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2020年7月

2020年7月31日 (金)

【民主先生】台湾の国父・李登輝さん(享年97歳)逝去。

 李登輝元総統が死去その業績に、台湾で批判、中国から称賛も 

Record China 2020年7月30日21時30分配信

 中華民国(台湾)の李登輝元総統が7月30日に、台北市内の台北栄民総医院(病院)で死去した。97歳だった。台湾に中華社会としての初の本格的な民主主義をもたらした指導者であった反面、台湾の独立を訴えた政治家だっただけに、中国大陸人や台湾人からのネットへの書き込みが相次いだ。

 李元総統は2020年2月8日に牛乳を飲んだ際にむせ込み、咳が止まらなくなったことで病院に搬送された。病院では肺湿潤があることなども分かった。その後は入院生活を続け、7月28日にはネットで「死亡説」が広がったが、デマと分かった。29日午前には、蔡英文総統、頼清徳副総統、蘇貞昌行政院長(首相)が見舞いに訪れた。

 李元総統の容体悪化が伝えられるとともに、台湾では元総統についてのネットへの書き込みが増えはじめた。最も目立つのは、李元総統を「台湾民主の父」と評価する意見だ。台湾では、戦後になってからの長期間、国民党の指導者だった蒋介石総統や息子の蒋経国総統による、強権・恐怖政治が続いていた。蒋経国総統は米国からの圧力を受けたなどで、民主化に向けた姿勢を見せていたが病気に倒れたため、李登輝氏が最初は総統代行として、次に総統として民主化を本格的に進めることになった。

 台湾では、李元総統の支持者の評価として「総統在職中に台湾を権威主義から民主に向かわせ、万年国会の改選、総統の直接選挙、警備総司令部の権限縮小を行い、言論の自由を徐々に保障していった」などが挙げられている。

「万年国会」とは中華民国国民大会を指す。1948年までに中国各地の代表として選出された議員で構成されており、国民党が台湾に移ってからは改選されることもなく機能していなかった。「万年国会」は民主化を求める人々から強く批判され、李元総統が要求に応じる形で1991年末に議員全体が退任する方式で、歴史の幕を閉じた。警備総司令部は台湾の戒厳維持などのために設けられた機関で、やはり李元総統が主動することで1991年に廃止された。

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 李元総統への評価として、「台湾人意識の確立」を指摘する声もある。台湾出身者として初めての総統であり、「台湾意識」や「台湾の主体性」の価値観を確立したとの見方だ。

 なお、李元総統には、「権力確保のために派閥政治や金権政治をもたらした」との批判があるとも指摘された。事実、李元総統の在任期間中には、台湾政界で多くの汚職が明るみに出でている。また、李元総統自身も2011年に公金横領や資金洗浄の罪で起訴された(13年に台湾地方裁で無罪判決)。

 一方の大陸側では、李元総統を批判する声が圧倒的に多い。中国当局がこれまで、李元総統を「台湾独立運動の元凶」とみなして批判や非難を繰り返してきたことも影響しているが、中国人は庶民に至るまでほとんどの人が「台湾は中国の一部」と考えており、大陸側の「嫌・李登輝」の感情は多くの中国人の自然な気持ちと理解することができる。

 中国大陸側からの書き込みとしては、「真の名は李登輝でなく、岩里政男だ」との主張もある。「岩里政男」とは日本が台湾を統治していた時代に李元総統が用いた日本名だ。李元総統は、「日本精神」を極めて高く評価する発言を繰り返しただけに、中国側では「植民地根性の持ち主」といった批判が定着していた。

 上記主張は28日の「死亡説」がデマと分かった後に寄せられたもので、「岩里政男氏が健康を回復し、中国が台湾を取り戻すまで長生きすることを、心よりお祈りする」といった皮肉も追加されている。

 ただし一方では、「中華民族の歴史に、政権を平和的に交代させる1ページを築いた。その歴史的地位は、孫中山(孫文)と肩を並べる」と、極めて高い評価を示した大陸人もいる。

 李登輝さん逝去 中共 習近平の野望を阻んだ“台湾人意識 

産経新聞 2020年7月30日(木)22時17分配信

 中国の習近平国家主席は台湾に「一国二制度」の受け入れを迫っているが、その台湾統一の野望を阻む最大の砦(とりで)は、李登輝氏が総統時代に政治改革や教育政策などを通じて確立させた台湾人意識だ。台湾の主体性を重視するこの意識は今や党派を超えた台湾民意の主流となり、李氏の死去で揺らぐことはなく、習指導部に残された手段は限られている。

 台湾統一は習氏が掲げる国家目標「中華民族の偉大な復興という中国の夢」の中核だ。だが2012年の習指導部発足以降、台湾独立志向の民主進歩党を率いる蔡英文氏に二度の総統選当選を許すなど台湾政策の成果は乏しい。特に今年1月の総統選は、香港への統制強化が台湾社会に一国二制度への不信感を募らせる結果となり、中国側の“オウンゴール”に終わった。

 焦りを隠せない習指導部は5月、党序列3位の栗戦書政治局員が、台湾独立の動きがあった場合に武力行使することを規定した「反国家分裂法」に基づく軍事力の発動を示唆した。

 中国が武力侵攻に踏み切る可能性はあるのか。李氏は18年10月、産経新聞の取材に「米国がどの程度関与してくるかは不明で(台湾も)過大な期待を持つべきではない」としつつ、中国側にもリスクは大きいとの見方を示した。北京の中国人ジャーナリストも「もし台湾側に三峡ダムを爆撃されたら下流の江蘇省や浙江省は水没する」と指摘し、習指導部が政治的賭けに出る可能性は低いとみる。

 李氏は総統退任後、台湾を「正常な国家」とするための新憲法制定を掲げ、中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)も「日本のものだ」と公言。中国の左派を「現代最大の漢奸(かんかん)だ」(中国紙・環球時報電子版)と逆上させた。中国ではこうした批判の声が大勢を占める一方、改革派の中には「台湾の民主改革を穏健に実現した」(北京の政治学者)と評価する声もある。

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李登輝さん死去 京都帝大で学んだ元総統が語った京都の思い出

京都新聞 2020年7月30日(木)22時30分配信

 7月30日に97歳で死去した李登輝(り・とうき)元総統は、京都帝国大学に1943年に入学した。李登輝氏は2006年、台北市内で京都新聞の取材に応じ、「台湾から京都に来たのは終戦の2年前。まず食べ物に困った。配給券を持ってあちこちの食堂を回ったが、お米は茶わん一杯もなく、野菜も足りない。困って台湾から豚の脂の缶詰と砂糖を送ってもらった」と、日本語で若き日の京都の思い出を語った。

 京都帝大のキャンパスは閑散としていたという。日本統治下でも台湾・朝鮮出身の学生は召集されていなかったが「同級生が兵隊に行くのに自分だけのんびりはできない」と志願した。

 李登輝氏は、大阪で兵役検査を受けた。「旧制高校のころから『死』とは何かを勉強した。今の人にはおかしいだろうが、検査官に『歩兵に行かせてくれ』と言った。一番苦労し、人間の生死の間をさまよい、死とは何かを理解するには歩兵がいいと」などと、戦争中の思い出を話していた。

李登輝さん死去「ずる日本精神」説き続けた“旧制高校生”

産経新聞 2020年7月30日(木)22時00分配信/河崎真澄(元台北支局長)

 作家の司馬遼太郎は、1993年と94年の台湾取材で親しくなった元総統、李登輝を「旧制高校生」と評した。2人とも大正12(1923)年の生まれだ。

 互いに70歳に手が届いていたが、「僕はね」と語りかけた口調に、司馬は懐かしき旧制高校生に再会したと感じたのだろう。李登輝は旧制台北高から、京都帝大(現京大)に進んだ。

 本紙連載「李登輝秘録」の取材で台北郊外の自宅を訪れたとき、李登輝は右手を首まで水平に持ち上げ、「僕はここまで、22歳まで日本人だったんだ」と言った。

 李登輝は高校時代に新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)の「武士道」を読み込んだ。自著「『武士道』解題」(小学館)で「日本の伝統的価値観の尊さ」を訴え、戦後日本の「自虐的歴史観は誤り」と書いた。

 台湾民主化の父と呼ばれた李登輝が「日本精神」にこだわったのはなぜか。

 2002年11月、慶応大で学生向けに話すはずだったが、訪日ビザ(査証)を日本政府に拒まれ“幻の講演原稿”となった「日本人の精神」にこう綴った。

 「いま、私たちの住む人類社会は未曽有の危機に直面している。危機竿頭(かんとう)に面したとき、日本人に対する国際社会の期待と希望はますます大きくなる。数千年にわたり積み重ねてきた日本人が、最も誇りと思うべき普遍的価値である日本精神が、必要不可欠な精神的な指針なのではないか」

 その実例として李登輝は戦前の台湾で、東洋一とされた「烏山頭(うさんとう)ダム」を作った日本人技師、八田與一(はった・よいち)を挙げた。工事は苦難の連続だったが、灌漑(かんがい)用水路も整備し、干魃(かんばつ)や洪水に苦しんだ不毛の地を広大な農地に変えた。台湾農民のために八田は生涯をささげた。

 李登輝は、「人間いかに生きるべきか」「公に奉ずる精神」を実践躬行(じっせんきゅうこう)したとたたえた。八田は台湾でいまも尊敬を集めている。

 李登輝は講演原稿をこう締めくくった。「皆さんの偉大な先輩、八田與一のような方々をもう一度、思い出し、勉強し、われわれの生活に取り入れよう」。私心ではなく「公」のために誠意をもって行動する。戦後の日本人が失った「日本精神」をいまこそ取り戻すよう、李登輝は事あるごとに日本人に説いたのだ。

 台湾における教育改革にも心を砕いた。「(国民党政権の)反日教育をやめさせ、台湾の子供たちに正しく日本と日本人を理解させなければ」と考え、96年に新たな中学の教科書「認識台湾」を作らせた。それ以前の教育では、大中華主義の歴史観で台湾の歴史や地理は教えず、日本統治時代は一律に否定していた。

 だが李登輝は戦前に普及した教育の制度やインフラ建設など、日本の功績も認める客観的な記述を取り入れて再評価させた。その結果、若い世代が公平な目で日本を見て判断し、親しみを感じる傾向が強まったという。反日教育を90年代から加速させた中国や韓国と台湾の差がここにある。

 「僕はね、戦後の日本人が失ってしまった純粋な日本精神を、今も持ち続けているんだ。だから政治の苦難も乗り越えられた」。そう話した李登輝の生き方こそ、今を生きる日本人が手本とすべきものだった。

李登輝さんの2つの遺産“民主化”と“本土化

産経新聞 2020年7月31日(金)7時46分配信/矢板明夫(台北支局長)

 知人の台湾の大学教授は李登輝元総統の写真入りのキーホルダーを大事に20年以上も使っている。1996年に台湾で初めて直接総統選挙が実施されたとき、候補だった李氏の陣営が作った記念品だという。それを見ると、当時の幸せな気持ちを思い出せるからだと説明している。

 この教授は青年期に米国に留学したが、中国人とよく間違えられて肩身の狭い思いをしたという。李氏が95年に米国を訪問し、大学で講演したことで台湾の存在が米国に広く知られ、その翌年に李氏が主導した民主化が世界から高く評価された。「台湾人であることを初めて誇らしく思った」といい、その年の李氏の就任演説を聞いたとき、涙が自然とこぼれたという。

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 李氏が台湾に残した大きな業績は2つあるといわれている。1つは民主化を実現させたこと、もう1つは、本土化政策を推進して台湾人意識を広げたことである。

 李氏の後任として台湾の総統に就任した陳水扁氏によれば、この2つによって、台湾はその後の中国の激しい統一工作に抵抗し、中国に併合されずに済んだ大きな原因となった。

 一方、この2つのことは中国を強く刺激し、中国が李氏を「台湾独立運動の父」と決めつけ、激しく批判し続ける理由となった。李氏は現役時代から両岸対応に追われたため、残念ながら中国からの軍事的、外交的な圧力に対して有効な対策をとれなかったことも事実だ。

 李氏が総統を退任した直前の99年に打ち出した「二国論」(中国と台湾は特殊な国と国の関係にある)は、李氏の対中政策の集大成といわれている。それを憲法に盛り込むことは李氏にとっての悲願だったが、中国の猛反発で実現できなかった。当時、李氏のブレーンで、現在の総統の蔡英文氏は「二国論」の原案作りから深く関わっていたとされる。

 今の蔡英文政権は基本的に李氏の対中路線を継承しているが、当時の李氏と同じように、中国とどう向き合うのか、いまだに頭を悩ませている。

 しかし、ここへきて、国際情勢は大きく変化し、台湾への追い風が吹き始めたことも事実だ。今年初めに発生した新型コロナウイルス禍で、台湾は「先手防疫」といわれる対応によって被害を小さく抑え、世界から称賛された。蔡氏は6月にデンマークで行われた国際会議で「台湾の経験が示すように、民主主義を犠牲にしなくても感染対策は成功できる」と誇らしく宣言した。

 中国のような高圧的なやり方ではなく、台湾の民主的な感染症対応は国際社会から注目された。

 同時に、今年になってから本格化した米中対立によって、台湾の戦略的な地位が高くなり、米国をはじめ世界は台湾を重視するようになった。米議会で最近、議論されている「台湾防衛法」は、台湾にとって最大な課題である中国からの軍事的脅威に対抗できることがこれから可能になることを示唆している。

 ある元政治家は「約30年前に、(総統だった)蒋経国が死去したとき、リーダーを失った私たちは台湾の将来に対し大きな不安を感じていたが、今そのような不安は全くない。李氏が示してきた道を突き進めばよいと考えている。この道こそ、彼が残してくれた最大の財産だ」と話した。

 李登輝時代以上に、米国との関係を親密化させた蔡政権にとって、いまこそ、台湾の民主主義と台湾人意識を再び国際社会に示すチャンスかもしれない。

 安倍首相「日台親善に多大な貢献李登輝元総統死去 

FNNプライムオンライン 2020年7月31日(金)10時12分配信

 安倍首相は31日午前、台湾の李登輝元総統が30日に亡くなったことを受けて、次のように述べた。

(台湾の李登輝元総統が亡くなられましたが、総理の受け止めをお聞かせください)

安倍首相「李登輝元総統のご逝去の報に接し誠に痛惜の念に堪えません。李登輝総統は日本と台湾の親善関係、友好増進のために多大なご貢献をされた方であります。そしてまた同時に、李登輝総統は常に日本に対し特別な思いで接してこられた方でもあり、また台湾に自由と民主主義人権そして普遍的な価値を、また同時に日台関係の礎を築かれた方として多くの日本国民は格別の親しみを持っています。李登輝総統のご逝去、誠に残念でありますが、あらためて心からご冥福をお祈りいたします

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ポンペオ長官台湾との絆を強化し続ける」…李登輝氏追悼の声明

読売新聞オンライン 2020年7月31日(金)10時33分配信

 米国のポンペオ国務長官は30日、台湾の李登輝・元総統を追悼する声明を発表し、「数十年間の権威主義に終止符を打つ手助けをし、経済的繁栄や開放、法の支配による新たな時代の先駆けとなった」と評価し、民主化を進めた功績をたたえた。「我々は台湾との絆を強化し続けることで、李氏のレガシー(遺産)に敬意を表していく」とも指摘し、台湾との関係を今後も重視していく姿勢を示した。

香港政府台湾窓口機関トップ“事実上”追放「一つの中国」踏み絵に

読売新聞オンライン 2020年7月20日(月)22時19分配信

 20日付の台湾紙「聯合報」などによると、香港政府が、在香港の台湾窓口機関である台北経済文化弁事処で実質的なトップを務める代理処長に対し、滞在査証(ビザ)の更新を拒否し、代理処長は16日、台湾に戻った。中国と台湾が同じ国に属するとの「一つの中国」原則を認める書類に、代理処長が署名することを拒んだためだという。

 「一つの中国」を踏み絵にした事実上の追放と言える。国家安全維持法の施行を受け、香港の自由や民主主義を求める台湾に対し、香港政府は締め付けを強めている。

 代理処長のほかにも部門責任者ら3人が最近、同じ理由で香港を去ったという。

 台湾は報復措置を取った。在台湾の香港経済貿易文化弁事処のスタッフが査証の延長を認められず、台湾を離れた。

 台湾紙「自由時報」によると、台湾で2016年に蔡英文ツァイインウェン政権が発足した後、香港政府は台北弁事処の本来のトップである処長に対し、「一つの中国」を認める書類の提出を求めるようになり、処長が香港に赴任できなくなっていた。

 李登輝傑出したアジアの政治家、殺されかねず身を潜めた日々も… 

西日本新聞 2020年7月31日(金)10時48分配信

 「あのころ、少ない味方と話すときは、他には分からぬよう日本語でしゃべったもんだよ」。30日死去した李登輝氏がニヤリと笑いながら述懐したのを覚えている。1988年、思いがけず台湾総統となったころの話だ。

 当時、台湾政界の中枢は中国大陸出身の外省人が固めていた。李氏は日本統治時代の台湾に育った土着の本省人。京都帝大(現京大)で学び、学徒出陣もした経歴は、戦後の国民党による恐怖政治の下では敵として殺されかねず、身を潜めた日々もある。蒋経国氏に農政の手腕を買われて出世し、蒋氏の突然の病死で副総統から総統となったものの、実態は「孤立無援」。外省人エリートたちは政争が決着するまでの“つなぎ”と李氏を軽視した。

 ところが民主化を求める本省人の民意が李氏を後押しした。李氏は非改選の議員が特権をむさぼる議会を改め、中国との戦時体制を敷く法を廃止して政治犯を釈放するなど、「静かな革命」は徐々に加速した。学生運動さえ味方に付け、ついに総統ポストそのものも民選に転換。李氏自らが圧勝して台湾民主制の基礎を固めた。

 外交面では、中台の統一を掲げる中国をけん制し、現状維持の立場を徐々に強化。これは中国の猛反発を招くが、日米による台湾海峡有事をにらむ安保体制の見直しを引き出し、各国世論にも台湾への親近感を培うなど、したたかな外交巧者ぶりを発揮した。

 総統を退いた後、政権交代が続いたが、李氏の針路は今も引き継がれている。政略の深みと意志の強さは、常に外来政権に支配されてきた「台湾人に生まれた悲哀」を身をもってなめてきたからに他ならない。

 その思いは親近感を抱き続けた日本の政治に対する苦言として表れた。「東京でばかりものを考え、視野も狭いし、信念もない」。傑出したアジアの政治家を惜しむ声は、日本にも広くある。

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李登輝元総統母国の主体性守るため活動

47NEWS 2020年7月31日(金)17時32分配信

 台湾の民主化を推進したことから「台湾民主化の父」と呼ばれた元総統の李登輝氏が30日、多臓器不全のため死去した。97歳だった。台湾出身者(本省人)として初の総統として「台湾人の新国家」を目指した。台湾の独立性を守るため、退任後も精力的に政治活動を行った生涯を共同通信の記事を基にまとめ、写真で振り返る。(47NEWS編集部)

 李氏は日本統治下の1923年、現在の新北市で生まれた。「岩里政男(いわさと・まさお)」という日本名で日本の教育を受け、京都帝国大(現京都大)に入学。在学中に志願兵で軍に入隊し、陸軍少尉として名古屋で終戦を迎えた。

 その後、台湾に戻り台湾大を卒業。さらに、米コーネル大で農業経済学博士号を取得した。蔣介石の長男で元総統の蔣経国に見いだされ、農業経済学者から政界入りした。

 当時の台湾は、日本による50年間の植民地統治後に中国共産党との内戦に敗れた国民党の蔣介石ら大陸出身者(外省人)が支配する「外来政権」であった。そのあおりを受けて、本省人は人口の大半を占めているにもかかわらず政治上の主役になれずにいた。

 李氏は作家の司馬遼太郎氏との対談で「台湾人として生まれ(ながら)台湾のために何もできない悲哀があった」と口にしている。李氏の原点を象徴している言葉だ。

 78年には蔣経国により台北市長に任命される。84年に副総統に就任。88年1月、蔣元総統の死去に伴い副総統から総統に昇格し、同年7月には国民党主席に選出される。すると、本省人総統への期待を追い風に改革を精力的に進めた。

 91年には中国共産党を反乱団体と規定した憲法の臨時条項を廃止した。このことで、長らく続いていた中国との内戦状態に事実上の終了を宣言した。

 そして、96年に初の総統直接選挙を実現した。このことは「民主国家」として世界の脚光を集めた。

 この時の選挙は、李氏の当選阻止を狙う中国がミサイル発射を含む軍事演習を台湾近海で展開するなど異常とも言える状況下で行われた。李氏は見事に当選し、初の民選総統になった。このことから、台湾では「ミスター民主主義」と呼ばれていた。

 99年、「中台は特殊な国と国の関係」だとする「二国論」を提起する。すると、中国は「独立派」と批判した。同時に軍事的威嚇をエスカレートさせたが譲らなかった。

 改革は教育面にも及んだ。主に中国本土で起きたことを教えていた歴史の授業を、台湾の歴史を中心に据えたものに変えた。このように台湾の歴史や文化を重視する教育は、若者たちの間に「台湾人意識」を醸成、今では社会の主流に育っている。

 17年の共同通信とのインタビューでは、当時を振り返って次のように語った。「総統在任中には、それまで中国教育に染まっていた台湾人の精神改革を進めました。ベースになったのは、私や家内が身をもって学んだリップンチェンシン、『日本精神』です。誠実、勤勉、奉仕、責任などの美徳をまとめて指す言葉として今でも台湾で使われています」

 2000年に総統を退任。「22歳まで日本人だった」と公言する親日家で、退任後も9回訪日した。07年には松尾芭蕉の「奥の細道」にゆかりがある場所を巡った。15年には東日本大震災の被災地を訪れている。

 ここ数年は自ら進めた民主化が「限界に達している」として、憲法改正を含む「第2次民主改革」を進めるべきだと提言していた。亡くなる直前まで「台湾の主体性を、もっと強化しなければならない」と訴えていた。

李登輝が強化した対米関係、蔡英文総統が引き継ぐ

産経新聞 2020年7月31日(金)23時42分配信/田中靖人(前台北支局長)

 中国からの統一圧力に直面する台湾にとり、安全保障を依存する米国は最大の後ろ盾だ。台湾の民主化を進めた李登輝元総統は、「自由と民主主義」を旗印に米国との関係強化に取り組んだ。李氏が切り開いた米台関係の道筋は、現在の蔡英文政権にも引き継がれている。

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 後に「ミスター・デモクラシー(民主化の父)」と称される李氏の政界進出も、米国の存在と無縁ではなかった。1979年の米台断交とそれに伴う米華相互防衛条約の失効は、独裁体制の蒋経国(しょう・けいこく)政権に衝撃を与えた。外憂を抱えた蒋経国は足下の体制安定のため、人口で多数を占める李氏ら「本省人」を政権に登用、李氏の総統就任に道を開いた。

 また、米議会などから批判を受け、38年間続いた戒厳令の解除や野党・民主進歩党の結党容認など、民主化の基礎となる自由化を進めた。

 蒋経国の死去で総統に昇格した李氏は民主化を進める一方、社会主義の中国と対峙する上で、米国との関係強化に「民主主義」を利用した。95年6月には、対中融和的なクリントン政権を窓口とせず、自由と民主主義という理念への共感を得やすい米議会から支持を取り付け、現職総統として初の訪米を実現した。

 初の政権交代を実現した民進党の陳水扁(ちん・すいへん)氏は、2期目に「台湾独立」志向を強めて米国に「トラブルメーカー」とみなされ、国民党の馬英九(ば・えいきゅう)氏に政権奪還を許す一因となった。

 馬氏も政権発足当初は「親米・和中」路線が米国に歓迎されたが、対中傾斜を強めて米国との距離感が目立つようになった。特に南シナ海問題で中国と歩調を合わせたことで、欧米から批判を招いた。

 現在の民進党の蔡総統は、陳、馬両政権の反省から、中国と距離を保つ一方で、中国を挑発せず低姿勢を取る「優等生」的な対応で、米国の支持を得ている。李氏を彷彿させる「理念の近い民主主義国家との連携」を強調する姿勢は、米議会、トランプ政権の双方から支持されている。

 李登輝氏死去、“弔問外交見据える台湾 コロナが懸念材料 

産経新聞 2020年8月1日(土)0時04分配信

 台湾の李登輝元総統の死去から一夜明けた31日、台湾の総統府は李氏の葬儀に関する会議を開いた。蔡英文総統は多くの海外要人を招いて、台湾への圧力を高める中国を牽制したい考えとみられるが、新型コロナウイルス流行の中では困難が伴う。一方、中国側は「民主化の父」をめぐる台湾の弔問外交を警戒しているようだ。

 葬儀に関する会議には李氏の家族代表や外交部(外務省に相当)、国防部(防衛省)の関係者らが出席した。キリスト教式で行う方針はほぼ固まったが、葬儀に海外の要人を招くか否かについては結論が出なかったもようだ。

 台湾当局の関係者によれば、李氏の台湾に対する貢献と国際社会における影響力を考慮し、蔡政権は当局主催の公式な形で葬儀を盛大に執り行いたいとしている。その際、多くの海外要人に参列してもらうことで、台湾の存在感を国際社会にアピールしたい考えもあるという。

 中国の圧力で、これまでに台湾を訪問した外国の首脳は少ない。台湾メディアによれば、李氏の前任の総統で1988年に死去した蒋経国の葬儀には、当時のシンガポール首相のリー・クアンユー氏、日本の灘尾弘吉・元衆議院議長ら14カ国の要人のみが参列した。

 ただ最近では、香港国家安全維持法の施行により、欧米で中国への警戒が高まる一方、コロナ流行への効果的な対応などで民主主義の台湾が注目もされた。台湾当局が招待すれば欧米や日本から現役の要人が訪れるとの期待もあるという。

 一方、コロナの流行が世界で続く中で、各国から多くの要人を招くことに対して慎重な意見もある。5月20日に行われた蔡氏の2期目の就任式では海外の客を招待せず、各国要人からのビデオメッセージを放映する形をとった。李氏の葬儀も同じく各国首脳にビデオ出演してもらう可能性もないとは言い切れない。与党、民主進歩党の関係者は「どんな形でも中国は必ず抗議する。ビデオの方が参加しやすいかもしれない」と話している。

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2020年7月30日 (木)

【大谷翔平】打棒は復調<今季初本塁打>膝元のボール球✍右中間へ特大➌ラン

大谷翔平、1号被弾の相手投手脱帽「動揺した。あの球を打つとは」

THE ANSWER 2020年7月30日(木)15時53分配信

マリナーズ戦で今季1号3ラン、対戦したダンは驚き語る

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手は29日(日本時間30日)、マリナーズ戦に「4番・指名打者」で先発出場。4回無死一、二塁で迎えた第2打席で右中間へ今季1号3ランを放った。低めのボール球を見事に打ち返した大谷に、相手投手も「あの球を打ってくるとは思わなかった」と脱帽しているようだ。

 地面すれすれの投球をかっ飛ばした。4回無死一、二塁で迎えた第2打席。2ストライクと追い込まれての右腕・ダンの3球目だ。見逃せば完全にボール球という80マイル(約130キロ)カーブを見事にすくいあげた。打球は右中間スタンドへ着弾。待望の今季第1号、飛距離402フィート(約122.5メートル)の3ランとなった。

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 難しい球を柵越えした大谷に、相手投手も脱帽だ。AP通信のグレッグ・ビーチャム氏は「ショウヘイ・オオタニがストライクゾーンより低いスローカーブを打ち返し、第1号本塁打を記録した」と自身のツイッターにつづり、大谷と対戦したダンの言葉もこう紹介している。

「マリナーズの投手のジャスティン・ダンは『彼があの球を打った時は驚いた。動揺してしまった。あの球を打ってくるとは思わなかった』と話した」

 まさかの一発への動揺を明かしていたというダン。エンゼルスは7-10で敗れたが、大谷の打撃は衝撃を与えていたようだ。

 大谷翔平322日ぶり“曲芸アーチ”に米メディアも興奮の嵐 

Full-Count 2020年7月30日(木)13時34分配信

低めのボール球を“曲芸打ち”で右翼席へ122M弾、米メディアはこぞって驚きの声を上げる

エンゼルス – マリナーズ(日本時間30日・アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手は29日(日本時間30日)、本拠地マリナーズ戦に「4番・指名打者」でスタメン出場。4回の第2打席で322日ぶりとなる今季1号3ランを放った。待ちに待った一発に米メディアも「どうやって、こんな球を……」と称賛の声を上げている。

 ついに飛び出した大谷の一発に米メディアも称賛の嵐だ。大谷は1点を追う4回。無死一、二塁で迎えた第2打席で内角低めのカーブをすくい上げた打球は右翼席に飛び込む今季1号3ランとなった。

 1.21フィート(約36.9センチ)と地面スレスレの低めのボール球を腕をたたみ、コンパクトに振りぬいた“芸術アーチ”だった。

 昨年9月11日(同12日)の本拠地インディアンス戦以来322日ぶりの本塁打。打球速度101マイル(約162.5キロ)、飛距離402フィート(122.5メートル)をマークした米メディアも大興奮だ。

 地元TV局「FOXスポーツ・ウエスト」で解説を務めるエンゼルスOBのマーク・グビザ氏は自身のツイッターで「ショータイムへようこそ! ショウヘイ・オオタニが3ラン」。米メディア「CBSスポーツ」のダニー・ヴェッティ記者も「どうやって、こんな球を400フィート(約122メートル)以上打ったんだ?」と絶賛。

 また、MLB公式サイトでエンゼルスの番記者レット・ボリンガー氏も「かなり凄いね。彼があのような位置のボールをホームランにできるとは……」と、大谷の“衝撃アーチ”に驚きの声を上げていた。

 大谷翔平指揮官も復調確信 良くなってるのがにも分かる

Full-Count 2020年7月30日(木)15時00分配信

 マドン監督はこれまで「我慢」という言葉を使っていたが「打撃の感覚がどんどん良くなっていく」

 エンゼルスの大谷翔平投手は29日(日本時間30日)、本拠地マリナーズ戦で「4番・指名打者」で先発出場。4回の第2打席で今季1号3ランを放った。ボール気味の球をスタンドに運んだ322日ぶりの一発にジョー・マドン監督は「ファンキーなスイングだった」と絶賛した。

 今季初の4番でスタメン出場した大谷が、指揮官の期待に応えたのは1点を追う4回無死一、二塁の好機で向かった第2打席だった。2ストライクから右腕ダンの内角低めカーブをバットに乗せて、一時逆転となる1号3ランだった。

 大谷の打撃についてマドン監督はここまで「我慢」という言葉を使っていたが、この日は「彼は打撃の感覚がどんどん良くなっていくだろう。自信も付いてくるだろうし、そうすれば皆が期待することを彼はし始めるだろう」と、復調の気配を感じ取っている様子。

 開幕から打撃の状態は徐々に上がっていると感じているようで「全体的にバランスが良くなっているようだ。彼が打ったホームランはファンキー(独創的)なスイングだった。バランスが良くなっていることと、手の動きも(以前より)良くなっているのは私にも分かる」と、評価していた。

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MLB集団感染の危機フィラデルフィアでもコロナ感染者

中央日報 2020年7月31日(金)7時36分配信

 結局、米プロ野球メジャーリーグが集団感染の危機を迎えた。マイアミ・マーリンズで始まった新型コロナウイルス感染症が対戦相手チームのフィラデルフィア・フィリーズに広がった。

 フィラデルフィア球団は31日(日本時間)、「コーチと球場管理職員の2人が新型コロナ陽性と判明した」と発表した。フィラデルフィアは25日-27日、米ペンシルバニア州フィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークでマイアミとホーム3連戦を行ったが、試合後にマイアミで少なくとも19人が新型コロナ陽性判定を受けた。新たな感染者は連日、確認されている。

 このためフィラデルフィア選手団は次の試合日程のニューヨーク・ヤンキース戦を延期して全員が新型コロナ検査を受け、陰性判定を受けた。しかし30日の追加の検査で感染者が確認された。これを受け、フィラデルフィアはすべての練習のほか、8月1-3日に行われるトロント・ブルージェイズ戦も延期した。

 トロントのチャーリー・モントーヨ監督は現地メディアのインタビューで「フィラデルフィア戦が延期になると聞いた。ワシントン戦が終わって宿泊する場所を探さなければいけない。我々が統制できることではないので前向きに対処する必要がある」と強調した。

 メジャーリーグ事務局は「新型コロナのためシーズンを中断することはない」と強調した。しかし憂慮の声が高まっている。実際に連鎖感染が発生し、選手と関係者が不安を感じている。CNNは「マイアミの選手から感染したアトランタの選手がいれば、今後、拡大のペースはさらに速くなるかもしれない。試合に出ないことが最善だ」と指摘した。

トランプ集会コロナ感染、米実業家ハーマン・ケイン氏死去

時事通信 2020年7月31日(金)6時48分配信

 2012年の米大統領選で共和党候補指名争いに参加した黒人実業家、ハーマン・ケイン氏が死去した。

 74歳だった。同氏の公式ホームページで30日、明らかにされた。トランプ大統領が6月20日にオクラホマ州で開いた政治集会に参加後、新型コロナウイルスに感染したと公表していた。

 レストランチェーン「ゴッドファーザーズピザ」経営者として成功。「黒人保守派」候補として12年大統領選に名乗りを上げたが、過去のセクハラ疑惑や不倫問題が報じられ、支持が広がらず撤退した。

 16年大統領選ではトランプ氏を応援。トランプ氏は19年、空席だった連邦準備制度理事会(FRB)の理事にケイン氏を指名する意向を示したが、議会の承認獲得が難しくなり断念していた。

 ケイン氏は自身の感染公表前、7月4日の独立記念日の式典に関し、ツイッターに「今年の式典でマスク着用は義務ではない。人々は(着用強要の動きに)うんざりしている」と投稿していた。 

マスク不着用の米共和党議員、コロナ陽性に

AFPBB NEWS 2020年7月31日(金)2時41分配信

 米国で、マスクを着用せずに登院を繰り返していた共和党のルイ・ゴーマート(Louie Gohmert)下院議員(66、テキサス州選出)が29日、新型コロナウイルス検査で陽性反応を示した。ゴーマート議員は、ドナルド・トランプ(President Donald)大統領のテキサス州訪問に同行する予定だった。

 ゴーマート議員は前日、ウィリアム・バー(William Barr)司法長官が証言した公聴会の最中にも数回マスクを外していた。また開会前にはバー長官と近い距離で歩いたり会話をしたりしており、両者はその際マスクを着用していなかった。

 ゴーマート議員の検査結果は民主党下院議員らの怒りを買い、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は議場内でのマスク着用を義務化。違反者には退場処分が科される。

 ゴーマート議員はここ数週間、時折マスクを着用。29日に検査結果を発表した際には、自身は無症状だとして陽性の結果を軽視する姿勢を見せた上で、マスクの着け心地が悪かったために動かしたことで「中に病原体が入り」感染したのかもしれないと示唆した。

フロリダ州、新型コロナ死者3日連続最多 マイアミは休校継続

ロイター 2020年7月31日(金)0時39分配信

 米フロリダ州の保健当局は30日、過去24時間で確認された同州の新型コロナウイルス感染症による死者は252人となり、3日連続で過去最悪のペースを更新したと発表した。

 新規感染者数は9956人。累計で46万1000人とカリフォルニア州に次いで2番目に多い。ロイターの集計によると、フロリダ州の死者の累計は6709人と8番目に多い。

 感染急拡大を受け、マイアミ学区は9月の新学期開始後も学校の対面授業を再開しないことを決定した。同学区は国内で4番目に規模が大きい。

 米国では6月初旬以降、新型ウイルス感染症による死者の増加ペースが加速しており、29日にはフロリダ州、カリフォルニア州、アイダホ州、ノースカロライナ州、テキサス州、サウスダコタ州で1日の死亡者数が過去最悪となった。

 同日は米国で1分当たり1人が新型ウイルス感染症で死亡した計算になる。

 GDP、第2四半期は33 コロナ禍で過去最大の落ち込み 

ロイター 2020年7月31日(金)0時02分配信

 米商務省が30日発表した第2・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比32.9%減と、統計の記録を開始した1947年以来最も大きな落ち込みとなった。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により個人消費や企業支出が大幅に低迷した。新型コロナの感染件数が再び増えていることで、始まったばかりの経済回復も脅威にさらされている。市場予想は34.1%減だった。

 第2・四半期GDPは、これまでの最大の落ち込みだった1958年第2・四半期の10%減と比べ、3倍以上の減少幅となった。第1・四半期GDPは年率で5.0%減だった。

 第2・四半期の落ち込みの大半は、新型コロナの感染拡大を抑えるために3月中旬にレストランやバー、工場、その他の事業が閉鎖され、経済がほぼ停止状態となった後の4月に起きた。

 経済活動は5月から持ち直し始めたが、新型コロナの感染件数が再び増える中で経済活動のペースは鈍化している。人口が多い南部や西部の被害が多い地域では当局が事業を再停止するか経済活動再開の動きを止めたところもある。第3・四半期に経済が大幅に持ち直すとの期待が後退した。

 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は29日、経済活動が鈍化しているとの認識を示した。FRBは金利をゼロ近辺に維持し、経済に資金を供給し続けると確約した。

 ロヨラ・メリーマウント大学(ロサンゼルス)の金融・経済学教授、ソン・ウォンソン氏は「景気は第2・四半期に底割れした」と述べる。「見通しはあまり良くない。米国人はソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を守っておらず、感染率は受け入れ難いほど高い。つまり、経済成長が加速することはない」と指摘した。

 GDP急減や軟調な回復を背景に、米政権と議会に対して追加的な景気刺激策に合意するよう圧力がかかる可能性がある。トランプ大統領は29日、合意は急いでいないと発言した。11月3日の大統領選を3カ月後に控えるトランプ氏は、パンデミックや経済危機、人種差別への抗議デモの対応で苦戦し、支持率が急低下している。

 米ノートルダム大学メンドーサ・カレッジ・オブ・ビジネスの財政学教授、ジェーソン・リード氏は、合意を急いでいないとのトランプ氏の発言は「信じ難い」と指摘。「(景気対策が次々と失効する)財政の崖が迫っており、コロナ感染の抑制はもちろんのこと、議会が新たな景気対策で速やかに合意することが不可欠だ」と述べた。

 エコノミストは、過去最大規模の3兆ドル近くの景気刺激策がなければ経済はもっと落ち込んでいたと指摘。景気刺激策は企業向けの従業員の賃金を補填する融資制度や失業給付の週600ドルの上積みなどで構成されるが、失業給付の上乗せは8月1日に失効する。また、多くの企業がこれまでに融資資金を使い果たしているという。

 GDPの内訳では消費支出が34.6%減少し、過去最大の落ち込みを記録。前四半期は6.9%の減少だった。小売関連では百貨店のJCペニーやニーマン・マーカスなどが経営破綻した。

 企業投資も27%減少。このうち機器投資は37.7%減少し、5四半期連続で縮小した。コロナ禍に伴う原油安の中、鉱物探査など非住宅構築物への支出も34.9%減少した。住宅投資は38.7%減。政府調達は2.7%増だった。

 大谷翔平2戦連発23ランに米メディア絶賛「大きく期待 

Full-Count 2020年7月31日(金)14時15分配信

2戦連発となった2号3ランの打球速度は169キロ、飛距離は122.5メートルをマーク

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マリナーズ 8-5 エンゼルス (日本時間31日・アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手は30日(日本時間31日)、本拠地マリナーズ戦で「5番・DH」で先発出場。9回の第4打席で2号3ランを放った。3試合連続安打、そして2戦連発と調子を上げる二刀流に米メディアも「このシリーズの2本塁打はパワーがどこから出てきているのか分からない」と驚きの声を上げていた。

 見せ場を作ったのは6点を追う9回だった。1死一、二塁の好機で第4打席を迎えると4番手・右腕・アルタビラと対戦。追い込まれながらも99マイル(約159キロ)の直球を振りぬいた打球はバックスクリーン左へ飛び込む2号3ランとなった。

 軽く振りぬいたスイングだったが、打球速度105マイル(約169キロ)、飛距離402フィート(122.5メートル)をマーク。3試合連続安打に2試合連続ホームランと状態を上げる大谷に米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のファビアン・アルダヤ記者は「打撃の調子が上がっているようだ」と称賛。

 AP通信のグレッグ・ビーチャム記者も「80マイルのカーブを右翼への本塁打とした翌日、99マイルの直球をセンターへの本塁打とした。大きく期待できる」と、前日は変化球、そしてこの日は159キロの直球を捉えたことを評価していた。

 また、ESPNシアトルのダニー・オニール記者は「オオタニのこのシリーズ2本塁打のパワーがどこから出てきているのか分からない。どちらのスイングもそれほどパワフルに見えなかったが、かっ飛ばした」と、大谷の打撃技術に驚きの声を上げていた。

 

2020年7月29日 (水)

【令和二年七月豪雨】最後は「最上川氾濫」<大雨の日本列島>ようやく梅雨明け。

 山形県・最上川4カ所で氾濫 88棟浸水、2438人避難 

河北新報 2020年7月29日(水)17時36分配信

 梅雨前線や低気圧の影響で記録的な豪雨に見舞われた山形県内で、28日から29日午前にかけ最上川が4カ所で氾濫した。県によると、住宅の浸水被害が12市町村の88棟に上るほか、土砂流出で孤立した集落がある。山形地方気象台は引き続き洪水や土砂崩れなどへの警戒を呼び掛けている。

 県のまとめでは、31市町村に避難所180カ所が開設され、29日午前8時半時点で11市町村の計2438人が避難している。31市町村は災害救助法の適用を受ける。

 住宅は大江町の13棟など6市町村で計24棟が床上浸水し、大江、白鷹両町の各16棟など11市町村で計64棟が床下浸水した。

 大石田町によると、町内で午前9時現在、床上浸水41棟、床下浸水75棟がある。

 道路が土砂で埋まり大蔵村肘折地区など5市町村で300世帯、900人以上が一時孤立した。肘折地区などは孤立が解消され、29日中に全ての地区で解消する見通し。

 土砂流出や冠水などで、東北中央自動車道の東根-東根北インターチェンジ(IC)下り線、大石田村山-尾花沢IC上下線、尾花沢市内の国道13号、新庄市、戸沢村内の47号、南陽市内の113号の一部区間で通行止めとなった。

 山形地方気象台によると72時間降水量が午前11時半時点で、鶴岡市荒沢で267ミリと7月の観測史上最大を観測、西川町で249ミリを記録した。

 大江町の避難所になった大江町民ふれあい会館では、住民約80人が不安な一夜を過ごした。自宅1階が床上浸水した同町左沢の自営業阿部正さん(60)は1967年の羽越水害を経験。「100年に1度と言われた水害をまた経験するとは」と嘆息を漏らした。

 避難所では検温や避難者分散など新型コロナウイルス感染防止策が取られた。運営に当たる伊藤修町健康福祉課長は「避難者のほとんどは高齢者。健康面も気掛かりだ」と懸念した。

濁流、住宅地のむ マスク姿の住民こんなに水があふれたのは初めて

 大雨から一夜明けた29日、山形県内では氾濫した最上川沿いの市町村を濁流が襲い、次々と住宅への浸水被害が明らかになった。避難所では、新型コロナウイルス感染対策でマスクを着けた住民が疲労感をにじませ、隣の人と距離を取っていた。

 大蔵村では北部を流れる最上川に加え、支流の銅山川も氾濫。道路沿いの土砂崩れも発生し、肘折地区など2カ所で住民500人以上が孤立した。自営業羽賀敏さん(75)は、自宅の目の前まで水が押し寄せたといい、「こんなに水があふれたのは生まれて初めて。雨は強くなかったので驚いた」と話した。

 北隣の戸沢村を車で通り掛かった土木建築会社役員柴田清広さん(58)=金山町=によると、同村では29日午前9時までに、国道47号沿いのJR陸羽西線古口駅近くの田んぼはほぼ冠水。草薙温泉周辺は川岸の歩道のすぐそばまで濁流が迫った。黄土色に濁った川面に白い物置小屋が浮かんでは沈みながら流れていった。

 最上川が南北に縦断する大石田町でも一部の住宅が1.5メートルほど浸水、消防などが懸命に排水作業を続けた。避難所で一夜を明かした伊藤洋一さん(67)は自宅が水に漬かった。「中に入れないのでどうしようもない」とぼうぜんと立ち尽くした。町総務課は「複数の浸水被害は出ているが詳細は確認中で、まだ分からない」と対応に追われた。

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最上川沿い浸水最大4㍍ 大蔵村付近国土地理院推定

時事通信 2020年7月29日(水)18時05分配信

 山形県内を流れる最上川中流で起きた氾濫について、国土地理院は29日、浸水推定図を公開した。

 同県大蔵村では浸水の深さが最大4メートルに達したとみられる。

 推定図によると、浸水が最も深いのは大蔵村の大蔵橋付近で、田んぼがあった場所とみられる。また東根市や村山市付近では、田畑が広がる平野部が南北3~4キロにわたって広範囲に浸水したと推定された。

 地理院は同日昼前までにSNSに投稿された現地の写真を基に浸水の深さなどを分析し、標高データと組み合わせて浸水範囲を推定した。 

 最上川氾濫コメ心配米どころ山形直撃 

産経新聞 2020年7月29日(水)16時14分配信

 山形県の最上川で29日朝にかけて降り続いた大雨は、コメどころ山形県を直撃した。

 最上川が3カ所にわたって氾濫した大石田町。川沿いに広がる豊田地区では、コメ専業農家の青藤庫治(あおとう・こうじ)さん(73)が疲れ切った表情を浮かべ、「ここで生まれ育ったが、こんな大雨は初めてだ。2年前の大雨でも、ここは大丈夫だったのに」と悔しがった。

 約1ヘクタールの水田を営む青藤さん。水につかった水田を眺め、「コメが心配だ。まだ花芽が咲く時期ではないので、大丈夫だと思うのだが…。何とか持ちこたえてほしい」と言葉少なに話した。

 同地区は、コメだけでなくソバの産地でもある。地区でソバ畑を営む草刈歩(あゆみ)さん(39)は「朝、見てきたら、畑は全部冠水していた」と、がっくり。畑に植えるソバは水に弱く、再度まくには、2倍の資金が必要になるという。「ソバは全部だめでしょう」と、力なく続けた。

 草刈さん方はコメも作っており、夫の一将(かずゆき)さん(38)は「水が引いてみないと分からないが、コメがいったい、どうなるのか難しいところだ」と話した。

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川が一変最上川氾濫ただ事でない

山形新聞 2020年7月29日(水)9時40分配信

 大雨により県内各地に避難指示が出された28日、寄り添うぶんちゃん取材班の公式LINEアカウントに大江町左沢、会社員大谷正彦さん(47)から普段とは一変した川の様子を捉えた写真などが寄せられた。

 午後3時すぎ、早番の仕事を終え、職場近くの寒河江市の道の駅寒河江チェリーランドに立ち寄った大谷さんは、施設裏を流れる寒河江川の水が河川敷にあふれる様子を目の当たりにし、写真と動画を撮影した。根っこを付けたままの木が流されていく川の勢いに「ただ事ではない」と感じたという。

 その後、帰宅。途中で町内の高台にある楯山公園(通称日本一公園)から最上川を見下ろした。少し前に通ってきた道路や民家までが浸水している状況に焦りを覚えたという。街中にサイレンが鳴り響き、避難する人たちの姿も見受けられた。「新型コロナウイルスもある中で避難所の状況も心配だ」と話した。

 最上川氾濫何も言えない」床上浸水自宅に呆然 

朝日新聞デジタル 2020年7月29日(水)12時42分配信

 山形県大石田町では町内を流れる最上川が3カ所で氾濫した。川沿いに住む女性(78)は29日朝、1メートル近く浸水した自宅を見つめてぼうぜんとしていた。

 前日28日午後9時ごろ、町が出した避難指示を受け、車で高台に避難。日付が変わる頃に自宅を見に行ったところ、浸水していなかったので戻ろうとしたら、消防団の男性に「水が迫っているから避難して」と言われて再び離れた。ちょうど水が自宅に押し寄せてくるところだったという。

 ほとんど寝ていないという女性は「こんなこと初めて。畑も浸水し、何も言えません」と疲れた様子で語り、車に戻った。これから町内の避難所に向かうという。

 同じく最上川があふれた大江町左沢では、住民たちが避難先から川沿いの自宅に戻って泥水をかき出す作業を始めていた。

 会社員の男性(56)は、自宅1階の駐車スペースに深さ30センチほど積もった泥を黙々と押し出した。28日午後6時ごろ、母親(80)と車で避難所に避難し、一夜を過ごしたという。

 男性宅は1階部分の駐車スペースは天井すれすれまで水につかったものの、2階から上の住居部分は浸水を逃れた。町内では約30戸が浸水被害を受けたが、人的被害は確認されていない。男性は「建物は水につかってしまったけれど、地域にけが人などがいなくて本当によかった」と話した。

 住民らによると、県内で8人が亡くなった1967(昭和42)年の羽越水害で、この地域は2メートルほどの浸水被害を受けたという。このため、水害後に住宅を新築や改築する際、1階部分は駐車場にし、住居部分は2階から上にする家が多かったという。

 全国新規コロナ感染者数1264人4桁 

Bloomberg 2020年7月29日(水)17時52分配信

日本全国で29日、1264人の新型コロナウイルス感染者が新たに確認されたとNHKが集計結果を報じた。1日の感染者が1000人を超えるのは初めて。今日29日の東京の新規感染者数は250人。

 ついに岩手で新型コロナ2初確認 全都道府県で感染者 

毎日新聞 2020年7月29日(水)19時14分配信

 岩手県は29日、新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されたと発表した。確認されたのは2人。岩手県は国内の都道府県で唯一、新型コロナの感染者が確認されていなかった。

 県によると、感染が確認されたのは盛岡市の40代男性と宮古市の30代男性。盛岡の男性は7月22~26日、友人3人と関東地方のキャンプ場に滞在していた。その後、友人1人の感染が判明したため、28日に帰国者・接触者相談センターに相談し、29日に感染が確認された。

 安倍謝罪像”に日本の反発拡大「非常識異常な行動 

中央日報 2020年7月29日(水)13時05分配信

 江原道平昌郡(カンウォンド・ピョンチャングン)の韓国自生植物園に設置されたいわゆる「安倍謝罪像」(正式名称は『永遠の贖罪』)に対し日本国内の反発が大きくなっている。

 日本の主要メディアが29日に伝えたところによると、自民党の中山泰秀外交部会長は前日の記者会見で「常識で考えられない異常な行為だ」と強く批判した。その上で「一般の取り組みでも看過できず、韓国政府にも国内での監督責任が生じているのではないか」として韓国政府の対応を求めた。

 連立与党である公明党の山口那津男代表もこの日、「(両国間問題の収束と)逆の方向に荒立てていくことを遺憾に思う。(2015年12月の韓日合意を)覆すような動きが韓国側で起きている。問題の収束に努力する必要がある」と話した。

 この日菅義偉官房長官が定例会見で「日韓関係に決定的な影響を与えることになる。国際儀礼上許されない」と述べた後、日本政府内でも不満があふれた。

 外務省のある幹部は担者団に、「国民の要請を受けたリーダーが侮辱的に表現されるのは気持ちの良い話ではない」と明らかにした。あるメディアは「安倍首相だけでなく日本が侮辱を受けたのと同じだ」という日本政府消息筋の発言を伝えたりもした。

 こうした状況で来月は韓日対立を増幅させかねない日程が相次ぐ予定だ。

 韓国政府が指定した「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」(14日)、光復節(15日)、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長期限(24日)などだ。

 また、強制徴用被害判決と関連した韓国の裁判所の公示送達期限が8月4日である点も変数になるものとみられる。同日以降に日本企業の韓国内差し押さえ資産に対する強制執行(現金化)が可能になるためだ。これと関連して菅長官は28日の記者会見で、「現金化は深刻な状況を招くので、避けなければならないことは韓国側に繰り返し強く指摘している」と強調した。

 韓日関係専門家である静岡県立大学の奥薗秀樹教授は「国民感情を刺激する行為が重なり、日韓関係が負の連鎖から抜け出せなくなる恐れもある」と日本経済新聞に話した。

 日本メディアは韓国外交部の反応も大きく取り上げた。読売新聞は29日、外交部報道官が前日の記者会見で「一般的に外国指導者に対する国際的な礼儀というものがある」と話したとし、銅像設置に否定的な反応を示したと報道した。

 環球時報英語版「米軍の南シナ海攻撃の危険性高まる」 

時事通信 2020年7月29日(水)15時57分配信

 米中両国が相手国にある互いの総領事館を閉鎖させるなど対立が深まる中、29日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は「南シナ海で軍事衝突の危険性が高まっている」という分析を伝えた。

 中国軍をけん制するため米軍が南シナ海で軍事演習を実施し緊張が高まっており、中国が埋め立てた南シナ海の人工島を「米軍が攻撃するのではないか」という臆測も広がっている。

 北京のシンクタンクによると、米軍機が7月中旬以降、頻繁に南シナ海や中国周辺を飛行している。26日には米軍の哨戒機P8Aが福建省の領海まで約76キロの地点に接近した。中国外務省の汪文斌副報道局長は28日の記者会見で「今年前半、米軍機は南シナ海で2000回以上の活動を行った」と述べた。

尖閣諸島周辺中国公船100連続確認異常事態 中国外交部幹部トンデモ発言”の読み方

デイリー新潮 2020年7月29日(水)5時57分配信

 全国紙やNHKなど主要メディアは7月22日、尖閣諸島の周辺で中国当局の船が100日連続で確認されたと報じた。これは2012年9月に尖閣を国有化して以来、過去最長の連続日数という。

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日本の抗議を中国は無視

 記事の中から、共同通信が配信した「尖閣周辺で中国船4隻確認 100日連続、最長更新」を引用させていただく。

《沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で22日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは100日連続。2012年9月の尖閣諸島国有化以降で、最長の連続日数を更新した》(註:全角数字を半角数字にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)。

 もちろん日本政府は抗議したが、中国は聞く耳を持たなかった。中国共産党の機関紙・人民日報のニュースサイト「人民網」(日本語版)は23日、「日本が中国による釣魚島海域での巡航に抗議、中国外交部『抗議は受け入れない』」を配信した。

 この記事で外交部、つまり日本で言う外務省の《汪文斌報道官》は、記者から「なぜ中国は尖閣諸島の海域を巡航するのか」と質問されると、以下のように答えた。

《釣魚島及びその附属島嶼は古来中国固有の領土だ。中国海警局の船による釣魚島海域での巡航と法執行は中国側の固有の権利だ。我々は日本側のいわゆる「抗議」は受け入れない》

 これには立腹される向きがほとんどだろう。だが、「なぜ中国は、これほど取りつく島もないのか」と素朴な疑問を抱いている方も少なくないはずだ。

中国の思惑とは? 

