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2020年6月

2020年6月30日 (火)

【広島県議会】✍参院選の現金供与<辞任ドミノ>止まらず

 河井夫妻、地盤外に手厚く現金配布か「広島3区」分の2.4 

産経新聞 2020年6月29日(月)22時43分配信

 昨年7月の参院選をめぐる買収事件で、公職選挙法違反容疑で逮捕された前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)と妻で参院議員、案里容疑者(46)は、広島県内の首長と地元議員計40人に現金1680万円を提供したとみられる。うち克行容疑者が選出された衆院広島3区内の15人への総額は490万円にとどまり、約2・4倍の1190万円が他地域に配布された。東京地検特捜部などは、夫妻が地盤のない地域に手厚く配り、票の取りまとめの依頼に奔走した可能性もあるとみている。

 《重点地区は安芸高田市、安佐(あさ)北区、安佐南区沼田町、呉市、福山市》。参院選終盤の昨年7月17日、案里容疑者は「アンジー」の登録名で、無料通信アプリ「LINE(ライン)」の陣営内グループにこんなメッセージを送信した。

 安芸高田市と広島市安佐北区・安佐南区は克行容疑者が地盤とする広島3区内。案里容疑者は周囲に、克行容疑者について「選挙に弱い」と漏らしていたといい、地盤を固める狙いがあったとみられる。

 広島市議で現金を配布された疑いのある13人のうち、6人が安佐北区と安佐南区の選出。安芸高田市でも当時県議で現市長の児玉浩氏のほか、市議3人にも現金を渡すなど、広島3区内で細かく気を配っていたことがうかがえる。

 だが、永田町関係者はこう語る。「参院選は県内全体が選挙区。夫妻はこれまで安佐南区を中心に活動してきただけに、地盤の外で票を集めるため、いっそう現金に頼ったのだろう」

 今回、現金を配布された疑いのある県議14人のうち、克行容疑者の地盤のない広島3区外の選出議員が11人を占めたのだ。

 県内では自民党岸田派(宏池会)の勢力が強く、昨年の参院選では、多くの自民党系地元議員が案里容疑者の競合候補だった溝手顕正(けんせい)・元国家公安委員長を支援していた。

 ある県政関係者は現金を配布された県議について「夫妻と交流が少ないはずの人も含まれているが、多くはかつて案里容疑者と同じ会派に所属するなど『どちらかといえば親しい』県議だ」と語る。

 溝手氏は平成25年の参院選で、2位当選の2倍以上の52万票超を得て圧勝するなど、強い支持基盤を持っていた。克行容疑者らが“現金攻勢”で広島3区外の溝手氏の支持基盤を切り崩そうとしたとみられる。

 広島3区外の配布先をめぐっては、首長や議員計40人の中で2番目に多い150万円を受領し、辞職の意向を示した三原市の天満(てんま)祥典市長(73)は、克行容疑者のブログに親しげな写真が掲載されるほど「熱心な支持者」(陣営関係者)だった。克行容疑者が同市生まれとはいえ、夫妻にとって地盤外の貴重な存在だったようだ。

 40人の中で最高額の200万円を受け取った疑いのある元広島県議会議長の奥原信也県議(77)も選挙区は広島3区に含まれない呉市。広島市議13人の中で最高額の70万円を受け取ったとみられる市議も広島3区外の選出だった。

 一方、県内で広島市に次いで人口の多い福山市を地盤とする現職議員は、広島3区外でありながら、現在判明している配布先には含まれていない。ただ、関係者によると、元県議2人と、選挙時に案里容疑者の福山事務所を貸すなどした支援企業の代表の計3人にそれぞれ60万円が渡った疑いがあるという。

 当時の陣営関係者は「案里容疑者は福山市で公示当日に集会を開くほど力を入れていた。全面支援してくれる現職県議がいなかったので、元職の力を頼ったのかもしれない」と話す。

河井前法相から150万円、三原市長「市民を裏切る行為」詫び、辞任

読売新聞オンライン 2020年6月30日(火)11時48分配信

 昨年7月の参院選を巡る大規模買収事件で、衆院議員の河井克行・前法相(57)(自民党を離党)から計150万円を受け取っていた広島県三原市の天満祥典(よしのり)市長(73)が30日、辞職した。この日午前の臨時市議会で、全会一致で同意された。

 克行容疑者や妻の案里参院議員(46)(同)から現金提供された疑いのある広島県内の地方政治家40人の中で辞職するのは、安芸太田町長だった小坂真治氏(71)、府中町議だった繁政秀子氏(78)に続き3人目。

 市議会で、天満氏は「市民を裏切る行為で大変申し訳ない」と謝罪。当初、授受を否定していたことについて、理由などは語らず、「職を辞することで責任をとる」と述べた。

 辞職に伴う市長選は8月2日に告示、9日に投開票される。

河井前法相の直筆 県議に現金 復数枚のメモ押収-検察当局

時事通信 2020年6月28日(日)7時26分配信

 昨夏参院選をめぐる公選法違反事件で、買収容疑で逮捕された衆院議員の前法相、河井克行容疑者(57)=自民離党=の関係先から、広島県議らへの現金提供を示唆する手書きのメモが押収されていたことが27日、関係者への取材で分かった。

 克行容疑者の直筆の可能性があるという。東京地検特捜部は買収を裏付ける重要な物証と位置付け、記載内容を精査しているもようだ。

 関係者によると、押収されたメモは複数枚あり、今年1月、克行容疑者と参院議員の妻、案里容疑者(46)=同=の広島市内の地元事務所や自宅などを家宅捜索した際に見つかった。県議らの名前と提供したとみられる金額が手書きされており、記載内容などから、克行容疑者が直筆したとみられるという。

 1月の捜索では、手書きメモのほか、県議や地元首長、後援会幹部ら現金配布先をまとめた2種類の「買収リスト」が押収されている。

 検察当局は、いずれも買収を裏付ける重要な物証とみて、政界捜査の経験が豊富な特捜部の投入を決めたとみられ、3月、それぞれの記載に基づいて県議らを一斉聴取。今月18日、克行容疑者を計94人に対する総額約2570万円の買収容疑で、案里容疑者を、うち5人に対する計170万円について克行容疑者と共謀した容疑で逮捕した。

 関係者によると、克行容疑者は調べに対し、地元議員らへの現金提供を「地盤固めの政治活動だ」などと供述。後援会幹部らへの現金については、「活動に掛かった実費や報酬」などと主張し、買収目的を否定している。案里容疑者も「違法なことをした覚えはない」と否認しているという。 

安倍4選」たった4カ月賛否逆転 自民支持層の急な「心変わり

withnews 2020年6月30日(火)7時00分配信

 安倍晋三首相の自民党総裁としての任期は、2021年9月までです。新型コロナウイルスへの対応が焦点になった通常国会が閉会し、政界の関心は安倍首相の後継争い「ポスト安倍」レースに移りつつあります。朝日新聞の全国電話世論調査を分析すると、自民支持層の心変わりが見えてきました。

自民支持層、安倍4選賛否拮抗→反対が過半数に

 自民党総裁の任期は党則で連続3期までと決まっています。ただ自民内には、この党則を変えて、安倍首相に4期目も続けることを支持する声もあります。朝日新聞の世論調査では、この「安倍4選」について、次のように定期的に聞いています。

     ◇

自民党総裁の任期は、自民党の決まりで、連続3期までになっています。あなたは、この決まりを変えて、安倍首相が4期目も続けることに賛成ですか。反対ですか。

【全体】

2019年12月 賛成(23%)/反対(63%)

2020年2月 賛成(25%)/反対(60%)

2020年6月 賛成(19%)/反対(69%)

【自民支持層】

2019年12月 賛成(43%)/反対(46%)

2020年2月 賛成(46%)/反対(43%)

2020年6月 賛成(36%)/反対(54%)

*その他・答えないは省略――*調査方法=コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式。2019年12月21・22日、2020年2月15・16日、同年6月20・21日に、全国の有権者を対象に調査した。有効回答数と回答率は以下の通り。2019年12月固定1001人49%/携帯979人44%、2020年2月固定1118人51%/携帯1038人45%、同年6月固定1035人52%/携帯1030人47%。

     ◇

「安倍4選」について、全体では反対がつねに賛成を大きく上回っています。これに対し、自民支持層は2019年12月と2020年2月の調査で賛否が割れていたのが、4カ月後の2020年6月の調査では反対54%が賛成36%を上回りました。

 自民支持層で「安倍首相離れ」がじわりと進んだ背景には、今年2月以降に深刻化した新型コロナへの政府対応がありそうです。

コロナ禍の政府対応評価しない一時高まる

 朝日新聞の調査では今年2月以降、以下のように聞いています。

     ◇

あなたは、新型コロナウイルスをめぐる、これまでの政府の対応を評価しますか。評価しませんか。

【全体】

2月 評価する(34%) 評価しない(50%)

3月 評価する(41%) 評価しない(41%)

4月 評価する(33%) 評価しない(53%)

5月 評価する(30%) 評価しない(57%)

6月 評価する(38%) 評価しない(51%)

【自民支持層】

2月 評価する(47%) 評価しない(39%)

3月 評価する(61%) 評価しない(23%)

4月 評価する(56%) 評価しない(34%)

5月 評価する(51%) 評価しない(37%)

6月 評価する(59%) 評価しない(31%)

*その他・答えないは省略*調査方法=RDD方式。2020年2月と6月以外は、3月14・15日、4月18・19日、5月23・24日に実施した。2020年2月と同年6月以外の有効回答数と回答率は以下の通り。3月固定1170人53%/携帯1190人50%、4月固定1111人56%/携帯1106人52%、5月固定1187人57%/携帯1186人52%。

     ◇

 新型コロナへの政府対応をめぐっては、全体と異なり、自民支持層では「評価する」が「評価しない」をつねに上回っていました。とはいえ、横浜港に停泊していて感染が拡大した大型クルーズ船への対応が批判された2月と、コロナ禍にもかかわらず検察庁法改正案の成立を急いだ政権に対してツイッターなどで批判が広がった5月の調査では、自民支持層でも「評価しない」が4割近くに高まりました。

 6月調査では、自民支持層の「評価する」は6割近くに盛り返しました。ただ自民支持層の内閣支持率は2月調査の78%から見ると、6月調査では69%に下がっています。コロナ禍での政府対応に対する自民支持層の一定の不満が、「安倍首相離れ」の背景の一つにあるのかもしれません。

ポスト安倍レースはなお混迷

 安倍首相は「4選」について、6月18日の記者会見で「全く考えておりません」と述べています。では、安倍首相の次の首相である「ポスト安倍」について、自民支持層はどう考えているのでしょうか。

     ◇

あなたは、次の自民党総裁として、だれがふさわしいと思いますか。
(2019年9月)→(2019年12月)→(2020年2月)→(2020年6月)

【全体】

石破茂=(18%)→(23%)→(25%)→(31%)

小泉進次郎=(22%)→(20%)→(14%)→(15%)

河野太郎=(8%)→(8%)→(8%)→(9%)

菅義偉=(8%)→(6%)→(5%)→(3%)

岸田文雄=(6%)→(5%)→(6%)→(4%)

茂木敏充=(3%)→(1%)→(1%)→(1%)

加藤勝信=(1%)→(1%)→(1%)→(0%)

この中にはいない=(27%)→(29%)→(32%)→(31%)

【自民支持層】

石破茂=(14%)→(22%)→(22%)→(29%)

小泉進次郎=(21%)→(20%)→(17%)→(17%)

河野太郎=(12%)→(12%)→(10%)→(12%)

菅義偉=(12%)→(9%)→(8%)→(5%)

岸田文雄=(8%)→(8%)→(8%)→(7%)

茂木敏充=(3%)→(3%)→(2%)→(1%)

加藤勝信=(1%)→(1%)→(1%)→(0%)

この中にはいない=(20%)→(20%)→(26%)→(23%)

*その他・答えないは省略。敬称略――*調査方法=RDD方式。2019年9月の調査は14・15日に実施し、有効回答数と回答率は固定1010人50%/携帯914人42%。

     ◇

 同じ選択肢で行った2019年9月から今年6月の計4回の調査では、自民支持層の「ポスト安倍」トップは19年12月以降、全体と同じように、つねに石破茂氏でした。石破氏の支持率は19年9月の14%から今年6月の29%に上がりました。ほかの候補の支持率が軒並み伸び悩んでいるのとは対照的に、石破氏の人気ぶりがうかがえます。

 とはいえ、「ポスト安倍」レースは、「石破1強」とも言いきれません。自民支持層の「この中にはいない」がつねに2割台で推移しているためです。「安倍首相離れ」が進みながらも、安倍首相の「次」が絞り切れていないという自民支持層の心の内を現しているようにも見えます。

「ポスト安倍」には、どんな人がふさわしいか―。同じ記者会見で問われた安倍首相は、2019年12月のBSテレ東の番組収録で岸田、茂木、菅、加藤4氏の名前を列挙した時とは異なり、こう答えるだけでした。

「(自民党総裁の)任期が1年3カ月残っており、全力を尽くす。後継者は育てるものではなくて育ってくるものだ。自民党は人材の宝庫。地味に成果を出していく人もいれば、うまく発信をされている方もいるのだろう。その立場立場で頑張って頂きたい」

 後継をめぐる安倍首相の心の内はどうなのでしょうか。今後も「ポスト安倍」レースの行方に目が離せません。

河井夫妻逮捕Xデー…その時検察は動いた!容疑者寵愛の安倍晋三  次の総理選び 

PRESIDENT Online 2020年6月23日(火)11時16分配信/麹町文子(ジャーナリスト)

6月18日のXデーに何があったのか

 法務行政トップだった人物を検察当局が捜査対象にした前代未聞の事件は6月18日、ついに「Xデー」を迎えた。昨年夏の参議院選挙で初当選した河井案里参議院議員をめぐる買収事件で、案里氏と夫の河井克行前法相が公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕されたのだ。河井夫妻は容疑を否認しているが、検察側は起訴までもっていく「鉄の意志」があるとされ、吹き荒れる検察不信を払拭していく強い覚悟を持っているようだ。捜査の行方はさておき、今回は「Xデー」を迎える中でドタバタと進む動き、水面下で繰り広げられる政局に注目したい。そこにある魑魅魍魎の世界とは――。

 この事件が注目される理由は、単なる選挙違反事件ではない点にある。今後の展開次第では安倍晋三政権のみならず、戦後日本を政権与党として牽引してきた自民党政治にとって大ダメージとなるほどの事案なのだ。まずは、ことの発端を振り返っておきたい。

 昨夏の参議院選挙で定数2の広島選挙区から自民党2人目の候補者として出馬した案里氏は、夫の克行氏と二人三脚で選挙戦に臨み、事前の予想を覆す形で議員バッジを手にした。その余波で落選したのは自民党岸田派の重鎮、溝手顕正氏だった。

プライドが高く、自分はとにかくできる人間と思っている

 溝手氏は自民党参院議員会長や国家公安委員長などを歴任した当選5回の大物で、「安倍1強」時代にあって安倍晋三総理への批判を公言する「武闘派」としても知られる。だが、総理官邸サイドは党広島県連の反対を押し切って案里氏を擁立し、案里氏と溝手氏の支援レベルは「10倍近い差」(自民党関係者)をつけた。案里氏には菅義偉官房長官が選挙応援に駆け付けるなど異例のバックアップ態勢をとっている。

 その理由は「反安倍色」が強い溝手氏を踏み台にしてでも「親安倍」「親菅」の案里氏を当選させたいとの思いがあったからだ。夫の克行前法相は、菅官房長官の側近中の側近で、菅氏を支える「菅グループ」の筆頭格だ。参議院選挙の前に改元を発表し、「令和おじさん」と人気が急上昇した菅官房長官は飛ぶ鳥を落とす勢いで「(広島選挙区から)2人も出すのは馬鹿げた話」(溝手氏)との反対論を封じた。参議院選挙後の昨年9月には内閣改造で法相に克行氏をねじ込んでもいる。克行氏はどのような人物なのか。かつて所属した派閥「平成研究会」を担当した全国紙政治部記者は「プライドが高く、自分はとにかく『できる人間』と思っている。気に食わないことがあると怒り、権力者にはすり寄る」と評する。

前法相を逮捕する異例が起きるまで…

 すでに長期政権となっていた安倍政権で法相に就任し、「我が世の春」がついに訪れたと思っていたことだろう。だが、就任直後に週刊文春による「文春砲」が炸裂し、わずか1カ月半でのスピード辞任に追い込まれた。ちなみに、この10月にはもう1人の「菅グループ」の中心である菅原一秀経済産業相にも「文春砲」が直撃し、その有権者買収疑惑によって辞任を余儀なくされている。内閣改造後1カ月で閣僚2人が辞任するということだけでも異様だが、ともに菅官房長官が入閣を後押しした「菅グループ」の中心人物だったというから驚きだ。安倍総理と菅官房長官との間に生まれた「亀裂」はこの時期から始まったとされ、政権中枢の最終決定ラインは「安倍―菅」から「安倍―今井尚哉総理補佐官」に移った。

 「官邸の守護神」とまで言われた東京高検の黒川弘務前検事長の定年延長を特例的に認める閣議決定がされたのは今年1月だったが、その黒川氏も5月の「文春砲」で産経新聞記者や朝日新聞社員との「賭けマージャン疑惑」を報じられ、辞任。菅氏が推していた検察幹部の定年を延長する検察庁法改正案は頓挫し、「黒川検事総長」は幻に終わった。この人事をめぐって法務・検察不信は高まり、黒川氏の後任の林真琴東京高検検事長や稲田伸夫検事総長らは政権との距離を見直すとともに、法務行政のトップだった克行前法相の逮捕に踏み切る「GOサイン」を出すに至っている。

ポスト安倍選びは菅官房長官の動向が鍵を握る

 政治日程を考慮し、当初は東京都知事選の告示日であり、安倍総理が通常国会閉会を受けた記者会見を行う6月18日の逮捕は避けるとの見方もあったが、もはや政治のことは関係ないと突破するあたりに検察サイドの強い意志を感じる。お隣の韓国では昨年末、文在寅大統領の最側近である法相に対する検察の捜査が耳目を集めたが、その構図は対岸の火事とはいかない惨めな結末である。

 話を元に戻そう。一連の辞任劇と立件を見れば「政権ナンバー2」の菅官房長官が狙い撃ちにされ、自民党内での「菅包囲網」が形成されていくようにも映るが、それは必ずしも当たらない。確かに「令和おじさん」ともてはやされた時期に比べ、菅官房長官の人気は党内外で低下したが、依然として「ポスト安倍」選びは菅官房長官の動向が鍵を握るためだ。

実は菅さん慕う面々は細田派に次ぐ勢力

 河井夫妻は逮捕されたものの、もう1人スピード辞任した菅氏側近の菅原前経産相は今年1月の「雲隠れ」から一転、6月16日に急遽記者会見し、選挙区内で香典を秘書が配るなど公選法に抵触する事例があったことを認めて謝罪。東京地検特捜部は任意聴取したものの、刑事責任を問うかどうかは慎重に判断するとみられている。河井夫妻の逮捕で菅官房長官への遠心力は一時的に働くとみられるが、今でも50人以上の無派閥議員の多くは菅原氏を中心に「菅官房長官を慕う面々」(自民党中堅議員)とされる。単純に計算すれば、それは100人近い議員が所属する自民党最大派閥の細田派に次ぐ勢力を意味する。

 菅官房長官が最近、親密な関係を築いている二階俊博幹事長が率いる二階派(48人)を加えれば細田派を上回る最大勢力といえ、「ポスト安倍」選びでは決して無視できない存在なのだ。安倍総理が「政界屈指の政治的技術を持つ」と評する二階氏は、ここのところ次の政局をにらんだ動きを加速している。

 今回の河井夫妻をめぐる公選法違反事件では、党本部から案里氏陣営に約1億5000万円が提供された疑惑が報じられているが、二階氏は「支部立ち上げに伴い、党勢拡大のための広報誌を複数回、全県に配布した際の費用に充てられたと報告を受けている」「言われているような買収に使うようなことはできないのは当然だ」と一蹴。その一方で、今月16日に麻生太郎副総理兼財務相、同17に菅官房長官とそれぞれ会食し、9月には「ポスト安倍」の有力候補である石破茂元幹事長の政治資金パーティーで講演することも快諾した。

トップとナンバー2がガチンコ対決

 二階氏は17日の記者会見で「現政権が任期いっぱいお務めになることを幹事長として補佐していきたい」と述べ、幹事長続投に意欲を示したとも報じられるが、自民党内からは来年9月に任期満了を迎える安倍総理(党総裁)に代わる自民党総裁選を大幅に前倒しすべきとの声もあがっている。それは事実上の「安倍おろし」であり、安倍政権の屋台骨を支えてきた菅官房長官と二階氏が仮に賛同すれば、その実現可能性は一気に高まる。

 「菅官房長官を中枢ラインから外した安倍総理とその周辺への怒りは残っていないといえば嘘になる」。菅氏に近い自民党議員の視線は、すでに次期総裁選に向く。安倍総理は岸田文雄政調会長への「禅譲」を志向しているが、菅氏や二階氏はその路線から距離を置いており、次のトップリーダー選びは安倍政権のトップとナンバー2が「ガチンコ対決」となるのが必至だ。河井夫妻の逮捕で号砲が鳴った「ポスト安倍」政局。4年間の任期満了まで1年ちょっとになった衆議院議員たちのざわめきは「アウト・オブ・コントロール」状態にある。安倍総理は退陣して年内に自民党総裁選を実施するのか、それとも衆議院解散・総選挙を断行して正面突破で再浮揚を狙うのか。いずれにせよ、もはや信を問うべきタイミングである。

 河井夫妻逮捕で事件概要が判明! 辞職しなければ議員報酬支給継続 

DIAMOND online 2020年6月23日(火)6時01分配信/戸田一法(ジャーナリスト)

 昨年7月の参院選を巡る選挙違反事件は、法相を経験した国会議員夫婦の逮捕に発展した。現職の衆院議員が妻を当選させるため、地元有力者に現金を配って回っていたとされる異例の事件。それぞれの秘書が逮捕・起訴された後も説明責任を果たさず、ダンマリを決め込んだ前法相の河井克行衆院議員(広島3区)と案里参院議員(広島選挙区)だが、公職選挙法違反(買収)容疑での逮捕で概要がほぼ判明した。自民党を離党したものの、議員バッジは着けたまま塀の向こう側に落ちた2人。辞職か失職しない限り、議員報酬は支給され続ける。

影響力で配布した現金に差額

 夫妻の逮捕容疑は案里容疑者を当選させるため、共謀して昨年3月下旬~6月中旬ごろ、5人に投票や票の取りまとめを依頼する目的で計170万円の現金を渡した疑い。

 また克行容疑者は単独で昨年3月下旬~8月上旬ごろ、91人に対して116回にわたり、計約2400万円の現金を渡した疑いが持たれている。

 容疑内容の現金を渡した相手は重複しており、実際に受け取ったとされるのは94人。半数近くが議員や自治体の首長、半分以上が後援会の幹部や地元の有力者だった。

 全国紙社会部デスクによると、数回にわたって計100万円以上を受領した人物も複数おり、最高で総額200万円前後とされる。

 当然と言えば当然だが、配布先の影響力によってランク付けされていたようで、県議は30万円。市議は10万~20万円で、ベテラン市議には県議並みの30万円が配布された。

 自治体首長では安芸太田町長(当時)が現金20万円を受け取ったとして「道義的責任を取って」辞職。後援会幹部らには5万~10万円が配られていた。

 逮捕許諾が不要な国会の閉会(今月17日)を待って、満を持して翌日の18日に逮捕状を執行した検察当局。

 16日に広島地裁で有罪判決が言い渡された案里容疑者の公設秘書に対する捜査は広島地検が担ったが、夫妻の事件は東京地検特捜部が主体となって行われた。

消去データ復元とGPSで特定

 事件が浮上したのは昨年10月。前述した秘書らの買収疑惑が週刊誌で報じられ、克行容疑者は法相を辞任。秘書が今年3月、逮捕・起訴された。

 秘書の公判では検察側が「(秘書が)自己の裁量で支払方法を決め……」と指摘したが、弁護側は「金額を決めた主犯者が特定されておらず、立証が不十分」と反論。

 筆者は(公判と夫妻に対する捜査が同時進行だから、検察側は公判段階では「主犯」を隠しておきたいのだな)とみていた。そう、主犯とは克行容疑者のことだ。

 秘書の事件を巡っては、ウグイス嬢に対して法定上限を超える報酬を支払った買収の罪に問われたわけだが、関係者は「選挙のお金に関することは全て克行容疑者が決めていた」と口をそろえていたからだ。

 一般的に汚職や選挙違反の捜査は極秘裏に進められるが、週刊誌の報道が先行した影響で、広島の地元メディアが検察当局の動きを追尾、または先回りして関係者に取材するという、ほぼ公開捜査の様相になった。

 そうした中、今回の事件となった夫妻による現金配布の噂が囁かれ始める。同時に、当初は大阪の特捜部など西日本の検察が応援の中心だったが、加えて東京や名古屋の特捜部が大挙して応援に入り始めた。

 何と言ってもターゲットは法務・検察のトップ経験者。万全を期して慎重に捜査を進めるのはいわずもがなで、経験豊富な精鋭が選抜されたという。

 東京地検特捜部は1月以降、複数回にわたって夫妻の関係先を家宅捜索。その過程でパソコンやスマートフォンなどを押収し、消去されたデータを解析するデジタルフォレンジック(DF)という手法で復元した。

 そして、地元議員や後援会幹部らの名前や金額を記載した詳細なリストが浮かび上がる。検察官らは色めき立った。リストをもとに、人海戦術によるローラー作戦が決定された。

 夫妻から押収したスマホからGPSの位置情報、カーナビの履歴、議員らから任意で提出を受けたスマホのGPS記録と照合し、現金受け渡しの時間や場所を特定。

 議員らに対する聴取で「克行容疑者のGPSを調べた。約20分、事務所にいたことが分かっている」「リストに渡した金額が書いてある」と追及すると、次々に現金授受を認めていった。

証拠隠滅、故意性に違法の認識

 克行容疑者は「不正なことはしていない」、案里容疑者は「違法な行為をした覚えはない」といずれも容疑を否認しているという。

 現職の国会議員が逮捕されたケースは少なくないが、いずれも逮捕直後に容疑を認める例はほとんどない。しかし、捜査当局も相手が国会議員で、杜撰な捜査をするはずもなく、無罪になるという例もまずない。

 それでは、両容疑者の言い分が通る可能性はどれぐらいあるのか。

 詳細な弁解録取を聞いたわけではないので、現時点での筆者の取材ベースではあるが、弁護側が検察側の積み重ねてきた証拠を突き崩すのは困難と思われる。

 さらには公判で悪質と判断されそうな内容もみられ、克行容疑者は実刑の可能性さえあるのではないかという気さえする。

 前述のリストに関してはパソコンからデータを消去していたが、これは明らかに証拠隠滅が目的だろう。

 パソコンだけでなく、克行容疑者は選挙戦を取り仕切っていたが、運動員にLINEで伝えていた指示の送信内容も消されていた。

 また、参院選に関連する書類の一部がシュレッダーにかけられていたことも判明。東京地検は、この中に買収工作に関わる内容が含まれているかどうか調べているとみられる。

 犯行の「故意性」も強く感じられる。克行容疑者は現金を提供した際、議員らに領収書を求めず、むしろ拒否していた形跡がある。

 もし政治献金(寄付)の意図だったならば、むしろ領収書の発行を求め、政治資金収支報告書などの「支出」欄に記載するとともに、領収書も添付しなければならない。

 受領した側の議員らも「収入」欄に記載が必要で、領収書の発行を申し出たのに「いいから」と受け取らなかったという。

 東京地検に聴取された議員らは「案里容疑者が公認を受けたのであいさつしたい」と訪問を受けて現金が渡されたため、投票と票の取りまとめを依頼する意図があると感じていたという。

 そのため東京地検は、克行容疑者は政治資金として適切に処理する意思がなく、違法性を認識していたとみている。

 平たく言えば、買収工作の意図があり、後ろめたいから闇で処理しようとしていた疑いがあるということだ。

 そして何と言っても、前代未聞の約2570万円という巨額の選挙違反事件であることが「実刑」の決定打になるのではないだろうか。

支払われ続ける歳費と経費

 広島県の政界を混乱のどん底に突き落とし、日本国中に政治不信をばらまいた憲政史上に残る汚点といえるこの事件。しかし夫妻とも、国会議員を辞職するつもりはさらさらなさそうだ。

 しかし、逮捕されたとはいえ現職の議員。2人にはそれぞれ月額約104万円の歳費のほか、6月末には期末手当(ボーナス)約319万円が支払われる。

 ほかにも文書通信・交通滞在費、立法事務費、政党交付金、給与秘書など、少なくとも月300万円前後がそれぞれ支給される。

 そして、2人は有罪が確定すれば被選挙権を失い失職するが、それまでは歳費と期末手当、経費は支払われ続ける。

 しかし、2人は逮捕・勾留され、今後も公判が続くため、当然ながら国会議員としての職務を全うできる身の上ではない。それでも自動的に多額の税金が、2人の口座に振り込まれ続けるのだ。

 案里容疑者は県議1期目だった2006年12月の定例会で、藤田雄山知事(当時)の後援会幹部が逮捕された事件を巡り「知事、男らしくなさいよ。私が、もし広島県知事でしたら、恐らく辞職をしています」と迫った。

 案里容疑者には皮肉なブーメランだが、国民全体が「辞職すべきはあなたたちだろう」と憤り、あきれ果てているのは間違いない。

 

2020年6月29日 (月)

【藤井七段】17歳<初タイトルまで✍M1>渡辺棋聖に連勝!!

最年少タイトル王手の藤井七段 風水では「無敵の状態。称号取れる」

東スポWeb 2020年6月29日(月)6時15分配信

 まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。将棋の藤井聡太七段(17)が28日、東京・渋谷区の将棋会館で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負の第2局で渡辺明棋聖(36=棋王、王将)と対局し、後手90手で勝利。7月9日に行われる第3局で勝利すれば史上最年少でのタイトル獲得となる。さらに王位戦にも7月1日から並行して臨む。どこまで飛躍するのか、期待が高まる藤井七段の今後を風水の専門家に占ってもらった。

 やはり〝将棋の神様〟の申し子だ。先勝して迎えた第2局は、異様な雰囲気に包まれた。4日前に出身地の愛知県瀬戸市役所に藤井七段を名指ししての殺害予告の電話があったからだ。

 仮にイタズラだったとしても17歳の高校生が殺害予告を受けようものなら精神的動揺は計り知れない。そんな周囲の心配をよそに藤井七段は終始落ち着き払った様子で、騒動があったことを感じさせなかった。

 矢倉模様の展開から、午後に入って一気に激しい攻め合いとなり、最後は藤井七段が鋭い手を連発し、鮮やかな攻めで寄せ切った。渡辺棋聖を「大胆な指し方でこられた。一気にダメになった」と脱帽させた。

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 これで2連勝。9日の第3局に勝利すると、屋敷伸之九段が持つ18歳6か月の史上最年少タイトル獲得記録を更新する。さらに王位戦も並行して行われ、ダブルタイトルの期待もかかる。

 希代の若き棋士の運勢はどうなっているのか。中国皇帝の運勢診断(皇帝診断)で鑑定する老舗風水専門店「風水改運中心」(東京・浅草)の高澤秀和氏は「彼は今、完全に宿命をうまく操れている。良い名馬に乗って、方向が定まっており、一緒に歩んでいるという感じで無敵の状態。本当にすごい」と話す。

 皇帝診断とは、生年月日などから、その人の生まれながらに持った素質や運気の良い時期などを診断するもの。藤井七段の診断書は「大発達をする幸運に恵まれます。社会的にも信頼され、権利を得て名実ともに発展します」と記されていた。

 高澤氏は「名実とは、名前が有名なだけでなく実力もしっかり伴っているということ。つまり称号を取れるということ。若くして取れるというのは本当にすごいことですからね。彼の場合は努力とは別に、そういうレールが用意されている」と話す。

 最年少タイトル獲得は、運勢的にも確実視されるということなのか? 一方で、気がかりもある。殺害予告があったように藤井七段への注目度がさらに増している。王位戦7番勝負では全国を周る。既に全国区の知名度を誇るが、移動や滞在時にも余計な気苦労が出てくることだ。

 高澤氏は「彼の場合は嫉妬の対象にもなる。普通に棋士としてやっているだけなら何も起こらなかったはず。だが『最年少』など、いろんなタイトルがついて有名になったことでタレント業に近づいてしまった。人気=人の気というものは、好き嫌いが出てしまう」と指摘する。

 現時点で、藤井七段自身は周囲のフィーバーぶりにも全く動じることがないのが、幸いともいえるが、高澤氏はさらなる不動の心を持つために「赤と黒がラッキーカラー」と説く。

「勝負時に赤を取り入れるのがおススメで、服装などの色は紫や黒、グレーなどの寒色系が集中力を高めてくれる。また扇子は龍の絵がついたものを使えば、風が良い気を起こしてくれる」

 この日、藤井七段は師匠の杉本昌隆八段(51)からプレゼントされた和服で臨んだ。くしくも着物は濃紺で、羽織は黒とラッキーカラー通りだ。2度目の和服で、長時間着用しての対局は初ながらも、「普通通りにやれた」といい、やはり集中力も高まったのか。

 最後に高澤氏は「一般の人(高校生)はこれから社会に出て、いろんなことをしながら方向性が決まっていくが、藤井さんはこれからお付き合いしていく人たちの範囲はある意味、狭いので、方向性はずっと決まっている。そういう意味では今後が楽しみ」と話す。

 風水的にも視界良好の藤井七段は最年少タイトルの獲得だけでなく、どこまでタイトルの山を築き上げることができるのだろうか。

所作も見事な藤井七段、師匠から贈られた和服対局

日刊スポーツ 2020年6月29日(月)7時00分配信

将棋の藤井聡太七段(17)が28日、最年少での初タイトル獲得へ王手をかけた。

東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局で、午後6時38分、90手で先手の渡辺明棋聖(36)を下し、2連勝。和装での初白星。中盤から一気に差を広げての圧勝だった。このまま3連勝で17歳11カ月での奪取となるか? 屋敷伸之九段(48)が持つ18歳6カ月の記録更新を目指す第3局は7月9日、東京都千代田区「都市センターホテル」で行われる。

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「東海にタイトルを」。青雲の志に燃える藤井の和服初勝利は、史上最年少でのタイトル奪取に王手をかける大きな1勝となった。黒の羽織、濃紺の着物、グレーの仙台平のはかま姿で下座に着く。師匠の杉本昌隆八段(51)から贈られたもので、着付けは都内の呉服店のスタッフに手伝ってもらったという。

所作は、タイトル戦登場35回、獲得計25期の渡辺にもまったく見劣りしない。盤上でも見事な指し回しでジリジリとリードを広げ、最後はケタ違いの強さで勝利をもぎ取った。「積極的に動いていけた。和服も思ったより快適で普段通りやれた」。大物ぶりを見せつけた。

棋聖戦挑戦権獲得翌日の5日、師匠に電話で「1局目はスーツにしたい」と申し出た。開幕戦の第1局は3日後の8日で、時間がなかった。この日、満を持して和服に袖を通した。

公式戦では1度、和服姿を披露。やはり師匠のプレゼントだった。昨年8月、「将棋日本シリーズJTプロ公式戦」1回戦。この時は三浦弘行九段(46)に敗れ、和服での白星はお預けになったが、タイトル戦という大舞台で獲得した。

プロとして公の場での和服デビューは、昨年4月。都内で行われた、平成の将棋界を振り返る公開イベントでだった。同席した男性棋士は、21歳2カ月の史上最年少名人になった谷川浩司九段(58)、タイトル計99期の羽生善治九段(49)、佐藤康光九段(50)森内俊之九段(49)渡辺棋聖と、全員が名人か竜王の獲得経験者だった。

そこに当時、タイトル戦に登場すらしていない藤井が「新時代の名人候補」という期待含みで招かれた。この時は、書生のようなイメージだったが「(和服の)着心地は良かった。次は大きな舞台で着てみたい」との思いは、いい形でこの日につながった。

今月はこれで9局目。木村一基王位(47)への挑戦権も獲得しており、来月からは棋聖戦とのダブル挑戦となる。過密日程にも「休む時はしっかり休んで、調子を崩さないようにしたい」と語った。

将棋界のタイトル保持者で3年前から替わっていないのは、渡辺の持つ棋王だけ。藤井が挑戦する棋聖も王位も、毎年王者が交代している。「(第3局も)気負わず、今までと変わらない気持ちで臨めれば」と、平常心を貫く藤井。史上最年少タイトル制覇まで、あと1勝だ。

棋聖戦 1962年(昭37)創設。初代棋聖は、故大山康晴十五世名人。94年度まで半年に1回開催。95年度から年に1回に。96年度には、当時のタイトル全7冠を保持していた羽生善治が三浦弘行に敗れ、6冠に後退した。タイトル名の「棋聖」は、将棋や囲碁で抜群の才能を示す者への尊称。特に将棋では、江戸時代末期に出現した不世出の天才棋士、天野宗歩を指すことが多い。

【棋聖戦5番勝負第1局・対局VTR】

◇ 6月8日◇東京・千駄ケ谷「将棋会館」 先手の藤井が渡辺の得意とする矢倉に誘導。双方1分将棋の終盤、16手連続の王手をしのいだ藤井が午後7時44分、157手で勝ち、17歳10カ月20日の史上最年少挑戦記録達成を白星で飾った。

藤井七段の将棋は、師匠「味噌汁にバナナやチョコを入れたみたい

デイリー 2020年6月29日(月)12時14分配信

 棋聖戦2局目で史上最年少タイトル獲得へ王手をかけた藤井聡太七段について29日、TBS系「ひるおび」が特集。生出演した師匠の杉本昌隆八段が、藤井七段の大胆な手を「味噌汁にあり得ないバナナやチョコレートを入れた」と表現した。

 敗れた渡辺明三冠が「前例のない将棋だった」と評した藤井七段の「5四金」。本来は守りに使う「金」を繰り上げた型破りな手に杉本八段は「配置がすごく悪い。金の下に歩というのは。あり得ないんです。これで戦えるって判断は素晴らしかった」と解説。「料理にたとえると、味噌汁を作るときにあり得ないものを使う。バナナやトマトや、チョコレートを全部入れたような。おいしいものはできないと思うが、できあがったら素晴らしいものができてた」と驚きを持って伝えた。

 「指し手を見たらひどい将棋だなと一瞬、思った。十年前の藤井なら注意したと思う。こんな将棋やっちゃだめだよと。今は、いい作戦だなって」とも明かした。

 共に生出演した田中寅彦九段は「羽生(善治九段)以上の棋士は生まれないと思ったが、どうも、これを見てると間違いだったな、とそんな気がしてならない」と最大級の賛辞を贈った。

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藤井七段は、田中寅彦九段が衝撃ツイート「すでに『6億手よむ棋士』」

デイリー 2020年6月29日(月)13時45分配信

 将棋の田中寅彦九段が29日、ツイッターを新規投稿。棋聖戦2局目で史上最年少タイトル獲得へ王手をかけた藤井聡太七段について「すでに『6億手よむ棋士』が正しいか?」と問いかけている。

 田中九段は、2020年の世界コンピューター将棋オンライン大会で優勝した「水匠」開発者・杉村達也氏のツイートをリツイートして、第2局での藤井七段の58手目「3一銀」のすごみをつぶやいた。「昔精密機械と言われた佐藤康光会長は当時1秒一億手読むコンピュータソフトより強かった事から1秒で一億と3手読むと言われた」と挙げて「ソフトが4億読んで分からない最善手を短時間で指す藤井聡太七段は、すでに『6億手よむ棋士』が正しいか?」と記した。

 杉村氏のツイートによると、藤井七段の「3一銀」は「『水匠2』では、4億手読ませた段階では5番手にも挙がらないが、6億手読ませると、突如最善手として現れる手」だという。

 田中九段は同日、TBS系「ひるおび」にも生出演し「コンピューター選手権で優勝したソフトが読むと最善手。それを23分で指した。それを彼は本能で分かってる。人間のレベルじゃなく、コンピューターの先のレベルをウロウロしてるのかな、と。それを私は感動しました。ミュータントですね。どこまで強くなっていくのか。成長過程でこれです」と人間離れした藤井七段の将棋脳に感服していた。

藤井聡太七段(17歳)=最強将棋ソフトが6億手以上読んでようやく最善手と判断する“異次元の手”を23分で指す

Yahoo!コラム 2020年6月29日(月)1時26分配信/松本博文(将棋ライター)

 いやあ・・・。

 棋聖戦第2局▲渡辺明棋聖-△藤井聡太七段。なんともすさまじい一局でした。

 この記事は・・・というか筆者がいつもこのヤフーニュースで書いている将棋の記事には、将棋の指し手を表す、棋譜の符号がいくつか出てきます。将棋にあまり詳しくない方のため、それは最小限にと心がけてはいます。しかしこの記事のように、どうしても符号が必要な場面は出てきます。

「符号が出てきたらもうそこで読む気をなくす」

 そういう方は、符号の意味を理解する努力をされる必要はまったくありません。適当にうまく読み飛ばしてください。

(観戦記は)図面と指し手はいっさい見ない。これが面白く読むコツで、多くの人は、指し手を目で追ったりするから、すぐくたびれてしまう。文を読み、面白いと感じたら、そこで場面を見れば十分である。

出典:河口俊彦八段『将棋界奇々快々』

 以上が先人から伝わる、将棋の記事を楽しく読むポイントです。

 さて、藤井七段の△5四金。対局者の渡辺棋聖をはじめ、誰もが予想できなかったこの金上がりは、新時代を告げる歴史的な一手として後世に伝えられるでしょう。

 そしてその16手後。△3一銀と持ち駒の銀を打つ受けもまた、信じられないような手です。

 渡辺棋聖に▲6六角と2二金取りに打たれた時、藤井七段は残り50分でした。

 ABEMAの中継で表示されている「将棋AI」は局面を解析し、藤井七段の勝率を「61%」と判定していました。やや優勢、というところです。

 「将棋AI」が示す候補手は次の通りでした。

1 △4六桂

2 △3二金 -1%

3 △3一銀 -4%

4 △5五桂 ー8%

5 △3三桂 -11%

 マイナスは勝率がいくら下がるかを示しています。

 ベストに挙げられている△4六桂はなるほど、よさそうな手です。藤井七段は最初その△4六桂の攻め合いを考えていたようです。しかし考えた末に、その順を採用しませんでした。

藤井「激しい変化になるので成算が持てなかったです」

 局後に藤井七段はそう語っていました。

 渡辺棋聖が本線で読んでいたのが△3二金です。これもまたよさそうな手で、そうされると渡辺棋聖は自信が持てなかったようです。

 3の△3一銀以下は参考までに、と挙げられる程度の候補手でしょう。

 しかし藤井七段が選んだのは、検討にも値しないと思われるような△3一銀でした。この手を指し、藤井七段は席を立ちます。渡辺棋聖は驚いたような仕草で、頭に手をやりました。

 この時ちょうど、ABEMAでは立会人の屋敷伸之九段が将棋盤を使って△4六桂以下の解説をしていました。そのため、対局室の音は拾われていません。

 渡辺棋聖は対局中、何度か「いやあ・・・」とつぶやいていました。この時も仕草を見る限りでは「いやあ・・・」というぼやきが聞こえてきそうです。

 さて、この△3一銀はいったい何でしょうか。渡辺玉の寄せに使えそうな貴重な持ち駒の銀を、自陣の金取りを受けるため、防戦一方に打ってしまった。そんなありがたい手のようにも見えます。

 ABEMA「将棋AI」が示す勝率は藤井61%から54%~57%へと戻りました。

 解説の阿部健治郎七段と加藤桃子女流三段が声をあげます。

加藤「いま指されましたね」

阿部「ちょっと意外な手を指しましたよ」

屋敷「意外な手でした?」

加藤「△4六桂ではなくてですね・・・」

阿部「そちらでいま見えてますか?」

屋敷「わからないです、何を指したか」

阿部「いや、これは当たらないと思うんですよ」

屋敷「当たらない自信はあるんですけどね(笑)」

阿部「銀を打ちました」

屋敷「えーと・・・。どっかに打ったんですね。えっ? 盤面見てもわからないですよ」

加藤「クイズみたい(笑)」

屋敷「もしかして受けたんですか。えっ? △3一銀? これすごい手ですね・・・。これは・・・何でしょう? やり直しですね。全部検討が無駄になっちゃった」

 解説陣の反応にも表れている通り、もし藤井七段の△3一銀を「次の一手問題」として出題したら、正解者は限りなくゼロに近いことでしょう。少なくとも人類側の達人が有力な候補手として挙げることはなさそうです。

 さて、この一見ありがたいような△3一銀が、調べてみると実に手強い。実戦でも渡辺棋聖はよくする順を見つけられず、敗戦に至りました。

 局後の感想戦でも△3一銀以下の変化手順は検討されていました。しかしどうも、渡辺棋聖よしの変化はなかったようです。

渡辺「じゃあやっぱそうか、銀入れられてきついんですね。いやあ、そうか、銀ね・・・。そうか、銀か・・・」

 渡辺棋聖は対局中だけではなく、感想戦でもまた「いやあ」とうならされたわけです。

 渡辺棋聖はブログに次のように記しています。

△31銀は全く浮かんでいませんでしたが、受け一方の手なので、他の手が上手くいかないから選んだ手なんだろうというのが第一感でした。(中略)感想戦では△31銀の場面は控室でも先手の代案無しということでしたし、控室でも同じように意表を突かれたと聞いて、そりゃそうだよなと納得したんですが、いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした。

出典:渡辺明ブログ

 さて、改めて現在の最強将棋ソフトは、その藤井七段の△3一銀をどう評価するのでしょうか。

 今年2020年の世界コンピュータ将棋オンライン大会で優勝したのは、水匠というソフトです。開発者は杉村達也さんという弁護士さんです。

 対局が終わった後、杉村さんは以下のツイートをされていました。

 どういうことでしょうか。

 ざっくりいえば、最強ソフトが最初はベスト5にも入らないと判断した候補手が、6億手(局面)以上を読んでようやく最善手として浮かび上がった。そんな手を藤井七段は23分で指した。

 そういうことになりそうです。

 水匠の最新バージョン(水匠2)は無料でダウンロードできます。もし興味のある方は、追実験をなさってみてください。筆者の普段使いのソフトも水匠2です。筆者もまた試してみましたが、なるほど、読みが6億手を超すあたりで△3一銀が最善と判断されます。

 いかに研究が行き届いている藤井七段といえども、将棋は千変万化。中盤奥深くの△3一銀まではカバーできていません。つまり藤井七段は対局中、限られた短い時間の中、比較検討の末に、自力で最善と判断して指した手というわけです。

 これは藤井七段が23分で6億手を読んだことを意味するわけではありません。(たぶん・・・ですが)

 ではなぜ最強ソフトが6億手を読んだ末に最善と判断できる手が指せるのか。

 これはまさに「大局観」という、将棋界における伝統的な概念で理解するよりなさそうです。

 将棋の達人はそれほど多くの手を読まなくても、脳内に蓄積されたいくつかの判断基準から、自然と最善手が思い浮かびます。これが大局観です。

 藤井七段の読みは質、量、速さともに抜群です。たとえば41手の古典詰将棋を二十数秒で解いたこともありました。

 しかし読みの量と速さだけを言えば、コンピュータにはかないません。それを大局観でカバーして最善を導き出した。そう理解するのが自然でしょう。

 さて、杉村さんがもう一つ言及している△7七同飛成。熱烈な藤井ファンなら「ああ、あれね!」とすぐ図面が再現されるでしょう。

 2018年6月5日、竜王戦5組決勝▲石田直裕五段-△藤井七段戦。藤井七段は事前によく読んだ上で△7七同飛成という信じがたい手をノータイムで指しました。この歴史的妙手も、やはりコンピュータは時間をかけて読まないと最善手として導き出せなかった、という点で話題となりました。

将棋史に残る鮮烈な一手。藤井は将棋ソフトにも浮かばない、独自の寄せの構図を描いていた。

出典:中座真七段『将棋年鑑』平成31年・令和元年版

 この△7七同飛成は2018年度を代表する名手として「升田幸三賞」に選ばれました。誰もが納得の選考でしょう。

 今回の△3一銀は、その△7七同飛成に比べると地味で難解です。正直なところ、筆者もどこまで理解できているのか、まったく自信がありません。しかしそうした誰もが思いつかないような地味な名手を指せるのもまた、藤井七段のすごみです。

 藤井七段には現在、タイトル獲得の史上最年少記録更新という期待がかけられています。なるほど、その記録がもし実現されれば、藤井フィーバーはさらに加熱し、大変なことになりそうです。それは将棋界の内外を問わず、多くの人が実現してもらいたいと願っているイベントかもしれません。

 しかし藤井七段は、そうした記録にはほぼ興味がないようです。報道陣は仕事なので、記録に関して繰り返し質問をします。藤井七段の回答はデビュー以来一貫していて、そうした記録などよりもまず、棋力向上を目指して努力するという旨が繰り返し述べられています。

 藤井七段の純粋な姿勢は変わりません。だからこそ、神からの恩寵のような才能がその身に宿り、人々が予想だにしない、呆然とするしかないような名手を、盤上に表すことができるのかもしれません。

 

2020年6月28日 (日)

【11月米大統領選】✍カトリック票が結果を左右する“選挙のジンクス”

トランプ氏を待ち受ける選挙のジンクス 60年ぶり、カトリック系大統領誕生の現実味

47NEWS 2020年6月28日(日)7時02分配信

 11月の米大統領選の結果は、言うまでもなく、多数の要因が絡み合って決まる。その意味で、予測は難しい。候補者の支持率についての世論調査もあてにならないことがある。すっきりした説明は、どこか怪しげだ。

 ただ、これだけは言える。経験的に言えば、国民の22%を占めるカトリック教徒の過半が「選好した」候補は大統領になり、逆に、かれらが「見限った」候補は大統領になっていない、と。つまり、カトリック教徒の選好ぶりと選挙結果は、ある程度つながりがあると言うことだ。(文明論考家、元駐バチカン大使=上野景文)

 より具体的に言おう。

 この20年間に実施された5回の大統領選では、カトリック票の過半は、2000年(ブッシュ候補がゴア候補に勝利)を除き、常に「勝ち馬」を支持して来た。

 すなわち、2004年には52%が共和党のブッシュ候補を、2008年には54%が民主党のオバマ候補を、2016年には52%が共和党のトランプ候補を支持し(クリントン候補支持は45%)、勝利を支えた。カトリック票の過半を集めながら、選挙で敗北した事例は、2000年を除き、ない(表1)。

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 その意味で、カトリック票は、大統領選の結果を支配する「キャスチングボート」的役割を担っているように見える(あくまで、見えると言うことに過ぎないが)。「ベンチマーク」的と言うことだ。

 もちろん、米国のカトリック教徒は多様であり、決して一枚岩ではない。つまり、「ひとつの意思」で動いている訳ではなく、バラバラな集団である。保守、リベラルの間の「綱引き」もある。が、かれらの票の過半を取り込めた候補は当選し、取り込めなかった候補は敗れると言うジンクスがあることは、見逃がせない。因果関係に基づく法則と言えるようなものでは全くないが、経験知ではある。

 ちなみに、2016年にカトリック教徒はクリントン候補を「見限った」(支持率45%)が、この数字は、歴代民主党候補者の中で最低であった。同性婚、LGBTなどの活動家が多いクリントン陣営へのカトリック保守層の反発が強かったことの反映と解される。もしクリントン候補が2008年のオバマ同様カトリック票の54%を獲得していたら、数の遊びになるが、勝利したものと想定される。

 もう1点、補足する。私が、カトリックより人口比率が高いプロテスタント諸派(人口の52%)の票でなく、カトリック票(同22%)に着目するのはなぜか、との疑問があり得よう。もっともな疑問だ。

 が、あの福音派を含むプロテスタント諸派の54―59%はこの20年一貫して共和党候補者を支持して来ており、その姿勢には揺らぎがない。と言うことは、かれらは米国全体の姿を映し出してはいない、と言うことだ。

 これに対し、カトリック教徒の構成を見ると、人種、学歴、職業、所得、宗教心の濃淡などの観点から見て、米国全体の姿を色濃く反映していると言われている。「米国の縮図」と言う訳だ。この20年間、カトリック票は、民主・共和両党間の往復を繰り返して来た(スウィング票)が、それは米国人全体の姿を映し出したものなのだ。

 カトリック系の人たちの選好の行方が選挙の勝敗につながるのは、そういった背景による。

 では、現状はどうか。統計機構によりデータに食い違いがあるが、ピュー・リサーチ・センター、PRRIなどのデータを参考に再整理すれば、この3年間におけるカトリック教徒によるトランプ支持率は、およそ以下のようなものであった(表2)。

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 既述のように、2016年の選挙で、トランプ候補はカトリック票の52%を集めたが、これは、クリントン候補の不人気(白人層に限れば何と37%しか集められなかった)に助けられたものであり、「出来過ぎ」であった。

 本来の実力は、表にあるように、36―37%と言ったところかも知れない。ただ、白人層に限って言えば5割内外の支持がある。このことは、トランプ陣営から見ると、今後に望みをつなげる要素と言えよう。

 ところが、この6月に入ると、事態は急展開を見せた。

 すなわち、コロナ禍の改善が進まないこと、経済の低迷に加え、5月25日の黒人男性ジョージ・フロイドさん殺害事件が全米規模の抗議活動に拡大したことなどを反映してか、CNNによる全米世論調査(6月8日)によれば、トランプ候補の一般国民の間での支持率は41%に低下し、バイデン候補との差は前月の5ポイントから14ポイントに急拡大した。

 こうした流れの中で、カトリック教徒のトランプ支持率も急落。特に、白人カトリック教徒の支持率は55%から37%に急落し、全カトリック教徒の支持率も33%前後に落ち込んだものと推計される。

 上述のように、この20年について見れば、勝者は、2000年を除き、カトリック票の過半を得ている。カトリック教徒の支持が3割台前半に割り込むということは、危険信号そのものだ。

 それ故、トランプ陣営は、カトリック票の取り込みに躍起だ。

 同陣営の選対本部を指揮するぺイボン神父は、中絶問題に焦点を当て、「民主党の思想はカトリックの教えと相いれない。カトリック教会と親和するのは共和党だ」と強調。民主党への攻撃を強めるとともに、「トランプを守るカトリック教徒連合」(the Catholics for Trump)などの運動体を総動員して、臨戦態勢を敷いた。

 中絶問題と言う単一テーマだけで投票態度を決めるカトリック教徒は全体の1/4にとどまると見られているが、一定の効果はあるだろう。

 それに、6月の急落への反動も相まって、カトリック教徒のトランプ支持率はいずれ3割台後半から4割前後までは回復するであろう。

 しかしながら、民主党の候補指名が確定したバイデン前副大統領は、カトリック信者であることと、アイルランド系であることが「売り物」だ。カトリック票を巡るせめぎあいにおいて、4年前のクリントン氏よりはるかに手ごわい相手である。このため、トランプ陣営にとって、カトリック教徒の支持率を50%に戻すことはもちろんのこと、45%に戻すことすら容易ではないだろう。

 さらに、今回も大接戦が予想されるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンなどのいわゆるラストベルト諸州。この3州で勝利すれば、大統領選勝利は濃厚と言われているが、いずれも、カトリック教徒に占める白人比率が8-9割ととても高い。そのかれらの間でトランプ人気が後退しているようで、トランプ陣営にとり頭痛の種となっている。

 重ねて言う。カトリック教徒による支持が40ー45%にとどまりながら、勝利した候補はこの20年出ていない

 論理性、法則性はないものの、過去20年の経験はそう語る。今後4カ月の間に何が起きるか分からないが、トランプ候補にそうした歴史的経験をひっくり返す「怪力」はあるだろうか。

 ケネディ大統領以来60年ぶりに、米国にカトリック系大統領が登場するかもしれない。

 なお、カトリック系大統領登場の暁に大切なことは、その新事態が、米国社会、米国外交にとり、国際社会にとり、さらには、バチカンにとり、いかなる意味を持つかと言う点だ。新事態が到来する場合には、しっかりと考究したい。

バー米司法長官「反政府過激派対策本部の設立を命令

ロイター 2020年6月28日(日)9時42分配信

 バー米司法長官は26日、暴力行為に関与する「反政府過激派」に対応する対策本部の設立を命じた。法執行機関と検察当局にあてたメモを司法省が公開した。

 バー長官は、過激主義者たちは警察官への攻撃や建物などの破壊、罪のない人々に対する脅迫など「公共の秩序を脅かす弁解の余地のない暴力行為に関与」していると非難した。

 米国では、中西部ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官から首を圧迫され死亡した事件をきっかけに、人種差別に抗議するデモが広がっている。デモはほとんどが平和的に行われているが、一部では暴徒化するケースもあり、トランプ大統領らは、デモ隊の中に左派の過激主義者が紛れ込んでいると主張している。

 バー長官は、過激派の「一部は自由と進歩を掲げるふりをしているが、実際は無政府状態や破壊、抑圧を画策する勢力だ」と指摘。「無法という脅威を引き続きもたらしている」組織として、反政府的な過激主義運動「ブーガルー」や、極左過激派「アンティファ」を名指しした。

 長官によると、設立される対策本部は、テキサス州とニュージャージー州の検察当局者2人がトップを務め、さまざまな法執行機関のメンバーが参加するという。

アメリカ黒人差別暴動の真実と「ジョージフロイド」の知られざる正体

サンデー毎日 2020年6月28日(日)10時19分配信/立沢賢一(元証券会社社長)

 ◇ 薬物使用の痕跡と武装強盗の前科

 ジョージ・フロイド氏は身長193センチ体重101キロでした。彼は過去に立て続けに窃盗や薬物所持で逮捕され、2007年にはヒューストンで住居に侵入し武装して強盗した容疑で起訴され、2009年に裁判で司法取引を受け入れ懲役5年の判決を受け収監されました。

 今回、フロイド氏は、ミネアポリスの食料品店で従業員が偽札と特定した20ドル札を使おうとした事から警察に通報され、今回の事件が勃発しました。彼の死亡後、検視官事務所によりフロイド氏には心臓疾患と直前の薬物使用の痕跡、新型コロナウイルスの感染が発表されました。

 フロイド氏を死に追いやったのが白人警察官でしたから人種差別問題として事態は急進展、その後ミネアポリスから暴動が発生し、ミネアポリスのミッドタウンにある30を超える企業が被害を受けました。

 強奪は5月28日に近くのセントポールにあるターゲットでも起こり、更にウェンディーズが火事になり、ダラーツリーなど、他の店舗が強奪されて周辺地域に被害を与えました。

 また、暴動はミネアポリスだけでなく、カリフォルニア、オハイオ、コロラド、ニューヨーク、テネシーや首都ワシントンなど全国レベルにまで広範に拡散しました。

 ◇「トランプ降ろし」のために民主党が利用?

 5月31日、トランプ大統領は暴徒化した一部の抗議活動をANTIFAという極左組織が扇動しているとして、Twitterで「ANTIFAをテロ組織に指定する」と表明し、6月1日には州知事らとの電話会議で各州の対応を「弱腰」と非難。地元当局の行動が不十分なら、自ら軍を動員するとまで主張しました。 

 実際に、民主党下の州では知事がすぐさま対応せず、「このような暴動は市民のガス抜きに有効的で、しばらくやらせておけば落ち着く。」というスタンスになりがちなのです。

 つまり、この一連の暴動は11月の米国大統領選に向けて、トランプおろしに利用されているという見方もあるのです。

 最近ではトランプ氏からフェイクニュースとして名指しされたことで有名なCNNやABCなどメジャーメディアは反トランプ派です。ですから彼らはメディアという武器を使ってトランプ大統領に様々な攻撃をしているのです。

 例えば、フロイド氏に関する報道で、日本でも彼が通っていた(?)キリスト教会の動画を配信していました。それだけ見れば、フロイド氏のイメージは決して悪者にはなりません。

 実際に、どの米国メディアでもフロイド氏が実刑を受け収監されていたことや、偽札を使った事実を全面的に報道してはいません。(もしかしたら、彼は刑に服したあと改心して善良なる市民になっていたのかも知れませんので私達は偏見を持ってはいけないでしょう。然し乍ら、意図的に偽札を使ったり、薬物使用の痕跡がある人を善良なる市民とは言えないように思いますが、真のジョージ・フロイド氏がどんな人物であったかを判断する材料は揃っていません。)

 ですから反トランプメディアはトランプ大統領が州の対応が弱腰だとか軍を動員すると発言したことを報道するとともに、人種差別というイメージを彼に植え付け、ネガティブな印象を国民に与えようと意図しているのです。

 ◇ トランプ大統領再選の可能性

 それでは本当にこれでトランプ大統領再選に黄色信号が灯るのでしょうか?

 答えは真逆だと思います。

 トランプ大統領はニューヨークの国際金融資本のためではなく、中産階級以下の労働者のために立ち上がった大統領ですから、一連の暴動で、負の影響を受けている貧民層は寧ろ、トランプ大統領による強権的な法律による統治を求めている筈なのです。

 彼らにとって、ロシアゲートの様な自作自演でトランプ大統領の足を引っ張る民主党よりもトランプ大統領への信頼の方が遥かに大きいと言えるのです。ですから私は、大方の人達が予想しているように黄色信号は灯らないと思っています。

 米国労働者階級の人達が歴代大統領から過去30年以上に亘って、蔑ろにされてきたのは事実で、彼らに救いの手を伸ばそうとしているトランプ大統領が彼らにとって最後の砦とも言えるからなのです。

 黒人差別肯定した風と共に去りぬ」のヤバい中身 

東洋経済オンライン 2020年6月17日(水)11時01分配信/猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)

 アメリカで人種差別撲滅のための「Black Lives Matter」運動が続く中、映画『風と共に去りぬ』がストリーミングサービス「HBO Max」の配信ラインナップから削除されたことが話題を呼んでいる。

 映画史に残る不朽の名作が問題視された理由は、「奴隷制を肯定的に描いたり」「南部戦争以前の南部を賛美したり」しているからだと言われている。

 「問題と思われるシーンがあるなら、そこを削除すればいいのでは」という意見も聞いた。しかし、それでは問題は解決しない。

“不朽の名作”はなぜ削除されたのか? 

 今、どうしてこの映画が問題視されるのか。それを語る前に、背景をクリアにしておきたい。まず、配信中止を決めたのはワーナーメディアのストリーミングサービスHBO Maxのみで、アメリカで『風と共に去りぬ』が見られなくなったわけではない。また、HBO Maxの措置は、あくまで一時的なものである。

 次に、ワーナーメディアは、抗議デモが起きたのを受けて配信を中止したのではない。オスカー受賞歴のある黒人脚本家ジョン・リドリーが、日刊紙L.A. Timesに、HBO Maxを名指しする意見記事を書いたから、慌てて削除したのだ。リドリーに言われなかったら、おそらく今も平気で配信を続けていただろう(リドリーから名指しされなかったアマゾンプライムは今も配信を続けている)。

 現に「Black Lives Matter」運動の発端となった、ミネアポリスでジョージ・フロイド事件が起きたのは5月25日だったが、その2日後にサービス開始したHBO Maxは、6月8日の夜にリドリーの記事がオンライン版に出るまで、トップページに堂々と『風と共に去りぬ』を配信ラインナップの1つとして表示し続けていた。

 実のところ『風と共に去りぬ』に対する批判は、以前から言われてきたことだ。ワーナーメディアも、まったく知らなかったわけではないだろう。ただ、それほど留意すべきことだとは思っていなかったはずだ。

 少なくとも、「Black Lives Matter」運動と結びつけて考えることはしていなかった。そこへ、リドリーから突然、「この映画は南北戦争前の南部を美化し、奴隷制度の残酷さを無視するもの」と指摘され、問題に気づいたのである。

 リドリーの指摘は、『風と共に去りぬ』の問題点を凝縮している。この映画は、まさに白人が見て、「あの頃は良かったなぁ」と思いを馳せるものだ。「あの頃」とは、奴隷所有が許されていた時代である。

 そもそも映画は、「かつて在りし騎士道と綿畑の地。人はその地を古き良き南部と呼んだ。その麗しい世界で最後に花を咲かせた、勇気ある騎士たちと艶やかな淑女たち、奴隷を従えた主人たち。今は歴史に記されるだけの儚い思い出となった大いなる文化は、風と共に去りぬ……」という、アーネスト・ダウスンの詩のテロップとともに始まる。

 物語は南北戦争前に始まり、映画は白人が黒人奴隷を所有し使役することが当たり前だったその頃の南部の幸せさと豊かさを強調する。ところが、奴隷制度に反対する北軍が勝ったことで、南部の人たちは苦境へ落ちる。「ああ、なんという悲劇」というわけである。

 映画には南軍の負傷兵たちも出てくるが、自分たちの仲間をそんな目に遭わせたのは「非人道的な奴隷制度への固執」だということには、もちろん触れられない。

問題視される「明るい奴隷制度」

 さらに、リドリーも指摘するように、この映画は奴隷制度が残酷なものだったことにはほとんど目をつぶっている。それどころか、奴隷たちは主人であるオハラ家に尽くすことが幸せであるような描写すらしている。何も知らない人が映画だけを見たら、奴隷制度がそんなにひどいものだとは思わないだろう。

 『風と共に去りぬ』は、歴史を白人目線で振り返る映画だ。女性の奴隷が、白人女性たちの昼寝中に、棒についた羽のようなもので一生懸命涼しい風を送り続けるといったシーンを削除するというような程度では、とうてい差別的な視点を解消できない。

 もうひとつ、舞台裏の話もある。今作では、ハティ・マクダニエルが黒人女優として初めてオスカー(アカデミー助演女優賞)を受賞したが、1940年の授賞式で彼女は共演者と同じテーブルに座ることを許されなかった。

 授賞式の会場に使われていたアンバサダー・ホテルは「黒人お断り」で、オスカー受賞ということでさすがに考慮してもらった結果、なんとか彼女はオスカー像を置いておくための裏部屋への入室を許されたのである。

 当然、授賞式後のアフター・パーティーにも彼女は参加できていない。

 それでも、彼女はひとつの歴史を作った。その映画を永遠に葬ることは、彼女の功績をも否定することである。また、この映画をなかったことにすれば、そういった描写が平気で行われていたこともなかったことにされる。

 都合のいい目線の映画が作られ、大傑作だと称えられ、興行成績でもインフレ調整をすれば今も映画史上最高のヒットになった時代があった。その背後で黒人たちが不快な思いをしていることなど、その頃の白人たちはまったく考えもしなかった。それは、“歴史の事実”としてそのまま残しておかなければいけない。

 だから、リドリーも意見記事の中で提案しているように、この映画は作品自体には手を加えず、説明書きを付けた形で配信するのがいいと思う。

 本編が始まる前に「今作は当時のフィルムメーカーらの視点で語るものであり、我が社の価値観を表明するものではありません」とお断りを出し、映画の後には識者のインタビュー映像などを付けるのだ。

 その際は、リドリーに出演してもらうのもいいだろう。奴隷制度についての実話を描いた『それでも夜は明ける』でオスカーを受賞し、ロサンゼルス暴動に至るまでの10年を語るドキュメンタリー『Let It Fall: Los Angeles 1982-1992』を監督した彼は、その役割に最もふさわしい人だ(余談だが、リドリーは1989年か1990年ごろ、日本に住んだことがあり、日本語も少し話せる。筆者が「日本で一番覚えていることは何か?」と聞くと、「たこ焼き」と答えてくれた)。

「アメリカが良かった時代」の欺瞞

 今後、HBO Maxは何らかの配慮を加えたうえで同作を再配信する予定だ。その際には「面倒くさい時代になったものだ」という声も聞こえてくるに違いない。

 しかし、これからますます同様のことが増えていくのだから、映画関係者や観客はそれを受け止める覚悟をしておかなければならない。一方的な視点が許された時代はもう終わったのである。

 それを無視して突っ走ろうとするのは、トランプがアメリカを60年か70年前に引き戻そうとするのと同じことだ。トランプのいう「アメリカが良かった時代」は、有色人種や女性、同性愛者にとっては、決してそうではなかった。成熟した社会を実現するには、すべての方向に耳を傾けなければいけない。『風と共に去りぬ』の価値を見直すというのは、つまりは、そういうことなのだ。

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2020年6月27日 (土)

【ボルトン回顧録】アマゾン売り上げ1位『それが起きた部屋』ダイジェスト

ボルトン“暴露本”暴露本炸裂!“日韓外交格差”鮮明、南北終戦阻止

夕刊フジ 2020年6月26日(金)16時56分配信

 話題のボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の回顧録が23日出版された。著書には安倍晋三首相の名前が150回以上登場、トランプ米大統領と緊密な関係を築き、米朝首脳会談でも日本人拉致問題が言及されたと明かされた。対照的に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に関しては徹頭徹尾批判的で、「日韓外交格差」が鮮明になった。

 著書『それが起きた部屋』でボルトン氏は、「世界のリーダーでトランプ大統領と最も個人的な関係を築いているのは安倍首相だ」とし、両者は「ゴルフ仲間であり仕事仲間だ」と表現した。

 トランプ氏は安倍氏の父親の晋太郎氏が第二次世界大戦中に神風特攻隊に志願したことに言及するのを好み「日本人や、特に安倍氏がどれほどタフかを示そうとした」と振り返った。

 米朝首脳会談では、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の非核化意思を疑う安倍首相や谷内正太郎国家安全保障局長(当時)が北朝鮮ペースに引き込まれないよう米側に働き掛け、日本人拉致問題の提起も求めた。

 実現はしなかったが、米側は2018年6月のシンガポールの合意文書で拉致問題に言及することを北朝鮮側に要求。トランプ氏は決裂した19年2月のハノイ会談でも拉致問題を取り上げた。

 正恩氏は、シンガポールでの初会談では制裁解除よりも体制保証や朝鮮戦争の終戦宣言を優先していたが、ハノイでは一転、制裁解除だけを要求。終戦宣言も韓国の希望にすぎず、必要ないとの立場に転じたという。

 ボルトン氏は「日韓の見方は180度逆だった」として、正恩氏の非核化の意思を吹聴した文政権を批判した。

 昨年6月の板門店(パンムンジョム)会談では、北朝鮮が嫌がったにもかかわらず、文氏が強引に現場入りしたと主張した。韓国政府は回顧録について「事実を大きく歪曲している」と反発した。

 超大国の指導者としてのトランプ氏の資質を疑う記述も多い。今年6月、中国の習近平主席に配慮して天安門事件に関する声明発表をやめさせた。ロシアのプーチン大統領についてボルトン氏は「トランプ氏を簡単に手玉に取ることができる」と評した。

 ボルトン氏は昨年7月の訪日時に、トランプ氏が在日米軍駐留経費の日本側負担として現在の4倍以上に当たる年間約80億ドル(約8550億円)を要求していると伝えたとも明かした。日本政府は否定している。

 米韓軍事演習を中止したり、北大西洋条約機構(NATO)脱退を示唆するなど気まぐれな決定を繰り返したという。

 米国政治に詳しい福井県立大学教授の島田洋一氏は、ボルトン氏の意図を「トランプ氏が対中国、対北朝鮮政策に宥和的にならないようにクギを刺すものではないか」とみる。米大統領選への影響については「ボルトン氏は共和党内でも『強硬』『危険人物』という認識を持たれており、トランプ氏が穏健だという印象になるかもしれない」との見方を示した。

 韓国への厳しい評価に関しては「2007年に出した回顧録でも金大中(キム・デジュン)元大統領の太陽政策を批判している。韓国は全く学ばないという感覚があるのだろう」と指摘した。

 ボルトン暴露本が明かす“”関係の光と影 

JBpress 2020年6月27日(土)6時01分配信

米国内よりも世界に強烈なインパクト

 ジョン・ボルトン前大統領補佐官の回顧録『The Room Where It Happened: A White House Memoir』(それが起きた部屋:ホワイトハウス回想録)は、米国内というよりも世界中のトップやメディアに強烈なインパクトを与えている。

 理由は2つある。

 一つは、ボルトンという頭脳明晰な学者兼外交官が身近で目撃したドナルド・トランプという稀有な大統領の実像・虚像が明かされているからだ。

 もう一つは、ボルトンという共和党歴代政権で常に日の当たる場所に身を置き、超タカ派思想を各政権に植えつけてきた外交のエキスパートが、何を見聞きし、どう分析していたかへの関心だ。

 メモ魔と言われるボルトン氏が機密情報漏洩スレスレに公開した中身も興味深い。

 どの国の指導者たちも対外交渉の中身は自国民には明かさないからだ。

 特に目につくのは韓国の文在寅大統領周辺と韓国世論の騒ぎようだ。今にも政権がぶっ倒れそうな感じすらする。

 在韓米軍駐留費交渉や米朝首脳会談の経緯を巡ってボルトン氏が暴露した裏話は、事実なら、文在寅大統領の政治生命は危うい。

 さらに言えば、ここまで書かれてしまった北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長や金与正党第一副部長はどんな顔をしているのだろう。

 この本に書かれていることは真実であり、事実なのだろうか。

 米テレビ局のインタビューで、「ホワイトハウス在任期間のノートはすべて破棄されたのに500ページもの本をどうして書けたのか」と聞かれたボルトン氏は、「私は生まれつき記憶力が良いからだ」と平然と答えている。

 ボルトン氏はイエール大学首席卒業の秀才。在学中には州兵予備役として入隊、陸軍予備役としてベトナム戦争に従軍する寸前までいっていた。

 (このへんは仕えた大統領がすべて兵役を忌避していたのは大違いだ)

 その後、エール大学法科大学院で法務博士号を取得している。

 根っからの共和党員*1で、ロナルド・レーガン第40代大統領の下で司法次官、国務次官補などを歴任するなど要職をこなした。*1=2014年以降、共和党の現職上下両院議員に政治資金を提供、2020年の上下両院選に再出馬している現職議員数人に選挙資金を出している。

 (https://www.thedailybeast.com/john-bolton-is-a-pariah-but-will-republicans-still-take-his-cash)

 2003年のイラク侵攻では他のネオコン(新保守主義者)学者・官僚とともに旗振り役を演じた。

 今ではイラク侵攻は「間違った戦争」という概念が米国では定着している。

 ボルトン氏をよく知る主要シンクタンクの上級研究員K氏はこう指摘している。

 「当時ブッシュ政権(子)で国務、国防両省の要職についていたネオコンはイラク戦争の『戦犯』として一掃されてしまった」

 「そうした中でもボルトン氏はどっこい生き残った。トランプ大統領に拾われて最終的には国家安全保障担当補佐官にまで上り詰めた。それだけにリベラル派や主要メディアからは目の敵にされてきた」

