅周辺を“聖地巡礼”していたことが確認されている。

「警察は動機の解明のため、青葉のものではないかと思われる、昨年投稿されたネット掲示板への書き込みも調べている。ただ、掲示板には接続経路を匿名化するTor(トーア)というシステムが用いられているため、京都府警のサイバー部隊が解析を進めています」(同前)

 京都府警が注目する書き込みは、次のようなものだ。

〈あのクソアニメ会社が一番やりそうなことってあの時点で原稿叩き落として裏切ることだったんだよな〉

〈もっと細かく気にして「これはなんかあるぞ」と予測しとけば わざわざ、「爆発物もって京アニ突っ込む」とか「無差別テロ」とか「裏切られた」など感じる必要もないわけで〉

業界を代表するアニメーターの命が奪われた

 放火直後、妄執にとらわれた青葉は「作品をパクられた」などと叫んだ。その一方で、本気で作品づくりに取り組んできた多くのクリエイターの命が奪われた。

 その中の一人、アニメーターの木上益治(きがみよしじ)さん(61)は「火垂るの墓」や「AKIRA」などの作品に携わってきた。木上さんと「東京デザイナー学院」の同期の渥美敏彦さん(59)が語る。

「木上君はアニメーターになるという明確な目標があった。入学前の2年間は働いて学費を貯め、学生時代もガソリンスタンドでバイトしていた。無口でしたが優しくて、僕が課題の動画を描けずに悩んでいると、『貸してごらん』とスラスラ描いてくれた。人物を描くのも一筆書きで本当に速くて。その姿を目の当たりにして、僕はアニメーターになるのを諦めたんです」

 事件の生存者の一人も、木上さんをこう惜しむ。

「業界を代表するアニメーターで、仕事には厳しいのですが、まろやかで優しい『お父さん』のような存在。進行中だった作品の監督にもなっていたのに、それをよくも壊しやがって……」

 青葉が仮に断罪されても、失われたものは戻らない。

包丁6本「他施設襲うと」青葉容疑者、周到に準備か

時事通信 2020年5月28日(木)14時36分配信

 36人が犠牲となった京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人容疑などで逮捕された青葉真司容疑者(42)が入院中に、襲撃時に所持していた6本の包丁について「京アニの他の施設も襲うつもりで複数用意した」などと話していたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。

 京都府警は、青葉容疑者が同社に強い恨みを持ち、複数施設を襲撃する目的で多数の凶器を準備したとみて調べている。

 捜査関係者によると、包丁は事件後、青葉容疑者が所持していたかばんの中から5本、現場近くの路上から1本見つかった。

 いずれも購入したばかりとみられ、刃がむき出しの状態だった。事件前に現場付近のホームセンターなどでガソリンを入れる携行缶や着火剤、ハンマーと共に入手したとみられる。

 青葉容疑者は入院中、6本の包丁について第1スタジオ以外も襲うために用意したと周囲に話していた。京アニの関連施設は第1スタジオのほか、京都府宇治市の本社や第2スタジオ、公式グッズ販売店などがある。

 青葉容疑者をめぐっては、第1スタジオの放火直後、全身にやけどを負いながら「京アニ本社に行く」などと話していたことが判明している。

 27日に逮捕された際も容疑を認め、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思い、実行した」と供述。昨年11月の任意聴取の際には「多くの負傷者が出そうだと思ったから、一番多くの人が働く第1スタジオを狙った」と話していた。 

京アニ容疑者逮捕、捜査で動機は解明されるか

ダイヤモンドオンライン 2020年5月28日(木)12時01分配信

 アニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオ(京都市伏見区、現在は解体)で昨年7月、36人が死亡、33人が負傷した放火殺人事件で、京都府警捜査本部は27日、殺人や殺人未遂、現住建造物等放火などの疑いで、さいたま市見沼区の無職、青葉真司容疑者(42)を逮捕した。事件発生から約10カ月が経過し、事件は大きな転機を迎えた。犯罪史上、例を見ない大量殺人事件の捜査は今後、動機の解明が焦点になる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

新型コロナで逮捕が延び延びに

 逮捕容疑は昨年7月18日午前10時半ごろ、京アニ第1スタジオに侵入して1階にガソリンをまいて放火。社員36人を殺害し、34人を殺害しようとした疑い。

 当時、スタジオには70人がいた。一命を取り留めた社員も33人が重軽傷を負い、現在も1人が入院し治療を受けている。

 青葉容疑者は自力で起き上がれない状態で、病院から捜査本部がある京都府警伏見署にはストレッチャーに乗せられて搬送された。

 身体の約9割にやけどを負っていたとされ、顔や腕などにやけどの痕が生々しく残っている映像がテレビで繰り返し流された。指先は完全に変形していた。

 全国紙社会部デスクによると、京都府警は青葉容疑者が入院する病院の主治医らと調整を重ね、年明けに逮捕する方針を固めていた。

 しかし、容体が不安定で逮捕状の執行は見送り。2月以降の逮捕も検討されたが、発熱などもあって延期されていた。

 そして、3~4月には新型コロナウイルス感染症が拡大。全国に緊急事態宣言が発令され、この事件に限らず不急の捜査は停止されていた。

 また、一般的に重度のやけどは感染症のリスクが高まる。加えて寝たきりの状態が続き、免疫や体力が落ちていたはずで、勾留に耐えられるかどうか、京都府警は慎重に逮捕の時期を探っていた。

 そして、新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えて緊急事態宣言が解除されたことを受け、この日の着手を選んだとみられる。

動機解明へ医療関係者ら尽力

 逮捕状は入院先の病室で読み上げられたが、青葉容疑者は「36人死亡」という事実を知らなかったようだ。

 認否では、言い逃れはできないので当然ではあるのだが「間違いありません」と全面的に認め、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と供述。

 一方で、犠牲者や遺族、負傷した被害者らに対する謝罪や悔恨、反省の言葉は一切なかったという。

 京都府警は逮捕直後に身柄を伏見署に置いたまま送検。その後、京都地裁が勾留質問を実施し、勾留手続きを即日で終わらせる異例の措置が取られた。

 通常なら逮捕後、警察署に留置して48時間以内(実質2日)に送検。さらに勾留が必要と認められれば24時間以内に勾留請求の手続きを行う。

 しかし、一時は重度のやけどで瀕死の状態だったため、容体悪化を避けるための配慮なのは間違いない。

 では、どれほどの容体だったのか。

 青葉容疑者は事件から2日後、京都府内から高度な治療が可能な大阪府内の病院にドクターヘリで搬送されたが、医療関係者らは助かる見込みは薄いとみていた。

 捜査関係者も「動機の解明には本人の供述が不可欠。しかし、助かるのかどうか…」と漏らしていたとされる。

 大阪の医療関係者の尽力により、一命を取り留めた青葉容疑者。皮膚移植手術で昨年8月上旬には命の危険性がなくなり、同9月上旬には声も出せるようになった。

 大阪での手術は十数回に及び、容体が安定し始めた同11月8日には京都府警が任意で事情聴取。その際は「どうせ死刑になる」「多くの社員がいる第1スタジオを狙った」などと供述していた。

逮捕に備え病院並みの個室を用意

 ただ、寝たきりの状態のいま、逮捕する必要はあったのか疑問も残る。

 記者会見した川瀬敏之捜査1課長は「完治に相当の時間を要する。供述が変わる可能性を考慮して逮捕に踏み切った」と説明した。

 だが、刑事訴訟法は罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、証拠隠滅や逃亡の恐れがある場合に逮捕できると定めている。

 しかし、起き上がることもできず、自力歩行さえできない青葉容疑者が逃亡できるとはとうてい考えられない。

 証拠隠滅の可能性も、青葉容疑者は事件発生から継続して治療が続けられ、京都府警は既に自宅を家宅捜索して証拠品を押収している。

 残る捜査は犯意の立証と動機の解明ぐらいで、立件するために残っているのは供述調書の作成ぐらいだろう。

 逮捕状を執行せずとも、医療関係者の立ち合いのもと、任意で聴取することも可能だったのではないだろうか。

 実際、記者会見でも「逮捕の必要性」「この時期に逮捕した理由」に質問が集中したが、川瀬捜査1課長は「具体的には言えない」と明言を避けた。

 全国紙社会部デスクによると、回復に伴って報道などで情報を得るようになり、事実関係と供述内容に矛盾が生じることを嫌ったのではないかという。

 逮捕の方針は固まったが、京都府警は伏見署では青葉容疑者が勾留に耐えられないと判断。法務省に相談し、医療設備が充実している大阪拘置所を収容先に決めた。

 同拘置所は青葉容疑者を収容するため、ストレッチャーや介護用ベッドが入る個室を用意。感染症対策のためエアコンも配備し、特別な入浴設備も用意するなど、環境を病院並みに整えた。

 至れり尽くせりで、そこまで徹底して逮捕後に備えたというわけだ。これは「真相を解明することが亡くなった方や遺族のためだ」(川瀬捜査1課長)という決意の表れなのかもしれない。

事実か、荒唐無稽な妄想か

 青葉容疑者は事件を起こした日、身柄を確保される際に「小説を盗まれた」「俺の作品をパクった」と叫んでいたとされる。

 これまで、京アニが年に1度開催している「京都アニメーション大賞」に青葉容疑者のものとみられる投稿があったことが判明。

 京アニの代理人弁護士は「(応募したのが青葉容疑者と)同一人物なのか確認できない」としつつ、内容を確認したところ「これまでに京アニが手掛けた作品と似たような表現は確認できなかった」と説明していた。

 これも青葉容疑者の投稿か確認されていないが、インターネット上に「アイディアをパクる貴様らだけは許さん」「原稿を落とされた」などの投稿があったことも明らかになっている。

 取り調べでは当然「盗用されたというのはどこの部分を指しているのか」という追及があるだろう。

 ありえない話だが、本当に青葉容疑者が投稿した作品に京アニの作品に似た表現があるのか。それとも荒唐無稽な妄想に過ぎなかったのか。

 いずれ「盗用された」と思い込んだとしても、普通の感覚なら抗議すればいいだけの話だ。しかし青葉容疑者は70人が働くスタジオにガソリンをぶちまけ、火を放つという凶行に及んだ。

 過去に精神障害で通院していた時期があったという青葉容疑者。精神鑑定になるのは必至だろう。

 犯人性は間違いなく、取り調べ以外の捜査は全て終わっているはずだ。逮捕から精神鑑定・鑑定留置、起訴、そして公判前整理手続きと進むとみられる。

 起訴されても、公判は最高裁までもつれ込むだろう。判決が確定するまでにいったい、何年かかるだろうか。

 青葉容疑者本人も覚悟しているように、死刑判決は動かないだろう。

 しかし、犯行の動機が解明されても、判決が確定しても、死刑が執行されても、京アニ36人のかけがえのない命が戻ることはない。

a

関連エントリ 2020/05/27 ⇒ 【京都アニメ放火】今朝✍青葉真司容疑者(42)放火殺人容疑で逮捕。

 

2020年5月27日 (水)

【京都アニメ放火】今朝✍青葉真司容疑者(42)放火殺人容疑で逮捕。

京都アニメーション放火殺人事件、容疑者勾留 異例の手続き

日テレNEWS24 2020年5月27日(水)15時14分配信

 去年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、27日朝に逮捕された青葉真司容疑者について、体調に配慮しながら勾留に向けた異例の手続きが進められている。

 京都府警は重いやけどを負った青葉容疑者の容体に配慮しながら身柄の勾留に向けた手続きを進めていて、午後2時20分ごろ、青葉容疑者を乗せた車が捜査本部のある伏見警察署を後にした。

 青葉真司容疑者は、去年7月、京都アニメーション第1スタジオにガソリンをまいて火をつけ、社員36人を殺害、33人に重軽傷を負わせた疑いがもたれている。

 青葉容疑者自身も、重いやけどを負い、皮膚の移植手術が行われるなど、治療が続けられてきたが、27日朝、医師から勾留に耐えられるまでに回復したと判断され、警察が逮捕に踏み切った。

Photo_20200527175401Photo_20200527175501

 署内での事情聴取は、ストレッチャーに乗せたまま行われ、通常であれば、検察庁に身柄を移して行われる「送検」の手続きを検察官が警察署に赴いて進めるという異例の手続きが行われている。

 調べに対し青葉容疑者は、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思い実行した」と容疑を認めていて、終始、落ち着いた様子だった。青葉容疑者の逮捕をうけ、犠牲となった石田奈央美さんの両親は「犯人が逮捕されたと報告しました。頭では亡くなったことは分かってるけど、やっぱりふっと思ったときにまだ生きているという感覚があります。涙が出てきます」と語った。

青葉容疑者から、事件を起こしたことへの反省の言葉や謝罪の言葉は出ていない。

京アニ事件、青葉容疑者逮捕 発生10カ月、放火殺人など容疑認める

京都新聞 2020年5月27日(水)8時06分配信

 京都市伏見区桃山町因幡のアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオが放火され、社員36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件で、京都府警捜査本部(伏見署)は27日朝、殺人や殺人未遂、現住建造物等放火などの疑いで、青葉真司容疑者(42)を逮捕した。事件で全身やけどを負って京都市内の病院に入院していたが、容体が一定程度回復し、入院先の医療機関の情報を元に、府警は「勾留に耐えられる」と判断したことから、逮捕に踏み切った。

会話には支障なく

 青葉容疑者は「間違いありません」と容疑を認めたという。 

 平成以降、最悪の犠牲者数を出した放火殺人事件は発生から10カ月を経て容疑者逮捕の局面を迎えた。捜査関係者によると、青葉容疑者の病状は今も重く、自力での歩行や食事はできない状態だが、会話には支障がなくなり、以前よりも発熱の頻度が減っているという。

 府警は27日午前7時18分に逮捕状を執行。青葉容疑者は同7時46分、ストレッチャーに寝かされた状態で府警が用意した介護車両に乗せられて、病院を出発した。

Photo_20200527174601Photo_20200527174502

 午前8時6分、京都市伏見区の伏見署に到着した。大勢の報道陣が待ち構える中、青葉容疑者を乗せた車両は、署の敷地に入った。青葉容疑者は、ストレッチャーにあおむけに寝かされた状態で、署の建物に頭側から入った。顔にはやけどの痕が残り、短髪にマスク姿だった。

 逮捕容疑は昨年7月18日午前10時半ごろ、京アニ第1スタジオに玄関から侵入し、ガソリンをまいてライターで火を付け、鉄筋コンクリート3階建て延べ約690平方メートル全焼させた上、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、33人に重軽傷を負わせるなどした疑い。残る1人にけがはなかった。負傷者のうち1人は現在も入院している。

 府警は昨年11月、青葉容疑者が当時入院していた大阪府内の病院に捜査員を派遣し、任意の事情聴取を行っている。

 青葉容疑者は事件当日に身柄を確保された時と同様に、「小説を盗まれたから火を付けた」と動機を説明。「多くの人が働いている第1スタジオを狙った」とも話し、事件3日前にさいたま市の自宅を出て京都に向かう時から事件を起こすつもりだった、との趣旨の供述もしたという。

 青葉容疑者は過去に京アニに小説作品を応募し、形式審査の一次選考で落選している。京アニは「(応募された小説は)弊社作品との間に、同一または類似の点はないと確信している」としている。

 青葉容疑者は事件当日、京都市内の病院に救急搬送されたが、命が危険な状態に陥り、2日後に熱傷の高度治療を受けられる大阪府内の病院に転院。皮膚移植を繰り返すなどして重篤な状態を脱し、昨年11月に京都市の病院に転院し、体を動かすなどのリハビリを続けていた。

京アニ命を奪われた仲間は戻って来ない

 青葉真司容疑者(42)が27日朝に京都府警に逮捕されたのを受け、京都アニメーションは同日、代理人弁護士を通じ、「被疑者に対し、改めて寄せる言葉はありません。行いと結果が全てです。被疑者が自らの行いにどのような弁解をしようが、結果についていかなる反省の弁を述べようが、命を奪われた仲間たちが戻ってくることも、傷つけられた仲間たちの傷が癒やされることもありません」とコメントを寄せた。

「ガソリン使えば多くの人が殺害できると思った」

 午前11時から伏見署で府警捜査本部の会見が行われた。川瀬捜査1課長は、逮捕直後に青葉容疑者が事実を認め、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思い実行した」という趣旨の話をしたと明らかにした。動機については「今後の捜査で明らかにする」とした。逮捕時や搬送時は「落ち着いており、反抗的な態度はなかった」とした。

 青葉容疑者が事件への反省や謝罪の言葉を述べているかという質問に対しては、「今のところ聞いていない」とした。事件当時の記憶はしっかりしているという。

 川瀬捜査1課長は、青葉容疑者を送検したと明らかにした。

現場跡地の活用未定 義援金は分配開始

産経新聞 2020年5月27日(水)15時29分配信

 27日、容疑者逮捕という大きな局面を迎えた京都アニメーションの放火殺人事件。発生から約10カ月という時間が経過する中、現場となったスタジオは建物が解体され、更地となった。総額33億円を超えた義援金も配分方法が決まり、遺族や負傷者に振り込まれ始めている。

Photo_20200527174401

 京都市伏見区の同社第1スタジオ。事件直後は現場を訪れると、黒くすすけた外壁が見え、焼け焦げた臭いもしていた。間もなく建物周辺に覆いが設けられ、昨年11月には解体に向けた準備がスタート。年が明けた今年1月から工事が始まり、4月末に終了、更地となった。

 現場跡地の利活用も焦点となる中、地元町内会は同年12月、不特定多数の人が訪れる公園や慰霊碑、石碑などを造らないよう求める要望書を京アニに提出した。関係者によると、「多くのファンらが訪れると平穏な暮らしが壊れ、生活に支障が出る」というのが理由。町内会が加入する世帯で協議し、意見が一致したという。

Photo_20200527174901

 要望には、跡地利用をめぐる話し合いには町内会も加えることなども盛り込まれた。これを受け、京アニ側は跡地について当面現状のままとする方針で、今後については、遺族や地元などと協議して判断するとした。

 事件では、国内外のファンらから多額の義援金が寄せられたことが話題になった。事件直後からSNSを中心に寄付の動きが始まり、ツイッターには、ハッシュタグ(検索目印)「#PrayForKyoani」(京アニに祈りを)を付けた投稿も登場。瞬く間に支援の輪が世界中に広まった。総額約33億4千万円にも上った。

 京アニは、会社の再建は火災保険金などでまかなう方針を示し、八田英明社長が記者会見で「全額を被害者の支援に充てたい」と表明。政府は、被害者らが受け取る義援金が非課税扱いとなるよう、個人や企業が税制優遇を受けられる「災害義援金」の仕組みを適用する、異例の措置を取った。

 これらを受け、京都府が有識者らによる配分委員会を設置。事件当時現場にいた計70人を対象に分配額などについて審議し、今年2月、けがの程度などを踏まえ配分額が決定した。府によると、すでに一部を除いて遺族や負傷者に振り込まれているという。

a

関連エントリ 2019/11/27 ⇒ 【京都アニメ放火】容疑者(41)全身90%深達性DB熱傷から奇跡の生還

関連エントリ 2019/07/26 ⇒ 【京都アニメ火災】容疑者(41)意識戻る✍遺体34名の身元特定

関連エントリ 2019/07/19 ⇒ 【京都アニメ火災】3階建て「ガソリン放火」で爆発炎上✍33名が死亡

 

テラスハウスの闇木村花さん追い詰めた過剰演出悪魔の契約書

文春オンライン 2020年5月27日(水)12時00分配信

「新型コロナの影響で『テラスハウス』の収録が中止となったことが、彼女をより孤立させました。1人自宅で過ごす中で誹謗中傷の要因となった“コスチューム事件”の回が配信されてしまった。プロレス興行も延期となってしまい、憎悪むきだしのSNSの言葉に、日に日に追い詰められていったんだと思います」(番組関係者)

玄関ドアには「有毒ガス発生中」の貼り紙

 女子プロレスラーの木村花さんが22歳の若さでこの世を去った。23日未明、東京・江東区にある自宅マンションの部屋で心肺停止の状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。警視庁は自殺とみて調べている。

「娘の異変に気付いた母親が自宅に駆けつけると、玄関ドアには『有毒ガス発生中』と書かれた紙が貼られていた。木村さんはポリ袋をかぶった状態でベッドに倒れていて、近くには硫化水素を発生させたと思われる薬剤の容器も見つかりました」(社会部記者)

 女子プロレス団体「スターダム」に所属していた木村さんは、ヒール(悪役レスラー)ならではの“ビッグマウス”が持ち味の人気レスラーだった。「プロレスを皆に知ってほしい」という思いから、Netflixで全世界に配信されフジテレビでも放送されている恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に、2019年9月から出演していた。

 “台本なし”が売り物の「テラスハウス」は、見知らぬ男女6人が一つ屋根の下で共同生活を送り、その中で生まれる恋愛や青春のリアルを映し出す、人気のリアリティー・ショーだ。だが、その番組制作の過程に問題はなかったのだろうか――。

〈テラスハウスは、見ず知らずの男女6人が共同生活する様子をただただ記録したものです。用意したのはステキなお家とステキな車だけです。台本は一切ございません〉

 こんなナレーションから毎回スタートする通称“テラハ”は、2012年10月にスタート。視聴率低迷に喘いでいたフジテレビにあって、中高生を中心に熱狂的な支持を集め、23時台にもかかわらず、最高視聴率9.1%を記録。番組YouTube公式チャンネルのトータル再生回数は3億回を超えた大ヒット作品となった。

 だが、これまでも同番組はその制作手法や“過剰演出”がたびたび問題視されてきた。

「週刊文春」(2014年6月5日号)では、同番組のディレクターらによる出演者へのセクハラやパワハラ、やらせ強要をスクープ。同年9月で番組はいったん終了した。

A氏は撮影現場のベッドに入り込み、キスと関係を迫った

 だが、2015年2月に劇場映画版「テラスハウス クロージング・ドア」が公開。同年9月から動画配信サイト「Netflix」で新シーズンがスタートした。

 そんな中で“強制わいせつ事件”が起きた。「週刊文春デジタル」(18年10月26日配信)では、出演男性A氏が撮影期間中に、撮影現場のハウスで女性メンバーB子さんの寝込みを襲う“強制わいせつ事件”を起こし、示談していたことを報じている。

「2014年12月、被害者のB子さんは1人で女子部屋で寝ていましたが、そこにA氏が侵入。B子さんのベッドに入り込み、キスを迫ったのです。キスの後で男女の関係を求めてきたA氏に対し、B子さんはA氏の頭を抱え、なだめることでその場を収めました。この日の夜は収録がなかったのですが、たまたま、シェアハウスにA氏とB子さんの男女1人ずつしかいないという状況になってしまったのです」(前出・番組関係者)

 当時、A氏本人に事実確認を求めると「お話しできません」と答えたが、強姦や準強姦ではないと主張。B子さんは電話取材に対して示談書の存在を認めた上で、「示談の時に、口外しないというのを条件で弁護士さんを通してしまったのでお話しできません」と答えた。

 フジテレビの企業広報室は当時、「撮影時以外の出演者の行動に関しては、お答えする立場にございません」と回答している。このフジテレビの回答に、制作側のスタンスがよく表れている。取材班は当時からテラスハウスをはじめとするリアリティー番組の危うさを指摘していた。

各国で起きるリアリティー番組出演者の自殺

「米国では2004年から2016年のあいだにリアリティー番組の出演者20人以上が自殺したと報じられています。イギリスや韓国も同様の事態が起こっているそうです。いまや日本でもリアリティー番組は全盛と言えますが、メンタル面も含めた出演者のケアなどの対策を制作サイドが実施しているなんていう話は聞いたことがありません。

 日本の撮影現場でも、多くの出演者が自分の描かれ方に作為的なものを感じ、世間に誤解されることについて深く傷ついているのは事実なのです」(制作会社関係者)

 木村さんが亡くなったのは、3月31日配信の第38話が原因だと言われている。プロレスで使用する木村さんのコスチュームを男性共演者が洗濯機にかけて縮ませてしまい、男性に木村さんが激怒するという「コスチューム事件」に番組のファンが反応。木村さんのSNSには誹謗中傷が殺到した。

 当該のエピソードが配信されてから1カ月半以上が経っても批判を浴び続け、木村さんは母親に相談するほど悩んでいたという。

「もう一度やって」撮り直しは日常茶飯事

「花さんは真面目で、プロレスでも与えられたヒール役を一生懸命こなしていた。そのリング上での激しいキャラクターのイメージを踏襲して、番組でも木村さんが感情的になるシーンを選んで使っているように感じました」(前出・番組関係者)

 番組での木村さんの激しいキャラクターは演出によるものではなかったのか。実際の撮影現場に立ち会い、スタッフによる“過剰演出”を目撃したという芸能プロ関係者が打ち明ける。

「たしかに台本はありませんでしたが、告白やデートに発展するという局面では、スタッフが出演者に『どうしたいの?』『どういう方向にしたい?』と“振り付け”をしていました。ケンカや恋愛相談など、メンバー同士の話でわかりにくいところは、『もう一度やって』と指示して、撮り直しは日常茶飯事でした。

 マネジャー抜きでメンバー全員がスタッフに集められていたこともあった。そこで全体的な流れや方向性を説明されていたことを後から演者に聞いて知りました。全体的な流れはスタッフが誘導していました。

 初期の頃は撮影で使われているテラスハウスの横の別棟でスタッフ3、4人が常駐して編集などをしていたのですが、例の“強制わいせつ事件”報道後は、同様のアクシデントが起こらないように、スタッフ4、5人が同じ建物に泊まり込んで、出演者とスタッフ合わせて10人での共同生活となっていました」

 制作陣に「不信感があった」という元出演者女性もいる。知人女性が代弁する。

一方的に罵倒しているように編集されて……

「番組内でほかの共演者と口論になったときに、自分が相手に悪口を言っているところだけが使われて、一方的に罵倒している感じに編集されたそうです。出演者はテラスハウス内に設けられているプレイルーム(メンバー同士で放送内容を見る場所)で初めて編集された内容を知るのですが、その子も放送される番組を見て唖然として言葉も出なかったと言っていました。彼女も精神的にやられて、かなり落ち込んでいました」

 熱心なファンであればあるほど、放送内容への反応は熱い。そしてその反応はすべて出演者にダイレクトにぶつけられる。今回問題となったSNSの誹謗中傷に対して、フジテレビや制作現場は、適切に対応していたのだろうか。別の芸能プロ関係者が打ち明ける。

「番組の出演者で誹謗中傷が来ない人はいないと思います。事務所のマネジャーと密にコミュニケーションが取れている人は、『誰でも書かれるから気にしないで。嫌ならSNSを止めてもいい』とフォローされていました。正直、番組側はトラブルが起きても『自分たちでなんとかして下さい』という無責任なスタンスで、誹謗中傷から守ってはくれません。

「番組は責任を負わない」悪魔の契約書

 そもそも、オーディションに受かって番組出演が決定すると、過去には『収録中に起きた事故などは番組は責任を負わない』『番組内でのことは口外しない』といった内容の契約書にサインさせられることがありました。『悪魔の契約書』ですよ。花さんにはフジテレビ側からなんの補償もない可能性もある。むしろ番組が打ち切りとなったら、花さん側にクレームを入れる関係者も出てくるんじゃないかと危惧しています」

フジテレビとイーストが回答「制作側に賠償を求めない旨などの記載はございます」
 番組を制作するフジテレビとイースト・エンタテイメントに、契約書の存在や演出の適正、誹謗中傷への対応などについて、事実確認を求めたところ、次のような回答があった。

《『テラスハウス』に台本はありません。撮影の都合で、場所や時間などについて出演者と事前に協議したり、意思をヒアリングしたりすることはございますが、出演者の意思や感情に沿わない演出をして撮影することはございません。また、出演者との同意内容には、出演者の責により損害が発生した場合は、制作側に賠償を求めない旨などの記載はございますが、ご指摘のような文章はございません。なお、新型コロナウイルスの影響を受けて、3月下旬から撮影は中止しております。今はご遺族のお気持ちもございますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます》(フジテレビジョン企業広報室)

《出演者との同意内容では、出演者の責により損害が発生した場合は制作側に賠償を求めない旨などの記載はございますが、ご指摘のような文はございません。『テラスハウス』に台本はありません。撮影の都合で、場所や時間などについて出演者と事前に協議したり、意思をヒアリングすることはございますが、出演者の意思や感情に沿わないような演出をして撮影することはございません。『テラスハウスTOKYO2019-2020』において、同じ建物内に常駐スタッフはおり、木村花さんをはじめ番組にご出演いただく方々とスタッフの間では日々近況を共有するようにしておりましたが、コロナ感染拡大防止のため3月下旬に出演者を含む撮影の停止以降も、必要に応じて近況の共有は行っておりました。今はご遺族のお気持ちもございますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます》(イースト・エンタテイメント)

 木村さんの急死を受けて5月26日、高市早苗総務相は「発信者の特定を容易にするための方策を検討する予定」「どのような手段であれ、匿名で他人を誹謗中傷する行為は人として卑怯で許しがたい」などとコメント。制度改正も含めて対応する考えを明らかにした。

 当事者である番組制作サイドの対応にも注目が集まる。

テラスハウス打ち切り発表…木村花さんの急死を受けて

スポーツ報知 2020年5月27日(水)20時02分配信

 フジテレビは27日、恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(月曜・深夜0時25分)の放送を打ち切ると発表した。出演者で女子プロレスラーの木村花さん(22)が23日に急死。番組での言動に対する誹謗(ひぼう)中傷を苦にしていたとみられ、番組の存続が注目されていた。

 番組の公式サイトやツイッターでは「この度、番組に出演されていた、木村花さんがご逝去された事について、改めてお悔やみ申し上げます。またご遺族の方々にも深く哀悼の意を表します」と追悼し、「『TERRACE HOUSE TOKYO TOKYO 2019―2020』に関しましては、制作を中止することが決定致しました」と報告。「この度のことを重く受け止め、今後も真摯に対応して参りたいと考えております」とつづった。

 現在放送されているのは「TOKYO 2019―2020」。ネットフリックスでは42話まで配信し、フジテレビでは38話までが放送されている。

 男女6人による同居生活を描く同番組。ネットフリックスでは3月下旬に配信した38話で、木村さんが洗濯物をめぐり同居の男性に激怒して話題に。同話はフジテレビで今月18日に放送された。25日の放送は休止となり、6月1日も別番組が放送される事態になっていた。

 同局では番組の演出と、誹謗中傷のきっかけとなった木村さんの言動との因果性を調査。また今後の放送について制作会社のイースト・エンタテインメント、配信元のネットフリックスの3社で協議に動き始めていた。

テラスハウスの暴走現役スタッフの告白

NEWSポストセブン 2020年5月27日(水)16時00分配信

 女子プロレスラー・木村花さん(享年22)が5月23日、急逝した。花さんは、昨年5月にスタートした恋愛リアリティー番組『テラスハウス』(フジテレビ系)の新シリーズに途中から出演。プロレスでのヒール役のイメージのまま、同番組の中でも、強気で、まっすぐで、感情的な姿を見せていた。そうした振る舞いが放送されるたびに、SNS上には彼女を批判する言葉が並んだ。

 そして、今回の不幸の引き金になったとされるのが、番組内で起きた“コスチューム事件”だった。

 花さんが「命の次に大切」と語っていた、リングで着るコスチュームが入ったままの洗濯機を、ほかの出演者が誤って使ってしまう。乾燥機にかけられ、コスチュームはよれよれに縮んで着られなくなってしまった。花さんは激怒し、共演者の帽子をはじき飛ばし罵声を浴びせた。

 その様子を見ていた視聴者が反発し、SNSに「テラハ史上いちばん最低なメンバーだと思いました」「花死ね」などと書き込み、乾燥機にかけた共演者が番組を去ることが決まると「そっちがいなくなれ」などとダメ押しが加わった。

「『テラハ』はフジテレビが制作しており、Netflixで配信された約1か月後にフジテレビ(地上波)でも放送されます。コスチューム事件が3月末にネット配信された時点で大炎上していましたが、5月18日に地上波でも同じ内容が放送されるとバッシングがエスカレート。翌日には未公開映像まで公開され、火に油を注ぐような格好になり、番組史上最大の誹謗中傷の嵐が巻き起こったのです」(テレビ局関係者)

 現在も『テラハ』の制作にかかわる番組スタッフはこう話す。

「彼女が命を落とすまで、SNSでの誹謗中傷と真剣に向き合おうとしなかった。いまさら…いまさらなんですが…本当に申し訳ないと思っています」

 今回の事件を重く受け止め、現役スタッフの1人が重い口を開く決心をした――。

リアルなはずなのに、テイク2、テイク3

《用意したのは素敵なお家と素敵な車だけです。台本は一切ございません》

 こんな言葉から『テラハ』は始まる。台本がない中で、花さんはリングの外でも“ヒール”を自ら演じていたということなのか。

「確かに台本はありません。でも、ストーリーはこちらで作っていました」

 そう明かすのは、『テラハ』の元スタッフだ。そもそも、週に2、3日集まって撮影をするだけで“共同生活”とは言えない状態だったという。

「集合したら、撮影前に『どんな設定でどんな方向に恋愛を動かしていくのか』という説明を制作者から出演者に伝えます。出演者は、そのときに“今回はこの人と肩を寄せ合うんだな”“この人と本音で語り合うのか”と状況を把握するんです。デートに行く組み合わせなども制作者側の指示通りに動いてもらっていましたね」(元スタッフ)

 指示通りに撮れないときは“テイク2、テイク3”まで撮影することもあったという。

「出演者の有名になりたいという欲とボーナスが、事件やハプニングを起こす起爆剤です。私がスタッフとしてかかわっていた頃は、キスをしたら5万円ほどのボーナスを渡していました。ただ、少し前のシーズンからはボーナスを渡さなくてもキスをするようになったし、ディレクターの指示にも素直に従うようになったので、報酬制度はなくなっています」(前出・元スタッフ)

 素直に指示に従うようになった理由には、1人の女性スタッフの存在があったようだ。元出演者の知人が語る。

「スタッフの中に姉御的な人がいて、一時期からメンバーはその人の顔色窺いばかりしていたそうです。その人に嫌われると出演シーンが減ったり、おいしい“指示”が来なくなる。“姉御”との関係性にストレスを感じて卒業したメンバーもいると聞いてます。有名になりたくてテラハに応募する人が多いので、“姉御”がどんどん絶対的な権力を持っていったようです」

トキメキより泥臭さに演出を変更

 夢を掴むために集まった出演者たちが、“ショー”としての面白さを追求する制作陣の意のままに動かざるを得なくなる。その悪循環が、花さんの心をむしばんでいった。前述の現役制作スタッフが、言葉を選びながら語る。

「これまでのシーズンはキラキラしたトキメキ重視の演出で、誰もが憧れる空間を作りあげていった。が、今シーズンからは泥臭い人間模様をより強く狙い始めました。最近の若いSNS世代が避けたがる、生身同士の直接的な衝突を番組内で見せると、その現実とかけ離れた過剰さに、視聴者が反応していきました」

 過剰ないがみ合いに呼応するかのように、視聴者も過激になっていった。

「出演者同士の衝突が期待通りの結果を生まないと、SNSで誹謗中傷を始める視聴者や、それに同意する視聴者が心ない言葉を拡散し始めたのです。当然、出演者たちは傷ついていきますが、SNS上での注目度が上がっていくことを喜んだわれわれは、目を背けていたところが少なからずありました」(前出・現役制作スタッフ)

 動き出した負の連鎖は止まらない。実際に、衝突の“指示”も出したという。

「われわれスタッフから『もっと怒鳴り合って!』と指示を出すこともありました。昨年のある放送回では、嫉妬を映像で見せる演出に花さんを使いました。1人の男性を奪い合う形で、露骨に女性同士が目の前でアプローチをして嫉妬をさせ合うんです。当の本人は頼まれてやっていたとしてもメンタルがすごくつらかったと思います…」(前出・現役制作スタッフ)

 燃えさかる炎上から目を背けながら、薪をくべ続けた結果、22才という若さで1人の女性が命を落とした。

 このようなリアリティー番組の負の連鎖は日本だけではないと、国際ジャーナリストの山田敏弘さんが指摘する。

「海外では以前から、リアリティー番組出演者の自殺が問題になっています。イギリスでは2016年から2019年にかけて、『ラブアイランド』という恋愛リアリティー番組から3人もの自殺者を出しています。韓国でも同様の番組で、実際とは異なる“友達のいないかわいそうな子”という設定を制作側から押しつけられた女性が、2014年に撮影現場で命を絶っています」

 今回、『テラハ』で起きた不幸は、過去の事例から学んでいれば未然に防げていたのかもしれない。

 花さんはとにかく周囲の期待に応えようと頑張っていた。

「相手と呼吸を合わせ、真剣勝負をエンタメに昇華させるプロレスラーという仕事をしていた彼女は、制作サイドによる演出指示の期待に、プロとして応えようと頑張りすぎたのかもしれません。誇張された自分を演出することに必死で、自身の心の疲労に極限まで気づけていなかったと思うと、リアリティー番組の闇を感じざるを得ません」(前出・テレビ局関係者)

 当のフジテレビは、「撮影の都合で場所などについて出演者と事前に協議することはございますが、出演者の意思や感情に沿わないような演出をしての撮影はございません」(企業広報室)と答えた。

 しかし、花さんの突然の死を悼む元共演者がインスタグラムに綴った文章には、花さんへの惜別の辞だけでなく、制作者への怒りがにじむ言葉が並んだ。

《配信では仲良いところ全然映って無かったですもんね》

《花ちゃんと私が最初に言い合いした後、次の日の夜には一緒に談笑しながらご飯食べてたんだよ。(中略)こういうとこなんだよ。画面に映ってるところなんてほんの一部なんだよ》

 仲がいいシーンは不要と判断したのだろう。何が起こったか、ではなく、どう作ったか。制作者にはそのリアルと向き合う責任が問われている。

 

2020年5月26日 (火)

【新型肺炎】南半球の“震源地”ブラジルでは毎日✍800人死亡。

過去24時間のコロナ死者数、ブラジル米国初めて上回

ロイター 2020年5月26日(火)11時35分配信

 ブラジル保健省によると、過去24時間で新たに確認された新型コロナウイルスによる死亡者が807人に達し、初めて米国の死亡者数(620人)を上回った。

 ブラジルの感染者の累計は37万4898人と、米国(163万7000人)に次いで世界2番目の多さとなっている。ロイターの集計によると、米国の死者の累計は9万7971人、ブラジルは2万3473人。

新型コロナ 米国ブラジルからの入国禁止前倒

時事通信 2020年5月26日(火)14時29分配信

 米政府は25日、新型コロナウイルス対策として先に発表したブラジルからの入国禁止の実質的な適用開始時期について、従来の米東部時間29日以降の出発便から同27日以降の出発便に前倒しすることを明らかにした。

 過去14日以内にブラジルに滞在した外国人の入国が原則的に禁じられる。前倒しの理由は明示されていない。 

コロナ新規感染者  ブラジル  11万人超 中南米で急増

CNN.co.jp 2020年5月26日(火)13時05分配信

 ブラジル保健省は25日、過去24時間で新型コロナウイルスの症例が新たに1万1687例確認されたと発表した。これで同国の症例数は合計で37万4800例を超え、死者は2万3400人あまりに上っている。

 米ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、ブラジルで確認された新型コロナウイルスの症例数は23日にロシアを上回り、米国に次いで世界2位になった。

 この日の夜、ボルソナーロ大統領は首都ブラジリアの大統領府を出てホットドッグスタンドに立ち寄っていた。ホットドッグを頬張る大統領に対し、住民らは「人殺し」「くず」とののしったり、窓越しに鍋やフライパンを打ち鳴らしたりして抗議。大統領が振り返って指を振って見せる場面もあった。

 感染者や死者が増え続ける中でも、ボルソナーロ大統領は新型コロナウイルスを「ちょっとしたインフルエンザ」と形容し、リスクを軽視する姿勢を見せてきた。同国の閣僚は、パンデミック対応をめぐる見解の相違を理由に、この数週間で1人が解任され、もう1人が辞任している。

 ボルソナーロ大統領は、新型コロナウイルスが経済に与える影響について繰り返し懸念を表明し、ウイルスそのものよりも経済的な悪影響の方が大きいとの見方を示している。大きな影響が出ている自治体が打ち出したロックダウン(都市封鎖)や隔離といった対策についても公然と批判していた。

 24日には首都の大統領宮殿前にボルソナーロ大統領の支持者が集まり、ロックダウン措置に対する抗議運動を展開した。こうした集会はほぼ毎週末に開かれ、大統領の個人フェイスブックアカウントで生中継されている。

 今回の集会では、支持者の歓声に応えるボルソナーロ大統領がマスクを着けている時もあれば、着けていない時もあった。

 一方で、政府の対応を批判する声も強まっている。マナウスのアルトゥール・ビルジリオ・ネット市長は24日のCNNのインタビューの中で、大勢の死者が出ている事態は大統領にも「共同責任」があると述べ、辞任を要求した。

 アマゾン熱帯雨林地帯への玄関口として知られるマナウス(人口200万人)は、新型コロナウイルスの打撃が特に大きい。症例数は1万3000人以上、死者は1182人に上り、23日だけでも51人が埋葬された。

 感染爆発が起きているブラジルを中心に、中南米の各国では新規の症例数が増えつつある。ペルー、チリ、メキシコでもこの1週間で新規の症例数が急増している。

新型コロナ  たな「震源地  中南米、ブラジル、ペルー、チリ…冬に向かう南半球で懸念拡大

産経新聞 2020年5月25日(月)14時15分配信

 ブラジルを中心とした中南米諸国で、新型コロナウイルスの感染ペースが増加している。日米欧などではペースが鈍化する中で、世界保健機関(WHO)は22日「南米が新たな震源地になった」と警告。南半球が冬に向かう中、ブラジルやチリ、ペルーなどの感染対策が、パンデミック(世界的大流行)の収束時期に影響を与えかねないとの指摘も挙がっている。

 ブラジルでの感染拡大を受けて、トランプ米政権は24日、ブラジルに過去14日間に滞在した外国人の入国を禁止すると発表した。中国やイラン、欧州に続く措置で、29日以降の到着便から適用される。

 ブラジルの感染者数は22日にロシアを抜いて世界2位に。最多の米国(約164万人)とは大きな開きがあるが、24日時点で36万3221人、死者は2万2666人となっている。

 ブラジルでは5月に入ってから、サンパウロやリオデジャネイロなど大都市で感染が急増。ファベーラと呼ばれる貧困街の被害が深刻で、検査数が少なく「実際の感染者数は10倍の可能性がある」(米メディア)。また、経済再開を重視するボルソナロ大統領が、新型コロナ対策で対立した保健相を相次いで更迭し、格差や政治的混乱といった積年の課題が表面化している。

 懸念されているのは、冬の到来とともに感染が拡大することだ。特に南部では6~7月に平均5~6度と気温が低くなる。新型コロナの「季節性」は不明だが、他の呼吸器系の感染症は冬場に流行する傾向があり、インフルエンザの予防接種を奨励。新型コロナとの合併症を予防し、重症化を防ぐ取り組みが進む。

 このほか、チリとペルーも被害が深刻だ。両国は10万人当たりの感染者数がブラジルの2倍で、世界でも最悪規模。感染者数はペルーが約12万人、チリが約7万人でいずれも4月末~5月初めにかけて急増した。

 ペルーの首都リマでは、貧困層が暮らす地域の市場で「クラスター」(一大感染地)が発生。欧米メディアによると、ある卸売市場では、働く人の約8割の感染が確認されたという。

 チリでも貧困層を直撃。昨年10月、地下鉄の運賃値上げを発端に首都サンティアゴで格差是正デモが始まったが、新型コロナで食料品の価格が高騰し、「食料品を買えない」と訴えるデモが再燃している。同国では冬に突入すると、薪ストーブの利用が急増し、大気汚染が深刻となる。米大学の研究では大気汚染のひどい地域では新型コロナの致死率が高まると指摘されるが、「医療危機が目前で、冬場のコロナ対策まで追いついていない」(現地情報筋)という状況だ。

 米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は、英紙フィナンシャル・タイムズの取材に、インフルエンザのように南半球に感染が移っているとし、「南半球で終わると、北半球に再び上陸するのではないかと思う」と指摘している。 

ブラジル貧困地域を襲う新型コロナ、悪夢のシナリオが現実に

Bloomberg 2020年5月26日(火)12時45分配信

 ブラジルの新型コロナウイルス感染者数は世界で2番目の多さとなった。感染は集中治療室(ICU)どころか清潔な水さえ十分ではない貧困地域に広がっており、今回のパンデミック(世界的大流行)で最も憂慮すべき問題の一端を示している。

 感染は当初、富裕層が住む地域や外国人旅行者との接触が多い主要都市に限られていたが、そこから内陸部に広がり、マラニョン州などにも拡大した。同州は人口の2割が極貧状態にある。

 同州の保健当局者カルロス・ルラ氏はインタビューで「手を洗うせっけんや水がない地域もある」と語り、「人々にマスク着用について伝えたり、せきやくしゃみのエチケットを教えたりすることがどうやってできようか」と訴えた。

 3月中旬に世界保健機関(WHO)が新型コロナのパンデミックを宣言して以降、世界の保健当局者が懸念していたのは、インフラが乏しく、居住空間が密集状態で医療設備が不十分な国で感染爆発が起こることだった。ブラジルはそうした国の1つかもしれない。

 人口2億1000万人のブラジルの感染者数はこの1週間にスペイン、イタリア、英国、ロシアを抜いた。その数は約37万5000人、死者は2万3000人余り。感染者数でブラジルを上回っているのは米国だけだ。

 ブラジルで最も貧しい州の1つ、セアラ州の感染者数は人口が倍以上のリオデジャネイロ州とほぼ変わらない。知事が感染しているペルナンブコ州は死者数の1日平均が90人に倍増した。

 ルラ氏によると、マラニョン州にはICU病床が388床あるが、うち230床が州都に集中している。一方、同州の新規感染者916人のうち州都は200人のみという日もあったという。

 アマゾナス州の州都マナウス(人口約200万人)は新型コロナ患者の増加に医療機関が対応しきれなくなった最初の都市の1つだ。共同墓地や患者の隣に横たわる遺体の写真がインターネット上にあふれた。入院できないケースが多くなってから、自宅で死亡する人が急増した。

 1カ月前は1日当たりの死者数が167人に上る日もあった。今はその3分の1まで減ったが、感染が近郊の比較的小規模な街に広がる中で死者数が再び急増する恐れがある。同州ではICUはマナウスにしかなく、内陸部から患者が流入すれば、医療システムが再び逼迫(ひっぱく)しかねない。

​ 一方、同国のボルソナロ大統領はパンデミックの重大性を軽視する姿勢を続けている。ソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)がウイルス拡散を抑える主要な手段だと専門家が指摘している時に、政治集会に参加し、支持者と交流。マナウスのビルジリオ市長は「ウイルスだけでなく大統領とも闘わなければならない」と語り、ボルソナロ氏はブラジルに死者をもたらした「共犯者」だと非難した。

米高官「中国の新型コロナ隠蔽はチェルノブイリのように歴史に残る

the hankyoreh 2020年5月26日(火)12時07分配信

オブライエン国家安保補佐官10年、15年後、HBO特集を見ることになるだろう 

 米国のホワイトハウス高官が、中国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応を、旧ソ連のチェルノブイリ原発爆発事故にかこつけて非難した。中国がCOVID-19事態の初期に関連情報を隠蔽したため現在の災害的な結果を招いたと主張してのことだ。

 米ホワイトハウスのロバート・オブライエン国家安保補佐官は24日(現地時間)、CBSの「フェイス・ザ・ネイション」に出演して「中国がウイルスに関して行った隠蔽は、チェルノブイリと共に歴史に長く残るだろう」として「私たちは10年、15年後、HBO特集を見ることになるだろう」と語った。

 昨年、米国の映画チャンネルのHBOは、1986年に発生した原発事故を扱った5部作ドラマ『チェルノブイリ』で、ソ連政府の隠蔽・縮小の試みを描いた。

 米国は、中国が湖北省武漢でCOVID-19の発病が初めて発見されてから感染拡大の状況と危険性などに関して、全世界に情報共有を十分に行わなかったとして、「責任を問う」と圧迫してきた。オブライエン補佐官は、中国の行動が歴史的な原発災害であるチェルノブイリ事故の時と同レベルだとして攻撃の強さを高めたのだ。

 オブライエン補佐官は、隠蔽の責任が中国政府全体なのか、地方の役人なのかに対する質問に「中国が記者を追い出して(米疾病統制予防センターなどの)調査官を中に入れないようにしたので、私たちはわからない」として「地方の役人なのか中国共産党なのかは重要ではない。これは隠蔽であり、私たちは結局、真相を知ることになるだろう」と語った。彼はまた「中国は全世界にウイルスを撒き、米国経済を生かすために使わなければならない数兆ドルを破壊した」と述べた。

ワクチン開発に知的財産権を盗んできた中国がスパイ行為をしているとしても驚かない

 オブライエン補佐官は、COVID-19ワクチンの開発についても中国を皮肉った。彼は中国がワクチンを開発すれば米国も使用できるのかという質問に「ワクチンは私たちが先に開発すると思う」と語った。続いて「中国が私たちが行っているワクチンと治療法の研究と技術を知ろうとしてスパイ行為を行っているとの報道があった」として「中国は米国の知的財産権と技術を盗んできた長い歴史を持っており、彼らがワクチンに対してそうするとしても驚くことではない」と語った。

米、COVID-19死亡者が10万人に肉薄する中 ブラジルからの米国入国を制限

 一方、米国は同日、COVID-19が急速に増加しているブラジルからの米国への入国を制限した。トランプ大統領は布告文で「米国に入国する前の14日間にブラジルに滞在したすべての外国人の米国入国を制限・中断するのが、米国の利益になると判断した」と明らかにした。この措置は28日夜11時59分から発効し、両国の交易には適用されない。ブラジルは同日時点のCOVID-19感染者が約36万3000人で、米国(約164万3000人)に次ぐ最多感染国だ。

 ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、24日夜11時30分時点のCOVID-19による米国の死亡者は9万7720人で、10万人に向かいつつある。米国は50州全体が段階的な経済活動の正常化に入った中、メモリアルデー(戦没者追悼記念日、25日)の連休を契機に主要な浜辺と主要道路が人波と車両で混雑しており、COVID-19再拡散の懸念も出ている。

味の素、ブラジルやペルーで⚽新型コロナ関連支援

alterna(オルタナ) 2020年5月26日(火)11時15分配信

 ブラジル味の素(本社:サンパウロ、佐々木達哉社長)は新型コロナ対策として、サンパウロ病院などの中心的な医療機関が使用する医療機器購入費用として170万レアル(約3500万円)の寄付を発表した。ペルー味の素(本社:リマ、和田見大作社長)もコロナ禍の影響を最も受ける貧困家庭に対し37.5万ペネ(約1200万円)相当分の食料供給支援を発表した。

 ブラジル味の素は医療従事者が必要な機器を入手できるよう寄付を行った。寄付先は、エミリオリバス研究所、サンパウロ病院、エスタドゥアルデバウル病院に加え、オフィスや工場が設置されているサンパウロやリメイラなどの公共医療機関。

 同社は、2020年3月にコロナ対策として、「従業員の安全保護対策タスクフォース」を立ち上げ、「遠隔作業の実施」「施設での衛生、清掃手順の強化」「意識の啓発と指導に焦点を当てた内部コミュニケーション」を推進している。

 佐々木達哉社長は、「弊社は、地元住民に欠かせない食品、医薬品などアミノ酸製品を製造している。商品のサプライヤ―として、COVID-19と闘っている医療従事者のパートナーとして企業の社会的責任を認識している。従業員、その家族、社会全体をケアし、保護することが弊社の存在意義だ。今回の寄付に限らずブラジル社会に貢献できるあらゆる方法を模索したい」と語った。

 ペルー味の素の食料供給支援は、貧困対策ビジネスソリューション協会(SEP)とペルー国家防災庁(INDECI)が実施する「対コロナ貧困家庭支援プログラム『Hombro a Hombro(肩から肩へ)』」を通じて行われた。

 支援は、スープ、シチュー、インスタントラーメン、米、サラダ味付け用調味料など、約30トンの食料で、最も厳しい状況の50万人に支給される。

 和田見大作社長は、「危機の際は民間部門の取り組みが非常に重要だ。私たちは、栄養価が高く、風味豊かな製品を通じて、今、最も必要としている人々の健康と福祉に貢献したい。弊社の取り組みが、各企業の社会貢献活動の促進に繋がって欲しい」と強調した。

 味の素は、国内の新型コロナウイルス支援活動として、抵抗活力をサポートするアミノ酸のシスチン&テアニンの複数医療機関への寄付や、医療従事者へ食品を無償支援するプラットフォーム「WeSupport」に参画している。

「WeSupport」は、一般社団法人RCF、オイシックス・ラ・大地、ココネット(セイノーホールディングス)が4月20日に立ち上げたプラットフォームであり、サポート企業は60社を超えている。

「WeSupport」では、東京都の感染症指定医療機関を中心に、全19カ所の医療機関を対象に、週2回程度の頻度で継続的に食品を提供している。

 味の素は、「みそ汁」「コーヒー」を協賛している他、サポート企業からは、「菓子」「野菜ジュース」「ソフトドリンク」「パックごはん」「レトルト食品」「ゼリー飲料」「ティーパック紅茶」などが協賛されている。

 ブラジル産大豆中国爆買い」する理由 

東洋経済オンライン 2020年5月26日(火)6時01分配信/黄姝倫(財新記者)

 中国の旺盛な需要を受け、ブラジルの大豆輸出が拡大している。ブラジル経済省の統計によれば、2020年4月の輸出量は1630万トンと前年同月の1.7倍以上に増加。3月に続いて単月輸出の最高記録を更新した。

 ブラジル穀物輸出協会によれば、3月の輸出量1330万トンのうち中国向けが約4分の3を占めた。中国は主要穀物のなかで大豆の輸入依存度が高く、輸入大豆は主に食用油の原料や家畜の飼料に使われている。中国では2018年に始まったアフリカ豚コレラの流行が沈静化し、養豚農家の生産が回復していることが飼料需要を押し上げている。

 一方、新型コロナウイルス流行の影響がブラジルでも懸念されているが、現地の増産意欲はなお高い。ブラジル大豆生産者協会の最新の予測によれば、ブラジルは2020年に1億2100万トンの大豆を収穫し、アメリカを抜いて世界最大の大豆生産国に躍り出る可能性がある。

ブラジルの輸出意欲の裏に通貨安とコロナ

 「現地では大豆の収穫期が終わっており、生産者は輸出に前のめりだ」。中国農業農村省で大豆の国際需給を分析する専門家は、財新の取材にそう語った。アメリカ農務省は5月12日に発表したレポートで、2019年9月~2020年8月期のブラジルの大豆輸出量が前年同期より1000万トン近く多い8400万トンに達すると予想している。

 ブラジルの生産者が輸出志向を強める背景には、通貨レアルの対ドルレートの下落がある。さらに新型コロナの流行による先行き不透明感から、生産者は物流停滞のリスクを懸念して売り急いでいるという。

 そんななか、ブラジル政府と生産者団体はコロナ対策のために大豆の輸出を妨げないとの強い意思を表明している。「コロナの流行が始まった当初は一部の州の加工場や物流に混乱もあったが、政府と協力して問題を迅速に解決した」。ブラジル大豆生産者協会のバルトロメル・ブラス・ペレイラ会長は、財新の取材にそうコメントした。

安倍首相コロナは中国発」発言に、中国反発「両国の努力に反する」

中央日報 2020年5月26日(火)18時04分配信

 中国が新型コロナウイルスは中国から世界へ広がったという日本の安倍晋三首相の発言に反論した。

 中国外交部の趙立堅報道官は26日の定例会見で、安倍首相の発言に対し「新型コロナウイルスの起源問題は科学の問題であり、事実と科学的根拠が必要だ」と述べた。その上で「この問題は科学者と医学専門家の研究が必要だ。われわれはこの問題の政治化と汚名化に反対する」と付け加えた。

 これに先立ち安倍首相は25日の記者会見で、新型コロナウイルスと関連した米国と中国の対立に関する質問に「発生源をめぐって相当激しく議論が行われている。新型コロナは中国から世界に広がったのは事実だと考える」と話していた。

 これに対し趙報道官は「こうした行為は世界保健機関(WHO)と医学専門家の意見にも反する。国際社会をはじめとして中日両国の共同防疫努力と期待からも外れる」と指摘した。続けて「互いに協力し団結することだけが感染症と戦争で勝利する最後の武器だ」と述べた。

安倍首相「米国は唯一の同盟国」「中国には責任ある対応を求める

夕刊フジ 2020年5月26日(火)16時56分配信

 新型コロナウイルスの世界的大感染(パンデミック)を受け、10万人に近い犠牲者を出した米国と、発生国である中国の対立が高まっている。両国は、香港や台湾、東・南シナ海の問題、世界保健機関(WHO)などをめぐっても、一触即発の状況だ。安倍晋三首相は25日夕、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除を受けて官邸で記者会見を開いたが、直球の質問が投げかけられた。

 「今、米国と中国がウイルスなどをめぐり激しく対立している。日本はどっち側につくでしょうか?」

 米ウォールストリート・ジャーナルの記者は突然、こう質問した。それまで、緊急事態宣言解除や、黒川弘務前東京高検検事長に関する質問が続いていただけに、安倍首相は少し苦笑いして、次のように語り始めた。

 「現在、米国と中国の間で、新型コロナウイルスの発生源をめぐり、激しく議論が行われている。日本の立場は『ウイルスが中国から世界に広がった』のは事実だと考えている。今後の日本の役割は、今回のようなパンデミックが起こったとき、『世界がどう行動すべきか』について提示していくことだ。こういうときは、世界中が協力しなければならない」

 安倍首相は、一呼吸置いて続けた。

 「ただ、日本の外交・安全保障の基本的立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国である。『自由と民主主義』『基本的人権』『法の支配』という基本的価値を共有している。日本は米国と協力しながら、さまざまな国際的な課題に取り組んでいきたい」

 そして、中国についても語った。

 「中国も、世界において極めて経済的にも重要な国であり、プレーヤーだ。それにふさわしい責任も果たしていただきたい。国際社会は『日本と中国がそれぞれ、地域や世界の平和や安定、繁栄に責任ある対応を取っていくこと』を期待している。中国がそういう対応を取ってくれることを期待したいと思っている」

 新型コロナ後の混迷する世界における、日本の立ち位置を明確に語った回答に思える。不思議なことに、26日の朝日新聞は、この発言を取り上げていなかった。都合が悪かったのか!?

 

2020年5月25日 (月)

【緊急事態宣言】本日✍全面解除<北海道と首都圏含め>発令から49日目

緊急事態宣言解除独自の手法奏功した日本初期対応は不手際ーー欧米メディア

時事通信 2020年5月25日(月)23時25分配信

 日本政府が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を全面解除したことは海外でも伝えられ、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は25日、「政府の指示よりも、要請・合意・社会的圧力に基づく日本独特の封じ込め手法」が奏功したと報じた。

 同紙は、飲食店の客が向かい合わず隣り合わせで座るよう勧められていることなどを紹介。「決して過剰な感情表現をしない(日本)社会が、さらに少し静かでよそよそしくなるかもしれない」と解説した。安倍晋三首相の初期の対応に不手際があったほか、感染検査を受けた人の割合が少なく「見逃されたケースも多数ある」とも伝えた。

 フランスのAFP通信は、米欧やロシア、ブラジルなどに比べると、日本は新型コロナ流行の最悪の事態を回避したが、「単一の明快な理由があるわけではないようだ」と指摘した。

 英紙ガーディアンは解除に先立つ記事で、東京五輪を控えていた日本は当初、新型コロナを過小評価していると疑われたなどと経緯を説明。解除により韓国や台湾などに続く「成功例になったと日本は主張できそうだ」と論評した。 

日本の緊急事態宣言拡大「非常に弱い」ーー欧米メディア厳しい評価

時事通信  2020年4月17日(金) 8時53分配信

 新型コロナウイルス対策で、日本政府が16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大したことについて、AFP通信は同日、宣言で当局に付与される権限が「他国の厳格な都市封鎖に比べて非常に弱い」と報道した。ロイター通信は政府の対応策に有権者が不満を持つ中、「安倍晋三首相はプレッシャーにさらされている」との厳しい見方を伝えた。

 AFP通信は、宣言を受けて各都道府県の知事が住民に外出自粛を促す権限を持つが「罰則も強制力もない」と説明。これまでの一連の措置により都市部では人の流れが減少したものの、地元の商店街などは依然としてにぎわっているとして、効果があるのか懸念が高まっていることも紹介した。

 ロイター通信は、安倍氏の打ち出す措置が「あまりに小さく、あまりにも遅いため、有権者の支持を失っている」と指摘。英BBC放送(電子版)は16日、「感染者数が増えるにつれ、安倍首相の対応への批判も高まっている」と分析した。大規模なウイルス検査を実施した韓国と比べて、「日本はいまだに人口のほんのわずかな割合しか検査していない」と対応を疑問視した。

ウィズコロナ」「ポストコロナ 世界どうわるのか

MONEY PLUS 2020年5月26日(火)6時02分配信/山田雪乃(大和証券 シニアストラテジスト)

 新型コロナウイルスの感染拡大に一服感が広がり、5月14日から25日にかけて段階的に、全ての都道府県で緊急事態宣言が解除されました。

 とはいえ、治療法が確立され、ワクチンが開発されるまでは、「新しい生活様式」に基づいて、まん延防止を第一としつつ社会経済活動との両立を図っていかねばならないでしょう。ワクチンの世界的な普及には早くて1年から1年半はかかるとみられています。

「新しい生活様式」とは、身体的距離の確保(最低1m、できるだけ2m空ける)やマスクの着用、手洗いに加え、日常生活での「3密」(密集、密接、密閉)を回避する生活様式です。

 また、新しい働き方として、在宅勤務(テレワーク)やローテーション勤務、時差出勤や自転車通勤、オンライン上での会議や名刺交換などにより、人と人との接触を低減することが要請されています。新型コロナウイルスを「克服」するまでは、第2波、第3波の感染拡大を警戒した「新しい生活様式」に基づいて生活する「ウィズコロナ」がしばらく続く見通しです。

「新しい生活様式」で注目されるリモート化

 信用収縮が実体経済の悪化につながった2008年リーマンショック時とは異なり、今回は人為的に経済活動を抑制したことで実体経済が縮小しています。世界各国での移動制限が、工場閉鎖など生産活動の停滞や、サプライチェーンの分断、供給不足を引き起こしました。

「移動の制限」は消費の減退も招いています。小売りや外食産業は、政府から休業を要請されました。旅行や観光など移動を前提とするサービスのほか、コンサートやスポーツ観戦などのエンターテイメント、アパレルなども不要不急の外出と判断され、店舗は一時的な閉鎖に追い込まれました。「移動の制限」による経済活動の停止は、雇用や所得の先行き不安を生みだし、倹約的な消費行動を促しています。

 これに対して、主要な先進国は、大規模な経済政策によって企業や家計への資金繰りや生活支援を実施。同時に、各国中央銀行は過去に例を見ない規模や購入対象資金の拡大により、金融市場への資金供給を急増させました(図)。こうした支援策により、都市封鎖下での経済活動の減少による企業の業績悪化や信用リスク、個人の雇用や所得の悪化をできる限り緩和するよう努めています。

 世界景気は今年後半から回復に向かう見通しですが、世界的な感染拡大の第2波、第3波が2020年冬や2021年に生じ、再びロックダウンせざるを得なくなると、景気が再び下押しされる可能性が高まってきます。そのような観点から見ても、感染拡大を克服するまでは、第2波を封印するための「新しい生活様式」が継続すると考えられます。

「新しい生活様式」で注目されるリモート化

「新しい生活様式」は人々の行動そのものを変え、新たな枠組みの中で新しい需要や新しい供給構造を形成していくでしょう。「ウィズコロナ」「ポストコロナ」の世界では、「リモート化」を支援する商品やサービスの需要が拡大する見通しです。

 小売はEコマース、教育はオンライン授業、金融はオンラインバンキング、医療は遠隔医療・ネット診察、外食はフードデリバリー、公共機関はeガバメントというように、移動が制限される中でも必要とされるサービス市場です。

 緊急事態宣言が全国に拡大した4月後半の国内消費動向指数(図)のコロナ発生前の1月後半からの変化率を見ると、Eコマースによる家電などの売り上げが急増したほか、家庭での食事回数の増加によるスーパーや酒店の売り上げ増、在宅で楽しめる娯楽としてのコンテンツ配信や在宅に伴う光熱費の支出増が顕著でした。一方、移動を伴う外食や娯楽、宿泊、飛行機・鉄道などの需要は大きく落ち込みました。

 不要不急の外出を控え、なるべくオンラインで消費するよう推奨されたことで、ネットショッピングや食事のデリバリーサービス、バーチャル体験などの利用が拡大しています。

 すでに消費者の購買がオンラインにシフトする流れがあったとはいえ、多くの人が自宅にいながら買い物や食事ができる手軽さを実感したことで、「ポストコロナ」でも宅配サービスの利用は増加するでしょう。小売り企業は従来のような広告や店舗展開を見直す必要が出てくるでしょう。

 もっとも、経済活動の再開時には、これまで会えなかった人との外食や旅行、娯楽などへのニーズが高まり、「リベンジ消費」が急増するでしょう。反面、雇用不安や所得が減少した層は、今後より安全志向・倹約志向を強めてくる可能性が高い点には注意が必要です。

 なお、今後の消費者の行動変化の一つとして、企業の社会貢献に対する注目度の高まりが予想されます。2011年の大震災時はソフトバンクやユニクロなどの支援策が注目されました。

 今局面でも、医療資材の支援や治療薬・ワクチンの開発援助などの社会貢献的な動きをした企業が注目され、企業ブランドの向上が消費者による購入増につながる可能性は高いでしょう。

リモートワークがニューノーマルに

 リモートワークへのシフトは、先進的な企業ばかりでなく全世界で進められています。移動が制限されたことで、在宅でのリモートワークは急速に拡大し、リモート会議も広く利用されるようになってきています。「ポストコロナ」にシフトしても、これまでと同じように企業に出向いて面談したり出張したりする必要性は感じられにくくなっているでしょう。

 もちろん、初顔合わせや雑談など対面で行って雰囲気を感じたり仲良くなったりしておきたいとのニーズは一定程度残るでしょうが、移動時間と必要としない便利さなどが実感されたことにより、初回は実際に面談しても、2回目以降はリモート面談を選ぶというように併用される可能性は高まっています。

 居住地や家屋の選択にも変化が生じると予想されます。リモートワークやオンライン授業が浸透したことで、時間や場所を選ばずに仕事や学習を行うことができるようになっています。一部の企業は、コロナの収束後も、リモートワークを継続する方針を示しています。

 出勤回数が減少すれば、通勤に便利な都心よりも、郊外の自然に身近な広い家を好むようになるかもしれましせん。また、家族全員が別々にオンラインで作業することが当たり前になってくると、ネット環境の整備や一人ひとりの作業スペースの確保を意識した間取りの家屋が設計・販売されるようになってくるでしょう。

「移動の制限」が事業転換への圧力に

 一方、「移動の制限」が継続し需要が抑制される業界では、厳しい状況が続くと予想されます。旅行や航空、自動車業界などがその代表です。事業モデルそのものを変えなければならない業界もあるでしょう。

 たとえば、鉄道や航空業界では、「3密」を回避した乗車を確保するために、乗客あるいは運航会社は従来よりも高いコストを支払わなければならないかもしれません。航空会社はコロナ前のような大規模輸送に代わり、単なる移動手段以外の付加価値をつける必要が出てくるでしょう。

 旅行や観光分野では、今までのリアルな移動に対して、VR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実感)を利用した観光体験が広く普及するかもしれません。すでに、名画を3Dデータ化しVR空間内で手に取るように鑑賞できるサービスなども提供され始めています。

「新しい生活様式」から生まれるニーズにいかに素早く対応してビジネス展開していけるか。「ウィズコロナ」「ポストコロナ」時代に強い企業に必要とされることでしょう。

安倍首相が電話会談で沈黙したトランプ大統領の要求

Forbes JAPAN 2020年5月26日(火)6時00分配信

 各国が新型コロナウイルス問題に関心を集中した、世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)が5月18、19の両日、テレビ会議の形式で行われた。今年のWHAの特徴は、米国による激しい「WHO・中国叩き」だった。欧州など、米国の友好国は軒並み、米中の覇権争いに巻き込まれることを嫌がり、どちらとも距離を置く姿勢を取った。米国を最大の友好国とする日本はどうしていたのだろうか。

 今月8日、トランプ米大統領と安倍晋三首相は電話会談を行った。外務省はホームページで「両首脳は,新型コロナウイルス感染症に関し,両国内の状況や感染拡大防止策,治療薬やワクチン開発,経済の再開に向けた取組等における日米協力や情報共有について意見交換を行い,引き続き日米間で緊密に連携していくことで一致しました」と説明した。

 ただ、日米関係筋によれば、トランプ氏はWHAへの台湾参加やWHO改革に強い意欲を示していたという。台湾のオブザーバー参加などに向け、日米で共同戦線を張ろうという呼びかけだった。安倍首相は、トランプ氏の考えを否定することはしなかった。同時に、トランプ氏と共同行動を取るという言質も与えなかった。関係筋の1人は「トランプ氏は、安倍氏の発言の正確な意味を理解していなかったかもしれない」と語る。

 トランプ氏は4月14日、ホワイトハウスでの会見で、WHOへの拠出金の停止に言及した。すでにこのときから、日本政府内ではトランプ氏の戦略を危ぶむ声が出始めていた。米国はWHOへの最大の拠出国だ。昨年はWHO年間予算の約15%にあたる4億ドルを拠出している。外務省は非公式に、米側に対して「米国が拠出を停止すれば、隙間が生まれる。そこに中国が進出してくるのではないか」と懸念を伝えていた。

 案の定、WHAで演説した習近平中国国家主席は新型コロナ対策のため、約20億ドルを拠出すると表明した。日本もWHOなどに2.7億ドルを拠出する考えを明らかにしたが、中国に太刀打ちできる金額ではなかった。

 日本にしてみれば、国際機関への中国の進出を嫌がってきたのは、誰を隠そう米国その人だ。今年3月、特許権などを扱う国際機関、世界知的所有権機関(WIPO)の次期事務局長の選挙があり、中国が擁立した現事務次長が大差で敗れ、米国が支持したシンガポール特許庁長官が当選した。日本は昨年10月、特許庁出身のWIPO上級部長の擁立を決めていたが、今年2月になって撤退を表明した。

 別の日米関係筋によれば、米国が当初から、日本に候補者擁立を諦め、シンガポールの候補に一本化するよう迫っていた。米国は「日本とシンガポールが候補をそれぞれ立てれば、中国が漁夫の利を得る」「知的所有権を侵害している国の出身者が、知的所有権を守る国際機関のトップに就くなんてブラックジョークだ」などとして、強い圧力をかけていたという。米政府内には、国際機関で中国出身者がトップを占めるケースが増えていることへの危機感が強まっていたという。

断交までちらつかせるトランプ氏に重なる、かつての北朝鮮外交

 日本にしてみれば、トランプ氏のWHOへの拠出金停止発言は、従来の「中国の国際機関への影響力を弱める」という米国の戦略と明らかに矛盾していた。戦略が間違っている以上、安倍首相も簡単に、トランプ氏の考えに同調できなかった。

 安倍首相は、トランプ氏にとって最大のお友達との評価を得てきた指導者だった。だが、安倍首相が8日の電話会談で、戦略の誤りについて指摘したり、拠出金停止を思いとどまるよう説得したりすることはなかった。関係筋の1人は「安倍首相はトランプ大統領の気性もよく知っている。トランプ氏は人からの説得に耳を傾けるような人物ではない」と話す。

 なにしろ、トランプ氏の手足となるべき米国の外交官たちが苦しんでいる。過去、私は米国外交官たちが似たように苦しむ姿を見たことがある。第1次ジョージ・W・ブッシュ政権(2001~2005年)の時の北朝鮮外交だ。ブッシュ大統領は、大勢の国民を餓死させた金正日総書記を忌み嫌った。米外交官たちに北朝鮮との対話を極力しないよう仕向けた。中国との断交までちらつかせるトランプ氏の姿と重なる。

 02年10月、当時のケリー米国務次官補らが北朝鮮のウラン濃縮疑惑を暴くために訪朝したときも、ホワイトハウスの強硬派は「北朝鮮の奴らにトースト1枚食わせるな」と騒ぎ、ケリー氏主催の答礼晩餐会を開くことを認めなかった。北朝鮮はこのとき、ウラン濃縮を暗示したが、ブッシュ政権は対話ではなく、核開発を巡る米朝枠組み合意の破棄という道を選んだ。ケリー氏と一緒に訪朝した当時のストラウブ米国務省朝鮮部長は後日、私に「愚かな行為だった」とこぼしたことがある。

 また、かつて米国務省の知人は「私たちは超大国の外交官だ。だから、発言や態度には細心の注意を払う」と話してくれたことがある。この知人は先輩の米外交官たちから繰り返し、「小国の外交官は強い言葉を吐いても許される。しかし、自分たちの場合は影響力がある以上、いい加減な態度は許されない」という教えを受けたという。WHOに拠出金停止や脱退をちらつかせるトランプ氏の手法は、米外交の伝統とは真逆のものだろう。

 結局、安倍首相はWHAで演説を行わなかった。同様に演説を拒んだトランプ氏への最大の配慮だったのだろう。欧州諸国も、メルケル独首相のように演説はしたものの、ごく手短に済ませて、米国とも中国とも距離を置こうとする国が目立った。加藤勝信厚労相はWHAで、台湾のコロナ対策を評価したが、中国を直接批判しなかった。延期になっている習近平主席の訪日を含め、日中関係をこれ以上悪化させることは得策ではないという安倍政権の判断があったのだろう。

 米国とも中国とも距離を置いて、とりあえず11月の米大統領選まではやり過ごす。今の日本にはこの方法しか残されていないのかもしれない。

コロナ対策に成功しているのに失敗したと思い込む不思議な日本人

現代ビジネス 2020年5月25日(月)6時31分配信/谷本 真由美(著述家)

日本の奇跡

 イギリスでは3月の後半に外出禁止令が出てまる2ヵ月になります。一時期に比べると落ち着いてきたものの、いまやイギリスは死者数が3万6000人を超え、欧州最大です。

 ここ1ヵ月ほどの間、イギリスで目立ち始めたのは政府や専門家を非難する声です。

 高齢者や中年以上の人がよく見ている、民放ITVの朝のニュース番組“Good Morning Britain(GMB) ”や、その後に放送されるワイドショーは、コロナ以前は料理や芸能人のゴシップを緩々と流していたような番組ですが、最近は政府の対策を強く批判する報道が目立っています。

 これらの番組が代表するように、イギリスでは現状への不満を溜めている人がかなり増えてきました。一方で、最近よく目にするようになったのが、日本や韓国、台湾といったアジア諸国のコロナ対策を評価する報道です。

 3月の終わり、私は「このままでは日本もイギリスやイタリアのようになってしまう」という警告を含んだかなり厳しいコラムを書いたわけですが、日本は今や、先進国の中では死者数がトップクラスに少なく、コロナ対策では世界屈指の成功例とみなされています。

 欧米では、日本はなぜ死者数が少ないのかについて 「日本の奇跡」 という風に取り上げるようになっているほどです。

 喜ばしいことに、私のパニックじみた予測は大きく外れましたが、これは様々な制約がある中で、日本の皆さんが、何よりも外出を「自主的に」控え、衛生を徹底する努力をし、日本政府や日本の感染症の専門家の方々が、日本の国情や国民性にあった施策をとったということです。

 言うなれば、官民共同の「オールジャパンによる努力」が実った成果だといえるでしょう。昨年のラグビーワールドカップでは日本が大躍進しましたが、まさに「ワンフォーオール、オールフォーワン」(一人は皆のため、皆は一人のため)の精神と思います。日本人は、一丸となればこのような素晴らしいことを成し遂げられるのです。

「国民にお願い」しかできないのに

 日本は法治国家であって独裁国家ではないため、個人情報の保護や民主主義を無視した強権的な手法を取ることができないこと、また世界で最も高齢化が進んだ社会であり、普段から医療機関もギリギリの状態だという非常に厳しい条件があるということも忘れてはなりません。

 他の先進国で、日本ほど厳しい条件に直面している国は、実はあまり多くありません。

 例えば、個人情報の保護や民主主義の手続きに関しては、日本の政治や司法の仕組みは国民をかなりしっかりと守るように設計されています。これは何より、先の戦争の反省があるからです。

 日本ではあまり指摘されませんが、むしろアメリカやイギリス、イタリアなどのほうが、危機の際には政府が強権を行使できる仕組みになっています。反政府活動家やテロリストなどへの対処も、これらの国の方が日本よりうんと厳しいのです。

 ところが、日本にはそういった仕組みがありません。ですから、コロナ対策でも日本は相当に不利な立場にあったといえます。政府は国民に「お願い」することしかできない。罰金刑や禁固刑で縛ることもできません。

 それでも「お願い」しただけで、感染防止のために皆が一生懸命努力をしました。 震災の際にも、多くの人が協力し合いましたよね。これだけの制約の中で皆が協力して困難に立ち向かえるのは、本当に素晴らしいことです。

イギリスの死者数は日本の数十倍

 どうかみなさん、日本の人がどれだけ統制が取れているか、どれだけ地域や母国を思っているか、どんなに他人のことを考える思いやりのある人が多いかということを、今一度意識して、自信を持って下さい。これは本当に、誇りに思っていいことなのです。

 冒頭にも述べたように、日本の素晴らしさをいま意識しているのは、海外の人々です。

 先日、イギリスでは公共放送チャンネル4のリポーターであるCiaran Jenkinsさんが、自身のTwitterで日本とイギリスの死者の数を比較したところ、6.4万件「いいね!」され、話題になりました。

日本の人口:1億2600万人
コロナでの死者数:624人
イギリスの人口:6600万人
コロナでの死者数:3万1855人
どんな見積もりだとしても、驚くべき結果だ
(This is staggering by any estimation)(※データはツイート当時のもの)

 Japan
Population: 126m
COVID19 deaths: 624

UK
Population: 66m
COVID19 deaths: 31,855

This is staggering by any estimation.