「今年7月6日に中国外交部が開いた記者会見の発言内容を見れば、尖閣に対する中国の思惑は読み解けます」

 こう指摘するのはジャーナリストの篠原常一郎氏だが、その解説を深く理解していただくためにも、まずは篠原氏の経歴からご説明したい。

 篠原氏は1960年に東京で生まれ、18歳で日本共産党に入党した。同い年の小池晃参議院議員(60)と駿台予備校で出会い、「民青千代田地区浪人班」で共に活動したというエピソードの持ち主でもある。

 その後、立教大学文学部の教育学科を卒業。公立小学校の非常勤講師を務めるが、すぐに共産党の専従職員となった。

 1995年から2003年まで党の国会議員事務局に所属し、議員秘書を務める。だが党幹部の不正を暴こうとしたことから、04年に党を除籍された。

 その後、「古是三春」のペンネームで軍事評論家としてデビュー。特に旧共産圏諸国の軍事事情に精通しており、解説記事などで注目を集めた。

 09年からは旧民主党議員の政策秘書を務めた。同年8月の総選挙で民主党政権が誕生したため、篠原氏はいきなり与党議員のスタッフとなったわけだ。

中国が切り出した“密約”

 そして10年9月、尖閣諸島で中国漁船衝突事件が発生する。旧民主党の指示を受け、篠原氏は北京に飛び、中国政府と交渉にあたった。

 当然ながら篠原氏が日本共産党に所属していたことと、中国の軍事事情に精通、党・軍関係者とのパイプがあったことが理由だった。

「中国船が日本の巡視艇2隻を破損させたことなどから、海上保安庁は船長を公務執行妨害の容疑で逮捕しました。最終的には中国側も認めましたが、船長は酒に酔っていました。また私たちは、船長が過去にも問題操船を行っていたことも把握していました。船長の逮捕は当たり前のことでしたが、中国は当初から激しく日本を非難したのです」(篠原氏)

 中国は当時の丹羽宇一郎大使を呼びだして抗議、船長と船員の釈放を求めた。それに対して日本政府は船員を帰国させ、漁船も返還したものの、船長は勾留を延長し、起訴する方針を固めた。

 すると中国は報復措置に踏み切った。在中国トヨタの販売促進費用を賄賂と断定して罰金を科し、中国本土にいたフジタの社員を「許可なく軍事管理区域を撮影した」として身柄を拘束。さらに、レアアースの輸出を事実上停止した。

「中国側は私たちにも強硬な姿勢を変えず、いきなり『なぜ密約を違えたのだ』と糾弾してきたのです。最初は何のことか分からず、戸惑いました。その時、同席していた外務省担当者の、しれっとした表情は、今でも忘れられません」(同・篠原氏)

“警察権の行使”

 結論から言えば、橋本龍太郎(1937~2006)政権の時、日本政府と中国政府は『尖閣周辺で相手国の逮捕者を出した場合、起訴せず、48時間以内に相手国へ引き渡す』という密約を結んでいた。

「現在のように尖閣問題で中国が強硬姿勢を打ち出す前で、主に漁船の違法操業による拿捕を念頭に置いた約束でした。1978年の日中平和友好条約を結んだ際の“尖閣棚上げ論”と同種の取り決めと言っていいでしょう。外務省は旧民主党に、この密約を教えていなかったのです」(同・篠原氏)

 密約に従ったかは不明だが、自民党が与党だった時代、政府が起訴せず釈放したケースがある。2004年3月、尖閣諸島への中国人不法上陸事件が発生した時だ。

 沖縄県警は7人を逮捕したが、最終的に送致は見送った。その日の夕方に開かれた首相会見で、当時の小泉純一郎首相は、以下のように説明した。

「問題が日中関係に悪影響を与えないように、大局的に判断しなければいけない。そういう基本方針に沿って関係当局に指示しておりますので、その指示に従って適切に対処していかなければならないと思っております」

 以上の経緯を踏まえ、篠原氏は今年7月6日に開かれた中国外交部の記者会見に注目する。

中国は密約は破棄と宣言

 共同通信が記事を配信しており、加盟社が掲載した。ここでは沖縄タイムス(電子版)が7日に配信した「尖閣『中国固有の領土』/外務省高官 パトロール正当化」からご紹介する。

《中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の記者会見で、尖閣諸島について「中国の固有の領土だ。釣魚島(尖閣の中国名)の海域でパトロールし法執行することは中国の固有の権利だ」と主張し、正当化した》

「注目すべきは『法執行することは中国の国有の権利だ』と言明したことです。これまでに何度も中国は『尖閣諸島は中国の領土だ』と発言してきましたが、尖閣諸島で警察権を行使することを自国の権利と断言したのは初めてのはずです。『過去の密約は反故とし、今後はこちらも日本人の逮捕、起訴を辞さない』と宣言したと解釈すべきでしょう」(同・篠原氏)

 共同通信の記事によれば、報道局長の発言は《石垣市議会が6月、尖閣の住所地の字名を変更する議案を可決した》ことが大きく影響していると指摘している。

 これは市議会が、尖閣諸島の字名を「登野城(とのしろ)」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決したことを指している。メディアの取材に市は「市内に同じ字名の地域があり、事務的なミスを防ぐため」と説明していたが、中国の猛反発が報道されていた。

台湾へのプレッシャー

 だが、篠原氏は「そもそも中国にとって尖閣諸島=釣魚島は対日というより、対台湾の問題です」と分析。日本に対する圧力という見方を否定する。

「中国が台湾に軍事侵攻を行うとして、尖閣諸島が重要な中継地になるのは、地図を見れば一目瞭然です。中国の意図を読み解くためには、6月30日に国会にあたる全人代が『香港国家安全維持法案』を全会一致で可決したことに注目すべきです。香港で反逆や破壊行為を禁止する法律が制定されたことと、7月6日に外交部の報道局長が尖閣諸島における警察権に言及したことは、同じ内容と言っていいでしょう。いずれも中国が『1つの中国』を実現するため勝手に決めた“タイムスケジュール”に沿った行動であり、台湾に対する強烈なプレッシャーと読み解くべきなのです」

 

2020年7月28日 (火)

【第45代大統領】議長国の米国<G7拡大案>日独が反対表明。

日本に続きドイツも G7拡大反対  韓国「既得権の壁」超えられず

中央日報 2020年7月27日(月)17時38分配信

 日本に続きドイツも主要7カ国(G7)首脳会議にロシアと韓国などを参加させようというトランプ米大統領の構想に反対する立場を出した。事実上G7の拡大改編は難しくなった状況だ。

 ドイツのマース外相は26日、独日刊ライニッシェポスト紙とのインタビューで、「G7と主要20カ国(G20)は合理的に組織された体制。われわれはG11やG12を必要としない」との考えを明らかにした。

 特に過去G8に属していたが2014年のウクライナのクリミア半島併合後にG8から除外されたロシアの復帰に否定的な見方を示した。マース外相は、「ウクライナ東部だけでなくクリミア半島の紛争を解決するのに意味ある進展がない限りロシアがG7に復帰する余地はない」と話し反対の意思を明確にした。

 これに先立ちトランプ大統領は先月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で、G7首脳会議に韓国などを招きG11体制に拡大改編する構想を明らかにした。G7のほか韓国、オーストラリア、インド、ロシアの4カ国を追加するというものだ。専門家らはトランプ大統領がG7を利用して反中国連帯を強化しようとする意図だと分析した。

日本筆頭にG7各国が反対の立場を表明

 トランプ大統領の提案が報道されると、G7各国は日本を筆頭に反対の立場を示した。先月29日の共同通信の報道によると、日本政府は韓国のG7参加に反対する立場を米国政府に伝えた。アジアで唯一の参加国という地位を維持したいとの考えや、文在寅政権の対北朝鮮・対中政策がG7の立場と異なることを理由にしたという。

 欧州連合(EU)もトランプ大統領の提案が報道されたのを受け、G7にロシアが復帰するのを許容してはならないとの立場を明確にした。EUの対外政策を総括するボレル外交・安全保障政策上級代表は先月2日にロシアの復帰に反対し、「参加国と形式を恒久的に変えることはG7議長の特権ではない」と指摘した。続けて英国とカナダもロシアのG7復帰を支持しないという立場を公開的に明らかにした。

 G7拡大再編は既存参加国すべての合意で決定されるだけに、韓国のG7参加は事実上水泡に帰すものとみられる。

専門家たち「先走った期待表明、皮算用を懸念していたが…」

 G7拡大に対し積極的に対応していくとの立場を明らかにした韓国政府は鼻白む状況になった。

 先月トランプ大統領の構想に文大統領は「喜んで応じる」と前向きな返事をした。当時青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)はG7招請が「もし推進されるスケジュール通りに年末に文大統領の訪米が実現するならば一時的なオブザーバー資格ではない、G11またはG12という新たな国際体制の正式メンバーになるもの」と期待感を示した。その上で、これは「韓国が世界秩序を導くリーダー国のひとつになるという意味」と評価した。

 また、青瓦台は23日に徐薫(ソ・フン)国家安保室長主宰で国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、今年のG7首脳会議推進状況を点検することもした。特にNSCは「最近の(トランプ大統領が提案した)G7参加国拡大案についても積極的に対応することにした」とした。

 トランプ大統領の提案に当時外交専門家らの間では先走った期待感を表明するよりは慎重にアプローチする必要があるという助言が出ていた。高麗(コリョ)大学国際大学院のキム・ソンハン教授は「相手がどうするかもわからないのに韓国がすでにG11になったかのように行動し、『取らぬタヌキの皮算用』になる懸念がある」と話した。状況を誇張して評価することになればややもすると逆効果を生む可能性があるとの指摘だった。

ポンペオ長官、D10に言及…反中連帯構想続く

 ただ米国の国際社会での「反中連帯」の構想は続く見通しだ。ポンペオ米国務長官は23日の演説で「民主主義国同士の新たな同盟体構成」の必要性に言及した。民主主義と経済成長を同時に成し遂げた国の会合を称する「D10(Democracies10)」を念頭に置いた発言と解説される。D10は既存のG7に韓国、オーストラリア、インドを含めた概念だ。

 一方、今年G7首脳会議は米国のキャンプ・デービッドで9月に開催予定だ。青瓦台関係者は23日に記者らと会い、G7首脳会議と関連し「日程や議題など具体的事項については米国がG7参加国間で協議中と理解している。確定時に主催国である米国が発表するだろう」と伝えた。

 ポンペオ長官“怒りの演説”、中共に突き付けた究極の選択 

現代ビジネス 2020年7月28日(火)6時01分配信

アメリカが本気で焦り出した

 アメリカが7月21日、ヒューストンの中国領事館閉鎖を命じたかと思えば、中国は24日、成都のアメリカ領事館閉鎖を命じた。期限はそれぞれ72時間以内だ。これほど激しい米中の攻防は、1979年に国交正常化を果たして41年で、初の事態である。

 先週のこのコラムでは、ドナルド・トランプ大統領の最側近の一人で、対中強硬派として知られるマイク・ポンペオ米国務長官が7月13日に発表した、「南シナ海の海洋主張に対するアメリカの立場」と題する声明の全訳を載せた。その上で今秋、アメリカが南シナ海に中国が建設した人工島を空爆する可能性について詳述した。

 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74262

 ところが、ポンペオ長官によれば、中国批判は「4回シリーズ」なのだそうで、ロバート・オブライアン国家安全保障顧問、クリス・ウォレイFBI長官、ウイリアム・バール司法長官を伴って、さらに強烈なスピーチを、7月23日に行った。

 その要旨は後述するが、これは台頭する中国に追い詰められた覇権国アメリカの「悲痛な叫び」とも言えるものだ。1945年以降、世界の覇権を握ってきたアメリカが、このままでは中国に覇権を奪われてしまうと、本気で焦り出したのである。

トランプ政権の対中論争に終止符

 今回のスピーチは、3つの意味で、「米中新冷戦」を決定づけるものとなった。

 第一は、トランプ政権内の対中論争に終止符を打ったことである。

 トランプ政権内には、中国とどう対峙するかについて、二つの見方がある。一つは、貿易不均衡や雇用を是正することに主眼を置く、いわば「通商強硬派」である。

 トランプ大統領自身がその代表格で、スティーブン・ムニューシン財務長官やジャレド・クシュナー大統領上級顧問(トランプ大統領の長女イヴァンカ大統領補佐官の夫)らが、このグループに属する。実業界やウォール街出身の幹部たちが多く、中国を主にビジネスの対象として捉えている。

 もう一つのグループは、中国という台頭する社会主義国そのものが許せない「軍事強硬派」、もしくは「理念強硬派」と呼ぶべき幹部たちである。彼らは現在の中国を、「21世紀のソ連」と捉えている。

 マイク・ペンス副大統領とポンペオ国務長官が、その代表格である。ピーター・ナバロ国家通商会議議長やマット・ポッティンジャー大統領安保担当副補佐官、政権内から外れたジョン・ボルトン前大統領安保担当補佐官、スティーブン・バノン元大統領首席戦略官兼上級顧問らが、このグループに属する。

 右派の政治家や軍関係者、論客らが多い。彼らは決して口にはしないが、白人でもキリスト教徒でもなく、英語を母国語とするわけでもない東洋の国(中国)に、21世紀の覇権を取られてしまうことへの強い拒否感を持っている。

 トランプ政権内においては、その時々で、この二つのグループが頭を擡(もた)げつつも、全体的にはバランスを保ちながら、中国との関係を築いてきた。今年1月15日には、米中間の貿易交渉で1回目の合意に達し、トランプ大統領と劉鶴(Liu He)副首相が合意文書に署名した。

 ところが、今年3月から本格的にアメリカを襲い始めた新型コロナウイルスは、この両グループの力関係に、決定的な作用を及ぼした。中国に対してより強硬な「軍事強硬派」が「通商強硬派」を圧倒したのである。

 それは、中国発の新型コロナウイルスによってアメリカが未曽有の危機に襲われる中、トランプ的な「通商強硬派」の方針のままでは、来たる11月の大統領選挙で敗北してしまうという共和党の危機感の表れでもあった。トランプ大統領自身も、そのことは重々承知しているため、「にわか軍事強硬派」に変心した。

はじめて「一線」を越えた

 今回のポンペオ演説が「米中新冷戦」を決定づけた第二の理由は、中国という国家に加えて、9100万中国共産党員のトップに君臨する習近平(Xi Jinping)総書記個人を攻撃したことである。

 これまでトランプ政権と中国側との間では、一つの「暗黙の了解」があった。それは、アメリカが中国をいくら非難しても、習近平総書記個人は非難しないということである。

 どこが違うのかと思うかもしれないが、これは大きな違いである。

 例えば、戦前の日本において、外国が大日本帝国を批判することと、昭和天皇個人を批判することの違いである。いまの北朝鮮において、北朝鮮を批判することと、金正恩(キム・ジョンウン)委員長個人を批判することの違いである。

 北朝鮮は6月16日、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破するという暴挙に出たが、彼らが挙げた理由は「南が撒いたビラによって最高尊厳(金正恩委員長)を汚した」ことだった。

 トランプ政権は、こうしたことを理解しているため、これまでいくら中国を非難しても、政権幹部が習近平総書記個人を、公の場で批判することはなかった。あの毒舌家のトランプ大統領も、過激な中国批判をした後、「でもプレジデント(国家主席)シー(習)とは友人だ」と言い添えることを忘れなかった。

 また、トランプ政権幹部によるこれまで最も過激な中国批判演説と言えば、2018年10月4日にペンス副大統領がハドソン研究所で行ったものだが、あの強烈なスピーチの中でさえ、習近平総書記個人は批判していない。

 ところが今回のポンペオ演説では、その「一線」を越えたのである。ポンペオ国務長官は語気を強めて、次のように述べた。

 「習近平総書記は破綻した全体主義思想の信奉者であるということに、われわれは心を留め置かねばならない」

 「われわれが許さない限り、習総書記は中国内外で、永遠に暴君でいられる運命ではないのだ」

 換言すれば、この発言は、中国側にボールを投げたものでもあった。すなわち、「アメリカとの新冷戦を避けたかったら、習近平を替えなさい」ということだ。

中国の命運を左右する重要会議

 折りしも現在、「中南海」(北京の中国最高幹部の職住地)は、一年で最も権力闘争が吹き荒れる季節に入っている。

 中南海の人々は毎年8月上旬、「北戴河(ほくたいが)会議」と呼ばれる重要会議を行う。河北省の海辺の避暑地「北戴河」に、最高幹部と、すでに引退した元最高幹部たちが一堂に会し、「中国の当面の重要問題」について意見を交わすのだ。

 「現代の皇帝」である習近平総書記にとって、現役の政治家の中で、自分に牙を剥くような「反習近平派」は、もはや存在しない。唯一やっかいなのが、すでに現役を引退した長老たちである。普段は彼らを無視していればよいが、年に一度、北戴河会議の時だけは、顔を合わせざるを得ないのである。

 これを千載一遇のチャンスと見ているのが、習近平政権内、もしくは外に潜んでいる「非習近平派」の面々である。普段は沈黙を強いられているだけに、北戴河会議で、自分たちが言いたいことを長老に進言してもらおうとするわけだ。

 こうした傾向は、習近平政権になってから、幾度も見られている。例えば、2018年8月の北戴河会議だ。

 この年の3月に、トランプ大統領が中国に貿易戦争を「宣戦布告」し、同年7月6日に、「第1弾」となる340億ドル分の追加関税を発動した。それによって、中国経済が大揺れとなったため、「習近平政権は強硬な態度を改めるべきだ」という声が、長老たちから上がったのである。

 だが、今年の北戴河会議は、2年前と較べても、さらに強烈なアメリカ発の「津波」が押し寄せている中で開かれる。アメリカと対決するのか、妥協を図るのか――21世紀前半の中国の命運を左右する「大英断」を、習近平政権は迫られているのである。日本で言うなら、太平洋戦争を決断した1941年(昭和16年)の御前会議のようなものだ。

 習近平総書記は、2018年3月に国家主席の任期を撤廃し、「半永久政権」の道筋をつけた。来年7月に控えた中国共産党創建100周年で、「過去4000年でどの皇帝や王も成し得なかった貧困撲滅の達成」を宣言する予定だ。

 その功績を掲げて、2022年秋の第20回中国共産党大会で、総書記再任を決める。続いて、2023年3月の全国人民代表大会で国家主席を再任させる――これが習近平総書記が狙う半永久政権構想と思われる。

 ところが今回、アメリカはそこに大きな楔を打ち込んで来たのである。「トップを替え、国家体制を替えなければ、戦争も辞さない」というわけだ。

どの党の誰が大統領に就いたとしても…

 今回のポンペオ演説が「米中新冷戦」を決定づけた第三の理由は、単にトランプ政権のことではなく、「アメリカの問題」として対中問題を提起したことだ。

 周知のように、11月3日の大統領選挙に向けて、トランプ共和党陣営とジョン・バイデン民主党陣営は現在、熾烈な選挙キャンペーンを繰り広げている。いまのところ民主党が優勢で、このまま行けば、民主党への政権交代が実現する。

 ポンペオ国務長官は、そのことを見越した上で、「どの党の誰が大統領に就こうが、これからのアメリカは習近平政権と正面から対決していく」というニュアンスで演説しているのである。かつポンペオ国務長官の呼びかけに、民主党側は反対の声を上げていない。

 今回のスピーチの場所に選んだのは、カリフォルニア州ヨーバリンダ(Yorba Linda)にあるリチャード・ニクソン図書館(Richard Nixon Presidential Library)だった。

 単に大統領選挙のキャンペーンの一環だったら、ポンペオ国務長官がカリフォルニア州に行くことはなかっただろう。それは、東海岸のワシントンDCから西海岸まで距離的に遠いからではなくて、カリフォルニア州が民主党の絶対的基盤だからだ。カリフォルニア州は、どうあっても民主党のバイデン候補が票を取るので、共和党の幹部が行っても選挙的には無意味なのだ。

 それではなぜ、ポンペオ国務長官がわざわざ足を延ばしたのかと言えば、それはニクソン大統領が中国との国交正常化の道筋をつけた「親中大統領」だからである。日本で言うなら、日中国交正常化を断行した田中角栄元首相のような存在だ。

 1971年7月16日、ニクソン大統領は突然、国交を持たない中国との関係改善と、翌年の中国訪問を発表した。いわゆる「ニクソン・ショック」だ。そして1972年2月に訪中を果たし、毛沢東主席と歴史的な握手を交わした。実際に米中国交正常化を果たしたのは、ジミー・カーター政権下の1979年元日だが、米中国交正常化は明らかに、ニクソン大統領の功績である。

 当時、なぜ急転直下の米中の握手となったかと言えば、それはアメリカ側の都合によるものだった。

 激しさを増すソ連との冷戦で優位に立ちたい、泥沼化するベトナム戦争を早く終結させたい、低迷する国内経済を回復させるため中国ビジネスを復活させたい……。こうしたアメリカの国益を考えると、冷戦の真っ最中で相手は社会主義国とはいえ、中国と国交を結ぶのがベターと考えたわけだ。

 もちろん、中国側にとっては、アメリカとの国交正常化は、長く渇望していたことである。加えてこの時期、アメリカの後押しを受けた中国は、国連加盟を果たし、おまけに中華民国(台湾)を国連から追放することにも成功した。

 こうして米中は国交正常化を成し遂げ、アメリカはそろりそろりと「関与政策」(engagement policy)を始動させていった。

 関与政策というのは、中国の経済発展をサポートしてあげれば、それはアメリカの国益にもつながるという考え方だ。経済的にはアメリカ企業の利益を上げるし、政治的にも民主化の方向に進んで行くだろうとアメリカは判断した。

 ところが、ポンペオ国務長官曰く、そうはならなかった。経済発展した中国は、アメリカ企業の利益を奪うようになり、軍事大国化してアメリカの覇権を奪いかけている。政治的にも、民主化どころか、21世紀のソ連のような全体主義国家となっていった。「アメリカが中国というフランケンシュタインを作ってしまった」とまで、今回言っている。

 そこで、わざわざカリフォルニア州のニクソン図書館までやって来て、「ニクソン大統領が始めたアメリカの半世紀の対中政策を見直す」と宣言したのである。

ポンペオ演説の気になる中身

 この日のポンペオ演説は非常に長いものだったので、以下、箇条書きにして、主な発言を紹介する。

 ・このスピーチは明快な目的、真の任務を持っている。それは米中関係の異なる側面――この何十年もなおざりにされてきた膨れ上がる不均衡と、中国共産党の覇権への指針を説明することだ。

 ・われわれの目標は、アメリカにとっての脅威をはっきりさせることだ。それはトランプ大統領の対中政策がはっきりさせている確立された自由を守る戦略だ。

 ・われわれは、中国への関与が共生と協力の明るい未来になると想像していた。だが今日、われわれはいまだにマスクを付け、パンデミックが広がっていく人数を数えている。それは中国共産党の世界への約束の失敗によるものだ。

 ・われわれは毎朝、香港と新疆ウイグルの新たな抑圧についての見出しを読んでいる。

 ・われわれは中国軍がますます強大になり、ますます確かな脅威となる様を見ている。

 ・対中関与政策から50年を経て、アメリカ人が目にさせられているものは何か? アメリカの歴代政権が目指した中国の自由と民主への進化が実現しているか? 

 ・もしもわれわれが自由な21世紀を望むなら、そして習近平が夢見る中国の世紀にならないことを望むなら、やみくもな対中関与という旧いパラダイムは何もなさないだろう。

 ・(対中関与政策を決めた)ニクソン大統領は中国にとっての、また激しい冷戦時代の優等生だった。そしてわれわれ皆がそうであると思われるように、中国国民にとっての崇拝者にもなった。

 ・ニクソンは1967年、『フォーリン・アフェアーズ』にこう寄稿した。「長期的視野に立てば、中国を永遠に仲間の国々から引き離しておくわけにはいかない。中国が変わっていくまで、世界は平和ではいられない。そのためわれわれの目的は、ある程度、状況に影響を与えねばならない。目標は変化を導くことだ」。こうして北京への歴史的外遊を伴ってニクソンは関与戦略を始めた。

 ・だが中国人に拳(こぶし)を振り下げてみたら、われわれが目にしたのは中国共産党がわれわれの自由で開かれた社会を悪用したことだった。中国はアメリカの記者会見、研究所、高校や大学、果てはPTAの会合にまでプロパガンダを送り込んだのだ。

 ・われわれは台湾という友人を阻害したが、後に活発な民主主義の花を咲かせた。一方の中国共産党とその政権には最恵国待遇を与えたが、そこで目にしたのは、西側の企業に中国への入場券を与える代わりに、中国共産党の人権侵害に沈黙を強いることだった。

 ・中国はわれわれの貴重な知的財産と企業秘密を取りはがし、それはアメリカ全土の何百万人もの雇用に影響を与えた。そしてアメリカからサプライチェーンを引き抜き、奴隷労働によって作られた製品を加えた。

 ・ニクソン大統領はかつて、世界を中国共産党に明け渡した時、フランケンシュタインを作ってしまったかもしれないと恐れた。だがいま存在しているのが、まさにそれだ。

 ・北京は「平和的台頭」と言っていた。だが理由はどうあれ、何であれ、中国はいまや、自国では権威主義を強め、国外では至る所で敵意を剥き出しにしている。

 ・数週間前(6月17日)、楊潔篪(中国外交トップの中央政治局委員)に再会するためホノルルへ旅したが、旧い同じ話だった。多弁だったが、文字通り態度を変えようという申し出は何もなかった。

 ・中国共産党の体制はマルクス・レーニン主義の体制であり、習近平総書記は破綻した全体主義思想の信奉者であるということに、われわれは心を留め置かねばならない。

 ・このイデオロギーこそが、中国共産主義のグローバルな覇権という習近平総書記が何十年にもわたって望んできたことを知らしめるものだ。

 ・共産中国を本当に変化させるには、中国のリーダーが語ることをもとにするのではなく、どう振る舞うかをもとにして行動することだ。

 ・レーガン大統領は、「信頼と検証」に基づいてソビエト連邦に対処すると言った。それで言うなら中国共産党に対しては、「不信と検証」によらねばならない。

 ・自由を愛する国々は、かつてニクソン大統領が望んだように、中国で変化を起こさせるようにしていかねばならない。

 ・われわれは、アメリカ国民とそのパートナー国が、中国共産党をどう認識するかということを変えることから始めねばならない。

 ・真実を話さねばならない。中国という化身を、他国のように普通の国として扱うことはできないのだ。

 ・中国との貿易は、普通の法に則った国との貿易と同じではない。

 ・同様に、中国共産党がバックにいる会社とのビジネスは、例えばカナダの会社などとは同じではない。

 ・われわれはまた、われわれの企業が中国に投資したら、知ってか知らずか中国共産党の重大な人権侵害に加担するかもしれないことを分かっている。

 ・あまりに多くの中国人学生やビジネスマンが、ここへ来て知的財産を盗み、自国に持ち帰っている。

 ・人民解放軍もまた、通常の軍隊ではないことをわれわれは知っている。その目的は中国共産党のエリートの絶対的な支配を維持し、中華帝国を拡大することであって、中国国民を守ることではない。

 ・われわれは2週間前、南シナ海で国際法に敬意を示すことに関して、8年ぶりに方針を転換した(中立の立場から中国非難に変えた)。

 ・われわれはまた、中国共産党とは完全に異なり、ダイナミックで自由を愛する中国人に関わり、力を与えていかねばならない。

 ・私が陸軍時代に学んだことが一つあるとすれば、それは共産主義者というのは、ほぼいつでもウソをつくということだ。最大のウソは、彼らが監視し、抑圧し、ほとんど声も上げられなくしている14億の民のために話していると考えていることだ。

 ・事実は全く逆で、中国共産党は、中国人が正直に意見を言うことを、どんな敵にも増して恐れているのだ。

 ・もしも武漢の医師たち(故・李文亮医師ら)に、新種のウイルスが流行するという警鐘を鳴らすのを許可し、それらの声に耳を傾けていたなら、中国国内の人々は言うに及ばず、世界はどれほどよくなっていたかを考えてみてほしい。

 ・何十年にもわたって歴代のリーダーたちはこうしたことを無視してきたが、われわれはもはや無視しない。

 ・だが中国共産党の振る舞いを変えさせる使命は、中国人だけが持っているものではない。自由な国家は自由を守るために行動しなければならない。

 ・中国共産党は、ソビエト連邦と同じ間違いをいくつか繰り返している。潜在的な同盟国を疎外し、国内外の信頼を破り、財産権と予測可能な法の支配を拒絶するといったことだ。

 ・香港人を見てほしい。中国共産党が誇り高い都市の手綱を引き締めるので、海外への移住を叫んでいる。そして彼らは、アメリカ国旗を振っているではないか。

 ・確かにソビエト連邦と違って、中国はグローバル経済に深く統合されている。だがわれわれが彼らに依存する以上に、北京の方がわれわれに依存しているのだ。

 ・いまこそ自由国家が行動する時だ。すべての国は、中国共産党の触手から、いかに主権を守り、経済的繁栄を保護し、理想を維持するかということを理解していかねばならない。

 ・だが私がすべての国のリーダーに呼びかけたいのは、アメリカ方式から始めてほしいということだ。すなわち、シンプルに相互主義、透明性、説明責任を要求していくということだ。自由国家はやり方を改め、同一原則で行動するのだ。

 ・まさにこれこそが、アメリカが最近、中国の不法な南シナ海での主張を一度完全に拒絶したことなのだ。

 ・われわれは過去のミスを繰り返すわけにはいかない。中国の挑戦は、民主国家――ヨーロッパやアフリカ、南アメリカ、それに特にインド太平洋地域――に努力と労力を要求するものだ。

 ・もし今行動を起こさなければ、最終的に中国共産党は、われわれの自由を侵食し、われわれの社会が懸命に築き上げてきたルールに基づいた秩序をひっくり返すだろう。いまわれわれが膝を屈したら、孫たちは中国共産党の慈悲の傘下に下るかもしれない。それほど中国共産党の行動は自由世界にとって喫緊の挑戦だということだ。

 ・われわれが許さない限り、習総書記は中国内外で、永遠に暴君でいられる運命ではないのだ。

 ・これはこれまで直面したこのない複雑で新たな挑戦だ。ソビエト連邦は自由世界から閉鎖されたが、共産中国は、すでにわれわれの国境の中に入ってきているのだ。

 ・そのためアメリカ単独では立ち向かえない。国連、NATO、G7、G20など、われわれの結合した経済力と外交力、軍事力によって、明確に大きな勇気を持って指針を示していけば、この挑戦に必ずや、十分対処していける。おそらく、志を同じくする国々が、新たな民主の同盟を作る時なのだ。

 ・自由世界が変わらなければ、共産中国が確実にわれわれを変えてしまうだろう。

 ・中国共産党から自由を守ることは、われわれの時代の使命である。そしてアメリカは完全に、これをリードしていく。なぜなら建国の原則が、機会を与えてくれるからだ。

 ・確かに、リチャード・ニクソンは1967年、正しいことを書いた。「中国が変わるまでは世界は安全にならない」。いまこそこの言葉に心を留めるべき時だ。

 ***

 以上である。何とも大変な世の中になってきたことが分かるだろう。

 「トゥキディデスの罠」という言葉があるように、歴史的に見て米中2大国の激突は、早晩起こるべきものだったのかもしれない。しかし新型コロナウイルスのパンデミックによって、一気に津波のように襲ってきてしまった。

 新型コロナウイルスさえ制御できないでいる日本は、にわかに始まった米中新冷戦の乱世に、うまく対応して行けるだろうか? 

IMF世界経済見通し」大幅下方修正大恐慌以来最悪景気後退

@DIME 2020年7月28日(火)7時28分配信

 新型コロナウイルス感染拡大によって、悪化する世界経済。この状況を受けてIMF(国際通貨基金)は、通常4月と10月に発表し、1月と7月にアップデート版を発表する『世界経済見通し』(World Economic Outlook)を6月に前倒しで公表。前回4月の『世界経済見通し』を再び大幅に下方修正し、世界大恐慌以来で最悪の景気後退になるとした。

 そんなIMF『世界経済見通し』について論じた、三井住友DSアセットマネジメントのマーケットレポートを以下にて紹介していきたい。

ポイント1『世界経済見通し』、2020年は前年比▲4.9%

 24日に発表されたIMFの『世界経済見通し』は、2020年の世界経済の成長率が前年比▲4.9%と、前回4月の▲3.0%から大幅に下方修正された。新型コロナ感染拡大が経済活動に想定以上の悪影響を及ぼしており、回復は前回予測より緩やかになるとした。

 先進国は、新型コロナ感染拡大が想定以上となった米国、欧州を中心に大幅に下方修正され、同▲8.0%となった。新興国は、修正幅が大きいインドを中心にいまだ感染拡大が続いていることから、同▲3.0%へ下方修正された。

ポイント2新型コロナ感染状況などにより見通しの不確実性は高い

 IMFは新型コロナの感染状況などによって、今回の予測は通常よりも不確実性が高いとしている。

 経済活動が再開された地域で予想以上に経済の正常化が進む場合や、ワクチン開発など医療進歩が想定以上に進む場合は、見通しほど深刻にならない可能性がある。

 一方、感染再拡大が局地的なものに留まらず、世界的感染第2波が到来するリスクシナリオでは、再び広範囲にロックダウン(都市封鎖)が実行され、21年の世界経済成長率は今回予測から▲4.9%低下するとしている。

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今後の展開各国の金融・財政政策を受け2021年は+5.4%成長へ

 世界各国・地域は新型コロナの悪影響を緩和するため財政支出を拡大してきた。IMFは世界の公的債務残高が今年GDP比100%を突破して、過去最高になると予想している。一部の国では財務の健全性が懸念されるが、各国は中央銀行による国債などの買い入れを増加させて対応すると考えられる。

 IMFの基本シナリオは、感染再拡大が局地的なものに留まり経済活動が徐々に再開することを前提に、世界景気は20年後半から緩やかに持ち直し、21年の世界経済成長率は+5.4%へ回復するとしている。ただし、全世界では依然として新型コロナ感染拡大が続いており、引き続き感染状況の行方に注意が必要だ。

 

2020年7月27日 (月)

【大谷翔平】693日ぶり<今季MLB初登板>0/3回5失点KO

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大谷翔平⚾最速152㌔屈辱693日ぶり登板一死も取れず5失点降板 

Full-Count 2020年7月27日(月)5時43分配信

日米通じて自己最短KO、直球の最速152.4キロだった

アスレチックス 6-4 エンゼルス(日本時間27日・オークランド)

 エンゼルスの大谷翔平投手が26日(日本時間27日)、開幕3戦目の敵地・アスレチックス戦で今季初登板初先発した。2018年10月の右肘のトミー・ジョン手術後初、693日ぶりの公式戦登板だったが、1死も取れずに3四球3安打5失点で降板した。フォーシームの最速は152.4キロ。チームは4-6で敗れ、大谷は今季初黒星を喫した。

 フォーシームは走らず、制球に苦しんだ。先頭・セミエンの中前打、ラウレアーノとチャップマンの四球で無死満塁のピンチを招いた。オルソンに押し出し四球を献上。カナには右前2点打を浴び、続くグロスマンには右前適時打を許した。ここで降板。30球を投げてストライク15球。1死も取れずに3四球3安打5失点した。日米を通じてワーストの投球。大谷は「腕がイマイチ振り切れていなかったのは全体的にあるかなと思います。ゲーム感というか、今日もただ投げているという感覚が一番なので。ゲームの組み立ての中で抑える準備をしたい」と反省を口にした。

 2018年10月の右肘のトミー・ジョン手術後初の公式戦登板で、同年9月2日(同3日)のアストロズ戦以来693日ぶりだった。マドン監督は27日(同28日)の同カードで指名打者として起用する可能性を口にした。登板翌日の打者出場となればメジャー自身初となる。大谷は「反省するところはもちろん反省したいですし、明日以降も試合はあるので、まずは切り替えて打席に集中したいと思います」と前を向いていた。

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大谷翔平の投手復帰に米メディア辛辣“不名誉”MLB16年ぶり珍記録

Full-Count 2020年7月27日(月)11時29分配信

1死も取れず3四球3安打は04年の元阪神ボーグルソン以来メジャー16年ぶり

 エンゼルスの大谷翔平投手が26日(日本時間27日)、開幕3戦目の敵地・アスレチックス戦で今季初登板初先発した。2018年10月の右肘のトミー・ジョン手術後初、693日ぶりの公式戦登板だったが、初回1死も取れずに3四球3安打5失点で降板した。フォーシームの最速は152.4キロ。チームも4-6で敗れ、大谷は今季初黒星を喫した。

 フォーシームは走らず、制球は荒れた。初回先頭・セミエンの中前打、ラウレアーノとチャップマンの四球で無死満塁のピンチを招き、オルソンに押し出し四球を献上。カナには右前2点打を浴び、続くグロスマンには右前適時打を許した。30球を投げてストライク15球。1死も取れずに3四球3安打5失点だった。

 まさかの復帰登板。米メディアは続々と速報した。大リーグ公式サイトは「オオタニの復帰登板は失敗に終わる。5失点、ノーアウト」と伝えた。米ヤフースポーツは「エンゼルスのショウヘイ・オオタニは復帰戦のマウンドで1アウトも取れず」との見出しで報道。2018年フォーシームの平均球速97マイル(約156キロ)だったのに対し、この日は93マイル(約149.7キロ)だったと指摘。「今日の短い投球は『不安を覚える』」と伝えた。

 米放送局CBSスポーツは「オオタニの復帰登板は順調に進まなかった。全くもって、だ。彼の防御率は無限の状態だ」と報じた。トミー・ジョン手術明けの投手が制球に苦しむことが珍しくないことを伝え、メジャーで1死も取れずに3四球3安打したのは2004年の元阪神ライアン・ボーグルソン以来。リーグでは1998年のブレイク・ステイン以来と報じた。ただ、二刀流への球界の期待は大きい。「オオタニの才能はかなりのものである。彼に関しては、(エンゼルスが)辛抱強くいる価値がある」と粘り強く復調を待つべきとした。

 マドン監督は27日(同28日)の同カードで指名打者として起用する可能性を口にした。登板翌日の打者出場となればメジャー自身初となる。大谷は「腕がイマイチ振り切れていなかったのは全体的にあるかなと思います。反省するところはもちろん反省したいですし、明日以降も試合はあるので、まずは切り替えて打席に集中したいと思います」と前を向いた。次回登板は2日(同3日)の本拠地アストロズ戦が見込まれる。米メディアを見返すような投球を期待したい。

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大谷翔平、大乱調の要因「体の開き」「腕の振り」に着目米メディア

THE ANSWER 2020年7月27日(月)11時55分配信

体の開きの早さと腕の振りに注目

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手が26日(日本時間27日)、開幕3戦目の敵地・アスレチックス戦で今季初登板初先発。右肘のトミー・ジョン手術後初、2年ぶりの公式戦マウンドだったが、1死も取れずに3四球3安打5失点で降板した。まさかの大乱調の要因はどこにあったのか。米記者は2年前との比較動画を投稿。2つの要因があると分析している。

 フォーシームの平均球速は92.9マイル(約149.6キロ)にとどまり、30球のうち半数がボール球と制球も全く定まらなかった。初回は安打と2四球で満塁のピンチを背負い、押し出し四球と連続適時打。1死も取れずにマウンドを降りる、悪夢の復帰登板だった。

 これほどまでに乱れた理由はどこにあるのか。メジャーデビューイヤーで、大きなインパクトを残した2018年当時の映像と比較して分析しているのは米スポーツ専門局「CBSスポーツ」のダニー・ヴィエッティ記者だ。自身のツイッターにこう記している。

「ショウヘイ・オオタニを見て感じたことは、腕を振るスピードが遅くなっていることと、開きが早すぎるということです。説明させてください。彼の腕を振るスピードは遅くなっています。体の動きに追いついていませんでした。そこで体のひねりを利用しようと試みましたが、それによって前に開くのが早すぎていました」

 同記者は「体の開き」と「腕の振り」という2つのポイントに着目し指摘していた。

 マドン監督は27日(同28日)の同カードで指名打者として起用する可能性を口にしているという。「投手・大谷」は心配だが、まずは「打者・大谷」に期待をかけたい。

 大谷翔平指揮官急速低下原因より 

デイリー 2020年7月27日(月)13時15分配信

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)は右肘手術を乗り越えて693日ぶりに公式戦のマウンドに立った。しかし、1死も取ることができず、3安打3四球、メジャー自己ワーストの5失点で黒星を喫した。打者6人に計30球、ストライクは15球だった。

 試合後の会見でストレートの球速に関する質問が多く出た。大谷のメジャー最速球は右肘手術前の18年5月30日のタイガース戦で記録した101・1マイル(162・7キロ)。しかし、693日ぶりの投手復帰となったこの日の最速は中継局のテレビ表示が95マイル(約153キロ)、大リーグ公式サイトは94・7マイル(152・4キロ)。自己ベストと約10キロ近い開きがあった。

 試合後の会見で球速が上がらなかった理由を問われた大谷は「球速は特に…、はい」と多くを語らず。30球を思い返しながら「腕がいまいち振り切れてなかったかな、というのは全体的にある」と自己解説し、「バッターを抑えに行くという気持ちよりも球を投げることに集中していた感じ」と、肉体面より精神面が球速に影響したことを強調した。

 米記者からも球速低下について問われたマドン監督は健康状態について彼にも聞いた時は大丈夫と言っていた。何も悪いところはないと返答。大きなけがから復帰して久しぶりの試合に臨む場合、けがの前の状態に戻すためには精神的な部分で打ち破らなければいけないものはある。私はこれまでそういう選手を他にも見てきたと話した。

MLBコロナ禍が影響?全30球団先発投手が1人も7回投げ切れず

Full-Count 2020年7月27日(月)18時39分配信

27日はメジャーリーグで全15試合が行われたが先発投手が1人も7回を投げ切れず

 メジャーリーグは26日(日本時間27日)、エンゼルスの大谷翔平投手が今季初登板初先発するなど全15試合が行われた。この日はMLB全30球団の先発投手が7回を投げ切れず降板しており、これはメジャー史上初の出来事だった。

 この日の先発投手で最長イニングを投げたのはタイガース戦に登板したレッズのトレバー・バウアー投手とヤンキース戦に登板したナショナルズのパトリック・コービン投手の6回1/3イニングだった。

 データを専門に扱う米国のスポーツテクノロジー会社「スタッツ・パフォーム」の公式ツイッター「スタッツ・バイ・スタッツ」によると、全ての球団が試合をした日で先発投手が1人も7回を投げ切れなかったことは、MLB史上初めてのことだという。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、メジャーリーグは開幕が大幅に遅れた。各選手たちの調整に影響が出たことも“珍記録”が生まれた一つの要因かもしれない。

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大谷翔平一死も奪えず5失点KO…江本孟紀はこう見る

デイリー新潮 2020年7月27日(月)16時31分配信

心配しつつ投げているから

 LAエンゼルス・大谷翔平投手(26)が7月27日、敵地のアスレチックス戦で先発。2018年10月2日、ロサンゼルス市内の病院で右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)を受けた大谷にとって、693日ぶりのメジャーのマウンドだったが、一死も取れずノックアウト。何が良くなかったのか、解説者の江本孟紀氏に聞いた。

 ***

 先頭バッターにセンター前ヒットを許すと、2番から3者連続四球。とにかくストライクが入らない。押し出しで先取点を献上後に、2人続けてライト右前タイムリーを浴び、わずか30球で降板。最速は152キロで、3安打3四球。試合は4-6でエンゼルスが敗れ、負け投手となった。

「一死も取れないというのはさすがに私も記憶にないですし、あんまり例がないですよね。開幕して最初の登板でチームは期待をしていただけにショックを受けていることでしょう」

 と、江本孟紀氏。

 最速152キロで、カーブを多投、コントロールを乱す、大谷らしからぬ投球について、

「もともとコントロールは良い投手ですからね、一度故障して、それを繰り返してはいけないと心配しつつ投げて腕が縮こまっている印象を受けました。ただ速いだけではなく球に回転のかかったストレートを投げることができるのに、それもできていないですよね。最速は152キロですか。速く素晴らしいボールを投げる能力があるのに勿体ないですね」

「球威があればまだしもボール球には手を出してもらえず、変化球を使って手先でかわそうとしてもそれは難しく、ストライクを取りに行ったところを狙われるというパターンでした。ただでさえ調整というものは難しいのですが、大谷の場合は693日ぶりのマウンドで、しかもコロナがあって……ということで、準備不足は否めなかったと思います」

投手か打者か究極の選択を迫られたらどうする?」と聞かれ…

 そうは言っても、

「プロは結果が全てですから、ぶっつけ本番でも先発投手は試合を作らないとダメですね。二刀流については、どうせやるんだったら、一番高いところを目指してほしいとは思っています。先発して4番を打つとか、やり切ったなあというところまで行ってもらいたい。現時点ではやはり中途半端さが出ていて、このままやっていて果たして区切りがつくんだろうかと疑問に思ったりしてしまいますね」

 その能力を高く評価するがゆえに、江本氏は「勿体ない」を繰り返す。

「いやぁ、やっぱりね、投手としても打者としても並のレベルではないんだから、どちらか専任でやってくれたらなぁと感じています。ただ、そのポジションに行くまでには二刀流をやり切って、本人が納得しなくちゃならないようにも思うんです」

 大谷は渡米前に、親しい人物から「投手か打者か究極の選択を迫られたらどうする?」と聞かれ、「投手」と答えている。

 いずれ、その選択をする日がくるのだろうか。

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大谷復帰登板に辛辣「ショータイム終った」「破滅的」「会見で動揺

中日スポーツ 2020年7月27日(月)16時39分配信

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)は26日、アスレチックスとの開幕第3戦で639日ぶりに先発登板。30球で1死も取れず、3安打5失点、3四球で敗戦投手となった。

 米メディアは手厳しかった。放送局NBCスポーツ(電子版)は「ショー・タイムは終わった」と、大谷の名前を掛けた愛称「Sho―Time(ショー・タイム)」を引き合いに見出しを打ち、放送局CBSスポーツ(同)は「二刀流スターの復帰登板は破滅的だった。全くうまく運ばなかった。防御率は(1死も取れなかったため)無限大だ」と報じた。

 球団地元紙ロサンゼルス・タイムズ(同)は「どこにも力強さがなかった。エンゼルスは、大谷が確固たるエースの称号を手にすることを疑う理由は何もなかった。その称号を得るための最初の試みはあまりにひどかったので、大谷は会見では動揺して、いつもより早口に見えた」と報じた。

 米ヤフースポーツは「エンゼルスは実績がある投手が少なく、厳しい地区で戦い抜くため大谷には潜在能力をフルに発揮してもらうことが必要だ。今回の最初の先発は、(2018年の右肘と19年の左膝)手術からの復帰過程にある『さび付き』だと願うしかない」と、祈るように伝えた。

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2020年7月26日 (日)

【拡大自殺】時速150㌔「逃げる対向車」追いかけ「殺害」?

死ぬ時くらい注目されたい正面衝突事故が一転殺人事件に…第三者巻き添え「拡大自殺」か

FNNプライムオンライン 2020年7月25日(土)18時01分配信

死亡交通事故が一転、殺人事件に

2020年5月8日午後11時すぎ、福岡・福津市の国道で起きた正面衝突事故。

近所の人:
(午後)11時すぎでしたかね、ガチャーンっていう

警察は、現場の状況から殺人事件として立件できると判断。
福津市の無職・阿部大介容疑者(40)を死亡のまま、殺人の疑いで書類送検した。
阿部容疑者は普通乗用車を運転、福津市の国道で対向車線の軽乗用車と正面衝突し、軽乗用車を運転していた30代の男性を殺害した疑いが持たれている。

警察の捜査で、容疑者の殺意を裏付ける状況が、徐々に浮き彫りになっていった。
阿部容疑者の車は、事故現場の約500メートル手前で別の1台の車を追い抜き、被害男性の車に向かって逆走を始めた。
この時、被害車両までの距離は約200メートル。
付近の防犯カメラや目撃証言から、事故直前のスピードは時速150kmにも達していたことがわかった。

向かってくる車を前にした被害者は、ハンドルを左に切ったが、阿部容疑者は、ハンドルを右に切り追うように衝突、現場にブレーキの痕は残されていなかった。

さらに警察が捜査を進めたところ、異様なことがわかった。
阿部容疑者の車内には、植木などを切るための刈り込みバサミが、喉に当たるようにハンドルに固定されていたことが判明した。
刃先は、開かないようにひもで巻かれていた。

あの世で幸せに、とか言いたくない

自殺するために対向車を巻き添えにし、面識のない男性の命まで奪った事故。
亡くなった男性は、魚釣りやアウトドアが好きな3人の子どもを持つ父親だった。
仏壇の横に置かれているのは、子どもが書いた父親の似顔絵。

亡くなった30代の男性は、妻と子ども3人と5人暮らしで、いつも子どもと一緒にいる明るい父親だったという。

被害男性の親族:
悔しいとしか言えない。なんで、そこでたまたま…。帰ってきてと言いたい。あの世で幸せにとか言いたくない。帰ってきてと言いたい

"死ぬ時ぐらい注目を”…第三者を巻き込む拡大自殺

阿部容疑者は、事故の2~3日前に家族に自殺をほのめかしていた。
犯罪心理学の専門家は、こうした自殺の仕方を次のように指摘する。

筑波大学(犯罪心理学)・原田隆之教授:
全く関係のない第三者を巻き込んで自殺することを「拡大自殺」という。非常にショッキングで悲惨な事件だと思う

原田教授が指摘する拡大自殺は、神奈川・川崎市で2019年、スクールバスを待っていた小学生ら20人が殺傷され、容疑者の男が自殺した事件などと類似するとして、「自分の社会への怒りをアピール」している可能性があるとしている。

筑波大学(犯罪心理学)・原田隆之教授:
恨みを抱えたまま、大きな敵意を抱えたまま、ひっそり死んでいくのではなく、せめて死ぬときぐらい注目を集めたい、そんなゆがんだ心理が背景にあると考えられる。本人にどこまでサポートが届いていたのか検証して、追い詰められた人へのサポートを充実することがますます必要になる

被害男性の親族は、「今回のように 事故に巻き込まれて悲しい被害者が出ないことを願うばかりです」と最後にコメントした。

 正面衝突事故殺人の疑い、容疑者死亡のまま書類送検 

共同通信 2020年7月15日(水)12時51分配信

 福岡県福津市で5月、車2台が正面衝突し、運転手2人が死亡した事故があり、乗用車の内装業の男=当時(40)=が故意に対向車と衝突したとして、県警が16日にも殺人容疑で男を容疑者死亡のまま書類送検する方針を固めたことが15日、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、男は事故前、周囲に「死にたい」などと話しており、誰かを巻き込もうとした疑いがある。現場にはブレーキ痕がなく、県警は男が猛スピードで運転し、故意に中央線をはみ出したとみて、対向車に乗っている人を死亡させる結果になっても構わないという「未必の故意」があったと判断、殺人容疑の適用を決めた。

 2台前のクルマを感知!  正面衝突の被害軽減うなら付けたいクルマの凄い  安全装備 

WEB CARTOP 2020年6月30日(火)11時43分配信

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日常領域で常に安全をもたらす装備も

 現在新車で販売されている乗用車の安全装備は横滑り防止装置の義務化、自動ブレーキの普及、側面衝突時のダメージ軽減に大きな効果があるサイド&カーテンエアバッグの標準装備化の拡大を代表に著しい。しかし「まだ当たり前ではないけど普及してほしい安全装備」というのもある。今回、改めてピックアップしてみよう。

1)斜め後方の監視装置

 BSM(ブラインドスポットモニタリング)などと呼ばれるこの種の安全デバイスは、リヤバンパーに内蔵されたセンサーを情報源にドアミラーの死角に入ることがある斜め後方の後続車の存在を、ドアミラーの画面やAピラーの付け根などに表示するというもの。「進路変更の際などに斜め後方の後続車に気づかずドキッとする」ということやそういった形態の事故は少なくないので、ぜひほしい安全装備だ。

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 また安全装備が頻繁に作動するというのはいいことではないが、斜め後方の監視装置は作動する頻度が多いので、もっとも事故防止に貢献する安全装備といえる。

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2)前方衝突予測警報

 自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールの重要な構成部品となる周囲の情報源には、スバルのアイサイトや日産のプロパイロットの何車種かのように、ステレオカメラや単眼カメラといったカメラを使うものと、ミリ波レーダーとカメラを併用するものがある。

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 後者のほうが多数派なのだが、後者のなかには日産のFRセダンやルークス(eKスペースも含む)のインテリジェントFCWを代表とする前方衝突予測警報を備えるモデルもある。具体的にはミリ波レーダーを1台前の先行車の床下にも通して2台先の先行車の減速などの動きも検知するというもので、2台先の先行車が急ブレーキした際などに自車が早く減速できるので玉突きのような事故を防げる可能性が生まれる。

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 日産車以外の採用例としてはBMWのFR車やボルボの各車が挙げられる。ミリ波レーダーを持つモデルなら新たなハードウェアを必要としないため比較的低コストで加えられる安全装備なので、普及を望みたい。

3)正面衝突対応の自動ブレーキ

 対向車との正面衝突の可能性がある際に作動する自動ブレーキはクルマが普通にすれ違う車両と混同してしまうケースもあり、実用化が難しい安全装備だったのだが、ボルボやホンダの各車で幅広く採用されている。

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 ボルボを例に挙げると正面衝突の可能性がある際に作動する自動ブレーキは自車が10km/h程度減速するとのことだが、双方が動いているため大きな運動エネルギーが生じているだけに、その効果は非常に大きい。

4)SOSコール

 SOSコールはクルマに内蔵された自車位置も分かる通信装置を使い、脳や心臓に代表される重篤な急病や事故の際にオンにするとオペレーターにつながり、現場に救急や警察を手配してくれるというものだ。

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 SOSコールにはエアバッグが展開するほどの大きな事故の際にはその時点でオペレーターにつながり、応答がなければ現場に救急を手配してくれるので、意識を失ったとしても生還できる可能性は劇的に向上する。SOSコールは最新の日本車なら選べることが多いので、新車の日本車を買うならぜひ装着したい装備だ。

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 安全装備の進化は著しいため、「新車を買う大きなメリットは安全装備の充実」とも言い換えられる。それだけにこれから特に新車を買うなら、クルマを買う理由は安全装備だけでもないのも事実にせよ、安全装備が充実しているなど、なるべく安全性の高いクルマを選びたいものだ。

 

2020年7月25日 (土)

【ゴーン被告逃亡】「レバノンに来い」フランス検察の出頭要請を拒否。

ゴーン被告仏検察の出頭要請拒否 仏紙に「身の安全保証ない

朝日新聞デジタル 2020年7月20日(月)20時15分配信

 レバノンに逃亡中の日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告が仏紙のインタビューに応じ、仏検察から聴取のため出頭するよう要請されながら、断ったことを明らかにした。

 20日付の仏紙パリジャンによると、仏検察は13日に出頭するよう要請。ゴーン前会長は同紙に対し、自身が国際手配されていることに言及し、「身の安全が保証されるという確信が必要だ。(フランスに)何の妨害やトラブルもなしに行けると誰も保証できない」と述べ、拘束の恐れを理由に断ったとした。ゴーン前会長は「フランスの予審判事が(レバノンの首都)ベイルートに来れば、どんな質問にも応じる用意がある」とも語った。

ゴーン被告の息子、逃亡協力者に仮想通貨5000万送金 

時事通信 2020年7月24日(金)15時35分配信

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の息子アンソニー氏が、被告のレバノン逃亡を手助けしたとして米国で拘束中の米国人容疑者2人のうち1人に対し、暗号資産(仮想通貨)で計約50万ドル(約5300万円)を送金していたことが分かった。

 米司法当局が東部マサチューセッツ州の連邦裁判所に22日提出した文書で指摘した。

 2人は元米陸軍特殊部隊員マイケル・テイラー容疑者と息子ピーター容疑者で、東京地検が逮捕状を取っている。文書によると、アンソニー氏は逃亡事件後の今年1月21日~5月15日に米仮想通貨取引所コインベースを通じ、複数回に分けてピーター容疑者に送金した。

 ゴーン被告側は逃亡事件前にもピーター容疑者の管理する会社に約86万ドル(約9000万円)送金していたことが既に判明している。文書はテイラー親子に「ゴーン氏から大金が支払われていた」と指摘し、2人の釈放を認めないよう求めた。

 米当局は5月、東京地検の要請で2人を拘束。地検は米国に対し、身柄の引き渡しを請求している。 

 ゴーン被告の息子も、逃亡協力者にビットコイン送金50万ドル相当 

読売新聞オンライン 2020年7月24日(金)9時29分配信

 日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(会社法違反などで起訴)が保釈中に逃亡した事件で、逃亡を手助けしたとして米国内で逮捕された米国籍の親子2人に、ゴーン被告の息子が計約50万ドル(約5300万円)を暗号資産(仮想通貨)で送金していたことが、米司法当局が22日に連邦裁判所に提出した裁判資料で明らかになった。

 2人は、米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」元隊員のマイケル・テイラー(59)と、その息子のピーター・テイラー(27)の両容疑者で、日本への身柄引き渡しの可否が裁判所で審理されている。

 裁判資料によると、逃亡実行後の今年1~5月、ゴーン被告の息子のアンソニー・ゴーン氏が、ピーター容疑者宛てに暗号資産「ビットコイン」を使って複数回送金していた。

 両容疑者には、逃亡実行2か月前の昨年10月にも、ゴーン被告自身から計約86万ドル(約9200万円)が送金されており、少なくとも計約136万ドル(約1億4500万円)が支払われたことになる。

ゴーン被告、中東TVで「逃亡前スマホなしで、日本国外と連絡とった」

朝日新聞デジタル 2020年7月12日(日)18時07分配信

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が中東メディアの取材に応じ、日本からの逃亡準備において「日本国外にいる人と連絡を取れる仕組みをつくった」などと話した。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤが11日にインタビューを放映した。起訴された事件については「陰謀だった」などと従来通り罪を否定した。

 インタビューはサウジアラビア時間の11日午後10時(日本時間12日午前4時)すぎから約1時間にわたり放映された。水色のシャツに黒いスーツ姿でインタビューに応じたゴーン前会長は、1月に記者会見をしたときより髪が少し短くなり、顔は日焼けしているように見えた。

 インタビューはアラビア語で行われ、ゴーン前会長は身ぶり手ぶりを交えて話し、インタビューの冒頭に日本語で「おはようございます」と発言する場面もあった。

 ゴーン前会長は逃亡前の状況について「スマホ所持は許されず、通話は傍聴され、(外出時は)尾行されていた」と説明。その中でどう逃亡したのか問われ、「日本国外にいる人と連絡を取れる仕組みをつくった。誰も危険に巻き込みたくないため、詳細は言わない」と答えた。

 ゴーン被告逃亡協力者、“逃亡恐れ保釈められず=米地裁 

ロイター 2020年7月11日(土)2時44分配信

 日産自動車<7201.T>の前会長、カルロス・ゴーン被告の逃亡を手助けした米国人容疑者2人について、ドナルド・キャベル治安判事は10日、逃亡の恐れがあり保釈は認められないとの判断を示した。

 日本政府は、マサチューセッツ州で5月に逮捕された米陸軍特殊部隊グリーンベレー元隊員マイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者の身柄引き渡しを要請している。

 キャベル判事は、マイケル容疑者が「最も巧妙かつ謀略的な手口」でゴーン被告の逃亡を手助けした疑いがあるほか、ゴーン被告から86万ドル相当の資金を受け取るなど、逃亡資金もかなり蓄えているようだと指摘した。

 テイラー親子の弁護士からのコメントは得られていない。

 マサチューセッツ州連邦地裁のタルワニ判事は9日、両容疑者の早期保釈請求を却下した。タルワニ判事は7月28日に再審理を行う予定。

 ゴーン被告逃亡幇助の容疑者日本引き渡し回避狙いロビー活動 

Bloomberg 2020年7月6日(月)23時05分配信

 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡をほう助したとして日本当局の要請に基づき米国で逮捕された2人は、保釈と日本への身柄引き渡し回避を狙って、政治的な影響力を利用する手段に出ている。

 元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)隊員のマイケル・テイラー容疑者と息子ピーター・テイラー容疑者の弁護士およびロビイストは、この問題を米司法省と国務省、さらに米議員らに訴えかけていることが関連文書と事情に詳しい関係者4人の情報で明らかになった。政治的に慎重な扱いを要する問題だとして、同関係者は匿名を条件に話した。

 両容疑者は5月半ば以降、米マサチューセッツ州ボストン郊外で勾留されている。

 ゴーン被告逃亡ほう助の容疑者、保釈なら逃亡の恐れ-米当局が警告

 身柄引き渡し関連の弁護士、パメラ・スチュアート氏は、これまでの米政権下では身柄引き渡しのプロセスに影響を与えようとロビー活動を展開しても「時間と資金の無駄」だっただろうと説明。その上で、政府判断を左右する可能性は依然として低いものの、「トランプ政権については何が起きるか分からない」と話した。スチュアート氏は両容疑者の件に関与していない。

 両容疑者が裁判所に保釈を求める一方、代理人らはワシントンで議員らに司法省への書簡に署名するよう働き掛けたと、関係者の1人は語った。この書簡では司法省に対し、釈放要請の支持を求めている。

 4月に提出されたロビー活動文書によると、マイケル・テイラー容疑者に雇われたK&Lゲーツのロビイストは米下院議員に対し、「米政府と日本との協議の可能性に関する問題」を巡る要請を行った。

 一方、テイラー親子の弁護団は保釈問題について米司法省の当局者と協議したと、関係者の1人が明らかにした。また、別の関係者1人によれば、弁護団は国務省にも接触し、日本の身柄引き渡し請求を認めるべきではないと主張した。

 米国務省は司法省に問い合わせるよう求めたが、司法省はコメントを控えた。マサチューセッツ州のレリング連邦検事正の報道官もコメントを控えた。

 経済危機とコロナで混迷するレバノンゴーン被告を引き渡す 

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年7月25日(土)9時26分配信/宮田律(現代イスラム研究センター理事長)

 レバノンに逃亡中の日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告は、7月13日にフランス検察当局から事情聴取のため出頭を求められたが、断ったことを明らかにした。その理由は、国際手配されている中で、フランスへの渡航の往復で身の安全が保障される確信がないからというものだった。

 また、ゴーン被告は11日に放送されたテレビ・インタビューの中で逃亡先として選んだレバノンが「日本にいるより1000倍よい」と語った。しかし、現在のレバノンはゴーン被告の安全を脅かしかねない状態になっている。

 レバノンでは、日々深刻化する貧困や経済格差の問題への怒りから反腐敗・反政府のデモが昨年10月から激しさを増しているが、不正蓄財を行い、日本の法を破って逃亡して来たゴーン被告は、少なからぬレバノン人から腐敗や不正のシンボルと見られていることだろう。

 対外債務が世界で3番目に多いレバノンでは、3月に政府債務が900億ドルに達し、デフォルト(債務不履行)、つまり対外的な借金を返済できない状態に陥り、社会・経済がいよいよ危機的状態となっている。

 レバノンには18の宗派が存在し、各宗派に政治権力・経済的利権が分配されているが、それぞれが権利を主張するために、公的部門が膨れ上がり財政を圧迫してきた。既成政治家や官僚たちの腐敗も顕著で、それもまた反政府運動の重要な背景となっている。

 レバノンでは1975年から1990年まで続いた内戦の復興資金として多額の資金を外国から借り入れ、特に湾岸のアラブ諸国はレバノンに資金を注入し続けてきた。しかし、湾岸諸国からの資金の流れは原油安によって滞るようになったし、またこれら諸国はレバノンのシーア派組織ヒズボラ(神の党)を嫌い、レバノンへの融資を躊躇するようになっている。

 サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)は、シーア派で、アラブとは異なる異民族ペルシアのイランと親密な関係にあるヒズボラのレバノン政治における影響力拡大を警戒している。米国のポンペオ国務長官もレバノンへの財政支援にはヒズボラを排除する政治改革が必要だと述べているが、他方現政権を支援するヒズボラは米国がレバノンへのドルの流れを妨害していると訴える。

インフレ・失業で国内から逃げ出すレバノン国民たち

「日本にいるより1000倍よい」と語るゴーン被告の思いとは真逆に、生活苦からレバノンから離れることを望む人が多数現われるようになった。多くのレバノン国民たちが海外への移住を考えるようになったのは、既に述べたようなインフレ、失業、貧困など社会・経済危機を背景にする。

 特にインフレは深刻になり、月平均で56%も物価が上昇するほどだ。通貨レバノン・ポンドは下落し、昨年10月に反政府運動が発生してから80%も価値を下げた。

 公定為替レートは1ドル=1507.5ポンドに設定されているものの、実勢は1ドル=9000ポンドぐらいになった。レバノンを離れ、外国で職を見つけようにも、航空券は価格がドルで設定されているために、入手が困難な状態になっている。

 さらに、レバノンでも新型コロナウイルスの感染禍があり、5月上旬から6月上旬にかけて都市のロックダウンが行われ、経済はさらに悪化した。7月23日時点で感染者3104人、死者43人を出した。

 7月1日、ベイルート国際空港が再開されたが、海外にいたレバノン人たちが帰国し、家族、親族に接するようになると、クラスターの発生により感染がいっそう拡大するようになり、7月中旬には1日で170人も感染する日があった。

 コロナウイルスによって経済がいっそう低迷したレバノンでは、貧困率が45%、失業率は30%と深刻さを増すばかりで、現在の経済状態が続けば、今年終わりには貧困率は75%にも達するという見込みすらある。

 レバノンの1975年から1990年の内戦がそうであったように、様々な宗派グループの緊張があり、さらにパレスチナ難民やシリア難民の流入は社会を圧迫する要因となっている。現在は40%から50%の人々が食料や飲料水を満足に手に入れることができず、また医療・保健衛生システムにアクセスできず、家賃高騰のために、アパートなどにも住めない人が多数現われるようになった。

 昨年10月以来、「政治家の私企業になっている政府にノーを! 政治家による国家の富の略奪にノーを!」などのスローガンが反政府デモでは唱えられてきた。こうしたデモに対峙し、銃器で威嚇してきたのは、武力をもち、既得権益を脅かされると考えたヒズボラや、その同盟勢力である「アマル(希望という意味)」だった。

 デモは、自由選挙、司法権の独立、政治家たちによって着服された富の回収や、腐敗した政治家を裁判にかけること、また中東での紛争や緊張から免れるための中立的な外交政策を要求するが、ヒズボラやアマルはこうした要求が武装解除を求めるものだと警戒している。

 しかし、ヒズボラなどが武器でデモを威嚇し抑圧すればするほど、レバノンの他の宗派集団の反発を招き、暴力によってしかヒズボラに対抗できる手段がないと考えていく可能性がある。

軍の乱れによって内戦の可能性も

 ヒズボラと対立するグループは外国の支援に頼り、また諸外国が現在のリビアのようにレバノン内政に介入すれば、泥沼の内戦に至ることも考えられる。

 レバノン国軍はレバノン社会を統合する機能を担ってきたが、インフレ、物不足によって兵士の食事から肉も消えた。生活苦によって政府軍の規律や統制が乱れ、武器が横流しされて内戦を戦う手段になる可能性すらある。

 7月3日、東京地検はゴーン被告を逃亡させた米国籍の2人の容疑者の身柄を引き渡すことをマサチューセッツ州の連邦地裁に請求したが、ドナルド・カベル治安判事は10日、2人の容疑者たちに関する日本の請求を拒否する見込みは低いと述べた。

 ゴーン被告は、自身の逃亡を支えた全員を支援するというが、米国で逮捕された2人の容疑者が日本に身柄が引き渡されれば無罪になることは決してないだろう。混乱が続くレバノンではゴーン被告自身も支援が必要な状態になっていて、内戦などの事態になれば、その身柄を日本に売り渡すグループも現われかねない。

 日産4‐6月営業損失規模市場予想下回る見通し 

Bloomberg 2020年7月26日(日)8時00分配信

 日産自動車の第1四半期(4-6月期)の営業損失の規模は、市場予想の平均値を下回る見通しだ。同社が進めるコスト削減が想定以上のペースで進んでいるため。

 ブルームバーグが集計した第1四半期の営業赤字額のアナリスト予想平均値は2529億円となっているが、日産が進めてきたコスト削減の進展などが奏功して実際の赤字額は1500億円程度にとどまる見通しだ。関係者が公表されていない情報だとして匿名を条件に明らかにした。日産は28日に第1四半期決算発表を予定している。

 2018年11月のカルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、日産は低迷する業績の立て直しに努めてきた。新型車の投入がなかったこともあり、世界的な自動車需要の低迷や新型コロナウイルスの感染拡大の影響も大きく受けた。前期(20年3月期)には約20年ぶりの規模となる巨額の赤字を計上したことを受けて、年間約3000億円規模の固定費削減のほか、生産ラインを閉鎖して年間の生産能力を20%削減する計画を5月に公表していた。

 ブルームバーグが確認した資料によると、年間の固定費削減規模は約3500億円に拡大する見通し。また新たに世界で3本の生産ラインを閉鎖する方針で、これにより今後数年での人員削減の規模は約1万4000人と1年前に公表していた1万2500人から上積みされる。新型コロナの感染拡大で在宅勤務が増えたことから、横浜市の本社近くで借りている2カ所のオフィススペースからも退去する方向という。

 日産の広報担当者にコメントを求めたが、25日夜の時点では得られていない。

 日産の内部資料によると、同社はキャッシュ創出に向けた取り組みの一環として資産の売却計画も進めている。ブルームバーグは今年2月、日産が子会社の日産トレーディングの買い手を見つけるのに苦慮していると報じていた。

 また今月には償還期間が1.5年、3年、5年の普通社債の起債を決めた。発行額は計700億円。ブルームバーグのデータによると、各年限で今期(21年3月期)の国内事業債として最高利率となる。

 コスト削減と手元資金を増やす取り組みにより、日産の自動車事業のキャッシュフローは第4四半期(21年1-3月期)にプラスに転じる見通しだと関係者は述べた。

 日産の資料によると、同社の第1四半期の売上高は他の多くの自動車メーカーと同様に激減し、前年同期比で約半分に減少する。同社はコンパクト多目的スポーツ車(SUV)として新型「ローグ」と電気自動車の「アリア」を公表したが、いずれもまだ発売されていない。一方、関係者によると、新型コロナの感染拡大で広がった都市封鎖の間に新車販売の約10%がオンラインだったことから、今後はネット販売を強化していくという。