 「今回なぜ本を書いたのか。真意は分からない。トランプ大統領が違憲すれすれのことを外交でやっていたと批判しているが、それならなぜ2019年12月の下院司法委員会で証言しなかったのか」

 米国内でトランプ大統領の「犯罪」を追及するリベラル派の面々もその点が引っかかっている。

 軽いタッチで米政治社会を鋭くえぐるワシントン・ポストの女性コラムニスト、アレクサンドリア・ペトリ氏はこう辛辣にコメントしている。

 「ボルトン氏の投げた手投げ弾は、言ってみれば飼っている子犬が大事にしているクッションに粗相をしたようなもの」

 「もはや驚きもしない。しかしがっかりしている」

 「見聞きしたすべての情報を下院で証言する代わりに本を書くためにとっておいたのだから」

 (https://www.washingtonpost.com/opinions/2020/06/18/heres-what-truly-shocking-revelation-would-sound-like-john-bolton/)

 ボルトン手投げ弾で一番ショックを受け、慌てふためいているのは韓国の文在寅大統領だろう。

 文在寅大統領がこれまでやってきた対北朝鮮交渉が独りよがりで思い込みが激しく、文在寅大統領自身、お粗末な仲介者だったことを露呈しまったからだ。

 韓国の有力紙、東亜日報は「北朝鮮の非核化詐欺、韓国のお粗末な朝鮮半島運転者論や仲介論が虚像であることが暴露された」と大上段から構えた社説を載せている。

日本について最も書かれた暴露本

 日本や安倍晋三首相に関する記述もふんだんに出てくる。

 米歴代大統領や閣僚経験者たちの回想録で、これほど日本の首相や日本関連の下りが出てくる本は稀有だ。

 すでに既報済みだが、日米関連政策に関するものとしては、2021年以降の在日米軍駐留費の日本側負担「思いやり予算」を巡る情報がある。

 これはボルトン氏の独断と偏見で書かれた「事実」だ。

 ボルトン氏が昨年7月に訪日した際、日本側にトランプ大統領が年80億ドル(約8500億円)を望んでいることを伝えた。

 2020年度予算に計上された「思いやり予算」は約1993億円だ。トランプ大統領の意向として日本にその4倍以上を望んでいるというわけだ。

 この80億ドル要求説はこれまでにも米メディアでは報じられているが、実名で当時の政府高官が明かしているのは初めてだ。

 ボルトン氏の日本政府への伝達が公式なのか、どうかは分からない。

 菅義偉官房長官は「増額を要求された事実はない」と否定している。少なくとも日米外務・防衛事務レベルでこうした提案が米側から出されたものではないということだろう。

 「思いやり予算」を定める日米特別協定更新に向けた交渉は年内にも本格化する。その場で米側は80億ドルを要求するということなのかもしれない。

 ボルトン氏はさらにこう続けている。

 「(私は80億ドルという数字を挙げたが)トランプ氏だけが彼の満足する数字を知っている。だから本当の数字を推測することは無意味だ」

 「ただ(日本や韓国に対して)前もって数字を示し、警告することがトランプ氏の要求に対応する機会を(日本や韓国に)与えた」

 「トランプ氏は(私に)駐留米軍を撤収するぞと脅すことで(日本や韓国との駐留経費の)交渉でこちらの立場を有利にできると語っていた」

トランプ大統領が頻繁に電話する外国首脳

 トランプ大統領は安倍晋三首相に頻繁に電話をしてきた。なぜか。

 米主要メディアのホワイトハウス詰め記者の一人、W氏はその理由についてこう指摘する。

 「トランプ大統領は側近でも自分の言うことを黙って聞いてくれる人が好きだ。外国首脳でも同じ」

 「安倍首相は聞き上手で、トランプ氏の話をよく聞いてくれるからだろう。トランプ氏は反論されるのが大嫌いだった。安倍氏は反論しないからだろう」

 しかし、どうもそれだけではなさそうだ。

 ボルトン氏は著書の中で安倍氏についてこう書いている。

 「トランプ氏が世界中のリーダーで最も個人的に仲が良かったのはゴルフ仲間でもある安倍晋三首相だ」

 「英国のボリス・ジョンソン氏が首相になり、(最も仲の良いリーダーは)安倍氏と肩を並べることになった」

 「トランプ氏は、安倍氏の父親(安倍晋太郎氏)が旧日本軍のカミカゼ・パイロットだったことについて話をするのが好きだった」

 「トランプ氏は日本人がいかにタフであるか、特に安倍氏はタフだと言っていた」

「安倍氏の父(安倍晋太郎氏)は特攻隊志願兵として天皇陛下のために命を捧げるつもりだったが、それを果たすことはできなかった*2
。もし戦場に赴いていれば、今の晋三(1954年生まれ)はこの世には生まれていなかった」 *2=安倍晋太郎氏は1944年、東京大学入学後、学徒出陣として徴兵され、特攻隊に志願。45年、少尉任官直前に父親の安倍寛氏に「この戦争は負けるだろう。敗戦後の日本が心配だ。若い力が必要になる。無駄な死に方はするな」と止められて諦めた。

 なおトランプ氏は安倍首相の父親が特攻隊志願だった話を2019年8月、ニューヨークで開かれた政治資金集めの会合の席上、明かしている。

 トランプ氏がこの話をどこから「仕入れた」のかは定かでない。安倍氏との初対面の時に国務省あたりが情報を入手し提供したのか。

 いずれにせよ、沈思黙考するのは苦手。思いついたことは何でも口にするトランプ氏が安倍氏についての情報をこうした形で入手していたとは驚きだ。

 と同時に、日本といえば、すぐ思い浮かべる「真珠湾奇襲」のトランプ氏がカミカゼ・パイロットに日本人の勇猛果敢さを見出し、それを安倍氏に投影させているというのも興味深い。

 日米を往復しながら日米関係を時系列的に分析している日本人研究者のY氏はこう言う。

 「平均的な日本人の『トランプ観』は、ハチャメチャな男で世界中が迷惑をしているが憎めない男。日本人はトランプ氏が好きなのか嫌いなのか分からない」

安倍氏は対北朝鮮非核化、拉致では不変

 こうした安倍氏の父親譲りのタフネスぶりをボルトン氏は何度か、目撃している。

 「安倍氏は金正恩氏を全く信用していなかった。日本は非核化と拉致問題について(金正恩氏から)具体的で明確なコミットメントを望んでいた」

 「安倍氏はトランプ氏に『あなたはバラク・オバマ前大統領よりもタフだ』と強調した。今こそ、その点をトランプ氏に想起させる必要があると考えていたし、そのことを示した」

 「シンガポールで行われた米朝首脳会談に先立ってワシントンでトランプ大統領と会談した安倍首相は北朝鮮について、『非常にタフでずる賢い』と言い切った」

 安倍氏は、『北朝鮮にはまず具体的な措置をとるべきだ。(我々は)安易に北朝鮮に対する制裁を解除すべきではない。今解除すべき必要などない』と忠告した」

 だが良いことばかりではない。

 ボルトン氏は2019年6月、安倍首相がイランを訪問した際の裏話を明かしている。

 「後になって知ったのだが、トランプ氏は安倍氏に米国と(日本とは友好関係にある)イランとを取り持つように依頼した」

 「2019年5月、私が東京で安倍首相に会った際、同氏は『トランプ大統領からの要請なので、イランを訪問する』と明かした」

 「その直後の5月27日、東京で行われた日米首脳会談で安倍首相はトランプ氏にイランを6月に訪問すると伝えた」

 「トランプ氏は、それを聞いて椅子から滑り落ちはしなかったし、大事な点を聞き逃してはいなようだったが、深い眠りに落ち込んでいた(つまり安倍氏が話している最中に居眠りをしていた)」

 「安倍氏がイランの最高指導者、アリー・ハメネイ師と会談している最中、イラン沖で日本などの海運会社が運航するタンカーが攻撃された」

 「イランは安倍氏に平手打ちする形で、日イラン首脳会談は完全な失敗に終わった」

 「安倍氏は帰国後、トランプ氏と電話会談した。トランプ氏は『協力には感謝する。だが個人的には日本に米国の農産物をもっと買ってもらう方が重要だ』と、(自らが安倍氏に依頼した米国とイランとの関係を取り持つことなどよりも)すでに自分の関心事は(再選に向けた)農産物の輸出の話題に移っていた」

 朝令暮改、今朝言っていたことは夕方にはころりと忘れしまう。しかも最大関心事は常に2020年の大統領選でいかにしたら再選するか、そのために支持層に益となることを外交の主軸に据える。

 トランプ氏の外交について、ボルトン氏がこう言い切っているゆえんだ。

 「トランプ氏には個人的な利益と国家の利益、つまり国益との違いを分別することができないのだ」

文在寅大統領: 「自衛隊には絶対に韓国の土を踏ませない

 日韓関係のくだりでは、文在寅大統領の生の声が出てくる。

 ハノイでの米朝首脳会談後の2019年4月11日、ワシントンで米韓首脳会談が行われた。

 「トランプ大統領は、ワーキングランチで文在寅大統領にこう尋ねた。『韓国は同盟国として日本と共に戦うことができるか』」

 これに対して文在寅氏はこう答えた。

 「日韓で合同軍事演習はできる。しかし日本の兵力(自衛隊)が韓国の土を踏むことには韓国国民に(日韓併合時の)歴史を思い出されることになる」

 トランプ氏はさらに質問した。

 「万一我々が北朝鮮と戦わなければならない状況に立ち入ったら、どんなことが起きるか。韓国は日本の参加を受け入れることができるか」

 文在寅氏は答えた。

 「日本の兵力が韓国の地に足を踏み入れない限り、韓国は日本と一つになって戦う」

 韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長はボルトン暴露本に書かれた韓国関連部分についてこう指摘している。

 「この本に書かれている相当部分は事実を大きく歪曲している」

 「米韓両国政府間の相互信頼に基づいて(首脳会談をはじめとする政府間で行った)協議した内容に一方的に公開することは外交の基本原則に反する。今後の交渉に向けた国家間の信義を著しく殷損しかねない」

 (https://time.com/5856977/south-korea-john-bolton-book-kim-jong-un/)

 トランプ大統領の超側近、マイク・ポンペオ国務長官はボルトン氏の暴露本について刑事上の責任を負うべきだと、6月23日のフォックス・ニュースとのインタビューで主張している。

 「(現在情報漏洩罪など数十件の容疑で米連邦捜査局=FBIが捜査している)エドワート・スノーデン元米国家安全保障局(NSA)元分析官のように国家機密情報を暴露すればどうなるか。ボルトン氏も同じ目に遭うだろう」

 (https://www.foxnews.com/media/pompeo-john-bolton-not-dissimilar-edward-snowden)

日米同盟関係を壊されることだけは避けよ

 話をトランプ大統領と安倍首相との関係に戻す。

 おそらく歴代首相で米大統領とこれだけ親しくなった(つまり米大統領がこれほど日本の首相に親近感を感じて付き合ったという意味では)ドナルド・シンゾー関係は、レーガン大統領と中曽根康弘首相とが築き上げた「ロン・ヤス」関係の上をいっているかもしれない。

 その親密な関係は日本にとって役立ってきたのか。

 長年日米関係をジャーナリストしてフォローしてきたY氏はこう指摘している。

 「安倍氏は一見、トランプ氏におもねっているようで環太平洋パートナーシップ協定(TPP)締結にしろ、地球温暖化防止のパリ協定残留にしろ、米国とは一線を画す形で日本としての主張は貫いてきた」

 「貿易面でもトランプ氏は当初、対日貿易赤字700億ドルを何とかせよと言っていたが、今は引っ込めている」

 「安倍氏はトランプ流外交、つまり言っていることとやっていることの間にある乖離をうまく見抜いている」

 「日本にとっての対米政策の根幹とは、日米同盟を崩さぬこと。長い日米関係の中ではトランプ政権は、まさに片時で瞬間的なもの」

 「中長期的はおろか短期的にも戦術も戦略もないトランプ大統領にその根幹をいじくってほしくない。そのためにトランプ氏がカミカゼ・パイロットの安倍氏の父が好きだ、ということで安倍首相が好きだと言うなら、それを利用すればいいことだ」

 超タカ派で権力主義者を嫌い、人権尊重主義者、つまり中国の習近平国家主席や金正恩朝鮮労働党委員長が大嫌いなボルトン氏が渾身の力を絞って書き上げた暴露本。

 百人百様の読み方がありそうだ。

 習的中國超大国への道最大の障壁ニッポン 

Newsweek日本版 2020年6月27日(土)18時33分配信/From Foreign Policy Magazine

<かつてアメリカが通った道か、歴史の常識を覆す新たな道か。習体制はどちらのアプローチを選ぶ?本誌「中国マスク外交」特集より>

 もはや、超大国になる野望を隠すつもりはないらしい。中国が世界のリーダーの地位をアメリカから奪おうとしていることに疑いの余地はない。その兆候は、世界中のあらゆる場所に表れている。

 習近平国家主席は2017年、中国が「新時代」に突入したと宣言し、「世界の舞台で中心的な役割を果たす」と述べた。19年には米中関係が悪化するなかで、中国共産党政権の樹立に至る過程での長く厳しい戦いを引き合いに出して「新しい長征に乗り出すべきだ」と訴えた。

 習体制は、新型コロナウイルス危機まで利用しようとしている。自らの権威主義体制のせいで一層深刻化した危機を、自国の国際的な影響力を強化し、中国モデルを輸出する好機と考えているようだ。

 中国が真の超大国を目指しているとすれば、その目標を達成するために選べる道は2つある。

 1つは、アメリカの多くの戦略専門家が予測してきた道だ。この道を選んだ場合は、まず自国の周辺の西太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグローバルな超大国の座を目指すことになる。もう1つは、これとはまるで違う道だ。こちらは、戦略と地政学の歴史的法則に反するアプローチに思えるかもしれない。

 中国がどちらの道を選ぶかは、中国の戦略専門家だけでなく、アメリカの戦略専門家にとっても、ひいては世界全体にとっても大きな意味を持つ。

 一般的には、中国はまず地域レベルの覇権を打ち立てることから出発して、世界的な影響力を確立しようとするだろうと考える論者が多い。

 といっても近隣諸国を物理的に占領するわけではないが(ただし台湾は例外かもしれない)、西太平洋に君臨することを目指す。日本から台湾、フィリピン、インドネシアへと続く「第1列島線」を突破して、その外にまで影響力圏を押し広げていく。近隣諸国の安全保障と経済を実質的に牛耳り、アメリカの同盟体制を引き裂き、アメリカ軍を中国から遠ざけるのだ。

 アメリカの専門家がこのシナリオに信憑性を感じる理由の1つは、自国が世界のリーダーに上り詰めた過程とよく似ていることにある。アメリカが世界で主導的な役割を果たそうとするなら、その前に北米で、そして西半球で盤石な地位を築く必要があると、アメリカの指導者たちは建国直後から一貫して考えていた。この考え方は、20世紀の冷戦期にもはっきり見て取れた。

最大の障害は地域の大国・日本

 今日の中国が同様の発想を抱いていると見なせる材料は確かにある。中国が取っている行動の多くは、西太平洋に支配を確立するために計算されたものに見える。

 まず、中国は防空能力と海軍力の整備を強力に推進している。これは、アメリカ軍の艦船や航空機を自国に近寄せないために必要なものだ。南シナ海と東シナ海を自国の内海のようにすることにも力を注いでいる。

アジア支配は容易ではない

 中国は、アメリカと同盟国や友好国の関係を引き裂くことにも腐心してきた。「アジア人のためのアジア」という考え方も強調している。これは、アジアの問題はアジア諸国で解決し、アメリカの口出しを許すべきではないと言っているに等しい。

 もう1つ見落としてはならないのは、台湾征服に必要な軍事力を擁していると公言し続けていることだ。台湾が中国に武力で征服されれば、地域のパワーバランスは一夜でひっくり返る。アメリカがほかの同盟国や友好国を守れるかという点にも疑問符が付くだろう(一部の専門家によれば、今すぐ、もしくは数年以内に台湾海峡で米中が戦火を交えるかどうかは五分五分だという)。

 しかし、中国がこの道を進むと決め付けるべきではない。今日の中国が近隣諸国を影響下に置くことは、アメリカがかつて西半球を影響下に置いたときよりはるかに難しい。そのことには、中国指導部も気付いているはずだ。

 中国のすぐそばに、地域の大国で、しかも中国より強大な超大国の同盟国でもある国がある。日本のことだ。中国が「第1列島線」の先まで影響力圏を広げるには、日本が大きな障害になる。この点で、かつてのアメリカとは状況が異なる。

 中国は、インド、ベトナム、インドネシアなど、多くのライバル国にも囲まれている。それに、自国のことを──単に目障りな存在というだけにとどまらず──最大の脅威と位置付けている超大国がある(言うまでもなくアメリカのことだ)。

 つまり、地域レベルの覇権を確立して、それを足掛かりにグローバルな超大国の地位を確立するというアプローチが成功する保証はない。そこで、中国が世界のリーダーを目指すためのもう1つの道に目を向ける必要がある。

 その第2の道を選ぶ場合、中国は少なくとも差し当たり、アメリカをアジアから追い払うことを(不本意ながらも)断念する。代わりに力を入れるのは、世界の経済ルールと、テクノロジーの標準、政治的制度を自国に有利なように形づくることだ。

軍事力より経済力・技術力が重要

 具体的には、自国の東に位置する西太平洋ではなく、西に目を向ける。ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立し、それと並行して国際機関で中心的な地位を占めることを目指すのだ。

 このアプローチの土台を成すのは、世界のリーダーになるためには、軍事力よりも経済力と技術力のほうがはるかに重要だという認識だ。そうした発想に立てば、東アジアに勢力圏を築くことは、グローバルな超大国になるための前提条件ではない。西太平洋では軍事的バランスを維持するだけでよく、軍事以外の力を使って世界に君臨することを目指せばいい。

 この道を歩む場合も、中国にとってアメリカが先例になり得る。第2次大戦後に形成されて冷戦後に強化された国際秩序でアメリカがリーダーの地位を確立できた背景には、3つの重要な要素があった。

 1つは、経済力を政治的影響力に転換できたこと。もう1つは、どの国にも負けないイノベーション能力を維持できたこと。そしてもう1つは、主要な国際機関や制度をつくり、国際的行動に関する重要なルールを定める力を持っていたことだ。中国は第2の道を進む場合、この3つの要素を再現しようとするだろう。

 そのためにはまず、「一帯一路」構想をユーラシアとアフリカ両大陸に広げる必要がある。加えて、デジタル版「一帯一路」とも言うべき「デジタル・シルクロード」構想の推進も重要だ。中国製の通信インフラを広く整備することで、習政権は17年の党大会で宣言した「サイバー超大国」への道に一歩を踏み出せる。

 こうした攻めの対外経済政策に加え、国家主導で新技術の開発に巨額の投資を行うことで、中国は人工知能(AI)、量子コンピューター、バイオ技術といった最先端分野で優位に立てるだろう。

 アメリカが自国の政治理念に基づいて第2次大戦後の主要な国際機関の設立を主導したように、中国も第2の道を進むなら、国際秩序の柱となる政治理念をつくり変えようとするだろう。中国が国連のあらゆる機関で自国の権益を守り、人権よりも国家の主権が重視されるよう全面攻撃を仕掛けていることは、多くの専門家が指摘しているとおりだ。

 外国に対する世論操作や工作活動などの手段で自国に有利な状態をつくり出す「シャープパワー」戦略というフレーズは、近頃ではオーストラリア、ハンガリー、ザンビアなど民主主義国の政治的言説に影響を及ぼそうとする中国の強引な試みを表す言葉としてすっかり定着した。中国は各国にアメリカを上回る数の外交官を送り込むばかりか、金融や気候変動対策などのルール作りを担う国際機関で議論を主導するため執拗な働き掛けを行っている。

国力は上でも苦戦するアメリカ

 中国がこうした攻勢に出るなか、折しもアメリカは秩序の守り手としての伝統的な役割を返上しようとしている。このタイミングの一致が事態の行方を大きく左右しそうだ。

国力は上でも苦戦する米政府

 ドナルド・トランプ米大統領は従来どおり軍事部門に多額の予算を投じる方針を打ち出しており、アメリカはアジアにおける軍事的プレゼンスを維持できるだろう。その一方で、グローバルな影響力拡大を目指す中国の動きには、トランプは大して関心を示しておらず、示したとしても気まぐれな反応にすぎない。しかも残念ながらトランプ政権のコロナ対策は今のところアメリカの地位低下を印象付ける結果になっている。

 中国が世界で指導力を発揮しようとしているのは、ただ単に西太平洋においてアメリカの軍事的プレゼンスを出し抜くためかもしれない。

 もちろん、この道にも問題はある。中国はアメリカのようには世界に公共の利益を示せないだろう。国力が劣るからでもあるが、権威主義的な政治制度の下では、アメリカの優位を特徴付けた、比較的開かれた非ゼロサム思考のリーダーシップを発揮するのは難しいからでもある。

 この点でコロナ禍は両刃の剣となった。米政府の手ぬるい対応を見て、世界はアメリカの能力と信頼性に懸念を強めたが、その一方で中国が危機においていかに無責任な行動を取るかも誰の目にも明らかになった。

 しかも、中国が指導的な地位に就くにはイデオロギー的な障壁がある。中国の台頭をめぐる緊張は、経済と地政学的な利害の衝突によるものだけではない。民主主義的な政府と強力な権威主義的政府の関係にしばしば影を落とす、より深い本質的な不信もそこに潜んでいる。

 今のところ中国は2つの道の両方を試そうとしているようだが、中国の経済か政治制度が揺らいだり、競争相手の国々が賢明な対応を取れば、どちらの道もうまくいかない可能性も大いにある。

 アメリカは自ら地位低下を招くトランプ路線を捨てさえすれば、中国との競争に耐え抜いて余りある国力を今も保持している。ただ、中国が取り得る道筋が2つあるため、かつての冷戦でソ連を相手にしたときよりもこの競争は厄介で、アメリカは苦戦を強いられるだろう。

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関連エントリ 2020/06/26 ⇒ 【日経平均】3日ぶり反発<米金融規制緩和を好感>欧米株高で買い戻し

関連エントリ 2020/06/25 ⇒ 【日経平均】続落<NY株先物安✍コロナ感染拡大>感染再燃の懸念強く

関連エントリ 2020/06/23 ⇒ 【第45代大統領】緊急出版“暴露本”ボルトン前補佐官「日本を脅せ」指示✍明かす

 

2020年6月26日 (金)

【日経平均】3日ぶり反発<米金融規制緩和を好感>欧米株高で買い戻し

 〔東京株〕3日ぶり反発=海外株高で買い戻し 

時事通信 2020年6月26日(金)15時30分配信

日経平均株価は前日比252円29銭高の2万2512円08銭、東証株価指数(TOPIX)は15.52ポイント高の1577.37と、ともに3日ぶりに反発した。海外株高で投資家心理が改善し、金融株を中心に買い戻しの動きが広がった。
 銘柄の74%が値上がりし、値下がりは23%。出来高は11億3795万株、売買代金が2兆0386億円。

 力強さなく

 日経平均株価は上げ幅を前日比300円超に広げる場面もあったが、商いの盛り上がりを欠く「力強さがない展開」(銀行系証券)だった。

 欧米株高で市場心理が好転し、取引開始直後から堅調に推移。米国での金融規制の一部緩和を受けた銀行株高に連れ、東京市場でも金融株が軒並み高となった。しかし、東京市場全体の売買代金上位にはソフトバンクGや新興企業市場のアンジェスなど個人投資家が選好する銘柄が目立つ。海外投資家の動きの鈍さを示す、厚みのない地合いをさらけ出した形だ。

 米国では新型コロナウイルス感染の再拡大が顕在化。東京都でも感染者が増え始め、「経済活動の再停滞が警戒される」(大手証券)状況にある。経済実体と比較し「株価は割高」(中堅証券)との見方も少なくないだけに、投資家の多くは慎重な姿勢を崩していないようだ。

 225先物9月きりも、上伸した。株価指数オプション取引は、プットが安く、コールは堅調だった。

バブル崩壊”=「米国のMMT的政策の失敗」ということを日本人は忘れてはならない(野村総研エグゼクティブエコノミスト)

サンデー毎日 2020年6月26日(金)10時08分配信/木内登英(野村総合研究所)

「政府は債務残高の増加を無理に抑える必要はない」──。米国でそんな主張がにわかに高まり、賛否入り乱れた論争を引き起こしている。その主張を支える理論が、MMT(Modern Monetary Theory)だ。日本では「現代金融論」、あるいは「新表券主義」と呼ばれる。

 そのきっかけとなったのは、3月1日に米国政府の債務上限の停止措置が失効したことだ。上限が引き上げられなければ、9月ごろにも米国債はデフォルト(債務不履行)してしまう。

 MMT提唱者の一人であるニューヨーク州立大学のケルトン教授は、「欧州債務危機は各国が単一通貨ユーロを採用したことが元凶であり、ドルという独自通貨を持つ米国には当てはまらない」としている。また、同氏は「政府債務の増加が供給不足からインフレを引き起こすような場合には問題だが、経済成長と雇用の増加が続いている限りは問題ない」と主張する。

 政府がデフォルトに陥るリスクについて、ユーロ圏諸国と米国との間に大きな差があることは確かだ。自国通貨を持つ中央銀行は、政府が信用力の低下で国債発行ができない状況に追い込まれれば、民間銀行に無制限の流動性供給を行うことで銀行に新発国債を買い入れさせ、それを中央銀行が買い取ることでデフォルトを回避できる。

 これは財政ファイナンスに近いが、危機時には許容されると広く考えられている。ただし、独自の通貨を持たず、またECB(欧州中央銀行)の指揮下にあるギリシャ中央銀行などは、それができない。

 しかし、政府のデフォルトが生じにくい米国で、野放図な財政赤字の拡大、政府債務の増加が何の問題も生まない、ということではないはずだ。トランプ政権の財政拡張策によって双子の赤字、つまり財政赤字と経常赤字の同時拡大がすでに進んでいる。財政赤字のさらなる拡大は、財務省証券市場の需給悪化から利回り上昇を生み、経常赤字の拡大はドルの信認を低下させる。

 ◇ 日本のバブルの原因に

 その結果、悪い金利上昇とドル安が相乗的に進み、経済・金融に深刻な打撃を与えるリスクがある。米国は1980年代、過大な財政拡張策が双子の赤字問題を深刻化させた。

 そこで、ドル暴落の回避のために日本銀行が強いられた低金利の維持が、日本のバブルとバブル崩壊につながった。いわば日本が米国の失策の被害者になった、という経緯を日本人は決して忘れてはならない。

 また、今後、MMTが財政拡張策を支える理論として日本でも安易に利用されることがないよう、しっかりと目を光らせておく必要があるだろう。

 NYダウまた急落730ドル安 新型コロナ感染急拡大警戒 

朝日新聞デジタル 2020年6月27日(土)8時30分配信

 米国で新型コロナウイルス感染が再び急拡大していることを受け、週末26日のニューヨーク株式市場では主要企業でつくるダウ工業株平均が急反落し、前日比730・05ドル(2・84%)安い2万5015・55ドルで取引を終えた。

 ほぼ1カ月ぶりの安値水準。米紙ニューヨーク・タイムズの集計では米国内の1日あたりの新たな感染者は25日に4万1千人を突破し、過去最多を連日で更新した。

経済再開が比較的早かった南部や西部の主要州で爆発的に増えており、テキサス、フロリダ両州は飲食店の営業を再び厳しく規制テキサス州ヒューストン一帯では外出制限も復活した。

 他の州でも経済再開をいったん停止する動きが出ており、市場では、米経済の正常化が想定よりも遅れる懸念が強まった。ダウ平均は一時、2万5000ドルの節目を割り込んだ

 過払い金CM東京ミネルヴァ破産底知れぬ 

ダイヤモンドオンライン 2020年6月26日(金)5時42分配信

消費者金融会社への過払い金の返還請求を手掛け、積極的なテレビCMなどを行っていた弁護士法人、東京ミネルヴァ法律事務所が6月24日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。だが、今回の破産には、ほとんど知られていない深い闇がある。(東京経済東京支社情報部 井出豪彦)

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30億円の流用で被害者は2万人か

 6月24日、負債51億円余りで破産決定を受け、弁護士法人では過去最大の倒産となった(弁)東京ミネルヴァ法律事務所〔東京都港区、代表弁護士川島浩、2019年3月期売上高17億8400万円〕。

 消費者金融を利用したことがある人に、過払い金利の返還が受けられるとの広告を大量に流していたことで知られるが、破産の背景には、依頼者に支払われるべき過払い金、少なくとも30億円が弁護士法人を実質的に支配する広告会社により流用されてきたという、弁護士にあるまじき不祥事があることが分かった。

 過払い金が仮に1人当たり30万円だとすれば、被害は1万人規模に及ぶことになるが、ある事情通は「被害者は2万人に達する可能性もある」と語る。

 東京ミネルヴァが所属する第一東京弁護士会(一弁、寺前隆会長)は、東京ミネルヴァ代表の川島弁護士による6月10日の法人解散と預かり金流用の告白を受け、22日に臨時電話窓口を設置。

 さらに、財産保全のため、一弁が会費未納に基づく債権者として24日に東京地裁へ破産手続き開始を申し立てるという非常手段に踏み切り、地裁も直ちに開始決定を出した。

 なお、破産管財人に選任された岩崎晃弁護士(岩崎・本山法律事務所)も一弁所属である。

ミネルヴァを支配した武富士の元支店長

 ミネルヴァを支配していた、今回の破産劇の黒幕ともいえる広告会社とは(株)リーガルビジョン〔渋谷区、代表霜田広幸、19年3月期(4カ月間の変則決算)売上高8億8100万円〕である。

 兵庫県出身で、消費者金融大手の武富士で札幌支店長までつとめた兒嶋勝氏が04年4月に設立した(株)DSC〔渋谷区〕がリーガルビジョンの前身。

 士業の広告解禁を受けて創業した、士業専門の広告代理店だ。

 同社は弁護士などへの相談を取り次ぐサイト「法律の窓口」も運営し、過払い金ブームに乗って業績を伸ばした。

 だが、東京国税局の査察を受けたことで身売りに動き、14年11月に東証2部上場の(株)RVH〔港区〕の子会社になった。

 そして、翌年2月に国税が正式にDSCと兒嶋氏を1億3000万円の脱税(法人税法違反)容疑で東京地検に告発する事態となり、同年4月には「法律の窓口」のサイトを含む事業の受け皿会社としてリーガルビジョンが設立された経緯がある。

 代表に就任した霜田氏は、兒嶋氏の武富士時代の後輩で、DSCでも部下だった人物。

 表向き「兒嶋氏とは縁を切った」と話していたが、裏では兒嶋氏が絶対権力者の「会長」として支配する体制が続いていた。

 兒嶋氏は、DSCとは別に淡路島で実質経営していた貸金業者で、出資法違反(違法金利)容疑での逮捕歴もあるいわく付きの人物だ。

過払い金の流用は数年前から

 リーガルビジョンもDSCと同様に経営が苦しい弁護士事務所に近づき、過払い顧客を集めるための広告プランを作成。

武富士の社員が破綻時に持ち出した大量の顧客リストをもとに営業しているのはないか」とささやかれるほど、兒嶋氏は集客がうまかった。

 さらに「士業専門の総合アウトソーサー」を標榜し、関連会社のキャリアエージェンシー(株)〔渋谷区〕が事務員や相談員を派遣し、経理業務も含め事務所の運営は、事実上、リーガルビジョン任せになってしまう。

 東京ミネルヴァの場合、「オフィスをはじめ通信回線、サーバー、事務所ロゴの商標権など、なにからなにまでリーガルビジョングループから兒嶋氏の言い値で借りていた」(事務所関係者)ため赤字が累積。昨年3月末時点の債務超過額は実に31億8100万円に達していた。

 実は東京ミネルヴァが返還前の過払い金(預かり金)に手を付け始めたのは、かなり前からのことである。

 初代代表の室賀晃弁護士が15年に死去し、後継者の河原正和弁護士も体調不良で辞任した末、川島弁護士が3代目代表に就任した17年8月には「預かり金に4億円の穴があいていた」(同)という。

 だが、過払い金返還請求の依頼者は消費者金融との交渉をすべて東京ミネルヴァ任せにしているため、資金の返還が遅れてもそれほどせっついてこなかったようだ。

 川島弁護士は状況を打開するため、集客アップで収益改善を図り、依頼者へ返す資金を捻出しようとした。

 だが、そのためには結局兒嶋氏の力を借りざるを得ず、同氏への依存がますます深まる悪循環に陥っていった。

 本来消費者金融から過払い金が入金される銀行口座は、事務所の運営経費とは分別管理する必要がある。

 ところが、兒嶋氏が送り込んだ経理担当は指示されるまま同氏サイドへの送金を繰り返した。

 川島弁護士はことあるごとに是正を試みたが、兒嶋氏は「広告をストップする」「派遣社員を引き揚げる」などと脅すような態度を取ったり、「一蓮托生よろしくお願いいたします」といったメールを送ったりするなど(㊦の写真)、一切逆らうことができない状況に追い込んだという。

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 川島弁護士が資金流出の責任を問われるのは当然だが、兒嶋氏も罪深い。

第2のミネルヴァ事件が起きている可能性も

 そのリーガルビジョンの親会社がRVHであったことはすでに述べたが、RVHはリーガルビジョンへの貸付金負担が重いなどの理由で株式を売却し、18年11月にトラストフィナンテック(株)〔渋谷区〕なる投資会社が新たな親会社となった。

 トラストフィナンテックは、長野市で税理士事務所を経営する兼子修一氏が同年3月に設立したばかりで、TBSテレビ「サンデージャポン」にレギュラー出演する細野敦弁護士(元東京高裁判事)が監査役に就任している。

 取材によれば、リーガルビジョングループの売り上げの7割は東京ミネルヴァに依存していたため、いちばん太い金づるを失った同グループも大打撃だ。

 昨年3月末の東京ミネルヴァの未払金20億500万円の相手先はリーガルビジョングループの広告会社(株) Lawyer’s Agent〔港区(東京ミネルヴァと同所)〕が16億8800万円、キャリアエージェンシーが2億6000万円、DSCが5500万円となっている。

 また、同グループについては業務の一部が非弁活動にあたる可能性も指摘されている。

 一弁ならびに上部団体の日本弁護士連合会(日弁連、荒中会長)も、弁護士が広告会社に業務を丸投げしているうちに操り人形になってしまうという想定外の事態を問題視。

 すでに東京ミネルヴァの社内資料をすべてリーガルビジョンの管理下にある事務所から運び出し、全容解明に乗り出しているもようだ。

 一弁の寺前会長は「全国で広報活動を展開し、多数の依頼者から過払い金の請求やB型肝炎の裁判を受けたまま業務を停止した。調査の結果、過払い金の保管状況に不明な点があり、依頼者に返還することが困難な状態に陥っている疑いがあることも判明した。多数の依頼者に甚大な不利益を与えるもので弁護士法人として到底許されるものではなく、弁護士会としても厳粛に受け止めている」とのコメントを出した。

 しかし、前出の事情通によれば「兒嶋氏の実質支配下にある事務所は東京ミネルヴァだけではない」という。

 士業の資金管理や外部業者への業務委託のあり方、弁護士法人や司法書士法人の財務諸表の会計監査・公開制度の必要性なども含めた抜本的な制度改革の議論が求められる。

「東京ミネルヴァ事件」は多数の被害者を出すことになっただけでなく、法曹界に難しい課題を突き付けたといえそうだ。

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東京ミネルヴァに懲戒請求を検討 第一東京弁護士会、早ければ7月に

弁護士ドットコムタイムズ 2020年6月26日(金)配信

 第一東京弁護士会(一弁)は6月24日、同弁護士会に所属する弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所(以下、東京ミネルヴァ)に対する破産手続開始申立てを東京地裁に行い、破産手続の開始が決定されたことを会長談話を通じて公表した。

 一弁は弁護士ドットコムタイムズの取材に対し、破産手続開始申立ての意図について、「東京ミネルヴァの依頼者に過払金が返還されないなどのおそれがあったので、財産を少しでも保全するため」と説明。東京ミネルヴァは弁護士会に納める法人会費を滞納していたので、債権者として申立てを行ったとしている。また、「依頼者に不利益があったことが確認されれば、早ければ7月上旬には懲戒請求することを検討している」と話した。

 一弁によると、破産手続開始申立てまでの経緯は以下のとおり。

・5月下旬から「東京ミネルヴァと連絡が取れない」「受け取れるはずのお金が支払われない」などの相談が一弁に寄せられるようになった。

・一弁が調査した結果、6月10日に解散登記がされていることが判明。

・一弁に寄せられた相談に対応するため、6月22日に臨時の電話窓口を設置(6月25日時点で約170件の問い合わせ)。

東京ミネルヴァの代表者や所属弁護士とは連絡が取れない状況で、過払金などを受け取れていない依頼者の数や、未払い金の総額は現時点では不明。今後、破産管財人が調査を進めるとしている。

帝国データバンク「法律事務所の倒産で負債額10億以上、あまりみかけない

 帝国データバンクによると、東京ミネルヴァの負債は約51億円で、弁護士法人の倒産としては過去最大の負債額という。帝国データバンクは「回収した過払金の未払いといった依頼者に対する負債や、テレビコマーシャルなどにかけた多額の広告費により、負債額がここまで膨らんだのではないか」との見方を示す。

 法律事務所は数億円ほどの負債で倒産するケースが多いといい、「(東京ミネルヴァが)大規模事務所ということもあるだろうが、法律事務所の倒産で負債額が10億円を超える事例はあまりみかけない」としている。

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 15年後、必ず訪れる…! 築古マンション残酷すぎる結末 

幻冬舎Gold Online 2020年6月18日(木)11時00分配信/小林道雄(一級建築士)

 国民の約10人に1人は分譲マンションで生活している今、マンションに住む人たちは大きな危機に瀕している。老朽化と大規模修繕、管理組合との付き合い、住民の転居と高齢化……。マンション購入時には明かされない課題を解説。 ※本記事は一級建築士である小林道雄氏の書籍 『分譲マンション危機』(幻冬舎MC) より一部を抜粋したものです。

漂流廃墟マンション化まったなし怖すぎる事実

何故、皆様は自分のマンションの将来について無関心なのでしょうか

 管理費と修繕積立金を支払っていれば、管理会社や理事会が将来にわたって、うまく運営や財産維持をしてくれると考えているのでしょうか。賃貸マンションと同じ感覚なのでしょうか。

 これにより、大多数の区分所有者は、共同生活維持活動には『無関心』であるのでしょうか。理事会役員のなり手不足もコミュニケーション活動も『無関心』となります。この無関心は、皆様の個人財産である分譲マンションでも無関心なのですから、環境汚染にも無関心になるのでしょう。

 違法投棄は環境破壊に繫がりますが、分譲マンションの建物もしっかり終焉処理をして、建物解体までやらなければ違法投棄と変わらず、国や環境を破壊することに繫がってしまいます。

マンションの終焉処理に対する将来計画を持っていない分譲マンションは必ず漂流廃墟マンション化していく

 分譲マンションのような全く見ず知らずの他人が、ひとつの建物の中にある各住戸を所有し、管理費や修繕積立金を拠出して、あてがいぶちの管理組合を結成し、共同で資産を維持していく訳ですが、建物や生活の運営は難しいものです。

 特に、現在の生活に関係のない事柄については無関心なのですが、自分たちの寿命に比べれば建物の寿命は少し長いために、大多数の区分所有者の『無関心』が、健全であった筈の新築当時の分譲マンションに無意識、無感覚に蝕まれていき、劣化が進むと、無意識の内に回復も解散もできない、浮遊する限界マンション)になっていくのです。

 言い方を変えれば、この分譲マンションの将来についての対応計画を持っていないことが、漂流廃墟マンションを生み出すのです。

 悲しいことかもしれませんが、例外なく全ての分譲マンションも、このように年ごとに劣化していきます。区分所有者が変わっても着実に劣化していきます。将来計画を持つ以外は、例外なく浮遊限界マンションになっていきます。ここでも区分所有者は、将来のことは自分に直接関係ないので『無関心』には変わりはありません。

浮遊限界マンションの定義:管理組合運営や建物管理が適正に行われておらず、改善や復旧の為の計画や人材及び資金もなく、ただ漫然と時間だけが経過している状態が続き、管理組合の解散や建物の解体もできない状態で浮遊する廃墟的な分譲マンション

15年後必ず訪れる分譲マンションの末路

2035年頃には『浮遊限界マンション』の存在そのものが顕在化する

 東京オリンピックや大阪万博も終わり、世間が華やいだ一時的な賑わいが収まり、建設や観光の経済活動にも落ち着きが見えて、静かになった2030~2040年頃には、分譲マンションについては、高経年マンションが増加してきています。

 そして、築40年以上の超高経年マンションは、空き住戸も多くなり建物維持活動も管理組合活動も停滞している、不全浮遊の限界マンションが目立ってきます。夜になっても部屋に明かりがつかず、人の出入りもなく、外壁には落書きがありゴミも積まれており、得体のしれない者が不法占拠するケースも出てくるかもしれません。

 マンションの区分所有者に管理能力がなく、その上、解体も打開策も打ち出せず、管理状態にもないゴーストマンションとなります。正に、社会的迷惑物体となります。社会風紀や規律にそぐわない存在となります。

 しかし、個人的な財産物件である為、行政の介入は一般的には、できないものと考えられます。余程のこと以外は介入できないと思います。社会治安に悪影響が出ているとか外装材などの剝落により第三者に被害を及ぼす恐れや災害時に避難経路の遮断などの影響が予測される場合は、強制的な行政による改善命令や解体代執行は考えられますが、この場合も、かかる経費は、税金では社会的理解が得られませんので、解体する以前の区分所有者に支払い義務は残ります。

 解体後の更地の土地売却費を充当するとか、区分所有者に維持管理不良による民事罰が科せられると思います。そうでなくては国民間で不公平となります。民間の所有財産の処分に公金である税金を充当することはできません。

長年置き去りにされてきたひとつの事実

ゴーストマンション化の原因を考える

 根本的な原因は、今から考えると、新築当初の販売時点にあったかもしれません。皆様は、分譲マンションの売買契約時点で、いろいろ手続きなどの説明を受けたと思いますが、抜けていたことがふたつあると考えています。ひとつは「建物全体の耐用年数」の話と、もうひとつは「建物解体」の話です。

 販売会社が悪いとかということではありません。大規模修繕計画書及び修繕積立金の根拠となる、屋上防水層や外壁塗装などの修繕周期などは説明してくれますが、建物全体の耐用年数の話とか建物解体の話は、今後50年とか60年先の話であり、新しい建物で新しい生活が始まる時に、伝える内容ではないと思われます。

 売買契約により、所有権が皆様に移りますが、販売会社は、マンション管理組合の立ち上げ支援や、これからの生活維持のための管理費や修繕積立金の金額まで教えてくれます。しかし、一旦、所有権が移ると、住人の方が考えることかもしれませんが「建物全体の耐用年数」と「建物解体」には触れていません。

 このことが置き去りにされてきたことが、原因のひとつだと思っています。しかし、今となっては、区分所有者の皆様で対処していかなくてはなりません。不動産といえども分譲マンションは、耐用年数が存在する、有時限財産であると理解しなければなりません。

 もうひとつの原因ですが、管理不全マンションに陥ったとしても、これといった明確な現象や痛みはないに等しい、というように自覚症状がなく、世代を超える長きにわたる蓄積で、ジワーと押し寄せる現象であり、目に見える変化はないに等しいのです。

 管理組合の運営にしても、理事会の活動にしても、今後十数年先までの財産保全管理に終始していて、マンション建物の一生涯の期間全体の財産管理や、一生涯にわたる維持管理の計画はなく、区分所有者から徴収する修繕積立金についても、究極的には、建物の維持管理をいつまで継続するのか、更に、解体費用の準備などの概念はなく、十数年先までの修繕工事が計画されている長期修繕計画書とその修繕積立金のみが検討されており、その先のことは計画がなく、曖昧のままであったのです。今でもそうです。

 これがゴーストマンション化の原因であると考えています。

 

2020年6月25日 (木)

【日経平均】続落<NY株先物安✍コロナ感染拡大>感染再燃の懸念強く

 〔東京株〕続落=アメリカ景気不安が再燃 

時事通信 2020年6月25日(木)15時30分配信

 日経平均株価は前日比274円53銭安の2万2259円79銭、東証株価指数(TOPIX)は18.65ポイント安の1561.85と、ともに続落した。新型コロナウイルス感染の拡大による米国景気の先行き不安が再び強まった。77%の銘柄が値下がりし、20%が値上がりした。出来高は13億0537万株、売買代金は2兆2608億円。

海外機関投資家が売り

 25日の東京株式市場は米国での新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞の長期化に対する懸念などを背景として、海外機関投資家の注文とみられる売り物が優勢となった。日経平均株価は一時前日比369円安まで下げ幅を拡大した。

 海外勢の売りで大幅に値下がりした銘柄には、「個人投資家など国内勢が買いを入れた」(銀行系証券)とみられる。しかし、買いの勢いは弱く、日経平均は終日マイナス圏で推移した。

 コロナ禍再燃による世界的な移動制限強化への警戒感から空運業が大幅に値下がり。自動車や鉄鋼など景気動向に敏感な銘柄の売りも目立った。市場関係者は「景気回復の遅れを前提にすれば、足元の株価には割高感がある」(国内運用会社)と指摘していた。

 225先物は現物前場中に2万2090~2万2360円のレンジを形成した後、午後は2万2200円台でのもみ合いが続いた。オプション7月きりはコールが総じて安く、プットは幅広い権利行使価格の銘柄が買われた。

NYダウ反落、710ドル安=コロナ感染再拡大を懸念

時事通信 2020年6月25日(木)6時00分配信

 24日のニューヨーク株式相場は、米国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることを懸念し、急反落した。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比710.16ドル安の2万5445.94ドルで終了。下げ幅は一時850ドルを超えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数も9営業日ぶりに反落し、222.20ポイント安の9909.17で引けた。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比1億1884万株増の11億7493万株。

 ロイター通信の集計によると、23日の米国の新型コロナ新規感染者は3万5588人と、危機が始まって以来、過去2番目の多さとなった。トランプ大統領が遊説に訪れた西部アリゾナ州では、3591人と過去最多を記録。南部テキサス州でも入院患者が急増し、医療現場の混乱を招いている。全米50州のうち半分以上の州で感染者が増加傾向にあり、市場では経済活動が再び停滞することへの懸念が広がった。

 また、ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの北東部3州が24日、新型コロナの感染率の高い州からの来訪者に対し、2週間の自主隔離を求める勧告を出すと発表。人の移動が抑制されるとの思惑から、航空株など旅行関連株の売りにつながった。

 国際通貨基金(IMF)は24日、最新の世界経済見通しで、2020年の成長率をマイナス4.9%と4月時点の予測(マイナス3.0%)から下方修正した。新型コロナの感染拡大が収束せず、景気回復が想定より鈍いと分析。1930年代に深刻化した大恐慌以来の不況に陥ると警告したことも投資家心理を冷やした。

 景気動向に敏感なエネルギーや資本財、金融などのセクターが大きく売られた。個別銘柄(暫定値)では、化学大手ダウが7.0%安、ボーイングが6.0%安、エクソンモービルが4.7%安、シェブロンが4.2%安。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスはともに3.3%安となった。マイクロソフトとアップルもそれぞれ2.0%安、1.8%安と下げた。

20年世界経済見通し 大恐慌に次ぐ -4.9  IMF前代未聞の危機

毎日新聞 2020年6月24日(水)22時00分配信

 国際通貨基金(IMF)は24日発表した最新の世界経済見通しで、2020年の世界全体の成長率をマイナス4.9%(前回4月時点はマイナス3.0%)に引き下げた。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国の経済的損失が想定以上に深刻化し、回復も緩慢になると分析した。感染の収束を前提にして21年の成長率はプラス5.4%に急回復すると予測したが、感染の第2波のリスクなどから「見通しの不確実性は高い」と警告した。

 世界経済はリーマン・ショックに伴う金融危機の影響を受けた09年(マイナス0.1%)をはるかに超える落ち込みとなり、1930年代の世界大恐慌に次ぐ規模の景気後退に陥ることになる。下方修正の理由についてIMFは「4月以降の経済データで、いくつかの国の景気後退が想定以上に深刻化している」と説明。

 感染への警戒や先行きの不透明さから、消費の低迷や企業活動の停滞が長引き、景気回復には一段と時間がかかると見込んだ。IMFは「前代未聞の危機であり、回復も不確実なものになる」とみている。

 国・地域別の20年成長率では、新型コロナの感染・死者数が世界最多の米国はマイナス8.0%となり、19年のプラス2.3%から大幅な悪化を予測。大恐慌が起きていた32年のマイナス12.9%や、第二次世界大戦直後だった46年のマイナス11.6%に次ぐ深刻な景気後退になるとの見通しを示した。

 感染拡大が最初に起きた中国は、プラス1.0%と見込んだ。19年の6.1%を大幅に下回り、天安門事件の影響で経済が混乱した90年(3.9%)よりも低い。日本はマイナス5.8%、ユーロ圏と英国はいずれもマイナス10.2%の景気後退に陥ると予測した。ただ、第2波が発生すれば「成長率は更に押し下げられる」と下振れリスクが高いことを強調した。

 09年には、先進国全体でマイナス3.3%の同時不況に陥ったが、9.4%の成長だった中国など新興・途上国全体で2.8%の成長を維持し、世界経済を支えた。20年は先進国がマイナス8.0%、新興・途上国がマイナス3.0%と総崩れになり、世界貿易量も前年比マイナス11.9%に落ち込む見通しだ。

 21年の世界成長率はプラス5.4%と急回復を見込むが、前回4月の見通しから0.4ポイント下方修正した。また、世界経済の先行きは新型コロナの流行状況に左右されるとして、上振れと下振れの二つのシナリオも提示。21年初めに世界的流行が再発した場合、21年の成長率は現行の見通しより4.9ポイント悪化すると予測する一方、感染封じ込めが成功すれば3.0ポイント改善するとした。

中印紛争、尖閣圧力…習近平の息の根を止めにかかる米国の作戦

PRESIDENT Online 2020年6月22日(月)15時16分配信/渡瀬裕哉(早稲田大学招聘研究員)

中国インドの武力衝突、尖閣圧力…

 6月15日中印国境地帯でインド軍・中国軍の国境紛争が発生し死者が発生する事態が生じた。同国境地帯では中国の開発進出が先行しており、近年ではインド側も道路建設などを進めて対抗している状況があった。この紛争がどのように帰結に至るかは不明であるが、核兵器を持つ大国同士の死者が出る紛争が発生したことに危機感を募らせざるを得ない。

 中国の領土的膨張は海洋方面でも極めて顕著になっている。南シナ海における軍事施設の展開は、東南アジア各国との緊張関係を高めている。米海軍も航行の自由作戦を活発化させることを通じて中国側の出方をけん制しているが、中国側の振る舞いは一向に改善する気配はない。

 日本に対しては昨年習近平国家主席を国賓で招くことが決定したにも関わらず、中国政府は尖閣諸島周辺での圧力を強めている。また、中国の近年の海軍戦力の増強は著しく、さらにミサイル戦力は日本を屈服させるに十分な力を保持しつつある。サイバー戦力などを含めた総合力では人民解放軍は自衛隊に対する優位を既に築いていると言っても過言ではない。

アメリカは右派も左派も中国抑止を強化

 中国の野心的な振る舞いに対して、ワシントンの外交・安全保障関係者は中国に対する抑止強化の方針についてコンセンサスを形成している。それはオバマ政権後期から始まったシフトであり、トランプ政権下によって明確にされたものと言えるだろう。一見すると、この変化は米国の覇権的な国家意思が発露し、1990年代から2000年代初頭までの対中融和姿勢は既に過去のものとなったようにも見える。

 そして、米国全体の対中シフトは、2020年大統領選挙に際し、トランプ陣営・バイデン陣営ともに中国に対して強力なスタンスを示してきたと誇示している現状ともリンクする。トランプ政権下を通じて露になった、北朝鮮問題に対する非協力的対応、中国企業による略奪的な経済行為、香港・ウイグル・キリスト教に対する強権行使、そして新型コロナウイルスに対する欺瞞は、米国民の対中世論を喚起する上で十分なものであった。各種世論調査を見ても米国民の対中観は史上最悪のレベルにまで悪化している。

米国は何がしたいのか、日本はどう対応するべきか

 したがって、日本国内では「米国の腹は決まった、米中対決は不可避」とする意見も少なくない。ただし、この程度の話は米国の公文書を丹念に追っていれば、国際政治好きの学部生でも知っていることだ。今更あえて語るような話ではない。

 今、我々が議論して想定すべきことは「米国の対中政策の強硬度」の度合いである。

 現段階において「米国の外交・安全保障関係者の間で対中抑止がコンセンサスになった」という話は「何かを言っているようで実は何も言っていない」周回遅れの主張に過ぎないものだ。

 仮に米国の対中政策が変化したならば、我々日本人が知りたいことは「米国が中国に対して何をどこまでやりたがっているのか」、そして「日本はどのように対応すべきか」ということだろう。

トランプかバイデンかは無関係という残念な主張

 そのために必要なことは、外交・安全保障の分野の調査研究だけで良いのだろうか。結論から言って、それはNoだ。日本の外交・安全保障関係者の中には「トランプか、バイデンかは無関係だ」と主張する馬鹿もいるが、全くナンセンスな主張であり、日本の先行きが心配になる。

 当然であるが、米国政府の意向を正確につかむためには米国の政治状況を詳細に掴むことが必要だ。なぜなら、外交・安全保障関係者が立案する政策も民意によるオーソライズが存在しなければ、絵に描いた餅に過ぎないものになるからだ。

 我が国の例を挙げると、外交・安全保障関係者が戦略上合理的な意思決定をしない日本政府に対して愚痴を述べている姿を良く目にするが、これは彼らが主張する戦略上合理的な政策を民意がオーソライズしていない結果だと言えるだろう。

大統領選次第では対中関係が大きく変わってしまう

 米国は覇権国家であるため、まるで外交・安全保障上の国家理性が機能しているように錯覚している日本人も多い。しかし、米国は同時に世界最大級の民主主義国でもあり、その政治的な行為は常に民主的な意思によって裏打ちされたものになっている。

 トランプか、バイデンかは「対中政策の強硬度」に決定的な影響を与える要素となるだろう。また、対中政策の予算、大義名分、方法論においても決定的な違いを生み出すことになる。

 現在の米国選挙に関する世論調査を参考にすると、バイデン大統領及び民主党多数による上下両院議会が誕生する“トリプルブルー”の可能性がある。

 民主党トリプルブルー政権においては社会保障費・公共事業費の増額は不可避であり、それは必然的に軍事予算を圧迫していくことになるだろう。トランプ政権は軍事予算の中期的な見通しを便宜上示しているが、それがリベラル色を強める民主党のホワイトハウス・連邦議会で維持できるかは極めて疑問である。

 したがって、バイデン政権が誕生した場合、トランプ政権が継続する場合と比べて、予算制約によって安全保障上のオプションが相対的に制限される懸念がある。国家予算は民意のコンセンサスであり、政治過程を無視した外交・安全保障政策など存在しない。

左派も中国への圧力強化を求める理由

 また、中国に対するアプローチも共和党・民主党政権では当然に異なるものとなる。トランプ政権は中国の人権侵害に対して宗教弾圧を重点的に取り扱う傾向がある。ファーウェイやハイクビジョンをはじめとした中国企業に対する制裁は外交・安全保障の観点だけで行われているものではない。それらの企業技術が宗教迫害に使用されることに対し、トランプ政権の支持基盤である宗教団体が強い懸念を示している影響は極めて大きい。宗教団体の信仰心という下支えが無ければ、トランプ政権が中国との経済の相互依存関係を見直すことは現状よりも困難を極めただろう。ただし、この福音派の信仰心は対中政策に強いエネルギーを注ぎ込みつつも、中東方面などで火が付いた場合は容易に対中政策の強度を弱める方向にも左右する可能性も含んでいる。

 一方、民主党政権は宗教迫害だけでなく、あくまでも中国共産党の行為を民主主義のイデオロギーに対する挑戦として位置付ける傾向がある。そのため、トランプ政権よりもバイデン政権は異なる宗教を背景とした民主主義諸国とも連携が組みやすいという特徴を持っている。民主党の支持基盤はそれらのイデオロギーを支持する人権団体などによって中核が占められている。

バイデンが勝つと、権威主義国に対し多正面作戦を強いられることに

 しかし、逆にバイデン政権ではサウジ、北朝鮮、ロシアなどの権威主義的な政治体制を有する国との対話は極めて困難なものとなる。そのため、バイデン政権がイラン核合意の復活によって中東情勢を表面上安定化させたように見えても、対サウジ関係悪化をはじめとした新たな火種を中東にばらまき、東欧ではロシアとの対立に過剰なリソースを割かざるを得なくなるだろう。バイデン政権は世界中で権威主義国及び情勢不安地域に対して多正面作戦を強いられることになる。表面上の外交カードはトランプ政権よりも多いが、その反面として外交・安全保障上のリソースを中国に集中させることは困難になるかもしれない。

 また、逆の可能性も考慮する必要がある。ネオコンなどの過激な勢力も加わりやすいイデオロギー政策であるため、彼らの非妥協的な性質によって対中政策が抜き差しならない方向に進展してしまうことも懸念される。トランプ政権は政策決定からネオコンを締め出しており、中東で用済みとなった彼らが対中政策の文脈でバイデン陣営に加わる可能性は十分にある。

 このように、米中関係の中長期的な展開を正確に捉えるためには、トランプか、バイデンか、というポイントは極めて重要である。カールフォンクラウゼヴィッツの戦争論を読むまでもなく、まさしく「戦争は政治の延長」であり、政治の延長に安全保障にあるに過ぎないのだ。

 新型コロナ対策民主主義への脅威になっている 

ロイター 2020年6月25日(木)16時09分配信

 元政治指導者やノーベル賞受賞者など約500人が公開書簡で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行が世界中の政府による権威主義的な措置の急増をもたらし、民主主義への脅威が増していると警告した。

 書簡はスウェーデンに本部を置く政府間組織「民主主義・ 選挙支援国際研究所(IDEA)」がまとめた。署名者にはカルドーゾ元ブラジル大統領やジェブ・ブッシュ元米フロリダ州知事らが含まれている。

「権威主義的な政権は当然のことながら、この危機を利用して批判者を黙らせ、自分たちの政治的支配力を強めようとしている」とし、民主的に選ばれたいくつかの政府でさえ、人権を制限し国家の監視を強化する緊急権限を利用して新型コロナと闘っていると指摘した。

 IDEAの事務局長は民主主義的な規範の低下が全体的な影響だとし、政治的自由だけでなく、危機や将来の医療緊急事態に対処する政府の能力にも影響を与えているとの見解を示した。

 権威主義的な措置を導入したり、説明責任を怠ったりしている国として、フィリピン、ハンガリー、エルサルバドル、トルコを挙げた。

 IDEAによると、新型コロナの流行により世界で66の選挙の延期または中止された。また21の民主主義国を含む50カ国近くが報道の自由に何らかの制限を課しているという。

 WHOパンデミック加速中影響は数十年に及ぶ恐れ 

AFPBB news 2020年6月22日(月)20時07分配信

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は22日、オンライン上で開催された会議で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)はいまだに加速しており、その影響は今後数十年も感じられることになると述べた。

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)当局が主催した保健分野に関するビデオ会議で同事務局長は、世界が直面している最大の脅威はウイルスそのものではなく、「地球規模の結束とリーダーシップの欠如」と指摘。

「分断された世界ではパンデミックを打ち負かせない」「パンデミックの政治問題化が事態を悪化させている。われわれが皆安全になるまで、われわれの誰もが安全ではない」と話した。

 さらに同事務局長は、「パンデミックはいまだに加速している」と発言。

「パンデミックは保健分野の危機を超えたものであり、経済的危機、社会的危機、また多くの国々では政治的危機でもある。その影響は数十年にわたって感じることになる」と語った。

WHO元事務局長「規則見直しをコロナ感染 初期対応の判断 巡り…

ロイター 2020年6月20日(土)0時57分配信

 世界保健機関(WHO)の元事務局長、グロ・ハーレム・ブルントラント氏は19日、WHOが新型コロナウイルスの感染拡大初期に渡航制限を推奨しなかったことについて、その判断につながった規則を見直すべきだと訴えた。

 WHOは1月30日、新型コロナの感染拡大を巡り、国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言。ただ、感染症拡大時に渡航や貿易を制限することを推奨していない国際保健規則(IHR)に基づき、渡航制限措置を講じないよう各国に要請した

 これが米国によるWHO批判の一要因となり、トランプ政権はWHO脱退を表明した。

 1998年から2003年まで事務局長を務めたブルントラント氏は、米国のWHO脱退表明に断固反対するとした上で、IHRには修正が必要だ。非常に明らかな落ち度があるため、われわれは修正を提案すると指摘。IHRは加盟国の合意で発効したが、策定から合意に至る全体的な過程の中で、多くの国が渡航制限を回避することにこだわっていたとし、渡航制限の恐れがあると感染症発生を報告しないケースが出てくることを一部の国が懸念していたと述べた。

 また、中国による新型コロナに関する報告の遅れが感染拡大につながったものの、中国の対応は03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)発生時よりはるかに改善したと語った。

 志村けんさんの愛車「キャデラック」500万円で購入した千鳥・大悟 

FRIDAY DIGITAL 2020年6月25日(木)16時02分配信

「う~ん……そんなん、わざわざ言うことやない(苦笑)。でも、隠すことでもない。師匠のクルマを買ったのは事実です。まだ手元に来てないですし、待っている段階ですね。納車の具体的な時期は決まってないです。コロナのこともあるけど、早ければ来月くらいに来るんかな~」

 こう話すのは、お笑いコンビ『千鳥』の大悟(40)である。志村けんさん(享年70)が新型コロナウイルス感染により急逝してから3ヵ月。没後ほどなく、その愛車2台が売りに出されて話題となっていた。「ロールス・ロイス」はファンの一人が購入したことをすでに本誌も報じているが、今回、もう1台の「キャデラック・エスカレード」を志村さんの〝最後の愛弟子〟大悟が引き取ることが判明。購入金額は約500万円で、すでに納車の準備が始まっているという。

実はコロナで、志村さんと一緒に行っていたご飯屋さんに顔を出せてないんですよ。だから変な話、まだ亡くなったという実感がない。よく飲みに行っていたバーとかに行けば、師匠がいないかなとか思うかもしれませんけど、なんか今は……気持ち的には全然かな。僕としては、この先何しても、(天国の)師匠が笑うてくれていたら……それしかないです

 多いときは、〝週に8回〟のペースで志村さんと飲みに行っていたという大悟。やはり、師匠の愛車を受け継ぎたいという「師弟愛」があったのか。

いや、そんな美談じゃないです。家にはクルマもないし、いつかクルマを買うならというのもあるし。どっちにしても誰かが買って乗るんでしょうから、だったら自分の家に置いとこうかなと

 しかし、大悟は志村さんと同じく、クルマの免許は持っていなかったはず。運転は誰がするのだろうか。

たぶん、嫁が乗ると思います。まだそこまで考えてないです。師匠のロールス・ロイスが別の方の手に渡ったのを見て、それならキャデラックを自分が買おうと思っただけなんで

 志村さんの没後、大悟は師匠との思い出をメディアでほとんど語ってこなかった。キャデラックを購入したことも、自分から話すつもりはなかったのだろう。

「そうそうそう。別に言うほどのことでもないけど、こうやって聞かれて、いや買っていませんと嘘つくようなことでもない。もうホントに、記事になるような話じゃないですから」

 本誌記者に、今日はもう追っかけてこないでねと言った後、近くの繁華街に消えていった大悟。その後ろ姿には、心なしか志村さんの面影が重なった。

 6月26日発売の『FRIDAY』最新号では、千鳥・大悟が購入した志村けんさんの愛車、キャデラック・エスカレードの写真を掲載している。

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2020年6月24日 (水)

【藤井七段】快挙!「棋聖」「王位」Wタイトル挑戦権✍獲得

藤井聡太七段「王位戦」挑戦決定!棋聖戦にない“初体験”とは?