― Ciaran Jenkins (@C4Ciaran) May 10, 2020

 日本の人口はイギリスの2倍近いのに、死者は1000人未満です。イギリスの死者数は「公式」には3万6000人を超えている上に、自宅死や老人ホームでの死者の数を含めていないので、その実数は6万人を超えるとも言われています。正確な死者数を比較したら、日本の100倍近いかもしれないのです。

 日本は見逃されている可能性のある超過死を加えても、イギリス並にはなりませんし、死者数、感染者数とも、欧米とは桁が違います。Jenkinsさんの “by any estimation”(どんな見積もりだとしても)という言葉には、統計の手法による誤差や超過死者数を勘案したとしても驚きだ、という思いが強く現れています。

不思議がるイギリスの人々

 確かに、日本には検査数が少ないといった問題もあります。しかしそれでも、日本の対策には一定の効果があり、うまく行っているようだ、という意見の人がイギリスでも多いようです。

 私がこのツイートに対して、

----------

私は日本出身です。イギリスの人々の行動を見ていたら、これは納得できる結果です。イギリスでは誰もマスクを付けていないし、手洗いうがいもしない。土足で建物の中に入るし、自己中心的で個人主義、トイレや公共の場の衛生状況はひどく、CTスキャンやMRIが少ない。政府の対応も遅い

----------

 と返信したところ、イギリスだけでなく、遠くはナイジェリアなど世界中の方々から様々な意見が寄せられ、ちょっとした議論の場となりました。

 I am from Japan. Looking at how people behave here in UK, it is understandable. Nobody wear masks, no hand washing/gargling,don’t take off shoes inside of buildings, selfish/individualistic, bad hygiene of toilets/public spaces, small number of CTs/MRIs. Government was slow too

― めいろま (@May_Roma) May 11, 2020

 しかし驚くべきことに、日本を批判する意見はほとんどなく、 むしろ日本の習慣や対策を褒めるものが大半で、イギリス政府やイギリスの人々の行動を批判するものばかりでした。

 寄せられた反応の概要をまとめると、以下のようになります。

----------

日本文化はお互いのために振る舞うことが中心のようだ。イギリスの文化は自分、自分、自分ばかり。

----------

 Japanese culture looks how best to serve each other. British culture looks how best to serve me, myself and I

― ... (@boxster_porsche) May 10, 2020----------

日本の方が人口密度が遥かに高いはずなんだ。ひどい結果だ。我々は市民を守るために働こうと思ってないリーダーに、ひどい目に遭わされてるんだよ。

----------

 How has this not been the comparison pushed. Japan must have a far more densely populated nation than us. This is infuriating. We’ve been let down by the very people who’s first responsibility is to protect its citizens.

― Matthew Brownlee Stokes (@silvaback78) May 10, 2020----------

日本が本当にこのウイルスで最悪の事態を避けたとしたら、それは日本の人々の行動によるもので、日本政府がやったわけじゃない、ということは断言できる。

----------

 If Japan has indeed escaped the worst of this virus, I can promise anyone reading this Tweet that it will be due to the actions of the people living in Japan and is absolutely shit all to do with the Japanese government.

― Emma ✖️ stay home, save lives ✖️ (@emmaloves_blog) May 11, 2020----------
日本人は常識に耳を傾ける、集団主義的な社会で、何よりコミュニティを守ろうという意識が強い。俺、俺、俺という自己中心的で未成熟な社会じゃない。

----------

 Absolutely . 1. Listen to sane common sense advise 2. They also are very much the conscious collective . What is good for all , caring for the larger community, rather than the selfish immature attitude one is seeing of the me me community

― The world from my room (@vanessa81507925) May 11, 2020----------

日本の人たちは「STAY AT HOME」の意味をちゃんと理解していることを考えれば、家にとどまらず出歩く人が多いことで(イギリスの)政府だけを批判することはできない。ちゃんとわかってない人がいるんだよ、ロンドンは。

----------

 Have you considered the people who live there probably understand what STAY AT HOME means, you can’t blame the government for the melts who think they know better and have been out and about and not STAYING AT HOME. Parts of London don’t know that meaning

― Jonathan Cooke (@JSCooke70) May 11, 2020----------

日本にはイギリスのような肥満の問題がないからでは? ----------

 I suspect that the Japanese do not have the obesity problem that we have? 

― Andrew Morison (@Ajm1953) May 10, 2020 コロナ以前から、日本が世界で最も高齢者人口が多いことは、イギリスや欧州の他の国でもよく知られています。欧州でも高齢化は問題になっていますから、ニュースやドキュメンタリー番組で取り上げる際には、必ず日本が事例として挙がるほどです。

 それだけ高齢者が多いのにもかかわらず、新型肺炎の死者が桁違いに少なく、さらに経済もかつてのように上向きではないのにもかかわらず、自粛中の経済的な打撃も比較的小さく抑えていることに、驚いている人が多いのです。

 日本では、企業による大規模解雇がほとんど行われていません。イギリスやアメリカは、外出禁止令前後に大規模な解雇を行った企業が多く、失業者が急増しています。私の知人にも、十分な体力がある大企業に勤務していたのに、解雇になった人がいます。本人に持病があったり、家族がいるなどの個別事情への考慮は一切ありません。日本と異なり、実にドライで利益重視の考え方なのです。

 イギリスだと失業手当も雀の涙で、中年以上だと次の仕事だってそう簡単にはみつかりません。住宅ローンの支払い、生活費、教育費で頭を抱える人が大勢です。

 政府の補償は「雇用中」でなければ出ません。それを知っていた上で解雇にした企業がたくさんあるわけです。

自営業でも、年間の利益が約600万円を超えたら補償は受けられません。企業が従業員を簡単に解雇せず、中小企業や自営業に対しても国や自治体から様々な支援がある日本のほうが、実に情があります。

 そして、ネットで海外の声を観察していると、イギリスだけでなく他のヨーロッパの国々やアメリカ、さらにアフリカや南米でも、日本の驚異的な現状が大きな注目を集めていることがよくわかります。

 「日本を褒める反応」というと、日本人には「どうせ保守派や、いわゆる『ネトウヨ』が誇張して言っているのだろう」と思う人が多いようです。しかし、先にも挙げた通り、これは決して虚構ではなく「人々の実際の声」なのです。

日本への注目が高まっている

 消費者の行動が、このような動きを裏付けています。

 例えば、イギリスでも外出禁止期間中に家で料理に凝る人が増えているのですが、普段はカレーやケバブが「エキゾチックな食事」であるイギリス人の間で、いま日本食の人気が異様に伸びているのです。

 イギリスの中流以上御用達の高級スーパーWaitroseは、自社サイトの買い物検索で「日本食」が53%も増加した、と報じられています。

 イギリス人は日本人に比べ、食に関しては本当に保守的で、海外に行ってもイギリスのものしか食べないという人もいます。人の家に招待されても、「私はこれが嫌い」「これは食べない」と堂々と言う人も多いですし、新しいものに挑戦しようという風潮が乏しいので、いつも似たようなものを食べている人が少なくありません。

 20年ほど前までは、外国料理といえば「イギリス風の中華やカレー」で、イタリア料理、ドイツ料理でさえも手をつけない人が本当に多かったのです。

 ここ20年ほどで、 EUから大量に人が入ってくるようになり、航空券が値下がりして海外に行く人が増えたので、今ではタイ料理やスペイン料理も普通になってきましたが、それでも食べない人はまったく食べません。まして日本料理となると、まだまだ非常にエキゾチックで意味不明な食べ物、と思っている人も少なくありません。

 Waitroseで買い物をする人々は、世帯年収がだいたい1000万円以上程度はあり、海外旅行に頻繁に行くお金がある中年以上の層で、非常に健康意識も高いです。しかし、基本的には保守的なため、カレーや中華は食べていても寿司を食べたことがないという人もいますし、日本食に積極的に手を伸ばそうという人は、まだあまり多くはなかったと思われます。

 その 「保守的な人たち」が日本食に注目しているのは、コロナの死者数が少ない日本の健康的な食生活にあやかろう、という行動の反映だと見ています。

 日本でも「免疫力を高める」といわれるキムチや納豆の売上が急増していますし、アメリカでも、韓国とドイツのコロナ対策がうまくいっているという理由で(もちろん、コロナに効くという科学的根拠は示されていませんが)、キムチやザワークラウトの売上が伸びています。どこの国でも、コロナ対策でうまく行っている国にあやかろうという人が多いわけです。

 メディアでも、コロナ以後に日本食が登場する機会が増えています。例えばイギリスの富裕層向け保守系新聞のテレグラフには、日本食のレシピが掲載され、普段は遺跡や寺の記事ばかりのNational Geographicは「味噌を使った5つの料理」という記事を掲載しています。

 なぜ日本が突然、こんなに注目されるのか。今イギリスに身を置いていれば、よくわかります。

イギリス人は路上でパーティー

 なにせ日本と違って、イギリスは外出禁止令を破って警官と暴力沙汰になる人が数百名単位で毎日のようにいますし、ルールをどんどん無視して人の家に訪問したり、公園で日向ぼっこする人、遠出する人だらけです。感染者に唾を吐かれ、コロナに感染して亡くなってしまう人も相次いでいます。

 5月8日の欧州戦勝記念日は、75周年記念だったこともあり、ルールを無視しまくって路上でパーティーをやったり、バーベキューをやる人が続出しました。

 私の家の近所でも、路上でのパーティーを巡って口論が起きました。パーティーをやっている人たちからすると「一体何が悪いんだ」ということなのです。

 富裕層は、スコットランドやイギリス南部にある別荘に出かけて、ホリデー気分で滞在しています。その中にはベッカム夫妻やテレビに出ている有名シェフ、さらにスコットランド政府のコロナ対策の最高責任者なども含まれていました。

 イギリス政府のコロナ専門家会議メンバーの科学者は、ルールを破って不倫相手と密会し、バッシングを受け辞任しました。

 こんな状況にうんざりしているのは、イギリス人だって同じです。だからこそ、多くの人が自粛要請に自主的に従い、うんと清潔な環境で健康的な生活を送り、肥満が少ない日本に羨望の眼差しを注いでいるのではないでしょうか。

「配慮」という日本人の重要な資産

 集団主義で従順で潔癖性な日本人は、このコロナの時代において、多くの国の人々にとって「お手本」とみなされています。

 「他人に配慮できる」ということは、実はとても高度な文化です。相手の心、置かれた状況、短期的ではなく中長期的な自分の行動の影響などを「瞬時に判断し、予測する」という「想像力」がなければ無理だからです。

 これは単に計算が早いとか、知識がたくさんある、他人を出し抜くのがうまい、といったことよりも、遥かに繊細な感覚と感受性を要求される能力です。日本人には、そういう資質を持った人が大勢います。これは他の国にはない、重要な文化的資産です。

 それに気がついていないのは、今の日本の状況が当たり前だと思い込んでいる日本人だけです。

 ポストコロナの世界では、衛生環境がよく、統制が取れていて、地味だが真面目で、自分よりも他人のことを考えよう、という国が安全な「投資先」「協力先」として脚光を浴びていくはずです。

 それはまさに日本です。

 第二波を防ぐためにも、努力を継続し、再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の世界が来るように頑張ろうではありませんか。

 

2020年5月24日 (日)

【習的中國】“国家安全法”整備に抗議する数千人の市民に催涙弾!!

香港デモ、警察が  感染防止を理由 に警告 催涙弾で強制排除

朝日新聞デジタル 2020年5月24日(日)16時10分配信

 中国政府が香港での反政府的な動きを取り締まる国家安全法制の整備に着手したことに抗議するデモが24日、香港の繁華街であった。警察はデモを阻止するため、集まった市民に催涙弾を繰り返し発射している。

 この日はSNS上で香港島中心部の大通りを行進するデモが呼びかけられていた。出発地点の銅鑼湾(コーズウェイベイ)には数千人の市民が集結。「香港独立」などと書かれた旗を掲げて道路を占拠した。

 警察は各地に2千人規模の警察官を配置して警戒態勢を敷いた。新型コロナウイルスの感染防止などを理由に実施を認めないとの警告を出した後、催涙弾を断続的に発射し、強制排除に乗り出している。

Photo_20200524231001

香港“民主の女神周庭さん国家安全法は危険中国全人代で審議

BUSINESS INSIDER 2020年5月24日(日)12時10分配信

 香港が再び大きく揺れている。中国で、日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が5月22日、北京の人民大会堂で開幕した。その前日21日に、香港において国家を分裂させる活動、治安を破壊する行為などから国家安全の維持に関する法制度「香港版国家安全法」が議題に上がると公表され、22日から草案が審議入りしている。

 香港のメディア、民主派議員、民主活動家から危惧や大きな反発が出ている。民主活動家で”民主の女神”として知られるアグネス・チョウ(周庭)さんは、Business Insider Japanの取材に対し、危機を強く訴えた。

Photo_20200524230001

1国2制度はもはや1国1制度に

 政治団体「香港衆志(デモシスト)」のメンバーとして活動するアグネスさんは、今回の中国の動きの問題についてこう説明する。

「もともと香港と中国の関係において『1国2制度』があります。香港の法律は、本来、香港政府が提案して、香港の立法会(議会)で議論されるというプロセスがある。しかし今回、中国政府は全人代が香港基本法(※)に与えた権力を乱用して、直接立法することになりました。今回の国家安全法のプロセスに関して、完全な『1国2制度』の破壊、無視だと思っています」

(※正式名称は、中国人民共和国香港特別行政区基本法。1990年の全人代で成立し、1997年の英国から返還後において、香港の高度な自治を認めた「香港の憲法」のようなもの)

 1国2制度を認められている香港では、原則、中国の法律は適用されない。しかし、香港基本法の18条の中にある例外規定を利用して、中国が香港の立法会を通さず、香港基本法に国家安全法を組み込むという。

「今回の国家安全法の問題だけではなく、これから、中国政府が香港について気に入らないことがあれば、また同じ手段で中国から直接、香港の法律を作ることが出来ます。また、国家安全法は明らかに、香港が持つ民間社会や国際社会との繋がりの阻止を狙った法律だと思っています。そして、香港人の基本的な人権、自由への侵害です」

 5月22日朝に発表された国家安全法に関する中身に、外国の政治性のある組織が香港で活動することを禁止する、香港の政治性のある組織や団体と外国の組織が連携をとることを禁止する、といった内容がある。

「(公表された草案には)また、国家安全法の執行機関を設立することができることも説明しています。これもとても危ないです。もう香港政府というものがいらないということ。中国が気に入らないことがあれば、直接香港で機関を設立して、直接処理する。香港が普通に中国の一部になってしまう。私は香港が『1国2制度から1国1.5制度になってしまった』と過去に発言してきましたが、今はそのレベルではない。完全に『1国1制度』ですね 。香港人、香港社会にとって、経済的にも政治的にも破壊力がとても高い法案です」

天安門事件追悼集会は新型コロナ理由に実質禁止に

 アグネスさんによると、この数年、特に抗議デモが活発だった2019年から、香港社会と国際社会の連携が増えているという。

 アグネスさんの所属団体デモシストは、国際社会との連携が強い団体の一つということもあり、国家安全法によって、例えば「国家の転覆、分裂を図っている」とデモシストの活動を禁止される可能性がある。

 だが、香港政府による締め付けは厳しい。新型コロナウイルス感染症対策で9人以上の集会を禁ずる臨時規定が定められていたが、その期限は5月21日までだった。しかし、6月4日まで延長された。

 6月4日は天安門事件があった日であり、香港では毎年追悼集会が行われる。つまり追悼集会も禁止ということになる。香港は4月中旬以降、新しい感染者数は1日あたり2桁を超える日はなく、0人の日も多い。

「香港政府は明らかに、コロナという言い訳を利用して集会や抗議活動を阻止している。延長した日が6月4日までという、(香港人なら)誰でもわかるような日まで延びました。おかしくないですか。

 ただ、去年の運動でもそうでしたが、重要な日は6月4日だけではなく、6月9日、12日、16日とありますし、(昨年、主催者発表200万人超の大規模デモが発生した)7月1日も重要です。

 その先にもあります。7月1日の状況はまだ分からないけど、多分コロナが収束しようがしまいが、警察はデモ活動を認めないでしょう。香港人は怖がらずに戦います」

 日本では全く報道されていなかったが、新型コロナウイルスの感染が香港に及んでいた1月から3月にかけてはデモや抗議活動は目立たなかったが、感染が収束し始めた4月頃から、再び激化している。

Photo_20200524231301

 香港に迫る危機は現実世界だけではない。インターネットに対する締め付けも考えられる。

 中国ではYouTube、Instagram、Google、Twitter、Facebookといった世界的なサービスが軒並みアクセスできない。一方、香港では現時点ではそれらが全て接続できる。また、中国ではインターネット上での投稿、特に国家や地方自治体など政府への批判の内容をすると強制削除されたり、投稿者が突然行方不明になることもある。

 中国の武漢市で、状況が酷かった1月から2月上旬、ある中国人の市民記者が現地に乗り込み、ロックダウンされた街の様子や、入院患者であふれる病院の様子を動画に収め、頻繁にSNSで投稿していた。

 しかし、突如投稿が止まり。その後、友人や家族と思われる人物が、「行方不明になっている、助け出して欲しい」と訴え続けている。香港でも同様の状況が起こる可能性はあり得る。

「確かに、インターネットでの言論の自由はとても大事です。ただ、香港でもすでにインターネットへの制限や監視というものがありました。昨年だけではなく、この数年間、インターネットで中国や香港政府に批判的な投稿をした人たちが、逮捕されることが多かった。

(国家安全法が成立すると)これからは、実際にデモに参加してなかったのに、インターネット上で、ちょっと政府を批判する発言を投稿するだけで、逮捕される可能性があると思います」

 香港のデモ活動において、匿名性が高いとされるメッセージアプリ「Telegram」がデモ参加者達の情報共有ツールになっている。それくらいインターネットにおける監視に敏感になっているともいえる。

 アグネスさんは日本語が流暢で、日本にも旅行やイベントや講演会の参加など、定期的に訪れていた。しかし、2019年8月に、無許可の集会に参加した容疑で逮捕、起訴され、すぐに保釈されたものの、香港の裁判所から出国禁止を言い渡されている状態だ。

出国禁止もYouTuberになって香港の現状を伝える

 アグネスさんは「ただ、新型コロナの影響で、香港から日本に誰も旅行に行けない状況です。でも、保釈の身なので、コロナが終わっても日本には行けないです」と苦笑しつつ、日本からの関心や応援を願った。

「いま日本では恐らく、ニュースを見てもコロナに関するものが多いと思います。今年に入って、香港に関するニュースは少ないかもしれません。しかし、香港人の戦いが終わっていないことを伝えたい。香港人たちは全く諦めてませんし、運動はまだ終わっていません。私たちの目標、本当の民主主義にはまだ遠いです。

 国家安全法や、来週可決されるかもしれない国歌法(中国国歌への侮辱を禁じた内容)のような悪法、弾圧もさらに増えるかもしれません。それでも日本人の皆さんには、引き続き、見守って頂き、応援して頂きたい」

 そんな状況の中、今年2月にはYouTubeチャンネルを開設し、広東語や日本語を交えた動画を投稿している。日本語字幕もついている。

「YouTubeではハッピーな日常の動画も投稿していますが、社会的な内容もあります。最初に投稿した動画は、去年の運動(デモ)のフィギュアや、この運動に関する漫画を楽しくハッピーに見えるけど、社会的なメッセージも入っています。バレンタインデーの時には、チョコを作るという動画も投稿しましたが、あれもストライキに参加した医療従事者にあげるチョコを作った動画です」

 香港にとって非常に難しい状況だが、アグネスさんは諦めないという。

「去年からデモ活動は、私達みたいな政治団体が行うものというより、自発的なものが多くなった。もちろん私も他のデモシストのメンバーたちも、これからも町での戦いに参加します。そして国際社会との連結も諦めずにやっていきたい」

香港デモ100人以上を逮捕 国家安全法に抗議 香港市民

産経新聞 2020年5月24日(日)20時19分配信

 香港で24日、中国の全国人民代表大会(全人代)が香港に導入するため審議・可決予定の国家安全法に対する初の抗議デモが行われ、香港メディアによると数千人が参加した。

 香港で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった1月下旬以降、最大規模のデモとなり、警官隊は催涙弾を発射して100人以上を逮捕した。抗議者たちは中国共産党の滅亡を願う「天滅中共」のポスターを掲げてデモ行進したが、国家安全法が導入されると「政権転覆」行為として罪に問われる可能性が高い。

 香港の繁華街で24日行われた国家安全法導入に対する抗議デモでは、参加した市民から不安や不満、怒りの声が上がった。昨年のようにデモが続発しかねない社会不安を前に、新型コロナウイルスの打撃を受ける商店からは悲鳴がもれていた。

 「怒りが収まらない。もはや、逮捕されるのが怖いとか言っていられない」

 デモに参加した19歳の男子大学生は強制排除を進める警官隊を前にこう話す。「今日のように集会が自由にできなくなるのです」

 香港に国家安全法が導入されると、国家分裂や政権転覆、組織的なテロ行為、外国や国外勢力による香港への干渉-が禁止される。

 この日のデモでは「香港独立が唯一の道」などのスローガンが何度も叫ばれていたが、同法の公布後は「国家分裂」行為として罰せられる可能性が高い。

 16歳の女子高生は「中国は香港の一国二制度を(1997年の)返還から50年間約束したはず。たった23年で自由が剥奪されてしまう」と不安げに語る。

 8歳の長男を連れて買い物をしていた40代の男性医師は、「この子の将来を考えると恐ろしくなる。できるだけ中国から離れた、自由のある国に移民しようと考えている」という。

 警官隊とデモ参加者の衝突が始まると、あわててシャッターを下ろす店も。食料品店の男性従業員は「今日はもう営業できない。(昨年のように)デモが続けば、倒産するのを待つほかない」と吐き捨てた。

香港、新型コロナ鈍化 中共政府政治的ウイルス」蔓延に警戒

産経新聞 2020年5月8日(金)12時58分配信

 香港で新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かう中、香港政府は8日、映画館やバーなどの営業再開を認める一方、集会を規制する措置は撤廃せずに継続した。新型コロナの新規感染者数が減少するにつれ、政府への抗議活動が増え始めたことが背景にある。中国政府は「政治的なウイルス」の蔓延(まんえん)に警戒を強めている。

 香港の感染者数は同日現在、1044人(死者4人)。3月中旬から4月中旬にかけ、欧米から帰国した学生を中心に感染が拡大したが、最近、香港内での新規感染者数は19日連続でゼロ(海外からの輸入症例を除く)が続く。ほぼ全ての住民が外出時にマスクを着用する防疫意識の高さが主な要因とみられている。

 これを受けて林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は8日からバーの営業を約1カ月ぶりに解禁。映画館や美容院、スポーツジム、マージャン店などの営業再開も認めた。

 新型コロナとの戦いが「休戦」(香港メディア)状態となる一方で、再燃の兆しを見せているのが反政府デモだ。新型コロナの感染が広がり始めた1月や2月は、政府による隔離施設の整備に反対する近隣住民のデモなどに、若者たちが合流して反政府・反中のスローガンを叫んでいた。

 しかし3月に入るとデモは下火になり、下旬には政府が防疫措置として「5人以上」の集会を禁止、デモは事実上封じ込められた。

 状況が変わったのは、新型コロナの感染拡大の勢いが鈍化した4月下旬以降。繁華街のショッピングモールなどに数十人から数百人の若者が集まって、デモのテーマソングを歌ったり、普通選挙の実現などデモの5大要求を訴えたりする活動が増え始めた。取り締まる警察側と衝突する事態も一部で起きている。

 また6月は、百万人参加(主催者発表)の反政府デモから1年を迎える9日など節目の日が多く、デモが多発する可能性がある。

 政府は8日、バーなどの営業再開を認めたものの、集会の規制措置は撤廃せず継続した。ただ、感染拡大の収束傾向を受け、禁止対象を「9人以上」の集会に緩和して、2週間後に改めて検討するとしている。

 中国政府で香港政策を担当する「香港マカオ事務弁公室」は6日、「暴力」は香港の「政治ウイルス」であり、「一国二制度の大敵だ」と強調し、昨年のような混乱に陥らないよう香港側に圧力をかけている。

王毅外相「政治ウイルスが米国で拡散」、香港も「外部干渉認めない

産経新聞 2020年5月24日(日)21時13分配信

 中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は24日、開催中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて北京で記者会見し、新型コロナウイルスへの対応をめぐり米国が対中批判を強めていることに、「政治ウイルスが米国で拡大しており、あらゆる機会を利用して中国を中傷している」と非難した。

「米国の一部政治家がウイルスの発生源を政治化し、中国に汚名を着せている」と反発するなど、新型コロナ発生後に対立を深める米国を強く牽制した。

 王氏は、米国の一部の政治勢力が米中関係を「新冷戦」に向かわせようとしていると一方的に主張。「両国人民が積み重ねてきた協力の成果を葬り去るだけでなく、米国自身の将来の発展を害する」などと警告した。

 米国などで感染拡大で甚大な被害を受けたとして中国に損害賠償を求める動きが広がっていることに対しては、「事実の基礎、法律根拠、国際的な先例のいずれもない」と受け入れない姿勢を示した。

 香港で昨年から続く政府への抗議活動については「暴力テロ活動は絶えずエスカレートしている」と批判。その上で「外部勢力が深く非合法に干渉し、中国の国家安全に深刻な危害をもたらしている」と非難した。香港をめぐる国家安全に関する法制度について、「『一国二制度』の基本方針を守るのに有益だ」などと強弁した。

 日中韓の協力については、経済の正常化に向けて連携強化を呼び掛けた。

 トランプ米政権が「中国寄り」だと批判を強めている世界保健機関(WHO)については、「どこかの国が多く資金を出しているからといって、その国の意向に左右されるべきでない」と米国を暗に批判した。

 台湾に関しても、蔡英文政権への支援姿勢を強めている米国に対し、「中国が許容できない一線に踏み込もうとするな」と圧力をかけた。

 朝鮮半島情勢については、北朝鮮が緊張緩和や非核化に向けて積極的な措置をとってきたとの見方を示したうえで、「遺憾なのは米国の実質的な反応を得られなかった」と米側の対応に問題があると強調した。

関連エントリ 2019/12/01 ⇒ 【第45代大統領】上下両院✍全会一致<香港人権・民主主義法>署名
関連エントリ 2018/10/16 ⇒ 【習的中國】✍「人が簡単に行方不明になる」中国という国
関連エントリ 2015/09/30 ⇒ 【習的中國】「反スパイ法」違反容疑で✍2邦人を拘束。
関連エントリ 2015/07/15 ⇒ 【安保法制】「自公賛成多数」✍関連法案が衆院特委で可決!!

 

2020年5月23日 (土)

【緊急事態宣言】コロナ休業「持続化給付金」支給遅れ常態化

 雇用調整助成金  相談件数のうち支給🔍わずか2.6

北海道新聞 2020年5月23日(土)11時51分配信

休業手当支払い後が壁に

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で従業員を休ませた事業所に対し、従業員への休業手当を国が補填(ほてん)する「雇用調整助成金」(雇調金)の活用が進まない。道内では2月中旬以降、5月15日までに北海道労働局に寄せられた相談延べ1万9444件のうち申請は5%で、支給が決まったのは2・6%。雇調金は事業所が休業手当を支払った後でないと支給されないのが主な要因とみられ、資金繰りがうまくいかずに申請を断念する事業所が出ている。労務管理がずさんで休業補償を後回しにするケースもあり、労働者にしわ寄せが生じている。

 「人件費を削って経営はぎりぎり。雇調金を受ける前に休業手当の資金を用意するのは難しい」。道央で青果店を営む50代男性は苦渋の表情だ。売り上げが半減し3月からパート従業員ら6人を休ませている。収入半減の事業所に支給される国の持続化給付金は5月初めに申請したが、最大200万円の振り込みは来月まで待たねばならず「店の家賃や光熱費などの支払いで精いっぱい」と漏らす。

 雇調金は、業績悪化による失業を防ぐため国が休業手当を助成する。政府は新型コロナによる経済悪化を受け、特例で助成率を引き上げ、大企業で4分の3、中小企業で10分の9にした。自治体の休業要請に応じた中小企業が賃金と同額分の休業手当を支払った場合は全額助成にした。さらに手続きを簡素化し、申請時の休業計画提出を不要にした。だが休業手当を支払ってからでないと支給されない「後払い方式」は変わらない。

 15日までの2万件近い相談のうち申請は991件(5%)。支給が決まったのは522件(2・6%)。雇調金を必要としているとみられる事業所のほとんどが制度を利用できていない。全国では21日現在、申請が相談件数の9・8%、支給決定が4・9%。道内の労働組合幹部は「中小企業はもともと経営体力が弱い。助成の前に休業手当の資金を準備できない実情もあるのでは」とみる。

 また手続きは通常より簡素化したとはいえ、申請には休業実績の書類や出勤簿、売上簿を添付する必要がある。申請業務を代行する道内の社会保険労務士法人によると、中小企業では雇用契約書や賃金台帳の未作成など労務管理が不適切な事業所が少なくないといい、この法人の幹部は「休業補償の根拠となる実態が把握できない」と明かす。

 企業側が休業を指示したにもかかわらず、労働者の自己都合による休業にすり替える悪質な事例もある。

 札幌市内のコールセンターで働く派遣社員の40代男性は5月中旬、職場の感染予防策で自宅待機や時短勤務を命じられたが、上司から「自分の希望でしょ」と言われ、休業手当が支払われていない。個人情報を扱う業務で、休業指示を受けた文書は職場のパソコンでしか閲覧できない。男性は「証拠を持ち出せない。このまま泣き寝入りするのか…」と肩を落とす。

Photo_20200523185501 Photo_20200523185601

 緊急事態宣言 不可抗力なのか?コロナ自粛で休業の悶々

幻冬舎GOLD ONLINE 2020年5月23日(土)9時00分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の協力要請を受け、店舗が事実上閉鎖されてしまい、従業員への給与支払いが重い負担となっている事業者は多いものです。事業者が、従業員への「休業手当」を支払う義務はあるのでしょうか。そんな余裕などない…というのは当然のこと。けれど、法律的な問題は? 世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が解説します。

原則、従業員への休業手当は支払わなければならない

 緊急事態宣言下でも、新型インフルエンザ等対策特別措置法24条9項に基づいて、感染拡大防止の協力要請を受けて閉鎖・縮小した場合、事業者は、従業員に給与を支払わなくてはならないのでしょうか。

 感染拡大防止のために「自粛」した場合のみならず、この場合にも、原則として(「不可抗力による休業」がありうることは次に譲ります)、事業者は、労働基準法26条に基づいて、休業手当として平均賃金の60%を支払わなければばなりません。

 店舗が事実上閉鎖し、店舗家賃の負担も免れない中で、従業員への給与支払いが重い負担となっている事業者も少なくないと思います。

 一方、給与を受け取れず生活や家族を抱える従業員の生活への影響も深刻です。

雇用調整助成金の拡大や、持続化給付金も…

 このような事業者に、従業員の休業手当を補完するものとして給付する「雇用調整助成金」が、5月1日から大幅に拡大されました。(厚生労働省: 雇用調整助成金 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例 )

1. 都道府県知事からの休業等の要請を受けた場合は、一定の要件のもとで、休業手当全体の助成率を100%にする

2. 要請を受けていなくても、休業手当について60%を超えて支給する場合には、その部分に係る助成率を100%にする

 ただし、未だに日額上限が8330円であることから、5月11日現在、政府が、諸外国に合わせ、日額上限を15000円程度まで引き上げることを検討しているとの報道がされています。

 近年の「賃金センサス」(全国の賃金平均)では、男性の年収平均が550万円程度、女性が370万円程度とされていますから、ようやく実態に見合う見直しが行われようとしています。全国民に10万円を支給するより前に、こちらを充実させるべきではなかったのか、と思わざるを得ません。

 なお、ご存じのとおり、このような事業者のために、東京都は「感染拡大防止協力金」として50万円(2事業所100万円)を

(1)「基本的に休止を要請する施設」に属し、休止を要請されている施設 

のみならず

(2)「施設の種別によっては休業を要請する施設」に属し、休止を要請されている施設

(3)「社会生活を維持するうえで必要な施設」の内、「食事提供施設」に属し、営業時間短縮の協力を要請されている施設

に支給しています。(東京都防災ホームページ: 東京都緊急事態措置に関する情報施設一覧 )

 また、経済産業省からは、月の売上が50%以上減少した事業者に向け、100~200万円の「持続化給付金」の支給もしています。インターネットでの申請が可能です。(持続化給付金特別サイト: インターネット申請画面 )

不可抗力による休業の場合は手当不要だが…

不可抗力による休業の場合には、使用者の事情によるものとは異なりますから、休業手当の支払義務はないとされます。

では、今回の緊急事態宣言下での事態は「不可抗力」なのでしょうか。

「不可抗力」といえるのには、

(1)「その原因が事業の外部から発生した事故であること」、かつ

(2)「事業者が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお、避けることができない事故であること」

 上記が必要とされ、この場合には休業手当の支払い義務はないとされてきました。

 これについて、厚生労働省のHP内にある「 事業者向けの「新型コロナウィルスに関するQ&A」 で、こう書いています。 

「(1)に該当するものとしては、例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で、営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。」  

東京都の場合、特措法に基づく協力要請のレベルを、前述のとおり、

(1)「基本的に休止を要請する施設」(バー・スナック、ジム、1000㎡以上の塾など)

(2)「施設の種別によっては休業を要請する施設」(学校など)

(3)「社会生活を維持するうえで必要な施設」の内、「食事提供施設」に属し、営業時間短縮の協力を要請する施設(飲食店など)

これらに分けていますが、実は、このいずれも、特措法上24条9項の「休業要請」のバリエーションに過ぎません。  

「今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で、営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合」とは、全面休業のバー・スナック、事務などはおろか、飲食店等、営業時間短縮の要請を受けた場合一般が該当することになりそうです。

 そうすると、結果として、多くの事業者が(2)の要件(休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしているか)があれば、休業手当は支払わなくてもよいという結論を是認することになってしまいそうです。

 厚労省はそのウェブサイトの記載について何度か批判を受けながらも、本日現在その記載を改めていませんが、休業手当なき休業は、これまで頑張ってきてくれた従業員の生活の保障のため、避けていただきたいと思います。

 4月からすでに2か月に及ぼうとしている自粛期間のうちに、事業者様も次第に体力を失いつつあるのが現状です。感染防止協力金も、持続化給付金も、併せても150~300万円程度にとどまりますから、従業員の給与を補填するには到底足りないところがほとんどかと思います。

 今回の自粛要請期間が明け、いずれ飲食店、ジムなどのスポーツ施設にも人が戻れば、頼れるスタッフがいなければ事業が立ちゆきません。大切な従業員を守るため、従業員に休業手当なき休業を強いることは、多くの事業者様が避けたいところであろうと思います。

給与を絶たれた従業員側が受けられる補償

 やむ無く、給与を絶たれた生活者に向けては、1人一律の10万円の給付(特別定額給付金)のほかにも、子育て世帯への子ども1人あたり1万円の臨時特別給付金、3~9か月の家賃補助を行う住宅確保給付金、国民健康保険料や納税・公共料金の支払い猶予の制度があります。

 また、全国の社会福祉協議会が単身で65万円、2人以上の世帯で90万円までの緊急小口資金、総合支援資金の貸し付けも行っています(内閣府: 新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内 )。

リストラ解雇は容易にはできないので注意

休業の要請があってなお、事業者向け、従業員向け、いずれも、単身の方はおろか、ご家族がある方には特に、政府からの補償では到底足りないというのが実情かと思います。

今回のことを受けて事業者側が、従業員を「整理解雇」(リストラ)するのには、さらに高度な配慮が必要ですので、決して安易に判断されず、必ず専門家の判断を仰いでください。
 
経営環境の悪化を理由とする人員の解雇は、

(1)人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること

(2)配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと

(3)整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること

(4)労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと

 上記のいずれの要件をも備えることを必要とし、これがないと解雇権濫用となります(労働契約法16条)。

 有期雇用の従業員を雇い止めることについても、更新されることに合理的期待がある契約については、申込みを拒絶することに客観的、合理的な理由がなく、社会通念上相当といえない場合には雇い止めは認められず、正社員の場合と同様の配慮が必要です(同19条)。

 このようにみてきますと、緊急事態宣言下で営業の縮小、停止を余儀なくされた事業者様にとって、家賃と賃金の負担は極めて重く、従業員に全額の給与(あるいは6割までの休業手当)を支給継続できるよう、迅速に雇用調整助成金を支給し、かつ、事業所家賃について国が保証する仕組みなどを整えることのほうが重要であったように思われてなりません。

 1人10万円一律の特別定額給付金や、マスクの支給が先行してしまったのは、非常に残念なことです。

拡大するテレワーク格差 中小企業の働き方改革に立ち塞がる壁

ダイヤモンドオンライン 2020年5月23日(土)18時01分配信

 新型コロナウイルス感染拡大により、大企業を中心に多くの企業が在宅勤務に切り替えた。一方で業務の都合上、あるいは会社の制度、ICT(情報通信技術)環境の問題などでやむを得ず出勤する人もいる。在宅勤務の急速な普及の裏で見えてきた課題とは何か。また、しばらくは3密を避けようという「嫌密」の傾向が続くと考えられる中、企業や組織は在宅勤務を続けることができるのか。現状と課題を追った。(ダイヤモンド編集部)

感染リスクと戦い 出勤する人の胸の内

 「人と人との接触を最低7割、極力8割減らす」――。4月7日、7都府県を対象にした緊急事態宣言の発令に伴い、政府はこう呼びかけた。

 新型コロナウイルス感染拡大のリスクを低下させるため、多くの企業が在宅勤務導入に踏み切った。

 その一方で、外出自粛期間中も出勤を続けなければならない人たちがいる。

 愛知県の介護施設で派遣看護師として仕事をしている木村容子さん(仮名)は、愛知県が緊急事態宣言の対象地域となった4月中旬も、電車とバスで片道1時間ほどかけて勤務先の有料老人ホームに通った。

 入居者である高齢者の体調を管理したり、日常生活のケアを行ったりするのが木村さんの仕事だ。高熱があるなど、体調を崩した高齢者の看護にあたることもあり、日々感染リスクにさらされていると感じている。

 自分が濃厚接触者になる可能性もあると考え、これまで義父の介護の手伝いで頻繁に訪れていた義実家にも、2カ月以上行っていない。不安はぬぐえないが、収入のためにもできる限り働きたい。また、慢性的に人手不足の現場を見ると、「自分やほかの看護師が出勤できない事態になってしまったら、職場が回らなくなるのではないか」(木村さん)という心配もある。

 多くの企業で在宅勤務の活用が進む中、木村さんのように、日々感染リスクと戦いながら出勤を続けている人がいる。医療、交通機関、食品や生活必需品の販売、流通などの社会インフラを支える仕事に従事する、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちがその最たる例だ。

 一方で、在宅ワークが可能と思われる業務内容であっても、会社の制度や方針、システムの壁に阻まれ、「出勤やむなし」の状況に置かれている人も多数いた。また、非正規雇用者を中心に、「出勤しないと欠勤扱いになる」ため、生活のために出勤せざるを得ないという人も少なくない。

 コールセンターに勤める契約社員の中野明子さん(仮名)は、緊急事態宣言下の4月も通常通り、1日7時間、週5日出勤した。隣席とは数十センチという「密接」空間での業務だった。電話の内容は、健康食品の売り込み営業。緊急事態宣言発令中なので当然在宅率も高く、会社の上層部は「今が稼ぎ時」と息巻いていたようだが、「この緊急事態には不要不急と思えてならなかった」(中野さん)と話す。

 個人情報を取り扱うため在宅勤務はできない。同僚と「有給休暇をとって休もうかな」と話すことはあったが、口ではそう言っていても、同僚たちも皆通常通り出勤している。「自分だけ休めるような雰囲気ではなかった」(中野さん)

テレワーク急速拡大も 中小企業には厚い壁

 パーソル総合研究所が、7都府県に緊急事態宣言が発令された直後の4月10~12日に、全国2万人超を対象に実施したテレワークに関する緊急調査によれば、正社員におけるテレワーク実施率は27.9%だった。3月に同社が同様の規模で実施した調査では実施率13.2%だったことから、テレワークは急速に普及しているといえる。

 一方で、その「普及度合い」には濃淡が見て取れる。

 同社の調査(4月10~12日実施)によると、企業規模別にテレワーク実施率を見た場合、従業員数1万人以上の企業では実施率43.0%なのに対し、100~1000人未満では25.5%、10~100人未満では16.6%と差が開いた。

 テレワーク非実施者に聞いたテレワークができない理由については、最も多かった「テレワークで行える業務ではない」(47.3%)に続いて、「テレワーク制度が整備されていない」(38.9%)、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」(19.9%)が挙げられている。中小企業におけるデジタル化の壁はコロナ禍以前にも指摘されていたが、今回のテレワークへの切り替えの動きにおいても、その差は如実に表れているようだ。

テレワーク普及 一番の壁は危機感の差にあり?

 パーソル総合研究所主任研究員の小林祐児氏は、今回の緊急調査結果を踏まえ、テレワーク導入にはセキュリティーや制度面のハードルはあるものの、「一番の差は『危機感の違い』にあったのではないか」と指摘する。

 小林氏によると、4月の調査当時における都道府県別のテレワーク実施率と、それぞれの地域の新型コロナウイルス感染者数には強い相関関係が見られたという。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大が急速に進んでいた地域では、テレワーク実施率が高かった。

 実際、47都道府県をテレワーク実施率が高かった順に並べると、上位8つのうち7つが4月8日に緊急事態宣言が発令された7都府県となった。一方で、感染者数が比較的少ない地域においては、テレワーク実施率が低い傾向が見られた。

 中小企業でテレワーク実施が進まない理由についても、制度やICT環境の問題のほかに、この危機感の差が指摘できる。

 「2月ごろから国内で感染者が増え始め、大企業での感染者が発生したことはニュースなどで報道されるようになりました。『従業員に感染者が出る』『自社でクラスターが起こる』といったときに生じるリスクは、中小企業より大企業のほうが大きい。こうした事情も背景にあったと思います」(小林氏)

ウィズコロナの働き方 テレワークは定着するか

 これからさまざまな地域で感染リスクと向き合いつつ、新しい働き方を模索する日々が始まる。

 小林氏は、緊急事態宣言が解除された後も、しばらく3密を避けようという「嫌密」の傾向は続くだろうと見る。「完全在宅勤務」を終えても、時差出勤や勤務先でのソーシャルディスタンスを保つ工夫は不可欠となりそうだ。

 では、外出自粛期間が終わってからも、テレワークは新しい働き方の選択肢の一つとして残り続けるのだろうか。それには、日本企業や組織が「同調圧力」に打ち勝てるかどうかがカギになりそうだ。

 「もともと日本企業でテレワーク拡大を妨げてきた要因の一つが、『一部が在宅勤務できないのなら、できない人に合わせよう』という過剰配慮だったといえます」(小林氏)

 「できない人がいるなら、在宅勤務できる環境にあるけどうちの部署も出社しよう」「在宅勤務したいけど、同僚が出勤するから行かざるを得ない」といった同調圧力が、テレワーク活用の維持、さらなる拡大の足かせになる。

 こうした同調圧力を解消するには、大企業が率先して「うちの会社はテレワークを続ける」「テレワーク対応推奨」といったメッセージを打ち出していくことも有意義だと、小林氏は指摘する。大企業を顧客とする中小企業などは、どうしても弱い立場にある。大企業が範を示すことで、自然とテレワークを選びやすい環境を作ることができる。

 ただ、冒頭に出てきた看護師などのエッセンシャルワーカーは、ロボット導入など社会に本当の意味での「革新」が起きないと、テレワークをすることはできない。しかし、テレワークが働き方の選択肢として当たり前のものになるように、大企業から価値観を変えていくことが、誰もが働きやすい社会への布石となるのではないか。

 コロナ禍でかつてないほどに普及したテレワーク。働き方の常識になるのか、それとも非常事態用の手段に終わるのか。分岐点が訪れている。

<話を聞いた専門家>
小林祐児(こばやし・ゆうじ)/株式会社パーソル総合研究所主任研究員
上智大学大学院・総合人間科学研究科 博士前期課程 社会学専攻修了。世論調査機関、総合マーケティングリサーチファームを経て現職。主な研究領域は理論社会学・情報社会論・アルバイト・パート領域のマネジメント・長時間労働問題など。主な著作に『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(中原淳との共著・光文社)『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』(石山恒貴との共著・ダイヤモンド社)など。

安倍内閣支持率27に急落

毎日新聞 2020年5月23日(土)16時54分配信

 毎日新聞と社会調査研究センターは23日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は27%で、今月6日に行った前回調査の40%から急落した。不支持率は64%(前回45%)に跳ね上がった。社会調査研究センターとの共同調査は3回目で、最初の4月8日に44%あった支持率が1カ月半で17ポイント落ち込んだ。

 調査方法が異なるため単純に比較できないが、毎日新聞が従来行っていた電話世論調査では森友・加計問題で政権批判が高まった2017年7月に26%まで下落したことがある。

 東京高検の黒川弘務検事長が賭けマージャンをしていた問題で辞職したことについては「懲戒免職にすべきだ」が52%と半数を超えた。「当然だ」は33%にとどまり、厳しい処分を求める声が強い。

 黒川氏の定年を今年2月から延長していた安倍内閣の責任については「安倍晋三首相と森雅子法相の両方に責任がある」が47%、「首相に責任がある」が28%。合わせて7割以上が首相の責任を重く見ている。

 黒川氏の定年延長に対しては、首相官邸に近い黒川氏を検察トップの検事総長に就けるためではないかとの疑念が持たれていた。「内閣に責任はない」は15%、「法相に責任がある」は3%にとどまり、首相官邸による検察人事への政治介入を疑う厳しい見方を裏付けた。

 「両方に責任」「首相に責任」と答えた層では内閣支持率13%、不支持率78%。検察人事問題への批判が内閣支持率を大きく押し下げたと言えそうだ。

 自民党の政党支持率は25%(前回30%)で、前々回の34%からは9ポイント減。内閣支持率の下落が自民支持層も揺さぶっている。ほかの政党は立憲民主12%(9%)▽日本維新の会11%(11%)▽共産7%(5%)▽公明4%(5%)などとなっている。

 検察官を含む国家公務員の定年を65歳に引き上げる法案について、首相は今国会成立を見送るとともに、定年引き上げ自体を見直す考えを示した。それに対し野党は、検察幹部の定年を内閣や法相の判断で延長できる規定が問題だと主張し、国家公務員の定年引き上げには賛成の立場だ。

 調査ではこの法案について「国家公務員の定年引き上げに反対」の38%と「検察幹部の定年延長規定を削除して成立させるべきだ」の36%が拮抗。「政府が国会に提出した法案のまま成立させるべきだ」は12%だった。

 調査は、携帯電話で回答画面にアクセスしてもらう方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせて実施。携帯505件・固定514件の計1019件の回答を得た。

 携帯は50代以下、固定は60代以上の回答割合が多めになる傾向があるが、合算することで年代バランスがとれる仕組みになっている。方式別に分けても内閣支持率は携帯27%・固定26%、不支持率は携帯66%・固定61%と大きな傾向の違いはなかった。

 <おことわり>

 毎日新聞の全国世論調査は4月まで家庭の固定電話と個人の携帯電話に調査員が電話をかける方式で実施してきました。しかし、コールセンターで多数の調査員が作業する環境は新型コロナウイルスの感染リスクが指摘されるため、感染終息が見通せない中でこの調査方式を続けることはできないと考えています。

 毎日新聞が社会調査研究センターと23日に実施した全国世論調査は4月8日、5月6日に続き3回目となります。こちらは自動音声応答(オートコール)と携帯ショートメールの機能を使うため「3密」環境での作業は生じません。

 コンピューターが無作為に数字を組み合わせた番号に電話をかけるRDS法を用いる点は従来調査と変わりません。回答者の年代構成など安定したデータを得られることが確認されたので、今後は社会調査研究センターの調査方式に切り替えていきます。

新型コロナ担当相先進国の主要都市で🔍これだけった所はない

産経新聞 2020年5月23日(土)19時08分配信

 西村康稔経済再生担当相は23日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を継続している5都道県の感染状況について「東京は今日は(新規感染者数が)2人で、先進国の主要都市でこれだけ減ってきている所はないのではないか。他の地域もかなり低い。病床も確保され、余裕が出てきている」と述べた。

 その上で「このウイルスはどこに潜んでいるか分からない。リスクを常に頭に置いて、感染拡大の防止策をやってもらいたい」と警戒を呼び掛けた。

 

2020年5月22日 (金)

【コロナショック】「収束が年末まで」失業者数✍300万人以上か

最悪301万人が失業の恐れと試算 コロナ打撃、リーマン超え

共同通信 2020年5月20日(水)19時08分配信

 社会情勢の変化に応じた経済分析に強みを持つシンクタンク「中部圏社会経済研究所」(名古屋市)は20日、新型コロナウイルスの流行が2020年度の雇用に与える影響の試算を発表した。

 世界的な流行の収束が今年末にずれ込む最悪のケースでは、全国で最大301.5万人が失業する恐れがあると指摘した。前年度比の就業者数の減少率は4.5%に達し、リーマン・ショック後の09年度の1.5%を大きく上回る可能性がある。

 19年平均の完全失業率は2.4%とウイルスの流行前までは日本の雇用環境は絶好調だった。しかし情勢は一変、生活に困窮する人が急増するリスクが高まっている。

日本が選択すべき孤立する中国への態度

東洋経済オンライン 2020年5月22日(金)5時16分配信

 各国が厳しい新型コロナウイルス対策から経済活動再開へと動き始めた。一方、感染を拡大させた中国への批判も強く、国際政治の緊張が高まっている。『中国が世界を攪乱する――AI・コロナ・デジタル人民元』の著者・野口悠紀雄氏が、コロナ禍の第2幕で何が起こるかを見通す。

中国の賠償責任を問う声がアメリカで高まる

 新型コロナウイルスの感染拡大の責任は中国にあるとし、巨額の損害賠償を中国に求める動きが広がっています。独仏英は、中国との距離を広げようとしています。

 しかし、中国はこうした動きに反発し、逆に自国の国家体制の優越性をアピールしようとしています。

 コロナ後の世界において、中国は孤立する危険があります。

 アメリカ中西部ミズーリ州の司法長官は、4月21日、新型コロナウイルスの感染を拡大させたとして、中国政府に対し、総額440億ドルに達する損害賠償を求める訴えを連邦地方裁判所に起こしました。

 これに先立って、フロリダ州やテキサス州、ネバダ州などで、個人や企業が中国政府に集団訴訟を起こしていました。

 ドナルド・トランプ大統領は4月17日の言明で、「中国政府の責任は多様な方法で追及されなければならない」と強調しました。

 「その中にはアメリカが受けた被害への賠償金支払いも含まれる」とし、そのための「真剣な調査」を進めているとも述べました。

 トランプ大統領は、4月29日に、中国から新型コロナウイルスが世界に感染拡大した経緯に関して、世界保健機関(WHO)と中国の責任を調査した結果が近くまとまると明らかにしました。

 そして、「新型コロナウイルスの感染拡大に対して、中国に巨額の賠償責任を問う」「この被害はアメリカだけに限らず、世界的なものだ」と述べています。

 アメリカ議会でも中国政府の責任を問う動きが始まっています。ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党)は、民主党の下院議員らも加えて超党派で中国政府の法的責任を問い、被害を受けた各国に対して賠償金支払いを求める決議案を上下両院に提出しました。

中国との関係を見直すドイツ

 同様の動きがヨーロッパにも起こっています。

 発行部数220万でドイツ最大の日刊新聞ビルトは、4月15日、コロナウイルスでドイツが受けた被害への賠償金として、中国政府に対して総額1650億ドルの賠償を請求すべきだとする社説を掲載しました。

 アンゲラ・メルケル首相は4月20日、「中国が新型ウイルスの発生源に関する情報をもっと開示していたなら、世界中のすべての人々がそこから学ぶうえでよりよい結果になっていたと思う」とし、中国が情報を隠したことを批判しました。

 メルケル首相はこれまで中国に友好姿勢を示していたのですが、その姿勢を一転させたのです。

 ドイツ経済は、中国に強く依存しています。とくに、自動車産業がそうです。フォルクスワーゲンの全世界での販売台数のうち、中国が約4割を占めています。

 ただし、それは経済関係に限定されたものであって、ドイツ国民は必ずしも中国に対して好意を持っているわけではありません。

 コロナウイルスによる被害のあまりの大きさに、ドイツ国民の本音が出てきたのだと言えるでしょう。

 イギリスの保守系シンクタンクのヘンリー・ジャクソン協会は、中国当局の情報統制のために、多くの武漢市民が春節連休前に海外へ出たことが世界的な感染拡大を招いたと指摘し、主要7カ国(G7)だけで損害賠償額は3兆2000億ポンド(約430兆円)に達するという試算を公表しました。

 ヘンリー・ジャクソン協会は、中国にその補償金を支払わせる方法として、中国政府や国有企業が保有するイギリス政府の各種債券やイギリス側の対中債務から取り立てることなど提案しています。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4月中旬、『フィナンシャル・タイムズ』のインタビューで、「独裁的な国では私たちの知らないことが起きる。中国武漢でのコロナウイルスへの中国政府の対応に疑問があることは明らかだ」と述べ、中国政府の責任を明確に指摘しました。

 賠償金を求める動きは、オーストラリアでも起きています。

 また、インドの弁護士団体などが、20兆ドルの賠償を求める請願書を国連人権理事会に提出しました。ナイジェリアでも、弁護士らが中国政府に対し2000億ドルの賠償を求める考えを表明しました。

 4月16日のG7テレビ会議の後で、米英仏の首脳は、そろって中国を批判しましました。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相の職務を代行しているドミニク・ラーブ英外相は、記者団に対し、中国とはこれまでの関係を維持できないかもしれないと話しました。

 マクロン氏は、中国が新型ウイルスの流行にうまく対処していると「ばか正直」に信じてはいけないと警告しています。

 G7で中国を批判していないのは、日本・イタリア・カナダの3カ国だけです。
 イタリアは中国の一帯一路に参加して中国から経済的利益を得ようとしていますが、いつまでいまのような態度をとり続けるかは、疑問です。

中国は「まったく不当な要求だ」と反論

 コロナで命を失う恐怖。病院に行けないので持病が悪化する恐怖。仕事を失って所得が減り、生活を続けられないのではないかという不安。

 これほどつらい経験をしなければならない原因は、ひとえに中国政府にある。

 これは、全世界の人々の率直な感情でしょう。中国の国民でさえ、そう感じていることでしょう。それを考えれば、これまで述べてきた動きは、ごく自然なものです。

 しかし、中国政府は、こうした声に理解を示すどころか、「まったくの不当な要求だ」と反論しています。

 そして「自国の対策の不十分さを責任転嫁している」と主張しています。

「ウイルスはいかなる国にも出現する可能性があり、どの国で最初に蔓延しようとも法的責任はない。世界的な疫病のいくつかは最初にアメリカで広まったが、賠償を求めた国はない」との論法です。

 確かに、法的責任はないでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染の初期段階で中国が情報を隠蔽しようとしたことは事実で、その責任は免れません。中国が誠実に応じなければ、世界から孤立するでしょう。

 中国政府は責任がないとするだけでなく、SNSなどを通じて、「感染の封じ込めに成功した」「西側諸国より統治システムが優れている」などと宣伝しています。

 中国はさらに、欧州各国でマスクなど医療物資を提供し、救世主として登場しています。これは、「マスク外交」といわれるものです。

 バルカン半島にあるセルビアでは、感染者が急増し、深刻な状況に陥りました。しかし、ドイツやフランスは、マスクの輸出を制限しようとしていました。これに対して、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は、「ヨーロッパの連帯など存在しない。おとぎ話だった」と激しく非難しました。

 そこに支援の手を差し伸べてきたのが中国です。

 3月にセルビアの首都ベオグラードの空港に、中国から医療従事者やマスクなどの医療物資を載せたチャーター便が到着しました。

 ブチッチ大統領は自ら空港まで出迎えに行き、「困ったときに助け合うのが真の友人だ。中国からの支援を忘れることはないだろう」と語りました。

 このように、ヨーロッパが一致して反中国的になり、国際社会の中で中国が孤立するのかといえば、必ずしもそうでもないようです。事態はそれほど単純ではありません。

 EU加盟国の中には、EUが何もできないことに失望し、中国への期待を高める国がセルビア以外にもあります。

 とくに、モンテネグロなどバルカン半島諸国は、一帯一路で中国のインフラ投資を受け入れており、中国との関係を強化しています。

 もっとも、マスク外交が全面的に成功しているわけではありません。

 不良品が多く、オランダ保健省は3月末、中国から調達したマスク60万枚をリコールしたと発表しました。

 スペインやトルコに届いた中国製の感染検査キットは精度が低く、返品したといいます。

 この場合には、マスク外交は、かえって中国という国家への不信感を高めてしまったわけです。

 このように、事態は混迷しているとしか言いようがありません。

コロナ後の国際関係は大きく変わる

 新型コロナを最初に抑圧できたのは、中国です。その強権的な国家原理は、自由主義社会の基本原理と相いれません。では、コロナ制圧のためには、自由を犠牲にしなければならないのでしょうか? 

 そうではないでしょう。セルビアが中国の支援を歓迎したのは、援助が欲しかったからであり、中国の国家理念に賛同したからではないでしょう。

 コロナ後の世界においては、対中批判が大きな趨勢になる可能性が高いと考えられます。

 これまで述べたように、欧州各国は、新型コロナによる医療危機や経済危機を通じて、中国との関係を大きく変化させています。上述のように事態は決して簡単ではありませんが、概して言えば、英独仏のように中国に対する不信感を強める国が増えるでしょう。

 『中国が世界を攪乱する』の「第12章 中国の未来」では、中国が未来世界の覇権国家になりうるか否かを問題とし、「中国は寛容性を欠くので、経済的にいかに強くなっても覇権国家にはなりえない」とするエイミー・チュア・エール大学教授の意見を紹介しました。

 ここで述べたコロナをめぐる対応を見ていると、チュアの見解の正しさをますます強く感じます。

 では、中国の孤立は政治的な関係にとどまらず、経済的な国際分業関係にまで及ぶのでしょうか? 