 日産はまた、会社所有のプライベートジェットをすべて売却する方針。関係者によると、保有していた5機のうち4機は売却済という。そのうちの1機はゴーン元会長が使用していたガルフストリームG650だった。

 三菱自国内工場一部閉鎖 コロナで市場を見通せず 

産経新聞 2020年7月27日(月)22時45分配信

 三菱自動車は、令和5年3月期(4年度)までの中期経営計画で国内工場の一部閉鎖に追い込まれた。日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が三菱自会長でもあった時代の「台数優先」戦略のツケが収益力をむしばみ、3年3月期(2年度)に巨額赤字を余儀なくされるためだ。絶頂期の象徴でもあるスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロ」も完全撤退し、「選択と集中」で生き残りを図るが、新型コロナウイルス禍で市場の回復が見通せない中、計画達成には暗雲も漂う。(今村義丈)

 「新型コロナは関係ない。(全体の)拡大戦略に無理があった」。加藤隆雄最高経営責任者(CEO)は電話会見で、パジェロ撤退の質問にこう語った。

 三菱自は平成28年、燃費データ不正問題に端を発した危機から脱するため、日産からの出資を受け入れた。ゴーン被告が三菱自会長を兼務し、翌29年に策定されたのが、3年間で販売台数と売上高の「30%以上増」を掲げた前の中期計画だ。東南アジアだけでなく日本、米国、中国などでも拡大を目指す「全方位戦略」で、令和元年度の世界販売台数130万台を目指したが、結果は112万7千台にとどまった。

 悪影響がさらに大きかったのが、前中期計画のコスト最適化策を達成できなかったことだ。開発費や生産・物流コストも含む「モノづくり総コスト」を年1・3%減としたが、実際には人件費も含む固定費が1・3倍に膨らみ、収益構造は悪化した。

 新中期計画では、経営資源を東南アジアに集中して新工場を検討する。得意の電動化技術「プラグインハイブリッド」も強化。販売台数は105万台と縮小するが、本業のもうけを示す営業損益を、3年3月期(2年度)予想の1400億円の赤字から500億円の黒字に引き上げ、本業の稼ぐ力を示す営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)2・3%を目指す。

 だが、新型コロナで東南アジア全体の市場がどうなるか見通せないことは、加藤氏も認める。人員削減目標も設定しておらず、V字回復をもくろむ計画が再び達成できないリスクをはらんでいる。

 

2020年7月24日 (金)

【習的中國】歴代の対中政策「失敗のツケ」✍米国務長官「対中包囲網」提唱。

 米国の歴代対中政策失敗だったポンペオ国務長官 

朝日新聞デジタル 2020年7月24日(金)13時08分配信

 ポンペオ米国務長官は23日、対中政策について演説し、米国の歴代政権が続けてきた、一定の関係を保つことで変化を促す「関与政策」について、「失敗だった」と訴えた。中国に対抗するため、有志の民主主義国による新たな連合も提唱した。

 ポンペオ氏はカリフォルニア州のニクソン大統領図書館で演説。「無分別な関与という古いパラダイムは失敗した。我々は続けるべきではない」と訴えた。そのうえで、「ニクソン大統領の歴史的な訪中によって我々の関与戦略は始まった。その後の政策当局者は中国が繁栄すれば、自由で友好的な国になると予測したが、関与は変化をもたらさなかった」との見方を示した。

 ポンペオ氏は、閉鎖を命じた在ヒューストン中国総領事館について「スパイ活動と知的財産盗用の中継地だった」とした。

 ポンペオ長官「共産党政権を交代せよ中国人民に要求 

WoW!Korea 2020年7月24日(金)8時35分配信

 マイク・ポンペオ米国国務長官は、最近 閉鎖命令の下されたヒューストンの中国総領事館に対して「スパイ行為と知識財産権の窃取の拠点だ」と批判した。

 また、習近平中国国家主席を「破綻した全体主義イデオロギーの信奉者だ」と呼び、中国人民たちに向かって、「共産党政権を交代せよ」と要求した。

 23日(現地時間)ロイター通信によると、ポンペオ長官はこの日カリフォルニアでの演説を通じて先のように語った。

 ポンペオ長官は「共産党は、どんな外国の敵よりも中国人たちの率直な意見を恐れている。米国は中国人たちを参加させ、中国人たちを力づけなければならない」と主張した。

 ウォールストリートジャーナルはこの日、ポンペオ長官の演説について「米国が中国人民に向かって、政権交代を要求したことだ」と報じた。

 またポンペオ長官は、米国と同じ考えをもっている国々が中国共産党に共同の圧力を加えるべきだと訴えた。

 米国の景気回復は失速経済指標が裏付け>さらに悪化の可能性 

Bloomberg 2020年7月24日(金)16時42分配信

 多くの米国人が肌で感じる米国経済の腰折れが公式の数字で確認され始めた。

 トランプ政権は状況の改善が近いと断言しているものの、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は悪化し、米経済の回復を抑制するか、その芽さえ摘みかねない状況にある。多額の連邦支援の期限が切れる前に米国のパンデミックからの回復が失速する兆候は、飲食業や空の旅、さらに新規失業保険申請件数の増加などに表れている。

米失業保険申請件数、増加に転じる-3月の記録的急増後で初めて 

 米議会は新たな景気刺激策に関する合意をいずれまとめるかもしれないが、今のところ主要な詳細事項の多くで意見の溝がある。交渉の最終的な成否にかかわらず差し当たり明確なのは、新型コロナ感染症(COVID19)のワクチンや効果的な治療法が利用可能になるまでは、米経済は活気に乏しくまだら模様の成長にとどまり、最悪の場合、長期低迷か恐慌に陥るというシナリオだ。

 ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「議会が州・地方政府への支援や失業者向けの所得支援拡大を盛り込んだかなりの規模の追加救済パッケージを早急に可決しないと、経済はさらなる後退局面に入り、いわゆる二番底に見舞われるだろう」と述べ、「失業率は、パンデミックが収束した後もずっと2桁台にとどまる」との見方を示した。

 先週の新規失業保険件数(18日終了週)は142万件に増加。最近の悪いニュースに鈍感だった株式投資家も注目した。S&P500種株価指数は23日に1.2%下落し、約1カ月で最大の下げを記録した。

 日本に求める高度な外交戦略 三国志の“天下三分の計”を参考に 

夕刊フジ 2020年7月14日(火)16時56分配信/石平(国際政治評論家)

 ドナルド・トランプ大統領は“悪の論理”を肯定した曹操(そうそう)、習近平国家主席は、優柔不断な袁紹(えんしょう)。そして日本は諸葛孔明(しょかつこうめい)の天下三分の計を参考にすべき…。気鋭の中国ウオッチャー、石平さんが、三国志のヒーローたちになぞらえて現代の国際政治をぶった斬る。

 --なぜいま三国志か

 「最近の中国の情勢を見ていると、いずれ大乱世が来ると思う。世界全体を眺めてもそうです。その時代をどう生き抜くか、と考えるときに、同じく大乱世であった『三国志』の時代に通じるものが多いと思いました。小説である『三国(志)演義』よりも、正史の『三国志』を改めて読み返し、自分なりに感じたことを書いたわけです」

 --魏の曹操は悪人・敵役のイメージが強いが

 「(その前の)漢の時代の思想・儒教を否定し『悪の行動原理』『力の論理』で権力を握ってゆく。宦官(かんがん)の孫(養子)というハンデを跳ね返して這い上がり、“姦雄”と呼ばれたことをむしろ喜んだという人物です。半面、大局観を持ち、人材活用にも優れていた。現在の中国でも特に庶民の中では聖人君子のような劉備(りゅうび)よりも曹操の人気が高い。迫力があって個性豊かな曹操のキャラが好かれるのです」

 --トランプ大統領は曹操に似ている

 「トランプ大統領もワシントンの(政治家の)本流ではありません。それまでの米大統領像やスタイルを打ち壊し、力の論理を掲げた点も曹操と似ています。ただ、トランプ氏には大義が感じられない。『アメリカ・ファースト』だけでは世界がアメリカに求める役割は果たせない。また、気に入らないと、すぐ閣僚をクビにするようでは曹操の人材活用術には及びもつきませんね」

 --習主席は袁紹。家柄でも武力でも曹操より上なのに結局、敗れてしまう

 「習主席の父親は、革命を成し遂げた時代の共産党の高級幹部で、“毛並みの良さ”は袁紹に引けを取らない。そのくせ、リーダーシップや大局観に欠け、決断すべき時に決断できない優柔不断さは、袁紹にそっくりです。それは、後手後手に回った今回の新型コロナ禍への対応や、混乱が続く香港の状況、対立が深まるばかりの対米外交のまずさを見ても明らかでしょう」

 --習主席の評判は落ちる一方

 「共産党内部ですら、『この人についていけば政権が破滅しかねない』といった危機感が強まっています。●(=登におおざと)小平から胡錦涛時代までの、『アメリカとはケンカをせず、うまく立ち回りながら、実力を貯めてゆく』というやり方がまったくできていないからです。庶民の間でも、敬意の気持ちはまったくなく、裏側ではバカにされたり、嘲笑の対象ですよ」

 --日本は、最も小さな蜀に学べと

 「他の2国(魏と呉)に比べて、蜀は領土が一番小さく、力でも及びません。蜀は山に囲まれており、四方が海の日本とは地形的に似ています。魏と呉を米・中とすれば、日本は蜀の生き方を参考にすべきでしょうね。力ではとても米中には太刀打ちできないので、高い理念と巧みな戦略性、ハードよりもソフトで生き残るしかありません」

 --戦後の日本にはそれが欠けている

 「戦前の日本には、『欧米の植民地政策からアジアを自立させる』といった理念や大義を掲げましたが、戦後はそれが感じられない。覇権的な中国に対しても生ぬるい対応に終始しています。今後の日本には、自由・人権・法治・民主主義といった普遍的な価値観に加えて、『21世紀の天下三分の計』ともいうべき高度な外交政略が求められるでしょう」

 中国で、曹操(魏)、劉備(蜀)、孫権(呉)らが群雄割拠して争った三国志の時代(2~3世紀)は、大乱世の到来を思わせる現在の世界情勢と似ている。その時代を生き抜いた英雄のキャラクターを、米トランプ大統領、中国の習近平国家主席、あるいは日本人になぞらえて、政治手法や人間像を浮き彫りにしてゆく。そこには日本の将来を占うヒントも隠されている。

 石平(せき・へい) 1962年、中国四川省出身。58歳。北京大学哲学部卒。88年に来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論・執筆活動に入る。2007年日本国籍を取得。主な著書に『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(山本七平賞受賞)、『中国をつくった12人の悪党たち』『朝鮮通信使の真実』など多数。

 コロナ危機で、日本企業の意外な打たれ強さ」が見えてきた 

Newsweek日本版 2020年7月24日(金)12時23分配信/ピーター・タスカ(経済評論家)

「失われた20年」の教訓は無駄ではなかった。今の日本企業の踏ん張りには合格点を付けていい。

 リーマン・ショックと違って、今回の危機は日本にとってそう悪くない危機だ。欧米諸国と比べ、死者数が桁違いに少ないばかりか、経済的な打撃もさほど深刻ではない。

 2008年の世界金融危機を引き起こしたのはアメリカのサブプライムローン問題。日本にとってはいわば対岸の火事にすぎない危機だったが、それでもGDPはアメリカなど他の先進国を大幅に超える落ち込みぶりだった。

 08年と今とでは何が違うのか。この間に日本企業は大きく変わった。日本経済は12年前と比べはるかにバランスが取れている。08年当時は大手の輸出企業は好調だったが、内需頼みの産業は伸び悩んでいた。

 当時、企業経営を圧迫していた雇用・設備・債務の「3つの過剰」は今や影も形もない。設備投資のGDP比は90年代初めのバブル崩壊以降の最高を記録。旧態依然で悪名高い建設業でさえ、60年代初め以降では最高の利益率を誇るまでになった。

 興味深いことに、今回の危機では、これまでさんざんたたかれてきた日本企業の体質が意外な強みを発揮している。「失われた20年」で痛い目に遭った日本企業はせっせと内部留保を増やしてきた。「物言う株主」が、そんなにカネがあるなら配当を増やすか、自社株買い戻しで株価を上げろと文句を言ったほどだ。

 だが、コロナ禍で経済活動が急停止すると、社内にため込んだカネが頼りになった。内部留保がなければ、慌てて借金するしかなく、借金できなければ倒産するしかない。それが、ここ数カ月アメリカとイギリスの多くの企業がたどった運命だ。

 企業同士のなれ合いや持たれ合いも日本企業の悪しき慣行と言われてきたが、危機のさなかでは役立った。例えば小売業者と不動産業者が同じグループの系列か、長年の付き合いがあったような場合、「痛み分け」として家賃の値下げなどの交渉がまとまりやすい。欧米の常識では、こうした事案は法廷に持ち込まれて、たいがい「勝者が全てを取る」方式で決着することになる。

日本企業の特徴は「反脆弱性」

 従業員の扱いでも日本式が有効だった。今年3月に4.4%だったアメリカの失業率は5月には13.3に急増したが、同時期に日本は2.5%から2.9%に増えただけだ。日本式では社会の混乱をできる限り抑え、事業の継続性を守ろうとする。一方アメリカ式は変わり身の早さと短期の収益性を重視する。

 元トレーダーのナシーム・ニコラス・タレブによれば、日本企業の特徴は「反脆弱性」だ。つまり壊滅的な打撃をもたらし得る予想外のショックに強い耐性を持つ。その証拠に、08年の韓国銀行の調査によると、創業200年を超える世界の長寿企業の過半数、56%は日本企業だ。

 というわけで、今回の危機では日本企業はまずまずよくやった。だが、慢心してはいけない。この10年余り、企業統治を改善し、新たな発想を経営に取り入れてきた成果がここで出たのだ。油断して後戻りしたら元も子もない。

環境変化への適応は必須

 企業が業績を伸ばし、社会に貢献するには、刻一刻と変化していくビジネス環境に適応しなければならない。コロナ禍でも根底的な流れは変わらない。日本の人手不足は構造的な要因によるもので、一時的に解消しても長期的には変わらない。企業は人材確保のために賃金引き上げや労働条件の改善を迫られる。政府が掲げる「働き方改革」に地道に取り組み、フレックスタイム制の導入など女性や外国人、転職者や高齢者を受け入れる体制を整える必要がある。

 ここ数年、日本企業と株主の関係は大きく変わった。今では大半の上場企業がIR(インベスター・リレーションズの略。投資家向けの広報活動のこと)専門の部署を設置している。

 これは世界的な傾向だが、投資家、特に機関投資家は社会的な圧力に押されて、「ESG(環境・社会・企業統治)投資」、つまり企業の環境への取り組みなどに目配りした投資を行うようになっている。

 市場の「クジラ」と呼ばれるほど、巨額の資金を運用する日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もESG投資を行っている。日本企業も今後ますますESGに配慮した経営が求められることになる。物言う株主(その一部は外国人だ)ときちんと対話できる公正さや透明性の確保にも努めなければならない。

次の危機に備えて力を付けろ

 一方で、巨大なグループ企業は手を広げ過ぎた事業の再編・再構成を迫られるだろう。主力の事業を見直し、業績不振の子会社や製造ラインを潔く手放す覚悟も必要になる。

 この危機は世界中の企業経営者に教訓をもたらした。例えば、効率的で安上がりに見えるサプライチェーンには潜在的なリスクがあること。そして、いざというときにすぐさまリモートワークに移行できる体制がリスク管理に不可欠なこと(日本の場合はデジタル印鑑も必要だろう)。

 もっとも、危機対応のために、あるいは部分的に、リモートワークを導入するのはいいとしても、全面的な移行は考えものだ。チームワークの大切さを学ぶこと、上司が部下に仕事を教えること、ランチを食べたりお茶を飲みながらアイデアを交換したり、「飲みニケーション」で業界の情報を得ること。これらはオンライン会議では得られない体験で、組織がうまく機能するためには欠かせないコミュニケーションだ。

 日本企業の改善の多くは、12年に第2次安倍政権が発足してからもたらされた。行き過ぎた円高の是正、企業統治の改善、GPIFの運用見直し、外国人労働者の受け入れ拡大などは安倍政権の実績とみていい。

 安倍一強時代が終われば、官僚が権力の空白を埋め、政治的な停滞に逆戻りしかねない。ゾンビ企業が政府に圧力をかけて、生き残りを図るような事態は要注意だ。

 今のところ「日本株式会社」の危機対応には合格点を付けていい。さらに踏ん張り続けて、収束後に大きく成長できる力を蓄えること。それができたら、次の世界的な危機にも十分耐えられる。忘れてはいけない。次の危機は必ずやって来る。

 香港国家安全法  ドイツ国営テレビ北京特派員のヤバすぎる論説

現代ビジネス 2020年7月24日(金)8時01分配信/川口マーン惠美(在独ジャーナリスト)

ラルフ・リョラー記者の呆れる持論

 昨年9月13日付のこのページで、私は、「中国政府を敵に回してでも香港市民を応援しようとする政府は、おそらく世界のどこにもない」と書いた。

 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67166

 折しも、香港のデモがエスカレートしていた頃だった。

 9月6日にはメルケル独首相が北京を訪れ、李克強首相と会談。これに先駆けドイツメディアは、メルケル首相が何らかの仲介を試み、事態が収束に向かうのではないかという期待論も流したが、蓋を開けてみたら、共同記者会見の会場から外国人特派員(ドイツ人記者も含む)のほぼ全員が締め出されるというサプライズ。

 その記者会見で、メルケル首相は能面のように無表情のまま、「香港市民の権利と自由は、1984年の中英間の協定に基づいて守られるべき」、「暴力を避け、対話による平和的解決を」などといったありきたりの文言を並べた。

 そして、それをメルケル贔屓のドイツメディアが、「メルケル首相、香港の民主化のために尽力」とか、「米中貿易戦争と香港デモという特殊事情の中、メルケル首相は難しい役目を背負っている」などと、いたって好意的に報道したのだった。

 それから9ヵ月、国際社会が香港のために立ち上がることはなかった。次第に孤軍奮闘となった香港はついに陥落。6月30日、「国家安全法」が施行されるに至った。

 5日後の7月5日、ドイツの第2テレビのオンラインのニュースページに、ラルフ・リョラーという記者の論説が載った。

 あまりにも呆れ返る内容だったが、リョラー氏は国営テレビの北京特派員だ。つまり、無視できない。そこで、今日はこの場を借りて、彼の記事を紹介したい。

 https://www.zdf.de/nachrichten/politik/hongkong-sicherheitsgesetz-china-deutschland-kommentar-100.html

 タイトルは、「香港の自由にはそれなりの犠牲(主に経済的犠牲の意・川口注)が伴う―良い肉と同じで」。

 なぜ、ここで肉の話が出るのかは後述するが、これもはっきり言って、信じられない比較だ。

すべては終わった。現実が勝利した

 まず、リードは、「香港の自由は一重に北京の意思にかかっているが、我々も影響を及ぼすことはできる。我々は中国を挑発して豊かさを失うべきか。それとも、見て見ない振りをすべきか」。

 すでにこのリードで、リョラー氏が、中国に対して従順であるドイツ政府の擁護を試みようとしていることがわかる。と同時に、彼は、自らのジャーナリストとしての不甲斐なさも正当化できると思っているのかもしれない。

 彼はまず、香港の若者たちが勇敢に戦ったことに敬意を表しながらも、その若者らは、自分たちが「何か良きもののために戦っていると信じていた」という皮肉をさりげなく付け加える。若者の名誉に傷をつけるひと言だ。

 「習近平のポスターに卵を投げつけ、彼の写真を踏みつける。こんなことが長く続くはずはなかった。彼らはアメリカやEUの旗を振りかざした。時に、そこにはドイツの国旗も混じっていた。自分たちも自由な統一を革命でやり遂げるのだと、彼らは言った」

 「しかし、彼らの多くは、自分たちが夢見ていることに気づいていた」

 リョラー氏は、冷めたトーンで続ける。

 「彼らは不安を感じていた。西側社会は、地球の裏側の小さな町のために、強大な中国と事を構えないかもしれない。しかし、彼らはその疑念を振り払い、抵抗を続けた。少しの間だけでも、歴史の中心にいることが得意だったのだ」と、またチクリと皮肉。

 そして、あっさりとこう結論づける。

 「すべては終わった。現実が勝利した。その現実の名は『国家安全法』。これは香港の自由の終わりだ。まだ道に出ている若者全員にとって命の危険を意味する」

 リョラー氏は、去年まで米ワシントンの特派員をしており、毎日、正義の味方ぶって、トランプ大統領のことをこれでもかというほど口汚くこき下ろしていた人だ。今、あの威勢はどこへいったのか? 
 アメリカでは民主主義の守護者のように振る舞っていたのに、中国ではその看板をさっさと下ろしてしまったのか? 
 いや、彼は、そう思われることを恐れているのだろう。だからこそ、この記事は迷走を始める。しかも、滅多に見られないほどの迷走だ。

時間は独裁者の味方である

 「この法律は、我々のこともよく表している。特に、北京の権力者が西側について思っていることだ。弱く、ナルシストで、臆病」

 これはシニカルを通り越して、自虐だろう。そして、ここからさらに摩訶不思議な論理が繰り広げられる。

 「我々の豊かさのすべてが中国経済に依存している」

 なぜ、“すべて”なのかがわからないが、それは措く。

 「ドイツの自動車産業は、生き延びるために中国市場が必要だ。そして、ドイツは自動車産業が必要。それなしには、社会の安定を保てない。正直になろう。

 我々の民主主義は、一つの独裁国が繁栄することによって成り立っているのだ」

 もう、ビックリだが、ほぼ、これがリョラー氏の結論なのだろう。断っておくが、太字にしたのは私ではなく、元の記事がそうなっている。記事はまだ続く。

 「北京の権力者は知っている。彼らは西側のディーラーだ。国家安全法というのは、まさに我々の目の前に突き出された中国の中指だ(侮辱するときにする仕草・川口注)。『やれるものなら、やってみろ』と中国の権力者たちは言っている」

 ディーラーとは? 何かを煙に巻くような言葉の使い方で、意味もわからなければ、文脈も繋がらない。

 「ドイツが力強く中国を批判するとき、いつだって彼らは北京で笑っている。なぜなら、それが外交的なお飾りであり、何の意味もないことを知っているから」

 これも自虐。

 「この苦い現実が次第にデモ隊の希望を押しつぶしていった。彼らは空気が変わったことを承知している。何人かは活動から離れて内向し、あるいは、亡命を考える。戦い続ける人たちはわずかだ」

 「中国が、今後、どのような速さでこの計画を進めていくかはわからない。抵抗の中心人物はまもなく拘束されるのか。どのような厳格さでこの法律は施行されるのか。あるいは習近平は、西側をあまり刺激しないようにと考えているかもしれない。彼には時間がある。時間は独裁者の味方である」

これはただの苦い事実である

 さて、最後は「肉」だ。

 実は、先月、ドイツの大規模な精肉工場で大量のコロナ感染者が発生した。そこで働いていたのは主に東欧からの出稼ぎ労働者だったが、調べて見たら、彼らがタコ部屋のような劣悪な住環境をあてがわれ、劣悪な労働条件で、いわば搾取されていたということが明らかになった。

 その際、ニュースでは、そこで処理される豚たちにまで話が及び、豚たちがいかに不幸な環境で育ち、殺されていくかが報道された。しかし、だからこそドイツの食肉は安く、産業として抜群の競争力を誇っている。

 そこでリョラー氏は言う。

 「そのうち、我々は香港を見ることをやめるだろう、あるいは、率直に言うなら、わざと目を逸らすことになる。そのために支払わなければならない代償が、我々にとって高すぎるからだ。

 ドイツでは、安い肉を手に入れるためなら、動物や人間が苦しむことさえ、多くの人たちが看過する。そんな我々が、香港のために自らの豊かさを制限するなどありえない」

 つまり、リョラー氏は、ドイツが中国に車を輸出するために香港の民主主義を犠牲にすることと、ドイツ人が安い肉を食べるために「動物と労働者」の住環境を犠牲にすることを同列に並べているのだ(彼が「動物や人間」と、動物の方を人間より先に挙げていることもついでに指摘しておきたい)。この人は、香港の民主主義の防衛の意味をわかっていないのではないか。

 そして、最後の一文が最高に揮っている。

 「これは非難ではなく、ただの苦い事実である」

 つまり、香港の住民が自由を失うことも、動物や出稼ぎ労働者が不幸な目に遭うことも、 “自分は苦い事実を書いただけで、別に非難はしていない”と言いたいらしい。どう考えても、変な結論だ。

 これならいっそのこと沈黙していた方がよかったのではないか。

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2020年7月23日 (木)

【自粛から自衛へ】東京都「新規陽性者数」366人✍過去最多更新

小池都知事「非常に大きい数字。これは警告」366人の新規感染確認

ABEMA TIMES 2020年7月23日(木)15時59分配信

 東京都の小池都知事がさきほど記者団の取材に応じ、きょう新たに確認された新型コロナウイルスへの感染者が366人であることを明かした。1日としては過去最多を更新して、ついに300人を超えた。

 小池都知事は検査数が4926件であったこと、さらに20代、30代が6割を占めることなどを挙げたうえで、「全世代、とくに40代、50代をはじめとする世代への広がりがあり、23区にとどまらず多摩地域にも広がっている」と述べた。

 感染経路については若年層の会食やパーティー、保育園での施設内感染などでも広がりがみられ、若年層での重症化の恐れがあることを指摘した小池都知事は「きょうも3人が増えて21人が重症」と明かした。

 患者の受け入れ体制について、都としては病床2800床の確保を要請していて、2400床を確保していると説明した小池都知事は、366人という数の受け止めや数が増えた要因について問われると「非常に大きい数字。無症状の方が15%。濃厚接触者をチェックする中でそういった形で出てくる。感染しない、させてはいけないという意識をお伝えしたところ。検査が増えたということもあるが、皆様方のご協力をさらに強めていかなければならないという警告だと考えている」と話した。

 米国、コロナ収束の兆しえず 1日の死者再び1000人 

ロイター 2020年7月23日(木)2時32分配信

 ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染症による1日当たりの死者が21日に1141人に達し、6月10日以来初めて1000人を超えた。多くの州で感染者や入院者も急増しており、コロナ禍収束の兆しは依然見えない。

 現時点での米国での死者は累計14万2000人強、感染者は約391万7000人。

 流行が深刻なフロリダ州では22日、新規感染者が9785人、死者が140人増加した。新型コロナ感染症による入院者も過去最多の9530人となった。

 アラバマ州でも死者と入院者数が共に最多を更新した。

 7月に入って16州で死者が、32州で新規感染者数がそれぞれこれまでの最多を記録。入院者数も19州で最多を更新した。

 トランプ大統領は21日、新型コロナウ感染拡大を防ぐため、社会的距離を維持できない場合にはマスクを着用すべきとし、これまでの方針を転換。新型コロナを巡る状況は改善する前におそらく悪化するだろうとの認識も示した。

 こうした中、米製薬大手ファイザー<PFE.N>と独ビオンテック<22UAy.F>は、米政府から19億5000万ドルを受け取り、両社が開発する新型コロナウイルスワクチン1億回分を提供する契約を締結したと発表した。

新型コロナ免疫消滅”、ワクチン開発ハードル上がる

ロイター 2020年7月16日()8時05分配信

 新型コロナウイルス感染者の免疫が、短期間で失われる可能性を示す証拠が出てきた。今後の感染拡大局面で人々をウイルスから完全に守ることができるワクチンの開発を進める製薬会社などにとって、ハードルが一段と上がってしまった形だ。複数の専門家は14日、こうした見方を示した。

 中国やドイツ、英国など各地で行われた暫定的な研究結果からは、新型コロナに感染した人には抗体が作られるものの、わずか数カ月で消滅する様子が見受けられる。

 ロンドンにあるインペリアル・カレッジのダニエル・アルトマン教授(免疫学)は「大半の感染者には(抗体が)できる。だがしばしばそれらは急速に消えてしまいかねない。つまり免疫力がほとんどつかないことが示唆されている」と述べた。

 これはワクチン候補の開発者はもとより、将来のパンデミック(世界的な大流行)に備えた国民へのワクチン供給を目指している各国の公衆衛生当局にも重大な問題を投げ掛けている。

 英リーズ大学のスティーブン・グリフィン准教授(医学)は「(パンデミック抑制で)1つのワクチンに依存し過ぎるのは賢明ではないという意味だ」と指摘。ワクチンに本当の効果を持たせるには「より強力化して免疫力を長引かせるか、定期的に接種する必要があるのではないか」と述べた上で、どちらも決して簡単ではないと警告した。

 ワクチンに望みかける戦略正しくない」米専門家の指摘 

CNN.co.jp 2020年7月23日(木)15時39分配信

 米国で新型コロナウイルスの感染者が増え続ける中、医学の専門家は22日、CNNの番組で、ワクチンに全ての望みをかけるのではなく、より包括的な戦略を検討すべきだとの見解を示した。

 ハーバード大医学大学院および公衆衛生大学院の元教授、ウィリアム・ヘーゼルタイン氏はCNNの番組で、ワクチンに全ての望みをかけるのは「正しい戦略ではない」と述べた。

 そのうえで、感染拡大を抑止するためには、ワクチンや治療薬の助けを借りつつ、幅広い公衆衛生戦略を構築する方が効果的だと説明。マスクの着用義務化については、一定の効果が見込めるとする一方、マスク以外にも多くの対策が必要になると指摘した。

 具体的には、バーなど若者が夜間に集まる場所を閉鎖したり、被害が深刻な地域では大人数の集会を禁止したりすることを推奨した。人々の行動に大きな変化が生まれ、公衆衛生機関に充てる予算や人員を増やさない限り、状況の改善は見込めないとしている。

 ワクチンについては、実用化は早くても6カ月先だと述べ、新型コロナウイルスを過小評価しないよう警告。「これは厄介なウイルスだ」「麻疹(はしか)やおたふくかぜほど単純でない。もっと複雑だろう」と述べた。

 米国では新型コロナによる1日当たりの死者が1000人を超し、感染者も近く400万人に達する見通し。

 米国で最初に感染者が報告されたのは1月21日で、その99日後に100万人、43日後に200万人、28日後の7月8日に300万人に増加した。そこからわずか2週間で400万人に到達することになりそうだ。

 コロナ騒動は「中国の特色ある社会主義の弱点を次々に曝け出した 

Newsweek日本版 2020年7月23日(木)17時50分配信/近藤大介(ジャーナリスト)

中国式の社会市場経済(中国模式)は、習時代になるまで成功を収めていた。その後経済は悪化したが、個人情報が取り放題の中国はAIで世界をリードするかに思われた。そんなときに新型コロナウイルス問題が起こり、ジャーナリスト近藤大介氏の仮説は揺らぐことになる。

 この原稿を執筆している二〇二〇年四月現在、日本のニュースは新型コロナウイルス関連一色と言っても過言ではない。私が日々、インターネットで見ている中国の中央電視台(CCTV)も同様だ。欧米諸国も含めて、世界中がコロナウイルス禍に慄(ふる)えている。

 この降って沸いたような騒動によって、私のところにもテレビやラジオ、ネット番組の担当者から、「中国の専門家として話をしてほしい」と、よく声が掛かるようになった。そして私がスタジオへ行くと、いつも「ウイルスの専門家」とペアで出演させられる。これまでウイルスの専門家など、一人の知り合いもいなかったのだが、おかげで彼らのユニークな世界観を拝聴できた。

 一例を挙げると、中国広東省深センはこの頃、「アジアのシリコンバレー」と称されている。隣接する香港のGDPを二〇一八年に追い越した躍動著しい深センを、私はこのところ毎年訪問。深センを含む広東省、もしくは広東省を含む中国南部が、今後のアジア経済、ひいては世界経済のセンターになっていくのではないかという「仮説」を立てていた。

 ところが、ウイルスの専門家たちに一笑に付されたのである。彼ら曰く、

「ウイルス学的に見ると、世界で最も危険な地域が、アフリカの一部と中国の南部だ。エボラ出血熱やアフリカ豚コレラはアフリカ発で、SARS(重症急性呼吸器症候群)と今回の新型コロナウイルスは中国南部発。そんな地域が、世界経済の中心地になんか、なるわけないでしょう」

 こう指摘されて、ぐうの音も出なかった。かくして私の「仮説」は、分が悪くなってしまった。同時に、今回の新型コロナウイルス騒動によって、もう一つ分が悪くなってきている「仮説」がある。それは、「中国模式」(チャイナ・モデル)が、二一世紀の人類の新たな国家統治システムの規範になるという「仮説」である。こちらの「仮説」は私が立てたものではなくて、習近平時代になって、中国の政官学界からよく聞く話である。

 以下この「仮説」について、順を追って論証を進めたい。

中国式社会主義市場経済の特色

 二〇世紀後半の冷戦は、資本主義システムと社会主義システムの正当性を賭けたイデオロギー戦だった。結果は周知のように、一九八九年にベルリンの壁が崩壊し、一九九一年にソ連が崩壊したことで、アメリカ率いる資本主義システムが勝利した。そして、唯一の超大国となったアメリカは、大手を振って二一世紀を迎えた。

 その頃、ソ連と並ぶ社会主義の大国だった中国も、一九八九年の天安門事件で、建国後四〇年で最大の危機に陥った。ところがソ連と違って、なんとか持ちこたえた。それは、主に次の三つの理由によった。

 第一に、時の最高指導者が、トウ小平という二〇世紀に中国が輩出した最大の傑物だったことである。

 私は、孫文も蒋介石も毛沢東も、政治家として高く評価しない。その理由を縷々書いていくと、紙幅が尽きてしまうので省略するが、あの中国崩壊の危機の時に、トウ小平が齢八〇代でギリギリ生きていたことが幸いした。トウ小平の政治は、一言で言えば「軍人政治」で、何事においても規律と効率を重視した。いずれも毛沢東時代の中国には欠けていた要素だ。

 第二に、中国には秦の始皇帝以来の、あるいはもっと以前からの四〇〇〇年に及ぶ伝統的な統治制度があり、一九四九年以降の共産党政権は、その基盤の上にソ連式の社会主義を換骨奪胎させていたことである。そのため、たとえ神輿部分の「ソ連的システム」が否定されたとしても、屋台骨である「皇帝制度」は残ったのである。

 トウ小平は革命元老の同志たちに、息子一人だけを後継者として政治家にすることを許した。同時に、中国共産党の青年組織である「共青団」(中国共産主義青年団)を活用し、全国から貧しくても有能な人材を募った。

 前者は「太子党」と呼ばれ、後者は「団派」と呼ばれた。トウ小平は「中南海」(北京の最高幹部の職住地)で、「太子党」と「団派」を切磋琢磨させながら統治するシステムを確立したのだった。

 これはまさに、宮中に忠臣の子弟と、科挙によって全国から集めた秀才とを共存させていた皇帝時代の統治制度そのものである。現在の指導部でも、トップの習近平主席は「太子党」(習仲勲元副首相の息子)であり、ナンバー2の李克強首相は安徽省の農家から共青団第一書記にのし上がった「団派」である。

 第三に、一九九二年に「南巡講話」(中国の南方を視察し「改革開放を加速せよ!」と唱えた)を経たトウ小平が、経済学者の呉敬レンらに研究させた社会主義市場経済というシステムを採用したことである。社会主義市場経済は、同年秋の第一四回中国共産党大会で党規約に明記し、翌年春の全国人民代表大会で憲法に明記した。

 社会主義市場経済とは、政治は社会主義(中国共産党による一党支配)を堅持するが、経済は市場経済に変えていくということである。

 それまでの世界の国々は、資本主義国家なら経済は市場経済であり、社会主義国家なら計画経済だった。ところがトウ小平は、中国共産党の社会主義体制を維持したままで、国を発展させるため、経済分野は資本主義国家に倣おうとしたのである。いわば社会主義と資本主義のイイトコドリだ。

 この中国式の社会主義市場経済(「中国の特色ある社会主義」もしくは「中国模式」とも言う)は、その後、紆余曲折を経ながらも成功を収めていった。

習近平の大国復活の夢

 二一世紀に入ると、中国は悲願だったWTO(世界貿易機関)への加盟と、二〇〇八年の北京オリンピック開催を勝ち取った。トウ小平は一九九七年に没したが、その「遺志」は江沢民と胡錦濤に引き継がれた。

 二〇〇八年夏に北京オリンピックを成功させた後、多くの開催国がそうであったように、中国経済も「中折れ」するリスクがあった。だが直後に、金融危機(リーマン・ショック)がアメリカを襲い、続いてギリシャ債務危機がEU(ヨーロッパ連合)を襲った。

 その結果、欧米はチャイナ・マネーを頼った。中国はG7(先進国)サミットに代わるG20(主要国・地域)サミットの主要メンバーとなったばかりか、BRICS(新興五カ国)を創設して台頭していった。二〇一〇年にはGDPで日本を追い越して世界二位となり、「G2時代」(アメリカと中国の二強時代)の到来と言われた。

 そんな中、二〇一二年一一月の第一八回中国共産党大会で、総書記(共産党トップ)に就いたのが習近平副主席だった。習近平総書記は翌年三月、国家主席にも就任。党と国家の中央軍事委員会主席にも就き、党・政府・軍の三権を掌握した。

 習近平時代になって、中国経済は悪化していった。そのことを、先に述べた天安門事件後に中国が持ちこたえた三つの理由と比較して考えると、以下のようなことになる。

 第一に、習近平主席が目指した指導者像は、「トウ小平の再来」ではなくて「毛沢東の再来」だった。おそらく習主席にとって、トウ小平、江沢民、胡錦濤の三人は「毛沢東の付け足し」のような指導者であり、二〇世紀中葉に毛沢東が中華人民共和国を建国した後、自身が二一世紀の前半に中国を世界最強の国にするという意欲を沸き立たせていたに違いない。

 習近平政権が掲げたスローガンは、「中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現」だった。一八四〇~四二年のアヘン戦争でイギリスに敗れるまで、中国は古代からほぼ継続して世界一の大国だった。毛沢東が一九四九年に中華人民共和国を建国して復興の礎を築き、自分が大国復活の夢を完成させるということだ。

 習近平主席は、このような気宇壮大な夢想を抱いたが、同時に毛沢東主席の欠点も引き継いでしまった。それは経済問題に疎いということだ。習主席は、青年時代に文化大革命で下放されたこともあって、まともな学校教育を受けていない。そのため、毛沢東ばりの非情な権力闘争は得意でも、トウ小平ばりの炯眼な経済政策は打てない。

 第二に、中国伝統の「皇帝制度」は継承したが、それは残念ながら、賢帝と呼ばれた時代のものではなかった。

 私が見るに、中国歴代の皇帝の中で、習近平主席と酷似しているのが、清朝五代皇帝の雍正帝(ようせいてい、一六七八年~一七三五年)である。五代目であること、少年時代に都(宮廷)から追い出されたこと、四番目の候補者だったこと、エリートを信用しなかったこと、秘密警察のような組織を使って政敵を貶めていったこと......。この両者、とかく共通点が多いのである。ちなみに雍正帝は、父・康熙帝(こうきてい)が六一年、息子・乾隆帝(けんりゅうてい)が六〇年の長期政権を敷いたのに較べて、在位一三年目のある日、執務室で謎の変死を遂げている。

 前述の「太子党」と「団派」の活用で言うなら、習近平主席は「エリート嫌い」なので、「団派」は信用しないし遠ざけようとする。そうかといって「太子党」は、「我こそはミスター共産党」と自負している大物が多いから、幼馴染みの薄熙来元中央政治局委員のように、監獄にぶち込んでしまったりする。

 そのため、有能な人材はなかなか登用されない。実際、習主席は共産党総書記に就任した翌月に「八項規定」(贅沢禁止令)を定め、「虎(大幹部)も蠅(小役人)も同時に叩く」と称して、一期目の五年間で一五三万七〇〇〇人もの幹部を、汚職幹部として追放してしまった。

 その結果、「中南海」で幅を利かせるようになったのは、二つのタイプの人間だった。第一は、従順で朴訥な地方出身者。第二は、阿諛追従に長けた輩である。彼らは「新権貴(シンチュエングイ)」(新たな権力を手にした貴族)と呼ばれて畏れられたが、習近平主席の動向だけを見て仕事をしたため、官僚の不作為(習主席が指導したこと以外のサボタージュ)が蔓延するようになった。

社会主義と市場経済の亀裂

 二〇一八年春に北京で会った若手科学者たちは、私にこう解説した。

「外国の人は、中国が個人のプライバシーを尊重しないと批判しますが、五年後(二〇二三年)にIoT(物のインターネット)が普及し、ひと家庭あたり一〇〇個も二〇〇個もインターネットに接続される時代になると、世界中でプライバシーなんかなくなりますよ。だって、寝室のベッドの温度変化だって記録に取られるんですよ。おそらく今後一〇数年のうちに、『プライバシー』という言葉自体が死語と化すでしょう」

 便利を取るか、プライバシーを取るか――AI時代を迎えて世界中で議論が巻き起こる中、中国は一も二もなく便利を選択した。それによって、アメリカを超える世界一のAI強国を目指しているのである。「学習強国」というAIによる監視機能付きのスマホのアプリが導入され、世界最大規模の政党である九〇〇〇万中国共産党の党員たちは、日々の学習を強いられるようになった。「学習」には「習(近平の教え)を学ぶ」という意味を掛けていて、習近平思想をスマホで学習するのである。

政治の民主化なくとも経済発展は可能という中国式の社会市場経済(中国模式)は一帯一路を通じて、特に発展途上国の見本となってきた。しかし、新型コロナウイルス問題の発生で状況は一転する。

 ここ数年、中国は「一帯一路」を通じて、「中国模式」を世界に鼓舞するようになった。すなわち、「政治を民主化しなくても国家の安定した経済発展は可能」という見本を、主に発展途上国に対して示しているのである。これは、世界各地に存在する強権的な国家の広範な賛同を得ていった。

「中国模式」の本質は、民主集中制にある。主権者たる国民(中国では「人民」と呼ぶ)は、自らの政治的権利の一部を、党中央(為政者である習近平総書記)に委任する。党中央は集中された権力を広範な国民の最大利益のために行使するというものだ。

 そこでは日米欧の民主国家のような、批判者としての野党、監視者としてのメディア、そして審判者としての有権者という「三つのチェック機能」が働かない。その代わり、共産党に中央紀律検査委員会を設置し、政府に国家監察委員会を設置して「自浄」に努めている。

 この「浄化作用」は、地位によらず、法律法規に基づいて万人に適用されることになっている。だが、唯一の例外は習近平総書記である。なぜなら習総書記は「党中央の核心」、中国の伝統にならえば「皇帝様」だからだ。

 王岐山副主席(当時は党中央紀律検査委員会書記)は二〇一五年四月二三日、訪中したフランシス・フクヤマ・スタンフォード大学シニアフェローと青木昌彦同大名誉教授らに、「習近平=神」論を披瀝したことがある。

「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国ではいまでも神が統治するから、司法も必ず党中央の指導のもとに行動せねばならない。各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙切れに過ぎない。だから憲法が定める最高権力者である大統領は、神ではない。また日本には天皇がいて、イギリスには女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」

 このような思想のもとで、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」が、中国国内で敷衍していったわけである。私は北京、上海はもとより、山東省の農村地帯でも新疆ウイグルの国境地域でも、習近平総書記の巨大なパネル写真と「習近平総書記を核心として全党全軍全民の力を結集しよう!」といったスローガンを見つけた。二〇一八年の夏頃まで、中国はまるで毛沢東時代に回帰したかのようだった。

米中貿易戦争で揺らいだ中国

 この状況を打ち破ったのは、アメリカのドナルド・トランプ政権だった。中国で「習近平皇帝の戴冠式」(二〇一八年三月の全国人民代表大会)の終了を待つかのように、同年三月二二日に突如、トランプ大統領が、中国に対して鉄鋼に二五%、アルミニウムに一〇%の追加関税をかけ、さらに新たに六〇〇億ドル分の中国からの輸入品に、追加関税をかけると宣言したのである。中国に対する貿易戦争の「宣戦布告」だった。

 この時、中南海では「対米主戦論」が強まった。太平洋戦争期の日本でも同様だったが、健全な民主主義が機能していないと、「外敵」を前にして、政権は強硬な意見に傾いていくものだ。習近平主席が口にしたと囁かれた「奉陪到底(フェンペイタオデイー)」(最後まで付き合ってやる)という凄みのある言葉を、外交部も商務部も中央電視台(CCTV)も喧伝し、アメリカへの対抗意識をむき出しにした。

 だがこの強硬策は、裏目に出た。アメリカは同年七月に第一弾、八月に第二弾、九月に第三弾と、計二五〇〇億ドルもの中国製品に追加関税をかけ、もともと悪化していた中国経済は、干上がってしまったのである。中国は世界第二の経済大国とはいえ、しょせんはアメリカ経済の三分の二の規模しかない。世界貿易に使われる通貨比率に至っては、米ドルが過半数を占めるのに対し、中国人民元は二%にも満たなかった。

 米中がガチンコ勝負すれば、優劣は自明の理だったのである。中国では「雪上加霜(シュエシャンジアシュアン)」(雪の上に霜が加わる=泣きっ面に蜂)という成語が飛び交うようになった。

 同年八月、習近平主席は共産党の会議で、初めて「私は自分の偶像崇拝など求めていない」と、釈明を余儀なくされた。同年暮れのブエノスアイレスG20の際に行われた米中首脳会談は事実上、中国側のアメリカに対する「白旗会談」となった。中南海は、二〇一九年が明けてもアメリカへの妥協論に包まれていた。

 再び風向きが変わったのは、同年五月である。強気だった中国の「後退」を見て、トランプ政権はディールを終えてチップを確定させればよかったのだが、さらにコインを積んで勝負を続けようとした。その結果、中国が「ちゃぶ台返し」に出たのである。

 中国はアメリカとの貿易交渉を中断させ、一年ぶりに「奉陪到底」のスローガンを登場させた。同時に、毛沢東の『持久戦論』の学習運動を始めた。一九三八年夏に、前年からの日中戦争で日本軍に攻め込まれる中、急戦ではなく一時撤退、戦力育成、反撃撃退という持久戦で勝利すると毛沢東が説いた演説集だ。「日本」を「アメリカ」に置き換えて、対米戦争を持久戦で勝ち抜こうというのである。

 この米中貿易戦争は、その後も紆余曲折を経て、二〇二〇年一月一五日、両国は妥結に至った。第一段階の合意書に、トランプ大統領と劉鶴(りゅうかく)副首相(習近平主席の中学時代の同級生)がサインした。トランプ大統領が「宣戦布告」してから、実に二年近くが経過していた。

 この頃、北京を訪れたが、中国側にアメリカと妥結に至ったという高揚感はなかった。あるのは、諦念とも言えるものだった。ある中国共産党員はこう述べた。

「結局、二年近くに及んだ交渉で悟ったのは、今秋にトランプが大統領に再選されようが、別の誰かが代わろうが、中米対決は長期的かつ全面的なものになるということだ。今後、貿易戦争 → 技術戦争(5Gなど)→ 金融戦争(デジタル通貨など → 局地戦争(南シナ海、東シナ海、台湾など)と、戦線は拡大していくだろう。ともかく二一世紀の中頃までに、アメリカと雌雄を決する」

 雌雄を決するのは、まさに二一世紀の人類にふさわしい制度は、アメリカ式資本主義か、それとも中国の特色ある社会主義(中国模式)かということに他ならなかった。

「欧米式の民主制度というのは、互いの戦争を食い止めるための窮余の策として、ここ数百年行っているに過ぎない。しかも破綻を見せている。EUで二番目の経済大国であるイギリスが離脱し、各国で国粋主義が台頭するなど、EU分裂が始まった。アメリカでは、『アメリカ・ファースト』を掲げ、国境に壁を作ったり同盟国との関係を軽視したりするトランプが、第二次世界大戦後のアメリカの理念に挑戦している。このように、先に瓦解していくのは欧米民主国家の方だ。習近平新時代の中国の特色ある社会主義システムは、彼らよりもはるかに強固なのだ」(同前)

コロナウイルスで大打撃

 さて、ここからの経緯は、詳細な説明は不要だろう。二〇二〇年一月二〇日、習近平主席は新型コロナウイルスに対する緊急措置を取ると発令。三日後には一一〇〇万都市の武漢が「封城(フェンチェン)」(封鎖)された。中国国内の感染者数はたちまち八万人を超え、死者の数は三〇〇〇人を超えた。一四億中国人にとって今年の「春節」(一月二五日の旧正月)は、後世に残る「悪夢の日」となった。

 新型コロナウイルス騒動は、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」の弱点を、次々にさらけ出した。未知のウイルスが蔓延していることを警告した武漢の李文亮医師が、流言飛語拡散の罪で公安に断罪され、コロナウイルスに罹って死去した。これによって「憲法第三五条で保障された言論の自由を認めるべきだ」という運動が起こった。

 習近平主席は、「自ら指揮して、自ら手配する」と宣言したが、実際にはウイルス対策を李克強首相に任せきりにして、中南海に蟄居してしまった。そのことに批判が高まると、二月一〇日になってようやく「北京視察」に出た。

 ところが「皇帝様」である習主席は、北京市民に対しても、テレビ電話で繋がった武漢の医師たちに対しても、「上から目線」を貫いた。多くの中国人は、二〇〇三年のSARS騒動の時、胡錦濤主席と温家宝首相が、マスクも付けずに病室に慰問に訪れ、患者たちの手を取って語りかけていた「患者目線」の姿を記憶している。

 また、武漢市や湖北省の地方自治体の無能ぶりも露呈した。前述のように、中央であれ地方であれ、政治家や官僚たちに求められるのは、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の学習」であり、習主席の日々の「重要講和」を忠実に実行することだ。そのため、現場での対応が後手に回ったのである。

 こうしたことが重なって、新型コロナウイルス騒動は、習近平主席の「岩盤支持層」である庶民層(中国語で言う「老百姓(ラオバイシン)」)を直撃した。

 習近平政権下で、二〇一二年以来の「八項規定」で摘発したのは幹部たちであり、二〇一五年夏の株式暴落の時、損をしたのは富裕層や中間層だった。また、二〇一八年以来のアメリカとの貿易摩擦でも、打撃を受けたのは主に企業経営者だった。だが今回ばかりは、習主席の岩盤支持層である庶民層が犠牲になったのである。中国の経済的損失や、国際的な信頼失墜も計り知れなかった。

 それでも三月一〇日になって、習主席は「反転攻勢」に出た。「封鎖」から四七日目にして、ついに武漢を視察したのだ。その様は、まさに「習近平時代の社会主義方式」と言えた。

 武漢の空港に降り立つと、まずは千床の病床を急ごしらえした火神山医院に駆けつけた。そして病院のロビーで、テレビ画面の向こうに立ち並んだ医師たちに向かって、説教を始めた。使っていたマイクも、習主席から約一メートル離れて置かれていた。

 次に、画面越しの八一歳の重症患者の老夫に向かって、「武漢必勝! 湖北必勝! 全中国も必勝!」と拳を振り上げた。続いて病院の車寄せに立ち、病院幹部らと距離を置いて、再び説教を始めた。直立不動の幹部たちは時折、機械仕掛けの人形のように一斉に拍手する。

 習主席はその後、三二人の感染者を出した東湖新城社区のマンション群に入り、社区の幹部やボランティア一〇人ほどを遠くに座らせて、三たび説教。場所を会議室に移して、湖北省と武漢市の幹部たちを離れて座らせながら、四度目の説教(重要講話)を述べたのだった。

 習近平主席の武漢入りは、習政権が「ウイルスとの戦争」に勝利しつつあることを内外に誇示する狙いがあった。

 国内的には、「復工復産」(工業と産業の復興)をスローガンに、再びアクセルを踏み始めた。一月から二月の工業生産は前年同期比で一三・五パーセントも落ち込んでおり、早急に立て直す必要があった

 また対外的には、パンデミック(世界的流行)に際して、中国がいち早く克服した「戦勝国」として、対処法を世界に伝授し、援助物資を供給していくリーダーになるという意思を示したのだった。

 こうして、何事にも強気、強気の習近平政権は、「反敗為勝(ファンバイウェイシェン)」(敗北を勝利に変える)で、内外に中央突破を図っていった。四月八日には、武漢の封鎖を七六日ぶりに解除。「自由・民主の欧米社会」よりも「中国の特色ある社会主義」の方が危機に強いことを誇示した。

 習近平主席には、誰にも負けない「二つの長所」がある。一つは我慢強さだ。忍従に忍従を重ねてトップの座を掴んだように、今回のコロナウイルス騒動でも、忍従して政治的及び経済的に捲土重来を図ろうとするだろう。

 もう一つは強運である。中国では俗に、「小事は智によって成し、大事は徳によって成し、最大事は運によって成す」と言う。習主席の半生を振り返ると、恐るべき強運の持ち主であることが分かる。

 習近平主席は、忍従と強運をもって、この最大のピンチを脱することができるのか。そしてアメリカと肩を並べ、いつの日か凌駕することができるのか。六六歳の皇帝様に問われているのは、コロナウイルスの終息と同時に、「二一世紀の人類にふさわしい政治システム」という壮大な命題に対する解でもある。

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2020年7月22日 (水)

【GO TO トラベル】✍明日から“困惑”4連休「自粛要請」「東京問題」「感染爆発」etc…

4連休、都民は外出自粛OKなのか?東京都「不要不急控えて」政府「感染防止策とれば

毎日新聞 2020年7月22日(水)13時24分配信

 菅義偉官房長官は22日の記者会見で、東京都の小池百合子知事が23日からの4連休に不要不急の外出を控えるよう都民に呼びかける方針を示したことに対して、感染防止策をとった上での外出は容認すべきだとの見解を示した。4連休の外出を巡って、政府と都から異なるメッセージが発せられ、都民に困惑が広がるのは必至だ。

 菅氏は会見で、4連休の都民の外出について「政府としては体調の悪い方には外出を控えていただきたい。外出する際にも『3密(密閉、密集、密接)』を避けるなど、感染防止策を徹底していただきたい」と述べた。「感染防止策をとれば外出しても構わないということか」と問われると「専門家の委員の皆さんからご理解をいただいている」と答えた。

 新型コロナの感染が再拡大する中、菅氏の「東京問題」発言を契機に、政府と都の相互不信はとどまる気配がない。菅氏は21日の記者会見で、都内で軽症者が療養するためのホテルの室数が6月末の2865室から7月中旬に371室に減ったことについて「(ホテルの)確保に必要な費用は国が全額を交付金で支援しており、東京都に対して、早急にさらなる宿泊施設の確保を求めている」と不満を示した。

 一方、小池氏も旅行需要喚起策「Go Toトラベル」から東京都内への旅行や都在住者の旅行が除外されたことを受けたキャンセル用の補償に関連し、20日に「早く設計図を示していただきたい」と政府に注文を付けた。西村康稔経済再生担当相と小池氏が21日に会談するなど一定の連携は保っているが、足並みの乱れは隠せない状況だ。

 全国新たに795感染 4月11日を101人超えて過去最多更新 

毎日新聞 2020年7月22日(水)20時44分配信

 新型コロナウイルスの感染者は22日、全国で新たに795人が確認され、毎日新聞のまとめでこれまでに1日当たり最も多かった694人(4月11日)を101人上回った。大阪府で121人となって過去最多を更新するなど都市部を中心に増加が目立っている。クルーズ船の乗客乗員らを合わせた国内の感染者は計2万7928人に。死者は愛知県で1人確認され、計1003人となった。

 国が進める旅行需要喚起策「Go Toトラベル」事業が始まった22日に過去最多の感染が確認される事態となった。

 国内では1月に初めて感染が確認され、7都府県に緊急事態宣言が出された4月7日の4日後に最多の694人の感染が確認されていた。その後はいったん減少して5月中旬から6月下旬には2桁台となる日が続いた。しかし、今月は増加傾向が続き、9日には約2カ月ぶり(5月2日以来)に300人を超えていた。

 22日は大阪府のほかにも愛知県64人、埼玉県62人、福岡県61人でそれぞれ1日当たりの過去最多を更新した。奈良県は8人で過去最多に並んだ。神奈川68人▽千葉40人▽兵庫30人▽滋賀11人――の各県も緊急事態宣言の解除後としてはそれぞれ最多となっている。

 東京都の感染者数は238人で14日連続で100人を上回り、累計で1万人を超えた。千葉県印西市にある「きんでん」人材開発センターでは社員11人の集団感染が判明したという。

 このほか、海外から空港に到着した際の検疫で4人の感染が判明した。埼玉県は20日に発表した感染者のうち1人が感染していなかったことを明らかにした。

帰省を相談したら  東京大変らしいけどマスク足りてる?」  …“京都特有の言い回しの難易度が高い

FNNプライムオンライン 2020年7月22日(水)18時30分配信

 京都府民は遠回しな言い方を好み、あまり本心を口にしないという印象を持っている人は多いかもしれない。

 編集部でも以前、「良い時計してますなぁ」という言葉に「話が長い」という意味が含まれていたエピソードを紹介した。

 そして新たに、新型コロナウイルスに関する京都府民の“言い回し”が話題となっている。

ティッシュ足りてる?」の意味とは

 地元の京都に来週帰っていい?ってLINEしたら「東京大変らしいけど、そっちマスクとティッシュ足りてる?」っていう意訳すると京都に来るなっていう返信が秒で来た。

 投稿したのは、八重洲無能系OLみやびんちゃん(@miyabine)さん。もともと7月の連休に京都への帰省を計画していたそうで、コロナの状況を鑑みどうするべきか親に意見を聞こうとLINEを送ったという。

 ところが、その返答は「東京大変らしいけど、そっちマスクとティッシュ足りてる?」。

 普通であれば、感染者数が増えている東京での暮らしを心配してだと思うが…。京都では「来るな」という意味になるというのだ。

 Twitter上では、「Google翻訳が永遠にたどり着けない難易度」「京都カルチャーは高度!」「さすが、はんなりしたはるわぁ」 などこの言い回しが話題となり、11万いいねが付いている。(7月21日時点)。

 なぜそういう意味だとわかったのか?そして、意味を察してどう返信したのだろうか? 投稿者に詳しく話を聞いてみた。

意味を察し帰省は中止

ーーLINEの続きを教えて

「ほな、在庫確認して少なかったらお願いしよかな?」ということで、私が察したのでこれ以上の具体的な会話はなく終了です。

 帰省も無しよという意味で家族内での了解を得ています。

ーーなぜ意味を察することができた?

・大都市東京はまだマスク供給回復していないでしょ?(もしくはこれから感染者拡大で不足する)
・ですのでまだ供給が十分にある京都から送ってあげます
・送ってあげるので東京にいてね

という流れです。

 親の返信から察した投稿者は、7月の帰省を中止。状況をみて帰省したいと思っているそうだが、いつになるかは未定とのことだった。

 最近も長野県で、感染者のうち数人が発症前に東京など首都圏に滞在していたということが分かっている。首都圏からの移動による感染を心配するのは親として当然のことではある。

 だが、この“京都らしい”エピソードは、他県出身者には理解しにくい点もある。では専門家はどうみるのだろうか?

 社会言語学が専門の東京女子大学現代教養学部の篠崎晃一教授にも話を聞いた。

本音を表に出さないことが生き残る術

ーー「そっちマスクとティッシュ足りてる?」に「来るな」という意味はある?

 これはよくわからないです。遠回しすぎると真意が全く伝わらないです。「東京も感染者増えて大変らしいなぁ」くらいなら断りの意が通じると思いますが。

ーー京都ではよくあること?

 日本文化の根底には「謙譲の美徳」という精神があり、人を先に立てて、自分は出しゃばらないということが美しい行為であるとされてきました。それを他域よりも京都の人達が体言化することが多いということかもしれないです。

 背景には、日本の文化を支えてきたという自負があるのかもしれません。

ーーなぜ京都の人は“遠回し”に本音を伝える?

 平安以降、首都として長く日本の政治文化の中心地であったため様々な権力者に支配されてきました。その中で自らの主張を控え、直接本音を表に出さないことが生き残るための術だったと言われることが多いです。

教授は「出前でも取りましょうか」を体験

ーー遠回しに本音を伝えられたことはある?

 紹介された京都のあるお宅へ調査に行った際、昼近くになったら「出前でも取りましょうか」と言われました。

 結構時間がたったのでそろそろ解放して欲しいということだと思いました。いわゆる「ぶぶ漬けでも」を体験できたことがあります。

ーー「ぶぶ漬けでも」とは?

 京都の人の家を尋ねて、「ぶぶ漬けでもどうどす?」と言われたら「そろそろ帰ったら」という暗黙のサインだという話が流布しています。ただ、実際に使う人はいないらしいです。

 前に調べたところ上方落語の「京の茶漬け」という演目が由来らしく、一般に帰り際の挨拶として「何もお構いもできませんで…」というところを、京都では「ちょっとぶぶ漬けでもいかがですか」と尋ねる習慣があったことがネタだとか。

ーー日本では遠回しに伝える文化はある?

 京都のステレオタイプのように思われていますが、日本語には婉曲表現(物事を遠回しに言う表現)は多いです。

例えば、

・今度結婚します。→結婚することになりました。
・こちらです→こちらのほうです。
・私は~と思います。→私的には~と思います。
などなど、あえて断定を避けたり、自分が決めたことをあたかも自身の関知しないところでそういう流れになったような表現の仕方をすることが多いです。

ーー他に京都ならではの遠回しの言い方を教えて

 直接聞く機会はないですが、一般に紹介されているのは、

・元気なお子さんやね →騒がしいから静かにさせなさい。
・お嬢ちゃんピアノお上手やね →音がうるさくて迷惑。
・いい時計してますな →話が長い(もう解放して欲しい)。
・きれいな柄のネクタイやね →派手なネクタイだなあ。など

ーー素直に返答された場合、京都の人はどう対応する?