東スポWeb 2020年6月24日(水)5時32分配信

 高校生棋士の藤井聡太七段(17)が23日、東京・渋谷区の将棋会館で行われた第61期王位戦挑戦者決定戦で、永瀬拓矢2冠(27=叡王、王座)を破り、挑戦権を得た。

 8日に開幕した棋聖戦5番勝負で、17歳10か月20日の最年少挑戦を成し遂げており、2つ目のタイトル戦となった。

 昨年の王位戦で、史上最年長での初タイトルを獲得し、〝中高年の星〟と呼ばれる木村一基王位(47)への挑戦権をかけた対局は、4日に行われた棋聖戦挑戦者決定戦と同じ顔合わせとなったが、127手で再び藤井七段が勝利した。

 これで「最年長最年少」の対決が実現することに。粘り強い棋風で〝千駄ヶ谷の受け師〟の異名を取る木村王位について、藤井七段は「力強い受けに特徴があるという印象です」と語った。

 藤井七段は現在、渡辺明3冠(36=棋聖、棋王、王将)に挑戦中の棋聖戦に続き、ダブルタイトル挑戦となったが、王位戦では未知の世界が待ち受ける。

 まず5番勝負の棋聖戦に対し、王位戦は7番勝負。さらに棋聖戦は持ち時間5時間で1日制だが、王位戦は持ち時間8時間で2日制の対局となるのだ。

 2日制の対局とは、1日目は午後6時まで指した後、手番を持つ方が次の差し手を紙に書き、封筒に入れて立会人に渡す〝封じ手〟が行われる。その日はそれぞれが1人で宿泊し、2日目の朝に封じ手を開いて対局を再開する。

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 藤井七段は王位戦について「じっくり考えることができる。楽しみです」と話したが、初となる2日制がどう出るのかは未知数。大人びた雰囲気を持っているとはいえ、まだまだ高校生とあってファンからは「じっくり考えすぎて眠れなかったら…体調が心配だ」との声も上がる。

 タイトル戦は一流ホテルや老舗旅館などで開催され、地方での対局も多い。宿泊する部屋は、ホテルならおそらく最高級のスイートルームなどになる。そんな部屋に高校2年生が1人で泊まるのだから、「緊張して寝られないかも」などと、いらぬ心配もしてしまう。

 また将棋連盟関係者によると「タイトル戦において、電子機器は対局開始前までに預かり、対局終了まで運営で保管します。また外部との遮断はありませんが、対局者は対局場および宿泊場所の敷地内からは出てはいけない決まりになっております」という。もちろん、今どきの高校生のように「スマホで気分転換」などもできないわけだ。

 藤井七段は「初めて訪れる場所もあるかと思う。非常に楽しみ」と語ったが、通い慣れた東西の将棋会館とは異なり、気分転換の難しさも考えられそうだ。

 王位戦は7月1~2日、愛知県のホテルアークリッシュ豊橋で開幕し、その後、札幌、神戸、福岡、徳島など全国各地で行われる。

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 藤井フィーバー再来?「羽生マジックの雰囲気に近い」の 

AERAdot. 2020年6月24日(水)7時00分配信

 将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)の快進撃に熱い視線が注がれている。23日、第61期王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢二冠(27)に勝ち、棋聖戦と王位戦の二つのタイトル戦を同時に戦うことになった。棋聖戦ではすでに8日、タイトル初獲得に向けて大きな1勝を挙げている。「公式戦29連勝」という前人未到の快記録から3年。全国に将棋ブームを巻き起こした「藤井フィーバー」の再来なるか──。

*  *  *

 東京都渋谷区の将棋会館。多くの将棋ファンが注目する第91期棋聖戦五番勝負第1局は、8日午前9時に幕を開けた。

 挑戦者の藤井は、これが初めてのタイトル戦。相手の渡辺明棋聖(36)は棋王、王将のタイトルを併せ持ち、ここ数年、黄金期を迎えていると言っても過言ではない名棋士だ。

 藤井が選んだ作戦は、互いにがっちり王将を固める矢倉だった。渡辺は長年得意としているが、藤井が採用するのは珍しい。勝負度胸と共に、練りに練ってこの大舞台に臨んだことがうかがえた。

 ギリギリの攻防の末に最終盤に突入し、勝敗は藤井の王が詰むかどうかに委ねられることになった。渡辺は16手連続で王手をかけて迫ったが、わずかに届かない。午後7時44分、157手の大熱戦を制したのは藤井だった。

「まず1勝できて良かった。また準備を整えて、次の対局に臨みたい」

 対局後、藤井はそう語った。最後まで気が抜けない戦いになったにもかかわらず、口調はいつも通り落ち着いていた。

 藤井が「29連勝」の偉業達成で世間の話題をさらったのは2017年のことだ。デビューから無敗のまま続いた連勝劇は、それまであまり将棋になじみがなかった人たちにも大きな衝撃を与えた。

「いつタイトル挑戦を果たしても、おかしくない」

 そんな声が上がるのも自然なことだった。

 だが、現実は甘くない。将棋界には名人、竜王などのタイトルが八つあるが、トップ棋士がそろうリーグで優勝したり、トーナメントを勝ち抜いたりしなければ、挑戦者にはなれない。藤井は、各予選で勝ち上がるものの、豊島将之名人・竜王(30)を始めとするトップ棋士の壁にはね返されることが続いた。

 もどかしい思いをしていたファンも多かったはずだが、誰よりも冷静に藤井の実力を見定めていたのは、当の本人だったかもしれない。記者は会見などで取材する機会が度々あったが、今後の目標について問われた時の答えはいつも同じだった。

「タイトルを狙える実力をつけたい」

 トップ棋士との対戦を糧にして努力を重ねた結果、ついに憧れの舞台に立つこととなった。

 先輩の棋士たちは、藤井の成長を肌身で感じている。デビュー前の藤井と将棋を指したことがある飯島栄治七段(40)は話す。

「29連勝していた頃に比べて、形勢が悪い時に相手を惑わす手を指すようになったと感じる。(1996年に)7タイトルを独占した頃の羽生善治九段は、よく逆転勝ちして『羽生マジック』と言われていたが、その時の雰囲気に近づいてきた」

 今回の棋聖戦で藤井は、1次予選から10連勝して挑戦権をつかんだ。だが、そこに至るまでには思わぬ“難敵”も待ち受けていた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対局の延期だ。棋士の長距離の移動が制限され、藤井は2カ月弱、対局ができなかった。

 しかし5月下旬、事態は急転する。国の緊急事態宣言の解除を受け、日本将棋連盟が異例とも言える対局日程を発表したのだ。

 棋聖戦の挑戦者を決めるトーナメントの準決勝を今月2日、決勝を4日に行い、8日に五番勝負が開幕──。挑戦者決定のわずか4日後にタイトル戦が始まるのは極めて珍しい。

 藤井はこの強行日程を勝ち抜いた。2日は名人3連覇の実績を持つ佐藤天彦九段(32)、4日は叡王と王座のタイトルを持つ永瀬拓矢二冠(27)に勝利。充実した戦いぶりからは、「ステイホーム」の期間にも着実に力を蓄えてきたことがうかがえた。

 8日の五番勝負第1局を迎えた時点での年齢は17歳10カ月20日。屋敷伸之九段(48)が持っていた最年少記録をわずかに4日上回っての快挙達成だった。ただ、藤井自身は自らのそうした記録に関心を見せない。4日の会見では、

「(対局の際に最年少の)記録は全く意識しなかった」

 と語った。頭の中にあるのは、常に「実力向上」なのだ。

 デビューからの連勝が続いていた3年前の6月、藤井の自宅でインタビューした時のことを思い出す。苦手な学校の科目を尋ねると、

「美術です。何で絵を描かないといけないのか、わからないです」

 はにかんで答える姿は等身大の中学3年生だったが、20歳の時の自分のイメージは、と問うと、25秒ほどの沈黙が流れた。

 発したのは、こんな言葉だった。

「今の自分とは比べものにならないぐらい、強くなっていたいです」

 穏やかな口調とは裏腹に、底知れない凄みに触れた気がした。

 五番勝負は、先に3勝を挙げた側の勝利となる。8日の藤井の白星で、「タイトル獲得の最年少記録」(18歳6カ月)をも更新する可能性が高まったのは確かだが、その実現はなお容易とは言えない。

 飯島はこう語る。

「渡辺棋聖は第1局の時点では、まだ力量をつかみかねていたはず。2局目、3局目となるにつれ、戦いやすくなってくるでしょう」

 将棋は、主導権を握りやすい先手がわずかに有利とされるが、第1局で先手を握ったのは藤井だった。作戦家で知られる渡辺が、先手の第2局でどんな作戦をぶつけてくるのかも見どころとなる。

 勝負そのもの以外でも、耳目を集めるポイントがある。藤井がどんな和服を着て登場するか、だ。

 タイトル戦の対局者は和服を着るのが慣例だ。若手が初めてタイトル戦に出る場合、挑戦を決めてから呉服屋に注文をしたり、所作を覚えたりして開幕を迎える。

 だが今回、藤井にはその余裕がなかった。第1局の舞台に姿を見せた藤井は、いつも通りのスーツ姿だった。

「和服自体は師匠(杉本昌隆八段)にいただいたものがあったんですけど、勝手がわからなかったので。第2局以降で着られればと思っています」

 対局後の会見で、そう明かした。

 自ら指すよりも、プロの対局の観戦を楽しむ人たちは「観る将棋ファン」と呼ばれている。ファンの裾野の広がりにより、盤上の勝負だけでなく、対局者の服装や食事の注文などにも注目が集まる。

 五番勝負の行方を大きく左右することになる第2局は6月28日、再び将棋会館で行われる。

47歳の苦労人か、次代を担う17歳か 王位戦は30歳の激闘へ

神戸新聞NEXT 2020年6月24日(水)8時00分配信

 将棋界の最年少記録を次々と塗り替えてきた最年少棋士、藤井聡太七段(17)が、ついに2日制の7番勝負に初登場する。23日に王位戦挑戦の最年少記録もつくった高校生棋士は、ダブルタイトル挑戦と勢いに乗る。迎え撃つ木村一基王位(47)は昨年、46歳3カ月で王位を奪取し、初タイトル獲得最年長記録を更新したベテラン。30歳差の2人が繰り広げる激闘は、夏をさらに熱く盛り上げそうだ。

 藤井七段は今月4日、棋聖戦挑戦者決定戦で今回と同じく永瀬拓矢二冠(27)を破り、タイトル挑戦の最年少記録を30年ぶりに更新。渡辺明棋聖(36)との5番勝負第1局も制し、最年少タイトル獲得へ期待を集める。

 木村王位は昨年、当時の豊島将之王位(現竜王・名人)をフルセットの末に破り、7回目のタイトル挑戦で悲願を達成し、「中高年の星」としてファンに喜ばれた。現在の最年長タイトル保持者でもあり、本年度は公式戦3戦全勝と好調を維持する。

 「苦労人の木村王位と、次代を担う藤井七段の激突」-。元「週刊将棋」編集長で、大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登さん(57)は7番勝負をこう表現する。

 「木村王位は勝負にはシビアだが、情に厚く気遣いが細やか。藤井七段は大変できた若者で、泰然自若としたところなど独特のオーラは羽生善治九段に通じる」。2人の将棋については「藤井七段は最先端で指し手が合理的。木村王位も最近はAIを使った研究で洗練されてきた」と評する。

 全国を転戦し、1局を2日かけて戦う7番勝負。「(藤井七段は初めての経験だが)パフォーマンスを落とすことはないだろう」とみる。「一般的にタイトル戦は(勢いのある)挑戦者に分があるとされ、今回も藤井七段が有利と思われる。でも、木村王位も防衛戦のつもりでは臨まないでしょう」。7月1、2日の第1局から激戦は必至だ。

藤井七段挑戦受ける木村一基王位(47)子供ではない

スポーツ報知 2020年6月24日(水)5時00分配信

 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が23日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第61期王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢2冠(27)=叡王、王座=に勝ち、木村一基王位(47)への挑戦権を獲得した。昨年度、史上最年長で初タイトルを獲得した木村王位に史上最年少棋士が挑む7番勝負は7月1日に開幕する。木村王位は初防衛戦に臨む思いをスポーツ報知に語った。

 47回目の誕生日に届いたのは、30歳年下の少年が挑戦者に躍り出るという一報だった。迎え撃つ木村王位は、快進撃を続ける藤井将棋を称賛する。

 「とても内容が良いですね。非の打ち所がないし、ミスも少ない。特長がさらに伸びて、強くなっています」

 公式戦での対戦はないが、昨年5月の「瀬戸将棋まつり」での公開対局では藤井七段が勝利。同7月放送の非公式戦「第2回AbemaTVトーナメント」準決勝でも3番勝負を戦い、藤井七段が2勝1敗と競り勝っている。

 「落ち着いていて(対局することで)何かをつかめた感覚はないです。おとなしくて控えめで、何を考えてるのかちょっと分からない(笑い)」

 「最年長対最年少」という構図は、確実に耳目を集めることになる。

 「ひっそりと将棋を指したいので、騒がれるのはどうかなあという感じはしますけど、仕方ないですね。その中でも自分のペースを保たなきゃいけないかなと思います」

 中3と小6、姉妹2人のパパ。長女と3学年しか変わらない少年と棋界の頂点で雌雄を決することになる。

 「将棋の世界と一般の世界では感覚にズレがあるかもしれないですけど、彼はもう子供ではないです。実力通りに勝ち続けている人。若いからどうこう、というのはないです」

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 昨年度、現竜王・名人の豊島将之王位(30)=当時=に挑戦し、4勝3敗で初タイトルを奪取した。7度目の挑戦を実らせ、46歳3か月で史上最年長の初タイトルに輝く快挙となった。局後に涙を見せ、ファンの心を捉えたシーンから早1年(厳密には9か月)。初めての挑戦者を迎える。

 「気が付いてみると、一年はあっという間ですね。やってみないと分からないですけど、防衛戦という意識はないですね。指すのは同じ将棋なので」

 今春は新型コロナウイルスの影響で対局からやや遠ざかった。

 「研究会もできないので、実戦感覚が鈍るようなことはあったような気がしますけど、時間的余裕があったので昔から気になっていた技術的なことに取り組めました。マイナスな時間ではなかったです。確認したり、新しいものを見つけたり。無駄にはならなかったと思っています」

 人がいない時間を見計らって、日課のランニングも続けた。中学時代から不動という66キロの体重を維持するどころか、1キロ痩せた。わずかな差でも、棋士のメカニズムは繊細にできている。

 「対局で長時間座ってても苦にならなくなりました。これは良かったです」

 ベストコンディションで7番勝負に臨む。タイトル戦での30歳差(29歳11か月差)の顔合わせは、1989年度の棋王戦で66歳の大山康晴十五世名人が26歳の南芳一棋王(いずれも当時)に挑戦(0―3で敗退)した際の40歳差に次ぐ史上2位の年齢差となる。

 「取ったものですから愛着はありますけど、どんな結果になろうと一生懸命やるだけです。去年、豊島さんと指した時と似てると思っているんですよ。年下と指す意味では一緒ですから」

 ひょうきんな人柄でファンに愛されている棋士だが、電話口から聞こえる声は勝負師が勝負に向かう直前の鋭さを放っていた。

 再び将棋史に残る戦いが始まろうとしている。

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木村 一基(きむら・かずき)1973年6月23日、千葉県四街道市生まれ。47歳。故・佐瀬勇次名誉九段門下。85年、奨励会入会。97年、23歳で四段昇段。19年、7度目のタイトル挑戦となった王位戦で豊島将之王位(当時)を4勝3敗で下し、史上最年長の46歳3か月で初タイトルを獲得した。現代将棋では少数派の「受け(守備)」の棋風で、異名は「千駄ケ谷の受け師」。居飛車党。家族は妻と2女。

東京新たに55感染 宣言解除後最多、同一職場や歌舞伎町

共同通信 2020年6月24日(水)14時26分配信

 東京都は24日、新型コロナウイルスの感染者が新たに55人報告されたと明らかにした。緊急事態宣言解除後としては最多で、50人を上回るのは5月5日以来。

 既に7人の陽性が判明している同一職場の同僚が複数含まれているほか、新宿区が繁華街で実施している集団検査でも10人以上が確認された。累計は5895人となった。

 小池百合子知事は報道陣の取材に「職場でも集団感染になる事例だ」と説明。人出が戻る中で通常のオフィスなどの対策実施状況はつかみにくいとして「新しい日常での働き方やオフィスの在り方を改めて確認してほしい」と求めた。

 

2020年6月23日 (火)

【第45代大統領】緊急出版“暴露本”ボルトン前補佐官「日本を脅せ」指示✍明かす

トランプ氏 イランとの仲介より、安倍氏に米農作物の輸入拡大強要

共同通信 2020年6月23日(火)11時09分配信

 ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は23日出版の回顧録で、米国とイランの緊張激化を受け、トランプ大統領が昨年、安倍晋三首相に仲介を要請しながらも成功には期待せず、仲介の失敗後、安倍氏に米農産物の輸入拡大の方がはるかに重要だと訴えて早期の輸入増を迫っていたと証言した。

 日本の現職首相のイラン訪問は1978年以来41年ぶりで、米イランの緊張緩和を促す狙いだった。

 ボルトン氏は回顧録で、トランプ氏が昨年、日本にイランとの仲介を求め、安倍氏は「真剣に受け止めた」と説明した。

文在寅、トランプ大統領に「金正恩は1以内に非核」…安倍首相「信じてはいけない

中央日報 2020年6月22日(月)10時27分配信

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領がシンガポールでの最初の米朝首脳会談の直前、トランプ大統領に対し「金正恩(キム・ジョンウン)委員長が1年以内に非核化することで合意した」と伝えたと、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が回顧録で主張した。一方、安倍晋三首相は「金正恩委員長を信じてはいけない」と助言したという。ボルトン氏が23日出版予定の『それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録』で明らかにした内容だ。

 20日に中央日報が入手した回顧録の内容によると、文大統領は4・27板門店(パンムンジョム)南北首脳会談の翌日の4月28日、トランプ大統領との電話で「金委員長が豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖を含めて完全な非核化を約束した」と伝えた。

 また「金委員長に1年以内に非核化することを要請し、金委員長が同意した」とも話した。文大統領が電話でトランプ大統領のリーダーシップを称賛すると、トランプ大統領は「私が(対北朝鮮外交で)どれほど多く責任を負っているか明らかにしてほしい」と要求したと紹介した。

 ボルトン氏は板門店会談を「オリーブの枝をくわえたハトが飛び回るが、実質的な内容はほとんどないDMZ祭り」と酷評した。北朝鮮の「豊渓里閉鎖は(2008年の)寧辺(ヨンビョン)冷却塔爆破のようなもう一つのフェイク譲歩」とも書いた。

 その後の日米首脳の電話会談で、安倍首相は文大統領の「過度に楽観的な観点」とは対照的に「金正恩委員長を信じてはいけない」と助言した、と紹介した。「日本は非核化と日本人拉致問題の双方で具体的な約束、あいまいでない約束を望む」と要求した。そして「トランプ大統領はオバマ大統領より強い人」とも話したという。

 ボルトン氏は文大統領が当時、韓米朝3者会談を執拗に要求したとも紹介した。文大統領は当初、会談を板門店でした後、後続の韓米朝3者会談をしようと強く求めたが、金委員長がシンガポールを好むと述べると後退したという。米国はすでにスイスのジュネーブまたはシンガポールを最適な場所として検討していた時だった。

 続いて文大統領は5月22日のホワイトハウス韓米首脳会談で韓米朝会談のためにシンガポールに行くことを希望し、さらに6月11日の会談の前日まで出席を望んだと紹介した。ボルトン氏は「文大統領は2019年6月末のトランプ-金正恩板門店会談当時のように、写真行事に加わることを望んだ」とも話した。

 こうした構想を断ったは北朝鮮だった。北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長が6月1日にホワイトハウスを訪問し、「これは米朝会談だ。韓国は必要ない」と述べたという。北朝鮮が文大統領の出席を望まず3者会談に関心はないと話したというのがトランプ-金英哲会談の「唯一の良い便り」だったと、ボルトン氏は評価した。

 ボルトン氏はシンガポール終戦宣言も「もともとは北朝鮮のアイデアだと思ったが、文大統領の統一議題から出たものだと疑いを抱いた」とも伝えた。トランプ大統領も会談の1週間前まで韓国戦争(朝鮮戦争)終息宣言を「メディアの点数を稼ぐ機会」と考えていたという。

 ボルトン氏はポンペオ長官と共に、終戦宣言をする代わりに北朝鮮の核・弾道ミサイルの申告を共同声明に盛り込む案を用意した。結局、終戦宣言はシンガポール共同声明から抜けることになった。

 シンガポール会談でボルトン氏が最も衝撃を受けたのは、トランプ大統領の韓米軍事訓練中断約束だった。まず金委員長が「文大統領に軍事訓練問題を提起すると、米国の決定にかかっていると答えた」と訓練の話を始めた。するとトランプ大統領は「訓練は挑発的であり、時間と費用の浪費」とし「決して同意しない(米国)将軍は無視し、交渉する間は訓練を中断する」と答えたという。「金委員長が米国に多くの費用を節約させてくれた」とも話した。これに対し金正恩委員長は笑みを浮かべ、同席した金英哲副委員長と笑ったと、ボルトン氏は伝えた。

 シンガポール会談以降、北朝鮮は実務交渉をせず6カ月間ほど膠着状態になった。すべては核・弾道ミサイル申告要求のためだった。7月6、7日に平壌(ピョンヤン)を訪問したポンペオ長官が後続措置として申告を要求すると、北朝鮮は「一方的で強盗のような要求」と反発し、金委員長はポンペオ長官に会うこともなかった。

 ボルトン氏は自分がポンペオ長官に「北朝鮮が基本的な申告をするまで真摯な交渉を始めてはいけない」と強調したと伝え、申告は北朝鮮の非核化約束の誠意と交渉の善意をテストする措置だと主張した。金正恩委員長が8月から「恋愛手紙」と呼ばれる親書を送って「近いうちに会おう」と提案すると、トランプ大統領も会談を急いだ。9月には金委員長をホワイトハウスに招待しようとしたと公開した。

 ボルトン氏は自らトランプ大統領に対して「小さな国の独裁者が書いた手紙」とし「金委員長はポンペオ長官に会うまであなたとまた会う資格はない」とも話した。しかしトランプ大統領は「あなたはなぜそれほど敵対心が強いのか」とし、ポンペオ長官に「11月の中間選挙後に金委員長に会うので電話をかけて要請してほしい」と指示したという。

 金英哲副委員長の翌年1月17、18日のワシントン訪問で決定したベトナム・ハノイでの首脳会談当時、ボルトン氏は米国務省のビーガン北朝鮮政策特別代表が作成した合意文草案をボイコットしたと紹介した。

 ボルトン氏はトランプ大統領より先にハノイに行く途中、フッカーNSC朝鮮半島補佐官から草案を受け、「トランプ大統領の事前譲歩ばかりを列挙し、北朝鮮側はまたあいまいな非核化声明だけを入れた」と酷評した。ポンペオ長官がなぜこのような文案を許諾したのか完全なミステリーだとし、ペンス副大統領、マルバニー首席補佐官代行、ミラー政策補佐官と連絡して採択されないよう事前作業までした。

 ボルトン氏は、ビーガン代表がスタンフォード大での演説で漸進的接近を明らかにしたことについて「国務省の交渉家が合意に対する熱意と広報にあまりにも陶酔し、統制不能になった」と不満を表したりもした。

 ボルトン氏はトランプ大統領のハノイでの予期せぬ譲歩を防ぐため、準備会議でレーガン大統領が1987年にゴルバチョフ共産党書記長とのレイキャビク会談で席を立って出ていく映像を見せたりもした。これが結局は中距離核戦力全廃条約(INF)合意を導いたと説得するためだ。トランプ大統領は映像を見た後、「私が有利な立場なので急ぐ必要はない。会談場所を出ることもある」と述べ、ボルトン氏は安堵したという。

 ボルトン氏はポンペオ長官にもハノイ交渉で基本申告を改めて強調し、なぜ経済制裁を放棄してはいけないかについて強調し、これに対しポンペオ長官は自身の領域への干渉に怒りを表したものの内容には反対しなかった、と紹介した。

 2月28日の会談は結局、ボルトン氏が意図したようにバッドディール(悪い合意)ではなく白紙という結論が出た。トランプ大統領も会談の前日、「ビーガン代表の文案は気に入らない。度が過ぎる」と実務交渉チームの草案を拒否した。元顧問弁護士マイケル・コーエン被告の公聴会を見ようと夜を明かしたトランプ大統領は会談場所のメトロポールホテルに向かう車内で「スモールディールと会談場所を出るのはどちらが記事のネタになるのか」と尋ねたりもした。

 トランプ大統領は、寧辺核施設の解体の見返りに2016年以後に採択された国連制裁の解除を要求した金委員長に対し、ボルトン氏が準備した非核化の定義と北朝鮮の明るい未来を整理した2枚の文書を渡した。会談中は「寧辺のほかに追加で出すものはないか」というトランプ大統領と、「寧辺が北朝鮮にどれほど大きな意味を持つのか分かっているのか」という金委員長の問答が繰り返されたという。

 トランプ大統領は米国を打撃できる長距離ミサイルの除去も提案した。ボルトン氏はここで「北朝鮮の核・弾道ミサイル、生物・化学武器に対する基本的な申告が必要だ」と割り込んだ。

 すると金委員長は「一歩ずつ進めば最終的に全体の絵に到達するだろう」とし「北朝鮮は安保に対するいかなる法律的な保障も得ていない。米国の軍艦が北朝鮮の領海に進入すればどんなことが起きるだろうか」とも話した。

 トランプ大統領は金委員長に「寧辺-制裁解除の提案を受け入れる場合、米国では政治的な波紋が非常に大きい。大統領選挙に敗れることもある」と拒否する意思を明確にした。金委員長は最後まで合意がなくても「ハノイ共同声明」を発表することを望んだが、これもなくハノイでの米朝首脳会談は決裂で幕を閉じた。

 ボルトン氏は2019年6月30日のトランプ大統領と金委員長の板門店会談で、米国はもちろん北朝鮮も文大統領が加わることを望まなかったとも紹介した。文大統領はトランプ大統領の板門店訪問を控えた2国間会談で自身が板門店に同行することを要請した。これに対しトランプ大統領は「金委員長は私と会うことを望んだが、文大統領がDMZに一緒に行って会うのは文大統領にはプラスに映るだろう」と話した。

 しかしポンペオ長官が「北朝鮮と合意したのはトランプ大統領と金委員長の2国間会談」と述べ、ボルトン氏もポンペオ長官の意見を支持した。するとトランプ大統領も「一緒に会うかどうかはもうすぐ分かるだろう」と語った。文大統領は「トランプ大統領と金委員長の会談が最も重要な問題だが、金委員長が韓国の領土に入ってくる場合、私が現場にいないのは望ましくない」と繰り返し話した。

 ポンペオ長官は「昨夜、文大統領の考えを伝えたが、北朝鮮側はこれを拒否した」と改めて反対の立場を明らかにした。トランプ大統領も「文大統領も出席すればよいが、北朝鮮の要請に従う」と述べた。

 これに対し文大統領は「米国の大統領がDMZを訪問したのは数回あるが、韓米両大統領が一緒に行くのは初めて」と執拗に要請した。しかしトランプ大統領は「金委員長に話すことがあるので大きな機会を逃すことはできない」とし「文大統領はソウルで見送った後、韓国を離れる直前に烏山(オサン)で会うのはどうか」と提案した。すると文大統領は「トランプ大統領を板門店近隣のオウレット哨所まで同行した後、そこで次のことを決めよう」と話し、結局、トランプ大統領も受け入れたという。

ボルトン回顧録で広がる波紋 米軍駐留費4倍8500億要求

FNNプライムオンライン 2020年6月24日(水)1時09分配信

 トランプ大統領の元側近の生々しい告白が波紋を広げている。

 アメリカのトランプ大統領の元側近・ボルトン前大統領補佐官が23日に出版した回顧録「それが起きた部屋」。
日本にもその波紋が広がっている。

 ボルトン氏が明らかにしたのは、在日アメリカ軍駐留経費の大幅増額要求。

 回顧録の内容によると、ボルトン氏は2019年7月、在日アメリカ軍の駐留経費を、現在の4倍余りに相当する、年間およそ8,500億円に増額するよう求めるトランプ大統領の意向を、日本政府に説明。

 また、トランプ大統領からは、アメリカ軍の撤退を示唆して交渉を有利に進めるよう指示を受けたと明らかにしている。

 この内容について23日、菅官房長官は、「ボルトン前大統領補佐官の回顧録の内容に、1つひとつ政府として答えることは差し控えたい」とコメント。

 河野防衛相は「アマゾンなどアクセスしたが売り切れ。入荷はまだということで、本を読めていない。(駐留経費の)交渉はまだ始まってもいないし、日本政府として、アメリカからこの件について何か要求があったことはありません」と述べた。

 さらに、日本政府関係者からは、「ボルトンは次から次へと出てくるな。これからうそばっかりだということがわかってくるよ」という声が。

 回顧録でボルトン氏は、2018年に行われた史上初の米朝首脳会談について、トランプ大統領が「会談は宣伝のためだ。中身のない合意でも署名する」と述べた、とも指摘。

 こうした米朝協議の記述について、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は、「正確な事実を反映していない。相当部分、事実を大きく歪曲している」と反発している。

 さらにボルトン氏は回顧録で、2019年6月の米中首脳会談について、トランプ大統領が習近平国家主席に対し、大統領選で再選できるよう支援を要請していたと指摘している。

 回顧録の一連の内容について、トランプ大統領はツイッターで、「役に立たないむしずが走るようなジョン・ボルトンは、刑務所に入るべき犯罪者だ。金のために、高度な機密情報を漏えいしている」と猛烈に批判している。

 ボルトン回顧録に核心突かれ、狼狽の文在寅政権が猛反発 

JBpress 2020年6月24日(水)6時01分配信

 ジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官の回顧録『それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録(The Room Where It Happened:A White House Memoir)』(米国時間6月23日発売)が韓国を揺るがしている。

 21日夜から、韓国メディアは一斉に「ボルトンの回顧録を入手した」とし、数多くのスクープを出し始めた。米朝首脳会談と米韓首脳会談など、国家首脳間の敏感な会談内容を赤裸々に暴露したこの本は、トランプ米大統領にはかすり傷を、文在寅(ムン・ジェイン)韓国政権に致命傷を与えた、と言われている。

 韓国の複数メディアが報道した回顧録の内容のうち、韓国で問題となった部分は、文在寅政権が米朝間の仲裁者を自任しながら、米国のトランプ大統領に北朝鮮の意図を誤解させる原因を提供してしまったという指摘だ。韓国メディアに掲載された内容を総合すると、次のようである。

12018年6月のシンガポールでの第1回米朝首脳会談に対する記述

 「(2018年)3月にホワイトハウスの大統領執務室で、(韓国の)鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長がトランプ大統領に会いたいという金正恩(キム・ジョンウン)委員長の招待状を手渡し、トランプ大統領は瞬間的な衝動でこれを受け入れた」

 「のちに鄭室長は、(トランプ大統領の)招待については自らが先に金正恩氏に提案したことをほぼ認めた」

 「すべての外交的ファンダンゴ(スペインの男女ペアで踊るダンス)は韓国の創作物で、これは金正恩氏やわれわれ(米国)の真摯な戦略よりも、韓国の統一議題により関連したものだった」

 「文在寅大統領は2018年4月28日の米韓首脳間の電話会談で、『金正恩氏が豊渓里核実験場の閉鎖を含めて完全な非核化を約束した』『金正恩氏に1年以内に非核化することを要請したが、金正恩氏が同意した』と話した」

 「2018年5月4日、鄭室長は3度目のワシントン訪問で、(4月27日の南北首脳間の)板門店会談に関する具体的な内容を提供した。韓国は金正恩氏にCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)に同意するよう強要し、金正恩氏はこれに従っているように見えたと述べた」

2朝鮮半島の終戦宣言に関する記述

 「われわれの論議において、もう一つの重要なテーマは韓国戦争の終戦宣言だった」

 「最初の終戦宣言が北朝鮮のアイデアだと思っていたが、その後、これが自分の統一アジェンダを裏付けるための文大統領のアイデアだと疑い始めた」

 「北朝鮮はそれを文大統領が望むものと見て、『自分たちは気にしていない』と述べた」

 「私は文大統領がこのような悪いアイデアをトランプ大統領に勧めることについて懸念したが、結局それを止めることができなかった」

32019年2月のハノイ米朝首脳会談後に関する記述

 「ハノイの首脳会談の数日後、米韓安保室長の対話で、鄭室長は、『金正恩氏が代案なしに一つの戦略だけ持ってきたことに驚いた。米国側が行動対行動方式を拒否したのは正しい』といいながらも、『寧辺廃棄は意味ある最初の措置であり、これは(このような提案を出したのは)北朝鮮がすでに取り返しのつかない非核化の段階に入ったことを意味する』という、文在寅大統領の統合失調症的なアイデア(Moon Jae-in’s schizophrenic idea)を伝えた」

 「われわれ(米国)はハノイ以降、南北間の接触がないことを知った。太陽政策が可視的な成果をもたらすと主張してきた文大統領は、非核化および南北関係関連の北朝鮮の冷淡さが政治的に良くないと憂慮した。文在寅政府は生贄を探していた」

 「そこで文大統領は、板門店または海軍軍艦での会談を提案し、『劇的な結果を導くことができる時刻、場所、形式に対する劇的なアプローチが、劇的な結果をもたらすだろう』と述べた」

42019年6月30日、板門店南北米3者会談に関する記述

 「金正恩氏とトランプ大統領との会談に干渉しようとする文大統領の試みも相手にしなければならなかった」

 「トランプ大統領は文大統領が近くにいないことを望んだが、文大統領は(トランプ大統領と金正恩氏との会談に)強く出席しようとし、できれば3者会談にしようとした」

 「(自分は米朝首脳会談に乗り気でなかったので)文大統領との紛争がすべてを台無しにしかねないという一縷の希望を抱いた。なぜなら、金正恩氏も文大統領が近くに来ることを望まないことは明らかだからだ」

米韓関係に甚大な影響

 衝撃的な暴露に大統領府は直ちに反発した。鄭義溶・国家安保室長名義の立場文を通じて、ボルトンの回顧録は「相当部分が事実を大きく歪曲している」「韓国と米国、そして北朝鮮の首脳間の協議内容に関する事項を自分の観点から見たことを明らかにしている」と反論した。また、「政府間の相互信頼に基づいて協議した内容を一方的に公開することは、外交の基本原則に反するもの」とし、「米国政府がこのような危険な事例を防止するための適切な措置を取ることを期待する」と述べた。

 当時、大統領府の国政企画状況室長として実務を担当した尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は、フェイスブックを通じ、「自分が知っていることがすべてだと信じる錯覚と傲慢から脱することを望む」「すべての事実を一つひとつ公開し反論したいが、ボルトン前補佐官のような人になるわけにはいかないので我慢する。言うことがないから、黙っているわけではない」と非難した。

 民主党議員らも、ボルトンに向けて「自分(ボルトン)が統合失調症ではないか」「一発殴りたいほどだ」「見苦しいタカ派」「武器商人の本気」「戦争狂」「三流政治家」など、激揚した反応を見せている。

 韓国メディアは、金与正(キム・ヨジョン)第1副部長と北朝鮮の敵対的攻勢で緊張感が高まっている朝鮮半島情勢が、ボルトンの回顧録によってさらに悪化するだろうと非難した。

 ハンギョレ新聞は社説「韓半島危機の中、一方的に暴露したボルトンの破廉恥」で、「ボルトンの暴露は危機の韓半島状況をさらに悪化させ、今後の北朝鮮核問題解決に向けた交渉を困難にさせる恐れがあるという点で、問題の深刻性が大きい。ボルトンは適切な責任を負うべきだろう」と憤った。

 聯合ニュースは「恨みを抱いたタカ派のボルトンが危険な賭けが米朝に影響・・・韓米にも冷や水」という記事で、「最初から最後までタカ派の屈折した見方で対北朝鮮外交全体を完全な失敗に追い込んだ」と非難し、この回顧録が韓米関係に否定的な影響をもたらす恐れがあると警告した。

 金与正氏の「言葉爆弾」に続き、ボルトンの「回顧録爆弾」が文在寅政権に新たな脅威となっている。

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 空席目立ったトランプ集会 悪戯の参加登録?…数十万件申込か 

読売新聞オンライン 2020年6月22日(月)13時19分配信

 米国のトランプ大統領が20日に南部オクラホマ州タルサで開いた選挙集会で空席が目立ったことを巡り、米紙ニューヨーク・タイムズは21日、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」で情報を共有した若者がいたずらで大量に申し込みをしたことが一因との見方を伝えた。

 ニューヨーク・タイムズによると、TikTokの利用者らの間で、いたずらで登録することを勧める情報が拡散した。参加するつもりのない申し込みは数十万件に上った可能性がある。多くの利用者は集会への登録を呼びかける投稿を既に削除し、痕跡をなくしたという。

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 会場となった屋内競技場の収容人数は1万9000人で、トランプ陣営は100万人超の申し込みがあったとアピールしていたが、米メディアによると実際の入場者は6200人にとどまった。陣営は、架空の電話番号で登録するなどした申請者は除外したとし、新型コロナウイルス感染への懸念などが来場者の減少につながったと説明している。

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2020年6月22日 (月)

【軍艦島】✍韓国「世界遺産の登録取り消し」求める書簡発送へ

菅官房長官、軍艦島の世界遺産登録取り消しを求める韓国側の通告「ない

ABEMA TIMES 2020年6月22日(月)11時49分配信

 菅官房長官がさきほど会見を開き、2015年に世界文化遺産に登録された長崎県の端島(はしま)。通称・軍艦島などについて、韓国政府が登録の取り消しを求める方針を固めたと韓国の一部メディアが報じたことについて言及。

「報道は承知しているが、一つひとつについてコメントは差し控えたい」と述べたうえで「いずれにしても我が国はこれまでに世界遺産委員会による決議、勧告などを真摯に受け止めており、我が国政府が約束した措置も含め、それらを誠実に履行してきている。引き続き適切に対応していきたい」と話した。

 また、韓国側から日本政府に対して登録取り消しを求める内容の通告有無などについては「現時点までにそのような通告はない」と述べた。

文在寅支持率急落!“被害者中心主義”を掲げる慰安婦団体が乱立

デイリー新潮 2020年6月22日(月)11時01分配信

慰安婦問題とはまったく関係のない人物も

 北朝鮮による挑発で文在寅政権への支持率が低下する中、新たな動きである。元慰安婦の李容秀(イ・ヨンス)さんの暴露によって、尹美香(ユン・ミヒャン)議員が率いた正義記憶連帯に対するさまざまな疑惑が溢れ出た結果、韓国社会ではこれまでの正義記憶連帯の運動のやり方に多くの批判が起きている。と同時に、被害者中心主義を掲げた新しい元慰安婦関連団体も出現し始めている。

 ***

 6月16日、大邱(テグ)のある市民運動家は「アイキャンスピーク」(仮称)という新しい慰安婦団体の結成を予告した。韓国の日刊紙「韓国日報」の報道によると、同団体は運動家中心だった既存の慰安婦関連団体とは異なり、被害当事者中心に運営されるという。具体的には元慰安婦たちと関連する講演やセミナーを中心に活動する。

 団体の結成を主導している市民運動家は、同紙のインタビューで、「団体は、市民の後援金で運営され、活動による収益金は全額を被害者に渡すつもりだ。会計の透明性を確保するため、外部に会計処理を任せることにした」と強調した。韓国の独立記念日である8月15日の発足を目標にしており、現在は団体の趣旨に賛同する人を中心に約20人人が参加していると、同紙は紹介した。

 慰安婦問題に詳しいジャーナリストは、この団体の性格について次のように説明する。

「仮称ではありますが、団体名からもわかるように、李容秀さんを前面に出した活動をするものと予想されます。『アイキャンスピーク』は、李さんが2007年に米下院公聴会に出席し、慰安婦被害事実を証言したという実話を基に作られた映画のタイトルと同名。この映画は、韓国で320万人の観客を動員したヒット作品です。李さんは5月の記者会見で、青少年たちに慰安婦問題について、きちんと教える教育活動を推進したいと言っていましたが、この団体は李さんの活動をサポートし、一方で慰安婦問題において発言権を得たいという目的もあると思われます」

 しかし、この“抱負”はたった1日で水の泡となってしまう危機に直面した。肝心な李容秀さんの家族が同団体と市民運動家に対して疑惑を提起したためだ。

 李容秀さんの養女は、自身のSNSに関連記事のリンクを共有し、「誰だ、お前? 誰も知らない」と訴え、団体結成を推進する市民運動家を狙い撃ちした。彼女は「アイキャンスピークという団体は当事者(李さん)も知らない。電話番号を知らないはずもないのに、一度ぐらいは事前に連絡して、本人の意向を聞いてみるのが順番ではないか」と指摘した。

「団体を推進していた人物は、大邱2・28民主運動記念事業会のキム・ギョジョンという人物でした。2・28民主運動とは、1960年代の李承晩(イ・スンマン)政権時代、大邱の学生を中心に始まった抵抗運動です。慰安婦問題とはまったく関係のない人物が、事前に相談もなく李氏の名前を掲げた慰安婦団体を作ろうとしたことについて、養女は当惑したのでしょう。養女は、キムさんが某日刊紙の寄稿文で、李容秀さんの2007年の米国訪問を支援したかのように書いていたことについても、李さんの訪米を積極的に支援してくれた人物はキム・ギョジョン氏ではなかったと非難しました。この言い争いには李さんの側近まで乗り出して、『李容秀さんとキム氏の団体は全く関係ない』と主張。現在は韓国日報の記事も削除されてしまいました。しかし、キム氏が団体結成を諦めたかどうかはまだ分からない」(前述のジャーナリスト)

 一方、元慰安婦の家族らも新たな団体を結成する意思を表明した。

「中央日報」は19日、元慰安婦のキル・ウォノクさんの息子を中心とする元慰安婦家族らが「慰安婦家族対策協議会」を作ったと報道した。キル・ウォノクさんは、正義記憶連帯が運営する麻浦の憩いの場で生活していた唯一の元慰安婦だ。今月6日、休憩所の所長が自殺したことで、キルさんは息子に連れられ、実家に戻ってきていた。

 韓国メディアによると、キルさんの息子と妻は検察の調査に、「麻浦所長が管理していた母の通帳から、家族に知らせず、頻繁に大金が引き出された」と主張したという。また、「元慰安婦たちに毎月350万ウォンの政府補助金が支給された事実も、自分たちには知らされていなかった」と話した。

 中央日報によると、同団体は「尹議員および正義記憶連帯とナヌムの家(慰安婦被害者とされる人たちの養護施設)に絡むスキャンダルを見て、実際の被害者である母親たちが疎外され、助けてもらえずにいることが分かった。李容秀さんを手伝って元慰安婦の方々を助けたいと思って結成した」と結成の背景を説明している。

 長年、慰安婦問題において絶対権力として君臨していた正義記憶連帯が奈落の底に落ちている最中、正義記憶連帯が独占してきた「被害者中心主義」という掛け声を挙げる新しい慰安婦団体が、雨後の筍のように出現するとみられる。

金昌成=韓国在住のジャーナリスト。韓国政財界や芸能界など幅広い分野で記事を執筆。来日経験も多く、日韓関係についても精力的に取材を行っている。

 金正恩の妹・金与正の暴走は、正恩死後の“襲名披露”の様相 

ニッポン放送 2020年6月22日(月)11時40分配信

 ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月22日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。韓国批判のビラ撒きに対し、北朝鮮が韓国の中断要請に応えないと発表したニュースについて解説した。

北朝鮮、韓国批判のビラを撒く準備完了

 北朝鮮は韓国への非難ビラを散布する計画を、韓国政府が南北間の合意違反だとして中止を求めたことに関し、「合意はいまや紙くずになった」と主張。変更する意思はまったくないと散布決行の立場を明らかにした。

飯田)6月16日に開城の南北共同連絡事務所を爆破して、その映像を公開しました。このところ緊張を高めていますが、どうご覧になりますか?

奥山)金与正さんの外交デビューというか、彼女を後継者として外に出すための布石なのではないでしょうか。緊張を高めることによって、ああいう国にありがちな、「よろしく頼む」と大騒ぎをさせることで、彼女の舞台をつくっているのだと思います。

飯田)襲名披露みたいな。

奥山)そうです。仁義なき戦いのような世界になるのですが。

飯田)「わしの後継者はこいつじゃからな、よろしゅう頼むぜ」と。

後継者として外に知らしめるための布石

奥山)「彼女はこれだけ力を持っているのだ」と。「暴れてこい」というところも言われているのかも知れません。ネットを見ると日本にもファンがいらっしゃって、「与正たん」と呼んで注目しているようです。基本的には、彼女に後継者をやらせるための布石を打っていると見ています。

飯田)この時期に暴れても、振り向いて欲しいアメリカは、いまコロナで大変ですよね。

奥山)基本的には、コロナという大きな枠組のなかで、北朝鮮の存在を見せるために騒ぎを起こしている。ただ本音としては、北朝鮮もここでアメリカから攻め込まれるようなことはしたくないというところでしょう。

韓国への限界点を探っている北朝鮮~そのあとは平常運転に

飯田)韓国をやたらと批判しているではないですか。「仲よくしようよ」と言っている人を足蹴にするような側面がありますね。

奥山)北朝鮮は探っているのだと思います。どこに限界点があるのかを探るために、爆破を見せたのだと思います。北朝鮮はよく爆破しますよね。「これを越えたらまずいのかな」と探りを入れているのです。本気で戦争をしたいと思っているわけではないでしょう。

飯田)そうすると、「ここまでは大丈夫」と、次は別のことをやって来る可能性があるということですか?

奥山)そこから先に別のことをやると困ることになるので、北朝鮮側もこれで収めて、その後いきなり平常運転という形になるのかなと思います。

飯田)この後、核やミサイルに手を付けて来るということはないですか?

奥山)そこまでは行かないと思います。韓国側に見せるために、実験的に小さいものを撃つとは思いますが、ICBMのような、アメリカが本気で振り向くようなことはやらないと見ています。

飯田)そうやって存在感を見せつつ、何らかの譲歩を迫るような。国内はやはり厳しめなのでしょうか?

奥山)内政と外政はつながっているので、なかの不安な部分から目を逸らすためにやっているところもあるのだと思います。

韓国を「裏切り者のクズ」と罵倒、金正恩金与正とは何者

現代ビジネス 2020年6月23日(火)7時01分配信

韓国と「決別する時」…?

 〈裏切り者とくずの連中の罪科を絶対に容認してはならない〉

 〈南朝鮮の連中と決別する時になったようだ〉

 〈くずは、ゴミ箱に捨てなければならない〉

 これは北朝鮮政府が運営する対外宣伝サイト「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」で6月14日に掲載された、金与正(キム・ヨジョン)氏のものとされる談話の一部である。

 いずれも、韓国の脱北者団体が、北朝鮮の体制を批判するビラを北朝鮮へ向けて風船で散布したことを罵倒するもの――つまり韓国の人々と文在寅大統領、韓国政府へ向けた言葉だ。

 北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の健康問題が4月に伝えられて以来、急速に存在感を増している、正恩氏の実の妹・金与正氏。

 いま対外的姿勢、特に韓国に対する態度を激しく硬化させつつある北朝鮮だが、与正氏の公式談話に盛り込まれた冒頭のような「暴言」、は、いわばその象徴となっている。

スイスへ留学、専攻は理系

 与正氏の半生は謎に包まれ、詳細がわかっていない。

 正恩氏には故・金正男氏ら異母兄・姉がいるが、与正氏は正恩氏と同じ母・高英姫氏が産んだ唯一の妹である。生年は1987年とも、88年、89年ともいわれる。いずれにしても現在、30代前半とみられる。

 与正氏は兄の正恩氏と同様、90年代後半にスイスへ留学し教育を受けたとみられ、同地でコンピューターサイエンスなどを学んだ。バレエが好きで、レッスンを受けていたとも報じられている。2000年に帰国し、その後は北朝鮮で最高の大学である金日成総合大学へ入学、物理学を専攻した。

 与正氏が初めて公の場に姿を見せたのは、2011年末に死去した父・金正日氏の葬儀でのことだ。以降、重要な行事では必ず正恩氏の後ろに付き随うようになった。

 2016年からは党中央委員となり、公職にもついた。2018年の平昌オリンピック開会式では、韓国の文在寅大統領と握手をかわし、外交デビュー。米国のペンス副大統領、そして安倍首相とも言葉は交わさなかったもののニアミスし、世界にその存在が認知されるきっかけとなった。

 さらには同年4月の南北首脳会談で正恩氏と共に会談のテーブルに座り、兄を補佐。史上初となった米朝首脳会談にも、2018年のシンガポール、2019年のハノイいずれも同行している。

次なる北朝鮮の指導者か?

 与正氏は2017年、朝鮮労働党の政治局委員候補に抜擢された。最高幹部の政治局員ではないものの、それに次ぐ地位に当時30歳前後の女性が抜擢されたことには、関係者の間で驚きが広がった。その後19年には一旦役職を降りるが、今年4月の党政治局会議で再任されている。

 この6月17日には、文在寅大統領の「6.15宣言(南北共同宣言)20周年記念行事」での演説を受けて、与正氏は自身の名義で再び談話を発表した。文大統領からの南北融和の呼びかけを、足蹴にし踏みつけるかのような厳しい内容だ。いわくーー。

 〈北南関係が取り返しのつかない最悪の破局へ突っ走っている〉

 〈(文在寅大統領は)生水を飲んで当たった声のような鉄面皮かつずうずうしい内容だけをまちまちに並べ立てた〉

 〈節節に鉄面皮さとずうずうしさがかび臭く付いている詭弁だと言うべきであろう〉

 〈怖気づいた犬がもっと騒々しく吠える〉

 金正恩氏の動静があまり伝えられない中、盛んに対外発信を担い、北朝鮮の「新たな顔」となりつつある与正氏。今後、北朝鮮の中でどのような地位と役割を占めるようになるのか、世界が固唾をのんで見守っている。

韓国、日本製品不買運動どこへ?「あつ森大ヒットご都合主義

Newsweek日本版 2020年6月19日(金)18時56分配信

昨年の夏、韓国に吹き荒れた反日の嵐は今──

 新型コロナウイルスのパンデミックで世界中が巣ごもり生活を始めた頃、「外出したい!人と関わり合いたい!」という人びとの救世主となったのが、任天堂から3月20日に発売されたゲーム『あつまれ どうぶつの森』(以下、「あつ森」)だった。

 2001年に第1作が発売されたシリーズの最新作だが、このゲームは一般的なストーリーがあるゲームとは違い、特に決まったエンディングがあるわけでもなく、自分の所有する島での疑似ライフを楽しむものである。

 友達の島にも遊びに行けるなどの機能もあり、コロナ禍で外出できなくても、ゲーム内で友人とバーチャル交流できる点も、社会現象になった爆発的人気の一つの要因だろう。

 発売と同時に日本はもとより、世界各国で記録的売り上げを叩き出し、売り切れが続出した。

日本製品が御法度だった韓国でも

 お隣の国、韓国では昨年から日韓貿易紛争に影響を受けた日本製品不買運動が行われており、一部ネットでは「どうぶつの森も不買運動の対象商品だ。買わないように」という呼びかけも行われていた。

 ところが蓋を開けて見ると、韓国民の購買欲はそんな声も吹き飛ばしてしまったようだ。他の国々同様の記録的な売り上げを出している。

 具体的な数字を見てみよう。任天堂スイッチの韓国内の流通会社であるDaiwon Mediaが6月12日に発表した「企業説明会(IR)資料」によれば、2020年四半期(1~3月)の「あつ森」の販売数は28万7590本。そしてゲーム機本体のNintendo Switchの販売量は8万2848台だった。

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 Switchは2017年12月にすでに韓国内で発売されていたが、「あつ森」発売のタイミングと同時に売り上げが急増。前年同時期より30.4%アップしている。これは、2年目にして、「あつ森」効果により、再び販売量が急増したということだ。

ネット通販の割引きで56万件の問い合わせ

 さらに、「あつ森」人気を表すような出来事も起こった。フラッシュマーケティングの通販アプリで有名なTMONは、先月20日に「ARSタイム」という特別セールイベントを行った際、「どうぶつの森スペシャルエディションのNintendo Switchを割引価格(299000ウォン)で買える」という商品を出した。

 すると、たった1時間で56万通、1秒間に156件という記録的な数の問い合わせ電話が殺到したという。無料のプレゼントでもなく、割引価格での抽選販売にも関わらずこの人気に注目を集めた。

 冒頭でもふれたように、新型コロナのパンデミックが始まる前までは、韓国ではまだ日本製品の不買運動が続いていた。実際にその影響を受けた日産、オリンパス、GUなどが韓国からの撤退を発表している。

本人の都合で不売をする国

 当然のように「あつ森」も発売前には、一部ネチズンが「不買運動を続けよう。ゲームを買わないように」と呼びかけ、20日の発売後も多数のコミュニティーサイトでは売れ行き好調に対する批判的な意見がいくつも投稿されているのを目にした。

 誠信女子大学のソ・ギョンドッ教授は、今月8日自身のFacebookに「最小限の自尊心を守ってほしい」という文章を投稿している。それによると「コロナ感染に注意すべきなのに、ゲームが発売された先月末、市民が製品を買い求め、ソウル龍山の電子商店街の店頭に長蛇の列を作った」という文を写真と一緒に掲載し、「もちろん不買運動を強要することはできない。 ひとりひとりの選択を尊重する。しかし私たちはもう一度考えるべきではないだろうか」と疑問を呈した。

 さらに、去年ユニクロの不買運動が行われるなか、ヒートテックの無料贈呈が行われると人びとがユニクロに詰めかけた例を引合いに出して「(無料贈呈)写真が日本でも報道され、日本のネチズンから多くの非難と嘲弄を受けた」「今回も任天堂のゲームが品切れになるほどの人気について、日本のメディアでも取り上げられ、日本のネトウヨたちが“本人の都合で不売をする国“、“韓国の独特な御都合主義“と批判されている」と主体性のない韓国の不買運動を嘆いている。

ゲーム実況をしたお笑い芸人が炎上

 そんな、“ご都合不買運動“疑惑で一人のお笑い芸人が炎上している。人気芸人ユ・ミンソンは、最近自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、ゲーム実況系ユーチューバーとしてデビューした。そこで「あつ森」のゲーム実況動画をアップロードしたところ、一部の不買推進派から批判の的にされてしまったのだ。

 ネット上での批判意見をまとめて見ると、ユ・ミンソンは、自身の出演している地上波放送局KBSの人気お笑い番組『ギャグコンサート』の昨年8月11日放送回で日本製品不買運動を支持する姿勢を見せていた。

 ところが、日本製品の「あつ森」を買い実況を行ったことで「ゲームの宣伝も行ったも同然」という厳しい意見が多い。しかし、ユ・ミンソン側の主張は、当時番組上では「アイデア研究所長」という役どころで、番組のコーナーの司会を担当しただけであって「日本不買運動に意見した覚えはない」と主張している。しかし、批判を受けて彼のユーチューブチャンネルでは、今もすべての動画が非公開設定になったままだ。

それでも売れるSwitch

 こうした不買運動にまつわる騒ぎをよそに、Nintendo Switch本体のその後も売り上げは好調で、現在も売り切れ続出で買いたくても買えない状況が続いている。韓国のニュース報道によると、今年の子供の日のプレゼントでSwitchは1番人気だったそうだ。

 このようなニュースを耳にすると、無条件で「日本企業=不買しよう」という運動はもう古いのかもしれないとさえ思える。各企業の信念に反対なら不買をして反対意見を示すのは個人の自由であり、れっきとした主張方法だ。しかし、国籍などでひとくくりにして、その抗議運動を人にまで押し付ける単純すぎる考えは、これからの時代に合っていない気がする。今回の「あつ森」人気をきっかけに、個々を見て判断する考えが生まれ始めているのだと、思いたい。

 【朝鮮日報】次第に遠ざかる韓日破局へ向かうのか 

朝鮮日報オンライン 2020年6月20日(土)7時01分配信

 日本に「敵に塩を送る」ということわざがある。16世紀の日本では諸大名が乱立して争っていた。そのさなかに宿敵同士だった一方が塩不足に苦しんでいた相手方に塩を送ったというエピソードに由来する。

 窮地に陥った敵の弱点を狙わず、雅量を示した形だ。「自分が争うのはやりと刀であって、塩ではない。気持ちを受け取ってくれ。再び軍馬を整え戦場で会おう」というメッセージだった。

 慶尚北道慶州市は最近、新型コロナウイルス対策物資の確保に苦しんでいた日本の奈良市に防護服1,200セット、ゴーグル1,000個を支援したところ、大騒ぎになった。「土着倭寇」(韓国に自生する親日派の意味)「売国奴」という非難が相次いだ。

「塩」を送って敵を助けた行為として追及されたのだ。慶州市と姉妹都市関係を結んで50年になる奈良市が2016年の慶州地震の際には救援物資を提供。毎年修学旅行団が慶州市を訪れている。

 しかし、「慶州市長を解任せよ」という青瓦台の国民請願まで登場するに至り、お手上げ状態となった。残る物資支援はなかったことにされた。こうした形で地方自治体同士の交流が断たれたり、民間レベルでのイベントが中止されたりしたケースは50件を超えるという。

 「塩」をやりとりするどころか、互いの傷に塩を塗ることだけは「相互主義」の原則ですっかり定着した。

 日本政府は軍艦島炭鉱関連の展示施設に韓国人徴用犠牲者を追悼する内容の展示を行うと国際社会に約束したのに反し、歴史的事実をごまかす内容で公開した。韓国政府は相手にしないというメッセージを送ったに等しい。

 日本が「韓国に対してはこれ以上『模範生』でいることを拒否した」という言葉はそこから出てきたものだ。2018年10月、大法院で徴用工判決が下されて以降、1年8カ月にわたり、両国政府はひざを突き合わせて話し合うのではなく、相手に屈服を強要した。

 外交は存在しなくなった。その渦中で日本の韓国に対する輸出規制が取られ、韓国側からは韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄という脅しが出た。

 第2ラウンドの戦いは日本製鉄(旧新日鉄住金)の賠償手続きと共に始まるだろう。

 裁判所が期限として定めた8月4日が過ぎれば、既に差し押さえられた日本製鉄の韓国国内の資産を現金化することが可能となる。青瓦台と与党内部では日本製鉄が韓国に保有する資産の売却を既成事実化しているムードだ。日本側は差し押さえ資産の現金化を限界線として設定している。

 日本国内の強硬世論と下落した支持率の挽回を目指す安倍内閣の事情を考慮すれば、韓国側の資産差し押さえや関税引き上げといった金融カードを切るかもしれない。輸出規制は「国産化」で乗り切ることができるかもしれないが、金融分野の「国産化」はあり得ない。

 基軸通貨の発券国(日本)との争いは最初から相手にならない。日本が金融カードを切るふりをしただけで、韓国は傷を負いかねない。南北関係が米中関係によって規定されるように、韓日関係が原状回復の難しいレベルの破局に至れば、米中対立局面から韓米不和に繋がることが避けられない。GSOMIA破棄を巡って、そうした力関係は十分に経験した。

 それでも文在寅(ムン・ジェイン)政権は「被害者が望まない」「大法院判決には関与できない」という無為・無策で一貫している。仮に目前に見える不利益が予想されても、他の目的で放置していたとすれば、これまでのところは成功したと言える。今後文在寅政権の人々が意図した通りに物事が運ぶかどうかに関係なく、被害は企業や一般国民が被ることになる。

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2020年6月21日 (日)

【2日酔い対策】アルコール代謝の良い<タウリン>積極的に摂る。

 達人のは「あさり汁」。タウリンで“打倒二日酔い”も 

Forbes JAPAN 2020年6月20日(土)20時00分配信

「巣ごもり」から多少は解放されても、いわゆる「新しい日常」には、Zoom飲みが定着するのではないだろうか。終電の心配もないので盛り上がってつい──。ということも多いかもしれない。

 自身も酒を愛する料理研究家の田内しょうこ氏は「今日は飲むぞ、という日はいっそ、飲み始める前に、翌朝の『二日酔い朝食』の準備を」と薦める。

 忙しい人のためのレシピ本の著者として知られる、2児の母でもある田内氏(夫は摩訶不思議な「曼陀羅アート」で国内外から注目される画家、田内万里夫)が、飲みすぎそうな日に準備しておきたいスープと締めの一品、かつおだしを使った2品をご紹介します。

 昔は飲んだ後の締めには、当たり前のようにラーメン! 深夜に食べるこってりと塩味もきいたラーメンが本当に美味しく、ラーメンを美味しく食べるために飲んでいるのかというくらい、締めのラーメンが楽しみなものでした。帰りにラーメン屋に寄ったり、コンビニで辛くて濃い味のカップ麺を買って帰ったり。

 ところが40代になり、だんだん50代の方が近くなってくると、悲しいかな、ラーメンのスープを脂っこく感じる日が増えてきました。あるいは美味しくラーメンを食べた翌日にもたれたり、顔がむくんだりして後悔することも……。20代の頃には、飲んだあとにうどんを選ぶ上司を見て理解に苦しんだものでしたが、近頃はかつおだしの優しさがしみじみと染み入るようになってきました。

「それ、わかる!」と思ってしまった方には、今回の2品は絶対におすすめ。スープは、飲んだあとの夜に食べても罪悪感は少なめですし、野菜とかつおのだしでお酒で疲れた胃腸もすっきり。アルコールでいっぱいのお腹を少し休めてくれます。あさりのエキスは二日酔い感を解消してくれるので、あさりうどんはたくさん飲んだ翌朝や昼ごはんに。食欲のない日にもうどんならするすると喉を通ります。

白菜ベーコンの和風スープ】(2人分)

 飲みすぎたときはもちろん、長いリモートワーク生活での運動不足や、ついつい家で食べすぎて……というときのデトックススープとしてもおすすめです。シーズン的に白菜が品薄になってきていますので、春キャベツやレタスで代用してもおいしく作れます。

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白菜 1/4玉 ベーコン 3枚 かつおだし 600ml しょうゆ 大さじ1 塩、こしょう 適量 万能ねぎ 適量

1 白菜は3cm長さに切る。ベーコンは細切りにする

2 鍋にかつおだしを温め、1を入れて白菜が柔らかくなるまで煮る。しょうゆで味をととのえる。万能ねぎの小口切りを散らす。 ※甘めが好きな方は、ほんの少しみりんを入れても美味しい。

 かつおだしは、だしパックや顆粒だしなど使い慣れたものでOKですが、時間があるときにはぜひ昆布とかつおぶしで。おうちごはんの味がぐっとグレードアップします。

「毎日、家のごはんで飽きてしまう」という方は、新しいレシピを探すよりも、まずはきちんとだしをとることをお試しください。同じレシピで作っても、仕上がりの味がびっくりするほど変わります。とっただしはお茶ポットなどに入れて冷蔵庫に入れれば3日間保存可能。みそ汁や煮物、卵とじに、とちょっとした料理が間違いなく美味しく作れます。

あさりうどん】(1人分)

 あさりは、アルコール代謝によいタウリンを豊富に含むことから二日酔いにはぜひ摂りたい食材。そのほか亜鉛、鉄、カルシウムなどのミネラル分、ビタミンB12、などの成分もしっかりとれるのも嬉しい。栄養が染み出した汁までとれるのが理想的なので、みそ汁やスープなど汁ごととれる料理にするのがおすすめです。

 飲みすぎた日や食欲のない朝には、のどごしのよいうどんに加えて汁まで一緒に飲むと消化もよく、炭水化物の働きですっきりと仕事に取り組むことができます。また、手軽に作って食べたい在宅ランチとしても最適です。

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うどん 1玉 あさり 100g みつば 適量 水 300ml 酒 小さじ1 しょうゆ 小さじ2 みりん 小さじ1 塩 ひとつまみ

1 あさりは砂抜きする(詳しい方法は下記参照)。

2 鍋にだしを温めてAで味をととのえ、うどんとあさりを入れる。麺が温まり、あさりの口が開いたら、塩で味をととのえる。あさりの塩分によってだしの味が変わるので、最後に好みで塩を加えるようにしましょう。みつばを添える

 あさりは春と秋に旬を迎え、身がふっくらとして旨みが増しています。せっかくの美味しいあさりも、口に入れたときにジャリっと砂が入っていたときには美味しさ半減どころか、食べたことを後悔するほどのがっかりなので、必ず料理前に砂抜きを。

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 軽く洗ってバットに入れ、あさりがのぞくくらいのひたひたの水にたっぷりと塩を入れ、海水くらいの濃さにします(3%が目安)。また、アルミホイルでフタをして薄暗くすると、さらに早く砂をはきます。表面に楊枝などで穴を開けることもお忘れなく。

 潮干狩りを思い出していただければわかりやすいかと思いますが、あさりが住んでいた干潟の条件、「水面に近く」「暗くて静かな」「海水」に浸かっている状態に近づけると、あさりは早く口を開きます。砂抜きをしている間は20℃くらいの室温に置くのが理想ですが、暑い時期に夜を越すときには冷蔵庫に入れても。使う30分くらい前にザルにあげておくと、さらにおいしく食べられます。

 このレシピではあさりは身の味も楽しみたいので、かつおだしベースのつゆに入れてさっと煮るくらいで仕上げますが、かつおだしは使わず、水にあさりを入れて3~4分しっかり煮て、あさりだしだけのうどんにしても美味しいですよ。

コロナ禍アルコール依存に注意!3つの“危険なサイン”?

AERAdot. 2020年6月19日(金)9時00分配信

 コロナ禍、家で過ごす時間が増えたことがきっかけで、お酒がついつい毎日の習慣になってしまったという人も多いことだろう。しかし過剰な飲酒は健康のためにも考えもの。ストレスでアルコールに飲まれるような、最悪の飲み方からの脱出法を探る。ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏が専門家に聞いた。

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 緊急事態宣言は解除されたが、コロナと私たちの闘いに終わりが告げられたわけではない。まだ相当イレギュラーな暮らし方・働き方を強いられている人も多いからだ。

 外出自粛が始まって以来、ネット上には「家にいる時間が長くなり、ついつい昼間からお酒を飲む習慣がついてしまったので心配」といった、お酒関連の投稿も相次ぎ、話題になった。現状はどうなのだろうか。

 依存症からの回復を支援する一般財団法人「ワンネスグループ」の共同代表・三宅隆之さんは言う。

「アルコール依存を疑う相談件数は、コロナ禍の影響が明らかに数字に表れています。2019年平均は毎月約35件でした。私たちの相談チャンネルは電話、メール、LINEです。20年3月の相談件数は58件となり、4月が60件、5月が96件と急速に増えています」

 もちろんコロナに関係ない、お酒の相談もある。しかし相談内容の中には、若い世代、シニア世代に関係なく、「在宅勤務で手を伸ばせば届くところにお酒があるからつい飲んでしまう」「コロナ禍で家でやることがないから、ついつい飲んでしまう」「家で四六時中家族と一緒にいないといけないのがつらい」というように、いままで適度に外で発散できていたストレスがうまく発散できなくなったり、晩酌で済んでいたお酒がそれで済まなくなってきたりして、それを懸念した妻や子どもが相談してくるものも多いという。

 ストレス、葛藤、もしかしたら自分や自分の大切な人が命を落としてしまうかもしれないという不安が私たちのまわりには常にある。

「そんな中アルコールは『心の痛み止め』として機能し、心配なことが一時的にでも忘れられるからいいのでしょう」と語るのは、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖さんだ。

「ストレスや不安、葛藤を解消する行為のことをコーピングと言いますが、飲酒はコーピングコストが低く(やりやすい、手軽、簡単)、またシニア層では相対的にコーピングのバリエーションが狭く(行動の種類が少なく)なるので、飲酒以外に方法が少ないという背景があるのでしょう」

 シニアが飲みすぎてしまう心理の要因には、普段から飲酒している人が多いということもあるのではと語るのは、国立病院機構久里浜医療センターの真栄里仁(まえさとひとし)医師だ。真栄里さんは、アルコール依存症に詳しい精神科医。

「厚生労働省の国民健康・栄養調査(18年)では、50代男性の習慣飲酒率が45%で最も高くなっています。またこれはあくまで個人的な印象ですが、中高年になると新しい環境に適応したり、Zoomやテレワークなどの新しい技術や仕組みを習得するのが苦手になり、それがストレスや不安を生じ、飲酒に走る要因になる部分があるのではと感じています」

 しかしそれを「いまは仕方がない」と放置していては大変だ。からだ全体の健康を害さないよう、連続飲酒の習慣を断ち切るにはどうしたらいいのだろうか?

「依存症というと、一日中お酒に浸っていて、赤ら顔というイメージがあるかもしれませんが、それはごく一部です。私があげる危険なサインは、(1)買い物に行くと必ずお酒コーナーに行き、昼の飲酒が常習化している(2)依存を家族に指摘されても認めず、強く否定したり、飲酒量を過少に言う(3)人付き合いの幅が狭く、飲酒が一番の楽しみ、という三つのサインです」(前出の藤井さん)

 また前出の真栄里さんは、CAGEという4問からなるスクリーニングテストで、もし2問以上該当する場合は、アルコール依存症である可能性が高いと指摘する。

飲酒量を減らさなければいけないと感じたことはありますか?他人があなたの飲酒を非難するので気に障ったことがありますか?自分の飲酒について申し訳ないと感じたことがありますか?神経を落ち着かせたり、二日酔いを治すために、『迎え酒』をしたことがありますか? 以上の4問です」

 もし少しでもひっかかるところがあるのであれば、生活改善を試みよう。

「『節度ある適度な飲酒』が大事です。急に飲むなと言われても、それはそれで難しいもの。酩酊などしないよう、適度な量で飲むのをやめること。酩酊すると、手洗い等の感染対策がおろそかになります。飲酒するときほど、コロナ対策に気をつかうよう、心がけてください。そしてコロナ不安があっても、いままで飲酒の習慣がないひとが飲酒を始めるようなことはやめましょう」(真栄里さん)

「冷蔵庫のお酒を少なくしたり、セルフモニタリングといって、自分の記録をつけていくことも大切です。適量で済んだ日はカレンダーを青色に塗り、適量以上の日は黄色、記憶をなくしたり、家族に迷惑をかけたりした日は赤色というように可視化することも必要なのです。記録をつけるだけで、習慣が変わることも十分あるのですから」(藤井さん)

 悪習慣はどこかで強く断ち切ろうと思うことが肝心だ。うちは平気、私は平気などとタカをくくらず、自分も家族も守っていこう。(ライフジャーナリスト・赤根千鶴子)

 赤塚不二夫、横山やすし…「アルコール依存症しき末路 

FLASH 2020年6月21日(日)20時31分配信

 数多くの臓器のなかで、なぜこうも肝臓だけがアルコールと密接に関係しているといわれるのか? 酒の飲み過ぎが原因でで悲しい末路をたどった、4人の有名人の事例に学ぼう。

 以下で紹介する4人は、酒がもとで体を壊したり、社会的信用を失ったりした。肝臓専門医の浅部伸一医師は、「皆さん、いずれもアルコール依存症だった可能性が大きいと思います」と語る。 (以下敬称略)

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事例1赤塚不二夫

『天才バカボン』などで知られる「ギャグマンガの王様」は、若いころならウイスキーのボトル2本、60歳を迎えても焼酎のボトル2本を1日で開けた。

 肝臓を壊し入院しても、退院するとまた飲み始めるという悪循環を繰り返した。2008年8月2日死去(享年72)。

「晩年、急性硬膜下血腫で入院したとのこと。血を固める凝固因子は肝臓で作られるので、肝臓が悪くなると、頭を打った程度でも血が止まらなくなるんです」(浅部医師、以下同)。

事例2中川昭一

 何度も断酒を誓ったがやめられず、財務大臣として出席したG7の会議後の記者会見では、ろれつの回らない姿を見せ、大臣を辞任。
 2009年10月3日に死去(享年56)後、血中からアルコールが検出され、酒と睡眠薬を飲んだ結果の急性心筋梗塞の可能性が指摘された。

「睡眠薬を処方された原因はアルコール依存症が考えられます。依存症になると眠れなくなり、うつ状態にもなります」

事例3春一番

 アントニオ猪木のものまねで知られるピン芸人は、16歳から毎晩、飲んでいた。テレビ番組の企画で「γ-GTP1500」という異常値を出し、栄養失調とアルコール性膵炎の診断も受けていた。酒を飲んで就寝後に体調が急変し、帰らぬ人に。2014年7月3日死去(享年47)。

「アルコール依存が進んで、酒以外を口にしなくなると、肝臓を再生させる栄養素が摂れず、普通は10年以上かかる肝硬変に5年以内で進行することも」

事例4横山やすし

 仕事をすっぽかすなど、酒でのトラブルは数知れずの「伝説の漫才師」。アルコール性肝硬変を患い、腹水が溜まって緊急入院したこともあるが、じつは「水割り2杯でベロベロになっていた」との証言もある。1996年1月21日死去(享年51)。

「もともと、酒に強い体質ではなかったんだと思います。医師の立場なら、絶対に酒をやめさせる状態ですが、彼に忠告できる人はいなかったのでしょうね」

 4人のエピソードから、「もしかしたら自分も依存症では……」という不安を抱える人も多いかもしれない。アルコール依存症の専門医である久里浜医療センター院長の樋口進医師が、WHOの基準をもとにアルコール依存症の自己診断基準を解説してくれた。以下で紹介しよう。

仕事中も頭から酒のことが離れず、飲みたいという強い欲求がある

これくらいで酒をやめようと思っても、やめられず、飲酒のコントロールがきかない

酒が切れると手が震えたり、幻覚が見えたりするなどの禁断症状(離脱症状)が出る

たくさん飲まなければ酔えなくなってしまっており、以前の酒の量では満足できなくなっている

飲酒が生活の中心になり、酒のために本来の生活を犠牲にしてしまう。また、二日酔いから回復するまでに一日以上かかる

肝臓が悪くなっている、家庭内で不和が起きているなど、酒を飲むことでなんらかの問題が生じているにもかかわらず、飲酒を続ける

 これらのうち3項目以上が1カ月以上、同時に生じていたか、あるいは1カ月未満でも、過去12カ月以内に繰り返し同時に生じた場合、アルコール依存症と診断される。

ライター:あさべしんいち『酒好き医師が教える最高の飲み方』などを監修

 

2020年6月20日 (土)

【ヘイトキル】吊るされる黒人<自殺かリンチ殺人か>遺体の発見✍相次ぐ

 全米で「奴隷解放記念日」デモ 高い注目、祝日相次ぐ 

時事通信 2020年6月20日(土)13時35分配信

 米国の「奴隷解放記念日(ジューンティーンス)」に当たる19日、人種差別に抗議するデモが全米各地で行われた。

 米メディアによると、奴隷解放記念日は伝統的に黒人を中心に祝われてきたが、中西部ミネソタ州での白人警官による黒人男性暴行死事件を機に人種差別抗議デモが広がったのを受け、改めて注目が集まった。祝日に指定する自治体も相次いでいる。

 「うまくいくと信じている」。ニューヨークで行われた抗議デモでは、こうシュプレヒコールを上げながら、さまざまな人種の若者が社会の変化の実現を求めて行進した。デモは首都ワシントンや南部アトランタなどでも実施され、ニューヨーク・タイムズ紙は「何百万人もの米国人がかつてない規模で祝った」と伝えた。

 奴隷解放記念日は、南北戦争で奴隷制度存続を主張した南軍のリー将軍が降伏した後の1865年6月19日に南部テキサス州ガルベストンで黒人奴隷が解放されたことを記念する日。米メディアによると、これまで親族が集まったり、パレードが行われたりしてきたが、黒人社会以外には広く認識されてこなかった。

 今年は人種差別抗議デモが3週間以上続く中、トランプ大統領がこの日に選挙集会開催を計画。批判が相次ぎ、日程を20日に変更したことでも関心が高まった。ニューヨーク市のデブラシオ市長が奴隷解放記念日を市の祝日とし、学校も休みにすると発表したほか、米メディアによると、ツイッターやナイキなど大企業でも有給休暇にする動きが広がった。

 ニューヨークのデモに参加した大学院生の黒人女性ネッカ・サウスウェルさん(25)は「奴隷がこの国を築いたことを考えれば、この日は独立記念日になるのが理想だ。ジューンティーンスという日が今、認識されるようになったのは、文化の変化かもしれない。解放に向けてもっと抗議を続けていく」と語った。一方、最近まで記念日を知らなかったという黒人男性(29)は「学校で習った覚えがない。教育を含め制度的な誤りだと思った」と話していた。 

欧州議会「黒人の命は大切」決議案を採決 米警察とトランプ氏を批判

AFPBB NEWS 2020年6月20日(土)8時28分配信

 欧州連合(EU)の欧州議会(European Parliament)は19日、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」だと宣言し、あらゆる人種差別と白人至上主義を非難する決議案を可決した。

 この決議に法的拘束力はないものの、反人種差別の抗議デモ参加者への支持を示すもので、米国の警察の残虐性を批判している。

 決議案の本文第1項には、米国の抗議デモ参加者らがホワイトハウス(White House)へ続く道路上にペンキでも描いたスローガンを引用し、「黒人の命は大切を支持する」と記している。

 決議案は賛成493、反対104で可決され、5月に米警察の拘束下で死亡した非武装の「ジョージ・フロイド(George Floyd)の悲惨な死を強く非難する」と言明。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の「扇動的な発言」と、抗議デモ参加者らに対して軍を投入すると脅したことを批判した。

 これに先立ち、国連人権理事会(UNHRC)は19日に採択された決議案で、「体系的な人種差別」に関する報告を求めたものの、米国への直接的な言及はしなかった。

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八村塁デモ行進参加 チームメイトと人種差別抗議

BASKETBALLKING 2020年6月20日(土)19時26分配信

「奴隷解放記念日」を迎えた20日(現地時間19日)、全米各地で集会や抗議活動が行われる中、NBAワシントン・ウィザーズの八村塁はチームメートと共に人種差別撤廃などを訴えるデモ行進に参加した。

 6月19日は、最後まで奴隷制度が続いていたテキサス州で、155年前に奴隷にされていた人々が自由を勝ち取ったことを祝う「奴隷解放記念日」だ。今年は、ミネソタ州で黒人男性が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件以来、「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」運動が高まる中で、全米各地で集会やデモ行進が行われた。

 首都ワシントンDCでも大規模なデモが市内の数カ所で行われ、そのうちの一つに地元のNBAチームであるウィザーズとWNBAのミスティクスに所属する選手らが参加した。このデモはウィザーズ のスター選手であるブラッドリー・ビールなどが呼びかけたもの。警察の残虐行為と人種差別の撤廃を訴えるためだ。ビール自身も2年前、彼が黒人で高級車を運転していた、というだけで警察官に調べられて脅された経験があるという。ビールは「理由もなく逮捕されそうになった。こういったことは自分だけでなく、毎日、アメリカのあちこちで起きていて、このことを無視するのはもうやめなければいけない」と訴えた。

 デモの出発地点である本拠地のキャピタル・ワン・アリーナには数百人の参加者が集結。そこには黒人だけではなく、白人やヒスパニック系など様々な人種の人々の姿があった。八村は「Black Lives Matter」と書かれたオリジナルの黒いTシャツに身を包んだ。他にジョン・ウォールやトーマス・ブライアントなどの主力選手や、スコット・ブルックスヘッドコーチらも参加した。

 八村は「私たちは共に(困難に)立ち向かう」と書かれた横断幕を持ってデモ隊を先導。新型コロナウイルス対策として、八村ら選手はマスクを着用していた。蒸し暑い気候の中、「正義なくして平和なし」や「黒人の命は大事だ」などとシュプレヒコールをあげながら、およそ3キロにわたって市内をデモ行進を行った。

 そして、黒人差別の撤廃を訴え尽力した指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の記念碑前では、参加者全員で拳を空に向かって突き上げ、人種差別をなくすために「共に立ち向かおう」と誓った。

自殺かリンチか差別に怒る米国 吊るされた黒人の遺体発見相次ぐ

Newsweek日本版 2020年6月15日(月)16時10分配信

白人警官に黒人が射殺されて新たな怒りに燃えるアメリカで、木に吊るされた黒人男性の死体が連続して発見され、慎重な捜査が進んでいる

 カリフォルニア州ロサンゼルス郡の保安官事務所は6月11日、木に吊るされた遺体で発見されたパームデール市の黒人男性ロバート・フラーの死因に関する捜査状況を発表。その後、近くのサンバーナーディノ郡の当局が、同じように木に吊るされた状態だった別の黒人男性の遺体について、捜査を進めていることを認めた。

 サンバーナーディノ郡保安官事務所の広報担当者ジョディ・ミラーは本誌にあてた文書で、38歳のアフリカ系アメリカ人男性マルコム・ハーシュの遺体が、5月31日にビクタービル市立図書館とホームレス収容所の近くにある樹木から吊り下げられた状態で発見されたことを確認した。

「詳細な死因の調査が行われている」と、ミラーは述べた。「犯罪を示唆する兆候は現場にはなかった。死因と死の様態についてはまだ明かされていない」

 ミラーは6月14日午後、本誌に対して、調査はまだ進行中であると語った。「追加情報は、わかりしだい発表される」

 ハーシュの死から2週間後にあたる13日、ハーシュの家族は長びく捜査に対する懸念を表明する声明を発表した。保安官事務所からの当初の発表にもかかわらず、家族はハーシュの自殺は疑わしく、犯罪に巻き込まれた可能性が高いと考えている。

自殺は考えられない

「本人をよく知っている人々の見たところでは、落ち込んでいるようではなかった」と、ハーシュの家族は訴える。「マルコムを知る人はみな、首を吊ったと聞いてショックを受けた。誰も自殺だとは思っていない。遺体の発見現場に居合わせた人々も同様だ」

「自殺だという説明は、本当とは思えない」と、家族は付け加えた。「私たちは、慰めになる言い訳ではなく、正義を望んでいる」

 ハーシュの家族によると、死亡時のハーシュの首にはUSBコードが巻き付けられ、「シャツには血がついていた」という。

「身体に抵抗した跡や、目に見える負傷を示す証拠もなかったようだ」と、家族は言う。「死に方というものはたくさんあるが、このところの人種問題の緊張を考えると、今の時期に黒人男性が木で首を吊って自殺したなんて、絶対に受け入れられない」

 ハーシュの遺体が発見されたのは、5月25日に白人警察官に首を抑えられて死亡したジョージ・フロイドの事件が起きた後、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動の抗議者数十人がサンバーナーディノ郡西部の都市ビクタービルに集まってきた日だった。

完全な捜査で明らかに

 フロイドの死はここ数週間、警察の残虐行為とあらゆる人種差別に反対する抗議行動を引き起こし、それがアメリカ全土に広がっている。

 一方、6月11日の午前3時頃にパームデール市で木からぶら下がった姿で発見された黒人男性ロバート・フラーは、アンテロープバレー出身の24歳だった。現地の治安当局は今もフラーの死を捜査している。

 市の検視官事務所はフラーの死因について「自殺が疑われる」としているが、当局は12日、フラーの死因の発表は、完全な検死と調査のために延期されると訂正し、検視官事務所の発言を撤回した。

 ニュース取り上げない全米抗議デモの真実 

時事通信 2020年6月20日(土)17時06分配信/志村朋哉(在米ジャーナリスト)

民主主義の源流

 人種差別や警察暴力に対する抗議デモがアメリカを震撼させている。ニュースでは、大都市での衝突や違法行為が大きく取り上げられているが、それは現在のアメリカで起きている社会運動のワンシーンにすぎない。米メディアで現地の生の姿を取材してきた日本人ジャーナリストが、アメリカの郊外で起きている若者による草の根運動の熱気とその意義を解説する。

 ニューヨークやロサンゼルスの街中でヘルメットをかぶり、警棒を手にした警察と暴徒化した群衆が衝突。

 こんなハリウッド映画のような光景をテレビで目にして、アメリカでは一体、何が起きているんだ、と思った日本人も多いと思う。

 5月25日に、中西部のミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に膝で首を押さえつけられ死亡したことをきっかけに、その映像がソーシャルメディアで拡散し、全米規模のデモへと発展した。

 建物や警察車両が燃やされ、カメラの目の前で堂々と略奪行為を行う者すらいた。警察は膨れ上がるデモに催涙ガスやゴム弾などで応戦。25以上の都市で夜間の外出禁止令が出された。