 中国の生産力に依存しない世界経済は考えられませんが、米中の貿易戦争、経済戦争が激しさを増すであろうことは、間違いないと思います。

 こうした中で日本がどのような立場を取るのかを、はっきり決める必要があります。

 少なくともWHOに対する姿勢は、はっきりと主張する必要があるでしょう。

コロナ禍からの経済回復を阻む足かせ」の正体

MONEY PLUS 2020年5月22日(金)6時01分配信/村上尚己(シニアエコノミスト)

 米国株市場の反発が続いています。新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいるとの報道があった5月18日に、S&P500指数は約3%の大幅高となるなど、20日には4月末の高値水準を超えて上昇。年初来の騰落率は約マイナス8%程度で、他の多くの株式市場を上回っています。

 相対的な米国株の強さの最大の要因は、米国において金融財政政策が強力に行われていることでしょう。家計への所得補償を中心に、GDP対比8%以上の財政政策がすでに実現しています。

 また、新型コロナウイルスの治療薬やワクチンなどの研究が民間企業によって行われていますが、政府の支出拡大が開発を後押ししています。治療薬やワクチンがいつ開発できるか現時点で不明ですが、これらを量産できる生産体制構築を早くも米政府は進めています。

経済正常化はいつ実現するのか

 政府と民間が一体となったウイルス対策をうけて、金融市場では、新型コロナウイルス克服そして経済正常化が実現するとの期待を高めています。米政府は、公衆衛生政策を徹底するために、財政支出を惜しまず増やしていることが評価されていると言えます。

 また、大統領選挙を控えているため、トランプ政権が極めて大胆な政策を行っている、という政治的な側面もあるでしょう。

 5月中旬から日本でも緊急事態宣言が解除されつつありますが、米国を含めた主要先進国において、コロナ禍による広範囲な活動停止という経済的な最悪期は終わり、経済再開フェーズに入っています。米国の株式市場は、ワクチン開発を含めた経済再開を象徴するさまざまな出来事にポジティブに反応してきました。

 今後、金融市場は、どの程度のスピードで経済活動再開が続き、いつの時点で経済正常化が実現するのかを見定めるフェーズに移ると予想されます。

 筆者は、財政政策を大規模に発動している米国でも、経済活動再開はかなり緩慢に進み、またウイルスへの対処に関して当局の対応は試行錯誤が繰り返される可能性が高いと見ています。米国での経済再開がスムーズに実現しないことが、米国株市場のリスク要因になると警戒しています。

 もう一つの米国株市場のリスクは、米国の国外にあると考えています。多くの米国の大手企業はグローバル展開しているため、企業業績は国内経済だけではなく世界経済の影響を受けます。そして、世界中が3月から経済活動の制限で深刻な落ち込みとなっています。

欧州の不十分な金融財政政策

 一方で、米国以外の多くの国において、金融財政政策による対応が不十分にとどまっていることが、2021年にかけて世界経済復調の大きな足かせになり、米国の企業業績そして株式市場の大きなリスクになると筆者は考えています。

 欧州では、新型コロナウイルスによる人的被害が極めて大きくなっており、各国政府は財政政策を行っています。ただ、財政政策の規模は限定的で、多くが金融機関や企業への融資対応で、所得補償などの財政支出の規模はGDP対比で2%程度に止まっています。

 金融政策ですが、ECB(欧州中央銀行)は危機対応の国債購入拡大を行っていますが、イタリア、スペインなどの国債金利は高止まったままで十分効果を発揮していません。

 新型コロナウイルスの被害が甚大なイタリアやスペインでは国債発行が今後大きく増える見込みですが、ECBによるこれら周縁国が発行する国債購入が、他のEU諸国の反対などで不十分にとどまるリスクが大きいためです。

 これは、2010年代初頭に深刻になった欧州債務危機と同様の、ユーロシステムが抱える根本問題です。景気悪化に直面しても財政規律の制約があるため、各国の裁量によって必要な財政政策が、財政黒字となっているドイツなど以外で発動されないのです。

 5月19日に、ドイツとフランスは、5000億ユーロ(ユーロ圏GDP対比約3.5%)規模の復興基金の設立で合意しました。これは望ましい動きですが、基金設立の合意に至っただけです。

 基金の使い方などについて今後の協議が必要で、実際に財政支出が発動されるのは2021年までずれ込む可能性が高いと筆者はみています。また基金の使い道も今後固まるとみられますが、イタリアなど南欧諸国が必要とする財政政策発動に利用できる可能性は高くないでしょう。

 このため、イタリアやスペインの長期金利が高止まった状況が解消されず、そして欧州全体で見れば、甚大な景気の落ち込みに対しては十分な財政政策が行われないと筆者は予想しています。

「封じ込め成功」の中国にも足かせ

 さらに、中国においても金融財政政策が不十分にしか行われないリスクが大きいとみています。同国はコロナウイルス感染の封じ込めには短期間で成功したもようで、製造業を中心に各国に先駆けて一足早く経済活動再開が始まっています。

 ただ、ソーシャルディスタンスの徹底を余儀なくされ、サービスを中心に個人消費は危機前の状況にはほど遠い状況です。

 そして、1~3月期の大幅な経済の落ち込みによって、労働市場では大幅な雇用削減が起きたと推測されます。政府の公式統計である失業率は若干の上昇となっていますが、これが労働市場の状況を正確に表していないというのは金融市場では常識でしょう。

 また、中国政府における財政政策の対応において、米国のような家計への大規模な所得補償は行われていません。一部企業への減税、医療体制の拡充などに限られており、経済全体に政策効果が行き渡っていないと言えます。

 金融政策についても、操作対象となっている政策金利の一つである7日物リバースレポレートは、2019年11月からわずか0.25%引き下げられただけです。事実上引き締め的な金融政策が続いているとみられ、この政策対応が中国経済の大きな足かせになっていると筆者は見ています。

 そして、財政政策が不十分に止まっているのは日本も同様です。中国やイタリアと比べれば大規模な財政政策は行われつつあります。ただ、第一次補正予算のうち所得補償が紆余曲折を経て決まりましたが、景気の落ち込みを直接補う分はGDP対比約3%の15兆円程度に止まっています。

 今後、第二次補正予算によって若干の上乗せは行われると予想されますが、すでに米国で実現している対応と比べると財政政策の規模は小さく、欧州や中国同様に戦後最大規模の経済の落ち込みに対して、不十分かつ遅れた対応に止まると予想しています。

 以上をふまえると、米国以外で財政金融政策が不十分に止まり、コロナ禍以降の経済回復の足かせになることが、米国を含めた株式市場の大きなリスクになると警戒すべきでしょう。

韓国警察、20代日本人男性逮捕 自主隔離命令違反の疑い

共同通信 2020年5月21日(木)20時36分配信

 韓国メディアによると、韓国警察は21日、保健当局の自主隔離命令に背いて無断外出したとして感染病予防法違反容疑で日本人の20代の男を逮捕した。

 韓国人が同様の容疑で逮捕されるケースはあったが、外国人では初めて。韓国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、海外からの入国者に14日間の自主隔離を課している。

 報道や警察の発表によると、男は先月2日に韓国に入国。隔離期間中に8回にわたって滞在場所を離れ、食堂などを訪問した。

 警察は監視カメラやカードの利用歴から外出を確認したとしているが、男は否認しており、逃走の恐れがあると判断したという。

関連エントリ 2020/05/21 ⇒ 【耳学】3000万人/日=“コロナ情報サイト”を作った17歳。
関連エントリ 2020/05/20 ⇒ 【緊急事態宣言】東京の重症者病床使用率は大阪より低かった!?
関連エントリ 2020/05/19 ⇒ 【日経平均】3日続伸<暴落後✍戻り高値を更新>ワクチンの開発進展を好感
関連エントリ 2020/05/18 ⇒ 【日経平均】2日続伸「米株価指数先物高」も✍米中対立懸念
関連エントリ 2020/05/17 ⇒ 【新型肺炎】なんと「感染予防に役立つ」サプリメントの紹介

 

2020年5月21日 (木)

【耳学】3000万人/日=“コロナ情報サイト”を作った17歳。

1日に3000万人が訪れるウイルス情報サイトを作った17歳…8億円のオファー断った理由とは

BUSINESS INSIDER 2020年5月21日(木)12時10分配信

 ワシントン州の17歳、アビ・シフマン君は、1日3000万人以上が訪れる新型コロナウイルス統計情報サイトを構築した。

 サイトに広告を掲載することで大金を稼ぐチャンスもあったが、彼はユーザーの使いやすさを優先させた。

 ベンチャーキャピタルや投資家とのコネクションが、将来役立つだろうとシフマン君は考えている。

 17歳の高校生、アビ・シフマン(Avi Schiffmann)君は、学校の課題には取り組めていないが、それにはちゃんとした理由がある。彼は世界的にもかなりの訪問者数を獲得している新型コロナウイルス統計情報サイト「nCoV2019.live」の作成者だ。現在は、自由になる時間の「100パーセント」をその作成に費やしている。

 新型コロナウイルスのパンデミックは、すぐには終息しそうもない。シフマン君はその時がくるまで、統計情報を引き続き追跡する計画だ。サイトを公開している間は、更新を続け、新たな情報も追加していくという。パンデミックが無事に終息したら、サーバーを停止し、COVID-19とSARSやスペイン風邪を比較したサイトを作成するかもしれないという。この統計情報は人々がコロナウイルスについて振り返ることのできる歴史の一部になる可能性があると、彼は考えている。

 シフマン君のサイトには、一般の人がCOVID-19について知りたいであろうすべての情報が網羅されている。世界保健機関(WHO)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、その他の政府機関のウェブサイトから集めたデータに基づき、世界各国の感染者数、死亡者数、回復者数、変化率などの統計情報が、常に更新されている。新たな機能も頻繁に追加されており、生存確率を計算できる機能もその1つだ。さらに感染者の統計情報を国別に表した地図や、手の洗い方、症状のチェックリストといったウイルスに関する基本情報も掲載されている。

 シフマン君は自ら作り上げたサイトを誇りに思っているが、パンデミックに乗じて名前を売り込むような人にはなりたくないという。このようなサイトは「将来的にはWHOが責任をもって作ってほしい」と彼は言う。

「その辺の子どもが責任を負うべきものではない。だが、統計情報が求められているのは明らかだ」

 確かにこれは重大な責任だ。インタビューの前の晩から当日の朝7時まで、彼は図表のエラーを直していた。これまでにサイト構築に費やした時間は、少なくとも数百時間になるという。50時間連続で作業を続けたこともある。「生活を乗っ取られたみたいだ」と彼は言うが、すぐに「喜んでそのプレッシャーを引き受ける」と付け加えた。

 サイトの統計情報は全世界をカバーしているため、いつでも誰かがチェックしている。毎日、世界中すべての国の人が訪れることは「クール」だと彼は感じている。だが、数値の確認にずっと時間を費やすわけにもいかない。もし就寝中にサイトに問題が発生したら、何百、何千と送られてくるメールに起こされる。このサイトを立ち上げたことに対する責任を、彼は真剣にとらえている。

「私は本当にひどい高校生だった。このサイトの人気が出てきた頃、2週間も学校を休んでしまったんだ」

 サイト構築に集中して、運営を軌道に乗せるためだった。

 このサイトの人気は非常に高く、訪問者は毎日約3000万人だ。これまでのトータルでは7億人に上る。そのため、サイトへ広告掲載のオファーがあってもまったく不思議ではない。実際にサイトの運営を維持することで800万ドル(約8億6000万円)というオファーもあったが、シフマン君は断った。また、自分で広告枠を設置して募集すれば3000万ドル(約32億1000万円)以上稼いでいたかもしれないが、それはこのサイトが目指すところではない、とシフマン君は言う。

「私はまだ17歳だ。800万ドルもいらない…利益をあげようとは思っていない」

 広告については、みんなが聞いてくることもあって、はじめは話したくない様子だったが、やがて自分の考え方について語り始めた。シフマン君は、サイトを売却したことでコントロールできないものになってしまい、ポップアップなどでユーザーインターフェイスが台無しにされたりするのを望んでいないと言う。契約でサイト維持の義務を負うことや、意に沿わないことをさせられたりするのも嫌だった。また彼は世界各国からアクセスしてくる訪問者の多くがあまり速くないインターネット回線を利用しているのを知っていたので、広告やトラッキングシステムを付加すると読み込みが遅くなり、使えないサイトになってしまう可能性もあるとも考えた。

 サイトでは寄付金の募集もしているが、当然ながら800万ドルには届かない。

「将来のために、汚点となるようなことはしたくない。私の決断について、いずれ後悔することになるだろうと言う人もいる。だが私には、将来やりたいことがたくさんある」

 彼はすでにマイクロソフト(Microsoft)などの企業から仕事のオファーを受けているが、今はそういった仕事には興味がない。また、自分のプロジェクトを今後も続けていきたいので、仕事でコーディングをした後に「さらにコーディングをする気にはとてもなれない」という。それよりも、今回のプロジェクトで築いたコネクションをもっと大事にしていきたいという。

「たくさんのベンチャーキャピタルや投資家と知り合うことができた。もし私が明日会社を作ったら、少なくとも事業計画書くらいは読んでくれると思う」

 今のところ、彼が一番興味を感じているのは、セキュリティ関連企業のクラウドフレア(Cloudflare)とのコネクションだ。シフマン君はサイトをDDOS攻撃から守るために同社のサービスを使用している。CEOのマシュー・プリンス(Matthew Prince)は、ツイッターでシフマン君と交流したり、クラウドフレアのTシャツを贈ったりしている。

 シフマン君は、ビル・ゲイツ(Bill Gates)と語り合うことを夢見ており、特に興味を持っているのはテクノロジーと公衆衛生の関わりだ。

ポンペオ国務長官中国は悪辣な独裁政権習主席を名指し批判

WoW!Korea 2020年5月21日(木)8時31分配信

マイク・ポンペオ米国務長官は20日(現地時間)中国政府を「悪辣な独裁政権」と呼び、圧力のレベルを上げた。

ポンペオ長官は習近平中国国家主席の世界保健機構(WHO)の演説を批判し、中国が懸念している香港と台湾問題も取り上げて論じた。米国が中国を非難する過程で習主席を直接取り上げたことはかなり異例なことである。

ロイター通信によると、ポンペオ長官は「新型コロナウイルス感染症に集中するあまり、中国が1949年以降、悪辣な独裁政権により統治されてきたという基本的な事実を見逃してはならない」という発言で記者会見を始めた。

ポンペオ長官は「我々は中国が自由主義国家に対して理念的にも政治的にもどれほど敵対的であるのかをかなり過小評価してきた。全世界がこの事実に気づき始めている」と指摘した。

また「(中国の)共産党は生きているウイルスのサンプルを破壊し、新型コロナの発源地に対する独立的な調査を求めているオーストラリアに対して経済的報復で脅している。全く正しくない」と批判した。

香港については「香港で何が起こっているのか注視している」とし「今週、親民主派議員たちが親中派議員たちによる不正行為を止めさせようとして攻撃を受けた。このような行動は香港が中国本土から高度の自治権を維持しているという評価を一層難しくしている」と指摘した。

台湾については「台湾の民主主義が世界のモデルとして上昇している。台湾は外部の強い圧力にもかかわらず、国民に発言権と選択権を与える知恵を発揮した」とほめたたえた。

共通の中国、米国台湾本気のタッグ組む

JBpress 2020年5月21日(木)8時00分配信/福島香織(ジャーナリスト)

 台湾総統に再選した蔡英文の就任式が5月20日に行われ、正式に2期目政権がスタートした。

 就任演説はインターネットでもライブで配信された。注目の中国との関係については「和平、対等、民主、対話」の8文字を改めて強調し、「北京当局が一国二制度によって台湾を矮小化し、台湾海峡の現状を破壊することは受け入れらない。これは我々が断固として変わらずに堅持する原則である」と、中国の一部になることを完全に拒否。憲法改正や国名変更という、中国が台湾武力統一に動くとされる「最後の一線」はさすがに超えなかったが、かなり強気の内容だ。

 中華民国憲法については引き続き順守し、「両岸人民関係条例をもって両岸事務(中台関係)を処理する」として、中台関係の現状維持を望む姿勢を示した。経済については、米、日、欧州との貿易、投資保障協定を努力目標に挙げ、中国依存脱却の方向性を打ち出した。

ポンぺオ国務長官が異例の祝賀メッセージ

 今回の蔡英文政権2期目就任式で、最大の注目点は米国のポンペオ国務長官が祝辞を送ったことだろう。5月19日、米国在台湾協会(AIT)を通じて発表され、ほぼ同時にポンペオ長官自身のツイッターの公式アカウントでも発表された。

 米政府高官が台湾総統の就任式に公式のメッセージを送ったのは初めて。しかもその内容が興味深い。メッセージを訳してみよう。

 「蔡英文博士が2期目の台湾総統任期を開始するにあたりお祝い申し上げます。彼女の大差をつけての再選は、彼女が台湾人民の尊重と敬服と信任を得ていることを示しています。台湾の活気ある民主主義を導く彼女の勇気とビジョンは、地域と世界にとっての励みです。

 米国は長きにわたって台湾を、世界の幸福のための力であり頼りになるパートナーだと認めてきました。米国が台湾を支持することは両党の一致するところであり、最近“台北法”が可決されたことでも、この一点が証明されました。この法案は我々全体の関係を強化し、同時にさらに緊密な経済パートナーシップの建設を支えることでしょう。私たちは、法の支配、透明性、繁栄、すべての人のための安全保障を含む地域のためのビジョンを共有しています。最近の新型コロナウイルスの感染爆発は、台湾の感染への対応モデルが模範に値するものだということを国際社会に知らしめる良い機会を提供しました」

 「舵をとるプレジデント蔡とともに、台湾とのパートナーシップは繁栄し続けていくだろう」という一文もあり、呼びかけの敬称こそDr.(博士)ではあるが、蔡英文をプレジデント扱いし、はっきりと台湾を米国の頼りになるパートナーと言及した。米国の台湾に対する関係の踏み込み方は、星島日報など香港メディアも「尋常ではない」と報じている。

 だが、決して意外なことではない。なぜなら、米国と中国の対立が先鋭化する中、台湾を米国のパートナーとしてしっかりつかんでおくことが、この先、大統領選を目前とした米国の内政にとっても、世界の5G覇権競争の雌雄を決するという意味でも、鍵となるからだ。

台湾をWHOから弾き出した中国

 トランプ大統領が秋の大統領選挙で苦戦を強いられる要因となるのは、新型コロナウイルスへの対応に対する世論の判断だ。新型コロナウイルスはベトナム戦争を超える死者を出し、リーマンショックをはるかに超える大不況をもたらすとの予測が流れている。その責任をトランプ政権が負うのか、それとも「ウイルス発生源」であり、初期に重大な隠蔽をした中国、その中国のいいなりになって隠蔽に加担したWHOに負わせることができるのかが、1つのポイントになる。

 トランプとしては、中国政府の隠蔽とWHOの機能不全がパンデミックの最大の責任を負うことになるという国際世論を形成したい。だからこそ、WHOから弾き出されながらも、その政治的リーダーシップで感染を最短最低限の流行で抑え込んだ台湾蔡英文政権を強く支持する意味がある、というわけだ。

 台湾はたとえ国家として国際機関に承認されていなくとも、人道的な観点からはWHOへの参加は当然認められてしかるべき話だ。実際、2016年までは認められてきた。今、中国がかたくなに台湾のオブザーバー参加に反対しているのは、蔡英文政権だからだ。だが、蔡英文政権は公平公正な民主選挙で選ばれた政権である。それを理由に拒否するとしたら、WHOは政治的理由で2300万人の健康と安全を見捨てる、ということである。

 5月18日に開幕した世界保健機関(WHO)の最高議決機構(WHA)の年次総会(オンライン会議)で、米保険福祉省長官のアザールは2分の持ち時間の意見表明のなかで25秒を使って、こうしたWHOの台湾排除の問題点を訴えた。

 結果的には総会で、台湾のオブザーバー参加への審議は中国の強い意向によって延期された。同時に、総会の開幕式のとき、習近平がオンラインで短い演説を行い「今後2年にわたり、WHOを通じて世界の貿易努力をサポートするために20億ドルを支援する」と表明したことはあまりにあからさまだった。結局、WHOはチャイナマネーに手懐けられ中国の宣伝機関に成り下がっているということが露呈した。

 ちなみにこの夜、トランプがテドロス事務局長に送った書簡の中身をぶちまけていた。「もし、WHOが30日以内に実質的に改善できないのであれば、米国はWHOに対する拠出金を恒久的に停止、米国もWHO脱退も考えている」。

 台湾は2019年12月末の段階で、中国でSARSのように人-人感染を伴う感染症が起きている可能性について警告の書簡をWHOに送っていた。だが、WHOはこれをまともに受け取らず、中国の報告を鵜呑みにして1月19日まで人-人感染の証拠はないという立場を維持していた。このことが、その後のパンデミックにつながったのではないか、という疑いは各国の専門家たちも持っている。

 中国の政治的立場を忖度するあまりに台湾を排除し続け、結果的に世界中の人々の健康と生命を危険にさらしたとしたら、WHO自身がWHO憲章を裏切ったことになり、その存在意義はなくなってしまう。そしてWHOと関係ない台湾が、世界に先駆けて感染を鎮静化させたのだったら、台湾の予見と判断はWHOより正しかったのだ。台湾の知見が共有できる新しい保健衛生機関があれば、そちらの方が世界に貢献できそうだ。

半導体が左右する5G覇権競争の行方

 台湾が米国にとって鍵となるもう1つのテーマは、5G覇権競争だ。

 中国はポストコロナの経済復興シナリオの中心に、通称「新基建」と呼ぶデジタルインフラ建設投資を中心に置いている。すでに本コラム(「『新基建』政策でコロナ後の世界を牛耳る中国の野望」)で説明したが、5G基地局建設を中心にした壮大な産業構造変化を見込んだシナリオだ。だが、このシナリオを遂行する最大の難関は半導体の国産化だ。中国の半導体国産化は2018年半ばで15%程度、目標値としては今年中に自給率40%達成、2025年までに70%を達成するとしている。だが、中国の国産チップメーカーで一番期待されている長江ストレージ(YMTC)が執念を燃やすも、目標到達はかなり困難な道のりだ。

 その間、ファーウェイはじめ5G基地局建設を支える中国IT企業の生命線は、世界最大の半導体ファウンドリ、TSMC(台湾積体電路製造有限公司)に握られることになる。だが米国は5月15日、米国製の製造装置や技術を使って海外で生産・開発された半導体製品を、ファーウェイに販売することを規制する決定を発表。昨年5月の規制では、米国部品の使用料が25%以下であれば、輸出できたが、それもできなくなった。TSMCもやむなくファーウェイからの新規受注を停止せざるを得なくなった。

 その代わり、なのか、米政府の120億ドルの支援で、アリゾナへのTSMC工場誘致が発表されている。これは米政府のファーウェイ潰しとして、大きく報道されているが、同時に台湾経済の中国依存を米国依存に替えていこうという蔡英文政権の意向に沿ったものでもあるだろう。

 台湾の企業も有権者も、米中新冷戦構造の中でどちらかを選ばねばならない時代の転換期にきているという意識をもっている。その問いかけで出した答えが、蔡英文の再選であり、TSMCの決断だということだ。

 実際、TSMC関係者が、今回の米国での工場建設について、「米国で生産する場合人件費は割高で、コストも高くなるし市場競争力も落ちるだろうし、けっして良いビジネスではない」と台湾メディアにコメントしている。だが、いかなる企業も「政治的要素を考慮しない決策はありえない」という。

 噂によると、TSMCの内部では、中国のサプライチェーンから脱却して米国に乗り換えるのは投資効率が悪いため抵抗があったが、蔡英文がTSMC幹部らと密会し頼み込んだことで最終的に決断した、という。もちろん蔡英文サイドはこの噂を完全否認している。だが、蔡英文とTSMCの創始者・張忠謀の仲がいいことは周知の事実であり、多くの人々がまんざらフェイクニュースでもないと見ている。

米国と台湾、本気のタッグで中国に対抗

 蔡英文は就任演説で、経済戦略として六大核心戦略をあげ、その筆頭に「半導体と通信産業の優勢を利用して、世界サプライチェーンの核心的地位を築く」ことを掲げた。また「5Gと結びついた発展」と「国家安全、サイバーセキュリティ」を挙げ、「自らを守り、世界に信頼される、セキュリティシステムと産業チェーン」を発展させる、としている。

 さらに「誰が依存から脱却できるか、誰が国家の製造発展のチャンスを先につかむか。すべての産業界の友人に安心してほしい。政府は産業を孤立させない。この先数年、私には戦略がある」と述べている。どんな戦略かは後々にわかるだろうが、全体のニュアンスとしては、半導体産業を最大の武器にして、「国家安全、セキュリティ」を重視したサプライチェーンの再構築を見越しているようでもある。わざわざ国家安全に言及しているということは、そのサプライチェーンの中心に中国はいない、と推察される。

 5G覇権戦争の行方は正直まだ不明だ。個人的には米国サイドの勝利を祈っているが、中国も米国からの半導体部品供給が絶たれることは昨年から覚悟して、かなり半導体の在庫を積み上げているともいわれる。必要は発明の母ともいわれる通り、米国からの兵糧攻めで、むしろYMTCの半導体国産化スピードは加速している。

 だがここで注目したいのは、米国と台湾が本気でタッグを組んで、中国に相対する姿勢をみせたということだろう。

 米国はWHOからの離脱までほのめかせて台湾を擁護し、台湾を含めた新たな国際社会の枠組みを構想し始めているようだ。台湾も経済界を含めて中国依存からの脱却を選択し始めている。トランプが11月の大統領選に負ければ、台湾の未来も道連れになるやもしれない。それでも、台湾の有権者が選んだ政権は、米中が対立した場合、自由と民主を共通の価値観として持つ米国を選択するという意思表示を見せた。

 習近平政権の恫喝に追い詰められた結果とはいえ、この台湾の潔さと勇気は、日本の政治家や財界人もちょっとよく見てほしい。

米国台湾への魚雷売却を発表=蔡英文総統2期目入り直後

フォーカス台湾 2020年5月21日(木)13時25分配信

 米国務省は現地時間20日、台湾への魚雷18発の売却を承認したと発表した。すでに議会に通知したとしている。魚雷とその関連設備など、売却価格は1億8千万米ドル(約194億円)に上る。蔡英文総統の2期目就任直後の発表となった。国務省の政治軍事局はツイッターを更新し、蔡政権の2期目入りに歓迎の意を表明。台湾の防衛を支持する姿勢を示した。

 国務省は声明で、台湾への武器供与の法的根拠となっている「台湾関係法」にのっとった売却だと説明。台湾の軍事力の近代化や防衛能力の維持は米国の利益にかなうとの立場を示し、今回の売却が地域の基本的な軍事バランスを変えることはないと強調した。

 呉釗燮外交部長(外相)は21日、米国が台湾の安全に対する保証を行動で示したと評価。台湾の潜水艦の自主建造計画の支持の表れだと述べた。

ついに断交まで口にしたトランプ大統領 の本気度

JBpress 2020年5月20日(水)8時01分配信/古森 義久(産経新聞駐米客員特派員)

 米国のトランプ大統領が、新型コロナウイルス拡散に関する中国の責任を厳しく追及している。中国への批判は日増しにエスカレートし、ついに中国との関係の全面断絶をしてもよい、とまで発言した。

 中国側はこの発言に対して「トランプ大統領は正気を失った」と激しい反発をみせながら、懸念もちらつかせる。さて、このトランプ発言をどう読めばよいのか。米中関係はどうなるのか。

断交という言葉をはっきり口に

 トランプ大統領が中国との断交という言葉をはっきりと口にしたのは、5月14日、FOXビジネスネットワークのテレビインタビューにおいてだった。トランプ大統領は中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が米国に大被害をもたらしたことへの対応について問われて、次のように答えた。

 「ウイルス問題での中国への対応にはいろいろな道があるが、対中関係をすべて断交することもできる」

 この発言は、米国が受けた新型コロナ感染被害は中国政府の隠蔽工作などに責任があるという前提に立った対中抗議だった。トランプ大統領は中国政府への非難として賠償金の請求や経済交流の縮小など様々な応策を論じてきたが、断交はそのなかの究極の手段ということになるだろう。あくまでも多様な手段のなかでの究極の可能性として提起したわけだが、それでも「すべての関係のcut off(断絶)」という言葉を明確に使った意味は重い。

もはや貿易交渉よりもウイルス問題が重要

 この発言の根底にあるのは、新型コロナウイルス感染拡大に関する中国への激しい怒りだった。同大統領はその怒りをすでに公の場で何度も表明してきた。5月6日の次の発言がその代表例である。
 「コロナウイルス感染は米国内で決して起きるべきではなかった。発生源である中国の内部で阻止できたはずなのだ。だが、阻止されなかった。そのことに私は強い怒りを覚える」

 FOXインタビューのなかでも、コロナウイルス感染に関しての中国への怒りや失望を、次のように熱をこめて語っていた。

 「この感染症の拡大の責任は中国政府にある。感染拡大をコントロールすべきであり、実際にできたのに、しなかった。中国政府がウイルスの抑制をしないという決定を実際にしたのかどうかはわからないが、現実には抑制はされなかったのだ。この点について米国は大量の情報を持っている。ウイルスが中国の研究所から出てきたのか、それともコウモリからの発生なのか、まだ確定はできないが中国で発生したことは間違いない。中国はそれを防ぐべきだった」

 「私は中国に深く失望している。中国と貿易交渉を続けてきて、この1月にはやっと第一段階の合意を成立させたところだった。だがその直後にこのパンデミックが中国から米国を襲った。私は中国に対して、これまでのような気持ちは抱けない。習近平主席とは良好な関係を保ってきたつもりだが、今はもう彼と話す気はしない」

 周知のようにトランプ大統領は就任以来、中国への強固な政策をとり続けてきた。まず経済面で中国の「不公正な貿易慣行」を是正することを最大目標に掲げ、同時に歴代政権の中国への「関与政策」を捨てて、中国の軍事膨張や経済攻勢、人権抑圧などを抑止する政策を強化してきた。その結果、米中関係は対立の方向へ大きく傾いていたが、貿易問題ではやっと第一段階の合意がまとまり、1月15日にその合意の調印をしたところだった。

 だが皮肉なことに、その翌日の1月16日に米国で初の新型コロナウイルス感染者が確認された。武漢から戻った中国系の米国在住男性だった。そして米国でのコロナウイルス大感染が始まったのだ。

 トランプ大統領の新型コロナに関する対中攻撃の言葉は、当初は抑制的だった。それは対中貿易交渉への配慮があったからだと推測される。だがトランプ大統領にとって、中国との間ではもはや貿易交渉よりもウイルス問題の対処がずっと重要になったという。これはアメリカの対中政策の歴史的な変化といってもよいだろう。

 FOXインタビューのなかでトランプ大統領は、新型コロナウイルスの拡散を防げなかった中国への懲罰的な措置として、中国人学生の米国の大学への留学の規制、中国企業が米国株式市場に上場する際の会計監督基準の強化、中国からのサプライチェーンの離脱、といった多様な手段について語っていた。そしてその究極の手段として挙げられたのが「中国とのすべての関係の断絶」だった。だから、断交という言葉だけを取り上げて、単なる放言とみなすことはできないのである。

中国政府はどう受けとめたのか

 このトランプ大統領の「対中断交発言」への中国側の反応も興味深かった。中国政府の公式の反応は、少なくとも当初は驚くほど抑制されていた。外務省報道官は5月15日の記者会見で次のように述べた。

 「安定した中米二国間関係は中国と米国の両方の国民の利益に寄与しており、米国はその安定した関係の保持のために中国と協力を続けていく必要がある」

 非常に模範的な穏健な声明だった。米国大統領の過激きわまる発言に対して中国政府は公式には、まあまあ、そう興奮せずに、とたしなめるような抑制された対応をみせたのである。

 しかし推測を働かせれば、米中断交というような衝撃的な事態はとにかく避けなければならないという懸念、さらには現在の時点で米国との間で本格的な衝突は引き起こしたくないという配慮があったとも考えられる。いまの米中両国間の対立や衝突ではまだ中国側が弱い立場にあり、全面的な激突は避けたい、という計算はこれまでの中国政府の態度に散見されてきた。

 しかし、官営メディアの反応はまったく異なっていた。中国政府の意向を紹介する新聞「環球時報」は5月15日の長文の記事で今回のトランプ発言を報じ、中国側の専門家たちの意見を載せていた。そのなかで、上海の復旦大学米国研究センターの信強教授は次のように論評した。「トランプはまたもナンセンスを語った。正気を失っているようだ。中国との関係の断絶など、米国の政治家や実業家、そして国民が許すはずがない。トランプがもし正気だとすれば、こんな発言は単なるはったりであり、中国側を脅して、対米政策面での譲歩や軟化を勝ち取ろうと意図しているのかもしれない」。まるでトランプ大統領の精神状態に疑問を呈するような過激な反撃である。

 また、北京の人民大学国際関係学部の金灿荣教授は同記事のなかで次のように語った。「トランプ大統領は非常に無責任で感情的な発言をした。そもそも中米関係は世界で最重要な二国間関係であり、両国の基本的な利益だけでなく全世界の利害関係に関わっている。万が一、米国が一方的に対中関係を断絶するようなことがあれば、中国よりも米国の国民がずっと大きな犠牲や代償を支払うことになる。中国の市場は巨大であり、生産拠点としても最大であり、その喪失は米国にこそ測り知れない損害を与えるからだ」

 こうした中国側の硬軟両方の反応は、今回のトランプ発言を中国政府が真剣に受け止めた結果だともいえそうだ。同時に、トランプ大統領が中国への敵意をますます強めたという現実は、今後の米国の対中政策がますます強硬化、厳格化していくことの予兆といってよいだろう。

アメリカ国民の25  コロナワクチンに無関心  安全性に懸念=調査

ロイター 2020年5月22日(金)2時04分配信

 ロイター/イプソスが21日に公表した調査によると、約4分の1の米国民が新型コロナウイルスのワクチン接種に興味を持っていない。かつてないほどの速さで開発が進んでいることで安全性が問われるとの不安の声もあった。

 医療専門家が通常の生活に戻るためにはワクチンが必要と唱える中、調査はトランプ政権に対する不信感がある可能性を示唆する。トランプ政権は既に、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)中の安全指導が矛盾することが多いとの批判を浴びている。

 回答者の36%は、トランプ米大統領がワクチンが安全と述べた場合、「ワクチンを接種する気がなくなる」とした。「接種する気になる」との回答者は14%だった。調査は5月13─19日に実施し、米国の成人4428人が回答した。

 大半の回答者は 米食品医薬品局(FDA)による指導や、ワクチンの安全性を示す大規模な科学的調査があれば考えが大きく影響されると述べた。

 ワクチンに「非常に」もしくは「いくぶん」興味を持っているとの回答は3分の2を下回った。新型ウイルスの関心の高さや、米国だけで9万2000人超が死亡したことを踏まえると、興味を持っている人はもっと多いと予想していたと専門家は言う。

 米バンダービルト大学医療センターのウィリアム・シャフナー教授(予防医学・感染症)は「新型ウイルスの注目度を踏まえると、予想より少し少ない」と述べる。「75%辺りとみていた」と語った。

 14%がワクチン接種に「全く興味」がないと回答。10%は「あまり興味がない」とした。11%は「分からない」と答えた。

 専門家は、ワクチン接種もしくは以前の感染により最低70%の米国民が免疫を持っていない限り、いわゆる「集団免疫」を獲得することはできないとしている。集団免疫は、ウイルスに対する抗体を持った人が増え感染が拡大しにくくなる状態を指す。

 トランプ大統領は年末までにワクチンを開発すると公約している。ワクチンを開発し、安全性や効果を確かめるためには通常10年以上かかる。多くの専門家は完全に試験を終え政府が承認したワクチンが広く接種可能になるのは早くとも21年半ばとみている。

 世界中で100以上のワクチン候補が開発段階にある。臨床試験を開始しているものもある。バイオ医薬大手の米モデルナ<MRNA.O>は今週初め、新型ウイルスワクチンが参加者8人という小規模な初期段階の治験で有望な結果を示したと発表した。

 ワクチンにあまり興味がない、もしくは全く興味がないとした回答者のうち半分近くが、開発の速さを不安視していると述べた。40%超が、新型ウイルス感染症よりもワクチンの方がリスクが高いとの見方を示した。

 トランプ政権はワクチンの開発を「ワープ・スピード(超高速)作戦」と名付けている。政権が開発の速さを重視していることで安全性が犠牲になっているとの不安が漂っている可能性があると専門家は指摘する。

 調査からは、パンデミックの見解について国が二極化していることが浮き彫りとなった。ワクチンに興味がないと回答した共和党派は5分の1近くと、民主党派の2倍以上に上った。共和党のトランプ大統領は危機のさなか、矛盾するメッセージを発信してきた。パンデミックの深刻さを軽視し、自身の政権が出した外出自粛勧告に対する抗議活動をあおる局面もあった。

関連エントリ 2020/05/19 ⇒ 【日経平均】3日続伸<暴落後✍戻り高値を更新>ワクチンの開発進展を好感
関連エントリ 2020/04/25 ⇒ 【コロナショック】世界の今<ワクチン開発✍競争>進捗状況

 

2020年5月20日 (水)

【緊急事態宣言】東京の重症者病床使用率は大阪より低かった!?

【新型コロナ】東京都重症者病床使用率大阪を下回る 正確なデータ公表せず

Yahooo!コラム 2020年5月19日(火)14時01分配信/楊井人文(FIJ事務局長)

 東京都が新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れるための病床を、都内で約400確保し、5月18日現在の重症者の病床使用率は13%にまで低下し、大幅な休業要請緩和に踏み切った大阪府(19%)を下回っていたことがわかった。

 大阪府が5月初めに出口戦略の「大阪モデル」として設定した休業要請解除の一つである「重症者病床使用率 60%未満」という基準も、東京都は大きく下回っていることになる。

 18日夜、都福祉保健局の感染症対策課長が筆者の取材に対し、公表されていない重症者病床の確保数を明らかにした。公表していない理由については「国から報告を求められていなかったため」と釈明。一方、大型連休明けの5月11日まで都が発表していた入院者数は実際より大きく上回り、正確でなかったことも認めた。

(既報)【新型コロナ】入院患者が4割減少 東京都の病床使用率も50%以下に改善(2020/5/17)

政府方針の「医療提供体制の情報提供」は未実現

 政府は基本的対処方針(14日改定)で、緊急事態宣言の解除の判断要素の一つに「重症者が増えた場合に十分に対応できる医療提供体制が整えられているか」を明記。「医療提供体制及び検査体制に関するわかりやすい形での情報の提供」を行うとしている。

 しかし、実際に医療提供体制がひっ迫しているかどうかを表す客観的な指標がいまだに公表されず、メディアの誤報を招く実態が浮き彫りとなっている。

 都は特設サイトで日々の感染者の状況を発表しており、5月11日まで「陽性者数」を「入院中」「死亡」「退院(療養期間経過を含む)」に大別して人数を発表していた。

 ところが、都福祉保健局の感染症対策課長によると、「入院中」にはホテルや自宅で療養している軽症者や未把握の退院者も含まれていたという。確かに、「入院中」は「入院調整中・宿泊療養に移行した方を含む」「退院者数の把握には一定の期間を要しており、確認次第数値を更新している」との注意書きが掲載されていた。

 同課長によると、個別の精査を行った結果、5月12日からようやく正確な数字を発表できる態勢になったというが、それまでは実態と異なる数字を発表していたことになる。同課長は取材に対し「退院者の把握などに時間がかかった。何も発表しないよりいいだろうということで(不正確なデータを)発表していた」と話した。

 たとえば、緊急事態宣言延長前の5月6日は「2974人」が「入院中」と発表していたが、実際はその約半分の「1511人」であったことが判明。都は12日ごろ厚労省に修正報告し、厚労省が16日、正確な数値を発表した(詳しくは、既報参照)。

 だが、NHKは12日時点で東京都だけが依然、医療提供体制がひっ迫しているかのように報じていた(現在も未訂正)。政府の専門家会議も、宣言延長決定直前の5月4日の見解で、依然として「入院患者を引き受ける医療機関への負荷は現状でもぎりぎりの状況にある」との認識を示していた。

 東京都は5月1日までに、軽症者を受け入れるホテルを約2800室確保しており、医療提供体制は大きく改善していた可能性がある。だが、政府の専門家会議も、病床のひっ迫状況について正確な情報を把握できていなかったとみられる。

 この問題について、厚生労働省の健康局結核感染症課の課長補佐は取材に対し「東京都から間違った報告がなされていたことは大変残念」とコメント。重症者病床の確保数についても、これまで各都道府県に報告を求めていなかったことを認める一方、「現在調査し、取りまとめ中」であることを明らかにした。

追記

 厚生労働省は19日、重症者病床数を初めて発表した。

日本人の“思いやり”と“潔癖症”が奏功か コロナ対策で「奇跡的な低死亡率」を実現した日本の不思議

FNN PRIME 2020年5月18日(月)18時00分配信

日本のコロナ対策と結果は「奇跡的

「日本の中途半端なコロナウイルス対策がなぜか功を奏している」

米国の外交専門誌「フォーリン・ポリシー」電子版に14日こう題した記事が掲載された。

「コロナウイルスとの闘いで、日本は全てやってはいけないことをしてきたように思えた。例えば、テストは人口の0,85%しか行っていないことや社会距離の取り方も中途半端だし、なによりも国民の大半は政府の対応に批判的だったのだが、その死亡率は世界で最低だし医療崩壊も起こさず感染者の数は減少しており、不可思議なことながら全てが正しくいっているように思えるのだ」

記事は、14日現在で日本のコロナウイルスによる死者が687人、人口比で100万人中5人に当たり、米国が100万人中258人、スペインは584人、独でさえ94人であるのに比べて極めて少ないのは奇跡的だとしている。

記事は、日本の死者数は検査数が少ないため過小評価されているかもしれないとしながらも「他に肺炎などの死者が急増した兆しもない」という日本の医療専門家の話を紹介している。

秘密は「思いやる気持ち」や「潔癖症」?

それが「強制」ではなく、政府の「要請」で達成されたことに記事は驚く。特に政府が「ヒトとの接触7割から8割減」をお願いすると、ほとんどそれに近い数字が達成され、ゴールデンウィークの新幹線の乗車率が5%ほどだったことを挙げている。

記事は、その秘密は計り知れないとしながらも、日本人に他人を思いやる気持ちが強いことや潔癖性であることが背景にあるからかもしれないと結んでいる。

日本のコロナ対策については「海外から批判続出」などとよく報道されていた。またニューヨーク・タイムズ紙に「日本はコロナウイルスを処理できない。それでオリンピックを開催できるだろうか?」という日本の大学教授の投稿も掲載され、日本は国際的な標準で対応できていないと内外で信じられていた。

「集団免疫」方式を採用したスウェーデン

対照的に評価の高かったのがスウェーデンの対応だった。

スウェーデンは、コロナウイルスの感染を防止せずに多くの国民が感染することで免疫を獲得する「集団免疫」の考えから商店の営業など容認しマスクの着用も義務化されていなかった。全ては国民の「自主判断」に委ねたわけで「封鎖より自主性が奏功」とマスコミに評価されていた。

ところがスウェーデンのコロナウイルスの死亡者は増え続け、これを書いている時点で3674人に上った。人口100万人に360人と人口比では米国を上回った。だからと言ってスウェーデンが間違っていたということにはならないだろう。

国それぞれに国民性や政治のあり方に違いがある以上は対応に差があるのは当然だし、それを他国がとやかく言う権利もないだろう。

ただ「政治は結果だ」というのであれば、コロナウイルス対策がいかに「中途半端」なものであったとしても、その結果死者が「奇跡的」と言われるほど少ないのであればそれなりに評価されるべきだろう。

緊急事態宣言首都圏4都県や北海道継続

共同通信 2020年5月20日(水)21時06分配信

 政府は緊急事態宣言の対象となっている8都道府県について、近畿3府県は解除し、東京など首都圏4都県、北海道は継続する方針を固めた。関係者が20日、明らかにした。

【新型コロナ】報道されない病床使用率 首都圏と近畿圏ほぼ同じ

Yahooo!コラム 2020年5月20日(水)17時45分配信/楊井人文(FIJ事務局長)

 新型コロナウイルス感染症感染拡大による緊急事態宣言の解除をめぐり、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)、近畿圏(大阪・京都・兵庫)をそれぞれ一体として判断するとの議論が浮上し、近畿圏は5月21日にも解除される一方、首都圏は見送られるとの見通しが報道されている。ただ、政府は基本的対処方針で、感染状況、医療提供体制、監視体制の3つの観点から総合的に判断するとしている。メディアは感染状況の報道に偏り、もう一つの重要な判断基準である医療提供体制についてほとんど報道していない(*)

 そこで、最新の情報を取りまとめて、病床確保数・入院患者数を合算したところ、首都圏と近畿圏のいずれも病床使用率が20%でほぼ同じであることがわかった(次の表)。各都道府県の病床数は5月19日に厚生労働省が発表した資料を参照した。

 調査の結果、最も感染者の多い東京都の病床使用率は25.2%で、大阪府・京都府の23.9%より若干高い程度。重症患者に限ると、東京都の病床使用率は12.3%で、大阪府や兵庫県を下回っていることがわかった。大阪府は、独自の「大阪モデル」の自粛解除基準で「重症者病床使用率 60%未満」を掲げており、首都圏の1都3県も全てこれを下回っている。東京都はいまも明確な基準を示していない。

 政府は基本的対処方針で「重症者が増えた場合に十分に対応できる医療提供体制が整えられているか」を重要な判断指標の一つとして明記している。この点に関しては病床使用率でみる限り、首都圏が近畿圏とほとんど変わらない水準であることが明らかとなったと言える。

新規感染者「10万人あたり0.5人以下」が基準との報道は要注意

 主要メディアの中には、政府が緊急事態宣言を解除する際の目安を「直近1週間の新たな感染者数で、10万人あたり0.5人程度以下」と設定し、近畿の2府1県は満たしているものの、東京・神奈川は満たしていないと報道しているものがある(例)。だが、その「目安」が絶対の基準であるかのように誤解を与える恐れがある。

 たしかに、政府の基本的対処方針では、「10万人あたり0.5人程度以下」を目安に解除の要件を満たすか判断するとしているが、よく読むと「10 万人あたり1人程度以下の場合」でも、「減少傾向を確認し、特定のクラスターや院内感染の発生状況、感染経路不明の症例の発生状況についても考慮して、総合的に判断する」と記されている。これは「10 万人あたり1人程度以下の場合」でも解除の可能性を排除しないことを示唆しているものだ。

 実際、西村康稔経済再生担当相は19日午後の参院内閣委員会で「0.5人」を超えた場合でも解除する余地があるとの見方を示している。

 NHKは、19日までの1週間における10万人当たりの新たな感染者数について、東京都は0.6人、神奈川県は0.99人、埼玉県は0.30人、千葉県は0.22人、京都府は0.08人、大阪府は0.27人、兵庫県は0.09人と伝えている。

政府の基本的対処方針(5月14日改定)の一部抜粋

 緊急事態措置を実施すべき区域の判断にあたっては、これまで基本的対処方針においても示してきたとおり、以下の三点に特に着目した上で、総合的に判断する必要がある。

 (1) 感染の状況(疫学的状況)オーバーシュートの兆候は見られず、クラスター対策が十分に実施可能な水準の新規報告数であるか否か。

 (2) 医療提供体制感染者、特に重症者が増えた場合でも、十分に対応できる医療提供体制が整えられているか否か。

 (3) 監視体制感染が拡大する傾向を早期に発見し、直ちに対応するための体制が整えられているか否か。

 これらの点を踏まえ、特定の区域について、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるにあたっても、新型コロナウイルス感染症の感染の状況、医療提供体制、監視体制等を踏まえて総合的に判断する。

 感染の状況については、1週間単位で見て新規報告数が減少傾向にあること、及び、3月上中旬頃の新規報告数である、クラスター対策が十分に実施可能な水準にまで新規報告数が減少しており、現在のPCR検査の実施状況等を踏まえ、直近1週間の累積報告数が 10 万人あたり 0.5 人程度以下であることを目安とする。

 直近1週間の 10 万人あたり累積報告数が、1人程度以下の場合には、減少傾向を確認し、特定のクラスターや院内感染の発生状況、感染経路不明の症例の発生状況についても考慮して、総合的に判断する。

 医療提供体制については、新型コロナウイルス感染症の重症者数が持続的に減少しており、病床の状況に加え、都道府県新型コロナウイルス対策調整本部、協議会の設置等により患者急増に対応可能な体制が確保されていることとする。

 監視体制については、医師が必要とするPCR検査等が遅滞なく行える体制が整備されていることとする。 (太字は筆者。引用元は新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針)

(*) 調査したところ、現時点で、産経新聞5月18日付け記事が確認できる程度。

黒川検事長が辞意 賭けマージャン、法務省調査に認める

朝日新聞デジタル 2020年5月21日(木)5時00分配信

 東京高検の黒川弘務検事長(63)が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が出ている5月初旬に産経新聞記者や朝日新聞社員とマージャンをしていたと週刊文春(電子版)が20日に報じたことを受け、黒川氏が法務省の聞き取り調査に対し、賭けマージャンをしたことを認めたことがわかった。黒川氏は関係者に辞意を漏らしているという。

 森雅子法相は同日、調査内容を官邸に報告した。政府はこうした状況を踏まえ、黒川氏の進退について検討するとみられる。黒川氏をめぐっては与野党から辞任を求める声が上がっていた。

 政府・与党は18日、検察官の定年を政府の判断で延長できる検察庁法改正案の今国会での成立を断念。この問題の発端となった黒川氏の処遇に注目が集まっていた。関係者によると、黒川氏は今国会での成立断念が決まった後、周囲に「自分の人事で国会が混乱した結果責任がある」などと語っていた。

GDP壊滅、歴史的コロナ恐慌か… それでも「緊縮派だらけの 

現代ビジネス 2020年5月18日(月)6時31分配信/髙橋 洋一(経済学者)

コロナ以上に怖い「経済悪化の犠牲」

 本稿が掲載される5月18日、2020年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値が公表される。

 実質GDP成長率について、民間33社のエコノミストの予測平均は前期比▲4.6%(年率換算)。筆者はかなり以前から▲5%と言っていたので、まあこんなものだろう。

 2019年10-12月期は▲7.1%、7-9月期は+0.1%とほぼゼロだったが、それを入れずとも2期連続マイナスで、すでにリセッションだ。

 さらに悲惨なのは4-6月期で、▲25%程度でないかと筆者はかねてより予測していた。となると、昨年7-9月期と比べて▲40%程度である。なお、アメリカでも米議会予算局が4月24日公表した経済見通しでは、1-3月期GDPは▲3.5%、4-6月期は▲39.6%。2019年10-12月期は+2.1%だった。3四半期を合計すると▲40%程度と、日米ともに似たような状況だ。

 もっとも、日本でこれだけGDPが落ち込むのを放置していると、あとで300万人程度の失業が予想され、それによる自殺者が1万人程度増加する。コロナによる死者は1000人程度であろうから、それよりも経済悪化に苦しむ人の方がケタ違いに多いのだ。

 もちろん10-12月期は消費増税の悪影響もあった。それにコロナショックが加わった結果だ。

 コロナショックは消費増税ショックを含めて、需要がなくなることによる「需要ショック」だ。一部の経済学者には、サプライチェーンが分断されることによる「供給ショック」と考えている人もいて、そうした人は「コロナ増税」を主張しがちだ。

 というか、増税論者はいつでも増税ありきなので、その後付けの説明のために、供給ショックであるという体裁をとりがちだ。もちろん、供給も不変ではないが、問題は需要と供給のどちらが大きく落ち込むかということである。

 今回のコロナショックでは、観光業が打撃を受けるとともに、人の移動が制限され、それによる経済活動の停滞もある。さらに、何より重大なのは自粛活動その他により大きく需要が失われたことだ。経済需要の落ち込みはすさまじく、戦後例のない苦境である。遡ると、戦前の大恐慌に匹敵する。

 それでも、18日の朝日新聞は「検察庁法改正『反対』64% 内閣支持率33%」と書いている。まあ、暢気なものだ。これに追随するのが一部野党であるが、つい最近まで、コロナよりモリカケ、桜が重要と豪語していた人もいた。今回もやはり、コロナより検察庁法改正なのだろう。これについては、先週書いたので繰り返さない。

 そんな中、立憲民主党の福山哲郎議員による尾身茂・専門家会議副座長への質問の手法が批判されている。

 11日の参議院予算委委員会で、福山氏は参考人として呼んだ尾身氏の発言を、何度も遮るという暴挙に及んでしまった。国会は、国会議員の議論の場であって、あくまで国会議員は参考人の話を聞く立場だ。

 筆者も度々参考人として国会に呼ばれた経験があるが、議員から意見を遮られたことはない。参考人は日常の業務の時間を割いて国会にわざわざ出向くのだから、国会議員はその話を聞く責務がある。まして、意見を遮るなど言語道断だ。やはりコロナの優先順位は低いということだろうか。

薄日は射してきている

 ただ厳しい状況が続いてはいるものの、感染収束への薄日も見えてきた。先週の本コラムでも言及したが、政府は14日、緊急事態宣言の対象から39県を解除した。

 緊急事態宣言解除の基準について、専門家会議は3つの目安を示した。

 第一は、新規感染者数について、1週間で人口10万人あたり0.5人未満程度、直近1週間の新規感染者数の合計がその前の1週間の数を下回っていること。

 第二は医療提供体制に関するもので、重症者が減少傾向にあり医療体制が逼迫していないこと。

 そして第三は検査体制についてで、PCR検査のシステムが確立され検査件数が極端に少なくなっていないこと。

 要約すれば、適切な検査が行われていて、新規感染者数が医療崩壊を起こさないレベルで低く、かつ減少していれば解除するというもので、標準的な考え方だ。

 「新規感染者数のデータがあてにならないので意味がない」という意見もあるが、得られる情報に制約がある中で、もし全ての患者を捕捉できていなくとも、新規感染者数が全感染者数のサンプリング結果だと思えば、これ以上に使えるデータはなく、現時点ではやむを得ない。

 先日、本コラムでも世界の出口戦略について紹介したが、各国でも基本的には新規感染者数に着目し、医療崩壊を起こさないように各種の基準を作っている。日本の基準もそうしたものと同じ考えであり、評価できる。

 そうした検討の結果、39県で緊急事態宣言の解除に至ったことは、経済の面でも少しずついい方向に向かっている表れだと言えるだろう。

東京はまだ厳しい

 本コラムでは、数理モデルに基づく新規感染者数の予測を毎週公表しているが、最新時点では次の通りだ。3月下旬以降は、感染者数の増減はほぼ筆者の予測したとおりに推移しているが、この予測によれば、気を緩めなければ6月にも薄日が見えるだろう。

Photo_20200521072501

 問題は、緊急事態宣言が発令されたままの残り8都道府県だ。

Photo_20200521072801

 東京都の場合、人口が1400万人なので、1週間の新規感染者数を人口10万人あたり0.5人に抑えるとなると、許容できる人数は70人だ。5月14日までの1週間は180人だったので、まだクリアできそうにない。1週間で70人となると、3月下旬の3連休前の水準だ。この3連休後に感染者数が急増したが、あと1週間でその前の状態に戻るのは難しいだろう。

 ただし、前述した目安とは別の考えも示されている。「直近1週間の感染者数が10万人当たり1人程度以下」の場合は、感染者数の減少傾向を確認し、感染者の集団=クラスターや院内感染、感染経路が分からない症例の発生状況なども考慮して、解除を総合的に判断するとしている。

 これなら1週間で140人程度なので、これは、あと1週間程度で達成できるかもしれない。その場合、「総合的に判断する」余地が残されている。それまでは休業自粛も継続されるのだろう。東京圏や北海道は、感染はある程度抑えられても、経済面ではまだ道半ばだ。

 なお、全国ベースと同じ推計手法を使った筆者による東京都に絞った予測を、今回は公表しておこう。上の見通しはそれによるものだ。

Photo_20200521072901

 大阪府ではどうか。人口900万人なので、1週間で人口10万人あたり0.5人だと45人だ。14日までの1週間で59人なので、今のペースで行けば、すぐにも達成できる可能性がある。

 どうも国の基準は、形式こそ大阪府とは違うが、中身は事実上大阪府のものを後追いしたようなものになっているのが、興味深いところだ。

 なお、筆者による大阪府での推計予測も公表しよう。

 国の基準では、人口10万人あたり感染者数がポイントとなっているが、その他の数字を含めて、都道府県のモニタリング数値は、筆者がアドバイザリーをしている情報検証研究所のブログ(https://johokensho.hatenablog.com/entry/2020/05/14/203547)がよくまとまっている。

「昭和恐慌」で何が起こったか

 コロナの経済ショックが戦前の大恐慌並みになることは、冒頭に述べた。100年前のスペイン風邪から関東大震災、昭和恐慌から日本はどのように抜け出したのか。コロナショックからの脱出を目指すうえで、参考にすべき点は多い。

 昭和恐慌は、1930年から31年にかけて起こった戦前日本の最も深刻な恐慌で、第一次世界大戦による戦時バブルの崩壊を契機としている。

 1920年代、世界の主要国は金本位制へ復帰していたが、その結果として20年代末期から世界大恐慌が起こった。このような状況下で、1929年7月に成立した立憲民政党の濱口雄幸内閣は、金解禁・緊縮財政と軍縮促進を掲げた。

 このマクロ経済政策を、今の言葉で言えば、金融引き締め政策と緊縮財政政策だ。濱口雄幸内閣の事情は城山三郎『男子の本懐』に書かれているので、ご存じの方も多いだろう。

 この本では、濱口雄幸首相は東京駅で銃撃され、非業の死を遂げた英雄として描かれている。その大前提として、「立派な経済政策を遂行した」という見方がある。そして、その信念を男の美学として「男子の本懐」と呼んでいる。

 筆者は40年前、当時の大蔵省に入省したとき、新人研修でこの本を読んで感想文を書かされた。筆者以外の同僚は、「命をかけて己の信念に打ち込むことは素晴らしい」と書いていた。しかし筆者は、金解禁つまり金本位制への復帰をなぜ行ったのかが理解できなかった。だから、「正しいかどうかわからない政策に命をかけるのはいかがなものか」という感想文を書いた。

 その当時、金本位制に復帰することは金融引き締め政策である。これを緊縮財政とセットで行う「しばきあげ」政策は、失業を増加させ、マクロ経済運営においては大きな問題を引き起こすはずだ、とも書いた。

 ユニークな感想だったため、筆者は同僚の前で大蔵省の先輩教官に面罵された。この教官はその後、事務次官になった。さすが、緊縮の権化・財務省ならでの人事だ。

 史実としては、この金融引き締めと緊縮財政政策は政変によって終わった。1931年12月、立憲政友会の犬養毅内閣が発足したが、高橋是清蔵相はただちに金輸出を再禁止し、金本位制から離脱し、積極財政に転じた。

 この積極財政は日銀引受を伴い、同時に金融緩和も実施され、民政党政権が行ってきたデフレ政策を180度転換する「リフレ政策」となった。その結果、先進国の中でも、日本は恐慌から比較的早く脱出できた。

 昭和恐慌は、世界恐慌とともに、需要ショックにより引き起こされた。それには高橋是清が行ったような、日銀引受を伴う金融緩和と積極財政が最も有効な処方箋だ。

 今回のコロナショックも、世界的なサプライチェーンの寸断という「供給ショック」も確かにあるが、人の移動制限とビジネスの停止による急激な需要喪失という「需要ショック」の面がむしろ強く、昭和恐慌と同様な経済対策が必要だ。
この期に及んで緊縮派ばかり…?

 それなのに、コロナ対策会議に入った経済学者は、財政緊縮派ばかりだ。担当の西村経済財政相は、その辺りを気にして、次のようにツイートしている(https://twitter.com/nishy03/status/1260574893298585602)。

 西村やすとし#ステイホーム@nishy03・5月13日

 コロナ対策の諮問委員に任命した小林慶一郎氏は財政再建至上主義者との評価がありますが、任命に際し本人と何度も話しました。最近の氏の論文では、今は財政再建にこだわらず国債発行してでも厳しい現状にある人の支援を行うべきと、財政支出の重要性を主張しています。経産省の後輩でもあります。

 この西村大臣の意見が正しいとすると、小林氏の学者生命が危ない(笑)。

 東日本大震災の後に小林氏が主張していた、復興増税とその後の歳出カット論は、反省してすむような話であるまい。

 

2020年5月19日 (火)

【日経平均】3日続伸<暴落後✍戻り高値を更新>ワクチンの開発進展を好感

〔東京株式〕大幅3続伸コロナ暴落後最高値

時事通信 2020年5月19日(火)15時30分配信

 米企業による新型コロナウイルスのワクチン開発の進展を好感して日経平均株価は前営業日比299円72銭高の2万0433円45銭と大幅に3営業日続伸し、3月の「コロナ暴落」後の最高値を付けた。東証株価指数(TOPIX)も26.76ポイント高の1486.05と3日続伸。

 77%の銘柄が値上がりし、20%が値下がりした。出来高は15億8951万株、売買代金は2兆5408億円。

一時500円超高

 19日の東京株式市場は、新型コロナウイルス向けワクチン開発の進展を材料に米国株が急騰した流れを引き継ぎ、幅広い銘柄が値上がりした。日経平均株価は上げ幅を一時前日比500円超に拡大し、3月の「コロナ暴落」以降の最高値で取引を終えた。

 自動車や電子部品、銀行など景気動向を反映しやすい業種に買いが集まった。国内で経済活動再開が進んでいることも株価上昇の要因となり、航空、鉄道会社の株式も値上がりした。「海外投資ファンドや個人の短期投資が一斉に買い戻しに動いた」(中堅証券)との指摘があった。

 ただ、日経平均が2万0500円を超える水準では売り物が厚かった。「運用リスクを回避したい国内金融機関が売りを出した」(銀行系証券)とみられる。225先物は2万0430~2万0660円で推移し、高値と安値はともに夜間取引の値幅内に収まった。オプション6月きりはコールが軒並み値上がりし、プットは総じて軟調だった。

〔米株式〕NYダウ大幅続伸、911ワクチン開発期待

時事通信 2020年5月19日(火)6時00分配信

 週明け18日のニューヨーク株式相場は、新型コロナウイルスのワクチン早期開発への期待が広がり、大幅続伸した。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前週末終値比911.95ドル高の2万4597.37ドルで終了した。上げ幅は一時1000ドルを超えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は220.27ポイント高の9234.83で終わった。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は、前週末比1億8060万株減の12億5176万株。

 米バイオ医療品モデルナは18日朝、新型コロナワクチン候補の初期段階の治験について、参加者全員が抗体を獲得し、有効性を示すデータが得られたと発表。ワクチンの早期開発への期待が広がった。欧米では、経済活動再開に向けた動きが継続。感染が深刻だった米ニューヨーク州も一部再開に踏み切った。

 市場では、景気への過度な悲観論が後退し、幅広い業種が買われた。特に、経済再開の恩恵が大きいレジャー関連株や航空株などに買いが集まった。

 デルタ航空が13.9%高、アメリカン航空グループが9.2%高、航空機製造大手ボーイングが12.9%高、カーニバルが15.2%高だった。モデルナは20.0%高と大幅に上昇した。

 米フロリダ州のリゾート施設を20日に一部再開すると伝わったウォルト・ディズニーは7.2%高だった。

 JPモルガン・チェースの5.3%高、シティグループの9.0%高など景気に敏感な金融株の上昇も目立つ。石油需要回復期待から、エネルギー関連銘柄も上昇し、相場をけん引した。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は17日放送された米テレビで「景気への長期的な打撃を回避するためにあらゆる措置を講じる」と改めて表明。必要に応じ、追加措置を検討する構えを見せたことも買いを誘った。

 米自動車メーカーや部品メーカーの北米工場が再開したことも相場を押し上げた。ゼネラル・モーターズ(GM)は9.6%高、フォード・モーターは8.4%高だった。

新型コロナ  恐慌絶対やってこない 

東洋経済オンライン 2020年3月27日(金)6時01分配信

 株価が急回復して、市場のムードはかなり変わった。まだ乱高下しているが、一部では新型コロナウイルスが根絶されたかのような雰囲気だ。

 これが株式市場のいい加減なところだ。いや、それは「市場」という言葉に失礼で、「株式投資関係者」のいい加減なところだ、というのが正確だ。ただ市場とは投資家の集合体でしかないから、結局は、失礼ではあるが、やっぱり正しいのではあるが・・・。

集団は個人よりも愚かである

 「株式市場の価格=株価」が正しくない(企業の収益力を評価した企業価値と常に異なる)のは、自分の都合、期待、欲望で、投資家たちは取引しているからである。

 つまり、彼らの欲望が反映されたのが株価であるから、企業の価値とは無関係に決まってしまうのだ。そんなことを言うのはいまさらなのだが、今回の新型コロナショックによる株価の乱高下ほど、このいい加減さ、自分勝手さが表れていることも珍しい。事例として行動ファイナンスの教科書に載せたいほどだ。

 ここで最も重要なのは「集団は個人よりも愚かだ」、ということである。

 経済学においても、集団による意思決定は様々な困難に直面することが示唆されているが、経済学の理論的な世界をはるかに超えた、群集のあまりに非合理的な変異活動現象が、現実の市場と社会では出現する。つまり集団の圧力、多数決の暴力という形で、社会に襲い掛かるのである。

 【2020年3月27日19時00分追記】「集団による意思決定」にかかわる一部の表現について正確を期すため、初出時から表現を見直して上記のように修正しました。

 最近のもっとも単純な例でいえば、トイレットペーパーである。マスクはともかく、トイレットペーパーが不足する合理的な理由は、普通はない。しかし、人々が品切れを恐れ殺到して買いだめすれば、トイレットペーパー不足は実現する。「トイレットペーパーと新型コロナと何が関係あるんだ」、と高をくくっていた合理的な人々は、トイレットペーパー切れで苦しむことになる。人々が買い占めれば品不足になる合理的な理由がなくても、品不足になる。非合理的な行動が多数を占めれば、世の中は非合理的な結末となるのである。

 株式市場も、もちろん同じで、最初に「新型コロナウイルスが武漢を席巻した」というニュースが1月後半に世界を駆け巡った時、中国国内の人々はパニックになり、中国政府は通常ではありえない強権的な都市封鎖で対応した。だが株式市場はそれを無視し、2月12日にアメリカのNYダウ平均株価は史上最高値を更新した。2月1日に発覚したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の騒ぎも、日本政府の対応を事細かに批判し、アジア極東の出来事として、見物し、批判し、ニュースのネタとしていたのである。

 これらの人々の中に埋もれず、この時点で冷静にコロナウイルスのリスクを判断して、株をカラ売った投資家は、合理的な判断をしたため、大きな損を被ることとなった。

 ところが、3週間後、2月24日からアメリカ株は突如暴落を開始し、3月2日に底打ちをして大きく反転を始めたように見えたものの、3月9日からは、史上最大ともいえる大暴落となった。その後は「壊れたおもちゃ」のように乱高下を繰り返しながら暴落を続け、3月23日からアメリカ政府と議会が史上最大の200兆円を超える経済対策で合意することを見込んで、株価は一転して暴騰を始めた。

株価の動きはすべて市場の多数派の都合で決まった

 ここでの株価の動きは、すべて市場の多数派の都合で決まった動きである。新型コロナのリスクの分析とも、それによる企業業績への影響とも、いわば無関係に決まったのである。

 最初に暴落が始まらなかったのは、株価は長期のバブルが続いていたので「バブルがさらに続いて欲しい」という願望と「今崩壊されては困る」という恐怖が組み合わさって、驚くほど動きのない相場となったのだ。2月23日までは、恐怖に対処するために、暴落に備えて、少しずつポジションを整理し、一方で投げ売りをして損をしないように、相場を崩さないようにバブルをすぐには壊したくないという願望を実現したのだ。

 しかし、そのバランスは2月23日についに崩れ、「崩れてしまえば、とにかく早く逃げ切りたい」という恐怖の中での願望が実現し、大暴落となったのである。

 この相場における「投資家の願望の自己実現」という話は、バブル膨張、崩壊の両側面について、東洋経済オンラインの連載で私が常に書いてきたことで、特に目新しくはない。だが、これほど顕著に表れると、教科書に載せておきたくなるのである。

 しかし、今回、もっとも書き留めておくべきことは、「株式市場以外での群集の多数決圧力」である。

 日本では安倍晋三首相が学校の休校の要請をした。専門家に相談せずに、である。専門家会議では事後的に、必要があったかどうか議論が分かれたそうだ。大阪府の吉村洋文知事も、独断で彼が主張するところの厚労省関係の専門家が提示した文書に基づき、誰にも相談せずその文書を公表し、大阪と兵庫の往来の自粛を求めた。

 その後、安倍首相は「学校の休校の要請は延長せず、自己判断に任せる」とし、「イベントなどの自粛要請も個々に判断してもらい、行う場合には十分に対策をとって行ってほしい」と言った。だが、これに基づき、自己判断して、さまざまな対策を講じてイベントを開催した団体は、世間から猛烈な批判を浴び、あたかも犯罪者であるかのような言われ方をした。

 まず、昨今話題になっているエビデンス(科学的根拠)ベースの政策決定、要は客観的なデータに基づいて政策の効果を推計し、そのうえで政策の意思決定をせよ、ということだが、休講要請はエビデンスなどあるはずもなく、それどころか合理的な議論もせずに決定された。

ロジック(論理)抜きの多数派の圧力

 しかし、世間では賛否あると言いながら、多数派は支持した模様であり、政府筋は「休講要請の効果は数字では表せないが、一定の成果があったと思われる」と主張している。

 大阪府知事の行動もメディアでは英雄扱いで、厚労省など国の隠蔽体質を批判する格好のネタとされてしまった。「官僚と言えば隠蔽」というのが多数派のロジックのようである。自主的に頭を使って判断せよと言われて、そうした場合でも、多数派のエビデンスもロジックも抜きの多数派の圧力で押しつぶされてしまうことになる。彼らは、次回は無観客でイベントを行う予定だそうだ。

 これらの例を超えるスケールで多数派の圧力が生じているのは、経済政策である。アメリカでは220兆円規模の対策が打たれることとなり、日本も「それに負けじ」とカネをばらまく案が有力のようだ。リーマンショック時を超える対策を、と言っている。これを受けて日米の株価は大暴騰した。

しかし、これらの景気対策は何のために行うのか意味不明である。日銀の株式買い増しが新型コロナ対策としては意味不明であるのは当然として、日本政府だけでなく、ついにはアメリカまで国民にカネをばらまくとは、世界の経済政策論議も、もはやロジックは要らなくなったようだ。

別の記事「日銀と政府の新型コロナ対策は間違っている」でも振れたように、本当に新型コロナショックで困っているのは、資金繰り倒産、需要消失倒産のリスクに直面している中小企業、およびエアラインやホテルなど特定業種の大企業であり、それらに伴う失業者である。

 彼らへの手当はもちろん懸命にやるべきだ。だが、新型コロナショックは普通に考えれば、1年後までこの状況が続くことはありえない。半年の苦境で倒産してしまうというリスクを回避すれば、需要対策は要らないはずだ。経済封鎖、移動制限が解消されれば、需要は回復するはずであり、逆に言えば、それが解消しなければカネをばらまいたところで窮地の企業への需要は全く出てこない。

 しかし、220兆円の対策を発表すれば、株式市場は喜び、エコノミストは景気見通しを楽観に改定し、世の中のムードは良くなり、とりあえずみんなハッピーになる。そのために対策をやっているのであるが、将来の経済は220兆円の支出のツケを払わされるだけであり、現在の恐怖に支配された人々の多数派の圧力に、未来の人々の声はかき消されてしまうのである。

 そして、政策の効果は比較検討されずに、対策を打ったから経済が崩壊せずに済んだ。借金が残ったといっても「あれをやらなければ、経済が崩壊して元も子もなくなっていた」という検証不可能の言説が世間を支配してしまう。

多数派の圧力が真実をつくる機会を目のあたりにした

 政策が比較検討されず、多数派の圧力に支配されるのは、経済対策だけでない。新型コロナ対策そのものでさえそうだ。経済封鎖が正しいのか。効率的なのか。手洗い、うがいを一人一人がとことん徹底して行う方がマスクを配るよりも効果的でないのか。外出制限と同じ程度の効果が、経済的な負担ははるかに少なく、実現できるのではないか。

 このような議論は「人命は何よりも優先される」、という政治家の演説と人々の恐怖感によってかき消されてしまう。そして、オーバーキル(やりすぎ)の政策を唱え、打ち出した人々は「徹底的にやったから、これだけの被害で済んだんだ、俺の(わたくしの)英断で世の中は救われたのだ」、と暗に主張し、満足しているのである。

 株式市場、実体経済、経済政策、そして社会そのものまでが、多数派の圧力で、多数派の願望、恐怖に支配され、事実と無関係に決定されてしまい、それが事実ではない現実として、真実となってしまっている。それをこれほど目の当たりにする機会もこれまでなかった(本編はここで終了です)。

モデルナ社のコロナワクチン初期治験有望な結果」45人の被験者全員が抗体獲得

Newsweek日本版 2020年5月19日(火)14時55分配信

従来のワクチンよりも迅速に開発・製造ができるRNAワクチンが臨床試験第一段階で好結果、うまくいけば2021年にも完成か

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチン開発を進めている米バイオ医薬企業のモデルナは5月18日、初期段階の治験で、被験者45人全員に同ウイルスの抗体ができたことを明らかにした。近いうちに安全かつ効果的なワクチンが入手可能になるかもしれないと期待が高まっている。

同社はCOVID-19のワクチン候補「mRNA-1273」の開発を進めている。今回の治験は3月と4月に実施され、18歳から55歳の男女45人が参加した。

第一段階の治験はワシントン州シアトルにあるカイザーパーマネンテ・ワシントンヘルス研究所で行われ、被験者たちは28日間隔で2回にわたってワクチンの投与を受けた。

CNBCの報道によれば、2回目のワクチン投与から約2週間後の治験43日目で、被験者全員が新型コロナウイルスの感染後に回復した人と同程度の抗体を獲得していることが分かった。また少なくとも8人については、ウイルスの増殖を予防する「中和抗体」が確認できたという。

モデルナの最高医療責任者タル・ザクス博士は声明を出し、「今回得られたデータは、mRNA-1273には新型コロナウイルスの感染を防ぐ潜在的可能性があることを実証するものだ」と述べた。投与量が多いほど多くの抗体が作られる傾向にあり、第2段階の治験では投与量を倍にするという。

現在、モデルナをはじめとする5つの製薬会社がCOVID-19のワクチン開発を進めている。

早ければ2021年にも実用化の可能性

5月はじめには、米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発したレムデシビルがCOVID-19の治療薬として緊急使用を許可されたことが大きく報じられた。だがレムデシビルは実験的な薬で、COVID-19の安全で効果的な治療薬とは考えられておらず、さらなる臨床研究を行う必要がある。

ほかにも、フランスの製薬会社サノフィが開発した抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンなどが、COVID-19の治療薬候補に挙げられている。米食品医薬品局(FDA)は同薬について、COVID-19の入院患者を対象に緊急使用を許可しているが、ヒドロキシクロロキンが治療薬として効果的かどうかは分かっておらず、使用はまだ実験段階にある。

モデルナは1月から米国立衛生研究所と緊密に協力して、マウスを使ったワクチンの開発および試験を行っており、3月に入ってからヒトでの治験に移行した。

一般にワクチンの安全性が確認されるまでには何年もの治験が必要で、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長をはじめとする一部の科学者は、ワクチンが秋までに完成することはないだろうとの見方を示している。

だが、もしモデルナの今後の治験でも良い結果が続けば、2021年までに安全で効果的なワクチンを実用化することは可能かもしれない。

同社は5月に入って既に、第2段階の治験に進むための承認を得ている。FDAは、モデルナのワクチンをファストトラック(優先承認審査)対象に指定した。

期待がかかるRNAワクチン

第一段階の治験はワシントン州シアトルにあるカイザーパーマネンテ・ワシントンヘルス研究所で行われ、被験者たちは28日間隔で2回にわたってワクチンの投与を受けた。

CNBCの報道によれば、2回目のワクチン投与から約2週間後の治験43日目で、被験者全員が新型コロナウイルスの感染後に回復した人と同程度の抗体を獲得していることが分かった。また少なくとも8人については、ウイルスの増殖を予防する「中和抗体」が確認できたという。

モデルナの最高医療責任者タル・ザクス博士は声明を出し、「今回得られたデータは、mRNA-1273には新型コロナウイルスの感染を防ぐ潜在的可能性があることを実証するものだ」と述べた。投与量が多いほど多くの抗体が作られる傾向にあり、第2段階の治験では投与量を倍にするという。

現在、モデルナをはじめとする5つの製薬会社がCOVID-19のワクチン開発を進めている。

早ければ2021年にも実用化の可能性

5月はじめには、米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発したレムデシビルがCOVID-19の治療薬として緊急使用を許可されたことが大きく報じられた。だがレムデシビルは実験的な薬で、COVID-19の安全で効果的な治療薬とは考えられておらず、さらなる臨床研究を行う必要がある。

ほかにも、フランスの製薬会社サノフィが開発した抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンなどが、COVID-19の治療薬候補に挙げられている。米食品医薬品局(FDA)は同薬について、COVID-19の入院患者を対象に緊急使用を許可しているが、ヒドロキシクロロキンが治療薬として効果的かどうかは分かっておらず、使用はまだ実験段階にある。

モデルナは1月から米国立衛生研究所と緊密に協力して、マウスを使ったワクチンの開発および試験を行っており、3月に入ってからヒトでの治験に移行した。

一般にワクチンの安全性が確認されるまでには何年もの治験が必要で、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長をはじめとする一部の科学者は、ワクチンが秋までに完成することはないだろうとの見方を示している。

だが、もしモデルナの今後の治験でも良い結果が続けば、2021年までに安全で効果的なワクチンを実用化することは可能かもしれない。

同社は5月に入って既に、第2段階の治験に進むための承認を得ている。FDAは、モデルナのワクチンをファストトラック(優先承認審査)対象に指定した。

関連エントリ 2020/04/25 ⇒ 【コロナショック】世界の今<ワクチン開発✍競争>進捗状況

 

2020年5月18日 (月)

【日経平均】2日続伸「米株価指数先物高」も✍米中対立懸念

〔東京株〕続伸 米株価指数先物高 aが追い風

時事通信 2020年5月18日(月)15時30分配信

 米株価指数先物高が追い風となり、日経平均株価は前営業日比96円26銭高の2万0133円73銭、東証株価指数(TOPIX)は5.52ポイント高の1459.29と、ともに続伸した。国内での新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向を受けた経済活動の再開期待も下支えとなった。出来高は12億1082万株。

 ▽ 粘り腰

 18日の東京株式市場で、日経平均株価はマイナス圏に沈んだ後、切り返した。粘り腰の株価動向に、市場関係者は「4月上旬以降の緩やかな上昇基調は継続中」(大手証券)と前向きだった。

 前週末の米国株や原油価格の値上がり、為替相場の落ち着きが投資家心理を支えた。週明けの米株価指数先物の時間外取引も上伸したことで、買い安心感が強まった。

 しかし、日経平均は前週末比150円超上昇した後は、頭打ち状態。電子部品をめぐる米中対立の深刻化が懸念される状況では、積極的に上値を追う雰囲気にはならない。

 日本国内では、経済活動の再開が期待される一方で、服飾大手レナウンの経営破綻やマクロ景気の悪化など悪材料も顕在化し始めた。市場関係者は「しばらくは強弱要因のせめぎ合いになる」(別の大手証券)と指摘し、慎重姿勢は崩さなかった。

 225先物6月きりも堅調。株価指数オプション取引は、プットが下落し、コールは総じて強含んだ。

ソフトバンクG最終赤字9615億円 ファンド損失1.9兆円

産経新聞 2020年5月18日(月)16時05分配信

 ソフトバンクグループ(SBG)は18日、令和2年3月期の連結最終損益が9615億円の赤字(前期は1兆4111億円の黒字)になったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景気が悪化し、成長の軸としていたファンド事業で投資先の企業価値が大幅に目減りして、巨額損失を計上したことが響いた。

 SBGが最終赤字になるのは15年ぶりで、過去最大の赤字幅となった。本業のもうけを示す営業損益は1兆3646億円の赤字(同2兆736億円の黒字)になった。

 約10兆円を運用する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」では、約1兆9千億円もの損失を計上した。投資先の米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなど上場企業の株価が大きく下落したほか、非上場企業の価値見直しも余儀なくされた。

 また、SBG本体による投資でも、支援の一部撤回を表明した米オフィス大手のウィーカンパニーに関連した損失などが出た。

休業を選んだパチンコ幹部「たちのちですよ

NEWSポストセブン 2020年5月17日(日)16時05分配信/日野百草(ライター)

 新型コロナウイルスの感染が拡大してから、様々なものがネットでもリアルでも非難の的となってきたが、その最たるものはパチンコ店ではないか。避けるべき密集、密接、密閉の「3密」の象徴的な存在として責められてきた。しかし、遊びのひとつとして根強いファンがいるのも現実だ。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、営業休止について、47歳パチンコ店幹部の本音をさぐった。

 * * *

「言ったとおりでしょ日野さん、私たちの勝ちですよ」

 電話口の相手は西口真ニさん(仮名・47歳)。5月13日、やっとつながった電話口で、得意げな声が弾んでいた。西口さんは関東の地場のパチンコ店の幹部だ。これより以前、4月のゴールデンウィーク前にお会いしている。自粛要請真っ只中、日本中でパチンコ店が悪とされたあの日、西口さんはこう言っていた。

「大丈夫ですよ、私は楽観的です。私たちは固定客を相手にしています。みなさんパチンコから離れたりしません。お客さんに支持されてればいいんです」

 西口さんの会社は店舗数こそ少ないが、長く営業している地場のパチンコチェーンである。4月16日緊急事態宣言に伴う県の休業要請はしっかり守って臨時休業していた。

「新台で萌えパチが入るたびに昔を思い出しますよ。時代は変わったなと」

 彼とは高校時代、各校のパソコンゲーム好き同士でひっそり柏の某店に集まっていた時期に知り合った。あの時代、柏は千葉だけでなく茨城の県南や東京東部、野田寄りの埼玉の高校に通う連中まで帰宅途中に集まる遊び場で、とくにオタクにとって秋葉原ほどではないにせよ、マニアショップが充実していたし乗換駅なので学校帰りにちょうどよかった。

 そんな昭和末期から平成初頭、オタクが差別された時代の隠れキリシタン状態の集まりに西口さんもいた。彼の家はお金持ちで、当時にしてNECのPC-9801RX4とSHARPのX68000PRO-HDを持っていた。前者は20MB、後者は40MBのハードディスク搭載、いまでは笑ってしまうような性能だがディスプレイ込みで50万円以上するマシンで、当時の高校生からすれば持っているだけで神だった。もちろん8ビット機はあらかた持っていた。SHARPのX-1Fがやっとの私には本当に羨ましかった。もう30年以上前の話だ。

「オタクはもちろん、ゲーセンだって叩かれた時代はありました。なんでもそうです」

 彼は社会人になってから同じく地場のゲームセンターの店長だった時期もあり、私も1990年代、ゲーム誌のゲーセン取材でお世話になったこともある。会うのは20年ぶりだった。

「日野さんね、パチンコしない人は仕方ないですよ。そりゃいろいろ言ってきます」

 4月のあの日、西口さんとは自粛で閑散とした駅前のカフェで会った。もともと背も高く年齢より上に見える人だったが、さらに貫禄がついていた。高級バッグの革艶が凄い、いくらするのやら。時計好きの私にはその時計が超高級ブランドのいわゆる雲上時計だということがわかる。

「関係ない人は仕方ないんです。こちらとしてもお客様でないならスルーするしかありません。打たない人はいくらでも言えますし」

 私は西口さんの言葉に「砂漠のインド人は魚を食わぬことを誓う」というゲーテの格言のことを話した。

「そう、それです。自分がしないわけですから、パチンコなんかどうなってもいいでしょう。なんでもそうです、人それぞれ、優先順位は違います」

 それ以前に延々と昔のパソゲーの話をしたのもあるが、西口さんは終始リラックスしていた。店舗営業中よりは仕事も少なく、心の余裕もあるのだろう。

「営業するって手もあったんですけど、うちは休みました。別に日本のためとかじゃなく、すぐにほとぼり冷めるだろうと。ゴールデンウィーク明け以降はどうせみんな我慢できないと。それくらいまでならなんとかホールも持つと」

 命をとるか経済をとるか、4月の段階では危機的状況が叫ばれた。国外、とくにアメリカやEUの悲劇が伝えられると、自粛の嵐が頂点に達したことは記憶に新しい。匿名で自粛せずに営業を続ける飲食店や小売店、遊興施設などを攻撃する自粛警察と呼ばれる人々がネットにもリアルにも跋扈した。

「だから気にしてないんです。遊協(※パチンコホールが加盟する遊技協同組合のこと。都道府県を中心とした地域ごとにあり、全国のパチンコホール組合の協同組合連合会を束ねる全国組織もある)だって無理強いはできないし、非加盟店はなおさら、強制的に営業をやめさせたら憲法違反ですからね」

 淡々と語る西口さんの姿は高校時代、アドベンチャーゲームの解法を語る当時の彼に戻っていたような気がした、彼は県下でも有数の名門高校にいた。

「日本は韓国と違い新型コロナウイルスの対応に失敗したんだから。その不満のはけ口が私たちに来るのは当然です。どういう風に見られているかはわかってます。でも、私たちは私たちのお客様の打ちたい思いに応えるだけです。エンタメはそれでいいんです。私たちは負けませんよ」

 自粛中でも営業するパチンコホールへの非難の声があふれた4月、パチンコ店はもちろん、遊びに来店する客も非難された。とくにネットが中心だったが、西口さんは「はいはいそれね」という感じで笑った。

「ネットはねえ、ネットはいつものことですよ。コロナに始まった話じゃない。どうせ直接言っては来ませんし、大丈夫です。私たちのエンタメと、それを支持する方々、お客様がいればいい。ごく一部の店の揉め事を大げさに伝えても、お客は離れません」

 不要不急のエンタメ産業とは本来そのようなものだろう。ただ今回のコロナは死に繋がる可能性がある感染、疫病だ。しかしパチンコに限らず、コンセプトカフェはたくさんのメイドさんが客引きを続け、立ち飲み屋は固定客でどんちゃん騒ぎ、庭で30人超の大バーベキュー大会という光景を実際に見てきた私にしてみたら、命の価値も不要不急の定義も人それぞれだ。私の見た光景は少々極端だが、現実に存在したのは事実だ。サーファーしかり、キャンパーしかり、バイカーしかり、潮干狩りファミリーしかり、お値段以上なお店のテーマパーク化しかり。

「日野さん、私たちは勝ちますよ」

 西口さんは笑っていたが、目は鋭かった。やはり内心、叩かれていることを面白くは思っていないのだろう。さっきから口にする「私たち」は日本人のことか、パチンコのことか、「勝ちます」がコロナに対してか、いわゆる自粛警察に対してか。

「まあまあ、その辺は私個人の感情の問題ですから」

 その時はやんわりはぐらかされたが――。

「言ったとおりでしょ日野さん、私たちの勝ちですよ」

 そして今日、電話口で、この冒頭の言葉を聞かされた。真意は明白だ。パチンコ業界にとっての日常は戻りつつある。潰れもしなければ業界滅亡もなかった。実に挑戦的だが、西口さんは会社の幹部だが別に公人でもなく会社も売上は大きいが規模そのものは小さい、パチンコ産業全体で言ったら田舎の中小企業だ。とくに業界を代表して言ったわけでもないし、そんな市井の一個人の感情は責められないが、違和感は残る。

「勝ちですよ、もう各県自粛解除してますし、都内だって大手もやってる。みなさんコロナで死ぬより仕事がなくなるほうが嫌なんです」

 確かに、コロナで死ぬ人より失業や貧困で行き詰まる人のほうがあまりに多すぎる。たった1ヶ月の自粛でこれだけの経済禍を生むとは、コロナ禍も怖いが経済禍は本当に恐ろしい。そして多くの経営者、労働者の生活が実のところ自転車操業であることを目の当たりにした。日々漕いでいないとすぐ経済的に死ぬ状態の人がこんなに日本にいたなんて!