 わからないですが、ネイティブに確認するのが確実です。そもそも直接的な言い回しを回避しているわけだから、受け流すのではないかと思います。

 専門家も真意を汲み取るのが難しかった「東京大変らしいけど、そっちマスクとティッシュ足りてる?」。

 たびたび話題になる京都特有の言い回しには、今後も注目していきたい。

感染者数過去最多大阪東京都と似たような広がり危機感あらわ

毎日新聞 2020年7月22日(水)21時17分配信

 大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)感染症内科の白野倫徳医師は、大阪府の新規感染者数が過去最多となったことについて「検査数も増えており、単純に(春先の)第1波と比べてはいけない」としつつ、「東京と似たような感染の広がり方で、危機的な状況だ」と指摘した。

 重症者用病床について「今は足りているが、前回(春先)の波の時、徐々に高齢者らに広がって救急病棟が逼迫(ひっぱく)した」と強調。「経営が厳しい病院もあり、態勢が弱っている。一度に多数の重症者を受け入れられる病院はほとんどないのではないか。(重症者の病床使用率が低くても)余裕があると思わない方がいい」とくぎを刺した。

 大阪府医師会の茂松茂人会長は「東京から遅れて大阪で感染者が増えているように見える。新たな波(第2波)ととらえてもいいのではないか」とみる。府独自の「大阪モデル」では重症者の病床使用率が70%以上にならないと非常事態を示す「赤信号」とならないが、「このモデルではかなりひどい状況になってから点灯する」と早めの警戒を呼びかける。22日に始まった「Go Toトラベル」事業については「時期としてどうなのか。経済を回す必要性も理解できるが、PCR検査(遺伝子検査)を拡充して、感染なしと確認した後に旅行できるようにするなどの対応が求められる」と注文を付けた。

GO TO見切り発車観光支援しても通院の交通費補助ナシの理不尽

ダイヤモンドオンライン 2020年7月23日(木)6時01分配信/野口悠紀雄

 批判が集中していた政府の観光支援策「Go To トラベルキャンペーン」は、東京を除外することで予定通り、7月22日から始まった。

 しかし、これについては多くの疑問がある。東京除外で新型コロナウイルスの感染拡大を防止することはできない。

 また、観光旅行を補助する一方で、通院のための交通費に何の補助もなされないのは、均衡を逸している。

 高齢者が安心して医療サービスを受けられる条件整備も必要だ。

東京除外で22日から実施 恣意的で曖昧な線引き

 Go To キャンペーンを現時点で行うことに対しては、多くの批判が集中した。

 とくに、「東京から地方の観光地に来る人が地方に感染を広げる。地方では高齢者が多く、医療施設も十分でないから心配だ。また、地方の人が東京に行けば感染する」という批判が強くあった。

 それに対して政府は、対象から東京都を除外、キャンセル料の補償も検討するということで、実施に踏み切った。正確には、「東京都を目的にした旅行」と「東京都に居住する人の旅行」が対象外とされる。

 しかし、この措置には、疑問が多い。

 第1に、なぜ東京だけを除外するのか?

 感染が広がっているのは東京だけではない。大阪でも東京近郊でも広がっている。そうした地域と東京を区別する理由があるのだろうか?

 東京ディズニーランドは東京ではなく千葉にあるからOKだというのだが、奇妙な線引きだ。

 第2は、「目的地」ということの意味だ。

 東京以外を目的地にして東京を経由することは許されるのか?

 これについては、首都圏近郊の人が東京都内を経由して旅行する場合は補助対象だと説明されている。

 しかし、それは東京への旅行と同じではないのか?

 第3は、「東京都に居住する人」ということの意味だ。仕事や通学で毎日のように東京を訪れている人は多い。感染の可能性という点では、これらの人々と東京に居住する人は大差がないのではないか?

 以上で述べたのは、小学生でも疑問に思うことだ。そうした初歩的な疑問を抱えたままで見切り発車するのはおかしい。

東京を除外すれば安全か? 地方への感染拡大の可能性残る

 ところで、以上の点は、「旅行に行きたいと考えていたのだが、補助の対象とならないことになったので不公平だ」という立場から問題とされていることが多い。

 東京都民が補助を受けられないのは不公平だし、「線引きが恣意的で曖昧なので、補助の対象になるかどうかで不公平が発生する」ということだ。

 確かにそうした問題はあるだろう。しかしもっと大きな問題は、東京除外措置によって感染拡大を防止できるかどうかだ。

 例えば、首都圏近郊にいる人が羽田まで来て、そこから九州に行く場合に、東京を通れば感染する危険があるし、県内に帰った後、そこで感染を広めてしまう可能性がある。また、埼玉県に住んでいて感染している人が旅行して、地方で広める可能性もある。

 だから、現在の政府のプランで、感染拡大を防止することはできない。

 これは屁理屈を言っているのではない。命にかかわる重大問題だ。

 Go To キャンペーンには1兆6794億円が投じられる。これは同じコロナ経済対策を盛り込んだ第2次補正予算での医療関係の予算措置の半分近い。直ちには納得できないほどの巨費だ。

 それを認めたとしても、いまの時期に観光のための移動を促す政策が必要だろうか?

 もともとGo To キャンペーンは、新型コロナが収束した後に観光業を振興するために提案されたものだ。現在が「コロナが収束した後」とは、とても考えられない。

 そうした時期に強行しても、大きな効果は期待できないだろう。それによって感染が地方に拡大してしまった場合には、逆効果になる。

高齢者や基礎的疾患を持つ人は 怖くて出歩けない

 最近の感染者(陽性者)増加は、検査数を増やしたためだと説明されている。ということは、感染しているのに自覚しないで歩き回っている人が多いことを意味する。

 実際の感染者数が公表数よりずっと多いだろうとは、前から指摘されていた。実際にそうであることを、最近の数字が示している。

 若年者には、仮に感染しても重症化する危険はないと考えている人が多い。

 このため、行動規制で自分たちが犠牲になっていると考えがちだ。

 すべての若者がそう考えているわけではないだろう。しかし、そうとしか思えない人がいるのも事実だ。「会合で乱痴気騒ぎして感染が広がった」というニュースに接すると、その感を強くする。

 そうであれば、高齢者や病気の人、基礎疾患を持っている人は、安心して出歩けないことになる。

 だから、地方在住でなく、東京に住んでいても(あるいは東京に住んでいるからこそ)Go To キャンペーンで人の移動を促進することには、神経質にならざるを得ない。

 SNSには、「Go To キャンペーンをやめてください」というメッセージが広がった。

 しかし、それでも高齢者の声を十分に反映しているとは言えない。高齢者はあまりSNSで発信しないからだ。

 もし高齢者が声を出したら、Go To キャンペーン反対はずっと多くなるだろう。

通院の交通費は なぜ補助されないのか?

 高齢者は感染したら命にかかわるので、極力外出を控えている。

 しかし、どうしても外出しなくてはならない場合がある。それは病院に行く場合だ。

 それにもかかわらず、感染を恐れて受診を控えている人が多い。歯科医の定期検診を先延ばしにしている人も多い。

 その結果、患者数が減少し、医療機関の経営が大きな打撃を受けた。

 これは、観光業の収入減と形式的には同じ問題だ。

 苦しんでいるのは観光業界だけではない。医療機関も、通いたいが怖くて通えない患者も、苦しんでいるのだ。

 患者数が減ったために、経営体制を見直し、医師との雇用契約を打ち切る病院が出てきた。

 これに対して、政府は病院の診療報酬を引き上げるなどの対策を打ち出した。

 また、第2次補正予算では、医療機関への支援として3兆5000万円を計上した。

 ところで、通院が怖いのは、院内感染のためだけでなく、通院の途中が怖いことにもよる。そして、病院が近いところにあるとは限らない。

 電車は怖いが、かといってタクシーだと費用がかかる。だから通院を控えてしまうということになる。

 通院のための交通費は、形式的に見れば、観光旅行の交通費と同じものだ。しかし、それは補助されていない。

 所得税の医療費控除で認められるだけだが、タクシーの料金は、急を要する病状の場合や、公共交通機関が利用できない場合など、特別な理由がない限り対象にはならない。また、自家用車で通院する場合のガソリン代、駐車場利用料、有料道路利用料は、医療費控除の対象にならない。

 観光のための交通費が補助される(注)のに、どうして通院のためのタクシー代は補助されないのか?

 通院のための交通費より、観光のための交通のほうが重要であるとは思えない。

 もし通院費用が補助されるなら、無理して通院を控える必要がなくなり、患者のためになるだけでなく、患者数減少に苦しむ医療機関のためにもなる。

 観光業振興も必要だが、高齢者が安心して医療サービスを受けられる条件整備も必要だ。

 (注)旅行代理店を通じて宿泊と交通機関がセットになったプランを申し込めば、セット代金全体が割引の対象になる。

迷走するGO TOトラベルに観光業界は大混乱…国のキャンセル補償実損分”って何?

FNNプライムオンライン 2020年7月21日(火)20時15分配信

東京で感染者237人も…7月22日からGo Toトラベルがスタート

 7月21日新たに237人の新型コロナウイルス感染を確認した東京。

 22日から始まるGoToトラベルは東京除外に伴うキャンセル料を国が補償することに決まった。ただ、これで一件落着とはいかないようだ。

 千葉県九十九里に2020年6月にオープンしたばかりのホテル『くじゅうくり』では、Go Toトラベルキャンペーンで東京が除外されることが決まってから、1日に5件ほどのキャンセルが入ってくると言う。

ホテルくじゅうくり・杉本春枝総支配人:
(キャンセル料が)1週間前から発生しますが、世の中が大変なので、私のホテルでは頂かないようにしています

キャンセル料をめぐる政府の方針転換に大混乱

 しかし、そのキャンセル料をめぐり21日、さらなる混乱の種が生まれた。

 きょうの東京都の新型コロナウイルス新規感染者は237人。3日ぶりに200人を超えた。

 感染者が拡大する東京を外した形で明日22日から始まるGoToトラベルキャンペーン。政府は21日、東京除外に伴うキャンセル料について補償することを発表した。

赤羽国交相:
7月10日以降、17日までの間に予約された旅行者はキャンセル料を支払わないでよいこととし、その旨を旅行業者等に徹底することと致します

 事業者には利用客からキャンセル料を受け取らないよう要請。 すでに受け取っていた場合は返金するよう求めるという。

 つい4日前の17日には「国としての補償は考えていません」(赤羽国交相)と、キャンセル料の補償はしないとしていたが、批判が相次ぎ、急きょ方針転換を図ったのだ。

ぶれる政府の方針に街からは…

70代男性:
方針が定まっていないみたいですね。 ちょっといらだたしいですよね

 23日からの4連休に予定していたゴルフ旅行をすでにキャンセルした女性は…

旅行をキャンセルした女性:
それはありがたいことだと思います。 国がキャンセル料も払ってくれないとちょっと納得いかないですよね

 21日の発表直後、東京・渋谷区の旅行代理店『アドベンチャー』では早速キャンセルの電話が…

女性従業員:
キャンセルを検討いただいているということでよろしいでしょうか?

取材ディレクター:
(客から)詳細を聞かれた?

女性従業員:
キャンセル料金と今後の方針が変わるかどうかいろいろ聞かれました

 この代理店が提携するホテルは今回予約客からキャンセル料を取らずに、ホテル側がその損害を被っていた。 そのため、国による補償を歓迎する一方で…

アドベンチャー・中村俊一代表:
二転三転するのは仕方ない部分も多いと思うのですけれども、事務局側に連絡してもつながらない状態で、実際に始まる前に確認しなければいけないことの確認がまだ全然できていない状態…

国の事業者へのキャンセル料の実損補填…実損とは?

 そしてもうひとつ21日の赤羽大臣の会見の中で気になったのがこの言葉。

赤羽国交相:
キャンセル料の中の実損部分について、事業者に対して実損相当分を補填することといたします

 補償するのはキャンセル料全額ではなく、実損分のみだというのだ。実損とは一体? 広辞苑には字の通り「 実際の損失・損害」とあるが、具体的には何を指すのだろか?

赤羽国交相:
例えば予約が入ったことで、食材の手当てとかキャンセルという手続きの事務的な経費とかキャンセル料を丸々ということではなくて、キャンセル料の中で旅行業者等が生じてしまう実損部分については国として補填する。

 この曖昧な基準に混乱しているのが宿泊施設だ。 千葉県山武市の旅館「料理の宿・ニュー太洋」では、キャンセルした利用客に対し請求書を準備。発送するところだったという。

料理の宿・ニュー太洋 高橋洋一代表:
実損分に関しては計算をどのように示していいのか。 観光庁からの指示が出ておりませんので大変困っております。

別のホテルからも…

ホテルくじゅうくり・杉本春枝総支配人:
ホテルってお部屋だけじゃなくて、すべてが予約面に関わってくると思うので、大きなお風呂にしても人件費はもちろん、料理の原価にしても、それで宿泊料金を出しているので、実際のところどこまでがどうなのか国の方でどこを基準にしておっしゃっているのかわかりませんけど、正直なところ100%をいただきたいと思います

 混乱の中で始まるGoToトラベル。本当に日本の観光業界の救いとなるのだろうか?

(Live News it!7月21日放送分より)

 

2020年7月21日 (火)

【耳学】1審を破棄<乳がん患者の乳首を舐めた>男性医師(44)「2審✍逆転有罪」。

“術後に胸を舐めた”準強制猥褻で起訴の男性医師(44)に逆転有罪 弁護士「あまりにも非常識かつ非科学的判決」

ABEMA TIMES 2020年7月14日(火)16時17分配信

「判決について、怒りと憤りを覚えています。私はこの件についてやっていませんし、無罪です」

 医師の関根進被告(44)は2016年、乳がんの手術を終えた女性患者の胸をなめるなどした準強制わいせつの罪で起訴された。

 1審判決では、女性が麻酔の影響で「せん妄」と呼ばれる意識障害の状態だった可能性があると指摘。女性の胸から検出されたDNAについては、会話の飛沫や触診に伴う汗などの可能性も否定できないとして、男性医師は無罪判決を受けていた。

 2審の東京高裁は、女性が麻酔の影響で「せん妄」状態だった可能性について、「女性の訴えは生々しい上、一貫している」「当時の精神状態をせん妄による幻覚と説明するのは困難」などと指摘。その上で1審の無罪判決を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。

 主任弁護人の高野隆弁護士は、「一言で申し上げてあまりにも非常識かつ非科学的な判決だった」と、1審での他の患者や看護師の証言を一切無視した判決だと指摘。さらに、鉛筆で記載されたワークシートが書き直されたり、検査のデータが破棄された科捜研の鑑定の信用性を認めたことについても批判している。

 こうした指摘に対し、被害者側の弁護士は一審判決の際、「ワークシートは鑑定書を書く際のメモ書きで、鉛筆でも問題はない」とし、また「科捜研の鑑定はほかの事件も同様のルールで行われている」などと反論していた。

 被告・弁護側は上告し、最高裁で争う意思を示している。

乳腺外科医(44)が準強制猥褻に問われた裁判、逆転有罪判決の衝撃

Yahoo!ブログ 2020年7月13日(月)20時57分配信/江川紹子

 男性の乳腺外科医が、手術直後の女性患者の胸をなめたとして準強制わいせつ罪に問われたものの、一審の東京地裁では女性の被害の訴えは、麻酔の影響による「術後せん妄」の可能性があるとして、無罪とされてた事件。東京高裁(朝山芳史裁判長、伊藤敏孝裁判官、高森宣裕裁判官)は13日、原判決を破棄し、医師を懲役2年の実刑とする逆転有罪判決を言い渡した。被告・弁護側は記者会見で、「このまま冤罪を放置できない」として、即日上告した。

一審は科捜研の鑑定方法にも疑問符をつけていた

 一審判決では、被害を訴えるA子さんのほか、その母親、他の医師や看護師、同室の患者などの証言を細かく検討し、A子さんの訴えは麻酔薬や痛みの影響による「せん妄」の可能性が否定できない、と判断した。

 さらに、A子さんの胸から採取した微物鑑定を行った警視庁科学捜査研究所の研究員が、実験ノートにあたるワークシートを鉛筆で記載し、少なくとも9カ所を消しゴムで消して書き直していたり、あるいは本件ではDNAの量が争点になることを検察官から知らされた後に、定量検査についてのデータや抽出液を廃棄したために、鑑定結果が検証不能になったりしたことが、一審では問題になった。地裁判決は、「検査者としての誠実性」に疑問符をつけ、鑑定書について「証明力は十分なものとはいえない」とした。

科学的厳密さには欠けてもOK

 これに対して控訴審は判決要旨によると、A子さんの一審証言を「強い証明力を有する」と全面的に評価。科捜研の鑑定についても、DNA定量検査の記録や抽出液の残余を廃棄したことについて、「検証可能性の確保が科学的厳密さの上で重要であるとしても、これがないことが直ちに本件鑑定書の証明力を減じることにならない」として、信用性を認めた。

「非科学的な判決」に弁護団は衝撃

 主任弁護人の高野隆弁護士は、一審で手術後のA子さんの状況を語った3人の看護師証言を高裁が疑問視したことについて、「(高裁は)証言を見ても聞いてもいない、同室の患者の証言もあるのに、一切無視して、(看護師は)病院関係者だから偽証する動機があるなどとして退けた」と批判。

 その一方で、科捜研の鑑定の信用性を認めたことについて、高野弁護士は「裏付けるものが何1つないのに、思い違いや偽証をする動機がない、としてそのまま採用した。科捜研の技官が『ちゃんとやった』と言いさえすれば、何の裏付けがなくても裁判所は信用する。21世紀も20年が経つというのに、こんなに非科学的な裁判が行われ、冤罪が生まれていることに衝撃を受けている」と怒りをにじませた。刑事事件の経験豊富な高野弁護士が、会見の途中「このような裁判に、我々は怒りを通して、どうすればいいか分からないくらいだ」と口走ったところにも、その衝撃の大きさが伺えた。

外科医は「生活が再び壊される」

 有罪判決に被告人の乳腺外科医は「私はやっていません。それにも関わらず、公正であるべき裁判官が公正な判断をしないということに怒りを覚えている。(逮捕・起訴によって)一度壊れた生活を、やっとここまで立て直してきたのに、(有罪判決によって)再びこれが壊されることに憤りを覚える。この生活が守られるよう戦っていく」と語った。

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 乳腺外科医が準強制猥褻に問われ無罪判決”臨床医はどう見たか 

HUFFPOST日本版 2019年3月22日(金)19時38分配信

同業である乳腺外科医は「飛行機事故があったからといってパイロットを辞める人はほとんどいないように、この事件によって不安が増し、乳腺外科医たちが専門を辞めるといった判断にはならないでしょう」と語っていた。

 足立区の柳原病院事件で、手術後の病室で女性の胸を舐めたとして乳腺外科の男性医師(43)が準強制わいせつで起訴された事件。

 東京地裁は麻酔などによる手術後のせん妄だった可能性を捨てきれないなどとして、男性に無罪を言い渡した。

 この事件では、公判が始まる前から同僚の医師らによる男性医師の支援活動が展開。支援団体が男性医師のために募った署名は合計1万2867筆が東京地裁に提出された。

 被告人の男性医師は、判決後に「ホッとしています。日本医師会をはじめ、私を支援していただいた多くの方にこの場を借りてお礼を言いたいです」と話していた。

 一方、被害を訴えた女性は「私はせん妄ではなく、事件の詳細も覚えている。胸からは医師のDNAも検出された。これで無罪だったら、どうやって立証すればいいのか。私はただ、手術を受けに行っただけなのに」と困惑の表情を見せた。

 この裁判について、現場の医師たちはどうみたのか。

 同業である乳腺外科医と、臨床で術後せん妄に遭遇した経験がある麻酔医に話を聞いた。

同業である乳腺外科医の受け止めは

 乳腺外科で働く医師たちは、この事件をどう見ていたのか。

 関東で乳腺外科医をする男性は「この事件については、どちらが正しいかは判断がつかない。一方的に誰が正しいとは言いえない」と話す。

 公判では、被告人が女性の胸を舐めたのか、女性が手術後の麻酔などの影響により、せん妄で幻覚を見たのか意見が二分された。

 術後せん妄について「手術後に、変なことを言う人もいるし、自分でそうした暴言を覚えている人もいる」と振り返る。

 自分が受けた全身麻酔の手術後の状態は「過度の酩酊時のイメージだった」と語った。

 また、同業者として今回の件を受け「忙しくて現実的には難しいが、今後は看護師など周りの人とともに立ち会うようにするなどの自衛手段を取っていこうと思う」と話した。

 公判では、被告人側が「ニキビを潰したり、ひげを触ったりする癖がある」として「手を洗わずに触診すればDNAが検出されることはある」とし、舐める以外でDNA型が付着する可能性を示した。

 被告人は事件当日、触診があったものの「手術の直前まで一度も手洗いをしなかった」と供述しDNAがつばや指先から付着したとしていた。

 ただ、医療現場では触診については素手で確かめるのが通常であるが、触診の前後には必ずアルコール除菌か手洗いをするという。これは標準予防策という全ての患者に対して行われる基本的な感染対策だ。

手術前の写真撮影の手順は

 公判では、女性が衣服を自らまくり上げて胸を出し、顔が映ったかたちで撮影されていた。

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手術前の写真撮影の様子。赤い点線の内部が撮影された部位で、✖印は患部を示している。女性の証言や裁判資料を基に作成。

 手術前の写真撮影については「乳腺外科の症例で顔を撮影することは通常ありえない。顔を撮影する必要性がなくプライバシーなどの問題がある。顔が映らないように正面と左右で3枚程度撮影している。症例や医師によっては学会や論文のために多く撮影することもある」と説明した。

 また「後輩医師が撮影した写真に誤って顔の一部が入っていたりなどしたら、注意します」と語った。

臨床の麻酔医はどう見たか

 公判では「日本でも、医師の間では医学的常識として認識されている」という術後せん妄の説明がなされていた。臨床現場ではどのように受け止められたのか。

 麻酔科の勤務医はハフポストの取材に対し「術後のせん妄は、確かに頻回に起きることではある」と話す。

 せん妄が症状として出る要因には、どんなものがあるのか。

 麻酔科医は「高齢者や認知症の方、長時間の大がかりな手術、またうつ病やアルコール依存症などの精神的な疾患を抱えてる方は起こる傾向が強い」と説明する。

 今回のような若年の女性の短時間の手術では「使用された薬剤によるが、今回の麻酔薬では起こる可能性は低いと思う。少なくともこのケースのようなリアルな性的せん妄を起こした症例はみたことがない。この条件で術後せん妄を起こす、ということは臨床現場の常識ではない」と語った。

 手術で使われた麻酔薬プロポフォールのせん妄リスクについても「麻酔の導入のみに使用した場合、手術終了後には血中にはほとんど残っていない。それが術後せん妄を起こすことは考えにくいですが、吸入麻酔含め術中に使った他の薬剤がせん妄に影響を与える可能性もあります」と説明している。

署名活動について同業医師が語る複雑な心境

 今回の事件について、同業者である乳腺外科の医師は「もし、患者さんのせん妄であったならば、乳腺外科医にとっては非常に不運なことである。確率の低い、飛行機が墜落するレベルのものだが、飛行機事故があったからといってパイロットを辞める人はほとんどいないように、この事件によって不安が増し、乳腺外科医たちが専門を辞めるといった判断にはならないでしょう」と話す。

 一方で「せん妄なのか、医師の性犯罪だったのかは、正直なところどちらとも言えない。医師だからといって犯罪を犯さないとは限らない。医学生、研修医、だけでなく医師の犯罪も多く事件になっている」と心情を述べた。

 この事件では、被告人となった男性医師の逮捕直後から無罪を訴える支援集会が開かれたり、署名活動が展開されていた。

「知り合いの乳腺外科医と話をしていても、『無罪だ』として署名をしたり、支援に参加したりする人もいる。だが、こればかりはその医師本人と神様にしか分かりえないこと。『この人が犯人だ』と決めつけるのと同じく、本当の状況を知りえない人が、無責任に『この人はやっていない』と言って首を突っ込むのはどうかと思うので、自分はそういった活動には参加しなかった」と話した。

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乳腺外科医(44)による猥褻事件で逆転有罪判決、医療従事者に知ってほしい被告人(男性医師)側の不思議な供述

Yahoo!ブログ 2020年7月13日(月)16時54分配信/小川たまか(ライター)

 一審の東京地裁で無罪判決が出た乳腺外科医による準強制わいせつ事件について、7月13日の東京高裁で逆転の有罪判決が言い渡されました。

 判決は原審を破棄、懲役2年。量刑の理由について裁判長は「麻酔から覚めきっていない患者に対して、診察と誤解させる態様で犯行が行われた」ことや、「被告人は一貫して犯行を否認し、反省を示していない」ことと述べました。

 一審では、被害者が麻酔後に性的幻覚を見た(いわゆるせん妄状態だった)可能性があるとされ、鑑定で被害者の左胸から被告人のDNAが検出された結果について、医師が被害者の胸を舐めたことが最有力の仮説と言えるかもしれないが、それでも手術時の会話や触診の際に唾液の飛沫が飛んだことによる可能性を否定できないとされました。

 控訴審では、検察・弁護側双方から、せん妄に関する専門家が証言者として出廷。検察側証人は「Aさんの証言は信用でき、幻覚があったとは言えない」「(医療者によるわいせつ事件は稀かのように言われているが)稀ではない」などと証言したのに対し、弁護側証人は「せん妄の典型例」と証言。

 判決では、検察側証人の証言が、弁護側証人より信頼できると判断されました。

医療従事者に考えてほしい、被告人側の供述

 この事件について、控訴審の1回目から判決まで全て傍聴してきました。一審の裁判時から、被害者にとっては大変酷な時間だったと思います。毎回、傍聴の抽選に並ぶ人の多くは被告人側(医師側)の支援者。

 裁判所前では「冤罪を許してはいけない」というスピーチが繰り返されていました。

 今日も、裁判所前では、被告人側の支援者が「満床で、カーテンで一枚仕切られているだけ、看護師が入れ替わり立ち替わり訪れる場所で、わいせつ行為が行われることは現実的ではない」といった内容を訴えていました。

 被告人側の支持者には医療関係者も多かったと思われます。私は、この事件を機に、医療関係者が考えた方が良いことは、「これでは男性医師は女性患者を診察できなくなる」といった内容ではないと思っています。

 実は一審でも「被告人の供述の信用性は慎重に判断する必要がある」とされた部分がありました。

 なぜ被害者の胸にDNAが付着したかについて、被告人側の主張は次のようなものでした。

手術の当日、起床時の身支度以降は手術の直前まで手を洗わなかった

ニキビを潰したり、ひげを触ったりする癖がある

 手術当日の午前中には多数の患者を診察し、触診もあったのに、手術の直前まで手を洗わなかったというのは、ちょっと信じられません。一審判決でも当然「医療従事者の行動としてにわかに信じ難い内容」と断じられています。

 高裁判決では、手術中に唾液が飛散した可能性について、手術中に左胸の側にいたのは別の医師であり、この医師のDNAは検出されていないことも指摘されました。

なぜ顔入りの患部写真を撮る必要があったのか

 また、通常であれば患部のみを撮影する手術前写真について、被害者女性の場合は顔も入れた写真を複数枚撮影されていたことや、撮影記録を捜査前に消した痕跡があったこと。これを被告人を支援する医療従事者は、どのように捉えているのでしょうか。

 さらに言えば、手術直後の麻酔が覚めきっていない女性患者の病床に、1人で2回訪れたことについては、医師側も認めています。被害者の証言では、1回は「看護師と入れ替わりで入ってきた」とされています。

 たとえば乳がん検診などの際に男性医師が触診を行うとき、看護師が立ち会うことが推奨されています。これは患者の不安を払拭することはもちろん、冤罪を防ぐためにも必要な措置です。

 医師が手術後の状況を見るためだったとしても、看護師を伴うことはできなかったのでしょうか。繁忙のためにそれが叶わなかったとするなら、医療界が考えなければならないのは、その状況ではないかと思います。

カルテでは「術後覚醒良好」

 被告人側の弁護士は、被害者が手術後に「ふざけんな、ぶっ殺す」と言ったという看護師の証言を法廷で繰り返しました。「病棟に響き渡るような声で」とも言っていました。

 これまでの報道では、この印象的な発言が注目を集め、被害者がせん妄だったと信じる人が多かったように思います。被害者はこの発言について「記憶にない」と言っています。

 高裁判決では、「ふざけんな、ぶっ殺す」という発言の記録がカルテには残っていないこと、さらにカルテでは被害者がせん妄状態だったとする記述もなく、むしろ「術後覚醒良好」という記載があったことを指摘しています。

 カルテに「術後覚醒良好」と書いていた看護師が、その後弁護士や病院スタッフと話したあとで「半覚醒状態だったと思う」と証言を変えたことについても、一貫した証言とは言えないと判断されました。

ネット上では「再鑑定不可能」の誤解も拡散していた

 今日の法廷では、被害者のA子さんもついたてで区切られた場所で判決を聞いていました。有罪の言い渡しの後、被告人側支援者からは軽い抗議のような声が上がり、ついたての向こうからはすすり泣きが聞こえてきました。

 A子さんにとってみれば、手術後に担当医からわいせつ行為をされ、自分だけの証言では信用されないと思ったから通報し、証拠採取をしてもらったところDNAが検出されたという事件です。

 一審の裁判中に、弁護側はA子さんの裸の胸の写真を法廷で傍聴席からも見える場所に映そうとし、裁判長が止めたことがあったと聞きます。また、ネット上では鑑定資料が廃棄され、再鑑定が不可能であるという誤解も拡散されていました。

 被害者側を支援する弁護士が「鑑定資料を再鑑定できないかのように報道されているがそれは間違い」と会見で言及するほどでした。

 被害者側にとっては、一審判決前から一部の報道は医師側に不利な情報を載せないなど非常に一方的であり、酷なものに感じていたことと思います。

 控訴審の間も、A子さんにとって、とてもツラい時間だったと思います。本当にお疲れ様でしたと伝えたいです。

※控訴審を審理したのは朝山芳史裁判長。朝山裁判長が退官したため、読み上げを引き継ぎの細田啓介裁判長が行った。新型コロナウイルス感染症の影響により、4月の予定だった判決言い渡しが延期されていた。

 手術後わいせつ事件 女性患者の胸を舐めた医師が「逆転有罪」になった理由 

文春オンライン 2020年7月21日(火)6時01分配信/諸岡 宏樹(ライター)

 東京都足立区の病院で2016年、手術直後の女性患者の胸を舐めたなどとして、準強制わいせつ罪に問われた男性医師(44)に対する控訴審判決で、東京高裁は7月13日、一審の無罪判決を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。被告側は即日上告した。

資料の再鑑定は不可能ではない

 判決によると、男性医師は自身が執刀した右乳腺腫瘍摘出手術の患者であるA子さん(当時31歳)が手術後の診察を受けるものと誤信して、抗拒不能の状態にあることを利用し、病院のベッドの上に横たわるA子さんの着衣をめくって左乳房を露出させた上、その左乳首を舐めるなどのわいせつ行為をしたとされる。

「A子さんは被害直後、証拠を残さなければならないと思い、看護師が体を拭こうとするのを断り、警察官が来るまで左乳首をそのままにしていた。そこから男性医師のDNAが大量に出た。この際に科捜研はDNA鑑定の資料としてガーゼ1片を使い、半分は残余資料として警察署に返還している。なぜか世間に誤解されているが、再鑑定は不可能ではありません」(捜査関係者)

 DNA定量検査の結果では、A子さんの左乳首付近には「1.612ng/µl」のDNAが付着していたという。一審で検察側証人として出廷したDNA鑑定の専門家は「被害者のDNAの100倍以上の被告人のDNAが付着していたということになる」と証言した。

 ところが、科捜研の担当職員が実験ノートに当たるワークシートに鉛筆書きしており、ケシゴムで消して書き直した箇所もあったことから問題視され、「刑事裁判の基礎資料としてふさわしくない」「検査者としての誠実性に疑念がある」と批判を浴びることになり、その信用性が争われることになった。なお、原審は「1.612ng/µl」という結果自体は問題ないことを認めている。

「ニキビを潰す癖やヒゲを抜く癖もあるので……」

 男性医師はA子さんの左乳首に自身のDNAが多量に付着していたことについて、一審の公判で次のように述べている。

「事件当日は起床してから手を洗っていない。午前中、多数の患者を診察したが、それでも手を洗っていない。当時は慢性の鼻炎でくしゃみを連発し、口の周りをぬぐう癖があった。また、ニキビを潰す癖やヒゲを抜く癖もあるので、時々出血する。それらのDNAが付着する可能性もあった」

 また、手術の直前には両胸が露出した状態のA子さんを挟んで、マスクを着けない状態で助手とディスカッションしたと説明し、その際に両胸を触診し、左右の乳首を両手でつまんだことなどもDNAが付着した原因としてあげている。

 その結果、一審判決では「そうすると、いささか決定打には欠けるが、『疑わしきは被告人の利益に』の観点から、唾液の飛沫が乳頭付近に付着する可能性があるということになる」という理由で無罪になったのだ。

 だが、控訴審判決はこれらの事情をすべて否定するものだった。

触診により付着した汗等の可能性は「極めて低い」

 まず、本件アミラーゼ鑑定、DNA鑑定及びDNA定量検査は、「本件犯行を一定程度推認させる。被害者の原審証言を支え、わいせつ被害に遭った事件性を立証するものであれば足りる」とした。

「科捜研の担当職員は相応の専門性、技量、実務経験を有し、通常の手順に従い、適切な器具等を用いて本件アミラーゼ鑑定を行ったものと認められる。鑑定内容について、あえて虚偽の証言をする実益も必要性もなく、その証言内容にも不自然な点は認められないから、その信用性を否定すべき理由はない」(朝山芳史裁判長)

 また、触診により付着した汗等により、被害者の乳首に男性医師のDNAが付着した可能性は「極めて低い」と断じた。

「原審は口腔内細胞が含まれた唾液の会話による飛沫が、本件DNA定量検査の結果をもたらした可能性を指摘し、その場面は入院直後の検査と手術台を挟んだ助手との打ち合わせとされているが、入院直後の状態は被害者と座った状態で話していて、被告人の唾液が被害者の左乳首まで飛んで付着するとは考え難い。

 また、被告人と助手が手術台の両脇に分かれて立ち、両胸を露出して手術台上に横になっている被害者を挟んで、本件手術に関する打ち合わせをしたことは認められるが、助手の方が被害者の左胸に近かったにもかかわらず、助手のDNA型は検出されていない。本件DNA定量検査の数値の厳密性には疑問を入れる余地があるとしても、会話による唾液の飛沫によることの説明は困難である。原判決の説示は、論理則、経験則等に照らして、不合理なものと言わざるを得ない」(同裁判長)

他の裁判官よりも無罪判決が多い

 司法担当記者が意外な説明をする。

「朝山芳史裁判長は変わり者として知られる人です。無罪判決も他の裁判官より多いし、検察官から見ると、天敵というべき人物。ポーカーフェイスで、何を考えているのかも分かりません。その朝山裁判長が逆転有罪判決を出したのだから画期的。『もっと苦戦するかと思った』というのが、検察側の偽らざる本音だったでしょう。

 当初、控訴審の判決は4月15日に予定されていましたが、コロナの影響で延期された。その間の5月2日に定年で退官することになった。まさに最後の大仕事、渾身の判決文です。細田啓介裁判長が代読することになりましたが、自分で読み上げたかったでしょうね」

「首尾一貫し、合目的的な行動を取っている」

 A子さんが「麻酔覚醒時のせん妄により、幻覚を見たかもしれない」という争いについては、「カルテに記載がなく、『術後覚醒良好』との記載があり、『不安言動は見られていた』との記載はあるものの、せん妄である旨の記載はない」と指摘した上で、A子さんが事件当日午後3時12分に「たすけあつ」「て」「いますぐきて」というLINEのメッセージを上司宛に送っている事実を重視し、「せん妄による意識障害があったことと相容れない事実」として、A子さんがせん妄の状況下にはなかったものと認定した。

 控訴審で検察側証人として出廷した精神科医が次のように補足する。

「『たすけあつ』と打った時点で間違いに気付き、『て』と修正し、その後に『いますぐきて』という正しい文章を打っている。このように結果を目で見て行動し、知覚と行動のループが繰り返されている。これは、せん妄状態の高度な人においてはあり得ません。

 左乳首を舐められている間、右手でナースコールを押し続けた点も注目に値します。右手で触ったのは本物のナースコールです。ところが、ナースコールを押しているさなか、A子さんは左胸を舐められている感覚も自覚しています。もし、これがまぼろしだとすれば、左胸にはまぼろしの感覚を、右手には現実の感覚を感じていたことになります。同時進行で幻覚と現実の両方を知覚するなどあり得ません。

 また、駆け付けた看護師に対して『今のはドクターですか』と確認し、『はい、そうですよ』と会話したことも覚えている。これだけ首尾一貫し、合目的的な行動を取っている人に対し、せん妄だと主張していることはおかしいです」

大きく変わった、被害者であるA子さんの原審証言の信用性

 また、A子さんが男性医師から2回にわたってわいせつ被害を受けたと訴える場面は、午後2時55分と午後3時12分との間とされているが、その頃に男性医師がベッド脇に2回赴いたことは原判決でも認定されている。A子さんの訴えるわいせつ被害がせん妄による幻覚であるとすると、A子さんはこの17分間に男性医師が2回来たことははっきり覚えているのに、その後突然、せん妄状態に陥って性的な幻覚を見たことになり、男性医師が退出する際には再び覚醒するということを2回も繰り返したことになる。

 控訴審判決では「このような短期間の間に覚醒と幻覚が交替して出現するということは、にわかには考え難い」と一蹴した。

 つまり、一審と二審ではどこが大きく違ったのか。一つは、被害者であるA子さんの原審証言の信用性の問題だろう。

「地位を利用して患者にわいせつ行為をするような人間は許せない」

 一審の構造は、A子さんはせん妄の影響を受けていた可能性があるので、「証言の信用性には疑問がある」とされた。それでも、信用性が肯定できるというには、「その証言から独立した証明力の強い、その信用性を補強する証拠が必要」とされ、アミラーゼ鑑定などについても疑義があるし、「信用性があると仮定しても証明力は十分と言えない」というものだった。

 これに対し、控訴審の構造は、「A子さんの証言は客観証拠と符合しており、直接証拠として強い証明力がある。アミラーゼ鑑定、DNA鑑定、定量検査結果は、科学的な厳密さの点で議論の余地があるとしても、A子さんの原審証言と整合するものであって、その信用性を補強する証明力を十分に有する。したがって、本件の事件性については、合理的な疑いを容れない立証がある」というものだった。A子さんが幻覚を見たわけではないことを、はっきり認定したのだ。

 被害者参加弁護士の上谷さくら弁護士は次のように話す。

「今回、私たち被害者の代理人は多くの医師と面談して徹底的に勉強し、被告人は控訴審で逆転有罪になるという確信を得ることができました。つまり、私たちに協力する医師がたくさんいたということです。看護師さんたちからも、『医者が患者に絶対わいせつ行為をしないなんてことはあり得ない』というエピソードをたくさん教えてもらいました。多くの医師や看護師の方々が協力してくださり、地位を利用して患者にわいせつ行為をするような人間は許せない、頑張ってほしい、という励ましに支えられて頑張ってきました。その方たちに感謝したいです」

医師会は異例の声明を出したが……

 となると、これは果たして冤罪なのか。男性医師の弁護団は「冤罪を放置するわけにはいかない」としているが、通常あり得ないほどの自分の体液がたっぷりと検出された被害者の左乳首をどのように説明するのか。

「男性医師はなぜ手術した右胸とは反対側の左胸側にいたのかについて、何ら合理的な説明をしていない。さらに男性医師は、A子さんを手術台に座らせ、上着を上げて両胸を露出させている写真を撮影し、そのうちの3枚はA子さんの顔面入りで正面から撮影していた。そのことについて、男性医師は『トリミングすれば良いと思っていた』と供述しているが、その割には捜査時にはA子さんの写真だけが削除されており、A子さんの写真画像の中に捜査機関に見られたくないものがあったということを認識していたとみられる。性的感情を抱いていた男性医師が、A子さんが麻酔からの覚醒過程にあることから、それを絶好の機会ととらえ、本件犯行に及んだものと考えられる」(捜査関係者)

 だとしたら、とんでもない職権乱用だ。真面目に働いている全国の多くの乳腺外科医たちの信用を失墜させる行為だ。7月15日、日本医師会の中川俊男会長は、控訴審判決について「身体が震えるほどの怒りを覚えた。日本医師会は判決が極めて遺憾であることを明確に申し上げ、今後全力で支援する」と異例の声明を出したが、医療界にとって患者の信頼を取り戻すための「断罪」こそが先決ではないのか。

 ノストラダムスの大予言」著者・五島勉氏が90歳で死去していた 

文春オンライン 2020年7月21日(火)16時00分配信

「1999年7月に人類が滅亡する」と“予言”し、社会現象となった「ノストラダムスの大予言」。その著者、五島勉氏が6月16日、90歳で死去していたことが「週刊文春」の取材で分かった。

 五島氏の夫人が語る。

「2年半ほど前から心不全など色んな病気で病院を出たり入ったりしていました。今年に入り、難病の膿疱性の湿疹が再発し、背中に薬を塗るのを手伝いながら、『この夏を越すのは難しいかな』と思っていたんです」

 6月上旬に体調が悪化して入院したが、やがて食事が摂れなくなり、そのまま6月16日に逝去した。

 五島氏は1929年11月、北海道函館市生まれ。東北大学法学部を卒業後に上京し、1958年に立ち上げられた「女性自身」(光文社)に創刊号からライターとして参加。皇室や殺人事件の記事も執筆していた。

 その後、1973年11月に「ノストラダムスの大予言」(祥伝社)を上梓。同著は〈1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる〉として、1999年7月に核戦争や環境汚染によって人類が滅亡することを示唆。日本中に“世紀末ブーム”が巻き起こり、250万部を超えるベストセラーとなった。「大予言」シリーズは1998年まで全10冊刊行されている。

 夫人が五島氏の人柄をこう振り返る。

「趣味がない人でしたが、手相をみてくれることはありました。決して明るくはないけど、優しい人でした。亡くなる前には、地球の気温が上がっていることに、『日本沈没みたいになりかねないね』と話していました」

 

2020年7月20日 (月)

【財テク】お金を“どうやって増やせばよいのか”考察

 1億円を貯めた男末路とは貯金バカ」はする 

ダイヤモンドオンライン 2020年7月20日(月)6時01分配信

 インフレによってお金の価値が実質的に下がっていく。そのうえ給与は大幅に上がらず社会保険料ばかりが増えていく…。そんな厳しい状況にもかかわらず大半の日本人は「ひとまず貯金をしておけば安心」と考えています。このような「貯金神話」を妄信するのではなく、つねにお金との付き合い方を考えていくことが大切です。「おカネは、貯金に頼らずに守りなさい。 ~『将来が不安…』がなくなる唯一の具体的方法~」(きずな出版)から抜粋して、とある男性のエピソードを紹介します。

なぜ、働いても働いても豊かになれないのか

  「貯金バカ」である日本人は、本当に幸せなのでしょうか?貯金がそれなりにあれば、豊かといえるのでしょうか?もちろん、幸せや豊かさの定義は人それぞれ。せっせと節約に励み、貯金の額を増やしていくことに生きがいを感じる人もいるでしょうし、「宵越しの銭はもたない」とばかりに、あるだけのお金を使い切ることに幸せを感じる人もいるでしょう。それは、その人の生き方の問題ですから否定するつもりはありません。

 しかし、資産を増やしている人たちのお金の哲学や、それに基づいた実践方法を知らないのであれば、不幸といわざるをえません。資産を築いている人は、お金が増えていくだけではなく、自分がしたい仕事をしたり、欲しいものを購入したり、好きな場所に住めたりしています。また、趣味やライフワークに十分に時間を割くこともできています。彼ら彼女らは、資産を増やしながらも、自分の理想とする生活を着々と手に入れ、自己実現をしているのです。

 私自身も、いまは「お金のストレスフリー」といえる生活を実現しています。そして、お金の専門家として、講演や執筆活動にいそしむ日々です。その合間に趣味である旅行にも出かけて、日本や世界の各地に足を運んでいます。もちろん私にも悩みはありますが、少なくともお金にまつわる悩みやストレスはゼロの状態です。だからこそ、ライフワークや趣味に思う存分、時間をかけることができますし、その時間に幸せを感じています。

 しかし、私が見るかぎり、多くの日本人は日々の仕事に疲弊し、「お金のストレスフリー」にはほど遠い状態に見えます。働いても働いても豊かになれない……。多くの人がそう感じているのではないでしょうか。その原因はどこにあるのでしょうか?お金のストレスを抱えている人たちは、じつは「お金の置き場所」が適切ではないのです。

 ここでは、私がこれまで見てきた、「お金の置き場所」に失敗した人のエピソードをお伝えしましょう。

30年以上かけて貯金1億円を達成したが…

 北海道在住のAさんは、50代後半の男性。大学卒業後に入社した地元の中堅企業に30年以上勤めていました。あまり仕事ができるタイプではないので、役職は係長止まりでしたが、長年同社でコツコツと真面目に働いてきたため、上司や部下からの一定の信用を得ていたようです。ただ、プライベートでは良縁にめぐまれることはなく、一度も結婚することはありませんでした。

 そんなAさんの唯一の趣味は「貯金」でした。給料はそれほど高くはなかったものの、両親の家でずっと同居していたので、給与の3分の2以上は貯金にまわすことができました。もともと交友関係が狭く、友人や会社の同僚と飲みに行く機会もほとんどなく、恋人ができたのは一度だけ。ほかに趣味といえるものもありませんでした。会社と自宅を往復する日々は単調でしたが、とくに大きな不満を抱えることはなかったようです。

 そんな彼が54歳のとき、ついに貯金が1億円を突破しました。家や車など大きな買い物や贅沢もすることなく、給料が出るたびにせっせと貯めてきた結果です。Aさんは、知人にはそれとなく1億円の貯金があることをにおわせるなど、預金額に誇りをもっていたようです。そんなAさんが、私のセミナーに参加してくれたことがあります。「1億円ある貯金をもっと増やしたい」とのことだったので、投資することなどをすすめてみましたが、「もし元本割れしたら怖い」と頑なに拒否されました。

 「それだけ元手があるのだから、お試しで100万円から始めてみては?」とも提案してみましたが、決して首を縦にふることはありませんでした。1億円のうちの100万円でさえ投資にまわす意思がないのですから、10万円でも投資することはむずかしい、と私はそのとき思いました。

 貯金に固執する人は、1円でも預金額が減ることを嫌がります。もちろん投資はリスクがありますから、元本割れすることはありますが、健全な取引の範囲であればゼロになることはありません。逆に、運用することで不労所得を得られる可能性があります。

 Aさんの場合、投資のプラス面もマイナス面も理解したうえで、「NO」という判断をしたのですから、それ以上のアドバイスをすることはありませんでした。貯金だけで資産を築くというのが、Aさんの価値観なのですから。Aさんに限らず、貯金にこだわる人は、貯金額がアイデンティティになっているケースもあります。「1億円貯めた自分はすごい」という意識がどこかにあるため、貯金が減るのが我慢できません。貯金が減ることは、自分の人生が壊れていく感覚になるのです。

1億円の貯金がきっかけで遺産トラブルに

 それからAさんとお会いすることはなかったのですが、数年後、人づてでAさんの「その後」を知ることとなりました。Aさんは急性心筋梗塞で亡くなってしまったのです。1億円以上貯めた貯金を使うことなく、彼はこの世を去ってしまいました。

 Aさんの死後、1億円の貯金は同居していた母親が相続することになりました(父親はすでに死亡)。ところが2年後、今度は母親が寝たきり生活の末、亡くなりました。母親もAさんの貯金にはほとんど手をつけていませんでした。

 その後、1億円の貯金をめぐるトラブルが勃発します。Aさんには妹と弟がいました。2人とも結婚してAさんとは離れて暮らしていましたが、Aさんの死後、体調を崩して寝たきり状態になってしまった母親を妹が引き取り、自宅で介護をしていました。母親が相続したAさんの1億円と実家の一軒家は、妹と弟が相続することになりました。遺書はなかったため、妹と弟は遺産相続の話し合いの場を設けました。そのとき弟はこう主張しました。
 
「実家の不動産はいらないから、法定相続分として貯金の半分はほしい」

 しかし、妹としては納得できません。

「寝たきりになってしまった母親を介護していたのは私。あなたはこれまで好き勝手やって実家にもほとんど寄り付かなかったくせに。実家なんてもらっても、古くてたいした額にもならないし」

 残された預金はできるだけ多く相続したい、というのが妹の本音でした。弟も負けじと応戦します。

  「お母さんと同居していたから、生活費には年金を充てていたんだろ。むしろ得しているのはそっちじゃないか」

 もともと妹と弟は仲がいいほうだったのですが、遺産相続をめぐり、険悪な関係になってしまいました。結局、遺産分割の調停で2人は争うことになり、1年がたった現在も決着していないそうです。

 Aさんは何のために貯金をしていたのでしょうか。結果論になってしまいますが、せっかく1億円も貯めたのに、自分の幸せのために使うことはできませんでした。本人は1億円を貯めたことに満足したのかもしれませんが、私を含めて多くの人が「もったいない」と感じるのではないでしょうか。しかも、自分が一生懸命貯めたお金がきっかけで、きょうだいの関係も最悪の状態になってしまいました。

 もちろん、Aさんの人生が幸せだったかどうかを判定することはできませんが、少なくとも貯金に固執することについて考えさせられるエピソードでした。

 米ミシガン州の宝石商、総額1億円宝探しゲーム開催 

スプートニク日本版 2020年7月19日(日)5時21分配信

 米国のジョニー・ペリーさんはコロナウイルスの影響で、23年間経営してきた宝石店を畳むことになった。

 ペリーさんと妻のエミさんは、宝石を引き取り引退するのではなく、宝石をミシガン州全域に隠し、年金生活を楽しく過ごすことにした。というわけでペリーさんのヒントをもとに宝探し大会がスタートする。

 ペリー夫妻は4ヶ月かけてミシガン州全域を旅し、街や森、滝の近くなどに宝石を隠した。夫妻が隠した宝石は総額100万ドル(約1億700万円)に相当する。

 宝探し大会の参加チケットは無料ではなく、かつ限定数で販売される。

 参加者はチケットとともに宝石の隠し場所に関するヒント集を受け取る。各宝石の単価は約4000ドル(42万8千円)とのこと。初回レースは8月1日に始まる。

 ジョニー・ペリーさんによると、宝石にはGPSトラッカーが埋め込まれており、誰かの手に渡った場合にはペニーさんに分かるようになっているという。

 巣ごもりの反動  ウナギ商戦、プチ贅沢需要で活況

産経新聞 2020年7月19日(日)17時48分配信

 新型コロナウイルスの影響で消費が伸び悩む中、小売りなどが21日の「土用の丑(うし)の日」を前に、うなぎ関連商品の展開に熱を入れている。豊漁などで安値傾向にあるほか、外出自粛でちょっとしたぜいたくを家庭で楽しむ需要が高まっているためだ。すでに予約販売分を売り切ったチェーンまであり、商戦は近年にはない活況を呈している。

ネット予約は2・5倍に

 「自宅で食べるごちそうとしての需要が高い」。イオンリテールの松本金蔵水産商品部長は声を弾ませる。5月下旬から始めたインターネットでのうなぎ予約件数は前年同期の2・5倍に達した。

 目玉商品は、大きさ約30センチという「鹿児島県産うなぎ蒲焼(特大)」。価格は1パック2580円(税別)だが、家族など2~3人で食べることを想定しており、豪華かつ手ごろな価格で楽しめるのが特徴だ。

 「3月から実施した水産物のセールでも、これまでスーパーにはなかった高価格帯の商品が好評だった」と松本氏。19日から本格化する店頭販売でもニーズの拡大を期待する。

取引価格は下落傾向

 今年はニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が豊漁で取引価格は下落傾向にある。この相場安を反映する形で、イオンは通常サイズのうなぎを前年の約1割安とするほかセブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のヨークも「うな重」などの価格を前年比で最大2割程度引き下げた。

 さらに商戦を後押しするのは、外出自粛の反動から家庭での“プチぜいたく”を求める消費者心理だ。

 エヌピーディー・ジャパンの東さやかフードサービスシニアアナリストは「消費者が旅行などの代わりに、家族で楽しむイベント的な体験を求めている。コロナにならないよう夏バテを防ごうとの意識もうなぎ消費へのハードルを下げている」と分析する。

 実際、大丸東京店(東京都千代田区)では11日の入店客数は例年の半分程度だったが、デパ地下のうなぎ専門店は販売個数が前年の2割増。ファミリーマートはうなぎ商品全4品目の予約数が上限に達し、受け付けを9日で終えた。

外食業界も反転攻勢狙う

 新型コロナの影響を受ける外食業界も、うなぎメニューで反転攻勢を狙う。

 外食大手ゼンショーHDはファミリーレストランや牛丼など各チェーンで展開する。なか卯ではうなぎ1本分を使った「うな丼 豪快盛」を9日から発売し、「想定以上の売れ行き」という。吉野家は高まる持ち帰り需要に対応。21日受け取りで「鰻重」などを事前予約すると本体価格を10%引きにする。

 担当者は「消費者は今年の丑の日を特別に感じている。なるべく店内で待たせない仕組みで安心を提供したい」

 家賃滞納退去者も…自分で管理選んだ不動産投資家の末路 

幻冬舎GOLD ONLINE 2020年7月20日(月)10時00分配信

  入居率や家賃水準を高く維持するためには「適切な賃貸管理」が重要です。しかし、ひとくちに賃貸管理といってもその手法は「自主管理」と「委託管理」の2つがあります。サラリーマンが不動産投資を行ううえでよりプラスとなる選択肢はどちらなのでしょうか。※本記事は『最強「レアボロ」不動産投資』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

自主管理と委託管理…それぞれのメリット・デメリット

 不動産投資において、購入した物件の管理は管理会社に委託するのが普通です。管理会社に委託することで費用は発生しますが、その分、不動産投資家は労力と時間を費やすことなく物件を管理運営していくことが可能となります。

 一方で、不動産投資家が自ら物件を管理していく「自主管理」という方法もあります。自主管理では、通常であれば管理会社に委託する作業を、すべて自分で行わなければなりません。そのため、多くの不動産投資家にとってハードルが高くなります。

 では自主管理と委託管理には、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。実際に物件管理を行う場合を想定して利点と欠点に着目しつつ、両者の違いについて比較してみましょう。

 まず自主管理のメリットとしては、管理会社に支払う委託料が発生しないことが挙げられます。委託料が節約できる分、利回りを高くできることになります。もともと利回りが低い物件などでは、委託料の節約が大きく影響するでしょう。

 また、物件の状況を自分の目で把握するという意味でも、自主管理は優れているでしょう。自分で物件を管理するということは、建物の経年劣化や入居者の状況、共有スペースの使用環境など、さまざまな部分の変化をウォッチすることができます。

 もともと空いた土地を所有しており、そこにアパートを建設して不動産投資をスタートしている不動産投資家などは、近隣に住んでいるなどの事情から、積極的に自主管理を選択しているケースもあります。

 ただしその多くは、アパート経営やマンション経営で生計を立てている地主や富裕層であり、本業を持ったまま不動産投資をしようと考えている人とは事情が異なります。また不動産投資で目指すべきゴールも異なっているでしょう。

 その点、自主管理のデメリットとしては、入居者対応や建物管理など24時間365日対応しなければならないということが挙げられます。本業を持つ人にとってこれはまず不可能だと考えられます。

 費やさなければならない労力と時間という観点からも自主管理のデメリットは大きいのですが、さらに入居者との間で生じるトラブル対応のむずかしさも見逃せません。それらは往々にして専門的なスキルが必要となります。

 たとえば不動産投資の収益面に直結する家賃管理。集金から滞納者の対応など、人的トラブルはデリケートな要素を多分に含んでいます。場合によっては法的な対応が求められることもあり、専門知識が欠かせません。

 さらに、そうした管理体制が整っていないと入居者の不満が募り、退去者が続出する可能性もあります。入居者の安定的な獲得と維持は、不動産投資の収益性と密接に関連しています。退去者が出るということは、また入居者を確保しなければならないということです。

 このように自主管理と委託管理には、それぞれメリット・デメリットがあります。不動産投資をほぼ完全に自動化するには委託管理を選択することになりますが、状況に応じて自主管理を選ぶケースもあるかもしれません。それぞれの違いを理解し、自分にとってよりプラスとなる意思決定を行いましょう。

地域性をベースに、3つの視点から判断

 不動産を販売している業者がたくさんいるように、物件を管理する管理会社も多種多様です。不動産投資の成功確率を高めるには、どのような管理会社を選んでもよいわけではありません。最適な管理会社を適切な基準で選ぶことが大事です。

 管理会社を選ぶ際のポイントとしては、まず「地域性」を意識しておく必要があります。つまり、どの地域で投資物件を購入するのかをベースに、その地域に根ざして活動している業者を中心に検討するのが通例です。

 もちろん、全国対応している管理会社のうち、各地域に拠点を置いている事業者もあります。そのような事業者に管理を委託することもできますが、地域に根ざした管理会社と比較したうえで、よりよい業者を選ぶことが大切です。

 では、どのような視点で最適な管理会社を選べばいいのでしょうか。いくつかのポイントを紹介しましょう。

 そもそも建物管理を行っている業者には、仲介業務も兼ねている業者と、管理業務を専門に行っている業者があります。従来型のいわゆる「町の不動産会社」といえば、前者を意味することが多いです。駅前などに実店舗を構え、事業を行う業者です。

 一方で、管理業務を専門に行っている業者もあります。入居付けなどの賃貸仲介業務を行わず、物件の管理運営に特化している事業者です。管理を専門に行うため、必要なスキルやノウハウは充足されていると考えていいでしょう。

 兼業業者と専門業者のどちらを選ぶべきなのかは、不動産投資家のスタンスにもよりますが、冒頭で述べたような地域性もヒントになります。つまりその地域で評価されている管理会社がどの業者なのかによって、選択肢は変わるのです。

 加えて一般的な要素として、「管理体制の内容」「過去の実績」「対応力」の三つが判断材料になります。

 管理体制の内容として着目しておきたいのは、担当者の有無についてです。特に物件ごとに担当者を付けてくれるかどうかは、物件管理の質に直結することもあり重要です。場合によってはオーナーごとに担当者を付けている業者もあるでしょう。

 いずれにしても適切な物件管理には、当該物件およびそのエリアの知見が不可欠です。管理する物件と地域に精通していることは、業者の選定における基本事項といえるでしょう。仲介も兼業している業者であれば、それが入居率にもつながります。

 過去の実績については、管理している物件数や建物の種類だけでなく、各物件がどのような状況で推移しているのかもチェックしておきたいところです。つまり不動産投資の視点から、管理している物件の成績を見ておくということです。

 管理会社の成績としてわかりやすいのは、やはり入居率でしょう。入居率には地域差があるので一概にはいえませんが、おおむね80~85%を上回っていることが一つの目安になります。併せて、空室対策の中身についても確認しておけば万全です。

 三つ目の対応力については、トラブル対応の種類とスピード感、さらには対応時間がポイントになります。現状、遠隔による24時間365日の対応は基本となりつつあり、それができるかどうかだけでもチェックしておくといいでしょう。

 相続人がいない管理費滞納…老朽化マンションの負動産地獄 

幻冬舎GOLD ONLINE 2020年7月17日(金)10時00分配信/牧野 知弘(オラガ総研代表)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

管理費・修繕積立金の滞納マンションが増加

 高齢者の単身世帯が激増している。

 マンションにおける高齢者の単身世帯数については正確なデータが存在しないが、2013年度に実施された国土交通省の「マンション総合調査」によれば、東京都内のマンション世帯主のうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占める。現在では当然、事態はさらに深刻だろう。こうした現状からは、今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが、容易に想像される。

 かつては、親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが自宅だった。不動産は財産としての価値が高い。つまり、相続人が「住む」こともできれば、人に「貸す」こともできる。最後には「売る」ことで現金にも換えられるということで、相続人の間ではこの親の残した自宅の相続をめぐって醜いトラブル=「争続」問題が生じていた。

 ところが、最近はやや状況が異なるようだ。都心居住が主流となる中、親の自宅を相続しても、自身で「住む」つもりはない。賃貸に出しても、築年数が経過したマンションでは住宅設備は古く、部屋の内装も時代遅れでなかなか借り手がつかない。かなりのお金をかけてリニューアルしても、立地に劣るマンションになると、満足な賃料で貸せるケースは少なくなっている。賃貸住宅の空き家は東京都内だけでもなんと59万8000戸も存在することが、この状況を物語っている。

 親の残した自宅の不動産価値がそれほどでもないことに気づき始めた相続人たちは、むしろ現金や株式を優先し、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうような場面も増えているという。

 こうした状況で相続したマンション住戸。管理上でもやっかいな問題を引き起こしている。相続人がマンション住戸を相続したことを管理組合に連絡をしないケースが、増えているのだ。

 親のマンション住戸を相続はしたものの、部屋内の片付けだけでも一苦労。住戸は傷みが激しく、賃貸するとしても相当額のリニューアル費用がかかる。ただでさえ欲しくもなかった住戸を無理やり相続した相続人は、その事実を告げずに放置、結果として管理費・修繕積立金が滞納となるのだ。

相続人がいないおひとり様マンション急増中

 通常であれば管理組合は、相続人が確認できれば、当然のこととして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行なうことになる。ところが相続人としての届け出が行なわれておらず、どこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生しているのだ。

 相続人を見つけ出して、滞納分を請求できても、相続人が外国住まいであったり、相続人が複数存在するとなると、各相続人間の共有財産ということでコミュニケーションが取れずに、なかなか思うように徴収できないケースも増えている。

 首都圏郊外のあるマンション管理会社の社員は、最近の事情を次のように話す。

「最近は相続人の方をつきとめても、本人にマンションを継ごうという意識がさらさらありません。中には『困っているなら差し押さえでもして売ってくださいよ』と言ってくる人までいる始末です」

 この相続人が言うように、最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、時代環境は変化している。

 以前であれば、流通市場に出せば確実に売却できたマンションも、立地や築年数、設備の状況などによってはまったく買い手がつかないケースも出始めている。競売によって確実に滞納金が回収できるという保証は、どこにもない。

 管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も、珍しいことではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用なども組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合もおいそれと手が出しにくいというのが現状だ。

 さらに問題がやっかいになってくるのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。「おひとり様」があたりまえになってきた日本社会。少子高齢化の進行は核家族どころか結婚をしない、兄弟、身寄りのない単身者の増加を招いている。こうした区分所有者に相続が発生すると、相続人がいないということになる。

マンションはスラム化への道を歩むのか

 相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を、相続財産管理人に対して行なうこととなるのだ。通常、相続財産管理人を選定する場合は東京地裁などの場合、100万円ほどの予納金を納付しなければならない。相続財産からあらかじめ差し引ければよいのだが、該当金額を引当できない場合はやはり管理組合の負担となる。