 しかし、こうした混乱状況は、実はアメリカ全体で起きている事のわずか一部分を切り取ったにすぎない。全米放送のニュース番組などで記者が送られるのは、都市部の、しかも被害の大きい場所に限られる。視聴者は最もショッキングな映像だけを見せられるのだ。

 広く見渡せば、一部が暴徒化しても不思議ではない何千人もの大規模なデモ以外に、数十人から1000人くらいの平和な抗議集会が、都市部だけでなく郊外の住宅街のような場所で毎日のように開かれている。

 極左団体が裏で糸を引いているのではないかとの根拠なき主張もあるが、多くは10代から20代前半の普通の若者が、差別や不公平な社会構造を変えなくてはという使命感に突き動かされて自主的に立ち上げたものである。

 「今起きているのは、若者によるポピュリスト運動」だと話すのは、筆者が暮らすカリフォルニア州オレンジ郡のチャップマン大学で政治学を教えるマイケル・ムーディアン教授。度重なる黒人への差別映像などを見て、我慢できなくなったのだと言う。

 「抗議運動は、建国以来、アメリカを作り上げてきた伝統の一つ」だとムーディアン教授は話す。「女性の参政権運動、黒人の公民権運動、保守のティーパーティー運動など、右派や左派に関係なく、大抵の場合は小さな草の根活動から変革は始まります。やっかいで時間がかかるプロセスですが、この国の歴史で何度も起きてきました」

 今回は、オレンジ郡で開かれた集会の様子を紹介し、どのようにデモが企画され、どんな人々が参加し、何に抗議し、何を求めているのかを紐解いていく。そこにはアメリカの民主主義の源流が見える。

変わる郊外

 土曜の午後3時に始まる抗議デモについて知ったのは、インスタグラムの投稿だった。

 昼食を買いに出かけたら、近所の道が閉鎖されていて地元でも集会があるのだと気付いた。自宅から車で1時間くらいのロサンゼルス市内で大規模デモが起きているのは知っていたが、地元紙のサイトやソーシャルメディアをちょっと調べただけで、オレンジ郡内だけで少なくとも6カ所で集会があると分かった。

 インスタグラムの告知では、平和的な抗議であることが強調され、マスクを着用し、ソーシャルディスタンスをとるよう書かれていた。デモが広がり始めた頃の暴力行為が問題視されたのを受けてのことだろう。

 車で10分くらいの公園でも開かれるというので、ノートとペンを持って急いで向かった。

 集会が開かれたタスティン市は、人口約8万人のベッドタウン。普段はデモなどとは無縁の場所だが、住宅街と小さなショッピングセンターに囲まれた公園の芝生広場には、人だかりができていた。

 参加者の半数以上は、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命だって大切)」「ジョージ・フロイドのために正義を」「黒人に対する戦争に終止符を」などのメッセージが書かれた手書きのプラカードを持参していた。

 筆者の目測で1000人は集まっていた。大半は10代、20代の若者だが、子連れ家族や中高年層も混じっていた。人種構成は、7割くらいが白人で、残りが黒人、中南米系、アジア人など。ほとんどがタスティンや周辺在住の地元民のようである。

筆者は記者として過去12年間、アメリカで数々のデモを取材してきたが、タスティンのような住宅地にこれだけの人数が集まるのは初めてだ。

 アメリカでは、黒人など非白人が多くなった都心部から、上流・中流階級の白人が郊外に移っていった歴史がある。ホワイト・フライト(白人の脱出)と呼ばれる現象だ。オレンジ郡も、元々は白人が大多数を占める保守的な地域で、人種的に多様な隣のロサンゼルス郡とは「オレンジのカーテン」で隔てられているとまで言われていた。

 黒人男性のロッドニー・キングさんに激しく暴行した警官4人が無罪になったことをきっかけに起きた、1992年のロサンゼルス暴動。当時を知る人たちは、隣のロサンゼルスが混乱する中、オレンジ郡ではデモの盛り上がりもなかったと話す。

 それから30年弱、オレンジ郡を含め、アメリカの郊外は変わった。人種的に徐々に多様化し、そこで育った子供も親世代とは異なる価値観を持つ。多くの若者は、人種差別に敏感で、LGBTQや女性や移民の権利推進、銃規制や環境規制に積極的だ。

 「タスティンのような場所で、抗議デモを開くチャンスがあると初めて感じた」と集会の発起人であるアンドレ・ジョーンズ(24)さんは筆者に話してくれた。「過去には声を上げてはいけない雰囲気がありました。黒人の命のために、こんなにたくさんの人が立ち上がってくれるとは思っていませんでした」

被差別者のメッセージ

 黒人の父と白人の母を持ち、タスティンで生まれ育ったジョーンズさんは、地元の高校を卒業したのち、名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で学び、今はロサンゼルスのエンターテイメント業界で働いている。

 2012年に17歳の黒人青年が自警団員に射殺され、14年には2人の黒人男性が警察の手で亡くなったことがきっかけで全米に広まった、ブラック・ライブズ・マター運動に参加してきた。

 「歴史の正しい側にいるというのは素晴らしい気分」だとジョーンズさんは参加者に語りかけた。「こうして人々が暴力に対して立ち上がったことは、いつか教科書にも載るはずです」

 フロイドさんと、3月にケンタッキー州の自宅で警察に射殺された26歳のブリオナ・テイラーさんのことを忘れてはならないと、二人の名前を群衆と共に叫んだ。さらに、「ブラック・ライブズ・マター」「正義無くして平和は無い」といった黒人差別への抗議スローガンを連呼。

 そして2時間近く、ジョーンズさんに加えて5人の若者が、黒人がわずか2%のオレンジ郡で育った経験を語った。

 「 私はずっと『あの黒人の女の子』として生きてきました」と20歳の黒人女性は話した。「いつも『髪の毛を触ってもいい』とか『どこから来たの』と聞かれるんです。黒人が攻撃的だという偏見もあるので、目立たないように振る舞ってきました」

 「他人の目ばかりを気にして、それに合わせて生きていた。でもずっと怒りを抱えていました。別の誰かになりたかった」

 途中で拡声器が切れることもあったが、怒りに満ちた彼女の叫びはマイクなしでも響き渡った。

 「もし私に同情してくれるというのなら、変化を起こしてください。誰かが差別的な発言をしたら、声を上げてください。あなたが黙っていると、私が苦しむんです」

 別の大学生の黒人女性も同じような経験をしたと話した。

 孤児として黒人の里親に育てられた彼女は、両親に比べて肌の色が薄い。幼い頃、父親がガソリンスタンドで給油していると、二人の警官が近づいてきて関係を聞かれた。親子だと答えても信じてもらえず、全く抵抗していない父親が手錠をはめられた姿を鮮明に記憶しているそうだ。

 「たくさんの人に一緒に立ち上がってほしい」と人前で話すのが苦手そうながら、声を振り絞って訴えた。

差別の仕組み

 アメリカの黒人が不満や憤りを感じているのが、彼らの社会進出を阻み続ける「システミック・レイシズム(システム化された人種差別)」である。

 これは、奴隷制や差別用語を使うといった明らかな差別とは違い、黒人など特定のグループが不利になるような制度や仕組みを指す。

 例えば、黒人が固まって住む地域はリスクが高いと指定される傾向にあり、そこに住む人々はローンを組めず、住環境は劣悪化していった。公立学校の主な財源は固定資産税であるため、貧しい地域と裕福な地域では教育の質に大きな差が出る。

 無意識の偏見もある。「アジア人は運転が下手」「黒人はスポーツが得意」などといった偏見を多くの人が持っている。こうした偏見が就職や警察の取締りなどで、判断に影響を与えてしまうという。

 「黒人は他の人の2倍の努力をしても半分の功績しか得られない」と高校で生徒会の会長を務め、アメリカフットボール部のキャプテンを務めていたジョーンズさんは群衆に説明した。「何かを余分に与えてくれとか、優遇してくれと求めているのではない。あなたたちと同じに扱ってくれと言っているだけなんです」

 ネイチャー誌に発表された研究によると、黒人は白人に比べて運転中に警察に止められる確率が高いが、運転手の人種が判別しづらい夜だとその差が小さくなるという。別の調査によると、黒人男性が警察に殺される確率は、白人男性の2.5倍にもなる。

 ジョーンズさんも、運転中に何の理由もなしに警官に止められたことがあると言う。免許証の提示を求められ、酔っていないか、なぜ運転しているのかなど執拗に聞かれたそうだ。

 子供の頃、父親はおもちゃの銃を買ってくれなかったという。黒人が銃を持っていると誤解されるのは危険だからだ。2014年には、オハイオ州の公園でエアガンで遊んでいた12歳の黒人の男の子が警官に射殺された。

 ピュー・リサーチ・センターの調査では、黒人の地元警察に対する信頼度は白人の半分程度しかない。自分たちの安全を守ってくれるはずの警察を脅威に感じている黒人は多いのである。

 「私は次の犠牲者になりたくない」と登壇した黒人女性が訴えた。「そして、私の弟にも次の犠牲者になってほしくないんです」

 アメリカ各地で広がっている抗議デモは、フロイドさんやテイラーさんが亡くなった怒りや悲しみだけで起きたのではない。その背景には、黒人が奴隷としてアメリカに連れてこられてから400年を経た現在でも、いまだに形を変えて続く差別の歴史があるのだ。にも関わらず、黒人の8割近くが、白人が自分たちがどれだけ差別を受けているか理解していないと感じている(イプソス社調査)。

 「もしあなた達が誰かにクズのように扱われたことがあるなら、あなたは黒人になったことがある」と登壇したグースという黒人男性が言った。「この国の黒人が400年間、感じてきた気持ちを味わったんだから」

 ただし、アメリカ人のシステミック・レイシズムに対する意見は保守とリベラル、黒人と白人で分かれている。

 8割近くのアメリカ人が、フロイドさんに膝を押し付けた警官が逮捕されるべきだと答える一方、警察組織が差別的だとは感じない保守派や白人も多い。

 調査会社Morning Consultによると、今回の抗議デモを支持する人は、民主党員では69%、共和党員では39%だ。フロイドさんの死は不幸だったが、一人の警官の誤った行為には過剰反応だと考えるアメリカ人も多い。

 トランプ政権で唯一、黒人の閣僚であるベン・カーソン住宅都市開発長官は、自分が子供の頃にはシステミック・レイシズムが確かに存在したが、現在のアメリカでは大きく生活には影響しないとCNNに語っている。

盛り上がりの理由

 黒人の代表者によるスピーチが終わると、すぐに行進が始まった。

 拡声器を持ったジョーンズさんを先頭に、タスティンの大通りに群衆がなだれ込んだ。主催者たちが予め市から許可をとっていたため、パトカーが道路の片側を封鎖していた。

 「ブラック・ライブズ・マター」や「人種差別する警察はいらない」などの抗議メッセージを連呼しながら町の中心部を歩く群衆に、応援の言葉をかける者や車のクラクションを鳴らして支持を表明する者もいた。若者が中心なだけあって、スケートボードに乗りながらプラカードを掲げる姿も目にした。数百メートルにわたって、片側三車線を覆い尽くす長蛇の列ができていた。

 「こんなにたくさんの人が集まるなんて、この町では滅多にありません」とタスティンで生まれ育ち、ガールフレンドとデモに参加した白人のリー・フィンクさん(44)は言う。

 「みんな人種差別に終止符を打つ方法を模索しなければならないと分かっているんでしょう。こんなにたくさんの若い人が頑張っているのを見ると、私のような年長者も、もっと何かすべきだという気持ちになります」

 では、なぜこのタイミングで、アメリカで抗議デモがここまで盛り上がったのだろうか?

 一つには、フロイドさんとテイラーさんの死や、ニューヨークのセントラルパークで黒人男性に犬をつなぐよう注意された白人女性が警察を呼ぶといった事件が相次いだことがある。フロイドさんとセントラルパークでの事件は、証拠となる動画が存在する。短い期間に明らかな差別を繰り返し見せつけられたのだ。

 タスティン集会の黒人参加者は口を揃えて、ようやく白人が自分たちの苦しみに耳を傾けてくれるようになったと言っていた。スマホとソーシャルメディアが普及して、差別や暴力がより明るみに出るようになり、社会の仕組みに問題があるのではないかと考える人が増えたのだと前出のムーディアン教授は言う。

 実際、デモが始まってから米アマゾンの書籍売り上げトップ20の半数以上を人種関連の本が占めている。

 コロナの影響もあるだろう。

 ウイルスの被害に加え、2カ月以上も外出や人と会うのを禁止され、フラストレーションやストレスがたまっていた。更に、黒人やヒスパニックが特に健康、経済的被害を受け、人種間の格差が浮き彫りになった。

 トランプ大統領の対応や過激な発言も火に油を注ぐことになったとムーディアン教授は分析する。自身の支持基盤である右派の抗議運動には理解を示すが、今回のデモには軍の動員をも辞さない姿勢を示した。

 「こうしたことがタイミングよく重なり、この数週間で起きたことにつながったのだと思います」とムーディアン教授。

 もちろん冷めた目で見る人もいる。

 サイクリングをしていて行進にたまたま遭遇した70代くらいの白人男性は、1969年のウッドストックフェスティバルを彷彿させるとつぶやいた。愛と平和、反戦を主張するヒッピーや若者などが約40万人も集まった伝説的な野外コンサートだ。

 「若い連中は、世の中のことを何も分かっちゃいないんだ」と男性は吐き捨てるように言った。

何を求めているのか

 行進を終えて公園に戻ってきた群衆は、主催者を囲んで片膝をついた。

 これは2016年にプロアメリカンフットボールのコリン・キャパニック選手が黒人差別に抗議するため国歌斉唱時に片膝をついたことで広まった。今回の抗議運動では、フロイドさんが首を押さえつけられた8分46秒間、膝をついて黙とうが行われている。

 ジョーンズさんのリードの元、「黒いことは美しい」「ブラック・ライブズ・マター」などのスローガンが再び連呼され、タスティンの集会は幕を閉じた。

 ニュースでは参加者と警察の衝突が取り上げられるが、タスティンでは行進中以外は警官の姿すら見当たらなかった。公園を通り過ぎる車から数回ほどヤジが聞こえたが、それ以外は何の騒ぎも起きなかった。

 わずか数日で企画されたとは思えないスムーズな運営だった。主催者たちに話を聞くと、みんなが知り合いだった訳ではないらしい。

 デモの広がりを見て、何か行動を起こそうとするオレンジ郡各地の高校生や大学生が友達数人とソーシャルメディアでグループを作った。そうしたグループが有機的に繋がり、お互いの活動を宣伝しあったり、デモ当日の運営を助けあったりしている。まさに21世期の草の根運動だ。

 彼らの課題は、こうしたデモを変革につなげられるかである。

 タスティンの集会では、「アクションを起こそう」という呼びかけはあったが、政府に対して具体的な要求をすることはなく、主に参加者の理解を深めることに重きが置かれていた。

 集会を宣伝していた「OC(オレンジ郡)は黒人の命と共に立つ」というインスタグラムのアカウントには、アクションを起こすための情報をまとめたグーグルドキュメントへのリンクが貼られている。そこには、抗議集会の日程、デモで逮捕された人を寄附金などで支援する方法、黒人支援団体や署名運動へのリンク、警察改革を求める嘆願書のテンプレートなどが掲載されている。

 抗議する人の大半は、警察組織の改革が必要だとの意見で一致しているが、そのビジョンにはバラツキがある。

 アメリカでは各市町村や郡などが独自の警察を運営している。そのため日々の取締りの改革などは各自治体に委ねられる。ニューヨークやロサンゼルスのようにリベラルな地域ならまだしも、保守派の力が強いオレンジ郡のような地域では反発も大きい。あれだけの規模に関わらず、タスティンでの集会に参加した市議会議員は5人中1人だった。

希望抱かせる若者の熱意

 今、注目を集めているのが、警察の予算削減、もしくは解体を求める運動だ。銃を持つ警官の役割を限定させ、困っている人に寄り添うソーシャルワーカーなどを活用するシステムへの移行を求めている。ただし、実際にどのような仕組みになるのか不明瞭であり、治安の悪化を懸念する声も大きく、左派の中でも懐疑的な人は多い。

 差別是正に積極的なバラック・オバマ前大統領の対策チームが2015年にまとめたリポートでは、市民との信頼構築、取締り方法の方針を明確化、警官のボディカメラ着用などテクノロジー活用といったことが提言されている。

 しかし、改革の速度は自治体によってまちまちで、その間にもフロイドさんのような事件が頻発し、業を煮やした黒人や若者が立ち上がったのである。

 「私たち黒人は、これまで幾度となく変化を約束され、その度に裏切られてきた」と前出のグースさんは集会で語った。「我慢の限界がやってきて、誰かを殴りたいと思う気持ちになるのも分かる」

 オバマ大統領は、1960年代の黒人による公民権運動に比べると、現在の差別への抗議運動は幅広い層から支持を得ていると分析する。アメリカ人の半数以上が運動に理解を示すなど、30、40年前には、あり得なかったと言う。

 マーティン・ルーサー・キングやマルコムXなどの名前を挙げ、アメリカの進歩を牽引してきたのは若い人々だとオバマ大統領は強調する。

 「こんなにたくさんの若者が活気付いて、駆り立てられ、やる気に満ちて、結集したことは大きな希望を感じさせてくれる…この国は良くなると感じさせられる」

 筆者も実際に取材してみて、若者の熱意に驚いた。

 日本で過ごした高校や大学時代に、自分が彼らと同じように信念や共感に突き動かされて声を上げられたとは、正直思えない。一郊外のデモに1000人以上が参加し、片膝をついて黙とうを捧げるといった映画のようなことが現実に起きるのがアメリカなのだ。

 抗議の賛否は別にして、若者が社会問題に真正面から向き合い立ち上がるこの国に、希望を感じずにはいられない。

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関連エントリ 2020/06/02 ⇒ 【人種差別】“抗議デモ”✍キング牧師暗殺(1968)当時を超える規模

関連エントリ 2020/05/30 ⇒ 【ヘイトキル】白人警官<黒人を拘束✍殺害>動画が拡散

 

2020年6月19日 (金)

【ゴーン被告逃亡】幇助の米国人容疑者<日本への身柄引き渡し>異議申し立て

ゴーン被告逃亡幇助の容疑者日本の法律を「誤って解釈」=米検察

ロイター 2020年6月17日(水)9時02分配信

 米検察当局は16日、日産自動車<7201.T>前会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡を手助けした容疑で逮捕された米国人2人が日本への身柄引き渡しを逃れるため、日本の法律の「誤った」解釈を主張していると指摘した。

 米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員、マイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者は前月、マサチューセッツ州で日本の要請を受けた米当局により逮捕された。

 両容疑者の弁護団は前週、ボストンの連邦地裁への申し立てで、保釈中の人物の逃亡やそのような逃亡を手助けする行為は日本では罪に当たらないと主張、逮捕令状の取り下げを求めた。日本側の逮捕令状に記載された容疑は入管難民法に関わる違反で、身柄引き渡しの対象にはならないとした。

 これに対し、米検察側は16日に裁判所に提出した文書で、「日本の法律の誤った解釈と事実の間違った描写」によって身柄引き渡しを巡る訴訟がこの段階で却下される可能性を懸念、そうなれば「前代未聞」だと強調した。

 さらに、検察側は、日本からまだ正式に身柄引き渡し要請を受けていないが、両容疑者の行為が重罪に相当すると日本側が確認したと説明した。

 また、両容疑者は逃亡の危険性があるため、保釈されるべきではないとした。

 ゴーン被告逃亡幇助の容疑者、身柄引き渡し異議申し立て 

ロイター 2020年6月9日(火)11時00分配信

 日産自動車<7201.T>前会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡を手助けした容疑で逮捕された米国人2人の弁護団は8日、日本の法律では保釈中の逃走の手助けは犯罪ではないとし、逮捕は不当だと主張した。

 米当局は5月、日本の要請により、保釈中だったゴーン被告の逃亡を手助けした疑いで米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員、マイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者を逮捕した。

 両容疑者の弁護団はボストンの連邦地裁への申し立てで、5月に出された米国の逮捕状を撤回するか、もしくは身柄引き渡しを巡る審理が行われる間、2人を保釈するよう求めた。

 弁護団は、日本では保釈中の逃走も、そのほう助も刑事犯罪ではないとし、この事実に「異論の余地はなく、日本政府も法改正の検討を始めたほどだ」と主張。

 日本側の逮捕状に記載された容疑は入管難民法に関わる違反で、身柄引き渡しの対象にはならないとしている。

 また、両容疑者が保釈を認められず拘束されていることについて、2人に逃亡の危険性はないと主張した。

 米司法省とワシントンの日本大使館は、コメントの要請に応じていない。

 カルロスゴーン劇場の全真相 

AERAdot. 2020年6月15日(月)8時00分配信/朝日新聞取材班

 日産自動車は5月末、最終赤字が6712億円に上ると発表した。この赤字額は堕ちた“カリスマ”カルロス・ゴーンが仏ルノーから乗り込んできた20年前の6843億円に匹敵する。日産を舞台にしたゴーン劇場とはいったい、何だったのか? 朝日新聞取材班が迫った深層を明かす。

*  *  *

 2018年秋、二つの物語が同時に進んでいた。

 一つはフランスのルノーが日産をのみ込む経営統合の動きだった。マクロン大統領は自国の製造業復権を画し、ルノーのトップを兼ねるカルロス・ゴーンに対して、日産との統合を後戻りできない「不可逆的なもの」とするよう命じた。規模が小さく、技術力が劣るルノーはこのままではジリ貧になりかねない。電気自動車など先端技術力を持つ巨大な日産の生産能力を吸収することで、ルノーの凋落に歯止めをかけたかった。

 マクロンは、統合を進めるようゴーンに退任をちらつかせる。「ルノー日産」王朝に君臨する皇帝ゴーンにとって、不愉快極まりない申し出であった。

 フランスは第2次大戦後、政府が主要企業の株式を持ち、経営トップを送り込む独特の経済体制を敷いてきた。ゴーンにとって仏政府はただでさえ鬱陶しい存在なのに、政府権限を強めるフロランジュ法を制定し、政府保有株式の議決権を2倍にした。仏政府はもともとルノーの株を15%保有していたが、これにより発言権が2倍の3割弱となった。事実上、経営上の重要事項に拒否権を持つようになったのである。

 それまでルノーと日産双方を巧みにいなして地位を保ってきたのがゴーンだった。日産生え抜き幹部たちにとって、ゴーンは仏政府の圧力の防波堤になってくれる信頼感があった。ところがゴーンはマクロンに屈し、18年9月の取締役会で「ルノーとのアライアンスを深めることについて意見をうかがいたい」と切り出し、ルノー側に軸足を移した。「統合を進める気だな」。生え抜き幹部たちがゴーンの豹変を確信した瞬間だった。

 同じころ、もう一つの物語がカタストロフィーを迎えようとしていた。皇帝を断罪する謀反の計画である。

 ゴーンは日産傘下に10年、ジーア・キャピタルという投資会社を設立したが、しばらくして「活動状態がわからない」と不審に思う声が社内であがるようになった。たびたび調査が行われたものの、ペーパーカンパニーを幾層にも重ねた仕組みを前にして、調査を担う今津英敏監査役は途方に暮れた。「以前から『なんだか、おかしい』と思われていたんです。投資活動を本当にやっているのか疑問で。でもなかなかペーパーカンパニーは実態がわからなくて」。怪しげな投資会社がゴーン肝いりで作られ、監査役室が不審に思ったが、よくわからない。

 そんなとき、今津に力強い内部告発があった。今津ら監査役の動きを知った法務担当のハリ・ナダ専務執行役員が17年暮れごろ、「これ以上、ゴーンの不正に付き合わされるのはごめんだ」と、ジーア社のからくりを告白。マレーシア出身の英国人のナダは「この数年間のボスの振る舞いは許しがたい」と皇帝の悪事をぶちまけた。

「ジーア社は投資会社ではありません。投資するはずの資金はゴーンのリオやベイルートの邸宅の購入資金と改装費に使われました」。ジーア社の資金は有望な技術への投資ではなく、ゴーンの住宅費として2700万ドルが流用されていた。さらにゴーンの姉のクロディーヌにも、活動実態がないのにコンサルティング報酬75万ドルを日産から支払っていた。本来開示しなければならない役員報酬を退任後に受領するように装い、90億円以上も隠蔽していた……。衝撃的な内容だった。

「どうしたらいいだろう」とナダから相談を受けた渉外担当の川口均専務執行役員も驚愕した。「まさかここまでとは……」。川口は、検察OBの弁護士に相談した。やがて検察OB弁護士に加え、ナダが懇意にしていた米系のレイサム&ワトキンス法律事務所の弁護士たちの協力を得て、ゴーンの不正行為を詳細に調べていった。

 それが東京地検特捜部に持ち込まれた。「突然、社内でゴーンの不正を糾弾しても返り血を浴びるだけ」と、日産幹部は司直の手を借りることにしたのだ。ちょうど司法取引制度が導入されたころだった。

 検察は、大阪地検特捜部の証拠改竄事件で威信が地に落ち、その後遺症で「事件をやらない」と揶揄(やゆ)される冬の時代を迎えている。逆風をはね除け、「特捜検察の復権」を託されて東京地検特捜部長に就任したのが森本宏だった。大物の検察OBの弁護士は「森本で特捜部を立て直せなければ、特捜部が復活することはない」と語る。

 森本は17年の就任会見で「新しい時代に合った捜査手法で、取り組むべきものに取り組む」と話していた。司法取引は、まさに彼の言う「新しい時代に合った捜査手法」だった。日産からゴーンの不正が持ち込まれて4カ月経った18年10月、ナダと大沼敏明秘書室長と検察との司法取引に向けた協議が始まっている。

 司法取引は、部下が上司の不正を申告することで事件の全体像を解明することを想定した制度だ。犯罪に関与していても、証拠の提出や供述の協力をすることで検察から罪を問わないことを保証してもらう。ナダと大沼は、ゴーンと共謀してジーア社の資金をゴーンの住宅購入に充てたことや、役員報酬欄が虚偽である有価証券報告書を提出したりしたことを認め、ナダは53点の、大沼は87点の証拠を提出した。「(ゴーンが)完黙でも起訴できる」。検察の中堅幹部は手ごたえを感じた。

 検察との協議が進んでいた18年10月、今津が証拠をもとに西川廣人社長にゴーンの不正を説明した。「もう特捜部が動いています。協力せざるを得ない状況です」と今津。ゴーンの側近だった西川には、おぜん立てが整った最後の段階になって、ようやく説明された。

 これが、朝日新聞取材班がつかんだ「真相」である。国外逃亡したゴーンの言う「陰謀」とはだいぶ異なる。彼を放逐するために不正が捏造されたのではなく、不正があったので放逐された。

 朝日新聞社会部の司法クラブキャップの佐々木隆広たちが「特捜部が司法取引を使って大きな事件をやろうとしている」と察知したのは、西川が知る数カ月前のことだった。それから取材を重ね、たどり着いたのは想像もつかない大物の名前だった。「ゴーンって、あのゴーンか」。佐々木は初めてその情報を耳にしたとき、「タマがでかすぎる」と身震いした。ゴーンがビジネスジェットで羽田に降り立ったときに特捜部がゴーンの身柄を押さえることもわかった。

 11月19日午後3時半、ゴーンの飛行機が舞い降りた。「日産自動車のゴーン会長を金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部が逮捕へ」。全文35文字の原稿は、佐々木たち司法クラブの記者たちの数カ月の取材の結晶だった。

 ゴーンが昨年末、レバノンに逃亡したため、裁判は実現しない可能性が極めて高い。一方、金融商品取引法違反の罪で共犯者として起訴されたグレッグ・ケリー前代表取締役、そして法人としての日産は、裁判に向けた準備が進んでいる。当初は4月にも初公判が開かれる予定だったが、新型コロナウイルスの影響もあり、開始が遅れている。主役のいない裁判で真相はどこまで明らかになるのだろうか。

 れられた「カルロスゴーン  事態がきそうな理由

東洋経済オンライン 2020年6月7日(日)5時40分配信/レジス・アルノー (仏フィガロ東京特派員)

 コロナ禍で日本ではその存在が忘れられかけていた日産元会長のカルロス・ゴーンが再び日本を賑わせる可能性が出てきた。5月20日に、ゴーンの国外逃亡を助けたとされる3人のうち2人、元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のマイケル・テイラーとその息子、ピーター・テイラーがアメリカ・ボストン近郊で逮捕されたのである。2人はゴーンが現在住む、レバノンの首都ベイルートに向かう途中だったという。

 2人は12月29日、フランス系レバノン人のジョージ・アントワーヌ・ザイエックの協力を得て、ゴーンを楽器用の箱に入れて関西空港の税関を通過し、日本国外に脱出させた疑いが持たれている。アメリカ司法省は2人を日本への送還を視野に入れて逮捕した。

最終的には日本に送還される可能性

 元検事でホワイトカラー犯罪を扱うアメリカ人弁護士は、「アメリカが2人を日本に送還する可能性は非常に高い。アメリカ政府が彼らの身柄引き渡しをしないのに逮捕するということは想像できない。テイラー親子は自分たちの身を守ろうとするだろうが、政府は争う準備ができている。長い法廷闘争になるだろうが、最終的には日本へ送還されるのではないか」と見る。

 日本に送還された場合、テイラー親子は到着後、ゴーンが保釈されるまで108日間を過ごした小菅にある東京拘置所に送られる可能性が高い。彼らの日本人弁護士は、ひとたび保釈申請が可能になれば、ゴーンの弁護士と同じように、依頼人を保釈するよう裁判官に求めるだろう。だが、彼らは明らかに逃亡の危険性があるため、保釈は認められないと考えられる。

 そうなれば、テイラー親子は拘留されたまま、裁判のために数カ月は待つことになる。ある弁護士によると、有罪判決を受けた場合、彼らは刑務所で4年以上を過ごす可能性がある。ゴーンとの違いは、今回は誰も彼らを日本から脱出させに来ないという点だ。

 テイラー親子の逮捕は、トルコの司法当局が、ゴーンをイスタンブールからベイルートに不法に脱出させた罪に問われた7人(パイロット4人、客室乗務員2人、幹部1人)の起訴を発表した数日後に行われた。

 トルコで7月3日から始まる裁判では、ゴーンの逃亡の詳細が明らかになるはずだ。トルコの検察官は、4人のパイロットに最大8年の懲役、客室乗務員に1年の懲役を求めている。

2月にはレバノン大使夫妻と鉢合わせ

 一方、ゴーンと妻のキャロルはベイルートで生活を続けている。レバノンが新型コロナウイルスによって封鎖される前、彼らはしばしばレストランで目撃されていた。

 2人は2月18日には、ベイルート近郊のベイトメリ村で開催されたクラシック音楽の祭典「アル・ブスタン・フェスティバル」のプレミアコンサートで目撃されている。同コンサートには、日本の中レバノン大使、大久保武夫妻も出席していたという。会場にいた関係者によると、2組の夫婦の雰囲気は刺激的なものだったようだ。

 ゴーン夫妻は依然、日産が家賃を負担している家に住んでいるが、先ごろこの近所にもう1つアパートを借りた。日産関係者の監視を避け、プライベートを確保する狙いがあるとされる。

 ゴーンをめぐっては多くのうわさが流れている。ブラジルに引っ越す準備をしているというものや、経済的苦境に経つレバノンが、日本からの財政支援と引き換えに彼を引き渡すことができるというものまである。ブラジルに逃亡する準備をしているという人もいる。

 しかし、親しい友人たちはこうしたすべてのうわさを一蹴する。レバノン政府はまだゴーンを支持しているほか、政府がレバノン市民の身柄を引き渡すことはできない。ゴーン自身も日本での裁判を消滅させるため、レバノンでの裁判を希望している。

 妻のキャロルにとって、テイラー親子逮捕のニュースは衝撃だったに違いない。彼女は日本でも偽証罪で逮捕状が出ている。もし彼女がアメリカに行くことになれば、今度は彼女が逮捕され、身柄が引き渡されるリスクを負うことになるだろう。

 キャロルは自身の母国であるレバノンにいるが、夫が逮捕された時の主な居住地はニューヨークだった。彼女は以前、ニューヨークの実業家と結婚しており、そこでの家族や友だちとの絆も維持している。

いまだに裁判開始日は決まっていない

 2018年11月にゴーンとともに逮捕された元右腕で日産元代表取締役のグレッグ・ケリーは、今も日本で裁判が始まるのをを待っている。1年半前に逮捕されたにもかかわらず、いまだに裁判開始日は決まっていない。

 64歳で健康不安を抱えているとされるケリーは、ゴーン被告に約束された退任後の報酬数千万ドル(数十億円)について開示せず、隠ぺい工作を共謀した容疑を持たれているが、無罪になる可能性が高いとみられている。現在、妻のドナと東京で暮らしているが、彼女は日本を出ることを許されない夫と暮らすために学生ビザを取得しなければならなかった。

 ゴーンによる奇想天外な逃亡劇から6カ月。いよいよその逃亡の全貌が明らかになり、彼に「巻き込まれた」人たちの運命も大きく動き出すのだろうか。

ゴーン逃亡幇助“元グリーンベレー逮捕、実刑の可能性は五分五分

デイリー新潮 2020年6月5日(金)8時01分配信

 外堀は埋まりつつある。昨年末、カルロス・ゴーン被告(66)がレバノンへ逃亡した事件にかかわった人物が、次々と身柄を拘束されているのだ。中でも、5月20日に米国で捕まった親子は、逃亡作戦の中心人物とされる。今後、彼らには、どんな裁きが下るのだろうか。

 ***

「世紀の逃亡劇」を巡っては、すでにトルコで7名の航空関係者が拘束されているが、今回逮捕された2人こそ、ゴーン被告の依頼を受けて作戦を遂行したキーマンだと見られている。

 米国の司法当局によりボストン近郊の自宅で逮捕されたのは、マイケル・テイラー容疑者(59)と息子のピーター容疑者(27)。今年1月、東京地検はこの親子に対して犯人隠避と入管難民法違反ほう助の容疑で、逮捕状を取っていたのだ。

 社会部記者が解説する。

「ゴーン被告の出国に際しては、息子のピーター容疑者が日本国内における事前準備を担ったとされています。昨年の夏に、ゴーン被告と複数回面会して作戦を練り、逃亡当日のホテル予約なども行っています」

 片や父親のマイケル容疑者は、重要な移動手段となったプライベートジェットに同乗していた。

「パイロットは、関西空港を飛び立った後にマイケル容疑者から作戦の全容を明かされたと証言しています。その際、最後まで無事に送り届けないと命はない、と脅迫されたそうです」(同)

 脅し文句とはいえ、マイケル容疑者はかつて米陸軍の精鋭が集う「グリーンベレー」に所属。数々の戦地で修羅場を潜り抜けてきた元職業軍人だ。退役後は、民間軍事会社を設立して代表に就任、アフガンなどで兵士の養成にあたっていた。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏によれば、

「民間軍事会社はPMCと呼ばれ、主に紛争地での要人警護や施設や輸送の警備、地元政府軍の訓練などを行います。業務自体は命懸けの仕事で実際に死ぬこともある。それに比べればゴーンの逃亡幇助はリスクが少ない。命の危険はなく、捕まっても重罪ではない。そんな、日本でのミッションはおいしい仕事だったでしょう。アフガンの米軍縮小など、業界自体も仕事が減少していますから」

実刑は五分五分

 成功報酬は明らかになっていないが、航空機を運航したトルコ人らには約3千万円が支払われた。テイラー親子は、少なくともそれ以上の額を受け取ったとみるのが自然である。

 いやしかし、結果的に御用となれば異国で牢に繋がれることは免れまい。日米は犯罪人の引き渡し条約を締結しており、今回の逮捕も日本政府が強く要請を行った末に実現したという。

「日本側の逮捕状や証拠資料によって、この親子の容疑は明らかです。早ければ1カ月以内には、日本に引き渡されるでしょう」

 と話すのは、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏だ。

「犯人隠避と入管法違反で起訴され、有罪判決が下れば最長4年半の懲役刑を言い渡すことは可能です。ただし、世間を騒がせた事件を企てた実行犯であっても人に直接的な危害を加えたわけではなく、初犯であることを考慮されれば実刑判決とならない可能性もある。いずれにしてもゴーン被告の公判が開かれていない状況ですから、裁判が始まってみないと分かりませんが、実刑となるかは五分五分といったところでは」

 刑務所にぶち込まれたとしてもたかだか4年と聞くと、ずいぶん短い印象を受ける。おまけに執行猶予がつくとなると、元グリーンベレーにしてみれば濡れ手で粟。これでは世論も納得しまい。

 その上、引き渡しに応じないレバノン政府に護られたゴーン被告を、今後も逮捕できないとなると……。やはり日本の面子は丸潰れか。

ゴーンどころじゃない レバノンコロナ影響下の経済危機 

Wedge 2020年5月16日(土)12時19分配信/伊藤めぐみ(ルポライター)

レバノン人はカルロス・ゴーンにかまっている暇はない

 「レバノンといえばカルロス・ゴーンですよね!」

 2019年12月に日産の元会長カルロス・ゴーンが日本からレバノンに逃避行した。私はその頃、レバノンにたまたま滞在していて、日本に住む知人たちから上記の言葉を言われることが多かった。しかしいまいち、ピンとこない感じが続いていた。

 というのも、当時のレバノンはゴーンどころではなかったからだ。2019年10月から続いていた反政府抗議デモと、それに伴う経済の悪化で人々はかかりきりだった。むしろ日本人向けに「ゴーンの家の前には日本の報道陣が大勢いて、車が通れないから困っちゃうのよね!」と笑い話として話す程度で、そんな会話の後、今日のデモで何が起きているのかをレバノン人同士、熱心に話していた。一大金持ちの脱出劇よりも、自分たちの国がどうなるのかという重要な局面だったのだ。

宗教・宗派がついてまわるレバノン

 だからといってゴーン氏の事件がレバノンにとって特殊なことだったというわけではなく、レバノンらしさを象徴した出来事でもあった。人々の関心の中心だった反政府抗議デモの目的と通じるものもある。

 ゴーン氏の日本脱出に手を貸した人物の1人はゴーン氏の宗派、キリスト教マロン派の人物であったとすでにいくつかのメディアで報じられている。またゴーン氏はレバノン到着後、すぐにキリスト教マロン派である大統領とも面会している。別にこれはマロン派が特殊な結社を持っているわけではなく、レバノンでは一事が万事、宗教宗派的なつながりを基本に物事が進むことが多いからだ。信仰心が強いという意味ではなく、利害集団として、日常的なパートナーとして宗派が機能してしまっているのである。

 レバノンでは公式に18の宗教宗派が認められており、しかも政治家の議席数や、公的な仕事に関してはおおまかな宗派でその数があらかじめ決められている。宗派に分類できない政党も、どこかの政党と協力関係を結んで出馬する。レバノンでは現在100 以上の政党が存在している。

 なぜこのような仕組みになっているのかといえば、宗派も深く関係したレバノン内戦(1975年-1990年)を終わらせるためだった。宗派間の権力拡大争いにならないようにと決められたのだ。しかしそのことがレバノン政治の腐敗をもたらし、人々の不満と怒りを生み、今回のデモへとつながったのである。

発電機の電気と引き換えの忠誠心

 腐敗はたとえばインフラの未整備として表れている。

 首都ベイルートはそれなりに進んだ街である。かつては中東のパリと呼ばれたほどだ。

 しかし、ベイルートでは現在、1日に最低3時間、公共電力は停止する。これはまだいい方でベイルート以外の街では6 ~17時間停電する。地区によっては水の供給も十分ではない。その分、人々は金銭的余裕があれば、近隣にある発電機の所有者から電気を、私企業から水を購入している。もちろん公共のものよりも高額だ。平均1人当たり国民総所得(GNI)が9800ドルのところ、発電機の使用に1家庭あたり1300ドルを支払っているという2016年のデータもある。

 なぜインフラは改善されないのか。

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 発電機の所有者や水を売る業者、あるいは彼らに商売を許す政治家がこの状況から利益を得ているからだといわれている。

 例えば電気に関しては、法律上はレバノンの国営企業(Electricite du Liban /EDL)が提供する公共電力があるため、電気を私的に売るのは一応のところ、違法とされている。そのため、業者は自分たちの商売を続けるための「賄賂」を地域の政治家や有力者に払う必要がある。

 宗派ごとにわかれて住む傾向のあるレバノン。ベイルート市内では、各エリアに有力者や影響力を持つ政党が存在する。スンニ派が多いレバノン第二の都市トリポリでは内戦時代の民兵のリーダーだった人が選挙での協力を前提に発電機の所有を許可されたという。

 発電機の所有者は収入を得て、政治家は彼らを通して選挙での影響力を得る。キリスト教、イスラム教・スンニ派、シーア派、ドゥルーズ派、その他それぞれが電力を時に、「飴」として、時に「支配力」として自分たち宗派、あるいは政党への忠誠心をつなぎとめるために使用しているというのだ。

 もちろん、政治的な意味合いや、介入の度合いは地域によって異なる。またそもそも公共電力に関して、発電のための石油を買う財源が十分にないなどの問題もある。

 それでも、ロイター通信の2015年の取材では、世界銀行のベイルート担当者は、電力不足に関して、「技術的な問題はすでに検証済みで、必要なのは政治的な判断を下すという意志」だとまでいっている。宗派を利用した政治でインフラはいいように利用されている側面があるのだ。

貯金が引き出せない・銀行への怒り

 腐敗に対する人々の怒りは銀行にも向けられている。

 レバノン経済はやや特殊だ。現地通貨、レバノン・ポンドもあるが、基本的にドルを中心に回っている。輸入中心経済であり、かつディアスポラと呼ばれる海外移民がレバノン本国の家族などに海外から送金してくるからだ。(ちなみにブラジル生まれのカルロス・ゴーンもディアスポラの1人だ)。

 その特殊性からくる歪みがデモをきっかけに爆発したのだが、少しややこしいので説明したい。

 2019年10月に反政府デモがはじまった際、公共機関などは閉鎖され、銀行も2週間営業を停止した。再び、銀行が再開された時、多くの人々が銀行に殺到し、自分たちの預金をドルで引き出そうとした。銀行がいつまた閉鎖されるかわからず、レバノン経済の破綻ぶりを人々が今まで以上に認識したからだ。

 しかし再開と同時に政府は、銀行からの引き出しを厳しく制限した。ドルが一気に引き出されれば政府も、銀行も立ち行かなくなる。またデモ参加者へ圧力をかけるために、人々の銀行預金を「人質」にとったという見方をする人もいる。

 人々は自分のお金を失う恐怖に襲われた。預金を思うように引き出せない、週に数100ドルの上限分しか引き出せない、長蛇の列に並ばなければならない状況に陥った。手術、海外にいる子どもの学費など大きな額の引き出しが必要な人は、その証明をする必要があり、それでも拒絶されることがおきた。

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 人々の怒りは膨らみ、銀行の建物やATMが破壊されるという事態になった。報道では2020年1月にはレバノン北部で銀行のマネージャーを人質にとるということも起きていた。

 筆者もデモの現場を目にすることが何度かあった。抗議が行われる場所や時間は決まっているので、巻き込まれるということはあまりない。それでも主要道路が封鎖されていて大回りしたり、いつも使っていた銀行のATMが叩き壊されていたりなど、デモは身近なものだった。知人からだけでなく、見知らぬタクシーの運転手から政治に対する不満を聞かされることもよくあった。

 重要なのは、一連の出来事がデモによる騒動なのではなく、以前からあったレバノン経済の問題がデモをきっかけに噴出したということだ。

 すでに述べたように、レバノンは輸出をほとんど行わない輸入中心国だ。普通は輸入が多いと、現地通貨の価値は下がり、ドルの価値が上がる。しかし、レバノンではそうはならなかった。1ドル1507.5レバノン・ポンドを1997年以来、維持してきた。これはすごいことなのである。ドルを安く手にいれることができ、レバノンの富裕層は海外での消費や贅沢品の購入を享受してきた。

 レートの維持が可能だったのはディアスポラの存在である。内戦などが原因でレバノンは海外移住者が多い。輸出で外貨を得ることはできないが、海外移住者が、レバノンの商業銀行が提示した高い利子に魅力を感じ、レバノンの商業銀行を通して送金してきたからである。

 レバノンの商業銀行はそのお金の多くを中央銀行に高い利子で貸した。中央銀行はそのお金を財務省に渡し、財政や国債の支払いに充てた。

 この関係は、レバノンが経済成長し、政府がより多くの税収を得て、その利子や国債を払えているのならば問題はない。しかしながら、レバノン自体が何かを生産しているわけではなく、ここ数年は2011年からのシリア内戦の影響で経済も悪化していた。2018年のGDP成長率は0.2%と低いので、国債を返すことはもとより、利子を払うことも本来は困難なはずであった。

 国債はどんどんと膨れ上がっていった。現在の国債の総額は900億ドル。国内総生産(GDP)の約170%で世界でも最悪のレベルだ。

 一方で権力者は利益を得てきた。銀行は多くの場合は政治にも深く関わる一族が経営を握っている。たとえば、大手銀行の1つBankmedは前首相のハリリ一族が所有し、経営を司る。

 国が銀行にお金を返せないとなれば、銀行は預金者にお金を返せない。銀行にとっても大変な事態かと思えば、銀行を握る各一族は、経営を行いながらも株式所有の比率は低い。また一族は自らの資金を国外にも分散させており、受けるダメージは少ないと思われる。この歪みがデモをきっかけに銀行への怒りとなって表れたのだ。

 デモの以前は1ドルが1507.5レバノン・ポンドだったのが、今では(新型コロナウイルスの影響も加わって)、市場/闇価格では3200-4000レバノン・ポンドになっている。ドルで指定されたものは、レバノン通貨で払おうとすればこれまでの倍以上の額を支払わなければならないことを意味する。食料品・日用品などの物価もドルの価値が上がるにつれて、1.5倍から2倍にまで上昇している。

新政権による債務不履行宣言と大麻の合法化

 この状況に政府はどう反応したのか。

 デモ隊の退陣要求をうけて、ハリリ首相は10月末に辞任を表明した。数ヶ月の空白期間を経て、今年1月にディアブ新内閣が発足した。

 首相の座はレバノンの政治システムに従ってスンニ派から選ばれた(大統領がキリスト教徒、国会議長がシーア派から選ばれる)。

 ディアブ氏はスンニ派であるが、シーア派のヒズボラやキリスト教の自由愛国運動の支持を得ていて、スンニ派政党、未来運動からは支持を得ていない。

 すでに宗派ごとに議席数が決まっているレバノン政治。どの政党や誰と組んで多数派になるかという話し合いで物事が決まる。宗派主義といえども、信仰で政治的立場が決まるわけではないことをよく表している。

 この内閣に対してデモ参加者はディアブ氏が腐敗を終わらせる能力のある人物ではないと反発している。

 発足したディアブ政権が、この経済危機に対して行なったのが2020年3月7日の債務不履行(デフォルト)の宣言だ。つまり国が貸してもらっていたお金を期限通りに返済できないという判断をしたということ。今回、償還期限を迎えた外貨建て国債の額は、12億ドル。

 ディアブ内閣はデフォルトを行う理由を、「国民の基本的なニーズを守るため」と説明した。こうした表現をするのは、新政府は国民の側にあるのであって、政府に対する批判の目を銀行に移す意図があると指摘する論者もいる。

 新政権は問題を作ったのは自分たちではないと言いたいのだろうが、もちろんこれまでの政府と銀行は共犯関係だ。自由愛国運動やヒズボラ、アマル運動もこれまでの政権に参加してきた。

 それでも、ディアブ内閣が銀行に対して、これまでの内閣と違って厳しい態度をとるのには理由がある。ディアブ内閣の後ろにはアメリカがテロ組織として指定するヒズボラがいるからだ。

 中央銀行の総裁は、シーア派系の銀行をヒズボラと関係があるとして操業停止にするように、かつてアメリカ側に進言した人物でもある。ヒズボラは現在の銀行システムに不満を持っているのだ。

 これまでのデモでも、改革を望まないヒズボラ民兵がデモ参加者に攻撃を加えていたが、この銀行問題ではヒズボラがデモ隊の主張を支持していた。

 今後、どうなるかの先行きは不明だ。

 4月30日、レバノン政府は経済改革案をまとめ、ヒズボラが反対していた国際通貨基金(IMF)の支援を求めるための交渉に入った。

 また海外からの経済投資も必要となってくるが、ヒズボラ寄りの政権であるため、欧米や湾岸諸国の資金はこれまでのようには期待できない。

 ちなみに経済再建のためのドル獲得の秘策として、レバノン政府は医療用の大麻を合法化する法律を4月末に可決した。国連によると、レバノンは世界第4位の大麻生産国。

 大麻の是非はここでは論じないが、経済再建案がそこから始まるとはレバノンも相当病んでいるのかもしれない。不安定な状況に追いやられているシリア難民やパレスチナ難民などの貧困層にも大麻は蔓延している。

反政府デモとコロナによるダブルパンチ

 レバノンでも新型コロナウイルスの影響は出ている。878ケース、26人の死者が確認されている(5月13日現在)。感染拡大防止には比較的、成功して、段階的に規制を解除していたのだが、ここ数日の感染者の増加で見直しを迫られている。

 すでに反政府デモによる経済活動の停滞で失業に苦しんでいた人たちに、コロナウイルスの影響は追い討ちをかけるように襲い掛かった。

 筆者が住んでいる地域には、「難民」として暮らすパレスチナ人やシリア人、またレバノン人の貧困層が多い。日に日に人々の顔が暗くなっていくのを目にした。「ミルクを買うお金がない」「援助団体の配給をもらうことができなかった」そんな声をよく聞く。

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 先日も8歳になる男の子が、父親が兄に暴力を振った様子を話してくれた。父親に仕事がなく経済的ストレスを抱えたことが影響しているのだろうが、「コロナが終われば大丈夫」と我慢することに慣れているかのような少年の発言に貧困がもたらすものの深刻さを感じる。

 4月には生活に困窮し追いつめられたシリア難民の一家の主人が焼身自殺を図ったり、自分の腎臓を売ろうとした人もいたとの報道があった。

 レバノンにはエチオピア人やフィリピン人などレバノン人の富裕層の家庭に住み込みで働く外国人女性労働者が多い。彼女たちへの不当な扱いは以前から大きな問題になっていた。経済状況が悪化して苛立ちの募った家人にさらなる暴力を振るわれるという事態も発生している。

レバノンのこれから

 ゴーン氏の話からややそれてしまったが、一部の権力と金をもつ人間に都合よくまわるようになっている社会。宗派をもとにしながらも実際はより政治や利害関係で動いているという、よく聞くようで未だに勘違される問題なのである。

 「宗派」による利害だけではなく、国籍による違いでも置かれている状況は異なる。レバノン人の抱える問題以前の問題を抱えるシリア、パレスチナ難民は、当初は期待しながらも比較的早い段階から反政府デモを醒めた目で見ていた。

 印象的だったのはあるシリア人の知人の言葉だ。

 「世界中がコロナっていう同じ話題を話している。嬉しいのか、なんなのか自分でもこの感情がわからないと」と。

 世界中の人が同じものに立ち向かえるというぼんやりとした一体感。でも、一方でシリアのどこかの街が激しい爆撃を受けても、デモで治安部隊に暴力を振るわれても、難民として権利が剥奪された生活が続いても、そのことで世界中の人が共通の話題として心配するなんてことはない。人は自分の身に危険が降りかかる可能性のあるものでないと、やっぱり興味は持ちづらい。そんな嫉妬のような、諦めのような気持ちなのかもしれない。仮にコロナが収まっても、レバノン、シリア、パレスチナの抱える問題も解決はしない。

 コロナウイルスの影響などで一時、沈静化していたデモが4月末から再び、始まっている。

 小国ながら中東各国の影響を受け、また影響を与えるレバノン。今後どうなるのか。

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関連エントリ 2020/02/17 ⇒ 【日経平均】3日続落<GDP下振れ✍材料交錯で軟調>経済活動の鈍化懸念

 

2020年6月18日 (木)

【緊急事態宣言】明日19日から<都道府県またぐ移動制限>解除「接触確認アプリ」導入

ANAJAL7月国内線は計画の5再開 移動自粛緩和で

ロイター 2020年6月18日(木)18時05分配信

 日本航空<9201.T>(JAL)とANAホールディングス<9202.T>傘下の全日本空輸(ANA)は18日、7月中の国内線について当初運航計画の半数を再開させると発表した。明日19日から都道府県をまたぐ移動の自粛が緩和されることを受け、両社は一部の復便を決めた。

 JALは、7月1日―16日の国内線について、当初計画の53%を運航する。緊急事態宣言の解除を受け旅客需要は回復基調にある。同社の足元の国内線需要は、前年同期比20%程度まで回復しており、7月前半は約40%、後半は50%程度まで回復するとみている。

 ANAも、6月は当初計画の30%だった運航数を7月には約49%まで引き上げる。

 格安航空会社(LCC)も運航再開に向けた動きが出ている。ANAグループのピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)が19日から国内全22路線を再開し、段階的に便数を増やし、7月22日から全便の運航を再開。ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)も7月23日から全23路線を再開させる。

県境越え移動、19全面解除 安倍首相、対策本部で表明

毎日新聞 2020年6月18日(木)17時44分配信

 安倍晋三首相は18日、首相官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、「改定した基本的対処方針にのっとり、明日、社会・経済活動のレベルをもう一段引き上げる。一部の首都圏や北海道との間も含めて制限がなくなる」と述べ、都道府県をまたぐ移動自粛を19日から全面的に緩和すると明らかにした。

 また、追加的な防疫措置を取りつつ、出入国制限緩和に向け、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国と調整を進めると明らかにした。

 その後、首相は首相官邸で国会閉会を受けた記者会見に臨み、コロナ後の新たな国家像を構想するため、未来投資会議のメンバーを拡大し、来月から議論をスタートさせる考えを示した。

1都3県や北海道の移動、19解禁…1000人規模のイベントも

読売新聞オンライン 2020年6月18日(木)17時30分配信

 政府は19日から、新型コロナウイルスの感染防止策として自粛を要請していた首都圏1都3県と北海道についても移動を解禁する。これにより全都道府県をまたいだ移動が可能となる。1000人規模のイベントの開催も認め、社会経済活動の再開を本格化させる。

 安倍首相は18日の政府対策本部で、「(19日から)社会経済活動のレベルをもう一段引き上げる。新しい生活様式を定着させ、感染防止策を徹底してもらうことには変わりはない」と述べた。政府は緊急事態宣言を全面解除した5月25日から7月末までを「移行期間」と定め、おおむね3週間ごとに自粛要請を段階的に緩和する方針を示している。

 コンサートや展示会などは6月19日から、屋内、屋外ともに人数の上限を1000人、または収容人数の50%に達しないとの条件で容認する。全国から観客が集まるようなプロスポーツは無観客での開催となる。

 クラスター(感染集団)が発生したキャバレーなどの接待を伴う飲食店やライブハウスなどは、業界の感染防止策の指針を守った上での営業再開が可能となる。

 政府は次の段階として、7月10日からプロスポーツも含めてイベントの入場上限を5000人に引き上げる方針だ。

安倍首相、越・タイ・豪・ニュージーランド等 4カ国出入国緩和表明

産経新聞 2020年6月18日(木)18時39分配信

 安倍晋三首相は18日、官邸で政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開き、感染状況が落ち着いているベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国との間で出入国制限の緩和措置を進めることを表明した。入国前のPCR検査などが条件となる。首相は4カ国に加え「国内外の感染状況を総合的に勘案し、例外的な人の往来の対象となる国・地域を順次拡大する」とも述べた。

 政府は4カ国を含む計111カ国・地域を対象に実施している入国拒否などの水際対策は維持した上で、経営・管理者、技術者、技能実習生などビジネス関係者の例外的な往来を認める。入国希望者には、PCR検査やスマートフォンのアプリを使った位置情報の保存などの防疫措置を要請。滞在先や移動先、接触予定者を記載した活動計画書の提出も求める。

 不可解・ミステリー…欧米メディア感染者数伸びない日本に当惑 

読売新聞オンライン 2020年5月27日(水)9時22分配信

 緊急事態宣言を25日に解除した日本政府の新型コロナウイルス対策について、欧米メディアの評価が変化しつつある。当初、欧米と異なる対応を批判してきたが、日本政府の「3密」回避の呼びかけや、日本独自の習慣、保険制度などを評価する指摘も出てきている。

 多くの欧米メディアは日本の対応を疑問視してきた。公共交通機関の混雑や、罰則を伴わない緊急事態宣言に批判が集まったほか、PCR検査の件数について「ドイツや韓国と比べるとゼロを一つ付け忘れたように見える」(4月30日の英BBC)と少なさを問題視する指摘もあった。迅速に大量の検査を行い、感染者の移動経路を把握し、感染拡大を食い止めた韓国が成功例として称賛された。

 欧米メディアには日本の感染者数が伸びないことに、「不可解」「ミステリー」と戸惑う声もある。米紙ワシントン・ポストは25日の記事で、少ない感染者の「理由は明確でない」としつつ、感染を早期に把握できた要因の一つに日本の国民皆保険制度を挙げた。志村けんさんや岡江久美子さんら著名人の悲報が、「人々にウイルスの危険性を気付かせた」とも指摘した。

 英紙ガーディアンは22日の「大惨事目前からサクセスストーリーへ」と題する記事で、花粉症対策のマスク着用や、握手やハグをあまりせず、玄関で靴を脱ぐ日本の習慣が感染防止に寄与した可能性を指摘した。

 日本式の取り組みを参考にする動きもある。米ニューヨーク市議会衛生委員長のマーク・レバイン氏は21日、日本政府が作成した密閉、密集、密接の「3つの密を避けましょう」というポスターを英訳版と共にツイッター上に掲載した。「これが日本が取り組んでいること。何が最もリスクが高いかを強調する上で良い方法だ」と紹介している。

 流行規模日本小さかった陽性率に第2波懸念 

朝日新聞デジタル 2020年6月16日(火)19時43分配信

 新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査について、厚生労働省は16日、陽性率が東京0・10%、大阪0・17%、宮城0・03%だったと発表した。専門家は、国内では多くの人が抗体をもっていないとみて、「第2波」に向けた対策の必要性を指摘している。

 3都府県の20歳以上の住民計7950人を無作為に選び、6月初旬から検査。大型の機器を使う、比較的精度が高いとされる二つのメーカーの機器で測定し、いずれも陽性になった人を「陽性」とした。陽性と判定された人は、東京は1971人のうち2人、大阪は2970人のうち5人、宮城は3009人のうち1人。

 5月31日時点で報告されている累積感染者数をもとにした感染率は東京0・038%、大阪0・02%、宮城0・004%で、いずれも今回の陽性率のほうが高く、検査で拾われていない無症状の感染者が一定程度いるとみられる。

 海外で報告されている抗体検査の陽性率は米ニューヨーク州で12%、スペインで5%など。欧米に比べ、日本は流行の規模が小さかったとされるが、今回の抗体検査からもその傾向が示されたといえる。

 日本の感染者が少ない理由は、衛生意識の高さや、日本独自のクラスター(感染者集団)への対策など、さまざまな説があるが、確立したものはない。抗体がある場合でもどれぐらい持続するのか、本当に感染を防げるのか、わかっていない。対策はゆるめられないというのが、専門家の見方だ。

 東京医大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「欧米に比べ、日本は大幅に陽性率が低いことになる。感染者がそれだけ少ないということでもあり、日本では、秋にも心配される第2波で感染者数が増える可能性がある」と指摘する。

 山形大病院の森兼啓太・検査部長は「国内の感染状況からみて当たり前の結果」としつつ「次の波が来たときに誰もが感染しうる。『安心してはいけない』ということが確認できた」と話す。日本臨床検査医学会理事の柳原克紀・長崎大教授も「『ほとんどの人が感染していない』ということがわかったとはいえる。次の流行への備えはしっかりやらなければいけない」と強調した。

下水から 新型コロナ 検出第2波」予測も…

時事通信 2020年6月17日(水)16時07分配信

 富山県立大と金沢大の研究グループは17日までに、下水処理場の下水から新型コロナウイルスの遺伝子を検出したと発表した。

 国内で下水からのウイルス検出に成功したのは初めて。ウイルス量を調べることで、感染拡大の「第2波」の予兆を察知できる可能性があるという。

 新型コロナは感染者の便に含まれ、下水から検出される事例が海外でも報告されている。

 研究グループは3月5日~4月24日、石川、富山両県の4カ所の下水処理場で週1回、下水を採取。100倍程度に濃縮しPCR検査をした結果、計27サンプルのうち七つから陽性反応が出た。

 10万人当たりの感染者数が両県でそれぞれ10人を超えた4月中旬ごろから、陽性率が増加する傾向が見られたという。 

四面楚歌の中国 習近平…香港からヒト・カネの大流出まった

PRESIDENT Online 2020年6月18日(木)9時16分配信/梶井彩子(ルポライター)

台湾は香港の人々に必要な援助を提供する

 「台湾は香港の人々に必要な援助を提供する」

 台湾の蔡英文総統が自身のフェイスブックにこう書きこんだのは5月24日。中国が全人代で採択した「国家安全法」を香港にも適用するのではないかという懸念に対し、香港で大規模なデモが起きたさなかの事だった。

 国際金融センターとしてヒト・モノ・カネが集まる拠点でもある香港が政治的に自由を失うことになれば、経済活動そのものも制限される。ヒトとカネの流出はすでに始まっている、との報道もある。すでに2020年1月から4月の間に香港から台湾に移住した人は2383人と、前年同期比150%増加したという公式統計もある。蔡英文の表明は、台湾がそうした香港からの流出の受け皿として手を挙げたことにもなる。

なぜ台湾をリスクを犯して支援するのか

 一般に台湾の野党である国民党は中国寄り、大陸寄りとされるが、香港への支援については「より実効性のある支援をすべきだ」と声をあげているという。

 中国の統治下にある香港の情勢に台湾が物を申すことは、中国・習近平主席を大いに刺激する。すでに各国の香港への言及に中国当局は「内政干渉だ」と非難を浴びせている状況下で、台湾にとってはかなりリスクの高い支援の申し出だ。それを知っての表明からは、「中国とは違う自由民主主義国・台湾」を強調したい蔡英文の強い意志が見て取れる。

 蔡英文は2020年1月11日の総統選挙で勝利し、現在2期目に突入、コロナ対応でも国民の支持を得ており、体制は盤石に見える。総統選挙での大勝は「香港のおかげ」であり「習近平のオウンゴール」という声も聞かれるように、2019年6月から始まった香港デモを力でねじ伏せる北京の手法が、「中国に屈しない」との方針を掲げる蔡英文を大いに助ける格好になった。

中国を前に台湾と香港の距離が縮まった皮肉

 「今日の香港、明日の台湾」という言葉も生まれた現在、台湾と香港は中国の大陸政権を共通の敵として、歴史上、最も近しい関係にあると言える。特に両国を結び付けたのが2014年に香港・台湾で起きたデモで、香港では雨傘革命、台湾ではひまわり運動と言われる、いずれも中国との距離を問う(対中接近を拒絶する)運動だった。

 かつては「台湾より香港の方が国際的(香港人)」「香港は狭くて三日で飽きる(台湾人)」と言い合うなど「よそよそしい雰囲気」(野嶋剛「共鳴する香港と台湾」、『香港危機の深層』所収)さえあったという香港と台湾だが、伸長する中国を前に両者の距離が縮まったのは皮肉な話でもある。

中国のもとに返って、香港の自由が長続きするはずがない

 イギリスの植民地だった香港が中国に返還されたのは1997年。返還後、香港は中国の特別行政区となり、2047年までは中国大陸とは異なる政治制度を維持しなければならない(一国二制度)。

 香港返還時、香港は祝祭的な空気に彩られていた。返還前に海外へ移住した人たちもいたが、猶予期間中は香港の自由が保障されるのみならず、50年の間に中国の民主化すら進むのではないかという見立てもあった。日本でも楽観論はあったが、これを冷ややかに見ていたのが一部の台湾人であった。「中国のもとに返って、香港の自由が長続きするはずがない」と見ていたのである。

 それはかつて台湾が通ってきた道でもあった。日本が敗戦し、統治が終わった後の台湾に大陸から蒋介石の中華民国政権がやってきた。彼らは「台湾は今、祖国に抱かれたのだ」と宣言し、台湾人も胸を熱くしたというが、実際には大陸からやってきた中国人(外省人)が、台湾に住む台湾人(本省人)を蹂躙した。

台湾の知識層を中心に2万人とも3万人ともいわれる人を殺害

 台湾人が抵抗するとそれを口実に大々的な「鎮圧」を行い、実に38年もの戒厳令が続く事態となったのである。その間、知識層を中心に2万人とも3万人ともいわれる人々が殺害される白色テロが横行した。

 台湾はその後、李登輝政権下で本格的に民主的な政治へ踏み出し、それ以前の国民党政権が行ってきた「中国化」の色を弱め、今に至る。中国・習近平主席は2019年に台湾にも一国二制度を適用すると宣言し、武力統一をも辞さない構えを見せているが、蔡英文は抵抗を強めており、台湾の人々もその方針を支えている。

 香港では2014年、2019年と大規模なデモとそれに対する警察の過剰な弾圧に際し、かつて台湾で起きた白色テロを引き合いに出した言説が見られるようになっているという(前掲書)。台湾の側もこのことを強く意識しており、昨年11月、蔡英文はツイッターで次のメッセージを発信している。少し長いが全文引用したい。

台湾がようやく抜け出した暗闇に香港は踏み入れた

 〈かつて台湾を襲った白色テロの時代には、学生が大学構内に踏み込んだ軍や警官に拘束され、自由を奪われました。これはわれわれにとって悲痛な記憶であり、二度と繰り返してはなりません。

 昨夜の香港では、警官隊が大学構内に突入し、デモの学生たちを鎮圧しました。闇夜に包まれたキャンパスに炎が上がり、催涙弾が飛び交いました。台湾がようやく抜け出した暗闇に、香港は足を踏み入れてしまいました。

北京当局の機嫌を取るために、香港の若者たちを犠牲に

 警察は人々を守るため、政府は人々に奉仕するために存在します。警察が人々を守らなくなり、政府が人々のためにという考えをやめた時、必ずや人々からの信頼を失うでしょう。

 私は沈痛な気持ちで、ここで踏みとどまるよう香港政府に呼びかけます。人々の心の声に、暴力で応えるべきではありません。北京当局の機嫌を取るために、香港の若者たちを犠牲にするべきではありません。香港の自由と法治が、権威主義によってむしばまれています。権威主義の膨張に抵抗し、その最前線にいる台湾は、国際社会に呼び掛けます。自由と民主主義を信じる皆さん、共に立ち上がり、混乱する香港の情勢に関心を寄せましょう。〉

 こうした歴史の共有が行われるのもひとえに「中国の圧政」という体験があってこそであり、言うなれば香港の台湾の関係は、かつて台湾が通った道を、香港が逆走しつつある、ともいえるのだ。

習近平を国賓にする安倍が中国非難声明の取りまとめる矛盾

 台湾はかつて、国際社会から見放された経験を持つ。それは蔡英文からすれば清算すべき過去の蒋介石政権の産物(自身こそ中国大陸政権の正統な後継者とし、大陸の統治権をも主張→中華人民共和国が国連加盟、中華民国はこれを不服として脱退、多くの国が中国と国交を結び、中華民国とは断交した歴史)ではあるが、大国の論理で次々に国交を断たれた台湾の足跡を蔡英文は嫌というほど知っている。だからこそ、いま中国に飲み込まれようとしている香港の姿を前に、リスクを承知で手を差し伸べようとしているのだろう。〈北京当局の機嫌を取るために、香港の若者たちを犠牲にするべきではありません〉との一文に、その思いがこもっている。

 蔡英文の姿勢が奏功するかどうかは、ひとえに国際社会の姿勢にかかっている。

 安倍総理はG7での中国非難声明の取りまとめで主導的な立場を目指すと明言しているが、親中姿勢のドイツやイタリアを説得することが可能だろうか。中国からは即座に「重大な懸念」が表明されている中、今もって習近平の国賓来日を模索している日本である。二重の意味で主導的な立場を取るのは、実際には相当難しいだろう。

アメリカと英国が責める、中国の矛盾

 香港のかつての宗主国・イギリスのボリス・ジョンソン首相は、「英国海外市民(BNO)旅券に申請する資格を持つ全ての香港市民(300万人)に対し、延長可能な12カ月の滞在許可を出す」と述べた。

 これに対し中国は「イギリスは冷戦時代のメンタリティーと植民地時代のマインドセットを捨てろ」「香港は中国に返還されたという事実を認識し、尊重せよ」(中国外務省の趙立堅報道官)と述べている。

 アメリカの暴動でも焦点の一つとなっている過去の歴史の「汚点」をさかのぼって糾弾しようという風潮に乗った中国側の言い分に、理がないわけではない。だが、事実を尊重せよというのであれば、「返還から50年は一国二制度を保つ」とした英中間の約束もまた、守られなければならない。

香港返還自体の正統性も揺らぐ事態に…

 2014年に駐英中国大使館がイギリス側に「(一国二制度を50年保つという)共同宣言は無効だ」と宣言したと報じられているが、宣言が守られないのであれば香港返還自体の正統性も揺らぐことを国際社会は中国に突き付けなければならない。

 何より、中国はかつて香港の「中国への返還」を寿(ことほ)いだ人たちや、銭俊華『香港と日本』(ちくま新書)にも綴られているように物心ついたときから「中国特別行政区香港」の住民である若者たちを反中国に追いやった自身の政治のありかたを自覚すべきだろう。

金融大手国家安全法賛同相次ぐ 中国政府圧力 英外相批判

毎日新聞 2020年6月18日(木)19時47分配信

 香港で中国政府が新設する「国家安全法制」について、旧宗主国・英国資本の金融大手が次々と賛同する声明を発表している。強まる中国政府の圧力を受けた措置とみられるが、ロイター通信によると英国のラーブ外相は15日、「我々は銀行員のボーナスと引き換えに香港市民を犠牲にしない」と強く批判。中英対立の中で金融機関が難しい立場に追い込まれているようだ。

 国家安全法制は、香港で反政府活動などを取り締まるため、中国政府が直接、香港に制定する。ただ、英国政府などは、同法制が香港に高度な自治を約束した1984年の「中英共同宣言」に違反するとして、反対している。ジョンソン英首相は、中国が同法制を撤回しなければ、約280万人の香港市民に英市民権獲得の道を開く意向を示し、中国に圧力をかけた。

 だが、スタンダードチャータード銀行や香港上海銀行を中核とする世界的な金融グループのHSBCホールディングスは6月、相次いで法制への支持を表明した。HSBCは、香港上海銀行の王冬勝・副会長兼最高経営責任者(CEO)が支持の署名活動に応じサインをする写真まで公表した。

 両方とも利益の多くをアジア地域で稼いでいる。とりわけ英国の植民地時代から経営の基盤がある香港は、重要な拠点だ。当局との関係が悪化すればビジネスに支障が出かねない。

 HSBCについては、親中派の梁振英・前行政長官が5月に「香港で特権を得ながら国家安全法制への態度を表明していない」と、強く批判していた。

 一方、本店は両方とも英国に置いており、英米などの政府との距離も考える必要がある。ポンペオ米国務長官は9日の声明で、HSBCについて「企業が卑屈な態度を取っても、中国政府から尊敬を得ることにはならない」と非難した。

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関連エントリ 2020/06/16 ⇒ 【東京2020】ワクチン開発「間に合わねば」<再延期の可能性>浮上

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2020年6月17日 (水)

【古代生物】ワニの祖先✍「2足歩行していた」らしい。

 ワニ祖先二足歩行していた…足跡の化石から明らかに 

BUSINESS INSIDER 2020年6月16日(火)10時45分配信/Aylin Woodward

古生物学者が、韓国で1億1000年以上前の足跡の化石を発見した。

この足跡は、体長は3メートルほどのワニの祖先のもので、後ろ足だけで歩いていたと見られている。

この発見により、これまで未解決だった謎の解明につながった。すなわち今回の発掘現場近くで、2012年に同様の足跡化石が発見され、翼竜のものかもしれないと思われていたが、今ではこのワニの祖先のものだと古生物学者は考えている。

 韓国の古生物学者が、1億1000年以上前の足跡の化石を発見した。足跡はほぼ一直線に並んでいて、この古代生物が四足ではなく、二足で歩き回っていたことを示している。

 だが足跡の形や重心を調べると、恐竜ではないように思われた。6月11日に公開された論文によると、足跡を付けたのは意外な動物だった。クロコダイロモルフ(crocodylomorph)と呼ばれる二足歩行の動物で、現在のワニの祖先だ。

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© Anthony Romilio/The University of Queensland 「バトラチョプス・グランディス」の想像図。

 初期のクロコダイロモルフは、四足で歩き回っていた。だが今回発見されたのはその新種であることが分かり、論文執筆者らは「バトラチョプス・グランディス(Batrachopus grandis)」と名付けた。

「ワニは、ナイルのほとりやコスタリカの川で一日中寝そべっているような、動きの少ない動物だと思われている。もしワニが二足歩行で、ダチョウやティラノサウルスのように走れるとしたらどんな感じだろうなどと考える人は、まずいない」と、論文執筆者の1人であるマーティン・ロックリー(Martin Lockley)はBBCニュースに語った。

二足歩行のワニのような生物

 ロックリーらは、2019年に同様な足跡化石を、韓国南部の泗川(サチョン)市郊外で数百個発見した。この一帯は白亜紀初期には湖沼の多い地域だったことから、ぬかるんだ岸に沿ってバトラチョプス・グランディスなどが歩いた跡が残り、その多くが足跡化石となっている。

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© Kyung Soo Kim/Chinju National University of Education 山清(サンチョン)郡自惠里(チャヘリ)の足跡化石。

 足跡のサイズはおよそ18センチメートルから23センチメートルであることから、体長は3メートルほどだと思われる。左右の足跡の間隔は、現代のワニよりも狭い。そのことが、この生物は後ろ足だけで歩いていたというロックリーらの結論につながった。前足の足跡も発見されていない。

「足跡はとても狭い幅で前へと進んでいた。ワニが綱渡りでバランスを取っているような感じだ」と、もう一人の論文執筆者、キム・ギョンス(Kyung Soo Kim)は、BBCニュースに語った。

「尾を引きずった跡がないことも合わせて考えると、この生物が二足歩行だったことは明らかだ」

バトラチョプスは、踵から爪先に重心が移る歩き方をしていたようだ。人間の歩き方とも少し似ている。そのため泥にはっきりとした踵の跡が残っている。この跡により、二足歩行だった可能性が高まると、キムは述べた。

二足歩行の恐竜も直立して歩くが、キムによると、恐竜や翼竜であれば、爪先立ちで歩き、踵の痕跡は残らないという。

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© Kyung Soo Kim/Chinju National University of Education バトラチョプス・グランディスの足跡

以前の謎を解き明かす

 今回の発見により、これまで未解決だった古生物学の謎を解くことにつながった。

 ロックリーとキムの研究チームは、2012年にも、今回の発掘現場近くで同様の足跡化石を発見していた。だが、それらは保存状態が良好とは言えず、その足跡の持ち主である生物の歩き方までは分からなかった。当時は、飛ぶことのできる古代の爬虫類、翼竜が、地面に降り立った際に、後ろ足で飛び跳ねて付けた足跡かもしれないと考えられていた。

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© Baoyu Jiang, Michael Benton et al./Nature Ecology & Evolution 「バトラチョプス・グランディス」の想像図。

 だがこの仮説は否定された。翼竜は、地上では四足歩行をしていたことが、多くの古生物学的な証拠により示唆されたからだ。

 今ではロックリーとキムは、その足跡を付けたのがどの生物なのか、解明できたと考えている。今回新しく発見された二足歩行するクロコダイロモルフだ。

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渡部建「不倫問題イジる芸人仲間「ナイツ」と「おぎやはぎ」秀逸

デイリー新潮 2020年6月17日(水)11時01分配信

 アンジャッシュ渡部建(47)の不倫ネタを芸人仲間がネタにしている。渡部への怒りを表しつつ、どうにかして笑いに持っていこうとする涙ぐましいほどの芸人愛だ。彼をイジったり、ネタにすることで、世間の怒りを少しでも鎮められたらという思いがあるという。

 ***

♪芸のためなら女房も泣かす……上方の噺家・初代桂春団治の破天荒な生き様とそれを支えた妻をモチーフにした「浪花恋しぐれ」だ。世間の風潮はさておき、芸人には今も、呑む・打つ・買うの三道楽は芸の肥やしと考えがちなところがある。良い悪いではなく、一般のモラルとは外れたところがあるのが芸人だ。

 ダウンタウンの松本人志(56)は、6月14日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ)で、「相方にも謝るべき」と述べつつ、不倫を否定しなかった。

松本:後輩には、女好きなのであれば、有名女性と結婚したらアカンって言ってる。(中略)相手もタレントさんですから、奥さんといえども。その人も傷つけるし、そっち(妻)のマネジャーや事務所さんにも迷惑がかかる。離婚になったとしても、子どもがいたら、その人(元妻)が街を子ども連れて歩いてるだけでも『ああ、あの子ども…』って言われてしまう。そこまで、責任をちゃんと負えないならば、有名人と絶対に結婚したらアカンよって。

 これに対して、SNSでは《一般人を軽視している》という声があったが、一般人よりも有名人と結婚した場合のほうが、リスクが大きいと言いたかっただけだろう。

 また、《「女(男)遊びがやめられない奴らは結婚するな」でしょ! 》という声も上がったが、この感覚が芸人とは違うようだ。

 同じく14日放送の「サンデージャポン」(TBS)では爆笑問題の太田光(55)が、芸人の女性スキャンダルを取り上げる苦悩について語った。

太田:我々の番組も漫才も、ちゃかすことをやっているのに真面目に取り上げられてしまう。「どうせ芸人だから」という目線を持ってくれれば。ズーッと迷っている。

 他の芸人たちも不倫を否定する声はほとんどない。自身も不倫が報じられたことがあるカンニング竹山(49)は、10日放送の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ)でこう言っている。

竹山:とんだバカヤローですよね。グルメは食い物だけじゃなかったと言うね。何やってんだ、バカヤローって話ですけどね。ちゃんと奥さんに謝って、もう一度ちゃんと働いて欲しいですけどね。(中略)でも、そもそも勘違いしちゃいけないですよって言うのは、芸人なんてこんなもんですからね。僕も含めね……テレビだから、喰うためにこうやってキャラやってますけど、芸人なんてまともなヤツいねえんだから。て、いうことを分かりながら見ていただけると我々はありがたい。

 芸人同士の保身のように受け取る向きもあるだろうが、テレビで発言するなら、これくらいが限界か。

ラジオの方がキツい

 ナイツ(塙宣之[42]・土屋伸之[41])は、13日放送の「土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ)で、ネタとして扱った。

塙:文春砲炸裂しましたね! 今回もゲス不倫なんて言われてますけど。ワタベッキー。

土屋:ワタベッキーって言うな! 週刊文春に不倫の内容が細かく書かれてましたね。

塙:その不倫の中身が衝撃的なんですよね。これ朝の生放送なんでオブラートに包んで言いますけど、不倫相手をお手洗いに呼んでたんですよね。

土屋:トイレをお手洗いって言ったんだ! 