「もう各店舗とも、たくさんのお客様に楽しんでいただいております」

 電話口の西口さんの声は、営業口調な経営幹部に戻っていた。実はこのルポはゴールデンウィーク明けに会ってもう一度お話を聞く予定だったが、連絡がつかず空振りに終わってしまった。本当はもっと突っ込んだ話をと思っていたが、通常営業に戻れば余計なことを言うこともないのだろう。西口さんも忙しい日々に戻ったということか。

 ただその本心、「勝ち」の言葉を抑えられなかったところに、西口の本音を垣間見た気がする。ここはあえてさんはつけない。あれは隠れキリシタン状態だったオタク集団にいた西口の感情だ。私だってクールジャパンだeスポーツだのもてはやされるたび、古参オタク業界人としてあのころ理解しなかった連中に対する勝ちの感情はある。大人しく自粛に従いしれっと再開。西口、してやったりだろう。

 ともあれパチンコ店に限らず、大手百貨店も映画館も、居酒屋も一部は営業を再開し始めた。これが現実社会だ。この日、13日は特定警戒都道府県の茨城、石川、岐阜、愛知、福岡を含む39県を対象に緊急事態宣言を解除する方針とも報じられた。コロナはまだまったく予断を許さない状況だが、経済活動は始まりつつある。

 コロナで死ぬより経済的に死ぬのが怖いのだ。このまま、インフルエンザのようなはやり病のように気をつけていればなんとかなる病気として、コロナが風化してくれればいいのだが、その見通しに私は懐疑的だ。もし楽観的な予測どおりにいかなくても、西口さんたちは、経済をとるのだろうし、それを非難できる身でもないし、止めるすべもこの国にはないのだが――。

トランプ大統領中国との断交示唆”か!?軍事的緊張も高まるなか習主席との対話を拒否…識者「“中国外し”大経済圏を作るのでは

夕刊フジ 2020年5月16日(土)16時56分配信

 中国発の新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領の怒りが、日に日に高まっている。中国の初動対応に不満を示し、習近平国家主席との対話を拒否したのだ。「中国との断交示唆」と報じたメディアもある。「死のウイルス」による世界全体での死者は30万人を超え、米国では最悪の約8万5000人もの犠牲者が出た(=米ジョンズ・ホプキンズ大学、14日集計)。米中の軍事的緊張も高まっているなか、トランプ氏は「対中貿易停止」といった過激策までチラつかせた。

 「今は(習氏と)話したいとは思わない」「中国には非常に失望している。そう断言できる」

 トランプ氏は14日放送の米FOXビジネステレビのインタビューで、こう言い切った。中国の初期対応の遅れが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大につながったとする「対中批判」を一段と強めた。

 これまでも、トランプ氏は「中国に不満だ」「発生源で止めることができた」「これは世界が受けた損害だ」「(損害金請求も)検討している」などと記者会見で語ってきたが、この日はさらに踏み込んだ。

 「感染拡大の報復」として、トランプ氏は「多くの措置を講じることができる」と胸を張ったうえで、「中国との関係を完全に途絶えさせることもできる」と強調した。関係を遮断すれば「5000億ドル(約53兆6000億円)を節約できる」とまで指摘したのだ。

 米中両国は今年1月、「第1段階」の貿易協定に署名した。中国が数値目標をもとに米国から農産物などの輸入を大幅に拡大。米国は通商対立が激化した昨年夏以降、初めて対中制裁関税を一部軽減するものだ。

 だが、中国発の新型コロナウイルスで、米中関係は一変した。

 米政権は現在、「対中制裁関税の強化」などを検討しているとみられるが、トランプ氏は「貿易停止」までチラつかせた。

 これを受け、海外メディアは「トランプ氏、中国のコロナ対応に『心底失望』 断交の可能性も示唆」(ロイター)、「トランプ氏、中国との断交示唆」(AFP)などと報じた。

 11月の大統領選を控え、トランプ氏としては、中国の責任を追及し続けることで、「対応の遅れ」や「景気失速」への批判をかわそうとする思惑もありそうだ。

 ただ、米国民の「対中意識」も悪化している。

 米大手世論調査機関「ハリス・ポール」が4月に行った世論調査で、「新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)について、中国政府に責任があると思いますか」と聞いたところ、「ある」は77%で、「ない」(23%)を大きく上回った。

 中国の軍事的挑発も、トランプ政権をイラつかせているようだ。

 中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊は4月11日と28日に初めて、沖縄本島と宮古島間を通過した。中国軍のミサイル駆逐艦や早期警戒機なども3月以降、沖縄や台湾周辺で挑発的行動を見せている。

 さらに、中国軍が8月、同国南部・海南島沖の南シナ海で、台湾が実効支配する東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画していると、共同通信がスクープした。台湾の蔡英文総統の2期目の就任式を来週20日に控え、中国がさらに挑発行動に出る危険性もある。

 米第7艦隊は13日、米海軍のミサイル駆逐艦「マッキャンベル」が同日、台湾と中国を隔てる台湾海峡を通過したと発表した。米海軍の駆逐艦は先月も2回にわたり台湾海峡を通過している。

 米海軍主催で2年に1回、米ハワイで行われる世界最大規模の多国間海上演習「リムパック(環太平洋合同演習)」は、新型コロナ禍で中止も検討されたが、日本政府の強い働きかけで、8月に実施される。

 貿易停止までチラつかせた、トランプ氏の怒りをどう見るか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「中国が昨年12月時点で、医師から新型コロナウイルスの報告を受けながら、初動対応を誤り、情報を隠蔽し、国外への移動を制限しなかったことは事実だ。今年1月までに中国から40万人以上が米国に移動したという。明らかにウイルスを移された形で、怒らないほうがおかしい」と語った。

 緊張する米中関係は今後、どうなりそうか。

 藤井氏は「中国では『台湾への武力侵攻』を唱える声もあり、米国も抑止行動を求められるなど軍事的な緊張もある。米中は今年1月、第1段階の貿易協定に署名したが、中国はこれを守らないかもしれない。そうなると、米国も貿易上の相互依存を解き、中国をサプライチェーンから外して、先進国を集めた大きな経済グループをつくるのではないか。一方の中国は、一帯一路構想を中心とした比較的小さな経済グループづくりを迫られる」と分析した。

 新型コロナで、世界の枠組みが、大きく変わることになるのか。

米国 ファーウェイへの圧力強化 a半導体供給の“抜け穴”封じ

ロイター 2020年5月16日(土)0時27分配信

 米商務省は15日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への半導体輸出規制を強化すると明らかにした。輸出規則を変更し、すでに禁輸措置対象に指定されている同社が米国の技術やソフトを利用した半導体を間接的に取得できないようにする。

 ファーウェイへの輸出規制を巡っては、保守など一部取引に関して猶予が認められている。商務省はこの猶予期間について、さらに90日間延長するとともに、延長はこれが最後になると表明した。

 これに対し、中国はすぐさま反応。中国共産党系メディアの環球時報は、中国がアップル<AAPL.O>、シスコシステムズ<CSCO.O>、クアルコム<QCOM.O>、ボーイング<BA.N>を含む米国企業を「信頼できない実体リスト」に加える用意があると報じた。

 ロス商務長官はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、ファーウェイが外国企業との取引を抜け穴にして、実際に米国の技術を利用しているとした上で、今回の決定は「こうした抜け穴を封じる」狙いがあると強調した。

 ある商務省の高官は今回の措置が「米国第一主義」の推進につながると指摘。中国の報復については「様子を見る必要がある」とした。

 ファーウェイからのコメントは得られていない。

 ファーウェイへの規制強化は、同社に製品供給する台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>にとっても打撃となる恐れがある。TSMCは15日、米政府との「強力なパートナーシップ」によりアリゾナ州に総工費120億ドルの半導体工場を建設すると発表したばかり。TSMCは「外部の専門家を交え法律面で分析し、当該規則の包括的な解釈に努める」と述べた。

 ワシントンの弁護士で元商務次官補のケビン・ウルフ氏は、ファーウェイに対する輸出規制強化は「新しくかつ複雑」だが、同社以外の企業が設計し、米国の技術を利用して製造された半導体なら、許可要件がなくても引き続きファーウェイへの売却が可能になると指摘した。

 ある国務省の高官は「今回のポイントは許可要件にあり、ファーウェイへの半導体供給を頭ごなしに拒否するものではない」とした上で、申請ごとに内容が審査されることから同社への出荷を巡る透明性は高まるとの見方を示した。

関連エントリ 2019/06/28 ⇒ 【G20大阪】開幕<米中貿易摩擦に懸念>世界景気✍減速リスク共有
関連エントリ 2019/06/11 ⇒ 【ファーウェイ】締め出された✍華為<独自OS=華為鴻蒙>発表!!
関連エントリ 2019/05/25 ⇒ 【日経平均】小幅続落<1週間ぶり✍一時2万1000円割れ>“華為”離れ拡大で
関連エントリ 2019/05/23 ⇒ 【ゴーンショック】<特別背任事件>公判前✍手続き始まる
関連エントリ 2019/02/03 ⇒ 【ファーウェイ】西側諸国から締め出される✍本当の理由
関連エントリ 2019/02/02 ⇒ 【特別読み物】ある台湾人✍中共スパイ(御歳百歳!)の述懐
関連エントリ 2019/01/13 ⇒ 【習的中國】✍中朝<新蜜月時代>半島非核化は遠のく・・・・㊥
関連エントリ 2019/01/07 ⇒ 【日経平均】3日ぶり大幅反発<米中通商協議✍開始>2万円台回復
関連エントリ 2018/12/31 ⇒ 【ファーウェイ】日本から締め出す✍<対中輸出4%>本当の理由
関連エントリ 2018/12/17 ⇒ 【習的中國】<ファーウェイ・ショック>当日✍自殺した習主席“側近”
関連エントリ 2018/12/10 ⇒ 【日経平均】大幅反落<GDP改定値✍下方修正>下げ幅一時500円超
関連エントリ 2012/10/15 ⇒ 【ファーウェイ】創業者は✍中国人民解放軍の出身

 

2020年5月17日 (日)

【新型肺炎】なんと「感染予防に役立つ」サプリメントの紹介

医師は毎日摂取 コロナ予防に役立つ2つのサプリ亜鉛」「ケルセチン

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年5月17日(日)9時26分配信

 国内で初めての新型コロナウイルスの治療薬として、「レムデシビル(商品名べクルリー)」が7日に承認された。

 当然ながら、新型コロナウイルス感染者のすべてに投与される薬ではない。対象は、人工心肺装置や人工呼吸器などを使っている重症患者のみ。しかも、重篤な副作用のリスクもある。「むしろ、多くの人に役立つ予防対策として、着目したいのは、亜鉛とケルセチンです」と言うのは、脳科学専門医で海外のアルツハイマー病ジャーナルの編集委員長を務める有松医科歯科クリニック(金沢市)医師の山嶋哲盛氏だ。

 亜鉛は牡蠣やうなぎに豊富な成分で、ケルセチンはタマネギに豊富に含まれる。いずれも手軽に手に入るサプリメントだ。山嶋医師は職責上、常に最新医学情報を英文の論文でチェックしている。そういった中、新型コロナウイルス対策として亜鉛とケルセチンの学術論文に注目し、予防のために、妻子と共に亜鉛とケルセチンのサプリメントを毎日摂取し、患者にも勧めている。

 亜鉛は、病気や老化などに関係する細胞内の活性酸素を分解する酵素(SOD)の中核をなす構成要素。しかし加齢と共に減少しがちで、不足すると免疫力の低下や味覚障害・抑うつ症状などが出る。実は高齢者に亜鉛欠乏症が起こりやすいが、病院や介護施設では本症は見逃されることが多い。

「SARS(重症急性呼吸器症候群)の研究で、亜鉛はウイルスのタンパク合成システムのRNA転写因子RdRpを阻害し、ウイルスの増殖を抑制することが明らかになりました。分かりやすく言えば、ウイルスはヒトの細胞が持つタンパク合成システムを横取りして、自分のRNAとタンパクを量産する。新型コロナウイルスは遺伝子構造がSARSと酷似している同系のRNAウイルスなので、亜鉛が新型コロナウイルスの増殖も抑制する可能性が十分考えられるのです」(山嶋哲盛氏)

副作用の心配なし

 つまり、適量の亜鉛を積極的に取っていれば、新型コロナの予防になる可能性がある。ただ、食品やサプリメントで摂取しても、亜鉛は電気を帯びているため細胞内には取り込まれにくい。それを助けるのが、ケルセチンなのだ。

 現在、抗マラリア薬「塩酸クロロキン」も、新型コロナウイルスに対する臨床研究が行われている。塩酸クロロキンにも、亜鉛を細胞内に取り込む作用があることが分かっている。トランプ大統領が「画期的な薬」と言ったことで注目されたが、実際に効果があるかははっきりとしておらず、さらに患者の心拍に異常をきたすという副作用の報告もある。

「その点、亜鉛もケルセチンも食品成分であり、本質的に副作用の心配はありません。新型コロナウイルスに効くか否かについて、現時点でたとえ結論が出ていなくても、自己防衛策として試しておく価値は十分あると思います。新型コロナの初期症状の一つに味覚障害があることをもっと重視すべきです」と、山嶋医師は熱く語る。

ウイルス感染予防には、マスクと手洗い。では飲み物は…

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年5月17日(日)9時26分配信(石原藤樹/北品川藤クリニック院長)

 新型コロナウイルスの流行が続いています。確実と言える治療がない現在、予防が何より重要です。

 マスクと手洗いの有効性は科学的に証明されていますが、それ以外に何か有効な方法はないのでしょうか? 健康に良い飲み物として知られているお茶やコーヒーには、それぞれ感染症の予防効果が認められています。

 コーヒーには焙煎によって増加するコーヒー酸という成分があり、強いウイルス感染の予防効果があることが証明されています。

 ただ、この効果は主に実験室の実験によるもので、実際にコーヒーを飲むことでウイルス感染症が減った、というような結果はまだ出ていません。よりウイルス感染への効果が確実なのはお茶です。お茶にはカテキンという渋みの成分が含まれていて、強い抗ウイルス作用があることが証明されています。

 これはウイルスが増えるのを抑える作用と、人間の免疫を高める作用の、両方があるといわれています。インフルエンザについては、お茶を飲むことにより感染が75%予防されたという報告もあるほどです。お茶には緑茶、紅茶など種類があり、それによりカテキンの種類にも違いがあるのですが、どのお茶でも抗ウイルス作用はあると報告されています。

 今回の新型コロナウイルスに対する効果は、まだ確認されていませんが、お茶を飲む習慣は、感染予防にも期待は持てそうです。

日本のコロナ死亡者が欧米より少ない理由―高齢者施設クラスターの実態

ダイヤモンドオンライン 2020年5月13日(水)6時01分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大は日本も徐々にピークアウトしてきているように見える。このまま外出自粛が守られて順調に行けば、懸念された医療崩壊もなさそうだ。一方、時々話題に出るのが介護崩壊だ。日本の新型コロナ対策は諸外国に比べ、PCR検査不足の問題をはじめ決して万全なものとはいえない。それでも死亡者が少ない理由は何か。医師(日本内科学会総合内科専門医)であり、かつビジネススクールで教える筆者が、日本の医療・介護制度から、その理由を指摘する。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師 真野俊樹)

日本は海外に比べ 高齢者施設での死亡者が少ない

 「緊急事態宣言」は5月末まで延長されることになったが、日本全国の死亡者数や感染者数は減少傾向にあり、日本も諸外国同様に新型コロナウイルスの感染がピークアウトをしてきたように思える。ここで、なぜ日本で死亡者数がこんなに少なかったのかを考えてみたい。

 よくメディアで話題になる医療崩壊とは、「患者が医学的な必要に応じ入院できないことなど、あるいは医師による適切な診断・治療を受けられないこと」を指す。具体的にはアメリカやイタリア、ベルギーといった国で起きているように、1日の死者が何百人、何千人という状態で、通常の医療的措置が成り立たない状態である。つまり、日本では、救急車のたらい回しなど新型コロナウイルス以外の重症疾患対応でいくつかの問題などがあるにせよ、医療機関は適切な医療を行える状況にあるので、医療崩壊は起きていないと考えられる。

 日本で医療崩壊が起きない理由として、『コロナで絶体絶命のイタリアと違い、日本で死者激増の可能性は低い理由』の記事で、「日本は病院ベッド数が多く医療キャパシティーが大きいこと」、そして「そこで働く医療者のモチベーションが高いこと」を指摘した。一方、海外の死亡者数が多い理由は、医療キャパシティーが少なく、医療崩壊が起きたためと指摘させていただいた。

 今回は、なぜ日本で死亡者が少ないのかについて、もう一つ気がついたことがあるので、それを報告したい。

 それは「高齢者施設における死亡者数」の差である。

 知られているように新型コロナウイルスは、高齢者の死亡者数が多い。つまり、高齢者施設でのクラスター発生は相当数の死亡者を生み出してしまう。

 米国では、高齢者施設がクラスター化している例の報告が多い。報道によれば、全米の死者の5分の1を占める約7000人に上るという。日系人も多く入居し、安部首相夫人が訪問したことでも有名で、筆者も訪問し調査をさせていただいたことがある、ニューヨーク・マンハッタン北部の高齢者施設「イザベラハウス」(写真)では、98人もの死者が出た。

 高齢者施設の1日の死者としては過去に例を見ない人数で、このうち46人は新型コロナウイルスの感染が死因で、残り52人は「その疑いがある」とされている。また英国では、毎日発表している死者の集計方法を4月末に変更し、高齢者施設などで亡くなった人の数も含めるようにした結果、死亡者数が急増した。

高齢者施設の感染は 隠すことができない

 海外での介護の現状を見てみよう。表1にあるようにヨーロッパは介護関連施設(細かくはいろいろ区分があるが本稿では高齢者施設とする)が充実している。そして北欧では介護従事者の数も多い。高福祉国家の面目躍如といったところであろうか。

 【表1】Photo_20200517110501

 さて、日本での高齢者施設死亡者数はどうか。日本では表2にあるような高齢者施設死亡の統計がないので、時々話題になる新聞記事などのデータから追うしかない。

 【表2】Photo_20200517110601

 4月下旬の報道によれば、千葉では、新型コロナウイルスに感染して死亡した約半数の17人が高齢者施設の入居者だったという。群馬県伊勢崎市では、入居者・職員ら関係する67人が感染し、15人が亡くなった有料老人ホーム「藤和の苑(その)」(人数は5月1日現在)の例がある。

 しかし、ほかの県では話題にならないし、千葉のケースはどちらかといえば対策が不十分であった時期のものだ。

 何が言いたいのかと言えば、高齢者施設の感染は隠すことができないので、それが諸外国ほど話題になっていないのは間違いないということだ。

 そして、表1表2を見比べてもらえばわかるように、福祉国家として多額の介護費用を投入し、施設数も多く、さらに介護者数が多い北欧諸国でも、高齢者施設での死亡者が多い。一方、欧州で対応がよかったとされるドイツでは高齢者施設の死亡は相対的に少ない。これは、医療のキャパシティーと異なり、介護のキャパシティーが大きいことと、感染による死亡者数が無関係であることを示す。死亡者の多寡にはほかの理由があるはずだ。ここで筆者は、「1000人当たり(2017)介護ベッド数(うち病院)」の病院の比率に注目した。

 日本は制度上、病院が病気のみならず、高齢者のケアも行うというスタイルを取っていた。一時期批判されたが、「社会的入院」のように、高齢者が長期入院して生活を病院の中で行うということもあった。

 もちろん、これは病院の本来の機能からいえば必ずしも適切とはいえず、介護保険が導入され、徐々に改善されつつあった。

病院が 高齢者施設を代替した「特殊性

 さて、以前の記事『コロナで絶体絶命のイタリアと違い、日本で死者激増の可能性は低い理由』では、日本で医療キャパシティーが多い理由として、日本の病院が十分に効率化されておらず、その途中であるということを指摘させていただいた。

 それと同じことがこの場合も言える。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。

 表1を見ていただくと分かるが、海外に比べ、日本は病院以外の高齢者施設が少ない。世界一高齢者の比率が高い国でなぜこれが成り立っていたかというと、病院に高齢者が入院していたからである。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。さらにいえば、急速な高齢化に伴い高齢者施設を増やしており、かつ日本の医療保険制度や介護保険制度を見習っている韓国でも同じように、病院が高齢者施設を代替している。ちなみに韓国も日本と同様、人口当たりの死亡者数が少ない。

 もちろん、在宅医療にシフトするという話もあるが、高齢者が病院に入院していないことの欠点は何であろうか。今回の新型コロナウイルスの感染爆発でわかるように、やはり、海外のように介護者中心でケアをしていると、感染症対策はおろそかになりがちだ。アメリカなどではスキルドナーシングホームといわれる高齢者施設には、医師や看護師はある程度関与するが、通常の高齢者施設であるナーシングホームなどへの関与は少ない。

 ここで、なぜ日本の病院の機能が諸外国と異なっているのか、病院の歴史から考えよう。

 病院(ホスピタル)の語源は「ホスピタリティー」であり、さらにこのホスピタリティーの語源は巡礼者に対してサポートを行っていた「ホスピス」から始まっている。つまり巡礼者が怪我や病気をした時のサポートを行う場、急性期の病院機能が中心であった。現在でも「ホスピス」は療養、そこから分化した「ホスピタル」は急性期医療を専門に行っている。ちなみに、日本ではホスピスの数は少ない。

 海外の病院は、巡礼者が目的を果たすためにそそくさと立ち去るのが通例であった。宗教的な病院が多いのも歴史的な背景として考えられる。

 アジアには巡礼のような概念はなく、日本においては病院機能というのはあくまで病めるものに対するサポートであり、病めるものが必要とする機能を全て提供するという視点に立っている。

 歴史を振り返ってみても、江戸時代の「赤ひげ」医師で知られる日本最古の国立病院とでもいうべき小石川療養所などは外科的な治療も行ったが、やはり薬を処方するという内科的な対応(本道といっていた)が中心だった。そのため平均在院日数も長かった。

 このように病院の機能が異なっていたのが「日本の特殊性」とされ、それを是正していこうというのが近年の流れであったのはすでに別の論説(『コロナで絶体絶命のイタリアと違い、日本で死者激増の可能性は低い理由』)でも指摘したとおりである。

 このような背景に加え、老人の医療費自己負担額が極めて低かったこともあり、患者が望む間は、病院で面倒を見るという社会的入院という事象が生まれた。

介護保険導入10年以降で 医療と介護の連携が進んだ

 こういったこともあり、日本では高齢者用施設の数がなかなか増えなかった。現在では社会的入院はほぼなくなったとはいえ、病院に多くの高齢者が入院している。

 変化が起きたのは2000年に介護保険が施行されてからであるが、一気に高齢者施設数が増えたわけではないし、導入当初は介護と医療は分断していたが、近年では「医療介護連携」が叫ばれ、医療と介護の連続性が比較的保たれている。

 そして、新型コロナウイルス感染においては、それが幸いした。

 例えば、介護老人保健施設(老健)には医師が常駐しているし、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)においても契約している医師がおり、定期的に診察に訪れる。その他の高齢者対応の集合住宅も同様に定期的に訪問診療が行われるなど、医療の役割が充実している。

 おそらく日本の高齢者施設に新型コロナのクラスター感染が少なく、死亡者数が少ない理由は、介護施設従事者が必ずしも得意ではない感染管理に対して、医療従事者からのアドバイスがあったことが大きいのではなかろうか。

 ちなみに、医療崩壊を起こさずにピークアウトした韓国は、近年の急速な高齢化に伴い、高齢者対応施設を36.1%増加させているが、その中で療養病床を急速に増加させ、高齢者対応に占める病院の割合は60%以上と世界最大である。

 前回の論考では、医療キャパシティーが日本では大きかったことを、医療崩壊が起きにくい理由として記載したが、同じように、日本では医療介護連携が進んでいることを日本の死亡者を減らしている理由と主張したい。なお、日本同様に死亡者数が少ない東南アジアのデータはあまりないが、前掲表2のようにシンガポールでは日本同様に高齢者施設での死亡が少ない。高齢者対応が発展途上の国なので、直接関係があるかどうかは検証の必要があるが、シンガポールは、国土をエリアにわけて、それぞれで医療介護連携の仕組みを構築している。

 もう1つは、スウェーデンなどで見られるように、日本に比べると、欧米では高齢者施設から病院への搬送が少ないことが想像される。私が訪問調査した時も、「高齢者施設では発熱くらいでは、病院に搬送しないのが普通」との説明を受けた。もちろん日本では、一時的な発熱はともかく、何日も発熱が続けば、肺炎などを疑って搬送されるケースが多い。また、海外では総じてICU(集中治療室)への入室基準が厳しく、特に北欧などでは、高齢者はICUで治療を受けることが難しい。

 以上、筆者は、高齢者施設クラスターが少ないことが日本での、コロナ感染による死亡者が少ない理由の一つだと考える。高齢者施設クラスターは非常に危険であるが、日本の医療は、海外と比べても間違いなく安心できる体制になっており、一部で懸念されている介護崩壊も起きないだろう

 しかし、今回の死亡者数が少ないという成果が偶然や奇跡といわれることなく、戦略的に医療介護分野の再編成を考えることも重要かもしれない。

関連エントリ 2020/05/16 ⇒ 【新型肺炎】全世界死者数✍31万人超(16日現在)日本の死者725人。
関連エントリ 2020/05/15 ⇒ 【コロナショック】政府「WHOへの対応」✍米国と共同歩調?
関連エントリ 2020/05/14 ⇒ 【緊急事態宣言】✍変更<全都道府県から8都道府県>他の39県解除
関連エントリ 2020/05/08 ⇒ 【耳学】“コロナ感染者数グラフ”✍「日本だけ」違うは何故か
関連エントリ 2020/05/06 ⇒ 【緊急事態宣言】✍31日まで延長<大阪府>独自基準「大阪モデル」公表
関連エントリ 2012/04/25 ⇒ 【コロナショック】世界の今<ワクチン開発✍競争>進捗状況

関連エントリ 2020/04/20 ⇒ 【新型肺炎】日本の感染者数ピーク<4月26日前後>数理モデルで試算
関連エントリ 2020/04/19 ⇒ 【第45代大統領】中国批判「故意なら」✍コロナ禍の「報いを受ける」
関連エントリ 2020/04/17 ⇒ 【緊急事態宣言】切羽詰まったら✍「『朝令暮改』は当然」!?
関連エントリ 2020/04/15 ⇒ 【コロナショック】衝撃!✍“抗体”は「全ての人に出来る訳ではない」説
関連エントリ 2020/04/14 ⇒ 【コロナショック】✍待たれる「武漢肺炎ワクチン」の現状
関連エントリ 2020/04/13 ⇒ 【日経平均】大幅反落<OPECプラス✍減産合意>米株先物&原油安で軟調
関連エントリ 2020/04/12 ⇒ 【緊急事態宣言】✍7都府県<対人接触の8割削減>要請の“根拠”は??
関連エントリ 2020/04/09 ⇒ 【緊急事態宣言】もう一つの緊急事態<コロナ差別>とは何ぞや
関連エントリ 2020/04/08 ⇒ 【緊急事態宣言】永久保存✍武漢ウイルス「予防の心得」

関連エントリ 2020/04/06 ⇒ 【コロナショック】追い込まれた「緊急事態宣言」遅すぎた安倍政権
関連エントリ 2020/04/05 ⇒ 【コロナショック】感染者✍世界で120万人突破<4人に1人>世界一の米国
関連エントリ 2020/04/04 ⇒ 【閑話休題】コロナ騒動で注目される✍日本の「マスク文化」。
関連エントリ 2020/04/03 ⇒ 【コロナショック】今なお✍「緊急事態宣言」に慎重な安倍政権

 

2020年5月16日 (土)

【新型肺炎】全世界死者数✍31万人超(16日現在)日本の死者725人。

日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいっている不思議

Newsweek日本版 2020年5月15日(金)17時13分配信(William Sposato ダウ・ジョーンズ・ジャパン副支局長)

PCR検査の実施件数は極端に少なく緊急事態宣言には強制力が伴わないのに感染者数が着実に減りつつあるのは何故か

 日本の新型コロナウイルス対策は、何から何まで間違っているように思える。これまでにウイルス検査を受けた人は人口のわずか0.185%で、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)の導入も要請ベースと中途半端。国民の過半数が、政府の対応に批判的だ。それでも日本は、感染者の死亡率が世界で最も低い部類に入り、医療システムの崩壊も免れ、感染者数も減りつつある。全てがいい方向に向かっているように見えるのだ。

 当局者たちは感染拡大が始まった当初、検査対象を「入院が必要になる可能性が高い重症患者」に絞り、感染で死亡する人の数を減らすことを全体目標に掲げた。世界保健機関(WHO)西太平洋地域の元事務局長で、日本政府の同ウイルス対策専門家会議の副座長を務める尾身茂は2月半ば、「感染拡大のスピードを抑え、死亡率を下げることがこの戦略の目標だ」と言っていた。

 その成果は見事なものだ。5月14日時点で、日本でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が直接の原因で死亡した人の数は687人。人口100万人あたりの死者数では日本が5人なのに対し、アメリカは258人、スペインは584人。ウイルスとの闘いに成功したと見られているドイツでさえ94人だ。

ただの幸運か

 日本がウイルスの発生源である中国に近く、中国から大勢の観光客を受け入れてきたことを考えると、この死亡率の低さは奇跡に近い。また日本は世界で最も高齢化が進んでいる国でありながら、高齢者が深刻な打撃を免れているようにも見える。日本の複数の専門家は、政府が発表する数字は実際の数字よりも少ない可能性があると認めているが、一方で肺炎など同ウイルスに関連する病気が原因で死亡する人の数が予想外に急増する事態もみられていないとも言っている。

 これは日本がラッキーなだけなのか。それとも優れた政策の成果なのか、見極めるのは難しい。

 政府高官たちでさえ、今後の予測については慎重な姿勢を維持してきた。安倍晋三総理大臣はわずか2週間ほど前の4月下旬、「残念ながら感染者の数は増え続けている」と言い、「状況は引き続き深刻だ」と警告していた。さらに気掛かりなのが、一部とはいえ医療崩壊が起こっている可能性が指摘されていることだ。日本救急医学会は4月半ばに声明を出し、「救急医療体制の崩壊を既に実感している」と危機感を示した。

作業効率は最低レベル

 だがこの2週間で新たな感染者数は明らかに減少傾向に転じており、医療現場の負担も緩和されている。1日あたりの感染者数は4月12日の743人から、5月14日には57人に減り、100人の大台を割り込んだ。それでも世論は納得していない。共同通信が10日に実施した調査では、回答者の57.5%が新型コロナウイルスに関する政府の対応を「評価しない」と回答。「評価する」と回答した人は、わずか34.1%だった。

 事態を複雑にしているのは、日本のPCR検査実施数が国際水準を大きく下回り、実際にどれくらい感染が拡大しているのかが分かりにくいことだ。5月14日までに全国で実施された検査は23万3000件をわずかに上回る程度で、アメリカの2.2%だ。

 これには意図的な部分もある。感染が判明した人は感染症指定病院で隔離して治療を行うことになるが、軽症者や無症状の感染者が大勢押し寄せると現場が対応しきれなくなる。そこで政府は、強いだるさや息苦しさがある場合、あるいは37.5度以上の熱が4日間続く場合のみ受診相談をするという目安を示した。最近までこれが徹底されてきたために、苦しんでいるのに検査さえ受けられない人が続出した。ある日本語が堪能ではない外国人女性が、検査を受けさせてもらえるまで何度も病院をたらい回しにされた体験談が外国のメディアによって報じられると、国際社会は震え上がった。

検査結果は手書きでファックス

 当局者たちは、日本では幅広い検査を実施するだけのインフラが整っていなかったことも理由に挙げる。検査態勢の拡充を強く求めていた日本医師会の横倉義武会長は、「PCR検査のための装置や試薬、医療従事者の防護具が十分になかった」と指摘する。

 その後、複数の民間施設が検査に参入したことから、政府は検査基準を緩和し、高齢者や重症者はすぐに検査を受けられるようになった。それでも専門家は、本当の感染拡大状況は不明なままだと指摘する。東京都のある医療関係者は、実際には都民の6%前後が感染している可能性が高いと言っていた。

 もうひとつの問題は、データの収集方法だ。新たな感染者数に関する報告は、医師が手書きで記入し、地元の保健当局にファックスで送信。地元当局がそのデータをまとめて中央政府に送る仕組みになっている医師が詳しい情報を記入するために貴重な時間を無駄にしているという批判の声が上がると、日本のIT政策担当大臣は「対処していく」とだけ述べた。データの取り方もばらばらで、日曜日と月曜日は新たな感染者数が少なくなり、そこから増えて金曜日か土曜日に最も多くなるという流れだ。

 外出制限も多くの国に比べてずっと緩い。国家緊急事態宣言が発令されても、政府は国民に自宅待機を強制することはできず、企業や店舗に閉鎖命令を出すことはできない。第2次世界大戦後に(アメリカが草案を作成して)制定された憲法で、国家権力が制限されているからだ。

公衆衛生の意識が高い?

 ソーシャル・ディスタンスも、個人の善意と、少々の社会的制裁に委ねられている。飲食店は、アルコールの提供は午後7時まで、そして午後8時には閉店するように(丁重に)要請された。職場のストレスを晴らすために終電まで飲んで過ごすことに慣れた、日本のサラリーマンにとってダメージは大きかっただろう。

「社会的接触の7~8割の削減」という野心的な目標が掲げられた。そしてデータ分析によると、この数値目標はかなりの割合で達成された。ゴールデン・ウィーク恒例の帰省ラッシュも今年はかなりの程度回避された。新幹線を運行するJR各社によると、今年の連休中の新幹線の乗車率は5%程度にとどまり、例年の乗車率105%と比較すると乗客は大幅に減少した。

 日本は自らを法治国家、そして公衆衛生の意識が高い社会と見ているが、国民全員がまじめに感染予防策を実行した訳でもない。大きな懸念材料となったのは、人が密集しがちなパチンコ店だ。ほとんどのパチンコ店は営業を自粛したが、営業を続けた店舗もあった。各自治体は営業を続ける店舗の名前を公表する対抗措置を取ったが、逆に宣伝になって数少ない営業店舗に入ろうとする客が長い行列を作った。

医療関係者に差別

 しかし全体としては、相手を気遣い、人との距離を取り、握手を避け、清潔を心掛ける日本の文化は、数値で図ることが困難だとしても、感染者数を抑える上で大きな役割を果たしたようだ。

 ただ残念なことに、医療従事者や感染患者に対する差別的な言動という、日本文化のよくない側面も表面化している。第一線の医療現場で奮闘する従事者が世界各国で称賛されているのとは対照的に、日本では看護師などの医療従事者が、差別的な言動を受けたり、保育所で子どもを拒否されたり、感染を恐れる人たちから拒絶されたりしている。

 感染者数の減少傾向を今後も継続させるため、安倍は緊急事態宣言を5月末まで継続すると発表した。しかし国民の間に「自粛疲れ」が高まっていることを考慮し、いくつかの要請を緩和した。公園や公共施設は、今後段階的に利用が可能となる。東京や大阪の周辺などまだ新規の感染者数が多い都道府県を除く地域では、外出制限は緩和される。各企業は感染防止策を講じながら、経済活動を再開する。

 世界のどこの国でもそうだが、日本にとって最大の懸案は、感染危機を引き起こさずに安全に行動制限を解除できるかどうかだ。そして、そもそも日本がなぜ諸外国のような感染危機にいたらなかったのかという大きな疑問もまだ残っている。

新型コロナ日本の政策奏功しているのか

AFPBB News 2020年5月15日(金)15時38分配信

 高齢者の総人口に占める割合が世界で最も高く、人口密度が世界で最も高い大都市の一つを首都に持つ日本。この国には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行しやすい環境が整っているように思われていた。

 すし詰め状態の電車をはじめとする都内の通勤風景は、さらなるウイルスの感染拡大により東京が第2のニューヨーク市になる恐れがあるとの危機感をあおるものだ。

 だが、厚生労働省によると、人口1億2600万人の日本では、これまでに確認された感染件数は1万6000件あまりで死者数も約700人にとどまっている。比較対象となる他国よりもかなり低いこの数値については、多くが当惑し、当局が全てを明らかにしていないと疑う声も上がった。

 こうした中、日本での低い感染率に寄与している可能性があるとして、マスク着用や靴を脱ぐ習慣、お辞儀をするが握手をしない文化、低い肥満率、特定の食べ物の摂取といったものがその理由として挙げられた。

 しかし、感染拡大の抑制に成功しているかのように見えるこの状況をめぐっては、実際の危機的状況は分からないとの指摘も出ている。その背景にあるのは、比較的低い検査の実施率だ。

 統計サイト「ワールドメーター(Worldometer)」によると、5月11日時点での検査実施数は累計21万8204件(厚労省のデータ)で、これは国民一人当たりの割合では先進7か国(G7)中で最少となっている。

 政府の新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の尾身茂(Shigeru Omi)氏でさえ、PCR検査体制について「今のままでは不十分だと専門家はみんな思っている」と述べている。

 また、軽症者、無症状の人がいるとして実際の感染者数は「実は10倍か、15倍か、20倍かというのは、今の段階では誰も分からない」と指摘した。

 新型コロナウイルス感染症の重症患者への対応を行っている東京医科歯科大学病院(Tokyo Medical and Dental University Hospital)の小池竜司(Ryuji Koike)副病院長は、「日本がうまくいってるとはまだ言えない。死亡者数や感染者数の規模が欧米より違うことは確かだが」とAFPの取材で語った。

 同氏はまた、「(感染件数が少ないのは)政策的なものではない。そこではかりきれない、生活習慣とか、日本の行動のスタイルそういったもので一見そういうふうになってるだけなんじゃないか」とも付け加え、衛生観念やあいさつの仕方などを例に挙げた。

政府の対応「評価しない」57.5%

 一方、北海道大学(Hokkaido University)の鈴木一人(Kazuto Suzuki)公共政策大学院教授は、日本の比較的少ない感染件数では、感染者のクラスター追跡と急性症患者だけを検査するという戦略で十分であることが分かったとし、一にも二にも検査というのは日本の戦略ではないと記者団に語っている。

 鈴木氏はまた、検査実施数に対する陽性率が約7.5%であることに触れながら、「検査数は十分」との見解を示している。ただ、「もし急激な感染拡大が再び起これば、もっと検査が必要となるだろう」とも述べた。

 感染拡大が抑制されている日本の状況については、飛びぬけて高いマスクの着用率と衛生および手洗いの文化が寄与しているとした。

 共同通信(Kyodo News)による最近の世論調査によると、安倍晋三(Shinzo Abe)首相政権の新型ウイルスへの対応を「評価しない」との回答は57.5%で、「評価する」はわずか34.1%だった。

 コンサルタント会社テネオ(Teneo)の日本の政策の専門家トバイアス・ハリス(Tobias Harris)氏は、安倍氏の対応には「むらがある」と指摘する。

「事態に先回りして対処することが最初からできていない。コミュニケーションを効果的なものにすることができず、補佐役からのサポートも十分ではない」

給付金大混乱🏢市役所窓口🏢ヤバすぎる内情

東洋経済オンライン 2020年5月16日(土)5時35分配信/伊藤 歩(金融ジャーナリスト)

 「まさに、鵜のまねをする鳥、水におぼれる。おぼれさせられているのは自治体職員だ。諸外国で簡単に給付金を配れるのは、国が国民の情報を把握できているからこそ。それができていない日本で、格好つけてまねすればどうなるか、国はまったくわかっていない」

 某政令指定都市の自治体職員は怒り心頭に発している。5月1日に国が1人当たり一律10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請の受付が始まって2週間。全国の自治体が大混乱に陥っている。

 起きている問題は主に3点。第1に、自治体の窓口に人が押し寄せて、対応する職員が疲弊している。第2に、オンライン申請を受け付ける「情報提供等記録開示システム」(通称マイナポータル)でシステム障害が多発している。第3に、申請内容に大量の不備が見つかっている、である。

役所に人が押し寄せたワケ

 特別定額給付金を受け取るには市区町村に申請をする必要があり、申請方法は郵送とオンラインの2通り用意されている。
 郵送の場合は、自治体から郵送されてくる申請書類に必要事項を書き込んで返送する。オンライン申請の場合は、「地方公共団体情報システム機構」(略称J-LIS)という国の機関が運営している、マイナポータルのフォーマットに必要事項を入力して送信する。どちらの方法も、基本的に役所に出向く必要はない。

 それでは、役所に殺到している人々は何をしに来ているのか。「最も多いのはマイナンバーカードのパスワードの再設定のため」(東京都職員)だという。

 マイナンバーカードはマイナンバー(個人番号)などが記載されたプラスチック製のICチップ付きカードで、身分証明書として利用できる。一方、個人番号を記載した緑色の紙のカード(通知カード)には電子証明機能はなく、オンライン申請には使えない。

 オンライン申請をするには、マイナンバーカードが必要なだけでなく、マイナンバーカードを取得した際に設定したパスワードも必要になる。せっかくマイナンバーカードを持っていても、パスワードを忘れていたらオンライン申請はできない。

 従前のパスワードを覚えていれば、マイナポータルにインターネットでアクセスしてパスワードを変更できるが、忘れてしまった場合は厄介だ。パスワードを再設定するには、忘れてしまったパスワードをいったん削除する必要があり、これが役所に設置されている、マイナポータルと専用回線でつながっている専用端末でしかできないのだ。

 このほか、「オンライン申請にはマイナンバーカードを読み込むカードリーダーが必要で、これがどういうものかとか、どこで入手できるのかとかを聞きに来る人、マイナンバーカードは役所に来れば作れると勘違いして来る人もいる」(前出の東京都職員)という。

カード作成に潜む落とし穴

 マイナンバーカードは、通知カードが送られてきた際に同封されていた「個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行申請書」に必要事項を記載し、顔写真を貼り、同じく同封されていた封筒で返送して申し込む。

 交付申請書には「署名用電子証明書」「利用者証明用電子証明書」が不要な場合にチェックマークを入れる欄がある。ここにチェックマークを入れて作ったカードには証明機能がないので、今回の申請には使えない。

 利用者証明用電子証明書は、マイナポータルなど行政のサイトやオンラインバンキングなどのサイトへのログイン時や、コンビニで住民票の写しなどを受け取る際の本人確認に使う。

 署名用電子証明書は、税金の電子申告や、インターネットバンキングの登録などの際、作成・送信した電子文書の作成者が誰であるのかを証明するもので、なりすましを防ぐ目的で使われる。

 マイナンバーカードができ上がるまでには平時でも1カ月かかり、これを受け取るには役所に出向かなければならない。対面で本人確認をしたうえで手渡しする。その際に、署名用、利用者証明用、それぞれに別のパスワードを役所の専用端末で設定する。今回の特別給付金の申請に必要なのは、署名用の機能とそのパスワードだ。

 「役所でマイナンバーカードは作れないことや、平時でも申請から1カ月かかることなどを正直に説明した結果、相手が逆上するケースもある」(冒頭の自治体職員)

 マイナポータルのシステム障害は、申請の障害になっているだけでなく、役所の職員の業務遂行上も多大な障害になっている。

 自分のPCやスマートフォンから申請する利用者は、いわゆる利用者クライアントソフトを使い、インターネット回線でマイナポータルにアクセスする。申請が殺到した結果、このインターネット回線でのシステム障害が多発していることは言うまでもないのだが、役所とマイナポータルを結んでいる専用回線のほうもシステム障害が多発しているのだ。

 その原因は想像にたがわず、パスワードを忘れた人による、パスワード再設定依頼の殺到である。専用回線が混雑すると、その専用回線で送られてくる申請情報の出力もスムーズに行かない。「1枚の申請書を出力するのに、2時間かかった例もある」(前出の東京都職員)という。

システム障害頻発の根本理由

 この話には少々解説が必要だ。マイナポータルは単純に申請を受け付けるだけで、申請者が入力した情報は何のチェックもかからず、そのまま自治体に転送される。

 このため、マイナポータルでの申請は、システム障害さえ起きなければ同一人物が何度やっても受け付けられる。世帯主以外は本来申請する資格がないのに、申請者が世帯主かどうかの判定すらしない。否、判定できないのだ。

 自治体ではマイナポータルから転送されてくる情報を紙に出力し、職員が住民基本台帳システムなどを使い、手作業で記載内容に間違いがないかや、必要書類が整っているかなどをチェックする。修正や必要書類の提出依頼は、職員が申請者に電話をかけて行っている。その手間暇は尋常ではない。

 実は、冒頭の地方自治体職員が最も怒っているのも、この点なのだ。マイナポータルが申請を受け付けた情報を、住民基本台帳システムと連携させることができれば、確認作業の負担は大幅に軽減されるはずなのに、それができないのである。

 というのも、そのシステム開発は自治体がやらねばならず、国はやってくれない。というよりも、できないのだ。地方自治体がそれぞれ独自に住民票や印鑑証明のシステムを開発しているため、自治体ごとにフォーマットが異なるからである。

 したがって、国が特別給付金申請用のチェックシステムを開発し、全国の自治体に配るということができない。一方、自治体にシステム開発をしている余裕は、時間的にもマンパワー的にもない。

 つまり、間違った申請があっても、不正な申請があっても、チェックするのは自治体であり、チェック漏れが発生し、二重払いなどが発生しても、その責任を問われるのは自治体なのだ。

こじれた糸はどうすればほどける? 

 日本は良い意味で、国家による国民の管理が緩やかな国だ。アメリカは源泉徴収制度があるとはいえ、一定以上の所得がある国民は全員、確定申告を義務付けられているので、口座情報も完全に管理されている。今回のようにお金を配るためのインフラは整っている。
 だが、源泉徴収されている収入以外に収入がなければ確定申告の必要がない日本では、アメリカのように個々人の銀行口座まで管理できていない。だからこそ、インフラが整っている国のまねを安易に決めたことに、冒頭の自治体職員は怒り心頭に発しているのだ。

 もっとも、これを口実に国民の管理を強化されてはたまらない。何しろ、政府はこの未曽有の危機の最中に、政権にとって都合のよい人物の定年延長を正当化するかのような法改正を進めようとしている。いったん管理を強化されたら、今後それがどう使われるのか、わかったものではない。

 最善の解決策は、オンライン申請なら早くもらえるという誤解を解くこと。そして、オンライン申請の推奨をやめ、郵送されてくるのを待つよう、徹底的に啓蒙することだろう。

 自治体レベルでは郵送の推奨を行っているが、そもそも給付金は国の事業なのだから、国自身がやるのが筋ではないか。せめて、テレビで盛んに流されている特別給付金支給の告知で、この2点を強調するくらいのことをしても罰は当たらないはずだ。

関連エントリ 2020/05/15 ⇒ 【コロナショック】政府「WHOへの対応」✍米国と共同歩調?
関連エントリ 2020/05/14 ⇒ 【緊急事態宣言】✍変更<全都道府県から8都道府県>他の39県解除
関連エントリ 2020/05/12 ⇒ 【耳学】「服に付いた」武漢ウイルス✍生存期間(不活化まで)
関連エントリ 2020/05/11 ⇒ 【日経平均】3日続伸<2万円台✍地固め>経済再開に期待感
関連エントリ 2020/05/10 ⇒ 【習的中國】武力衝突も見据える「天安門以来✍最悪の米中関係」
関連エントリ 2012/05/08 ⇒ 【耳学】“コロナ感染者数グラフ”✍「日本だけ」違うは何故か

 

2020年5月15日 (金)

【コロナショック】政府「WHOへの対応」✍米国と共同歩調?

WHO検証の「独立機関」提唱へ 日本政府中国にらみ米国歩調

共同通信 2020年5月15日(金)18時31分配信

 日本政府は、米国が新型コロナス感染症に関するWHOの対応を非難している現状を踏まえ、独立機関によるWHO対応の検証を国際社会に提唱する構えだ。茂木外相が15日の衆院外務委員会で「できる限り独立性を持った機関によって(検証が)行われることが重要だ」と表明した。

 新型コロナを巡り米国は、世界的流行の発端となった中国に情報隠しの疑いがあったにもかかわらず、WHOが中国の説明をうのみにしてきたと主張。「WHOは中国の操り人形」(トランプ大統領)と非難している。日本政府としては、事実関係の検証に前向きな姿勢を打ち出すことで、米国と一定程度歩調を合わせる狙いがある。

中国戦狼外交、コロナ危機で露呈した限界

Wedge 2020年5月14日(木)12時23分配信/桑原響子 (日本国際問題研究所研究員・未来工学研究所研究員・京都大学レジリエンス実践ユニット特任助教)

コロナ対応で国際社会から対中批判高まる

 世界中で中国が新型コロナウイルスの初期対応を誤ったことに対する批判が高まっている。中国の新型コロナウイルス感染症への対応をめぐり、中国の初期対応が後手に回ったこと、および情報開示が十分でなかったことなどから、米国をはじめ各国において中国に対するイメージが悪化しているのだ。

 そうした中、中国はコロナウイルスの制圧に成功したと喧伝する一方、世界各国に医療物資や医師団を送るいわゆる「マスク外交」を展開し、自国のイメージ回復に躍起になっている。中国国民による使用が禁じられてきたSNS・Twitterを用いて中国外交部報道官が諸外国の世論に働きかけ、さらには習近平国家主席自らが各国首脳に電話攻勢をかけるなど、世界のリーダーとして振舞おうと必死である。

 しかし、中国の攻勢は空転し、むしろ世界の反発を買う結果となっている。米国が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼称し、最近では同ウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した疑いがあると批判したのに対し、中国側が、米軍がウイルスを武漢に持ち込んだ疑いがあると反論、相互にメディアを用いてけん制し合うという、「プロパガンダ合戦」が繰り広げられ、米国の対中世論を悪化させている。

 また、中国と経済的結びつきが強く中国に対する直接的な批判を避けてきた欧州や豪州、アフリカ各国までもが、中国の医療器具や医薬品に頼る一方、こうした中国からの支援に対し「感謝」を表明するよう求められたり、経済的な脅しを受けたりしていることが原因で、中国に対する不信感が高まっている。

 コロナ危機を受け、中国が世界でどのような外交戦術を展開しているのか、そしてそれがどのような結果を生んでいるのかについて詳しく見ていくこととしよう。

イメージ回復に躍起になる中国の「戦狼外交」

 新型コロナウイルスが世界中に広がる以前から、もともと、中国のパブリック・ディプロマシーはプロパガンダと呼ばれることがあった。中国共産党の中央宣伝部をはじめ、統一戦線工作部、そして外交官らによって、他国に対し世論づくりが展開されてきた。

 中国語や中国文化の普及活動をはじめ、多彩なメディア戦略等を用いて時には他国批判も行い、国際社会に対する情報を制限すると同時に、他国に対して脅しのメッセージを発信してきた。こうした「力」の概念はしばしば「シャープパワー」と呼ばれていたが、コロナウイルスをめぐり、「戦狼外交」や「最後通牒外交」といった強硬な外交が加速しているように見受けられる。

 習近平国家主席が20を超える各国の首脳と電話会談し、支援を表明し、協力を約束しているが、中国に対し感謝の意を表明するよう要請されている国もあるとされる。例えば、ポーランドでは、アンジェイ・ドゥダ大統領自らが習主席に電話で中国からの支援に感謝を表明せよという圧力がかけられ、またドイツでは、ドイツ当局や大企業から、中国からの支援や努力に対し感謝状を贈るよう求められたと、5月3日付のニューヨークタイムズが報じた。

 ちなみに、「戦狼外交」とは、2015年と2017年にシリーズで公開された中国のアクション映画『ウルフ・オブ・ウォー(英語表記:Wolf Warrior)』になぞらえた、過激な外交官による中国の好戦的な外交手法である。同作品は、中国人民解放軍特殊部隊「戦狼(Wolf Warrior)」の元隊員の主人公が、演習途中でアメリカ人傭兵軍団の襲撃にあい仲間を失ったことから、傭兵軍団と死闘を繰り広げる物語である。

 映画が大ヒットを記録した時期の前後、米中間では貿易摩擦が問題となり、両国の技術的優位性や国際社会での影響力をめぐり対立を繰り広げていたことが背景となり、中国の政府関係者や外交官が戦狼的とも攻撃的ともいえる手法で広報合戦を展開するようになったといわれている。今回のコロナウイルス対応でこの手法がより活発に使われているのだ。

大国中国として強く主張する強気な広報戦略

 「最後通牒外交」が行使されている国もある。「最後通牒外交」とは、従来、中国からの経済支援等と密接に関わっている諸外国(特に開発途上国)に対し、自国の要求を飲ませるために、支援の削減や中止をちらつかせ圧力をかける手法であるが、この手法が今回のコロナウイルス対応でも広範に用いられているとみられる。たとえばオランダは、4月28日にオランダの台湾事務所(台湾公館に相当)の名称を「オランダ貿易・投資弁事処」から「オランダ在台弁事処」に変更したが、これに中国が反発、オランダへの医療製品等の輸出停止を検討すると圧力をかけたのだ。

 「一つの中国」原則を徹底させたい中国にとって、「在台」という名称を付け、台湾をあたかも国家であるかのようにオランダが扱ったことは、中国にとって到底受け入れられなかったのだろう。オランダは、以前から中国のマスク外交に関し、マスク130万枚のうち60万枚のマスクを「医療御用の基準に満たない」として回収するなど、懸念を持っていたと見られるが、この改称措置の背景には、こうした中国へのマスク外交への反発もあるかもしれない。中国は、改称の報復として、コロナウイルス対応に追われるオランダの事情を逆手にとり、医療支援の停止をちらつかせた。

 他方、日本に対しては、親日的な広報外交を展開することで日本の世論の取り込みを図ってきた。中国外交部の華春瑩報道官が2月の定例記者会見で、日本からの支持や支援に公式の謝意を示し、華報道官が昨年末から始めたとされる自身のツイッターで、漢詩とともに日本語で親日的な応援メッセージを度々投稿している。外交部の報道官が公の場や中国での使用が禁じられているTwitterで日本に対して謝意を送ることは極めて異例である。

 また、中国政府内では、大国中国にふさわしく、より強く主張する外交を求める声が強まってきていた。これを示唆するように、中国共産党機関紙「人民日報」系の「環球時報」英語版は4月16日に「戦狼外交」について取り上げ、「中国が唯々諾々と従う時代はとっくに終わった」と言い放った。ニューヨーク・タイムズをはじめとする欧米メディアは、この記事に敏感に反応している。

 こうした中国国内の空気を反映して、趙立堅副報道局長が2月下旬に中国外交部のスポークスパーソンとして就任すると、「戦う外交官」として強硬な発言を繰り返し、また各国駐在の中国大使をはじめとする外交官も強気の発言を行っている様子が報じられている。

 中国はこのように、自らのイメージを挽回し、日本など諸外国を自国の味方につけるために躍起になって世論づくりを展開しているとみられるが、特に中国当局が表立って経済的圧力をかけ、さらには、直接各国首脳からの謝意を要求するという強圧的ともいえる行動は、これまでの中国のしたたかな広報戦略とはまったく趣を変え、逆効果を生んでいる。そこには中国の焦りが垣間見える。中国の指導者らが、コロナウイルス対応が国内での自らの立場に悪影響を及ぼしうる深刻な危機と捉えていることの裏返しといえよう。

米国だけでなく、欧州等からも対中批判相次ぐ

 最近の米中対立は「米中新冷戦」とも称されていたが、コロナウイルスをめぐり米中は激しい情報戦を展開しており、関係は悪化の一途を辿っている。中国は、米軍がウイルスを中国に持ち込んだと豪語し、一方の米国は、トランプ大統領がウイルスを「中国ウイルス」と呼称し、さらには、証拠を開示しないまま、トランプ大統領やポンペオ国務長官が、武漢ウイルス研究所が新型コロナウイルスの発生源である可能性を主張し、米情報機関に徹底調査を指示した。

 これに対し、中国外交部の耿爽副報道局長が4月21日の定例記者会見で「中国は一貫して公開、透明、責任ある態度で国際的な防疫協力を強めている。発生源は科学の問題であり、専門家の研究に任せるべきだ」と反論し、さらに、5月5日には、トランプ大統領が、今後、新型コロナウイルスの発生源をめぐる報告書を公表すると明らかにするなど、双方がウイルスの感染拡大の責任等をめぐって非難し合う事態となっている。

 さらにトランプ大統領は、4月15日、コロナウイルス対応で WHOが中国寄りだとしWHOへの拠出金停止を表明した。また、ミズーリ州は4月21日、中国がコロナウイルス感染拡大防止策を講じるのを怠り、深刻な経済的損失を引き起こしたとして、中国政府や中国共産党等を提訴した。ミズーリ州はトランプ大統領の属する共和党の地盤州である。

 トランプ大統領が中国をスケープゴートにするのは、秋の米国大統領選での再選や、自らの政策や政治手腕等に対する批判をかわすことなどが目的とみられる。

 米国だけではない。ドイツやオーストラリアまでもが新型コロナウイルスの発生源をめぐり中国批判を行うようになった。例えば、対中輸出が3分の1を占めるオーストラリアも、中国に対し態度を硬化させている。オーストラリアがコロナウイルスの起源等について調査を求めたが、これに対し、駐豪中国大使が経済的報復措置を示唆、また、「環球時報」の編集長が自らのWeibo(4月28日付)に「(オーストラリアは)中国の靴底にくっついたガムのようだ」と侮辱した。これにオーストラリアのマリズ・ペイン外務大臣が反発するなど、両国の関係が悪化している。

 また、ドイツでは、ドイツ最大のタブロイド版大衆紙「ビルド(Bild)」が編集主幹ジュリアン・ライチェルトの署名入りの記事を掲載(4月15日付)、コロナウイルス感染拡大に関して中国に対し1600億ドルの賠償を求めたのに対し、駐独中国大使館が公式に反論した。

 さらに、コロナウイルス対応の一環としての中国政府のなりふり構わぬやり方が各国政府の反発を招いている。5月3日付のニューヨーク・タイムズによれば、過去数週間の間に、少なくとも7名の中国大使(フランス、カザフスタン、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ガーナ、アフリカ連合)が、コロナウイルス関連で中国から流される「偽情報」や、中国広州でアフリカ系住民に対する人種差別が横行していることについて、ホスト国に説明を求められた。差別のきっかけは、広州にある移民が多い地区でコロナウイルスのクラスターが発生したことであったと多数のメディアが報じている。

 フランスでは、駐仏中国大使館員が「介護施設でフランス人高齢者が見殺しにされている」といった発信を行なったことに対し、ジャン=イヴ・ル・ドリアン外務大臣や議会から強い反発の声が上がっている。

国際社会からの孤立避けたい中国の焦燥

 中国はまるで自国こそが国際社会でコロナウイルス危機に対応するリーダーシップを発揮し、困難に直面している各国に寄り添うヒーローであるかのような振る舞いをするとともに、コロナウイルスの感染拡大の責任を他国に押し付け、「戦狼外交」や「最後通牒外交」を展開している。その目的の一つは、対内的には、中国国内でコロナウイルス対応への遅れから習近平政権への批判が出始めたのを押さえ込み、中国は国際社会から評価されていると喧伝する国内向けの配慮もあると考えられる。また、対外的にも、米中の二国間対立が深刻化する中で中国を主体とする国際社会対米国の対立構造をつくりだそうとしていると考えられる。

 しかし、中国の試みは中国の望み通り進まず、むしろ逆効果を生んでいる。米国では、米中政府関係が悪化するだけでなく、米一般世論の対中観も悪化している。米国ピュー・リサーチ・センターの調査(2020年3月)によれば、中国を「好ましくない」と回答した米世論が66%と過去最高を、反対に「好ましい」と回答した米世論は26%と過去最低を記録した。中国に対する否定的な評価は、トランプ政権発足以降20ポイント近く上昇している。また、欧州では、中国との経済的な結びつきの強い国までもが、中国との貿易のみならず、中国の通信技術や医療機器や医薬品に頼りすぎている現状を憂慮する見方を示すようになってきている。ドイツの有力政治家も、「中国は欧州を失った」と述べている。

中国のコロナ外交の限界と課題

 中国のパブリック・ディプロマシーは、21世紀に入って相当戦略的に展開されてきており、米国世論対策は一定の効果をあげてきていた。しかし、2010年代以降、中国が大国としての自信をつけ始め、さらに近年、米国との関係が厳しさを増してきたことを背景に、より強硬に自国の主張を展開すべきだとの考え方が前面に出てきた。

 いわゆる「戦狼外交」と呼ばれるアプローチであり、若きスター趙立堅副報道局長の登場でその動きが加速した。国益を重視し、堂々と自国の立場を主張するというアプローチなのであるが、相手に恩着せがましく感謝を要求したり、恐喝的な発言を繰り返したりするやり方が各国から品格を伴った外交とは認められず、逆効果を生んでいると考えられる。

 「戦狼外交」のような強硬なやり方に対し、中国国内でも疑問も提示され始めており、中国社会科学院が運営するウェブサイトの文章「中国への外部からの攻撃への対応能力向上に注力せよ」(4月24日付)は、世論戦に勝利するために中国がとるべきコミュニケーション手段を以下のように具体的に述べている。

・コロナウイルスが世界中に広がったことで海外メディアによる中国に対する攻撃的な報道が増加していることを受け、政府メディア、民間メディア、メディアワークアソシエーション、外交部、重要企業、シンクタンク等が海外世論を監視するための多元的なメカニズム(ネットワーク)を構築する。

・米国等主要な外国メディアの動態を24時間体制で監視し、中国に対する誹謗・中傷・攻撃への迅速かつ強力な対応と反撃を組織し、否定的な世論の発信源と拡散をカバーするよう努める。

・TwitterやFacebookに代わるものとしてWeiboやWeChat等中国のソーシャルプラットフォームを使い、宣伝する。

・言葉の応酬だけでなく、冷静かつ客観的に、理性を持って人々を説得し、平等・協力・善意の概念を解き放つなど、メディア対応の方法や取り組み方を改善すべきである。(一部抜粋)

 果たして中国が効果的なパブリック・ディプロマシーを発揮できるかどうか、そのためにはあまりにも攻撃的な外交の危うさを反省し、冷静かつ客観的な対応を行う必要があるだろう。その際、他国への恩着せがましいやり方や恫喝的な手法によってではなく、相手方への思いやりの気持ちを持つことも必要と考えられるが、急速に大国化した中国がごう慢な考え方を改めるのは容易ではないとみられる。まさに中国のパブリック・ディプロマシーは大きな試練に直面しているといえる。

トランプ氏、習近平主席と「今は話したくない」中国のコロナ対応に失望

毎日新聞 2020年5月15日(金)12時08分配信

 トランプ米大統領は14日放送のFOXビジネステレビで、新型コロナウイルスを巡る中国の対応に「非常に失望している」と改めて不快感を表明した。中国の習近平国家主席と「今は話したくない」と述べ、「(中国との)関係を完全に断ち切れば5000億ドル(約53兆6000億円)の節約にもつながる」とも語った。

 トランプ政権は、中国の初動の遅れが世界的感染拡大につながったとの批判を強め、米中対立が激化している。中国批判を強める背景には、国内景気の悪化を受けた政権批判を回避したいというトランプ政権の思惑もある。

 FOXビジネスのインタビューで、習氏と最近協議したかを問われたトランプ氏は「習氏とは良好な関係だが、今は話したくない」と繰り返した。

 新型コロナの情報を中国が早期に開示しなかったことへの報復措置として、米株式市場に上場する中国企業に対し、米会計基準を厳格に適用することを検討していると説明。中国が求める米中間の「第1段階」通商合意の再交渉には「応じない」と言明した。

 一方、中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)副報道局長は15日の定例記者会見で、トランプ氏の発言について「中米関係の安定した発展を保つことが両国民の利益であり、世界平和に資する。感染対策でも協力を続けるべきだが、それには歩み寄りが必要だ」と述べた。トランプ氏を直接批判せず、論争の激化を避けた形だ。

米国の外交専門誌、日本のコロナ対策奇妙な成功と論評

共同通信 2020年5月15日(金)12時47分配信

 米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ」と伝えた。

 同誌は、日本は中国からの観光客が多く、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保も中途半端と指摘。感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会と比べ低いが「死者数が奇跡的に少ない」と評した。さらに「結果は敬服すべきもの」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」と述べた。

「ピーク超え」一転、南米チリ首都封鎖コロナ感染急拡大

時事通信 2020年5月15日(金)19時58分配信

 南米チリで、一時は「ピークを越えた」とみられていた新型コロナウイルス感染者数がここにきて急増している。政府は人口約700万人の首都圏を対象に、15日から強制的かつ「完全」なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表。首都サンティアゴの主要墓地では、約2000人分の墓穴を掘る作業が進んでいるという。

 これまで1日当たり350~500人だった新規感染者数は、先週末になってにわかに急増。13日までの24時間では2600人の新規感染者が確認され、14日にもほぼ同数の報告があった。

 ハイメ・マニャリッチ(Jaime Manalich)保健相は13日、「最も深刻な措置を発表しなければならない。サンティアゴ首都圏の完全隔離だ」と述べた。国内では3万4000人超の感染が確認されているが、このうち80%が首都圏に集中している。

 ロックダウンは15日午後10時(日本時間16日午前11時)から施行され、食料品や医薬品の買い出しなど必要不可欠な理由を除き、外出は禁止される。

 チリの新型コロナ対策はこれまで、感染例の集中する地区のみを隔離対象としていた。サンティアゴなど複数の都市で夜間外出禁止令が出てはいたが、都市全体のロックダウンは行っていなかった。

 また、チリは新型コロナ検査の実施件数でも人口比で中南米最多を誇り、1日当たり1万4000件を処理。これまでの累計検査件数は約20万件に上る。

 今回の措置では、いったん隔離対象となり後に制限が解除された複数の地区もロックダウンの対象となっている。 

 政府は先に、1日当たりの新規感染者数が500人前後で推移しているとして、流行は「ピークを越えた」との見方を示していた。しかし、その直後の5月初旬に医療関係者が感染者数の増加を報告。さらに数日後には、当局者の口から「サンティアゴの闘い」という言葉が出るようになっていた。

スペインで感染予防のためにビーチ漂白剤壊滅的打撃に

Forbes JAPAN 2020年5月10日(日)7時00分配信

 スペインは世界で最も強烈な新型コロナウイルスのダメージを被った国にあげられるが、現在は徐々に危機から脱しつつある。政府は6月の末までに全てのロックダウンを解除する動きを進めており、先週から子供たちは屋外で遊ぶことを許可された。

 しかし、南部の海沿いの街で実施された感染拡大の防止策が、世界中の環境保護団体から批判されている。

 南部の都市、カディスの近隣にあるサアラ・デ・ロス・アトゥネスと呼ばれる海辺の村では、4月26日に全長1マイルのビーチに漂白剤が散布された。地元の環境保護活動家のマリア・ドローレス・イグレシアスベニテスは、漂白剤がビーチに生息する虫や貝類などを撲滅させ、生態系を破壊すると指摘した。

 現地は政府が保護鳥に指定するシロチドリの住み家となっており、漂白剤の散布がそのエコシスムを壊滅させてしまうと専門家は述べている。「砂浜は自然の力でウイルスを除去できる。漂白剤の散布などまったく必要無かったのだ」とイグレシアスベニテスは述べている。

 環境保護団体のグリーンピースも、現地当局の措置を批判した。「鳥たちが繁殖期を迎えたタイミングで消毒剤を散布したことにより、海のエコシステムが破壊され、漁業や観光業に甚大なダメージが発生した」と同団体はツイートした。

 当局も漂白剤の散布が誤りだったことを認めている。薬剤の散布を決定した担当者は「感染拡大の防止のために消毒剤を散布したが、これは誤った判断だった」と発言した。

 現地メディアのEl Pai’sによると、スペインのアンダルシア州の地方政府はサアラ・デ・ロス・アトゥネス村に罰金を支払わせることを検討中という。

ベルギー都市封鎖、クルマ無し一家の「熱意」に抱腹絶倒

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年5月10日(日)9時26分配信

 新型コロナ禍による「都市封鎖」にウンザリしているベルギーの人びとが腹を抱えて笑っているそうだ。

 ベルギーでは現在、都市封鎖に伴い、マクドナルドはドライブスルーによるテイクアウトしか許可されていない。

 ベルギーの英字紙「ブリュッセル・タイムズ」(5月8日付電子版)などによると、ブリュッセル郊外のラ・ルビエールに住むナタリー・モアマンさん(写真右)の一家はマクドナルドが大好きだが、残念なことに車を持っていない。地元のマクドナルドは500メートルほど離れたところにあるというのに!