 このような住戸は最終的には売却することによって現金化することとなるが、現実は予納金すら回収できないケースも見受けられるのだ。

 こうした事態に対して、市場性がないのであれば無理に売却せずに、国庫に入れて国から管理費・修繕積立金を徴収すればよいという人もいるが、国が国庫として取ることは事実上ない。仮に国庫に帰属させたとしても法律上、国は「特定承継人」ではないので管理費・修繕積立金等を支払う義務はないということになる。

 管理費・修繕積立金の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、市場における流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続をしたがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れつづける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっているのだ。

 マンション永住化などというが、世代を跨いで価値が持続できない多くのマンションが、今後スラム化への道を歩む可能性が高いはずだ。そんなマンションに資産価値を求める現代人は、マンションというあやふやな共同体の持続可能性をよく見極めるべきなのだ。

 

2020年7月19日 (日)

【半沢直樹】コロナ禍で遅れ<7年ぶり✍続編>本日スタート。

国税局と銀行が競争した「半沢直樹から7 徴税どう変わった

Yahoo!ブログ 2020年7月19日(日)9時30分配信

 7年ぶりの続編となる「半沢直樹」。前作は計画倒産や脱税で不正蓄財に及んでいた会社社長のハワイの別荘などを国税局と銀行のどちらが先に差し押さえるかが見ものだった。その後、税の徴収制度はどう変わったか。

徴収権限が及ぶ範囲

 前作はあくまでフィクションであり、差押えのスピード感も現実離れしていたものの、国税局が目指す税徴収の方向性とは合致していた。

 すなわち、国税局は、国税徴収法に基づき、財産の差押えや換価などにより、滞納者から税を徴収している。

 ただ、この法律の効力は、わが国の行政権の及ぶ地域内に限られる。不動産の場合、その所在地がどこかにあるかで決まる。

 したがって、前作で描かれていたように、わが国の国税局がハワイなど国外にある滞納者の不動産を自ら差し押さえ、換価することなどできない。

徴収共助の活用

 しかし、国外に巨額の資産を隠匿しているのに、ここから税を徴収できなければ、税負担の不公平感が増す。そこで編み出されたのが、「徴収共助」という手法だ。

 各国の税務当局が自ら国外の資産を差し押さえるのではなく、その国の当局に差し押さえや換価を依頼し、滞納税分の送金を受けることで、税の徴収を行おうというものだ。

 わが国も、2011年に多数国間条約に署名している。関連する国内法規が施行され、条約が発効したのが、まさしく前作の放映時と同じ2013年だった。

 それから7年を経たが、国税局はこの制度の活用事例を一つ一つ積み上げている。

 2018年にも、日本在住の親から数十億円の贈与を受けたものの、約8億円の贈与税などを滞納していた男性について、その徴収に成功した。

 東京国税局がオーストラリアにある預金口座の存在を察知し、同国の税務当局に徴収共助を要請したうえで、これを差し押さえてもらったという事案だった。

国外財産調書の提出

 一方、国税局がこうした制度を効果的に活用するためには、国外の資産の所在や金額などを正確に把握できなければならない。

 そのため、前作の放映時と同じ2013年に、「国外財産調書」の提出制度が始まった。

 所得額の大小とは無関係に、12月末時点で国外に総額5000万円超の財産を保有する者に対し、確定申告の期限までにその種類や数、価額などを書面で提出させるものだ。

 しかも、2014年分からは、故意による不提出や虚偽記載に対し、最高で懲役1年の刑罰が科されるようになった。

 現に、2019年7月には、所得税を脱税するとともに国外の銀行口座の預金7300万円を国外財産調書に記載しなかったとして、会社役員が大阪国税局に刑事告発されている。

現実がドラマに追いつく

 現在、国税局は、富裕層による国外の隠匿資産に対し、監視と調査を強化しているところだ。

 コロナショックに伴う赤字経営の続出で税収減が予想される中、「とれそうなところから集中的にとる」ということで、今後、徴収共助をますます積極的に活用し、国外財産の差し押さえや換価が進められるはずだ。

 ようやく、現実がドラマの世界に追いついてきたということになるだろう。

 ただ、前作では嫌味な黒崎駿一統括官率いる東京国税局査察部が半沢ら銀行の後塵を拝する設定となっており、それはそれで痛快だった。続編が描く出向先での半沢の活躍ぶりにも期待したい。(了)

 半沢直樹」放送開始  新たに登場する演劇界のスター5人の横顔

デイリー新潮 2020年7月19日(日)17時00分配信/高堀冬彦(編集者)

「半沢直樹」(日曜午後9時)の続編が19日にスタートする。7年前の前編が大成功した理由は何か? その一つは半沢役の堺雅人(46)をはじめ、確かな演技力を持つ演劇人を多数起用したことに違いない。続編にもやはり演劇界のスターたちが登場する。

 7年前に「半沢直樹」が大成功を収めた理由の分析は無数にあるが、最大の成功要因は主演に堺雅人を据えたことにほかならないだろう。

 堺は早稲田大在学中の1992年、同大演劇研究会のメンバーたちと劇団「東京オレンジ」を旗揚げ。すると、突出した演技力によって、たちまち学生演劇界のカリスマ的スターになった。

 堺以外を半沢役に据え、大成功できたとはちょっと考えにくい。堺は知的で爽やか。クールなところもユーモラスな一面もあり、半沢のイメージとぴったり合致する。なにより演技力が図抜けている。

 堺ならではの名演を簡単に振り返りたい。

 まず前編の第5話で半沢は自分を嵌めた「東京中央銀行」大阪西支店長の浅野匡(石丸幹二、54)と対峙した際、当初は冷淡な口調で話していたものの、浅野が泣き言を口にした途端、「甘えたこと言ってんじゃねえぞ! 家族がいるのはお前だけだとでも思ってんのか!」と、声を荒らげた。ヤクザ映画のスターも顔負けの迫力だった。

 あ然とするような瞬時の豹変。難しい演技だったはずだが、一流演劇人の堺だから事もなげにやってのけたのだろう。演劇では登場人物のキャラクターが突然180度変わることも珍しくないのはご存じの通りだ。

 石丸も元「劇団四季」の大スター。まるで一流の演劇人同士が真剣勝負をしているような場面だった。

 やはり演劇人で、堺とは旧知の仲なのが、京橋支店融資課課長代理・古里則夫役を演じた手塚とおる(58)。

「劇団シェイクスピアシアター」や「劇団健康」などで活躍していた手塚は、まだ早大生だったころの堺と舞台で共演している。今は「グランメゾン東京」(TBS、2019)の江藤役など意地悪な役が目立つ手塚だが、若き演劇人時代はイケメンの大スターだった。

 前編の出演を手塚が引き受けると、堺は「ありがとうございます。楽しみにしています」と丁寧なメールを送った。本音だろう。ドラマでは初共演だった。久しぶりに技量を競い合いたかったのではないか。

 実際、この2人による場面は傑作だった。緊張感の連続だったストーリーの中で、ショータイムのコメディのように映った。

 半沢に対して終始強気で嫌味だった小里が、半沢に不正を発見されると、急変した。まるで鷹の前の雀に。逆に半沢は悪魔のような男に変身し、容赦なく古里をいたぶった。ここまでキャラクターを切り替えられるのは2人とも本当にうまいからだろう。

 手塚と一時期、「劇団シェイクスピアシアター」で一緒だったのが吉田鋼太郎(61)。今や演劇界の重鎮だ。前編では6話から東京本部営業第二部長・内藤寛役で登場。ドラマを引き締めた。

 最終回で内藤は半沢に対し、一部経営陣が半沢の出向を画策していると耳打ちした後、やにわに「なんとか乗り切れ!」と大声を張り上げた。まるで舞台上のセリフまわしだった。メリハリが利いていた。

 ベテランのドラマディレクターなら誰もが嘆くことだが、近年のドラマは演技指導やリハーサルの時間が十分に取れない。映画各社も専属俳優・女優という制度を解消し、自前で役者を育てなくなった。

 そんな時代なので、稽古に明け暮れている演劇出身の役者は強い。おまけに演劇はドラマと映画とは違い、カメラワークに頼れない。セリフに詰まった時に待ってカメラを止めてもらうわけにもいかない。おのずと鍛えられる。

続編に登場するスターたち

 19日からの続編にも演劇界のスターたちが新たに参戦する。ご紹介したい。

池田成志(57) 半沢が出向し、営業企画部部長を務める「東京セントラル証券」次長の諸田祥一役。やはり出向組で、プロパー社員を下に見ている。親会社の人間というだけで態度が大きくなるのは摩訶不思議な話だが、現実もそうなのはご存じの通り。

 年下の上司である半沢の命令にも逆らうらしい。憎まれ役として注目を集めそうだ。

 池田は早大在学中に「第三舞台」に参加。演出も手掛ける。2013年には紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した実力者だ。

土田英生(53) 役柄はIT企業「電脳雑伎集団」の社長・平山一正。会社の基盤をさらに強固なものとするため、やはりIT企業である「スパイラル」の買収をセントラル証券に持ちかける。続編のキーパーソンの一人になりそうだ。

 立命大時代から芝居に打ち込み始めた土田も大物演劇人。代表を務める「MONO」の全作品の作・演出を手掛け、文化庁芸術祭優秀賞など数々の賞を得ている。

 ドラマへの出演歴はNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年度後期)などほんの僅か。半面、熱烈なファンを生んだ観月ありさ(43)主演の「斉藤さん」(2008)など数々の人気ドラマの脚本を提供している。

戸次重幸(46) パソコンと周辺機器の販売を行う「フォックス」社長の郷田行成に扮する。郷田は元大手コンピュータ会社社員で、独立して会社を興し、急成長させた。その経営手腕はIT業界内外で注目されている。

 戸次は人気の演劇ユニット「TEAM NACS」の一員。大泉洋(47)、安田顕(46)らの盟友だ。脚本も書き、一人芝居も行う。

 以前は本名の佐藤重幸で活動していたが、2006年に母親が亡くなった後、感謝の気持ちを込めて母親の旧姓を芸名にした。情の深さは役柄にも表れることが多いが、さて今回は・・・。

山崎銀之丞(58) 「太陽証券」営業部長・広重多加夫役。電脳雑伎集団に狙われたスパイラルに対し、アドバイザーとして名乗りを上げる。

 故・つかこうへいさんの愛弟子の一人で、さまざまな役柄で舞台「熱海殺人事件」に出演した。自ら「劇団空想天馬」も主宰していた。「3年B組金八先生」第5シリーズ(TBS、1999)から理科教師・遠藤達也に扮するなど数々のドラマのバイプレーヤーとして活躍している。

古田新太(54) 東京中央銀行副頭取・三笠洋一郎役。中野渡謙頭取(北大路欣也、77)をライバル視している。

 古田が人気劇団「劇団☆新感線」の看板俳優なのはご存じの通り。極悪人もエリートも難なく演じる正真正銘の演技巧者だ。

 ライバル関係になるベテランの名優・北大路とは23歳も違う。ところが、不思議なことに貫禄も迫力も負けていない。これも演劇人として稽古を積んだからなのか・・・。

 ほかに師弟コンビも登場する。「劇団東京乾電池」座長の柄本明(71)と座員の江口のりこ(40)である。

 柄本は最近、長男の佑(33)と次男の時生(30)の父親としてクローズアップされがちだが、この人も抜群にうまい。コメディもシリアスも完璧に出来てしまう。故・渥美清さんと故・志村けんさんにも認められていた。演劇界のカリスマの一人だ。

 東京乾電池で鍛えられた江口はドラマに欠かせない人になりつつある。「これは経費で落ちません!」(NHK、2019)では空気の読めないキャリアウーマンに扮し、観る側を爆笑させた。中学卒業後、住み込みで新聞配達をやりながら、稽古に打ち込んだ根っからの演劇人だ。

 演劇人以外もうまい人たちがそろった。ハイレベルの演技が楽しめそうだ。

 半沢直樹』の“倍返し”再び。続編の見どころは? 

HUFFPOST日本版 2020年7月19日(日)12時50分配信

“倍返し”の半沢が、ついに帰ってくる──。

 TBSの新ドラマ『半沢直樹』が、7月19日午後9時から放送される。放送枠は毎週日曜夜9時からで、初回は25分拡大スペシャルとなる。

 今作は2013年に放送されたシリーズの続編。主演は前作に引き続き、俳優の堺雅人さんが務める。

『半沢直樹』の続編、どんなお話?

 シリーズ続編となる今ドラマの原作は、池井戸潤氏の小説「半沢直樹」シリーズの『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』。

 主人公の半沢直樹は前作で銀行における数々の不正を暴いてきたが、最終回の最後のシーンで証券会社への出向を命じられる。続編では、驚きの人事を受けた半沢のその後が描かれる。

 また、豪華な出演陣にも注目が集まる。

 前作に引き続き、東京中央銀行の取締役・大和田暁役を演じる香川照之さんや同融資部の渡真利忍役の及川光博さんらおなじみのキャストをはじめ、新たに出向先のセントラル証券の社員として俳優の賀来賢人さんや今田美桜さんも出演。

 また、ミュージカル界から俳優の井上芳雄さんが出演するほか、お笑いコンビ・アンジャッシュの児嶋一哉さんの出演も発表され話題となっている。

 TBSが公開している作品概要は、以下の通り。

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「半沢直樹、東京セントラル証券への出向を命ずーー」

 東京中央銀行のバンカー・半沢直樹が、銀行内で行われていた数々の不正を明らかにするも、まさかの子会社への出向を命じられるという衝撃の展開で最終回を終えた前作。今作では、東京セントラル証券で営業企画部長となった半沢に巻き起こる事件を描く。

 あるとき、東京セントラル証券に大型案件が舞い込む。それは、ある大手IT企業による敵対的買収で、株式取得に掛かる費用はなんと1500億円以上。東京セントラル証券にとって、かつてない規模の案件だった。

 そして、これが新たな銀行との戦いの始まりになるとは、この時の半沢は知る由もなかったーー。

 果たして半沢は、出向先でも次々に発生するトラブルを乗り越え、理不尽な要求を突き付ける相手に「倍返し」出来るのか!? 型破りのバンカー、半沢直樹の新たな伝説が、令和の歴史に刻まれる!!
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 TBSが公開している動画で、半沢直樹を演じる堺雅人さんは、「これまでのメンバーに新たな顔ぶれも加わりました。さらに力強い半沢直樹の世界をお届けできるよう、キャスト・スタッフ一丸となって撮影に取り組んでおります。ご期待下さい」とコメントしている。

 同ドラマは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、放送が延期となっていた。

原作には出ていないのに...。前作で“土下座”・大和田役の香川照之さん再登場を語る

 半沢直樹の代名詞といえば、「やられたらやり返す、倍返しだ!!」をキャッチフレーズ。

 前作の最終回では東京中央銀行の常務取締役だった大和田暁役を演じる香川照之さんを追い詰め、「土下座」で謝罪させるシーンが多くの人々を惹きつけ、42.2%の視聴率を記録するほどだった。

 しかし、一点だけ気になる点がある。

 続編の原作には、大和田暁というキャラクターは登場しないにも関わらず、ドラマには引き続き登場しているのだ。

 このことについて、香川照之さんは7月11日に行われた記者会見で言及した。

 自身の出演について「池井戸潤先生の原作『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』には大和田は出ていないので、これをどうするんだろう(どう演じるんだろう)と。(というのも)原作が完璧なんですよ。素晴らしいんですよ。これのどこに大和田が入る余地があるんだろうと...。ですから池井戸先生がもし(ドラマを)見ていらっしゃったら、ダメだと思ったらいつでも大和田の首を切ってください」と冗談を交えながらコメント。

 “倍返し”を受け、常務取締役から取締役となった大和田。続編では半沢直樹とどのように交わるかも見どころの一つとなる。

 堺雅人「大和田のほうが好き」役者として「半沢は遊べない役だから」 

スポニチアネックス 2020年7月19日(日)5時30分配信

 TBS日曜劇場「半沢直樹」が、19日午後9時からいよいよスタートする。堺雅人(46)演じる銀行員の半沢直樹が、新たな“半沢包囲網”との戦いに挑む。現場では見応え抜群の演技合戦が繰り広げられている。

 都内の歴史ある建造物でのロケ。堺と、敵役である市川猿之助(44)、古田新太(54)の3人が厳しい表情を浮かべていた。激しくセリフをぶつけ合う様子は、まるで舞台を目の前で見ているようなド迫力だ。

 「半沢は遊べない役なんですよ」と堺は言う。「技はそんなに持ってない。パンチとしてはストレートしかなくて、それをずっと繰り出している。周りの方々がクセ者ぞろいなので、クセはいくらでもつけてくれる。自分は前に真っすぐ進むということしか考えてないですね」

 前作からクセ者ぞろいの共演者。香川照之(54)が演じた大和田の土下座や、片岡愛之助(48)が演じた金融庁調査官・黒崎のオネエっぷりなどが好評だった。「皆さん、ひねくれてますよ。でも役者としてはそっちの方が楽しい。大和田やってみたいですよぉ~、大和田の方が好きですよ」と笑う。

 今作は、最初の敵役の猿之助が話題を呼びそう。嫌味たっぷりに悪者を演じている。「猿之助さんの底知れぬ魅力というかね、赤ちゃんのように見える瞬間もあるし、凄く恐ろしい大人に見える瞬間もある。あの変幻自在な感じは素敵ですね。のみ込まれていきそうな感じでした」。さらに、古田や「東京03」の角田晃広(46)、後半戦では柄本明(71)や江口のりこ(40)といった個性派俳優が半沢に立ちはだかる。

 半沢の部下役の賀来賢人(31)をはじめ、多くの役者が「堺さんに引っ張られている」と口にする。当の本人は「引っ張ってる実感はないです。半沢は真っすぐしかないので、引っ張るも何もない。皆さんには好き勝手やってほしい」。周囲を引っ張り、引っ張られながら、半沢は前に進んでいる。

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関連エントリ 2013/09/23 ⇒ 【半沢直樹】昨夜の「最終回」✍観ましたよぉ!!
関連エントリ 2013/09/22 ⇒ 【半沢直樹】今夜の「最終回」✍初めて観てみる(笑)

 経済が壊滅的なのになぜが爆上げするのか 

サンデー毎日 2020年7月19日(日)10時17分配信/立沢賢一(元HSBC証券・代表取締役)

 ◇ OECDの予測するシナリオ

6月11日、1,900名を超える専門家を抱える世界最大のシンク・タンクであり,経済・社会の幅広い分野において多岐にわたる活動を行っているOECD(経済協力開発機構)は、今年及び来年の世界経済見通しを「綱渡り状態の世界経済の先行きは極めて不透明だ」と発表し、物議を醸しました。

 ◇ OECDの予想するシナリオは2つです。

1つ目は2020年末までに感染第2波が到来するというものです。

感染のアウトブレイクが起こり、都市は再度ロックダウンに戻ってしまうというシナリオです。その場合、2020年の世界経済成長率は-7.6%と大幅下落し、2021年は成長率を戻しても+2.8%程度の予想です。また、2020年の失業率は10%まで上昇すると予測しています。

2つ目は感染第2波を防げるというものです。

その場合、世界経済活動の落ち込みは-6%で失業率は9.2%の予想です。

生活水準は感染第2波が到来した場合よりは改善されるものの、2021年までに過去5年分の所得増加分を全て吹き飛ばしてしまうほどのマイナスは避けられないようです

添付のチャートをご覧になると一目瞭然ですが、どちらのシナリオから解釈しても、2021年末時点になっても、2019年末の水準まで戻っていません。V字型回復どころか、ズルズルとマイナス成長が持続する見込みなのです。これが近未来の実体経済予測です。

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一方、米国株式市場は第3四半期にV字型回復を果たすという思惑で、2020年第2四半期に大きく上げ、ダウ工業株30種平均が17.77%高と1987年以来の大幅高、S&P500指数は19.95%高と1998年以来の大幅高、ナスダック総合指数は30.63%高と1999年以来の大幅高をそれぞれ記録しました。

 ◇ 無尽蔵な財政出動で広がる実体経済との乖離

新型コロナショック勃発後、次の対策がとられています。

(1) 政府が積極的な財政出動による財政政策

(2) 中央銀行がゼロからマイナス金利にまで及ぶ金利誘導と債券やETF購入による包括的金融緩和政策を敢行

その甲斐あって、金融不安を回避することには成功しました。

ところが、世界的デフレ環境による需要不足が原因で供給過多が恒常化し、流動性資金は実体経済ではなく、金融経済に流れてしまっているのです。これにより、株などの投資商品価格が実体経済と大きく乖離する程、高騰してしまっているのが実態なのです。

また、米国商務省が5月29日に発表した2020年4月の米国の貯蓄率は+33.0%で、過去最高を記録しました。貯蓄率は1975年5月に記録した17.3%を大きく上回り、1959年の統計開始以来の最高水準に到達しました。

これに関して、エコノミスト達の見方は分かれています。

(1) 全店舗が閉店し、全員が自宅に閉じ込められ、買い物をする機会がなかったことから、一種の強制的需要ショックのようなもので、貯蓄は経済活動再開後の消費原資となる

という指摘がある一方で、

(2) 仮に経済再開に時間がかかった場合、貯蓄の低下は抑制され、個人消費支出の急回復にはつながらないだろう

という見方も出ています。

 ◇「個人消費は底を打ち、今後回復する」は本当か?

新型コロナウイルスのパンデミックで米国では瞬く間に数千万人もの労働者が収入を失い、失業保険申請をしています。

世界一の経済大国である米国の貧富の格差は深刻です。ですから、今回のショックでまず打撃を受けるのは中低所得者層です。

彼らはそもそも貯蓄が出来ていません。過去30年間を遡っても、中低所得者層の実質賃金上昇は見られず、ここ数年でやっと賃上げが始まったに過ぎない状況でした。

今回のショックで中低所得者層の失業者は大幅に増え、これまでの賃上げ効果は消滅してしまうことになりそうです。

オックスフォード・エコノミクスの調査によりますと、米国人の半数は、予期していなかった経済的打撃に対処できる緊急時のための貯蓄を保有しておらず、特に低所得世帯の状況はかなり酷く、75%はいざというときの蓄えが無いという結果が出ています。

ところが、現状、GoogleやAppleのモビリティレポートでは人々の移動量が増加し、レストラン予約サイトオープンデーブルのデータではレストランの予約状況が復活する傾向にあります。これらデータから判断しますと、個人消費は既に底打ちしている可能性が高く、今後更なる加速が期待されるという見方の方が株式市場では優勢なのです。

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米国の個人消費はGDP の70%超を占めており、これが停滞すると経済全体も振いません。過去の統計を見ますと、米国の個人消費は景気の悪い時もそれほど大きくは落ち込まず、安定的でした。

4月の貯蓄率急上昇が一時的な現象で、5月以降貯蓄が消費にシフトされるのであれば、それはまさに金融市場の期待に沿うものです。

然し乍ら、万が一、米 GDPの約7割を占める個人消費の回復に対する期待が崩れれば、目下の株価上昇は正当性を完全に失います。

 ◇ オールドエコノミーとニューエコノミー

過剰流動性で行き場のない資金が株式市場に流入する事態が永遠に続くとは思えない中、実体経済と金融経済との乖離がこれ異常許されない状況が訪れた際、「チャート1」が現実味をおびて認識されるでしょう。

株式市場の価格動向は1年先の経済を予測しているとも言われています。

1年先の経済が新型コロナショックをきっかけに起こった「 ニューエコノミー 」に拍車をかけるのであれば、バリュー株主体の「オールドエコノミー」関連株を多く含んでいるダウ工業株30種平均とグロース株を多く含む「 ニューエコノミー 」関連テック企業株群であるナスダック総合指数との格差が次第に拡大していく可能性が高いのです。

株式市場では旧態依然のビジネスモデル ( 「オールドエコノミー」)を継承している企業と「ニューエコノミー」の象徴とも言える環境・社会・企業統治(ESG)や持続可能な開発目標(SDGS)を積極的に取り入れている企業との間に格差が生まれつつあります。

実際に、米国大手金融機関や投資ファンドはこの変化に呼応するように、ESGやSDGS投資にシフトする動きが出ています。

結局のところ、新型コロナウイルス感染第2波が到来したと仮定して、市場参加者が実体経済と金融経済の乖離修正の動きを始めた場合、一部テック企業を除いた「オールドエコノミー」型企業で多く構成されているダウ工業株30種平均は下降の一途を辿ることになるのでしょう。一方で、「ニューエコノミー」型企業は「オールドエコノミー」型企業を凌駕し、次世代経済の牽引役として更なる成長を遂げることになることでしょう。

 ◇ 割安に見えるゴミ銘柄に気をつけろ

今でも、一般的には、多くの投資家は株価と企業の収益力を比較する株価収益率(PER)や純資産と株価の比較する株価純資産倍率(PBR) を見て、企業価値に対して株価が安いか否かを判断しています。

ところが、実際には、AIシステムの進化により、AIが割安銘柄を見逃すことはほとんどなくなり、割安銘柄は自動的にAIに買われてしまっています。そのため、PERやPBRで割安な多くの銘柄は、AIが買わなかった銘柄ということになるのです。言葉は悪いですが、AIに「 ゴミ銘柄 」と判断されてしまったのです。

現在ダウ工業株30種平均の平均PERは20.66倍で、S&P500は25倍です。1871年から150年間で見ても米国株のPERはかなり高いレベルに位置しており、米国株はPER的には確実に割高状態になっています。因みに本稿執筆時点(7/10)では、Zoom Videoは1,429倍、Amazonは147倍、Baiduは141倍、Paypalは116倍、Netflixは102倍、Microsoftは36倍、Facebookは34倍などなどPER30倍以上の米国企業は799社もあるのです。

現在、PER値が大きくても、資金は成長期待の高い銘柄に流入し続けています。そして、第二次世界大恐慌が起こらない限り、今後の新型コロナショック動向如何にかかわらず、GAFAのようなテック企業への投資はこれからも継続するのではないかという市場の期待は今後も一部の株式市場上昇の理由になるのです。

G20、世界経済回復へ引き続き連携 途上国債務の返済猶予を要請

ロイター 2020年7月19日(日)14時45分配信

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁は18日、電話会議を行い、新型コロナウイルス感染拡大への対応と世界経済の強化に向け、「利用可能なあらゆる政策手段」を用いると表明した。

 会議終了後に発表された共同声明は、各国経済が徐々に再開するに伴いのに合わせて世界経済は回復するとした上で、成長を確実にするには一段の対応策を講じる必要があると指摘。「人々の生命、雇用、所得を守り、世界経済の回復を支援し、また金融システムの回復力を高めると同時に、下方リスクを回避するため、利用可能なあらゆる政策手段を引き続き用いる」とした。

 最貧国の2国間の債務については、債権国に対し債務返済猶予の短期延長を行うよう呼び掛けた。ただ、4月にG20が合意した債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)を来年に延長するとの言及はなかった。

 会議の関係筋によると、新型コロナ流行による景気低迷を受けてDSSI延長への支持は高かったが、共同声明では延長については2020年下半期に検討するとの表現にとどめた。このほか、一部最貧国の債務免除が呼び掛けられているものの、声明では触れなかった。

 G20財務相・中央銀行総裁は、最貧国73カ国のうち42カ国が2国間の債務返済を年末まで猶予するよう要請。返済期限が延長される支払い総額は約53億ドルに上ることになる。

 また2国間債務の債権国に対し、透明性を確保してDSSIを全面的に実施するよう求めた。世界銀行は、G20のメンバー国で途上国の最大の債権国である中国の取り組みが十分でないとの懸念を示しており、これが反映された形となった。

 中国を名指しはしなかったものの、債務返済猶予の実施を注視すると表明。また債務データの質的向上と債務情報公表の改善に向けた監視の枠組みの設置についても言及した。

 このほか、デジタルサービス課税を巡る意見の相違を解消するとあらためて表明し、年内にコンセンサスに基づく包括的な解決を目指す方針を示した。

 そうめん業界に巣ごもり特需 売り上げ増も生産者困惑 

長崎新聞社 2020年7月19日(日)12時40分配信

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり消費などで、長崎県南島原市特産の「島原手延べそうめん」の需要が増加している。相次ぐ災害に対する家庭内備蓄用としても注目される。一方でニーズが高まる夏本番を迎える中で増産は難しく、生産業者は頭を抱えている。

 全国乾麺協同組合連合会(東京)によると、2月以降の外出自粛の高まりを受け、肌寒い時期に適したうどん、そば、中華麺の需要が増加。春先以降は、そうめんの動きも活発化した。産地や業者によって異なるが、6月までに乾麺全体で前年比10~20%の売り上げ増で推移しているという。

 全国的に頻発する自然災害の影響も大きい。農林水産省は「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」でそうめんなど乾麺の備蓄を推奨。同連合会は「乾麺は賞味期限が1~3年の物が多く、安価で家庭で備蓄しやすい」と分析している。

 島原手延べそうめんを手掛ける麺商「ふるせ」(南島原市有家町)の古瀬智裕社長(44)は「全国チェーンのスーパーなど新規顧客の発注が増えた。個人客中心のネット注文も前年比で3、4割の伸び」と驚く。

 夏本番を迎え中元商戦も到来。そうめんの一層の需要増が期待されるが、業者は増産に慎重。例年秋までに翌年の生産量を決定、コシの強い麺ができる冬場を中心に生産しているためだ。

 小林甚製麺(同市西有家町)営業部の小林甚成さん(30)は「職人の手作業に頼る部分も多く、手間暇が掛かる。市場の変化に応じた増産が難しい」とした上で、「7、8月に切らさないよう慎重にならざるを得ない。大口顧客の注文をやむなくお断りしている」と苦しい胸の内を明かす。

 巣ごもりで買い込んだそうめんが自粛解除で「在庫」になっている可能性もある。「経済状況の悪化が続けば、買い控えで中元市場自体が縮小する可能性もある」と懸念する業者も。

 「売上額は結果的に平年並みになりそう」という古瀬社長だが、「そうめんの良さが見直されている今こそ商機。季節ごとの料理のアレンジが豊富なだけに通年商品として消費者に選択してもらえるようアピールしたい」と意欲を語った。

 

2020年7月18日 (土)

【新植民地主義】<国境なき医師団>内部告発文書✍1000人以上が署名。

 国境なき医師団」白人特権と家父長主義、関係者1000人が糾弾 

The Telegraph 2020年7月18日(土)10時30分配信/Henry Samuel 記者

 緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」では体系的な人種差別がはびこっており、人道支援業務が植民地主義を増長させている──このような内容の文書に職員と元職員ら1000人が署名した。

 同文書には、MSFが「特権がある少数派の白人」による「何十年にも及ぶ権力と家父長主義」に目をつぶり、方策や採用活動、職場環境、それに「人間性を失わせる」プログラムを通して人種差別を永続的なものにしたと記されている。

 文書では上層部や職員に対し、抜本的な改革を早急に行うよう求め、また組織内の人種差別主義に対する第三者による調査も呼びかけられた。

 MSF英国のジャビド・アブドルモネイム理事長、MSF南アフリカのアグネス・ムソンダ会長、MSFドイツのフロリアン・べストファール事務局長も同文書に署名している。

 MSFは途上国や紛争地帯で暮らす人たちに緊急医療を提供する世界最大の人道支援組織の一つで、1999年にはノーベル平和賞を受賞した。

 この文書は、人種差別主義および反人種差別主義運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」に対する組織内部での意見の相違を受けて作成された。発端はMSFイタリアによる提案だった。MSFイタリアは、「人種差別」という言葉を使うべきでなく、「MSFを始めとした全員」が「すべての命は大切」であると声を上げるべきだと提案し、これに一部から激しい反発が起きた。

 MSFイタリアは後日、「世界中の職員を傷つけた」として謝罪している。

 英紙ガーディアンが報じたところによると、ある職員は、MSFでは白人の救世主精神が「息が詰まりそう」なほどあふれていると文書に記していたという。

 また別の職員からは「国内スタッフをMSFインターナショナル・スタッフの仕事に就けるよう支援したことがあるが、これまで経験した中で最も退屈かつ不公平、それに衝撃的なほどに腹が立つ採用過程だった」とするものもあったとされる。

 MSFインターナショナルのクリストス・クリストゥ会長は同文書について、すでにMSF内で進めていた一連の変革を加速させる「促進剤」になると歓迎し「痛ましい出来事を経て生じた、怒りや議論を促進させるよい機会だと考えている」と語った。

「よりニーズがある場所に政策決定権を近づけ、介入する際の戦略立案に患者やコミュニティーも関わってもらうことが我々の最優先事項だ。欧州の政策決定力を縮小させ、他の国々に再分配しなければならない」

 クリストゥ会長によると、6月29日に送られた文書で求められた改革に向けた要求内容は、文書が出される一週間前の会議で承認されていたという。

「テレグラフ」とは:
1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。「UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

なぜ中国国際社会と激しく衝突めたのか

JBpress 2020年7月18日(土)6時01分配信/川島 博之(Martial Research & Management 主席経済顧問)

 新型コロナウイルスに対する初期の対応を巡って、中国は米国を中心とした国際社会と対立を深めている。さらに香港の統制を強化する「香港国家安全維持法」を成立させたことによって、米国だけでなく旧宗主国の英国とも対立することになった。

 インドとは国境を巡って死者を出すまでの事態を引き起こしている。それによって、それまでもよくなかった両国の関係は一層悪化してしまった。南シナ海では空母を含む艦隊に演習を行わせて、ベトナムなど周辺諸国の神経を逆撫でしている。

 米国と日本を同時に敵にしたくないとの戦略的思惑から、日本に対しては見え透いた融和的なアプローチを行っているが、その一方で尖閣諸島周辺に頻繁に公船を送り込んでいる。仲良くしたいのか喧嘩したいのかよく分からない。

 中国は少し前まで一帯一路構想やAIIBなどといった経済的な手法によって国際社会への影響力を強めようとしていた。しかし、ここに来てそのような動きはほとんど見られなくなってしまった。今は、より直接的な手法で自国の意思を国際社会に押し付けようとしている。まるで世界を敵に回してもよいと思っているようだ。

 なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。ここでは現代中国を流れる大きな流れについて考えてみたい。

豊かになって芽生えた素朴な感情

 中国が国際社会と対立し始めた真の原因は、豊かになったことにある。香港が中国に返還された1997年の時点において中国のGDPは米国の11%、英国の62%に過ぎなかった。それが2019年には米国の67%、英国に対してはそのGDPの5倍にもなった。ちなみに日本の2.8倍である。中国人は自信を深めた。そんな中国では、現在、多くの人が国際社会のルールに違和感を抱いている。

 香港の問題を考えてみよう。そもそも香港はアヘン戦争、アロー戦争の結果、無理やりに割譲させられたものである。1949年に新生中国ができた際に武力で解放してもよかったのだ。しかし、当時の中国の国力では実行できなかった。

 その後、香港が西側との窓口として便利であることが分かったために利用してきたが、深センのGDPが香港を上回るようになると、香港は重要な地域ではなくなった。香港が西側との窓口ではなくなっても、それほどの実害を被ることはない。

 一国二制度を採用したのは、英国と交渉していた1990年代に中国が英国より弱かったからだ。弱者が強者から領土を返還してもらうためには譲歩が必要だった。だが、もし今交渉するなら文句なく全面返還してもらうことになるだろう。

 このような感情は習近平や共産党幹部だけが持つものではない。一般民衆もアヘン戦争以来の欧米の侵略に怒りの感情を有している。江沢民政権が行った反日教育の結果として日本の侵略ばかりが取り上げられているが、中国人は心の底で西欧を恨んでいる。

 中国には西欧に勝るとも劣らない歴史と文化がある。その結果、経済的に成功した現在、なにも米国を中心とした国際社会のルールに従う必要はないと思い始めた。

 中国には中国のルールがある。中国は長い間、皇帝と科挙によって選ばれた優秀な官僚が国を統治してきた。民主主義は英国を中心とした西欧が考え出したものであり、杓子定規に香港にそれを適応すべきではない。また、「由(よ)らしむべし知らしむべからず」(為政者は定めた方針によって人民を従わせることはできるが、その道理を理解させるのは難しい)は中国政治の伝統である。コロナ騒動に対する中国政府の対応も、この原理から考えれば、決しておかしなものではなかった。

 香港やコロナ騒動を巡って中国が強硬な手段に出る背景には、政府だけではなく多くの中国人が、このように思っていることがある。

 昨今の中国と国際社会との軋轢は習近平の個性が生み出したものではない。それは、中国の一般民衆の素朴な感情の延長上にある。

孤立をいとわない道を選び始めた中国

 このように考えると中国のこれからが見えてくる。今後、中国はますます国際社会と衝突する。それが熱い戦争に発展するとは思わないが、貿易戦争のような形で、多くの国と争うことになろう。現にオーストラリアとも貿易戦争を開始した。

 中国は人口が多いために、ある程度発展すれば自国の市場だけで経済を回して行くことができる。中国にだけに通用するアプリを作っても採算に合う。グーグルを使わなくともよい。

 18世紀後半に中国との交易を求めてやってきた英国の使者マッカートニーに対して、清の乾隆帝は「中国は地大物博(土地が広く物資が豊か)だから、他国と交易する必要はない」と言い切った。これが中国人の基本的な考え方である。

 改革開放路線に転じた1978年以降、中国は安い労働力を使って工業製品をつくり、それを輸出することによって富を蓄積した。その結果、豊かになったので、乾隆帝の時代に戻ることが可能になった。戻れるなら戻りたい。多くの人がそう考えていることが、今の中国の行動の背景にある。

 中国は孤立をいとわない道を選び始めた。その方針は今後も変わることはない。中国が再び国際社会とうまくやっていきたいと思うようになるのは、孤立によって経済や科学技術の面で大きく遅れてしまったと感じる時である。その時には中国国内で大きな混乱が起こることになるが、それはまだだいぶ先の話になろう。

 過去30年ほど急成長していたために、中国を魅力ある市場とみる日本企業は多い。しかし、それは過去のことになった。これから中国は自国のルールに従わない国や企業とは取引しないと言い出すはずだ。面倒くさい市場に変わった。中国は豊かになる方便として「政経分離」を言っていたのだが、豊かになった中国はプライドが高いために、他国に「政経一体」を求めてくる。中国と取引したい企業は、その辺りのことについて覚悟しておく必要があろう。

 中国の強硬姿勢を支える田中角栄の置き土産 

東洋経済オンライン 2020年7月15日(水)5時55分配信/青沼 陽一郎(作家)

 米中貿易協議における「第1段階の合意」が結ばれてから、7月15日でちょうど半年になる。

 ところが、6月末に中国政府が「香港国家安全維持法」を成立・施行させ、香港から「高度な自治」「一国二制度」を事実上、剥奪したことにアメリカが反発。対中圧力を強め、もはや「米中貿易戦争」から「米中冷戦」ともいえる状況に陥って、第1段階の合意の履行も危ぶまれている。

 こうした中で中国を優位に立たせているのが、日本の故・田中角栄元首相の存在だ。

アメリカからの大豆輸入シェアは激減

 第1段階の合意内容は、この2年間で中国はアメリカからモノとサービスの輸入を2017年より2000億ドル以上増やすというもの。工業製品や液化天然ガス(LNG)をはじめとするエネルギー、農産品が主な内訳だ。

 貿易戦争前のアメリカの対中輸出の内訳は、13%が航空機で、大豆が9%、乗用車が8%と続く。大豆は、2017年に全米で生産された58%が中国に輸出されていた。対中貿易の要ともいえる。

 中国に輸入された大豆は、主に食用油と飼料として使われる。ただ、一昨年から中国国内では「アフリカ豚熱(旧称・アフリカ豚コレラ)」が蔓延。国内で飼育される豚の数が減ってしまったことから、飼料の需要も落ち込んだ。だから、貿易戦争でアメリカ産大豆に25%の報復関税をかけても、ただちに困ることにはならなかった。

 それが国内の養豚業が復調してきたところで、中国はアメリカに代わって、ブラジルからの大豆輸入を急増させている。すでに2018年の中国の大豆の輸入先シェアは、ブラジルが前年の53%から75%に増加。その一方で、アメリカは34%から19%に落ち込んでいる。

 中国の独立系経済メディア「財新」の報じたところによると、今年3月のブラジルの大豆輸出量は1330万トンで、このうち中国向けが約4分の3を占めていた。4月には前年同月の1.7倍強となる1630万トンまで増加。3月に続いて単月輸出として最高記録を更新した。おかげで、今年は大豆が豊作のブラジルだが、値崩れすることもない。

 ブラジル大豆生産者協会の最新の予測によれば、同国は今年、1億2100万トンの大豆を収穫し、アメリカを抜いて世界最大の大豆生産国に躍り出る可能性があるという。中国も輸入先をブラジルにシフトすれば、対米貿易戦争で困ることはない。

 そんなブラジルの大豆畑を切り拓いたのが、田中角栄だった。きっかけはアメリカから日本への“仕打ち”だ。

 現在では地球温暖化に伴う異常気象が頻発しているが、およそ半世紀前の1973年には世界中が冷却化傾向の異常気象に見舞われていた。これにより、ソ連が大規模な凶作に陥った。そこでアメリカから小麦や大豆を大量に買い付けたことから、穀物相場が高騰。当時のリチャード・ニクソン大統領が大豆の緊急輸出禁止措置をとった。

 これに大慌てしたのが、日本だった。今でも大豆の自給率は約7%で、輸入の約7割をアメリカに依存している。「豆腐が食えなくなる」「味噌がなくなる」と国内は大騒ぎになった。

 この経験から、首相としてブラジルを訪問した田中角栄が、当時のエルネスト・ガイゼル大統領に共同の農業開発プロジェクトを提唱。1979年から総面積2億0400万ヘクタールの荒れ地だったブラジル中部のセラード地域の農業開発協力事業が始まった。それが今では、同地域だけで世界の大豆生産の約3割を占める巨大生産地帯となっている。

 相手国の輸出禁止による食料危機に備えて、田中角栄がブラジルの大豆生産に橋渡しをしたはずが、今では中国のために貢献している。田中が描いた日本の食料供給の理想を、中国が実用していることになる。

習近平が主導したアメリカ産大豆の輸入拡大

 そもそも、アメリカで生産される大豆の約6割もの量を中国が買い占めるようになったのは、習近平が主導したものだ。

 国家主席に就任する前年の2012年2月、当時国家副主席だった習近平は訪米している。まず首都のワシントンDCを訪れ、当時のバラク・オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領ら要人と会談する。翌年の国家主席就任は既定路線であり、アメリカへの「挨拶」「顔見せ」の意味もあった。だが、訪米の目的はそれだけではなかった。

 会談後に習近平が向かったのが、穀倉地帯の中心にあたるアイオワ州だった。同州を流れるミシシッピ川の畔の小さな街に、当時31歳の習近平がホームステイしていたことは、以前にも書いた。

 その家を再訪すると同時に、現地の大豆農家を見て回った習近平は、その日のうちに43.1億ドル分の大豆の買い付け契約を、随行してきた中国の取引業者と結ばせている。その額は日本の大豆輸入額の2年分を超える。このときから、世界最大の大豆生産国であるアメリカにとって、中国は輸出相手国のトップになった。

 ただし、食料の海外依存は危険だ。日本の例を見るまでもなく、供給国の都合で食料危機に見舞われる。

 大豆の輸入が止まった1973年にはもうひとつ、日本ばかりでなく世界中を揺るがす事態が起こる。オイルショックだ。

 10月の第4次中東戦争に端を発し、原油産出国が生産調整をしながら、原油価格を操作し、世界の経済を混乱に陥れることに成功した。すなわち、戦略物資としての石油が、そのまま武器となることを教えてくれた。兵器に次いで石油は“第2の武器”になった。

 そして次に、“第3の武器”として食料が浮上する。当時の気候変動と穀物市場の動向を見据えながら、翌1974年夏にはアメリカCIA(中央情報局)が「世界の人口・食糧生産・気象傾向の潜在的意味」と題する報告書を作成している。その中にはこうある。

 「もし現在の世界的な気候の冷却化傾向が続くなら、ソ連、中国など高緯度地域の穀物生産は、生育期間が短くなって落ち込むほか、アジア・モンスーン地域やアフリカも悪影響を受ける。その場合、アメリカとアルゼンチンだけが備蓄の余裕のある穀物生産国として残り、アメリカは全世界に対し第2次世界大戦直後をしのぐ経済的、政治的支配力を持つに至るだろう」

 人は食料を奪われては生きてはいけない。食料供給を握ることによって、人の生死さえ左右できる。食料は、その点において武器となる。食料を依存する国は、どうしても供給国に従属的・硬直的にならざるをえない。

 食料自給率37%の日本は、戦後の食料支援に始まり、現在でも穀類を中心にアメリカに食料の3分の1を依存している。もはや日本は、アメリカの食料支配の下に対米追従型の経済発展を遂げてきた植民地といえる。

第3の武器を逆手に取った中国

 ところが、中国が今やろうとしていることは、食料を供給する側が、巨大な市場として依存していた相手国にそっぽを向かれることによって経済的な打撃を被るという、新しい武器としての使い方だ。

 第1段階の合意履行に向けての中国の動きは鈍い。今年中に大豆などの農産品を365億ドル分、液化天然ガス(LNG)をはじめエネルギーを約250億ドル分、購入するはずだった。ところが、今年1月から5月までの輸入額は農産品で75億ドル、エネルギーは8億ドルにとどまっているとされる。それぞれ目標値の20%、3%にすぎない。

 それどころか、6月1日には香港の対応をめぐって、中国政府が国有企業にアメリカからの大豆と豚肉の輸入を停止するよう指示している。農業生産者はドナルド・トランプ大統領の重要な支持基盤だ。第1段階の合意も、今秋の大統領選挙をにらんだものだったはずだ。これでは再選にも暗雲が漂う。

 それもこれも、南米の未開の地を田中角栄が大豆畑に変えた功績による。アメリカから受けた過去の“仕打ち”に始まって、結果的に米中冷戦における中国の兵站を担って味方していることになる。

 そういえば、日中平和友好条約を結んだのも、首相在任中の田中角栄だった。これも歴史の偶然だろうか。(一部敬称略)

 中国の「戦狼外交」が“眠れる巨象”インドをマジ切れさせた 

現代ビジネス 2020年7月14日(火)7時01分配信

45年ぶりに死者も

 いまから約1ヵ月前の6月15日に、標高約4200mのヒマラヤ山脈の中印国境沿いのラダック(Ladakh)地方ガルワン(Galwan)渓谷で、中印両軍による戦闘が起こった。

 インド側の発表や報道によれば、中国側が計画的に急襲を仕掛け、インド側の死者は20人、中国側は約40人に上ったという。中印の国境地帯の衝突で死者が出たのは、45年ぶりのことだった。

 7月に入ってようやく、中印両軍が係争地から撤退したが、インドの反中感情は、燃え立つ一方である。中国の「戦狼(せんろう)外交」(強硬外交)は、カナダやオーストラリアに続き、またしても地域の大国を敵に回してしまった。

 先週末に、ナレンドラ・モディ首相とも親交がある著名な在日インド人投資家のサンジーヴ・スィンハ氏とお会いした。彼は「インドの発展にとって中国は不可欠」としながらも、懸念を示した。

 「インド人は歴史的に反中感情を持っていますが、今回のラダックでの一件で、完全に火が付いた格好です。インド政府は、国境地帯の2km以内で銃や爆発物の携帯を禁止する国境交戦規則を中国と結んでいましたが、今回の衝突で一方的に破棄しました。『今後は現場の指揮官が裁量権を持って対応して構わない』としたのです。

 モディ首相も7月3日、ラダックを電撃訪問し、『歴史は拡張主義勢力の敗北や後退を目撃しており、全世界が不正行為に反対している』と演説。暗に中国を批判しました。モディ首相としても、新型コロナウイルスの蔓延やイナゴ被害などが深刻な中、中国と手を組んで国内経済をよくしたいという気持ちはあります。しかしいまのインドの国内事情は、とてもそのような雰囲気ではないのです」

 スィンハ氏の言わんとするところは、私にも理解できる。これまで中国は、「14億人の中国経済」という「打ち出の小槌」でもって、アメリカを除く世界を、何となく黙らせることができた。それが具現化したものが、習近平政権が進める広域経済圏構想「一帯一路」である。

 ところが皮肉なことに、新型コロナウイルスという世界共通の惨事によって、「中国の神通力」は相対的に弱まってしまったのだ。なぜなら、どの国・地域も、すでに中国の力ではどうしようもならないほど経済が落ち込んでしまっており、国境封鎖などで「一帯一路」もあったものではないからだ。

 加えて、当の中国も、第1四半期にマイナス6.8%成長となってしまい、他国を助けるよりも、まずは自国の経済復興を優先させねばならない状態だ。

 そうして中国にも余裕がなくなった結果、社会主義の「強権的な部分」が露呈するようになった。各国に対する「戦狼外交」や、香港に対する国家安全維持法などである。

 これによって、民主国家や地域は、急速に中国との関係を再考し始めた。そして今回、5年以内に中国を抜いて世界一の人口大国になると言われるインドが、その列に加わったのである。折りしも、昨年5月に再選されたモディ政権もまた、「ミニ習近平政権」のような「戦狼外交」を展開中だ。

急速に広がる中国排除の動き

 6月29日夜8時47分、インド政府は緊急発表を行った。「インド政府は、インドの主権と統合、インドの防衛、国家の安全と公共秩序を害する59種類のモバイルアプリを禁止する」と題した通達だ。

 「害悪アプリ」に指定されたのは以下の通りで、TikTokを始め、すべて中国系のアプリだった。

 この他にも、インド首都圏のホテル協会が加盟している約3000ヵ所のホテルに、中国人の宿泊禁止を通達。中国企業のインドでの道路工事参入禁止も発表された。これからも「中国排除」の動きが、ますます広がっていきそうな雰囲気だ。

 7月7日には、ロイター通信がインド発で、6時間続いたという6月15日の恐るべき「中印果たし合い」の様子を報じた。殺された兵士13人の親族を取材し、加えて兵士5人の死亡診断書を閲覧したものだという。重火器による戦闘を禁じる中印協定があるため、殺戮は極めて原始的なものだった。

「息子は暗闇の中で金属製のくぎで喉を切られた」
「兵士のうち3人は首の動脈が切断されていた」
「2人には頭部に鋭利もしくは先のとがった物体による傷があった」
「丸腰のインド兵は鉄棒や釘の付いた棍棒を持った中国兵に襲われた」
「一部の(インド)兵士は急流のガルワン川に突き落とされた」……

 インド側の説明では、大量の屈強な中国兵が突如、襲いかかってきたとのことである。

 だが、なぜ突然、中国側がこうした行為に及んだのかは不明だ。中国側は後述するように、まったく異なる発表をしており、非は全面的にインド側にあるとしている。

 中国ではある噂が立った。それは、「最高司令官である中央軍事委員会主席の誕生日を祝勝するために武功を立てようとした」というものだ。確かにこの日は、習近平主席の67歳の誕生日だった。

とんだ誕生プレゼント

 実は、最高司令官の誕生日を巡る中印の争いには、過去に因縁がある。

 2014年9月17日、この日64歳を迎えたモディ首相の誕生日を祝うため、習近平主席が、モディ首相の故郷であるクジャラート州のアーメダバード空港に降り立った。モディ氏はその4ヵ月前に第18代インド首相に就任したばかりで、中国はこの新指導者を取り込もうと躍起になっていた。

 空港に出迎えたモディ新首相に、習主席がにこやかに語りかけた。

 「7月に(BRICS首脳会議が開かれた)ブラジルであなたに初めてお目にかかった時、次は9月にあなたの誕生日を、あなたの故郷で祝おうと言った。私は今日、その時の約束を果たしに来た」

 するとモディ首相は、堅い表情で、ぶっきらぼうに返事をしたのだった。

 「あなたはとんだ誕生プレゼントを私にくれたものだ。これがチャイニーズ・スタイルというものか?」

 習主席は、モディ首相の発言の意味が分からず、きょとんとした表情をした。するとモディ首相が説明した。

 「本日午前、中国軍がカシミール地方で、インド軍への攻撃に出た。攻撃は現在もなお、7時間にわたって続いている」

 中国人民解放軍の最高司令官である習近平主席は、そんな命令は下していないし、かつこの事実を知らされていなかった。そこでその場で直ちに「戦闘停止命令」を出したが、この時の訪印は、のっけから気まずい雰囲気になってしまった――。

 それから6年後、今度は習近平主席の誕生日に、45年ぶりの死者を出す中印の激しい戦闘が起こったのである。6年前に「インチ(inch)の関係」(インドとチャイナの関係はインチのように近接している)などとモディ首相がジョークを飛ばしていた頃が、いまや遠い昔に感じられる。

中国国防部の主張

 中国は、外交部が平日に毎日開いている記者会見で、「6・15事件」に関する中国側の見解を述べている。だが中国国内においては、国防部(人民解放軍)の方が外交部よりも実質上、「上位」にあるため、外交部は国防部から提出されたものだけを発表しているにすぎない。

 では国防部は何と言っているかといえば、6月24日、月に一度の定例会見で、呉謙新聞局長(大佐)は、こう述べた。

 「中国はガルワン峡谷地域に主権を有している。多年にわたって、中国の国境隊は常に巡回を行ってきた。今年4月以来、インド国境警備隊は一方的に当該地域に施設を建設した。中国側はそれに何度も抗議し、交渉を要求してきた。

 5月6日明け方、インド国境部隊は中国の領土の建設物に進入し、中国側の正常な巡回を妨害した。すなわち一方的に国境の現状を変更しようとしたのだ。

 中国側の国境警備隊は、必要な措置を取らざるを得なくなり、現場の応対と国境地域のコントロールを強化した。そうして中国側が強く出たことで、双方は多くのルートを通じたやり取りを経て、6月6日、両国の国境警備隊は初めての軍長級の会談を行った。

 そこで双方は、しっかりした措置を取り、国境地域の状況を緩和させることで合意した。インド側は、ガルワン峡谷の河口にある巡視修繕施設を越えないことを承諾し、双方は現地指揮官の会談を通して、互いに軍部隊を撤退させる件について定めた。

 ところが驚くべきことに、6月15日晩、インドの国境警備隊は公然と、双方が達成した共通認識に背いて、再度実効ラインを越え、中国側を挑発したのだ。中国側の官兵が現地で交渉にあたっていると、突然インド側の暴力的な攻撃を受けた。

 これで双方の官兵が激烈な衝突となり、死亡者が出た。中国の国境警備隊は果断に自衛の措置を取り、インド側の暴力行為に対し、決然と反撃。効果的に国家の主権と領土を死守したのだ。

 この事件は完全に、インド側の共通認識違反によるもので、一方的な挑発が引き起こしたものだ。完全に双方が認可した実効支配ラインの中国側で発生したものであり、責任は完全にインド側にある。中国はインドに当事者の厳罰、一線部隊の厳格なコントロール、そして二度と類似事件が発生しないことを要求する。(以下略)」

 このように、中国側の主張は、冒頭に紹介したインドのそれとは、完全に異なっている。

新設の民兵組織

 真相はいまだ藪の中だが、この戦闘から3日後の6月18日、中国国防部総参謀部が主管する『中国国防報』が、一面トップで、意味深な長文記事を掲載した。

 見出しは、「チベット軍区が新型の後方軍備能力建設を強化し応急応戦能力アップ 5つの新たな民兵隊伍が保障の輪に組み込まれた」。記事の要旨は、以下の通りである。 

 〈 某型の民用ヘリコプター編隊が爆音を立て、各式の特殊車輛が轟音を響かせてやって来た。数百人の筋骨隆々たる専門家が首を上げて隊列する……6月15日午前、チベットのラサ。雪鷹空中巡邏隊、雪鴿極地通信隊、雪狼極限攀登隊、雪狐高山快反隊、雪獒高原抗撃隊の5つの民兵の新組織は、武装した姿を見せ、軍地のリーダーから軍旗を授かり、閲兵を受けた。

 民兵の新たなパワーは、保障された輪に組み込まれ、民兵隊伍組織の功能は多様化する軍事任務の需要に一層近づき、陸軍を主とする各軍兵を全面的にカバーする支援の保障となった。これはまた、チベット軍区の後方軍備能力建設が多くの要素を融合し、立体式に推進していく新時代に入ったことを示すものだ。

 チベットの後方軍備能力の発展の過程を振り返ると、民兵の隊伍がチベットを解放し、国境地帯を保衛し、高原などで切磋琢磨を積み上げてきた。それらが書かれた書面は、無から有へ、弱さから強さへの壮麗なページだ。

 新たな歴史の起点の上に立って、チベット軍区の共産党委員会のトップは、隠れた使命を組み合わせて履行していく。積極的に地域の良質な人材装備資源を後方軍備方陣に組み込み、地方経済社会発展の成果である良質化された後方軍備能力システムの精兵の道を切り拓いたのだ。

 雪鷹通用航空、中国移動通信チベット、チベット聖山登山探検サービス、チベット華泰竜鉱業開発、恩波格闘クラブなど、一連の任務の需要に合った大型企業や民間パワーが力を発揮し、各自の特長に基づいて専門の隊伍を組織し、改革の春風を伴って国防建設の部隊に登場した。

 今回の軍旗の授与は、高原の後方軍備能力が脱皮していく新生の一つの縮影にすぎない。(2017年10月の)第19回中国共産党大会以来、チベット軍区は大きく転向が図られ、堅強な民兵隊伍が力強く編成され、民間の国防動員の潜在力が戦闘力に蓄積される。民兵の中の専門家は不断に増加しており、兵士の経験があったり学歴が高かったり、高い技術を持っていたりという人材が、民兵の方陣に入列してきている。

 軍旗授与の儀式後、5つの民兵新分隊のメンバーたちは、それぞれ宣誓をし、必ずや専門的な利点を発揮し、国防分野で功績を立てるだろう。そして自身を、空中俯瞰の「千里眼」、智能敏捷な「順風耳」、快速救援の「急先鋒」、反抗一撃の「鉄拳頭」、そして維持安定の「刀尖子」に変えていくだろう。

 平時のサービス能力と急時の応急態勢、戦時の応戦能力をアップさせ、国家の主権と安全、発展する権利を死守し、社会の安全と安定を維持、保護し、経済社会の発展を促進する中で自己の使命を負っていくのだ。

 毛沢東主席は、「戦争の偉大な力の最も奥深い根源は、民衆の中にある」と指摘した。習近平主席も、こう強調している。「形勢がいかに発展していこうとも、人民戦争という貴重な手法は、永遠に捨てがたい。新時代の条件下で人民戦争の新たな特長と要求を把握し、内容と方式を、方法を一新し、人民戦争の総合的な威力を十分に発揮するのだ」。

 歴史を継承し、未来を切り開く。社会経済の高速の発展と科学技術の突飛な猛進に伴い、総合的な国力は不断に上昇し、全国民の国防意識も不断に強化されている。民兵の建設は「尖端の湧き水」のように転化昇級し、後方軍備能力のシステムは持続的に良化している。中国の夢を死守するため、強軍の夢はさらなる信じるべき壁を提供していくのだ 〉

 人民解放軍の新聞だけに、勇ましい語句が並ぶが、要は新設の「民兵組織」を称えた記事である。

強力な中国戦士たちの正体

 記事中で具体的に、雪鷹通用航空、中国移動通信チベット、チベット聖山登山探検サービス、チベット華泰竜鉱業開発、恩波格闘クラブという5つの団体名が掲げられているが、頭の4つの会社は、習近平政権が掲げる「軍民融合政策」に則って、会社のシステムを人民解放軍に提供しているものと思われる。

 問題は、「恩波格闘クラブ」という聞き慣れない団体である。以下は、中国のネットで検索したり、本人のインタビュー映像から書き起こした情報だ。

 恩波格闘クラブは、四川省の恩波(Enbo)という人物(一説によると人民解放軍特殊部隊出身者)が、20年ほど前に同省に創設した中国最大の総合格闘クラブである。実際には孤児院のような施設を兼ねていて、四川省や付近の漢族や少数民族の孤児たちを受け入れている。

 現在のメンバーは、200人~300人程度。中国伝統の雑技団のように、幼少の孤児たちから大人まで、合宿生活を送りながら、総合格闘技の訓練を行っている。「強力な中国戦士の育成」がモットーで、最も優秀な「戦士」たちは、アメリカの総合格闘技の試合などにデビューしていく。

 恩波自身が、今回の事件に関して、中国のネットメディアにこう語っている。

 「国家の要請があれば、恩波格闘は勇気をもって、さらに困難な任務を完遂することを拒まない。数日前に起こった(インド兵との)衝突事件は、別に誉められるものでもない。私に聞かないでくれ。私も(人民解放軍に)聞けないのだから」

 ここからは推定だが、6月15日午前に、晴れて人民解放軍から「民兵」として正式に軍旗を授与された恩波格闘クラブの「戦士」たちは、その日のうちにインド国境警備隊と対峙するガルワン峡谷に派遣された。そこでは銃器の使用は禁じられているので、まさに恩波格闘クラブの「出番」だった。

 血気にはやる恩波格闘クラブのメンバーたちは、戦功をあげようと、一気呵成に攻め入った――。

 これは一般論だが、中国は徴兵制を敷いておらず、「一人っ子世代」の贅沢な若者たちは、人民解放軍に入隊しても、厳しい訓練についていけず、落伍する者が少なからずいるという。

 そうした中で、人民解放軍は苦肉の策として、恩波格闘クラブのようなハングリー精神旺盛な「戦士」たちを、富士山山頂より高い過酷なインドとの国境地帯に、トライアルとして配備してみた。その結果、今回のような事態を招いてしまったのではないか。

 恩波氏自身、恩波格闘クラブのメンバーが戦闘に参加したことは、否定していないのだ。そして人民解放軍は、もしかしたら少なからぬ犠牲者を出した恩波格闘クラブを称えるため、3日後の『中国国防報』の一面トップに掲載したのかもしれない。

 いずれにしても、後世の歴史家は、「中国とインドによる21世紀アジアの覇権争いは、2020年6月15日に始まった」と記す可能性がある。

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2020年7月17日 (金)

【藤井棋聖】17歳11箇月<初載冠>30年ぶり✍最年少記録更新!!