塙:六本木ヒルズの地下駐車場のお化粧室で毎回ね。

土屋:お化粧室って言ってもダメだよ! オブラートに包むところそこじゃないから! 

塙:で、帰り際に1万円渡してたそうですね。ちょっと内容がすごくて、かなり好感度下がっちゃいましたよね。芸能活動を自粛すると発表しましたけど、今後はどうなるんですかね。

土屋:そうですね~。謝罪の仕方とか、これからの行動によるのかもしれないですけど。

塙:同じ不倫スキャンダルでも、アパホテルとか4WDはけっこう早めに復帰しましたけど、トイレはいつになるのかなぁ。

土屋:不倫現場で呼ぶな! 袴田さんとか原田龍二さんのことなんでしょうけど。あと、もう普通にトイレって言っちゃってんじゃねぇか! 

 渡部と同じ人力舎に所属するおぎやはぎ(小木博明[48]・矢作兼[48])は、11日深夜に放送の「JUNK おぎやはぎのメガネびいき」(TBSラジオ)で、これまで散々渡部の女好きについて語ってきたが……。

矢作:もう嫌なんだよぉ、俺は。このご時世にさあ、みんなが今一番騒いでる“王子様”いるでしょ。人力舎の王子様ね。もう凄いことになってるんだけどさ。俺たちはさ、王子様って言われてる時に裏の顔を暴きたいだけなのよ(笑)。裏の顔が暴かれちゃった今、何も言うことがないのよね。

小木:確かに今日、朝からずっと暴かれてたもんね、王子様が。クリーンなイメージの時に言っても、誰も信じてくんなかったしなぁ。

矢作:だからいいんじゃん。クリーンのイメージの時に俺たちが言うと、「またまた~」みたいな感じで言いたい放題いけるのよ。

小木:でも言いたい放題言ってるとね、背後からたまに首絞められてる時あったんだよ、王子様に。「あんま言うじゃねぇ」って、怒られるんだよ。

矢作:そりゃあそうだよ、だってすんげえ隠すんだもん、渡部さん。

小木:そう、だから言わないようにはしてたんだけどさぁ~。

矢作:渡部さんがこうなってしまった以上、俺たちに言う悪口はありません。

小木:(佐々木)希ちゃんには申し訳ないことをしたってことだけですよ。今回言わなきゃいけないのは。

芸人の仕事してない渡部が悪い

矢作:だって希ちゃんはなんにも悪くないんだから。希ちゃんがどこまで渡部さんを知っていたかによるんだよ。

小木:知らなかったでしょ、そりゃあ。知ってたら結婚しないよ。

矢作:膝から崩れ落ちてるってことね。

小木:こんなこと考えられないからね。考えてたの俺らぐらい、っていうか人力舎芸人だけだから。他の仲いい芸人だけが知ってたことだから。可哀想だよ、ただ1人だけ知らないんだから。

矢作:膝から崩れ落ちなかったの、人力舎だけだもんな。じゃあ今、思ってんのか? 「やっぱり、芸人だったか」って。みんな忘れてるけど、渡部さんが悪いんだよな、芸人の仕事してないから。本来は「やっぱり芸人か」くらいのことでもあるのよ。渡部さんのせいだな。渡部さんがメシばっか食ってからいけねえんだよ。

小木:喰いだしてからだよ、急にあんなおかしくなっちゃったの。

矢作:渡部さんて会食がすごい多いの。年間に1000食行くって言ってたよね。あんだけ全部会食で埋まってたら、外出てご飯食べるっていう大義名分揃っちゃってんのよね。普通だったら新婚で、あんなに外、出れないよ。だから浮気チャンスが多すぎる。そのために、メシやってんのかもな。

小木:メシってそこだったのぉ? 

矢作:だって普通、新婚でさ、家でご飯食べるのが当たり前じゃん。いくら独身の時が外食ばかりだったとしても、結婚すれば家に帰るようになる。でも、あの人はグルメ王で、それが仕事になっちゃってるから、この生活スタイルは変えることができないって言えるよね。

小木:奥さんも、それだったらしょうがないって思うよね。あの人、頭が良いから、そういうことも考えるし、やっぱさ、そうできるような趣味が多かったよね。甲子園もそうじゃん、帰ってこれない(笑)。泊まるパターンでしょ。

矢作:じゃあ、今までグルメとか、甲子園とか、全部、浮気のための趣味ってことでしょ(笑)。いやあ、この後、仕事増えるぞ、渡部さん。でも、今はキツいね。

小木:キツいよお。ちょっとイメージが、勝手に周りが良くしちゃったからね。

矢作:もうやめよ、渡部さんの話は。

小木:ちゃんと反省してますから、本人もさ。治らないとは思いますけど……。

 ちょっとキツくも感じるが、たとえ先輩芸人の葬儀でも、イジりまくって笑わせるのが芸人だ。むしろ、渡部の《今回の報道に関しては私の不徳のいたすところであり……》なんて謝罪のほうが、芸人らしさを欠いているのかもね。

矢沢永吉俺だって喰わなきゃいけない」伝説ライブ3本を有料配信へ

スポニチアネックス 2020年6月17日(水)3時00分配信

 ロック歌手の矢沢永吉(70)がスポニチ本紙の単独インタビューに応じ、未発売の伝説的なライブ映像3本を初めて有料配信すると明らかにした。コロナ禍で音楽活動ができない状況が続いており「デビュー48年で初めての経験。俺だって食わなきゃいけない。社員食わせなきゃいけないんだ」と死活問題であることを強調。「時代は来てる。俺、新しい扉を開けるよ」――。70歳の永ちゃんが動きだした。

 矢沢が所有する東京・赤坂のスタジオ。コロナ感染拡大後初めて会ったが、現れるなり毎日毎日、待機待機待機で。俺もちゃんと家でじっとしてましたよ。でもね、そんな生活も2カ月超えると、クゥーッ!と悶絶しながら爆発寸前

 自らレコード会社もライブ制作会社も経営し、スタジオの利用客も激減。「もう、足踏みしてるわけにはいかない。人前で歌うことで生きてきた我々には今、仕事なんてないです。2カ月過ぎるともう大ごとよ。会社があるから社員を食わせなきゃいけない。俺だって食わなきゃいけない。芸能人だって同じです。生きていかなきゃいけないんだよ」

 さまざまな経済活動が再開される中、音楽業界はライブ演奏やレコーディングの“3密”状態を避けることが求められ、補償も含め対応は後手に回っている。やっぱり僕らは水商売なんだ。今回でつくづく分かった。ステップ1とか3とかあったけど、僕ら一番最後ですから。でもね、最後なら最後なりに腹のくくり方があります

 戦後の復興期に生まれ、右肩上がりの経済の中で成り上がろうとがむしゃらに生きてきた。「全てはその時代時代を生き抜いた“事実”だからね。俺はこの性格だから、どの時代でも適当に流してってわけにはいかなかった。僕は僕ですから。あの時代も矢沢永吉だったし、今も70すぎても矢沢永吉です。今回のコロナすげえなって感じてますし、足踏みに飽きた矢沢はやっぱりそこにいます」

 だが「人に迷惑を掛けることはできない」という中、「マジで模索してたどりついた」のがライブの有料配信だ。いま流行の無観客ライブの同時中継は既に14年前から試みており「今回はちょっと違って、過去に商品化していないライブ映像をアーカイブ的に見せていく感じで。まずは実験的にやってみる」という。

 配信するのは伝説的なライブ3本。プロジェクト名は代表曲にちなんで「3BODY’S NIGHT」とした。第1弾は日本のロックシンガーで初の日本武道館単独公演を行ってから40年目の節目に敢行した記念公演「TRAVELING BUS 2017」。2時間超のステージを全曲ノーカットで今月27日に配信する。

 第2弾は古希を迎えた昨年の「ROCK MUST GO ON」ツアーの横浜アリーナ公演。第3弾は50歳を迎えた99年に全50本で開催した記念ツアーの武道館公演。それぞれ8月上旬と9月以降に配信予定で、詳細は矢沢永吉公式サイトで順次発表される。

 「通常、未発売映像ってDVD&ブルーレイで販売するのが普通で、僕が開けたことのなかった扉です。最終作業は全て自分でやります。最高の音と映像のヤザワをおウチにお届けします」と強調。「自分の活動がこれを軸にやる時代が来るとは思ってもみなかった。でもね、こういう経験したことのない脅威に遭遇したことで物事が劇的に動くことがある。僕の場合はコロナによって有料配信へと一歩踏み出せた。それは事実です」

 配信だからこそ得るものもあり「家族とかみんなで見られるし、酒飲みながら、メシ食いながらでも。矢沢のライブを一度見てみたいと思った人の入り口にもなる」と期待は大きい。だが、一方で「“生”に勝てるものはない。今までもこれから先も、矢沢はそう信じている」とライブへの熱い思いも強調。「だから両方やる。今後はライブひとつでも、いろんな見せ方でファンにアプローチしていくことになる」という。

 極貧の少年が夜汽車で上京し、伝説のバンド「キャロル」でデビューして48年。オーストラリア犯罪史上2番目の被害額34億円の巨額横領事件に遭うなど、数多(あまた)の成功と挫折を経験した。「人生は失うものを増やしていくゲームだ。“俺には失うものがねえ”って言う人いるけど、それじゃダメなんだよ。失うものが増えていった方が頑張ってきた証だから」。矢沢はもう、止まらない。

 ◇ 矢沢ライブ配信 視聴チケットは17日午前5時から「3BODY’S NIGHT」特設サイトから販売。価格は2800円(税込み)。第1弾は6月27日午後8時にスタート。見逃し配信もある。配信収益の一部は新型コロナの治療や研究開発にあたる医療機関に寄付される。

 ≪大好きな酒を…「今はステージの方が魅力なのよ」≫大好きな酒を「やめた」という。完全な断酒ではないが「コロナで何もできなくなったことで、よく分かったんだ。俺はライブやりたいんだって。やりたくて仕方がないんだ。だったら、いつでもライブできるように万全の体をキープしとかないと。今はうまい酒飲むより、生のステージやることの方が魅力なのよ」。目標はいまだ現役の英歌手ミック・ジャガー(76)。「俺もあと6年はやらないと。それとね、目的がはっきりして生きていけるというのは幸せなことですよ。それはこの年になると分かります」。

  矢沢 永吉(やざわ・えいきち)1949年(昭24)9月14日生まれ、広島市出身の70歳。75年9月にアルバム「I LOVE YOU,OK」でソロデビュー。78年、著書「成りあがり」は100万部を超えるベストセラーになり、「時間よ止まれ」がミリオンセラーを記録。同年の長者番付歌手部門でロックミュージシャンとして初の1位。80、82年にも1位を獲得。81年に全米デビュー。09年に自らレコード会社「ガルル」を立ち上げた。

 

2020年6月16日 (火)

【東京2020】ワクチン開発「間に合わねば」<再延期の可能性>浮上

 東京五輪再延期視野中止絶対避けなければ 

日刊スポーツ 2020年6月16日(火)7時07分配信

 新型コロナウイルスの影響で来夏に延期になった東京オリンピック(五輪)について大会組織委員会の高橋治之理事が15日までに日刊スポーツの取材に応じ、ウイルス感染状況により来夏も開催が危うい場合、再延期も視野に入れるべきとの考えを示した。大会関係者で再延期の可能性に言及したのは初めて。

 高橋氏は「21年夏の開催に向けて一丸となるのが大前提」と前置きした上で、「中止は絶対に避けなければならない」と述べた。中止になれば「日本や世界経済が大きな打撃を受ける」とし、来春の時点で7、8月の開催が難しいと判断されれば国際オリンピック委員会(IOC)に対し、「もう1度、延期を働きかけるべきだ」と主張した。

 3月下旬に来夏への延期が決まった後、組織委やIOCの幹部が「再延期はない」「2年後なら中止」との考えを示した。大会中止を懸念したスポンサー企業は、延期による追加協賛金の負担に二の足を踏む状況となっていた。

 今月10日、大会組織委員会はひとまず「中止の議論はしていない」と火消し。IOCと合意した「簡素化五輪」への新たな指針とロードマップを公表し、来夏の開催実現に向け、行程通り準備を進めていることを強調した。

 ただ、コロナのワクチン開発を開催条件とする考え方や第2波、第3波の懸念もある。その中で、中止を避けるため「再延期の働きかけ」という考え方が出てきた。ただ、22年は北京冬季五輪やセネガルでのユース五輪、その2年後にはパリ夏季五輪が控えていて、再延期のハードルが高いことには変わりない。

東京五輪“中止論”は「単なる憶測」とIOC悲観論打ち消しに懸命

スポーツ報知 2020年6月12日(金)14時01分配信

 新型コロナウイルスの影響で1年延期となった東京五輪に関し、国際オリンピック委員会(IOC)は11日、「(来夏開催の)目標に100パーセント集中しており、それ以外のことは単なる臆測だ」と中止論を打ち消す公式見解を発表した。

 バッハ会長は5月に、来年開催できない場合は再延期せずに中止になるとの見通しを示し、コーツ調整委員長らも10月が開催可否の判断における重要な時期になるとの見方を口にするなど、悲観論が強まってきた中で、軌道修正を図った形だ。

 IOCと五輪組織委は10日に、「安心・安全」「コストの最小化」「簡素」の三原則をうたった五輪の指針を発表。組織委の森喜朗会長はその際「中止の議論は全くない」と断言し、大会開催の可否も「現時点で仮定のシナリオについて臆測し、論じるのは時期尚早」と述べていた。

 IOCは「日本のパートナーや友人とともに、2021年7月23日から8月8日に東京で開催される五輪が祝祭となるよう全力で取り組む」と強調した。

簡素化する東京五輪」開催の真意は「IOCとしては、中止もありうると考えているが、JOC組織委は絶対に中止したくない

スポーツ報知 2020年6月13日(土)9時27分配信

 13日放送の日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」(土曜・前8時)で、国際オリンピック委員会(IOC)と東京五輪組織委が新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に1年延期となった東京五輪について、新たな定義を「シンプル(簡素)な大会」にするとの方針で合意したことを特集した

 共同声明では「安全・安心」「追加費用の最小化」「大会の簡素化」との“五輪3原則”を発表し、大会までのロードマップ(行程表)も示された。

 番組では、五輪開催の「最終判断」についてIOCのコーツ調整委員長が「再延期はできない。今年10月までに(新型コロナウイルスの)封じ込めの兆しが見られれば、大会の開催に向けたさまざまなシナリオの検討を始める」との発言と組織委員会の遠藤利明会長代行の「来年3月あたりで判断しなくてはならないのかなと思っている」のコメントを紹介した。

 この両者の発言に辛坊治郎キャスターは「要するにIOCとしては中止もありうると実は考えているけれど、日本の組織委員会は絶対に中止にしたくないということですね」と指摘していた。

 さらに開催について「今、この時点でいうと世界中、誰に聞いてもわからない」とコメントしていた。

米参謀本部議長「トランプ大統領と行動を共にしたのは”」

WoW!Korea 2020年6月12日(金)9時03分配信

 ドナルド・トランプ米国大統領が、催涙弾を放ちデモ隊を解散させたのち記念写真を撮ったことについて、米国最高位の将軍が「大統領と一緒に行動したのは失敗だった」と語った。

 自身の過ちを認めると同時に、軍最高統帥権をもった大統領を公開批判したのである。

 10日(現地時間)ロイター・AFP通信によると、マーク・ミリー米国合同参謀本部議長はこの日公開された米国防大学の卒業式の演説で「トランプ大統領と共に行動したという過ちを犯した」と語った。

 ミリー議長は「そこに行くべきではなかった」とし「その瞬間とその環境の中で、私は国内政治での軍部の役割について考えるようになった」と伝えた。

 また「軍服を着た将校としてのこの日の私の行動は、失敗だった」とし「我々すべては、この失敗から学び得ることを心から願う」と語った。

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米軍制服組トップ、トランプ大統領との写真撮影同行を謝罪

毎日新聞 2020年6月12日(金)11時38分配信

 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は11日、ホワイトハウス近くの教会前で1日にあったトランプ大統領の写真撮影に同行したことを「間違いだった」と謝罪した。写真撮影は、中西部ミネソタ州の黒人男性暴行死事件に対する抗議デモを強制排除した直後に実施された。ミリー氏とエスパー国防長官が同行しており、「軍の政治的中立性が保たれていない」などと批判が出ていた。

 ミリー氏は、国防大学の卒業式に向けたビデオメッセージで発言した。卒業生へのアドバイスとして「状況認識の鋭い感覚が重要だ」と呼びかけ、自身がトランプ氏に同行したことに言及。「私はあの場所にいるべきではなかった。あの時、あの環境に私がいたことは国内政治に軍が関与しているとの印象を与えてしまった」と後悔を口にし、「私の間違いから我々全員が学んでほしい」と述べた。

 さらに、軍の中立性について「この国の最も重要な部分に深く根ざした非政治的な軍という原則を尊重しなければならない。それは簡単ではなく、時間と労力がかかる。一人一人の日々の行いが最も重要かもしれない」と語った。

 元米軍高官らは、トランプ氏が事態収束のために連邦軍の投入を辞さない姿勢を示したことや、エスパー氏とミリー氏が写真撮影に同行したことに強い懸念を表明している。マティス前国防長官は3日付の声明で、「憲法擁護の誓いを立てた軍隊が、憲法上の米国民の権利侵害を命じられるとは夢にも思わなかった。ましてや選挙で選ばれた最高司令官(トランプ氏)に奇妙な写真撮影の機会を提供し、軍幹部がそばに立っているとは」と批判していた。

 米メディアによると、エスパー氏はトランプ氏と他の閣僚らと共に一緒に写真に納まったが、ミリー氏は同行しただけだった。エスパー氏は3日の記者会見で「写真撮影があることは知らなかった」と釈明している。

 強制排除は1日にホワイトハウス北側の公園や通りであった。平和的にデモを実施していた参加者が州兵などの鎮圧部隊から催涙ガスを浴びせられ、退散させられた。同じころ、トランプ氏は演説で、「連邦軍投入」について発言。演説直後、政権幹部を引き連れ、デモ隊が排除された通りを徒歩で横切り、教会前で聖書を掲げて写真撮影した。教会は前夜に暴徒の襲撃を受けており、写真撮影はトランプ氏の保守的な支持層を意識した政治的パフォーマンスの色彩が強かった。

 北京でクラスター発生習主席誕生日(6月15日)「戒厳体制突入 

現代ビジネス 2020年6月16日(火)6時31分配信/近藤 大介(『週刊現代』特別編集委員)

6月15日に何が起きたか

 6月の中国には、「二つの重要な日」がある。1日の「児童節」(こどもの日)と、15日の習近平主席の誕生日である。習主席は昨日、67歳になった。

 最高指導者の誕生日には、何か吉事が起こりそうなものだが、少なくともこれまでこの日は、あまり恵まれてはいなかった。

 国家主席に就任した2013年、還暦を迎えた習主席を、唯一の趣味であるサッカーで祝おうと、「格下」のタイ代表チームを招いて、中国代表と親善試合を組んだ。ところが結果は、1-5と大敗。中国サッカー史に残る汚点となってしまった。

 2015年の6月15日は、株式バブルの真っ只中にいた。前日まで、上海総合指数は5178ポイントと、8年ぶりの高値に沸いていた。ところが習主席の62歳の誕生日に、上海総合指数は5048ポイントまで急降下。以後3週間で32%も暴落し、邦貨で540兆円も消えてしまった。

 翌2016年は、習主席の誕生日の2日前に、中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』に、初めて「習近平批判」が掲載され、「中南海」(中国の最高幹部の職住地)は騒然となった。「トップのあるべき姿とは」と題した評論で、「唯我独尊的な権力の保持は大変危険であり、そのようなトップは『哀れな末期』を迎えるだろう」と、習主席が手厳しく非難されたのだ。

 2018年の65歳の誕生日は、絶対に何も凶事を起こすまいと、中国国内は緊張した。すると、太平洋の向こう側の米ドナルド・トランプ大統領が、「中国に対する制裁関税(500億ドル分の中国製品に25%)を発動する」と発表。米中貿易戦争が「開戦」し、やはり中南海に激震が走った。

 そして、今年である。本来なら6月15日、中国政府は、「新型コロナウイルスの完全終息宣言」を出す予定でいたのではないだろうか。首都・北京ではこの日から、「最終局面」と位置づける学校の全面再開が予定されていた。

 それに先立って、6月7日、中国国務院弁公室は、「新型コロナ肺炎の疫病に対抗攻撃する中国の行動」を発表した。いわゆる中国版の「コロナ白書」である。「完全終息宣言」を出す前に、この5ヵ月余りの「ウイルスとの戦いへの勝利」を総括したのだ。

コロナ白書の中身

 全体は4章立てで、その前後に前文と結語が付いている。まず前文では、新型コロナウイルスの位置づけと、「コロナ白書」を出す目的について述べている。

 〈 新型コロナウイルス肺炎は、この100年近くの間に人類が遭遇した、影響範囲が最も広範な地球規模の大流行病であり、世界にとって深刻な危機と厳しい試練になった。人類の生命の安全と健康が、重大な脅威にさらされたのだ。

 これは、全人類と疫病との戦争である。前代未聞のものが突如、襲来し、獰猛な疫病の天災となったが、中国は果敢に疫病を防止、阻止する戦いに打って出た。中国は国民の生命安全と身体の健康を第一に考え、堅固果敢な勇気と決意を持って、できる限り最も全面的で最も厳格で最も徹底した防止措置を取り、ウイルスの伝播連動を有効的に遮断した。(中略)

 中国国民のウイルスへの対抗打撃の偉大な過程を記録し、国際社会と中国の抗ウイルスの経験と手法を分かち合い、抗ウイルスに対する中国の理念や主張を闡明にするため、中国政府はこの白書を特に発布する 〉

 このように、世界中に蔓延したコロナ禍は、中国が撒き散らしたものだとは記されず、全人類がウイルスとの戦争と戦うものだと規定。中国はこれに勇気を持って取り組んだと自賛しているのだ。

 第1章は「中国の疫病への対抗打撃の艱難辛苦の過程」で、5段階に分けている。すなわち、1)突発的な疫病への迅速な対応(2019年12月27日~2020年1月19日)、2)疫病蔓延の勢いの初歩の抑制(1月20日~2月20日)、3)国内の新たな感染者数が段階的に下降し一桁になるまで(2月21日~3月17日)、4)武漢保衛戦、湖北保衛戦の決定的成果の獲得(3月18日~4月28日)、5)全国の疫病防止の常態化の段階(4月29日~5月末)。その大意は、以下の通りだ。

 〈 2020年5月31日24時現在、31の省・自治区・直轄地及び新疆生産建設兵団の累計報告確定感染者数は8万3017人、累計治癒退院者数は7万8307人、累計死亡者数は4634人となっている。治癒率は94.3%、死亡率は5.6%だ。

 2019年12月27日、湖北省中西医結合病院が、武漢市江漢区の疾病コントロールセンターに、原因不明の肺炎の病例を報告した。30日、武漢市衛生健康委員会が、管轄地域の医療機構に向けて、「原因不明の肺炎の救援治療活動を行うことに関する緊急通知」を発布した。31日早朝、国家衛生健康委員会が対応配置を行い、活動グループと専門家グループを武漢に派遣。疫病の処置活動を適切に指導し、現場調査を行った。

 2020年1月1日、国家衛生健康委員会は、疫病対応処置指導小グループを成立させた。2日、国家衛生健康委員会が「原因不明のウイルス性肺炎防止抑制『3つの早期』方案」を制定した。3日、武漢市衛生健康委員会が公式ホームページで、「原因不明の病毒性肺炎の状況通報に関して」を発布し、44人の原因不明の病毒性肺炎の病例を発見した。

 4日、中国疾病コントロールセンターの責任者とアメリカ疾病コントロールセンターの責任者が電話で話し、疫病の関連状況を紹介し、双方が情報交換と技術協力、密接な連絡を保持していくことで同意した。5日、武漢市衛生健康委員会がホームページで、「原因不明の病毒性肺炎の状況に関する通報」を発布し、59例の原因不明の病毒性肺炎の症例が発見されたことを示した。中国はWHO(世界保健機関)に疫病情報を通報した。

 6日、国家衛生健康委員会は、全国衛生健康活動会議で、武漢市で原因不明の肺炎が起こっている状況を通報し、監督測定・分析・研究判断の強化、及び疫病の適切な処置を要求した。7日、中国共産党中央委員会の習近平総書記が、中国共産党中央政治局常務委員会会議を開き、原因不明の肺炎の疫病への防止コントロール活動をうまくやるよう要求した。(中略)

 5月18日、習近平国家主席が、第73回WHO(世界保健機関)第73回総会のテレビ会議の開幕式で、「団結、協力してウイルスに打ち勝ち、共同で人類衛生健康共同体を構築する」と題した祝辞を述べた。22日~28日、第13期全国人民代表大会第3回全体会議を北京で挙行した 〉

 このように、一日一日、中国政府がいかに適切な処置を取って来たかが、詳細に記されている。「情報を隠蔽していた」と海外から非難されていることへの予防線を張る意図もあるのだろう。

 また、習近平総書記にいつ最初の報告が上がり、いつ総書記の最初の指示があったかについては、当初は雲南省を視察中の1月20日と言われていた。だが後に、「1月7日にすでに指示を出していた」という「公式見解」を発表し、この白書もそれに従っている。つまり発生の初期の段階から、習近平総書記が「自ら指揮し、自ら配備する」態勢を取っていたと改めて示した。

 この「自ら指揮し、自ら配備する」という言葉は、「官製流行語」(中国官製メディアが広めようとする言葉)にもなった。

 だが、蒋超良(Jiang Chaoliang)湖北省党委書記(省トップ)以下、湖北省や武漢市の「無能」「隠蔽」などと非難された幹部たちを解任したことには、一切触れていない。武漢市中心病院の李文亮(Li Wenliang)医師が初めて告発し、後に自らも感染して「殉職」したことも抜け落ちている。

世界に向けた猛アピール

 第2章以降の目につく記述は、以下の通りである。

5月31日まで、全国の回復期の感染者2765人から血漿を採取し、1689人の感染者に接種治療を行ったところ、比較的良好な効果を得た。

5月31日までに、全国各級のコロナウイルス防止財政資金として計1624億元を用意した。

5月31日までに、国務院聯防聯控機構、国務院新聞弁公室は共同で、161回の記者会見を開き、50以上の部署から490人以上の出席を実現させた。そして1400以上の内外メディアの質問に答えた。湖北省は103回の記者会見を挙行し、その他の地域も含めると1050回もの記者会見を行った。

5つの技術経路からワクチンを研究開発し、いまのところ4種類の効力あるワクチンと1種類の腺病毒を解体するワクチンが、認可を得て臨床実験を行っている。

公民の個人的権利を受諾して、個人の「健康ナンバー」「通信ビッグデータ工程カード」を広め、「復工復産復学」(仕事、生産、学校の復帰)を進めている。

1月24日の大晦日から3月8日まで、全国346の国家医療隊、4万2600人の医療従事者、900人以上の公共衛生要員、人民解放軍の4000人以上の医療従事者が湖北に応援に行った。

全国から4万人の建設従事者と数千台の機械設備を調達し、わずか10日で1000床の火神山病院、わずか12日で1600床の雷神山病院を建設した。

2月初旬の段階で、医療用非N95マスクとN95マスクの日産量はそれぞれ、586万枚と13万枚だったが、4月末には2億枚と500万枚に拡大した。

湖北省と武漢市などは、5月31日までに寄付金389.3億元、物資約9.9憶個を受けた。

4月末までに全国の規模以上の企業(大企業)の復工率(工業の復興率)は99%を超え、中小企業の復工率は88.4%に達した。湖北省の規模以上の企業の復工率は98.2%で、工員の復職率は92.1%に達した。これは全国平均にほぼ近い水準である。

54万人の医療従事者と4万人以上の人民解放軍の医療従事者が、湖北省と武漢市の最前線でウイルスと戦った。5月31日までで、全国のボランティアは881万人に達し、ボランティア項目は46万を超え、活動時間は2.9憶時間を超えた。

BRICS(新興5ヵ国)新開発銀行とAIIB(アジアインフラ投資銀行)はそれぞれ、70億元と24.85億元の中国向け緊急融資を行った。

中国共産党は110ヵ国以上の240の政党と共同で、人類の安全健康に重きを置き、人類運命共同体の理念を持つことと国際防疫協力の強化を呼びかけた。

WHO(世界保健機関)に2度にわたり5000万ドルの援助を提供した。

5月31日までで、27ヵ国に29チームの医療支援隊を派遣した。150ヵ国と4つの国際組織に防疫の援助を提供した。56ヵ国には長期にわたって医療隊が防疫活動を指導した。

3月1日から5月31日まで、200ヵ国・地域に防疫物資を輸出した。その中には、マスク706億枚、防護服3.4億着、防護メガネ1.15億個、人工呼吸器9.67万台、検査キット2.25億人分、赤外線検温器4029万台が含まれる。

科学技術部、国家衛生健康委員会、中国科学者協会、中華医学界が共同で、「新型コロナウイルス肺炎科学研究成果学術交流プラットフォーム」を立ち上げた。5月31日までで、このプラットフォームは計104の雑誌をネット上にアップし、970篇の論文、報告をアップした。

中国は(中国に)汚名を着せることと、ウイルスを政治化させることに、決然と反対する。人類の共同の敵はウイルスであって、特定の国家や民族ではない。

中国はウイルスの被害国であり、全世界への防疫の貢献国である。公正に待遇されるべきであり、非難されるべきではない。

中国はウイルス発生の初期の段階から、国際社会に向けて、明晰明確な情報を発信してきた。中国が情報提供と人命救助を怠ったなどとある国が述べるのは、まさに「罪を加えたいのであって理由は何でもよい」と言うものだ。

自身の問題を責任転嫁し覆い隠すことは、無責任かつ不道徳というもので、中国はいかなる訴えや賠償要求も絶対に受け入れない。

中国は責任ある大国として終始、人類運命共同体の理念を堅持し、衛生健康分野における国際協力に積極的に参加し、習近平主席が第73回WHOテレビ会議の開幕式で提起した6つの建議と5つの措置を着実に実行し、地域と世界の公共衛生安全を維持保護するため、人類衛生健康共同体の建設に向けて、さらに大きな貢献を進めていく。

 以上である。この長い白書を通読すると、これは内外に向けた、すなわち14億中国民とアメリカを始め世界に向けた中国政府のアピールであると同時に、習近平主席に向けた中国官僚たちのアピールでもあるように思えた。

 穿った見方をすれば、各関連部署からの「皇帝様」に対する「誕生プレゼント」だ。「皇帝様の誕生日までに、見事にウイルスを終息させました」というわけである。

そして、北京でクラスター発生

 ところが、今年の皇帝様の誕生日も、またしても吉事とはいかなかった。お膝元の首都・北京で、恐ろしいクラスター(集団感染)が発生してしまったのである。

 6月15日午前、北京市政府は117回目となる新型コロナウイルスに関する記者会見を開いた。壇上に座ったのは、肖颯(Xiao Sa)北京市党規律検査・市監察委員会党風政風監督室主任という厳めしい肩書の幹部だった。肖主任は、厳めしい顔つきで述べた。

 「6月14日13時現在で、すでに62人もの感染者が報告されている。感染者たちのビッグデータを解析すると、北京新発地卸売市場と関連していることが明らかになった。

 6月13日、北京市党規律検査・市監察委員会は、調査グループを立ち上げ、新発地市場のウイルス防止対策について調査した。その結果、北京市豊台区の周宇清(Zhou Yuqing)副区長、豊台区花郷の王華(Wang Hua)党委書記、新発地市場の張月琳(Zhang Yuelin)社長は、監督責任を怠ったなどの責任で、解職処分とした……」

 前日14日、この日は日曜日にもかかわらず、北京市政府は2回も、新型コロナウイルスに関する記者会見を開いた。夜の116回目の会見で、北京市疾病予防コントロールセンターの厖星火(Pang Xinghuo)副主任は、沈鬱な表情で述べた。

 「新発地市場の関係者8186人のPCR検査を実施した。これまで5803人の検査結果が出たが、ほとんどが陰性だった。今後、新発地市場の近隣住民4.6万人すべてのPCR検査を行う。すでに1万881人が検査を終えている……」

 6月15日の夕刻には、118回目の会見が開かれ、6月11日以降の北京での感染者を、「79人」に更新した。

 クラスターの発生源は、北京南郊の新発地市場だった。79人中、77人が、この市場に、何らかの関連を持っていた。新発地市場は、ホームページでこう自己紹介している。

 〈 北京新発地農産品卸売市場は1988年5月16日にオープンし、当初はわずか1ヘクタールだったが、現在では112ヘクタールに拡大、約2000店舗が軒を並べる。毎日、野菜1.8万トン、果物2万トン、豚3000匹あまり、羊1500頭あまり、牛150頭あまり、水産物1500トンあまりが取引されている。2019年の交易量は1749万トン、交易額は1319億元で、全国4600あまりの農産品卸売市場の中で、交易量・交易額ともに、17年連続で中国最大である 〉

 この市場は、広さが東京ドームの24倍!  まさに、2300万北京市民の「胃袋」である。

 それまで北京では、新型コロナウイルスは、すでに「過去の惨事」と化していた。なにせ56日も連続で、一人の新たな感染者も出ていなかったのだ。北京市民は、「日本はまだ終息していないのか」と、対岸の火事のように日本を見ていたものだ。

 それが6月11日、西城区に住む52歳の男性が感染していることが発覚。そこから次々と感染者が出たのだ。

 新発地市場は、6月13日午前3時をもって、一時的に閉鎖された。だが、数ヵ月前の「武漢の悲劇」が、やはり華南海鮮市場という巨大市場から始まっただけに、北京市民は戦々恐々としている。市場が閉鎖されたことで、すでに野菜の高騰が始まっている。

 こうして、6月15日から北京市内の学校を全面再開する措置は、延期となった。結果として、「皇帝様」の誕生日は、今年も吉事とはいかなかったのである。

 

【今週の推薦新刊図書】

 

 『WHAT NEXT』
著者=宮崎正弘
(ハート出版、税込1,650円)

 

 中国を批判的に書く筋金入りの「宮崎史観」が、新型コロナウイルスという未曽有の危機に洗われて、さらに磨きがかかった。宮崎氏は「最悪のシナリオ」と断りつつ、今後の世界は14段階で進んでいく可能性があると説く。1)米中の失業者増大で大恐慌開始、2)米中対決が激化し、日米同盟に亀裂、3)株式暴落と倒産ラッシュ、4)世界中の航空会社が国有化、5)企業会計制度の変革、6)世界の決済システムの中断、7)金、プラチナの高騰、8)中国で食糧不足から暴動多発、9)イナゴ害で南アジアに食糧危機勃発、10)同様にイナゴ害で中国に食糧危機勃発、11)東京五輪中止、12)北朝鮮情勢が急変し、日本を含む周辺国に難民殺到、13)産油国でデフォルトが発生し政変に発展、14)地域紛争が多発し、在日米軍が撤退。あな恐ろしや、74歳の世界に通暁した評論家の警告の書である。

東証100022500超 金融財政政策への期待感で

毎日新聞 2020年6月16日(火)20時30分配信

 16日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反発し、前日比1051円26銭高の2万2582円21銭で取引を終えた。米国の金融・財政政策への期待感から、新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」への懸念で売られていた銘柄が買い戻された。日経平均の上げ幅が1000円を超えるのは3月25日以来、約3カ月ぶり。

 15日のニューヨーク株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が個別企業の社債買い入れで資金繰り支援を強化すると発表したことが好感され、ダウ工業株30種平均は前週末比157・62ドル高の2万5763・16ドルと続伸した。

 16日の東京市場はこの流れを引き継ぎ、日経平均は反発して取引を開始。トランプ米政権が、道路や橋、次世代通信規格「5G」などのインフラ整備に約1兆ドル(約107兆円)を投じる景気刺激策を検討していると報じられ、上げ幅を拡大した。日銀が金融政策決定会合で企業の資金繰り支援枠を110兆円に拡大したことも好材料となった。

 日経平均は10日の終値で2万3124円95銭をつけた後、米中での新型コロナ感染再拡大への懸念などから3営業日連続で下落。下げ幅は約1600円に達したが、16日の急騰で一気に戻した。

 大和証券の石黒英之シニアストラテジストは「各国中銀の強力な金融緩和が相場を支えている。当面は感染再拡大への懸念との綱引きで、日経平均は上下に振れやすい」とみる。

 

2020年6月15日 (月)

【日経平均】3営業日続落<新型コロナ再拡大>経済活動低迷への警戒感

〔東京株〕急落新型コロナ再拡大の懸念強まる

時事通信 2020年6月15日(月)15時30分配信

 海外で新型コロナウイルスの感染が再拡大するとの懸念が強まり、幅広い銘柄に売りが出た。日経平均株価は前営業日比774円53銭安の2万1530円95銭と急落し3営業日連続の値下がり、東証株価指数(TOPIX)は39.90ポイント安の1530.78と5日続落。

 銘柄の87%が値下がりし、値上がりは12%だった。出来高は13億6392万株、売買代金は2兆3535億円。

 業種別株価指数(全33業種)は全て下落した。特に、不動産業、空運業、その他金融業の下落が目立った。

 米国や中国の感染者増を警戒

 週明け15日の東京株式市場は、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念から軟調となり、特に後場に売りが加速した。

 取引時間中に為替相場が円高に進み、米株価指数先物も時間外取引で大きく軟化したことが嫌気された。不動産株や空運株など、コロナ感染拡大が逆風となる業種の株に売りが集まった。日経平均株価は後場にかけて一段安となり、前営業日終値からの下げ幅は700円を超えた。

 市場では日経平均が大きく下げた理由について「中国で感染が広がり緊迫しているため」(大手証券)、「感染が拡大している米国の株価下落を先に織り込んだ」(銀行系証券)など複数の見方が出ていた。また、「相場が急速に上昇した分、悪材料に敏感に反応している」(中堅証券)との指摘もあった。

 225先物9月きりは下値模索の展開。午前はマイナス圏でもみ合いが続いたが、午後は売り圧力が強まり、じりじりと値を下げた。225オプション7月きりは、プットが上昇し、コールは売られた。

東京都48人感染、2日連続で40人超うち20人が集団検査で判明

毎日新聞 2020年6月15日(月)15時17分配信

 東京都内で15日、新型コロナウイルスの感染者が新たに48人確認されたことが、都関係者への取材で判明した。このうち20人は集団検査で感染が判明したという。都内で1日あたりの感染者が40人以上になるのは2日連続で、14日は47人だった。

 苦境地銀 に“永久公的資金注入?消えない9不安説

日本経済新聞 2020年6月15日(月)8時04分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大で、金融庁が危機モードに転換した。12日に成立した改正金融機能強化法は公的資金の申請期限を4年間延ばし、2026年3月にする。これまで金融庁は競争を促し、退出すべき銀行をあぶり出す地銀改革を一丁目一番地に置いてきた。返済期限の撤廃も売り物にしたコロナ特例で守るべき最後の一線を越えたのか。

 あるリポートが金融庁内で話題になっている。岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏が5月20日に配信した「コロナショックは中小の『コロナ7業種』問題」。7業種は陸運、小売り、宿泊、飲食、生活関連、娯楽、医療福祉で「地域金融機関の取引先にはコロナ問題の影響を受けやすい業種が多い」と指摘した。

 金融庁のある幹部は「第2波が訪れた時に事業継続の意欲を失い、自主廃業する企業が続出するのではないか」と危機感を隠さない。「その余波で銀行が収益を失った時に何が起きるのか。銀行自体が店じまいすることだってあり得る」

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「コロナショックの時に限り、債務免除は有効な策としてやるべきなんです」。5月26日、参院財政金融委員会で、自民党の西田昌司氏は銀行に債権放棄を迫る案を披露した。コロナの第2波で一段と景気が悪化し、財政で企業を支援する余力がなければ、銀行が損失をかぶればいいという議論が出てくるかもしれない。

「9月中間決算がマズいかもしれない」。金融機能強化法を審議している真っ最中の6月8日の週。金融庁内では「9月越え対策」が話題になっていた。

 過去の金融危機の時、決算の期末が訪れるたびに「A銀行が危ないらしい」「B銀行は大丈夫なのか」との噂が飛び交った。リーマン・ショック時にも銀行の信用不安をあおるような噂話が業界で広がった。

 19年3月末に5期以上連続で本業赤字の地銀は27行ある。コロナ禍の前から苦境に陥っている地銀は全体の4分の1に達している。金融庁の別の幹部は「資本不足対策も出てくるかもしれない」と語る。

 地銀は経営介入を嫌い、公的資金を拒否してきた歴史がある。今回はこれまでにない企業業績の冷え込みで、廃業も目立ち始めた。景気の停滞が長期化すれば、背に腹は代えられなくなる地銀が続出する可能性がある。

 金融システムを守るために公的資金を地銀に注入するという政策は間違っているわけではない。かつてと違うのは、コロナ特例で返済期限のない公的資金が入ることだ。人口減や企業の移転などでもともと苦しい状況にある地銀が、公的資金を返済できるまで業績が回復するとは考えにくい。永久に公的資金が入り続ける状況になれば、国が実質的に支配する「国有化」になってしまう――。

「その考えにはくみしないな」。金融機能強化法改正案を閣議決定した6月8日朝、記者が投げかけた質問を遠藤俊英長官は否定した。

 金融庁は翌9日の衆院財務金融委員会で「返済のための財源を確保できる見込みがあることは確認する」と答弁した。「具体的な年限を一律・画一的に定めることはしない」という解釈で、個別銀行ごとに返済期限を設定する。「コロナ特例を使えば永久に返済しなくて良い」という究極のモラルハザードを防ぐ布石だ。

 金融庁が地銀改革に着手したのは13年のことだ。当初5年はアメをちらつかせて、改革を促す手法をとった。金融検査マニュアルで義務付けていた資産査定の検査を免除し、不良債権か正常債権か判定する自己査定の運用を銀行に委ねた。

 自主性を尊重した金融庁の期待は外れ、遠藤長官は就任から1年たった19年に方針をムチに転換した。

 その肝が「早期警戒制度」だ。これまで金融庁が経営に介入するのは健全度の基準である自己資本比率4%を割った後だった。新制度では4%を割る前から対話し、場合によっては業務改善命令を出す。19事務年度(19年7月~20年6月)は約10行を重点監視対象にした。

 今通常国会では「合併特例法」も成立した。独占禁止法の適用を除外し、体力のある各県1番手の地銀が2番手や3番手を救済できる道を開いた。銀行の信用格付けに格差を付ける「預金保険料の可変料率制」も準備している。競争に落後した後、自助努力で再建できない銀行に初めて淘汰のメカニズムを埋め込むシステムを用意するところまできた。

 競争原理で地銀を改革しようとする機運は12年前にもあった。経営が悪化した銀行に公的資金を入れる金融機能強化法の延長議論を封印し、予定通り08年3月末で失効させた。リーマン・ショックが半年後の9月に起きると一転、復活を求める声が日増しに高まる。12月に強化法は復活した。大なたを振るおうとした矢先の経済危機で地銀改革にブレーキがかかった。

 今回も競争原理で地銀を改革するやり方は早くも修正を迫られている。政治主導で地域経済の底割れを防ぐ動きが強まれば、金融庁は劣勢に立たされる。焦点は公的資金を実際に注入するかだ。

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 参考になる指標がある。リーマン・ショックを受けて公的資金を注入した10行のうち、完済できた地銀は北洋銀行1行のみという現実だ。東日本大震災後に公的資金を入れた銀行を含めると、現在の注入行は13行ある。共通するのは、公的資金を除いた実質自己資本比率では健全化できていないことだ。

 仙台と豊和の2行は4%割れ、山形県のきらやかが4%台、鹿児島県の南日本、福井県の福邦も5%台。最も改善が進む秋田県の北都銀行や群馬県の東和銀行も8%台で地銀平均の9%超に届いていない。今年夏、福邦と南日本が事実上の最終計画を提出し、公的資金回収の議論をスタートさせる予定だが、他行との再編など外部から資本支援がなければ、返済のメドはたたない。

 返済期限のない公的資金が登場した場合、注入済みの公的資金はどうするのか。再生のための時間を買うという理由で借り換えを認めるのか。地銀改革の尻抜けとみて借り換えを認めないのか。金融システムを守ることを優先すれば大目に見るのだろうが、借り換えを認めたのは強化法注入第1陣の豊和銀だけ。本来は今年だった返済期限を29年4月に延長した。同行はもはや自己資本の過半を公的資金が占め、資本の面では事実上の国有化状態にあるとも言える。

 金融庁の幹部は「公的資金注入行が1行でも経営破綻し、公的資金を回収できなくなれば、金融庁自身、責任を問われ、組織自体なくなるでしょうね。日銀の子会社になっているかも」と話す。1998年に一時国有化した旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の公的資金は回収できていない。過去の危機で投入した公的資金の最終処理を終えないまま、さらに公的資金を投入する事態は金融庁、とりわけ監督局にとって避けたいのが本音だ。

 それでも地銀の苦境と向き合わないといけない。金融庁は経営統合や資本提携といった再編で資本不足に対処することを描いている。地元1番手行やSBIホールディングスのような異業種に秋波を送る。危機対応という大義名分で逆に地銀を甘やかす結果になれば、これまでの行政方針との整合性を問われかねないからだ。金融庁内には公的資金の緊急注入論も浮上している。「9月対策」は金融行政の針路を占う試金石となる。

地域経済の底割れ回避狙う 公的資金枠15兆に拡大

日本経済新聞電子版 2020年6月9日(火)7時47分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大が地域金融機関の経営に打撃を与えている。もともと人口減と低金利で苦しい環境下にあるが、地方企業の業況は一段と悪化。政府は企業への資金供給に目詰まりを起こさないようにするため、地方銀行などに注入できる公的資金の枠を12兆円から15兆円に拡大する。金融システムの動揺を抑えつつ、地域経済の底割れ回避に全力をあげる。

 政府は8日、金融機能強化法改正案を閣議決定した。地銀や信金、信用組合など地域金融機関を念頭に公的資金を受け入れやすい仕組みをつくる。コロナの影響が長引いても金融システムの安定に万全を期す狙いだ。

 地銀の経営は悪化している。2020年3月期連結決算を発表した上場地銀78行・グループのうち、7割を占める57行が前の期比で減益・赤字となった。

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 業績を押し下げた主因は与信費用の増加だ。与信費用は融資先から資金回収できなくなるリスクに備えるもので、貸し倒れに備えて積む引当金や不良債権として処理する費用を指す。19年3月期に不正融資で巨額費用を計上したスルガ銀行を除くと、20年3月期の与信費用は7割増の計3253億円。ふくおかフィナンシャルグループは12倍の613億円を計上した。

 政府が懸念するのは、地方経済の一段の悪化だ。貸し渋りが広がれば、必要なお金が地方に回らず、企業倒産が急増する恐れもある。機能強化法改正案では、円滑な資金供給を可能にし、地方経済を支える姿勢を打ち出す。

 もう一点、政府が注視するのはこの先の金融機関の経営だ。いまのところ経営の健全性を示す自己資本比率は、全地銀の平均で9.52%(20年3月期)と安全な水準にある。日銀によると、5月の地銀の貸出平均残高は前年同月比3.8%増の259兆6482億円と過去最高だった。政府の要請も踏まえ、企業の資金繰り支援が徐々に進んでいるとみられる。

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 金融庁幹部は「今すぐ資金注入を想定している金融機関はないが、最悪の事態に備えなければいけない」と強調する。機能強化法改正案で公的資金を注入しやすくしておけば、金融システム全体に不安が広がる事態を避けられるとみる。

 ただコロナ前から与信費用が膨らむ下地はあった。リーマン危機後に「中小企業金融円滑化法」で救済した企業の業績がなかなか回復しないことが背景にある。同法では経営状態が悪い企業も特例的に支えてきたが、その後も経営が改善せず、不良債権化するケースが後を絶たない。

 コンサルティングを手掛けるEYトランザクション・アドバイザリー・サービス(東京・千代田)はコロナ倒産が増え、地銀の連結自己資本比率が22年3月末に平均で1.5ポイント下がると試算。4行で自己資本比率が国内行に必要な4%を下回る可能性があるとしている。鶴森寿士パートナーは「不動産や建築など幅広い業種でコロナ危機の影響が強まる。与信費用がさらに増える地銀が出るだろう」と指摘する。

 このほか、機能強化法改正案では公的資金の活用条件も緩和する。金融機関が申請時に提出する経営計画に収益目標や経営責任、中小企業向けの貸出額などを盛り込まなくてもよいことにする。過去には数値目標を達成できず経営陣が交代となるケースもあった。15年以内を目安とした返済期限もなくす。

 地銀8割収益減でも配当維持 金融庁疑問視 

時事通信 2020年6月15日(月)18時09分配信

 地方銀行の約8割が2021年3月期の年間配当予想を維持することが15日、分かった。低金利の長期化に加え、新型コロナウイルス流行で取引先の業績は悪化し、地銀の収益は急速に低下している。それでも株主還元を手厚くする姿勢について、金融庁は「(配当抑制で)余力を残し、地元企業を支援すべきではないか」(幹部)と疑問を呈している。

 時事通信が全国の地銀全86社の決算を分析した。21年3月期の配当見通しを公表した82社のうち、約8割に当たる63社が維持、4社が増配(記念配当を含む)を予定する。

 一方、全体の7割弱に当たる56社が純利益の減少を見込むが、減配予想は14社にとどまった。 

性風俗業を差別しないで」経営者ら、持続化給付金で陳情

毎日新聞 2020年6月15日(月)18時18分配信

 デリバリーヘルスやラブホテルなど性風俗関連産業も「持続化給付金」の支給対象とするよう求め、経営者らが15日、集めた署名と陳情書を中小企業庁の担当者に手渡した。持続化給付金は新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援策だが、「性風俗関連特殊営業」は対象外とされている。署名を集めるなど運動を展開する経営者らの訴えとは。

 「性風俗関連特殊営業」とは、デリヘルや店舗型ファッションヘルス、ラブホテルなど。個人事業主として性風俗業で働く人は持続化給付金の対象とされたが、法人は宗教団体や政治団体と並んで給付対象外となっている。

 そこで、大阪市でデリヘルを経営する女性(33)が立ち上がり、5月半ばからインターネット上で署名を呼びかけた。福岡ですでにコロナ禍での水商売全般の支援を訴えて「ナイト産業を守ろうの会」を発足させていた特定行政書士で代表の佐藤真さん(36)と知り合い、会の「大阪支部」として活動することに。紙での署名を集めると同時に、インターネット上で発信を続けた。

 女性はこうした運動を立ち上げたのは初めてという。声を上げた最大の理由は「職業差別ではないか」という思いだ。「法律を守って営業し、納税もしているのに、こうした非常時に守られないのは差別だと思う。対象外となる理由も明確でない」。さらにこういう時に守られなければ、反社会勢力に頼ってしまう店が現れたり、違法な店が勢力を伸ばしたりすることにもつながる。業界の健全化や従業員の安全のためにも支援が必要だと訴える。

 感染拡大防止の観点からも疑問がある。休業は要請されるのに支援・補償が出ないとなれば、納得して休業はできない」。女性の店は大阪府の休業要請に従い、4月半ばから5月7日まで休業した。4月は例年比9割減、5月は5割減、6月も3割減という。支援がなければ営業せざるを得ない店も出てくるだろう。まるで『感染しても仕方ない』と言われているような状況では、結局社会全体に影響が出るのでは

 15日、女性と佐藤さん、群馬県などでラブホテルを経営する市東剛さん(61)が衆院第2議員会館を訪れ、陳情書と紙で集めた署名416筆やインターネット上の署名533筆などを中小企業庁の担当者に手渡した。

 佐藤さんは「対象外としている根拠がわからないのでこちら側から反論すらできない。理由をせめて教えてほしい」と訴え、市東さんも「業種で分けているが、その後ろには人がいる。経済的に困窮すれば死ぬしかないという経営者も出てくる。給付の対象外にするのは我々に死ねというのと同じだ」と憤った。

 衆院議員の尾辻かな子、本多平直、田村貴昭の各氏も立ち会い、対象外となっている理由を問いただしたが、中小企業庁側は「検討はしてきたが、判断を変えるに至っていない」「(支援制度の対象外となってきた)過去の政策との整合性から総合的に判断して決めた」などと繰り返した。

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関連エントリ 2020/06/14 ⇒ 【自粛から自衛へ】<東京アラート>解除後2日目の今日✍47人(感染者倍増)

 

2020年6月14日 (日)

【自粛から自衛へ】<東京アラート>解除後2日目の今日✍47人(感染者倍増)

14日(日曜)東京都でたに47感染夜の街」同じ店で18

朝日新聞デジタル 2020年6月14日(日)16時08分配信

 東京都の小池百合子知事は14日、新型コロナウイルスの感染者を新たに47人確認したと発表した。そのうち18人が新宿区内の「夜の街」にある同じ店での感染だという。また、7人は集団感染が起きている武蔵野中央病院(東京都小金井市)関連だという。

 都は11日、新型コロナ感染拡大への警戒を呼びかける「東京アラート」を解除した。ただ11日以降、1日あたりの都内での感染者は4日連続で20人を上回っており、再び感染者数が増加している。

 NY株一時1400㌦安 コロナ感染第2波懸念 

時事通信 2020年6月11日(木)22時55分配信

 11日のニューヨーク株式相場は、新型コロナウイルスの感染「第2波」や景気回復の遅れに対する懸念が広がり、大幅に下落して取引が始まった。午後0時29分現在、優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比1372.76ドル安の2万5617.23ドル。下げ幅は一時1400ドルを超えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は同356.30ポイント安の9664.05となった。

 米ジョンズ・ホプキンス大学によると、米国の新型コロナ感染者数は200万人を超えた。テキサス州など早期に経済活動の再開に踏み切った地域の一部では、感染者数が増加しつつある。人が密集する黒人男性暴行死事件への抗議活動が全米に広がり、感染の「第2波」への懸念が強まっている。

 また、米連邦準備制度理事会(FRB)は前日、少なくとも2022年末まで事実上のゼロ金利政策を継続するとの想定を公表。景気の先行きへの慎重な見方から、幅広い銘柄が売られた。 

 アメリカの三重苦株価急落招く懸念 

東洋経済オンライン 2020年6月7日(日)17時01分配信/松本 英毅(NY在住コモディティトレーダー)

 5月29日の午後遅く、アメリカのドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスで記者会見を開き、中国に対する今後の方針を発表した。

 中国政府が全人代(全国人民代表大会)で香港に対する国家安全法の適用を決定したことを受けて、香港から自治を取り上げ、「1国2制度」の方針を反故にしたと強く批判した。また新型コロナウイルスの感染拡大に関しても、その責任は中国にあるという、これまでの主張を厳しい口調で繰り返した。さらには世界保健機関(WHO)との関係を断つことを正式に表明、拠出金は他の公衆衛生分野に振り向ける意向も明らかにした。

ミネアポリス中国批判が吹き飛んだ

 だが、記者団をかなりの長時間待たせた上で始まった会見には、スティーブン・ムニューシン財務長官やマイク・ポンペオ国務長官も同席していたが、結局は10分弱ほど一方的に自己の主張を述べただけで打ち切り、記者団からの質問も一切受け付けないままにそそくさと退場してしまった。

 大統領が記者からの質問を受け付けなかったり、回答を拒否したりすること自体は特に珍しいことではない。だが、この時の大統領は「心ここにあらず」といった感じで、精神的にもかなり追い詰められているのではと感じた向きは少なくなかったのではないか。

 それはもちろん、ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官の暴行を受け、首の付け根あたりを足で長時間押さえつけられたことによって死亡したことに対する抗議運動が拡大し、一部が暴徒化し始めた事件だ。このことが、彼の頭の中にあったことは間違いないだろう。報道によると、会見の原稿にはミネアポリスの事件に関する言及も盛り込まれていたのだが、大統領はそれを全部すっ飛ばし、短時間で切り上げた。記者団の質問を受け付けなかったのも、恐らく中国問題ではなくミネアポリス問題に触れられたくなかったからなのだろう。

 ミネアポリスの事件に対する抗議行動はすでに全米の50都市以上に拡大、首都ワシントンDCやニューヨークなどで夜間外出禁止令が発動される事態となった(NY市は6月8日午前5時まで)。一部の州では州兵が動員され、治安維持に当たっていると聞く。

 トランプ大統領は5月30日、州政府からの要請があった場合には連邦軍を派遣するとの用意があることも表明した。これは極めて異例の事態で、前回は1992年のロサンジェルス暴動にまでさかのぼる。そのときも、黒人青年が白人警察官に暴行を受けた後、この警戒が無罪になったことへの抗議が発端となった。人種差別に対する抗議行動を、警察や軍が強権によって抑え込もうとすると、返って暴動が激化しかねないだけに、行政の対応にも慎重な態度が求められる。

新型コロナの感染再拡大も依然大きなリスク

 こうした一連の問題は、ようやくロックダウンを緩和する動きが見られるようになり、活動再開への期待が高まりつつあった米国にとって、二重の意味で大きな打撃となるだろう。

 一つは暴動によって、都市機能がさらに麻痺してしまうことの影響だ。夜間の外出禁止令は、夜間にはさらに厳しいロックダウンが行われるということだし、昼間でも抗議行動に伴うトラブルに巻き込まれないようにするため、外出を控える人が多くなる。略奪などを恐れ、スーパーなどでも営業を見合わせるところが出てくる。ディスカウントストア大手のウォルマートやターゲットなどは、一部の店舗を閉鎖した。

 もう一つは、抗議行動に多くの人が参加することによって、新型コロナウイルスの感染拡大のペースが改めて速まるリスクだ。今回はフロイドさんが首を押さえられた際に警官に訴えた、“I can’t breeze”(息ができない)という言葉が抗議行動のキーワードとなっているが、これを人々が大きな声で叫ぶことは、新型コロナウイルスの感染防止の観点では、最悪の状況と言わざるを得ない。このことによって感染が再拡大するなら、再びロックダウンが強化され、経済活動の停滞もさらに長期化することになるだろう。

 話を中国問題に戻そう。5月29日のトランプ大統領の会見では、香港に対する貿易上の最恵国待遇を撤廃するなどの制裁措置が打ち出された。

 だが、新たな関税の賦課など、米中貿易合意に直接影響するような措置はひとまず見送られた。市場ではこれを前向きに好感。米中関係の悪化など何もなかったかのように、6月5日の株式市場では、雇用統計が市場予想を上回ったことがきっかけとなってナスダックなどは取引時間中の史上最高値を更新した。

 だが、そこまで先行きに対して楽観的になるべきではないだろう。

 トランプ大統領は貿易問題に「触れなかった」だけであり、将来にわたって新たな関税の賦課を見送ることを保証したわけでもない。一方では新型コロナウイルスの感染拡大に対する責任も含め、中国をかなり厳しい口調で批判しており、中国側がこれに対して断固とした報復措置を打ち出す可能性も高いと見ておくべきだ。

米中が再び対立する可能性は決して低くない

 実際、今年初めに貿易合意の第1段階が成立するまでの長い道程の間にも、アメリカがある程度の譲歩をしてハードルを下げても、中国側も強い要求を出しなかなか譲らなかった。最終的にトランプ大統領が激怒して追加関税などのより厳しい措置を打ち出すといったパターンが何度となく見られた。こうしたことを決して忘れるべきではない。

 また、中国が今回の全人代で、今年度の経済成長目標を取り下げたのは、もはや目標を実現するために大規模なインフラ投資や財政出動を行う余裕はなく、国内の雇用を何とかして守るのが精一杯だという、苦しい台所事情の表れである。

 貿易問題でアメリカに散々痛めつけられたところに、新型コロナウイルスの感染拡大でとどめを刺された格好となった中国経済が、一皮むけば危機的な状況に追い込まれていることは想像に難くない。

 しかし、そうした状況下でもなお、アメリカなどからの風当たりが強くなるのが目に見えている香港への国家安全法の適用を打ち出したというのは、それだけこの問題が中国政府にとって譲ることのできない重要なものだということだ。習近平主席は相当の覚悟を持って方針を打ち出したのだろう。

 今のところ中国はアメリカの制裁措置に対して「内政干渉だ」と反発はしたものの、具体的には厳しい対応は見せていない。だが、中国の内政に手を突っ込むようなアメリカ側の圧力に対しては、経済のさらなる悪化も厭わない、強硬な報復措置に打って出ることも十分にあり得る。

 差し当たっては上下両院で既に可決されたウイグル人権法案を、トランプ大統領が署名し成立させるのかが、大きなカギを握るはずだ。

 一方、トランプ大統領はトランプ大統領で追い込まれている。株価の上昇と経済や雇用の力強い回復という実績をアピールすることで、この秋の大統領選挙で再選を果たそうという計画が、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって全て崩れ去ってしまったからだ。

 現在、彼が取ろうとしている戦略は、「感染拡大に関しては中国に大きな責任がある」と、コロナ問題も株価の急落も、全て中国が悪いという風にまくし立て、自らの責任をうやむやにしようというものだ。

 そのようにして「中国脅威論」「中国悪玉論」を展開したうえで、恐らくは対立候補となる民主党のジョー・バイデン元副大統領では中国にいいようにしてやられるだけで、「中国をきっちりと抑え込めるのは自分しかいない」と、再選の正当性を訴えようというわけだ。

 もし大統領がこのような戦略に重点を置くのであれば、この先中国に対する圧がさらに強まるのは想像に難くない。

 中国にかなりの譲歩をしてまでもまとめ上げた貿易交渉の第1段階の合意も、株を上げたいがためにやったことだと言ってもいい。

本当にアメリカの経済は回復基調を維持できるのか

 だが今となっては、トランプ大統領にはそれほど重要なものではなくなっているかもしれない。中国のこれからの出方次第では、簡単にこれを破棄して新たな関税を賦課することになる可能性もある。

 少なくとも現時点で、アメリカと中国の双方の首脳にとって、経済の回復が最優先課題ではない可能性は高いはずだ。

 状況次第では株価の急落は覚悟の上で、相手に対してさらに厳しい措置を打ち出すことも、十分にあり得るのではないか。

 足元の景気の大幅な落ち込みだけでなく、「米中の緊張のさらなる高まり」、「新型コロナウイルスの感染再拡大のリスク」、「ミネアポリスの事件に対する抗議行動の激化や治安の悪化」という「三重苦」が、アメリカ経済にのしかかろうとしている。

 こうした問題を抱える中、果たしてアメリカの株式市場はこの先も順調な回復基調を維持できるのであろうか。その大きな根拠になっているのは、7-9月期以降の同国経済の急激な回復だけというのであれば、いかにも心許ないというのが正直なところだ。

〔東京株〕続落=新型コロナへの警戒感再燃(12日)

時事通信 2020年6月12日(金)15時30分配信

 日経平均株価は前日比167円43銭安の2万2305円48銭、東証株価指数(TOPIX)は18.24ポイント安の1570.68と、ともに続落した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動低迷への警戒感が再び高まり、幅広い業種が値を下げた。

 88%の銘柄が下落、11%が上昇。出来高は19億0416万株、売買代金は3兆3246億円。

 ▽ スピード調整進展も、不安残る

 欧米株の急落を受けて東京市場は朝から全面安となった。ただ、欧米株下落のきっかけとなった米国の新型コロナ感染者の増加について「日本株は、前日の下落である程度消化していた」(国内証券)とされ、12日の東京市場では、売りが一巡すると値頃感などから買いも入った。

 新型コロナへの警戒感が世界的な株安を招いたが、市場では「5月下旬以降の急速な株価上昇による過熱感を冷ますための一時的なスピード調整」(大手証券)との見方が大半で、中長期的な株安を懸念する声はまだ少ない。11、12日の株価下落により、過熱感はかなり収まったとみられる。

 とはいえ、米国では早めに移動制限などを解除した州での感染が目立っている。世界的に経済活動が再開されつつある中、「感染第2波の恐れは残り、気が抜けない」(中堅証券)という。

 225先物9月きりは続落。世界的なリスク回避地合いの中、売り優勢で始まった。その後、米株先物が時間外取引で値を戻したことから、12日の米国株反発を見越した買いが入り、午後にかけて下げ幅を縮小した。225オプションはプットが買われ、コールは売られた。

 日本成功例の先駆け」  米国が絶賛したコロナレポートの中身

現代ビジネス 2020年6月13日(土)7時01分配信/歳川 隆雄(ジャーナリスト)

米国から見た日本のコロナ禍対策

 ワシントンDCから米国人の目で日本の金融・財政政策を分析・解説する在米金融アナリスト、斎藤ジン氏がパートナーの一人である「OBSERVATORY VIEW」をほぼ毎号、読み参考にしている。

 ニューヨークを本拠とする有名なユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表が編集・発行する「eg update」も必読のニューズ・レターである。その他にも、DCで政治コンサルタントを務めるカール・アイゼルバーグ氏の「Monitor」も定期送付してもらっている。

 本来、いずれも高額な購読料を支払うべきであるが、零細事務所を運営するジャーナリストに免じて贈呈扱いになっている。

 さて、直近の「OBSERVATORY VIEW」(6月9日付)に斎藤氏が寄稿した「日本公衆衛生政策―コロナ、政治、ジャパン・パラドックス」は日本のコロナ禍対策を分析した秀逸のレポートである。

 同レポート冒頭の長文リードは次のように始まっている。

 <コロナに関して市場は以下を確認したがっている:(1)金融政策によって確実な信用フローが維持される、(2)財政政策が蒸発した需要を穴埋めする、(3)コロナを封じ込め、経済活動を再開する、この三つだが、現在(3)が最大の不透明要素だ。我々は感染症そのものについては何の付加価値も生み出せない。しかし感染症研究に基づいているとしても、公衆衛生政策は最終的に政治判断である。>

日本はその成功例の先駆けと言える

 途中のパラグラフを割愛して、リードの最後を紹介する。

 <日本は(感染症学分野で)主流派の予言を忠実に守らなかったことから、強い批判に晒されてきたが、その(新型コロナウイルス感染者の)死亡率は0.73と相対的に成功した国の一つだ。そして将来、日本のように政治的な裁量判断を多用する国が増え、社会の様々な側面(=公衆衛生危機、経済コスト、個人の自由とプライバシーに対する懸念など)を政治指導者の政治資本の範囲の中で考えるようになるだろう。日本はその成功例の先駆けと言える。>

 レポートの見出しにある「ジャパン・パラドックス」とは、まさに我が国の政治指導者、即ち安倍晋三首相がコロナ危機当初、感染症学の専門家の助言よりも独自の裁量判断を重視するアプローチを追求し、国内外の専門家やコメンテーターから批判されていたが、様々な側面のバランスをどう取るのかと、政治資本の中で考えて優先順位を付けてきたのでコロナ感染者数と死亡者数の低さを得たことを指す。

 日本は、韓国や台湾のように個人の自由とプライバシーの侵害の懸念よりもデジタル追跡ツールの使用を優先させ、且つ広範なPCR検査や感染者隔離のために民間施設徴用などが実施できなかった。それ故に、声高に日本のコロナ禍対策は間違っていると断じられたのである。

 だがしかし、人口密度が高い大都市圏を抱えるだけでなく、約1億3000万人もの人々が米モンタナ州と同程度の広さの国土に住んでおり、しかも最も高齢化が進んでいる社会である日本の死亡率0.73は韓国(0.53)より若干高く、ドイツ(10.48)を大幅に下回っているのだ。

PCR検査の優先順位が低くなるのは不可避

 斎藤氏の指摘はこうだ。確かにラッキーな面があったかも知れない。しかし、日本のアプローチの起点は「限られた能力でできるだけ多くの命を救うために医療崩壊だけは回避しなければならない」ということであり、そこから全ての優先順位付けを行ったと言う。

 換言すれば、戦術的優先事項(1)クラスター(感染者集団)を最小限に抑え、(2)一定の症状(持病を含む)を持つ患者を優先的に治療する、の2つであった。であるならば、PCR検査の優先順位は低くなるのは不可避というのである。

 斎藤氏の数多い指摘の中でも得心した件があった。<日本は先端医学の分野では決して米国と比肩することは出来ないと考えている。しかし感染症との闘いは結局、トップレベルの「ベスト・アンド・ブライテスト」ではなく、現場の名もない一兵卒の頑張りにかかっている。>

 同氏が言う「現場の名もない一兵卒」とは、各地の保健所に監視と追跡のプロを含む様々な医療専門家で構成される現場の実行部隊であり、彼らがクラスターの特定と感染経路を愚直に追跡した影のヒーローであると讃えている。

 そうであっても、コロナウイルスの「第2波」「第3波」は必ず襲来する。そのためにはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を含めて一連の相対的な成功体験に満足するのではなく、感染症対策の最新技術や医療システムを導入すべきだ。支給するマスクの数やPCR検査件数を競うのではない。いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも、それは必要である。

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2020年6月13日 (土)

【特別読み物】キラー・カーン✍「アンドレ・ザ・ジャイアント」を語る

キラーカーン、人気絶頂期にプロレス引退…8千万円を積まれても、現役復帰を拒んだワケ

テレ朝POST 2020年6月13日(土)7時31分配信

髪の毛を伸ばして、真んなかだけを残して剃った辮髪(べんぱつ)スタイル、口ひげ、モンゴル帽スタイルで「蒙古の怪人」や「闘うモンゴリアン」と称されたキラーカンさん。身長192cm、140kgの巨体で繰り出す大技で観客を魅了し、メキシコ、アメリカ、カナダなど海外でも大活躍。

そして、1981年5月、米ニューヨーク州ロチェスターで行われたアンドレ・ザ・ジャイアント戦で、フライングニードロップを見舞って骨折させ、「アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折った男」として広くその名を知られることに。

プロレスは海外ではなめられたら終わり、ピストルを向けられたことも…

観客やプロモーターに認められると、どんどん上がって行くが、ダメになると、すぐに切られるという厳しいアメリカのプロレス界で、8年半、メーンエベンターとして活躍。アンドレ・ザ・ジャイアント、ジャック・ブリスコ、ダスティ・ローデス、ハルク・ホーガンなど、当時の全米トップレスラーと激戦を展開し、国際的な成功を収めていく。