 そこでナタリーさんは娘のマリーさん(16=同左)と共に一計を案じた。段ボールで人力の車を作り、それでマクドナルドに行ったのだ。

 ナンバープレートには新型コロナの正式名称「COVID-19」。車体の後ろには「マクドナルドで買い物したいだけです」という説明、横にはマジックで「マクド・モバイル」と書いた。

 このなんちゃって自動車は人びとの大爆笑を誘った。

 事情をすぐに理解したドライバーたちはクラクションを鳴らしたり、窓から親指を立てて「いいね!」サインを出したりして通り過ぎた。中には車を止めて、2人と記念撮影をする人も。警察官の注意も引き、職質を受けた。

「女性警察官に『車がないけど、食事を買いに行きたいんです』と説明したら、大笑いしていました」とナタリーさん。

 マクドナルドの従業員も2人の熱意と創造性に心を動かされたようで、笑いながらドライブスルーで売ってくれたそうだ。

かけられた👤💦鉄道職員、新型コロナで死亡英国

時事通信 2020年5月13日(水)5時02分配信

 英国で、新型コロナウイルスに感染していると主張する男から唾とせきをかけられた鉄道職員の女性が、新型ウイルス感染により死亡した。女性が所属する労働組合が12日、明らかにした。

 この女性はベリー・ムジンガ(Belly Mujinga)さん(47)。運輸従業員労組(TSSA)の発表によると、ロンドンのビクトリア(Victoria)駅で3月22日、同僚と共に被害を受け、2人とも数日後に新型ウイルス感染症を発症した。

 TSSAは「2人はコンコースの切符販売窓口そばにいた際、一般市民の男に襲われ、唾を吐きかけられた。男は2人に向かってせきをし、自分はウイルスに感染していると告げた」と説明している。

 ムジンガさんは体調を崩した後、4月2日に病院に搬送されて人工呼吸器をつけられ、3日後に亡くなったという。ムジンガさんは2000年にコンゴ民主共和国から英国に移住し、夫と11歳の娘がいた。

 衝撃的なこの事件に対しては大きな批判が湧き上がり、英政府も「卑劣」と非難。英鉄道警察(British Transport Police)は、事件の捜査を開始したことを認め、目撃者に情報提供を呼び掛けた。

きかけた犯人👤💢「新型コロナに掛かっている」ー英国

BBC NEWS Japan 2020年5月13日(水)17時50分配信

 ロンドンの駅で新型コロナウイルスに感染していると自称した男に唾を吐きかけられた駅職員が、新型ウイルスによる感染症(COVID-19)で死亡した。

 ベリー・ムジンガさん(47)と女性の同僚は3月22日、ロンドン・ヴィクトリア駅で勤務中に、男に唾を吐きかけられた。ムジンガさんはもともと呼吸器疾患をわずらっていたという。

 2人はこの事件から数日後にCOVID-19を発症した。

 イギリス鉄道警察は、2人に唾を吐きかけた男について捜査を開始している。

 ムジンガさんの夫ルサンバ・ゴデ・カタレイさんによると、男はムジンガさんに何故ここにいるのか、何をしているのかと尋ねた。

「妻が勤務中だと答えると、男は自分は新型ウイルスに感染していると言い、唾を吐きかけた」

 鉄道職員協会(TSSA)によると、ムジンガさんは4月2日に入院し人工呼吸器がつながれたが、3日後に亡くなった。

 ボリス・ジョンソン首相の報道官は、キーワーカー(市民生活維持に必要な職種の人)への攻撃は「卑劣だ」と話している。

 カタレイさんは、入院中のムジンガさんとビデオ通話をしたが、ムジンガさんからの応答がなかったと話した。

「眠ってしまったのかと思たが、医師から妻が亡くなったと電話があった」

「彼女はよき人、よき母親、よき妻だった。面倒見が良くて、誰の世話でも焼こうという人だった」

 ムジンガさんの葬儀には、11歳の娘を含む10人が参列した。

 ムジンガさんのいとこのアグネス・ンツンバさんはBBCの取材で、ムジンガさんは普段は切符売り場勤務で、そこは安全だと思っていたと話した。

「彼女をコンコースで働かせるべきではなかった。こんな状況で死ぬべきでなかった。もっと個人向け防護用具(PPE)を着けていたり、コンコースではなく切符売り場にいたなら、これは防げたはずだ」

 TSSAのマヌエル・コルテス会長は、「ムジンガさんの死にショックを受けている。彼女は最前線で働き、新型ウイルスで命を落とした多くの人のひとりだ」と述べた。

 その上で、「ムジンガさんの死には深刻な問題がある」と指摘した。

「ムジンガさんは新型ウイルスへの『リスクが高い』とされる状態で、そのことは雇用主も知っていた。なぜパンデミックの初期に最前線での職務から外さなかったのか、疑問だ」

 ムジンガさんの雇用主ゴヴィア・テムズリンク鉄道(GTRは)「すべての疑惑を非常に重く受け止め」、あらゆる意見を調査するとする声明を発表した。

 GTRを統括するアンジー・ドール氏は、「鉄道利用者に加え、キーワーカーに当たる鉄道職員の安全は、常に我々の最優先事項で、最新の政府ガイダンスに従っている」と述べた。

 最新統計によると、新型ウイルスによるロンドン交通局(TfL)従業員の死者は42人、ネットワーク・レイルでは10人に上っている。

 

2020年5月14日 (木)

【緊急事態宣言】✍変更<全都道府県から8都道府県>他の39県解除

西村担当相、 緊急事態宣言  一部解除を国会報告

産経新聞 2020年5月14日(木)15時41分配信

 西村康稔経済再生担当相は14日の衆院議院運営委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、39県で解除することを報告した。報告内容は以下の通り。

 各党の皆さまにおかれましては、政府の新型コロナウイルス感染症対策にご協力を賜り、お礼を申し上げたいと思います。

 本年4月7日に改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定に基づき、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県および福岡県の7都府県を対象とし、期間を5月6日までとして、緊急事態宣言を発出いたしました。

 その後、感染拡大の状況にかんがみ、4月16日には、緊急事態宣言を実施すべき区域を全都道府県に変更し、5月4日には期間を5月31日まで延長することといたしました。

 これまで政府と各都道府県が一丸となって対策を進め、国民の皆さまにもご協力をいただき、感染拡大の防止に全力を尽くしてまいりました。

 その結果、感染の状況、医療提供態勢、監視態勢などを総合的に勘案すれば、一部の地域については緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められます。

 このような状況を踏まえ、本日、基本的対処方針等諮問委員会を開催し、緊急事態宣言を実施すべき期間を、引き続き5月31日までとした上で、緊急事態宣言を実施すべき区域を全都道府県から8都道府県に変更する案について、ご了解をいただいたところであります。

 これを受け、本日夜、政府対策本部を開催し、緊急事態宣言の区域を変更したいと考えております。

 各都道府県における緊急事態措置の実施状況については、4月7日に緊急事態宣言が出されて以降、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定に基づき、全都道府県において、外出自粛の協力要請、催し物の開催制限などの協力要請に係る措置が講じられるとともに、多くの都道府県において、施設の使用制限などの協力要請が講じられてきました。

 その後、5月4日に緊急事態宣言を実施すべき期間を5月31日まで延長した後においては、13の特定警戒都道府県においては、それまでと同様の措置が講じられている一方、34の特定都道府県においては、地域の感染状況を踏まえ、施設の使用制限などの協力要請措置に関し、全部または一部を緩和する取り組みが行われております。

 なお、各都道府県がこうした措置を含む緊急事態宣言の実施状況については、後日文書で全議員の皆さまに配布をさせていただきます。

 政府といたしましては、まずは今回の大きな流行を5月31日までに収束させるべく、引き続き、都道府県とも緊密に連携しながら、全力で取り組んでまいります。

 各党の皆さまにおかれましても、何卒、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

Photo_20200514181601

コロナ大恐慌、日本を待つ4つの最悪のシナリオ

東洋経済オンライン 2020年5月14日(木)5時31分配信/岩崎博充(経済ジャーナリスト)

 世界各国が、新型コロナウイルスによる都市封鎖の解除に動き始めている。それぞれの基準を設けて、その範囲内で段階的な解除を模索。各国によって政策判断はさまざまだが、世界に共通しているのは「検査を徹底して陽性者を隔離する」「医療崩壊を防ぐ」そして「段階的な解除の徹底」と言っていいだろう。

 一方の日本の感染症対策は、「検査を強化して感染者を徹底的に隔離する」といった感染症対策の基本が徹底されているようには見えない。しかも法的根拠なしで国民1人ひとりの自粛に「お願いベース」で対応する感染症対策が続けられている。休業補償金や給付金といった政府の財政的な負担も相対的に少ない。仮に、このまま感染症が収束していくのであれば、画期的な感染症対策であり、それを提唱した厚生労働省の専門家会議は国際的に喝采を浴びるかもしれない。

 ただ、この方法の欠点は感染者の実態が正確に把握できないために、都市封鎖の解除タイミングを計ることが難しく、経済の回復に時間を要しかねないことだ。日本経済が致命的なダメージを受ける可能性も出てきている。

 致命的なダメージがどの程度で済むのか、またどの程度のリセッション(恐慌)を覚悟すべきなのか――。感染症の収束と経済再開のバランスについて考えてみた。

大恐慌を上回る景気不況の到来か? 

 新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、世界経済は大きなダメージを受けており、その証とも言うべき統計の数字が徐々に明らかになってきている。いくつか紹介すると次のような数字が報道されている。景気の先行指標の1つである「PMI」に絞ってみてみよう。 
 PMI(Purchasing Managers' Index)とは、その調査対象によって異なるが、簡単に言えば「景況感指数」のこと。日本では「購買担当者指数」とも言われるが、将来的に景気が良くなるかどうかを消費者やセクター従事者などに、直接聞いた調査統計のことだ。50を切れば景気が悪くなり、50を上回れば景気が良くなる、と言う景気先行指数のひとつである。(PMIはマークイット調べ、4月の最新の数字)

アメリカ……サービス業PMI=改定値26.7、ISM非製造業景況指数=41.8

中国……サービス業PMI=44.4(財新)、製造業PMI=49.4(同)

● イギリス……サービスPMI=13.4(CPIS)、建設業PMI=8.2

● イタリア……サービス部門PMI=10.8、製造業PMI=31.1

● スペイン……サービス部門PMI=7.1、製造業PMI=30.8

ドイツ……サービス部門PMI=改定値16.2、製造業PMI=34.5

● フランス……サービス部門PMI=改定値10.2、製造業PMI=31.5

● インド……サービス業PMI=5.4、同製造業PMI=27.4

● 韓国……製造業PMI=41.6

● スウェーデン……サービスPMI=39〈Silf/Swedbank)。製造業PMI(同)=36.7

● ユーロ圏……サービス業PMI=11.7、製造業PMI=33.6

日本……サービス業の事業活動指数(PMI)=21.5、製造業PMI=41.9

 インド、スペインのサービス業、イギリスの建設業を見ても、その数値の異常さがわかるだろう。インドの4月のサービス業PMIはわずか5.4。都市が封鎖されて、経済が停止しているわけだから当然だが、50を切れば不況と言われる景気指標で、その数値がわずか1ケタということは、ほとんどの人が景気悪化を予測していることになる。現在の状況がいかに特殊なものであるか理解できる。

 PMIはあまりごまかしようのない統計と言われており、その国の統計の正確な状況が分かる。中国のPMIは新型コロナウイルスに勝利した雰囲気が高まっているために、高い数値になったとみていい。日本とアメリカは、先行きも見えないのに20台を維持しているが、その根拠は過去の自信か、もしくは現状が把握できていないかだ。世界は、リーマンショックをはるかに上回り、1930年代の「大恐慌」クラスの不況に陥る可能性を強く警戒している。

出口戦略までの日本の遠い道のり? 

 日本の新型コロナウイルス感染対策は、集団免疫ができるまで隔離政策を実行しないスウェーデン方式とも異なれば、PCR検査を繰り返して感染者を隔離し、さらに都市封鎖する欧米やロシア、韓国などの方法とも異なる。

 そういう意味では日本の感染症対策は特異であり、今後は国際的にも明確な説明責任が問われるはずだ。日本の感染者数や人口当たりの死亡者数、陽性率などがなぜ低いのかを説明できなければ、いくら厚生労働省が感染者数ゼロになったと宣言しても、国内外でそれが信用されるかどうかが問題になってくる。

 日本は早期に感染者が見つかったにもかかわらず、PCR検査も十分にしてこなかったのに、なぜか感染爆発が起きていない。死者数、感染者数ともに極めて少ない。「日本の奇跡」と呼ばれる現実だ。

 ただ単に「日本は奇跡でした。もう感染症は収束したから観光やビジネスで日本に来てください」と言う理屈で国境をオープンにしても、自国で何万人もの死者を出した苦い記憶を持つ外国人が素直に日本の主張を信じて、日本にやって来るだろうか――。今後、確実に起こると言われている第2次、第3次感染爆発に対しても、日本はどう対応するのか。その部分を明確にしないと国際的な信用は得られない。北朝鮮で感染者ゼロと言っても、誰も信じないのと一緒だ。

 一足先に、社会的距離を保ったままの規制解除が実施された韓国では大型店舗などに人々が集中し、「リベンジ・ショッピング」と呼ばれる爆買い現象が起きた。国内旅行もソウル-済州島の乗客は普段の2倍に増えたとされる。その反面で、ソウルのクラブでは新たなクラスターが発生し、いわゆる濃厚接触者は7600人にも上ると言われる。

 さらに、最も重要なのが「打撃を受けた経済の回復シナリオ」だ。1人当たり10万円の給付をやっと決めた安倍政権だが、5月末まで緊急事態宣言が解除されないようなことになると、日本企業は深刻な事態を迎えることになる。

 感染爆発と医療崩壊が同時に起こり、都市封鎖をやった国の多くは、セットで国民や企業に一時金を即座に給付した国が多かった。その点、日本は休業補償や一時給付金を出す、出さないで揉めたうえに、事実上の都市封鎖から2カ月目に入るというのに、ほとんどの国民は政府からの援助資金を受け取っていない。

 雇用を維持した企業に対して給付金を出す予定になっている雇用調整助成金制度も、5月11日時点での相談件数は27万件、うち支給がきまったのは5000件しかない。

財政破綻の心配より国民の生命を

 日本政府は、新型コロナウイルス関連に伴う給付金や助成金をさまざまな形で実施しようとしているが、正直言って大して役に立たない制度をずらっと並べただけで、「やってる感」を演出している場合が多い。簡単に列記しておくと――

個人向け

特別定額給付金(国民一人当たり一律10万円)

小学校休業等対応支援金(フリーランスや個人事業者向けに日額4100円を上限に支給)

子育て世帯への臨時特別給付金(児童一人当たり1万円)

住宅確保給付金(家賃相当額を一定期間支給する制度)

企業向け

持続化給付金(法人は200万円以内、フリーランスや個人事業主は100万円以内)

雇用調整助成金(事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、何かの方法で雇用を維持した場合、労働者一人当たり日額8330円などを給付)

 巨額の財政赤字を抱える日本政府は、当然のことながらこうした財政支出を赤字国債の発行によって賄わなくてはならない。本来であれば、市中の投資家が日本政府の安全な国債を、こういう時こそ大量に買い入れてくれるはずなのだが、日本の場合はなぜか中央銀行の「日本銀行」が買い入れることになっている。

 アベノミクスの一環として、日本銀行はこれまで年間80兆円を上限に購入してきたが、4月の金融策決定会合で80兆円の購入枠を無制限にした。今後、政府はどの程度の財政支出を迫られるかわからないが、すべて日銀が買い入れることも可能になった。

 そういう意味では、緊急時であり非常事態だ。この時期に財政赤字がどうのこうのと言っている場合でもなかろう。国民の命や生活が危機にさらされているいま、200兆円だろうが、300兆円だろうが、まさに躊躇せずに国債を発行して使うことが求められる。

 禁止されている「財政ファイナンス」を心配する声もあるが、パンデミック収束後に心配しても十分間に合うはずだ。問題は、政府が紙幣をガンガン印刷して、ヘリコプターからばらまくような政策をとったところで、それが経済の回復につながるかどうかだ。

 かつて、リーマンショックの時に、ドイツは国内の雇用を守るために、従業員の雇用を守った企業には手厚い補償を行った。それが、結果的にはリーマンショック収束後の経済回復で大きな追い風となり、ドイツ経済はEU諸国のなかでも頭一つ抜きんでた経済成長を遂げることにつながった。

 アメリカも、当時のベン・バーナンキFRB議長が「ヘリコプターベン」と揶揄されながらも、莫大な資金を市中に供給して、リーマンショックを克服させることができた。心配されたインフレも起こらず、アメリカ、ドイツともにリーマンショックというリスクイベントを巧みに勝ち残ることができた。

 では、日本はどうかというと、リーマンショックの影響が軽微だったこともあり、日本政府はわずか15兆円程度の補正予算でお茶を濁してしまった。リーマンショックというリスクをチャンスに変えられなかったわけだが、結局その後始まったアベノミクスで異次元の金融緩和を実施。経済成長率どころかインフレ率でさえ2%を超えられなかった。

 ドイツやアメリカと日本のどこが異なるのか――。わかりやすい言い方をすれば、ヘリコプターからのばらまき方ではないだろうか。新型コロナウイルスへの対応を見てもわかるが、アメリカやドイツはまさに集中的に莫大な金額を瞬間的にばらまく。

 その点、日本の場合はあらゆる分野に対して、小出しにちょこちょこばらまく。この背景には、利害関係のある国会議員が多すぎて、あらゆる部分に配慮しなければならないという事情がある。財務省や厚生労働省、経済産業省といった縦割り行政の弊害も大きい。

夏を迎えて仮に一時的に収束しても…

 いずれにしても、今回のパンデミックへの対応は今後どうなるのかわからない、という点で世界的に共通している。いまだ、本格的な収束にこぎつけた国はなく、北半球ではこれから夏を迎え仮に一時的に収束しても、今年の秋以降、再び猛威を振るう可能性も指摘されている。

 感染症の行方がわからない以上、政府の出口戦略もどれが正しいのかわからない。経済封鎖をせずに集団免疫の形成に突き進むスウェーデンが最も正解かもしれないし、欧米がとっているロックダウンが正解なのかもしれない。

 そこで、いま日本にとって大切なことは、将来のリスクをきちんと予測して対応することだろう。リスクマネージメントとは、将来予測されるリスクを事前に想定してその準備をすることだ。現時点で考えられる日本の最悪のリスクシナリオとしては、次のようなものが考えられる。

シナリオ 感染拡大が何回も続き、国民生活が疲弊していく

 寒くなる秋以降、感染爆発の第2段がやって来ると予想されている。それまでにワクチンや治療薬の開発が済んでいる可能性は低く、その時にまた医療崩壊を発生させてはならない。国際的に信用を落とすとともに経済的なダメージは今よりもっと大きくなるはずだ。
 大恐慌もしくはそれを上回る規模の経済不況が予想される今回の新型コロナウイルス不況だが、感染拡大が断続的に起こることを考えると、経済と感染症対策の両方を同時にやっていく以外に方法はなさそうだ。しかし、パンデミックの特徴や歴史を考えると、ワクチンや特効薬が見つかるまでは、経済よりも感染症対策を優先するのが望ましい。

シナリオ 企業がバタバタ倒産し、街に失業者が増える

 このままズルズルと緊急事態宣言が継続するようなことになれば、倒産件数は想定をはるかに超える数字になる可能性がある。現実問題として、企業倒産件数は現在128件に達している(東京商工リサーチ調べ、5月8日現在)。4月に入ってからは87件、5月に入ってからも月間100件ベースで増えるだろうと報道されている。

 さらに日本の場合、最近多いのが休廃業による撤退だ。2019年の企業倒産件数は8383社だったが、休廃業・解散した企業は4万3348社に上る。

失業率は過去最悪で10%を超えるかもしれない

 戦後、日本の完全失業率はITバブル崩壊後の5.4%(2002年)が最悪だが、今後はひょっとしたら10%を超えて、10人に1人、あるいは7~8人に1人が失業者になる時代が来るかもしれない。

 就職氷河期時代を犠牲にすることで、団塊の世代など既存の労働者がその地位を守り、日本の雇用は守られてきた。しかし、今回の新型コロナ恐慌ではどうなるのか見当もつかない。日本の雇用統計の管轄も厚生労働省だ。感染症対策と雇用対策がひとつの省庁に統合されているが、今のところ統合されていることで得られる相乗効果が成果を上げているようには見えない。

シナリオ③ 経済のデジタル化推進できない日本、再びガラパゴス化へ? 

 日本の場合、今回のパンデミックによって社会のデジタル化の遅れが目立った。とりわけ、政府機関などの行政の現場でのデジタル化が進んでいないことが明らかになった。企業でも、テレワークができる企業はごくわずかで、日本のガラパゴス化が露呈してしまった。

 現在のままの経済政策や価値観を維持し続けた場合、景気回復どころかさらにひどい景気後退を招く恐れもある。今回のパンデミックは、日本が変わる大きなチャンスとも言える。むろん、テレワークができない業種も数多くあるが、少なくとも決済に印鑑を必要とする制度は変えていくべきだし、デジタル化の進展は日本の無駄を排除してくれる。

 東京都の感染者数の集計システムが、いまだにファックスをベースにしていたことも驚きだが、こうした弊害は高齢化社会と関係がある。デジタル化社会への知識や理解のない役員や従業員が数多く残っている現状が、日本をガラパゴス化している。企業内高齢化を一掃するのは今しかチャンスがないのかもしれない。

 今回のパンデミックによって、その波は先進国だけではなく発展途上国もデジタル化への歩みを進める。日本が遅れれば、さらに国際競争力は弱まることになる。

シナリオ④ 金融機関の連鎖破綻、国家破綻にも警戒を! 

 住宅ローンが支払えなくなって自己破産したり、企業が莫大な負債を抱えたまま倒産したりするシナリオは、最終的に金融不安へとつながっていく。不況の最終章は金融危機であり、その上のフェーズでは国家が破綻の危機を迎える。

 リーマンショックでも、最終的にはギリシャショックが起き、チャイナショックで締めくくった。「ジャパンショック」を起こさないためにも、事前の準備が必要だろう。といっても、あまり方法はないのだが、本来国債の金利よりも、社債など企業の金利のほうが高い現象は、財政破綻の兆候と言われてきたが、日本の場合ずっと以前からそういった状況に陥っている。

 今回の新型コロナウイルス禍では、アメリカは3兆ドル(約320兆円)、ドイツが1兆1000億円(約130兆円)の大型の財政支出を決めたが、日本も117兆円となっているものの、その中身はいわゆる真水で最大30兆円にも満たない。

 それでも、政府は財政の支出に極めて消極的で、金利上昇やインフレにおびえている。リーマンショックの時はインフレすら起きなかった。財政支出を拡大しても、本当にインフレは起きないのか。その問いに対する答えは今回のパンデミックを乗り切れるかどうかにかかっている。

「日本の奇跡」を信じていいのか

 欧米などに比べて感染者数や死者数が少ないことについて、「日本人は衛生的だから感染症にかかりにくい」とか、本来の感染症対策とは違う部分で「日本の奇跡」が語られることが多い。とはいえ、感染者数が少ないとか、死亡者数が少ないといったデータは、PCR検査が十分にできていない中で、正確にわかるかというと疑わしい面が残る。発展途上国並みの検査体制で開き直る政府もどうかと思うが、安易にメディアの報道を鵜呑みにするのも危険だ。

 過去、日本政府は経済的な危機に陥ったときには放置して、ぎりぎりの状態にならないと動かない政策を繰り返してきた。それが、現在の国際競争力を失った日本につながっており、感染症対策もまともにできていない。そんな危機感を持ったほうがいいのかもしれない。

Photo_20200514181301

世界が評価を変え始めた~日本“コロナ封じ込め”に成功している

ニッポン放送 2020年5月11日(月)17時54分配信

 ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月11日放送)に慶応義塾大学教授・国際政治学者の細谷雄一が出演。評価されつつある日本の新型コロナウイルスの対応について解説した。

西村大臣、34県で非常事態宣言解除が視野に入っていると認識

 西村経済再生担当大臣は10日、特定警戒都道府県以外の34の県について、緊急事態宣言解除が視野に入って来ているという認識を示した。過去2週間の新規感染者の数が減少傾向にある県が解除した後に、再び感染が拡大することを防ぐための方策を、専門家の意見を踏まえながら基本的対処方針で示して行くとしている。

飯田)一方で、13の特定警戒都道府県は、これまで通りの自粛を改めて要請。14日に経過判断をするということです。一連のコロナウイルス問題について、どうご覧になりますか?

細谷)そうですね、日本は感染者数や死亡者数も先進国・主要国のなかでは例外的に少ないのです。もちろん、日本政府の対応にいくつか問題があるということはいろいろなところで指摘されていますが、人口当たりの死亡率を挙げても、イギリスが日本の100倍で、アメリカが日本の44倍です。そういう意味では比較的、日本政府は感染の抑止に成功しているということが言えるのではないでしょうか。

PCR検査を増やせば感染者数が減るわけではない

飯田)検査数が少ないなどと言われていますけれども、死亡者数を見ると、世界でも優秀な方である。上には台湾や韓国、シンガポールなどがありますが、人口規模を考えると、そこそこやっているという認識でいいのですか?

細谷)そうですね。いま一部では、PCR検査を増やすこと自体を目的とするような議論があるのですけれども、確かに日本は少ないと思います。しかしながら、最近はイギリスのBBCも、イギリス国内でPCR検査を増やすことが、逆に感染拡大につながる可能性があると報道しています。検査を行うために病院や保健所へ行き、ここで感染する可能性があるということです。日本はもう少しPCR検査を増やすべきだと私も思いますけれども、必ずしも増やせば感染者数が減るわけではないということが、イギリスでも指摘されるようになっています。

飯田)イギリスの医療専門家も、むやみに検査をするよりは、絞って検査した方がいいという論文を出しています。

日本の対応が評価され始めている~100年前から日本の公衆衛生のレベルは高かった

細谷)マスクに関しても、最初はマスクは効果がないとWHOをはじめ、アメリカやイギリス政府も言っていました。しかし、いまではニューヨークなどはマスクを義務付けていますし、WHOもマスクに一定の効果があるということで立場を変えています。当初は日本の対応について不信感、批判が強かったのですが、実は日本の対応が徐々に評価され始めているというところも、部分的にはあるのです。

飯田)日本国内だと、メディアも「海外でやっているのに、どうして日本でやらないんだ」ということが主流のような議論になっています。都市封鎖についても、最初のころは「なぜ日本でやらないんだ」と言われていましたが、結果として、このくらいの緩さがフィットするようなことがあるのでしょうか?

細谷)そうなのです。日本は公衆衛生については先進国でして、例えば日清戦争の後も後藤新平が、中国は当時コレラの感染症が多かったのですが、中国から帰還した兵士を入国するときに検査して、国内の感染を防いだのです。スペイン風邪のときも、かなり日本は抑制していた。100年前から日本の公衆衛生のレベルは非常に高いということで、評価されていたのです。そういうことが何となく忘れられて、欧米の方が正しいのではないかという認識がありますが、その認識を変える必要があります。

飯田)数字が物語っている部分があるということですね。

細谷)そうです。

 

2020年5月13日 (水)

【ISUフィギュア】✍北京五輪に向け<大幅ルール改定>断行!!

羽生結弦の対応いかに、4回転基礎点改定3種類統一

日刊スポーツ 2020年5月13日(水)8時39分配信

 国際スケート連盟(ISU)は11日、フィギュアスケートの20-21年シーズン新採点基準を発表した。ジャンプの基礎点が改定となり、現在最高難度の4回転ルッツが11・50点から11・00点に下がり、同ループが10・50から11・00点に上がった。11・00点のまま維持されたフリップも加えた計3本の4回転ジャンプが同じ基礎点で並んだ。

 平昌五輪後の18年7月以来、約1年10カ月ぶりにジャンプの基礎点が改定された。最高得点を狙って挑むスケーターが男女とも増えていた4回転ルッツに歯止めがかかる形となり反対に成功者数が少なかったループに加点。変更がなかったフリップを含め11・00点で統一された。03-04年のISUジャッジングシステム採用以降、現状でトップ3のジャンプに初めて基礎点の差がなくなった。

 より出来栄えも重視される流れで、日本勢には悪くない。4回転のフリップは宇野昌磨が16年4月に、ループは同9月に羽生結弦が世界で初成功。特にループは、まだ誰も跳べていない4回転半(クワッドアクセル)を除けば最も成功順が遅かった難易度。ISU技術委の中で基礎点の低さを疑問に思う声も出ていた。一方、羽生が着氷を目指す4回転半は12・50点が保たれ、同ルッツとの差は1・50点に拡大。夢は膨らむ。

 3回転も変更。ルッツが0・60点減の5・30点でフリップと並ぶなど割を食った。回転不足には「q(クオーター=4分の1)」マークが新設され、基礎点100%で出来栄え点(GOE)が減点に。新型コロナウイルスの感染状況を見ながら今秋から採用される予定だが、選手にとっては氷上で練習できない時期に対応を迫られる。

4回転ジャンプの基礎点

アクセル 12.50 変更なし

ルッツ  11.50点→11.00

フリップ 11.00 変更なし

ループ  10.50点→11.00

サルコー  9.70 変更なし

トーループ 9.50 変更なし

Photo_20200514071801

Photo_20200514071802

Photo_20200514071601

Downgraded (<<): Missing rotation of half a revolution or more.

半回転以上の不足は、ダウングレード。(たとえば4回転なら3回転とみなされる。これは今までと同じ。)

Underrotated (<): Missing rotation of more than a quarter revolution but less than half a revolution. The jump will receive 80% of the base value and Judges will reduce GOE.

1/4回転以上の不足はアンダーロテーションとして、基礎点の80%、そしてGOEのマイナス。

Landed on the quarter (q): Technical panel will indicate this with a sign “q”. The jump will receive full base value and Judges will reduce GOE.

ちょうど1/4回転の不足の場合、テクパネルが”q”とマークし、GOEのマイナス2。(qはクオーター、つまり1/4の意味)

Less than a quarter missing: No sign will indicate this. The jump will receive full base value and Judges will reduce GOE.

1/4回転以下の不足の場合、GOEのマイナス1。

Poor/cheated take-off: For example a toe-assisted jump is taken off from the full blade, Toe Loop is executed like a Toe Axel or there is excessive rotation on the ice at the take-off. The reduction in GOE is -1 to -3. (劣悪、あるいはごまかしたテイクオフ: 例えばトウ・ジャンプをフルブレードで跳ぶこと、トウループをアクセルのように跳ぶこと、あるいはテイクオフ時に氷の上で必要以上に回転してから跳びあがること。 これらのジャンプにはGOEでマイナス1から3をつけること) となっている。問題は、ジャッジがそれを見逃さずにきちんと評価できるかどうかである。

トルソワ相次ぐ移籍 プルシェンコ氏は金銭面の関与否定

THE ANSWER 2020年5月13日(水)7時13分配信

トルソワや11歳天才少女もエテリ氏から離れる、皇帝私は新しい選手を受け入れる

 フィギュアスケートのアレクサンドラ・トルソワ(ロシア)がコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏のもとを離れ、皇帝エフゲニー・プルシェンコ氏に師事することになったが、これに続いて11歳の天才少女も移籍を決断。プルシェンコ氏が「私は勧誘していない」と話していることをロシアメディアが報じている。

 アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワとともに“天才3人娘”として2019-20年のフィギュア界を席巻したトルソワの“電撃移籍”。師事していたトゥトベリーゼコーチのもとを離れたが、トルソワに続いてコーチのセルゲイ・ロザノフ氏、11歳の天才少女ベロニカ・ジリナもエテリ氏のチームからプルシェンコ氏のアカデミーに移籍したことを、ロシアメディア「sportmk.ru」などが報じた。

 同メディアは、同国メディア「rg.ru」のインタビューを要約する形で、プルシェンコ氏の記事を掲載。「移籍がどのようにして起こるのか」という質問に同氏はこう答えている。

「私は何人かの人が言うように、財政的な面などで他のスケーターを勧誘したり、何かをもって自分のところへ引き寄せることはしません。(皆さんが)知っているように私はいつもオープンです。私と会うのは簡単です。簡単に電話が通じます。そして最近、よく電話がかかってきています」

電話の相手は選手ではなく両親これは彼女たちの両親が下した決断です

 こう語ったプルシェンコ氏。アカデミーの金銭的な目的などで有望選手を集めていることを否定している。電話の相手について、選手たちが自分からかけてきたのかという質問には「いいえ、彼女たちはまだ小さいですから」と返答。「『子どもたちが移籍する決断をしました』と、私に彼女たちの両親が伝えました。だから、これは彼女たちとその両親が下した決断です」と説明している。

 五輪金メダルなど頂点を極めたプルシェンコ氏。今後も加入してくる可能性もあるようで、こう言葉を並べている。

「私は新しい選手たちを受け入れます。そうトゥトベリーゼ氏のグループを去った15歳のサーシャ・トルソワや、もうすぐ12歳になるベロニカ・ジリナを受け入れたように」

 15日に12歳となるジリナは、3月に練習で3回転アクセルを成功させた。記事によると、昨年10月の練習中に4回転サルコウを、12月の大会で4回転トゥループにも成功。ロシア国内で人気のフィギュアスケート番組に出演するなど広く知られている逸材だという。

Photo_20200514073001

プルシェンコ「トルソワはまったしいトルソワになると保証する」

ロシア・フィギュアスケート・フォレヴァ2 2020年5月13日(水)配信

自分の名前が落ち着いた生活に影響を与えて人気ランキングを上げている

(エフゲニー(プルシェンコ)、あなたはいままるでポップスターのようですね。ショービジネス界に行ってしまったかのように。)

フィギュアスケートからどこにも離れていませんよ。

(毎日、プルシェンコの名前でスキャンダルがあります。)

それは私がやっていることではありません。誰にも攻撃していません、対応しているだけです。事実を確認しているだけで、ほら、私の名前でみなさんが落ち着いて生活するのを邪魔していることになりますが、もしかすると逆に人気ランキングを上げているかもしれません。

(ランキングは、もちろん上がっているでしょうね。)

ほら。選手が私のところに来るのを決めたからっていったいなぜこうなってしまうのでしょうか?セルゲイ・ロザノフ・コーチとともに、選手たちはその決断をしたのです。私はその経緯を支持しますし、しかも喜んでそうします。それだけです。

(ですが、トルソワとの最初のコンタクトはいつだったのでしょうか。)

詳細に入り込むことはしませんが、昔からの経緯だと言っておきます。明日、(トルソワの移籍に関する)書類を(スケート)連盟とモスクワ連盟、(注:トゥトベリゼ・グループのある)サンボ-70に提出します。法的にすべて解決して、勝利に署名してから、詳細について話し合う必要があります。まだ出来事よりも先走る必要はありません。5月15日に正式な移籍となります。また、エゴール・ルヒンも私のところに来たとの報道がありますが、そういった情報は私のところにはありませんしこれまでもなく、この選手について私への連絡がありませんでした。ルヒンはCSKAで滑っているとわかっています。私のところにもうみんな来ると書かれているのです。全員を採用しているわけではありません。

(では、誰を取っているのか、全員挙げていただけますか?)

確実に来るのは、アレクサンドラ・トルソワとジリナ姉妹です。他の移籍についてもありますが、それはもう次の段階です。今後発表します。

(トゥトベリゼ・グループからですか?)

移籍はあります(注:どのグループからは明示せず)。今後センセーションがあるとあなたにかつてお伝えしたことがありましたが、このようなセンセーションが起こりました。

(それは、2年ほど前におっしゃられましたね。)

そのとおりです。時間が経ちました。選手は移籍について決断しました。しかし、経緯は本当に以前からのことです。今月だけのことではありません。

さらにセンセーションがある。センセーションが好きだ。

(では、サーシャ(トルソワ)の移籍を主導したのは誰だったのでしょうか。)

選手自身です。

(彼女にはどんな動機が。)

近く彼女自身がすべてをお話するでしょうから、私は彼女のあとに話します。騒ぎが本当に大きくなってしまい、情報はただただたくさんありますが、いま重要なのは移籍を実現することです。その後に、もしかすると記者会見をするかもしれません。いまは私自身も彼女と遠隔で連絡し、プログラムや創作、合宿についての考えを共有しています。どこに行くか、どんな振付師に依頼するかなど。お聞きいただきたいのですが、彼女が両親と一緒に私に電話してきて、私のところへの移籍について話を始めました。私はそれを支持し、一緒に仕事をすることを決断しました。彼女にどんな動機や理由があったのかは、いまはまだ詳細には入りません。

(なぜ彼女がトゥトベリゼの下を去ったのか興味を持たなかったのでしょうか。)

サーシャが必要だと考えたら、彼女自身が話すでしょう。

(あなたにとってトルソワが来ることは大きなリスクでは。)

私は常にチャレンジが好きでしたし、常に前へと進んでいました。私のスクールは近い将来ナンバーワンになるでしょう。それをきちんと仕上げます。私が自分のリンクを作り始めたのに理由がなかったわけではありません。この仕事が大好きで、恐れてはいませんので、大きな計画があります。今年については、最近来たばかりのサルノフスキー兄弟がとても良い結果を見せてくれました。ソフィヤ・チトワはロシア年少選手権とモスクワ選手権で優勝もしてしまいました。私たちは結果を出しています。しかし、その結果は私だけのものだとは絶対に言いません。現在、私たちのアカデミーには、素晴らしい指導者やコレオ指導者の集団ができあがりつつあります。まあ、特別に傑出した選手はいませんでしたが、今年は達成したこともあります。サーシャやジリナ姉妹、他の選手が来てくれることで、新たな可能性が広がっています。どんな選手にも、引き上げる必要がある弱点はあります。トルソワは、来シーズンまったく新たなトルソワになると保証します。そしてセンセーションとなるでしょう。私はセンセーションが好きなので、センセーションは起こるのです。私にとっていま重要なのは、トルソワを、すべての面において傑出した選手に育てることです。ジャンプだけでなく、スピンでも、カリスマ的魅力でも、スケーティングでも、ジャッジと観客に伝わる表現ででも。この課題をすでに掲げており、私とセルゲイ・ロザノフは同じ波に乗っています。彼はスーパープロフェッショナルです。彼のことは昔から知っていました。私たちはうまくいくと思います。

(あなたがトルソワに持つビジョンを伺いたく存じます。以前のプログラムは成功していなかったと思われますか?)

なぜでしょう?彼女のプログラムはとても良かったと思います。彼女は立派に滑ってました。しかし、現時点で女子シングルの世界では、技術構成もカリスマ的魅力もスケーティングもすべてにおいて100%成熟しているようなユニバーサル・ソルジャーはおりません。そういった全面的選手は存在していません。どの選手も、どこかで他の選手より弱いところがあります。羽生結弦の例を挙げれば、彼はすべての面において成熟しており、すべてのポジションで強力です。もちろん、サーシャもユニバーサル・ソルジャーにしたいと思っています。まさに先に述べたような面において。

(それは可能なことなのでしょうか。)

可能です。練習すれば可能です。

(つまり、練習をしない側面があるということですか?彼女のあのアスリート的フィギュアスケートは伸ばす価値はないと?)

トルソワが万能選手となるよう努力します。

(どのようにすればそれができるのでしょうか?彼女には技術的英雄の資質に傾倒しているというプロフィールがもうできています。)

いいですか、彼女はまだ15歳ですよ!まだまだ成長します。私たちはただ、15歳で選手はもう終わりつつあるということに慣れてしまいました。この状況を変えなければなりません。サーシャにはまだまだ先があり、道の始まりにいるところです。

誰も誘ってはいない、自分で来た

(ただ、2度のロシア女王であるアンナ・シチェルバコワはバランスの取れた選手ですし、欧州女王のアリョーナ・コストルナヤは、超バランスの取れた選手です。サーシャは明らかに技術に対する歪みがあります。)

シチェルバコワに弱点がないとは思っていません。あります。コストルナヤにも、専門的視点から言えば弱点はあります。その弱点については言いたくありません、今後競い合うので。私たちにとって重要なのは、弱点をなくすことです。自分のことを考えなければなりません。弱い面があっても、一時的なものです。繰り返しますが、新シーズン、トルソワはまったく新しくなります。

(ジャンプ技術は残るでしょうか。)

部分的に変えます。彼女には絶対に安定性が必要で、それなしでは何もうまくいきません。

(ロザノフはアカデミーで自身のグループを率いるのでしょうか。)

ロザノフとミハイロフ(注:プルシェンコ・グループのドミトリー・ミハイロフ)の共同のグループとなります。私一人だけで舞踏会を支配する、なんてことはここではありません。チームがあり、その中で個々人が自分の課題に取組んでいます。先述のチトワの功績も、チーム全体の功績です。

(それとは別にアレクサンドル・ヴォルコフのグループの機能も継続するのでしょうか。)

はい、アレクサンドル・セルゲエヴィチ(ヴォルコフ)の支援も継続します。

(トルソワやジリナ姉妹を含む新しい女子は、あなたとロザノフのグループで練習するのでしょうか。)

ええ、もちろん。

(ロザノフとトルソワが来ることは、一つのプロジェクトなのでしょうか、それとも相互に関係していない出来事なのでしょうか。)

一つのプロジェクトです。トルソワはロザノフと一緒に来ました。

(ロザノフが来ることが、トルソワの移籍の動機の一つだったのでしょうか。)

おそらく、コーチも選手もどこか満足できないところがあったのでしょう。セリョージャ・ロザノフは素晴らしいスペシャリストで、選手に4回転ジャンプや素晴らしい技術を身に着けさせるなど、大きな結果を達成しました。私も以前から彼の仕事には注目していました。技術については、彼はミーシンや(イーゴリ・)ルサコフから非常に多くのことを学んでいました。彼は多くのコーチから一番いいところを選んで、選手に素晴らしいジャンプ技術を身に着けさせるようになったと思います。彼も、私のアカデミーに入り私と一緒に仕事をする希望を表明しました。私からは、試してみない理由はないと言いました。

(つまり、彼についてもあなたが誘ったわけでなく、自分で来たと。)

彼が自分で来たのです。私は誰も誘っていません。今回の件は、セリョージャ・ロザノフ・コーチとアレクサンドラ・トルソワ選手のまったくの個人的希望です。

(それ以外に具体的にどんなスペシャリストがサーシャを指導するのでしょうか。)

名前は挙げられませんが、最高級のスペシャリストたちです。ロシア人もいますし、外国人もいます。

(どんな専門ですか?)

スケートだけでなく基礎トレーニングのスペシャリストもいます。巨大な、広範囲の指導をする必要があります。

(次の新人も、有名な名前になるでしょうか。)

有名な選手です。悪い選手はうちにはいません。

ラファエル・アルチュニャーン「推し進めるアスリートがいる」

あれこれ 2020年5月15日(金)1時45分配信

====一部抜粋 =====

(エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ)

— チェンのイェール大学でのアカデミー休暇(休学)に関する問題は解決出来たのですか?

ラファエル・アルチュニャーン:「解決した。彼は文字通り二、三日前に最後の試験に合格し、『大学での勉強に関わる全ては終了しました。これからは、仕事に完全に集中出来ます。』と言った。ネイサンは既にカリフォルニアに戻り、アパートメントを借り、トレーニングに着手した。今私は、リンクが開いた時に私と彼の、個別の氷が持てるように交渉しているところだ。

私たちはそれが無くても、悪くない環境ではある:一つの氷に5~6人ずつだから。しかし、時には個別に、アメリカで言われるようにface to faceで働ける機会を持ちたいこともある。何か本格的に良いものをやって、チェンをエリートスケーターに変えたいのだ」。

— オリンピック以外の全てのビッグタイトルを取った選手にそれを言うとは、興味深いですね・・・

「あなたの皮肉も理解出来るが、多くの細部は改善出来るし、全ての面で進歩出来る。少し前に私はネイサンとこれについて話し合い、率直に言った。彼の滑りの多くのことが私には気に入らないと」。

— それで、反応はどうだったのですか?

彼は、『僕もそうです。』と答えた。従ってわれわれは、多くの取り組むべきことを計画している。何らかのダンススクールに行くこと、新しいプログラムを試すこと、何らかの新しいエレメントを考え出すこと、全体的に難易度を上げることなど。われわれは過去二回の世界選手権でのネイサンのパフォーマンスを全て見て、二回目の試合は、一回目よりも弱くなったという結論に達した。結果として勝ってはいるけれども」。

— トルーソワの話に戻りたいですね。というのも、難易度への現実離れした彼女の志向が、私にはあなたの生徒を強く思い起こさせるからです。エヴゲーニー・プリューシェンコへ彼女が移行してすぐに、何人かの専門家たちは次のような意見を表明しました。つまり、四種類の四回転ジャンプをものにしたとしても、サーシャ(アレクサンドラ)にはマイナスの数が非常に多い:スケーティング、スピンの技術等々に欠陥があると。

「シニアのグランプリファイナルで、トルーソワはどんな成績でしたかね?」。

— 3位でした。

「つまり、私の理解が正しいとすると:グランプリファイナルで3位になり、その後コーチを変えることを決断した時、彼女に突然あらゆる欠陥が現れ始めたということを、われわれは今話しているのだね?」。

— フィギュアスケーターがプログラムの中でこのような数のクワドを跳ぶ時(これはネイサン・チェンのことではありませんよ)、プログラムはただジャンプからジャンプへの滑りに変容するということは同意なさいますね。だってあなた自身が、作品にジャンプが多過ぎると残りの全てへの時間が全く残らないと、繰り返し言っていました。

「それはそうだが、論理的に話そうじゃないか:ある人たちがある価値体系を創出し、そこに自分たちの労力を投じた、アスリートはその人たちの全ての要求を遂行し、3位になった、ところが今やわれわれは、彼は何か正しくない滑りをしていると言い出している? それならそのように今あるシステムに変更を加えれば良い。しかし、私が理解出来ないのは、アスリートが自分に示されたルールに従ってプレーしていることで、そのアスリートを誰かが非難し始めるということだ」。

— もしあなたがトルーソワの今のコーチの立場だとしたら、フリープログラムで5本の四回転ジャンプをどう維持するかを考え始めるでしょうか、それともプログラムをもっと簡単にするのがあなたのためだと言って、アスリートを説得しようとするでしょうか?

「実は、サーシャがもしプログラムに5本の四回転ではなく、3本を残すとしても、それは女子にとっては多いのだ。まして女子選手は皆、年齢と共に跳べなくなって来るということを考えれば。サーシャがこのような数の四回転を維持するのは非常に難しくなるだろうと、私は100パーセント確信している。だから、滑りや、技術、スケーティング、スピン、それに素晴らしく跳べる人であってもジャンプ技術の向上に取り組まなければならないのだ。これに毎日取り組まなければ、スキルは非常に急速に失われて行く。例えばネイサンは、アクセル以外の全ての四回転を跳ぶことが出来るが、しかし彼とて毎日それらに取り組んでいるのだ」。

— トルーソワは二つのグランプリ大会で勝利し、その後ロシア選手権で主要大会に選出されましたが、その彼女がグランプリファイナルで3位になった時、トゥトベリーゼグループの女子選手たちの一人の母親が、私にこう言いました:『サーシャは巨大な心理的バリアを乗り越えることが出来ました。彼女のコーチたちもそうです(彼女のお陰で)。彼女は、自分のイニシアチブで四回転ジャンプに向かって行った最初の子供です。ただそれをとてもしたいというだけで。彼女以外の全員は、四回転ジャンプを跳ぶことを非常に長い間禁じられていました。なぜならコーチたちは怪我を恐れていたからです。トルーソワこそが、最初の四回転をまだ子供の時に跳び始め、その後でやっと彼女の後から、残りの皆がそれを試し出したのです』。

「そのモチベーションも役割を果たした。サーシャ自身にそれ程のモチベーションがあったのか、それとも彼女の両親にあったのかは分かりかねるが、しかし彼女はプログラムの中で5本の四回転を跳びたいと願い、それを実行した。基本的にネイサンもかつて全く同じように行動した:僕はやりたい、だから 僕はやる! それに彼の母親もそれを望んでいた。私は、全く不当なリスクを何とか止めようと試みはしたが、進歩は進歩だしどうしようもないと理解していた。

別問題としてあるのは、全てを考量することが出来なければならないということだ。われわれのスポーツ種目では、誰も戦術を無視出来ない。サーカーも同じだ。サッカーでは全員がとにかく様々なポジションでプレー出来るし、全員が良く走るが、しかし、全員がフォワードに出て行く訳ではない。

もし、あのトルーソワか、あのネイサンがかつて競技者として、よりプロフェッショナルであったとすれば、恐らく、いくつかの状況で、今日は2本のジャンプ、明日は3本、などというような戦術を使うべきだということに同意しただろう。しかし、彼らはどちらも、周りを見回すことなく前に押し進む、ひたすらモチベーションが非常に高い選手たちで、そういったことは何もやらない。ということは、コーチに出来ることは、隣にただ立って、全力で助けることだけだ」。

— あなたの見方では、トルーソワの技術は、ジャンプの面で彼女がさらに前進することを、どれ程可能にすると思われますか?

「ちなみに、彼女は良い技術を持っている。全てが本当にスーパーだとは言わないが、サーシャは十分に正常に跳んでいる。彼女と一緒に働けるし、彼女は自分自身に非常に厳しい人間で、モチベーションがあり、沢山のジャンプをしたいと思っている、そのようなことが見て取れる。これはコーチにとっては、非常に恵まれた土壌だ」。

— プロフェッショナルな女子アスリートとして、私は別のことも理解しています:もし《フルスターリヌィー》の女子選手たちが、主要な大会の公式練習で、40分間で50回ずつジャンプするとすれば、普段の練習では彼女たちははるかに多く跳んでおり、彼女たちの筋肉の記憶は、それ程集中的に跳んでいない選手たちよりも、はるかに強く培われています。このような場合、アスリートの成長に連れて再教育することや、何らかの技術的不備を単に修正することすら、大変に困難な仕事となります。

「その通りだ。単純な計算表を示そう:一回の練習で100回のジャンプなら、一日に200回のジャンプで、週に1200回、1ヶ月ほぼ5000、一年で約5万回か、あるいはそれ以上だ。これらの少女たちが皆、このような体制で5年か6年位滑っている。その後このような女子選手があなたのところへやって来て、あなたは彼女と働き始めるが、四方八方からこんなことばが飛んで来る:あらあら、あなたのところの彼女は既に半年滑っているのに、何も変わらなかった。

みなさん、半年間であなたが出来ることは、比喩的に言えば、そこに何かを書きたいと思う、キャンバスの下塗りだけだ。だから、自分のアスリートに少なくともいくつかの変化が見え始める迄には2年が必要だと私が言う時、私はこの数字を単純に口にしているだけではないのだ:新しい筋肉の記憶を植え付けるためだけに2年かかるのだ。そしてその後やっと、何らかの新しい技術や安定性について言い出すことが出来るのだ」。

 

2020年5月12日 (火)

【耳学】「服に付いた」武漢ウイルス✍生存期間(不活化まで)

服に付いた新型コロナウイルスの生存期間は?適切な洗濯の方法

ForbesJAPAN 2020年5月7日(木)12時30分配信

 自分が着ている服に付いた新型コロナウイルスは、どのくらいの期間そこに留まっている可能性があるのかと疑問に思っている人もいるかもしれない。

 米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載されたリサーチ・レターによると、新型コロナウイルスはエアロゾル(大気中に浮遊する物質に付着)の状態では、最長3時間生存していたという。

 また、さまざまな物の表面でどのくらいの期間生存する可能性があるか調べたところ、銅と段ボールに付着した場合はそれぞれ最長4時間、24時間だった。プラスチックとステンレススチールでは、最長2~3日だったという。

 この調査の対象には、衣類に使われる素材はほとんど含まれていない。だが、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事によれば、ウイルスが服に付いた場合、生存時間は段ボールと同じ程度になる可能性があるという。どちらも水分を吸収できる繊維を使用しているためだ。ウイルスの生存には、温度と湿度、水分が大きく関わっている。

 また、衣服に使われるのは生地だけではないことにも注意が必要だ。ボタンや留め金など、プラスチック製や金属製の部品が付いている場合もある。新型コロナウイルスはそれらに付着すれば、理論的にはより長く生きることが可能となる。

 これまでのところ、衣類に付いた新型コロナウイルスがそこでどれだけの期間生存しているかを確認するための、十分な研究は行われていない。適切と思われる予防策を講じることが、おそらく最善の行動だろう。

洗濯はお湯で

 自分の服に新型コロナウイルスが付着したのではないかと疑われる場合には、できるだけ早くその服を脱ぎ、洗う必要がある。推奨される具体的な方法は、米疾病対策センター(CDC)のウェブサイトに掲載されている。CDCはそのなかで、まずは「服を振らないこと」を勧めている。ウイルスが飛び散る危険性があるためだ。

 また、洗濯をする際には、可能であれば「使い捨て」の手袋を着用し、使用後はすぐに廃棄することとされている。繰り返し使える手袋を使った場合には、その後は洗濯や消毒などウイルス対策の目的以外には使用しないこと。手袋を使わずにその服を触った場合は、しっかり手を洗うまで顔に触れないよう注意することだ。

適切な洗濯の方法とは?

 洗濯機に入れたら、その服に適した範囲で最も高温のお湯を使い、適量の洗剤を使って洗濯する。洗剤はウイルスの構造を破壊することから、その他の服を一緒に選択しても問題はないと考えられる。洗った後は、服をしっかり乾燥させること。これは、ウイルスを死滅させるために役立つとされている。

 ただし、洗濯機と乾燥機が自宅にないという場合、対策はより難しくなるかもしれない。

 コインランドリーに行かなければならない場合は、自分自身と服が触れる物に注意する必要がある。可能であれば、カートや洗濯機・乾燥機の操作ボタンやハンドル、乾いた服をたたむために使うテーブルなど、触るかもしれない物はすべて、表面を消毒するのがいいだろう。さらに、店内にいるほかの人との間には、最低でも約1.8メートルの距離を取ること。

 一方、私たちが身に着けるもののなかで、衣類とは異なる注意や取り扱いを必要とするものがある──靴だ。あなたがどこかの床やその他の物の上を歩くことで靴が何を拾ってきているか、それは誰にもわからない。

 そして、おそらく靴には、生地以外の素材も使用されている。たいていは簡単に洗濯機に入れて洗うことができない。安全な方法できれいに洗うことができるまで、靴は生活スペースの外に置いておくことだ。

 そうはいっても、服について過度にこだわる必要はないだろう。ただ外を歩いたからといって、それだけで服が空気中のウイルスをつかまえてくることはないと考えられる。新型ウイルスに暴露した可能性があると思う場合には、こうした対策が必要ということだ。

免疫暴走肺炎重篤 新型コロナ、全身臓器に侵入 研究で判明

産経新聞 2020年5月3日(日)21時48分配信

 新型コロナウイルスの患者が重症化するメカニズムが最近の研究で明らかになってきた。生命を脅かす重い肺炎は、自分を守るはずの免疫が過剰に働くことで起きている可能性が判明した。ウイルスは全身の臓器に侵入してさまざまな症状を引き起こすとみられ、詳しく解明できれば治療法の開発につながると期待される。

 「肺炎を起こしても軽い症状で治る場合もあるが、重篤化する人もいる。病気の仕組みがよく分かっておらず、どの人が重くなるか見極められない」

 愛知医科大の森島恒雄客員教授(感染症内科学)は、治療の難しさをこう話す。悪化する場合は非常に急激で、人工呼吸器や人工心肺装置(ECMO)がこれほど高い比率で必要になる病気はないという。

 なぜ致死的な肺炎に至るのか。量子科学技術研究開発機構理事長で免疫学が専門の平野俊夫氏らは、免疫がウイルスを打ち負かそうとするあまり過剰に働き、いわば暴走して炎症が広がり重篤化する可能性を突き止めた。

Photo_20200512162801Photo_20200512163801

 免疫の働きを高める「インターロイキン(IL)6」というタンパク質が体内で過剰に分泌されると、免疫細胞はウイルスに感染した細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃してしまう。死亡した患者はIL6の血中濃度が顕著に上昇していたとの報告もあり、重篤化の一因として指標に使える可能性がある。

 感染初期は免疫力を高める必要があるが、重篤化すると逆に免疫を抑える治療が必要になるとみられる。そこで有望視されるのが、中外製薬のIL6阻害薬「アクテムラ」だ。

 関節リウマチなどに使う薬で、同社は新型コロナ向けに治験を行う。平野氏は「新型コロナは免疫の暴走を抑えられれば怖くない病気だと思う。治験が効果的に進むことを期待している」と話す。

 新型コロナは呼吸器だけでなく、全身にさまざまな症状が現れる特徴がある。ウイルスが細胞に侵入する際の足掛かりとなる「受容体」というタンパク質が全身の臓器にあるためだ。

 ウイルスの表面にはスパイク状の突起がある。鍵と鍵穴の関係のように、これが細胞の受容体とぴったり合うとウイルスは侵入して増殖し、その臓器に炎症などが起きて病気になる。

 鍵穴となる受容体はウイルスの種類によって異なり、新型コロナは「アンジオテンシン変換酵素(ACE)2」という物質だ。国立感染症研究所の元室長でコロナウイルスに詳しい田口文広氏は「この受容体は呼吸器や鼻腔、口腔、腸管などいろいろな臓器の細胞に存在する」と指摘する。

 新型コロナは嗅覚や味覚の異常を訴える患者が多いことが注目されているが、これは鼻や口の中の細胞が感染して破壊されるためとみられている。この受容体は血管の内皮細胞にもあり、そこで炎症が起きると血栓ができて、脳梗塞など重篤な合併症につながるケースが報告されている。

韓国コロナ禍、今度はゲイバーで集団感染

JBpress 2020年5月12日(火)8時01分配信

 韓国では、新型コロナウイルス感染症対策として3月22日から5月5日までソーシャルディスタンス強化期間を実施した。

 学校もオンライン授業、会社もオンライン会議などでプライベートな会合はできるだけ控えるようにしてきた。

 しかし、4月30日(釈迦の誕生日、祝日)から5月5日まで続く大型連休により、人々が油断することを懸念し、政府はソーシャルディスタンスを強調・注意を促していた。

 だが、その懸念通りの事態が発生してしまった。ソウルにあるクラブ街で集団感染が発生してしまったのだ。

 そして5月7日、韓国における新型コロナウイルス感染症対策の総本山、中央災難安全対策本部から韓国民一人ひとりに連絡が来た。

 その内容は、5月2日に梨泰院(イテウォン:ソウルにあるクラブ街)のある3つのクラブを訪問した人は、2週間の外出・接触規制というもの。

 もし、発熱などの症状がある場合には保健所で受診することを義務づけた。

 (ここでは書かないが、具体的なクラブ名や時間も記されていた)

 クラブ名が記されていたため、すぐにそれらはゲイバーであることが発覚、SNSを通じて拡散された。
 それらのゲイバーに行った外国人を含め数人が新型コロナに感染したということだった。

 ゲイバーということで、店の客が速やかにPCR検査を受けるのを躊躇う可能性も高い。そうなれば、新型コロナウイルスが首都ソウルだけでなく地方に拡散してしまう危険性がある。

 そのため、ソウル市では市長が、梨泰院クラブ訪問者のうち連絡が取れない人に関しては警察官を伴って自宅訪問を実施、行動追跡も辞さないと発表した。

 ソウル市がクラブを訪れた人のリストを確保したところ、10日の夜10時時点で66人の客の氏名を把握、接触者を含め合計5517人に感染の疑いがあることが分かった。

 そのうち2405人には連絡ができてPCR検査を案内したものの、残りは偽名を使っていたり、電話に出なかったりして所在が明らかになっていない。

 連絡が取れない人に関しては、市内各所に張り巡らされた監視カメラを使って、該当時間に来店した人物を追跡、その人の自宅を訪問するというのだ。

 また、店がゲイバーという特殊性を考慮し、ソウル市は実名を公表せず匿名検査を施行することにした。

 その結果、すでにソウル市では51人の感染者が発生していることが判明した。

 京畿道では20人、仁川市では7人、忠北では5人、釜山市では1人、済州島でも1人が感染していることが分かった。これらは、クラブ訪問者とその家族や知人などを合わせた数である。

 一方、匿名の検査にもかかわらず検査に応じない場合、「もし梨泰院クラブに行っていたことが後で発覚したら200万ウォン(約20万円)の罰金を課す」という。

 このように市当局が強硬手段に出ている背景には、韓国で爆発的に感染者を増やした新天地教会事件がある。

 これは、2月に新天地大邱(テグ:韓国の南東部にある地方名)教会で集団感染が発生した事件である。

 新天地大邱協会での集団感染がその後、全国に拡大、韓国における新型コロナウイルス感染者数が激増してしまった。

 この時、政府は新天地教会での集会に参加した人のリストを要求したものの、組織的な隠蔽工作を図り、感染者の追跡ができなかった。それが爆発的な感染拡大の引き金となり、全韓国民の憤慨を買った。

 今回の梨泰院クラブ訪問者による感染は、思わぬところにも影響を及ぼしている。

 梨泰院という地域は元々米軍基地に近いため、外国人が多くゲイバーも人気だった。そして、米軍基地の近くには韓国国防部がある。

 今回の感染経路と行動が重なった人の中には国防部所属の軍人もいた。

 国防部は5月11日、「11日午前10時基準、軍内COVID-19(新型コロナウイルス感染症)追加感染者は3人、累積感染者は46人(管理7、完治39)である」と発表した。

 そして、感染拡大を防ぐため保健当局が定めた基準に相当する軍内隔離者は136人に達し、さらにその基準には及ばないものの予防的な隔離者として、1268人のリストが上がっている。

 感染者1人が及ぼす悪影響は実に大きいのである。

 ただ、韓国全体としてはコロナ禍を脱しつつあるといえる。台湾に続きプロ野球を開幕した。ただし、観戦者なしの開幕となった。

 野球場を映すカメラを見ていると、観客席にはマスクをした人の絵とマスクをした大根の絵が描かれた布が張られていた。

 韓国語で無は「ム」、大根も「ム」と発音するため、無観客をもじったものである。

 観客席に観客がおらず、チアリーダーや記者だけの寂しい様子であったが、それらをネットで観戦したり、ZOOM(テレビ会議アプリ)などで応援したりするなど、オンライン大国ならではのやり方で、韓国人は試合を楽しんでいたようである。

 一方、前回の記事で触れたが、ポストコロナを睨んで、韓国では株式投資が盛んだ。

 当初はサムスン電子などの国内優良株を買う動きが主流だったが、ここにきて買い方がより大胆になっている。

 韓国株だけでなく、海外の株にも目を向け始めたのだ。

 韓国のアリ(個人投資家)たちは、今年に入って5月まで50兆ウォン(約5兆円)を超える海外株を買い漁った。

 地域別では米国がダントツ多く353億6919万ウォン。過去最大の購入金額だった。海外株に占める米国株の割合は86%(金額ベース)である。

 個別銘柄では、アップルがダントツ1位で、ハズブロ(Hasbro:玩具会社)、マイクロソフトと続き、なんと6位には日本の昭和電工が入っている。

 現在、韓国の個人投資家たちは「スマートマネー」という異名を取っている。スマートマネーとは、短期の売買で高い差益を狙う資金のことである。

 こうしたスマートマネーが狙う企業の中で、ハズブロが2位に入っているのが面白い。ハズブロは、米国の玩具メーカーで、モノポリーなどのボードゲームやアクションフィギュアなどのキャラクター玩具が主流だ。

 スマートマネーは、米国でコロナ禍により在宅時間が増えるからその恩恵を得るのではないかとみているのだ。

 同じく、日本のビデオゲームやナムコバンダイやコナミもそれぞれ10位、11位であり、同じ理由からとみられている。

 6位の昭和電工に関しては、日本の韓国への輸出規制核心品目であり、半導体製造用のエッチングガスをを生産する企業だ。2次電池に入るパッケージングのラミフィルムも生産している。

 コロナ禍により、グローバル半導体市場が委縮するという懸念があっても、データセンターなどで需要は堅調であり、今が安値と判断したスマートマネーが飛びついたとされている。

 韓国では、ポストコロナという言葉が流行り始めた。長く続いた辛い引きこもり生活からそろそろ抜け出し、新たな成長を夢見ているのがスマートマネーと言えるだろう。

 そして投資先は国内にとどまらず海外の有力企業へと広がっている。

 韓国民としてはこれが果敢な挑戦で大きなリターンを得てほしいと思う半面、米国でのコロナ禍に収束の兆しが見えないこと、また米中の対立が激しさを増す中で、やや勇み足ではないかと心配でもある。

ドイツ新型コロナ再拡大の兆候、緩和の難しさ浮き彫り

ロイター 2020年5月12日(火)9時51分配信

 ロックダウン(都市封鎖)を早期に実施し、新型コロナウイルスの感染封じ込めに一定の成果をあげたドイツ。封鎖の段階的緩和に舵を切ったが、その直後に感染が再拡大している可能性を示すデータが公表され、世界各国に警鐘を鳴らしている。

 ドイツでは、1人の患者から何人に感染を広げたかを示す「再生産数」が上昇。

 ドイツはこのわずか数日前にロックダウンを緩和したばかりだった。欧州で最も感染封じ込めで成果を上げている国でさえ、これまでの積み重ねが短期間で逆回転しかねないことを示している。

 こうした事例はドイツだけではない。韓国ではナイトクラブで集団感染が発生。韓国も感染封じ込めで成果を上げてきた。

 各国は感染を抑えながら、いかにして経済活動を再開させるか頭を悩ませている。

 欧州ではスペインとフランスがロックダウンの大規模な緩和を開始したのに対し、英国はより慎重な計画を発表した。

 一方上海では、ディズニーランドが入場者数を厳しく制限しながら営業を再開した。パレードや花火は中止され、来場者もスタッフもマスクを着用が求められた。さらに入場の際に検温が実施された。

 厳格なロックダウンを早期に実施し成功を収めたニュージーランドでは、今週、商業施設やカフェ、映画館の営業再開を許可すると当局が発表した。

 感染者数の減少が見られないまま、経済活動の再開に踏み切る国も。

 今年3月以来、13億人の国民に対し移動制限をしいてきたインド。だが感染者数は日々増え続けている。にもかかわらず、当局は12日から一般旅客向けの鉄道運行を一部再開させると発表した。

 先週、大恐慌以来最悪となる失業率が発表された米国。トランプ政権は経済活動の再開に軸足を移そうとしている。多くの州では感染者数が増え続けているにもかかわらず、規制緩和に転換した。

 再びドイツに目を戻そう。保健省の報道官は感染率の上昇を真剣に受け止めており、事態が制御不能に陥ったことを示すものではないと述べた。

むとこうなる?制限緩和を試みた韓国、コロナのしっぺ返し

Newsweek日本版 2020年5月12日(火)19時59分配信

100人を超える集団感染。それでも、対策は全体として功を奏している、と専門家は自信を見せるが

「アイスアメリカーノの人は手を挙げて?」──一人の男性が周りの同僚たちに尋ねると、10人が手を挙げた。男性はカウンターに行ってアメリカーノを注文し、その間、同僚たちは近くで楽しそうに立ち話をしていた――。韓国で外出規制が緩和されて、多くの人が職場に戻った5月6日。久しぶりに会った同僚と話が尽きないのも当然だろう。

 積極的な対策で新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めることに成功したと世界から称賛されている韓国では、この日から外出や集会の禁止措置が正式に緩和された。ソウル市庁舎の近くで働いている前述の男性たちは、これで安心して12人で連れ立って近くのコーヒー店を訪れることができるようになったと上機嫌だった。グループの中の管理職風の男性は、若い同僚に「500ウォン(約50セント)の借しだぞ」と冗談めかして言い、彼に近づいていって腹を殴る真似をした。

「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)」など過去の話のように思えた。国の新たな方針としては「生活防疫」が掲げられた。閉鎖されていた店舗や事業所は再開、学校も近いうちに再開する一方で、市民はマスクを着用したり互いに少し距離を空けたりするなど、必要な感染防止策を講じた上で日常生活を送ることになる。もちろん、体調が悪い人は自宅にとどまらなければならない。

繁華街から広まった感染に怒り

 だがその後、状況は一変。韓国の「勝利」は一瞬で終わった。規制緩和を控えた週末、新型コロナウイルスに感染している29歳の男性が、バーやナイトクラブがひしめくソウルの繁華街・梨泰院地区を訪れたのだ。この男性を中心に発生した集団感染で、12日までに少なくとも102人の感染が確認され、1日あたりの感染者数も1カ月ぶりの高い水準を記録した。問題の29歳の男性は複数のナイトクラブを訪れており、当局は約1500人がウイルスにさらされた可能性があると推定している。

 ソウル市は感染者数が増えるとすぐに、ナイトクラブやバーに事実上の営業停止命令を出した。また男性と同じ週末に梨泰院地区にいた全ての人に対して、症状の有無にかかわらず検査を受けるよう要請した。韓国疾病予防管理局によれば、11日には新たに感染が確認された35人のうち29人は感染経路不明の市中感染だった。感染者が再び急増していることに、韓国のネット上では多くの怒りの声が上がっている。中でも集団感染の発生源がゲイバーだと報じられたことで、人々の怒りの矛先はLGBTコミュニティーに向けられている。

完全制圧より感染拡大の抑制に重点

 この集団感染を受けて、政府は学校の再開を1週間延期。多くの当局者から、政府の当初の再開方針に無理があったのではないかという声が上がっている。

 韓国保健福祉部のソン・ヨンレ報道官は、「このところニューノーマル(新常態)という言葉がよく使われている。新型コロナウイルス後の韓国がどうなっていくのか、我々も強い関心を持って見守っている」と外国メディア向けの会見で語った。

 韓国政府は、ウイルス流行の第2波に向けた備えも万端だとしている。韓国疾病予防管理局の權俊旭副部長は5月7日の会見で、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の第2波をより効率よく抑えることが重要だ」と語った。「韓国政府は、第2波に向けての備えを進めており、日常生活を続けながら感染拡大を抑えることを目指している」

 今回の梨泰院地区での集団感染を受けても、当局者たちは、韓国のウイルス対策は総じてうまくいっていると主張する。「最近では、1日あたりの新たな感染者が10人を大きく割り込んでいる。その半数以上が海外からの入国者で、感染経路が不明なケースは5%程度だ」と保健福祉部のソンは語った。「このことは、我々がCOVID-19を制御していることを意味する。今後も感染者をこの水準に抑え、一方で元の生活に戻るための活動ペースを上げていけると考えている」

感染者3日連続ゼロも

 韓国は、最近の集団感染による増加分を除けば、もう1カ月近くにわたって1日あたりの新たな感染者数を10人程度に抑えることができており、5月に入ってから3日連続で国内感染者ゼロを記録した。

 ある専門家は、経済が大打撃を受け、学校は既に1学期の半分が過ぎ、気候が良くなってきている今こそ、市民に活動の再開を促すべき絶好のタイミングだと指摘する。「ウイルスは高温多湿の気候に弱い。夏はみんな屋内よりも屋外で過ごすことが多く、このところの新たな感染者の数は、これまでで最も少ない水準にある。こうした条件を合わせて考えると、いま規制を緩和するのは適切だ」と、高麗大学九老病院の金宇柱教授(感染症)はフォーリン・ポリシー誌に語った。

 一方で彼は、完全な規制解除はまだ早いとも警告した。「韓国は感染拡大がぶり返すことがないように、慎重な対応を取るべきだ。政府はあらゆる状況や再発リスクを評価しつつ段階的に規制を解除し、もし感染拡大の兆しが見えたら直ちに大規模なソーシャル・ディスタンシングの措置に立ち戻る必要がある」

 特に、再び気温が下がって多くの人が密閉された屋内で過ごすようになる秋には、感染拡大の再発リスクが高くなる。「効果的なワクチンや集団免疫がなければ、秋に大きな第2波が訪れることは避けられないだろう」と金は指摘した。

関連エントリ 2020/05/11 ⇒ 【日経平均】3日続伸<2万円台✍地固め>経済再開に期待感

 

2020年5月11日 (月)

【日経平均】3日続伸<2万円台✍地固め>経済再開に期待感

〔東京株〕3続伸 経済再開を期待 

時事通信 2020年5月11日(月)15時30分配信

 日経平均株価は前営業日比211円57銭高の2万0390円66銭、東証株価指数(TOPIX)は22.34ポイント高の1480.62と、ともに続伸。新型コロナウイルスの流行で停滞した世界の経済活動が早期に再開するとの期待感が買いを後押しした。

 3営業日続伸。ファーマフーズが大幅高で、東芝は堅調。半面、広栄化学は値を消した。出来高1億2569万株。

 先週末8日の日経平均株価は、前日比504円32銭高の2万179円09銭と大幅に続伸し、今日の高値で取引を終了した。終値ベースで2万円台を回復するのは、4月30日以来、4営業日ぶり。朝方から、前日の堅調な地合いや欧米株高などで、買いが先行。

 日米首脳の電話会談が行われ、新型コロナウイルス感染症への対応で、治療薬・ワクチンの開発や経済の再開に向け緊密に連携することを確認した。景気の底割れ回避期待が台頭し上げ幅を拡大。時間外取引で米株価指数先物が高止まりし、中国・上海総合指数が反発したことも支えとなった。

 雇用悪化は織り込み済みか

 欧米中心に都市封鎖の解除方針を示すなど経済活動の再開に向けた動きが見られ、投資家心理が改善。株式市場はコロナ禍で悪化した景気を先取りする展開となった

 8日に発表された4月の米雇用統計は非農業部門の就業者数が2050万人減るなど厳しい内容だったが、「毎週発表される失業保険の申請件数で、4月の雇用が大幅に悪化することは分かっていた」(民間シンクタンク)とされ、この日の売り材料にはならなかった。

 ただ、ウイルス感染者の減少は経済活動制限の成果とも言え、「制限を緩和すれば感染第2波が訪れる可能性もある」(大手証券)など、慎重姿勢を崩さない市場関係者は少なくない。日本株は前週末も大幅高となっていたため、この日は利益確定売りも出て、午後の日経平均株価はやや上値の重さが目に付いた。

 225先物6月きりも続伸。買い優勢で始まり、午前中は米株先物が時間外取引で堅調に推移する中、じり高歩調をたどった。午後は買いの勢いがやや鈍り、高値もみ合いとなった。225オプションはプットが売られ、コールは上昇。コールの権利行使価格2万1250円や2万2000円の取引が増加した。

コロナパニック巨額の富を築いた知られざる正体

現代ビジネス 2020年5月2日(土)10時01分配信/岡村 聡(S&S investments CEO)

 主要国の多くで外出自粛が行われるという第二次世界大戦後初めてとなる事態を招いた新型コロナウイルスの感染拡大ですが、株式マーケットへの影響も甚大でした。特に、欧米で感染が急拡大した3月の変動幅の大きさは「一世紀に一度」の途轍もないものでした。

100年に1度のボラティリティ

 米国の主要株式指数であるS&P500の動きからも、マーケットが混乱の極みであったことがよく分かります。S&P500は2月20日に史上最高値を更新しましたが、米国でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、NY(ニューヨーク)やカリフォルニア州を始めとして主要都市部がロックダウンに追い込まれたことで、マーケットが大混乱し、最高値を更新してからわずか1ヵ月で30%以上も急落しました。

 株価の急落というと多くの人がリーマンショックを思い出すかもしれませんが、当時はS&P500の下げ幅こそ58%と今回よりもはるかに大きかったものの、下落期間は07年10月~09年3月まで1年半と長期間にわたり、金融業界のシステミックリスクが段階的に進行したというイベントでした。

 今回とマーケットの動きが似ているのは87年のブラックマンデーで、この際は10月19日の1日でS&P500が20%以上も下げるなど短期で混乱が拡大し、最終的に2ヵ月間で36%も下落しました。

 ただ、今回のコロナショックが特徴だったのは反発も急ピッチだったということです。

 じつにS&P500は3月後半を底に、記事執筆時点までの1ヵ月間で20%以上も急反発しているのです。

 米国政府のコロナ対策として打ち出した金融緩和・経済支援策が、規模・スピードの両面で史上最高レベルだったことに加えて、コロナ禍でヒト・モノが動けなくなってしまった状況をデータにより補完する動きが拡大し、その恩恵を最も広範囲にうけるITプラットフォーマーが米国に集中していたことが背景にあります。

 週単位の値動き幅で見ると、下落時も上昇時も第二次大戦後の数々のマーケット混乱期を超え、大恐慌以来約90年ぶりの大きさとなる激しい値動きが続きました。市場参加者の将来的な値動き予想のばらつきを示すVIX指数(ボラティリティ指数)も、リーマンショックの際のピークを越えてこの指数が算出されるようになってから最大の値をつけました。

コロナショックで「稼ぐ人たちの正体

 株式や不動産以外の金融資産が大混乱に陥ったことも、リーマンショック時とは異なるコロナショックの特徴としてあげられます。

 特に、債券マーケットの混乱が際立っていて、米国債や米アップル社の社債といったほぼ無リスクと考えられる優良資産まで、1日で価格が30%も値動きする異常事態となりました。

 また、ロックダウンでガソリン需要が急減する一方、シェールオイル田の性質から減産が進まない米国では原油在庫が急増し、これ以上の保管が難しくなってきたことからWTI原油先物が4月中旬には史上初めてマイナスになりました。

 世界中の投資家のほとんどがこうしたマーケットの混乱から損失を被りましたが、一部の抜け目のない投資家たちはこの混乱をうまく乗り切り、逆にリターンを上げています。

「リターン100倍」の男

 この混乱下でリターンを上げた投資家はいくつかのタイプに分けられます。

 まず、ヘッジファンドの中ではマルチストラテジーと呼ばれる多様な投資対象に複数の戦略を使い分けるファームが健闘しています。マルチストラテジーの雄であるシタデルやミレニアム、バリアスニーといったファンドは揃って3月末時点で、年初来プラスのリターンをあげています。

 グローバルマクロ戦略のヘッジファンドも、ブレバン・ハワードやロコスといった大手ファンドが3月に2桁%のリターンを上げるなど好調でした。

 また、個別の取引で大きなリターンを上げたファンドもあります。著名なヘッジファンドマネージャーであるビル・アックマンが率いるパーシング・スクウェアは、約2700万ドル(約29億円)で購入したクレジット・デフォルト・スワップ (CDS)がマーケットの混乱で100倍近くの約26億ドル(約2800億円)にまで高騰し、ファンド全体でも3月に11%以上のリターンを上げて、年初来からのマイナスを打ち消しプラスにまで急回復しました。

 CDSは債券のデフォルト時に損失が補填される契約で、債券の生命保険にも例えられます。平時にはデフォルトリスクがほぼゼロだった債券のCDS価格が、コロナショックにより急上昇したことが上記の巨額リターンに結び付きました。

 このCDSはリーマンショック時にも危機を正しく予測していたヘッジファンドが、巨額のリターンをあげることに貢献しました。そして、リーマンショック時と同じく今回の危機時にも名をあげたのが「ブラックスワン」ファンドです。

ブラックスワン」に賭けろ…!