渡辺前棋聖「まじかぁ」ため息…藤井新棋聖を「すごい人が出てきた

デイリー 2020年7月17日(金)5時59分配信

 歴史を作った。将棋の藤井聡太七段(17)が渡辺明三冠(36=棋聖、棋王、王将)に挑戦した第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局が16日、大阪市の関西将棋会館で指され、2勝1敗で迎えた藤井七段が110手で勝利。今月19日に18歳の誕生日を迎える藤井新棋聖は、史上最年少17歳11カ月でのタイトル獲得となった。従来の記録は1990年の第56期棋聖戦で屋敷伸之九段(48)が達成した18歳6カ月で、30年ぶりの更新。新時代の幕が開いた。

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 渡辺前棋聖は「残念なところですけど、全体として競った将棋での負けなので仕方ない結果だと思います」と肩を落とした。

 第1、2局と同様に矢倉戦となり、序盤の駒組み段階では第2局をなぞる展開も。先手の渡辺前棋聖が事前研究を徹底、一度完敗した形を再び採用した格好だったが「いろいろ読めてない手が出てきちゃったかな」と厳しい表情で振り返った。

 タイトル戦登場35回を誇る実力者も終盤は徐々に劣勢に。最後まで懸命に粘ったが、的確な受けに頭を抱え、ピッタリとしのがれると「まじかぁ」とため息をつき、投了した。

 年下の棋士とのタイトル戦では初めての敗北。藤井新棋聖について「中終盤の指し回しにこっちが気づかない手が多かった」と評し、「すごい人が出てきたなという感じです」と舌を巻いていた。

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藤井新棋聖」にCM界からオファー殺到必至!高校卒業後に本格化

スポニチアネックス 2020年7月17日(金)5時00分配信

 ◇ 藤井棋聖誕生 史上最年少タイトル獲得(2020年7月16日)

 将棋ファンだけでなく、将棋を知らない人々の注目をも集める藤井。今後はテレビ番組や広告のオファーが殺到するのは間違いない。高校を卒業する来春以降に、こうした活動が本格化しそうだ。

 民放キー局のプロデューサーは「一番考えられるのは本人への密着企画。どのような生活をしているのか、知りたい人も多いと思う」と話した。別の制作担当者も「頭の回転の良さが分かる謎解きやパズルを解く番組ならば、本人に楽しんでいただけるのかなと思う。トーク番組は苦手かもしれないが、手練のMCなら彼の魅力を伝えられるかもしれない」と話している。

 史上最年少記録を次々塗り替える強さに加え、その謙虚さや笑顔が魅力だ。常に動じることなく、淡々とした受け答え。記録を塗り替えても「特に意識はしていません」とはしゃぐことがない。

 対局後のインタビューで使う「僥倖(ぎょうこう)」「望外」など高校生らしからぬ言葉や、タイトル戦で着用する着物を「思ってたより快適」という老成した雰囲気。一方で、対局から離れるとニコニコと10代らしい笑顔も見せる。王位戦第2局の会場となった札幌で行われた前日の会見では「おいしい食べ物が多いので楽しみ」と話していた。

 好感度の高さは、企業イメージを高めたい広告への起用に結びつく。広告代理店関係者は「子育てする親をターゲットとする商品である、知育玩具や教育関係の書籍への起用が最も可能性が高そうだ。あとは“目が覚めるコーヒー”や“集中力が上がるお菓子”などの効能系飲食物。過去に羽生善治九段も出演されていた。師匠の杉本昌隆八段との師弟関係もすてきなので、2人で地元の愛知の企業の広告に登場することもありえるのでは」と話した。

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藤井新棋聖今後どうなる?無冠棋士との対局では上座へ…

スポニチアネックス 2020年7月16日(木)19時48分配信

 将棋の第91期棋聖戦5番勝負第4局が16日、大阪市の関西将棋会館で行われ、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)に110手で勝利。通算成績3勝1敗で17歳11カ月でのタイトル獲得となり、史上最年少戴冠の新記録を樹立した。

 Q 呼び名はどうなる?

 A 段位ではなくタイトル名の表記に変更されるため、「藤井七段」から「藤井棋聖」になる。

 Q 立場は変わる?

 A 無冠棋士との対局では地元の将棋会館が会場となり、上座の権利を持つ。藤井は関西所属のため、地元は大阪市の関西将棋会館。棋戦によって例外あり。対局では上座に座った上位者が駒を出したり片付けたりする。駒は上位者が「王将」を使用する。

 Q スケジュールに影響は?

 A 来期の棋聖戦5番勝負で防衛戦を戦う。他のタイトル戦予選では原則としてシード権を得る。王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の場合は2次予選からの参戦となるが、藤井は昨期の成績ですでに最終予選となる挑戦者決定リーグからの登場が決まっている。一般的に対局日程の過密さは避けられる一方、予選を勝ち抜いて得られる対局料は0となる。

 Q 収入はどうなる?

 A 今回の棋聖戦の賞金額は非公表。今後の対局料に大きな変化はないが、イベントなどの出演料増加で結果的に収入アップ。日本将棋連盟の規定では詰め将棋作成料にも差があり、七段では1問3万3000円だが、タイトル保持者は1問5万5000円。藤井の場合、対局料・賞金に限れば過去2年連続して2000万円強。今年は3000万円台が予想される。

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相手と将棋に礼を尽くして…誰よりも深く下げる藤井棋聖の“お辞儀”

ABEMA TIMES 2020年7月17日(金)7時06分配信

 悲願を達成した勝利の瞬間、深々と頭を下げた。負けた時は潔く、勝った時は相手への敬意を表し、より深く。藤井聡太新棋聖(17)は対戦相手に、そして将棋に対して礼を尽くしてきた。通算185回目となった勝利のお辞儀。目の前にある盤よりもさらに低い位置まで位置まで下げた頭は、日本中を驚かす最年少タイトル獲得へと導いた謙虚さを示す、何よりの証拠だった。

 世の中の負けず嫌いが集まった、と言ってもいいようなプロの将棋界。当然、藤井棋聖も筋金入りだ。幼少期から、将棋に負けると大泣きして悔しがったというエピソードは、これまで何度も語られている。プロ入りしてからも、あどけなさが残る中学生時代は、対局中に自らの太ももを強く叩いたこともあった。今でも自身の劣勢、敗勢を悟った時は、がっくりと肩を落とす。

 プロ入り4年目で、わずか34敗(185勝)しかしていないが、がっくり過ぎるほど“がっくり”する様は、ファンにはお馴染みにもなっている。また、はっきりと敗勢になってからも、すぐに投了することはない。むしろ長い。大逆転を狙うというよりも、敗戦も受け入れるのに時間がかかるのだろう。詰将棋でも随一の能力の持ち主であることから、最終盤で自分が負けていることは、一目見ればわかる。それだけ「負ける」ことが受け入れ難いのだ。

 人は勝負事で、勝つ時よりも負ける時ほど人柄が出るという。ぎりぎりまで負けることに抗った上、ようやく気持ちの整理がついたところで「負けました」と、しっかり言う。日頃から取材をしている報道陣であればよく知るところだが、藤井七段は決して声が大きいタイプではない。カメラマンのシャッター音が重なるということもあるが、対局後に決まって行われるインタビューも、マイクがなければ到底聞き取れない。

 この点については、14歳2カ月でプロデビューしたころから、あまり変わらない。インタビュー慣れはしたのか、質問に対して答えるスピードは上がったが、ボリュームにはさほど変化がない。ただ、投了を伝える言葉は、相手に聞こえるようにはっきりと言う。実に潔い。

 将棋に対してどこまでも真摯であることは、対局後のお辞儀に最も現れる。とにかく低い、深い。戦いの最中は前かがみになり、盤にのめり込むような体勢になることも多いが、お辞儀した頭の位置は、盤より低い。対局者からすれば、後頭部どころか首筋まで見えるほどだ。

 負けた時は自分が先に頭を下げることになるが、勝っても負けても相手より先に頭が上がることがない。プロ入り以来、ずっと目標に定めてきたタイトル獲得が決まった瞬間も、その姿勢が崩れることはなかった。

 将棋に対して、努力して強くなるというよりも、共に生きて強くなっているタイプだ。生活の中に将棋があるのではなく、将棋の中に自分が生きている。そんな感覚すらある。将棋のことを考えている方が、ニュートラルなのかもしれない。「なくてはならないもの」というレベルを超えている将棋という存在について、感謝の心を忘れない。だから毎回、深くお辞儀する。

 将棋の強い「藤井くん」は、プロの棋士として活躍するに連れて「藤井さん」になり「藤井先生」になった。公式の場では段位をつけて呼ばれてきたが、今度からは「藤井棋聖」になる。もちろん、将来には竜王、名人といったビッグタイトルで呼ばれる時も来るだろう。ただその時が来ても、きっと「藤井くん」の時と同じく、礼を尽くしてまた深く頭を下げる。

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出待ち100人以上藤井新棋聖、何度も頭を下げる

日刊スポーツ 2020年7月16日(木)22時20分配信

 将棋の藤井聡太七段(17)は16日、大阪市の関西将棋会館で指された第91期棋聖戦5番勝負の第4局で渡辺明棋聖(36)を破り、対戦成績を3勝1敗とし、最年少の17歳11カ月でタイトルを獲得した。

 終局後、大阪市の関西将棋会館には100人以上が出待ちした。藤井が現れると、ファンから「おめでとう!」の声が飛んだ。タクシーに乗り込んだ藤井は律義に祝福の何度も頭を下げた。

 17年6月には、デビューから無敗で最多の29連勝を達成。プロデビューからわずか半年余りの中学生棋士が成し遂げた偉業は社会現象にもなった。今回の初タイトルをかけた戦いでの“第2次藤井ブーム”について藤井は「注目していただき、多くの方の声援をいただくのはうれしい」と冷静だ。

卓球 張本智和、藤井新棋聖は「勇気をくれる」同い年の快挙祝福

スポーツ報知 2020年7月17日(金)6時00分配信

 卓球男子の東京五輪代表で世界ランク4位の張本智和(17)=木下グループ=が16日、藤井聡太新棋聖の史上最年少タイトル獲得を受け、スポーツ報知に祝福のメッセージを寄せた。1学年上の藤井新棋聖とは、ともに中学生だった2017年末に本紙の対談企画で初対面。同世代で同じ競技者として大きな刺激を受けていた。

 藤井聡太さん、史上最年少でのタイトル獲得、本当におめでとうございます。たくさんの方の注目と期待を一身に受ける中で、その重圧を乗り越えてこのような素晴らしい結果を残されたこと、同世代として、また同じ競技者として自分のことのようにうれしく思います。

 (対談で初対面した)当時は将棋界で何十連勝もされているということで、本当に雲の上の人という存在に思っていました。ですが、実際にお話ししてみると好きな科目や苦手な科目に共通点があったり、意外と僕より足が速かったりと、とても親近感を感じました。お互いの競技にかける思いも含めて同世代として共感できる部分が多く、対談の中でいい刺激をもらえたのを覚えています。

 2017年に初めて「四段」の藤井さんにお会いして、今では「七段」。考えられないスピードで段位を上げられていくのをニュースでチェックしていました。僕自身がなかなか勝てない時期に、藤井さんのニュースを聞くたびに勇気をいただいていました。ただただ「すごいなあ」という思いと、僕ももっと頑張らなくてはと鼓舞される部分がありました。常にたくさんの刺激を受けている憧れの存在です。

 新型コロナウイルス感染拡大や大雨による各地の甚大な被害など、悲しいニュースの多い中で、今回の藤井さんのタイトル獲得は世の中を明るくするような、希望の光をくれる歴史的な勝利であったかと思います。改めて、本当におめでとうございます。今はお会いすることはかないませんが、いつの日かまた藤井さんとお会いして、将棋でお手合わせいただける機会が来ることを心待ちにしています。

 今の僕の最大の目標である東京五輪は延期となってしまいましたが、藤井さんのタイトル獲得を受けて、負けてはいられないぞ、といい刺激をいただきました。モチベーションを切らさずに前向きに練習に取り組み、五輪でのメダル獲得をより確実なものにできるように僕も頑張ります!(張本 智和)

  張本 智和(はりもと・ともかず)2003年6月27日、宮城・仙台市生まれ。17歳。両親の影響で2歳から卓球を始め、小学1年から全日本を世代別7連覇。16年世界ジュニア選手権優勝。初出場した17年世界選手権個人戦は8強。18年全日本選手権、ワールドツアー・グランドファイナルで史上最年少V。19年W杯準優勝。最新の世界ランクは4位。175センチ、65キロ。

  藤井七段と張本の天才中学生対談 15歳の藤井四段(当時)が将棋史上最多の29連勝を記録し、14歳の張本が世界選手権で史上最年少で8強入りを果たした17年の年末に実現。お互いの競技や「名人」「五輪金メダル」と将来の夢について語り合った。学校生活などにも話題は及び、50メートル走のタイムで7秒5の張本を6秒8の藤井四段が上回る意外な一面も明らかに。

 80手目3八銀」…広瀬戸章人八段が見た藤井新棋聖の終盤力 

スポーツ報知 2020年7月17日(金)7時00分配信

 盤上に新時代が到来した。将棋の藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に挑戦している第91期棋聖戦5番勝負第4局が16日、大阪市の関西将棋会館で行われ、後手の藤井七段が110手で勝ち、対戦成績3勝1敗として初タイトルとなる棋聖を奪取した。17歳11か月でのタイトル獲得となり、1990年棋聖戦で当時18歳6か月の屋敷伸之九段(48)が樹立した史上最年少記録を30年ぶりに更新した。藤井新棋聖は現在進行中の王位戦で一気の2冠を目指す。

 一瞬のスキを突いた藤井さんの80手目△3八銀が非常に鋭い手で、とても印象に残りました。

 渡辺さんが直前に選んだ▲5三桂不成△同桂▲7三角成の変化は少し疑問で、飛車を逃げないで切り返した△3八銀が光りました。盤上の変化を正確に捉え、いろんな手を読めていないと指せない一手です。渡辺さんはどこかで▲7八玉と逃げたかったのですが、△3八銀で飛車を狙われたことで退路を封鎖され、捕まってしまいました。

 中盤までは少し劣勢を意識していたはずですが、盤面全体を使って局面を複雑化して戦機を待つ指し回しを貫き、実らせたセンスが素晴らしかったです。

 優勢になってからは負けにくい、リスクの少ない指し方を選んでいたのも今の藤井さんの力を表しています。もっと早い寄せもあったと思いますが、手堅くまとめたのは、多くの経験を積んで得た強さだと思います。

 今、ほとんどの棋士が自分より藤井新棋聖の方が上だと思っています。だからこそ、誰もが挑戦者として向かっていく構図になる。でも、藤井新棋聖はどこから攻略していくかの糸口がとても見えにくい棋士に成長しています。(広瀬章人八段)

 80手目3八銀」…山崎隆之八段が見た藤井新棋聖の終盤力 

スポニチアネックス 2020年7月17日(金)6時00分配信

 棋聖戦第4局を山崎隆之八段(39)が解説した。藤井が四段昇段するまでの修業時代、奨励会幹事を務め、その成長を見守ってきた。同じ関西のトップ棋士は、近い将来の複数冠を予言した。

 指されて分かった、「コロンブスの卵」のような80手目[後]3八銀。寄せが空振りになるとひどい手になる危険性がある。また、渡辺馬に8二の飛車を取られると怖い藤井陣です。横っ腹ががら空きです。飛車取りに対応するのが普通ですが、[先]5九飛、[後]8六桂とわずか3手進んだ局面は全く違った景色に見える。渡辺王が狭い。その終盤力を見せつけられました。

 奨励会幹事を務めた4年間、藤井新棋聖は1級くらいから四段まで駆け上がった。確か二段の頃、対局中に見回っていると膝をバシッと叩く。相手王を詰ます寄せを逃したわけではない。最短手数で詰ます最善手ではなかったことで自ら熱くなった。本来なら注意すべきところですがその熱さを好ましく感じ、2回目をやったら注意しようと決めていましたが、その前に四段に昇段してしまいました。

 藤井新棋聖には相手を強くする効果がある。見られているという緊張感でしょうか。対局する度にネット中継などがあって注目度が高いので、序中盤から重圧がある。「こういう感じならいけるかな」から「こうやってこうなったら勝てる」とより具体的に準備する必要がある。第3局、勝った渡辺2冠は初手から王手をかける90手目までの局面を研究したとか。そんな人たちを相手にするのだから、藤井新棋聖は対局の度に成長します。

 この日も渡辺2冠がしっかり対策を練ってきました。それが昼食休憩後、金取りに打ち付けた桂。ひと目、自らの飛車の利きを閉ざして、いかにも打ちにくい。渡辺ペースでしたが、そこから藤井新棋聖は攻め合って勝ち切ってしまうから驚きです。

 死角が見当たりません。昨年11月、王将戦の挑戦者決定リーグ最終局で広瀬章人八段に敗れて以降、持ち時間の管理にシビアになった。トップ棋士相手でも、持ち時間の切迫にも動じなければどう崩せばいいのか。トーナメントの1回だけなら勝てるでしょう。5番勝負で3回、7番勝負で4回勝てるイメージが湧きません。タイトル戦に出続けるようになって次々獲っていくのが自然に思えます。

 “ラスボス”豊島名人竜王「藤井新棋聖常識外れ成長法」語る 

スポニチアネックス 2020年7月16日(木)20時13分配信

 世間以上に棋界は驚いている。藤井聡太七段の急成長に対してだ。渡辺から棋聖位を奪った今、ゲームの最後に待ち構えるボスキャラ「ラスボス」的存在の豊島将之竜王・名人(30)は言った。

 「いつ獲ってもおかしくないし、いずれとは思ってましたが、思ったより早かった」。そう祝福した後、自身との対局へ向け「成長していくスピードが(周りと)違う。どうしたらいいのかな」と戸惑いに似た言葉をつないだ。藤井に過去4戦負けなしの第一人者も認める成長力。同様の光景を3年前、我々は確かに見たはずだ。

 四段になって迎えた2016年、加藤一二三・九段戦から始まるデビュー以来の29連勝。プロ入り後の「第1次成長期」がこの連勝中とするなら、「第2次成長期」がコロナ禍で6月2日まで対局がなかった52日間だろう。忘れがちだが棋士と学生の二刀流。その間、将棋一本で取り組めたのではないか。

 デビュー当初から光ったのは終盤での強さだった。詰将棋解答選手権5連覇が示す、相手王を詰ます能力。将棋はどれだけ大差がついても一方が投了するまで勝利は確定しない。野球なら10点差が開く内容でも、3点を追う9回2死満塁が延々続く。一打逆転が常にあるから抜き出た終盤力は本当に心強い。

 一方、序中盤には、経験不足による粗さがあった。それが、最近は改善傾向。多くの棋士が指摘するのが「仕掛けの巧みさ」。先手必勝でペースをつかみ、そのまま勝ち切る将棋が増えた。隙がなくなった。

 この急成長を支えるのは、相手の研究や得意戦法に飛び込んでいく姿勢だ。勝利を求めるなら、相手の得意戦型を避けるのが当たり前。藤井はあえて、そこに飛び込んで最善手や対応策を取り込む。最も学習効果の高い実戦という舞台で、相手の強みを吸収しているのだ。この“常識外れ”とも言える成長法は羽生善治九段のスタンスに近い。

 史上最年少の14歳2カ月でプロ入りした後も成長を続け、史上最年少の17歳11カ月でタイトルを奪った藤井。今年度を終える頃、3冠もありうるのではないか。

 史上最年少名人 谷川九段藤井棋聖控えめに言って4の一角 

神戸新聞NEXT 2020年7月17日(金)8時00分配信

 デビューから初タイトルまで、藤井聡太新棋聖(17)が要した時間はわずか3年9カ月。「普通はプロ入りしてから一度や二度、壁にぶつかるものですが、まったくそういうことがないですよね。今は控えめに見ても棋界4強の1人と言える」。新たな最年少記録を加えた若きスターの強さに、21歳2カ月の史上最年少名人の記録を誇る谷川浩司九段(58)=神戸市東灘区=も舌を巻く。

成長続ける棋界4強の1人

 藤井新棋聖はプロ入り以降、年間勝率が常に8割を超える。「順位戦で昇級できなかったこと、王将戦リーグで挑戦を逃したことはあるが、そうした経験を生かして成長し続けている」

 緊急事態宣言発令で2カ月間、長距離移動を伴う対局が制限された。「研究会もできず、棋士それぞれがどのように過ごすか問われた」(谷川九段)期間を経て、以前にも増して勝ち続けた。16日の勝利で2020年度は16勝2敗、勝率は8割8分9厘。「自分の将棋を見つめ直す良い期間になったのでは」と推測する。

 王位戦7番勝負(神戸新聞社主催)第1局では立会人として、木村一基王位(47)との激闘を見届けた。「和服での立ち居振る舞いは自然。時間の使い方もめりはりがあって理想的だった」と高く評価する。「結果だけではなく将棋の内容も素晴らしい」として豊島将之竜王・名人(30)=尼崎市、渡辺明二冠(36)、永瀬拓矢二冠(27)の名を挙げ「当面は4人によるタイトル争いが続きそう」とみる。

 もっとも、まだ17歳の藤井新棋聖が今以上に力を伸ばすのは確実だ。「彼の若さは最大の長所と言えるでしょう。他の3人が同じようにレベルアップするか、藤井新棋聖ひとりが抜け出すのか…」。棋界の新星はこの先、どこまで大きくなるのだろうか。

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2020年7月16日 (木)

【バンクシー落書き】地下鉄車内の“新作”を速やかに消去。

 ロンドン地下鉄 バンクシーと知らず、清掃員が新作を消去 

BBC  NEWS JAPAN 2020年7月16日(木)11時32分配信

 覆面アーティストのバンクシーがイギリス・ロンドン地下鉄車内に描いた新作を、ロンドン交通局が消したとき、清掃員たちはバンクシーによる作品だとは知らなかったことがわかった。

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「マスクをせよ、さらば与えられん」と名づけられたこの作品は、ロンドン地下鉄のサークル・ライン車内に登場。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)から着想を得たポーズをとったり、マスクを着用したりしているネズミが多数あしらわれた。

「ほかの落書きと同様に」

 バンクシーは14日、インスタグラムで新作を披露した。しかし、この時にはすでに、ロンドン交通局(TfL)の清掃員たちによって作品は消されていた。

 TfLの情報筋は、バンクシーの作品が「TfLネットワークにおけるほかの落書きと同様に扱われた」と明かした。

「清掃員たちの仕事は、確実にこの地下鉄ネットワークをきれいにすることだ。現在の情勢を考慮すればなおさらだ」

マスク着用を促す

 バンクシーが投稿した動画には、清掃員の格好をした、バンクシーとみられる男性が映っていた。

 動画では男性が地下鉄の乗客にその場から立ち去るよう指示し、車両内のあちこちにネズミのステンシルアート(型紙にスプレーを吹き付けて絵柄を作成するアート)を施す様子が確認できる。

 この大胆な行動は、新型コロナウイルスが世界中に拡大する中、マスク着用を促すためのものとみられる。

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https://www.instagram.com/p/CCn800cFIbe/

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 TfLは声明で、「厳格な反落書きポリシー」に従い、「数日前に」この絵を消したとしている。

 ロンドンでは公共交通機関のすべての利用者はマスクを着用しなければならない。

 TfLは「フェイスカバー着用を人々に奨励しようとする気持ち」をありがたく思うとした。

「我々の顧客へのメッセージを新しいかたちで、適切な場所で伝えてもらう機会を、バンクシーに提供したい」

<解説>作品が消されることも計画の一部――トム・エドワーズ、BBCロンドン交通担当記者

 バンクシーが地下鉄車内での活動をソーシャルメディアで披露するよりもずっと前に、あの新作はふき取られ、掃除用クロスの染みになっていた。

 現在の情勢においては、地下鉄の清掃員が迅速かつ効率的に仕事をこなし、これほど迅速に作品をふき取ってくれたことは、おそらく心強いことだろう。

 落書きは(交通業界や多くの通勤客からは確実に)脅迫的で居心地の悪い雰囲気につながるものとみなされている。

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 もちろん、アートとして保存あるいは保護すべきだとの声もあるだろうが、それはいささか空論に過ぎる。

 以前、自分のアートをわざと破壊したことのあるバンクシーは、地下鉄車内で作品を描くことで何が起きるのか、よくわかっていたのだろう。

 作品が清掃員によって消されることも、この計画の一部だったのかもしれない。

地下鉄車内のバンクシー作品、ロンドン交通局が消去

美術手帖 2020年7月16日(木)10時13分配信

 バンクシーが自身のInstagramで公開した新作が、すでに消去されていることをBBCが伝えた。

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 バンクシーは、ロンドンの地下鉄(チューブ)車内でロンドン交通局の清掃作業員に扮した人物が次々と作品を描く様子を動画で公開。モチーフはバンクシーのアイコンでもあるラットで、マスクをパラシュートのようにして空を飛ぶ様子や、くしゃみをして飛沫を飛ばす様子などが描かれていた。

 しかしながら、ロンドン交通局はこの動画公開の数日前に、「厳正な落書き防止策」によってこれらを消去。同交通局はバンクシーに対し、「メッセージの新しいバージョンを、適切な場所でお客様に伝えられるよう機会を提供したい」としている。

 バンクシーロンドン地下鉄車内新作 マスク着用促す 

BBC NEWS JAPAN 2020年7月15日(水)14時22分配信

 覆面アーティスト・バンクシーによる新作が、イギリス・ロンドン地下鉄のサークル・ライン車内に登場した。くしゃみをしたりマスクで遊んだりするネズミなどが描かれた、マスク着用を促す作品となっている。

 バンクシーは14日、清掃員の格好をした、バンクシーとみられる男性が映った動画をインスタグラムに投稿した。

 動画では男性が地下鉄の乗客にその場から立ち去るよう指示し、車両内のあちこちにネズミのステンシルアート(型紙にスプレーを吹き付けて絵柄を作成するアート)を施す様子が確認できる。

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https://www.instagram.com/p/CCn800cFIbe/

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 ロンドン交通局(TfL)は「厳格な反落書きポリシー」に従い、「数日前に」この絵を消したとしている。

「マスクをせよ、さらば与えられん」と名づけられたこの作品には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)から着想を得たポーズをとったり、マスクを着用したりしているネズミが多数あしらわれた。

 中にはくしゃみをするネズミや、除菌ジェルをスプレーするネズミもいた。

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 また、運転席のドアにはバンクシーの名前が書かれた。

 動画の最後には、駅の壁に「私はロックダウン(都市封鎖)された」と書かれているのがわかる。直後に地下鉄のドアが閉まると、「でもまた立ち上がる」とのメッセージが現れ、英ロックバンド・チャンバワンバが1997年に発表した曲「タブサンピング」が流れる。

 ロンドンでは公共交通機関のすべての利用者はマスクを着用しなければならない。

 TfLは声明で、「フェイスカバー着用を人々に奨励しようとする気持ち」をありがたく思うと述べた。

「我々の顧客へのメッセージを新しいかたちで、適切な場所で伝えてもらう機会を、バンクシーに提供したい」

 BBCは今回の作品について、TfLがバンクシーと連携していたのかどうか、また、そうでない場合にはバンクシーの行為が安全保障上のリスクをもたらしたかどうかを問い合わせている。

 ブリストル出身のバンクシーは活動の初期に、地下鉄でネズミやサルをスプレーで描くことが多かった。

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バンクシー新作”はどんな作品専門家が読み解く

HUFFPOST 2020年7月15日(水)12時49分配信/吉荒 夕記(アートローグ主宰)

 早朝のロンドンの地下鉄。作業員に扮して窓や壁に水色の液体を吹きかけるのは、あの覆面ストリートアーティスト、バンクシーでした。

 約15年ぶりに残されたバンクシー自身のタグ(サイン)、「I GET LOCKDOWN」という言葉の向こうに隠されたメッセージとは?

 ロンドンでストリートアートを長年研究する美術家・吉荒夕記さんが、ハフポスト日本版に寄稿しました。

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新作は数分間で、走る地下鉄車内で描かれた!

 早朝のロンドンで、マスクとメガネ、白い防護服、完全防備で固めた男性が人気のない地下鉄車両に乗り込んだ。手には除菌剤を入れる容器を重そうに下げている。

 みるからに地下鉄車両を毎朝消毒してくれる作業員のようだ。次の駅から別の男性客が同じ車両に入ってきた。すると作業員は、近寄るなといわんばかりに手で彼を制御し、窓や内側壁に水色の液体を吹きかける作業を続けた。

 だが、広範囲に壁面に吹きかけた水色の液体で描かれた文字は…「Banksy!」

 なんと、作業員はあの覆面ストリートアーティスト、バンクシーだったのだ。

 ガタガタと揺れながら走る列車内、いつもの単調な車内アナウンスが流れるなか、クリーナーに扮したバンクシーは、何食わぬ顔で、手際よく、作業を続けた。

 アナウンスから、ベーカーストリート駅からユーストン・スクエアー駅までだとわかる。ものの数分だ。その間に残されたのは、水色のスプレーペイントの他、くしゃみをするネズミ。水色マスクを落下傘にして遊ぶネズミ。マスクにくるまってもがいているネズミを描いたステンシル作品。

ロックダウン中の自宅トイレにも現れたネズミたち

 周知のように、バンクシーが描く「ネズミ」は活動初期から登場する、アーティストである彼自身の分身だ。

 このネズミは、ロンドンはもちろん、パリにも、NYにも出没した。真偽はともかく東京にも現れた。

 ネズミを自らの分身に選んだのには、もちろん理由がある。この動物が人間社会の近くに住み、嫌われ者であり、かつ生命力があるからだ。

 バンクシーが活動を始めた1980~90年代、ストリートアーティストたちは、社会の負だと考えられていたし、日本で展覧会が開催されるようになった今も、その社会的認識が根強い。

 ネズミといえば、ヨーロッパでは中世に蔓延したペストと結びつく。

 イギリスでも、人口の半分を死に至らしめた疫病の原因として忌み嫌われる存在だ(現在は、ペスト菌の媒体はノミだとわかっているが)。2020年を生きるわれわれ現代人も、同じく疫病である新型コロナウイルスに対し、なすすべもなく、7月に入った今も収束の道筋がみえてこない。

 この疫病がイギリスで急速に広がリ始めた2020年4月、最初にバンクシーが公表した作品は、自主隔離(ロックダウン)中の自宅洗面所で鬱憤ばらしに、暴れまわるネズミたちの絵だった。

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 タイトルは、「家で仕事してると妻が嫌がるんだよね」。ここでもネズミと自分を結びつけていることがわかるだろう。

ロックダウンノックダウンに込められた思い

 6月に入って、英国政府がロックダウンを少し緩めるや、家から飛び出し、本来の活動の場である街に現れたバンクシーが最初に描いたのは、やはり自由に暴れ回るネズミたちだった。

 そして、その活動の場は、キース・ヘリングやバスキアなど、ストリートアーティストやグラフィティライターたちの制作の原点であり、駆け出しのバンクシーが挑戦した場であった地下鉄なのだ。

 今回の作品でも「Banksy!」の水色文字の脇に、まるでそれをスプレーしているかのようにネズミが天井からぶら下がっている。ここでも、ネズミはアーティストの分身だ。

 約15年ぶりに、バンクシーがタグ(グラフィティライターたちが残す自分の活動名のこと)を残しているのも興味深い。

 そうしたことから、コロナ禍で、バンクシーがアーティストとしての存在意義を自ら考え直しているとみても過言ではあるまい。このような状況下、アーティストならば必ずや、自分をみつめる精神活動をするのは自然だからだ。

 バンクシーの制作風景を映し出す映像の隅で、さきほどの男性乗客が唖然としてみている。目の前の作業員がまさかバンクシーだとは思いもしなかっただろう。アーティストは仕事を終え、車両を降りると、さっさと朝の風景の中に消えていった。

 マスクと覆面、除菌スプレー缶とスプレーペイント缶、環境の除菌作業と環境を汚すこと、コロナとペスト、分身としてのネズミとストリートアーティストとしての自分。

 いつもながら、彼の作品には、複雑に絡み合う象徴がある。噛めば噛むほどに面白い。

 もうひとつ重なる象徴を加えよう。「ロックダウン」と「ノックダウン」だ。

 映像の中で、バンクシーが姿を消した後、地下鉄プラットフォームの向こう壁には、

「I GET LOCKDOWN (おれはロックダウンさせられた)」の水色の文字が残された。

 次の瞬間、手前の地下鉄列車が閉まるとそのドアの内側壁には、

「BUT I GET UP AGAIN(でも、また起き上がってやるさ)」の文字が現れる。

 バックに流れる音楽は、イギリスの90年代アナーキーバンド、チャンバワンバのアップテンポな曲、「 I get up again(Tubthumping)」だ。

 その歌詞が水色スプレーのメッセージと重なる。

「I get knocked down,

But I get up again.

You are never gonna keep me down.

オレはノックダウンされた。

でも、また起き上がってやるさ。

オレをずっとダウンさせておくなんてできないぜ。」

 ところで、これは落書きだろうか? アートだろうか? 

 定義はどうあれ、彼の残したものには、その時やその環境と遊ぶユーモアがあり、今の現実社会へのまっすぐなメッセージがある。

 鬱屈した現状を笑い飛ばし、明日への元気をくれることは間違いない。

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関連エントリ 2020/05/07 ⇒ 【コロナショック】中国“支援”<不良品マスク>世界が激怒

 

2020年7月15日 (水)

【藤井七段】17歳<熱闘19時間>木村王位に逆転勝利!!

木村王位、藤井七段に連敗 勝ちバターンでプレッシャーから緩手連発

スポニチアネックス 2020年7月15日(水)5時30分配信

 ◇ 第61期王位戦7番勝負 第2局第2日(2020年7月14日 札幌市・ホテルエミシア札幌)

 第61期王位戦第2局2日目で藤井聡太七段(17)に敗れた木村一基王位(47)。投了後、紅潮した表情で虚空を見つめ「流れはいいのかと思っていましたが、一手間違えると攻め込まれたりする。プレッシャーをかけられていました」と無念の弁だ。

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 中盤、藤井の奇妙な一手を反動に優位を築く。最後は完全に勝ちパターンに入っていた。だが1分将棋に追い込まれ緩手を連発してしまう。感想戦では逃げ切り勝ちの手順を示され「そうか残っていたのか…」とうめき声を上げてしまった。

 大盤解説などのイベントではとぼけた口調でファンを楽しませることで有名だ。今年2月11日の朝日杯オープン戦では準決勝負け残りの藤井を相手に軽妙なトークを展開。若手時代にベテランと対局して不利になった場合、相手は終盤に絶対間違えるから諦めるなと指導されたエピソードを披露した後、藤井にも「ベテランの人はそろそろ最後に間違えそう、と思ってますか」と尋ね、さすがの藤井も「いえいえ」と苦笑いした場面があった。

 後日「あれはファンの皆さんが聞きたかったことを聞いただけで、いじる目的ではなかったんですよ」と説明したが、この日の王位戦はまさにその状況だったのがなんとも皮肉だ。

 タイトル挑戦7度目にして栄冠をつかんだ苦労人。百折不撓(ひゃくせつふとう)がモットーの「将棋の強いオジサン」には熱狂的ファンが多い。そういえば昨年の王位戦7番勝負も豊島将之王位(当時)に対し開幕2連敗から逆転戴冠の偉業を達成している。白旗を掲げるものでもない。

木村王位呆然…藤井七段「開き直って踏み込んだ」後手番で大逆転

中日スポーツ 2020年7月14日(火)20時50分配信

 大逆転劇だった―。最年少タイトル獲得を目指す藤井聡太七段(17)が、最年長タイトル獲得記録を昨年樹立した木村一基王位(47)に挑む将棋の第61期王位戦七番勝負(中日新聞、東京新聞主催)第2局は14日、札幌市厚別区のホテルエミシア札幌で指し継がれ、藤井七段が144手で制して開幕2連勝とした。第3局は8月4、5日、神戸市の有馬温泉・中の坊瑞苑で指される。

 劇的な幕切れが待っていた。午後7時40分「負けました」と投了を告げた木村王位。そのぼうぜんとした表情、宙をさまよう視線が、すべてを物語っていた。一方、大逆転勝利を収めた藤井七段は対照的に、冷静さを崩さなかった。

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 大苦戦に陥った将棋を「途中、かなり苦しくしてしまった。最後は開き直って踏み込んだ」と振り返った藤井七段。第3局への抱負を聞かれ「きょうの将棋を反省して第3局に生かしたい」と言葉を継いだ。大優勢の将棋を落とした木村王位は「寄せ損なった。チャンスはあったと思うが」と唇をかんだ。

 シリーズの行方を占う上で大きな意味を持つ一戦だった。後手番でブレーク(タイトル戦の後手番で勝つこと)できたのは大きく、将棋史に刻まれる「最年長VS最年少シリーズ」は、天才少年が一歩リードした。とはいえ、木村王位は「百折不撓」を体現する希代の勝負師。戦いはここから佳境に入る。

 盤上は木村王位がエース戦法の「相掛かり」を採用すると、局面は26手目に早くも未知の領域に突入した。木村王位が角道を開けていないのを見て、藤井七段が相手の飛車に当てながら角を4四に上げたのが、ドラマの始まりだった。互いの構想力が問われるなか、2日目は藤井七段の封じ手が読み上げられてスタートした。

 形勢は歩損の藤井七段が終始忙しく、攻めさせられる展開に。ここで木村王位が受けの妙手を放ってペースを握ると、形勢は大きく傾いた。ところが、ここから藤井七段が渾身の勝負手を連発すると、局面はもつれだし、最後に思わぬドラマが繰り広げられた。両者とも8時間の持ち時間を使い切り、1分将棋となる大熱戦だった。

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 過密日程に加え、初の2日制対局となった第1局は、さすがに2日目に疲れを感じたという。12日の前日会見では「自分なりに集中力を保てるかが課題。分かってきたこともあるので、ペース配分をしたい」と語っていた高校生棋士。その言葉通り、集中力を切らさなかったからこその逆転劇だった。一回り成長した姿を見せてくれた。

 ダブルタイトル挑戦となっている藤井七段。渡辺明棋聖(36)=棋王・王将と合わせ3冠=に対し2勝1敗と初戴冠に王手をかけている第91期棋聖戦か、この王位戦のいずれかを制すれば、屋敷伸之九段(48)が持つ最年少タイトル獲得記録18歳6カ月を上回る。

 藤井七段激闘大逆転王位戦連勝で載冠まで 

スポニチアネックス 2020年7月15日(水)5時30分配信

 挑戦者の藤井聡太七段(17)が14日、大逆転でシリーズ2連勝を飾った。札幌市のホテルエミシア札幌で行われた王位戦第2局2日目で、防衛を目指す木村一基王位(47)に終盤追い込まれたが、決死の勝負手連発で土俵際でひっくり返した。8月4、5日に兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で行われる第3局で「王手」を狙う。 

 王位戦の歴史に残る激闘かもしれない。144手目で30歳年上のチャンピオンが頭を下げる。マスクの奥に上気した表情を隠した藤井も息絶え絶えだ。「常に厳しく攻められて苦しかった。最後は開き直って踏み込んだが、最後まで分からなかったです」。苦闘を制した余韻が言葉の節々に漂っている。

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 明らかに劣勢だった。特に終盤は敗色濃厚と言ってもいい。穏やかな中盤戦から、9筋に回っていた飛車を角の頭に1マス分だけ突くという奇手を見せる。眼鏡を外して驚きの表情を見せた木村は、その飛車を自陣に誘うように角を逃し、さらに自らの飛を一段目に落として守備を固める。このおしゃれな対応から藤井は徐々に窮地に陥っていく。

 差が広がりつつある中で「開き直った」のは、相手王とは逆サイドに位置する飛車への攻撃だ。とにかく執拗に大駒を追い回し、無力化に成功させる。だが依然として自王は心もとない。約1年ぶり、自身5度目の連敗はほぼ間違いない状況だった。

 かつて藤井はソフトの評価値に触れて「たとえ2500点差でも自分は諦めません」と明かしている。2500点差はほとんどの棋士が投了を認める状態だ。それでも藤井はかすかな可能性に懸ける。「とにかく状況を複雑化するんです」。その言葉通り、木村の寄せに絶妙な対応を見せる。「千駄ケ谷の受け師」の意趣返しのような信じ難い粘りだ。それも身を削るような秒を読まれながら。

 気がつけば木村の方が先に1分将棋となる。慌てて藤井王の横腹に打った歩で体が入れ替わった。相手の動揺ぶりは斜めに乱れた駒の姿に読み取れる。精神的にも優位に立った藤井は木村の王を挟み撃ちして勝利をものにした。

 肩で息をする史上最年少棋士。6月2日の対局再開後、43日間で15局(未放映の収録対局を含む)をこなす超過密日程のただ中にあって疲労感は隠せない。だからこそ、この逆転勝ちには大きな意味がある。「今日の将棋を反省して第3局に生かしたい」。少し謙遜気味の言葉にも貫禄の匂いがした。

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 《王位戦での開幕連勝 奪取率は69%》王位戦7番勝負で挑戦者の連勝スタートは、17年の菅井竜也七段(対羽生善治王位)まで13度。そのまま奪取に成功したのが4度のストレートを含む9度、保持者が逆転で防衛したのが4度となっており、奪取率は69%になる。なお木村は09年に挑戦者として深浦康市王位に3連勝で王手をかけたものの、悔しい4連敗を喫している(肩書は当時)。

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 《封じ手チャリティー》第1日の13日に藤井が記入した封じ手は3通。通常は2通で今回の追加分は日本将棋連盟を通じて希望者に販売し、売上金をチャリティーに提供することとなった。これは木村王位が札幌入りした12日に発案し、藤井を含め関係者の同意を得て実現したもの。対象は新型コロナウイルス感染対策に従事する医療関係者や今回の豪雨被災者が候補となっている。販売方法は後日決まるが、結果的には藤井のタイトル戦初封じ手だったこともあり、注目を集めそうだ。

 将棋と落語似たセンス(立川談笑) 

NIKKEI STYLE 2020年7月6日(月)7時47分配信

 将棋界が熱いですねえ。連日、藤井聡太七段の話題でもちきりです。そして、そんな将棋と落語はどちらも古くから伝わる日本の文化です。2つの世界は遠いようで意外に近い。今回は、落語的な視点から将棋の魅力に迫ってみます。

 3年前のこと。落語界ではちょっと困ったことがありました。というのも「新規で扇子が作れない」事態になったのです。我々が普段、高座で使うのは白扇。どんな演目にも邪魔にならないよう白の無地。よく見ると端に名前がちょこっとだけ書いてある。落語家それぞれがオリジナルデザインの手ぬぐいを作っているのは知られていますが、実は扇子も同様なのです。

配る白扇が確保できない

 特に真打ち昇進披露には必須で、のし袋に入った名入りの扇子を関係各位に配るのが恒例です。またほかにも、名刺代わりに使ったり、独演会で販売したり。ところがそれが作れない。私も困った本人です。いつも発注する扇子屋さんに問い合わせたら「いやあ、扇子の数が確保できないんですよ」と。

 扇子不足の原因は藤井聡太フィーバーなのでした。すい星のごとく現れた若き天才棋士の名入りの扇子が飛ぶように売れていて、日本中の在庫がみんなそっちに行っちゃったんだって。「あれあれ? 扇子なんて普段使いや日本舞踊用だとか様々あるだろうに、なぜよりによって落語家用の扇子が……?」と思ったら、棋士が使うのと落語家が使うのとは同一の規格なんですって。これは私も知らなかった。

 とまあ、今回はこんな無駄知識が続きますよ。わはは。落語家に将棋好きは多くて、昔の楽屋には将棋盤があるのが当たり前だったといいます。出番直前まで将棋を指していて「じゃ出番だからこのまま待っててね。すぐ戻るから」なんと言い残して高座に上がったりとか。

 その昔、東京・日比谷にあった東宝演芸場の楽屋にも将棋盤があったそうです。先日、それが現存するとの写真入りの新聞記事を目にしました。桂文我(かつら・ぶんが)師匠が保管されているという、その盤面の裏には名人たちの名前がずらり。古今亭志ん生、五代目柳家小さんなどなど。みなさん将棋が好きだったんですね。

 当時の同好会が「待った倶楽部(くらぶ)」。この名称は「あっと! その一手、ちょっと待った!」と、下手同士が対局する、いわゆる「へぼ将棋」で飛び出すセリフがもとです。そんな落語家らしい自嘲的な名をあえてつけているあたり、私なんかは逆に(ほほう。皆様意外に本気だったのね)とニヤリとしてしまいます。

 将棋は落語の演目の中にも登場します。

 筆頭が「浮世床」。床屋に町内の若い衆が集まって、いろんなことをしてうだうだしている。それだけの話です。将棋を指したり、本を読み聞かせたり、色っぽい恋の話をしたり。いくつかのシーンで構成されているので、高座では1シーンだけでもいいし、2、3シーン続けてもいい。時間調整には持ってこいの話でもあります。本と将棋の部分を演(や)ったときには楽屋のネタ帳に「浮世床 本~将棋」と記録されます。

 本編はこんな感じ。夢中で将棋を指している二人の会話です。

「そっちの持ち駒はどうだい?」「えーと、金、銀、王と歩が3枚かな」「金、銀、王に、歩が3枚か。となると、こっちは……」。わはは。まさにへぼ将棋。だらだらと楽しいだけの時間が過ぎていきます。

「将棋の殿様」という古典落語もあります。将棋に凝ったお殿様が、文句が言えない家来たちを相手にわがまま三昧の対局で勝ち続ける話です。今風にいうならパワハラ将棋。そして最後には立派な家来に痛烈なしっぺ返しをくらいます。

 この落語を初代三笑亭可楽(さんしょうてい・からく)が将軍・徳川家斉の前で語った、などという逸話が残っていますが、私は眉唾だなあと思っています。初代可楽は200年ほど前の江戸落語草創期の人。初代立川談笑も同じころ活躍しました。

しかたなかばし神田橋

 話は変わりますが。素人が将棋を指しながら何事かつぶやく。あれが大好きです。盤面に集中しながら、その時々の気分で適当なことを口に出す。「おおっと、そう来ましたか。それならこちらは、思い切って……」なんて。いい年したおじさんたちが妙に無邪気に見える瞬間でもあります。そしてそんな時に使われる定番のセリフがあるのです。江戸前の軽口。さしたる意味もないのに何か言いたいだけ。バカバカしい中から、大好きなものを紹介します。

「あららー。それ見たことか。『みたかなかのきちじょうじ』、と」

 三鷹、中野、吉祥寺。中央線づくしの軽口は意外に新しいのかもしれませんね。ずっと古いところでは、「仕方ないな。『しかたなかばし神田橋』」江戸では多用された軽口でした。なんなら今でも口をついて出る人がどこかにいるはずです。「仕方ない」に中橋をかけた軽口。中橋とは、早くに撤去された後も長くその存在が語られた橋だとか。中橋の「いまはもう『ない』」のイメージを引きずりつつ、まるで関係のない神田橋まで引き連れてくる。いわゆる「ノリ」です。いいフレーズ。軽口をあとひとつ。

「さあて。『どうしてくりょう、さんぶにしゅ』」

 どうしようかと迷った時の決まり文句です。「どうしてくれよう」と「くりょう(九両)三分二朱」をかけています。江戸時代の金銭勘定で、10両のほんのわずか手前が9両3分2朱。「十両盗めば首が飛ぶ」として10両以上の盗みは死罪にあたる時代の「十両」は大きな区切りでした。手前ぎりぎりで寸止めするのが、9両3分2朱。生きるか死ぬかの瀬戸際っぽい言葉遊びとして面白がられたのでしょう。

 最後に、江戸情緒と将棋にまつわる歌。「とっちりとん」というスタイルの歌がはやりました。言葉遊びをふんだんに取り入れた技巧的な歌詞を三味線にのせて歌う、粋で陽気な歌です。そのひとつ、「将棋のとっちりとん」を紹介します。将棋にまつわる言葉遊びが詰め込まれています。さて、いくつわかりますか?

 将棋さす手を つくづく見ればやっぱり恋路も同じことこの手できくのか、きかぬのかししゃをとばして呼び出しかくの次第をこまごまと語れど、先の腑(ふ)に落ちずとんだ桂馬にはねられて無駄に使った金銀はつまらないでは ないかいな チャチャン、チャン、チャン!と。ええ、おやかましゅう!!!

立川談笑1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

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2020年7月14日 (火)

【自粛から自衛へ】東京都「市中感染本格化」✍感染者の一部と連絡取れず

東京感染者の一部と連絡とれず 菅官房長官「詳細を都に確認中」

毎日新聞 2020年7月14日(火)12時30分配信

 菅義偉官房長官は14日午前の記者会見で、東京都で新型コロナウイルスの感染者の中に「(検査で)陽性の結果判明後に連絡が取れない方が含まれる」と明らかにした。政府は具体的な人数を把握しておらず、菅氏は「(所在把握は)自治体の責任でやっていただいている。厚生労働省から東京都に対し、調査など状況の確認を求めている」と説明した。

 東京都は13日時点で、療養中の感染者の内訳について▽入院651人▽宿泊療養80人▽自宅療養258人▽入院・療養等調整中396人と発表している。このうち「入院・療養等調整中」の中には、前日に陽性が確認された感染者を中心に宿泊療養の調整などを行っているケースが多いが、連絡が取れなくなった感染者もいるという。

 菅氏は「入院・療養などの調整を行う保健所の職員の増強などの体制整備や宿泊療養先の確保などの取り組みを改めて求めつつ、必要な支援を国としても行っていきたい」と述べた。

歌舞伎町ホストクラブは店名非公表、鹿児島ショーパブは公表、何故コロナ感染で自治体対応うのか

デイリー新潮 2020年7月14日(火)11時02分配信

SNSでも疑問の声

 読売新聞・西部版が7月6日の朝刊に掲載した「新型コロナ 福岡のスナック クラスター発生」には興味深い記述がある。主要部分を引用させていただく。

 ***

《鹿児島県では13人の感染が判明。いずれもクラスター(感染集団)が発生した鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」絡みで、11人が客、残りの2人が客の濃厚接触者などだった。同市などによると、同店に関わる感染者は80人を超えており、厚生労働省のクラスター対策班が今後、感染経路などを調査する》

《福岡市では6人の感染が判明し、このうち男女4人(20~50歳代)は福岡市中央区の会員制スナックの利用者だった。この店ではこれまでに客ら3人が感染しており、市はクラスターが発生したと認定した。また、別の20歳代女性は「NEWおだまLee男爵」の客の濃厚接触者の友人という》(註:全角数字を半角数字に改めるなど、デイリー新潮の表記法に従った。以下同)

 2軒の店が記事に登場する。1軒が鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」で、もう1軒が福岡市の《会員制スナック》だ。

 一方は店名が公開され、他方は匿名となっている。「NEWおだまLee男爵」の店名を報道したのは読売新聞だけでない。朝日新聞や産経新聞、共同通信、九州のブロック紙である西日本新聞、もちろん地元紙の南日本新聞も明記した。

 一体、この差はどこにあるのだろうか。どうも地方自治体によって、公表内容が違うようなのだ。次にご覧いただきたいのは時事通信が7月7日に配信した「東京で新たに106人感染 6日連続3桁―新型コロナ」の記事だ。

《都によると、106人中、23人は接待を伴う飲食店などの「夜の街」関連で、34人は感染経路が全く分かっていない。年代別では20代(43人)と30代(27人)で7割近くを占めている。累計感染者数は6973人》

 この記事はYAHOO! ニュースにも転載され、7月10日現在、5236件のコメントが投稿されている。最も共感を呼んだものをご紹介しよう。

《これだけ感染をさせまくっているのに、なぜ店名公表と営業停止を行わないのでしょうか? ホスト・キャバにそこまで気を使う必要があるのでしょうか? まったく意味不明です》(註:改行を省略するなどした。以下同)

 東京都内では「夜の街クラスター」が猛威を振るっている。その結果、少なくともSNS上では「ホストクラブやキャバクラの店名を公開すべきだ」という意見が圧倒的に多い。

 公開を求める投稿する際、「NEWおだまLee男爵」の店名を使ったツイートもあった。時系列でご説明しよう。

 発端はNHKの報道だった。同社のニュースサイトNHK NEWS WEBは7月7日、「東京 秋葉原 メイドカフェの従業員 感染確認12人に 新型コロナ」との記事を配信した。

《従業員の感染が明らかになったのは、東京・千代田区にあるメイドカフェ、「@ほぉ~むカフェ」の「秋葉原本店」と「秋葉原ドンキ店」です》

 記事では店名が明記されている。NHKが独自取材に基づいて報じたことも大きい。だが、SNS上ではホストクラブやキャバクラの“対比”から、異論の投稿が少なくなかった。

5つの自治体に取材

《どうしてメイドカフェは店名報道されるのに、ホストクラブは店名報道されないんだろう? 》

《コロナ感染、、夜の街関連と一括りで責めない為に、鹿児島のおだまりLee男爵のように店名を公表すべきだ。新宿、池袋、横浜、大宮など感染が確認されたホストクラブ名を公表すべき! 》

 医療機関名は報道されることに注目したツイートもある。これも引用させていただこう。

《感染者でたら病院名は出るのになんでホストクラブは店名出ないんだよ》

 ご記憶の方も多いだろうが、東京都は病院名を公表したことがある。NHKが3月24日に報じた「感染拡大 都内で1日最多の感染者数 10代~70代の男女計17人 新たに1人死亡」からご覧いただく。

《東京都は今夜(24日)、記者会見を開き、10代から70代の男女あわせて17人が、新たに新型コロナウイルスに感染したことを確認したと発表しました。このうち2人は、台東区にある永寿総合病院(えいじゅ)に勤める30代の看護師の女性と、60代の患者の女性だということです。この病院では、きのう(23日)も70代の男性患者2人の感染が確認されていて、このうち1人が、きょう、死亡したということです》

 一体、地方自治体は公表に際して“規準”のようなものを作っているのだろうか。そこで北海道庁、東京都庁、神奈川県庁、愛知県庁、大阪府庁に取材を申請した。

 その際、文書で【1】医療機関は名前が公表されているケースが目立つ、【2】日本テレビやNTTデータなどの有名企業は自ら発表した、【3】飲食店、アルコールを提供する店、ホストクラブ、キャバクラ、風俗店などは店名が公表されないケースが多いような印象が強い――この3点を考慮した回答を依頼した。

 なお、保健所は都道府県や政令指定都市、中核市などに設置される。そのため、北海道なら札幌市、神奈川県なら横浜市、愛知県なら名古屋市といった自治体は都道府県とは異なる規準・判断で公表を行っている。

 その上で、まずご紹介したいのは、愛知県による文書の回答だ。同県は《県としての基準はない》とし、国の基本方針に準じていると説明する。

《厚生労働省が「一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針 令和2年2月27日付け事務連絡」において、新型コロナウイルス感染症についても基本方針を参考として情報公表するよう方針を示しているため、県としても原則その方針に則り公表を行っている》

 これに近い方針を取っているのは北海道、神奈川県、大阪府だ。この基本方針はネット上にもアップされている。閲覧すると、例えば《感染者情報》の場合は、公表する情報として《居住国 年代 性別》などを挙げ、公表しない情報は《氏名 国籍 基礎疾患 職業 居住している市区町村》と定義している。

 更に《感染者等に対して不当な差別及び偏見が生じないように、個人情報の保護に留意しなければならない》と注意を促している。

東京都は独自路線

 公表の内容が大きく変わるのは、《感染者に接触した可能性のある者を把握できている場合》と《把握できていない場合》だ。

 前者の場合であれば、病院だろうが有名企業だろうが、ホストクラブでもキャバクラでも名前は公表されない。感染を封じ込めているため、具体的な情報を出して注意喚起する必要がないという判断だ。

 問題は後者の場合だ。厚労省はクラスター感染の定義を「5人以上」と定めている。例えば、事務所や店舗から10人の感染者が発生し、更に拡大が懸念される場合、自治体は名称の公表を検討しなければならない。

 鹿児島県の「NEWおだまLee男爵」は、この代表例と言えるだろう。感染者は80人を超え、人気店のため県外からの来客も多い。依然として経路などが分かっていないこともあり、店名を公表したのだ。

 公表に伴い、鹿児島市が判明していない来客に対し、検査を呼びかけた事実も報道されている。

 読売新聞の西部版が7月3日に報じた「新型コロナ 県内の感染者21人に 8人は同一飲食店に勤務=鹿児島」からご覧いただこう。

《市は県を通じて厚生労働省クラスター対策班の派遣を要請した。また、6月13~29日にかけて同店を訪れた人に帰国者・接触者相談センターへの連絡を呼びかけている》

 その結果は、朝日新聞が4日、鹿児島県版などに掲載した「県と鹿児島市、緊急対策会議 新型コロナ /鹿児島県」に紹介されている。

《市が最近の利用客らに相談するよう呼びかけた結果、2日だけで130件、3日も多くの連絡が寄せられているという》

 クラスター感染でなくとも、公表を行ったのが大阪府だ。3月1日に朝日新聞が報じた「大阪、感染3人同じライブに 新型肺炎」からご紹介しよう。

《吉村知事は29日夕に開いた会見で、ライブハウスの名前を公表したことなどについて「15日のライブでコロナの感染が広がったとみるべきだ。密閉された空間で多くの人が身近にふれあう。さらに感染クラスターが広がらないように発表する」と説明》

 記事の見出しにもある通り、この時点で感染者は3人。クラスターには該当しない。改めて大阪府がメールで行った回答を見てみよう。

《ライブハウスの時は、公表せずに、来場者に連絡をとることができない状況でしたので、より少ない人数でも、公表という判断になりました》

 だが、店名公開を阻むハードルが存在するのは事実だ。愛知県の回答文書には《社会的影響等も考慮し、施設名の公表にあっては、原則、施設の了解が得られた場合としている》とも明記されている。

 もしキャバクラやホストクラブで、5人以上のクラスター感染が発生したとする。来客者全てを把握していない場合、更なる感染拡大が懸念される。その場合、自治体は店名の公表を検討するはずだ。

 しかし、職員が店の了解を求めても、拒否されたらどうするのか。北海道、神奈川、愛知の3道県で「ホストクラブやキャバクラの店名公開の必要が生じたが、拒否された」という実例は存在しない。その上で仮定の質問を行った。回答は以下の通りだ。

 北海道《仮定の質問にはお答えできない》、神奈川県《公表を納得してもらえるよう、説明に全力を尽くす》、愛知県《仮定の質問にはお答えできない》。一方、大阪府の場合は店舗名の公表を拒まれたケースがあるという。

 東京都は、独自色の強い方針を掲げているようだ。担当者は「会社名や店名の公表については、個人のプライバシーに十分配慮すると共に、その情報を公表した場合のリスクも併せて考える必要があります」と説明する。

「病院の名前を広報したのは、公共性の高い施設だからです。外来患者の方もいらっしゃいますし、入院患者のご家族もおられます。特に院内感染が発生したわけですから、病院名を広報することで、都民の皆さまに注意喚起をお願いしたわけです」

 有名企業は自ら広報するケースも少なくないのは、先に見た通りだ。その上で東京都は、「感染の蔓延防止と個人のプライバシー保護などとのバランスを取りながら公表しております」と言う。

「特にホストクラブやキャバクラの場合、店名を公開すると、SNSなどで誹謗中傷が起こることが考えられます。『新宿エリアのホストクラブでクラスターが発生しました』という広報内容を伝えることによって、充分、都民の皆さまへの注意喚起につながると考えています」

 歌舞伎町のホストクラブで、たとえ100人の感染者が出たとしても、店名は広報されないということになる。

けるはずなかった」鹿児島知事選現職・三反園氏の敗北

西日本新聞 2020年7月14日(火)11時22分配信

 鹿児島県知事選の開票情報が入るたび、自民、公明両党の県議の表情がこわばっていった。「みなさん、本当に申し訳ありませんでした。全ての責任は私にあります」。12日夜、鹿児島市の事務所。落選が確実となった現職の三反園訓(みたぞのさとし)氏は何度も頭を下げた。

 「三反園氏のオウンゴール。負けるはずがなかったんだが…」。陣営関係者は肩を落とした。

 「勝てる候補」として自民党県連が三反園氏の推薦を決めたのは今年4月。しかし、参院選で対立候補陣営に三反園氏の後援会幹部がいたことや、前回知事選で野党の支援を受け当選した経緯から複数の県議には根強い不信感があった。

 6月中旬の党調査では、元九州経済産業局長、塩田康一氏と元知事、伊藤祐一郎氏の2人のポイントを足しても三反園氏に届かなかった。安泰ムードも漂ったが、告示直前に、県内の首長が三反園氏から電話で票のとりまとめを依頼されたと証言。三反園氏は集票の意図は否定したが、雲行きが怪しくなっていった。陣営幹部は「どんと構えていれば良かったのに焦ったのだろう」と語る。

 県連が求めた後援会名簿の提出を拒否する県議も少なくなく、選挙戦に入ると「反三反園を貫きます」と国会議員に告げた。保守勢力は分裂。「自民支持層の6割前後が塩田氏や伊藤氏に流れた」とみる関係者もいる。

 選挙戦中盤の7月2日。三反園氏の最後の集会演説となった薩摩川内市の会場。約300人を前に、「まだ1期しかしていない。やりたいことがたくさんある」と訴えた。その後は感染者が急増した新型コロナウイルスや災害の対応のため街頭に出ることはなかった。政権幹部や閣僚らの応援は相次ぎ中止に。「塩田氏に並ばれた。衆院1、3区は先行されている」。7日、国会議員と県議を招集した森山裕県連会長はハッパを掛けた。ただ、集まったのは半分以下だった。

 4年前、三反園氏は原発政策で反原発派と政策合意を結び初当選につなげたが、その後、九州電力川内原発(薩摩川内市)の稼働容認に転じた。前回三反園氏に1票を投じた有権者は「裏切られた」と不信感を募らせ、今回離れた。元県議は、三反園氏の政治姿勢に危うさを感じていた。「初当選した日から、今回の結末に向かって走っていたのかもしれない」 

 過去最多の7人による争いとなった鹿児島県知事選。同県初の民間出身知事、三反園訓氏は1期でその座から降りることになった。与党は2016年の前回知事選に続く敗北。保守王国に衝撃が走った。

国政への影響「限定的」 与党、原発巡り対立警戒

 鹿児島県知事選から一夜明けた13日、政府、与党内には、自民、公明両党が推薦した現職の三反園訓(みたぞのさとし)氏が落選したものの、国政への影響は「限定的」との見方が広がった。一方、初当選の塩田康一氏は、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長を巡って県民投票の検討に言及しており、政府は塩田氏との関係構築を急ぐ考えを示した。

 「大変残念なことだ。今後、県民のための県政が進められるよう自民党としては是々非々で協力していきたい」。同日、豪雨に見舞われた熊本県人吉市の被災地を訪れた安倍晋三首相は、与党推薦候補の敗北について記者団に語った。

 知事選は元職の伊藤祐一郎氏を加えた事実上、保守系候補の三つどもえの戦い。自民の岸田文雄政調会長は会見で敗因を「保守票の分散や豪雨災害で公務を優先せざるを得なかった」と分析。政府高官は三反園氏が初当選時に「脱原発」を掲げ、その後変節した政治姿勢が影響したと指摘した。