-おからだも大きいですし、キラーカンさんは、ずっと外国人レスラーだと思っていました-

「そう思っていた人が多いですけど、新潟県出身の日本人です(笑)。メキシコでモンゴル人の悪役レスラーとしてやった後、カール・ゴッチさんが声をかけてくれてアメリカに移ることになって。

そのときに“チンギスハーン”をもじって、“キラー・カーン”にすると言われたんだけど、俺もいい名前だなって思った(笑)。

アメリカは厳しいですよ。メーンエベンターになっても、お客さんを入れられなかったら、すぐに落とされちゃうからね。日本とは全然違う。

日本は会社が外国人レスラーでも何でも契約して呼んでくるから、日本人レスラーを持ち上げるしかないわけよ。ゴマすったりしてさ。

でも、アメリカの場合は会社組織じゃなく、レスラーとプロモーターの契約だからね。足の引っ張り合いなんですよ」

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-かなり危険な目にも遭ったそうですね-

「お客さんからカミソリで足を切られたり、ピストルを向けられたこともあったけど、プロレスラーとして本物と認められた証拠だからね。

それに素人が名指しで挑戦してくるんですよ。『首が折れようが、足が折れようが、一切責任を負わないという書類にサインしろ』って言ったら、みんなだいたいやめるんだけど、ジョージア州のアトランタでマサ斎藤さんに挑戦してきたヤツがいてね。

挑戦してくる人間は、名もない二流レスラーに勝ったとしても、何の意味もないわけですよ。やっぱり上の人間に挑戦してアメリカンドリームで、『マサ斎藤に勝った男』ということで、自分もプロレスラーになりたいわけですよ。

俺もそのときちょうど試合だったからね。マサさんが『やってやる。絶対に負けないからな、小澤見ておけ』って言って、メタメタにやって、そいつは逃げて行った(笑)。

俺も2回挑戦されて1回は、契約書に『サインしろ』って言うから逃げたんだけど、もう1回は、俺をものすごく可愛がってくれたサンアントニオ・テキサスのプロモーター、タリー・ブランチャードに言われたから、やらないわけにはいかなくてね。俺を名指しで『キラー・カーンとやりたい』って来たというから、やるしかない。

リングのところにカメラマンもみんないてね。俺に挑戦してきたヤツは、からだは大きいけどアマチュアレスラーだったの。アマチュアレスラーは怖くない。別に。

アマチュアレスリングは、背中がつけば終わりだけど、俺らは背中なんてついたって関係ないから。下になっても、腕でも足でも足首でも顔でも、何でもあれば関節技をきめちゃうからね。それで関節技をきめてやったら、ギブアップして逃げて行っちゃった(笑)」

-どんな人が挑戦してくるかがわからないわけですから怖いですよね-

「うん。それがアメリカっていう国は、電報のごとく、パパパッてレスラーの間には伝わるんですよ。『キラー・カーンはすごいよ』って。

『この間、アマチュアのレスリングか何かやってたヤツで、すごいからだの素人が挑戦したんだけど、キラー・カーンがやっつけたよ』って、バーッと伝わるんです。そうしたら、みんなが尊敬するんですよ。

尊敬されても天狗になったりしたらダメ。天狗にならないで、メーンエベントの地位をもらえば、必ずお客さんを満員にする。お客さんを満員にしないといけない。

俺がメーンエベントでやって、お客さんを入れられなかったら、『なんだ、キラー・カーン、お前がメーンエベントやってもお客が入らないじゃないか』って容赦なく落とされるんです。

俺の試合は連日満員で、ヒール(悪玉)でもすごい歓声で迎えられた。リングに向かうときの観客のブーイングは、メーンエベントをやった人間しか味わえない快感だね。今でも忘れられないよ」

「アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折った男」に

一歩間違えたらケガをしたり、命を落とす危険もあるプロレスでは、相手が技を仕掛けてきたら、真正面から受けるのが一流のレスラーだという。

「技を仕掛けてきたとき、変に逃げたらケガをする場合があるからね。技を受けられるように鍛えておかないといけない。相手を活かして自分も輝く。信頼関係がないと成り立たない。

試合を作るのはヒールなんです。ヒールが悪ければ悪いほどお客が盛り上がる。だからベビーフェース(善玉)よりヒールのほうが、やりがいがあるんですよ。

俺は悪く見える顔も研究しましたよ。寝る前に鏡を見て、嫌われる顔を色々研究していたからね。前に『キラー・カーンは、あの顔だからアメリカでメーンエベントが取れたんだ』って言った全日本プロレスのレスラーがいたんですよ。

もう亡くなったレスラーだけど、冗談じゃないよ。プロレスも顔もものすごい練習したんだからさ」

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-キラーカンさんは、「アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折った男」としても有名ですが-

「アンドレはね、プロレスラーとして天才のなかの天才ですね。それで、アンドレはプロレスがどういうものなのかということを、全部知っているわけですよ。

まず、足の話ですけど、あれはアクシデントで、実際には骨折ではなくてヒビだったんです。トップロープからのフライングニードロップがアンドレの足首に当たっちゃったんですよね。

アンドレは英雄でしたからね。そのアンドレにケガをさせたということでお客さんはものすごく熱くなっているから、これはまずいということになって

レフリーも『帰れ』って言うし、同じマンションに住んでいたカート・ヘニングが、『俺が荷物をもって行ってやるから、お客に囲まれる前にはやく帰ったほうがいい』って言うので、控室に戻って車のキーだけ取って駐車場に行って、自分の車で帰ったんです。

当時は2週間に1度、テレビマッチがあったんです。テレビで試合を放送するんですけど、俺が試合で相手選手をめちゃくちゃにやっつけた後、カメラに向かって『お前もこうしてやる!』って挑発するんですよ。そうすると、お客さんはますます熱くなる。

それで、アンドレがインタビューを受けたとき、『キラー・カーン、俺が退院してカムバックしたら、お前を半殺しにしてやる』って言ったんですよ。

それを聞いて、うちの女房も女房の両親も、『すぐプロレスをやめさせたほうがいい。殺される』って言ったんですけど、観客はみんな熱くなって、試合を見に会場に行くわけですよ。

それでアンドレが松葉杖を付いて会場に来たとき、俺がそのアンドレをまた痛めつける。それがテレビで放送されると、また観客が熱くなって盛り上がるというわけ。

でも、プロレスは相手にケガをさせてはいけないんですよ。だから、俺はアンドレにケガをさせてしまったことを本当に申し訳ないと思っていたんです。

それでアンドレが退院したとき、マネジャーのフレッド・ブラッシーが『キラー・カーンが申し訳なかった』って俺の代わりに謝りに行ってくれたんですよ。

そうしたらアンドレはワーッて笑って、『ケガはアクシデントだからやむを得ない、こんな商売は。その代わり、俺が治ったときは、2人で逆に金儲けしようよ』って言ってたって。

『アンドレがそう言っていたよ』って聞いたとき、『ワーッ、アンドレはなんていいヤツなんだ』って思った。それで、『因縁の試合』ということでアンドレとやってね。観客もすごい盛り上がって、アンドレと俺の試合は、全米各地でドル箱カードになったよ(笑)。

アンドレはリングに上がれば、天才ですよ。相手をちゃんともち上げるしね。相手の良いところを活かしてくれる本当に素晴らしい選手だったですよ。

俺が日本のプロレス界が嫌になってプロレス界をやめたでしょう?金を借りて店を出したとき、あるプロレス関係の人が来て、『アンドレが亡くなった』って聞いて、もう涙が出て止まらなかったです。

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そのときは一人で朝まで飲み明かしたんですけどね。それから少ししてプロレス関係の人が来て、アンドレが俺のことをキラー・カーンとは言わなくて、『小澤は店をやっているのか。言うなよ。今度俺が日本に行ったとき、小澤の店に連れて行けよ。驚かすから』って言っていたって聞いたとき、涙が出ましたよ。俺の店に来てくれるって言ってたって聞いて」

人気絶頂で突然プロレス界から引退、嫌気がさして…

1987年11月末、ニュージャージーで行われたジョージ・スティール戦を最後に、キラーカンさんは、突然プロレス界を引退してしまう。

「俺は日本のプロレス界が大嫌いなんだよ。引退して30年以上経つけど、復帰したいと思ったことは一度もないですよ。

会社に造反して新会社を作ったあげく、悪口を言いまくっていた元の会社に戻ったり、『引退する』って言って引退試合をやってご祝儀を集めたのに、また復帰したりとか、そういうのが俺は絶対に許せないんだよね。

それでもう嫌気がさしちゃってやめることにしたんだけど、やめるときすごかったんですよ。

WWF(アメリカのプロレス団体)の代表のビンス・マクマホンが、『今、ユーはハルク・ホーガンと試合をやって、お客さんが一番ヒートしているときだ。

うちの会社としても、ユーは絶対に大事なんだ。日本のトラブル、アメリカのトラブル、すべて俺が解決してやるからアメリカに残れ』って言ったんだけど、『ノーモアサンキュー』って言って、そのあとはもうすごかったですよ。

ハルク・ホーガンとやるはずだったんだけど、ジョージ “ジ・アニマル” スティールと試合をやって、めちゃくちゃやって反則負けになって、それでもうフロリダに帰って来たんです。

そのときは『俺のプロレス人生も終わりだ』って思って寂しかったですね。

それでフロリダに帰ってきたとき、もう女房が泣きわめいて大変でした。子どもが3人いて、一番下の子はまだ乳飲み子だったし、預金もない。『どうやって食わせるんだ?』ってなったんですよね。でも、『俺はもう絶対に戻らないから』って言って。

『俺はアメリカにいても仕事がないから日本に帰る』って言って日本に帰って来て、弟のアパートに転がり込んで、弟に金を借りてメシを食っていたんですよ。

俺が日本に帰った後、女房は、フロリダの家にハルク・ホーガンとか、ゴリラ・モンスーンとか、パット・パターソンとか、いろんなレスラーやプロモーターから『お前の旦那を戻せ』って言われたみたいだけど、『うちの人はもう日本に帰っていない』って言って」

ヒールとして大人気だったキラーカンさんは、日本のプロレス界にとっても欲しい存在だった。目の前に大金を積まれて口説かれたこともあったという。

「天龍(源一郎)さんから目の前に8千万円積まれて、それに6千万円のマンションを買ってくれるって言われたんです。それだけテレビは俺を必要だということだと思うんですよ。

でも、それをもらっていたら、今頃自分はいないですよ。ホームレスになっていたと思います。

だって、あれだけとめられて、一番大事なときに自分が無理やりやめたのに、その金をもらってリングに上がってやっていたら、ビンス・マクマホンが怒って、裁判沙汰にしますよ。

ビンス・マクマホンなんてトランプ大統領と同じくらい金持ちですからね。それで裁判沙汰にされたら、俺がアメリカの家を売ろうが何しようが、勝てるわけないですよ。

そうなったら、もううちの家族、俺の家族だけじゃなくて兄貴や弟の家族までみんな何もなくなっていますよ。下手したらアメリカの刑務所に入れられていますからね。だから、俺はあのとき断って良かったと思っていますよ」

プロレス界を引退したキラーカンさんは「スナック カンちゃん」をはじめ、現在は新宿区百人町で「キラーカンの店 居酒屋カンちゃん」を経営。プロレスラーやプロレスファンも多く訪れるという。次回後編では、最初にはじめたスナックの常連客だった尾崎豊さんとの思い出、故・立川談志師匠とのエピソードを紹介。(津島令子)

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※「キラーカンの店 居酒屋カンちゃん」
TEL 03-5285-1115
東京都新宿区百人町1丁目6-14-1F
定休日:毎週日曜日 祝日

キラーカーン、相撲部屋を“夜逃げ”してレスラーに…米国で活躍後、栃錦親方の“ある言葉”に涙

テレ朝POST 2020年6月10日(水)7時32分配信

1980年代にモンゴル人の悪役レスラー“蒙古の怪人”として国内だけでなく、メキシコ、アメリカ、カナダなど海外でも広く知られ、アメリカでは人気・実績ナンバーワンの日本人レスラーとなったキラーカン(現役時代の呼称はキラー・カーン)さん。

辮髪、口ひげ、モンゴル帽スタイルで196cmの巨体から繰り出されるモンゴリアンチョップやトップロープからのダイビング・ダブル・ニー・ドロップで大ブレーク。2m23cm、236kgの巨人レスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折った男としても知られているが、人気絶頂だった1987年、プロレス界から引退。現在は、東京・新宿で「キラーカンの店 居酒屋カンちゃん」を経営。故・立川談志師匠のお墨付きの美声の持ち主でもあるキラーカンさんにインタビュー。

新型コロナウイルスの影響で大打撃

JR新大久保駅から徒歩1分のところにある「居酒屋カンちゃん」は、キラーカンさんにとって9軒目となるお店。1989年に最初にお店をはじめてから31年、壁にはアンドレ・ザ・ジャイアントをはじめ、多くのプロレスラーの写真やポスターが貼られ、プロレスファンも多く訪れるという。

「31年も店をやっていれば色々なことがありますよ。移転を繰り返しながら頑張ってきたけど、今回のコロナほどひどい落ち込みははじめて。

最初にコロナのニュースが出はじめた頃は、ほとんど影響がなかったんですよ。でも、2月29日(土)の安倍首相の(一斉休校)会見以来、お客さんが減って、4月7日(火)の緊急事態宣言でもうダメ。

それでも、都の要請を遵守して、ラストオーダーを19時、閉店は20時でやっていたんだけど、本来は24時までやっている店だからね。営業時間が半分でしょう?それにお客さんもあまり飲みに出なくなったしね。今度は休業要請になったから休業して。

店を閉めていても家賃や光熱費の支払いとか、板さんたちの給料もあるし、泣きたくなりますよ。

でも、おいらなんかはまだマシなほうですよ。店が開けられないって、イラっとするくらいだけど、医療関係者の人たちはくらべものにならないくらい大変だもん。

毎日、自分も感染するかもしれないという危険を抱えながら、一生懸命コロナと戦ってくれているわけだからね。頭がさがりますよ。あの人たちに比べたらおいらなんて全然ですよ。

緊急事態宣言が解除になったしね。店は40人お客さんが入れるんだけど、10人ぐらいにして、ウイルス対策をしながらやっていこうと思っています」

※キラー・カーン プロフィル

本名:小澤正志。1947年3月6日生まれ。新潟県西蒲原郡吉田町(現・燕市)出身。1963年、16歳のときに春日野部屋に入門するが、1970年に廃業。71年、日本プロレスに入門。73年、新日本プロレスに移籍。77年からは海外武者修行でメキシコへ。モンゴル人の悪役レスラーとして注目を集め、キラー・カーンと改名。辮髪、口ひげ、モンゴル帽スタイルで大ブレークし、国際的な成功を収める。美声の持ち主として知られ、故・立川談志師匠の仲介で三橋美智也さんの門下に。1987年、プロレス界から引退。現在「キラーカンの店 居酒屋カンちゃん」を経営し、歌手としても活躍。5月8日には3枚目となるシングルCD『カンちゃんの人情酒場/カンちゃんののれん酒』が発売された。

相撲部屋から夜逃げ…親方の優しさに涙

キラーカンさんは、高校を1年で中退し、恵まれた体格を活かすべく、春日野部屋に入門。1963年3月場所にて「小澤正志」という名で初土俵を踏むことに。

「背がでかくて相撲やプロレスが好きだったんですけど、からだが細くて骨と皮だったんですよ。たまたま自分の知り合いが、春日野親方、先々代の栃若時代の栃錦(春日野)親方の知り合いで、俺のことを『ちょっとデカい、いいのがいる』って言ったみたいでね。

自分も勉強があまり好きな方じゃなかったし、大きいからだももらったんだから、やってみようかなって思って、春日野部屋に入門したんです」

-お母様もお相撲がお好きだったそうですね-

「そう。おふくろが偶然、栃錦親方のファンでね。栃錦親方の春日野部屋だったらいいということでね。上野までおふくろと一緒に汽車に乗って来たら、春日野部屋のお相撲さんがまっていてくれてね。

部屋に行って親方にあいさつしたのを覚えていますよ。本当にいい親方でね。栃錦親方みたいないい親方はいないんじゃないですかね。

夜、俺たちみんなが布団を蹴飛ばして寝ているでしょう?そうしたら、夜中の12時半くらいに親方が懐中電灯をつけて回ってきて、全部布団をかけてやるんですよね。

それで、あの頃下っ端は4時頃には起きて4時半くらいから稽古場におりないといけないんですよ。俺が4時半におりていったら、親方がもう土俵の火鉢のところにあぐらをかいて座っているんですよ。

『親方は何時間寝ているんだろう?』って思いましたね。栃錦親方は本当にすばらしい方でした」

-お相撲をはじめたときにはどうだったのですか?-

「とにかく細かったんですよ。身長が186cmぐらいで体重は90kgあるかないか。

骨と皮ですよ。だからまわしを締めると、肉がないから腰骨にまわしが直接当たって痛かったんです。『気をつけ』ってやったら、腹を引っ込めなくても、まわしと腹の間に指が4本入るくらい痩せていましたからね。紙を畳んで腰骨にあてていました。

でも、やっぱりガンガン食べて運動したら、だんだん大きくなっていきましたけどね。

それで、たまたま俺がケガをして、整形外科に行ったとき、現在俺が一番尊敬している北沢(幹之)さんという、元レスラーの方が来ていて『背も高いんだし、プロレスラーになってみたらいいんじゃない?私が紹介してあげるから』って言われたんです。

それで、親方に『辞めさせてください』って言ったんだけど、辞めさせてもらえなかったから、夜逃げしたんですよ。

でも、夜逃げしたはいいけど、まだ腰が悪かったし、食べるものもないから、友だちのところに行って病院通いをして。完全によくなってから北沢さんに電話をいれて、代官山の駅で待ち合わせして『日本プロレス』の事務所に連れて行ってもらいました。

そこに幹部の人がみんないて、『上半身裸になれ』って言われたから上半身裸になったら、『大きくなりそうだな』って。それで、『病院に行って、どこも悪いところがないという診断書をもらって来い』って言われて、見習生、テスト生ですよね」

-いくつのときだったのですか-

「22でした。それでテスト生を4、5か月やって、23でデビューしたわけです」

-春日野部屋のほうは、夜逃げしたままですか?-

「しばらくはそのままだったんですけど、キラー・カーンになってアメリカである程度活躍して日本に帰って来たとき、春日野部屋の親方の奥さんが、何日か前に亡くなったということを聞いて、それですぐに親方のところにあいさつに行きました。

そのときに俺は幕下以下の力士が入る入口から入ったんですけど、栃錦親方が、『小澤、お前は今度から正面から入って来い』って言ってくれてね。

それで線香をあげさせてもらったら、親方が喜んでくれて、体重を聞かれたから『140kg近くあります』って言ったら、『相撲のときに何で太らなかったんだ?お前は太っておけば、幕内とか三役に上がれるものを持っていたよ』って。

まあ、お世辞だと思いますけどね(笑)。それで、『でも、今はキラー・カーンという名前になって、海外でも活躍してよく頑張っているなあ。けがしないで頑張れよ』って言ってくれてね。うれしくて涙が出ました」

“モンゴル人”になってメキシコへ行くことに

日本プロレスに入門したキラーカンさんは、吉村道明さんの付き人をつとめた後、坂口征ニさんの付き人をすることに。そして1972年、日本プロレスからアントニオ猪木さんが独立し、新日本プロレスを設立。翌年、坂口さんも猪木さんについていくことに。

「俺は坂口さんの付き人をしていたから、新日本に行かざるを得なかったんだよね。その頃、ジャイアント馬場さんも独立して全日本プロレスを作ったんですよ。

馬場さんはいい人だったし、同じ新潟県出身だったから、俺は、本当は馬場さんに付いて行きたかったんだよね。そうしたら、俺の人生はまったく違うものになっていたと思うけどね」

1976年、29歳のときに西ドイツの「ハノーバー・トーナメント」に出たキラーカンさんは、海外のプロモーターからも注目を集め、本格的な海外武者修行としてメキシコへ行くことに。

「『えーっ、メキシコ?あの小さい選手ばかりいるところ?』って思ったけど、会社には逆らえないしね。

そうしたら『ただし、お前日本人じゃないぞ。メキシコには、日本人選手が何人もいるけど、みんなあまり体が大きくないから、メキシコのプロモーターが、からだが大きいのが欲しいと。だからお前が行くことになったけど、お前はモンゴル人になって行け』って。

『なんでモンゴル人?』って思ったけど、会社の命令ですからね。『わかりました』って言って、それから頭の毛を伸ばして、真んなかを残して、あとは剃って辮髪にしたんですよ。

本当のモンゴル人に声をかけられたこともあるけど、参りました。わかるわけないからね(笑)。

メキシコの日本レストランの寿司バーに行ったときなんて、『すみません。このマグロとイカと』って注文したら、『日本語うまいね』って言われたから、『自分は日本人でモンゴルなんて行ったこともない』って言ったら、大笑いされましたよ(笑)」

-最初から辮髪でヒゲをと考えていたのですか?-

「そう、それをキャラクターでやろうと思って。小学校6年生ぐらいのときに、テレビがなくて隣の家にテレビを見せてもらいに行っていたんですけど、その頃は力道山さんが出ていて、興奮して見ていたんですよね。

アナウンサーが、『謎の覆面レスラーX、国籍不明なレスラー、ミスターX』って言っていて、子どもの頃、『国籍不明』という言葉にからだが震えたのを覚えていますよ。

よく考えれば国籍不明だったら、羽田空港降りて日本の国に入ってこられないですよね(笑)。

だから、今考えれば大笑いですけど、あの頃はそういうのも通用したんですね(笑)」

アメリカでトップクラスの悪役レスラーに

メキシコで武者修行をしていたキラーカンさんは、「プロレスの神様」と称され、猪木さんをはじめ、多くの日本人レスラーを指導してきたことでも知られるカール・ゴッチさんの計らいで、アメリカに渡りヒール(悪玉)としてファイトすることに。

「カール・ゴッチさんが俺のことをすごい可愛がってくれてね。メキシコからアメリカの(フロリダ州)タンパに着いたとき、迎えに来てくれたんです。

それで最初の試合をタンパでやったとき、トップロープから『ニードロップ』をやったんですよ。

俺の『ニードロップ』は、トップロープから落ちるだけじゃなくて、いったん上に高く飛び上がって急降下して相手の喉元に右膝を落とすんです。

まず、相手が逃げられないように、その前にパイルドライバーでも、何か技をかけておいて、トップロープから上にジャンプをして急降下して、右膝を相手の喉もとにやって、両足で座り込む。それをやって見せたら、エディ・グラハムさんとか、すごい人たちがみんないたんですけど、『あんな技は見たことがない。すごい』ってはじまって。

それでまた、アメリカは食べ物がうまくてね(笑)。メキシコでは水も合わなくてお腹(なか)を壊したりしたけど、アメリカは食べ物もおいしいし、食べ放題のお店もあったから、ガンガン食べて練習をバンバンしたらどんどん体が大きくなっていきましたよ」

-アメリカのお客さんはどんな感じですか?-

「ちょうど俺がアメリカに行ったとき、ヒロ・マツダさんがいて、『小澤さんね、試合をもらっても、ただリングに上がってやっているだけじゃダメなんだよ。アメリカはお前がヒール、ワルなんだから。

相手はアメリカ人で、ベビーフェイス(善玉)。見ているお客さんはベビーフェイスを応援している。ちゃんと相手を持ち上げてやって、それでお前も持ち上げてもらって、良い試合をやらないとダメだよ』って。

とにかく迫力をつけろって。デカくたって、迫力がなかったら、『なんだ、ウドの大木か?』ってことになる。だから、『とにかく迫力をつけろ。それで、トップロープからニードロップ、あれは最高だから』って言ってくれて。

お客を入れられなかったら日本と違ってすぐにメーンエベントから外されて、前座をもらえたら、まだ少しはメシ食っていけるけど、前座ももらえなくなる。

だからとにかく、上に上がったら上がったで、日本と違って責任があるからね、だから絶対に、一生懸命練習して、試合も迫力をつけて、お客さんに気に入られるようにならないとダメだということを言ってくれて。あれがやっぱり俺には良かったんですね」

大きなからだから繰り出される迫力の技で多くのファンを魅了し、トップクラスのヒールとして注目を集めた“キラー・カーン”は、タンパ、フロリダ、ジョージア、ルイジアナ…アメリカ各地でメーンエベンターとして欠かせない存在になっていく。

次回はアンドレ・ザ・ジャイアントの足を折った男として知られることになった試合、プロレス界からの引退についても紹介。(津島令子)

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2020年6月12日 (金)

【緊急事態宣言】本日午前0時<東京アラート>解除✍「休業要請緩和」へ

 東京アラート解除、休業要請「ステップ」に移行 小池百合子都知事「今後は自衛の時代 

スポーツ報知 2020年6月12日(金)7時00分配信

 東京都は11日、新型コロナウイルスの感染再拡大へ警戒を呼び掛ける「東京アラート」を解除し、12日午前0時から、休業要請などの緩和を「ステップ3」へ移行すると発表した。カラオケ店やパチンコ店などが緩和対象となり、飲食店は午前0時まで営業が可能となる。「ステップ3」対象外のバーなどの接待を伴う飲食店やライブハウスについては、県またぎの移動自粛が解除となる19日から営業可能となり、都による休業要請は“全面解除”される。

 都は11日夜、新型コロナ対策本部会議を開き、アラートの解除と、12日から緩和措置を「ステップ3」へ進めることを決定した。休業緩和などの基準を示す「モニタリング指標」で、「1日当たりの新規陽性者が20人未満」(直近7日間平均)など、アラート発動の目安を全て下回ったため。「ステップ3」では、テーマパークやカラオケ店、漫画喫茶などが緩和対象となる。

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 飲食店では、これまで午後10時までだった営業や酒類の提供時間が「ステップ3」では午前0時に延長される。さらに、19日から飲食店や屋形船などで営業時間短縮の要請を終了し、午前0時以降も飲食や酒類の提供が可能になる。

 一部施設を除き、4月11日から約2か月続いた都による休業要請が「全面解除」を迎える。「ステップ3」で緩和対象外となっているバーやスナックなど接待を伴う飲食店やライブハウス、性風俗店についても、政府の方針に準じて19日から営業再開を認める。

 小池百合子都知事は、「ステップの移行により、ほぼ全ての施設への休業要請を終了し、『ウィズ・コロナ』生活も新たなステージへ進む」とし、「これまでは『自粛』のお願いばかりしてきたが、今後は『自衛』の時代だ」と述べ、手洗いやマスク着用の徹底などを都民に呼び掛けた。

 ただ、夜の繁華街の感染が広がる中での休業要請の全面解除は、“見切り発車”の感は否めない。都内では11日、新型コロナウイルスの感染者が新たに22人確認され、5日ぶりに1日当たりの新規感染者が20人を超えた。アラートが発令された翌3~11日に都が確認した感染者165人のうち、「夜の街」関連は59人で約3割を占める。

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 都の担当者は、19日に営業再開となる接待を伴う飲食店などについては、「今週中に政府が業界団体と調整を行い、ガイドラインが策定される」と説明し、感染対策の徹底を求めていくとしている。今後も新規感染者数などのモニタリングを継続し感染が再拡大した場合などは、警戒を呼び掛ける方針だ。

 都は、「東京アラート」が9日ぶりに解除されたことを受け、都民に警戒を促すため赤色に点灯していたお台場のレインボーブリッジや都庁舎を、11日午後11時から七色に切り替えた。

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 13日から、群馬県 警戒レベル に引き下げ 

産経新聞 2020年6月12日(金)7時55分配信

 県は11日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、感染状況が沈静化したとして、13日に県独自の警戒レベルを「2」(大幅な緩和)から最も低い「1」(限定的な制限)へ引き下げることを決めた。大半の制限が撤廃される。今後は3密(密閉・密集・密接)回避など「新しい生活様式」を定着させながら、社会経済活動が正常化する見通しだ。(柳原一哉)

 県は、緊急事態宣言の対象区域の全国拡大を受け、4月18日に幅広い業種の店舗や施設に休業を要請。警戒レベルを最も高い「4」(大幅な制限)とした。

 その後は段階的に緩和し、今回、直近2週間の新規感染者数が2人にとどまり、地理的に近い東京都が感染再拡大への警戒呼びかけで発令している「東京アラート」が解除される見通しとなったことを踏まえ引き下げを決めた。

 山本一太知事は11日の定例会見で「今後はコロナを管理しつつ社会経済活動を行う新常態(ニューノーマル)を実践していく」と述べた。一方で、感染状況への注視は続け、再燃すれば迅速に警戒レベルを引き上げる方針も示した。

 「1」では、分散登校している学校が徐々に通常登校に戻り、部活動もできるようになる。病院や高齢者施設などでは面会が認められ、東京など5都道県への不要不急の往来の制限は19日以降に撤廃される。

 県は警戒レベルの緩和に伴い、7月末まで県内の観光業を支援する「愛郷ぐんまプロジェクト 泊まって! 応援キャンペーン」を展開する。

 県民を対象に、1人当たりの宿泊料が1泊6千円(税別)以上なら5千円割り引き、1回で3連泊まで利用できる。既に2万5千人泊(10日時点)の予約が入るなど滑り出しは好調だという。

 山本知事は自らも草津温泉(草津町)などを視察したと明かした上で、「観光地に人出が戻っているとのデータが出ており、手応えを感じている」と話した。

 コロナ前りたいと思うか仕事家族…非常時に剥がされた化けの皮人間関係を見直すキッカケに… 

withnews 2020年6月12日(金)7時00分配信/真鍋厚(評論家)

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、この先何年も(ひょっとするとさらにもっと長期間にわたって)付き合わざるを得ない「日常風景」になりそうです。一時期は、「コロナが終わったら何がしたい」といった無邪気な声も聞かれましたが、「コロナありきの社会」へと考えをあらためなければならなくなりました。これを「悪夢」ととらえるのは簡単ですが、満員電車の通勤や、意味もなく続けていた会議の日々が「天国」だったのか、冷静に考え直す動きもあらわれはじめています。人間関係を「見切る」「差し引く」きっかけとしてのコロナについて考えます。

リトマス試験紙だったコロナ禍

 コロナ禍によって暴かれたのは、良くも悪くもそれまでの人間関係でした。特に緊急事態宣言以降、わたしたちは身近な人々の言動に激しい怒りを感じたり、呆れ返ったりすることが明らかに増えたはずです。あえて辛辣な例え方をすれば、動物を用いた悪趣味な心理テストのように、家族や職場などの人間関係というものが、特定のストレスによってどう変化を遂げるかが試されたわけです。

 テレワークに移行した途端、職場の上司や同僚と直接話す機会が減り、ひどく不安になった人々、驚くほど快適になった人々。家で過ごすことが多くなり家族との絆が深まった人々、かえって家族とのいさかいが起こりDVや離婚に至った人々。困った時に周りに相談したり助けを求められる仲間がいることに気付いた人々、いないことに気付いて愕然としてしまった人々……枚挙に暇がありません。

 いわばコロナ禍は「人間性を判定するリトマス試験紙」であったのです。コロナ以前であれば誤魔化すことができていた「不都合な真実」が次々と露見していきました。

平常時から薄々、感じていたこと

「感染症から社員を守る気がない経営者」「部下を監視することに熱中して仕事をしていない上司」「子育てや家事に協力的ではないパートナー」等々、恐らく大部分の人々は平常時から薄々感じていたことばかりだったのではないでしょうか。

 しかし、それを軌道修正するにはあまりにも時間と労力を要することを理由に、問題と真正面から向き合うことをせずに先送りにしていたのです。

 けれども、緊急事態宣言が発令され、感染者の増加と有名人の訃報、重症化のリスクと死の恐怖が様々なメディアによって拡散され、政府の無策と失態による経済的な被害が着実に拡大していく中で、誰も彼もが多かれ少なかれ「人間性の危機」に対処する必要に迫られました。

突き刺さるフランクルの箴言

 コロナ禍によってテレワークなどの働き方が加速したといわれていますが、人間関係でも「見切る」「差し引く」考え方が加速したことは否めません。過去を振り返ってみると、このような局面は3.11でも生じていました。

 ナチスの強制収容所の生き証人で、実存分析(ロゴセラピー)の創始者であるV・E・フランクルは、「すべては、その人がどういう人間であるかにかかっている」と述べました。

 第二次世界大戦が終わった直後のニヒリズムや悲観主義に対する返答だったのですが、現在のコロナ禍ではなおさら痛いほど突き刺さってくる教訓とも言うべき箴言ではないでしょうか。

 フランクルは、強制収容所での有名なエピソードを取り上げます。ナチスの親衛隊員である収容所の所長が、密かに自分のポケットマネーで囚人のために薬を購入していました。他方、同じ収容所では、最年長者の囚人が、囚人仲間を「ぞっとするような仕方で」虐待していたのです。

 フランクルは、この経験を踏まえ「最後の最後まで大切だったのは、その人がどんな人間であるか『だけ』だった」と主張しました。

「人生も、健康も、幸福も……すべてが疑わしいものになり」「すべてが、裸の実存に還元され」るのだと。(以上、V・E・フランクル『それでも人生にイエスと言う』山田邦男・松田美佳訳、春秋社)。

ますます試されていく人間性

 この真理は現代においてもまったく変わるところがありません。わたしたちはコロナ禍が始まった時も、これからもますます「人間性」を試されるのです。

 そのような普遍的な視点から眺めれば、ウィズコロナ、アフターコロナの時代は案外悪いものではありません。化けの皮が剥がれやすくなったからです。

 近年、人の尊厳を保つのに必要とされる信頼関係やコミュニティといったソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の重要性に関心が注がれています。コロナ禍がそれらの再考を迫る強力な起爆剤になっている以上、既存の帰属先や関係性を見直す人々が多くなっていくことが予想されます。

 分かりやすく言えば、「人間性を疑う身近な人々と今後どう関わっていくのか」ということであり、抽象的な表現をすれば、フランクルの「裸の実存」に基づいて改めて自分自身の生き方が問われるのです。

「以前のような働き方には戻りたくない」「こんなパートナーとは付き合いきれない」などといった感慨は、「何を守るために、誰と、どう生きるのか」という大きな問題の枝葉でしかありません。

もともと遊動者だった私たち

 人類学者の西田正規は、「定住革命」について「逃げられる社会から逃げられない社会へ」というフレーズで表現しました。

 その昔、人類は「定住者」ではなく住む場所を自由に選ぶ「遊動者」として生きていました。それが劇的に変化したのはおよそ1万年前といわれています。

「ある時から人類の社会は、逃げる社会から逃げない社会へ、あるいは、逃げられる社会から逃げられない社会へと、生き方の基本戦略を大きく変えた」のです。

<霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活の伝統は、その一員として生まれた人類にもまた長く長く受け継がれた。定住することもなく、大きな社会を作ることもなく、稀薄な人口密度を維持し、したがって環境を荒廃することも汚物にまみれることもなく、人類は出現してから数百万年を生き続けてきたのである。だが、今、私たちが生きる社会は、膨大な人口をかかえながら、不快であったとしても、危険が近づいたとしても、頑として逃げ出そうとはしないかのようである。生きるためにこそ逃げる遊動者の知恵は、この社会ではもはや顧みられることもない。――西田正規『人類史のなかの定住革命』講談社学術文庫>

自分を不幸にする基本戦略

 地震や噴火、津波や大洪水といった自然災害を、「遊動者」は身軽に移動することでかわす術を心得ていましたが、わたしたちは「定住」という言葉が示す通りあくまで留まろうとしてしまいます。

 これは物理的にというより心理的にです。住居というストックが象徴的ですが、所有という概念に根差した固定的な社会があるからです。

 関係性に対するスタンスもこの傾向に半ば惰性で引きずられ、非常時においてもこの「基本戦略」を忠実に遂行しようとして不幸になっているのです。

「不快であったとしても、危険が近づいたとしても」、「人間性を疑う」カルチャーが支配する関係性を守ることを選んでしまうのです。損して得を取れ――自分らしい生き方を犠牲にしたり、ストレスを感じる相手と過ごさざる得ない中で尊厳は損なわれるが、他者の目から見ればまんざらではない生活を過ごす見返りは得られる――というわけです。

今の世界を愛せるきっかけに

 当たり前ですが、わたしたちは気まぐれに「遊動者」へと先祖返りするようなことはできません。そのような社会はほとんど存在しないからです。

 とはいえ、「遊動者の知恵」から学ぶことはできます。

 今日的な「遊動者の知恵」とは、「裸の実存」を物事の判断の中核に据えて、尊厳が損なわれかねない場所から、実りのない関係性から、素早く距離を取ったり、軽くいなしてしまうフットワークのことです。冒険を恐れずに新しい仕事や新しいつながりを作ることだってそうです。

「わたしたちはもう元の世界には戻れない」――SF小説の台詞のように聞こえるかもしれませんが、これがウィズコロナののっぴきならない現実なのです。

 ならば、わたしたちはむしろ、「元の世界」に満ち満ちていた不正や欺瞞が自ずから露呈する「今の世界」こそ愛さなければならないのではないでしょうか。

 コロナ禍元カレが出てくる 急増、その意味を分析。

VOGUE 2020年6月8日(月)20時43分配信

 シングルの人、あるいは恋人や家族がいる人でも、かつての恋人の夢を見るという多くの報告があった。果たしてその夢が意味するものとは? 明晰夢を研究する科学者たちが原因を分析する。

 元カレや元カノにばったり出くわしたくない── たとえ夢の中であっても! しかし、新型コロナウイルスによる自粛期間中、ふとした瞬間に過去の恋人のことを思い出していないだろうか? 国際夢研究協会(IASD)のメンバーであり、ドリームアナリストのローリ・ロウエンバーグは、「自由な時間が増えたことで、人々は自身のことや今までの人間関係について振り返り、深く考え、過去に浸る傾向があります。昔の恋人の夢はこの延長線で浮かび上がる出来事で、特に現在、恋人がいない人によく見られます」と分析する。

 ソーシャルマーケティングにまつわるリサーチを行うAGY47社が実施した調査によると、「元カレ・元カノ×夢」にまつわる検索が、イギリスやアメリカでのロックダウンが3月に始まって以来、昨年の同時期と比べて2450%もの伸びを示している。

「現在は交流が制限され、恋人を探すのが困難です。そのため、無意識のうちに以前のパートナーを振り返ってしまうのです。これは寂しさを埋めるためだけでなく、元恋人のどこが好きで、どこが嫌いだったかを分析するため。いざステイホーム期間が終わったら、自分に合った相手を見つけられるように脳が準備をしているのです」

恋人や婚姻関係にあっても、過去の恋愛が夢に出現。

 しかし、パートナーがいても過去の恋愛を思い出してしまう人の場合はどうだろう。

「恋人がいる人は、2人で過ごす時間がかなり増えているはずです。四六時中ともに過ごしてしまうと、どうしても相手のマイナス面や魅力的でない側面が明るみに。すると、無意識のうちに脳が現在の相手と元恋人の性格や欠点を比べ始めるのです。過去の恋人から“アップグレード”したのか。あるいは、相手が違うだけで過去の失敗例とまったく同じパターンを繰り返しているのか、見分けがつくようになるのです」

 明晰夢を研究する科学者で「Why We Dream: The Transformative Power of Our Nightly Journey(原題)」の著者であるアリス・ロブは、夢が現在の恋愛模様を表している場合もあるが、単に思い耽る時間が増えたために過去の人(元恋人を含め)が登場しているのでは、という見解をあらわにした。

「日中に考えることが夢に反映される場合が多い。ロックダウン中は過去について考えることが多いからこそ、夢にも昔のパートナーや友達が出てきやすいでしょう。また、このような状況下では目覚めた後も夢を覚えていることが増えています。この自粛期間の前にも元恋人のことを夢見ているかもしれませんが、単にその夢を忘れているとも考えられます」

今の生活に情熱を、という暗示!?

 ドリームアナリストのローリ・ロウエンバーグは、このパンデミック以前も多くの人が元恋人の夢を見た経験があると話す。

「中でも、初恋の人や最も情熱的だったパートナーといった、思い出深い相手が夢に登場するケースが多いです。シングル期間が長引いた時や、現在の恋人関係がマンネリ化してきた時に過去の恋人たちが夢の中に現れ、それは今の生活に情熱を取り戻すべきだという、脳からの暗示なのです」

 次に登場しやすいのが、傷つけられたり、苦い思いをして別れた元恋人だという。

「彼らによって味わった経験や感情が今の状況と重なることがあるとしましょう。拒絶された、信頼を失った、という思いを感じている場合は、過去に傷つけられた恋人が夢に現れることがあります。それは、当時の気持ちをまだ手放せずにいたり、あるいは完全に癒されていないことを示しています。心の傷は身体の傷と同じように、十分な時間とケアが必要です」

 多くの人は、夢が深層心理を明るみにしたり今後の人生のヒントがあるなど、睡眠中に繰り広げられるストーリーに意味を求めたがる。明晰夢を研究するアリスは、感情的な思いが夢の中で壮大に展開されることで、実生活でその複雑な思いや経験を受け入れやすくなると語る。

「悲嘆、トラウマ、別れetc......。こういった感情を揺さぶる経験が夢に大きく影響を与えます。たとえ、夢の内容が辛いものであっても、その経験に向き合うことで喪失感や辛い感情を受け入れることの手助けをしてくれるのです。離婚協議中の女性たちを対象としたある研究では、離婚直後に元夫の夢を見たと答えた女性たちの多くが、1年後のフォローアップ面談で別れを受け入れていて、夢を見ていない対象者に比べると落ち込み度合いが少なかったという結果になりました」

 元恋人に関する夢の他にも、より鮮明なストーリーや悪夢を見ているというケースもこの状況下により増えているという。しかし、このような夢の出現を心配する必要はないそうだ。

「今見る夢に対して、不安にならないでください。現在の状況に対するあなたの感情を、脳が整理しているのです。それが夢で展開されることで、のちにこの複雑な感情を受け入れる手助けとなるでしょう」

日本の未婚男性長生きしないのに「既婚者より未婚の女性長生きする 不思議

Newsweek日本版 2020年6月10日(水)13時56分配信/舞田敏彦(教育社会学者)

<2000年以降、出産や育児などの負担がある既婚女性よりも未婚女性の方が長生きする傾向が続いている>

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が86歳となっている(2016年)。世界有数の長寿国で、アフリカ諸国の「人生50年」とは大きな違いがある。近い将来「人生100年」の社会になるという予測もある。

だが日本人と言っても一様ではなく、様々な生活条件の下で暮らしている人々の集合体だ。都市と農村では生活様式が違い、寿命にも差があるし、経済的に恵まれた人とそうでない人の「いのちの格差」もある。国や自治体はこういう違いに注目し、啓発や支援に取り組む責務を有する。

あまり知られていない要素として配偶関係による差もある。日本では未婚化が進んでいるが、結婚していない未婚男性は長生きしない。2018年中に亡くなった未婚男性は7万3435人で、その年齢分布を取ると<表1>のようになる。

<表1>

山型のノーマル分布だが、最も多いのは60代後半で、中央値(累積%=50)もこの階級に含まれる。按分比例を使って死亡年齢の中央値を出すと66.3歳だ。平均寿命が80歳を超えていることを考慮すれば、いかにも短い。

有配偶男性の死亡年齢中央値は81.3歳で、未婚男性より15年も長い。標準から外れているのは後者で、未婚男性は早死にすることを強調しないといけない。食生活をはじめとした生活習慣が乱れやすいのが大きいだろう。男性の結婚チャンスは収入と相関するので、低収入・低学歴といった不利な条件の人が未婚者に集積しやすいのかもしれない。

<女性にとって結婚生活が負担になる理由は……>

女性の死亡年齢中央値を出すと、未婚者が81.9歳、有配偶者が78.3歳となる。男性では未婚者の方が明らかに早死にするが、女性はその逆だ。男女で傾向が反転するのは興味深い。以上は2018年のデータだが、単なる偶然でないことは<表2>から分かる。

<表2>

大よそ10年間隔のデータだが、男性はどの年でも未婚者が明らかに早死にする。その度合いは昔の方が大きく、1980年では未婚者と有配偶者で死亡年齢中央値が33歳も違っていた。当時は未婚率が低く、不利な属性の人が未婚者に凝縮していたためだろう。

女性をみると、1990年までは男性と同じく「未婚 < 有配偶」だったが、2000年以降は未婚者の方が長生きする傾向が定着している。結婚生活が「生」に及ぼすインパクトの性差は、日本ではある程度の普遍則と言えそうだ。

女性にとって結婚が重荷になる理由はいくつか考えられる。まずは出産による身体への負荷で、近年は晩産化もありその度合いが強まっている。夫の家事分担率が低く、既婚女性の日々のストレスは尋常ではない。出産・育児で離職を強いられたり、夫の転勤のたびにキャリアや人間関係をリセットされたりするのも苦痛だ。正社員として勤めることが減り、会社の健康診断も受けられず、自治体の健診に行こうにも幼児がいる場合、その時間もがとれない。

昨年の出生数は86万人と前年より5万人以上減り、少子化は進む一方だ。その最大の要因は未婚化だが、結婚がこうも重荷となれば、それをためらう若い女性が増えるのも無理はない。合計特殊出生率が1.0を割っている韓国では、その傾向が顕著になってきている(「出生率0.98、韓国女性に広がる新たな価値観」ヤフーニュース、2020年2月19日)。

家庭生活の負荷が女性に偏っている現状を変えるべきで、コロナで在宅勤務が増えてる今は、そのいい機会だ。

<資料:厚労省『人口動態統計』>

 二ューデリー医療崩壊の危機 7月末までに感染者17倍の恐れ

時事通信 2020年6月12日(金)7時10分配信

 2800万人超の人口を抱えるインドの首都ニューデリーで、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している。

 11日時点で3万2800人以上が感染し、980人超が死亡。当局は感染者数について、7月末までに現在の約17倍の累計55万人まで増えると予測している。中央政府が取ってきた厳しい封鎖措置を段階的に緩和しているため、感染拡大が加速した可能性があり、医療崩壊の危機が迫っている。

 ニューデリーを管轄するデリー首都圏政府の当局者は9日、首都の感染者数の予測を明らかにし、対応するには8万床のベッドが必要だと強調。現時点で約9000床しか用意できていないと危機感を示した。

 ケジリワル首都圏政府首相は7日、「他州からの患者が(首都の)病院に押し寄せてくる」として、首都の住民以外の利用を拒む方針を表明。批判を受け、10日にはツイッターで、他州の患者受け入れにも寛容な方針を示し、迷走を印象付けた。

 インドで感染者数が最も多いのは、商都ムンバイがある西部マハラシュトラ州だ。だが、地元紙フィナンシャル・エクスプレスによると、ニューデリーの1日当たりの感染者増加率は、マハラシュトラ州の3.4%を上回る5%に達する。

 インド政府は、3月25日に開始した厳格な外出禁止を伴う全土封鎖を段階的に緩和し、経済活動を許可してきた。国民の約6割を占めるとされる貧困層が封鎖で職を失い、生活が困難になったことが大きく影響している。

 ただ、4月20日の経済活動の一部容認から2週間ほどで、1000人台だった全土の1日当たりの新規感染者数は3000人を超え、現在は連日約1万人に達している。それにもかかわらず、中央政府は今月8日、ショッピングモールなど大勢の人が集まる施設の再開許可に踏み切った。

 感染者が増加する中で規制を緩和する背景には、経済低迷の責任を問われる事態を懸念するモディ首相の意向もあるとみられる。中央政府は5月30日の声明で「地方政府が独自に規制しない限り」一段の封鎖解除措置を取ると発表した。経済活動再開と感染防止対策のバランスを取った規制緩和の判断を地方政府に「丸投げ」したように映る。

 大きな責任を負わされた地方政府の中には、今月末までの封鎖延長を決めたところもある。ただ、経済の一大拠点である首都では緩和の流れにあらがうことは困難で、デリー首都圏政府は対応に苦慮している。 

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2020年6月11日 (木)

【藤井七段】過密日程たたり「10連勝でストップ」今季初黒星

 藤井聡太七段過密日程下の王座戦今季初黒星 

東スポWeb 2020年6月11日(木)17時00分配信

 将棋の現役最年少棋士・藤井聡太七段(17)が10日、大阪市の関西将棋会館で行われた第68期王座戦2次予選で大橋貴洸六段と対戦し、110手で敗れた。今期初黒星を喫した藤井七段は挑戦者決定トーナメント進出を逃した。

 藤井七段は現在、第91期ヒューリック杯棋聖戦で渡辺明3冠(36=棋聖、棋王、王将)に、史上最年少でタイトル挑戦。大きな注目を浴びた8日の5番勝負第1局では見事な指し回しを見せ、“現役最強”と言われる渡辺3冠に勝利した。

 藤井七段は今月2日、4日、8日、10日と過密日程の中で戦い続けている。これは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、100キロ以上の移動を伴う対局が5月末まで行われなかった影響。今月に入って移動を伴う対局は再開されたが、その分、過密日程になっているのだ。

 棋聖戦第2局は28日に行われるが、その間にも20日に師匠・杉本昌隆八段と竜王戦3組決勝で対戦するなど、多くの対局が組まれている。そのため「大橋六段に負けたのは過密日程のせい」と言われているが、実は渡辺3冠の方がもっと厳しい日程を強いられている。

 渡辺3冠は10日から、豊島将之名人(30=竜王との2冠)に挑戦する名人戦7番勝負に挑んでいる。名人戦は2日制で、第1局の終局は通常なら11日の夜となる。肉体的にも精神的にも、疲労は1日制の比ではないという。

 名人戦は例年4月に開幕するが、新型コロナの影響で今年は6月にズレ込んだ。その影響で渡辺3冠は、28日に行われる藤井七段との棋聖戦第2局の前に名人戦第2局(18、19日)、第3局(25、26日)をこなさねばならない。藤井七段どころではない“超過密日程”となっているのだ。

 渡辺3冠は戦前、「藤井聡太七段の初めてのタイトル戦という、間違いなく将棋史に残る戦いに出場することに大きなやりがいを感じています」と話していたが、その言葉にたがわぬ熱戦になるのは間違いない。

藤井聡太七段、“天敵”大橋六段に今季初黒星…中1日過密日程で

スポーツ報知 2020年6月11日(木)6時00分配信

 将棋の史上最年少棋士・藤井聡太七段(17)が10日、大阪・関西将棋会館で指された第68期王座戦2次予選決勝で、後手の大橋貴洸(たかひろ)六段(27)に110手で敗れた。8日の第91期棋聖戦5番勝負第1局で渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に先勝し、日本列島の熱視線を集めている17歳だが、今月に入って4局目で、中1日というハードスケジュールの中、珍しく悪手も出て、今期初の黒星。連勝は10でストップした。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策で100キロを超す移動ができないため、対局を休んでいた藤井七段にとって、2か月ぶりの本拠地・関西将棋会館での対局。相手の大橋六段は、2016年10月に四段に昇段した唯一の同期で、これまでの成績は2勝2敗と五分。タイトル未経験者で複数の黒星を喫した棋士は、佐々木大地五段(25)=藤井の1勝2敗=と大橋だけという“天敵”だ。

 中盤までは互角も夕食休憩明けに窮地に。最後は1分将棋で時計とも戦った末、3月9日の出口若武四段戦以来の敗北を喫した。「あまり経験のない将棋で一手一手手探りだった。強く踏み込まれて、思ったより厳しかった」と藤井七段。王座戦の挑戦者決定トーナメントは2018年は準々決勝敗退、シード権を得た昨年は初戦で敗れているが、進出自体を逃したのは初。藤井七段には鬼門のタイトルとなっている。

 「残念な結果でしたが、内容を反省して次につなげたい」。次回公式戦は13日の阿部健治郎七段(31)との第61期王位戦挑戦者決定リーグ戦・白組の最終局。勝てば23日、紅組覇者と木村一基王位(46)への挑戦権を争う対局に臨む。その前の20日には竜王戦3組ランキング戦決勝で杉本昌隆八段(51)との2年3か月ぶり2度目の師弟対決を控える。この日、在住する愛知県など東海と近畿、中国地区が梅雨入り。稀代の天才棋士は雨雲を吹き飛ばさねばならない。

 ◆ 大橋六段勝ち越しも淡々

 大橋六段は藤井七段に対して通算3勝2敗と一歩リード。藤井に次いで全棋士2位の高勝率.731を誇る実力を見せつけた。大阪在住ながら、洋服を東京・代官山で仕立てる棋界随一のファッショニスタは爽やかなベージュのスーツ姿で「素晴らしい活躍をされているので、対戦の機会を楽しみにしていました」。同期からの3勝目については「積み重ねなので、勝ち越したから何かということはありません」と淡々と語っていた。

藤井聡太七段“17歳の笑顔”にファン悶絶、盤外の表情に大反響

ABEMA TIMES 2020年6月11日(木)11時33分配信

 対局中の凛とした表情とはガラリと変わった17歳の笑顔に、ファンが大喜びだ。将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が、永瀬拓矢二冠(27)、増田康宏六段(22)とともに、番組企画に登場。将棋と離れた内容に、普段は見せない笑顔を振りまいた映像に、視聴者から「尊いってこういう時に使うのか!」「ほのぼのしてて癒やされました」という声が相次いだ。

 藤井七段は、プロ将棋界初の団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」に永瀬二冠、増田六段と同じチームで登場。第1回、第2回と個人戦で連覇しており、チームメイトも強力ということもあってか、ドラフト会議直後から優勝候補の筆頭とする関係者、ファンも多かった。

 戦いを前に集まった3人は、永瀬二冠の好物であるバナナに関する暗記クイズに挑戦。棋士といえば、自分だけでなく他の棋士の将棋も覚えていることから、その暗記力に驚かされることも多い。バナナについては1年ほど食べていないという藤井七段だったが、問題として10種類用意されたのを見ると「バナナに違いがあるとは知らなかったです」と微笑んだ。

 10種類を手分けして覚えることになったが、あまり興味を持ったことがなかったのか「最難関ですね」とポツリ。続いて「向きと本数で」と、バナナをシルエットで覚える戦法に出た。結局、3種類が藤井七段の担当になったが、ここでは秀でた記憶力を発揮。永瀬二冠、増田六段が危うく不正解となるシーンがあったところ、3種類とも見事に答えると、2人からは「さすがです」「すごい!」という声が飛んだ。

 瞬時に覚える記憶力も魅力だが、ファンの心を鷲掴みにしたのは、その笑顔だ。対局時ともなれば、ひたすら真剣に盤と向き合い、苦戦時には悩ましい様子を見せることもあるが、この日はリラックスモードなのか終始笑顔。戦いを離れれば、他の17歳と変わらないといった様子が好評だったようで、ネット上では「愛しさで溶けます」「お宝映像です」「神動画!!!」という感想が多数寄せられていた。

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どんな時もブレない!17歳・藤井聡太七段、“普段通りの強さ

GOETHE 2020年6月11日(木)8時01分配信

「対局については普段通り臨むのが一番いいかなと思いました」ーーー初のタイトル戦となった第91期棋聖戦の初戦を制した藤井聡太七段

 久しぶりに、曇りのない希望を見た気がした。藤井聡太七段にとって初のタイトル戦となった第91期棋聖戦。相手は、現在棋界最強といわれる渡辺明三冠だ。破竹の勢いで挑戦者に駆け上がった藤井七段もさすがに苦戦すると思われたが、初戦で会心の勝利をあげた。タイトル挑戦者としては史上最年少。このまま5番勝負を制すれば、もちろん史上最年少のタイトルホルダーとなる。対局後の藤井七段は、相変わらずの冷静な口調で17歳とは思えぬ強心臓ぶりを見せた。

「先勝することができてよかった。第2局までしばらく時間があるので、しっかり調整したい」

「長い持ち時間で渡辺棋聖と戦うのは初めて。中盤でいくつか思いつかない手を指され、こちらも見習わなければならない」

「対局については普段通り臨むのが一番いいかなと思いました」

 淡々としたコメントも“普段通り”。タイトル戦用に師匠から和服をもらっていたというが、この日は「勝手がわからなくて」ということでスーツ姿。そんな普段通りのスタイルも、大舞台でも舞い上がることのない藤井七段の強さを象徴しているかのようだった。

 これで3月以降10連勝。新型コロナウイルス問題が大きくなっていく中で一気に成長したといわれるのは偶然ではないだろう。普段は高校に通っている彼は、この期間ふだん学業に割いている時間の多くを将棋に傾けることができたのだろう。一時はタイトル戦の開催も危ぶまれていたが、そんななかでも着実に成長した姿をファンに印象づけた。

 この新型コロナウイルス騒動で多くの人がこれまでの生活を変えざるを得なくなった。“普段通り”でないことでパフォーマンスが低下したと感じている人も少なくないだろう。しかし17歳の藤井七段は、それが言い訳に過ぎないことを教えてくれている。自分にとってなにが重要かということをしっかりと見つめていることができれば、むしろ成長することもできる。藤井七段の将棋人生においては、まだまだスタート地点あたりの1勝に過ぎないかもしれない。だが、この1勝が日本全体に与えたインパクトは大きい。どんな時もブレずに前を見続ける。17歳の棋士は、その大切さと、力強い勇気を私たちに与えてくれたような気がする。

藤井聡太七段“凄さの領域”、例えるなら「2試合連続ノーヒッター」

東スポWeb 2020年6月9日(火)17時00分配信

 将棋の第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局にタイトル戦史上最年少で挑み、渡辺明棋聖(36=棋王、王将)を下した藤井聡太七段(17)。初戦から圧巻の実力を見せつけた天才高校生棋士がどれだけすごいのか、プロ棋士が「プロ野球で言えば…」と例えてくれた。

 将棋の最年少タイトル戦挑戦者の藤井七段と渡辺棋聖が対局する棋聖戦5番勝負の第1局は8日に東京・渋谷区の将棋会館で指され、157手で先手の藤井七段が勝利した。

 藤井七段はこの日、タイトル戦に17歳10か月20日で挑み、1989年に屋敷伸之四段(現九段)が棋聖戦に登場した時の17歳10か月24日を4日上回る史上最年少記録を更新。

 対局後の会見で藤井七段は「最後、かなり際どい展開になって時間もなかったので、最後のほうは分からないまま指していたという感じだった」と振り返った。

 それでも勝てたことで「まず先勝することができて良かった」と安堵。「第2局までしばらく間があるので、しっかり準備したいと思う」と、28日に行われる第2局を見据えた。

 渡辺棋聖については「中盤でいくつか、こちらが思いつかない手を指されて、そういったところはこちらも見習わなければいけないところなのかなと感じた」と淡々と語った。

 この日、現場で観戦していたプロ棋士の勝又清和七段(51)は「すごい名局だった。すごすぎて、信じられないくらい」と驚きをあらわにした。

 第1局での藤井七段の将棋について「読み切っていなくても正確に逃げ切っていた。(終盤に)一手間違えると全部詰むという状況で、30手以上正確に逃げていた」と説明。“魔王”の異名を取り、キャリアハイといわれる渡辺棋聖を相手に、激しい終盤で30手以上逃げる超絶さ。勝又七段は本紙に説明しながらも「だんだん現実味のないような話に聞こえてくる」。この対局は、漫画や映画などのフィクションの領域と言っていいのかもしれない。

 それを遂行した藤井七段について、「彼は集中力そのものが才能。読みの力が抜群。藤井七段はプレッシャーを全く感じていなかった。全く普段と変わらなかったし、どんどん隙がなくなっている」と指摘する。

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 そして、今回に至る快進撃をこう表現する。

「2冠王(永瀬拓矢2冠)に勝って3冠王(渡辺明3冠)にも勝っている。野球で例えるなら、エースピッチャー2人を相手に、2試合連続ノーヒットノーランで勝利するようなもの」

 1試合でさえ難しいだけに、2試合連続ノーヒットノーランを達成したピッチャーは日本のプロ野球にはまだいない。それほどの偉業なのだろう。

 初戦は先手で勝利した藤井七段。第2局は渡辺棋聖が先手になる。一般に将棋は先手が有利とされるが、渡辺棋聖にとって厳しい戦いになりそうだ。

「渡辺棋聖はテニスのように、サービスゲームをキープしなければいけない。サービスゲームをブレークされたらマズイ。第1局を制した藤井七段は、次を落としても1勝1敗になるだけ。次は渡辺棋聖にとっての正念場になるのでは」(勝又七段)

 次の対局は果たして、どんな展開になるのか?

渡辺明三冠の出前『うな重藤井聡太七段への配慮なのか?

中日スポーツ 2020年6月9日(火)15時02分配信

 山口恵梨子女流二段(28)が9日、フジテレビ系「バイキング」に出演。藤井聡太七段(17)が第91期棋聖戦五番勝負に史上最年少で挑み、第1局を勝利した8日の対局中に渡辺明三冠(36)=棋聖・棋王・王将=が頼んだ昼食のうな重は、藤井七段への好きな物を気兼ねなく注文しなさいという”気遣いのメッセージ”だと明かした。

 番組では、藤井七段は980円のカツカレー、渡辺三冠は3600円のうな重を頼んだと取り上げ、毎度メディアに取り上げられる”勝負メシ”トークに、出演したタレントのヒロミは「うな重対カツカレーみたい」とあきれ顔。そこに一石を投じたのが山口女流二段。うな重は結構重要なポイントと切り出すと、渡辺三冠は食事がスポンサー持ちになることが多いタイトル戦では1500円以内しか注文しないことが棋界では有名と説明し、1500円以上の物を藤井七段が頼みにくくなってはいけないというのを踏まえて、あえてうな重という高価な物を頼んだと藤井七段への気遣いの現れだと解説した

 勝負メシに隠れたメッセージがあったという衝撃の情報に、MCの坂上忍は「ちょっと待って」と驚き、「ほら、食べ物重要なんですよ」とヒロミに向かって、冗談っぽく食ってかかっていた。

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渡辺明棋聖、藤井聡太七段を気遣ううな重』秘話

スポーツ報知 2020年6月9日(火)14時07分配信

 9日放送のフジテレビ系「バイキング」(月~金曜・前11時55分)では、将棋の第91期棋聖戦5番勝負の第1局で史上最年少でタイトルに挑戦した挑戦者・藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に先勝したことを報じた。

 番組では、注目の対局の勝負メシは渡辺棋聖が「うな重のご飯少なめ」(3600円)、藤井七段が「かつカレー」(980円)と伝えた。

 解説で出演した山口恵梨子女流二段(28)は渡辺棋聖が注文した「うな重は結構注目ポイント」と指摘。「タイトル戦の食事はスポンサー持ちになることが多い」と明かした上で「なので渡辺三冠は、1500円以内というマイルールを決めていたんです」と説明。「うな重をここで注文したということは、藤井七段に自分のマイルールを強制させない様に。1500円以上のものを藤井七段が頼みにくくならないように、あえてうな重という高価なものを頼んだ。うな重をタイトル戦で頼むということ事態が相当(異例)」と裏話を披露した。

 「もう一つ」と続けると「今は対局中にマスクの着用を義務づけられている。渡辺三冠は途中でマスクを外しているんですよ。マスクしながら対局って正直、メチャクチャしんどいんですよ。全然、頭に酸素がいかないので。あえて自分が早めに外して、藤井七段がマスクを外しやすいように。他の対局だと、外さずに指されてたりもするんですよ。なので、早めにマスクを外しているのも渡辺三冠の気遣いなんですよ」と語ると、MCの坂上忍(53)らは目を丸くし、うなっていた。

渡辺明三冠 鰻重頼んだワケ…中学生棋士時代の“自分”とダブらせ…

デイリー 2020年6月9日(火)10時54分配信

 フリーアナウンサーの近藤サトが9日、日本テレビ系「スッキリ」で、将棋の棋聖戦で、渡辺明三冠が昼食に鰻重を頼んだことに言及。渡辺三冠が対戦相手の藤井聡太七段と同じ、中学生プロ棋士だったことが理由の一つではないかと推察した。

 近藤は今回の棋聖戦を注目してみていると言い、特に渡辺三冠の着物と勝負飯に注目していると話した。

 勝負飯について、渡辺三冠は鰻重を注文しているが「なんだ鰻重か、さすが三冠と思う人もいるかもしれないが、あそこで鰻重を頼まないと、藤井さんの選択肢がなくなっちゃう」と説明し、加藤浩次は「え?どうして?」と質問した。

 近藤は「(昼食は)格上の人よりもちょっと安いものを頼む、という慣例がある」と語り、「同じ思いを中学生棋士の渡辺三冠はしているんですよ。中学生の頃に、格上の棋士が安いものを食べて、食べ盛りの僕は何を頼んだら…という経験が」と熱く訴えた。

 そして値段も張る鰻重を選んだことは「藤井君、好きなものを何でも頼みなさいという意味での鰻重なんじゃないか」と推察していた。

 また、次戦では、藤井七段も和服を着るとの情報があると加藤から教えられると「めちゃくちゃ楽しみ」「必ず似合います」と笑顔を見せ「タイトル戦は本来は華やかなもの」「画面上の華やかさも楽しみにしてほしい」とファンへ呼びかけていた。

藤井聡太七段 タイトル初挑戦「1局目はスーツで…」と、師匠語る

スポーツ報知 2020年6月9日(火)13時36分配信

 9日放送のTBS系情報番組「ひるおび!」(月~金曜・前10時25分)では、8日に行われた将棋の第91期棋聖戦5番勝負の第1局で、先手の挑戦者、高校生棋士・藤井聡太七段(17)が、渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に先勝したことを伝えた。

 藤井七段の師匠として小学生時代から将棋を教え、成長を見守ってきた杉本昌隆八段(51)が、リモートで出演した。

 対局の会場にいた杉本八段は、「背中が大きく見えました。立派になったなと思いましたね」とタイトル初挑戦で先勝したまな弟子の姿に感慨深い様子。

 着物を着てタイトル戦に臨むのが通例だが、藤井七段がスーツだったことについて、MCの恵俊彰(55)が「(杉本八段がプレゼントした)着物を着るんじゃないかという話をしていたんですが…。相談があったんですって?」とたずねた。

 これに杉本八段は「タイトル挑戦が決まった翌日に電話で話しました。和服は慣れないので、色々所作があったりしますし。1局目はスーツで行きたいですということで、それがいいんじゃないかと言いました」と答え、対局中の藤井七段の様子について「終始、落ち着いてましたね」と話した。

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 渡辺棋聖の16連続王手を凌いだ藤井七段の詰将棋で培った生命力 

ABEMA TIMES 2020年6月9日(火)12時06分配信

 各メディアで大きく報じられた将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)のタイトル戦初勝利。6月8日に行われたヒューリック杯棋聖戦の五番勝負第1局で、渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に157手の末に勝利した瞬間から、大きな話題になった。結果だけ見れば、天才・藤井七段の勝利だけがクローズアップされがちだが、最終盤では渡辺棋聖から16手連続で王手をかけられ、30分以上、まさに「生きるか死ぬか」というプレッシャーを受け続けていた。

 朝9時の対局開始から10時間ほど経過した最終盤。追い詰められた渡辺棋聖は、最後の勝負に出た。持ち駒だった角を打ち込み、藤井玉に王手。ここから実に30分以上、計16手の連続王手がスタートする。藤井七段勝勢というところからの王手だが、タイトル25期・現在最多の三冠保持者である渡辺棋聖の王手が、簡単なものであるはずがない。対応を間違えば、形勢が180度変わるような恐ろしい手ばかりだ。

 中継していたABEMAの解説を務めていたのは史上初めて四段でタイトルを獲得した郷田真隆九段(49)と、実質的なデビュー年度でタイトル挑戦を果たした本田奎五段(22)。2人でこの難解な局面を見守っていたが、渡辺棋聖による王手ラッシュには、対局者でなくとも混乱した。郷田九段が「(渡辺棋聖の)さすがの勝負術。結構、危ないですよね」と語れば、本田五段は「めちゃめちゃ危ないですよね。危ないを極めている」とコメント。当然、2人とも藤井七段の方が勝利に近いことはわかっているが、同時に一手間違えた時の大逆転も見えていた。

 ABEMAでは、戦局に応じて勝率・候補手で表示するAIが搭載されている。郷田九段は「ソフトは(藤井玉が)詰まないことを読めているようだけど、なかなか読み切るのは難しい」と語った。残された時間は1分、2分といったわずかな時間。映画のシーンであるような、爆弾処理で赤い線、青い線のどちらを切るか、という選択をずっと繰り返しているようなものだ。たとえプレッシャーなど感じないAIが読めていたとしても、人間がそれをできるのか。解説した棋士だけではなく、視聴者たちも固唾を呑んで見守る時間が続いた。

 ここで活きたのが、藤井七段の詰将棋で培った“生命力”だ。詰将棋は、相手玉を連続王手で詰めることを目指すパズルのようなもので、藤井七段は全国大会である「詰将棋解答選手権」を5連覇中の達人だ。この才能は攻撃だけでなく、守備にも大いに役立っており、自玉の危険度を正確に見極める能力にも長けている。16手連続王手に対して、1つも間違えずに逆転を回避できたのは、この一手を指すと自玉が危なくなるという危険察知のセンサーのようなものが働き続けた結果だ。

 AIでもなければ、連続王手から逃れられない棋士もいただろう中を、生還の一本道を迷わず歩いた藤井七段。また、逆転こそならなかったが、窮地からでも恐ろしい手を繰り出し続ける渡辺棋聖。この2人による五番勝負が、あっさりと終わるとは思えないというのが、将棋界全体の共通認識となった、そういう対局だった。

藤井聡太七段に和服2着贈った師・杉本昌隆八段「次は見られるかも

中日スポーツ 2020年6月9日(火)11時49分配信

 メ~テレの情報番組「ドデスカ!」は9日、将棋の「第91期棋聖戦」5番勝負の第1局に、史上最年少でタイトル挑戦権を得た藤井聡太七段(愛知県瀬戸市、17)が白星を飾ったことを伝えた。番組には師匠の杉本昌隆八段(51)が電話出演し、「ゆくゆくは羽生善治九段の大記録に挑んでいくんだろうと思います」とまな弟子の今後に期待を込めた。

 杉本八段は、前日の終局後もいつも通り淡々とした表情の藤井七段について、「次の対局に切り替えて先を見据えている。喜んではいられない」と分析。藤井七段がうれしそうな表情を見せるのは「感想戦が盛り上がって面白い局面になった時」と明かし、「感想戦が短かったのでちょっと物足りない感じ」と話した。

 また、1年前にタイトル戦に備えて和服2着をあつらえ、藤井七段に贈ったエピソードも披露。「次見られるかもしれないし、その次かもしれません。お楽しみに」と話し、「和服をあげても使う機会がない弟子もいる。そういう意味ではうれしいですよ」と喜んだ。

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渡辺明三冠の着物に見た「俺を超えてみろ!」の気概

デイリー 2020年6月9日(火)10時36分配信

 フリーアナウンサーの近藤サトが9日、日本テレビ系「スッキリ」で、将棋の棋聖戦で渡辺明三冠が着用した着物について、独自の目線で着物に込めた思いを“推理”した。棋聖戦は8日から将棋会館で幕を開け、初戦は藤井聡太七段が勝利している。

 近藤は今回の棋聖戦について注目したのは「着物」と、渡辺三冠の「勝負飯」だったという。

 最近の近藤は、和服でメディアに出ることが多く、大の着物好きとしても知られるだけに、渡辺三冠が着た着物について思いが止まらない。「三冠のお着物は、ご自身も大変お好きだと思うんですけど、非常に個性的な、ユニークな着物をいつも着られて、今回もすごいんです」とまくしたてると「着物好きから見ますと、この柄の組み合わせ、素材の組み合わせ、白で統一させるっていうのは、なかなか素人には着られない」と感心しきり。

 その着物を着た渡辺三冠の心情についても「そういう意味で、満を持して、というか、俺を超えてみろ!という気概をもって着た着物としか見えない」と、和服好きの目線から“推理”していた。

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2020年6月 8日 (月)

【コロナバブル】✍週末のNY株<3箇月ぶり>2万7000ドル台回復㊦

コロナショック後 急速な株価回復 一体が起きているのか

現代ビジネス 2020年6月8日(月)7時01分配信/近藤 駿介(経済評論家/コラムニスト)

史上最高値更新も見えてきた

 誰がこれだけの急速な株価回復を想像できただろうか。

 6月5日のNY株式市場はNYダウが829ドル高、率にして3.15%もの大幅高を演じ、一気に27,000ドル台を回復してきた。終値は27,110.98ドルと、3月23日に記録したコロナショック後の安値18,591.93ドルからの上昇率は45.8%に達した。

 ナスダック総合も同日200ポイント近い上昇を演じて9,800ポイント台を回復してきた。こちらの終値は9,814.08ポイントと2月19日記録した史上最高値9,817.18ポイントまであと3.10ポイントと、完全に史上最高値更新を射程に捉えた格好になった。

 5日の米国株式市場が急騰したのは、雇用統計で3月に2070万人という過去最大の減少を記録した非農業部門雇用者数が市場予想に反して250万人も上昇に転じたことが明らかになったからだ。

 とはいえ、2020年に入ってからの雇用者数は累計で約1,850万人減少している現実に目を向けると、米国株式市場の動きは実体経済からかけ離れて強過ぎるともいえる。

「ニューノーマル」がもたらすもの

 確かに足元の株式市場の動きは実体経済と比較して強過ぎるように見える。しかし、実体経済と株価の動きが乖離するというのは「ニューノーマル(New Normal;新常態)」によるものだと考えるべきだろう。

 さらにこの「ニューノーマル」は、新型コロナウイルスによって新たに生み出されるものではなく、リーマン・ショックを契機に芽生え、トランプ大統領誕生前後から成長してきたものが、新型コロナウイルスの影響によって一気に顕在化してきたものである。

 この「ニューノーマル」を育んでいる原動力は「投資資金の主役交代」である。具体的には「景気に連動する投資資金」から「年金資金」への主役交代である。

 一般的な株式の理論では景気が拡大すれば株価も上昇し、景気が低迷すれば株価には下押し圧力が掛かると考えられている。こうした理論は、景気動向によって株式市場に向かう投資資金が増減することを前提に組み立てられたものだからだ。しかし、こうした古典的な投資理論はもはや通用しなくなっている。

 それは、新たに市場の主役となった「年金資金」は「景気」に連動して増減するものではなく、高齢化や成熟化といった「社会構造」に連動するものだからだ。

 リーマン・ショックによって世界は低成長時代に入ったが、経済状況に関係なく先進国を中心に高齢化に備えた「年金資金」は増え続けてきた。

 さらに、経済のグローバル化が進んだことで新興国の生活水準は向上し、それに伴って社会保障制度の拡充が進められてきた。

 つまり、リーマン・ショックによって世界が低成長時代に入ったにもかかわらず「年金資金」を中心とした投資資金は増え続けてきているのだ。

「年金資金」が市場の主役になると…

 「年金資金」の特徴は日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に代表されるように資金規模が大きいことである。

 そして、運用資産規模の拡大によって起きるのが運用のパッシブ化(株式市場全体の動きの連動するリターンを求める運用)である。

 リーマン・ショック前後まで70%台後半であったGPIFの国内株式投資におけるパッシブ運用も、2016年度以降90%を超える水準まで上昇してきている。

 こうした「年金資金」のパッシブ化への流れを決定づけたのは、2014年に米国最大の公的年金基金カリフォルニア州職員年金基金(カルパース)によるヘッジファンドへの投資取りやめである。2016年度からGPIFのパッシブ化が急速に進んだのもこうした影響によるものだといえる。

 「市場全体のリターンとは異なるリターンを目指すヘッジファンド」から引き上げられた投資資金が向かうのは当然「市場全体のリターンと同じリターンを目指すパッシブファンド(インデックス運用)」になる。

 こうした資金規模が「景気」に連動しない「年金資金」が市場の主役になるにつれ、主要株価指数は実体経済から乖離する傾向が強まり、今回のような景気悪化局面で大きな「株価と実態経済の乖離」を生む要因となりえるのだ。

 そうはいっても、こうした大きな流れが常に「株価と実態経済の乖離」を生むわけではない。足元の「実態経済から乖離したような株高」を演出したもう一人の主役として忘れてならないのがFRBの存在である。

FRBは何をしてきたか

 新型コロナウイルスの影響が実体経済に影を投げかけ始めた3月になってFRBは矢継ぎ早に手を打ち始めた。

 まず手始めに行ったのが2週間後の17日、18日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される予定されているなかで、それを待たずに3月3日に行った0.5%の利下げである。この利下げで政策金利の誘導目標を1~1.25%まで引き下げた。FOMC以外のタイミングで利下げに踏み切るというのは2008年以来の異例の決定だった。

 さらにその12日後の3月15日にはFRBは政策金利の誘導目標を0~0.25%と一気に1%引き下げ、2015年以来のゼロ金利政策に踏み切った。

 FRBの連続利下げに関しては「トランプ大統領の圧力に屈した」という見方も根強く、株式市場は直ぐにはFRBのゼロ金利政策復活を歓迎しなかった。FRBがゼロ金利政策を復活させた3月15日以降も株価は下げ止まらず、株価が底打ちし反発し始めるのはそれから1週間以上も後のことだった。

 NYダウ、ナスダック総合が共に今年の最安値を付けたのは、FRBが特定の社債や地方債にまで買入資産を拡大することを柱とした資産買入プログラムの大幅強化を発表した3月23日だった。

 FRBが2週間足らずの間に政策金利を1.5%も一気に引き下げゼロ金利政策を復活させたことにも反応しなかった株式市場だったが、資産買入プログラムの大幅強化が発表された翌日の24日にNYダウは2000ドルを上回る大幅な反発を見せた。

 それは、市場が懸念していたのが「景気不安」ではなく「信用不安」だったことの証左でもある。FRBの資産買入プログラムの大幅強化は、FRBが「信用不安」解消に動き出したことを市場に伝えるためのメッセージだったのだ。

 しかし、資産買入プログラムの大幅強化は「信用不安」対策の序章に過ぎなかった。クライマックスが訪れたのは4月9日だった。

 FRBは中小企業や地方自治体を支援する融資プログラムを拡充すると共に、既発のCMBS(商業用不動産担保証券)と新発CLO(ローン担保証券)、そして投資適格から非投資適格に格下げとなる「堕天使債」までも買い入れ対象を拡大するという、資産買入プログラムの追加強化策を打ち出したのだ。

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「これまでのパウエルFRB議長の発言と今回のローゼングレン総裁の発言から想像されることは、FRBは、民間金融機関が保有するCLOをFRBが買上げることで「経済危機」を「金融システム」から切り離す計画を持っているということだ」(現代ビジネス「新型コロナ『世界同時株安』最もヤバいのは『日本人の年金』の可能性」)

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 筆者は3月初めにボストン連銀ローゼングレン総裁の発言からFRBがCLO買入に動く可能性があると考えていた。

 買入対象が「新発CLO」になるなど筆者の想定とは若干異なる部分はあったが、FRBが「経済危機」を「金融システム」から切り離しにかかったことは期待通りのものだった。

実態経済か金融市場か

 コロナ不況とリーマン・ショックとの大きな違いは、最初に火の手が上がったのが「メインストリート(実態経済)」だったか「ウォールストリート(金融市場)」だったかである。

 リーマン・ショックの時は「ウォールストリート」から火の手が上がったのに対して、今回のコロナ不況で最初に火が付いたのは「メインストリート」だったのだ。

 火の手が上がった場所が異なれば消火方法が異なってくるのは当然のことだ。「ウォールストリート」から上がった火の手を抑えるためには利下げや量的緩和といった金融政策で「メインストリート」への延焼を防ぐのが合理的判断となる。

 一方、「メインストリート」で火の手が上がり「ウォールストリート」に飛び火するリスクが高い場合には「ウォールストリート」への延焼を防ぐ、つまり金融システム崩壊を防ぐことが優先されることになる。

 それは「ウォールストリート」に延焼した場合により大きな爆発を起こすリスクが、「ウォールストリート」から上がった火の手が「メインストリート」に延焼して新たな大きな爆発が起こすリスクに比較してかなり高いからだ。

 この「メインストリート」と「ウォールストリート」を分断するために必要だったのが「信用緩和」だったのだ。こうした一連のFRBの適切な対応によって株式市場の回復に加速が掛かる格好となった。昨今の「実体経済から乖離した株高」は、FRBによる「メインストリート」と「ウォールストリート」の切り離し政策が成功した証しだといえる。

 FRBがゼロ金利政策を復活させた際には、トランプ大統領の圧力に屈したという批判もあった。しかし、こうした見解はおそらく筋違いのものだ。

 それは、FRBがゼロ金利政策を復活させたのはトランプ大統領の圧力に屈したからではなく、反対にトランプ大統領に決断を迫るための手段だった可能性が高いからだ。

 利下げでは「金融システム不安」やそれに伴う金融市場の混乱を防げないと考えていたFRBは、一日でも早く「信用緩和」に踏み切るために一気にゼロ金利政策を復活させ、トランプ大統領に決断を迫ったのだろう。

 FRBが「信用緩和」のもとでリスクの高い資産の購入に踏み切るということは、資産価格下落によってFRBが損失を被り、そのこと自体が金融不安を生み、ドルの急落など金融市場の混乱を招く原因になりかねず、ホワイトハウスの協力が必要不可欠だったからだ。

 こうした事態を防ぐためには、FRBが損失を被ったときでも金融不安を招かないような十分な資金をFRBに準備しておく必要がある。パウエルFRB議長は、ゼロ金利政策を復活させることでトランプ大統領にその資金の準備を迫ったのではないだろうか。つまり、ゼロ金利政策を復活はトランプ大統領に突き付けた踏み絵だったということだ。

 結果的に財務省はFRBに4,500億ドル、日本円にして50兆円近い多額の資金をFRBに投入することを決定し、FRBは「信用緩和」に踏み切ることが出来た。

 こうしてFRBが「信用緩和」によって「メインストリート」と「ウォールストリート」の切り離すという決断が成功したことによって、今の「実体経済から乖離した株高」はもたらされたのだ。

 「景気」に連動しない「年金資金」が主役となり、FRBによって「メインストリート」と「ウォールストリート」が切り離されたからといって、この先も株式市場が安泰という訳ではない。

 足元の「実体経済から乖離した株高」を「過剰流動性相場」と見做す向きもある。「過剰流動性相場」だとしたらそれが続く間は「実体経済から乖離した株高」が持続する可能性もある。

 しかし、足もとの株式市場は「過剰流動性相場」というよりも「消去法相場」であり、危ういバランスの上に立っていることを頭に入れておいた方が賢明そうだ。

東京株 6営業日続伸、終値2万3000円台回復 3カ月ぶり

時事通信 2020年6月8日(月)15時11分配信

 週明け8日の東京株式市場は、新型コロナウイルス感染拡大で停滞していた世界経済について、米国主導で回復が加速するとの期待から買いが強まった。日経平均株価は前週末比314円37銭高の2万3178円10銭と6営業日続伸し、2月21日以来約3カ月半ぶりに終値として2万3000円台を回復した。

 5日発表された5月の米雇用統計で就業者数が増加に転じたため、米景気は最悪期を脱したとの見方が浮上。同日の欧米株価が軒並み大幅上昇した。週明けの東京市場でも、銀行や自動車、電子部品など主力業種の値上がりが目立ち、平均株価は3月の世界株安後の最高値を更新した。 

 米FRB景気停滞の回避策議論 ゼロ金利維持 

時事通信 2020年6月8日(月)7時13分配信

 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は9、10両日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。新型コロナウイルスの感染拡大で悪化した景気を支える事実上のゼロ金利、量的金融緩和を維持する方向だ。また、景気停滞の回避策を議論するほか、政策運営の手掛かりとなる金利と経済見通しも発表する。

 FRBは「景気の回復軌道を見極めるには時間がかかる」(クラリダ副議長)とみている。政策金利を年0~0.25%に長期間保ち、米国債などを無制限に買い入れて金融緩和と市場への資金供給を続けると明言している。

 パウエル議長は、本格回復が「来年末までかかる可能性がある」と言及。5月の失業率は戦後最悪となった4月から改善したものの、景気の長期停滞リスクを警戒し、企業向けの緊急融資を含め、追加策を講じる考えだ。

 FRBは4月の会合で、失業率が一定水準を下回るまでゼロ金利を維持するなど、政策に数値目標を採用したり、短中期の国債利回りに上限を設けたりする可能性を議論。金融緩和効果を高める追加策として検討する。マイナス金利に関しては「効果が不透明」(パウエル議長)と明確に否定している。

 金利と経済見通しの改定は3月に見送られたため半年ぶりとなる。今年の成長率はマイナスに落ち込む一方で、来年以降の回復予想が示されそうだ。金利予想は、ゼロ金利解除時期の手掛かりになる。 

片山さつき議員、日本は「中国批判声明参加拒否ではない

デイリー 2020年6月7日(日)17時06分配信

 参院議員の片山さつき氏(61)が7日、自身のツイッターを更新。一部で、香港への国家安全法制の導入を巡り、「中国を批判する米英などの共同声明に日本が参加拒否」と報じられたことを否定した。

 片山氏は「香港安全法制めぐる中国批判声明に日本は参加拒否 欧米は失望も」と題された記事を引用。「たった今外務次官と話しましたが、G7で香港問題につき中国大使を呼んで抗議したのは日本だけ!外相も官房長官も明確に発言!その声明には独仏も参加しておらず、突然言われても、というだけの話だそう。」とつづった。

 日本が中国の国家安全法には否定的な立場であること、の部分は、現状は英国だけで、失望しているかどうかは不明であることなどを説明した形。声明を「拒否」をしてはいないものの、「参加していない」状況ではあるようだ。

日本は「中国批判声明参加拒否 香港安全法めぐり、欧米は失望も

共同通信 2020年6月7日(日)6時00分配信 フェイクニュース?