 ブラックスワン(黒鳥)は、スワン(白鳥)は全て白いものという皆が信じて疑わなかった先入観を崩したことから、金融マーケットで一瞬にして人々の考えを変えるようなイベントのことを表しています。

 思想家のニコラス・タレブによりこのフレーズは世の中に広まりましたが、タレブは正規分布など統計ツールを用いた金融市場のリスク管理の脆さに警鐘を鳴らし続けており、そうした統計モデルでは起きるはずがないとされる極端なイベントが起きたときにきちんと備えておいて、マーケットの混乱から大きなリターンをあげる投資手法を推奨しています。

 タレブがアドバイスをしているヘッジファンド、ユニバーサ・インベストメンツは平時に極めて安価に取引されているアウトオブザマネーのプットオプション等を取得しておいて、これらの資産が危機時に急騰することで大きなリターンをあげることを目指しています。

 実際にユニバーサは3月に36%ではなく36倍という途轍もないリターンをあげ、4月7日時点で年頭の資産を40倍以上に増やすという大成功をおさめました。

 アルゴリズム取引の雄で、史上最高のヘッジファンドと多くの人が評価している著名な数学者ジェームズ・シモンズにより設立されたルネッサンス・テクノロジーズも、外部から資金を集めている株式ロング・ショート戦略のファンドこそ年初来でマイナスに沈んでいるものの、社内資金のみを高速取引も用いて運用するメダリオンというファンドは、4月14日時点に年初来でプラス39%と大変好調に推移しています。

ビル・ゲイツの「先見の明」

 こうしたほとんどの投資家がロスを出しているタイミングでも、きちんとリターンを生み出しているヘッジファンドは機関投資家や富裕な個人投資家から高く評価され、私が本業とする投資助言のビジネスにおいても、こうしたファンドについての問い合わせが増えています。

 一方、こうした一部の投機家たちの巨額のリターンが社会全体にどのように還元されていくのかは見えづらく、コロナショックでネガティブな影響を受けた人たちからの反発を受ける可能性は十分に考えられます。

 その中で高く評価されるべきはビル・ゲイツの活動です。

 ビル・ゲイツは新型コロナのワクチンを世界で初めて治験フェーズに移行させて注目を集めている米国のモデルナというバイオベンチャーに資金提供しています。

 いまだ新型コロナに対して決定的な治療薬がなくワクチンもない中で、世界で最も早いペースでワクチン開発を進めていることへの期待感から、モデルナの株価は年初来で3倍近くに高騰し、時価総額も2兆円近くにまで拡大しています。

 ビル・ゲイツは2016年に妻と運営する自身の財団を通じて2000万ドル(約22億円)の研究資金をモデルナに寄付しましたが、もしこのタイミングで株式を取得していれば巨額のリターンをあげられたでしょう。

 ビル・ゲイツは2015年のTED TALKで感染症がアウトブレイクすれば人類の大きな危機となりうると講演していて、今回の新型コロナの感染拡大とそのインパクトを正しく予見していたと話題になっていますが、感染症対策をライフワークとして無償で取り組むと決めていたからこそ、研究資金を寄付するという形をとったと見ています。

「数千億円」をポンっと寄付

 そして、新型コロナのワクチンについてはモデルナだけでなく、有望な7つのワクチンの製造に数千億円の資金を提供することも表明しています。

 当然7つのワクチンすべてがうまくいくことは考えにくく、ビル・ゲイツ自身も効果を持つのは1つか2つだろうと話しています。

 当然、投じた資金の大部分が無駄になりますが、世界中で多くの人が亡くなり数百兆円の経済価値が失われる中では、大きな損失ではないというスタンスのようです。ビル・ゲイツはワクチンだけではなく、既存薬の新型コロナへの臨床試験についても100億円以上の資金を提供しています。

 このように、新型コロナによるマーケットの混乱をものともせずに稼ぐ凄腕の投資家もいれば、感染拡大をビジネスに結び付けてリターンを得ることも可能ながら、人類全体への貢献を最大化するために巨額の個人資産を寄付するという行動に出たビル・ゲイツのような人も出てくるなど、新型コロナのグローバルの感染拡大はビジネス界の大物たちの実力や人間性をさらに際立たせるイベントともなりました。

中国デジタル元導入大詰め 新型コロナも後押し

時事通信 2020年5月5日(火)13時34分配信

 中国で「デジタル人民元」導入に向けた取り組みが大詰めを迎えている。

 5月からは一部都市で実証実験がスタート。紙幣や硬貨を通じた新型コロナウイルス感染に対する警戒感がくすぶる中、「非接触」への流れも導入の機運を後押ししている。

 中国人民銀行(中央銀行)は2014年にデジタル元の研究に着手。昨年夏には人民銀幹部が「すぐにも実施可能」と強調するなど、中銀発行の法定通貨では世界初のデジタル通貨が間もなく登場するとの観測が高まっている。

 人民銀が発行するデジタル元は市中銀行を経由して利用者に届き、既に広く普及しているスマートフォンの電子決済サービスを通じて流通する見込み。現金よりも迅速な決済が可能で、取引にかかるコストは少なくて済む。利用者は、銀行口座がなくても利用できる。

 マネーロンダリング(資金洗浄)など違法行為の抑止につながると期待される一方、当局による監視が強まることを懸念する声もある。

 実証実験を始めるのは、蘇州市(江蘇省)や深セン市(広東省)、習近平国家主席の肝煎りで開発が進む雄安新区(河北省)、2022年の北京冬季五輪の開催地となる北京市の会場周辺など。

 中国紙によると、蘇州市相城区では4月中に公務員らを対象にデジタルウォレット(財布)が割り当てられ、5月には通勤交通費補助の半額がデジタル元で支払われる。また、雄安新区の実験には小売業や飲食業が参加する予定で、米スターバックスやマクドナルドなど外資系企業も名を連ねているという。

 中国がライバル視する米フェイスブック主導の仮想通貨(暗号資産)「リブラ」は、各国・地域の通貨と交換レートを固定させた複数のデジタル通貨を年内にも発行する計画とされる。デジタル元の具体的な導入時期は公表されていないが、リブラよりも前になるとみられる。 

韓国、コロナ“初期の勝利”が クラブ感染 台無

WoW!Korea 2020年5月11日(月)11時33分配信

 韓国ソウルのイテウォン(梨泰院)のクラブから発生した新型コロナウイルスによる集団感染について、海外メディアも注目している。韓国のように防疫に成功したという評価を受けた国から再び集団感染が発生したことに世界各国は緊張している。

 米国経済新聞のウォールストリートジャーナル(WSJ)は10日(現地時間)“新規感染者が急増したのち、翳りをみせた韓国の新型コロナ初期勝利”というタイトルの記事で「新型コロナの拡散を鎮圧するのに大きく成功した韓国が再び守勢に立たされている」と報道した。

 WSJは、梨泰院のクラブ感染拡散の始発点と推定されている29歳の感染者が感染判定を受けた去る6日は、韓国が“社会的距離確保”を“生活の中の距離確保”に緩和させた日であったという点に注目している。

 このような事例は、新型コロナの中で正常に戻すということがどれほど難しいことかを表しているということである。

 ニューヨークタイムズ(NYT)もまた「韓国政府は国民たちに外で交際し楽しい時間をすごしてもいいと語ってから4日後に数十人の集団感染が発見され、パク・ウォンスン(朴元淳)ソウル市長は市内のすべての遊興施設に対する集合禁止命令を下した」と報道した。

 英国の経済紙であるファイナンシャルタイムズ(FT)は「経済再開を熱望しているが、その結果を恐れる他の国々は韓国で何が起こっているかじっくり見守るだろう」とし「我々の試みが他の国の参考になる可能性は高い」という韓国保健福祉部(厚生労働省の厚生部分に相当)長官の発言を伝えた。

中国、米国のワクチン情報…韓国は日米間の電子メールハッキング

中央日報 2020年5月11日(月)18時04分配信

 世界が新型コロナウイルスの2次流行のリスクを押し切って経済活動再開に入り、ワクチンと治療剤の開発情報を確保しようとする各国の情報機関ハッカーとスパイの無限競争が広がっている。

 ニューヨーク・タイムズは10日、「中国最高のハッカーとスパイが米国の研究所から新型コロナウイルスのワクチンと治療剤の開発情報を盗もうと努めている」と報道した。韓国のハッカーも世界保健機関(WHO)と同盟国である米国・日本の官僚らの電子メールをハッキングして新型コロナウイルス情報を収集しようとしたとの内容もあり波紋が予想される。

 ニューヨーク・タイムズによると、少なくとも10カ国余りが軍事・情報機関所属のハッカーを他国の新型コロナウイルス対応情報収集に投じた。中国国営ハッカーだけでなく米国の同盟国である韓国と、サイバー分野では頭角を見せていなかったベトナムも含まれた。各国がサイバー無限競争に入ったのは大流行病の中で自国の優位を占めようとする目標のためだ。

 米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省は近く発表するサイバー警報草案で「中国は米国の新型コロナウイルスワクチンと治療剤開発、検査と関連した貴重な知的財産権と公衆保険データを不正な手段を通じて確保しようと努力している」と明らかにした。草案は米国内大学と民間研究所の構成員のような「非伝統的主体」のサイバー窃盗とハッキングにも焦点を合わせた。中国が自国出身留学生と教授・研究員を動員してワクチン・治療剤開発情報を盗み出そうと努めているという意味だ。

 今回の警報はまた、米サイバー司令部と国家安全保障局(NSA)の「抑制戦略」次元で中国政府が戦略支援軍と密接な関連がある国営ハッキングチームを動員しているという具体的な容疑も提起することにした。トランプ政権が武漢研究所からのウイルス流出説を含めた中国責任論で全方向攻勢を広げる状況でワクチン・治療剤情報を盗もうと違法ハッキングまで行っていると非難する場合、米中関係はさらに冷え込みそうだ。

 これに先立ち国家安全保障局サイバー保安局と英国立サイバーセギュリティセンターは5日に合同で、具体的な国は特定せずに「保健当局と製薬会社、学界、医療研究機関と地方政府を目標に知能型持続攻撃(APT)方式のハッキング脅威がある」と警報を発令している。

 同紙は韓国のハッカーも世界保健機関(WHO)と米国、日本と北朝鮮の役人らを狙って電子メールのハッキングを試みたと伝えた。北朝鮮内部の新型コロナウイルス感染拡大の実態だけでなく同盟国を相手に新型コロナウイルス関連公式統計以外の感染者・死亡者・検査回数などの資料を狙ったという意味だ。

 ニューヨーク・タイムズは「2人の民間セギュリティ専門家によると、韓国の攻撃は(米保健官僚らの)電子メールアカウントのハッキングを試み、ウイルス防疫と治療関連情報を収集しようとする幅広い活動である可能性が大きい。同盟国すら相手国政府の感染・死亡統計を疑っていることを示している」と伝えた。

 このほかにイランのハッカーも米食品医薬品局(FDA)が承認した新型コロナウイルス治療剤レムデシビルのメーカーであるギリアド・サイエンシズ内部網に侵入しようとしたが摘発され、ベトナムのハッカーは最近数週間に中国政府官僚を標的にウイルス関連対応情報収集に出た。

 元国家安全保障情報分析官出身であるジャスティン・フィアー氏は同紙に「新型コロナウイルスは世界的大流行病だが不幸にも各国はこれを国際的問題として取り扱わない。サイバー攻撃の頻度や目標の範囲が天文学的であり途方もない」と話した。

 

2020年5月10日 (日)

【習的中國】武力衝突も見据える「天安門以来✍最悪の米中関係」

天安門事件以来で、最悪のアンチ中国―米中が武力衝突する未来を見据える必要あり?

クーリエジャポン 2020年5月9日(土)15時00分配信

アンチ中国感情、天安門事件以来で最高潮に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国で公式に確認されてから5ヵ月以上が経った。

世界ではいまだに感染者数や死者数が増加している状態だ。一方で、発生源である中国では感染が落ち着いて日常生活に戻りつつある。

英公共放送「BBC」は、「中国は新型コロナウイルスとの戦いに『勝利した』と言っている」と報じている。

とはいえ中国では、今回の新型コロナの問題が、対外的なイメージに特に著しいダメージを与えているとの懸念が出ているという。

英「ロイター通信」は、「中国のある内部リポートによれば、今回の新型コロナの感染拡大は中国政府にとって、アメリカとの関係を衝突に向かわせる可能性があるだけでなく、中国に対する国外からの敵意の高まりに直面する要素となると警告している」と報じている。

「ロイター通信」がスクープしたこのリポートは、中国現代国際関係研究院(CICIR)によって、習近平国家主席に提出するために4月はじめにまとめられたもの。CICIRとは、中国の諜報機関である国家安全部(MSS)と関連のある政府系のシンクタンクだ。

その報告書はこう結論付けている。

「世界的なアンチ中国の感情が1989年の天安門事件以来でもっとも高まっている」

「その結果として、中国政府は感染拡大のためにアメリカが主導する“アンチ中国”の流れに直面している。そして、米中2大国の間で武力衝突に発展するという最悪のシナリオを見据えて準備する必要がある」

武力衝突とは物騒な話だが、米紙「USAトゥデイ」によれば「この世界的な危機のなかで米政府と中国政府のあいだで毎日のように起きる舌戦について、安全保障専門家らは現在の米中関係が『新たな冷戦』であると懸念している」という。

さらに「米中の関係はここ50年で最悪の状態」であるとしている。とはいえ「今のところ、緊張の高まりが軍事衝突につながる兆しはないが、米海軍は最近、『航行の自由作戦』を中国が領有権を主張する南シナ海で実施している」という。軍事的なアピールも続いているようだ。

とはいえ、まず犠牲になりそうなのは「1月にホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と劉鶴副首相が合意して大々的に喧伝された『第1段階』の通商合意」であり、その合意後には「さらに意見の割れるさまざまな問題について、幅広い協定が締結される予定だった」という(近々再開されるとの話も出ている)。

そのうえ中国は、今後2年で2000億ドル相当の米国製品とサービスを購入する約束をしていたが、それもどうなるのか先が見えない状態だ。

つまり、実際の軍事衝突というよりは、これまで続いてきた米中貿易摩擦による関係悪化をさらに深める可能性が高い。

米紙「ザ・ヒル」は「トランプ政権は中国が新型コロナに関する実態を隠蔽し、死者数や感染者数を操作していると非難している」とし、マイク・ポンペオ国務長官がこう発言したと引用している。

「われわれは今回の新型コロナで、当事者に責任を負わせるつもりだ」

雇用戦後最悪2050万人減 4月速報値(戦後最悪)失業率14.7%

毎日新聞 2020年5月8日(金)21時42分配信

 米労働省が8日発表した4月の雇用統計(速報値)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は、季節調整済みで前月比2050万人減となり、第二次世界大戦後で最大の減少幅を記録した。4月の失業率は14.7%と前月(4.4%)から急上昇し、戦後最悪だった1982年11、12月(10.8%)を上回り、30年代の大恐慌時に次ぐ水準まで悪化した。新型コロナウイルス感染拡大によって経済活動が縮小したためで、世界経済をリードする米国の雇用情勢の深刻な実態が鮮明となった。

 米国の就業者数は、リーマン・ショック後の2009年3月に80万人減、終戦直後の兵役解除の影響を受けた45年9月に195万9000人減を記録しているが、今回はこれらを桁違いに上回った。米国の労働力人口は現在、約1億6000万人。およそ8人に1人が4月の1カ月だけで職を失った計算になる。

 就業者数は今年2月時点で前月比23万人増と堅調に伸びていたが、3月中旬以降に新型コロナ感染防止のための外出規制や営業休止が広がり、雇用情勢が急転。3月の減少幅も87万人減と高い水準だったが、4月の減少幅はその3月の約24倍に達した。

 失業率もリーマン・ショック後の09年10月(10.0%)を大幅に上回り、25%に達したとされる大恐慌時の33年以来の高い水準となった。新型コロナの感染拡大が深刻化する前の今年2月時点では3.5%と、1969年12月と同程度の低い水準を維持していたが、3月は4.4%と17年5月以来の水準に悪化していた。

 米国の雇用統計は毎月12日を含む週に集計される。このため、3月の統計は同月中旬から本格化した外出規制の影響が十分に反映されていなかった。4月の集計時点では、全米50州のうち42州が外出規制を発動し、米国民の約9割が規制対象となっており、営業停止を迫られた企業による従業員の一時解雇も広がっていた。金融市場も今回の雇用統計の悪化を織り込んでおり、就業者数の事前予想は約2200万人減だった。

 4月中旬以降も失業保険申請件数が2週連続で300万件を超えており、足元の雇用環境はさらに悪化している可能性がある。米議会予算局(CBO)は、20年7~9月期に失業率が16%に上昇すると予測している。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の急停止を受け、米国の雇用情勢が歴史的な水準に悪化した。米労働省が8日発表した4月の雇用統計では、就業者数(非農業部門)は前月から2050万人減少し、失業率は14.7%と1930年代の大恐慌以来の高水準となった。感染予防のための外出規制や営業停止命令で打撃を受ける小売りなどのサービス産業では人員整理や経営破綻が始まっており、経済再開後の雇用回復は困難さを増している。

 雇用統計によると、業種別の就業者数は、外出規制の影響を受けやすいレジャー・接客が765万人減と突出して落ち込んだほか、介護ヘルスケアが208万人減、小売りが210万人減だった。主要州で食品や金融、ライフラインなど生活に必須な事業以外が制限されたこともあり、建設業は97万人、製造業は133万人減少した。

 新型コロナ感染拡大を受け、4月中旬時点で全米50州のうち42州が外出規制などで経済活動を制限していた。その後、感染者の増加ペースが鈍化したことで、約30州が外出規制や営業停止命令の段階的な解除を始めており、米金融大手モルガン・スタンレーは「米経済は4月下旬に底打ちした可能性が高い」との見方を示している。

 ただ、多くの州政府はレストランや小売店の営業再開の条件として、入店客数を一定水準に制限するよう求めている。米国民の新型コロナ感染への警戒感も根強く、経済活動が「コロナ以前」に回復するには時間がかかる見通しだ。位置情報サービスの米ユナキャストによると、米小売店の今月3日までの1週間の来店客数は前週から約15%増加したが、前年の水準を約4割下回っている。

 経済停滞が長期化する中、経営悪化の進む米企業は再雇用を前提とする「一時帰休」にとどまらず、従業員を解雇する方向にかじを切り始めた。米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズは全従業員の約14%に当たる約3700人の人員削減を発表した。同業のリフトも従業員の17%に相当する約980人を解雇する方針だ。また、旅行需要の激減を受け、民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは従業員数の25%に当たる1900人の削減を実施する。

 さらに、小売りやサービス業では大手企業の経営破綻が起き始めた。米高級百貨店ニーマン・マーカスは7日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をテキサス州の裁判所に申請した。今月に入り、米衣料品チェーン大手Jクルー・グループや米スポーツジム運営大手ゴールドジムなども相次いで破綻している。

 米議会予算局(CBO)は失業率が7~9月期に16%に悪化した後、年末までに11.7%まで回復すると予測している。しかし、米経済の再開が順調に進まず、企業の人員整理や経営破綻が拡大した場合、失業率は高止まりする恐れがある。

 ◇ キーワード・米雇用統計

 米国の経済指標の中で特に注目を集める統計で、米労働省が原則として毎月第1金曜日に、前月の数値を発表する。景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数の増減と、雇用情勢の良しあしが一目で分かる失業率への注目度が高いが、平均時給の動向なども併せて公表され、雇用関連の幅広いデータを網羅している。速報性にも優れているため、金融市場も毎月の発表数値を注視しており、事前予想と大きく異なる結果が出ると、株価や為替相場が大きく変動。それに伴って米連邦準備制度理事会(FRB)の政策運営を左右することもある。また、雇用創出に成功しているかどうか、政権の経済政策を評価する通信簿の役割も果たしている。

NYダウ続伸455㌦高=雇用悪化予想下回る

時事通信 2020年5月9日(土)6時30分配信

 週末8日のニューヨーク株式相場は、米雇用統計の悪化が市場予想を下回ったことなどを受け、続伸した。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比455.43ドル高の2万4331.32ドルで終了。ハイテク株中心のナスダック総合指数は141.66ポイント高の9121.32で引けた。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比4990万株減の9億4881万株。

 米労働省が朝方発表した4月の雇用統計(季節調整済み)によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、失業率は14.7%と前月の4.4%から急上昇し、戦後最悪となった。景気動向を反映する非農業部門の就業者数は2050万人減り、1939年の集計開始以来で最大の落ち込みとなった。

 ただ、悪化の程度が市場予想を下回ったほか、「(数字は)危機のピーク時のもの」(米メディア)で、経済活動が再開されれば一時帰休の労働者がすぐに復職するとの見方もあり、市場では売り材料視されなかった。

 一方、中国国営新華社通信は8日、劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官が電話協議を行ったと報道。両国はこのところ新型コロナの流行をめぐり対立を深めているが、貿易協議第1段階の合意実現に向けた協力で一致したと伝わり、緊張緩和への期待が高まった。エネルギー株や資本財株がけん引し、ダウは一時474ドル高となった。

 欧米で外出制限を緩和する動きが広がっていることも好感された。人や物の移動で需要が回復するとの期待から原油先物相場が上昇し、投資家のリスク選好を高めた。

 個別銘柄(暫定値)では、化学大手ダウとキャタピラーが4.5%高、エクソンモービルが4.4%高、シスコシステムズが3.9%高。ボーイングは3.7%高、ウォルト・ディズニーは3.4%高、アップルは2.4%高となった。

中国全世界の反中感情最悪、米国と武力衝突の状況に備えねば」

朝鮮日報オンライン 2020年5月6日(水)11時00分配信

中国のシンクタンク、指導部に報告書

 中国が最近の内部報告書で、新型コロナウイルス問題により全世界の反中感情が1989年の天安門事件以降で最悪になっており、米中武力衝突の可能性にも備えなければならないと評した、とロイター通信が5日、報じた。

 同通信によると、報告書の内容を知っている消息筋の話として、中国国家安全部傘下のシンクタンクである中国現代国際関係研究院が4月初め、このような内容の報告書を中国指導部に伝えたとのことだ。

 1989年に北京・天安門で民主化デモが発生した際、中国指導部は軍を動員して鎮圧した。この過程はテレビを通じて全世界に生中継され、西側諸国は中国に対する制裁に踏み切った。この報告書は、新型コロナウイルス問題による反中感情や安保不安の可能性に言及し、「二大国(米中)間の武力対立という最悪のシナリオに備えなければならない」という内容も盛り込まれているとロイター通信は報じている。

 また、英紙フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ギデオン・ラックマン氏は4日のコラムで、「新型コロナウイルスに関する国際調査が行われなければ、最悪の場合、米中武力衝突につながるだろう」と展望した。米国国内の新型コロナウイルス感染症による被害が急増していることから、ホワイトハウスは中国責任論を連日取りざたしている一方、中国は憶測だと反発している。むしろ中国は「中国の素早い対処と犠牲が世界に貢献した」として、新型コロナウイルス防疫成果を宣伝しており、両国とも一歩も引かないため、緊張が高まっている。

やはり中国は隠している新型コロナ感染拡大はこうして起こった

現代ビジネス 2020年5月9日(金)11時01分配信/奥野修司(ジャーナリスト)

武漢のウイルス研究所に向けられる疑惑

 『Fox News』や『The Washington Post』が、コウモリ由来の新型コロナウイルスは湖北省武漢の海鮮市場ではなく、武漢のウイルス学研究所から流出したのではないかと、米政府内で議論になっていると報じた。

 その理由として、以下の3点を挙げている。

----------
1.感染者が出た当時は武漢の市場にコウモリはなかった。
2.2018年に適切に訓練された研究者と技術者の深刻な不⾜で安全性に問題があると警告していた。
3.コロナウイルスの危険な研究していた。
----------

 科学雑誌『SCIENTIFIC AMERICAN』によれば、この研究所には雲南省などの洞窟にいるコウモリからコロナウイルスを採取していて、「コウモリ女」とあだ名される研究者がいると紹介されてるほどで、流出の条件としては揃っている。

 余談だが、武漢の大学でコメの遺伝子組み換えを研究していたところ、研究室からそのコメが流出して、あっという間に中国南部に拡がったことがあった。

 管理が非常に杜撰だったからだが、そんなことを考えるとウイルスの流出はあり得ない話ではない。ただ、いずれも直接証拠になるようなものはなく、どこまで信憑性があるかはわからない。

 武漢ウイルス学研究所では、少数のコウモリコロナウイルスが培養されていたことは間違いないという。また、3の「コロナウイルスの危険な研究」とは、キメラウイルスを作ってマウスで実験をしていた(Nature Medicine)ことを指しているのだろう。

 だから、ウイルスが研究所から漏れたという説は完全に否定できないのだが、かといって、自然界もしくは市場で売られているコウモリから感染したという説も否定できない。

 ただ『The Washington Post』によると、実際、感染が始まった当時は武漢の市場にコウモリは売られていなかったそうである。

 しかし、新型コロナウイルスは感染しても8割近くが無症状だということ考えれば、どこかで感染した人物が、知らないうちに周囲を感染させていたということも考えられる。

 もちろん、研究所はウイルスが漏れたということは否定している。また、研究所が、新型コロナウイルスをサンプリングして、研究所が保管しているウイルスと比較してみたが一致するものがなかったという。

 それでも、研究所から漏れたという説がいつまでもくすぶっているのは、中国がこの研究所を第3者に査察させないからである。

 なぜパンデミックになったのかを知ることが、次のパンデミックを防ぐためには不可欠のはずだ。それゆえ、査察を受け入れないのは何かを隠しているのではないかと疑ってしまうのだろう。

新型コロナウイルスの系統図が教えるもの

 武漢に出現したこの新型コロナウイルスが、中国から国外に出てパンデミックになるまで何があったのか。これまで海外で報じられてきたことを時系列にたどりながら検証してみたい。

 それには格好の材料がある。「中国国家生物情報センター」というところが公開している新型コロナウイルスの詳細な系統図である。

 武漢のウイルスが、ランダムにゲノムを変えながら、どのように世界中に広がっていったかを、全世界の新型コロナウイルスをサンプリングしながら、ウイルスの拡散と進化を追跡していったものだ。おそらく、1つのウイルスをここまで解析したのは初めてだろう。

 この系統図とは別に、2月15日に中国の研究者が医学雑誌『THE LANCET』に発表した論文がある。おそらく論文公開に当たって、中国政府は深く関与したはずだから、重要なデータは隠されているはずで、それを承知で参照してみた。

 この論文によると、新型コロナウイルスに感染した最初の患者が現れたのは12月1日だった。

 新型コロナウイルスに感染した人物をXとするが、感染ルートについては何も書かれていない。ただ、武漢のシーフード市場とは関係がないとしている。この感染者は発熱や呼吸器に問題はなく、「その後の症例との間に疫学的関連は見られなかった」としているが、では、その後どうなったかについてはまったく触れていない。

 市場と接触した感染者が現れるのは12月10日以降である。1月2日までに入院した患者は41名。そのうち27名(66%)が武漢シーフード市場にいたとしているが、残りの14名がどこで感染したかについてはわからない。ただ、疑惑の人物Xは14名の一人に含まれているようである。

 また、武漢の病院には12月16日から入院記録はあるそうだが、おそらくその中に感染者Xも含まれているはずだが、まったく触れていない。

中国は隠し続ける

 「中国国家生物情報センター」の系統図に現れる最初のウイルスは12月23日である。これが12月10日以降に市場で感染した患者のウイルスだろうか。では、12月1日に現れた最初の感染者のゲノムはなぜここにないだのだろう。

 また『The Washington Post』によれば、当時、武漢シーフード市場ではコウモリを売ってなかったことや「中国は初期のコロナウイルスのサンプルをアメリカの専門家に提供していない」と書いている。12月1日のゲノムは「中国国家生物情報センター」の系統図にも載せていない。なぜ隠すのだろうか。

 中国側の発表によると、原因不明の肺炎を発見したのは12月末で、30日には管轄の医療機関に緊急通達を出したとしていて、論文にある12月1日のことや、系統図にある12月23日にはふれていない。

 台湾が、原因不明の肺炎は人から人へ感染していることをWHOに警告したのは12月31日。しかし、年が明けると、北京から専門家チームが武漢に派遣されてくるが、彼らは人から人へ感染させる明確な兆候は見られないと報告している。おそらくWHOにもこうした報告をしたのだろう。

 しかし、先ほどの論文によれば「家族感染も1つ見つかった」としているから、すでに初期の段階で人から人に感染することは認識していたはずである。

 たとえば、12月30日に「SARS(重症急性呼吸器症候群)の患者が7名いる」とSNAに発信して処罰を受けた李文亮医師は、「ヒトからヒトへ感染するということは明らかです」(『財新』)と語っている。北京から派遣されたような専門家が、なぜ嘘を報告しなければならなかったのだろうか。

全人代の前に騒ぎを起こすな

 1月7日に習近平主席が「指示を出した」とされているが、どんな指示だったかは不明である。ただ翌日に「病原体は新型コロナウイルス」と断定したことを発表しているからこのことだろうか。これは、翌日に日本の新聞も報じている。

 系統図を見ると、ウイルスは12月末から変異しながら複雑に分岐していくが、1月8日には、ついに国境越えてタイに感染が拡大している。

 1月11日、上海公衆衛生臨床センターは、世界で初めて新型コロナウイルスのゲノムを公開したが、なぜかすぐに閉鎖され、関係者は姿を消したという 。

 1月13日、タイで再び感染者が出た。そのことを内部報告によって知った「北京の指導者たちはパンデミックの可能性を認めた」という。翌日には関係者で電話会議が行われ「春節で多くの人が旅行するので感染の拡大のリスクが高い。パンデミックに備えなければならない」(いずれもAP通信)と確認したという。

 それにもかかわらず、北京の指導者たちは動かなかった。おそらく3月5日から始まる予定だった全国人民代表大会(中国の国会に相当)の前に余計な騒ぎを起こすなという判断ではなかったか。

 パンデミックで大勢の人が死ぬ可能性よりも、彼らには全人代をいかに成功させるかのほうが大切だったのだろう。1月下旬に当時の武漢市長が「私は(中央から)許可を得た後でなければ情報を開示できない」と語って驚かせたが、おそらく北京の最高幹部から公にしないように指示が出されていたと思われる。

 そして1月19日、WHOのテドロス事務局長が「人から人への感染リスクは少ない」と発表して、世界中を安心させてしまった。

 その翌日、習近平は「真剣に受け止めなければならない」と初めてパブリックコメントを出し、ウイルスは人から人へ感染させることを認めたが、すでにこの時点で中国国内では 3000人以上の感染者がでていた。

春節を契機に世界中に広まった

 1月23日、ついに武漢は封鎖されたが、それ以外の人の移動が禁じられたわけではなかった。こうして春節を利用した何千万という中国人が世界に散っていくのである。

 そして1月には、日本だけで97万人の中国人観光客がやってきた。結果的に彼らは日本中にウイルスをばらまいたというわけである。

 この系統図では、日本でサンプリングしたゲノムが出てくるのは1月23 日。まさしく春節に入る直前だった。まだ他国の出来事のように思っていた日本人の間で、静かに感染が広がっていたのである。

 系統図から、1月中に各国でウイルスがサンプリングされた日を時系列に並べてみると、1月8日にタイ、1月13日タイとネパール→19日アメリカ→22日オーストラリア→23日フランス→25日台湾およびカナダ→27日カンボジアおよびインド→28日ドイツ→29日イタリア→30日韓国と広がり、春節をきっかけにしてウイルスが全世界にばらまかれたことがわかる。

 2月6日、台湾が素早く中国人の入国を全面禁止したのは、中国が公表したデータを信じていなかったからだろう。北朝鮮は中国と似た国だから、本能的になにか隠しているとわかったのか、1月24日という早い段階で中国との国境を閉鎖している。

 もし中国が、パンデミックの可能性を理解した1月13日、世界に向けて公表していたら、これほどのパンデミックにはなっていなかったし、少なくとも25万人(5月5日)もの命が奪われなくてすんだはずなのだ。

 

2020年5月 9日 (土)

【羽生結弦】コロナ禍✍終息願い<歴代プロ17曲メドレー>祈りの舞

羽生結弦りの舞17311 コメント最小限…311以降「僕とプログラムたちの道程

スポニチアネックス 2020年5月7日(木)5時30分配信

 5分11秒の祈り――。フィギュアスケート男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(25=ANA)が6日、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じてメッセージ動画を届けた。コメントは最小限とし、自身も被災した11年東日本大震災以降に披露した17曲の振り付けを再現。最後は伝説のプログラム「SEIMEI」の冒頭ポーズで、新型コロナウイルスに苦しむ世界に平癒の願いを届けた。

 まるで羽生結弦の“アンソロジー”だった。いつもと異なるゴールデンウイーク、最終日の6日午後3時。羽生は、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じて3つの動画を一斉投稿した。「フィギュアスケーターの羽生結弦です。2011年3月11日から今までの、僕とプログラムたちの道のりです」

 短いメッセージから始まったパート1の動画は、突如、室内での振り付け再現の映像へ。黒のジャージー姿で、震災を経験した11年当時のSP曲「白鳥の湖」を皮切りに、7曲を2分3秒で舞った。パート2は6曲1分48秒、パート3は4曲1分5秒で、17曲の合計は4分56秒。あいさつも含めた動画の総再生時間はくしくも「311」秒。曲に合わせ髪形をアレンジし、下手から上手へ移動する演出のこだわりも見せながら、思い出のプログラムを披露した。

 3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)が中止。フィギュアスケートだけにとどまらず、世界中が新型コロナウイルスの恐怖と向き合っている。この日で終了するはずだった、政府による緊急事態宣言は延長された。震災を経験した羽生は、世界中の人たちが心から笑える日が来ることを祈念していた。

 17曲のフィナーレは、五輪連覇を成し遂げた18年平昌五輪など、数々の伝説を打ち立てたプログラム「SEIMEI」。陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明が左手を上げ、右人さし指と中指を立てるおなじみのポーズだった。手のひらは天、足は地、指は人。羽生が込めた思いは、多くのファンに届いたはずだ。

 《日本連盟が企画“リレー”大トリ》今回は日本スケート連盟が企画した「Skate Forward 明るい未来へ」の一環で、各種目の選手によるリレー形式の大トリを羽生が飾った。羽生は自身のメディアやSNSを持たないため、自らの編集動画を投稿するのは異例だ。なお、4月17日には日本オリンピック委員会の公式ツイッターで「3・11の時の夜空のように、真っ暗だからこそ見える光があると信じています」とメッセージを発信していた。

Photo_20200509201202Photo_20200509201201

羽生結弦、逆境乗り越え続けた作品に込めた希望の願い 17プログラム冒頭部分を披露

デイリー 2020年5月7日(木)7時30分配信

 フィギュアスケート男子で五輪2連覇王者の羽生結弦(25)=ANA=が6日、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じて、新型コロナウイルスの感染拡大で自粛生活が続くファンへ、合計5分11秒の大作動画をプレゼントした。自身も被災した2011年3月の東日本大震災以降9年間で自身が演じた17プログラムの冒頭部分を披露。氷上ではなく、室内での演技だったが、全身全霊の舞にコロナ終息への祈りを込めた。

  White Legend(10-11年SP、11年-12年、ソチ五輪などEX)

 「白鳥の湖」の和風アレンジ曲。羽生自身も被災した2011年3月11日の東日本大震災直後のアイスショーで演じたのがこのプログラムだった。

 悲愴(11-12年SP)

 震災後初めてのシーズンで使用したSP曲。震災の悲しみと苦しみ、そして復興への思いを込めたプログラム。

  ロミオ+ジュリエット(11-12年フリー)

 初出場となった12年ニース世界選手権ではSP7位の出遅れから、フリーでは魂の演技で巻き返し、日本男子史上最年少メダルとなる銅メダルを獲得。“伝説のニース”と呼ばれる。

  ノートルダム・ド・パリ(12-13年フリー)

 ソチ五輪プレシーズンのフリーで使用。SPが同じパリが舞台の「パリの散歩道」だったこともあり、ファンからは「ダムパリ」と呼ばれる。

 ◆ パリの散歩道(12-14年、ソチ五輪SP)

 哀愁漂うエレキギターの音が印象的なゲイリー・ムーアの名曲を若き羽生が演じた。次々とSPの世界最高得点を更新するなど快進撃を支え、ソチ五輪の金メダルに導いた。

  ロミオとジュリエット(13-14年、ソチ五輪フリー)

 11-12年の「ロミオ+ジュリエット」とは別の映画曲をソチ五輪シーズンの勝負曲に選んだ。「この物語は自分にとって特別」。思いを込めたプログラムで頂点に立った。

  オペラ座の怪人(14-15年フリー)

 競技で歌入りのプログラムが解禁されて初めてのシーズン。ボーカル部分を口ずさむ羽生の姿も印象的だった。

  The Final Time Traveler(14-15、16年EX)

 アドベンチャーゲーム「タイムトラベラーズ」のエンディング曲。同ゲームは阪神・淡路大震災がテーマとなっており、羽生自身も震災への思いを込めて演じた。

  天と地のレクイエム(15-16年EX)

 ヒーリングピアニストの松尾泰伸氏が、東日本大震災の鎮魂曲として完成させた。故郷東北への思いを演技にのせ、荘厳な舞を披露した。

  レッツ・ゴー・クレイジー(16-17年SP)

 稀代のロックスター・プリンスの名曲を、紫の衣装でノリノリで演じきった。16年9月のオータム・クラシックでは、このプログラムで世界初の4回転ループを成功させた。

  ホープ&レガシー(16-17年フリー)

 98年長野パラリンピックのテーマ曲。羽生の母が長野大会を観戦したことをきっかけに、羽生の姉がスケートを始め、姉を追いかけて羽生はスケートを始めた「出発点」を表現する演目。

  バラード第1番(14-16、17-18、20年、平昌五輪SP)

 羽生の代表的なプログラムの1つとなったショパンのピアノ曲。フリー「SEIMEI」とともに、15年には旧採点法で史上最高得点の合計330・43点をマークした。

  ノッテ・ステラータ(16-18年、平昌五輪EX)

 浅田真央らを指導した世界的指導者、タチアナ・タラソワから「ぜひ滑ってほしい」と贈られた曲。「優しく包み込むイメージ」と話す柔らかな舞が印象的。

  秋によせて(18-19年SP)

 憧れの選手、ジョニー・ウィアー(米国)がかつて滑った名プログラムに挑戦。18年11月のGPフィンランド大会、ロシア杯では新採点法での世界最高得点を次々と更新した。

 ◆ Origin(18-19年フリー)

 同じく憧れのエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)の伝説プログラムをモチーフにした演目。ただ、憧れが強すぎ、「自分の演技として完成できない」と振り返った。

 春よ、来い(18-19年EX)

 歌手・松任谷由実の名曲。逢いたい人に会えない思いが込められた儚くも優しい歌は、羽生の思い入れも強く、19年の24時間テレビでもコラボレーションが実現した。

 ◆ SEIMEI(15-16、17-18、20年、平昌五輪フリー)

 陰陽師・安倍晴明を描いた映画曲をアレンジ。狩衣をまとい、和笛や太鼓の音が印象的な自身初の和のプログラムは、平昌五輪金メダルを経て今や羽生の“代名詞”となった。

Photo_20200509182801Photo_20200509182901

メドべに続き、トルソワ移籍”に「我々は選手を育てるけど、魅力的な条件を提示することはしない」エテリ・トゥトベリゼ女史

中日スポーツ 2020年5月7日(木)19時23分配信

 ロシアのフィギュアスケートコーチのエテリ・トゥトベリゼさん(46)が6日、自身のインスタグラムを更新。指導してきた元世界ジュニア女王で昨季のグランプリ(GP)ファイナルでは銅メダルを獲得したアレクサンドラ・トルソワ(15)が自身の下を離れ、エフゲニー・プルシェンコさんに師事することについて投稿した。

 トルソワを中心にコーチ陣が笑顔で集まった写真を添付すると、「選手の出発に慣れることは不可能です。一緒に練習して、私たちは最終的に家族になり、新たな障害を克服してきました」とつづると、「良い選手は常により有利な条件を提供されます。これらの提案にどのように対応するかは、すべての本人の決定次第。われわれのチームは選手を育てるけど、魅力的な条件を提示することはありません」と悔しさをにじませた。

 トゥトベリゼさんは、ロシアを代表するコーチで、2018年平昌冬季五輪金メダルのアリーナ・ザギトワも指導。昨季のGPファイナル女子で表彰台を独占したコストルナヤ、シェルバコワ、トルソワのロシア勢3人も指導していた。ただ、平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワも教え子だったが、五輪後に羽生結弦(ANA)らを指導するブライアン・オーサーさんを師事して、カナダに拠点を移した経緯があった。

 トルソワの“移籍”は同日にタス通信が報じていた。

Photo_20200509183101Photo_20200509183201

プルシェンコへ移籍決意 トルソワの心情-スポーツ心理学者が解説

スプートニク日本版 2020年5月8日21時33分配信

スポーツ心理学者のワディム・グーシン氏は、このほどフィギュアのアレクサンドラ・トルソワ選手(15)がエテリ・トゥトベリーゼ一門から去った原因と、トルソワ選手がエフゲニー・プルシェンコ氏のアカデミーでトレーニングを開始する理由について、自らの考えを「スポーツ・デイリー」のインタビューで語った。

彼女は競争に耐えられなかった

グーシン氏の考えはこうだ。

「フィギュアのキャリアが上がらない状態では、彼女の心中は穏やかではないだろう。ある時点ではトルソワはシェルバコワやコストルナヤをリードしていた。トルソワはジュニアの世界チャンピオンで、誰よりも優れていた。(中略)その後、(同じ門下生の)ライバルが彼女を倒した。」

グーシン氏によると、トルソワはトゥトベリーゼ門下のプリマ(バレエ団の最上級の主役ダンサー)ではない。このことがトルソワを傷つけていた。

「これは心理学で言うところの『(私は)唯一の存在じゃない。(私に)しかるべき注意が注がれていない』という状態だ。メドベージェワもそうだった。」

トルソワはどこへ プリマになれるところに

グーシン氏はプルシェンコについて「コーチを務めたことはなかったし、この先もない。彼はマネージャーだ」と分析する。

「偉大なアスリートだからといって、即コーチになれるわけではない。全てのスポーツにおいて最高のコーチというのは元スター選手ではなく、中レベルの選手だった。プルシェンコはフィギュアのスーパースター。彼は決して偉大なコーチにはなれないだろう。」

グーシン氏は、トルソワのケースでプルシェンコの行動戦術を「スポーツ上のジャッカル」と評した。

「彼は、有望な選手が(トゥトベリーゼ・チームから)『今にも落ちそうになっている』のを見ている。自分(のグループ)にはそんな選手はいない。なんとか手に入れたい。」

「トルソワがいく先では『ここでは一番はおまえだよ。みんながおまえをとりまくよ』という状況が約束される。これをプルシェンコが作り出すのだ。」

トルソワの離脱はトゥトベリーゼにとって損失か

トルソワ移籍は確かにスキャンダルだった。だがグーシン氏は、これによって出来上がった状況はスポーツにとっていいことだと指摘する。

「『ジャッカル』という言葉に表されたような状況があったとはいえ、プルシェンコ一門に移籍したことで、トルソワには新しいチャンスが与えられたと思う。新たなコーチらにつくことで、ひょっとして何かを得るということがあるかもしれない。」

しかし一方で、トルソワが成功を収めるとは全く保証されていないとグーシン氏は指摘する。

「トゥトベリーゼはいみじくも語っている。『私から去った者は皆倒れた』と。これも事実だ。今のところトゥトベリーゼのグループが世界1なのだから。(中略)トゥトベリーゼ一門はトルソワの離脱で戦士を1人失ったが、軍を失ったわけではない。」

最後にグーシン氏はこう締めくくった。

「プルシェンコのグループには、トゥトベリーゼ一門のような競争がない。熾烈な競争とその不在、どちらがいいのか。これをトルソワは理解する必要がある。」

Photo_20200509183401Photo_20200509183601

プルシェンコ:ショー出演を取りやめ、トルソワを24時間サポートする

ロシアン・フィギュアスケート・フォレヴァ2 2020年5月7日(木)配信

アレクサンドラ・トルソワがエテリ・トゥトベリゼから離れプルシェンコ・アカデミーに移籍するというニュースについて、プルシェンコがSport24のインタビューに答えていましたので紹介します。

(エフゲニー(プルシェンコ)、アレクサンドラ・トルソワのあなたのチームへの移籍は誰のイニシアティブだったのでしょうか)。

イニシアティブはまったく彼女のものです!誰も追い立てたり、他のコーチやスクールから呼び寄せたりしたものではありませんでした。現在、選手の移籍について窓口は開いています。私たちはいま、ロシア・フィギュアスケート連盟、モスクワ連盟、そしてサーシャ・トルソワは所属していた、そして今日時点で所属しているサンボ-70に対する手続きのための書類を作成しています。要するに、現在は然るべく書類を正式に整えています。ただ、現在私たちは書類を作成し署名しますが、隔離状況が終わってから提出します。

また、連盟とも会って、コガン理事長、ゴルシコフ会長とも話します。今後の予定やシーズンへの準備、合宿場所について話します。すでに振付師を探し始めました。ショートもフリーも外国人になる可能性も排除しません。プログラムについてはセルゲイ・ロザノフ・コーチとも話しており、すでに曲は選びました。繰り返しますが、この選択は選手自身はしたことです。そう、彼女は15歳ですがすでに経験があります。トルソワはすでに普通の大会も大きな大会もいくつも経験しています。サーシャは大きなタイトルも獲っており、彼女がもしグループ内やコーチの下で練習するのが快適ではないのであれば、決断をする権利を持っています。トルソワは、誰の下か、どんな条件で練習をするのか、自分で選ぶ権利があります。セリョージャ・ロザノフと一つのグループで練習を進めていきます。私たちは野心的な計画を立てています。私のショーについては、競技会の活動に差し障らない、最小限のものとなります。つまり、シーズンが終われば、何らかのショーに出演します。時間があれば出演について決断もできますが、最小限となるでしょう。

(トルソワとロザノフがあなたのところに来るというのはどのくらい前から判明していたのでしょうか。)

かなり前です。このことについて公けにはしていませんでしたが、この決定は、選手としてのサーシャの、そしてコーチとしてのセリョージャの十分に考え抜かれた決断です。全員がすでに十分に成熟した大人で、サーシャも6月には16歳になります。もちろん、彼女の代わりにご両親がすべてについて署名をするでしょう。しかし、選手自身が、どこで練習する方が良いのかについて決める権利があると思っています。連盟も私たちを支援し、サーシャとセリョージャと協力する許可を与えてくれると思います。

(セルゲイ・ロザノフはあなたのアカデミーで自身のグループを持つとおっしゃられました。誰がそこに入るのかすでに明らかでしょうか。)

セリョージャ・ロザノフはこのアカデミーにおいて完全なコーチとなります。どこか陽の当たらない場所に追いやられることなく、大会にも同行し、私と一緒に自身のグループを率いることになります。一つのチーム構造となります。今日時点でアカデミーで指導をしているコーチは、自身の選手を指導することになり、セリョージャも自身のグループと選手を擁することになります。どんな選手かはあとで述べます。

(トルソワの課題はどんなものになるでしょうか。)

まず言いたいのは、私には自分のアカデミーがあり、もう1年半も完全な運営をしているということです。アカデミーには120名がおります。以前は中級選手が私のところに来ていても、私自身の指導を求めるのではなく、まさにアカデミーに来ていました。今日時点では、私のグループが創設されており、毎日指導をしています(氷上練習2回、基礎体力トレーニング、専門トレーニング)。昨年はショー出演の大部分を取り止めました。いま、私はコーチ業に幽閉されています。トルソワの指導については、私たちは若く、大胆ですので、世界選手権、欧州選手権、そしてオリンピックの金メダルを目標としています。

Photo_20200509184101Photo_20200509184201

(トルソワは、あなたのコーチとしてのキャリアの中で最大の挑戦ですか?)

もちろんです。彼女はすでに世界級です。そう、彼女はまだ世界選手権も欧州選手権も優勝していませんが、すべてはこれからです。彼女の夢を実現できるよう望んでいます。とても大きなチャレンジです。彼女を指導する件については極めて慎重な態度でした。自分のショーやツアー、エキシなどは取り止めざるを得ず、アレクサンドラの指導を、いわば24時間体制で行います。

(SNSでのトゥトベリゼとのバトルを覚えているファンもいます。あの経緯はもうご自身にとって許されたのでしょうか。)

状況全体を許しました。私は誰も先に攻撃することはなく、ただ守っているだけです。守るときは、痛みを伴うやり方でやります。アレクサンドラとご両親には、別れるときは外交的に、丁寧に、人として行う必要があるとすぐに言いました。電話したり会ったりして、ご多幸を祈り、これまでしてもらった仕事に対し感謝することです。本当に巨大な仕事がなされたのですから。移籍は起こるもので、私からも選手たちは離れていきました。そう、彼らはトップ選手ではなかったかもしれませんが、状況は似ています。このリスクには誰も保障されてはいません、それが競技というものです。選手には、何が、そして誰に合っているのか、選択する権利があります。

かつてヤグディンとクーリックは、それぞれミーシンとクドリャフツェフからタラソワの下へと移籍しましたが、このような移籍はたくさんあります。トルソワは、スケーティングやコンポーネンツについてもっと練習が必要だと理解しています。私たちもはっきりと理解しており、そうします。すべての形式と、すべての側面において、あらゆる力を誘致し活用します。様々なスペシャリストへの資金援助も自分で行うこともできます。私たちの側からは、ロシア強化選手に入っており、トップ大会すべてで上位を狙える選手の支援を義務付けられている連盟もそうであってほしいと思います。

私たちはうまくいくと思います。いまは、法律上義務付けられている書類を作成しているところです。フィギュアスケート連盟の理事長と会長にも合う必要があります。その後に、この移籍の手続きがなされます。いまのところはその過程にあります。

(あなたはトゥトベリゼの発言に傷つけられませんでしたか?近い将来、彼女との間で「レアル」と「バルセロナ」のような対立が生まれると思いませんか?)

スクールを始めるとき、一番下の、選手の最初の育成から始めました。環ツァイが何かを始めるなら、常に目標に到達する、とすぐに言いました。選手時代もそうでしたから。性格も、意志の強さも、勤勉さも残っています。ですので、すべてを最後まで仕上げます。私のスクールはトップスクールになります。

競争があるのは良いことです。普通のことです。そして、証明するのは言葉やおしゃべりではなく、自分の仕事、教え子とプログラム、そして結果です。おしゃべるをするつもりはなく、結果をだすつもりです。トゥトベリゼの言葉にはまったく関心はありません。

 

2020年5月 8日 (金)

【耳学】“コロナ感染者数グラフ”✍「日本だけ」違うは何故か

世界中で日本だけコロナ感染のグラフがおかしい」という不気味

PRESIDENT Online 2020年5月7日(木)19時16分配信/本川裕(統計分析)

新型コロナウイルスによる日本の死者数は欧米に比べて少ない。だが感染者数と死亡者数を「対数グラフ」で分析すると、日本だけが異常な推移をたどっている。

Photo_20200508085801

統計データ分析家の本川裕氏は、「他国のように収束へ向かう横ばい化への転換が認められず、増加ペースが落ちていない。そこには3つの理由が考えられる」という――。

世界中で日本だけコロナ感染のグラフがおかしい

 新型コロナウイルスは、海外でも日本でも「感染爆発」と呼ばれた一時期ほどの急拡大は見られなくなってきた。だが、それでもなお深刻な感染状況が続き、医療が対応しきれないこともあって各国で死者が増えている。

 1月に中国・武漢ではじまった新型コロナの感染拡大は、その後、韓国、イラン、イタリアなどと広がり、また、さらに欧州各国や米国などを中心に全世界に拡大してきている。この4カ月余りを過ぎた時点で、地域によって感染拡大のテンポや規模がどのように違っているかを、世界各国と日本の国内で振り返ってみたい。

 感染拡大を表すデータとしては、「累積の感染者数の推移」を折れ線グラフで表すことが多かった。その後、感染拡大のピークを過ぎたかどうかに焦点が移り、「毎日の新規感染者数の推移」の棒グラフをみる機会が増えている。

 本稿では、地域間の比較に重点をおいて、「累積の感染者数の推移」の折れ線グラフ、しかも「対数」でのグラフを使用する。対数グラフは、データの大きさが大きく異なる系列の比較に適しており、また指数関数的な拡大のテンポを傾きで表現できることから、欧米メディアでは定番になっている。

 また欧米メディアでは、グラフの時間軸の起点を「累積感染者数が100人を超えた時点」とするのが通例だ。これは、感染拡大の時期が大きくずれている中国とイタリア、英国などを比較するうえで適切だからである。

コロナ感染者数・死者数、日本だけ増加ペースが一向に落ちない

 主要感染国の感染者数推移の対数グラフをまとめたのが図表1だ。Y軸(縦軸)の目盛りが100人、1000人、10000人と10倍ずつ増えていくのが対数グラフの特徴だ。米国と日本では感染者数の規模は大きく異なっている。グラフの最終日である5月4日時点で米国が118万人に対して日本は1万5000人と100倍違う。

Photo_20200508090001

 普通のグラフでは米国の推移は追えても、日本の推移はX軸(横軸)に張り付いた横ばいの線にしか見えないだろう。対数グラフの場合、軌跡線の傾きが直線の場合は、指数関数的な増加、すなわち、ねずみ算式の倍々ゲームで増えていることを示している。

 図表中に、参照線として「黒の点線」で、累積感染者数が「1日目100人から始まって、2~3日に2倍のペースで増え、25日目からは1カ月に2倍のペースで増えるようにペースダウンした場合」の軌跡線を描いた。この参照線より傾きが急であるなら拡大テンポもより高いことを示し、より緩やかなら拡大テンポもより低いことを示す。

 こう理解した上で各国の軌跡を追うと、欧米諸国(米国、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスなど)では感染拡大と収束へ向かう右方向に折れ曲がる動きが相互に非常に似ており、参照線に近い形で推移していることが分かる。

 もちろん、米国は人口規模が3億3000万人と6000万~8000万人の欧州諸国の数倍大きいので感染者数の規模も異なっているが、拡大テンポと収束へ向かう横ばい化傾向はよく似ているのである。

世界で日本だけ横ばい化せず、右肩上がりの不気味

 さらに興味深いのはこうした欧米諸国と東アジア諸国との対照的な推移パターンである。

 感染の発生地である中国、そして次に感染が拡大した韓国は、感染100人を超えてからの経過日数別の推移でみると、当初はほぼ欧米諸国と同様の拡大テンポが続いたが、欧米諸国よりかなり早い段階で横ばいに転じている点が目立っている。中国の人口規模は特段に大きいので人口当たりの感染者数の推移で見れば、感染拡大と収束へ向かうパターンについては中国と韓国は見かけよりもっと似ているということになろう。

 一方、これらの海外諸国の推移と全く違うパターンで進んでいるのが日本である。

 日本の感染拡大のペースは、これまでのところ、他国のように当初急速に拡大(いわゆるオーバーシュート)、そして一定の日数を経て、伸びが急速に落ちるといったパターンでなく、一貫して、「9日間に2倍ぐらいのテンポ」(図表1グレーの点線)で増加している。他国のドラスチックな変化とは明確に異なっているのである。

日本の感染者数・死亡者数が横ばい化しない3つの理由

 次に、累積死亡者数の数について、同様の対数グラフにまとめたのが図表2だ。こちらでは感染拡大の起点を累積死者数が10人に達してからの経過日数にしている。

Photo_20200508090101

 グラフを見れば、感染者数の推移グラフと似たようなパターンが認められるが、各国のばらつきはより大きいことが分かる。

 例えば、ドイツは、感染者数は他の欧米諸国とほとんど同じパターンだが、死亡者数はかなり早い段階で拡大テンポが落ち、他の欧米諸国より良好なパターンを示している。理由としては、感染拡大の地域的な偏りの小ささ、ベッド数など医療体制の充実、PCR検査の充実により感染者が高齢者に偏っていない点などが指摘される(『The Ecomist』March 28th 2020)。

 韓国なども早い段階で増加ペースが落ち、ある時点から日本を下回る良好な推移を示している。

 日本は死亡者数自体の規模は大きく他国を下回っているものの、推移パターンはかなり日数が経過しているのに、他国のように収束へ向かう横ばい化への転換がなかなか認められない点が懸念される。

 感染者数の推移にせよ、死亡者数の推移にせよ、日本の感染拡大のパターンが諸外国と大きく異なっていることは、この2つのグラフから明らかだ。

 問題は、その理由である。考えられるのは、以下の要因、あるいはその組み合わせであろう。

  感染拡大抑止対策の違い

 「クラスターつぶし」など個別ケースに密着したきめ細かな感染拡大抑止策が、当初、功を奏して感染拡大を低く抑えることができたが、ある一定レベルの累積数に至ると、この対策では限界が生じ、一方で当初の成功体験から別個の対策へと大きくシフトできず、ジリジリと感染拡大を許してしまっているのかもしれない。

 もっとも対策の差が、感染拡大パターンの差につながっているのではなく、逆に、感染拡大パターンの差が対策の差につながっているという考え方もありうる。

 もともとの体質や生活習慣の差

 BCG接種を行っているかどうかが欧米と東アジアの感染率の差になっているという説があるが、それに加え、お酒に弱いといった日本人がもっている遺伝的な体質が逆に新型コロナには強いといった可能性も考えられる。

 体質的な差ではなく、日本には、ハグやキスなど個々人が身体を密着させる習慣がない、風呂によく漬かる、家の中では靴を脱ぐといった独自の生活習慣があるため、感染拡大に差が生じたという可能性もあろう。

 ウイルスの変異

 国立感染症研究所によるウイルス検体の検査・分析によると、国内で初期に発生した複数のクラスターやダイヤモンドプリンセス号の患者から検出されたウイルスは、1月初旬に中国・武漢市で検出されたウイルスと関係が深く、これは3月以降、国内で広がることはなく、終息したとみられるという。

 一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近く、3月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。

 こうしたウイルスの変異が、①と組み合わさって、なかなか感染拡大が収束へと向かわない理由になっているのかもしれない。

都道府県別の感染者数と感染率(人口10万人当たり感染者)ランキング

 次に、国際比較から国内の地域差に目を転じよう。

 まず、都道府県別の感染状況のランキングを感染者数自体と人口10万人当たりの人数とで16位まで掲げたグラフを図表3に掲げた(いずれも5月4日確定分までの累計、以下同)。

Photo_20200508090301

 感染者数そのものについては、1位の東京が4708人と2位の大阪の1674人の2倍以上となっている。東京、大阪といった大都市圏の中心地域で特別に感染率が高くなっている。

 3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西の大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中枢都市が占めており、概して都市部の感染がウエートとして大きいといえる。

 ところが、人口当たりの感染者数(感染率)の都道府県ランキングは実数規模のランキングとはかなり様相を異にしている。1位は34.3の東京であるが、2位の石川も23.5人、3位の富山も19.7人で高い値を示している。今は6位の福井は一時期1位だったこともある。

 首都圏近郊の神奈川、埼玉は、実数規模では3~4位と大きいが、感染率のランキングについてはずっと低くなる。神奈川は11位であるし、埼玉は13位である。感染率は両県の場合、全国平均と同水準である。

 そして、飲み会、ライブ、高齢者施設、医療機関などを通じた特定の感染集団によるクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった特定感染地域ともいうべき都道府県がむしろ上位を占めているのである。

 しかし、石川、福井、富山といった北陸3県が人口当たりでそろって上位なのはなぜだろうか。偶発的にしては地域的なまとまりがあるのが気になるところである。

東京は他地域と比べ、感染拡大の規模とテンポが群を抜いている

 こうした状況を踏まえ、国際比較と同様に対数グラフで主要な都道府県の感染者数の推移パターンを比較してみよう(図表4参照)。

Photo_20200508090401

 前出の各国の動きを表した対数グラフと同じように、主要都道府県別に感染拡大経過日数別の対数グラフを描いてみると感染拡大傾向の地域別の違いが明らかになる。

 東京は他地域と比べ、感染拡大の規模とテンポが群を抜いていることがわかる。

 埼玉、神奈川などの東京圏の近郊県も100人超過後15日ぐらいは、東京とほぼ同様の軌跡を描いていたが、それ以降は、やや横ばい方向に転じており、大きな都心部を抱える東京とはその点が異なっている。

 実は福岡はこうした東京近郊県と同様のパターンをたどっている。

 これら地域に対して、大阪、兵庫、京都といった大阪圏の府県は拡大のテンポが一段低くなっていることがわかる。名古屋圏の愛知、あるいは北海道は拡大ペースではさらにゆるやかである。

 ただし、北海道については、ゆるやかだったと過去形で言わなければならない。最近の北海道は再度拡大テンポが上がっており、第二波に襲われているという印象が強い。

政府は都心部特有の感染拡大要因をどう抑えたらよいかわからない

 図表4をよく見ると、東京と大阪では感染拡大のレベルでは違いがあるが、最初はやや遅くはじまり、一気に加速し、最近やや拡大テンポが落ちているという感染拡大のカーブでは、お互いに似通っている点に気づく。

 東京・大阪以外では、クラスター連鎖の勃発による急拡大と、その後、それを強力に抑えて収束へと向かう、という動きが認められるが、大きな都心部を抱える東京や大阪では、都心部特有の感染拡大要因が作用して、どう抑えたらよいかわからないような感染拡大の軌跡を描いているのではないかと思われる。

 この都心部特有の感染拡大要因については、

 接待を伴うような飲食店が多い大きな繁華街からの波及

 海外赴任や海外旅行からの帰国者が多く海外からのウイルスの持ち込みが多い

 都心に居住することが必要な職業人が抱えるその他の感染拡大要因

 といったものが可能性として考えられるが、いまだ定かではない。

繁華街&富裕層中央区、港区、世田谷区、渋谷区に感染者多いワケ

 最後に最も感染拡大が突出している東京について、都内の地区別のこれまでと同様な対数グラフを描いてみた(図表5参照)。

Photo_20200508090601

 都内でも感染拡大が大きく進んでいるのは、銀座、新宿、赤坂、六本木といったわが国の代表的な繁華街を有する「都心地区」(中央区、港区、新宿など)、および富裕層も多い住宅地域である「西部地区」(世田谷区・渋谷区など)であり、この2地区が感染者数規模においても、また感染拡大のテンポにおいても他地区を圧倒している。

 他方、感染拡大のテンポが緩やかなのは、「下町地区」と「東部地区」であり、累積感染者数100人以上の本格的感染拡大がはじまる時期も遅かったし、その後の拡大規模も比較的小さい。

 こうした「都心・山の手方面」と「下町方面」との間の地域的な傾向差からも、偶発的なクラスター感染の連鎖とは異なる上述のような都心部特有の構造的な感染拡大の要因が作用しているはずだと感じられる。

 ともあれ、都道府県別に見ても都内の地区別に見ても、エリアによって感染者数の偏りはあるものの、全体として数の「横ばい化」は認められず、日本国内において予断を許さないことは確かだ。

絶望イタリア尻目に“自国ファーストめるEU各国

GLOBE+ 2020年5月7日(木)11時29分配信

 新型コロナウイルスへの恐怖から、人の往来を遮断する動きは、中国に続いて感染の中心地となった欧州にも広がった。「国境なき欧州」という地域統合の理念をよそに、入国規制を始める国が相次ぐなか、3月中旬、外出禁止措置直前の緊迫するフランス・パリを訪れた。