 保守王国・鹿児島の知事選で自公支援候補の敗北は、前回に続き2回連続だ。それでも自民幹部は「候補個人の発信力不足」「野党票は保守系にも流れている」と国政への直接の影響を否定。公明の佐藤茂樹選対委員長は「真摯に受け止め、敗因を分析したい」とコメントするにとどめた。

 政府に不安要素はある。塩田氏は、2024年以降に期限を迎える川内原発の運転延長に関し「県民の気持ちを踏まえ検証し、国に必要な意見を述べていく」と強調し、今後政府と対立する可能性がある。菅義偉官房長官は13日の会見で「新知事としっかり話をしながら適切に対応したい」と述べた。 

鹿児島県知事選>元テレ朝アナの現職三反園訓氏が敗れた訳~辛坊治郎が✍その背景を解説

ニッポン放送 2020年7月13日(月)21時50分配信

キャスターの辛坊治郎が7月13日(月)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。12日投開票された鹿児島県知事選で2期目を目指した現職の三反園訓氏が敗れたことについて、その“構造”と“要因”を解説した。

現職の知事の2期目はよっぽどじゃないと落ちないはずが……

任期満了に伴う鹿児島県知事選挙は、新人で元経済産業局長の塩田康一氏が現職の三反園訓氏を破り当選した。

辛坊)三反園さん、テレビ朝日の『ニュースステーション』の政治担当キャスターだった方ですね。

大きい声では言えないのですが……現職の知事の2期目はよっぽどじゃないと落ちないのです。現職知事はすごく強いのですよ。2期目で落ちたと言う話を聞いたことがないくらいです。小池さんはこのあいだ(東京都知事選)、すごい票でしたよね。あれがまさに現職知事の2期目なのですよ。ところが、三反園さんは2期目で落ちてしまったのですね。

なぜ落ちてしまったのかというと、構造的なものがありまして。『ニュースステーション』というと、どちらかと言うと反政府、反自民というようなものを売りにしている番組ですよね。そこで大活躍をされたキャスターなわけですよ。1期目はそれを全面に出して、自民・公明の候補を敵に回して、反原発で当選したにもかかわらず、今回の選挙では、自民・公明に推してもらった。1期目(の選挙)では川内原発をやめるということを公約に掲げたのに、知事になった瞬間に「再稼働でいいのではないか」という話になって、いちばんの公約がグズグズになったうえに、元々反政府系で売っていたキャスターなのに、2期目の戦いで自民と公明が後ろについてしまったという。そうすると、自民と公明の支持層からしても、「え? 元テレ朝じゃないか。あれだけ悪口を言っておいて、自民・公明に推されるのか」となります。

逆に言うと、市民団体で前回の知事選でこの人の当選の原動力になった人たちにとって、「原発で裏切ったうえに、2期目は自民・公明に推されて出るのか」という構図になったら、もう選挙にならないのですよ。だから盤石で絶対に強い現職知事が、これだけの有名人でも2期目の選挙でまさかの落選と。

この構図になったら、もう選挙にならないが……

辛坊)ということですが……私、三反園さんと1回焼き鳥屋さんでご飯を食べたことがあるのですよ。そんなに悪い人ではなかったのですよ。別に悪口を言うつもりは毛頭ないのだけれど。結果的にそういう背景があったという話です。

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関連エントリ 2020/07/13 ⇒ 【日経平均】大幅反発<コロナ治療薬+ワクチン開発✍期待高>投資家心理が改善。

 

2020年7月13日 (月)

【日経平均】大幅反発<コロナ治療薬+ワクチン開発✍期待高>投資家心理が改善

 〔東京株〕大幅反発投資家心理が改善 

時事通信 2020年7月13日(月)15時30分配信

 新型コロナウイルスの治療薬・ワクチンの開発期待を背景に、幅広い銘柄が買われた。上海株高も投資家心理の改善につながった。日経平均株価は前営業日比493円93銭高の2万2784円74銭、東証株価指数(TOPIX)は37.82ポイント高の1573.02といずれも大幅反発。

 銘柄の94%が値上がりし、値下がりは6%だった。出来高は12億1591万株、売買代金は2兆1386億円。

 業種別株価指数(全33業種)は全て上昇した。特に鉱業、鉄鋼、空運業の上昇が目立った。

 約1カ月ぶりの高値

 前週末の米国株式市場は、新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンの開発期待が高まり、上昇した。週明けの東京株式市場でもこうした期待感が継続。鉄鋼、自動車など「新型コロナで経済活動が止まると特に業績が厳しくなる業種が反発した」(大手証券)。

 日経平均株価は前営業日終値から約300円高で始まり、その後も午後にかけ、戻り売りをこなしながらじりじりと上昇。6月10日以来、約1カ月ぶりの高値で終えた。売買代金も「週明けにしては多かった」(同)という。

 ただ、別の市場関係者は「経済活動の回復は道半ば。このまま景気敏感株の上昇が続くとは考えにくい」(中堅証券)と指摘。日経平均が2万3000円を回復するには、新たな買い手掛かりが必要とみていた。

 225先物9月きりは堅調。前週末の大阪夜間取引終値付近で取引が始まり、午後にかけてじりじりと上昇した。225オプション8月きりは、プットが売られ、コールはしっかり。

新型コロナ新規感染者、7月に入り急増 AFP集計

時事通信 2020年7月13日(月)15時01分配信

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が7月に入って急加速していることが、各国・機関のデータを基にしたAFPの集計で明らかになった。

 現在、世界の感染者数は約1300万人で、わずか1か月半で倍増。死者は56万5000人を超えた。

 新規感染者数は今月1日以降に公表されただけで250万人近くに上り、昨年12月に中国で最初の流行が報告されて以来、記録的な増え方を見せている。

 1日当たりの新規感染者数では、今月4日の23万人超が過去最多で、次いで同3日の22万5000人超、同2日の約22万人と続く。

 世界保健機関(WHO)は3日、「迅速な」流行対策が取られれば感染状況の制御は「まだ」可能だと表明した。

 ただ、感染したと診断された人数は、実際の感染者数のほんの一部にすぎない。検査を重症者のみを対象に行っている国や追跡調査のために実施している国もあるほか、貧困国の多くは検査能力に限界がある。

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セオリー破りの高騰…株価回復とともに値上がり最高値更新

読売新聞オンライン 2020年7月13日(月)19時01分配信

 金の価格が異例の上昇基調を続けている。安全資産とされる金は、株価とは逆方向の値動きをするとされるが、今春以降、株価の回復とともに値上がりし、最高値を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大を巡る根強い不安が、相場の「常識」とは逆の現象につながっているようだ。

 東京商品取引所では13日、金先物の代表的な取引価格の終値が1グラム=6214円と、6200円を超える最高値圏で取引を終えた。9日には一時6273円と、取引時間中として1982年の上場以来の最高値を更新した。新型コロナの影響で急落した3月半ばから2割超の上昇だ。

 金地金も人気だ。田中貴金属工業では9日には小売価格が1グラム=6894円と最高値を更新した。13日も6848円と高値を維持した。「来店客が増え、高値でも買う人が目立つ」(同社)という。

 金は戦争や経済危機などの有事に強い「安全資産」として、好況時に資金が集まり有事には売られる株式とは対照的な値動きをするとされてきた。1980年代のイラン・イラク戦争時や、リーマン・ショックやギリシャ危機が相次いだ世界的な経済不安を受けて2010年頃に高騰したことが知られている。

 ここ数か月、相場の常識に異変が生じている。3月の新型コロナの感染拡大に伴う株価暴落の際には、投資家があらゆる金融資産を手放したため、金価格も株価と同様にいったん下落。その後、株価が回復しても、金も連動するように値上がりしてきた。

 異例の値動きの理由の一つが、先行きに対する不安だ。株価が回復しても、実体経済の回復にはかなりの時間を要するとの見方が強い。楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは「株価がいつか大きく下落するという懸念が、金の人気を後押ししている」と話す。

 各国の大規模な金融緩和の影響も大きい。金は利子がつかないことがデメリットだが、世界的な低金利で国債の運用利回りも低下し、相対的に金の魅力が上昇した。「あふれた投資マネーが金に向かっている」(商品調査会社マーケットエッジの小菅努代表)という。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「感染拡大や米中関係の悪化など懸念材料も多く、当面、金の人気は続く」と話している。

 政府なぜ緊急事態宣言再発令消極的 

産経新聞 2020年7月13日(月)18時30分配信

 東京都を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にあるが、政府は現時点で緊急事態宣言の再発令には消極的だ。医療提供体制に余裕があるためと説明している。感染リスクはゼロにならないため、リスクを制御しながら段階的に社会経済活動のレベルを引き上げていくことが基本方針だ。

 菅義偉官房長官は13日の記者会見で、「直ちに緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」と重ねて述べた。医療提供体制について「入院患者数は増加傾向にあるものの、(東京の)重症者数は5人など、逼迫している状況にはない」とも語った。

 22日から行う観光などの需要喚起策「Go Toキャンペーン」も利用者や事業者に感染防止の徹底を求めながら進める方針だ。

 緊急事態宣言下の全国的な休業や外出の自粛は、経済への打撃が大きかった。政府関係者は「感染リスクがゼロにはならない以上、感染防止策を講じながら経済を動かすしかない。そうしないと、かえって生活苦で自殺者が増えかねない」と説明する。

 政府は宣言を再発令する数字の根拠を明示していない。4月に発令した際は(1)直近1週間の新規感染者が人口10万人当たり5人以上(2)感染者が2倍になる倍加時間が10日以内(3)感染経路が不明の症例が50%以上-が目安だった。(1)を都に当てはめると1日当たりの新規感染者は約100人だ。

 政府関係者は「PCR検査の数が違う。入院と重症者の数をみている。感染爆発の兆候があれば宣言を躊躇しないが、まだその時ではない」と語った。

 感染は20~30代で無症状が多い。ただ、家庭や職場などを通じ、知らない間に重症化リスクの高い中高年や基礎疾患を持つ人に感染すれば、医療現場はたちまちパンクしかねない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は12日、東京を中心に宣言を再発令するよう求め「感染が拡大すれば政治の不作為による失敗ということになる」と挑発した。

 5月に宣言を解除した際、政府の基本的対処方針は解除の目安について、PCR検査の実施状況などを踏まえつつ「直近1週間の累積報告数が10万人あたり0・5人程度以下」などとしていた。東京では1週間当たり約70人という極めて厳しい数字だ。野党は「政府は解除できなくなるから再発令したくないのでは」との見方を示す。

 再発令の場合は、PCR検査態勢の拡充を踏まえ、解除の目安が変更されることもありそうだ。

東京を封鎖しろ」なぜ日本人は、これほどコロナを恐れてしまうのか

PRESIDENT Online 2020年7月13日(月)11時16分配信

過剰な恐怖と不安は人を支配する

 恐怖は、自分の生命の危機がせまっているときに強く感じる感情です。心配事は、未来に終わりのない不安をいだかせます。恐怖も不安も、人間の生存にとって必須で根源的な感情ですが、過剰になってしまうと焦って考えがまとまらなくなり他者に行動を強く支配されてしまいます。恐怖と不安はセットで人間の心をむしばむだけでなく誤った行動へ導きます。

 感染症だけではありません。自分の身が危険にさらされるものに対して、私たちは過剰な恐怖と不安を抱くことへ誘導されてしまうことがあります。そのような状態になると他者に行動をコントロールされてしまい、通常ではありえないことを許容したり行動をしてしまったりする危険をはらんでいます。

 大雨による災害のニュースで、コロナのニュースは激減しました。その結果、コロナウイルスに対する恐怖や不安が和らいできたことを感じている方も多いでしょう。ウイルス感染の状況は数日では変化しません。脳に与えられる情報が減ると、恐怖が減り不安が終わることを意味しています。メディア自身は、そのことを良く知っていて洗練された方法で私たちに情報を与えてきました。

大雨のニュースでコロナが過去のものになった

 7月4日までは「東京都で新規感染者“107人”の衝撃…若者の街・渋谷はどう捉えた?  「第二波」「休業再要請」の不安も」(FNNプライムオンライン)や、「国内感染者2カ月ぶり200人超 新型コロナ」(NHKニュース)「新型コロナ 全国で250人感染 東京は2日連続で100人超」(FNNプライムオンライン)と報道が続いていました。そのころは、「ああ、コロナウイルスの流行がまた始まった」「終わらないのが不安だ」「いつまで続くの?  もう限界」と考えていたことでしょう。

 東京の感染について全国放送が繰り返されているので「東京全部が汚染されてしまっている」「東京の人が来ると、ウイルスがうつりそうで怖い」「東京を封鎖したら? 」と思うのも自然なことだったでしょう。ところが7月5日以降は、パタッとコロナ関連の報道はやみました。数日でコロナは過去のものになっていませんか?  不思議ですよね。

 人は、五感に頼って生きています。見たり、聞いたり、匂いをかいだり、味わったり、触ったりして自分に安全なものかを確認しながら暮らしています。ウイルスは五感で感じることができないため、「見えない敵」となり恐怖と不安を引き起こします。

人を不安にさせる映像と言葉が巧みに使われた

 時間を追うと、まずメディアは家で情報番組やニュースを見ることが多い高齢の方、特に持病がある人は重症になりやすいと繰り返し報道しました。感染すると呼吸器が必要になったり、人工肺であるECMO(Extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)を装着しなくてはならないとも伝えられました。通常の感冒には使わない大掛かりな装置を目にすれば、誰でも怖くなります。 メディアの恐怖を起こさせることと不安の継続については、非常に洗練されています。ダイアモンドプリンセス、オーバーシュート、クラスター、医療崩壊、嗅覚味覚障害などなど恐怖を感じさせるキーワードがたくさん出てきていました。

 他のウイルスでも見られる「嗅覚味覚障害」という一般の方には見慣れないキーワードを提示したところには感服します。実は、コロナではずっと頻度が多い「胃腸炎」は、軽症で新規性がないため、不安を起こさせるキーワードには選ばれなかったのだと推測しています。

 それをみて、私は「次のキーワードをあててみよう」とか、「あなたが為政者なら次は何をおこないますか? 」、「治療薬で先頭を走る日本、ドラッグリポジショニング」といった内容をブログに綴り続けました。

日本の陽性者のうち、9割は回復している

 でも、実際はどうだったのでしょう?  日本では発症者のうち何割が軽症で、何割が重症になり総数何名が呼吸器などを装着しなくてはいけなかったのか、そういった全体像を私達は知らされていません。

 海外のデータを調べると、日本の陽性者のうち9割が回復されています(※1)。日本では、発症者や濃厚接触者だけをPCRしていました。もし、もっと数多くPCRをおこなっていたら、軽症の方が増加し回復率は高齢者を含めて95%以上かもしれません。

 米国NYの惨状の映像を繰り返し、いざというとき自分たちを守ってくれる医療も崩壊してしまうかもしれないとも報道されました。守ってくれる場所が無くなってしまって逃げ場所すらないのか……という恐怖につながりました。

 米国の様子をみてみましょう。前回お示しした通り、日本のこれまでの「半年近くの総数以上」が「毎日」米国では発生しています。日本の100日以上の累計患者数ですら米国の1日の発症数を下回ります。(図表1)

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 米国では連日数万人が発症していますが、大統領選挙の日程も順調にこなし独立記念も祝う準備がなされています。医療崩壊の危機は脱しています。米国では毎日数万人が発症する一方で死亡者数は減少を続けています。コロナは致死的ウイルスではありません(※2)。また、現在使える治療薬も積極的に採用しようとしていて外来患者さんへのアビガンのトライアルがスタンフォード大学で開始されています(※3)。

ポジティブなデータが報道されない

 ピークでも1日に800人しか発症しなかった先進国日本では、医療崩壊が連日報道されていたことは皆さんがご存知の通りです。アビガンの採用は遅れ続け、フサンの情報は少なくイベルメクチンに関しては情報が途絶えています。フサンやイベルメクチンは、臨床で長年使われている通常薬ですぐにでも使える状況の薬にも関わらず、です。

 東京都のPCR検査数は激増しています。数カ月前は1日に100人以下でしたが、今では2000人以上検査しています。データを見ると、呼吸器装着患者数は4月末にはピークを超え減少しつづけ、一度も増加することもなく現在では10人以下となっています(※4)。

 世界的に見ると日本は、「最初からあまり流行しなかったアジアの国のひとつ」で「自国で開発した治療薬の配備もすぐできたはずの国」というのが本当のところです。こういった、「全体を見渡し俯瞰するデータ」や「安心材料につながるデータ」、「他国と比較のデータ」という「ポジティブなデータ」は報道されることがありませんでした。

 発生数が収束し発症者もゼロに近づいていることを示したり、他国と比べたり、米国のように治療薬が入院医療機関や診療所の外来に全国配備されていたら、私たちはどんなに安心したことでしょう。

警戒は必要だが、恐怖と不安は不要だ

 6月初旬にお書きした私の最初の記事は「日本のコロナウイルスは終わった、さあ旅に出よう」という題名でした。流行が終わっていれば不安はなくなり、旅に出て楽しい思い出が増えれば恐怖も忘れて消えると思ったからです。

 くしくも恐怖を引き起こす報道は、数日前の洪水災害の報道で激減しました。ウイルスの危険性も数日で激減したのでしょうか。

 私は、ノーガードの無警戒を勧めているわけではありません。警戒して日々工夫して暮らすことは必要ですが、過剰な恐怖や不安といった感情は必要ないと考えています。恐怖や不安とはサヨナラして、日々の淡々とした作業をするだけです。

 メディアは5カ月近く私達にまずは強い恐怖を植え付け、その後終わりなき不安が続くように上手にコントロールし続けていました。恐怖や不安が心にうず巻いてしまうと、自分の頭脳の思考停止に陥ります。そして、どうしても情報発信元の権威にすがったり過剰に反応した行動をとったりします。

 私は、それをとても危険なことだと思います。

いつのまにか陽性者ゼロを求めるようになっていた

 東京の流行も良い題材です。約1400万人の東京都民の一部の地域に200人の軽傷の陽性者がいる状況だとします。東京の端から端まで見渡して陽性の人を見つけるゲームでもよいでしょう。あるいは、1kgの精米は5万粒ですので300袋の中の100粒の玄米を見つけるゲームでもよいでしょう。わずかな玄米の粒が1袋に集まってしまっていて、299袋は空振りかもしれません。分散していたら見つけたくても、ほぼ不可能でしょう。そして、玄米が50粒でも500粒でも状況はほとんど変わりません。面白いですよね。

 このように「全体像を見せない」ことが、恐怖のマジックの正体です。私たちの脳はいつも「全体の中のどれだけを占めているのか」、「他と比較してどの程度なのか」ということでいろいろな判断をしています。全体像や比較を隠されてしまうと、正常な判断ができなくなります。ウソはついていないけれども、正確な判断ができないようにする。私たちは、その仕組みにやられて魔法にかかってしまっていたわけです。

 「200人陽性」=「ほとんどの都民はウイルスを持っていない」というのがファクトです。だからこそ、大多数の都民は感染することなく平和に暮らしています。他の県では、なおさら安全です。

 東京で連日100人は、全国1億5千万人に換算すると連日1000人の陽性者に相当します。それでも現在の東京と同じ割合になるので、ほとんどの人がウイルスを持っていないということを忘れてはいけません。私達は、いつのまにか国土から陽性者がゼロにならなければ安心できない気持ちにさせられていたのです。

 皆さんは、なんとなく東京全体が感染者であふれる汚染地区のような誤ったイメージを描いていていませんでしたか? 

TV出演者のソーシャルディスタンスが醸し出す終わらない不安感

 日本の医療崩壊の恐怖も検証してみましょう。先ほどの米国のグラフに、日本の死亡者数を合わせてみてみました。(図表2)

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 日本の死亡者はピークでも1日50人ほどです。人口3億人の米国に比べてもピークでも50分の1以下、現在では数百分の1以下に過ぎません。前述したように米国は、通常通り機能しています。それでも、もし日本の医療がひっ迫してしまうとすれば、その程度の医療システムということになってしまいます。私は、ありえない話だと思います。

 ウイルスを持つ人が、ほとんどいなくなった今になりメディアのアナウンサーさんたちは画面の両側に位置しています。実は、そのような対策をとるべきだったのは、放送局にクラスターした数カ月前でした。今になって、そのようなフォーメーションを取り続けるのは「終わらない不安感」を醸し出し継続することにつながっています。

 客観的データをお見せしても「コロナウイルスは恐ろしい。本当は日本も世界と同じようにかくれて大流行しているはずだ」という患者さんもいらっしゃいました。米国との比較の図を目にしても、数の違いを判断できなくなっているのです。メディアの繰り返しは、内容が誤っていても感情を支配し判断力を落としてしまう強力な力を持っています。

コロナの心配よりも大切なことがたくさんある

 今回の新型コロナウイルスに対する恐怖と不安の教訓は、私たちに重要な事を教えてくれます。

 どんな理由であっても、過剰な恐怖と不安は私達が自分で理性的に思考する力を奪います。必要以上に、権威や他者への依存を高めます。必要もないのに街角に検問所が設けられて、陽性だと断罪され連れ去られるような世の中にしてはいけません。

 まずは、一息いれて落ち着くことです。

 私たちには無数の細菌とウイルスが付着しています。発症しなければ病気ですらありません。新型コロナウイルスであっても発症しなければ一時的に体に存在したウイルスの一つとして免疫システムが記憶するだけであり、私達は全く気付かないでしょう。それが普段の日常の出来事であり、発症していなければ免疫が勝っているので人にもうつしません。付着しただけかもしれません。それで良いのです。

 何の悪さもしなければウイルスの存在を確かめる必要もありません。社会生活を送る中で、私達は気がつかないだけで細菌やウイルスを頻繁にやりとりしています。新しいウイルスは、次々にたくさん発生してきます。新型コロナウイルスは、私たちを通り過ぎて行ったウイルスの一つに過ぎません。

 猛暑の夏には熱中症に気を付ける必要があります。洪水の被害の支援も必要です。甚大な被害を受けた経済の再建も必要です。コロナの心配以外に、私たちにはやらなくてはならないもっと大切なことがたくさんあります。自分の心に植え付けられた恐怖と不安を解消できるのは、自分自身しかいません。自分の足元を照らす明かりは、自分がともした灯火(ともしび)だけです。

 新型コロナウイルスに限ったことではありません。これからも次々に作り出される恐怖と不安の罠にはまることなく、私達は自由に生き生きと暮らすことを目指しましょう。

English Abstract

 The power to think and choose: Breaking away from fear and anxiety

 Japan is one of the successful countries that incurred minimal damage from COVID‐19. Nevertheless, the people have been harboring fear and anxiety, which the media worsens. This scenario is becoming an increasing concern. We must keep in mind that even if virus epidemic is not the cause of fear and anxiety, it not only deprives individuals of rational judgment but also induces impulsive behavior. Regardless of minimal damage of COVID‐19, people tend to lose control of autonomous cognition and increase dependence on others, such as experts and officials. Therefore, I wrote my first column entitled “The new coronavirus epidemic is over: Going out on a journey.” To lead healthy lives, fear and anxiety should first be overcome.

 【参考文献】
1.worldometer Japan
2.worldometer USA
3.1 July 2020 News Stanford researchers to assess favipiravir in Covid‐19 outpatients
4.東京都新型コロナウイルス 感染症対策サイト、旧モニタリング指標(4)重症患者数

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大和田 潔(おおわだ・きよし)
医師
1965年生まれ、福島県立医科大学卒後、東京医科歯科大学神経内科にすすむ。厚労省の日本の医療システム研究に参加し救急病院に勤務の後、東京医科歯科大学大学院にて基礎医学研究を修める。東京医科歯科大学臨床教授を経て、秋葉原駅クリニック院長(現職)。頭痛専門医、神経内科専門医、総合内科専門医、米国内科学会会員、医学博士。著書に『知らずに飲んでいた薬の中身』(祥伝社新書)、共著に『のほほん解剖生理学』(永岡書店)などがある。
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経済も救えなかったことが明らかに…スウェーデンの“無策戦略

BUSINESS INSIDER 2020年7月14日(火)8時10分配信

 スウェーデンが行った特異な新型コロナウイルス戦略は、経済的な成果に結び付かなかったことが、データによって示された。その上、隣接する北欧諸国よりも致命的な大流行を引き起こすことになった。

 スウェーデン政府は正式な都市封鎖の発令はせず、その代わり、体調が悪い時には自宅で過ごし、公共の場では社会距離を保つよう国民に推奨した。

 だがスウェーデンにおける新型コロナウイルスによる死亡率は、世界で最も高い水準となっている。またロイター通信によると、スウェーデン中央銀行は7月、2020年の同国のGDPは前年比で4.5%減少するとの予測を発表した。

 国際経済を調査・研究するピーターソン研究所のジェイコブ・キルケゴールは、スウェーデンはそのリスクの高い戦略によって、経済的には「文字通り、何も得られなかった」とニューヨークタイムズに語った。

 スウェーデンが行った特異な新型コロナ対策の戦略には、経済的な効果はなかったことが、データによって示された。その上、隣接する北欧諸国よりもはるかに致命的な感染症の大流行を引き起こすことになった。

 スウェーデン政府は、新型コロナウイルス大流行への対応として、正式に都市封鎖を発令することはなかった。その代わり政府が打ち出した戦略は、個人の自己責任に依拠し、体調が悪い時には自宅で過ごし、公共の場では社会距離を保つよう国民に推奨することだった。ほとんどのビジネスやレストラン、バー、学校が閉鎖されることはなかったが、3月下旬になると50人以上が集まるイベント等は禁止された。

 同国のステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相はこの戦略を、現状維持のための「良識」だとして擁護した。

 だが、他国とは異なるこの戦略は、専門家からの批判を受けてきた。彼らはこれまでのことを振り返ると、この戦略は「あらゆる点において、賢い方法ではなかった」と述べている。

 ワシントンDCに拠点を置くピーターソン研究所の上級研究員、ジェイコブ・キルケゴール(Jacob Kirkegaard)は、7月7日のニューヨーク・タイムズで、スウェーデンの経済活動は、ほぼ平常通りに続けられたにもかかわらず、そのことで利益はほとんど生じなかったと語った。

「文字通り、収益はゼロだった」とキルケゴールは述べた。

「これはスウェーデン政府が自ら招いたことだ」

 ロイター通信によると、スウェーデン中央銀行は7月、2020年の同国のGDPは2019年より4.5%減少するとの予測を発表した。2月時点での1.3%増加との予測から大幅な下方修正となった。ニューヨーク・タイムズによると失業率も、3月の7.1%から、5月には9%に増加した。

 ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、7月12日の時点で、スウェーデンにおける新型コロナウイルスの感染者数は7万4000人以上、死者は5500人以上で、他の北欧諸国の合計よりも高い水準になっている。人口当たりの死亡率も、スウェーデンは世界的に見てもかなり高い。また、オックスフォード大学のオンライン調査機関Our World In Dataのデータによると、スウェーデンにおける100万人当たり死者数は、アメリカ、ブラジル、インド、ロシアといった多数の死者が発生している国々よりも多い。

 スウェーデン当局者の中には、新型コロナへの対応戦略について再検討すべきだと主張する者もいる。4月には、スウェーデンの科学者2000人以上が公開書簡に署名し、政府に対して都市封鎖の再検討を求めている。

 政府の疫学者だったアニカ・リンデ(Annika Linde)は5月、地元の日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)に対し「最初から厳格な制限措置を導入すべきだった」と語った。

「健康管理や高齢者ケアについて、私たちがいかに準備不足かを知っておくべきだった」とリンデは続けた。

「都市封鎖をしていれば、我々が準備をして、じっくりと考える時間を与え、結果的には感染拡大を劇的に遅らせることができたかもしれない」

[原文:Sweden's controversial anti-lockdown strategy resulted in a high death toll and no real economic gain, data shows]

 

2020年7月12日 (日)

【羽生結弦】オンライン授賞式✍初代「ISU最優秀選手賞」に選出。

羽生ファン 私たちは感動しが魅了されるIISUが初代MVS大絶賛

THE ANSWER 2020年7月12日(日)12時03分配信

ISU公開の動画に海外反響彼はパワーと美を体現」「才能に恵まれ尊い!

 国際スケート連盟(ISU)は11日、2019-20年シーズンから新設されたフィギュアスケートの「ISUスケーティング・アワード」をオンラインで開催し、羽生結弦(ANA)が初代最優秀選手賞(MVS)に輝いた。ISUは公式ツイッターに過去の羽生に関する動画を公開。「私たちは感動し、心は魅了される」と絶賛している。

 羽生が輝きを放っている。顔をアップにしたシーンから始まる動画。美しいスケーティング、ファンがプーさんのぬいぐるみを手に声援を送る瞬間、リンクに並んだプーさんを羽生自ら拾い集めるところ、キス・アンド・クライで見せた爽やかな笑顔など、いくつかのシーンを公開している。最後はリンクで大声援を受けるシーンで締められた。

 輝かしい過去のシーンの一部をプレーバックしたISUは「ユヅル・ハニュウが初のISUアワード最優秀選手賞を受賞し、歴史がつくられた! 彼が氷に触れるたびに私たちは感動し、心は魅了される。最優秀選手に輝いたのは……ユヅル・ハニュウ!」と投稿。海外ファンからは多数のコメントが集まっている。

「絶対に彼がふさわしい!!!!! リンクの王様」
「史上最高に偉大なユヅル・ハニュウ・最優秀選手も当然!」
「氷上のジーニアスでありレジェンド。才能に恵まれ尊い! いつまでも大好き」
「受賞に相応しい! 彼はリンクの上でも離れても素晴らしい」
「ユヅはいつだってステキ。ユヅルの受賞に全世界が喜んでいる。キング・オブ・フィギュア」
「彼はパワーと美を体現している」

 受賞を喜ぶ声が集まったほか、「当然こうなるべき。全てのスケーターを正当に評価してください」「MVSはユヅル・ハニュウ。これからは敬意を払って公平に採点してくれますか?」という声も。新設されたアワードに大きな反響が集まっている。

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羽生結弦初代MVS💕レジェンド達も祝福

デイリー 2020年7月12日(日)12時26分配信

 国際スケート連盟(ISU)は11日、新設されたフィギュアスケートのISUアワードをオンラインで開催し、最優秀スケーター賞(MVS)には五輪2連覇王者の羽生結弦(ANA)が選出された。

 初代MVSに輝いた羽生を、ゆかりのあるレジェンドたちも祝福。ロシアの国営通信社「タス通信」によると、多くの名スケーターを指導してきたロシアのタチアナ・タラソワコーチは「ネイサン(チェン)は今年ブレークスルーを果たしました。ただ、羽生はそのスケートと深みで男子シングルの世界を変えた。この世界で最も輝くスターです」と、選出は“順当”との評価を下した。

 羽生にとって憧れの存在のトリノ五輪金メダリスト、エフゲニー・プルシェンコ氏も、「RIAノボスティ」に「異論はないだろう。羽生結弦は2度の五輪王者です。世界中のスタジアムにファンを集め、モスクワのGPでは日本のファンで、アリーナの50~70%が埋まります。結弦はフィギュアスケートのナンバーワンの男です」と、お祝いの言葉を寄せている。

 MVSには羽生のほか、ネーサン・チェン(米国)、ガブリエラ・パパダキス、ギヨーム・シゼロン組(フランス)が最終ノミネートされていた。

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 初代MVS 羽生結弦ファン感謝のメッセージ 

東スポWeb 2020年7月12日(日)15時43分配信

 国際スケート連盟(ISU)が新設したフィギュアスケートの「ISUスケーティング・アワード」で最優秀選手賞(MVS)を受賞した五輪2連覇中の羽生結弦(25=ANA)が12日、日本スケート連盟のツイッターで感謝のメッセージを発信した。

 羽生は「この度はこのような賞を頂けて大変光栄に思っているのと同時にまさか賞を頂けると思っていなかったのでとてもびっくりしています」とした上で「この賞を頂けたのもノービス時代、ジュニア時代、オリンピック、グランプリファイナルなど様々な場面で応援をしてくださった皆様のおかげだとまた改めて思うことができました。いつも応援していただき本当にありがとうございます」とコメント。

 また、国内の現状に目を向け「今、新型コロナウイルスや豪雨災害など大変な状況が続いています。どうかお気をつけてお過ごしください。また、これ以上被害が拡大しないことを祈っています」と語った。

 同アワードは新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となった3月の世界選手権最終日に実施される予定だった。

 初代MVSとなった羽生は11日に行われたオンラインによる表彰式にリモート形式で出席した。

 羽生結弦初代MVS受賞英語スピーチ全文 

ロンドンつれづれ 2020年7月12日配信

羽生選手のインタビュー:

コスチュームについて。

‐あなたにとって、オリジンは特別なプログラムですよね? コスチュームも特別だと思いますが、氷の上で演技する時どのぐらい影響がありますか?

「まず、ノミネートされて光栄ですし、他のノミニーの方にはおめでとうと言わせてください。 また他のスケーターもそうだと思いますが、今日参加できて名誉に思っています。 質問ですが、もちろん重さや動きやすさ、着心地の良さが重要で、氷の上でベストの演技することはだれにとっても大切ですが、僕にとってはコスチュームは自分を表現し、プログラムのストーリーを演じるためのツールであるということです。 また、コスチュームはスケーターとしてのユヅル・ハニュウの個性を際立たせる上で大切なものだと思っています。 僕のコスチュームとは、プログラムを演じるうえでユヅルらしいということ、そしてこのプログラムにはこのコスチュームでなくては、と見ている人も感じてくれるものであることが大切です。」

MVSの受賞前に:

‐ まず、あなたの世界的な知名度というか、ファンベースということを考えると、本当に素晴らしいと思うんですが、あなたのファンたちの熱心さやあなたがこのスポーツに与えた価値の貢献は比類ないと思うんです。 僕の質問は、こういったファンの信頼や愛情があなたの試合に対する熱意にどのように影響しているか、ということなんですが。

「さっきのと繰り返しになるんですが、この賞にノミネートしていただき、お礼を言いたいと思います。質問の答えとしては、僕にとってはファンの方たちの視線や、声援は、プレッシャーになりますし、人々の期待はプレッシャーになります。たとえそれが練習であっても、それは感じています。 正直に言うと、時としてつらいと思うこともあります。でも、プレッシャーは実際、僕を強くしてくれるのです。 もし誰も期待してくれなくなったらそれは困ります。 皆さんの期待のレベルを達成し、それを超えたいと思っているのです。 もちろん常に100%の結果をだすことはできませんが、いつも挑戦しているのは、期待に120%のレベルで答えよう、ということなんです。 このところちょっとできていませんから、大いなる挑戦ですが、もし成功すれば言葉にできないような達成感が得られると思います。」

‐ ユヅル、ありがとう、そして、たとえあなたが120%達成できなくとも、あなたはファンをがっかりさせたことなんか一度もないということは言わせてね!

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受賞の後:

‐ユヅル、おめでとう!あなたが2020年のMVS(最も価値あるスケーター)アワードのウイナーです。 あなたのフェノメナル(驚異的)なスケート技術と人気がスケート界の発展に大きく貢献しました。それは日本だけでなく、世界規模で…。 まず最初の質問は、あなたの人気を使ってフィギュアスケートに脚光を浴びせ、多くの人にスケートに興味を持ってもらい、支援してもらうことは、あなたにとってどれほど重要ですか?

‐「まず言いたいのは、フィギュアスケートに貢献しているのは僕1人だけではないということです。フィギュアスケートはスポーツであり、ショーもあります。 僕らはアスリートであり競技者です。一人で競技をすることはできません。 アマチュアを始め、たくさんの選手たちによってフィギュア界は成り立っているのです。 それがスポーツとしてのフィギュアスケートです。 毎日の中で常に僕が思っているのはフィギュアスケートのこと、より強く、よりうまくなろうということです。これまでよりも1つでも多くうまく、強くなりたい。昨日できなかったことを、今日はできるようになりたいと日々思っています。アマチュアスケーターとして頑張り、家族やコーチ、ファンの方たちの期待にそえるよう、望む結果を出せるよう、努力したいと思っています」

‐若い、次世代のスケーターが、あなたの様に成功したいと思っていたら、どんなアドバイスをしますか?

「それぞれのスケーターがどんな風に表現したいか、みな違ったスケートのスタイルを持っています。 だから、僕は彼らにアドバイスをできる立場ではない、と考えています。 僕はただ、世界レベルのスケーターたちの演技を楽しみたい、と思っているだけなんです。」

‐そうですか、もしかしたら自分では言いずらいかもしれないでしょうけど、でも僕たちは、あなたの演技をみてものすごく刺激をうけますし、若い次世代のスケーターたちは、あなたが氷上に創り出した演技を見て影響を受け、自分たち自身のものを創り出すことができるんでしょうね。 ユヅル、君の演技を見るだけでもすごいことだけれども、君がファンに与えるインパクトもなかなかすごい。ここに動画があるから一緒に見ましょう…。(といって、羽生選手の試合後のファンの映像をうつす)

以下、日本語で日本のファンに:

「ここまで見てくださり、ありがとうございました。皆さんのおかげで、こうやってスケートができていること、そして自分が追い求めるスケートができていることが本当に幸せです。いつも応援ありがとうございます。そしてこれからも一生懸命、自分の理想のスケートを追い求めて頑張っていきます。どうか応援よろしくお願いします」

こちらSPARKの放送でのコメント:

「羽生結弦です。この度はこのような賞を頂けて、大変光栄に思っているのと同時に、まさか賞を頂けるとは思わなかったので、とてもびっくりしています。この賞を頂けたのも、ノービス時代、ジュニア時代、オリンピック、グランプリファイナルなど、様々な場面で応援をしてくださった皆様のお陰だと、また改めて思うことができました。いつも応援して頂き、本当にありがとうございます。 今新型コロナウイルスや豪雨災害など、大変な状況が続いています。どうかお気をつけてお過ごしください。また、これ以上被害が拡大しないことを祈っています」

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MVS受賞者:
羽生結弦(男子シングル=日本)

受賞の条件: 
男女シングルの選手、ペア、アイスダンスのカップルの中で、ファン層への影響力、メディアの注目度、スポンサーの評価を向上させ、フィギュアスケートの発展に最も寄与した選手、あるいはカップルに贈られます。

 初代MVS受賞者に、重鎮タラソワ「二度と現れないスケーター 

THE ANSWER 2020年7月13日(月)10時33分配信

タラソワ氏が受賞受けコメント彼はトップです!」「ハニュウ異次元です

 国際スケート連盟(ISU)は11日、フィギュアスケートで2019~20年シーズンに新設した「ISUスケーティング・アワード」の表彰式をオンラインで開き、男子の羽生結弦(ANA)が初代の最優秀選手賞(MVS)に選ばれた。これを受け、ロシアの重鎮タチアナ・タラソワ氏は「彼は2度と現れないスケーターです」と最大限の敬意を示している。ロシアメディアが伝えている。

「sport24.ru」によると、タラソワ氏は今回のアワードを受けてコメント。「あなたはハニュウがISUアワードで最優秀選手賞を受賞することに疑いはありましたか?」との質問を受けると「彼はトップです! 彼にライバルがいるかですって? もちろんです! 彼の隣には現在の世界王者、ネイサン・チェンがいます。しかし、ハニュウは異次元です」と強調した。

 タラソワ氏は、チェンがコーチ陣らとともに急成長したと認めた上で「しかし、ハニュウはすべてにおいて卓越していて、2度と現れないスケーターです」と大絶賛。「彼は自分の才能とともに私たちの男子シングルに関する認識を変えました。人間が才能があるならまだいいですが、彼の場合はフィギュアスケートのすべての局面で際限ない可能性を持っています」と語った。

 一方で「私自身はハニュウからもチェンからも、とても大きな満足を得ているのですが」とも付け加えた。また「『異次元』と名付けたハニュウのレベルにあるスケーターが女子の中に現れるでしょうか?」との質問については「私たちには別次元のレベルにある女子スケーターたちがいます。少し様子を見ましょう」とし、母国ロシアの逸材の成長に期待を込めた。

2020/03/22 フィギュアの今シーズンを総括する<のオスカー>にが相応しいか

あれこれ 2020年7月6日(月)15時26分配信

2020/03/22 羽生の傑作、シュレーポフの衣装、トゥトベリーゼの女子生徒たちのセンセーション:フィギュアスケートの今シーズンを総括する氷の《オスカー》に誰がふさわしいか

====一部抜粋====

(エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ、ウラジーミル・ザイヴィ)
3月22日、モントリオールではフィギュアスケート史上初めての氷の《オスカー》 — ISU Skating Awardsのセレモニーが行われる筈だった。Russia Todayは、著名なコーチであるタチヤーナ・タラーソワに、世界選手権は中止になったが今シーズンの受賞者として誰を見たいかを質問し、また同時に自分たちが考える年間ベスト賞のリストを提起した。フレデリック・ショパンの音楽に載せた羽生結弦のショートプログラムの傑作、《シンドラーのリスト》のプログラムにおけるアントン・シュレーポフの挑発的な衣装、女子フィギュアスケートの全ての重要な試合におけるエテリ・トゥトベリーゼの女子生徒たちの勝利、これらは専門家たちの心を動かさないではおかなかった。

・ 最優秀選手賞について
[タチヤーナ・タラーソワのバージョン]
「それは、羽生結弦だと思います。チェンへの私の全ての愛情(私はネイサンが大好きです)を持ってしても、この日本人の名前を挙げます。彼は単なるフィギュアスケーターではなく、人物なのです。フィギュアスケートの歴史には、卓越した滑り手たちがいましたが、しかし、羽生は別です。彼は、天界の人です。彼のショートプログラム(ショパンのバラードNo.1)は、一つだけのものなのです — その最後にはスタンディングオベーションをしないではいられない、ひざまずき、それを見る事が出来た事を神に感謝しないではいられない、そういうプログラムなのです。

それは、音楽への100パーセントの呼応、音楽との共体験のみならず、また音符の一つ一つに乗せられた最高難度のエレメンツのみならず、人間の魂と音楽とのある種の驚くべき完全な融合なのです。このようなものを私は人生で二回だけ見たことがあります、氷上でではなく、バレエで:マイヤ・プリセツカヤが《瀕死の白鳥》を踊り、ムスチスラーフ・ロストロポーヴィチがその伴奏をした時と、ニューヨークのバレエスタジオで、ジアナ・ヴィシュニョーワが踊り、ワレーリー・ゲールギエフが指揮をした時です。羽生結弦の滑りは、それと同様の現象なのです」。

[Russia Todayのバージョン]
シーズンの結果で判断すれば、グランプリファイナルで羽生結弦に勝利した(アメリカ人は日本人に二つのプログラムで勝った)、二度の世界チャンピオン、ネイサン・チェン、初めてのシニアシーズンで、グランプリファイナル、ヨーロッパ選手権を含む、出場した全ての国際大会で勝利したアリョーナ・コストルナーヤ、ペアスケートで二度の世界チャンピオン、グランプリファイナルと四大陸選手権では敵無しだったウェンジン・スイ/ツォン・ハン組、そしてフランスのアイスダンサー、六度の世界チャンピオンのガブリエラ・パパダキス/ギヨーム・シゼロン組を候補者の中に含めなければならなかった。しかし、同等の4人(組)の候補者たちに対して席は一つしかない — それ故に羽生だ:このスポーツ種目に関する認識を激変させた二度のオリンピックチャンピオンは、彼のお陰でこのスポーツ種目にスポンサーからの莫大な資金が集まった、正にそのようなフィギュアスケーターになった。ご存知の通り、お金を侮ってはならないのだ。

・ 最優秀衣装賞について
[タチヤーナ・タラーソワのバージョン]
「このノミネートの公式化は、最初からあまり正しくなかったと感じます。そこでは、そのコスチュームを披露するアスリートに関してではなく、アイディアを思い付き、コーチと一緒になって氷上でそのアイディアを具体化した芸術家について語る必要があります。コスチューム、それはコーチの仕事の一部です。指導者こそが、氷上でどのような自分の生徒を見たいのか、どのような芸術的イメージが具現化されるかを決めなければならないのです。

私は、屈指のコスチュームマスターと一緒に仕事が出来て幸運でした。ナテラ・アブドゥラーエワやヴャチェスラフ・ザーイツェフのような。もっと時代が下ったマスターたちの中では、例えば、ミレーナ・ボプコーワの働きぶりが私には気に入っています。少数の人たちしか知りませんが、彼女は数年間浅田真央のために衣装を縫っていました — 私が真央との仕事を終了した後さえそれをしていたのです。かつて私は真央のためにアメリカで、非常に小柄で痩せた体型向きの、特別な、姿勢を変えられるマネキンを買い、それをミレーナにプレゼントしたことさえあるのです。

もし、具体的アスリートたちのコスチュームについて語るとすれば、良いものがたくさんあります。選ぶことは出来ません」。

[Russia Todayのバージョン]
マジックペンの色や好みは、ご存知の通り、十人十色であるし、我ら編集部の選択がいかに突飛であるとしても、このノミネートはアントン・シュレーポフと、彼のフリープログラム《シンドラーのリスト》に行き着く。国際スケート連盟(ISU)も、ナチス強制収容所のユニフォームを模した、このアスリートのコスチュームをSkating Awardsにと推していたが、インターネットでの世間のネガティヴな反応を恐れて後退し始めた。

もちろん、選択は様々だが、多種多様な衣装とアイディアが限りなくある中で、フィギュアスケート界全体の注目を我々の選択に引き付けられれば、それは当然、一つの達成だ。

・ 最優秀新人賞について
[タチヤーナ・タラーソワのバージョン]
「このノミネートでは、私ならアレクサンドラ・トルーソワ、アリョーナ・コストルナーヤ、カミーラ・ワリーエワの中から選ぶでしょうが、多分、サーシャ(アレクサンドラ)を選ぶでしょう。国際大会で、一つのプログラムの中で4本の四回転ジャンプを成功させて、今シーズンのサーシャが成したことは、今後数年間、女子選手の誰かがいつか繰り返すことが出来るとは考えられません。そもそも、世界で誰一人やっていないことをやることは、非常に難しいのです。しかも、誰もがトルーソワに反対しましたし、規則さえもが、アスリートが自分のジャンプで大きな優越を得られないようにと変更されようとしています。ですから、私は彼女に賛成するのです!」。

[Russia Todayのバージョン]
アレクサンドラ・ボイコーワ/ドミートリー・コズロフスキー組、アレクサンドラ・トルーソワ、そしてアリョーナ・コストルナーヤの選択肢の中で、最後のコストルナーヤを選ぶ。

16歳のモスクワっ子の結果が、自ずと全てを物語っている。Russia Todayのバージョンで名前が上がった三者とも、全てがロシア人であったことは、専門家たちの偏見に罪があるのではなく、《残りの世界》側の競争力の弱さにある。一方で、このロシアが見習うべき人たちはいる。

2020/02/27 露元Jr.代表「自分のクレージーな世界を気に入っている」

あれこれ 2020年7月17日(金)3時2分配信

2020/02/27 イワン・リギーニ「自分のクレージーな世界を気に入っている」— バーテンダーとしての仕事、自分のブランドの衣服の路線、オリンピック出場の可能性について

====一部抜粋====

(エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ)

父方の出自により彼はロマであり、バリーエフという姓でロシア代表として滑り始めた。そして恐らく、フィギュアスケートにはより華麗なキャリアも、よりボロボロのキャリアも無いということは論理的なことだ。イワン・リギーニは2度ロシアジュニアチャンピオンになり、4度イタリア選手権で勝利し、エヴゲーニー・プリューシェンコ、イリヤ・アヴェルブーフのショーで滑り、タチヤーナ・ナフカのミュージカル《ルスランとリュドミ-ラ》ではチェルノモール(訳注:ずる賢い魔法使い)になった。ここ三年間はショーArt on Iceに出演していて、Russia Todayのこのインタビューはその折のもの。

—あなたは2016年のボストン世界選手権で皆を感動させました:ショートでもフリープログラムでもトップテンに入りました。その後に何故競技スポーツを終わりにしたのですか?

「すぐに終わりにしたのではなく、さらに一年イタリア代表として滑ったが、オリンピックシーズンになって、イタリア人たちは僕をオリンピックに送り出すつもりが無いことを理解したのだ。イタリア選手権で2位になったが、それはあまり美しい話ではなかった。僕ではなく他の人間が最良の選手になることを求められているのだと、何か非常にあからさまに理解させられたのだ。最初僕はこのことで落ち込んだが、でももうそんなに若くないし、自分にはすすり泣いている時間は無いのだと決心したのだ。すぐにArt on Iceに出会い、人生が変わった。オリンピックに行かなかったことをちっとも悔やんでいないと、たちまち理解したのだ。Art on Iceでは何かすぐにメンバーに入り、このショーに出演してもう3シーズン目だ」。

—慣れ親しんだ生活全体が一瞬にして終わった時、それは辛い時でしたか?

「どちらかと言うとそれは、考え始めるのを余儀なくされた時だった。恐らく、人生において何かを変える時期が来ていたのだ。いつも誰かからのお金を期待し、自分に資金提供をしてくれるように頼み、コーチが何故自分に支払ってくれないのかと不安になったり質問したりしないように、コーチに支払ってくれるよう頼んだりすることが、もうたくさんだったのかもしれない。このような問題は、そもそも、アスリートを煩わせるべきじゃないと僕は感じるのだ。しかし、僕の人生はいつも簡単には行かないものだった。

僕はジュニアの時は非常によくやった。ロシアでトップになった。その後怪我をした。当時トレーニングしていたのはニコライ・モローゾフのところで、非常に大きなグループだった — 高橋大輔、ハビエル・フェルナンデス、フローラン・アモーディオ、セルゲイ・ヴォーロノフ、アリョーナ・レオーノワ、ニキータ・カツァラーポフ/エレーナ・イリイヌィフ組。ただし、グループの中であなたがナンバーワンでないとすれば、あなたとの働き方が違うのだ。それでイタリアのために滑るために自分の内部が成熟したことも分かって、僕は去った — モスクワで生まれたけれども、生まれた時から僕のパスポートはイタリアのものだったから。しばらくの間、サンクト・ペテルブルクのオレーク・ワシーリエフのところで滑り、その後オーベルストドルフのミハエル・フートのところへ行った」。

・ ・・・
—アスリートが連盟から財政的支援を受けず、スポンサーもいない場合、フィギュアスケートはどれ程お金がかかるものなのですか?

「それは非常に大きなお金だ。膨大な金額をフィギュアスケーターの誰もがあなたに言うだろう。スケート靴だけでも1000ドルかかる。それに加えてコスチュームを作る。最低でもそれには相当な額が出る。その上、もちろん、一日2回のトレーニングが必要だ。1時間半ずつは欲しいところだ。または1時間ずつ3回。この他コーチを雇って、リンク代、全般的身体訓練、特殊訓練、振付け費用、治療・リハビリ・回復の費用を支払わなければならない。これら全てが自己負担だ。フィギュアスケーターに給料が支払われるのは、ロシアとアメリカだけだ。スポンサーを探そうと試みることは出来るが、あなたに知名度が無かったなら、スポンサーの誰一人あなたに興味を示さない。

一時期僕はいつも考えていた — 23年間これをやったようにして努力したなら、それ程才能が無くたってどんなビジネスでも、どんなスポーツ種目でも成功しただろうにと。この期間があれば、サッカープレーは間違いなく習得しただろう — ナショナル選抜チームの大部分のプレーヤーたちに遜色なく。しかし、フィギュアスケートでは、グローバルな観点で論じるとすれば、普通に稼げる機会が事実上無く、スポンサーシップも無い。コスチュームにNikeのロゴチップを縫い付けてスケーターが世界選手権に出て行くことは出来ないのだろうか?

つまり、フィギュアスケートが人気にも関わらず、そこには重要なもの — 商業が無いのだ。これは国際スケート連盟がどうしても解決出来ない、僕たちのスポーツ種目の重要な問題の一つだと思う。連盟には日本のスポンサーはいて、そのお陰でフィギュアスケート全体が息をしているのだから、日本のアスリートたちはお金を得ている。ヨーロッパでは全くこれとはほど遠い。スポンサーがいれば、競技会は全く違ったものになるだろう。実際の広告が現れれば、世界チャンピオンは勝利の報奨金で5万ドル受け取り続けることもないだろう。これは一見しただけでは大金だが、大会開催国に10〜15パーセント、30〜40パーセントを自分のコーチングスタッフに、さらには連盟に何かしらの支払いをして、税金を納めた時、計算してみれば分かるだろうが、全く何の収入にもならないのだ。しかも、この5万ドルを得ることが出来るのは、羽生結弦を倒してからだ。あるいはネイサン・チェンを。やってみたら良い、彼らに勝てるかどうかを・・・」。

—フィギュアスケーターの立場から見て、羽生結弦は人でしょうか、あるいは銀河系間の異星人でしょうか?

「異星人だ、間違いなく。僕は彼をこうも呼ぶ:粘土細工異星人」。

—このフィギュアスケーターの中で、最も説明が付かないものは何ですか?

僕にとって驚くべきことは、最も深刻な怪我も含めて、どのような怪我であってもあまりにも早く恢復することだ。どれ程彼は柔らかいのか — 関節も、どこもかしこも。彼は、僕に言わせると、ヒトの非常に良い組立部品を持っている。内部の彼は本当に何らかの塑形用剤で出来ているのだ — 足は氷上で別々の方向に湾曲する。羽生に起こったような怪我のうち何らかのものが僕に起こったとしたら(どうかそんなことになりませんように)、恐らく僕は二度と足で立てないだろう。

それに加えて結弦には、非常に強い魂がある。実在するサムライ魂だ。これら全てが合わさって、彼を非常にクールで、特別なものにしている。無駄に滑り回るのを回避出来るのは、ジャンプを感じる能力、氷を感じる能力、難しいジャンプをほとんど助走無しで跳ぶ能力だ。あの宇野昌磨も非常にクールなフィギュアスケーターだ。しかし彼は、羽生がやらかす奇妙なことをやることは出来ない。そもそもそれを出来る人はほとんどいないのだ。もっとも、羽生は、宇野もそうだが、子供の頃僕たちが常に教えられたように《アイロンで》 — 足を引っ張らずに — 滑っている。一方でチェンは、一つ一つの動きの際に足を引き抜いている。僕にとっては、そこに違いがある」。

—ショー出演のアドレナリンで、あなたには足りていますか? 競技スポーツに逆に引き寄せられないですか?

「引き寄せられる。絶え間なく仕事をすることでこれを埋め合わせている。それは演出だったり、何らかの新しいプロジェクトだったり、新しいビジネスだったり。僕はいつも忙しいし、それは良いことだ。しかし、さらにもう少し滑ることも除外していない。だって、僕は現役を引退するとはどこでも言わなかった。しかも、イタリアとの関係を終了すると決めた途端、すぐに二つの国が、彼らのために滑るようにと僕にオファーを出して来た。だって今僕は、自分が望むなら、どの国のためにも滑ることが出来るのだから」。

—中国でのオリンピックであなたを見るというバージョンもあり得ると言いたいのですか?