 香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした。中国と関係改善を目指す日本側は欧米諸国に追随しないことで配慮を示したが、米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。

 新型コロナの感染拡大などで当面見合わせとなった中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向け、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあるとみられる。ただ香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある。

中国の国家安全法導入方針 菅官房長官、日本の対応米英も評価

時事通信 2020年6月8日(月)12時57分配信

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、香港への国家安全法導入を目指す中国を批判する米英両国などの共同声明に日本が参加を拒否したとの一部報道に関し「米英をはじめとする関係国はわが国の対応を評価しており、失望の声が伝えられるという事実は全くない」と強調した。

 菅氏は、中国の全国人民代表大会で導入方針が採択された5月28日に茂木敏充外相らが「深い憂慮」を表明したと指摘。「わが国は強い立場を直接、ハイレベルで中国側に直ちに伝達するとともに、国際社会にも明確に発信してきている」と述べた。

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2020年6月 7日 (日)

【コロナバブル】✍週末のNY株<3箇月ぶり>2万7000ドル台回復㊥

コロナで大暴落した株価が急回復 ! から相場に参戦したい人へ贈る相場格言

LIFE&MONEY 2020年6月5日(金)20時35分配信

株式相場が急回復、日経平均株価は23,000円目前まで上昇

株式相場の急回復が続いています。6月4日の日経平均株価は、一時22,907円まで上昇して2月21日以来となる約3カ月半ぶりの23,000円台回復を目前にしました。

今回の株価上昇は、幻に終わった大型連休明けから徐々に顕著となっています。5月7日の終値19,674円から1カ月も経たないうちに最大+16%上昇しました。特に、直近2週間強では+14%弱上昇しており、今回の株価上昇はあっという間の出来事だったと言えましょう。

まずは、コロナショックで大暴落となった年初からの株式相場(日経平均株価)の動きを、改めて簡単に振り返ってみましょう。

3月には稀に見る大暴落発生、しかし“谷深ければ、山高し”の相場なのか?

昨年の大納会における終値は23,656円でした。年明け以降、米国とイランの紛争危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の懸念材料が出て上値が重くなりましたが、それでも2月6日の高値は約24,000円(正確には23,995円)と高値圏を維持しました。

しかし、2月下旬の3連休明けから株価急落が始まり、2月25日に23,000円割れ、2月27日に22,000円割れ、3月6日に21,000円割れ、3月9日に20,000円割れ、3月12日に19,000円割れ、3月13日に18,000円割れとなり、3月18日に17,000円割れと、正しく坂道を転げ落ちるような暴落となりました(終値ベース)。

実は、株式市場では1月下旬から既にCOVID-19の懸念は認識されていましたが、今振り返ると、その時はまさかこれほどの惨状になるとは誰も予想できなかったでしょう。

その後、3月19日のザラバに付けた16,358円が最安値となっています。これは、2月6日の高値(約24,000円)から見て約▲32%安まで下落したことになります。わずか1カ月半で株価指数が▲32%下落する事態は、紛れもなく「大暴落」と言えます。個別銘柄では、半値以下に下落した優良株も数多く見られました。

ところが、その16,358円を大底に回復基調へ転換し、前述したような株価上昇が続いて今日に至っています。ちなみに、この最安値から見ると、直近高値は+6,500円超の上昇(+40%高)です。

この急回復相場において個人投資家が抱く3つの思惑

こうした株式市場を見て、個人投資家の方々には様々な思惑があるでしょう。大きく分けると、1)なぜこんなに急回復するのか理解できない、2)そろそろ株価は再び急落する気がするので現状の株価水準では手が出せない、3)すっかり上昇相場に乗り遅れたが今からでも間に合うだろうか、の3パターンではないでしょうか。

もちろん、3月の暴落時にリスクを覚悟でエントリーし、今は利益確定のタイミングを計っているという成功者もいるでしょうが、圧倒的な少数派だと推測されます。

コロナショックが払拭されない中での相場急回復、今からでも間に合うのか?

多くの人が、今回の株価上昇を納得できない気持ちで眺めていると考えます。確かに、COVID-19による経済的な大打撃についてはご存知の通りであり、それが企業業績に影響してくるのはこれからです。

さらに、現時点では十分に期待できるワクチンも治療薬も世に出ていない訳ですから、世界大不況を織り込む形で株式相場はもう一段の暴落があるだろう…と考えるのが普通かもしれません。

しかしながら、現実的に株価は急回復しています。株式相場は本当に難しいですね。そして、今後注意しなければならないのが、前述3)で指摘した“上昇相場乗り遅れ組”です。これだけ回復が続くと、“上昇相場乗り遅れ組”となった個人投資家が、今から参戦するのはどうなのかと悩んでいると推察されます。

行き着く先が見えない急回復相場で噛みしめる5つの厳選相場格言

さて、こうした時に役に立つかもしれないのが「相場格言」です。相場格言はあくまでも格言であり、常に正しいとは限りません。しかし、昔から株式相場に伝え残る格言には、先人たちの経験と知恵が凝縮されています。COVID-19の懸念が払拭されない中での株価急上昇を受け、改めて吟味しておきたい5つの格言を選んでみました。

  もうはまだなり、まだはもうなり

これは株の売買の好機・タイミングを表す代表的な諺です。その名の通り、「もう底(天井)だと思えるようなときは、まだ下値(上値)があるのではないかと一応考えてみなさい。反対に、まだ下がる(上がる)のではないかと思うときは、もうこの辺りが底(天井)かもしれないと考えてみてはどうか」という内容です。“なるほど”と感心させられる格言です。

ただ、この諺に従うと、絶好の買い場・売り場を逃すことになり兼ねません。真の意味は、売買する前にもう一度よく考えてみた方がいいということなのです。

  買いにくい相場は高く、買いやすい相場は安い 

これは、「買いづらい相場に限って(その後)高くなり、買いやすい相場に限って(その後)安くなる」という意味です。“買いづらい相場”とは、例えば、株価指標などで非常に割高感がある、株価が天井圏にある、相場が弱気一色にある、などの状況と言えます。

こういう時、投資家はなかなか手を出し難いものですが、そういう時に限って、その後に株価が上昇するという皮肉めいたことが多々起こります。また、“買いやすい相場”とは、この逆の場合で、その後に株価が下落することが多いということになります。

  二度に買うべし 二度に売るべし 

これから新たに買い向かおうとしている人には、ぜひ心に留めてほしい格言です。この意味を一言で表すなら「買い急ぐな、売り急ぐな」ということです。一気に売買して、その後に株価がさらに上昇・下落となったとき“あー、早まった”と後悔しないためです。

また、仮に売買に失敗したとしても、二度に分けていれば、被害は半分で済むという意味も含まれます。投資家に必要なことは、周囲に流されずに冷静に行動するということではないでしょうか。

  万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし 

全ての人が何らかの理由をつけて強気になった時、それが天井を形成することが多いため、人に何を言われようが利食い売りをするべきだという意味です。冷静になって周囲の声に耳を傾けてみましょう。

たった2週間で+14%上昇した現在の株式相場。皆が皆、強気になっていませんか?  逆に、皆が皆、(株価がピークだと)慎重になっていませんか?  なお、これと同義の格言として、「野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし」があります。

  相場は明日もある 

株式相場はこれからも続きます。今日1日で終わるわけではありません。相場は生き物ですから、買いにしても売りにしても上手くいかないことは珍しくありません。そのような時は、いったん立ち止まって、相場の大局を見極めることが必要です。ズルズルとやり続けても上手くいかないことが多いという意味です。同じような格言で「休むも相場」があります。

いずれにせよ、大切な投資資金を失わないためには、ムキにならず、ムリをしないことが重要でしょう。

終わりに

いずれの格言にも当てはまることは、“急がずに冷静に”ということです。株式投資である以上、損失を出すことはよくあることです。ただし、それが日常生活を脅かしたりするようなことがあってはいけません。現在のような上昇相場だからこそ、今一度、相場の動きと自らの懐を見つめ直すことが求められます。

今すぐ辞めよう」「次の仕事すぐ見つかる」…フェイスブックの技術者に退職を勧める

BUSINESS INSIDER 2020年6月4日(木)8時10分配信

何人かのテックワーカーは、トランプ大統領に対するフェイスブックの対応に不満を抱いている同社従業員に会社を辞めることを勧めている。

これらのコメントは、フェイスブック従業員が声を上げ、仮想ストライキを実行しているときに投稿された。

フェイスブックのエンジニアの1人は、すでに会社の方針に抗議して退職している。

ドナルド・トランプ大統領の投稿に対処しないことに対してフェイスブック(Facebook)の社員が反対の声を上げる中、技術者のコミュニティの一部では、抗議して会社を辞めるよう促す人もいる。

フェイスブックの従業員は6月1日、ジョージ・フロイド(George Floyd)氏の死を巡って行われている抗議活動に関するトランプ大統領の投稿に対して、同社が行動を起こさないことに抗議して、仮想ストライキを行った。問題の投稿には「略奪が始まると発砲が始まる」というフレーズが含まれていた。ツイッター(Twitter)は、暴力を賛美しているとして、プラットフォーム上でこの投稿に対して警告を出した。

フェイスブックの社員数人が、会社の方針に不服を表明するためにツイッターに投稿したことを発端に、ストライキが行われた。何人かのテックワーカーは、抗議のためにフェイスブックを辞めるように勧めている。

「国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた」と、Squarespace社のエンジニアであるアレックス・イダルゴ(Alex Hidalgo)は5月30日、フェイスブック従業員の抗議のツイートに反応した。

「それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる」

国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた。それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる。

フェイスブックのソフトウェアエンジニア、ティモシー・J・アベンニ(Timothy J. Aveni)は最近のリンクトイン(LinkedIn)の投稿で、ソーシャルメディアの巨人を退職したと述べている。

「アメリカ国民が過激になることを目的とした大統領の偏見に満ちたメッセージに対して、フェイスブックが行動を拒否し続けることに耐えられない」アベンニ氏は書いている。

グーグルの元シニア・リサーチ・サイエンティストで、物議を醸した中国向け検索エンジンプロジェクトを巡って2018年に辞任したジャック・ポールソン(Jack Poulson)も、ツイッターで同様の見解を述べた。彼は「労働者の小さなグループが大きな影響力を持つことがある」とツイートしている。

連邦政府のクラウド認証をブロックするのに必要だったのは、たった9人のグーグルの労働者だった。そしてドローン戦争へのグーグルのサポート拒絶の端緒となり、国防総省が独自のAI利用原則を採用することになった。少数の労働者が、大きな影響を与えることもある。

グーグルの主任ソフトウェアエンジニアであるティム・ホッキン(Tim Hockin)は、フェイスブックの技術者に「自分の力を良い方向に使うように」と勧めている。

フェイスブックで働いている友人やフォロワー、特に技術者へ。これはよくない。出ていこう。今すぐ辞めよう。これはあなたの問題だ。善のためにあなたの力を使ってほしい。

元グーグル従業員でStripeのソフトウェアエンジニアのランディ・リューク(Randy Luecke)は、フェイスブックには「すぐ次の仕事が見つかる人」がたくさんいるとツイートしている。

学生ローン、就労ビザ、家族など、それぞれに事情があるので、それらを考慮せずに仕事を辞めるを勧めるわけではない。

しかし、フェイスブックには、仕事を辞めても、すぐ次の仕事に就くことができる人がたくさんいる。

私にはザックが変わるとは思えない。

フェイスブックは、「真実の裁定者」にはならないという同社の長年にわたる見解を堅持し、トランプ大統領の投稿に対して何の措置も取らないという決定に固執している。

「多くの人が大統領の投稿を放置していることに憤慨しているのは分かるが、利用規約に明記された特定の損害や、危険を招くリスクを引き起こすことにならない限り、可能な限り多くの表現を可能にすべきだというのが我々の立場だ」と、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは5月29日に書いている。

フェイスブックはここ数年、特に虚偽のニュースや誤った情報を厳しく取り締まっている。たとえば2020年1月には、ユーザーに誤解を与えるように改ざんされたビデオの削除を求める新しいルールを導入した。

しかし、政治的言論を妨害したり、政治的広告のファクトチェックをしたりしないという同社の方針は、多くの批判を集めてきた。

ザッカーバーグは最近、FOXニュースのダナ・ペリーノ(Dana Perino)とのインタビューで、「私は、人々がオンラインで発言するすべてのことの真実の裁定者になるべきではないと強く信じている」と述べ、「一般的に言って、民間企業、特にプラットフォーム企業はそうすべきではないと思う」と付け加えた。

フェイスブック社員反乱に苦慮するザッカーバーグ

Forbes JAPAN 2020年6月4日(木)12時00分配信

フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは6月2日、オンラインで開催した85分間の社内ミーティングで、彼の判断でドナルド・トランプの投稿を放置したことが、ジョージ・フロイドの殺害に抗議する人々の暴力的デモを引き起こし、会社の評価を損ねたことを認めた。

フェイスブックの社員らは、同社がトランプの人種的偏見に満ちた投稿を放置したことに、怒りを噴出させている。トランプはその投稿で、「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と警告していた。

ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、今後は7つのポイントにもとづき社員らの懸念に対処していくと述べた。そこには社内の意思決定についての情報共有を進めることや、より幅広い意見を取り入れること、悪趣味なコンテンツへのラベルづけを検討することなどが盛り込まれていた。

ニュースサイトThe VergeのCasey Newton記者によるとザッカーバーグは、トランプの投稿を放置したことが、同社に「高い授業料」を支払わせることなったと述べたという。

ザッカーバーグはまた、今後も暴動が続くようであれば、フェイスブックが一時的にコンテンツポリシーを見直し、新型コロナウイルスに関する誤情報が問題化した際と同様の措置を講じる可能性についても言及した。

しかし、Newtonの取材に応じた従業員らは、ザッカーバーグが社員からの反発を恐れていることが、彼の表情や口ぶりから見てとれたと話した。「彼が本当の事を話していると思う社員は一人もいない」と従業員の一人は述べている。

ザッカーバーグは今回の社内ミーティングに先立ち、投稿を放置するという決定が正しかったと話し、この決定は自社のポリシーに違反していないと述べていた。

複数の幹部クラスの社員が、フェイスブックの上層部の決定を公然と非難し、多くの社員がツイッターでザッカーバーグに対する反発を表明した。

ザッカーバーグは社員らに次のように語った。「私は、自身の考えとプラットフォームの原則を分けて考える必要があることを認識していた。そこから導いた決定が、多くの人々を怒らせ、メディアの批判を浴びることになることも分かっていた」

トランプから電話を受けたと告白

フェイスブックでは6月1日に多くの社員が仮想ストライキ(社員の多くが在宅勤務のため、こう呼ばれている)を行ったが、その翌日には一人のエンジニアが会社の方針を公然と批判し、辞職した。

ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、彼が投稿を放置する決断を下した後、トランプから電話を受けたことを明らかにした。彼はその電話で大統領に対し、投稿の内容に失望したことを伝えたという。

トランプによる投稿は、フェイスブックが16年前に創業して以来で最大の試練をザッカーバーグに与えている。社員らによる反乱は、前例を見ない事態を引き起こし、ザッカーバーグと社員らの間の亀裂を広げている。

フェイスブックはこれまで比較的、統合のとれた社内体制を維持してきており、2016年の大統領選挙後の混乱の際にも、社内から反発の声があがることは無かった。

ザッカーバーグは「SNSが世論の審判役になってはならない」という主張を繰り返しており、5月28日のFOXニュースのインタビューでは、ツイッターがドナルド・トランプの投稿に「根拠がない」とフラグ立てを行ったことを非難し、「フェイスブックは、人々のオンライン上での発言が真実であるかどうかを判断する裁定者になるべきではない」と発言していた。

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2020年6月 6日 (土)

【コロナバブル】✍週末のNY株<3箇月ぶり>2万7000ドル台回復㊤

〔米株式〕 NYダウ5日続伸829㌦高雇用統計好感

時事通信 2020年6月6日(土)6時00分配信

 週末5日のニューヨーク株式相場は、予想を上回る内容だった米雇用統計を好感して大幅高となった。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比829.16ドル高の2万7110.98ドルと、5日続伸して終了。上げ幅は一時1000ドルを超えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は198.27ポイント高の9814.08で引けた。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比3億3030万株増の15億3588万株。

 雇用統計の改善で、米経済が最悪期を脱したとの期待が広がり、株価を大きく押し上げた。ダウ平均は終値での2万7000ドル台を、3月4日以来約3カ月ぶりに回復。2月12日に付けた終値での史上最高値の2万9551.42ドルが視界に入ってきた。ナスダックは一時9845.69を付け、取引時間中の史上最高値を更新した。

 5月の雇用統計では、失業率が13.3%と前月から改善し、非農業部門の就業者数も250万9000人増と、プラスに転じた。予想に反して雇用が増加し、失業率も低下したことで、米経済の早期回復への期待が高まった。

 トランプ米大統領が給与税減税を議会に求めると表明したことや、中小企業の給与費を肩代わりする雇用維持制度の拡充法案に署名したことも、株価の追い風になったもようだ。

 また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が、減産の延長を協議する会合を6日に開くことが明らかになった。原油相場てこ入れへの期待からエネルギー株が買われ、株価全体をけん引した。

 個別銘柄(暫定値)では、ボーイングが11.4%高、エクソンモービルが8.1%高、レイセオン・テクノロジーズが6.8%高、キャタピラーが4.8%高、JPモルガン・チェースが4.5%高。一方、バイオ医薬品ギリアド・サイエンシズが1.0%安、ウォルマートが0.5%安、ファイザーが0.1%安。

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雇用改善死んだ黒人にとってもトランプ氏素晴らしい日」と発言

毎日新聞 2020年6月6日(土)14時07分配信

 トランプ米大統領は5日、同日発表された5月の米雇用統計の改善についてホワイトハウスで記者会見し、白人警官に拘束され、死亡した黒人男性のジョージ・フロイドさんにとっても「素晴らしい日だ」と語った。全米で続く警察の暴力と人種差別への抗議の声とは正反対の状況認識に、非難が噴出している。

 トランプ氏は、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた国内経済の回復基調をアピールし、幅広い人種層で経済指標が改善していることを強調。拘束死事件については「人種や肌の色、性別、信条に関わらず司法から平等の扱いを受けなければならない」と述べたうえで、「ジョージは今、天から見下ろしながら『素晴らしいことが米国に起こっている』と言っているのではないか。彼にとって、また皆にとって素晴らしい日だ」と語った。

 各地で続く抗議デモは、フロイドさんの事件に関与した警官への抗議にとどまらず、司法や教育機会、就職など米社会の多くの分野で続く構造的な人種差別を糾弾するものに発展している。その中でのトランプ氏の発言には「無神経」「現状を把握できていない」との声が相次いだ。ハリス上院議員(民主党)はトランプ氏に対し「『黒人の命も大切だ』と言えるまでは、ジョージ・フロイドの名を口にするな」とツイートしている。

中国貧困 まさかの暴露李克強首相の真意とは?

JBpress 2020年6月5日(金)6時01分配信/澁谷 司(JFSS政策提言委員)

 今年(2020年)5月28日、中国の李克強首相は、全国人民代表大会の記者会見で「昨2019年、中国人の平均年収は3万元(約45万円)だったと公表した。だが、一方で、中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人もいると明かしたのである。

 月収1000元ということは、年収1万2000元(約18万円)にしかならないこの月収では、1キロ30元(約450円)以上もする肉は食べられない。また、中小都市の1カ月分の家賃にもならないだろう。

 一般に、貧困は「絶対的貧困」と「相対的貧困」とに分けられる。世界的には、「絶対的貧困」は1日当たり1.90米ドル(約205円)以下の収入とされる。月収にすると57米ドル(約6150円)、年収は684米ドル(約7万3800円)である。

 世界的基準から見ると、月収1000元しかない中国の6億人は「絶対的貧困」層には当たらない。

 では、この月収1000元の6億の人々をどのように位置付けたら良いのだろうか。確かに、「絶対的貧困」とは言えないが、中国国内でも平均年収額の40%しかない。したがって、「相対的貧困」層と言えよう(ちなみに、我が国では、1人世帯の場合、年収約122万円以下が「相対的貧困」に当たる)。

 問題は、月収1000元の人々が6億人も存在する中国が、(今年中に)「小康(ややゆとりのある)社会」を実現したと言えるだろうか。もちろん“ノー”である。

 実は、2016年3月、王岐山 中央紀律委員会書記(当時)が、第13次5カ年計画(2016年~2020年)で「小康社会」を実現するという目標を掲げた。けれども、昨2019年から今年にかけ「新型コロナ」の世界的蔓延で、習近平政権は、今年のGDP目標数値さえ打ち出すことができなかった。

 そのため、王が掲げた今年末までに「小康社会」実現という目標は、“絵に描いた餅”に終わる公算が大きい。

習近平派に対する反撃か

 さて、この度、李克強首相は、なぜ中国共産党に“不都合な数字”を暴露したのだろうか。

 元来、経済に関しては、首相の“専権事項”だったはずである。ところが、前述の通り、首相でもない王岐山が、第13次5カ年計画で「小康社会」を実現するとぶち上げた。李首相からすれば、王による“越権行為”である。無論、それを許したのは、習近平主席だろう。

 同時に、習主席は、かねてより劉鶴副首相を重用してきた。だから、これまで李首相には、ほとんど出番がなかったのである。

 もしかすると、今回、全人代での記者会見で、李首相は「習近平派」に対する反撃を試みたのかもしれない。習主席の「中国の夢」を打ち砕くためである。

 当然、李首相には党内で確固たる「反習近平派」の支持があると見るべきだろう。そうでなければ、たとえ首相といえども、やすやすと中国の実態を暴露することはできなかったはずである。

習近平の暴走に眉をひそめる元老たち

 「反習派」の代表格は江沢民系「上海閥」に間違いない。習主席と王岐山の「反腐敗運動」で同派は徹底的に叩きのめされた。習主席らに対する同派の深い怨みは、想像に難くない。

 他方、胡錦濤系「共青団」(李首相の出身母体)は、以前、微妙な立ち位置だった。だが、現時点では「反習派」の一翼を担っているのではないだろうか。

 2012年11月、胡錦濤主席は辞任する際、(これ以上)「腐敗がはびこれば党が不安定となるリスクが増し、党の統治が崩壊する可能性がある」と党内で訴えた(したがって、最初「共青団」は習主席と王岐山の「反腐敗運動」を支援していたふしがある)。その時、胡主席は江沢民前主席ら古参幹部に対し、習近平新指導部へ干渉しないよう、涙ながらに訴えたと伝えられる。胡主席は、任期時、散々、江沢民元主席らから干渉を受けたため、新指導部には自らが経験した苦労をさせたくなかったのだろう。ところが、皮肉にも、それが習主席の“暴走”を招いたとも言えよう。

 実際、「反習派」は「紅2代」「紅3代」(元党幹部の2世・3世)の中にも存在する。また、一部の元老たちは、習主席の政治手法―終身制導入や「第2文革」発動等に対し、眉をひそめているだろう。

家族も離反し、四面楚歌? 

 近頃、習近平夫人の彭麗媛と娘の習明沢が、習主席と別居したと報じられている。その理由だが、彭夫人と明沢が、中国共産党による香港への武力弾圧に反発しているからだという。2人は、香港版「国家安全法」制定にも反対だと噂されている。明沢はハーバード大学で心理学を専攻したが、香港出身の友人もいる。そのため、香港市民に深く同情しているかもしれない。

 このように、目下「習近平派」は“四面楚歌”の状態にあると言っても過言ではない。だからこそ、習政権は、香港版「国家安全法」の制定や尖閣諸島や南シナ海等で強硬路線(「戦狼外交」? )に転じているのではないだろうか。

 仮想通貨億り人」を次々襲う「人生棒に振るほどの重税

現代ビジネス 2020年6月3日(水)7時01分配信

 密かに国税当局が新たなターゲットを定めていた。対象は、暗号資産で荒稼ぎし、成り上がろうとした「元・億り人」たち。国税当局はいかにして、その網を狭めているのか。最新動向をリポートする。

きっかけは60万円の投資

 「国税局から指摘された'18年度分の所得の申告漏れ額は約5300万円でした。追徴税額は加算税などを含めて、約3000万円。私の今の年収は300万円ほどですから、一生かかっても完納は不可能です。

 毎月わずかずつでも納めるつもりですが、多少残してあった暗号資産も、すでに換金して、息子の学費や自分の引っ越し費用の支払いに充てたので、今ではほとんど残っていません。国税庁が暗号資産の課税ルールを公表した'17年12月に気づいていれば、これほど大変な状況に追い込まれることはなかったのですが……」

 こう肩を落とすのは、東海地方で暮らす樋口沙織さん(仮名)。40代前半のシングルマザーだ。

 '08年公開の大ヒット映画『おくりびと』。このタイトルをもじって「億り人」と呼ばれた人たちがいる。'17年末までにインターネット上で流通する仮想通貨('19年3月以降の名称は暗号資産)を購入して、1億円を大幅に上回る利益を手にした一般投資家たちだ。

 暗号資産は代表的な「ビットコイン」の運用が'09年に始まり、円やドルなどの法定通貨と交換する業者=取引所が登場したことで、「イーサリアム」など派生の暗号資産も次々と誕生した。

 国税庁によると、暗号資産全体の価格が急騰した'17年の1年間で、暗号資産に投資して1億円以上の収入を得た人は、税務申告したケースだけで331人に上る。もちろんこれは氷山の一角で、雨後の筍の如く生まれ出た「億り人」に羨望の眼差しが向けられたことは、今も記憶に新しい。

 ところがその「億り人」の大半が今、大変な苦境に直面している。国税庁が'17年12月に突然公表した課税ルールによって、巨額の納税義務が発生したからだ。

 暗号資産の価格が'18年初頭から短期間に大暴落して、億単位の「含み益(株式などを取得したときよりも価格が上昇したことによって発生する、潜在的な利益のこと)」が瞬く間に吹き飛んだため、ほとんどの人は「億り人」の時代に負った巨額の税金など到底納められない事態に陥ったのだ。

 自らを「戻り人」や「瞬間億り人」などと自虐的に呼ばざるを得ない、彼らの実情を追った。

 前出の樋口さんはその一人だ。20代で結婚・離婚を経験し、個人事業主として実家の仕事を手伝いながら、一人息子を育ててきた。その息子もこの4月から名古屋市内の大学に進学し、樋口さん自身も一人暮らしを始めたばかりだ。

 樋口さんが初めて暗号資産に投資したのは'15年前半のこと。知人に影響されて、マイナーな暗号資産に13万円を投じたが、利益は出なかった。

 初めてまとまった金額を暗号資産に投資したのは、'15年10月、世界に先駆けて日本でプレセール(予約販売)された「カルダノ・エイダコイン(以下、エイダ)」だった。樋口さんが振り返る。

 「知人から紹介された暗号資産業者から『(イーサリアムの設立者で暗号資産の世界では神のような存在の)チャールズ・ホスキンソンが新たに開発した、将来有望な暗号資産』と勧められ、プレセールで60万円分購入しました。

 世間的には大した金額ではありませんが、自営業のシングルマザーにはそれが精一杯。預金の3分の1を取り崩し、生命保険も解約して捻出しました」

国税が公表した文書

 '17年10月に海外の取引所に上場されたエイダの価格は、他の暗号資産と同様、同年12月に急騰した。ピーク時の樋口さんの利益は約2億8000万円となり、投資額の実に約470倍に膨らんだ。

 ただし、この利益はあくまでも数字上の含み益で、いわば絵に描いた餅。円やドルなど、法定通貨に換金しない限り、投資家の手元には入らない。「含み益の金額が大きいと、換金しても半分は税金に取られる」と認識していた樋口さんは、結局エイダを換金せずにそのまま持ち続けた。

 この最中の同年12月1日、国税庁は「仮想通貨投資に関する所得の計算方法等について」と題する文書を、ホームページ上で密かに公表している。

 FAQ(よくある質問)形式で示された、暗号資産に対する課税ルールだった。暗号資産会計に詳しいホワイトテック会計事務所(東京都豊島区)代表の菊地貴加志氏が解説する。

 「国税庁が示したルールは、『保有する暗号資産を他の暗号資産を購入する際の決済に使った場合は、その時点での他の暗号資産の時価と、保有する暗号資産の取得価額との差額を所得とみなす』というものでした。

 つまり、含み益を持つ暗号資産を他の暗号資産と等価で交換した場合、その含み益に課税するということです。暗号資産の世界では、乗り換えはごく当たり前の行動で、その意味でもこの文書は極めて重要でしたが、そのことに気づけなかった投資家は少なくないでしょう」

 樋口さんもご多分に漏れず、この文書の存在すら気づくことはなく、保有するエイダを他の暗号資産に乗り換えていた。

 前述の通り、含み益は投資家が実際に手にする利益ではない。これが課税対象とされてしまうと、投資家はすでに保有している別の資産を取り崩すか、手持ちの暗号資産を換金して含み益を実現し、納税資金を捻出する必要が出てくるのだ。

 「ところが納税に回せる資金的余裕がなかったり、納税前に暗号資産価格が暴落してしまうと、仮に暗号資産をすべて換金しても納税額にはとうてい届かないケースが多い。

 '18年1月初旬から多くの暗号資産が暴落してしまい、元『億り人』で税金を払いたくても払えない人は相当数いると思います」(前出・菊地氏)

 暴落は悲劇的なものだった。ビットコインを例に取ると、'17年12月8日に1枚235万円の史上最高値をつけたあと、わずか2ヵ月後の'18年2月の安値は65万円と、最高値から一気に72%も下落。値下がりはその後も続き、'19年1月末の終値は37万円、最高値から85%もの下落率を記録している。

毎月1万円でも納めて

 暗号資産が暴落を始めていた最中、樋口さんが新たな暗号資産への乗り換えを行ってしまったのは、'18年2月のことだった。

 千葉市幕張で開催されたビジネスセミナーに参加した際、「PumaPay(プーマペイ)」という「ICO」案件を紹介された。ICOとは、「新規仮想通貨公開」と言われ、新たな暗号資産を発行し、資金調達を行うことを指す。簡単に行えるため、詐欺案件も多い。

 樋口さんはセミナーの数日後にはその購入に向けて、手持ちのエイダのほぼ全額を他の暗号資産イーサリアムに乗り換えた。樋口さんが解説する。

 「プーマペイはイーサリアムでしか購入できなかったからです。当時の私はイーサリアムを保有しておらず、必要なイーサリアムの購入資金も不足していた。そこで、手持ちのエイダ約1600万円分をまずイーサリアムに交換し、さらにそれをプーマペイと交換しました。

 暴落の最中とはいえ、エイダにはまだ含み益があり、イーサリアムに交換した時点でかなりの課税所得が発生したのですが、当時の私は『換金した時だけ課税される』と信じ込んでいました」

 樋口さんを追い詰めたきっかけは、自身の税務知識の乏しさだった。前述したセミナーで入手した暗号資産関係のソフトの購入費を、家業の手伝いで得た事業収入の経費に計上したのが発端だ。その結果、'18年分の所得が約170万円の赤字となり、所轄の税務署に疑念を持たれてしまったのだ。

 税務署の調査官が自宅にやって来たのは、'19年10月のことだった。

 「やって来た調査官は、当初、私が暗号資産に投資しているとは知らなかったんです。ところが、調査官の質問に『暗号資産の裁定取引のシステムです』と正直に答えて、暗号資産に投資している事実を自分から明かしてしまいました。

 '18年2月の乗り換えで発生した課税所得を、調査官から『これ儲かっていますよ』と言われたんですが、そのときもまだ暗号資産の課税の仕組みが分かっていませんでした」(樋口さん)

 その結果、冒頭の約3000万円という莫大な追徴税が課されることになってしまった。現在、エイダは2年前の10分の1程度に値下がりしたが、それもほとんど換金して残っていない。プーマペイもほぼ無価値に近い状態だ。樋口さんが語る。

 「とりあえず、3月末になけなしの1万円を納めました。その後も税務署からは『1万円でも2万円でもいいので、今月末までに納めてください』と言われています。こんな感じが毎月続くのかと思うと、気が重いです」

 東京近郊に暮らす40代後半の福岡渡氏(仮名)も、辛い毎日を送る暗号資産投資家の一人だ。'17年8月末に1枚6万円前後でビットコインを約1100万円分購入し、同年10月半ばにそのすべてをイーサリアムに交換した。

 さらに同年中には、イーサリアムをビットコインやICOなどに乗り換え、これによって同年の課税所得は約1億2000万円に上った。だが換金はしていないため、実際には1円も手にしていなかった。

 「当時のビットコインには敵対的ハードフォーク(互換性を持たない暗号資産の分裂)の情報が絶えず、資産が消滅してしまうのではないかという恐怖を持ち続けていました。それでは困るので、ビットコインからイーサリアムに避難したのです。しかし、それではビットコインしか受け付けないICOに投資できない。

 そこでハードフォーク後の技術状況が安定した時点で、保有するイーサリアムの半分を再度ビットコインに、残る半分をICOなどと交換したのです。この間に暗号資産を換金したことは一度もなく、抱えていた含み益も'18年1月以降の暴落で、ほぼ吹き飛んでしまいました」(福岡氏)

 これだけなら運が悪かった、で済む話だ。しかし、福岡氏の元に災難が降りかかる。インターネット上でノウハウなどの情報商材を販売する、名古屋市の「LSIホールディングス」というコンサルティング会社が、「節税をお手伝いします」と甘言を弄して近づいてきた。福岡氏が説明する。

 「彼らの説明する手法が違法と気づかずに処理を依頼し、約1900万円の手数料を支払ってしまったんです。支払いにはビットコインを使いました。彼らへの支払いで事足りると思っていたので、'17年分の確定申告は行っていません。

 ところが'18年10月に名古屋国税局がLSI社の査察に入り、私も反面調査(調査対象の取引先等に対して実施される税務調査の手法の一つ)を受けたことで、詐欺だと気がつきました」

絶対に逃げられない

 福岡氏は税金と詐欺のダブルパンチを受けてしまったわけだ。

 「翌年2月の確定申告ではとりあえず'18年分だけを自力で申告しました。その後は税理士に依頼し、無申告の'17年分も併せて、国税局と納税方法について交渉しています」

 福岡氏の納税額は加算税を含めて1億円を超える可能性がある。含み益を実現させないうちに価格が暴落したうえ、余裕資金も手元になく、完納は不可能だという。

 福岡氏は「他の暗号資産に乗り換えた時点で課税所得が発生するという国税当局の課税ルールは、暗号資産投資の実態を無視している」と憤る。

 国税関係者によると、「億り人」になった'17年分の所得を適正に申告した投資家は、全体の1割程度に過ぎないとされている。'18年初頭から暗号資産価格が暴落し、高額の税金に充てる資金を捻出する術がないからだ。

 だが、国税当局は無申告者である「戻り人」の実態把握を加速させているという。'18年以降、LSI社のような情報商材業者や、パソコンが苦手な高齢投資家の手続き代行をうたい文句にした業者などを税務調査したうえ、彼らが作成した顧客名簿を次々と入手しているのだ。

 「国税当局は、暗号資産の投資家が最も儲かった'17年末時点の投資状況を把握して、'17年分を含めた過去3年分の課税につなげる意向なのでしょう。今年はその意味でも、暗号資産投資家に対する調査件数が急増する可能性があります」(前出・菊地氏)

 税金は借金(負債)と異なり、破産しても原則的に免除されない。「戻り人」にとって、今年はいよいよ年貢の納め時になりそうだ。

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2020年6月 5日 (金)

【米中🈟冷戦】米上院「中国企業の米国上場廃止に繋がり得る法案」可決

外国企業の上場規制強化法案、中国証監会「米中双方の国益阻害

Bloomberg 2020年5月25日(月)6時12分配信

 中国証券監督管理委員会(証監会)は、米証券取引所に上場する外国企業の監視を強める米法案について、中国を標的にしたものであり、規制上の考察に基づいたものではないとの見方を示した。

 同法案が通過すれば、一部の外国企業は上場廃止につながる可能性がある。証監会は声明で、この法案は米中両国の国益を損なうことになると指摘。外国企業の米上場を妨げるだけでなく、世界の投資家の米資本市場に対する信頼も弱めると論じた。

 証監会は、証券規制を政治問題化する米国の行為に中国は反対するとしている。

 米国  世界の証券取引所に、中国企業の上場規制厳格化呼びかけ 

ロイター 2020年6月5日(金)7時24分配信

 ポンペオ米国務長官は4日、中国企業の「詐欺的な」会計慣行について米投資家に警告し、そうした企業の上場規則を厳格化する米ナスダックの最近の決定は世界の取引所のモデルになるべきだとの見解を示した。声明で述べた。

 ロイターは声明の発表前に、長官の発言内容を報じていた。

 長官の発言は、一部の中国企業の海外上場を制限したいトランプ政権の意向を反映するもので、貿易や新型コロナウイルス、香港を巡り緊張が高まっている両国関係の新たな火種となるとみられる。

 ポンペオ長官は、声明で「米投資家は、米企業と同じ規則を順守しない企業に伴う隠された不当なリスクにさらされるべきではない」と指摘。「ナスダックの措置は米国の他の取引所や世界の取引所にとってモデルとなるべきだ」と語った。

 また「全ての上場企業が国際的な会計・監査基準を確実に順守することを監査法人に義務付けたナスダックを称賛する」と述べた。

 金融市場運営会社の米ナスダック<NDAQ.O>は先月、会計の透明性に欠く中国企業の新規株式公開(IPO)を制限するため、上場基準を厳格化した。[nL4N2D10N1]

それ以前には、中国版スターバックス<SBUX.O>と称されるコーヒーチェーンの「ラッキンコーヒー」<LK.O>が、内部調査で、最高執行責任者(COO)らによって売上高が水増しされていたことが分かったと発表している。[nL4N2CU4AT]

 ナスダックは4日、コメントを控えた。

 トランプ米大統領は先月29日、政権内の金融市場に関する作業部会に「米国の投資家保護を目的に、米株式市場に上場する中国企業のそれぞれの慣習」を検証するよう指示したと明らかにした。[nL4N2DB3UX]

 米国務省のキース・クラッチ次官(経済成長・エネルギー・環境担当)は3日、ロイターに対し「実際の問題は透明性の欠如と米投資家への開示の欠如だ」と語った。

 また「いずれの国(の企業)も、特に米市場で取引を行っている場合、不当に有利な状況を得るため米投資家にうそをつくことを認められるべきではない」と指摘。政権内で中国企業の不透明な会計慣行への投資家の意識を高めようとする動きがあると述べた。

 香港取引所(HKEX)<0388.HK>のチャールズ・リー最高経営責任者(CEO)は4日、中国が「香港国家安全法」の制定方針を決定したことで米国の政治的圧力が高まっているため、米国に上場している多くの中国企業が今年、香港取引所に上場する可能性が高いとの見方を示した。[nL4N2DH3F6]

 米証券取引委員会(SEC)は、米上場中国企業の会計監査を巡り、中国政府と長年にわたり対立しており、SEC傘下の上場企業会計監視委員会(PCAOB)は、これら企業の重要情報に依然としてアクセスできていないとしている。

 SECのクレイトン委員長は4月、投資家に対し、情報公開の面で懸念があることから米市場に上場する中国企業への投資には慎重に対応するよう呼び掛けた。[nL3N2CA3LH]

 ある米政府高官は、2013年にSECが中国と調印した覚書を見直すことに期待を示した。この覚書は、中国の法律で情報開示が禁止されている場合、中国企業に情報を公開しないことを認めるもの。

 同高官は「おそらく今はそれがまだ適切かどうか精査するときだ。適切でなければ取り消すべきだ」と述べた上で、決定するのはSECだと付け加えた。

 中国からの旅客便  米国への乗り入れ不可 米運輸省✈運航停止命令

Aviation Wire 2020年6月4日(木)12時48分配信

 米国運輸省(DOT)は現地時間6月3日、中国航空会社による米国への旅客便の運航停止命令を発令した。中国政府が米国の航空会社に対し、中国への路線再開を認めていないことへの対抗措置で、16日までに発効する。

 この措置は、米国のドナルド・トランプ大統領の命令があれば、6月16日よりも前に発効する可能性がある。

 米中を結ぶ旅客便は、米国はアメリカン航空(AAL/AA)とデルタ航空(DAL/DL)、ユナイテッド航空(UAL/UA)の3社、中国は中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)と中国東方航空(CES/MU)、中国南方航空(CSN/CZ)、厦門(アモイ)航空(CXA/MF)の4社が運航している。米国の3社は中国から拡散した新型コロナウイルスの影響により、2月上旬までに中国路線の運航を停止。中国に対し6月1日からの運航再開を求めていたが、中国政府は承認しなかった。

 DOTは中国政府の対応について、「(米航空3社の)要求を承認しなかったことは、航空輸送協定に違反している」と反発。両国の航空会社が二国間の権利を行使できるよう、中国側との交渉を継続するとした。また中国の航空会社に対する運航許可は、中国政府が米国の航空会社に許可するのと同じ便数とする姿勢を示した。

 中国の航空当局CAAC(中国民用航空局)は3月26日に、中国の航空会社に対し国際線の旅客便を1路線につき週1往復のみ維持できるとする通達を発表。この通達に基づき、海外の航空会社も中国への定期便を週1往復のみ維持している。

 香港制圧を急ぐ中国政府の恐れ危機感

JBpress 2020年6月5日(金)8時00分配信

 6月4日は、天安門事件31周年だった。中国では当時、民主化を求める学生運動を行った人々を、密かに「六四世代」と呼ぶ。私は日本人なので、もちろん運動に参加したわけではないが、ちょうど同世代のため、「六四世代」の友人知人が少なくない。

 そんな中の一人は、数年前から、この日の話題をSNS上で行う際、わざわざ「五月三十五日」と書いてくるようになった。「六月四日」と書いて、検閲の対象になることを恐れているのだ。

 その彼が今年は、この日の夜になって、こんなメッセージを送ってきた。

 <今日は朝から、実に静かだ。天安門広場の付近が、最も静まり返っているらしい。昼になっても夕方になっても、騒がしい気配はまったくない。と思ったら、夜7時になって、けたたましい『新聞聯播』が鳴り出した>

 日本語に訳すと、雰囲気がうまく伝わらないが、前半は、厳重すぎる警備を皮肉っている。後半の「新聞聯播」(シンウェンリエンボー)というのは、CCTV(中国中央電視台)の夜のメインニュースだ。14億国民が知りたいことというより、中国共産党政権が14億国民に「教示」したいことを、30分間流す。

 ちなみにこの日の晩の「新聞聯播」では、香港に安全法を制定することは、香港の長期久安と繁栄発展につながるものだと強調していた。また、シリア副外相、コロンビア前大統領、ザンビア大学教授らにインタビューして、「これは完全に中国の内政の問題だ」と言わせていた。

コロナ感染防止を「口実」に天安門事件追悼集会を禁止

 その香港では、31年目にして初めて、天安門事件記念日の追悼集会が禁止された。「新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、9人以上の集会はまかりならない」ということを口実にした。

 中国政府は、今年の「六四」を迎えるにあたって、林鄭月娥・香港特別行政区行政長官、鄭若驊・同律政司長、李家超・同保安局長、鄧炳強・同警務処長、陳国基・同行政長官弁公室主任の「5人組」を北京に呼びつけた。5人組は、「六四」前日の午後、中南海で中国共産党中央政治局常務委員会(トップ7)で香港問題を担当する韓正・常務委員と面会した。

 林鄭長官は5月22日、北京で行われた全国人民代表大会の開幕式に参加したというのに、また北京入りである。今回は、北京の全国人民代表大会常務委員会で制定しようとしている香港国家安全法に、香港のトップとして賛意を表明するのが目的だ。この新法を制定することは、すでに全国人民代表大会最終日の5月28日に可決していて、早ければ今月内にも制定する勢いだ。

「香港の次は台湾、その次はアジア全体を狙っている」

 この新法を巡っては、香港で激しい反対運動が起こっており、それをアメリカが支援している。6月3日夕刻には、民主活動家の黄之鋒、周庭、區諾軒の3氏が、FCCJ(日本外国特派員協会)を通じて、香港からリモート記者会見を開いた。私もこの会見に参加したが、3人の表情は一様に硬く、危機感を募らせていた。

 黄之鋒:安全法制定は、香港に約束された「一国二制度」を「一国一制度」に変えるものだ。われわれは中国共産党の香港にはなりたくない。逮捕される香港にはなりたくない。習近平政権は香港の自由を保証しない。彼らの狙いは、香港の次が台湾で、その後はアジア全体なのだ。

 周庭:中国政府はコロナウイルスを利用して、香港のデモを押さえつけようとしている。香港は世界の金融センターであり、共産党体制の中国とは異なる場所だ。明らかに「二制度」の都市なのに、これを無理やり「一制度」にしようとしている。

 區諾軒:もし安全法を制定したなら、香港の「政治的正しさ」が失われてしまう。北京政府はいまや、香港の教育から変えようとしている。文化大革命を否定することも許さないのだ。いまこそ国際社会は香港を助けてほしい。

「香港国家安全法」で香港は衰退する

 一時間以上にわたって切々と訴え続けた彼らの姿を、パソコン越しに追いながら、いったいなぜ中国政府は、安全法の制定をこれほど急ぐのだろうかと、思いを馳せた。その結果、考えられるのは、以下の6点である。

 (1)新型コロナウイルスで民主派が動けない

 新型コロナウイルスがいまだ完全には終息していない香港では、前述のように9人以上の集会を禁止している。このデモが起こしにくいいまのうちに、安全法を制定してしまおうとしている。

 (2)立法会選挙を優勢に進める

 香港では9月に、立法会(国会)選挙が行われる。昨年11月の区議会議員選挙(地方選挙)は、民主派が389議席を獲得し、建制派(親中派)の60議席を圧倒した。そのため、昨年の二の舞を踏まないため、安全法を制定し、立法会選挙で民主派候補を厳しく取り締まる。もしも立法会選挙でも民主派が圧勝したら、一気呵成に「港独」(香港独立)に向かうと恐れている。

 (3)香港経済の悪化を避ける

 ただでさえ、新型コロナウイルスの影響で、香港経済は大きく落ち込んでいる。それがこの先もデモが続けば、アジアの金融センターとしての地位が揺らぐとの危機感を持った。

 (4)中国国内のデモを恐れた

 中国国内も現在、新型コロナウイルスの影響で、未曽有の不景気に陥っている。このまま香港でデモを許しておけば、いつデモが中国大陸に「輸入」されるかもしれないと、恐れている。

 (5)台湾への危機感

 台湾で5月20日に、2期目の蔡英文政権が始動したが、圧倒的支持率を誇る蔡政権は、台湾独立に向かって突き進んでいくリスクがある。そのため、香港を完全に抑え込み、台湾に睨みを利かせようとしている。

 (6)アメリカの動きは鈍い

 米ドナルド・トランプ政権は、香港への優遇制度を見直すとしており、5月29日にはトランプ大統領自ら会見を開き、そのことを宣言した。だが、アメリカは新型コロナウイルス他の深刻な内政問題を抱えていて、実際の動きは鈍いと見ている。

 いまの香港人が何を考えているかは、香港を現地ルポした新著『アジア燃ゆ』(MdN新書)に詳述したが、結局は、中国政府に背く人々は香港を去っていくことになるだろう。だがそうなった場合、国際金融センターとしての香港の地位が揺らぐのは確実だ。つまり中国政府は、発展より安定の道を選んだということだ。

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米国の対ファーウェイ禁輸措置台湾TSMC半導体工場誘致の深層

日経ビジネス 2020年5月20日(水)7時00分配信/細川 昌彦(元経産官僚)

 米中技術覇権の主戦場である半導体を巡る米中の綱引きが激化している。中国を半導体の供給網(サプライチェーン)から分離する米国の戦略は確実に進展している。拙稿「新型肺炎から垣間見えた、対中・半導体ビジネスの危うさ」で指摘した「部分的分離」戦略は決定的だ。

 5月15日、世界第1位の半導体ファウンドリーである、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)が米国のアリゾナに最先端の半導体工場を建設する計画を発表した。米国の連邦・州政府からの支援を受けて総額約120億ドルを投じ、2021年から建設を始める計画だ。

 TSMCを巡って米中が工場誘致に激しい綱引きを演じていたのは周知の事実だ。米中がそれぞれ、自国の半導体供給網(サプライチェーン)にTSMCを取り込もうと争奪戦を繰り広げた。TSMCの半導体工場は台湾に集中しているが、中国政府の要請で、南京に先端半導体の工場を建設しており、2018年から稼働している。一方、米国に有する工場は世代が古い工場であった。

 この報道に関していくつかの誤解を招きかねない点もある。

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 米国に建設する半導体工場は“最先端”ということになっている。だが、現時点では微細加工の線幅5ナノというのは確かに最先端ではあるが、TSMCは22年に台湾で3ナノの量産を始める予定だ。さらに2ナノも開発段階にあり、24年に生産開始を計画している。つまり、その時点では5ナノも最先端ではなくなっている。まだまだ米国と中国の取引、駆け引きは続きそうだ。

 軍事用途の半導体生産だとの指摘もあるが、これも疑問だ。一般的に半導体は軍事にも使われるので、その点ではもちろん「軍事用途」ともいえる。しかし、本件の誘致問題に米国の国防総省による特段の関与はほとんど見られないことから、この工場が特に軍事用途だというわけではないのだろう。

 また米国が半導体の自給自足を目指しているとの報道もある。確かに米国の半導体大手のブロードコムやクアルコムはいずれもファブレス企業で量産工場を持っているわけではない。インテルの生産だけでは心もとない。半導体生産の受託製造(ファウンドリー)の最大手TSMCの量産工場を誘致することは生産面で大きな意味を持つ。

 ただし米国だけでの自給自足は無理だ。半導体のサプライチェーンを見ると、日本の部材メーカーや日米欧の製造装置メーカーからの供給も含めたエコシステムとして成り立っている。中国との関係では、日米欧でサプライチェーンを押さえておくことに意味があるのだ。

日本の戦略は単純な量産工場の誘致ではない

 一方で「日本が米国のインテルや台湾のTSMCの最先端工場を国内誘致へ」というスクープ記事が一部で流れ、一瞬ギョッとした。だが、筆者の取材では経産省に「水面下で動き始めた極秘計画」といった大げさな動きが今現在、現実味をもって進められているわけではなさそうだ。

 私もかつて「日本も大戦略がなければ、米中のはざまで埋没するだけだ。TSMCを日本に誘致するような大胆な発想があってもよい」と指摘したことがある。かつて世界を主導する半導体メーカーを複数抱えていた日本も、今や国内に強力な半導体メーカーはなくなった。韓国、台湾の半導体メーカーの大胆な投資戦略とコスト競争力が敗因だ。現在の日本の強みは装置メーカー、部材メーカーであるが、これらも大口顧客である海外の半導体メーカーの購買力に引っ張られて、海外流出しかねない懸念がある。半導体メーカー自体を誘致して、半導体産業のエコシステム全体を日本に保持したいとの思いは理解できる。

 また韓国は昨年の日韓輸出管理問題もあって、半導体生産の日本依存から脱却して内製化を進めようとしている。文政権が先般の総選挙に勝って、今後反米親中路線が色濃く出ることも予想される。サムスンも中国傾斜を強めていることから、日本にとってのパートナーが台湾のTSMCになるのは自然な流れだ。

 しかし現実は日本の電気代、水道代などの立地コストの高さはなかなか克服できない。したがって量産工場を日本に建設することに経済合理性はない。海外の半導体メーカーの量産工場を誘致するのではなく、むしろ国内で研究開発を共同で進める方が現実的だ。ただし知的財産権など技術の流出に注意を要するのは当然だ。

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 経産省には、1100億円の基金を活用して、ポスト5Gで必要となる次世代の微細加工のロジック半導体の製造技術を開発しようという新規事業がある。ただ、これを外国半導体メーカーの最先端工場を国内誘致する政策とするのは少々飛躍がある。

 むしろ日本の部材メーカーなどとの共同研究の結果、この基金を活用して開発段階の試作までは期待できるだろう。そして開発まで見えてくれば、量産の一部ということも将来視野に入ってくる可能性もある。そうなれば日本の強みを生かした戦略といえるだろう。

 またこうした最先端の半導体の技術開発の旗を国が立てることは、日本国内の半導体エンジニアの人材流出を阻止して人材を確保するうえで極めて重要だ。これは原子力の人材問題と共通の課題だ。

 さらに次世代通信システム5Gでは海外に劣後する日本も、それを支える部材である電力消費を抑えるパワー半導体では職人芸の強みを発揮している。こうしたパワー半導体や電子部品といった情報通信機器のサプライチェーンの技術流出を阻止して、強みに磨きをかける政策も大事だ。

 半導体の量産工場誘致といった単純な発想ではなく、日本の強みを生かした重層的な戦略が重要なのだ。

日本企業にも影響、ファーウェイへの禁輸措置の強化

 TSMCの米国工場の建設計画発表された5月15日、米国は中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置の強化を発表した。まさに同じタイミングでの発表だけに、TSMCの工場建設と取引するのではないかとのそれまであった臆測も一蹴するものであった。

 昨年5月から米国製品のファーウェイへの事実上の禁輸措置を講じているが、韓国のサムスンや台湾のTSMCといった半導体メーカーを通じて半導体が輸出され続けていて問題視されていた。

 米国の技術やソフトウエアが使われている割合が25%以下である外国製品は規制対象外という「25%ルール」が“抜け穴”になっていると見られていた。25%以下であっても、米国製の製造装置や米国企業がデザインしたソフトウエアを使って作られたものであれば米国政府の許可が必要で、原則許可されず、事実上輸出できなくなるという規制がある(直接製品ルール)。今回の規制強化は、ファーウェイ向けの輸出製品にもそのルールを適⽤したのだ。

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 韓国のサムスンや台湾のTSMCは、米国の規制対象となっている米国企業のアプライドマテリアルズの製造装置やクアルコムのデザインしたソフトウエアを使って半導体を製造し、ファーウェイに輸出している。これが事実上ストップすることになるので、ファーウェイにとってスマホや通信基地局の生産に大打撃だ。中国は半導体の米国依存からの脱却を急ぎ自給自足を急いでいるが、すぐには代替できない。

 TSMCは米国政府の要求に応じて米国新工場の建設を表明することでこうした規制を免れる取引を模索したようだ。しかし、米国政府との取引は不成立に終わったようだ。

 ただ、一部に「米国製の製造装置などで製造した半導体などを今後はファーウェイに輸出できなくなり、大変だ」と騒ぐ向きもあるが、これは規制内容を誤解したものだ。今回の規制強化がピンポイントで限定されていることも注意して見る必要がある。

 すなわち、「ファーウェイ・グループの開発した技術・ソフトウエアに基づく製品」であることが前提であり、典型的なのはファーウェイ傘下の半導体設計のハイシリコンから委託を受けて生産した製品だ。いわゆる汎用品の半導体は規制対象外とされている。産業界からの慎重な規制を求める声を受けて、相当緻密な規制になっているようだ。その結果、今回の規制強化による実際の影響がどこまであるかは精査が必要だ。

 今回の規制強化を受けて、「TSMCがファーウェイからの新規受注を停止した」との報道もあるが、これも上記の“受注”生産に限定したものだ。

 日本企業にとっても他人事ではない。ファーウェイに半導体や電子部材を供給している日本企業は20社にも及ぶが(公表されているのは11社)、中にはこのルールに引っかかる取引もあるだろう。さらにサムスンやTSMCに半導体の部材を供給している日本企業にも、間接的に影響が波及してくる。

米中の半導体戦争は泥沼化か

 またトランプ大統領による選挙対策だと指摘する向きもある。大統領選を控えて、新型コロナの感染拡大の責任を巡って中国への批判を強め、対中強硬姿勢に傾斜している。前日の14日にトランプ大統領は「中国との関係遮断もできる」と発言して、対中強硬姿勢をアピールした。

 しかしファーウェイへの制裁強化をこの一環と見るのは本質を見誤っている。前述の“抜け穴”については昨年来、議会も含めて問題視され、これを防ぐための措置が議論されてきたものだ。新型コロナ騒動以前には、一時25%を10%に引き下げて規制強化する案もあったが、トランプ大統領自身が拒否した経緯もある。議会はむしろトランプ大統領がファーウェイへの制裁を中国とのディールに使って安易に譲歩することを懸念しているぐらいだ。

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 したがって今回の規制強化はトランプ大統領による“気まぐれ対中強硬策”ではなく、根深く、じっくり検討されたものと見るべきだ。

 中国政府は予想通り早速、強い反発をした。今後何らかの報復措置があることもちらつかせた。中国が策定することを表明している「信頼できない企業」リストに米国企業を掲載する可能性もある。

 また中国はIT機器を調達する際に安全保障の審査を行う「サイバーセキュリティー審査弁法」を今年6月から施行する。これは米国による中国製情報通信企業の排除に対抗するものだ。これを使って米国企業を排除することも予想される。

 まさに米中の半導体戦争は泥沼の様相を呈してきた。

 コロナ禍に目が行っている中で、米中対立は半導体を主戦場にして、「部分的な分断」が着実に進行中だ。米ソ冷戦期の「鉄のカーテン」になぞらえて、米中間の「シリコン・カーテン」とも言われている。好むと好まざるとに関わらず、こうした状況に直面して、日本政府の政策も日本企業の経営も安全保障を踏まえた判断を迫られているのだ。

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藤井七段“現&元”タイトルホルダー総ナメ🈠冠挑戦

日刊スポーツ 2020年6月5日(金)8時54分配信

 将棋の藤井聡太七段(17)が4日、史上最年少でのタイトル初挑戦権を得た。東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた、第91期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦で午後7時44分、100手で永瀬拓矢叡王・王座(27)を下し、渡辺明棋聖(36)への挑戦権を獲得した。同じ中学生で棋士となった渡辺とのタイトル戦5番勝負第1局は8日、同所で開催される。大舞台に藤井は17歳10カ月20日で初登場。屋敷伸之現九段(48)の持っていた最年少挑戦記録を4日上回り、31年ぶりに歴史を塗り替えることになる。

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 藤井がラストチャンスをモノにした。公式戦初対決の先手永瀬の仕掛けをしのぎ、反撃を始める。苦戦の末、投了に追い込んだ。「(史上最年少挑戦の)意識はせず、盤に集中しようと思って臨んだ。挑戦できてうれしく思います」。マスクを外すのを許可された別室でのリモート会見で、ほっとした表情を見せた。

 永瀬とは練習将棋を行う間柄。インターネットテレビ局ABEMA(アベマ)が今年企画して現在進行中の、3人1組の団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」では同じチームに所属する。現タイトル保持者などトップ棋士12人が主将となり、2人をドラフトで選ぶという趣向だ。実績を評価された藤井は永瀬から1位指名された。手の内を知り尽くされた先輩に、しっかり恩返しした。

 昨年11月の王将戦挑戦者決定リーグ戦でもチャンスはあった。4勝1敗同士の広瀬章人竜王(肩書は当時)との直接対決。混戦の末、最後に受け間違えて敗れた。以来、「力をつけて強くならないといけない」と、タイトル挑戦にかける思いをよく口にしていた。

 昨年度、史上初の3期連続での勝率8割超えを達成した直後、対局ができなくなった。新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が出て、長距離移動を伴う対局は延期。4月10日の王位戦挑戦者決定リーグを最後に、愛知県瀬戸市の自宅に「巣ごもり」した。「自分の将棋にしっかり向き合うことができた」。その成果が出た。

 デビューから3年半、タイトル戦への出場を目標としてきた。「現実的に難しいと思いましたが、最高の舞台で挑戦できるのはうれしい」と話す。

 渡辺棋聖とは昨年2月の朝日杯決勝で初めて戦い、勝ち、この同杯連覇を達成した。対局後に藤井は、相手の読みになかった攻めを指摘。「勝てる手順を逃して一方的に負けた」と、第一人者を残念がらせた。

 その2カ月後、都内で行われた平成の将棋界を振り返るイベントで2人は同席した。藤井を意識してか、席上で渡辺は、「僕は引き立て役になりたくない」と公言した。

 今回は異例の強行軍で戦う。「すぐ開幕になるので、しっかり準備したい」。加藤一二三・九段、谷川浩司九段、羽生善治九段に続く、中学生棋士同士の頂上対決。次は屋敷の持つ史上最年少タイトルホルダー(18歳6カ月)の更新を目指す。「1勝でも多く勝てるように頑張りたい」。コロナを吹き飛ばす活躍が期待される。

将棋のタイトル戦 タイトル保持者と挑戦者が、5番勝負または7番勝負で優勝を争うプロ公式戦。竜王戦、名人戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり、8大タイトル戦と呼ばれる。挑戦者決定方法は各タイトル戦で異なり、1年をかけて行われるリーグ戦やトーナメントで決まる。タイトル戦以外では、NHK杯戦などの一般棋戦がある。

藤井七段の勝ち上がり

<2月29日>

斎藤慎太郎八段 前王座(1期、18年度)

詰め将棋大好きな居飛車党。愛称「さいたろう」

<3月31日>

菅井竜也八段 元王位(1期、17年度)

藤井の天敵。新手を編み出す振り飛車党

<6月2日>

佐藤天彦九段 前名人(3期、16~18年度)

クラシック音楽が好きな「貴族」

<6月4日>

永瀬拓矢2冠 叡王(1期、18年度)王座(1期、19年度)

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関連エントリ 2020/06/04 ⇒ 【天安門事件】あれから31年「米中🈟冷戦」✍突入の予感

関連エントリ 2020/06/03 ⇒ 【藤井七段】✍元名人下し「最年少タイトル挑戦」へ王手!!