 フランス・パリの象徴、エッフェル塔で聞こえてきたのは野鳥のさえずりばかり。足元を流れるセーヌ川沿いや公園まで見渡しても、人影は数えるほどだ。入場口には「新型コロナウイルスのため当面の間閉鎖します」との表示。3月16日のパリで目にしたのは、世界一の外国人観光客数を誇る観光大国の変貌ぶりだった。

 記者(太田)は別の取材でイタリアに出張する予定だったが、感染リスクの高まりで断念。フランスでの新型コロナ関連の取材に変更した。マスクや消毒綿を多めに持参してパリの街に入ったが、状況は想定外の速さで悪化していた。

 ベンチに座って力なく塔を見上げていたのはコロンビアから来たダニエル・ロハス(26)。「休暇のはずが、悪夢になった」。欧州各国を巡る旅の途中、この日、憧れのパリに到着したばかり。だが、外出禁止になりそうだと、急きょ、夜の便でオランダに飛ぶと決めた。「せめてシャンゼリゼ通りは見たい」と、スーツケースを引いて歩き去った。

 サンジェルマン・デ・プレでは、老舗カフェの「レ・ドゥ・マゴ」が閉まっていた。政府が前日の15日から生活必需品を扱わない商店や飲食店の営業を禁止していた。フランスの哲学者サルトルや米国出身の作家ヘミングウェーら世界中から集まった思想家や芸術家らがパリのカフェで語り合ってきた。通訳のセザール・カステルビが嘆いた。「カフェが閉じたパリなんて信じられない」

 そんな中、スーパーは買い物客で混雑していた。夕食を買いに行くと、最初の店は入店規制で20人ほどの列。別のスーパーでは列に並ぶと、店員が「一緒ですか?」。前の人と別会計なら1メートル以上離れてほしいという。前日には言われなかった。急速な警戒感の高まりを実感した。

 ホテルに戻ると、マクロン大統領が17日正午からの外出禁止措置を発表した。もはや取材は難しい。日本に戻れなくなる心配もあった。急いで帰国便を探し、翌朝、慌ただしくパリを飛び立った。

たまった恨み、抑えられるのか

 2度の世界大戦の舞台となった欧州。パリは、その反省から生まれたEU(欧州連合)の出発点でもある。何度も敵対したフランスとドイツが手を握り、1951年のパリ条約で欧州石炭鉄鋼共同体が発足。戦略物資の「主権」を譲る画期的なアイデアだった。それを受け継いだEUは、大半の加盟国と周辺国の一部で往来を自由化して「国境なき欧州」を実現。通貨統合も含め、かつてないレベルで民主的な地域統合を成し遂げた。パリの国際経済予測研究センターのセバスチャン・ジャンは「移動の自由はEU一体性の要。今回の危機にも協調して対応する必要がある」と話す。

 だが、ウイルスへの恐怖がEUの理念を揺さぶっている。一部の国が入国制限を始め、主要国ドイツにも広がった。ユーロ危機、難民危機に続き、EUは再び加盟国の結束を問われている。

 欧州政治に詳しい北海道大公共政策大学院長の遠藤乾は「イタリアにはルサンチマン(恨み)が蓄積している」と指摘する。

 新型コロナの被害が集中し、街に遺体があふれるような絶望的な状況になったイタリアを尻目に、EU主要国のドイツまでもがマスクの輸出制限に踏み切るなど、「自国ファースト」の姿勢を強めた。その後、ドイツによる医療支援も始まり、ユーロ圏で5400億ユーロ(約63兆円)の緊急財政支援策に合意を見たことでEUは面目を保った形だが、苦境の加盟国を支援するEUの「コロナ債」発行では、被害が大きいイタリアやスペイン、フランスと、ドイツやオランダなどが対立し、EUの南北問題が再燃している。

 EU市場や通貨統合の恩恵を受けて富を増してきたドイツなど北部の国々に対し、これまでもイタリアなど南欧の国々には、ユーロ危機や難民危機でも支援が少ないとの不満があった。19年の欧州委員会の世論調査では、EU全体で68%が加盟を「利益になる」と回答したが、イタリアでは41%と、加盟国で唯一、「利益にならない」(49%)を下回った。こうした世論を背景に、イタリアではEUに懐疑的な右派勢力も台頭している。

 遠藤は「危機の時は、例外的に国家主権が前面にせり出してくる。それを最小限に抑える枠組みとしてEUは機能してきた」と評価する。ただ、「今後、金融などで危機が深まる可能性は高い。うまく対応できなければ、EU内の分断が広がりかねない」と懸念する。

【追悼】外交評論家・岡本行夫さん(享年74歳)コロナ肺炎で死去。

AERAdot. 2020年5月8日(金)13時10分配信

 橋本政権などで首相補佐官を務めた外交評論家の岡本行夫(おかもと・ゆきお)さんが新型コロナウイルスに感染し、4月24日に死去したことがわかった。74歳だった。

 岡本さんは神奈川県出身で1968年外務省に入省し、北米1課長などを経て91年に退官。96年11月~98年3月に橋本龍太郎内閣で、2003年4月~04年3月に小泉純一郎内閣で首相補佐官を務め、米軍普天間飛行場問題、イラク復興支援に当たった。

 外交官だった岡本さんが生前、自身のキャリアを振り返りながら、司馬遼太郎作品に登場する小村寿太郎、東郷平八郎、児玉源太郎、乃木将軍らについて論評するという珍しいインタビューが週刊朝日に残されている。

 戦争については「日露戦争に奇跡的に勝ったことで、日本は勘違いして満州国をどんどん大きくしていった。ここから太平洋戦争にいたるまでの日本の悲劇が始まった」とし、東日本大震災の被災地については「戦争直後の日本の姿と重なって見える」などと語っている。2011年8月26日発行号で掲載されたインタビューを再録する。

Photo_20200508201801Photo_20200508201901

『坂の上の雲』はサンケイ新聞の連載をつまみ読みしていましたが、熟読したのは、私がアメリカ勤務のときで、1983年ごろです。日本がバブル期で、肩で風を切っていたころです。明治時代の日本人とは大違いだと思って『坂の上の雲』に熱中しました。当時のロシアは満州を狙い、韓国までも領土にしようとしていたわけですから、日本にとっては祖国防衛戦争でした。

 奇跡的な勝利でした。私も外交官でしたから7年3カ月も外務大臣をした小村寿太郎に興味があって調べたことがあります。小村はずば抜けた頭脳で分析し、ロシアとの開戦を勧め、米国を味方につけてポーツマス条約を締結させました。でも、私だったら小村と違って、日露戦争を最後まで止める立場に立ったと思います。

 東郷や児玉源太郎のおかげで、ぎりぎり勝った形になりましたが、それは運、国際的な日本への支援があったからです。それを一部の軍部と国民は「大勝」と勘違いした。司馬さんが書いた日本海海戦の部分は、何度読んでも興奮します。私は個人的には東郷平八郎と秋山真之が好きですね。

《岡本行夫さんは外務省北米一課長まで務めたエリート。退官して、首相補佐官にも2度就き、対米外交のプロといわれている。》

 私が遼東半島に行ったのは2002年です。二〇三高地とはその名前のとおりのほんとうに小さな丘でした。ロシアの要塞は残っていましたが、こんなところを奪うのに日本兵が6万人近くも死傷したと考えると歩きながら涙が出てきました。

 乃木将軍とステッセルが会見した水師営も見ましたが、乃木将軍と伊地知参謀は、死者が大量に出るとわかっていながら、どうして戦略を変えずにこだわったのか。乃木さんは漢詩など優れた作品を残している文化人でもありますが、戦略家としては失格だったという気がします。

 日露戦争に奇跡的に勝ったことで、日本は勘違いして満州国をどんどん大きくしていった。ここから太平洋戦争にいたるまでの日本の悲劇が始まった。自国ではなく他国に行って戦争をしながら領土を広げていくのは、とにかく間違っています。

《岡本さんは、東日本大震災の被災地を見て呆然とした。現地で復興の遅さを感じ、民間プロジェクトを立ち上げたという。》

 大変な震災で、津波にさらわれて何もなくなった場所に立つと、戦争直後の日本の姿と重なって見えることがあります。東北の漁港機能の早期再開を支援する「希望の烽火プロジェクト」と名付けて、宮城県の石巻や女川など10カ所近くに大型の中古冷凍コンテナや車両を供与します。

 コンテナはマイナス25度の保冷能力があり、1基あたり最大20トンの氷を貯蔵できる。海に恵まれた日本を復興させるには漁業を立て直していかないといけない。政府の行動の遅さが指摘されていますが、その間の民間支援が少しでもできればと思っています。大震災で東北沿岸の漁業の被害が大きかった。漁業は東北の柱の一つ。廃業者を出させてはいけません。

 

2020年5月 7日 (木)

【コロナショック】中国“支援”<不良品マスク>世界が激怒

中国席巻する欠陥マスク”狂騒曲、テクノロジーで粗悪品を規制も、穴すり抜け流通

ITmedia NEWS 2020年5月2日(土)7時05分配信

 日本政府が1住所当たり2枚配布している“アベノマスク”に粗悪品が混ざっていたと報じられている。そのマスクの中には、中国製のものも含まれているようだ。中国は世界最大のマスクの生産地だが、中国産マスクに不安を抱いている人も少なくないようで、Googleの検索窓に「中国産」と入力すると「中国産のマスク使って大丈夫」「中国産マスク不良品」といったキーワードが予想表示される。

 新型コロナウイルスの発生源と目されている中国だが、現地で作られるマスクはそんなにひどいのか。また、日本よりも感染者数も人口も多い中で、中国人はどうやって“使えるマスク”を入手しているのか。

新型コロナ関連の逮捕者はSARSの8倍 中には粗悪マスクの製造業者も

 中国を専門とする筆者は、もし誰かに「中国で粗悪マスクが作られているか?」と聞かれたら、「作られているし、頻繁に粗悪マスク工場の摘発ニュースが報じられている」と答える。中国最高人民検察院の4月上旬の発表によれば、2003年に感染が拡大したSARSと比較すると、新型コロナ関連での逮捕者は8倍、犯罪件数は5倍だという。その中には粗悪品のマスク製造業者(材料の布メーカーから、組み立てを担う企業までが該当する)やマスク転売業者も多く含まれる。

 粗悪マスク工場の中には、マスク特需とばかりに、本業ではない一般消費者などの手作り(以降は皮肉を込めて“家庭内手工業”と表現する)で稼働しているところもあり、近年のハイテクブームであまり報じられなくなった昔ながらの中国のダメな側面が浮き彫りになっている。

 本記事では中国のマスク事情について解説するが、正確に伝えるために、新型コロナの感染者が中国で増えていった時期と、世界各国に広がっていった時期に分けて紹介していきたい。

 中国で感染者が増えていった頃、マスクのニーズは中国に集中していた。需要はあるが供給は足りず、早速ニセモノの存在が発覚したことや、マスクを外国から調達したことが次々に報道された。さらに、トルコでマスクを調達し、中国を助けようとするのと同時に一獲千金を狙う中国商人「マスクハンター」も現れ、ドキュメンタリー動画まで作られた。

中国のマスク購入事情とは

 玉石混交のECサイトからマスクを購入するとなれば、競争も激しく、値段がつり上げられる上に、粗悪品をつかまされるリスクもある。そのため中国庶民からすれば、「何でもいいから入手したい」というわけにはいかない。とある調査によると、中国でのマスクの購入経路は、友人知人から購入(45.3%)、提携するマスク供給企業から購入(35.4%)、地方政府の販売チャンネルから購入(18.9%)の順に多かった。中国は人と人とのつながり、つまるところコネが重視されるが、マスク不足でもそれが発揮されたわけだ。

マスク自販機が登場

 コネもなく、ECサイトの争奪戦でも買えない人々は、地元の役所が準備した販売チャンネルから購入する。1つの身分証に付きマスク数枚をAlipay(支付宝)のアプリや各地の市民サービスなどで予約・購入し、指定の薬局などの場所で身分証を見せて店員からマスクを受け取るというものだ。買えるマスクの数は1回に付き数枚と限られているが、役所による地元民のための予約販売とあって比較的買いやすいし、購入時に人が殺到することはない。システムの隙を突いてくる人はいるもので、身分証がないと店で買えないマスクを、他人の身分証の写真を活用して大量購入した人が逮捕された事件もあった。

 ごく一部の場所には、実験的にICカードの身分証明書をかざすことでマスクを購入できる自動販売機が設置された。日本でも、自動販売機でタバコを購入するときは、成人識別ICカード「taspo」をかざすが、あれと同じ論理で、1枚の身分証明書に対してマスクを決められた数だけ購入できるようにするシステムだ。設置後にこのマスク自動販売機が全国に広がった話は聞かないが、設置したころにはマスク購入のハードルが下がったか、自販機を所有する企業の力不足で展開ができなかったのだろう。

TencentやAlibabaは規制を強化

 中国のIT企業Tencentは、Webサイトを通じて国民のマスク購入をサポートした。例えば、さまざまなECサイトのうち、どのサイトが何日の何時にマスクを発売するかといった情報を集約して表示した。さらに、ユーザーがスマホのGPSを活用して位置情報をTencent側に送ると、その地域の役所が限定販売するマスクの情報を提供した。

 他のECサイト事業者は、玉石混交のマスクが転売価格の高値で売られている中で、高値転売とニセモノ販売などを防ぐ指針を発表した。

 例えば中国Alibabaは、マスクを販売している店舗を独自のアルゴリズムで徹底的に洗い出した上で、在庫をちゃんと持ち、ニーズに応えてすぐ配送できるショップのみと取引する体制を整備。ショップの体制チェックも行い、マスク販売で問題が発覚したECサイトとの取引はやめ、警察に通報して法的責任を問うなど、厳しいレギュレーションも打ち出した。

 それでも、ニセマスクや使用済みマスク、粗悪マスクの販売者が出てきた場合は、業者のリストを時々公表してさらし上げている。昨今は、こうしたAlibabaの動きに他の企業も追随している。著名企業ではないが、ブロックチェーンを活用して、生産したマスクの生産時期や原材料を保証する企業も登場した。

中国政府は民間と連携、“三無マスク”の規制も積極化

 一方、中国政府は民間のサービスと連携し、マスクが本物かどうかを国民がチェックできる仕組みを構築した。具体的には、スーパーアプリとなった「WeChat」(微信)内でミニアプリ「国家政務服務平台」(国家政務サービスプラットフォーム)を起動し、マスクの生産工場をチェックしたり、マスクのパッケージに書かれたコード(登録番号など)をもとに、製品に問題がないかを確認したりできるようにした。

 このミニアプリからは消毒液や防護服の機能もチェックでき、医療現場が必要とする際は、製品情報をもとに生産企業の連絡先を調べ、業者と連絡を取ることも可能だという。

 また政府は、メーカーや販売店の取り締まりも強化し、パッケージの説明文などに、生産地・生産業者名・生産日時のいずれかが書かれていない“三無マスク”と呼ばれる商品は買ってはいけないと国民に警告。三無マスクを売っているローカルスーパーや個人商店、三無マスク生産業者へのガサ入れを頻繁に行ったという。

 いったんここまでをまとめると、中国の人々は“いいマスク”を買い求める際、主要ECサイトか、役所のサービスか、コネを使ってマスクを購入していることが分かる。ECサイトは独自のチェックを設けていて、転売目的の高すぎる価格のマスクやニセモノには厳しい対処をしている。医療用マスクのパッケージにはコードがついていて、政府謹製の新型コロナ対策ミニアプリでチェックができる。政府は三無マスクを問題視し、被害をなくそうとしている――というところだ。

有象無象の企業が輸出用マスクを生産

 さて、中国で新型コロナウイルスの恐怖と向き合っていたころから、世界が恐怖と向き合い始めたころに話は変わる。新型コロナウイルスのピンチを取りあえず脱した中国では、ここを商機とばかりに、有象無象の企業が世界に向けて輸出用マスクを生産しだしたわけだ。

 中国のメディアでは、品質お構いなしでマスクを生産し、まともなマスクと混ぜて海外に提供する悪徳業者に当局のガサ入れがあったと報じられている。家屋をマスク工場に転用した“家庭内手工業”の粗悪品マスク工場にもガサ入れがあったとの報道もある。これは「悪徳業者を取り締まっていますよ」という当局のメッセージではあるが、リスクを冒してでも、ひともうけしようとする悪徳業者が湧いて出ていることは確かだ。

 悪質なマスクを作らせず、輸出させないために中国政府も対処している。広東省市場監管局は、粗悪品を輸出させないように、広東省のマスク生産企業リストを作成。マスクに問題があった場合は生産・販売をさせないと発表した。さらに経営者に圧力を与えるべく、悪質なマスクメーカーの経営者の信用スコアを下げると発表した。企業名を変えてまで粗悪マスクを量産させるのを防ぐのが狙いだ。

 また中国政府は、3月30日と4月25日に、医療用ではないマスクと医療用品の輸出を厳格化する方針を発表した。これにより、輸出業者と輸入業者は、取り扱うマスクを双方で調べ、中国または輸出国の品質標準に合格していることを確認する必要性が出てきた。つまり中国製の劣悪なマスクが輸入業者側で発見された場合、輸出業者の申告はウソとなる。

 さらに政府は、これに合わせてマスク製造企業のホワイトリストとブラックリストも公表した。中国メディアは「これまでで最も厳格な輸出ルール」とこれを形容した。政府は会見で、「水際でニセモノも止めるし、価格を高騰させることもない」とも発表している。

日本で安全な中国製マスクを買うには?

 ただし、日本の一般消費者の多くは中国語を読めず、読める人もホワイトリストとブラックリストをサイトから見つけ出すのは難しい。筆者ですら、中国政府が指定するリストをネット上から見つける作業にはものすごく苦労した。日本の消費者が、マスクの製造元を確認し、リストと逐一突き合わせて安全性を確かめるのは現実的ではなく、自己防衛のための活用はできないだろう。

 そこで、マスクを中国から買う必要がある時に、確実に当たりのマスクを買う方法をお伝えしよう。中国向けのECサイトには、中国の基準を満たしたまともな品質の商品が流れている。Alibabaいわく、法人向けECプラットフォームの「Alibaba.com」には、国外でも粗悪品の販売を防ぐシステムが働いている。またAlipayには、在外華人(国外に移住している中国人)向けに、Alibabaの個人輸入サイト「AliExpress」の商品ページにアクセスできる機能があり、ユーザーはそこで中国産の品質保証のマスクを買うことができる。日本人はAlipayユーザーと協力すれば、届くまで時間はかかるが、確実に品質基準に達したマスクを買えるだろう。

それでも、ダメマスクは国外に出回ってしまう

 話を戻すと、中国の企業や政府は、ECサイトのフィルタリング、マスクの信用性を担保するブロックチェーン、一部経営者の横暴を防ぐための信用スコア――といった最新のテクノロジーを駆使し、中国国内での粗悪品マスクの流通阻止において一定の成功を収めた。

 しかし、企業だけでなく一般層までが“家庭内手工業”によるマスクの製造・輸出に手を出し始めた結果、こうした最新テクノロジーの網に引っ掛からず、中国国外にダメマスクが届いている現実があるのは確かだ。こういった事情は、あまりよろしくはないが興味深い。ダメマスクが日本でも出回っている背景には、国内に出回るモノは厳しくチェックする一方、国外に輸出する商品のチェックはどうしても甘くなってしまう、中国の体質があるのだろう。

欠陥マスクマスク不足中国政府

Newsweek日本版 2020年4月28日(火)18時46分配信

医療品の注文が殺到した結果、世界中で中国製の欠陥マスクが発見された。メンツを潰された中国政府はマスク工場を政府の管理下に置き、必死のQC活動に励んでいるのだが

中国政府が、医療用マスクの生産を国家の管理下に置いたと伝えられている。新型コロナウイルスの感染拡大のさなか、世界的に医療用マスクの需要が急上昇しているためだ。

新型コロナウイルスの危機が訪れる前から、中国は世界で使われる医療用マスクのおよそ半分に当たる1日あたり2000万枚を生産していた。パンデミック(世界的大流行)を受けて、中国のマスク業界はさらに急成長。現在は1日1億1600万枚以上を生産している。

世界で最も裕福な国々でさえ、第一線で働く医療従事者のために防護具(PPE)を十分に確保できずにいる。まして一般市民には手が届かない。国際社会は中国に助けを求めた。中国政府が新型コロナウイルス感染を隠ぺいしようとしたのではないかという疑念はあっても背に腹は変えられない。

中国がマスクの生産と輸出を管理している理由のひとつは、不良品だ。中国政府は、ウイルスが流行している他国の支援に乗り出しているが、ヨーロッパの一部の国から、中国から届いた医療物資が粗悪品だったという苦情が寄せられた。そこで中国政府自らが、品質管理を徹底せざるを得なくなった。

<「3Mは国有化された」>

しかし、中国共産党がマスクの生産と流通の監視を強化したことで、外国政府や企業の一部は、必要な医療物資を確保できなくなった。

トランプ大統領の通商担当補佐官ピーター・ナバロは2020年2月、フォックス・ビジネスに対し、米化学大手3M(スリーエム)の中国工場が、中国政府によって「事実上、国有化された」と述べた。

中国は当初、自国内の感染拡大を抑えるために、国内で生産されたマスクの輸出を控えるとともに、他国から膨大な数のマスクを買いつけていたようだ。しかし現在は、国内の流行がおおかた抑え込まれたこともあり、輸出規制は緩和されている模様だ。

たとえば、3Mは4月6日、中国にある自社工場で生産したマスク1億6650万枚を今後3カ月にわたって米国内の医療機関に供給することで米政府と合意した。また4月27日には、中国からのマスク150万枚がサウスカロライナ州に到着した。

しかし中国のマスクメーカーは、世界各地から寄せられた大量注文の処理に追いつけずにいる。PPEを取り扱うシカゴの企業iPromoの最高経営責任者(CEO)レオ・フリードマンによると、高機能N95マスク(米国労働安全衛生研究所規格の医療用マスク)を何百万枚も中国企業に発注していたが、キャンセルされたという。フリードマンは米フォーブスに対し、「(発注したN95マスクは)病院や州政府に納入するものだった」と語った。「入手できなくなったことを先週、病院などに伝えた」

世界中で返品騒ぎ

フロリダ州危機管理局もN95マスクを発注していたが、もう何週間も前から立ち消えになっていると明かしている。

遅れやキャンセルが生じているのは、政府管理のためだろう。イギリスやスペイン、チェコ、オランダなどの国々が、中国製の医療物資が粗悪だったとして、回収したり受け取りを拒否した屈辱を繰り返すまいとしているのだ。

米国務省は4月半ば、中国に対して、医療に不可欠な物資の輸出を妨げる要因を排除するよう求めた。「品質管理を徹底する取り組みには感謝したい」。国務省報道官はそう述べた。「しかし、そのせいで重要な医療物資が速やかに輸出されなくなる事態をわれわれは望んでいない」

そこまで努力しているにも関わらず、中国は品質問題を解消できずにいる。カナダ政府は4月24日、N95に相当する中国製マスクKN95の受け取りを拒否したと発表した。カナダ連邦が定める基準を満たしておらず、第一線でウイルスと闘う医療従事者の保護には適切でないという。

不良品は政府が押収

AFPの報道によると、中国商務省は4月25日、医療物資を対象にした新たな規則を導入。すべての輸出品は、中国規格と国際的な規格を満たしていなければならないと通告した。今後は物資を輸出する際に、輸出先の国が定める安全要件を満たしていることを示す宣誓書の提出が義務づけられるという。

中国当局はさらに、約1600万件の事業所を対象に調査を行い、8900万枚を超える不良品マスクを押収したと発表した。国家市場監督管理総局の甘霖(ガン・リン)副局長は記者に対し、マスク以外の防護用品41万8000点と、効果のない消毒用品100万ドル相当も押収したと述べている。

中国税関総署の高官、金海(ジン・ハイ)は4月、企業のなかには、基準に満たない医療物資を生産して「手っ取り早く儲けよう」としているところがあると語ったと、AFPは報じている。

インド中国製検査キット返品へ 抗体検査“精度”ばらつき

共同通信 2020年4月28日(火)0時13分配信

インド保健当局は27日、新型コロナウイルス感染後にできる抗体を調べるため中国の2社から調達した検査キットを返却する方針を明らかにした。インド医学研究評議会が「精度のばらつきが大きい」として、地方の当局に使用中止を要請した。

 地元メディアによると、インド政府は50万キット以上を調達。地方の当局が使い始めたが、検出数が少ないといった報告があり、医学研究評議会が精度を調べていた。

 抗体検査は無症状感染者も含めて感染歴を調べることになるため、地域の感染状況の把握につながり、外出自粛などの政策判断に使える可能性があるとされている。

コロナ感染歴の子供に 川崎病 症状、欧米で報告相次ぐ

朝日新聞デジタル 2020年5月6日(水)16時00分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、子どもに多い原因不明の難病「川崎病」に似た症例の報告が欧米で相次いでいる。多くが新型コロナの感染歴があり、大人でも似た症状の人がいる。新型コロナとの関連が指摘されている。

 米ニューヨーク市の保健局は4日、2~15歳の15人で「多臓器炎症型疾患」が確認されたと発表した。川崎病に似た症状で、高熱や発疹、腹痛、吐き気、下痢などがみられたという。そのうち10人が新型コロナのPCR検査や抗体検査で陽性が判明し、感染歴があることが分かった。いずれも亡くなってはいない。

 同じような症例は、英国やフランス、スペイン、イタリアなど欧州で相次いで報告されている。免疫の過剰反応で、血管に炎症が起き、血栓ができやすくなる。新型コロナに感染した大人からも見つかっている。

 世界保健機関(WHO)の感染症専門家マリア・ファンケルクホーフェ氏は、「新型コロナに感染した子どもの多くは症状が軽く、重症化する例は少ない。多臓器炎症を起こす例はとてもまれだ」と指摘。一方、ウイルスとの関連が疑われるため、現場の医師らで遠隔会議を開いて情報交換しているという。

 川崎病は1967年、旧日赤中央病院(東京都)に勤めていた小児科医の川崎富作さんが初めて報告した。全身の血管に炎症が起きる。疫学的にはアジア系、とくに日本人に多いとされている。日本での全国調査(2018年)では、患者の割合は0~4歳の人口10万人のうち360人程度で、致死率は0・03%となっている。遺伝的要因のほか、流行に地域性や季節性があるため、細菌やウイルスなどの感染が原因との説がある。

バンクシー新作、看護婦がスーパーヒーローに

ロイター 2020年5月7日(木)14時23分配信

 覆面ストリートアーティスト、バンクシーが、看護婦を題材にした新たな作品を公表した。作品にはバットマンとスパイダーマンの人形に見向きもせず、看護婦の人形を手に取り遊ぶ少年が描かれている。新型コロナウイルス危機の中、医療従事者をスーパーヒーローになぞらえ、敬意を示すメッセージが込められているようだ。

 同作品は6日、英国南部サウサンプトンの病院で公開されたほか、バンクシーのインスタグラムにも「ゲーム・チェンジャー」というキャプションとともに投稿された。ゲーム・チェンジャーには大変革をもたらす人、物事の流れを一変させる人といった意味がある。

 BBCによると、この作品はロックダウン(都市封鎖)解除後まで病院に飾られ、その後、英国民保健サービス(NHS)の支援に向けオークションにかけられる予定。

Photo_20200507175701

バンクシーの新作、イギリスの病院に 医療従事者へエール

共同通信 2020年5月7日(木)9時45分配信

 素性不明の芸術家バンクシーが6日、看護師をモチーフにした絵画の新作を公表した。BBC放送によると、作品は英南部サウサンプトンの病院に飾られた。新型コロナ感染が広がる中、医療従事者にエールを送る作品となりそうだ。

 写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿された新作には、マントをまとった看護師の人形を掲げた少年が描かれている。傍らには、バットマンとスパイダーマンの人形が置き去りにされ、少年が看護師を「新たなヒーロー」に選んだことを表現したようだ。

 バンクシーは「作品は白黒だが、この空間がぱっと明るくなることを願っています」とメッセージを寄せた。

 

2020年5月 6日 (水)

【緊急事態宣言】✍31日まで延長<大阪府>独自基準「大阪モデル」公表

吉村府知事独自基準大阪モデル」客観数値で「見える化」

産経新聞 2020年5月6日(水)0時13分配信

 大阪府は5日、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、事業者への休業要請や外出自粛要請を段階的に解除するための府独自の基準「大阪モデル」を決定した。この独自基準は、緊急事態宣言が31日まで延長される中で、日常生活を取り戻す出口戦略の根幹をなす。吉村洋文知事は、再び感染拡大の傾向が出ることも想定。PCR検査における陽性率や病床使用率など客観的な数値を指標として「見える化」し、状況に応じて府民に自粛緩和や警戒を促す考えだ。

 解除の指標のうち、感染経路不明者数と陽性率は、どれだけ市中感染が広がっているかを示す。病床使用率は重症者用のベッドを確保し、医療崩壊を起こさないために必要な数値だ。

 一日の検査件数が一定ではないため、経路不明者数と陽性率は直近1週間の平均値を毎日算出。病床使用率と合わせ、7日間連続で3つをクリアすれば段階的に自粛要請を解除する。

 一方で感染拡大の第2、第3の波に対応するため、警戒基準として別の3指標も設定した。

 経路不明者は急増の発端となった3月27日の直近1週間の平均値5・29人を基準に「5人以上」、陽性率の平均値は新規感染者が増える傾向がある「7%以上」とした。

 経路不明者の増加比率は、「1以上」を基準とする。比率上昇は前週より不明者が増え、市中感染拡大が加速する兆候といえる。比率は3月25日に1を示し、同29日に3・46まで上昇。4月17日以降は1を切った。この3つを満たした時点で府民らに自粛を求める。

 府によると、解除基準を満たす状況は今月2日から続いており、4日の経路不明者は7・29人、陽性率は4・5%、病床使用率は33%だった。

 検査件数が十分ではなく感染者数の正確な把握が困難ともいわれる中、吉村氏は記者団に「初めての取り組みでチャレンジだ。よりよい基準があれば臨機応援に修正する」と述べた。

Photo_20200506082601

 期待と不安大阪モデル 

産経新聞 2020年5月6日(水)0時01分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せず、緊急事態宣言が延長される中、大阪府が5日、外出自粛要請や休業要請を段階的に解除する独自基準「大阪モデル」を策定した。「一つのゴールが示された」。初めて示された具体的な出口戦略に府内の事業者からは前向きな声も上がった一方、医療現場からは懸念する意見も出た。

 「数字で示されたことは非常に分かりやすい」

 日本一長いといわれる大阪市北区の天神橋筋商店街で居酒屋を営む男性(48)はほっとした様子でこう話す。普段と比べるとにぎわいは少ないが、買い物客らで人通りは絶えない。それでも店内をのぞくと、閑散としている飲食店が目立っている。

 新型コロナの影響で店内の売り上げは約1割に激減。自身も感染の恐怖はぬぐえないが店員らの生活のため休業はせず、弁当の店頭販売などを続けてきた。

 それでももうけが見込める酒が売れないため、2月以降は赤字続きだ。「どこまで走っていいのか分からないマラソンをしている気分だった」

 「大阪モデル」では、感染経路不明者の数や陽性率、重症者の病床使用率という指標を設定し、1週間連続で基準を満たせば、段階的に自粛要請を解除する仕組み。解除の可否の判断は15日に行われるが、2日から4日までの3日間は基準を満たす状況が続いており、「解除は近いのでは」との期待が広がる。

 ただ、解除が決まっても自粛ムードは続くとみられ、日常が戻るかどうかはまだ見通せない。

 ミナミのたこ焼き店店長の高田隆博さん(41)は、「目の前にお客さんが戻ってくることでしか安心できない。今は台風や大雨のような災害が1、2カ月続いているような状況。いつまでもつのだろうか」とつぶやく。

 若者向けの店が集まるミナミの「アメリカ村」で、洋服店の店長を務める男性(30)は、「どうせすぐには客足は戻らないだろうし、中途半端に解除してまた感染者が増える危険性があるくらいなら、5月いっぱいはこのまま自粛を続けた方がいいのではないか」と疑問を呈した。

 一方、コロナ患者を受け入れる府内の病院に勤める男性医師は、「物資も人手も逼迫していて、決して余裕がある状況ではない。自粛を緩めて医療崩壊になったらどう責任を取るんだ」と憤った。

都知事を務めた2対照的な反応

猪瀬直樹大阪モデル」に言及「メリハリの利いた突破口に期待

東スポWeb 2020年5月5日(火)21時36分配信

 元東京都知事で作家の猪瀬直樹氏(73)が5日、自身のツイッターで、吉村洋文大阪府知事(44)のコロナ対策に期待感を示した。

 政府は前日(4日)、緊急事態宣言の延長を正式に発表したが、宣言解除の条件として数値目標を示さなかったことで各方面から批判を浴びている。吉村知事は政府のやり方にしびれを切らしたように5日、重症者向け病床の使用率など3項目を指標とした独自の自粛要請解除基準「大阪モデル」を示した。

 吉村知事によれば「報道では出口戦略ばかりですが、第二、第三の波が来ることも想定する必要があり、それに備えた、出口戦略と逆の入口戦略も策定しました。入口戦略は重症病床使用率ではなく、感染源不明の新規陽性者前週増加比率を採用してます」(本人のツイッターから)という。

 猪瀬氏は「検討するとか調整するなどは何も言ったことにならない」と政府を批判した上で「病床使用率、感染者数など数値目標による見える化を基準に出口戦略を示すこと。それが緊急事態をいつまで続けるか、国民との契約にあたる。吉村知事がつくるメリハリのきいた突破口に期待したい」とつづった。

舛添要一大阪モデル」で私見「基準作りは厚労官僚がやることだ」

スポニチアネックス 2020年5月5日(火)19時32分配信

 元厚労相で前東京都知事の舛添要一氏(71)が5日、自身のツイッターを更新。大阪府の吉村洋文知事が、緊急事態宣言における休業要請などの解除を判断する大阪独自の指標「大阪モデル」を発表したことに私見を述べた。

 舛添氏はツイッター上で「政府も専門家会議も、緊急事態解除のための基準を明示しない。大阪府知事は、独自の基準を作るという。二人大臣制の問題露呈だ」とツイート。「海軍司令官が陸軍(厚労省)に乗り込んで行ったようなもので、陸軍兵士が動くわけがない」と、そのような体制は機能しないと予想した。

 さらに舛添氏は「基準作りは厚労官僚がやるのだ。このような人事を行った安倍首相の責任は重い」と持論を展開。4日に緊急事態宣言延長を発表した際、解除の目安を示さなかった安倍首相に対し苦言を呈した。

大阪のリハビリ病院「行政支援を」院内感染で、患者滞留看護師不足

時事通信 2020年5月6日(水)7時17分配信

 大阪市生野区の「なみはやリハビリテーション病院」(120床)で、新型コロナウイルスの大規模な院内感染が発生した。

 看護師が陽性確認後に夜勤に当たっていたことも判明し、重症患者を治療する最前線の医療機関からも行政支援を求める声が上がる。

 同病院では4月14日以降、患者や職員ら約130人の感染が明らかになった。感染経路は不明で、市保健所などが調査を始めたが、陽性と判定された女性看護師2人が招集され、夜勤に従事していたことが判明。病院は市に対し「代替要員が確保できなかった」と説明し、人手不足に陥っていた可能性がある。

 看護師数は増加傾向にあるが、都市部では離職率が高い上、訪問看護や介護施設など地域でのニーズが急増している。厚生労働省は昨年、看護職員の2025年の充足率が東京都や大阪府で約7割に落ち込む可能性があるとの推計を公表した。

 病床100床当たりの国内の看護師数は、欧米の4分の1の水準にとどまる。同省の08年の報告書によると、英国の200人、医療崩壊が起きたイタリアの136人に対し、日本は38人にすぎなかった。

 重症患者の治療に当たる現場でも懸念は高まる。人工呼吸器を装着した重症者は体力が衰えており、回復後もリハビリ病院に転院する必要があるためだ。

 堺市立総合医療センターの森田正則感染症対策センター長は「リハビリ病院が院内感染を恐れて患者を受けたがらない状況も理解できる。ただ、患者が滞留すれば重症者の治療に影響する」と指摘し、治療後に陰性となった人を集中的に受け入れる病院の設置など行政の支援を求めた。

 日本救急医学会の代表理事の嶋津岳士・大阪大教授は「急性期の治療が済んだ重症者の転院先の確保は、従来の課題だ。リハビリ病院など地域への『出口』を広げないと、コロナ患者を受け入れる『入り口』が開かないことを認識すべきだ」と話した。 

救命救急医が見た コロナ最前線 「一日50~60人を診ることも」

AERAdot. 2020年5月2日(土)17時00分配信

 湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)は、「救急患者を断らない」をモットーとし、最も症状が重い患者を診る3次救急も担う。そのため、同院の救命救急センターの救急搬送件数は、全国トップクラスの年間約1万4千件だ。

 現在、新型コロナウイルス感染拡大での救急の混乱が伝えられるなか、救命救急の現場はどうなっているのか。同院で救命救急センター長を務める山上浩医師に最前線での状況を取材した。

*  *  *

4月30日現在、救急の現状はどうなっていますか。

 救急搬送の件数自体は、増えているわけではなく、むしろ少し減っています。4月の前年同月と比べると、だいたい1割減程度。約1100件が約1000件程度になっています。軽症の件数が減っている印象で、緊急事態宣言による自粛や休校による部活のケガなどは目に見えて減っています。ただ、高齢者の発熱などの数は変わっていないと感じます。

 最近よく報道などで言われている、たらい回しのような救急の受け入れ拒否は、この辺りでは少ないのではと思います。ただ、この数日は救急搬送の数は増えています。これは、大型連休に向けて医療機関の受け入れ体制が厳しくなっているからかと。

 毎年のことなのですが、大型連休に向けて入院する患者数を抑えたいという傾向はあるのです。大型連休に入ると、どうしても多くの医療機関が当直医のみの対応となり、受け入れが厳しくなりがちです。周辺の病院で人手が足りなくなって受け入れが厳しくなると、「救急患者を断らない」をモットーとするうちの病院にくるのは、例年のことです。

東京都などでは、救急車の受け入れ拒否が増えているという状況もあると聞きます。

 東京ほどではないですが、(神奈川県にある)当院でも、最近は、たしかに40分以上かけてうちに運び込まれるというケースも起きていますね。熱で呼吸が苦しいとか肺炎を想定する症状だと、遠くからでも運ばれてくる傾向にあります。

通常だと運び込まれない地域から?

 そうですね。近頃は、今までに見たことのない救急隊の名前を見ます。最近ですと、70代男性で、発熱があり、低酸素状態で気管挿管しないとまずいという患者さんが、6病院に断られてうちに運び込まれるといったような状況が起きています。ただ、東京のように50病院に断られてとか、何時間も見つからずとまでの状況は神奈川ではないかと思います。

神奈川のコロナの感染者数が東京より少ないからでしょうか。

 たしかに、神奈川の感染者数が抑えられているというのは、あると思います。加えて4月に入って「神奈川モデル」という軽症、中等症、重症と振り分けるシステムが機能しだしたという影響もあります。また、地元医師会のご協力があるのも大きいです。

医師会からのご協力とは?

 地元医師会に所属する開業医の方に、平日9~19時に、プレハブで行っている発熱外来を手伝ってもらっています。これを始めたのは3月初旬ごろです。2月に、新型コロナウイルスの感染拡大が病院にとって危機的状況になりうると感じられたころから、「当院のメンバーだけだと絶対にまわらない」と予測していました。

 一方で、地元の開業医の先生たちも「自分たちのクリニックに(コロナの感染が疑われる患者が)来られると困る」と感じていて。これは、来院される患者さんをけっして診たくないというわけではありません。ただ、「クリニックにこられても処置できないし、環境も整っていないので困る」ということです。

 だったら、ちゃんと看護師が問診して、バイタルサイン(呼吸、体温、血圧、脈拍など)を測れる環境で、急変があるような患者さんではなく、若くて歩けるような軽症の患者さんたちを開業医の先生が診られるような場所をつくろう、と。プレハブでの発熱外来に医師会の先生たちが交代で入ってくれて、診療してくれているので助かっています。当院だけでなく、地域全体でこのような体制があるから、まだ、ギリギリ持ちこたえているのかなとは思います。

では、まだまだ予断を許さない状況ではあるということでしょうか。

 そうですね。神奈川モデルが機能しているとはいえ、医療機関がいちばん苦労しているのは、「診断がつくまで」です。これが本当に大変で。コロナの感染が疑われる患者さんを、「検査して、診断がついて、この患者さんは隔離病棟に入れる」ということがスムーズにできてはいない状況です。

 とはいえ、コロナの感染が疑われる患者さんをいったんどこかには収容しないといけない。そのあたりが難しい。コロナの感染が疑われる患者さんを一般病棟に他の患者さんとともに交ぜるわけにはいかないですから。

診断がついたあとは、神奈川モデルが機能して比較的スムーズになりつつあるが、診断がつく前の状態が詰まっている感じが続いている、ということでしょうか。

 そうです。とはいえ、神奈川はまだ、逼迫するほど詰まってはいないですが、今後、そこがもっともっと詰まってしまって厳しくなってくる可能性はあります。

 東京は、神奈川よりは、さらに厳しいのかなという印象はあります。

*  *  *

現在、各地で院内感染により救急の受け入れを停止するといった事態が起きています。こういったことが起こると、周囲の病院にも影響がありますか?
 
 間違いなくありますね。

 実は、僕は、オーバーシュート(患者の爆発的急増)は、たぶん今までの傾向からして、今後、起こる可能性は高くはないだろうと思っている部分がありまして。それよりもむしろ、どちらかというと、周囲の病院で次々に院内感染が起きて、受け入れのできる病院が少なくなってきたときに、受け入れ可能な病院に、診断がまだついていない患者さんが集中してしまうのが怖いですね。

 そういう状況がなんとか起きないでほしいなと思っています。「コロナの患者数が増える」というよりは、「(院内感染の発生により)受け入れ病院の数が減る」ほうが今は怖いです。そのほうが、特に今の神奈川の患者数のレベルだとよりリアルな話だと思います。

コロナの感染を疑われる患者さんがきたら、どうされていますか?

 病院の入り口に、当院の職員を配置し、発熱やせき、のどの痛みなどの症状がないかどうか、お声がけしています。そして該当症状がある患者さんは、すべて救急に案内しています。救急の受付では、看護師が症状をきいたり問診をとったりして、トリアージします。そのトリアージ(緊急度に従って手当ての優先順をつけること)で緊急性が高い、たとえば「酸素がすぐ必要」とか「血圧が低くてこの人はすぐ処置が必要」という人は救急のベッドに入れます。

 そうではない人は、平日9~19時の間は仮設プレハブで発熱外来をやっていますので、そこに行ってもらうようになっています(それ以外の時間は、救命救急センターの隔離された外来スペースにて対応)。こういう体制で、感染を疑われる患者さんが来院した段階から、できるだけ隔離をしているという状況ですね。

コロナ感染を疑われる患者さんを、どのくらい診ていますか?

 発熱やせきなどコロナ感染の可能性を疑う患者さんを診るのは、多い日で1日に50~60人です。ただ、ここのところ、発熱、せき、呼吸困難の症状の患者さんが、救急外来の患者さんの半数くらいを占めています。これは今までにない事態です。

 インフルエンザの流行期には発熱の人が救急の半分以上ということは毎年のようにあります。ただ、そうじゃない時期に……これだけ疾患が偏るというのは珍しいかなと思います。例年なら4月はインフルエンザが収束している。この時期に、熱、せき、呼吸困難の症状が半分を占めるのは珍しいです。

 とはいえ、事故などでのケガの患者さんが明らかに減っているので、割合としてそう感じるのかも、という面もあるかと思います。

脳梗塞や心疾患で運ばれてきたときは、通常と変わらずの対応ですか?

 もちろん通常どおり受け入れて対応します。ただ現在は、例えば心筋梗塞で運ばれてきた人も「コロナに感染している」と想定して、対応しています。患者さんには必ずマスク、対応するスタッフも必ずマスクとゴーグルをつけています。そういう対応を、救急患者さん全てに対して行っています。

緊急事態宣言下とはいっても、連休で天気がいいと、湘南の海に人出が増えることも予想されます。

 できれば、人出が増えてほしくないとは思います。毎年この時期だと、海辺で遊んでケガをしたりだとか、海洋生物に刺されたりした患者さんがけっこう救急に来るのですが、今年は、まだまったく来ないですね。遊びに出ていないんだなあと感じます。

 このまま遊びに来る人が減ったままで湘南の人出が増えないとありがたいですね。

コロナ感染から生還したトムハンクスが大学の卒業式で感動スピーチ

ENCOUNT 2020年5月4日(月)19時10分配信

米メディアは「誰もが泣きたくなるスピーチ」と絶賛

 オーストラリア滞在中に新型コロナウイルス感染を告白し、話題を呼んだ米俳優のトム・ハンクス。大学の卒業式で「誰もが泣きたくなる」という感動のスピーチを披露し、米メディアで話題を呼んでいる。

「トム・ハンクスがオハイオ州の大学の選ばれし卒業生にバーチャルの卒業スピーチを行う」と特集したのは米紙「USAトゥデー」だった。

 オーストラリア滞在中に新型コロナに感染したハンクス夫妻。ハリウッドで感染公表に踏み切った最初の大物俳優は無事回復し、米国に戻ったことで話題を呼んでいた。ハンクスはオハイオ州のライト州立大学の演劇・ダンス・映画学部のバーチャル卒業式で感動のスピーチを行ったという。

「おめでとう、選ばれし人々よ(Chosen One)」

 元気そうな様子でこう語りかけたハンクス氏。

「なぜ、君たちを選ばれし者と呼んだのか。それは君たちが色々な意味で選ばれたからだ。第一に、指針としてきた気質と規律。君たちの内側の想像力の炎によるもの。そして、願望に突き動かされた推進力。教育、バックグラウンド、意識、記憶、現在進行中の謎こそが、君たち全員にとって大事なことなのですから」

 卒業生の個性を尊重するエールを送った後、自身も感染した新型コロナウイルスについても言及した。

「君たちの人生についてこう語ることになるだろう。コロナ以前はこうだった。巨大なパンデミック以前は、とね。他の世代で語られるように、君たちの人生は永遠にコロナ以前として定義されることになるだろう。戦前や、インターネット普及以前、ビヨンセ以前のように。この“以前”という言葉が、君たちに大きな影響を与えることになるだろう」

 新型コロナが人類の歴史に大きな影響を与える出来事として後世に語り継がれることになると分析したハンクスは「我々が良きアメリカ人であり続けるならば、我々はウイルスを克服した“その後”を生き続けることになる。大きな犠牲を強いられる事態を君たちは生き抜くことになる。そして、平常化を再始動させる役割を果たすために、これ以上清々しい人材は君たちをおいて、他に存在しない。選ばれし者たちよ」と力説。

 最後に「未来は常に不確かなものだ。しかし、君たちの達成を皆で祝福したい。君たちの全ての達成を。今日確かなことが1つある。君たちはこれからも我々を落胆させることはないだろうということだ」と次代を担う才能に、アカデミー賞俳優は優しく語りかけ、名スピーチを締めくくった。

 記事では「誰もが泣きたくなるバーチャル卒業式のスピーチをやってのけたのは、もちろんトム・ハンクスだ」と称賛。全世界で350万人以上の感染者と死者24万人を記録している新型コロナの病魔を乗り越えたハンクス氏の名スピーチに、感動の輪が広がっている。

関連エントリ 2020/05/05 ⇒ 【緊急事態宣言】✍31日まで延長<東京都>協力金の追加支給へ
関連エントリ 2020/03/12 ⇒ 【新型肺炎】パンデミック認定<緊急事態宣言>特措法✍衆院通過で13日成立
関連エントリ 2012/09/04 ⇒ 【グリーン・マイル】死刑囚ジョン・コフィー役の俳優が逝去

関連エントリ 2012/01/13 ⇒  反日映画「金陵十三釵」って、どうなの??

 

2020年5月 5日 (火)

【緊急事態宣言】✍31日まで延長<東京都>協力金の追加支給へ

小池都知事、休業要請に応じる事業者に協力金追加支給 最終調整

産経新聞 2020年5月5日(火)15時58分配信

 東京都が、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が延長されるのに伴い、休業要請を5月末まで延ばし、休業要請に協力する中小事業者向けの「感染拡大防止協力金」について延長期間でも同様に支給する方向で調整していることが5日、関係者への取材で分かった。小池百合子知事が同日夕、都の対応について説明する方針。

三浦瑠麗さん 自粛疲れ 報道に「マスコミの大企業正社員的感覚は補正かけたほうがいい」「快適さのためだけに国民が我儘言っているから聞いてあげよう、みたいに聞こえる」

ENCOUNT 2020年5月4日(月)17時02分配信

経済的に動かなければならない人が一定数いると指摘

 国際政治学者の三浦瑠麗氏が4日、自身のツイッターを更新。「自粛疲れ」という報道についての持論を展開した。

 三浦氏は、「『自粛疲れ』という報道にカチンとくるのは、恰(あたか)も選択肢があって快適さのためだけに国民がわがままを言っているから聞いてあげよう、みたいに聞こえるからですね」と「自粛疲れ」というワードへ苦言を呈した。

 続けて、「どれだけ雇用を守れるかと資金繰りに奔走してる経営者は自粛疲れしてるわけじゃないし、クビになった人は自粛疲れで説明できないから」と「自粛疲れ」を理由に行動しているのではなく、経済的にどうにかしなければならない人が一定数いるとした。

 さらに、「大手マスコミの大企業正社員的感覚は心して補正かけたほうがいいと思いますよ。大企業の正社員は全体のごく一部ですからね」と国民の大半は大企業に属しているものではないことを例にあげ、自粛を“したくてもできない”人がいることを指摘している。

 また、雇用不安についてのアンケート調査結果を例に出し、「約半数」が不安を抱えていることを指摘。「大手マスコミの正社員はまるで抱えていないでしょう。そこの感覚を読み間違えないことが重要です」とつづった。

 この一連の投稿には賛否両論のコメントが寄せられている。

お金回らないと死んでしまう 支援要請にわれる居酒屋 給料支払い間に合わず

毎日新聞 2020年5月5日(火)22時24分配信

 5日午後3時過ぎ、東京・日本橋の海鮮居酒屋「快海(かいかい)」の店主、石居弘司さん(48)は、誰もいない店内で一人パソコンに向かっていた。店を休んでいる連休中に、国の「雇用調整助成金」の申請書類を作ろうと店に出てきた。

 4月上旬から営業時間をランチタイムだけにして仕事が減ったため、日本橋、銀座、秋葉原の3店舗で約15人いる従業員は交代で休ませている。従業員には休業手当を払うが、雇用調整助成金はその元手となる。だが、申請書類の作成が一向に進まない。近くのハローワークで書類をもらってきたのは4月8日で、もう1カ月近くたつ。

 新型コロナウイルスに関連した休業は、特例でパートやアルバイトも助成金の対象となり、助成率も引き上げられた。申請には、助成金の金額算定の根拠となる過去の給料の支払いを証明する書類や、労働時間を記した書類が必要だ。

 だが、石居さんは給料を現金で手渡しており、支払いを証明する台帳がなかった。そのため、書類を一から作り始めた。アルバイトやパート従業員の申請書類は特例で認められたため書式が判然とせず、これも手探りだ。助成率の引き上げは4月以降、矢継ぎ早に行われたが、そのたびに記入事項の確認などが必要になっている。石居さんは「制度の拡充はありがたいが、うちみたいな小さな店は書類をそろえるだけで大変」とこぼす。

 書類で分からない点は知り合いの社会保険労務士に相談しているが、前例のない措置で社労士も分からず、その都度、労働基準監督署などに問い合わせている。社労士の話では「1日70件も電話の問い合わせを受けて仕事にならない社労士もいる」といい、社労士たちもパンク寸前という。

 緊急事態宣言は5月末まで延長され、連休明けもランチだけの営業が続く。一方、頼みの日本政策金融公庫の無担保・無利子融資は、公庫から4月30日夕方になって「印鑑証明が足りない」と連絡があり、連休明けに再提出が必要になった。

 5月10日の従業員の給料の支払いに充てようと思ったが、間に合いそうにない。「店も人間と同じで、血液であるお金が回らないと死んでしまう。もうちょっと我慢が必要というのは分かるが、頑張るための目標が欲しい」。石居さんはいつもより弱々しい調子でそうつぶやいた。

アメリカ借金3カ月で320兆 新型コロナ対策過去最大

時事通信 2020年5月5日(火)7時19分配信

 米財務省は4日、2020年4~6月期の国債発行による借入予定額が2兆9990億ドル(約320兆円)と、四半期ベースで過去最大になると発表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた総額3兆ドルに迫る大型経済対策の財政を賄うため、前例のない規模に膨らむ。

 財務省によると、これまでの最大借入額は、08年7~9月期の5270億ドル。景気対策費、個人や企業の納税申告延長による税収減を考慮し、3カ月間に必要な額は「通常の年間借入額を(大きく)上回る」(高官)見通しだ。

 7~9月期の借入額は6770億ドルと予想。このため20会計年度(19年10月~20年9月)は4兆4830億ドルと、前年度から3.5倍に急増するとみている。

駅前一等地カフェの廃業危機ったのは住民の募金

神奈川新聞 2020年5月6日(水)5時00分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大で休業が長引き、存続を諦める店が出始める中、地域住民の寄付で廃業の危機を免れた店がある。横浜市青葉区の「3丁目カフェ」だ。オーナーは地元利用者の支援に感謝する一方、苦境に立つ他店に「周りの知恵も借りて難局を乗り切ろう」とエールを送る。

 同店は地域の居場所として2014年に開業。多くのコミュニティカフェが商店街の空き店舗などを利用する中、東急田園都市線たまプラーザ駅近くの“一等地”にあるため、家賃など月々の固定費が高額なことが悩みの種だった。

 そのためオーナーの一人で元町内会長の大野承さん(73)は業態を拡大し、カフェに加えて音楽ライブや演劇、セミナーなどにもスペースを提供。昨年は約350団体の催しと約1万5千人の来場者を得て、店をようやく軌道に乗せた。

 そこに発生した今回の新型コロナ禍。催しのキャンセルが相次ぎ、4月からはカフェ部分も含めて店は完全閉鎖に。無収入となる一方で、家賃や備品のリース代などの支出はなくならず、県から休業の協力金が支給されたとしても「焼け石に水」の状態に陥った。

 そんな危機的状況で大野さんが活路を求めたのが、周囲の強い勧めで初めて試した、インターネット上で募金を呼び掛けるクラウドファンディング。飲み物提供やイベント参加権、ライブ開催権などの特典を付けて寄付を募ると、異例の速さで支援の輪が広がり、開始から3日で目標額の200万円を突破した。

 大野さんは「『3丁目カフェは地域に必要』『なくせない居場所』という励ましの言葉も添えられ、涙が出る思い」。5月末の締め切りまでに寄せられる寄付金は、家賃など固定費の支払いと、寄付者への返礼に充てるという。

 地域に支えられて危機を脱した大野さんは、苦境にあえぐ他店に「決して一人で頑張ろうとせず、周りの人の知恵も借りた方がいい」と激励する。

長引く休業 経営危機に直面 沖縄各業界「より充実した支援策」要望

沖縄タイムス 2020年5月6日(水)6時11分配信

 安倍晋三首相が4日、緊急事態宣言の延長を正式発表した。県内では首相が最初に宣言を出した約1カ月前から、多くの事業者が休業や事業縮小を余儀なくされ、経営の危機に直面している。各業界の関係者らは新型コロナウイルス感染症の早期終息を図る必要性を理解しつつも、疲弊する業界の現状を訴え、事業継続に向けたさらなる支援を求めている。

 社交・飲食業、廃業を懸念 営業再開も

 県社交飲食業生活衛生同業組合(下地秀光理事長)に加盟するスナックやバーなど約2400店舗のうちの9割超は、県が出した休業要請後の4月24日から休業している。組合の情報紙で協力を依頼し、順守を徹底させるためパトロールも実施した。

 政府の緊急事態宣言の延長で、県の休業要請も延びた場合、下地理事長は「廃業が確実に出てくる」と懸念。県には実効性を担保するため協力金20万円を50万円に引き上げる対応を求めた。また、県信用保証協会に対してスナックへの融資保証を「他の業種と同じように平等に扱ってほしい」と要望した。

 県飲食業生活衛生同業組合(鈴木洋一理事長)では加盟約千店舗の約7割を占める682店が自主休業している。県の休業要請の対象外のため鈴木理事長は「7日以降は営業再開する事業者も出るだろう」と予想。政府の専門家会議が「食事は対面ではなく横並び」などと示したことで、「ルール順守での再開が増えるのでは」と見通した。

 パチンコ、今後の県の対応注視

 県遊技業協同組合は加盟するパチンコ店の全22法人75店舗が休業しているが、うち1店舗は売り上げ減で1日に閉店した。山田聡専務理事は「経営者から異口同音に苦しいとの声が出ている」と話す。県から再度、要請があれば「真摯(しんし)に対応する」との方針を決めている。ただ、休業継続か時短営業か、内容が不明として県の対応を注視している。

 県ボウリング場協会(米須義明会長)も全8店舗が休業中。米須会長は「延長となれば従わざるを得ない」とする。ただ、売り上げ減少に見合うだけの休業補償制度の創設を国に求めた。

 小売業一般消費者へ金銭支援の拡充を

 休業する百貨店は売り上げゼロが続く。リウボウインダストリー(糸数剛一社長)は、食品売り場の「3密」対策を強化し、ネット販売にも注力する方針だ。糸数社長は「失業者が増えれば、消費も鈍る。構造的不況に陥らないために、1人10万円の給付金をさらに増額するなど、一般消費者への金銭的な支援策を拡充してほしい」と訴える。

 スーパーは県立学校の休校で、自宅で調理に手間がかからない「中食」や「内食」など食料品の販売が好調だが、外出自粛や時短営業の影響で、衣料品は伸び悩む。

 来県自粛で、観光客が大幅に減少した国際通り周辺の商店街はシャッター街と化し、緊急事態宣言の延長で再開の見通しは立たない状況だ。

 観光業、倒産の増加を懸念 先払い検討求める

 県内の多くのホテルは、5月末や6月までの休業延期を発表している。ただ、コロナの影響で全国では倒産するホテルも出てきた。県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「今後倒産するところが増えるのではないか」と懸念。「支援手続きの簡素化と、北海道などのように、市町村や県が立て替えて先払いすることを検討してほしい」と要望する。

 観光客の減少で、土産品メーカーは在庫を多く抱え、工場の稼働停止を余儀なくされている。人員整理を検討する企業も出始めており、県観光おみやげ品公正取引協議会の松本元一会長は「雇用や事業を守るために、雇用調整助成金や持続化給付金の上限を上げるなど、より充実した支援策がほしい」と訴えた。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「離島への乗り継ぎ客も含めて、空港内で国際線並みの検疫をするなど水際対策をより強化する必要があるのではないか」と提起した。

 農業、県外出荷の低迷・市場価格の低下を危ぶむ

 県内の農林水産業関係者は、緊急事態宣言の延長で旬を迎えたクロマグロや、贈答品需要があるパイン、マンゴーの県外向け出荷の影響を懸念する。畜産関係者も、外食産業の休業が長期化すると見て、和牛などの市場価格低下が進むと危惧している。

 大型連休中の生鮮品輸送は航空各社の臨時便運航で急場をしのいだが、県漁業協同組合連合会の上原亀一会長は「安定供給のためにも大型連休後も輸送体制をしっかり整えてほしい」と要望する。

 一方、子牛の競りは、4月ごろから県外の購買者が2割ほど減っており、取引価格の低下が懸念される。JAおきなわの担当者は「国や県の所得補填制度を早めに整えてほしい」と訴えた。

沖縄県、休業要請2週間延長も追加支援なし 県民活動再開へ行程表

琉球新報 2020年5月6日(水)5時04分配信

 政府が新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を31日まで延長したことを受け、玉城デニー沖縄県知事は5日夕、県庁で記者会見し、新型コロナ感染拡大防止に伴う県独自の緊急事態宣言を31日まで延長する方針を発表した。

 沖縄県の宣言に伴う事業者への休業要請は20日まで2週間延長し、感染拡大状況などを見ながら21日に解除する予定。休業延長に伴う協力金の追加支給はない。休校を続けていた県立学校は21日から再開する。始業式・入学式は22日までの間に感染拡大防止対策を講じた上で実施する。

 県内では5月に入って感染者が確認されていないが、4月29日からの大型連休期間中に県外から約8千人が来県したと試算し、潜伏期間も踏まえて追加で2週間の経過観察を続ける必要があるとして休業要請期間の延長を判断した。県内大学に対しても20日まで臨時休校を要請する。

 県外からの「移入例」をきっかけに感染者が急増したことを踏まえ、全国からの来県自粛は引き続き要請していく。加えて、特定警戒都道府県からの来県者に対しては渡航後14日間の外出自粛を求め、水際対策に取り組む。

 県の専門家会議が提案したロードマップ(行程表)を目安に、現在の「活動自粛期」から「段階的な活動再開」、「活動再開」と3段階で県民の社会経済活動を再開する道筋を示した。

 玉城知事は「県民、事業者の皆さんには、長期にわたり外出自粛や営業活動自粛をお願いしているところで大変心苦しい」としつつ、「現在の感染拡大の波は、皆さんの努力で収束に向かっている。もうひと息でこの流れを確定的にすることができる」と訴えた。

 県民に対して、人と人との接触機会を8割減らす取り組み「沖縄5分の1アクション」や、政府の専門家会議が提言した「新しい生活様式」の徹底を呼び掛けた。

飲食店店主「いことしている気持ちに…」世論と板挟み、批判恐れ

沖縄タイムス 2020年5月6日(水)5時10分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大防止で政府は4日、全都道府県を対象に今月末まで緊急事態宣言の延長を決めた。県の休業要請の対象外である県内の飲食店では、営業継続への批判的な世論から休業する店や明かりを消して営業を続ける店舗もある。店主からは過度な自粛ムードへの違和感や「居酒屋も休業要請の対象にして補償した方が店も対応しやすく、早期終息につながるのに」との不満も漏れる。

 営業継続への風当たりの強さから「近隣の飲食店で休業した店もある」と話す北谷町内の飲食店オーナー(23)。「こっちも生活がある。開けるか閉めるかは店次第。周囲が言うことではない」と、午後8時までの短縮営業を続ける。

 名護市内の居酒屋の男性店主は「休業する店も多く周りの目線も気になる」と声を潜め、常連客を相手に店頭の明かりを消して営業していると明かす。午後8時までの短縮営業にした飲食店の男性店主は、通行人に「まだここは開けているのかという目で見られているようで、悪いことをしている気持ちになる。でも家賃は払わないといけないし…」と複雑な表情を浮かべた。

 4月中旬以降、同市内で持ち帰りのみの営業をする居酒屋の女性店長(41)は、飲食店の店主が営業自粛を求める世論と自身の生活で板挟みの現状に違和感を覚える。「感染拡大が心配との声はもちろん理解できる」とした上で、休業要請の対象外の居酒屋が営業を続けることに「生活するために仕方なく店を開けているのは確か。一概に責められない」と推し量った。

 沖縄市内の居酒屋の男性店長(36)は全都道府県の緊急事態宣言延長に「新型コロナの終息には必要な措置かもしれないが、延長するなら国が補償を含め支援しないと飲食業はどこも厳しい」と訴えた。

GW那覇空港「飛行機が飛んでる以上違法じゃないだろ」

沖縄タイムス 2020年5月3日(日)14時20分配信

 大型連休(GW)後半の5連休が始まった2日、沖縄の空の玄関口、那覇空港は例年のにぎわいはなく、閑散としていた。新型コロナウイルス感染拡大防止で不要不急の外出自粛が呼び掛けられる中、沖縄発の便は多くが欠航。一方で東京や関西からの到着便にはキャリーケースを引く来県者や釣りざおを手にした行楽客の姿も見られた。

 海を見ながら

 関西から毎月沖縄を訪れるという40代女性は「飛行機内もすいていて、近所のスーパーより密じゃなかった」と語り、「飛行機が飛んでいる以上、違法じゃない。海を眺めながら温泉でゆっくりする」と笑顔を浮かべた。

 午前中に1便あった宮古、石垣の両便はそれぞれ10人ほどが搭乗した。宮古から本島のいとこに会いに来た女子高校生は「感染者は確認されていないけど、島中が自粛でやることない。しばらくは戻らない」と語った。

 申し訳ない

 3月まで沖縄市に住んでいた京都府の男性(25)は一時帰郷後、コロナの影響で戻れず、アパートの解約手続きのために家族で来県した。母親(58)は「キャンセルするか何度も悩んだがコロナの終息が見えず、家賃もかさむ。『旅行者ではありません』とステッカーを張りたいくらい申し訳ない」と頭を下げた。

 本島の娘の家で暮らす石垣出身の女性(82)は「かかりつけ医がいる八重山病院で検査がある。問題なければまた本島に戻ってきたい」と小さな声で話した。

 本島南部のタクシー運転手は「連休だけど旅行客も県民もいない」と声を落とした。通常なら1日1万3千円以上の売り上げがあるが、外出自粛が続く最近は9時間勤務で2~3千円程度。「手取りが激減する上に勤務日数も減らされる。早く元通りになってほしい」と終息を願った。

行き場失う高級食材ネット販売に活路

TBS NEWS 2020年5月5日(火)18時54分配信

 外出自粛のあおりを受け行き場を失っているのが、飲食店向けの食材です。今、それを救おうと、ネット通販に活用する動きが広がっています。

 神奈川県にある鮮魚店。店には、豊洲から仕入れた新鮮な魚が並びますが、4月に入ってある異変が・・・

 「こちらの本マグロは、普段僕らでは買えないような魚」(魚市 高橋秀夫取締役)

 普段なら店には並ばない和歌山県産の天然本マグロやオマール海老など、高級な魚介類が並んでいます。

 「飲食店の需要が少ないのか、相場的にも買う人がいないので下がっている。市場に人があまり歩いていない」(魚市 高橋秀夫取締役)

Photo_20200506074701Photo_20200506074901

 こちらの店では、通常1000円以上はする天然のマグロが、580になっています。

 「うれしいので、子どもと奥さんだけだが買いすぎた」(客)

 しかし、事態は深刻です。外出自粛の影響で外食や宴会需要が落ち込み、高級魚が行き場を失っているのです。

 影響を受けたのは魚だけではありません。

 「日本のマスクメロンの最高峰と呼ばれる高級メロンです。今、自粛の中でお見舞いにも行けず、パーティーもないので行き場がなくなっている食材」(食文化 萩原章史社長)

 運営する通販サイトでは、銀座をはじめ、飲食店に行くはずだった高級食材をお得な値段で扱いはじめ話題に。銀座のクラブやデパートで販売する1玉5000円前後のクラウンメロンが、2500円前後になっています。

 「日本橋の料亭で使われる非常に形が良い肉厚のしいたけ」(食文化 萩原章史社長)

 1箱3000円前後のしいたけは、1700円前後となっています。ほかにも、高級寿司店でも使われる立派なウニやワサビなど業務用の商品を小分けして販売し、売り上げは多い日で10倍になっているといいます。

Photo_20200506074201Photo_20200506074501

 「産地が困っている状況は長く続く、これからもずっとこの取り組みを強化したい」(食文化 萩原章史社長)

 観光需要が大きく落ち込むなか、お土産も通販に活路を見いだしています。北海道の定番土産「白い恋人」は、店に並べることができなくなった商品を4日からネットで販売。現地でしか購入出来ない仙台土産の「萩の月」や北海道の「じゃがポックル」が、 期間限定でネット通販を解禁しています。

 お得な買い物で少しでも生産者を応援できる仕組み。今後さらに広がりそうです。

 

2020年5月 4日 (月)

【緊急事態宣言】✍31日まで延長<コロナ倒産>本格化か!?

政府、緊急事態宣言 延長の方針 企業えられるか

THE PAGE 2020年5月4日(月)10時21分配信

 政府が5月6日に期限を迎える緊急事態宣言について延長する方針を固めました。日本では感染終息の見通しが立っていないため、延長はやむを得ない措置ですが、果たして企業は耐えられるのでしょうか。

 安倍首相は4月29日、コロナウイルスの感染が拡大している現状について「依然厳しい状況が続いている」と述べ、専門家の意見を聞いた上で、緊急事態宣言の期限延長について最終判断する考えを示しました。専門家会議は、期限を延長する必要があるとの認識で一致しており、政府は1カ月程度、宣言を延長する方向で調整を進めています。

 そうなると5月いっぱい、企業活動が制限されることになりますが、経済が人とモノの動きで成り立っている以上、感染拡大防止という点では相応の効果が見込めるのは間違いありません。一方で、2カ月近く、経済が停滞するということになると、体力の弱い企業の中には資金的な余裕がなくなるところも出てきます。

 10億円以上の資本金を持つ大企業の場合、240兆円もの内部留保を確保しており、流動性の高い現預金だけでも64兆円もあります。すべての大企業で売上高が2割減少しても1年以上、耐えることができます(銀行借入れの返済が均等だと仮定)。しかしながら、資本金1000万円以下の中小企業の場合、そうはいきません。

 中小企業の中でも体力のあるところは大丈夫ですが、宿泊業など資金繰りに余裕のない業界では、単純計算で2カ月強しか現金の余裕がありません。資本金1000万円から2000万円でも、宿泊業の場合、4カ月程度で現金が底を突いてしまいます。

 実際、全国で27のホテルを展開している大阪の「WBFホテル&リゾーツ」は、宿泊客のキャンセルが相次ぎ、民事再生法の適用を申請するなど、宿泊業での倒産が相次いでいます。飲食業も初期投資の負担が大きい業態なので、今後は飲食業での倒産も増えてくる可能性が高いでしょう。

 倒産が増加して仕事を失う労働者が増えてくると、失業手当の給付や生活保護の給付が増加し、最終的な政府の負担も増えることになります。休業補償などを手厚くしないと、経済的な問題が大きくなる可能性は否定できないでしょう。また営業活動の自粛が長引けば、産業界の中からは経済活動再開を求める声が大きくなることも十分に考えられます。最終的にどのような形で出口戦略を描くのか、期間の延長と同時進行で検討する必要がありそうです。

コロナ倒産 本格化まれるホテル業界

東洋経済オンライン 2020年5月4日(月)5時35分配信

 インバウンドの蒸発と外出自粛で刀折れ矢尽きた。

 ホテル運営会社のファーストキャビンおよび子会社4社は4月24日、東京地⽅裁判所に破産⼿続開始の申し⽴てを⾏った。負債は合計約37億円となる模様だ。破産に伴い、直営5施設は営業を終了する。

 同じくホテル運営会社のWBFホテル&リゾーツも27日、大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、同日に監督命令を受けた。負債総額は約160億円と、コロナ関連では最大の倒産となった。代理人を務める弁護士は、「複数の企業がスポンサーとして名乗りを上げているが、運営から撤退する施設も出て来るだろう」と話す。

もともと苦しい経営状況

 2社の倒産の直接的な原因は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うホテルの休業だ。他方で、ホテル業界の苦境は今に始まったわけではない。いずれも新型コロナが引き金を引いたというよりも、もともと苦しい経営状況に追い打ちをかけたというほうが正確だ。

 ホテルの月次データを公表している3つのREIT(上場不動産信託)のRevPER(平均客室単価に客室稼働率を掛けた経営指標)を集計したのが下図だ。新型コロナのあおりをもろに食らった今年3月の下落が突出しているものの、業績自体は昨年中頃から軟調に推移していることがわかる。

Photo_20200504112001

 昨年はホテル業界にとって悪いニュースが相次いだ。昨年7月、これまで増加の一途を辿っていた国内の延べ宿泊者数が横ばいとなり、8月には2年ぶりに前年割れへと転じた。日韓関係の悪化に伴い、韓国からの訪日客が減少したことが響いた。10月には台風19号が3連休を直撃したことも痛手となった。

 需要が冷え込んでも、インバウンド需要や東京五輪特需を当て込んだホテルの新規供給は止まらない。厚生労働省によれば、ホテルや旅館、簡易宿所といった宿泊施設数は、2013年度の7万9519から2018年度には8万5617へと増加。市場の需給バランスは著しく緩んだ。

 冷え込む需要と止まらぬ供給。「以前は各店舗の稼働率は9割超だったが、足元では8割5分」。昨年7月、記者の取材に対してファーストキャビンの幹部はこう答えていた。限られた客をホテル同士が奪い合い、稼働率を維持するために宿泊単価を削るダンピング合戦の様相を呈した(2019年11月13日配信「過剰供給のツケ、『関西ホテルバブル』に変調」)。

 大阪市内に本社を構えるWBF自身も、競争に巻き込まれたホテル会社の一つだ。市内で運営する「WBF淀屋橋南」について、WBFは「ホテル同士の競争が激しく、思ったほど収益が上がらないため撤退したい」と、ホテルを保有する投資法人みらいに対して通達。契約はまだ長期間残っていたが、違約金を払ってでも解約を進めたい意向だった。

不動産業界にも飛び火

 ホテル業界には日々、不穏なニュースが飛び込む。東京商工リサーチによれば、今年2月から4月27日までの間で、宿泊業の倒産は21件を数えた。さらに3月から4月にかけて、上場するほとんどのホテル運営会社が業績予想の下方修正を発表するなど、まさに総崩れだ。営業再開の見通しが立たないため、業績予想を「未定」とした企業も多く、日銭商売であるホテルの資金繰り不安は日増しに高まる。

Photo_20200504112201

 外出自粛が長引けば、影響はホテル業界の外へと飛び火していく。筆頭は、ホテル運営会社から賃料を得ている不動産会社だろう。WBFの倒産を受けて、同社が運営する「ホテルWBFアートステイなんば」を保有するスターアジア不動産投資法人は、「今後の方策を検討する」とリリースを発表した。中堅デベロッパーのタカラレーベンに至っては、今年2月に京都市内で「ホテルWBF五条堀川」を開業させたばかりだ。今後の運営方針について、同社はコメントを避けた。

 WBFが運営するホテルについて、東洋経済が不動産登記簿を取得したところ、複数のホテルの所有権が信託銀行に移転していた。このうち「ホテルWBF京都東寺」は、不動産ファンドのケネディクスが組成した私募ファンドに含まれている。ケネディクスは「運用方針についてはコメントできない」としているが、同ファンドには九州電力も出資しており、運営会社の倒産は投資家のリターンにも跳ね返る。

 ホテルの賃料は一般的に、売り上げに連動する変動賃料と、売り上げにかかわらず毎月一定金額を支払う固定賃料とで構成される。ホテルの売り上げ減少を受け、受け取る変動賃料を「0円」と見積もる不動産会社は多いが、収入が途絶えているホテル運営会社にとっては固定賃料の支払いさえ難しい。運営会社の倒産を防ぐためにも、不動産会社は固定部分の減額にも踏み込まざるをえないだろう。

「回転型」ビジネスの功罪

 現在進行形でホテルを保有している不動産会社だけでなく、開発したホテルを売却する不動産会社への影響も無視できない。不動産登記簿によれば、大阪市内に立つWBFが運営するホテルのうち少なくとも4棟は、関西地盤のデベロッパーである日本エスコンが開発、売却していた。

 関西国際空港のすぐ近くでは、東急リバブルが「ホテルWBFグランデ関西エアポート」を開発中だ。今年7月の竣工予定で、その後は投資家へと売却する予定だが、「現時点では開発計画に変更はない」(同社)。

 ホテル業界が沸いていたここ数年、不動産各社はこぞってホテル開発に参入した。多くは開発したホテルを系列REITや外部の投資家に売却し、回収した資金でさらに多くのホテルを開発するという「回転型」ビジネスだ。「昔は興味を示さなかったマンションデベロッパーが、宿泊単価上昇を受けてホテル開発に参入してきた」(大手デベロッパーのホテル開発担当者)。

 インバウンド需要を追い風に、オフィスや商業施設よりもホテルの収益性が勝った時代には、投資家もホテルを欲しがり、物件と資金がうまく「回転」していた。好循環が続く間は爆発的な利益をもたらす回転型ビジネスだが、ひとたび開発物件の売却が滞れば、資金繰りに窮するおそれがある。

 もともと負債総額が多く、行方が注目されていたファーストキャビンとWBF。2社の倒産劇は、これから起こる波乱の幕開けにすぎない。

岩田健太郎教授「世界中がコロナていた理由」

東洋経済オンライン 2020年5月2日(土)5時31分配信/岩田健太郎(大学教授)

 なぜ新型コロナウイルスの感染拡大防止に多くの国が遅れをとったのか?  2月に横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の内情を告発して注目を集めた、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授が「新型コロナ最大の特徴」について解説。新書『新型コロナウイルスの真実』から一部抜粋・再構成してお届けする。

 風邪の原因となる従来のコロナウイルスは4種類で、2002年にSARSが、2012年にMERSが出て、延べ6種類のコロナウイルスが人間に病気を起こすことが、これまでに分かっていたことになります。

 そして、今回世界中で流行しているのが「7番目のコロナウイルス」になります。これはおそらく2019年の暮れ……11月とか12月とか諸説ありますが、中国・湖北省の武漢で感染を始めました。

 見つかった当初は「海鮮市場で、哺乳類や爬虫類など何らかの動物から感染したんじゃないか」といわれていましたが、後から調べたところ、その前から既に感染があったことが分かっています。ですから現時点では、感染の大元がどこにあったのかは分かっていません。分かっていませんけれども、おそらくは去年の暮れあたりから武漢の中で人に感染を始めたのでしょう。

発見当初はたかをくくられていた

 感染経路について、当初は「ヒト–ヒト感染はほとんどしない」と考えられていました。動物から感染するだけで、まあ大した問題じゃないだろう、というふうに、割とたかをくくっていたんです。それが2020年になって、だんだん患者さんが増えてきて、どうもヒト–ヒト感染するようだ、ということが分かってきました。

 武漢でものすごく患者さんが増えて、そうこうするうちに春節……中国のお正月休みの時期に突入してしまいました。

 日本でもインバウンド商戦に絡めて知られるようになりましたが、春節にはたくさんの人が移動します。上海や北京など中国各地の大きな都市、それから香港、あるいは日本などの他国にもたくさんいる中国人が激しく移動し、それに乗じて武漢の外へと感染が拡がっていったわけです。

 そして現在のような世界的な大問題になり、2020年3月12日にはWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言を出しました。

 パンデミックとは「世界中で感染症が流行している状態」という意味です。2009年に、当時「新型インフルエンザ」と呼ばれたウイルスの感染がメキシコで発生して、カナダ、アメリカ合衆国、さらに全世界に移っていき、最終的にはパンデミックと呼ばれました。あれと同じことが2020年に起きているというのが現状です。

 今回のコロナウイルスを、日本ではよく「新型コロナウイルス」と呼んでますね。じつは、今回のウイルスの名称についてはいろんな議論があって、2020年3月の時点では正式なウイルスの名前は付いていません。

 ウイルス学者の間では「SARS–CoV–2」という名称が使われていますが、必ずしも全ての関係者の間でコンセンサスが得られているわけではありません。

 ぼくたち感染症の専門家も「新型コロナウイルス」と呼ぶことが多いです。「SARSのようなコロナウイルス」みたいな呼び方をしていることもあります。

 ウイルスが引き起こす病気には「COVID-19」という名前が付いているので、そちらを目にすることも多いかもしれません。COVIDとはCoronavirus disease の略で、コロナウイルス感染疾患、みたいな意味合いです。それに2019年のを付けてCOVID–19というのが病気の名前になります。

新型コロナの非常にヤバい特徴

 今回の新型コロナウイルスによる臨床症状と一般的な風邪の臨床症状を比べても、「最初の症状はほとんど変わらない」といわれています。「微妙な違いがある」という意見もあるにはありますが、症状だけで完全に区別するのは難しいです。

 多くの人は感染しても全然症状がないままに終わってしまうし、症状が出ても喉が痛いとか、咳が出るとか、微熱が出るとかの軽いもので始まって、1週間ぐらいそんな症状が続き、8割の方はそのまま治ってしまいます。

 残りの2割の方は症状が出てから1週間ぐらい経つとだんだん症状が悪くなり、息が苦しくなる気道感染の症状が出てきます。

 2002年に流行したSARSや、典型的なインフルエンザの場合は発症初期からドーンと症状が出ます。でも新型コロナウイルス感染症の発症初期の症状は、ほとんど風邪みたいなものです。

 じつは、これは非常にヤバいことなんです。

 この問題が出てきた当初に、日本へチャーター便で最初に帰ってきた人の中に、症状の出た人が3人ほどいました。彼らが入院したときにも「これは風邪みたいなものなので、みんな自然に治りますよ」との学会発表があったりと、専門家の間でも割と軽く捉えていたところがありました。

 でも、それこそが危ないところなんです。というのも、8割の人はたしかに勝手に治っちゃうんですけど、これは逆に言えば残り2割の人は勝手には治らないってことですよね。

なぜ感染拡大防止が困難だったか? 

 2割、つまり5人に1人って結構な割合です。例えば10人程度の感染であれば、社会的にはどうってことはないけれど、500~1000人規模の感染になるとかなりの問題になってくるし、武漢のように5万人もの感染者が出てくると、必然的にすごい数の方が重症化して、結果、何千人という方が亡くなってしまう。

 罹り始めは症状が軽いので、みんな自分が罹患していることに気づかない。「ちょっと調子が悪いかな」くらいだから、仕事はするし、遊びにも行くし、公共交通機関だって使ってしまいます。

 SARSやインフルエンザなら、すごくきつい症状が初めにボーンと出るので、多くの人は仕事を休むし、家で寝てるし、あるいは病院に行くわけです。少なくとも自分が病気である自覚はあるし、他人にうつすリスクがある自覚だってあるでしょう。

 だけど今回の新型コロナウイルスは時限爆弾みたいなもので、ずっと普通に過ごして多くの人にうつす機会を宿主に与えておいてから、2割の人はドンと悪くなる。だからこそ拡がりを止めるのが極めて困難な、ものすごくタチが悪いウイルスなんです。

 

2020年5月 3日 (日)

【金正恩】“影武者”✍健在アピール?「肥料工場視察」配信

金正恩最新写真」が物語る、北朝鮮の異変消えない健康不安

現代ビジネス 2020年5月3日(日)7時01分配信/牧野愛博(朝日新聞編集委員)

透けて見える北朝鮮の思惑

 北朝鮮の朝鮮中央通信は5月2日朝、金正恩朝鮮労働党委員長が、1日に行われた同国西部・平安南道(ピョンアンナムド)の順川(スンチョン)リン酸肥料工場の竣工式に出席したと報じた。

 金正恩氏が公の場に姿を現すのは、4月11日に平壌で行われた党政治局会議出席以来、20日ぶりのことだ。これで、一部に流れた金正恩氏の死亡説や重体説、植物人間説などは一掃されたことになる。

 朝鮮中央テレビも2日、竣工式の映像を伝えた。そこでは拍手し、参加者たちに手を振り、時には笑みを浮かべる金正恩氏の姿が映っていた。歩いたり、階段を上り下りしたりする動作に問題はない様子で、タバコを指先に挟みながら幹部たちに指示を飛ばす場面も映っていた。

 ただ、関係国の政府関係者や専門家らに取材してみると、事態はそう単純ではなさそうだ。

 関係者らが注目したのは、朝鮮中央通信が正恩氏の公開活動の記事に添えた21枚の写真だった。

 写真でも正恩氏の竣工式のひな壇に座った姿、テープカットする姿、幹部たちに囲まれて笑顔を見せる姿などが映っていた。共通するのは、「最高指導者の健康状態に問題はありません」と強調し、アリバイ作りをしたい北朝鮮の思惑である。

 正恩氏が座るひな壇の後方には、「順川リン酸肥料工場竣工式 2020年5月1日」という標示板が掲げられていた。通常、北朝鮮では最高指導者の機密を守るため、国営メディアは公開活動の日付を明らかにしないで伝える場合がほとんどだ。しかも、年月日について、「主体109年(2020年)」というように表示する。

 メーデーが国際行事だったということを差し引いても、写真からは、北朝鮮国内はもちろん、正恩氏の健康について疑念の目を向けてきた西側諸国に対して、金正恩氏が5月1日に確かに現地にいたことを証明したい思惑が透けて見える。

国内の動揺を抑える必要があった

 同じように、金正恩氏らがひな壇にいるとき、上方からひな壇や式典参加者らを一緒に俯瞰するような写真も掲載された。朝鮮中央テレビの映像には、工場内の建物の屋上でカメラを構える関係者の姿が映り込んでいた。北朝鮮では通常、最高指導者の保安のため、狙撃される可能性がある上方からの撮影が許可されることはめったにない。これも、前述したことと同様、「金正恩氏が5月1日に順川にいた」ということを強調したい意図がありそうだ。

 5月1日はメーデー。北朝鮮では労働者の祝日として公休日になっている。これまでもメーデーでは記念行事がしばしば行われてきたが、「1号行事」と呼ばれる最高指導者が出席する記念行事はほとんど行われてこなかった。めぼしいところでは、1960年代半ば、唯一指導体系を確立した直後に金日成(キム・イルソン)主席が出席して、平壌の金日成広場でパレードを行った程度だ。

 確かに順川リン酸肥料工場は、正恩氏が1月にも訪れた重要施設ではある。北朝鮮では「肥料1キロでコメ1キロ」という言葉があるくらい、肥料は重要な物資だ。新型コロナの感染問題によって、今年に入って北朝鮮が中国から輸入した肥料はわずか4000トン程度にとどまっているという未確認情報もある。その意味で、竣工式に正恩氏が出席しても不自然ではない。

 しかし、5月1日に竣工式に出る余裕があるのなら、金正恩氏が正統性の唯一の根拠としている「白頭山血統」を誇示するため、4月15日の金日成主席生誕記念日に金主席らの遺体が安置されている錦繡山(クムスサン)太陽宮殿を参拝することや、金主席が創設した朝鮮人民革命軍創建記念日にあたる4月25日に記念行事を行うことの方がより重要だろう。

 日米韓はこの間、金正恩氏の動静を確認する決定的な写真や証言は入手していなかった模様だ。状況証拠から推測するしかないため、限界が伴うが、やはり健康状態が回復したために、急ぎ適当な式典を選んで出席したとみる方が合理的だと思われる。北朝鮮国内でも最近、脱北者などが流していた「死亡説」「植物人間説」などが入り込み、平壌や地方都市で出回っていた。一部に広がる動揺を抑える必要に迫られていたとみるべきだろう。

顔や手首のむくみ

 米国政府はトランプ大統領やポンペオ国務長官らが、具体的な発言こそ避けていたものの、金正恩氏の健康状態に注目していた。日本政府も「正恩氏が従来、高血圧や高い血糖値という健康状態であったことを考えれば、脳や心臓に異常があった可能性は否定できない」(関係者)と分析していた。

 実際、朝鮮中央通信が2日に公開した写真や映像を見ると、4月12日に公開された写真と比べ、正恩氏の顔や手首が若干むくんで見える。韓国で長年、北朝鮮問題を担当した元高官は「これから写真の詳細な分析が行われるだろうが、心疾患が起きた可能性がある」と語る。元高官によれば、金正日(キム・ジョンイル)総書記も晩年、心疾患のため、血液が体の末端に十分行き渡らず、手や足がむくむ症状が現れていたという。

 また、日本の医療関係者は「詳細な情報がないために断言はできないが、20日間、公の場に出てこなかったことや写真の様子を見る限り、軽い心筋梗塞を患った可能性がある」と指摘した。「その場合、北朝鮮はおそらく海外から取り寄せた医薬品による投薬治療を行っただろうが、その間は面会謝絶としていただろう」とも語った。投薬治療は比較的時間がかかるうえ、心肺機能に負担をかけないよう、体を動かさないようにするほか、外部からの刺激をできる限り避ける必要があるという。

 実際、平壌と情報をやり取りする高位脱北者によれば、北朝鮮では4月半ばから一時期、最高指導者の決裁書である「1号提議書」に正恩氏の親筆が見られなくなるという現象が起きていた。

 4月22日には日本周辺で米軍の戦略爆撃機B1Bと航空自衛隊による合同訓練も行われたが、北朝鮮は全く反応しなかった。韓国の安保専門家は2日、「少なくとも、正恩氏は4月11日の会議に出席した後、日米合同訓練の頃までは、通常の業務をこなせない状況に陥っていたと疑わざるを得ない」と語った。

「出たくても出られなかった」

 金正恩氏は2014年9月から10月にかけて約40日間、公開の活動をしなかったことがある。当時は足首にできた腫瘍を取り除く手術を受けたとされる。今回、公開活動がなかった期間は半分の20日だったが、前述の元韓国政府高官は「健康問題に限れば、今回の方が深刻だ」と語る。

 当時は張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が2013年12月に処刑されてから1年も経たない時期にあたり、北朝鮮の権力層に動揺がみられたという。2015年4月末には玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相が処刑されたといわれる。

 元高官によれば、当時の韓国政府は「足首の手術というよりも、権力が不安定だったため、正恩氏は平壌から離れられず、現地指導もできない状況だった」と分析したという。

 この元高官は「正恩氏は愛民政治を掲げており、自分を犠牲にしても人民のために尽くす政治スタイルを取っている。実際、正恩氏が足を引きずる映像も公開されている。2014年当時に公開の席にしばらく出てこなかったのは、健康の障害というよりも、非公開で党内協議などを重ねる必要性に迫られていたからだと思う」と分析する。そのうえで、「今回は平壌ではなく、江原道(カンウォンド)元山(ウォンサン)にいたわけだから、権力に不安があったわけではない。公開の場に出たくても出られない状態だった、とみるべきだ」とも語った。

 一部には、新型コロナウイルスの感染を恐れて元山に滞在しているという指摘も出ていた。正恩氏が本当に心疾患を抱えていれば、新型コロナに感染した場合に重篤化する恐れが強く、警戒していたことは間違いないとみられる。ただ、正恩氏が1日、北朝鮮西部の平安南道順川を訪れたことで、感染問題が元山滞在の唯一の理由だったとは説明しにくい状況になっている。

 正恩氏はまだ30代半ばだが、持病が悪化し、常に健康問題の不安を抱えることになった可能性がある。

隣に座る金与正氏の役割

 それは、朝鮮中央通信が2日に公開した写真からも見て取れる。ひな壇で、金正恩氏の横には実妹の金与正(キム・ヨジョン)党副委員長が座っていた。北朝鮮関係筋は「今回であれば、通常考えられる出席者は、首相や党軽工業部長、党平安南道委員長らだろう。党の組織指導部あるいは宣伝扇動部を統括しているとみられる金与正氏が出席する必要はない」と語る。

 実は金正日総書記が2008年8月に脳卒中で倒れた後にも、今回と同じような現象が見られた。金総書記が健康を回復した後に行った現地指導の映像に、1人の女性が映り込むようになったのだ。金総書記の実妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏だった。

 敬姫氏は現地指導の隊列に加わらず、後方で1人、所在なげにたたずんだり、周囲を歩き回ったりしていた。当時の米韓両政府は「金正日総書記が再び倒れた場合の緊急対応ができるよう、金敬姫氏がそばについている」と分析していた。

 金正恩氏も以前から健康に不安を抱え、2月にはドイツから医師団が派遣されて治療にあたったとされる。4月の朝鮮労働党政治局会議で、金与正氏が党政治局員候補に選ばれたのも、正恩氏の業務量を減らし、与正氏に分担させる狙いがあるとみられる。

 金正恩氏の健康不安が現実のものであれば、今後、与正氏を政治局員に昇進させ、正恩氏の補佐ないし緊急事態での対応を図る体制をより整備していくことになるだろう。金正恩氏の公開活動が減っていけば、再び健康不安説が頭をもたげることにもなる。関係国は2日に公開された写真や映像の詳細な分析を急ぐとともに、正恩氏の今後の公開活動や与正氏の役割の変化などに注目している。

否定も肯定もできないが…

 一方、金正恩氏の登場を受け、韓国統一省は2日、死亡説などを唱えた脱北者の発言や報道などを念頭に、「今回、北韓と関係して、根拠のない内容で我々の社会に経済、安保、社会など、様々な分野で不必要な混乱を惹起させた」などとする論評を発表した。また韓国メディアによれば、大統領府は2日、「金正恩氏の健康に異常はない」とし、死亡説を唱えた一部脱北者らを「無責任だ」と批判した。 ただ、韓国政府が「金正恩氏の健康に異常はない」と断言できる確実な情報もまた存在しない。

 日米関係筋の1人は「状況証拠しか得られていない状況のなか、どの国もNCND(Neither Confirm Nor Deny=否定も肯定もしない)を貫くべきだ。韓国の姿勢は、政治的に過度に楽観的な分析を行っていると疑われてしまう」と語る。韓国の安保専門家の1人は「韓国も北朝鮮情報のほとんどを米国に頼っている。あまり政治的な発言が続くと、今後、米国からの情報提供が難しくなるかもしれない」と語った。

Photo_20200503094101

トランプ氏「適切な時期に話す金正恩健在報道、慎重に見極め

毎日新聞 2020年5月2日(土)19時09分配信

 重篤説が浮上していた北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の「健在」が北朝鮮国営メディアで報じられたのを受け、米政府は状況を慎重に見極める構えだ。トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで記者団に「まだコメントは控える。適切な時期に話す」と述べるにとどめた。金委員長が生きているか否かについては「彼については話したくない」と答えた。

 米CNNテレビは4月20日、米政府関係者の話に基づき、金委員長が最近受けた手術の後に合併症を発症、重篤な状態に陥ったとの情報があると報道。その後、金委員長の動静が確認されない中、トランプ氏は「報道は不正確だと思う。古い情報を基にしたものだとの報告を受けている」などと指摘していた。金委員長の健康状態についても「大体分かっている。近いうちにあなたたちも知ることになるだろう」などと述べていた。

金正恩健在報道、脱北者の韓国国会議員「金正恩の背後“車両”が気になる」…父・金正日が脳卒中で倒れた際に使用した“車両”と同じ

WoW!Korea 2020年5月2日(土)16時15分配信

 北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)国務委員長が“身辺異常説”の後、マスコミに登場した中、北朝鮮から亡命した韓国のテ・ヨンホ(太永浩)国会議員当選者は今日(2日)「北朝鮮の最高指導者の身辺に関する情報は“最高機密事項”だということが今回改めてわかった」と語った。そして自身が主張していた身辺異常説が間違いだったという事実を認めた。

 テ当選者はこの日、自身のフェイスブックに“金正恩の突然の登場に関する声明文”をあげ「今日、金正恩が北朝鮮メディアに突然登場し、この間広まっていた健康異常説は一旦払拭されたものとみている」と伝えた。

 また「キム・イルソン(金日成)、キム・ジョンイル(金正日)の死亡当時に私が経験した事例を根拠として今回の状況を分析した」とし「また北朝鮮の最高指導者の身辺は北朝鮮の最高幹部たちも正確に知ることができない“最高機密事項”のため、一部で正確な状況を診断するのには限界があるという点を一貫して強調していた」とも伝えた。

 つづけて「しかし、国際社会でこれだけ“健康異常説”が話題となる中、北朝鮮当局が長期間沈黙していたこと自体が“異例”だという事実、またこのような記事が世界各国に出されることに備えて北朝鮮の海外公館にある対応マニュアルなどを照らし合わせてみても、今回の北朝鮮の反応は特異なものである」と指摘した。

 そして「この20日間キム委員長の健康には異常がなかったのだろうか」と疑心を表し「私の気になる点は、今日北朝鮮によって公開された写真の中でキム委員長の後ろにあった“車両”である」と指摘した。

 テ当選者は「すなわち彼の父、故キム・ジョンイル(金正日)総書記が2008年に脳卒中で倒れた際、短い距離も歩けない中、現地指導の時ごとに使用していた車両が再び登場したことで、私の疑心はなくならない」と伝えた。

 一方、テ・ヨンホ(太永浩)氏は、北朝鮮の元外交官。2016年7月、英国ロンドンで北朝鮮の公使として在任中、韓国に亡命した人物だ。先月の韓国総選挙で野党の未来統合党から立候補し、韓国の国会議員に当選した。

Photo_20200503094301Photo_20200503094501

金正恩”20日ぶりに活動公開、肥料工場完工式で健在誇示

産経新聞 2020年5月2日(土)7時18分配信

 北朝鮮国営メディアは2日、金正恩朝鮮労働党委員長がメーデーの1日に中部、順川(スンチョン)のリン酸肥料工場の完工式に出席したと伝えた。米メディアの報道で重体説が持ち上がっていた正恩氏の公開活動が伝えられるのは20日ぶり。北朝鮮メディアは、正恩氏が幹部と談笑するなどの写真や映像を大きく報じ、健在を誇示した。

 正恩氏は4月11日の党政治局会議への出席を最後に公の場に姿を見せず、金日成主席の生誕記念日の15日にも毎年行ってきた金主席らの遺体を安置した宮殿への参拝を見送ったことから健康不安説が浮上。米CNNテレビは20日に正恩氏が手術後に重体に陥ったとの情報を報じ、脳死や死亡説まで取り沙汰された。

 今回の現地視察報道は、内外の健康不安説を払拭する狙いもありそうだ。

 正恩氏は完工式でテープカットを行い、歓声を上げる労働者らに手を振って応えた。工場内も見て回り、工場の完工について「(昨年末の)党中央委員会総会以降、最初の成果で、わが国の化学工業を跳躍させる重要な契機となる」と強調した。妹の金与正党第1副部長や朴奉珠党副委員長、金才竜首相らが同行した。1月7日にも、今年最初の現地指導先としてこの工場の建設現場を訪れたことが報じられていた。

 正恩氏の健康不安説が拡散する中、韓国当局は、正恩氏が東部、元山(ウォンサン)の別荘に滞在しながら正常に政務をこなしているとの見方を示してきた。

Photo_20200503100201

関連エントリ 2020/04/26 ⇒ 【金正恩】死去(享年36歳)✍4月15日「脳死」確認。

 

2020年5月 2日 (土)

【第45代大統領】✍コロナ禍の世界拡散「中国への報復示唆」

NYダウ622ドル、トランプ大統領の対中関税発言を嫌気

ロイター 2020年5月2日(土)6時17分配信

 米国株式市場は続落。ダウ平均株価<.DJI>が622ドル安で取引を終えた。トランプ大統領が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の原因は中国にあるとして、新たな対中関税の発動も辞さない構えを示したことが嫌気された。

 主要株価指数は軒並み2%を超える下げとなり、週間でもマイナスに沈んだ。

 トランプ氏は「われわれが署名した通商合意は中国が(米国産品の)購入を増やすというもので、実際に多くを購入している。しかし、新型コロナで起きたことを優先すべきで、通商合意は二の次になった」とし「コロナを巡る状況は全く受け入れられない」と発言した。

 レノックス・ウエルス・アドバイザーズ(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、デービッド・カーター氏は「4月は景気の落ち込みを見越した動きで非常に底堅い相場展開となったが、実際には景気の落ち込みは予想よりも長期化かつ深刻化する恐れがある」と指摘。さらに「トランプ氏の中国いじりは、ただでさえ経済や金融の不確実性が根強い中で、最も好ましくない」と述べた。

 経済指標では、米供給管理協会(ISM)が公表した4月の製造業景気指数は41.5と、前月の49.1から低下し、2009年4月以来の低水準を付けた。1カ月としての低下幅は08年10月以降で最大となった。

 個別銘柄では、電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA.O>が10.3%安。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のツイッターアカウントに「テスラの株価は高すぎる」と投稿されたことを受けた。このようなツイートは珍しく、マスク氏のアカウントが不正アクセスされた可能性がある。

 アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>は7.6%安。第1・四半期(3月31日まで)決算は、新型コロナ感染拡大を受け生活必需品の注文が増加したことで増収となった。ただ第2・四半期については、新型ウイルス感染拡大への対応費として約40億ドルを振り向けるとし、5年ぶりの営業赤字に転落する可能性があると警告した。

 アップル<AAPL.O>は1.6%安。第2・四半期(1─3月)決算は売上高と利益が市場予想を上回った。新型コロナの感染拡大を受けて停止していた中国の経済活動が再開される中、クックCEOは中国での販売について「正しい方向に向かっている」と表明。ただ今四半期の業績全般については、新型コロナがもたらす不透明な状況により見通しを示すことは不可能だとした。

 ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を5.23対1の比率で上回った。ナスダックでも4.40対1で値下がり銘柄数が多かった。

 米取引所の合算出来高は約102億株。直近20営業日の平均は約122億株。

米国、中国報復検討 新型コロナ蔓延で

時事通信 2020年5月1日(金)20時35分配信

 トランプ米大統領は、新型コロナウイルス感染拡大に関し、中国が初動対応を怠り、各国に広まったと批判を強めている。

 米メディアは4月30日、政権が中国に対して「報復措置」を検討していると報道。11月の大統領選で再選を目指すトランプ氏は、新型ウイルスをめぐる自身の対応の遅れへの批判を懸念しており、中国に責任転嫁する狙いもある。実際に報復に踏み切れば米中対立が激化するのは必至だ。

 ワシントン・ポスト紙(電子版)などによると、制裁や関税のほか、中国政府を訴訟対象にした賠償請求などが選択肢に上がっているという。トランプ氏は30日、ホワイトハウスで記者団に中国への報復関税に言及した。

 背景には、トランプ氏が新型ウイルスの脅威を軽視し、米国内での感染者増を防げなかったとの批判が高まり、支持率も低迷していることへの危機感がある。ポスト紙によれば、大統領選を控えるトランプ氏に側近は、中国に強硬的な姿勢を取ることは政治的に利すると進言しているという。

 中国湖北省武漢市のウイルス研究所がウイルスの起源とする説について、米情報機関が「新たな情報を引き続き精査する」と慎重な見方を示す中、トランプ氏は30日、証拠を「見た」と主張。中国の責任追及を強める姿勢に拍車が掛かっている。

 これまでトランプ氏の経済アドバイザーらは、米中貿易合意への影響などを考慮し、新型ウイルス問題で対中強硬策に反対してきた。だがトランプ氏は30日、「新型ウイルスに対して(貿易合意は)二の次になった」と明言。ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)らが主導する政権内の強硬論が優勢になる可能性もある。 

密接な協力関係だったのに…米中ウイルス研究の分断

SankeiBiz 2020年5月2日(土)7時16分配信/藤村幸義 拓殖大学名誉教授

 新型コロナウイルスは、一体どこから発生したのか。感染者が最初に出た武漢の海鮮市場からは、決定的な証拠が見つかっておらず、さまざまな憶測を呼んでいる。米国からは、武漢にあるウイルス研究所から流出したのではないかとの疑いが掛けられているが、中国側は逆に米国が中国に持ち込んだのではないかと反撃するありさまだ。米中の対立は激化する一方だが、少し前まではウイルス研究の分野で両国が密接な協力関係にあったことを忘れてはならない。

 武漢にあるウイルス研究所の正式名称は、中国科学院武漢ウイルス研究所。1956年に設立され、現在では200人を超える多くのスタッフが研究を行っている。中でも動物由来感染の分野では、「新発伝染病研究センター主任」を務める石正麗女史の名が国際的にもよく知られている。

 一方の米国も早くからウイルス研究に着手し、中でも重視されたのは2009年から始まった「PREDICT(予測)プロジェクト」だった。このプロジェクトは、野生動物(特にコウモリ)からヒトに感染する動物由来感染症を早期に検出・発見することを目的としており、研究を進めるには中国側の協力が欠かせなかった。

 こうして米中のウイルス研究者による共同研究が始まる。石女史らは中国各地の山間部に入り込んで、コウモリのウイルス取得に奔走した。そして重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスとコウモリウイルスの掛け合わせに成功したと伝えられている。

 ところがトランプ政権になってから徐々に協力関係が崩れ始める。昨年半ばには中国の感染関連部門に常駐していた感染症専門家の派遣費用が打ち切られ、交流のパイプが断ち切られてしまった。

 専門家の間には、新型コロナの遺伝子配列を分析した結果、ウイルスが人工的に製造された可能性は少ないとの見方がある。だが管理に問題があれば、武漢ウイルス研究所から流出した可能性はあり得るし、同じ研究を進めてきた米国の研究所から流出した可能性もゼロではなかろう。

 真相はなお不明だが、少なくとも米中の協力関係が維持されていたら、よりしっかりとした管理が行われ、疑いを掛けられることはなかったかもしれない。新型コロナが発生しても、中国に常駐していた米国の専門家が帰国していなければ、発生の情報をいち早く入手し、世界に警鐘を鳴らすことができたかもしれない。

コロナ後は「中国独り勝ち?武漢から190万人移動に第2波の懸念

デイリー新潮 2020年4月29日(水)8時00分配信

「武漢から190万人移動」 緩み切った中国を第2波が襲う!  こんな時にも中国は「尖閣」侵入 「コロナ後」は中国独り勝ち!! 

 世界中の感染者は300万人を、死者は20万人を超えた。この有史以来稀に見る疫禍について、アメリカは、武漢のウイルス研究所に起因する“バイオハザード”との見方を強めている。他方、元凶である中国は虎視眈々と世界覇権の奪取を目論んでいた。

 ***
 家醜不可外揚――。

 中国に伝わる諺の意味するところは、〈身内の恥を外に晒すな〉である。

 都合の悪い事実は闇に葬るという彼の国の姿勢は、今回のコロナ禍においても一貫している。

 評論家の石平氏が言う。

「武漢では昨年12月から新型コロナウイルスの感染が広がっていました。後に新型肺炎で命を落とす李文亮医師らが、SNSを通じて“原因不明の肺炎”の脅威を告発したものの、中国当局は“デマを流布した”として彼らを訓戒処分。国民に対しても情報を隠蔽し、感染の実態を公表しませんでした。とりわけ中国が罪深いのは、1月20日まで“ヒトからヒトへの感染”を認めなかったことです」

 結果、武漢がロックダウンされる1月23日までに500万人もの市民が武漢から逃げ出している。

「こうした人の流れが感染を拡大させたことは間違いありません。昨年末の時点で中国が感染の実態を公表していれば、世界各国で対策が講じられたはず。人為的な隠蔽工作で多くの人々の命を奪った責任は重大で、世紀の犯罪と呼んでも過言ではありません」(同)

 そんな中国に対し、ここに来て、改めて厳しい視線が注がれつつある。それは、コロナの発生源が当初言われた海鮮市場ではなく「武漢ウイルス研究所」だったのではないか、という疑惑が浮上しているからだ。

 外信部記者によると、

「3月に中国外務省の趙立堅・副報道局長が“米軍が疫病を武漢に持ち込んだ”とツイッターに投稿し、アメリカに責任を転嫁しようとした。以降、発生源を巡って米中の激しい応酬が続いてきました。そうしたなか、アメリカはコロナの発生源として“武漢ウイルス研究所”を名指しするようになったのです」

 トランプ大統領の最側近であるポンペオ国務長官も、〈中国政府も当初、この研究所を疑っていた。中国政府はいまだにこの研究所に対する外国の科学調査を拒んでいる〉と非難。アメリカ政府として現地調査を要求しているのだ。

 この件が取り沙汰されるようになった背景には、4月14日付の「ワシントン・ポスト」が報じた“外交電報”の存在がある。

 同紙は、2018年に在北京の米国大使館が、本国に向け2度に亘って“警告”を発信していたことをスッパ抜いたのだ。

 その内容を概説すると、まず同年1月、米国大使館が科学担当の外交官を武漢ウイルス研究所に派遣。この研究所は、病原体レベル4(P4)を扱える世界最高水準の安全性を誇る実験室を備えている。

 同紙が入手した外交電報には、〈汚染レベルが極めて高い研究施設を安全に運営するために必要な、適切な訓練を受けた技師と調査官の不足が深刻である〉と、防疫態勢を危惧する内容が記されていた。問題は、この研究所の石正麗という女性研究員が、コウモリのコロナウイルスに関する研究に携わっていたことだ。

「中国のネット上では1月頃から“石氏の研究チームがコロナウイルスを生成して、流出させた”という噂が飛び交っていた。彼女は否定していますが、疑惑を払拭できていません」(同)

無症状感染者のリスク

 先の外交電報でも、石氏が研究していたコウモリ由来のコロナウイルスが、〈人間に感染して、SARSに類似した疾病を引き起こす可能性がある〉と指摘されているのだ。

「彼女のチームの研究はあくまでもSARSに類似したパンデミックのメカニズムを解き明かして、それを防ぐことが目的です。ホワイトハウスも彼らが生物兵器を開発していたとまでは考えていない。ただ、アメリカがこの研究所をコロナの発生源として疑うのは理解できます」(同)

 実は、武漢の国際空港では昨年9月に突然、大規模な防災訓練が行われ、しかも、“飛行機の乗客に新型コロナウイルスの感染が確認された”設定だったという。中国は何かを察知し、数カ月後に発生する事態を予見していたのだろうか。また、武漢にはこの研究所以外にも、ウイルス研究に携わる“疾病管理予防センター”が存在する。

「中国側がこうした施設とコロナとの関係を否定するなら、海外からの検証チームを招き入れて、徹底的に調査させるべきです」(同)

 しかし、武漢は中国支配の及ぶWHOによる、通り一遍の調査を受けたのみ。WHOが“問題ナシ”としたと、中国は他国の検証チームの受け入れを頑なに拒絶している。

 いまだ疑惑の“渦中”にある武漢は、しかし、今月8日に2カ月半に及ぶロックダウンが解除されると、息を吹き返したかのような盛況ぶりを見せている。

 同市の胡亜波副市長は、中国中央テレビのインタビューでこう豪語する。

〈ゴールデンウィークに武漢へ遊びに来ることに問題はないはずだ。皆さんが武漢へ来ることを歓迎する〉

 同時に、封鎖が解除されてからというもの、空路や鉄道、自動車などで武漢を離れた人々は約190万人にのぼるという。前出の石平氏が危惧するには、

「事実上の終息宣言を出したものの、中国はウイルスに完勝したとは言い難い状況です。何より、無症状感染者が多く存在しているはずで、武漢からこれほどの人数が移動すれば第2波は避けられないと思います」

 李克強首相が主宰するコロナ対策会議も〈ゼロを追求するために隠蔽や漏れがあってはならない〉と、無症状感染者の管理徹底を各地方政府に厳命した。

 明らかに“第2波”を警戒してのことだろう。

 産経新聞台北支局長の矢板明夫氏によると、

「当の中国人も感染の封じ込めに成功したという政府発表を鵜呑みにしているわけではありません。確かに工場や飲食店は再開されましたが、共産党幹部が一堂に会する全人代はいまだに開かれない。さらに、北朝鮮やロシア、台湾という中国を知り抜いた隣国は中国からの入国規制を解いていません。こうした状況が変化しない限り、中国人は“安全”とは信じないでしょう」

 他方、このところ、「コロナ後は中国の独り勝ち」との予測もよく耳にする。

「弱者を切り捨て、人権を無視できるので経済活動の立ち直りも早い。これが中国の怖いところです」(同)

 すでに3月後半から中国本土での店舗営業を再開した“ルイ・ヴィトン”は売り上げが大幅に回復。前年同期比で1・5倍近い伸びを見せているという。百貨店やブランドショップがシャッターを下ろしたままの日本と比べれば、その差は歴然としている。

 また、世界各国がコロナ対応に追われるなか、“コロナ後”の覇権争いを見据えた中国の動きには目を見張るものがある。シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏によると、

「コロナ禍はアメリカの安全保障能力を揺るがしています。実際、米軍が太平洋に展開する空母4隻では感染者が続出し、出動不能状態に陥っているのです」

 事実、その間隙を縫って、尖閣沖ではこれみよがしに中国の公船がコロナ禍のいまも領海侵入を繰り返している。さらに、

「今月14日にはデジタル人民元のテスト運用が始まりました。原油先物の決済通貨はドルですが、イランはアメリカからドルの利用を止められ、原油輸出が困難になっています。ベネズエラ、ロシア、サウジアラビアも、いつそうなるか分からない。そうした各国が世界最大の原油輸入国である中国に奨められれば、デジタル人民元に乗り換える可能性は否定できません。一方、コロナワクチン開発でも中国は安全性をチェックする第1段階を終えて、効き目を確かめる第2段階に進んだと発表しています。生命にかかわる病はイデオロギーよりも切実なので、いくら中国が嫌いでも、ワクチン開発に成功したら頼らざるを得ません。そうなれば中国は米国の覇権をさらに弱体化させるでしょう」

 自らが世界中に蔓延させたウイルス禍で焼け太りする中国に我々の“生死のカギ”を握らせてはなるまい。

コロナ感染爆発は必然?“あり得ない”アメリカの悲惨な現状とは…

AERAdot. 2020年5月1日(金)17時00分配信

 現在、アメリカは世界一の“コロナ感染大国”となっている。日本から見ると、都市部は完全にロックダウンしているように見えるアメリカで、どうして日本より急速で大規模な感染爆発が起きているのか不思議に思う人が多いだろう。

 その理由について、『地図で読むアメリカ』の著者で、アメリカ社会の歴史と文化に詳しい早稲田大学名誉教授のジェームス・M・バーダマン氏が語ってくれた。日本社会の常識に照らしてアメリカを見ると、事実を見誤ってしまう可能性がある。アメリカ社会は、そもそもの前提が日本とはまったく違うからである。

*  *  *

「ロックダウンなんてやめてくれよ。俺は散髪がしたいんだよ」とニューヨークの白人男性が不満を言う。「私たちには、公共のビーチで日光浴をし、子どもたちやペットに砂遊びをさせる“権利”がある」とカリフォルニアやフロリダの住民は訴える。彼らは3つの密(アメリカではClose Contact, Close Space, Close Conversation)の危険性を理解していないのだろうか?

 一方、ミシガン州では、経済活動再開を求めて地元住民が州政府にデモを行った(早期の経済活動再開をしたいトランプ陣営が仕掛けたという報道もあるが)。彼らはやはりコロナウイルスを軽んじすぎていると考える事もできるが、一方で働かないと家族を養えないという事実もある。

 こういったアメリカの報道をみて、日本と重ねて見てしまう人もいるだろう。巣鴨の地蔵通りで「年寄りだから体を動かさない事にはねえ」と言っている老人や、自粛要請が出た都内から、まだ自粛要請が出ていない近郊県のパチンコ店に遠征に行く人々のコメント、少しでも生活の足しになればと居酒屋を開いている店主の話などである。

 アメリカの状況を伝える報道を、日本社会に育ち、日本社会で暮らしている感覚で理解しようとすると、画面に映っていないその奥に広がる現実を見過ごしてしまうだろう。

 日本とアメリカでは、前提となる社会事情がまったく異なる。

 まず第一に、アメリカには日本のような国民健康保険がない。

 もちろん、アメリカでも健康保険に加入できている会社員は多い。しかし、パートワーカーや非正規雇用労働者、フリーランサーの少なくない人数が健康保険に未加入だ(アメリカ先住民、ヒスパニック系は30パーセント以上、アフリカ系[以後、黒人と表記する]は18パーセントが未加入である。白人でも13パーセントの未加入者がいる)。

 医療保険がないと、病院にかかるのはとても高額になる。そのような人々はどうしようもなくなるまで医者にはかかろうとしない。そこでコロナ感染者の早期治療の機会は失われ、重症化してしまう道を辿りやすい。しかも、彼らは倒れる寸前まで働き、ウイルスを拡散してしまう。

 第二に、アメリカでは体調不良を理由に仕事を休む行為は、生活を危険にさらすことになりかねない。

 労働者は仕事を休むと解雇されるのではないか、という恐れを常に抱えている。10人の労働力を必要とする雇用主が「休んだ1人を違う誰か1人に“永遠に”入れ替えてしまう」ことは、日本よりずっと簡単に起きるのだ。だから労働者は、咳があっても、熱があっても、吐き気がしても仕事を休みたがらない。

 また、日雇いや、期間払いの労働者も多い。これは都市部に限ったことではなく、今ならトマト、豆、ジャガイモといった夏野菜の収穫に募集される労働者もそうだ。彼らは、その日その日の稼ぎを糧として、生きている。そのような仕事では、密集して働くことも多く、提供される食事も簡素なことが多い。労働環境は良いとは言えない。しかし、それ以外に仕事がない彼らは、体調不良でも働くことを選ぶ。

 第三に、忘れてはならないのが、アメリカは移民大国であるということだ。

 移民労働者の中には、違法状態で働いている者も少なくない。彼らの後ろには、祖国で彼らからの支援を待っている家族がいる。だから彼らは、警察、役所はもちろん、病院にも行きたがらない。公的な場所に行くと捕まってしまう恐れがあるからだ。

 そして、第四に、人種差別、あるいは人種格差という大きな問題がある。

 コロナウイルスでは、黒人とヒスパニック系アメリカ人が、より苦しめられているという報告がある。実際、アメリカの人口の13パーセントである黒人が、コロナ感染者の30パーセントを占めるという報告があった。

 ピュー研究センターによると、コロナウイルスへの感染を恐れている人の割合は、白人で18パーセント、黒人で31パーセントということである。その理由は、黒人の27パーセントが、コロナで入院したり、亡くなったりしている身近な人がいるためだという。

 そもそも、なぜ白人よりも黒人やヒスパニックに感染者が多いのか?

 彼らが、サービス産業、物流、配送、ホテルのメイド、清掃員、スーパーのレジ打ちなど、常に接触にさらされている職業に多く就いているからだ。たとえばニューヨーク公共交通の労働者(バスの運転手、地下鉄職員など)の60パーセントは、黒人とヒスパニックである。それらの仕事は、“リモートワーク”できない最前線の仕事である。

 そして、黒人社会に連綿と続く“負の継承”があることも否定できない。貧困、不衛生な住環境、ジャンクフード中心の食生活などである。通勤にも長い時間がかかり、パートワークの掛け持ちをする人も多い。疲れ果てて家に帰り、1日の終わりに健康的な食事を作る時間も余裕もない。感染症が流行しているからといって、狭い住居スペースでは個人が家族と距離を保てるスペースなどないのだ。

 アメリカ疾病予防管理センターによると、ウイルス問題がない平時においてさえ、黒人は白人よりも50パーセント以上心臓病になりやすく、40パーセント以上若くして亡くなりやすいという。

 ネイティブアメリカン保留地に暮らすナバホ族は、慢性的に水不足の問題を抱えている。水道も電気も通っていない手洗いさえできない世帯もある。近くに病院もなく、緊急時には救急車で保留地の外の病院に搬送される。仕事も保留地の外に行き、そこでコロナに感染すると家に持ち帰って感染が蔓延することになる。このような状況は、程度の違いはあれ、黒人やヒスパニックも同じである。

 アメリカに根強く残っている差別意識からのストレスや、上に示したようなさまざまな要因が複合的に重なり、白人よりも黒人やヒスパニックの人たちがコロナに感染し、重篤化しているのである。

 アメリカ社会において、コロナウイルスは、誰にでも等しく降りかかるイコライザーではない。残念ながら、コロナウイルスは社会の弱い部分から広がり、人種や階層の格差を拡大させている。

 もちろん日本社会にも格差は存在する。だが、アメリカのそれとは程度が違う。

 今から、そしてこれからも、日本における“格差”が増幅しないことを、心から願っている。

 私はこれからも日本で暮らしたいと、心から願っている。(早稲田大学名誉教授・ジェームス・M・バーダマン)

 

2020年5月 1日 (金)

【新型肺炎】米情報局「COVID-19=人工ウイルス説」断固✍否定。

新型ウイルス人工でも、遺伝子組でもない情報当局

時事通信 2020年5月1日(金)4時41分配信

 米国家情報長官室(ODNI)は4月30日、世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルスについて、中国が起源だが人工的なものでも遺伝子組み換えされたものでもないとの結論に達したと発表した。

 ODNIは声明で、「全情報機関は一貫して、中国を起源とする新型コロナウイルスに対処する、米国の政策立案者らに対し重要な支援を提供してきた」と表明。「情報機関は新型コロナウイルスは人工的なものでも遺伝子操作されたものでもないとする、広範にわたる科学的コンセンサスと一致する見解を持つ」と述べた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は27日、新型ウイルスの流行をめぐり、中国に損害賠償を請求する可能性を示唆していた。

Photo_20200501071301

新型コロナウイルス感染症患者サンプルから単離された、新型コロナウイルス(正式名称:SARS-CoV-2)粒子(黄色)と、同粒子に重度感染したアポトーシス細胞(赤)を示した走査型電子顕微鏡写真の着色画像。米国立アレルギー感染症研究所提供(2020年4月29日提供)。

 報道によると、トランプ氏は新型ウイルスの発生源についてさらに調査を進めるよう米情報機関に指示した。当初、コウモリなどの野生動物を販売していた中国・武漢(Wuhan)の生鮮市場が発生源とされた同ウイルスは現在、近くにあるウイルス研究所から流出した可能性があるとみられている。

ワクチンつからず、新型コロナウイルスの脅威共存しなければならない可能性もーー科学者らが警鐘

BUSINESS INSIDER 2020年4月28日(火)12時10分配信

一部の科学者たちは、新型コロナウイルスのワクチンを作ることは不可能かもしれないと恐れている。

イギリスの主席医務官は4月24日(現地時間)、人々がウイルスに再感染する可能性を示す「心配な」エビデンスがあると警鐘を鳴らした。

また、他の種類のコロナウイルスでは、免疫が急速に弱まることを示すエビデンスがあるという。

既存のコロナウイルスに対して使えるワクチンが承認されたことはない。

公衆衛生の専門家でインペリアル・カレッジ・ロンドンの教授デイビット・ナバロ(David Nabarro)氏は、わたしたちは新型コロナウイルスの「絶えず続く脅威」とともに生きる方法を学ばなければならないかもしれないと話している。

一部の科学者たちは、新型コロナウイルスのワクチンを作ることはできないかもしれないと恐れ、わたしたちはむしろ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の絶えず続く脅威に適応する方法を学ばなければならないのかもしれないと考えている。

イギリスの主席医務官クリストファー・ウィッティー(Christopher Whitty)氏は4月24日、議会の委員会に対し、ウイルスに対する免疫を刺激することは不可能かもしれないと示す「心配な」エビデンスがあると述べた。

「答えがまだ分かっていない最初の疑問は『この感染症にかかったら、長期的な自然免疫が獲得できるのか?』ということだ」とウィッティー氏は言う。

「もしそうでないなら、ワクチンは不可能ではないが、非常に難しくなる。わたしたちにはまだ分からない」

その上でウィッティー氏は、一度感染した後に再び感染する人もいるというエビデンスも少しばかりあるとし、「やや心配な状況だ」と語った。

コロナウイルスのワクチンはまだない

ワクチンに対する疑念は主に、既存の他の種類のコロナウイルスに対して使えるワクチンがこれまでアメリカやイギリスで承認されたことがないという事実に基づいている。

ウィッティー氏は委員会に対し、他の種類のコロナウイルスでは「(ウイルスに対する)免疫が比較的急速に弱まる」ことを示すエビデンスがあると述べた。

わたしたちは「例えば、一度ワクチンを打てば一生守られる麻疹のワクチンのような、この感染症用のワクチンが手に入ることを前提としないよう注意する」必要があると、同氏は語った。

「我々は成功を保証できない」とウィッティー氏は付け加えた。

「あらゆる感染症のワクチンが期待されているが、その全てが見つかっているわけではない」

世界保健機関(WHO)も4月25日、COVID-19から回復し、抗体を持つ人が再び新型コロナウイルスに感染することはないという証拠は、現時点でないとの見解を示した。

WHOは、一部の政府がすでにウイルスに感染した人向けにいわゆる「免疫パスポート」を発行しようと計画していることについて「現時点で、COVID-19から回復し抗体を持つ人が再感染から保護されている証拠はない」と述べている。

新型コロナウイルスのワクチンについて懐疑的な見方を示す科学者は他にもいる。

公衆衛生の専門家でインペリアル・カレッジ・ロンドンの教授デイビット・ナバロ氏は、ガーディアンのインタビューで、ワクチンは不可能かもしれないとわたしたちは理解しなければならないと語った。

「全てのウイルスに対して安全かつ効果的なワクチンを必ずしも開発できるわけではない」とナバロ氏は言う。

「中には、ワクチンを開発するのが非常に難しいウイルスもある。近い将来、わたしたちはこのウイルスを絶えず続く脅威として、ともに生きる道を見つけなければならなくなるだろう」

ただ、完全な効果のあるワクチンが難しくても、ウィッティー氏は部分的な効果のあるワクチンを追求する価値はあると考えている。

「(高いレベルの)免疫を提供できなくても、ワクチンは患者を重症化させないための十分な予防になる

「わたしたちは思ったより効果は弱いけれど、十分に効果的なワクチンを手に入れるかもしれないし、死亡リスクの高い人々全員にワクチンを打てば、自然感染は残ったとしても死亡者数を大幅に減らすことができるかもしれない」

中国隠蔽した新型肺炎舞台裏できていたか

JBpress 2020年4月29日(水)8時01分配信/森清勇(元陸上自衛官)

 中国の武漢市中心病院・南京路分院の救急科主任(200人の看護師を束ねる長)の艾芬(アイ・フェン)女医が、今次の新型コロナウイルス患者が担ぎ込まれた以後の顛末を記した手記が『文藝春秋』2020年5月号に掲載された。

 3月13日付全国紙が「湖北省医師の告白、ネット削除」「市民ら怒り 絵文字で抵抗」(朝日)などと報道した原文の日本語訳である。

 中国共産党系の月刊誌「人物」が3月10日のサイトで発表したが数時間後に削除したもので、習近平国家主席が武漢市を視察し、「ウイルスは抑え込んだ」と公言した日である。

 中国政府がいかに対処し(対処せず)、また世界保健機関(WHO:World Health Organization)や国際社会に発信した(発信しなかった)かが手に取るように分かる。

 発生源の突き止めも大切ではあるが、ここではとりあえず、武漢で感染者が見つかって以降の初動と対処がどうであったかを艾芬主任の手記から引き出してみる。

武漢市衛生健康委員会から口止めされた

 2019年12月16日:患者が運び込まれる。原因不明の高熱が続き、各種治療薬の効果なく、体温も下がらない。

 22日:呼吸器内科に移してファイバースコピーで検査、気管支肺胞洗浄、検体サンプルを検査機関に送る。シーケンシング技術のハイスループット核酸配列の検査実施。

 「コロナウイルス」との口頭報告あり。病床管理の同僚が、耳元で「艾芬主任、医師は『コロナウイルス』と報告しましたよ」と何度も強調。(患者は武漢市の華南海鮮卸売市場で働いていたことが後に判明)。

 27日:別の病院で治療(17日から10日間)を受けていた患者が運び込まれる。

 同僚医師の甥で40代・基礎疾患はなかったが肺は手の施しようがなく、血中酸素飽和度は90%。すぐに呼吸器内科の集中治療室(ICU)に移し、16日の患者と同様に処置。

 30日昼:同済病院で働く同期生がウィーチャットで、キャプチャ画像と共に「しばらく華南〈海鮮市場〉には近づかない方がいいよ。最近、多くの人が高熱を発している」と知らせてきて、「本当かな」とも尋ねた。

 そこで、パソコンで診断していた某肺感染症患者のCT検査の動画(11秒)に「午前に救急科に来た患者で、華南海鮮卸売市場で働いていた」とメモして送信。

 同日午後4時:同僚が「SARSコロナウイルス、緑膿菌、四六種口腔・気道常在菌」と書かれたカルテを見せに来る。

 カルテには「SARSコロナウイルスは一本鎖プラス鎖RNAウイルス。このウイルスの主な感染は近距離の飛沫感染で、患者の気道分泌物に接触することにより明確な感染性を帯び、多くの臓器系に及ぶ特殊な肺炎を引き起こす。SARS型肺炎」と注記がある。

 何度も読みかえして確認、驚きのあまり全身に冷や汗。患者は呼吸器内科に入院しているので、病状報告が自分のところに回ってくると思いながらも、念を入れて情報を共有するために、すぐに公共衛生科と感染管理科に電話する。

 同時刻:ドア前を通った呼吸器内科の主任医師(SARS治療の経験者)を呼び込み、「救急科を受診した患者があなたのところに入院している」といい、「これが見つかった」と言ってカルテを見せると、「これは大変だ」という。

 〝ことの重大さ″を再認識し、カルテの「SARSコロナウイルス、緑膿菌、四六種口腔・気道常在菌」の箇所を赤丸で囲み、同期生に送信。救急科の医師グループにもウィーチャットの画面共有アプリで発信し、注意喚起する。

 30日夜:赤丸を付したカルテのキャプチャ画像が、様々なウィーチャット・グループにあふれる。死亡した眼科医の李文亮医師もこのキャプチャ画像をグループ内に発信している。この時、「もしかすると面倒なことになるかも」と感じる。

 30日午後10時20分:武漢市衛生健康委員会から病院を通じて、「市民のパニックを避けるために、肺炎について勝手に外部に情報を公表してはならない。もし万一、そのような情報を勝手に出してパニックを引き起こしたら、責任を追及する」という内容の通知が来る。恐ろしくなり、すぐに同期生に転送する。

 30日午後11時半頃:病院からも「情報を勝手に外部に出すな」と強調した通知が来る。

肺炎について絶対言うな! 旦那にもだ! 

 2020年1月1日午後11時46分:病院の監察課(共産党規律委員会の行政監察担当部門)の課長から「翌朝、出頭せよ」の指示が来る。

 心配で一睡もできず、寝返りをうちながら考え込む。そして「たとえ悪影響をもたらしても、武漢の医療従事者に注意を喚起するのは悪いことではない」と自分に言い聞かせる。

 2日8時過ぎ:勤務交代の引継ぎが済んでいなかったが、「出頭せよ」の催促電話が鳴る。

 出頭すると、「約談」(法的手続きによらない譴責、訓戒、警告)の〝前代未聞の厳しい譴責″を受ける。

 課長(女性)は、「我々は会議に出席しても頭が上がらない。ある主任が我々の病院の艾とかいう医師を批判したからだ。専門家として、武漢市中心病院救急科主任として、無原則に組織の規律を無視し、デマを流し、揉め事を引き起こすのはなぜだ?」と譴責。

 続けて「戻ったら、救急科200人以上のスタッフ全員にデマを流すなと言え、ウィーチャットやショートメールじゃだめだ。直接話すか、電話で伝えろ。だが肺炎については絶対に言うな。自分の旦那にも言うな・・・」

 艾芬主任は「勤務上の怠慢を叱責されたのではない。武漢市の輝かしい発展が私一人によって頓挫したかのような譴責だった」ので衝撃を受け、心身ともに打ちのめされ絶望し、質問されても答えに窮したという。

 そこで「これは私がしたことで、他の人は関係がありません。いっそ私を逮捕・投獄してください。このような状態では、もう仕事は続けられません。しばらく休ませてください」というが、幹部は「今はお前を見定めているのだ」と言って、受け付けなかったという。

 2日夜:帰宅して夫に「もし、私に何かあったら、しっかりと子供を育ててね」と頼みながらも譴責されたことなどは言わなかったという(小さい子供が2人、夫に打ち明けるのは1月20日)。

 3日以降:200人以上の医療関係者に予防の注意を喚起し、全員にマスク・帽子を着用させ、手洗い消毒を徹底させるなどして、一人ひとりに予防を強化させ、マスクしていない男性看護師を見つけ「マスクをしないなら、もう仕事に来なくていい」とその場で叱責。

 院内の会議で某医師が白衣の上に防護服を着用すべきだと提案したが、「だめだ、外から見られたらパニックを引き起こす」として却下されたという。そこで艾芬主任は救急科全員に「白衣の下に防護服を着させ」る。

 「患者は増え続け、感染エリアは拡大するばかり」であったが、「状況を見守るだけで、ただ手をこまねいているだけだった」「最初は海鮮卸売市場付近から発生したのだろうが、その後、感染がさらなる感染を招き、その範囲は拡大していった。多くは家庭内の感染だった」と明言する。

 初期に判明した7人の症例には、息子に食事を届けた母親や患者に注射した診療所の経営者が感染し重傷であること、また、1月1日に海鮮市場は閉鎖されていたにもかかわらず、患者が増え続けていたから「ヒト―ヒト感染」を確信しているが、外部には知らせなかったという。

 こうしたことから、3日以降も分院の他の科ではベテラン医師の功績を称える会や患者快復祝いなどが開けれ、院内感染者は増え続け、体外式腹型人工肺(ECMO)の治療も開始され、死亡者も出る。

 9日:退勤する時、受付の患者が咳き込んでいるのを目撃した艾芬主任は、来院患者にもマスクを配るようにその日に要請する。経費節約などしている場合ではないと考えたという。

 11日朝:救急科の緊急治療室の女性看護師が感染したとの報告を受ける。中心病院で感染した第1号だったので、医務課の課長に電話報告して院内で緊急会議が開かれた。

 しかし、報告書の「両肺下葉の感染、ウイルス性肺炎?」のタイトルは「両肺に感染が散在」に変えるように指示される。

病院幹部も倒れ、病棟は飽和状態

 1月中旬~下旬:病院の幹部も次々に倒れる。救急科の外来診察事務室主任、副院長3人、医務課課長は娘の感染で休み。

 艾芬主任の救急科でも医師、隔離病室の管理責任者(看護師)、看護師長など、40人以上の感染者が出た。

 こうした状況下では、早く倒れれば戦列から離脱できるから「運がいい」とさえ思ったという。いかに困惑し、極限状態にあったかが分かる。

 1月22日夜:政府の関係部門に勤める知人が電話で、救急科の患者の本当の状況について尋ねる。

 艾芬主任は政府代表ではなく個人としての問いであることを確認した上で、「私も個人として真実を話しましょう。1月21日、救急科は1523人の患者を診察しました。通常の最も多い時の3倍です。その中で発熱している患者は655人です」。

 病棟は飽和状態で患者を受け入れなくなり、救急科に押し寄せ、診察を受けるため数時間並び、医者も残業した。

 発熱外来も救命救急も区別なく、ホールは患者で満杯になり、ICUも点滴・輸血室も患者であふれ、自動車の中で息を引き取る患者、入院した途端に亡くなる患者もいた。

 この患者の連れ合いは金銀潭病院で亡くなったばかりで、看病していた息子や娘も感染していたので、娘婿が付き添っていた。

 重症患者と一目で分かったので呼吸器内科に連絡して入院させることにし、付き添いが挨拶に来たので「早く連れて行って下さい、時間を無駄にしてはいけません」と急がせたが間に合わなかったのだ。

 艾芬主任は、この時期に救急科の状況を体験した者は、自分の人生観が根底からひっくり返されたはずで生涯忘れないだろうと語る。

 2月17日:画像を最初に受け取り、他に転送した同済医学院の同期生から「(他のグループに発信して)すみませんでした」と謝罪のメッセージが来たが、「あなたが発信したお蔭で、一部だが、即座に注意喚起できました。李文亮(死亡)たち8人がいなければ、あの状況を知る人はもっと少なかったでしょう」と逆に感謝する。

 救急科では3人の女医の家族(2人は夫とその両親、1人は自身と姉、両親、夫)が感染した。「皆、あれほど早く、初動の段階で察知できたのに、甚大な被害に見舞われた」と残念がる。

 救急科だけのことではなく、武漢市のことにも思いやる。それが精一杯であろう。2月21日には病院の幹部に呼び出されたが、謝罪はなかったという。

元日に危機意識をもてば悲劇は起きなかった

 艾芬主任は、元日に「譴責を受けずに、経緯について穏やかに話し合い、呼吸器内科の専門家との意見交換もでき」、「皆が危機意識を持てば、あのような悲劇は起きなかっただろう」と悔しさを滲ませる。

 実際、救急科と呼吸器内科は予防を喚起し、罹患するとすぐ休ませ治療に専念させたためひどくなかったが、中心病院の他の診療科医師が死亡するなど、大きな代償を払った。

 パニックを起こしたと訓戒された眼科の李文亮医師(1月12日ICU治療、2月7日死亡)や、卓越した医療技術で「中国医師賞」を受けた甲状腺・乳腺科の江学慶医師(1月17入院、後日死亡)などである。

 1月18日頃の中国国内の感染者は200人弱とされるが、その数日後には10倍、27日の患者は2829人、死者81人となっている。こうした状況下に中国とWHOはどう動いていたのだろうか。

 1月19日:中国国家衛生健康委員会専門家グループ長で感染症研究の第一人者・鐘南山博士が武漢に入り、ヒト―ヒト感染があり得ることを確認し、党中央に報告。

 20日:習近平主席がヒト―ヒト感染を認め、「情報を隠すことなく、全力で感染症対策に取り組むように」指示する。(艾芬主任はこの日に夫に分院の状況や肺炎患者など知らせる)

 22日:WHOは会議を開くが、23日テドロス・アダノム事務局長は「中国で発生しているウイルスは世界的な脅威ではない」と述べ、緊急事態宣言を見送る。

 23日:午前2時に武漢市と湖北省の封鎖決定も、8時間後の10時実施。

 24日:医学専門誌『ランセット』が、昨年12月1日には、患者41人中14人は海鮮市場と接触なし(ヒト―ヒト感染を確認? )。

 27日:李克強首相が武漢を視察。テドロス事務局長が中国・北京を訪問、翌28日、習近平主席と会談。

 29日: WHOがステートメント発表「中国は習近平主席の指導性発揮でコントロールしている」など。

 31日:WHOが「ウイルスが世界的な脅威」と認める。

 2月3日:習近平主席が政治局常務委員会で「(新型ウイルス対策で)欠点と不足があった」と認める。

 10日:習近平主席が武漢入りする。艾芬主任のインタビュー記事がネットに出るが、数時間後に削除。

 12日:政治局常務委員会招集。翌13日、湖北省と武漢市のトップを更迭。

 3月11日:WHOが「パンデミック」と認定

台湾の通知を無視したWHOの犯罪

 WHOが「ヒト―ヒト感染」を公式に認めたのは、鐘南山博士が「ヒト―ヒト感染」を確認し、習近平主席が認めた1月20日である。

 しかし、台湾の陳時中・福利衛生部長(日本の厚生労働相)は4月11日の記者会見で、昨(2019)年12月31日にWHOに「中国・武漢で特殊な肺炎が発生し、患者が隔離治療を受けている」との情報を伝達し、警戒を呼びかけたことを公表した。

 すなわち、武漢市当局が病院に隠蔽指示を行なっていた時である。

 台湾はこれ以降、入境時の検疫を強化し、厳格な水際防疫を展開する。この結果、死者6人、累計感染件数393件、4月14日の新たな感染確認はゼロである。

 こうしたことから、台湾の陳建仁副総統は、武漢での発生当初、情報を隠蔽したとされる中国とWHOの対応の遅れを問題視している。

 実際、テドロス事務局長は1月23日、「中国で発生しているウイルスは世界的な脅威ではない」と述べた。世界中から批判が出たことは言うまでもない。

 中国から帰国した翌1月29日、事務局長はプレスリリースを出す。その中で以下のように習近平主席を褒めちぎっている。

 「習近平主席のアウトブレイクについての知識などに勇気づけられ、稀に見るリーダシップだと感銘した」

 「中国国外での感染者は68人のみで、死者も出ていない」

 「中国がその経済を犠牲にして対策を施したお蔭で、中国国外の患者数はこの程度にとどまっている」

 「中国の対応は過去にないほど素晴らしい。中国の尽力がなければ中国国外の死者はさらに増えていただろう」

 ようやくWHOが「ウイルスが世界的な脅威」と認めるのは1月31日であった。その後も、事務局長は「いま必要なのは恐怖でなく連帯だ」と訴え続け、パンデミックと認定したのは3月11日である。

 しかし、これらが全く間違っていたことは、習近平主席を褒めちぎった2日後に「世界的脅威」と認めざるを得ない矛盾から明らかだ。

 テドロス氏は地元の大学を卒業後、英国で感染症学の修士号、公衆衛生学の博士号を取得後はエチオピアのマラリア対策チームに参加するなどした後、2005年から2012年まで保健相。

 その後、外務大臣として中国との関係を深め、エチオピアを習近平主席の「一帯一路」のアフリカにおける最大の要衝としたことで知られる。

 テドロス局長がいかに中国寄りであるかを国際社会が周知することとなり、麻生太郎副首相が「W(ワールド)HOではなく、C(チャイニーズ)HOではないか」と揶揄されていると指摘する通りだ。

 こうした中で、「新型ウイルスが(武漢の)研究所で作られた証拠はない」とWHOが表明しても、権威がないことはいうまでもない。

なぜ中国は早期収束できたのか

 2009年4月にメキシコと米国で感染者を確認した新型インフルエンザでは、75か国・地域、感染者約2万7000人、死者約140人(致死率0.05%)が出た1か月半後にパンデミックと確認した。

 今回は2019年12月に中国(武漢市)で原因不明の肺炎を確認後、114か国・地域、感染者約11万8000人、死者4300人(致死率3.9%)が出た約3か月半後にパンデミックと認定した。

 4月26日時点で、感染は184か国・地域に広がり、感染者約290万人、死者約20万3000人(致死率約7%)となっている。

 収束するどころか、いまだに猛威を振るい、感染者は1日に7~8万人、死者も5000人超づつ増えている。

 こう見てくると、中国とWHOは国際社会の存在を忘れていたと言っても過言ではない。

 いや国内の発症の公表を武漢市衛生健康委員会も同党規律委員会(行政監察担当部門)も抑えに抑えてきた。

 いや、抑えるだけでなく、「お前を見定めている」と公表しないように監視し、隠蔽を強要してきた。

 WHOにも台湾から初期段階に情報が寄せられたにもかかわらず、台湾を排除してきた面子か、むしろ中国への忖度が大きかったのだろうが、貴重な情報を吟味しなかった。

 しかし、「人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関(国際連合機関)」であることに思いを致すならば、どこから情報が上がってこようと、また中国への面子よりも世界への責務を果たすことが重要であったはずだ。

 こうした中で、中国はなぜ速やかに収束させることができたのか。自分たち(僅かの中国首脳)は「新型ウイルスが何か」を知っているが、世界には知らせたくなかったのではないかと疑いたくもなる。

 現に中国は上から目線で欧米諸国に「反省すべきだ」と牽制した挙げ句、米軍が持込んだかもしれないとまで言ってのけた。

 なぜこうした強気な発言ができるのか、そうした疑問をもってインターネットで検索してみると、気味悪く符合する事象が出てきた。

 武漢で行われた軍人運動会(2019年10月18日~27日)に備えて、1か月前(9月18日)に武漢の天河空港で幾つかのシナリオでテロ対策の演習を行ったというのである。

 その一つに、「旅客通路において新型コロナウイルス感染者が発見され、ウイルス感染への処置をすべてのプロセスで行った。訓練は流行疫学調査、医学的一斉検査、臨時検疫区域設置、隔離実験、患者の転送と衛生処置など多方面にわたって実施された」というのがある。

 これは武漢市に拠点をもつ地方テレビ局の記者らがウエブサイトで9月26日に報じたものだという。

 真偽のほどは分からないが、演習やシナリオが本当だとすれば、それから2カ月後に武漢市海鮮卸売市場で新型コロナウイルスが出現した疑問と、中国が迅速に収束できたことはよく符節が合う。

 また、当時存在しなかった「新型ウイルス」が演習と現実で符合する点も奇妙である。

 思い付きで演習に「新型ウイルス」を取り入れたというものではないだろう。全体主義の優位性で、民主主義の米国を打ちのめし、世界の覇権国家に躍り出るという超限戦が背景にあったと想定することは飛躍しすぎであろうか。

 覇権国家に躍り出るためには、米国が真珠湾で多くの将兵や艦船を犠牲にして参戦したように、中国も国民を犠牲にした上で共産党指導の優位性を以って、敵対する米国を混乱・疲弊させることが不可欠である。

 関税戦争で太刀打ちできないとなれば、今回のようなコロナで大打撃(感染者約94万人、死者約5万4000人は世界のほぼ3分の1で、もっと増え続けるであろう)を与え、国力を決定的に毀損させなければならない。

 ともあれ、中国が世界の責任ある国家となるためには、早急に収束できた処方箋を国際社会に提示して信任を得なければならない。

 一刻も早く収束させる貢献をすべきで、発生源の擦り合いをしている場合ではない。

関連エントリ 2020/04/27 ⇒ 【新型肺炎】“差し当たり”<既存✍治療薬>効き目の程度
関連エントリ 2020/04/25 ⇒ 【コロナショック】世界の今<ワクチン開発✍競争>進捗状況
関連エントリ 2020/04/22 ⇒ 【新型肺炎】仏ノーベル賞学者✍「COVID-19=人工ウイルス説」検証
関連エントリ 2020/04/21 ⇒ 【新型肺炎】仏ノーベル賞学者✍「COVID-19=人工ウイルス」明言。
関連エントリ 2020/04/19 ⇒ 【第45代大統領】中国批判「故意なら」✍コロナ禍の「報いを受ける」
関連エントリ 2020/04/15 ⇒ 【コロナショック】衝撃!✍“抗体”は「全ての人に出来る訳ではない」説
関連エントリ 2020/04/14 ⇒ 【コロナショック】✍待たれる「武漢肺炎ワクチン」の現状
関連エントリ 2020/04/08 ⇒ 【緊急事態宣言】永久保存✍武漢ウイルス「予防の心得」

 

« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »

無料ブログはココログ
2021年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31