 

2020年6月 4日 (木)

【天安門事件】あれから31年「米中🈟冷戦」✍突入の予感

 香港政府、“天安門犠牲者の追悼阻もうと、警官数千人動員 

WoW!Korea 2020年6月4日(木)8時29分配信

 香港警察は4日、香港で開かれる天安門追悼ロウソク集会を阻もうと、数千人の鎮圧警察を配置した。

 3日、香港のサウスチャイナモーニングポスト(SCMP)によると、香港警察約3000人あまりが、この日に開かれる天安門犠牲者追悼ロウソク集会の鎮圧のために配置された。

 天安門追悼集会は1989年6月4日、中国の民主化を要求し天安門広場に出たが、中国政府の鎮圧により残酷に命を落とした人々を追悼する日である。

 香港市民は1989年6月4日の天安門事態以降、一回も欠かすことなく毎年6.4追悼集会を開いてきた。これまで30年ほど開いてきたが、今年は中国政府により禁止された。

 当局は不許可の理由を、新型コロナウイルス感染症の拡散防止のためだと説明したが、主催側は「中国が香港社会を統制しようとしているだけだ」とし、強行するという立場を明らかにした。

 これにより、衝突が避けられない状況の中、集会当日、警察数千人が現場に配置され、香港全域に緊張が走っているとSCMPは伝えた。

脳科学者「現中国指導部は天安門事件の弾圧の上に成り立っている

東スポWeb 2020年6月4日(木)13時01分配信

 脳科学者の茂木健一郎氏(57)が4日、ツイッターで1989年6月4日に起きた天安門事件と現在の中国について考察した。

 天安門事件について「あのような惨劇は決して忘れてはいけないし、なかったことにするというのは、とんでもないことである」という茂木氏は「あの時、中国が、もし、民主化の方に行っていたら、どうなっていたろう。普遍的な価値が大切にされる、もうひとつの国になっていたろうか。天安門を力で弾圧する側が勝ってしまったために、中国は、世界の中でも、化石のように全体主義的な価値観が支配する、特殊な国、エリアになってしまった」と指摘。

 また「天安門事件の弾圧の後、中国の急速な経済発展があったから、実際的な視点から、中国の体制が異質なもの、普遍的な価値からは遠いものであることをひとびとは忘れていた、というか忘れたことにしていたと思うけれども、『部屋の中の象』のように、天安門事件とその記憶は残り続けている」として「今の中国の指導部は、天安門事件の弾圧の上に成り立っている。中国の経済や社会の発展はすばらしいことだけれども、『部屋の中の象』である天安門事件の記憶、及びその抑圧は、権力中枢にとっては限りない後ろめたさだろう。だからこそ、ムキになる。人間は後ろめたいことは徹底して否定するものだ」と分析した。

 今後については「これからも、中国が発展し、また、日本もともに平和的に繁栄していきたいと思うけれども、台湾や香港のことを考えても、中国が、天安門事件という『部屋の中の象』を抑圧しようとすればするほど、対外的には持続不可能な自己正当化、強権に出るように思う。その意味で、天安門事件は今も生きている」との見方を示している。

 仁義なき米中第2次冷戦への深刻な予感 

現代ビジネス 2020年6月4日(木)6時01分配信/櫻田 淳(東洋学園大学教授)

中国の対米認識の歪みと甘さ

 武漢ウィルス禍は、米中「第2次冷戦」の構図を固めるのであろう。

 5月下旬、ドナルド・J・トランプ(米国大統領)麾下の米国政府は、「中国に対する戦略的アプローチ」と題した報告書を議会に提出した。この報告書は、過去の歴代政権による対中「関与」政策を失敗と断じ、トランプ政権の対中強硬姿勢を濃厚に反映しているけれども、その対中強硬姿勢をトランプ政権だけの性向と観るのは,誤りであろう。

 ウォルター・ラッセル・ミード(政治学者)は、『ウォールストリート・ジャーナル』紙上論稿(5月13日配信)の中で、ジョセフ・R・バイデン(前米国副大統領)が政権を奪回した場合の対中姿勢について、次のような展望を記している。

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「バイデン政権は、中国が米国の主要な地政学上の競争相手であるというトランプ氏の立場を多分に共有するであろうけれども、その競争を異なる仕様で手掛けることになるであろう。現任大統領は、既存の国際社会制度に疑いの眼差しを向けるけれども、バイデン氏は、中国政府に対する有効な国際的アプローチを構築する際には、それが不可欠な要素であると多分に観るであろう。バイデン政権は、欧州やアジアの同盟諸国との関係を混乱させるトランプ氏の意向には一線を画し、日本や韓国、ドイツといった重要な米国の同盟諸国との関係を円滑にしようとするであろう」。

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 ミードが指摘するように、トランプであろうとバイデンであろうと、次の大統領が率いる米国政府の対中姿勢は、基調としては変わらないであろう。加えて、米国連邦議会では、香港、台湾、ウィグルの情勢に絡んで、中国政府に敵対的な色彩を持つ法案が続々と可決している。

 こうした米国の全般的な対中姿勢を前にして、王毅(中国国務委員兼外相)は、5月24日の記者会見の席で、「米国のある政治勢力が中米関係を人質にして、両国関係を新たな冷戦の瀬戸際へと押しやっているということが、われわれの目を引いている」と語った。

 米中「第2次」冷戦状況を招いたのが、「米国のある政治勢力」の策動の類と認識されている事実にこそ、米中確執を激化させた中国政府における対米認識の歪みが反映されている。

仁義ある戦いだった第1次冷戦

 米中「第2次冷戦」への流れが固まるのであれば、それは、米国とソヴィエト連邦の「第1次冷戦」とは、どこが異なるのか。

 ジョン・ルイス・ギャディス(歴史学者)は、冷戦研究の古典『長い平和』書中で、米ソ「第1次冷戦」の実相を「長い平和」と表現した。

 ギャディスは、「核の均衡」を含めて、「長い平和」の条件を様々に指摘しているけれども、筆者は、米国が対峙していたソ連が「それでもヨーロッパの国であった」ということの意味は大きいのであろうと解釈してきた。

 米ソ両国には、資本主義と共産主義という表層的な経済体制の違い以前に、古代ギリシャ・ローマを淵源とする「ヨーロッパ・キリスト教世界」に連なる国家としての「仁義」が成り立っていたわけである。

 米国が「丘の上の理想郷」を出現させるべく建てられた国家であり、モスクワが「第3のローマ」であるという意識にこそソ連時代を通じたロシアの民族的矜恃の核心があるという事情は、それぞれに留意されるべきものであろう。

 米ソ両国の「仁義」の1つは、「互いの『シマ』を荒らさない」という暗黙の了解に反映される。

 実際、ヨーロッパ方面では、米国は、1956年のハンガリー動乱や1968年の「プラハの春」に際して東側陣営の結束に動揺が走った折でも、その動揺に付け入るような挙には出なかった。

 ソ連もまた、西側陣営の飛び地であった西ベルリンの地位に絡んで2度の「ベルリン危機」を生じさせたけれども、西ベルリンそれ自体に軍隊を進駐させるような対応には終ぞ踏み切らなかった。

 1962年のキューバ危機は、ソ連が西半球という米国の「シマ」に明白に手を出した故にこそ「第1次冷戦」下の緊張を最も高める国際政治事件になったのである。

 更にいえば、朝鮮半島、ヴェトナム、アンゴラ、アフガニスタンのように、特にアジア・アフリカ方面で「冷戦」が「熱戦」に転化する事例が続出したのは、そこが米ソ両国の何れの「シマ」かが曖昧で判然としていなかったという事情に因る。

すでに越えている一線

 そうであるとすれば、米ソ両国を縛った「仁義」は、「第2次冷戦」下で「そもそもヨーロッパの国ではない」中国に対しては果たして成り立つのか。

 それは、誠に重要な問いであると思われる。筆者は、そのような「仁義」は米中両国には成り立たない故に、「第2次冷戦」の様相は「長い平和」には程遠い不安定なものになるのであろうと観ている。

 前に触れた「互いの『シマ』を荒らさない」という了解に関していえば、中国政府は南シナ海や台湾、香港を自らの「シマ」として主張するかもしれないけれども、そのような主張を少なくとも南シナ海や台湾に関して受け容れる向きは多くない。

 それどころか、中国は従来、豪州、東欧、中米のように凡そ「中国の『シマ』」とは認識されていない方面にまで、「シャープ・パワー」と称される仕様での影響力の浸透を図ってきた。

 加えて、香港返還に係わる英中共同声明を実質上、反古にし、「香港の自由」を骨抜きにしようとする中国政府の姿勢は、『孫子』書中にある「兵は詭道なり」の価値意識を反映しているかもしれないけれども、そうした「詐術」の意義を肯定的に認める価値意識は、特に米国には受け容れられまい。それは、米中両国に「仁義」が成り立たないと筆者が読む所以である。

キッシンジャーは悔悟するか

 こうした中国の現状に向き合う上で示唆深いのは、ヘンリー・A・キッシンジャーが、『ウォールストリート・ジャーナル』紙上論稿(4月3日配信)中、ウィルス禍後の世界はどこまで変容するのかについて提示した見解である。論稿中、次のような記述がある。

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「世界の民主主義諸国は、その啓蒙主義的な諸価値を防護し、持続させる必要がある。正統性を伴った勢力均衡の確保から世界が手を引くことは、社会契約を国内的にも国際的にも解体させる一因になるであろう」。

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 しかし、米中「第2次冷戦」の構図が固まっていく中では、キッシンジャーが1970年代に手掛けた「米中接近」政策の歴史的な評価も変わるかもしれない。それは、往時の西側諸国の中でも真っ先に共産主義・中国の国家承認に踏み切り、キッシンジャーが憧憬の念を隠さなかったシャルル・ド・ゴールの外交論理への評価についても、同様であろう。

 「高々、『それでもヨーロッパの国であり、その故に米国との関係で暗黙の仁義が成り立った』ソ連を牽制するために、『そもそもヨーロッパの国ではなく、その故に仁義が成り立つかは怪しい』中国を抱き込み、その将来の増長に道を開いた」。こうしたシニカルな評価さえ、出てくるかもしれないのである。

 実際、キッシンジャーの往時の「勢力均衡」政策は、没価値的な色彩の強烈なものであり、国際政治における倫理の側面を重視したスタンリー・ホフマン(国際政治学者)が「工学的」と批判するものであったのである。

 現今に至って、「民主主義諸国の啓蒙価値の護持」を説くキッシンジャーの議論には、筆者も異論はないけれども、それならば、彼は、そうした「民主主義諸国の啓蒙価値」に公然と挑戦するようになった中国に対して、自らが華々しく展開した政策対応をどのように総括しているのか。「人間の仕事」の評価は、かくも難しい。

「自由世界」と「専制世界」、甦る永き対立の構図

 このようにして、キッシンジャーが説く「民主主義諸国の啓蒙価値の護持」という言葉の趣旨に則って何を手掛けるかが、民主主義諸国、特に日米豪加各国や西欧諸国のような「西方世界」諸国に問われることになる。

 現今、「西方世界」諸国の対応の焦点として浮上しているのは、「香港の自由」の扱いである。そもそも、香港は、政治・行政上は「中国の一部」であったとしても、既に価値意識の上では「中国の一部」ではない。

 事実、国際NGO団体「フリーダム・ハウス」が発行する『世界における自由 2020年』報告書の「自由度」指標によれば、中国本土やチベット自治区が100点満点中、それぞれ10と1という極端に低い値を示しているのに対して、香港が付ける値は55である。

 香港の「自由度」指数は、前年の59から後退したとはいえ、それ自体が「西方世界の『出島』」としての香港の位置を暗示する。加えて、日本、豪州、台湾を含む太平洋島嶼諸国の「自由度」指数が軒並み70以上の値を付けている事情を考え併せれば、香港も太平洋島嶼勢力の一角を占めると観るのは、充分に可能である。

 故に、仮に中国政府が香港国家保安法制の枠組を通じて「香港の自由」を骨抜きにしつつ、その果てに武装警察部隊や軍事部隊を投入して流血の事態を招くならば、その衝撃は、1989年6月の天安門事件の比ではないであろう。

 北京・天安門のような「中華世界の本丸」とは異なり、香港は英国統治の永き歳月を通じて「自由が移植された空間」なのであれば、そこでの蛮行は、それ自体が「西方世界」に対する侵略の類として受け止められるであろう。

 香港国家保安法制を導入する中国政府の決定に際して、米英豪加4ヵ国が共同声明を発して中国を非難し、EU(欧州連合)や日本が懸念や憂慮を表明しているのは、「西方世界」の反応としては当然のものである。

 振り返れば、紀元前5世紀、アケメネス朝ペルシャ帝国が古代ギリシャ世界を脅かしたペルシャ戦争に際して、ペルシャが真っ先に刃を向けたのは、小アジア・イオニア地方のギリシャ系諸都市国家であった。現下の香港も、「自由世界」と「専制世界」の対決の原型としてのペルシャ戦争におけるイオニア諸都市国家に似た位置付けを持つことになるであろう。

 そうであるとすれば、米中「第2次冷戦」は、ただ単に21世紀における米国と中国という2つの国家の確執を指しているのではない。それは、「自由世界」と「専制世界」の永き対決の構図の中に現れた1つの風景なのである。そうした視点で物事を眺めることには今、幾許かの意義があろう。

米国研究機関に堂々と巣食う中国のスパイたち

JBpress 2020年6月2日(火)8時00分配信/山田敏弘(国際ジャーナリスト)

 最近、米国の大学や研究機関で「中国絡み」のトラブルが頻発している。

 2020年1月28日、米マサチューセッツ州の名門大学であるハーバード大学で、化学・化学生物学部長のチャールズ・リーバー教授(60)がFBI(連邦捜査局)によって逮捕された。ナノサイエンスの分野における世界的権威であるリーバーの逮捕容疑は、中国の武漢理工大学で研究所を設立するとして中国政府から約150万ドルを受け取っていた上に、毎月5万ドルの支払いを中国から受け取っていたこと。これらは当局へ報告の義務があるが、リーバーは捜査員に虚偽の説明をしたことで逮捕された。

 さらに5月には、オハイオ州のクリーブランド・クリニックで研究者をしていた中国系アメリカ人チン・ワンが、中国政府から研究助成金を受けて中国の研究施設で役職をもっていることを米国で虚偽申告したとして逮捕されている。

中国政府が推し進める千人計画

 実はこの2人、中国政府が国策として海外の優秀な人材を支援する「千人計画」に参加していた。のちに詳しく見るが、この「千人計画」に関与している米国内の科学者たちはかなりの人数に上り、彼らを米国当局は「中国政府のスパイ行為に協力している」と睨んでいる。上述の摘発もその流れの中で実施されているのである。

 その動きが最近の米中関係の悪化にともない、より強化されている。いま米国政府は、新型コロナウィルスの責任問題や貿易不均衡問題、また中国の通信機器大手ファーウェイなどとの取引をめぐる争いに加えて、こうした米国内で中国政府につながりのある学者や中国人留学生などに対する締め付けを厳しくしているのだ。

 2018年11月から、米国司法省は、冒頭のリーバーやワンの事件で取り沙汰された千人計画など中国側と関与している者たちによるスパイ活動の取り締まりや重要インフラのサイバー攻撃からの保護などを含む「チャイナ・イニシアチブ」を始動した。この時、当時のジェフ・セッションズ司法長官は中国政府のスパイ活動に「もううんざりだ」と吐き捨てた。ちなみにFBIでは、その2年前から千人計画を捜査し、関係各所には注意を促していたが、“スパイ活動”が鳴りを潜めることはなかった。

千人計画にすでに1万人以上が参加

 中国で2008年にはじまった「千人計画」は、中国興隆のために国外にいる中国人科学者などを中心に人材を確保することを目的としている。米情報当局者がメディアに語ったところによると「すでに1万人以上が参加しており、参加者は本職でもらっている給料の3~4倍の給料が提供される」という。

 特に米国が警戒しているのは、生物科学医学の分野などでの研究開発の情報や知的財産に関するスパイ活動で、米当局は昨年から180件に及ぶ調査を行なっている。その過程で、世界的にも知られるような主要な研究所などほとんどすべてでこうした疑いのあるケースが浮上しているという。「共同研究」などの名目で知的財産を盗まれ、中国で勝手に特許が取られている場合もあり、米当局は中国政府とつながりのある研究者や学生などが研究所などから情報を盗む「スパイ工作」に関与していると見ている。

 2019年にも、米カンザス大学で中国系の准教授が中国の大学との関係を隠していたとして起訴されている。これまでも中国は同様の手口で情報を盗んできているし、サイバー攻撃でハッキングを行なって米重要機関から知的財産や機密情報を盗んでいる。だからこそ米当局は厳しい取り締まりに乗り出している。

 中国政府に繋がっている「協力者」は、大学や研究機関のみならず、民間企業にも潜んでおり、その数は600人ほど確認されているという。うちの4分の1はバイオテクノロジー系の企業にいるらしい。

 こうした中国政府の関与が疑われる「スパイ工作」は米中貿易交渉の中でも議題に挙がるほど深刻になっている。

 米国による締め付け強化は、科学者だけでなく、中国からの留学生に対しても行われている。トランプ政権はつい最近、中国から留学している人民解放軍とつながりのある大学院生などの入国拒否や制限を実施すると発表した。これにより3000人ほどの留学生や研究員に影響が及ぶことになる。

軍人が学生を装い米国留学

 米政府関係者がメディアに語ったところによれば、「中国政府は、軍とつながりのある大学から海外に留学する学生の選別に関与しており、学生の中には留学先の学費を免除する代わりに情報収集をするという条件で留学の許可を得ている者もいる」という。

 実際に1月には、人民解放軍の傘下にある国防科学技術大学と関係がある29歳の女性軍人が、学生を装ってボストン大学に留学し、2年近くにわたって物理学や医用生体工学の学部に出入りして情報を中国に送っていたとしてFBIに指名手配されている。

 (参考)https://www.fbi.gov/wanted/counterintelligence/yanqing-ye

 また2019年12月には、ハーバード大学に留学していた中国人のがん研究者ジェン・ザオソンががん細胞の入った生物試料の瓶を21本も隠し持って中国に帰国しようとしたところ、ボストン空港で逮捕された。

 こうした事態を踏まえて米国務省は、2018年から中国人研究者らに対し、センシティブな情報や研究を行う大学や研究機関への留学ビザの期間を1年に短縮(1年ごとに更新可能)した。一方で、留学生がもたらす学費などのビジネスは莫大で、2019年は450億ドル(全留学生)のカネが米国もたらされていることから、学部生については引き続き留学を許可している。

 締め付けがどんどん厳しくなる中国人留学生に対する態度は、大学によっても差があるようだ。

 筆者は米マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学していたが、その際に、大学側と知的財産の所在を明確にして大学から無断で持ち出さないと合意する文書にサインをさせられた。米国の名門大学や大学の研究機関などでも大学院生や研究者などに対するそうしたルールは徹底している。特にマサチューセッツ州のボストン近郊には名門大学が近くにいくつもあり、どこも大学の研究の扱いは厳しいはずで、実際にMITなどでは中国人留学生や教員が摘発さえるケースは聞かない。それどころか、研究協力をしていた中国のAI関連企業が中国国内でウイグル族などへの監視に関与しているとして、研究関係を直ちに解消している。それだけにハーバードの教授の逮捕は衝撃的だった。

 もっともハーバードは中国政府と関係は悪くない。そのため逮捕された教授以外でも、中国共産党の息のかかった教授などが暴露されている。有能な人材を多数輩出しているだけに、そうした外国からの影響にも人々は注目している。

日本だって当然中国スパイの標的

 筆者は少し前に、イスラエルの元情報機関関係者と話をしていて、中国の対外工作について見解を聞いたことがある。

 「中国人の裏の活動は私たちも注視しています。サイバー攻撃で知的財産を盗もうとしてくることも把握しています。イスラエルでも米国でも、中国からの留学生は警戒が必要です。なぜなら、彼らの家族は中国国内にいて、言わば人質のようなものです。家族が人質なら、指示されたことはやらざるを得ない。それが情報を盗むというスパイ工作に繋がるのは当然でしょう」

 誤解ないようにはっきりしておくが、すべての中国人留学生や研究者がスパイだと言っているのではない。ただよからぬ目的を持っていたり、中国共産党から指示を受けたりして動いている人たちが中にいることは米国の例からも明らかである。

 もちろん、これは米国だけの話ではない。「中国人スパイ」は、世界各地で様々な手を尽くして組織的に情報を盗もうとしている。日本でも最近、三菱電機が中国政府系ハッカーらによって8000人以上の人事情報や機密情報が盗まれたと話題になっていた。

 日本の政府機関や研究機関、民間企業が、中国だけでなく世界中の情報機関やハッカー集団から「おいしい標的」として目をつけられているのは事実だ。米国並み、とは言わないが、外国からの公然・非公然のスパイ活動に対し、もっと警戒レベルを挙げておく必要があるのではないだろうか。

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2020年6月 3日 (水)

【藤井七段】✍元名人下し「最年少タイトル挑戦」へ王手!!

最年少タイトル挑戦M1!藤井聡太七段は追い風に乗った

日刊スポーツ 2020年6月3日(水)7時01分配信

 将棋の藤井聡太七段(17)が史上最年少でのタイトル挑戦へ、あと1勝とした。2日、東京・千駄ケ谷の「将棋会館」で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント準決勝で、佐藤天彦九段(32)を下した。渡辺明棋聖(36)への挑戦権をかけ、4日の決勝で永瀬拓矢叡王(27)と対戦し、勝てばタイトル戦初登場。17歳10カ月20日での挑戦となり、屋敷伸之現九段(48)の最年少記録を4日上回る。渡辺との5番勝負第1局は8日、同所で開催される。

   ◇

 藤井には、新型コロナウイルス感染拡大に伴う約2カ月のブランクなど、関係なかった。

 午前10時の対局開始前。藤井は検温を行い、白いマスクで盤に向かった。18年1月、朝日杯準々決勝で下した名人経験者を時間の経過とともに着実に追い詰める。午後7時33分、111手で勝利を手にした。

「激しい変化の多い局面で、手厚く指せた」。対局後、コロナ対策で設営された別室でのリモート会見で話した藤井。いつもの淡々とした藤井節だった。

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 本来、この対局は4月17日に予定されていた。しかし緊急事態宣言に伴い、日本将棋連盟は4月8日、「4月11日から5月6日まで長距離移動を含む公式戦の対局は、5月7日以降に延期」と、発表した。

 藤井にとって4月10日、王位戦挑戦者決定リーグの菅井竜也八段戦を最後に対局の機会がなくなった。この間の生活について問われると「普段よりのんびりしていたが、将棋には変わらず取り組んできた」。オンとオフを切り替えていた。

 5月8日、緊急事態宣言が延長されると、連盟は「長距離移動を含む対局は6月1日以降の実施」と追加発表。藤井のタイトル戦挑戦最年少記録の更新は、厳しくなったとみられた。

 逆風が一転、追い風となったのは先月27日。緊急事態宣言の全国的解除を受け、6月1日からの再開が決定。棋聖戦は準決勝2局を2日、決勝4日、5番勝負第1局を8日に行う、異例の強行日程が組まれた。7月19日に18歳となる藤井にとって、記録更新には、6月11日までのタイトル戦登場が条件だった。

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 すべり込みで、お膳立ては整った。「決勝に進めてうれしく思います。すぐにあるので良いコンディションで臨みたい」と話した。

 この日、もう一方の準決勝を勝ち上がった永瀬とは公式戦初対決だ。デビュー1年目の17年3月、インターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの番組企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負」(非公式戦)の第2局で唯一、黒星を喫している。「2冠を保持して充実されている。手厚い指し回しで踏み込みが鋭い。強さは十分分かっています。しっかり戦いたい」。中1日での大勝負に臨む藤井に注目だ。

藤井聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。5歳で祖母から将棋を教わり、地元の教室に通い始める。杉本昌隆八段門下。16年10月、14歳2カ月の史上最年少でプロ(四段)に。中学生棋士としては史上5人目。名古屋大学教育学部付属高3年。17年6月、デビューから負けなしの29連勝で、将棋界の連勝新記録を達成。18年2月、朝日杯で史上最年少の公式戦初制覇。同年10月には新人王戦も制した。翌年2月、朝日杯連覇。昨年度、史上初の3年連続勝率8割以上を記録。通算172勝32敗。勝率8割4分3厘。

〇…タイトル戦史上最年少挑戦の記録を持つ屋敷伸之はこの日、棋王戦挑戦者決定トーナメントで松尾歩八段を下した。藤井の対局は特に意識していなかった。31年前、同じ棋聖戦予選であれよあれよという間の快進撃を演じ、「お化け屋敷」「忍者屋敷」の異名を取った。「無我夢中で戦っていた。格上との対戦が多く、運が良かった」と笑う。記録更新まであと1勝と迫られた藤井について「新しい人が出てくるのは素晴らしい。藤井さんのおかげで、自分の記録が脚光を浴びた。将棋界を盛り上げてもらってありがたい」と話した。

藤井聡太タイトル挑戦へ超異例日程。渡辺明棋聖「可能性は5割以上」

Number Web 2020年5月30日(土)8時01分配信

 緊急事態宣言の解除によって、止まっていた将棋界のタイトル戦も一気に動き出した。

 新型コロナの渦に巻き込まれてしまうものとほぼ諦められていた、藤井聡太七段のタイトル戦挑戦の最年少記録更新も可能性が急復活した。

 ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社主催)の挑戦者決定トーナメントの準決勝、藤井-佐藤天彦九段戦と、永瀬拓矢二冠-山崎隆之八段戦が6月2日に設定され、決勝は中1日で4日に対局。そして渡辺明棋聖が待ち受ける棋聖戦五番勝負の第1局は、挑戦者決定から4日後という前代未聞の短い間隔で、8日に東京・千駄ヶ谷の将棋会館で開催という日程が発表されたからだ。

 藤井が準決勝、決勝と連勝して挑戦権を手にすれば、屋敷伸之四段(現九段)が17歳10カ月24日で挑戦した1989年の棋聖戦の記録を4日更新する最年少レコードの更新となる。

 準決勝からタイトル戦まで合わせて中5日という超異例の対局日程を組んだところに、藤井聡太という次代を背負って立つ大スターにかける日本将棋連盟の期待の高さが読み取れるところだ。

名人戦、叡王戦の日程を見てみると。

 併せて、延期、再延期となっていた豊島将之名人-渡辺明挑戦者の名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)七番勝負の日程も27日に決まった。また同じく永瀬叡王と豊島挑戦者がまみえる叡王戦(ドワンゴ主催)七番勝負の日程も1、2局目のみ先行して発表された。

 一気に動き出した3つのタイトル戦を記して、その慌ただしさを実感してもらいたい。

6月8日
棋聖戦第1局 東京「将棋会館」

6月10、11日
名人戦第1局 鳥羽市「戸田家」

6月18、19日
名人戦第2局 天童市「天童ホテル」

6月21日
叡王戦第1局 会場未定

6月25、26日
名人戦第3局 東京「将棋会館」

6月28日
棋聖戦第2局 東京「将棋会館」

7月5日
叡王戦第2局 会場未定

7月27、28日
名人戦第4局 東京「椿山荘」

8月7、8日
名人戦第5局 東京か大阪「将棋会館」

8月14、15日
名人戦第6局 東京か大阪「将棋会館」

8月27、28日
名人戦第7局 東京か大阪「将棋会館」

名人戦を1カ月も開けて棋聖戦か。

 目を引くのは、名人戦の第3局と第4局の間が1カ月開いていることだ。推測だが、ここに棋聖戦の後半戦をズドンとはめ込んでくるものと思われる。

 名人戦が佳境を迎える前のタイミングで、渡辺明と藤井聡太のタイトルマッチが燃え上がる展開は、主催者や日本将棋連盟だけではなく、将棋ファンの誰もが待望するところだろう。

 両タイトル戦にまたいで登場する渡辺明にとっても、その期間だけは相手を1人に絞って戦える設定は好都合に違いない。叡王戦と名人戦をまたぐ豊島としても、名人戦がそこで1カ月開くのは歓迎なはずだ。

佐藤、永瀬、山崎も高く大きな壁。

 とはいえ、棋聖戦に藤井聡太が出てくると決まったわけではない。

 準決勝で当たる佐藤天彦は、名人陥落後に調子を落としているとはいえ、相手の攻めをギリギリ見切る技術は超一流。藤井と言えども簡単に突破できる相手ではない。

 そして、決勝に出てくるのは充実の永瀬か独創の山崎。どちらにしても高く大きな壁だし、3人が自動的に敵役になっている雰囲気を感じるのも必然で、よけいに力を出してきそうだ。

 '16年のデビュー以来、毎年8割以上の勝率をマークしている藤井聡太であっても、タイトル戦の挑戦権にたどり着くというのは、それほど大変なことなのだと改めて思う。

 それでも、待ち受ける渡辺明棋聖は「可能性としては5割以上藤井さんが出てくるものと思っています」と、冷静に計算している。

 藤井聡太のポジションは、すでに認められているのだ。

王位戦も順調に勝ち進んでいる。

 藤井聡太のタイトル挑戦の可能性は棋聖戦だけではない。王位戦(ブロック紙3社連合主催)でも挑戦者決定リーグの白組で首位を走り、その最終戦が6月13日と発表された。阿部健治郎七段に勝てば、23日に紅組首位の棋士(永瀬二冠が最有力とみられる)との挑戦者決定戦に進む。

 木村一基王位が待ち受ける七番勝負は、例年通りの時期(昨年は7月3日から9月26日)に収まりそうで、棋聖と王位の挑戦権をともに藤井が手中にしたときは、入り組んだタイトル戦の過密日程の中に飛び込むことになる。

 これから暑くなる時期なのに、コロナの影響は当然残っていて、対局室はエアコンを入れながら換気のために開け放たれることになるのだろう。マスク絶対着用の暫定ルールがどうなるかだが、普段に増して健康管理も問われる夏の陣となるのは間違いのないところだ。

 トップ棋士たちの妙技を存分に楽しみたい。

渡辺明3冠、藤井聡太七段を称賛「理想的な勝ち方終盤も鮮やか

スポニチアネックス 2020年6月3日(水)5時30分配信

 将棋の藤井聡太七段(17)は2日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた棋聖戦決勝トーナメント準決勝で佐藤天彦九段(32)を破った。4日の決勝では永瀬拓矢2冠(27)と対戦。勝てば8日開幕の5番勝負出場が決まり、タイトル戦出場の史上最年少17歳10カ月20日を樹立する。

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 タイトルを保持する渡辺明王将(36)は決勝進出した藤井について「先手番なので、着実に有利を拡大していくのが理想的勝ち方。終盤も鮮やかでした」と印象を語った。これで昨年11月、藤井があと1勝でタイトル初挑戦だった第69期大阪王将杯王将戦(本社主催)の挑戦者決定リーグ最終日と同じ条件になった。

 再びタイトルホルダーとして待ち受ける立場となったが「当時も直前にいろいろ取材を受けて心の準備はできていた。改めてどうこうと言うことはない」。タイトル獲得25期の第一人者は泰然としていた。

 藤井と永瀬による4日の決勝については「トーナメントですから。各棋戦で活躍する2人の挑戦者決定戦」と勢いのある若手同士、想定の範囲内との見立て。第1局が8日に迫るため「具体的な指し方は結果を見てからですが、手探りでやることになりそう」と準備期間の少ない異例の番勝負へ覚悟を固めた。

 コロナ関連破綻 全国で200件超従業員10人未満が5割 

東京商工リサーチ 2020年6月3日(水)13時38分配信

 6月3日正午現在、「新型コロナ」関連の経営破たんが全国で204件(倒産149件、弁護士一任・準備中55件)に達した。新型コロナ関連の経営破たんは、2月2件、3月23件で、4月に入り84件に急増した。5月も83件発生し、6月は3日正午までに12件が判明した。

 都道府県別では、42都道府県で発生。空白県は福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県。

 件数は、東京都が45件(倒産40件、準備中5件)で、突出している。以下、大阪府18件(同12件、同6件)、北海道16件(同14件、同2件)、静岡県11件、兵庫県10件の順。

 業種別では、インバウンド需要の消失、国内旅行・出張の自粛でキャンセルが相次いだ宿泊業が34件(同26件、同8件)、外出自粛で来店客減少や臨時休業、時短営業に追い込まれた飲食業が32件(同20件、同12件)と、この2業種の件数が拮抗している。

 百貨店や小売店の臨時休業が影響したアパレル関連が24件(同18件、同6件)で、個人消費の関連業種が上位に並ぶ。休校やイベント休止などの影響を受けた食品製造業も16件発生した。

 経営破たんのうち、倒産した149件では破産が121件(構成比81.2%)を占め、事業継続を断念した企業が圧倒的に多い。一方、再建型の民事再生法は18件(同12.0%)にとどまった。

 上場会社は、東証1部の(株)レナウン(東京、民事再生、負債138億7900万円)の1件のみ。

 経営破たんした企業は、もともと人手不足や消費増税、暖冬の影響で資金繰りが厳しくなっていたところに、新型コロナによる急激な業績悪化で、行き詰まったケースが多い。

 6月1日、各地で事業者への休業要請が大幅に緩和された。しかし、新型コロナ感染拡大で事業活動が制限され、毀損した売上が回復するには時間が掛かる。また、感染者が再び増加している北九州市、「東京アラート」が発動された東京都など、コロナ終息は不透明さを増している。

 このため、休業していた企業・商店が先行きが見通せず、制度融資や支援策などを活用しないまま廃業を決断するケース、あるいは先送りされた倒産が顕在化することが危惧される。

※ 企業倒産は、負債1000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。

※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものを集計している。

6月3日 経営破たんは200件超え、従業員被害数は7702人

 新型コロナ関連の経営破たんは、6月3日正午現在で204件に達した。従業員数が判明する197件では、5人未満が59件(構成比29.9%)、5人以上10人未満が41件(同20.8%)で、10人未満の小・零細規模が100件(同50.7%)と半数を占めた。従業員数合計は7702人で、パート・アルバイトなどの従業員まで含むと、雇用喪失はこの数倍に及ぶとみられる。全国に広がる新型コロナ関連の経営破たんの増加は、地方の雇用悪化に拍車をかける可能性も出てきた。

 負債額が判明する186件のうち、負債1億円以上2億円未満が34件(同18.2%)で最多。次いで、2億円以上3億円未満が32件(同17.2%)、10億円以上が30件(同16.1%)。1億円未満は47件(同25.2%)だった。

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2020年6月 2日 (火)

【人種差別】“抗議デモ”✍キング牧師暗殺(1968)当時を超える規模

拘束された黒人男性の死因窒息独立検視官殺人断定

ロイター 2020年6月2日(火)6時36分配信

 米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され死亡した事件を巡り、独立検視官らは1日、遺族の要請を受けて行った検視の結果、死因は「窒息」で、殺人により死亡したと断定した。また死亡原因となるような持病も見られなかったとした。

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 郡検視官によると、外傷性の窒息の形跡はなく、冠状動脈疾患や高血圧が死亡につながった公算が大きいとされていた。

 今回検視に当たったアレシア・ウィルソン医師は「形跡から死因は機械的窒息で、殺人による死亡と判断される」と表明。検視に立ち会ったマイケル・ベーデン医師もウィルソン氏の意見に同意するとした上で「フロイド氏に死亡原因となるような持病は見られなかった」と指摘した。

 抗議デモ、全米で拡大 逮捕者4100 

FNN PRIME online 2020年6月2日(火)6時30分配信

 アメリカで黒人男性が白人の警察官に押さえつけられ、死亡した事件をきっかけに発生した人種差別に抗議するデモは、事件から1週間となる1日も各地で続いた。

 抗議デモは、全米でさらに拡大し、現地メディアによると、これまでに少なくとも4,100人が逮捕され、ニューヨーク市を含む、およそ40の都市で夜間外出禁止令が出されている。

 各地で、放火や店舗の破壊、略奪行為が相次ぎ、抗議デモが一部暴徒化する中、死亡した男性の弟が1日、ミネソタ州の現場を訪れ、暴力的な行動をやめるよう訴えた。

 死亡した男性の弟「あなた方がやっていることは何もなさない。そんな(暴力的な)事をしても兄はかえってこない」

 一方、トランプ大統領は、州知事らとの非公式協議で「力ずくで制圧するように」と呼びかけていて、衝突は今後さらに続くとみられる。

ビリー・アイリッシュ、“すべてのが大切All Lives Matter)”を批判白人には最初から特権がある

ELLEgirl 2020年6月1日(月)21時30分配信

 先週、ミネソタ州ミネアポリスで起きた白人警官によるアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドに対する暴力事件。フロイド氏が武器を持たず、無抵抗だったにも関わらず警官は膝で彼の首を約8分間にわたって押さえ続けた。その後動かなくなったフロイド氏は病院に運ばれたが、そのまま亡くなった。

 この事件を通行人たちが撮影、SNSで拡散されたことから全米で抗議活動が勃発。これまで警察による人種差別的な暴力事件が起きるたび、「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」というスローガンのもとデモやSNSでの抗議活動が行われてきた。今回もこのハッシュタグを使って、多くのメッセージが投稿されている。でも同時に白人を中心に「All Lives Matter(すべての命が大切だ)」というハッシュタグを使って「アフリカ系アメリカ人だけを大切にするな」と言い出す人もいる。これに対してビリー・アイリッシュが抗議のメッセージを発表している。

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 インスタグラムに「今週、この話題についてどう話そうかと考えていた。私のプラットフォームは巨大だから、敬意を持って話そう、言い方に気をつけようと思った。でももうどうでもよくなったから話す」と綴ったビリー。「もしもう1度でも「すべての命が大切だ」という言葉を聞いたら頭がおかしくなる。もうだまーーーってくれない? 誰もあなたの命が大切じゃないなんて言ってないし、あなたの生活が大変ではないとも言ってない。誰もあなたのことは言ってないの。お前たちがただ、自分のことを話したいと思っているだけでしょ。あなたの話じゃない。なんでもかんでも自分のことにするのはやめて。あなたは困窮してないし、危険に晒されてもいない。(子どもに話すように説明してあげるよ。そうでないとお前たちは理解できないだろうから)」。

「もし友達が腕を怪我したら、”すべての腕が大切”だからって誰かがその友達にバンドエイドをあげるのを待ってるの? 違うよね。友達を助けるよね。だってその友達は痛がっているし、助けが必要だから。血を流しているんだから。もし誰かの家が燃えていて、家の中に人がいるって言われても、あなたは消防士に先に他の家に行って、って言うの? ”すべての家が大切だから”って。違うよね! だってその人たちには必要ではないから。好きだろうと好きでなかろうと、白人は最初から特権を与えられている。社会は白人というだけで特権を与える。貧乏でも苦しんでいても、肌の白さだけで他の人より特権がある。白人は肌の色のせいで、自分が意識しているよりも特権を受けている。誰も肌の色で特権を受けていることについては言わない。肌が白いだけで、命の危険を感じずに生きることができる。あなたたち白人は特権を受けているんだよ!」。

「もしすべての命が重要だったら、なぜ黒人は黒人であるだけで殺される? なぜ移民は迫害される? 白人以外の人は与えられないチャンスを白人が持てるのはなぜ? なぜ白人は”ステイホーム”と言われつつ銃を持つことが許されるの? なぜ無実の黒人が抗議活動をしたら悪党って呼ばれるの? なぜかわかる? それが白人のクソみたいな特権」。

 最後にビリーは「今は何百年もわたって続いてきた、黒人に対する迫害をどうにかしないといけないとき。”Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)”っていうスローガンは、他の人の命が大切ではないっていう意味ではないんだ。この社会が明らかに黒人の命は大切にしていないってことに注目するためのものなんだよ! でも黒人の命は重要なんだ、本当に」。週末にかけてミネアポリスから全米各地へと広がった「Black Lives Matter」のデモ活動。これからどのような動きを見せるのか、セレブたちがどんなメッセージを発表するのか、注目したい。

トランプ大統領デモ制圧を要求 各州知事らを“弱腰批判

共同通信 2020年6月2日(火)6時15分配信

 トランプ米大統領は1日、中西部ミネソタ州の白人警官による黒人男性暴行死事件を巡るデモの激化に関し、州知事らとの電話会議で各州の対応を「弱腰」と非難した。極左勢力に扇動され暴徒化しているとして州兵を使って早急に制圧するよう要求した。米メディアが伝えた。一部の知事はトランプ氏の言動が対立をあおっていると批判した。

 トランプ氏は知事らに「早く制圧しなければ悪化するだけだ」と強調、事件が起きたミネソタ州ミネアポリスで警察署がデモ隊に放火されたのを「世界の笑いものになっている」と批判した。

トランプ大統領、ホワイトハウス地下壕に一時退避 

Bloomberg 2020年6月2日(火)5時03分配信

 トランプ米大統領はホワイトハウスが危険な状態にあると判断された5月29日遅く、地下壕に退避していた。事情に詳しい関係者が明らかにした。当時は黒人男性の死亡をきっかけにした激しい抗議運動がホワイトハウスの外に迫っていた。

 ホワイトハウス周辺でのデモは30日と31日の夜も続いたが、トランプ氏が再び地下壕に避難したかは明らかでない。ただ、その2日間は29日ほどデモ参加者がホワイトハウスのフェンスに接近することはなかった。

 29日夜はホワイトハウスの敷地に隣接するラファイエット広場で、大統領を警護するシークレットサービスとデモ参加者が衝突。シークレットサービスによると、6人が逮捕され、シークレットサービス側も多数が負傷した。トランプ氏は30日朝のツイートでは衝突を楽しんでいる様子で、ホワイトハウス周辺に張り巡らされたフェンスをデモ参加者が破ることがあれば、「どう猛な犬」と「極めて恐ろしい武器」が待っていると警告していた。

 事情を知る関係者2人によると、29日にシークレットサービスらは緊張していたが、落ち着いていた。一方、トランプ氏は自らの支持者にデモに加わるようツイート。このツイートはいっそう激しい衝突を招きかねなかったため、同氏最側近の一部は呆然としたという。

 ホワイトハウスはコメントを控えた。

黒人拘束死抗議デモ欧州にも飛び火 数千人参加、差別に怒り

時事通信 2020年6月2日(火)7時10分配信

 米ミネソタ州で黒人男性が白人警官に拘束されて死亡した事件をめぐり、ドイツや英国など欧州でも、数千人規模の抗議デモが続発している。

 米国同様に移民が多い欧州にも、人種差別への怒りが波及している形だ。

 ベルリンでは新型コロナウイルスによるデモの人数制限が撤廃された5月30日、米国大使館前に約2000人が集結。「(事件被害者の)ジョージ・フロイドに正義を」「警察の差別的暴力に反対」などのスローガンを掲げて抗議した。31日にも、ブランデンブルク門など中心部で約1500人が行進。参加者の多くがマスクを着け、距離を取りつつ抗議した。

 英BBCによると、ロンドンでも31日、米大使館前やトラファルガー広場などで、数千人が「黒人の命は重要だ」などと書かれたプラカードを掲げて練り歩いた。デンマークのメディアによると、コペンハーゲンでも同日、米大使館前などで抗議デモが起きた。 

アメリカ暴動デモが拡散…その背景オバマの言葉で読み解く

FLASH 2020年5月31日(日)16時49分配信

 アメリカ各地で暴動やデモが止まらない。土曜日の段階で、少なくとも26の都市に夜間外出禁止令が出され、デモの数は数えきれないほどになっている。

 ミネソタ州ミネアポリスでは警察署が襲われ、火が放たれた。警官はすでに避難していたが、治安の悪さから消防隊は消火活動ができなかった。知事が州兵500名を動員するも暴徒を止められず、陸軍の憲兵に出動要請が出された。夜間外出禁止令が発令されているが、夜間でもデモは続いている。

 アトランタでは、デモのスタート地点そばにあったCNN本社などがガラスを割られた。アトランタのあるジョージア州も非常事態宣言を出し、州兵を動員している。ポートランドやロサンゼルスでも警察署に火が放たれ、フロリダではデモ隊にピックアップトラックが突っ込み、暴動や強奪が起きた。サンフランシスコではデモがベイブリッジを通行止めにした。

 事の発端は、5月25日、ミネアポリスで起きた。ニセの20ドル札が使われたと通報を受けた警官が、路上でジョージ・フロイドさんを捕らえ、手錠したまま、地面でうつ伏せにした。首を警官の膝で押さえつけられ、「息ができない」と叫ぶも無視。合計8分46秒も首を抑えつけられ、フロイドさんは死亡した。

 この一部始終が通行人によりビデオ撮影されており、動画が拡散。警官は即座に解雇され、殺人の疑いで逮捕・起訴されたが、白人警官が黒人を残酷に殺したことへの怒りで、抗議デモが広がり続けた。デモは、カナダやヨーロッパなど海外にまで及んでいる。

 事件は確かに痛ましいが、ここまで騒動が広がった理由はなにか。

 黒人は警官から暴力を受けやすい。白人と黒人が同じ罪で捕まっても、黒人の禁固刑の期間は20%ほど長い。こうしたアメリカに根付く人種差別とコロナ禍のストレスなど、さまざまな要因が混ざって爆発している感じだ。

 暴動の背景が、オバマ元大統領のツイッターからも見て取れる。オバマ元大統領は5月29日、「ジョージ・フロイドの死に関する声明文」を掲載した。

「パンデミックと経済危機のいま、『通常(ノーマル)の状態に戻りたい』と思うのは当然のことだ。しかし、多くの人が人種を理由に、悲劇的で痛ましい扱いを受けることが『ノーマル』になっている。ただ街中をジョギングしたり、バードウォッチングしているだけなのに。2020年にこれがノーマルであってはならない。我々が、ともに新しいノーマルをつくりあげていくのだ」という主旨である。

 ジョギングというのは、25歳の黒人男性がジョギング中、2人の白人親子に銃で撃たれ死亡した事件。証拠ビデオがありながら、2カ月以上も親子は逮捕されなかった。もうひとつは、バードウォッチングしていた男性が、白人女性に犬をリードにつなぐよう注意したところ、逆上した女性が警察に電話し、「黒人」と連呼し、彼に罪を着せようとした事件。これもビデオが証拠として残り、女性は即解雇、犬も動物愛護団体に預けられることになった。

 アメリカの人々は、コロナ禍の自宅待機中、こうした人種がらみの問題を自宅で見続けてきた。
 もちろん人種差別問題は昔から続いているが、今回はトランプ大統領のツイッター上の発言も、火に油を注いだ。

 トランプ大統領は、ツイッターで、暴動に対し「略奪が始まれば銃撃が始まる(when the looting starts, the shooting starts)」と武力行使を辞さない構えをみせた。実はこの表現、1960年代の公民権運動の取り締まりで使われた言葉と同じなのだ。多くのアメリカ人は、この言葉から強い黒人差別を連想する。実際、歌手のテイラー・スウィフトなどは猛烈に批判している。

 この投稿に対し、ツイッター社は「暴力を賛美する内容」とし警告文をかぶせたが、怒りの収まらないデモ隊はホワイトハウスに押しかけた。

 アメリカは、最初のデモから5回目の夜を迎えている。SNSでは、「PLEASE BE SAFE(どうか安全に)」という言葉がトレンドに入った。

 中国の「対米ヘイト言論」暴走中…“戦狼ナショナリズムの行方 

現代ビジネス 2020年6月1日(月)7時01分配信

米国は弱者らの墓場

 「米国は弱者、老人、貧困層、マイノリティの墓場だ」―香港への国家安全法案を中国・全国人民代表大会(全人代)が可決した28日、中国紙・環球時報にこのような評論が掲載された。筆者は「单仁平」、つまり胡錫進編集長のペンネームで、英語と中国語で発表された。

 評論は米国で新型コロナウイルスによる死者が10万人を超えたことに、「米国の政治制度の衰退であり、政府の明らかな失策であるにもかかわらず、誰一人として責任を問われた政府職員はいない」と米国を批判。

 米国政府や議会は国家安全法への攻撃に集中し、自国の人権に重大な欠陥があるにもかからず、香港の「人権と自由」に関心を持っているが、これは人々の目をくらませ、「世界最大の悲劇は香港であり、10万人が死亡した米国ではない」のだと人々をごまかそうとしていると主張した。

 さらに、米国には(適者生存・優勝劣敗を主張する)社会ダーウィニズムが広がっており、10万人という数字は朝鮮戦争やベトナム戦争での米軍戦死者よりも多いのに、米国が経済の活力を取り戻し、「偉大な国」になるための対価だと考えていると述べ、こう締めくくった。

 「米国が世界に人権や道義を説教する時、そこでは誰も指摘しない事実が起きている。つまり、今日の米国は弱者、老人、貧しい人、マイノリティの墓場だということだ」

 タカ派を売り物にする環球時報の胡編集長らしい、攻撃的な言説だが、中国のネット空間を見ると、これでもまだましな方だと感じさせる。

 中国紙、新京報25日の報道によると、「至道学宮」という微信の公衆アカウント(一種のネットマガジン)がこのほど封鎖された。

ヘイト言論を売り物

 このアカウントは過激なヘイトスピーチを売り物にしていたという。特に最近問題となったのは「瀕死:米国沈没」という文章で、「米国の新型コロナによる死者は100万人に達しており、米国人はこれだけ多くの遺体を処理できないため、人肉をハンバーガーやホットドッグにして食べている」というデタラメかつおぞましいものだ。

 このアカウントにはほかにも、「日付変更線により中国の時間が米国よりも1日早いため、中国が1月10日にミサイルを発射すれば、9日に米国に命中する。米国は防ぐことができない」といった荒唐無稽の文章もあったという。

 問題なのはこのようなデタラメなヘイト言論が多くの読者を抱えていたことだ。報道によると「至道学宮」の西瓜指数(公衆アカウントの影響力評価指数)は4月トップとなり、平均170万人を超える読者があったという。

 「一般の公衆アカウントが10万人の読者を得ようと苦労している時、彼らはすでに100万人を突破していた。」アクセスの多い微信の文章には広告収入のほか、「打賞」という投げ銭の仕組みもあり(金額は5元から数百元までさまざま)、ネット上の画像によれば先ほどの「人肉」の文章にも753人が「打賞」をしていたという。

 新型コロナウイルスが身体の病とするなら、こうしたヘイト言論は心の病を患っていると言えないだろうか。

総加速師習近平

 新型コロナを発端とした米中の対立が深める中、中国のネットでは最近、国家安全法の強行や、外交官を駆使して攻撃的な主張や中国の「マスク外交」への称賛を要求する「戦狼外交」(戦狼については2018年10月17日公開の「中国『武闘派女性記者』が英国保守党大会で大乱闘…の深層心理」でも取り上げた)を繰り広げる指導者、習近平国家主席に対し、「総加速師」というあだ名が密かに広がっているという。

 「総加速師」とは、市場経済導入や対外開放政策を進めた鄧小平が「改革開放の総設計師」と呼ばれたのに対し、米国への対抗路線や香港の国家安全法、南シナ海での主権の主張など、矢継ぎ早に強硬策を取っている習主席が中国の進む道をますます加速させている、という意味で使われている。

 これが何の道へ向かって加速しているのかはあえて言わないが、習主席のこうした「加速」ぶりも、民意の支持があるからこそ、大胆になれるのだろう。いわば中国の世論自体が、「戦狼化」しているのだが、その原因はどこにあるのだろうか。

 中国の民間世論の「戦狼化」を印象付ける出来事が、4月にタイであった。

 台湾メディアなどの報道によれば、タイのある男性アイドルのガールフレンドが、インスタグラムに出した自分の写真に対し、男性が「とてもきれいだ、中国の女の子のようだ」とほめたところ「(中国じゃなくて)台湾の女の子よ!」と返事をしたのを中国のネットユーザーが見つけ、翻訳したことで「台湾を中国の一部と考える中国のネットユーザーのガラスのような心を傷つけ」、彼らのアカウントが攻撃されたという。

タイに出撃するも返り討ちに

 ところが、タイのネットユーザーもおとなしく引き下がらなかった。「香港は香港、台湾は台湾、中国は中国」と反論したり、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」などと呼び、(感染源の可能性が指摘される)野生動物を食べることなどを揶揄したりした。

 「タイ料理は不味い」と中国側が反撃すると、「お前たちはコウモリを食べているのだから、タイ料理は当然口に合わないだろう」とやり返し、さらに香港、台湾、タイはいずれもミルクティーが有名だとして「ミルクティー同盟」だと団結を強調。

 さらには中国のネットユーザーがしばしば発する罵り言葉「NMSL(ニーマースーラ、お前の母さんは死んだ)」を使うと、タイ側は「お前たちはそれしか言えないのか、まるで『CHINESE』ではなく『NMSLESE』だ」とからかい、NMSLの4文字しかない「五毛党専用キーボード」の画像をネットにアップした。(五毛党とは中国政府を支持するネットユーザーのこと。)

 さらにタイのネットユーザーは天安門事件など、中国ではネットで語ることができないセンシティブな話題を提起し、これに対して中国側が1976年にタイで起きた学生らの弾圧事件(タンマサート大学虐殺事件)を持ち出したのに対しても「構わない、どんどん批判してくれ」「我々は某国政府のように人々を騙したりしない」「お前たちは1989年に向かい合う準備があるのか」などと反論し、中国側を沈黙させてしまったという。

 ここから中国の一部の過激なネットユーザーに「NMSLESE」というあだ名が付けられた。

責任をナショナリズムに転嫁

 このような対外的な激しい敵意は、どのようにして生まれたのか。BBCの報道によれば、中国が当初、国内にあった強烈な責任追及の声を、海外への攻撃へと転換する上で、「ナショナリズムが大きな武器となり、民間に浸透していった」のだという。

 感染が世界全体に広がり、中国に対する責任追及の声が強まる中、政府の巧みな世論工作によって、「中国は新型コロナとの戦いに勝利した、悪いのは対応をしくじった米国などであり、中国に責任はない」という考え方が広まり、民衆が支持するようになった。

 2014年に日本でも出版された「中国の歴史認識はどう作られたのか」の筆者で、在米の学者、ワン・ジョン氏に以前インタビューしたことがあるが、彼は中国のナショナリズムはアヘン戦争以降、中国が列強から圧迫を受けた集団的な恥辱の記憶によって作り出されたと述べている。

 まさに今回も米中の対立が深まる中で、中国政府が本来負うべき責任追及の問題を「海外からのいわれなき攻撃」としてナショナリズムを高める方向に巧みに誘導し、世論がこれに乗ってしまったという状況なのだろう。

 だが、こうした状況を中国国内のリベラルな識者らはどう考えているのだろうか。秘匿性が高い交流アプリを使い、彼らの意見を聞いてみた。

罵られたら罵り返せ

 ジャーナリスト、A氏は「戦狼外交」について次のように語った。

 「一種のパフォーマンスであり、国内の民衆や反対派に見せるためのもので、国内のポピュリズムやナショナリズムの需要を満足させているのだ。だが単なるパフォーマンスではなく、トップの意向が反映されている。外交はそもそも国家の大事であり、個々の外交官の行為であることはありえない。つまりトップの一部は、『中国はすでに(国力や軍備強化により)〈殴られる〉問題は解決した、残るは〈罵られる〉問題だ』と考えている。外国からの批判をどう解決するか、その方法はつまり罵り返せばよいのだ。口汚い、紅衛兵のような言葉で罵り返すのであり、国のイメージなど気にする必要はないのだ」

 作家、B氏も次のように語る。

 「中国のような専制主義国家では、外交も宣伝も個人の利益ではなく国家の利益に基づき、上級部門の意向に迎合する必要がある。近年外交や宣伝の口調が強硬なのは、この政権の対内、対外的な政策の変化を反映している。つまり経済成長により生まれた過度の自信と、自分たちは国際社会であれこれ口を出し指図する資格があると考えているのだ」

 「さらに近年、官僚集団で更迭や入れ替えが進み、業務や情勢をよく理解しない人が重要な地位を占めるようになった。外交官らの発言を見れば分かるだろう。上級部門に迎合するだけでなく、彼らの経歴や知識とも関係しているのだ」

 「経済の衰退や、各国が中国に警戒を強める中で、中国の地位も影響を受け、戦狼外交も長続きはしないだろう。だが国際的な圧力や、国内の矛盾が強まる中、政権は外敵を作ることで、国民の注意力をそらすことができるのだ」

武漢日記も文革式つるし上げに

 外国との緊張関係は中国の国内世論にも尖鋭化、ポピュリズム化を生んでいる。

 日本でも紹介された、「武漢日記」をブログで発表した作家、方方さんが攻撃にさらされている問題がそうだ。1月から2カ月にわたりロックダウン(都市封鎖)された武漢での人々の生活を綴ったブログは、国内外で高く評価された。ところがこの日記の英語版が海外で出版されると、「逓刀」(敵に刀を手渡す)行為だとして一転して世論の批判を浴びた。

 香港メディア、端伝媒によると、3月には方方さんを部分的ではあれ擁護していた前述の胡錫進氏も、4月になり日記が米国や西側で拡散することは、国際政治に利用され、国家の利益に損害を与えるとの態度を明確にした。

 さらに、ドイチェベレの報道によると、4月14日、武漢市内に「方方に告げる書」との題名で方方さんを批判する大字報(壁新聞)が登場、「人血に浸した饅頭(マントウ)を食べ」「国家体制内の優れた福祉や待遇を受けておきながら、国家に濡れ衣を着せた」として「方方の全財産を差し出させ、剃髪して尼になるか死をもって謝罪せよ」などと脅迫した。

 大字報を張り出して人身攻撃するのは、まさに文化大革命の最中に行われたやり方で、まさに方方さんが語った(とされる)ように「現在のソーシャルメディアは文革時代とほとんど変わらない」状況となってしまった。

 こうした若者を中心に広がる攻撃的ナショナリズムについて、前述のB氏は「最も重要な原因は党、政府の宣伝や教育であり、そして情報封鎖がもたらす無知であり、彼らは外国も知らなければ、自国のことも知らないのだ、もちろん、ここ数十年の経済成長も原因の1つだ」と指摘している。

国は愛してくれるのか?

 さらに友人のC氏も、方方さんへの批判について、次のように語った。

 「5年ほど前、微博は自由派の天下だった。『公共知識人』と呼ばれる微博で数十万から数百万のフォロワーを持つ、政府に批判的なオピニオンリーダーが大きな影響力を持っていた。だが現政権はこのような状況が続けば、政権の安定を脅かすと意識し、彼らの取り締まりを行い、発言の場を奪った。その結果、五毛党や戦狼らが出現し、方方さんを攻撃しているのも彼らだ」

 「もし戦狼がいなかったら、いくら馬鹿な人でも新型コロナの責任を追求する必要があると考えるだろう。政府内部の人もそのことは分かっている。だが言論統制のプレッシャーを受ける中で、あえて声を上げようとせず、沈黙を保っているのだ」

 だが彼は、「戦狼たちが愛国、愛党のパフォーマンスをする時、自分が国の統治者であるかのような感覚に陥る。だが現実に戻れば、エリート層でもない彼らは常に利用され、抑圧される対象なのだ」と語った。

 その一例として、中国政府が海外からの新型コロナ感染防止のため、航空会社に海外と中国との便数を制限する「五個一」と呼ばれる政策を取った結果、航空券が入手困難となり、さらには帰国後も「外国からウイルスを持ち込んだ」と批判されるため、留学生が帰国できなくなっているという問題を挙げた。

 「若者は就職難で、厳しい生活を送る中、自分が国を愛しても国は自分を愛してくれないという現実に直面しているのだ」友人はこう語った。

米中対立で日本はどうすべきか

 もうひとりの“総加速師”トランプ米大統領が中国への攻撃的な姿勢を強めていることも、中国の官民を挙げての反発を招いている面も否定できない。

 だがそもそも新型コロナの感染が最初に広がったのは武漢であり、このことに対して中国は説明責任がある。この責任を回避しようと闇雲に攻撃的になってみても、結果的にマイナスイメージを負うのは中国自身で、マスク外交などの成果を無にしてしまうだけだ。

 習近平体制を厳しく批判したことで当局から弾圧を受けている清華大学教授、許章潤氏もこのほど、ネットで「中国は世界の孤舟になりつつある」と警告する文章を発表。新型コロナ流行の原因を究明し、国民に「白書」の形式で説明、責任を追及することなどを求めている。

 米中が対立を深め、中国の世論がナショナリズムに傾く中、暴走する「孤舟」にならないよう双方を諌めていくことが、反日デモなど中国のナショナリズムの暴走を体験した隣人としての日本の役割なのかもしれない。

 (本稿は筆者・古畑 康雄(共同通信社記者)個人の見解であり、所属組織を代表するものではない。)

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2020年6月 1日 (月)

【日経平均】反発<3箇月ぶり✍2万2千円回復>経済活動再開へ期待感

日経平均反発、約3カ月ぶりに2万2000円回復 

ロイター 2020年6月1日(月)15時49分配信

 東京株式市場で日経平均は反発。約3か月ぶりに2万2000円を回復した。全国各地で休業要請が大幅に緩和され、経済活動の再開期待の大きさから、朝方から幅広く物色された。高値警戒感から伸び悩む場面があったものの、海外勢の買い期待など需給面の好転が強調され、前週からの好地合いを引き継いだ。

 前週末5月29日の米国株式市場は、ダウ平均が0.07%安、ナスダック総合指数が1.29%高、S&P総合500が0.48%高で取引を終了。トランプ米大統領は、中国政府が香港の統制強化に向けて「国家安全法」制定方針を採択したことに対し香港に対する優遇措置を撤廃するよう指示したが、米中通商合意に関する言及はなく、最悪の事態は避けられたと受け止められた。

 米中対立や米国の大規模デモの影響など懸念材料はあるものの、寄り付き前に発表された法人企業統計で、1─3月期設備投資が全産業で前年比4.3%増とプラスだったことや、中国のPMIが回復傾向を示したことなど、株価上昇を後押しする材料もあった。さらに、需給面の好転も注目されており「海外投資家は5月第3週から買い越しに転じており、先物を中心とした巨額の買い戻しが入っている」(三井住友DSアセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏)という。

 市場では「これまで休養していたテレワーク関連、マスク関連などが堅調になるなど循環物色の動きが顕著となっており、相場の流れは悪くない。循環物色が続くようであれば、さらに戻りを試す展開になるのではないか」(野村証券・エクイティ・マーケット・ストラテジストの澤田麻希氏)との声も聞かれる。

 TOPIXもしっかり。東証33業種では、証券業、電気・ガス業、情報・通信業などの上昇が目立ち、医薬品、保険業などが下落。東証1部の売買代金は2兆3258億6600万円とやや細った。

 個別では、東京エレクトロン<8035.T>、SCREENホールディングス <7735.T>などの半導体関連株が堅調なほか、指数への寄与度が高いファーストリテイリング<9983.T>も続騰。半面、武田薬品<4502.T>など薬品株やJR東日本<9020.T>など電鉄株が安い。

 東証1部の騰落数は、値上がり998銘柄に対し、値下がりが1094銘柄、変わらずが78銘柄だった。

トラブル続出「持続化給付金769億円で受注した幽霊法人

文春オンライン 2020年5月27日(水)16時00分配信

 安倍政権がコロナ不況への緊急経済対策として打ち出した「持続化給付金」。約2兆3000億円の予算がついたこの事業を経産省から委託された一般社団法人が、実体のない“幽霊法人”だったことが「週刊文春」の取材で分かった。社団法人の代表理事が「週刊文春」の取材に対し、「何も活動がない」と認めた。

 持続化給付金事業は、昨年より収入が減った中小企業等の法人に最大200万円、フリーランスを含む個人事業者に最大100万円を上限に現金を支給する制度だが、入金が遅れるなどトラブルが相次いでいる。

 担当する中小企業庁のホームページによれば、同事業を受注したのは「一般社団法人サービスデザイン推進協議会(以下、「サービス協議会」)」で、アベノマスクの予算を300億円も上回る769億円で契約している。

 登記簿に記載されている所在地は、東京・築地にある9階建てのオフィスビルだ。記者が実際に訪ねてみると、確かにエントランスの案内板には〈2F 一般社団法人サービスデザイン推進協議会 ITプロジェクトルーム〉の文字が。ところが、2階に上がると、膨大な業務に追われているはずのサービス協議会のドアは固く閉じられ、インターフォンを何度押しても反応はなかった。

「週刊文春」の取材に対し、「サービス協議会」の代表理事である笠原英一氏(アジア太平洋マーケティング研究所所長)が明かす。

「私は電通の友人に頼まれて、インバウンドの研究をやろうと思って入ったんだけど、何にも活動がないから。いつも会議は電通さんでやっていました。電通さんに聞いた方が」

 代理店関係者が言う。

「『サービス協議会』は、経産省肝いりの『おもてなし規格認証』という制度を運営する団体として2016年5月16日に設立された。主導したのは当時電通社員だったA氏で、電通が国の業務を間接的に請け負うための隠れ蓑として設立された団体と言われています」

「サービス協議会」設立時の代表理事を務めた、ユニバーサルデザイン総合研究所所長の赤池学氏が言う。

「ご存じのように、『おもてなし規格認証』のために作られた組織です。うちの研究所もいろんなビジネスのネットワークがあったので、経産省の方から立ち上げの直前に代表理事を受けてもらえないかという話があって、それで受けたんですけど」 

「天下りや不祥事の温床になります」

 国の補助金事業を受注した一民間団体の代表理事選定に、発注者である経産省が関与していたとすれば問題ではないか。

「経産省が外郭団体の設立に関与することは天下りや不祥事の温床になります。また、今回のケースでは『サービス協議会』はトンネル会社みたいなものであり、実際に事業を委託された企業に対し、補助金の公正な使用を求める補助金適正化法の直接的なコントロールが及ばないのは問題でしょう」(入札制度に詳しい同志社大学政策学部の真山達志教授)

 電通と「サービス協議会」に対し、業務委託について尋ねたが、いずれも「回答を控えさせていただきます」と答えなかった。

 中央大学法科大学院の酒井克彦教授が指摘する。

「国が一般社団法人に委託した事業の大部分を電通のような民間企業が請け負っているとすれば、なぜはじめからダイレクトに委託しなかったのか。この点を公明正大に説明できなければ、国民の疑念を招きかねません。営利性のある事業を手掛けない一般社団法人は非課税ですから、節税の温床になっている可能性もあります」

 血税769億円が注がれる「持続化給付金」事業。この巨額の資金は「サービス協議会」を経由し、どこへ流れているのか。「サービス協議会」および所管する経産省には詳細な説明が求められるはずだ。

給付金支給事業再委託は「中抜き」か 野党、差額20億円の実態追及

時事通信 2020年6月1日(月)19時39分配信

 立憲民主党の枝野幸男代表は1日の党会合で、持続化給付金をめぐって国から支給事務を受託した法人が別会社に再委託し、20億円の差額が生じた問題について、「『中抜き』と、優遇的に選んだ業者なのに給付金交付手続きも進んでいないのは深刻な問題だ」と厳しく批判した。

 立憲など野党は差額の実態や受託手続きの解明を求め、政権を徹底追及する方針だ。この法人は一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」。

 新型コロナウイルス感染症の影響で減収した事業者への給付金支給を国から769億円で受託し、別会社に749億円で再委託した。 

ノーベル経済学者ポール・クルーグマンが「コロナショックからの回復を楽観視する理由

クーリエジャポン 2020年5月31日(日)18時00分配信

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる経済危機は、世界恐慌以来の深刻さとも言われている。この景気低迷はどれくらい続くのか。このあとに続く回復の形は、V字なのかU字なのかL字なのか。

ノーベル経済学者のポール・クルーグマンに、米経済メディア「ブルームバーグ」コラムニストのノア・スミスが聞いた。

これは需要ショックか供給ショックか

ノア・スミス:今回のパンデミックとそれによる経済低迷は、「グレート・リセッション(大不況)」(訳注:アメリカのサブプライム住宅ローン危機に端を発した2007~09年の世界的金融不況)とは違うようです──というか、質の高い経済データが得られるようになってからの、どの不況とも。

この前代未聞の出来事をどう考えるべきでしょうか? これは前回の低迷のように「需要ショック型」と見なせるのでしょうか? 私たちの指針となるシンプルなモデルはあるんでしょうか?

ポール・クルーグマン:これは需要ショックか供給ショックか? 然り。そして否です。総需要・総供給の枠組みは、この危機でうまく機能しません。というのもその前提が、経済は単一のモノの生産活動としてほぼ表せるというものだからです。これは大抵の場合では申し分ないアプローチですが、いまは無理です。

いま起こっているのは、供給と需要両方の中断です。濃厚接触をともなう活動が、新型コロナウイルスの拡散につながると皆が考えているからです。となれば、標準的なマクロ経済モデルをただ型通りに用いることはできないわけです。
ですが、過去に私たちが用いてきた戦略的な単純化を多用して2セクターモデルを作り出すのはそこまで難しくありません。

こうした問題については、非常に良い研究がいくつか出ています。あるセクターのシャットダウンは他のセクターの不況にまで発展するのかという問題の分析(ベロニカ・グエリエリら)、またそうしたシャットダウンが金融市場に波及効果を生み出すのか、またどのように生み出すのかという問題の分析(リカルド・カバレッロとアルプ・シムセク)などです。

これらのアプローチは、いまのデータと政策反応を見るレンズとして、とても役立つと思っています。つまり、どう分析したらいいか途方に暮れているわけではないということです。

この危機はこれまで私たちが経験してきたものと非常に異なってはいるけれども、その経済学についてはかなりよく把握できているという感覚があります。具体的には、なぜ経済刺激や減税のような従来の対応では不適切なのか、なぜセーフティネットの問題に集中すべきなのかを理解できるだけの知識が私たちにはあります。

このショックで起こるのはインフレかデフレか

スミス:つまり、典型的な刺激策は今回は目標ではなく、その代わり私たちは人々の苦しみをただ和らげて、このショックが終わるのを待つばかりだと──。しかし、そこで重要な疑問が出てきます。いま政府のアクションを制限するものとは何か?

通常の、需要ベースの不況では、金融・財政政策によるインフレーションのリスクはほとんどありません。需要不足が物価を下げる作用をするからです。

しかしこの状況では、このショックが物価をどちらに押しやるのか、はっきりしません。たとえばグエリエリらのモデルは、この点について曖昧です。

莫大な赤字や、連邦準備理事会による資産(訳注:国債など)買い取りは、急性インフレ・スパイラルをかき立てるかもしれないと懸念すべきでしょうか?

クルーグマン:原理上は、まったくどちらにも行きえます。

所得が無傷の人は、支出を先延ばしするよりも、支出先を今回のシャットダウンで制限されなかったモノやサービスに切り替えていくかもしれない。そうなると、失業者への保障はインフレを誘発しうる。

しかし、いま私たちが経験しているのは、どうもそういうことではないらしい。民間セクターの黒字が、公共政策の赤字を調整できるほどに増え、貸付の余裕もあるようです──つまり、デフレ状態です。

ひとつの大きな理由は、グエリエリらのモデルには、投資の役割が含まれていないからではないかと私は思っています。ただ、私もそのモデルとほぼまったく同じやり方で分析したでしょうから、これは批判ではないです。

需要の落ち込みは、家庭がまたレストランに行けるまで消費を先送りしているといったことだけではない。住宅、商業不動産などの建設が下落しているといったことでもある。疫病のときにオフィスパークを作りたい人なんているでしょうか?

即座に“無用判定”できる二通りの考え方

スミス:それは一理ありますね。しかし、また別の問題が出てきます。

前回の大不況のとき、ひどいマクロ経済モデルを用いて、この危機はテクノロジーへの必然的な移行の結果だ、あるいは労働者に働くつもりがなくなった結果だと説明しようとした人たちがいました。その人たちを厳しく批判されていましたよね。私見では、それは正しかったと思っています。

今回はどの経済学者がよいモデルを提示しているか、どうしたらわかりますか? 投資を除外したモデルで間違った帰結に至る可能性があるとしても、それは修正できる問題です。どんな類いの理論や考え方を確実に避けるべきでしょうか?

クルーグマン:前回の大不況、今回のショック両方で、即座に“無用判定”できる考え方が二通りあります。

まず、減税の魔術的効用など“ゾンビ思考”を広めている人は、あっさり却下されるべきです。

それから、状況の特別性を差し引かず、平時の思考をただ展開しているだけの人も、まともに受け止めるべきではありません。

2008~10年、金融・財政政策について、「ゼロ・ローワーバウンド」(訳注:名目金利がゼロ近辺に低下し、「流動性の罠」を引き起こす問題。クルーグマン『そして日本経済が世界の希望になる』参照)などまるで存在しないかのように語る人々がいました。
いまは、これはありふれた不況であるかのように語る人々がいます──ソーシャルディスタンス戦略によって強いられた休止ではないのだと。こうした人々は、いつものことながら、右派に多いですが、左派にも多少います。つまり、耳を傾けるに値すべきは、この危機の新しさに必死に取り組んでいる人々だけです。

そうはいいながらも、いま起こっている多くのことを熟慮するのが至難のわざだとまでは思っていません。経済の大半はまだいつも通り機能している、つまり、短期的にはケインズ経済学でおおよそ考えられる。
いつも通りでないことの大半は、いつも通りの作法をいつも通りでない状況に適用するだけで理解できます。たとえば、いままでにないことが原因で売上げが減り、失業した人たちがいるかもしれません。でも、その人たちがどう消費するかは、平時に失業した人とあまり変わらないだろうということです。

いま金融市場で起こっていることの大半に示されているのは、2008~09年の貸借対照表に表れたスピルオーバー(波及)効果と同様のことです。

厄介なのは、分野横断的なものを数値化することです。インフレ促進という点で、サプライチェーンの寸断は、過剰生産能力と比べてどれほど重要なのか? 消費を促すものについて見落としていることは何か?(投資抜き、消費者のみのモデルは非常に役立つ戦略的な単純化です。そういえば、「流動性の罠」を考えるときもそのモデルを使いました。でも、いまはそのモデルだと、主要因を見落とすかもしれません。)

とはいえ、この非常時に、常々言っていることをただ繰り返すのでなく、誠実に対応しようと努めている経済学者たちには、むしろ多くの共通点があると思っています。正統性のぶつかり合い、今回は目にしていないですね。

この不況は「失われた10年」になるのか?

スミス:それは何よりです。さて、最後の質問です。このショックによる経済低迷はどれくらい続くと思えばよいでしょうか?

スペインかぜのときも、ソーシャルディスタンス戦略が多分に採用されましたが、米国の経済に消えない傷跡を残しはしなかったようです。

しかし、現代経済は当時とはずいぶん違います。精妙なサプライチェーン、複雑な債権債務により依存し、製造や農業よりもサービスに重点が置かれています。

これが「失われた10年」になる可能性はどれくらいあるでしょうか? どんな政策上の誤りがこの痛みを長引かせることになるでしょうか?

クルーグマン:それを把握しようとして、この40年間に起こったいくつかの不況を見ています。

いままでで、2種類の不況がありました。ひとつは、1979~82年型スランプ、要するに金融引き締めによって引き起こされたもの。それから、2007~09年型、民間セクターの「オーバーリーチ」(訳注:無理な事業拡大による借金過剰)によって引き起こされたものです。

第一の不況後にはV字回復があり、「アメリカに朝が来た」わけです。第二の不況後には鈍い回復があり、完全雇用を取り戻すには長い時間がかかりました。

このCOVIDスランプは、2007~09年型というより、1979~82年型に似ているというのが私見です。修正に何年もかかる不均衡によって引き起こされたものではないからです。つまり、ウイルスが封じ込められたら、早い回復が見込めるのではないか。しかし、重大な“ただし書き”がいくつかあります。

ひとつは、このパンデミックがどれだけ続くのかわからないということです。いま経済再開するのはおそらく時期尚早で、これはかえって経済低迷の期間を長引かせることになるでしょう。

もうひとつは、このパンデミック以前に大きな不均衡がなかったとしても、このスランプがそれを生み出しているかもしれないということです。事業閉鎖を考えてみても、回復までには時間が要るでしょう。

そして、このウイルスのせいで、どれほどの長期変化を私たちは経験することになるのかも気になっています。今後ずっと在宅勤務が増え、対面型の小売りが減るという方向にシフトするなら、労働者も新しいセクターにシフトさせなければならなくなり、それには時間がかかるでしょう。

それは2009年にたくさんの人が、間違って主張したことでしたが、いまは当てはまりうるかもしれません。

ひととおり言いましたが、いまのところ、長期不況が起こる証拠はないと見ています。

このスランプが前回みたいなものになると見込んでいる人は、私には「ひとつ前の戦争を戦っている」ようにしか見えません。

 

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