「十分可能だ。全てを整えるために丸一年あるのだから」。

 

2020年7月11日 (土)

【自粛から自衛へ】東京都「市中感染本格化」新規感染者3日連続✍200人超

東京都新たに👤206人感染 200人台は3日連続

共同通信 2020年7月11日(土)15時06分配信

 東京都で11日、新型コロナウイルスの感染者が新たに206人報告されたことが関係者への取材で分かった。過去最多だった10日の243人より減少したものの、200人台は3日連続で依然として高い水準。累計では7721人となった。

 都内の感染者数は5月25日の緊急事態宣言解除後に増加傾向が続き、今月に入ってさらに増えている。東京から各地への波及も懸念され、都は不要不急な他県への移動を控えるよう都民に呼び掛けている。

 経路不明5割弱、クラスターも 連日200人超東京 

朝日新聞デジタル 2020年7月11日(土)23時44分配信

 11日に確認された東京都の206人の感染者を年代別にみると、20代、30代が全体の70%を占めた。10代以下も15人に上った。接待を伴う飲食店などの「夜の街」関連が48人に上り、うち新宿区での感染が32人を占める。現時点で感染経路が不明な人は、全体の49%にあたる101人だった。

 出演者や観客らの感染が相次いで判明している新宿区の劇場で上演された舞台関連では、新たに6人の感染が明らかになった。これで都が確認している感染者は計20人となり、都はクラスター(感染者集団)が発生したとみている。

 全国では新たな感染者が午後11時時点で、386人に上った。死者は1人だった。神奈川県では、緊急事態宣言解除後では最多となる35人が確認され、前日の32人に続き、2日連続で最多を更新。埼玉県で35人、千葉県では13人と首都圏の1都3県での感染者数は289人だった。

 大阪府では、50代の保育士1人を含む28人の感染を確認。仙台市では、共同通信の30代の男性記者が感染したという。

 連日200人を超える感染が続く東京。緊急事態宣言の解除後、6月に入って感染者の増加は、新宿や池袋などのホストクラブやキャバクラなどでの20~30代の若い世代の感染が中心だった。だが、7月2日から6日連続で100人超の感染確認が続き、じわじわと周辺地域にも広がり始めている。

 新型コロナ、飛沫感染が最も一般的な感染経路のもよう WHO

ロイター 2020年7月11日(土)4時19分配信

 世界保健機関(WHO)の疫学者マリア・バン・ケルコフ氏は10日、新型コロナウイルスの感染経路について、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した感染は従来から懸念されているとしながらも、飛沫感染が最も一般的な感染経路と考えられるとの認識を示した。

 ケルコフ氏は「飛沫がエアロゾル化し、空気中により長く漂うことが可能なことは知られており、われわれはエアロゾル感染について初めから懸念している」と述べた。

 WHOは9日、新型コロナ感染の新たなガイドラインを公表し、エアロゾル感染に関する報告を一部認めた。ただ、空気感染の可能性を確認するまでには至らなかった。

 新型コロナが「流行り風邪になる日は近いのか 

JBpress 2020年7月10日(金)6時01分配信/藤和彦(経済産業研究所上席研究員)

 新型コロナウイルス対策である緊急事態宣言が解除されてから、国内での感染者が再び増加傾向にある。6月下旬から入国規制の緩和が始まっていることから「第2波が襲来するのは時間の問題である」との警戒感が高まっている。

 東京都医師会の幹部は「ワクチンが完成し、重症化しない治療法ができれば、新型コロナウイルスもありきたりの『はやりかぜ』となり、人類と穏やかに共生していくことになる」と語っている(月刊誌「ファクタ」2020年7月号)が、このような状況にいつになったらなるのだろうか。

 「はやりかぜ」として頭に浮かぶのは季節性インフルエンザである。

 日本におけるインフルエンザ感染者数は年間約1000万人である。1日当たりの感染者数は約3万人であり、新型コロナウイルの感染者数より2桁大きい。2018年から2019年にかけての死者数は約3300人に上っている。しかし私たちがこれまで通常の生活を送ってこられたのは「インフルエンザは既知のものだから体内にはある程度の免疫力がある。予防接種(ワクチン)でさらに免疫力を高めることができる。万が一感染しても治療薬(抗ウイルス薬)があるから安心だ」という前提があったからである。

 では、新型コロナウイルスの場合はどうか。インフルエンザとの比較で新型コロナウイルスの問題について論じてみたい。

既存の免疫システムで新型コロナを退治できる

 まず新型コロナウイルスに対する免疫力について見てみよう。

 厚生労働省は6月16日、新型コロナウイルスに関する初の大規模な抗体検査の結果を発表したが、東京での抗体保有率は0.1%、大阪は0.17%、宮城は0.03%だった。注目すべきは欧米に比べて抗体保有率が非常に低かったことである。大規模流行が起きた海外では、スウェーデンのストックホルム市は7.3%、英ロンドン市は17.5%、米ニューヨーク市は19.9%だった。抗体保有率が低いことは、多くの人が免疫を獲得し感染が終息に向かうという「集団免疫」の段階に達するまでの時間が長いとされることから、日本での「第2波」は諸外国に比べて大きくなるのではないかと懸念されている。

 一方、日本などアジア地域での新型コロナウイルスによる死亡率が、欧米地域などと比べて2桁少ないことが明らかになっているが、その謎の解明に資する研究結果が出ている。

 米国カリフォルニア州のラホヤ免疫学研究所が新型コロナウイルス流行前(2015年から2018年)に採取した健康な人の血液を調べたところ、半数の人の血液から新型コロナウイルスを退治できる「T細胞」が検出されたという(6月19日付日経バイオテク)。

 またスイス・チューリッヒの大学病院では、新型コロナウイルスから回復した人のうち約2割(165人のうち34人)しか抗体(IgG)が作られていなかったということが判明し、残り8割は既存の免疫機構で新型コロナウイルスを退治したと考えられている。

 人間の免疫システムは様々な免疫細胞が連携して機能している。大括りにすれば、自然免疫(生まれながらに身体に備わった免疫機能)と獲得免疫(病原体に感染することによって後天的に得られる免疫機能)に分かれるが、新型コロナウイルスに対処できるのは獲得免疫の方である。獲得免疫も2種類に分かれ、「抗体という武器をつくる」B細胞と「ウイルスに感染した細胞を破壊する」T細胞がある。

 治療薬やワクチンの開発などで注目されているのはB細胞であるが、今回の研究結果はこれまで光が当たっていなかったT細胞に関するものである。

 新型コロナウイルスが出現する前から、SARSやMERSの他に4種類のコロナウイルス(風邪の一種)が見つかっているが、半数以上の人のT細胞は、過去のコロナウイルスに感染した経験を生かして新型コロナウイルスに対応できることがわかったのである。

 T細胞は特定の抗原(ウイルスのタンパク質)とのみ結合するが、抗原の化学構造に類似する物質とも誤って結合することがある(交叉反応性)。半数以上の人のT細胞は、新型コロナウイルスが体内に侵入すると、過去に感染した風邪のコロナウイルスの免疫記憶が呼び起こされ、新型コロナウイルスを認識し、攻撃するというわけである。

 コロナウイルスの仲間を広く認識できるT細胞は「交叉反応性メモリーT細胞」と呼ばれているが、老化や何らかの疾病によって免疫不全の状態になっている人ではその活性が低下しており、新型コロナウイルスに感染すると発症しやすいようである。

 その後、ドイツやスウェーデンでも同様の事実が判明しており、抗体が新たに作られなくても、既存の免疫システムで多くの人々は新型コロナウイルスを退治できるということがわかってきている。「抗体保有率が低い」といたずらに心配する必要はないのである。

 また日本などアジア地域では「交叉反応性メモリーT細胞を有する人の割合が多いことから死亡率が低い」という仮説が成り立つ。世界各地の人々のT細胞の免疫反応が調査されれば、「ファクターX」の正体が明らかになるのは時間の問題だろう。

決め手となるのはワクチンよりも治療薬

 次に世界中で期待が高まっているワクチンの開発状況はどうなっているのだろうか。新型コロナウイルス用のワクチンは、世界各地で異例のスピードで開発が進められているものの、実用化は早くても来年(2021年)以降になる見通しである。「できたとしても完全なワクチンになるとは限らない」との指摘もある。

 一方、インフルエンザの予防接種は毎年おこなわれているが、日本における接種率は50%に過ぎない。ウイルスが毎年変異していることから、その有効性が年々低下しており、予防接種でできた抗体も4カ月で消滅すると言われている。インフルエンザのワクチンも完全なものではない。ワクチンは感染症対策の主役ではないのである。

 決め手となるのはやはり治療薬である。インフルエンザについてはタミフルなど体内でウイルスが増殖することを防ぐ抗ウイルス薬が複数存在し、一般の医療現場で処方されている。一方、新型コロナウイルスについては、米国で開発されたレムデシビル(抗ウイルス薬)が日本でも承認されているが、治療期間の短縮という効果はあるものの、死亡率の低下には寄与していないようである。日本では、新型コロナウイルス用に開発されたアビガンに注目が集まっているが、最終段階の臨床実験が継続中のままである。

 抗ウイルス薬の効果が芳しくない中で、6月中旬、英オクスフォード大学の研究チームは「炎症を抑える作用のある既存の薬(デキサメタゾン)を投与した結果、最も重症化した患者の死亡数が35%減少した」と報告した。WHOは「最初の成功例」と素早く反応し、デキサメタゾンの増産を世界の関係者に呼びかけた。

 デキサメタゾンは安価で広く入手可能なステロイド薬である。1957年に開発され、炎症の原因に関係なく、体内の免疫機能を抑制することでぜんそくなどアレルギー反応が引き起こす疾患の治療に用いられている。

IL6の暴走を抑えるアクテムラ

 新型コロナウイルスの場合、感染者の8割は無症状か軽症、約2割が重症肺炎となり、重症患者のうち約3割(感染者の6%)が致死的な急性呼吸器不全症候群(ARDS)となると言われている。ARDSとは「サイレント肺炎」と呼ばれ、恐れられているが、その原因は既に明らかになっている。

 「新型コロナウイルス感染症はサイトカインストーム症候群である」

 このように主張するのは平野俊夫・量子科学技術研究開発機構理事長(前大阪大学総長)である。平野氏は4月下旬、村上正晃北海道大学教授とともに「新型コロナウイルスのARDSは免疫系の過剰な生体防御反応であるサイトカインストームが原因である」とする内容の論文を発表した。

 サイトカインとは細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称である。サイトカインは感染症への防御を担っているが、過剰に分泌されると多臓器不全などの原因となる。この状態がサイトカインストームであるが、デキサメタゾンは免疫機能全般を低下させることでサイトカインストームを抑制することに成功したと考えられる。

 それではなぜ新型コロナウイルスはサイトカインストームを引き起こすのだろうか。

 平野氏らの研究によれば、ARDSとなった患者の血液ではサイトカインの一種であるインターロイキン6(IL6)の濃度が上昇している。IL6は生体の恒常性維持に必要なサイトカインだが、炎症性を有することから、サイトカインストームを引き起こす際に中心的な役割を果たす。体内にはIL6を大量に分泌するための増幅回路(IL6アンプ)があり、新型コロナウイルスが増殖する気管支や肺胞上皮にもIL6アンプが存在することがわかっている。平野氏らは「気管支や肺胞上皮に侵入した新型コロナウイルスがIL6アンプのスイッチをオンにすることでサイトカインストームが起きる」というメカニズムを解明したのである。

 このことからわかるのは、サイトカインストームの原因となるIL6の暴走を抑えれば、新型コロナウイルスの致死性は格段に低下するということだが、これを実現する薬は既に存在するのである。

 薬の名前は「アクテムラ(トシリズマブ)」である。

 アクテムラは、世界初のIL6阻害剤として大阪大学と中外製薬により共同開発された。トシリズマブの「トシ」はインターロイキン6の発見者である平野氏に由来する。国内では2005年に関節リウマチ(免疫の異常により手足の関節が腫れる病気)用として承認されており、治療費は1カ月当たり2~4万円程度と高価ではない。

 アクテムラの新型コロナウイルスの治療薬としての有効性についての臨床試験は既に始まっている。中外製薬の提携先であるスイス・ロシュは3月から米国・カナダ・欧州でなどで最終段階の臨床試験を開始し、非常に有効な治療薬であることが証明されつつある(6月29日付「日経バイオテク」)。中外製薬も4月から臨床試験を始め、年内の承認を目指している(「アクテムラ、新型コロナウイルス肺炎を対象とした国内第III相臨床試験の実施について」中外製薬)。

 アクテムラが新型コロナウイルス用に承認され、医療現場で広く投与されるようになれば、私たちは新型コロナウイルスの脅威に怯えることはなくなる。安心して元の生活に戻れることになるだろう。

 新型コロナウイルスの病原性などがほとんどわからない状況下でのこれまでの対策は、数理モデルで感染拡大を予測する理論疫学や感染制御学の専門家が中心となって立案されてきたが、今後、世界的に見ても水準が高いとされる日本の免疫学の専門家が加われば、「鬼に金棒」である。新型コロナウイルスがありきたりの「はやりかぜ」となる日は近いのではないだろうか。

 新型コロナ  NY致死率が判明、従来ほぼ倍

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年7月9日(木)17時58分配信

インフルの50~100倍の推定も、米国でも若者の比率が急上昇、疫学者ら憂慮

 米テキサス大学オースティン校のデータ科学者ジェームズ・スコット氏が不安を感じ始めたのは、5月下旬のことだった。テキサス州が企業活動や公的な集会に対する規制を緩和してから1カ月ほど経った頃だ。

 スコット氏は、携帯電話の移動データを利用して人々の移動パターンの変化をつかみ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数を予測するモデルを開発していた。レストラン、バー、ジム、コンサート会場を訪れる人の劇的な増加を目の当たりにした彼は、テキサス州の感染者数が急増するのは時間の問題だと感じた。「風向きを知るのに天気予報官はいらないと、ボブ・ディランも歌っていたでしょう?」と彼は言う。

 テキサス州を始めとするいくつかの州では、ソーシャルディスタンスを確保するためのガイドラインを緩和した後、ここ数週間で新型コロナウイルスの感染者が急増している。これまでのところ死者数はさほど増えていないが、専門家は、新型コロナウイルスが弱毒化したわけではないと警告している。

 死者数があまり増加していない理由の1つは、この感染症は患者が死に至るまでにある程度時間がかかる上、お役所仕事のせいで死亡者数の記録に余計に時間がかかっているからだ。たとえば今日の死亡者は、3~4週間前に感染していた可能性が高い。

 新型コロナウイルス感染症の致命率の見積もり方がわかってきた今では、その数字が憂慮すべきレベルであることも明らかになった。「感染致命割合(IFR: Infection Fatality Rate)」という、過去数カ月分のデータを使った非常に複雑な最新の計算結果から、新型コロナウイルス感染症の致命割合は季節性インフルエンザより50~100倍も高いことが示されている。

 米国をはじめ、感染者数が急増している国では、現在と同じ対応をしていては夏から秋にかけて恐ろしい事態になると予想される。

 オーストラリア、ウーロンゴン大学の疫学者で、自称健康オタクのギデオン・マイヤーウィッツ・カッツ氏は、現時点での米国の死亡者数を引き合いに出し、「12万8000人という死亡者数が途方もない数字であることを理解するのに、多くの計算をする必要はありません」と言う。

感染致命割合1.45%の意味は

 問題は、事態がどのくらい悪化するかということだ。

 アウトブレイク(集団感染)が始まった当初、多くの人が、新型コロナウイルス感染症の致命率として、死亡者数を確定診断がついた患者数で割った「症例致命割合(CFR:Case Fatality Rate)」を用いていた。しかし、感染しても無症状の人が多く、こうした人々は患者としてカウントされないことが明らかになってからは、あまり用いられなくなった。

 今、世界各地のパンデミックの流行の移り変わりを数カ月にわたって調べてきた科学者たちは、症例致命割合と似ているが、より包括的な指標である「感染致命割合(IFR:Infection Fatality Rate)」に目を向けている。感染致命割合は、確定診断がついていない患者や無症状の感染者を推定し、それらも含めた感染者全員を分母にとり、この病気で死亡する割合を数値化したものだ。こうした計算は、季節性インフルエンザでは毎年行われている。

 マイヤーウィッツ・カッツ氏の説明によると、感染致命割合を推定する方法は2つあるという。1つは、新型コロナウイルスに対する抗体の有無を調べる血清学的検査を用いて感染者数を推定する方法だ。この検査では、症状が出ていなくても感染の履歴を明らかにできる。もう1つは、確定診断がついた患者数と無症状の感染者数の推定値についてわかっていることに基づき、統計学的手法を用いて感染者の総数を推定する方法だ。

「一般に、血清学的検査では感染致命割合の推定値は低くなり、統計学的手法では高くなる傾向にあります」とマイヤーウィッツ・カッツ氏は言う。

 米コロンビア大学の疫学者は、3月1日から5月16日までのニューヨーク市の大規模なアウトブレイクのデータに基づき、統計学的手法を用いて感染致命割合を推定した。その結果は、査読を受けていないプレプリント(予稿論文)として6月29日に公開されたが、新型コロナウイルスの致命割合が当初考えられていた以上に高い可能性があることを示していた。

 彼らのデータによると、新型コロナウイルス感染症の感染致命割合は1.45%だった。この数字は以前の推定値のおよそ2倍であり、ソーシャルメディア上で広く共有されている誤った数字よりもはるかに高い。死亡リスクは年齢によって大きく異なり、75歳以上の感染致命割合は13.83%と最も高くなっている。

 マイヤーウィッツ・カッツ氏は、ブログ投稿プラットフォーム「ミディアム(Medium)」に発表した独自の分析において、インフルエンザと世界各地の新型コロナウイルス感染症の感染致命割合を比較している。新型コロナウイルス感染症と同じく、インフルエンザも軽症や無症状の感染者が多い。米国疾病対策センター(CDC)によるインフルエンザの重症度の計算の多くはこうした患者の数は考慮しておらず、入院者数を使用している。インフルエンザについては、医師や病院は、大掛かりな治療を必要としない軽症の患者はあまり気にしていないのだ。

 マイヤーウィッツ・カッツ氏は、季節性インフルエンザの感染致命割合を計算した数少ない研究を用いて、感染者10万人あたり1~10人が死亡していると見積もった。氏の計算によれば、新型コロナウイルスの致命割合は季節性インフルエンザの50~100倍になると考えられ、コロンビア大学の分析結果を裏付けている。つまり最悪の場合、新型コロナウイルス感染症では、感染者10万人あたり500~1000人が死亡する計算になる。

 マイヤーウィッツ・カッツ氏は、これらは理論的な数字であると念を押す。「これから最悪の状況になるのだと言っているわけではありません」。しかし、ソーシャルディスタンスにストレスを感じている市民に現状を理解させるには有益だ。

お役所仕事による報告の遅れ

 新型コロナウイルス感染症の真の致命割合を見きわめるのが困難な理由の1つに、死亡者数をタイムリーに追跡するのが非常に難しいことが挙げられる。死亡事例を記録し、その死因を特定することは、公衆衛生の基本だ。現在のコロナ禍のような混乱がなく、比較的余裕のある状況であっても、米国では、州当局が死亡の報告を受け取るまでに数日かかることがある。州はその後、CDCの国立健康統計センターにデータを転送し、ここで死亡とその原因が記録される。

 新型コロナウイルスによるパンデミックの深刻さを受け、CDCは死亡診断書の情報の確認をコンピューター任せにせず人力で行うことにし、確認が終わってから正式に集計に追加するようにした。コロラド州公衆衛生環境局の人口動態統計プログラムのマネージャーであるカーク・ボル氏によると、3月時点から比べるとこの作業は格段に速くなったが、それでもまだ新型コロナウイルスによる死亡が正式に記録されるまでに1週間前後かかっているという。

 ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターの疫学者であるジェニファー・ヌッツォ氏によると、お役所仕事だけでなく、この疾患の特徴も、感染の早期把握を困難にしているという。新型コロナウイルスに感染した人の症状が出始めるのは平均して4~5日後で、2週間かかる人もいる。

 CDCの分析から、重い呼吸困難が始まるのは発症から5~8日後で、ICUに入るのは最初に症状が出てから10~12日後であることがわかった。カリフォルニア州とワシントン州で新型コロナウイルス感染症により死亡した患者の入院日数の平均は12.7日だった。すべての日数を足し合わせると、人によっては感染から死に至るまでに1カ月以上かかることもある。

感染を広げる若者たち

 感染者数が急増しているわりに死者数があまり増加していないのは、患者の年齢が要因となっている可能性がある。これまでの数カ月間と比較して、最近は35歳未満の若者の感染が増えている。若者は高齢者に比べて死亡する率が低い。南フロリダ大学の疫学者ジル・ロバーツ氏は、若者の感染者数の増加だけでなく、若者が高齢者にウイルスを感染させて、高齢者が重症化してしまうことを懸念している。

 6月19日、CDCは5月上旬に実施した米国の4042人の成人を対象とするアンケート調査の結果を公表した。それによると、18~29歳の人の43.1%は、ソーシャルディスタンス命令が解除されれば安全になったと感じるだろうと回答したのに対し、65歳以上ではその割合は19.2%にとどまっていた。ロバーツ氏とヌッツォ氏は、接客業につく人は伝統的に若者が多いと指摘する。こうした業種が再開すれば、労働者はもはや自己隔離ができなくなるかもしれない。

「私たちは若者をターゲットにしなければなりません。彼らは動き回ります。病気を蔓延させているのは彼らなのです」とロバーツ氏は言う。

 若者が新型コロナウイルス感染症で死亡するリスクは依然として低いものの、高齢患者の対応に病院が手一杯になっている時期に、多くの若者も入院することになる。3月の時点で、米国の病院に入院している患者のうち50歳未満の成人の割合は約25%だったが、ロックダウンの解除が始まった5月初旬以降に高まり続け、6月下旬には40%を超えている。

「入院を必要とする人が増えれば増えるほど、質の高いケアを提供することは難しくなります」とヌッツォ氏は言う。「医療従事者は本当に長い間、ノンストップで働いているのです」。

 つまり、最近の医療センターの状況は、すべての年齢層の死亡率を上昇させる可能性があるということだ。死亡率が急激に上昇し始めるのは時間の問題だと、スコット氏は言う。

インドコロナ深刻化は「民主主義の弱点池上彰解説

NEWSポストセブン 2020年7月12日(日)7時05分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大で、世界の景色はすっかり変わった。国により感染者数や死亡者の数にも大きな違いが出ているなかで、ジャーナリストの池上彰氏は「こういう時こそ、その国の民主主義の度合いや日頃の医療体制の優劣がはっきり出てきます」と指摘する。

 * * *

 新型コロナウイルスについて、独裁的な力で都市を封鎖して感染者数を抑え込む中国のような国もあれば、対策が遅れ、貧富の格差から人種によって死亡率に差が出たアメリカのような国もあります。

 中国に関していえば、感染拡大を防ぐためには国民の行動にある程度の規制をかける必要性は理解できても、武漢という、人口規模で東京都に匹敵する大都市をいきなり封鎖してしまうという手法には嫌悪感を抱く人も多いことでしょう。

 その中国と何かにつけて比較されるのがインドです。私が6月30日に上梓した『池上彰の世界の見方 インド』で詳述していますが、13億人をはるかに超える人口を抱えたインドは、人口増加率を見ると10年以内に中国を追い抜く勢いです。しかし、感染防止の観点からいうと、中国より立ち遅れ、感染者数は爆発的に増えてしまいました。

 インドは「世界最大の民主主義国」と言われます。しかしそれゆえに中国のような強権的な手法はとれませんでした。今、感染拡大対策が後手に回ったのではないかと批判されています。これは民主主義の弱点かも知れません。だからといって中国を見習え、とはならないでしょう。民主主義とは何か。考え込んだ人もいるのではないでしょうか。

 それと共に明らかになったのは、インドの貧富の差です。今回は、人口が密集しているスラム街で感染者が拡大しています。衛生状態も、けっして良好とはいえないインドの弱点が露呈しました。

 インドでは家にトイレがなかったり、学校に女子トイレがなかったりという状態が続いてきました。2015年にユニセフが行った調査では、13億を優に超えるインドの人口のうち、5億人以上が田畑など野外で用を足していました。そこでインドのモディ政権は2014年に「野外排せつゼロ宣言」を行って5年がかりでトイレの設置を進めます。2019年にはトイレ普及運動の達成を宣言しました。ただ、一定の成果はもちろんあったと思いますが、専門家からは、まだ数百万人単位の人々がトイレなしで生活していることや、古くからの習慣のせいで新しく設置されたトイレが使用されていないことなどが指摘されています。こういう背景もコロナウイルス感染拡大の一因になったと思われます。

 インドといえば「カースト制度」を思い浮かべる方もいるでしょう。カースト制度についての詳しい内容は、前出の『池上彰の世界の見方 インド』を読んでいただくとして、実はカースト制度は感染症と関係があるという説があることを、知りました。

 新型コロナウイルスの感染に見られるように、過去にも人類は数々の感染症と戦ってきました。感染拡大を防止するには、他人との距離をとること。いわゆる「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)を保つ必要がありますが、過去にも感染症が広がった時には距離をとってきました。これが、「異なる集団とは別々の生活をする」という習慣に発展していったというのです。

 感染症の原因が不明だった時代には、そういった行動で感染を防いでいたのなら、それはそれで人々の知恵だったのか知れません。

 また今回のコロナ禍は、新たな宗教紛争をもたらしています。感染拡大が始まった初期にイスラム教徒たちがモスクで集団礼拝をしていたことで感染が拡大したのではないかと、ヒンドゥー教徒たちが不満を持っているのです。

 インドというとヒンドゥー教徒の国というイメージを持っている人も多いでしょうが、実はイスラム教徒も多数暮らしています。前述のモディ首相はヒンドゥー教徒。ヒンドゥー教徒優先政策を採用したことで、国内でさまざまな社会的摩擦を生んでいます。とりわけ未知のウイルスの感染拡大が続くと、人々は不安に陥ります。こういうときに日頃の差別意識が表面化しやすいのです。

 インドが抱えるさまざまな矛盾が一気に噴き出したコロナ禍ですが、とはいえ、これでインドという国の勢いが削がれてしまうわけではありません。インドは、とてつもないパワーを備えた国だからです。ひとつには人口の多いこと。「人口は力なり」です。人口で中国を追い抜くインドは有利です。「21世紀はインドの世紀」となる可能性が高いのです。

 そして、少しでも豊かな生活を送りたいというハングリー精神。インド人と話をしていると、そのアグレッシブさに戸惑うこともありますが、だからこそインドは発展すると思うのです。そんなインドについて、今後も注目していきましょう。

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2020年7月10日 (金)

【令和二年七月豪雨】激甚災害✍指定急ぐ「流域治水」へ転換も急務

流域治水への転換促す 気候変動ふまえ対策を―国交省審議会

時事通信 2020年7月9日(木)16時29分配信

 社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)河川分科会の小委員会は9日、今後の水害対策について、赤羽一嘉国交相に答申した。

 地球温暖化による気候変動で、災害の激甚化、頻発化が見込まれることを踏まえ、河川整備計画などの見直しを進めるべきだと指摘。これまで直接、対策に関わってこなかった民間事業者や住民を巻き込んだ「流域治水」への転換を促した。

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 答申を受け取った赤羽氏は「気候変動で降雨量が増えている。科学的な根拠により優先順位を持ってやっていかなければならない」と強調した。

 答申は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を前提に、計画を見直すよう求めた。同協定は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ2度未満に抑える目標を掲げている。これまでは過去に発生した最大級の豪雨を前提としていた。

 流域治水への転換では、国と都道府県、民間事業者、住民らが集まって水害対策を話し合う場を設けることを提案した。また、電力会社など民間事業者が管理する、水力発電や農業用水のための「利水ダム」を洪水対策に活用することも求めた。 

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九州豪雨コロナ禍豪雨…熊本県人吉市の温泉街を直撃

産経新聞 2020年7月10日(金)11時02分配信

 熊本県南部に甚大な被害をもたらした豪雨は県有数の温泉街にも大きな打撃を与えた。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ客足が戻りつつあった矢先。「もはや立ちゆかない」「これからというときに…」。本格的な観光シーズンを前に再び見通しが立たない事態に見舞われ、関係者らの落胆は計り知れない。

 ■二重苦だ

 江戸後期から続く老舗温泉旅館「人吉温泉 鍋屋本館」(同県人吉市)は新型コロナ感染防止のため約1カ月半にわたって自主休業し、6月に営業を再開したばかりだった。同旅館会長の富田正彦さん(62)は「コロナと災害の二重苦だ」と嘆く。

 富田さんと妻で女将(おかみ)の峰子さん(59)によると、県内に大雨特別警報が発令された後の4日午前7時ごろ、同館の目の前を流れる球(く)磨(ま)川が濁流でうねるように膨れ上がっていた。

 「今まで見たことがない川の水量に驚(きょう)愕(がく)した」。富田さんは急いで避難の準備を進めた。約20分後には、目の前の道路が冠水し、一気に濁流が流れ込んだ。

 午後になって水が引き、館内を確認すると、水が押し寄せた1階は、天井部分にまで泥が付着していた。大浴場は大量の土砂で埋め尽くされ、温泉を吸い上げる地上ポンプも水没し、使えなくなった。

 1階には、詩人の与謝野晶子が昭和7年に同館を訪れた際に書き残した手紙や詩が展示してあったが、それも濁流にのまれてしまった。

 人吉市は、球磨川沿いの温泉と川下りが名高い観光地。「熊本の南玄関」としても知られる。同館は文政12(1829)年に創業。海軍軍人の山本五十六や歌手の美空ひばりら多くの著名人が宿泊した。

 新型コロナ禍で売り上げは9割減少した。やっとの思いで休業期間を乗り切り、県などの観光支援もあり、常連客を中心に予約が入るようになっていたときに、豪雨が襲った。富田さんは「コロナで借金をしたのに災害でも、となれば経営を続けるのは難しいかもしれない」と話した。

 ■再建目指す

 同じ球磨川沿いにある昭和9年創業の「人吉旅館」も被災した。

 社長の堀尾謙次朗さん(63)は、小学生のころに経験した昭和40年の大規模な水害を覚えている。今回の豪雨で1階の天井まで達した水の跡を見て「水量はあのときの倍だ」と感じた。全21室のうち13室が浸水した。

 コロナ禍で同館も4月から約2カ月休業した。それに追い打ちをかける豪雨。それでも堀尾さんは「大変なことになったが、こうなっては仕方ない」と現実を静かに受け止める。

 今は土砂のかき出しなど館内の清掃を続ける日々。「再建にいくら金がかかるのか、いつごろ復旧できるのか全く見通せない」という。

 堀尾さんは、地元の温泉旅館が加盟する人吉温泉旅館組合の組合長も務める。「どこの旅館もまだコロナのダメージを抱えたままだ。でも人吉の温泉のファンがいる。そんな人たちのためにも再建していかないといけない」

旅館損壊九州豪雨で一変 コロナに追い打ち…大分・湯平温泉

西日本新聞 2020年7月10日(金)11時00分配信

 山あいの自然と風情漂う石畳道が人気の大分県由布市湯布院町の湯平温泉も、記録的豪雨で一変した。中心部を流れる花合野(かごの)川が氾濫し、護岸はえぐり取られ、脇に立つ旅館や住宅が損壊。避難中の4人が乗った車も、濁流にのみ込まれた。俳人種田山頭火が愛した湯治場は、コロナ禍からの再起を期していたさなかに深い傷を負った。

 住民らによると、最も雨が激しかったのは8日午前0時前後。花合野川の濁流が護岸に打ち付け、川沿いの旅館は1時間ほど地震のように揺れた。あちこちで護岸が削られ、人が歩いて渡る二つの橋が流失。20軒ある旅館のうち3軒が損壊し、共同浴場も流された。

 小野美智子さん(65)は7日夜、川を巨石がゴロゴロと転がる音で寝られなかった。8日午前1時ごろには、川に面した自宅裏口から浸水。みるみるうちに洗濯機や冷蔵庫が浮き始めた。「まさか自分の家が…。これから片付けないかん」と途方に暮れた。9日も昼から雨脚が強まり、高齢の住民らは避難所や高台などへと避難した。

 9日に死亡が確認された渡辺登志美さん(81)は、湯平温泉で旅館「つるや隠宅」を家族で経営。湯平温泉観光協会の麻生幸次会長(51)によると、元々は鮮魚店を営んでいたが、30年ほど前に近くの旅館を買い取り経営を始めた。魚料理を売りにし、着実にお客さんを集めたという。

 登志美さんは「とにかく陽気」。酒が好きで、お祭りなどでは歌って踊ったという。娘の由美さん(51)が後を継ぎ、娘婿の知己さん(54)は会社員として働きに出ていた。孫の健太さん(28)も約10年前から、旅館経営に携わっていたという。

 4人は8日午前0時すぎ、旅館から避難所へと車で避難中に花合野川に流された。登志美さん以外の3人は依然、行方が分かっていない。麻生会長は「当時は地響きのような音がした」と振り返り、4人について「旅館にいるのがどうしても怖くて、出て行かざるを得なかったのでは」と思いやった。近くで商店を営む金子裕次さん(71)は「よく知っている人でショック。何よりもつらい」と唇をかんだ。

 湯平温泉は新型コロナウイルスの影響で宿泊客が激減したものの、県の旅行支援事業などで7月には多くの予約が入り始めていた。豪雨の影響で旅館は今後1週間は営業できず、全体で計400~500人の予約を断らなければならないという。旅館「山城屋」の主人二宮謙児さん(59)とおかみの博美さん(52)は「地域還元の立ち寄り湯など、新しい取り組みを始めていた。今回も被害が出たが、それでも前を向きたい」と力を込めた。

 空き巣に注意 人吉市で被災民家不審者訪問 

熊本日日新聞 2020年7月10日(金)10時37分配信

 豪雨災害で被災した熊本県人吉市で7日、家屋の修理に便乗した悪質商法や空き巣狙いとみられる不審者が訪問する事案が発生。県警は9日、「ゆっぴー安心メール」で注意を呼び掛けた。

 県警生活安全企画課によると、7日正午ごろ、同市下林町の被災した民家で家主らが片付け作業中、30~40代の作業服姿の男4人が訪問。「県からの要請で調査に来た。浸水高を測らせてください」と声を掛け、計測用機材で浸水した高さを測ったり、写真を撮ったりしたという。

 高額な見積書などの提示はなかったが、県が調査を要請した事実もなく、同課は「悪質商法や留守宅を狙った空き巣の可能性がある。戸締まりを徹底し、修理契約などは周りの人に相談を」と慎重な対応を求めている。

 避難住民、提供協定あっても直ぐ使えず…現場の混乱と模索 

西日本新聞 2020年7月10日(金)10時30分配信

 災害時に、避難所の生活環境改善に役立つ簡易ベッドの導入。特に東日本大震災を機に考案された段ボール製のベッドに関しては、全国的に自治体と業界が提供協定を結んだり、国がプッシュ型の支援物資に加えたりするなど普及が進んでいる。今回の熊本豪雨でも政府は備蓄していた分を発送した。ただ、実際に避難住民が利用できるようになる段階までには課題が多いという。

 2018年9月6日の午前3時すぎ、北海道で胆振東部地震が発生した。震度7の揺れで被害が続出、多数の長期避難者が出る恐れがあったため、道庁は即座に段ボールベッドの導入に動いたという。

 国も全避難者に行き渡るよう、1400床分をプッシュ型で手配する方針だった。ただ、道全域が大規模停電(ブラックアウト)となり、段ボール工場は稼働不能に。本州からの融通は難しかった。

 白羽の矢がたったのが、日本赤十字北海道看護大(北見市)の備蓄品。根本昌宏教授(寒冷地防災学)らが有用性に着目し、研究用に450床分を蓄えていたのだ。道と国の協議で翌7日、とりあえず400床分を被災地の厚真町に送り込むことになった。

 8日、トラック協会から10トントラック2台が派遣されたが、積み込みに一苦労。学生と北見青年会議所の有志ら30人で3時間もかかった。さらに4時間半かけて約300キロの距離を搬送。根本教授も車で同行し、着いたのは深夜、9日午前0時ごろだった。

 搬入は、大型スポーツ施設が支援物資の受け入れ拠点として準備されていて事なきを得たが、荷下ろしの人手確保の問題に突き当たる。折衝の末、災害派遣されていた自衛隊に、他に代わるマンパワーはないという判断で、生活支援の一環として引き受けてもらうことになった。自衛隊には避難所への搬出にも協力してもらったという。

 町内2カ所の大型避難所で段ボールベッドの設営が始まったのは10日午前。地震発生から5日目だった。

 それから、ほぼ1年後の昨年夏。段ボールベッドの導入を巡り、佐賀県で似たような状況が生じた。

現場の混乱踏まえた模索が必要

 19年8月27日以降、秋雨前線の活発化で九州北部は豪雨に襲われた。佐賀市の市街地が至る所で冠水し、武雄市で車が流され男性が死亡、大町町では病院が周囲の冠水で孤立状態になるなどした。

 佐賀県への段ボールベッド供給を巡り、国と連絡を取り合っていた南日本段ボール工業組合(福岡市)の宮田信治事務局長に、国から正式な要請が電話で伝えられたのは、29日正午ごろ。当初の対象地は佐賀市や小城市など。午後になって武雄市にも、夜に入ると大町町にも、と矢継ぎ早の要請が続いた。

 同組合と佐賀県は13年、国内で最初に供給協定を結んでいたが、原則は県側が要請して動きだす決まり。国から「県と役割分担をしている」と説明され、組合は以後、国と協議しながら具体策を考案、実行していくことになる。

 まず翌30日にかけて、組合に加盟する事業所の中から、被災地の近くで段ボールベッドを製作できる工場を探す。工場自体が大雨の影響を受けていないか、31日は土曜日だったため通常は休業であっても稼働してもらえるか、手探りで調整作業を進めていく。

 福岡県の業者に依頼する選択肢もあったが、仮に現地搬入まで請け負ってもらうことになれば、土地勘がないと混乱をきたす恐れもある。ましてや冠水の影響で交通規制が敷かれ、路上に放置された車が残っているような状況。大きなトラックは使えない。

 最終的に、支援先を武雄市と大町町の避難所計13カ所に絞り込み、500床分を送ることになった。引き受けたのは、両市町に隣接する多久市の事業所。トラック協会とこの業者が自前で手配した4トントラック3台で、31日の午前中には搬送を終えたという。宮田事務局長は「事前の供給協定はあっても、状況が時々刻々変わっていき、その場で何とか臨機応変に対処したというのが現実」と話す。

 避難所に届けるだけでも、現場の混乱を踏まえた模索が必要な実態が浮かんでくる。さらに根本教授は「避難所内での設営作業にも、押さえておくべき要点がある」と指摘する。

断続的に雨行方不明者の捜索難航…住宅被害12000

読売新聞オンライン 2020年7月10日(金)23時05分配信

 九州を襲った豪雨は、熊本県南部を中心に甚大な被害が発生してから11日で1週間となる。一連の豪雨の死者は63人、行方不明者は16人となった。住宅被害は九州全7県の計約1万2000棟に上り、浸水が9割超を占める。

 調査が進んでいない自治体もあり、被害はさらに増える恐れがある。断続的に雨が降る中、行方不明者の捜索も難航している。

 一連の大雨では、10日午後8時現在、死者は熊本県60人、福岡県2人、大分県1人。行方不明者は熊本県9人、大分県5人、長崎、鹿児島県の各1人となった。土砂崩れ現場などでは、10日も行方不明者の捜索が続いた。

 読売新聞が各県の住宅被害を集計した結果、10日午後8時現在、熊本県は床上浸水4580棟、床下浸水1641棟、福岡県は床上浸水1456棟、床下浸水3445棟などとなっている。

 九州では10日も、各地で激しい雨となった。気象庁によると、午後8時までの1時間雨量は最大で佐賀県嬉野市64・5ミリ、福岡県大牟田市56ミリ、熊本県天草市52ミリなどとなっている。午後8時現在、熊本県などの約38万人に避難指示が発令され、約4200人が避難所に身を寄せている。

 長雨大雨の原因…専門家も線状降水帯と“梅雨前線の停滞 

東海テレビ 2020年7月8日(水)19時56分配信

 九州にだけでなく東海地方、特に岐阜県の山間部を中心に降った大雨。8日未明から朝に集中した大雨は、なぜ降ったのか?その理由を専門家に取材しました。

 8日未明、午前4時ごろの岐阜県下呂市。市内を流れる飛騨川が氾濫したため道路は通行止めに。側溝から雨水があふれ出し、道路は川のようになっています。

 8日午前5時から8時までの雨雲の動きをとらえたレーダーの画像では、赤やオレンジで示された猛烈な雨を降らす雨雲が、岐阜県を西から東へ横断していく様子が分かります。

 岐阜県下呂市萩原では、8日午前10時までの72時間に降った雨の量が、観測史上最大となる629ミリとなりました。川に流れ込んだ大量の水は、うねりを伴った濁流となって一気にに下っています。

梅雨とはいえ、なぜこれほど長雨が続き、しかも想定を超える雨が降るのでしょうか。名古屋大学で気象学を研究する坪木和久教授は、その理由をこう話します。

名古屋大学の坪木教授:

梅雨前線が本州上に停滞しておりまして、その中に線状降水帯が形成された。それによって非常に強い雨が長時間にわたってもたらされたのが原因となっています」

 停滞する梅雨前線。午前3時には、九州北部から岐阜県を通って東北まで伸びています。そして午前6時。九州では南に下がりますが、岐阜県の上空ではほとんど位置が変わりません。午前9時になっても、岐阜の前線の位置は、ほとんどそのまま。

 梅雨前線の停滞は、7月3日金曜日から続いていて、数日間に渡って位置がほとんど変わらないのは珍しいといいます。

坪木教授:

長時間同じ位置にいつづけるということは、梅雨前線といえども珍しい。今回はちょうど太平洋高気圧と北側の高気圧の間で、前線が動けないような状況になって、あまり位置を変えることがなかったと考えられます」

さらに大雨の理由はほかにも…。

坪木教授:

「梅雨前線に向かって、南あるいは南西から大量の水蒸気が流れ込んだ。その中に非常に強い線状降水帯が発生し、その線状降水帯がゆっくりと移動したために、岐阜・長野に長時間にわたって強い雨をもたらした」

梅雨前線に向かって南から大量に流れ込んだ湿った空気は、山などに遮られ上昇し積乱雲へと発達。激しい雷雨をもたらします。

発達した積乱雲は風に流され、同じ場所に次の新たな積乱雲が発生。これを繰り返すことで「積乱雲の群れ」である線状降水帯が形成されます。

坪木教授:

「きわめて強い雨を長時間にわたって同じ場所にもたらすということで、洪水あるいは川の増水、越水ということも起こりえます」

梅雨前線の停滞は来週にかけても続くと見られていて、岐阜地方気象台は土砂災害や川の増水が起きやすい状態が続くとして、引き続き警戒するよう呼びかけています。

 

2020年7月 9日 (木)

【令和二年七月豪雨】✍気象庁「3日から現在継続中の大雨」に命名。

 現在継続中の豪雨の名称「令和二年七月豪雨」気象庁が命名 

THE PAGE 2020年7月9日(木)14時00分配信

 気象庁は9日、熊本、鹿児島、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野の7県に大雨特別警報が発表した現在継続中の7月3日からの豪雨について、「令和2年7月豪雨」と命名した。継続中のため、今後発生する可能性がある一連の現象についても、同じ名称を使う。

 気象庁では、顕著な災害をもたらした大雨などの自然現象について、防災関係機関等による災害発生後の応急・復旧活動の円滑化や、後世に経験や教訓を伝えることなどを目的に、名称を定めることとしている。

 台風を除いた気象現象の場合、名称を定める基準は、顕著な被害(損壊家屋等1000棟程度以上、または浸水家屋1万棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合としている。

 今回の大雨では、線状降水帯が複数の地域で、局地的・集中的に長時間継続したことなどによって、多くの河川で氾濫が発生したほか、土砂災害も多発し、広い範囲に顕著な被害をもたらした。

生殺しのよう」「なぜ水引かぬ住民呆然対策追い付かず 久留米市

西日本新聞 2020年7月9日(木)10時36分配信

 福岡県久留米市では、筑後川支流の下弓削川や山ノ井川の周辺で雨水が本流にはけずにあふれる「内水氾濫」が起きた。同様の被害は2012年の九州北部豪雨や18年の西日本豪雨でも発生。「またか」の思いとともに、住民が感じるのは「なぜ、こんなに水が引かないのか」との疑問だ。今回は上流の雨量が特に多く、排水が一向に進まなかった。近年の異常な雨量に、対策は追いついていない。

 下弓削川、山ノ井川と本流の合流点にはそれぞれ水門がある。本流の水位が上がると閉じ、水が支流に逆流して水害が起きるのを防ぐ。本流の水位が下がれば開けて支流の水を流す。

 水門を閉めると、支流の水はポンプで本流に送ることになるが、流量がポンプの排水能力を超えると周辺に水があふれる。

 久留米市の7日の24時間降水量は360・5ミリで観測史上最大となり、支流の流量は増えた。しかし上流で記録的な大雨が降った筑後川本流も、片ノ瀬観測所(同市)で同日午前11時に過去最高の水位10・52メートルを記録。堤防決壊の恐れがある氾濫危険水位(8・50メートル)を超えた。水門とポンプを管理する久留米市は難しい運用を迫られた。

 下弓削川流域の同市東合川などは国道210号が走り、「ゆめタウン久留米」や飲食店などが並ぶ商業地域だが、市は下弓削川の水門を6日午後3時34分に閉鎖。支流からあふれた水で周辺は冠水した。7日午後10時50分に一度は開けたが、上流の大雨で本流の水位が再び高くなり約2時間後に閉鎖。その後、8日午前3時以降は雨がほとんど降らず晴れ間ものぞいたが、本流の水位は高いまま。そのため、市が水門を開けたのは8日昼すぎになってからだった。

 引かない水に住民は苦しめられた。近くの中古車販売会社「くるま村」は、従業員が事務所や整備場の水を掃き出し、店舗前の道の水も手作業で川に流した。隠塚尚高社長は「今回はなかなか自然に水が引かない」とこぼした。

 同市城島町でも住宅地や農地が水に覆われた。町内を流れる山ノ井川の水門も6日午後11時15分に閉じて以降、8日午後0時半まで開けられず、冠水が長引いた。避難した中園みつえさん(73)は「恐らく自宅は床上浸水している。水門を閉める理屈は分かるが、排水がほとんど進まないのは生殺しのよう」。

 県は19年度から山ノ井川の堤防かさ上げに着手。下弓削川も国、県、市がポンプ増設などを計画する。国土交通省筑後川河川事務所の坂本誠吾地域防災調整官は「今回の内水氾濫の原因は異常な雨の降り方に尽きるが、できる限りの対策を取るしかない」と語った。 (野津原広中、片岡寛、糸山信)

40時間ぶり浸水解消 大牟田

 大規模冠水に見舞われた福岡県大牟田市の三川地区では8日、浸水が6日昼すぎに始まってからおよそ40時間ぶりに水が引き、住民たちは後片付けに追われた。地区内では2人の高齢者が命を落としており、消防隊員らが一軒一軒を訪ねて安否確認を行った。

 住民らによると、一時は首の位置まで増した水は8日午前5時ごろにほぼ引いた。朝になって避難所などから自宅に戻った住民らは清掃などに追われた。

 家族7人総出で作業に汗を流していた飲食店経営、末信博信さん(70)は「1メートルほどかさ上げして建てた家だが、それでも約30センチ床上浸水した。家財道具の一部を急いで2階に上げたが、あっという間に浸水してほかは漬かってしまった」と悔やんだ。

 消防などによる安否確認は約800世帯が対象で、8日夕までに新たな人的被害は確認されなかった。

浸水は水深最大5メートル 国土地理院推計

 国土地理院は、記録的豪雨が降った福岡県大牟田市の浸水状況を地図に落とした「浸水推定図」を公表した。最も深いところで、4~5メートル程度に達していた。

 7日午前7時までに会員制交流サイト(SNS)に投稿された画像と、標高のデータを組み合わせて推計した。市内を流れる堂面川の北側の唐船地区が標高が低く、広範囲で浸水していた。河口付近の工場や畑があるエリアは水深4~5メートルに達していたとみられる。

 久留米市で「内水氾濫」…行き場を失った水住宅街に押し寄せ 

読売新聞オンライン 2020年7月8日(水)20時05分配信

 福岡県久留米市では、広い範囲で住宅が浸水した。国土交通省や同県は、大量の雨水を市街地から河川に排水できず、水があふれる「内水氾濫」が起きたことが原因とみている。

 国交省などによると、一連の豪雨で筑後川の水位は大きく上昇。大量の水が支流を通じて市街地に流入する事態を防ぐため、6日頃から支流の水門を閉じていった。このため、支流に流れ込んでいた水路があふれ、行き場を失った水が住宅街などに押し寄せ、広い範囲で冠水が起きたとみられる。各地で排水ポンプを動かしたが、追いつかなかったという。

 同市では、2018年7月の大雨でも内水氾濫が発生した。九州大の小松利光名誉教授(河川工学)は「久留米市は標高が低く、平らな土地が広がっており、浸水が起きやすい。住民はハザードマップで自分たちが暮らす地域のリスクを確認し、早めの避難を心がけてほしい」と話している。

 球磨川氾濫、蒲島知事「『ダムなし治水できずやまれる 

毎日新聞 2020年7月6日(月)8時38分配信

 熊本県南部の記録的豪雨で1級河川・球磨川が氾濫し、甚大な被害が出ている状況について蒲島郁夫知事は5日、報道陣に「ダムによらない治水を12年間でできなかったことが非常に悔やまれる」と語った。球磨川水系では1966年から治水など多目的の国営川辺川ダム計画が進められたが、反対する流域市町村の意向をくんだ蒲島知事は2008年9月に計画反対を表明。国も中止を表明し、09年から国と県、流域市町村でダムに代わる治水策を協議してきたが、抜本策を打ち出せずにいた。知事との主なやり取りは次の通り。

 ――知事は川辺川ダム計画に反対し、ダムによらない治水をすると言ってきたが、ダムを作っておくべきだったという思いは?

 私が2008年にダムを白紙撤回し民主党政権によって正式に決まった。その後、国、県、流域市町村でダムによらない治水を検討する場を設けてきたが、多額の資金が必要ということもあって12年間でできなかったことが非常に悔やまれる。そういう意味では球磨川の氾濫を実際に見て大変ショックを受けたが、今は復興を最大限の役割として考えていかないといけないなと。改めてダムによらない治水を極限まで検討する必要を確信した次第だ。

 ――(ダム計画に反対表明した)政治責任は感じているか?

 (反対表明した)2008年9月11日に全ての状況を把握できていたわけではない。熊本県の方々、流域市町村の方々は「今はダムによらない治水を目指すべきだ」という決断だったと思う。私の決断は県民の方々の意向だった。私の決断の後に出た世論調査の結果は、85%の県民が私の決断を支持すると。その時の世論、その時の県民の方々の意見を反映したものだと思っているし、それから先も「ダムによらない治水を検討してください」というのが大きな流れだったのではないかと思っている。ただ、今度の大きな水害によって更にそれを考える機会が与えられたのではないかと思う。私自身は極限まで、もっと他のダムによらない治水方法はないのかというふうに考えていきたい。

 ――被害が出てから「極限まで追求する」ではなく、どこかの段階で治水策を講じておくべきだったという指摘がある。この12年間の取り組みは?

 ダムによらない治水をどのようにまとめていくか。時間的にはたったかもしれないが、方向性としては、とにかく早く逃げることがとても大事で、そういうソフト面を大事にしたこと。もう一つは(球磨川上流の)市房ダムの利用だ。市房ダムの目的はダムによってなるべく増水させないこと。元々、昨日(7月4日)の予定では午前8時半に(緊急)放水する予定だったが、私としてはもっと弾力的に考えようと思っていたし、スタッフにも言った。スタッフも自動的に放水するのではなく、その後の1時間の状況を見てみようと判断した。雨がだんだん薄くなっていたのでもう少し待った方がいいと午前9時半まで待ったところ、雨が弱くなった。その段階で放水はやめると。後のデータで見ると最も川が増水したのが午前8時半。あの時にダムの水を全て放水していたら、今回の洪水以上の大きな災害になったと思う。そういう意味では事前放流していたことと事前放流によって多くの水をためられたこと、そして自動的に放水しなかった弾力的な運用が大きかった。それも我々の治水対策の一つだった。これからも今決められている治水対策も皆で合意した分はやっていく。これをダムができるまで何もしないというのは最悪だと思う。私はそういう形で進めていきたい。

 ――ダムによらないやり方、これまでのやり方を変えるつもりはないということか?

 少なくとも私が知事である限り。これまでもそのような方向でやってきた。ダムによらない治水が極限までできているとは思わない。極限まで考えていきたい。ダム計画の白紙撤回の時にも言ったが、永遠に私が予測できるわけではない。今のような気候変動がまた出てきた時には当然、国、県、市町村と、今のところはダムによらない治水なので、その中でやる。それ以外の考え方も、将来は次の世代には考える必要はあるかなと思う。

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橋下徹元大阪市長 「ダムなし治水が無理ならダムやるしかない

東スポWeb 2020年7月6日(月)13時49分配信

 前大坂市長で弁護士の橋下徹氏(51)が6日、ツイッターで、九州南部の豪雨による災害に言及した。4日未明から九州南部を襲った豪雨により熊本県の球磨川上流の川辺川がほぼ全域で氾濫し、少なくとも22名が死亡している。

 川辺川では1966年からダム建設計画があったが、反対する流域町村の意向をくんだ蒲島郁夫知事は2008年に計画中止を表明。しかし、12年間ダムに代わる抜本策を打ち出せずにいたことで知事への批判が集中している。

 これについて橋下氏は「ダムなし治水の判断自体を今から批判しても仕方がない。問題はダムなし治水の期限を設定していないこと。期限内にダムなし治水が無理ならダムをやるしかない」と私見を述べた。

 橋下氏は6日放送のTBS系「グッドラック」で「ダムを作らなかったのはいいけど、作らないならどういう対策をするのか、怠っていたなら非常に問題」とコメントしている。

 ダム建設中止は蒲島知事が08年に表明し、民主党政権で正式に決まった。当時の世論調査では85%が知事の判断を支持していたという。知事は5日の会見で「知事である限りダムに頼らない治水を極限まで考えていきたい」などと語っている。

橋下徹元大阪市長  NOと言うだけで済むのは無責任なインテリ 

東スポWeb 2020年7月9日(木)14時35分配信

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(51)がダム建設の是非について、9日、ツイッターで言及した。

 現在、全国的な豪雨による水害で改めて、ダム建設の是非が注目されている。そんな中、橋下氏は大阪府で建設を予定していた槙尾川ダムを2011年に中止したことに触れ「槙尾川ダムについてはダムによらない治水計画をしっかり作成し、ダムよりも水害に強い街になることが確信できたのでダムを中止した」と大阪府知事時代の判断を振り返った。

 その一方で現在建設中の安威川ダムについて言及し「安威川ダムについてはダムによらない治水計画は作れなかった」と解説。ただ風光明媚な自然や希少生物に多大な影響があり、断層の問題から直下型地震で被害を受ける懸念があるとして、反対運動も続いている。

 しかし、橋下氏は「ダムを作らなければ莫大な費用と歳月がかかることがわかった。当時、メディアを含めてダム反対の大合唱だったが、ダム建設の判断をした。反対派からは総バッシング。ダムによらない治水計画が実行できないのであれば、ダムを進めるしかない。NOと言うだけで済むのは無責任なインテリと運動体」と抜本策を打ち出せずに反対だけする勢力を批判した。

 橋下氏は熊本県・球磨川が氾濫した際、蒲島郁夫熊本県知事が2008年にダム建設中止の表明をした後、ダムに代わる抜本策を打ち出せなかったことについて6日のツイッターで「ダムなし治水が無理ならダムをやるしかない」とコメントしている。

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 熊本豪雨で考える治水のコスト」10年前“ダム中止”に反対した理由 

J-CASTニュース 2020年7月9日(木)17時00分配信/高橋洋一(嘉悦大学教授)

 熊本県の水害で多数の方が被害に見舞われている。心よりお悔やみ申し上げたい。

 それで思い出されるのは、川辺川ダム(熊本県相良村)の建設中止だ。2009年8月30日衆議院選挙があり、大勝した民主党政権が誕生した。公約の中で「東の八ッ場ダム、西の川辺川ダムの中止」があった。

 その当時、この中止に対し、筆者はサンクコストによる意思決定理論から反対を論じた(「日本の大問題が面白いほど解ける本」)。

サンクコストを計算すると...

 サンクコストとは、経済学でよく使われる概念で、それまで投入したコストは度外視して考えるというものだ。公共投資に則して言えば、それまで投下したコストを考えずに、完成までに要するコストだけと完成後の便益を比較し、便益が勝るときには工事継続、便益が劣るときには工事中止となる。

 八ッ場ダムも川辺川ダムもどのように計算しても、工事中止という結論は出てこない。しかし、当時は政権交代の熱気なのか、当時のマスコミは八ッ場ダムと川辺川ダム中止ばかりだった。今の熊本の洪水被害の惨状を伝えているのと10年前に川辺川ダム建設に大反対していたのは、同じマスコミである、筆者としてかなり違和感がある。

 東の八ッ場ダムについては、地元群馬県知事だけはなく首都圏知事も中止反対になったので、民主党政権時代に中止から建設続行に転じた。これは、結果として、その後の治水環境に大きく貢献した。

 一方、西の川辺川ダムについては、地元熊本県において、2008年3月脱ダムを主張する蒲島郁夫氏が知事選に当選し、現在にいたるまで知事を続けている。

適正に公共投資するための「基準」

 蒲島氏は、当時から「ダムによらない治水」と言い続けている。ダムによらない治水で考えられるのは堤防などの改良であるが、それを河川全体で行うより、上流の一カ所にダムをつくるほうがはるかにコストパフォーマンスがいいのは明らかだ。その結果として、今になっても「ダムによらない治水」はできておらず、今回の災害を防げなかった。しかし、今に至っても、蒲島氏は「12年間『ダムなし治水ができず』悔やまれる」とか第三者的であり、当事者意識に欠けているといわざるを得ない。蒲島氏の脱ダム行政を検証し、今後の政権運営に生かすべきだろう。

 ダム建設に限らず、公共投資を適正に行うために、先進国ではB/C(便益・コスト比)基準が導入されている。これが1以上ならいい公共投資、1未満なら悪い公共投資と、定量的判断ができる。この基準なら、中止も合理的に判断できるが、川辺川ダムではその合理性を欠いていた。ダム中止に浮かれていた民主党政権もマスコミも同じである。

 安倍政権も合理的とは言えない。B/Cの算出には、社会的割引率を使うが、日本の場合、4%と高いモノを十数年も使い続け、その結果過小投資になっている。昨年からいろいろなルートで国交省に圧力をかけたら、やっと国交省でも検討しはじめた。その見直しができれば公共投資は倍増し、災害対策にもっと貢献できるだろう。

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 球磨“暴れ川”氾濫、熊本豪雨未明の恐怖…目を覚ましたら家に水 

毎日新聞 2020年7月4日(土)20時49分配信

 未明の街や集落を濁流が襲った――。九州南部を襲った4日の記録的豪雨で熊本県南部を流れる1級河川・球磨川が氾濫し、流域の同県人吉市や球磨地方など広い範囲で浸水被害が出た。「あっという間に水が迫ってきた」。住民らは声を震わせた。あふれ出た泥水はたちまち川沿いの町並みをのみ込み、同県球磨村で浸水した特別養護老人ホームから14人が心肺停止状態で見つかるなど被害が広がった。同県芦北町や津奈木町など山間部では土砂災害が相次ぎ、安否が分からない人たちの捜索が続いた。

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 ◇ 続く懸命の救助、特養ホームで14人が心肺停止の球磨村

 熊本県人吉市の下流の球磨村では、球磨川の支流に近い特別養護老人ホーム「千寿園」や住宅が浸水した。園では入所者ら14人が心肺停止となったが、周辺の道路も冠水したため、自衛隊などがヘリコプターやボートで救助に当たった。

 千寿園などが浸水した球磨村渡(わたり)地区では球磨川の水位が4日未明から急激に上昇し、平常時の10倍を超えた。

 ボートによる救助拠点となったのは、約3・4キロ離れたコンビニエンスストアの駐車場。自衛隊や地元のラフティングクラブの有志らが、川のようになった道路にボートをこぎ出し、被災地との間を往復した。

 午後6時ごろ、ボートで救助された住民の女性は「朝5時ぐらいに水が迫ってきたので、高台にある公民館に避難して過ごした。あっという間に水が迫って怖かった」と振り返った。

 午後7時すぎには、千寿園の利用者らも続々と救助され、中には車いすごとボートに乗せられた高齢者も。前日にショートステイで利用し、大雨のため帰れなくなっていた堤正通(まさみち)さん(91)は妻ミサヲさん(90)と一緒に助け出された。迎えに来た息子の俊介さん(59)に背負われてボートから下りた堤さんは「怖かった。救助に来てもらってありがたい」とホッとした表情を見せた。

 ◇ 目を覚ました時には家の中に水、堤防決壊の人吉市

 中心部を流れる球磨川の堤防が決壊し、市内の広い範囲が浸水した熊本県人吉市。球磨川から約1キロ離れた家に一人で住む伊達政憲さん(84)が午前10時ごろ目を覚ました時には、既に家の中まで水が入っていた。

 水圧で玄関のドアが開かなかったため窓から脱出したが、あまりの水量で身動きがとれず、車の屋根の上へ。水位はみるみる上がり車も完全に水没、約20分で足首まで達した。「助けてくれ」。声をからして叫ぶと幸い近くにいた消防署の職員に発見され、投げられたロープにつかまり助かった。「家はだめだと思うが、命が助かってよかった」

 市内には15カ所に避難所が設置され、約1000人が避難した。球磨川から約200メートルのアパートに住む田原慶一さん(36)が午前5時半に市の防災メールで目が覚めた時には、家の前の路地に水があふれていた。妻の友里恵さん(32)と3~10歳の3人の娘を起こし、車2台で避難所の一つへ。「娘たちのことが心配。今は興奮しているが、長く避難所で暮らすことになればストレスもたまるだろう」と話した。

 一時は膝上まで水があふれ、川のようになった市内の国道219号は夕方には水は引いていたものの、ガードレールには流された机やゴミなどが引っかかっていた。高さ50センチ程度まで浸水した国道沿いの仏具店では、暗くなるまで従業員がホースで水を流すなどして片付けに追われた。社長の山口直樹さん(47)は「店にいたが、いきなり水が上がってきた。土のうを用意していたが準備する時間もなかった」と泥まみれの店内を見ながら嘆いた。

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 ◇ ごう音と衝撃、崩れ落ちた1階、芦北町と津奈木町

 熊本県芦北町と津奈木町の山間部では土砂災害が相次ぎ、甚大な被害が出た。

 県などによると、芦北町では民家が土砂にのみ込まれて80代女性1人が死亡し、6人が行方不明、1人が重体になった。

 同町女島地区では小崎清一さん(69)と妻峰子さん(68)が行方不明になった。2階建ての自宅で同居する三女奈美さん(40)によると、午前5時ごろ、近所に住む姉から「雨がすごい」と電話があり、1階で寝ていた清一さんと峰子さんを起こした。奈美さんが2階に上がった直後、ごう音と共に突き飛ばされるような衝撃を受け、1階部分が崩れ落ちた。

 奈美さんは姉や消防に電話で助けを求めて救助されたが、1階部分は土砂に押し流されてつぶれてしまっていた。消防団が清一さんと峰子さんを助け出そうとしたが重機が入れず、午後になって自衛隊などが駆けつけた。奈美さんは「生きていてほしい」と祈るように救助活動を見守った。

 同町田川地区では90代の堀口ツギエさんと、隣に住む娘で70代の入江たえ子さん、入江さんの長男竜一さん(42)の3人が行方不明。現場では山肌が数十メートルの高さから広範にわたって崩れ落ち、のみこまれた民家の上に大量の土砂や倒木が折り重なった。同県菊陽町から駆けつけた入江さんの次男純二さん(39)は「何とか見つかってほしい」と沈痛な表情を浮かべた。

 津奈木町福浜でも土砂崩れで民家が押しつぶされ、一家3人の行方が分からなくなった。土砂の中からこの家に住む丸橋勇さん(85)が見つかったが心肺停止状態で、妻ミチ子さん(83)と息子貴孝さん(58)の捜索が続いた。

 ◇ 孤立する避難住民「物資は届かない」、八代市

 熊本県八代市坂本町地区では球磨川に架かる深水(ふかみ)橋が流失。周辺で住民が孤立し、孤立した住民らはツイッターなどで助けを求めた。球磨川と支流に囲まれた地区にある崇光寺には高齢者や小学生を含む近くの住民約20人が避難。1人暮らしの女性は取材に「朝、近所の人の声かけで避難した。家の中には川の水が流れ、ものすごい状態」と振り返った。避難している崇光寺は水、電気が止まった状態といい「物資は届かないし、ピーク以上に水かさが上がればお寺も危険」と一刻も早い救助を求めた。

 同市によると、球磨川沿いにある市役所坂本支所は1階部分が浸水。職員は隣の坂本コミュニティセンター3階に避難した。

 支所のそばに営業所がある大和タクシー本社では、道が寸断されているため従業員が営業所に近づくこともできず、被災状況の確認すらできていない。同社役員の男性(72)によると、営業所は平屋で支所より低地にあり、屋根まで浸水している可能性が高いという。

 男性は「あの辺りは高速道路の工事の際にかさ上げした地区。まさか浸水するとは」と驚きを隠せない。一帯は携帯電話も通じないため、早朝に「自宅が浸水した」と連絡してきた従業員ともその後連絡がつかず、心配していた。

 ◇「暴れ川」の球磨川、過去にも度々洪水被害

 日本三大急流の一つといわれ「暴れ川」の異名を持つ1級河川・球磨川は過去にも度々洪水被害をもたらしてきた。水系ではかつて治水など多目的の国営川辺川ダム計画が進められ、計画が止まった2009年からは国と熊本県、流域自治体がダムによらない治水協議を続けているが、抜本的対策を見いだせないまま今日に至る。専門家は「もともと氾濫しやすい構造の川。今回はそのリスクが大きな規模で表面化してしまった」と分析している。

 球磨川は熊本県南部の山間部を大きく蛇行しながら流れ、八代海に至る。標高が高い山間部に源流があるため流れが速く、多くの支流が流れ込み流量も多いことから最上川(山形県)、富士川(長野県、山梨県、静岡県)と共に日本三大急流と呼ばれる。水害が繰り返される一方で舟下りやラフティングの名所として親しまれてきた。

 球磨川の治水は流域市町村にとって長年の課題だった。1965年7月には梅雨の大雨による氾濫で6人が死亡し1281戸が損壊、流失する戦後最大の被害が出た。

 国は66年、球磨川水系川辺川の川辺川ダム計画を発表。しかしダム水没地の同県五木村など流域で反対運動が起こり、2008年9月、蒲島郁夫知事が計画反対を表明。09年9月には政権交代してまもない民主党政権の前原誠司・国土交通相が計画中止を表明した。

 国交省と熊本県、流域市町村は09年1月、ダムに代わる治水策の協議を開始。19年6月の会合では国と県が治水策10案を提示したが、完成までの費用が最も安いものでも約2800億円で最高は約1兆2000億円に上り、景観を損ねる恐れのある案や工期が50年以上かかる案もあった。

 流域市町村はかねて国に「スピード感」を求めていたが10年以上たっても現実的な治水策は出てこず、一部の首長は「自民党政権に戻った国は本心ではダムを造りたいのではないか」と不満を募らせていた。

 九州大の島谷幸宏教授(河川工学)は「球磨川は下流域が山に囲まれて狭く、水位が上がって氾濫しやすい構造がある。特に今回は線状降水帯が川の南側に重なったため流量が急激に増え、多くの地点で越水したのではないか」と治水の難しさを指摘している。

 ◇ 球磨川の主な氾濫被害と出来事

1965年7月 梅雨の大雨 1281戸が損壊・流失

1966年 球磨川水系川辺川で国が治水ダム計画発表

1971年8月 台風19号 209戸が損壊

1972年7月 梅雨の大雨 64戸が損壊

1982年7月 梅雨の大雨 47戸が損壊

1992年 熊本県人吉市などでダム反対運動始まる

2004年8月 台風16号 49戸が浸水

2005年9月 台風14号 119戸が浸水

2006年7月 梅雨の大雨 80戸が浸水

2008年6月 梅雨の大雨 33戸が浸水

2008年9月 蒲島郁夫・熊本県知事がダム計画反対を表明

2009年1月 国、県、流域市町村のダムなし治水協議始まる

2009年9月 前原誠司・国土交通相がダム計画中止を表明

2011年6月 梅雨の大雨 8戸が浸水

※八代河川国道事務所ホームページなどから作成

 

2020年7月 8日 (水)

【記録的豪雨】筑後川氾濫に続き飛騨川氾濫<線状降水帯>岐阜・長野に移動

 岐阜・飛騨川氾濫、下呂・高山で1419人孤立  …長野では国道が塞がれて308人孤立

読売新聞オンライン 2020年7月8日(水)11時57分配信

 大雨特別警報が発表された岐阜県では8日朝、下呂市萩原町中呂で飛騨川が氾濫した。市内の広い範囲が水につかり、午後1時現在、82棟が浸水している。白川町でも、飛騨川の支流である白川などがあふれ、26棟で浸水被害が出ている。

 同県内では正午現在、冠水や倒木などで下呂市小坂町と高山市朝日町の計509世帯1419人が孤立。高山市朝日町西洞では住宅1棟に土砂が流入し、住人3人が取り残されたが、けがはないという。

 長野県では、松本市で上高地につながる国道158号が土砂でふさがれ、宿泊施設や観光施設などの従業員や宿泊客計308人が孤立した。

 岐阜県では午前10時半現在、下呂市や高山市など6市で計8万8289世帯21万9064人、長野県では長野市や上松町、阿南町、下條村の4市町村の計2856世帯6359人に避難指示が出ている。

 岐阜長野両県 一時「大雨特別警報」下呂で飛騨川氾濫 

毎日新聞 2020年7月8日(水)12時21分配信

 停滞する梅雨前線の影響で数十年に1度の大雨が予想されるとして、気象庁は8日午前、岐阜、長野両県の自治体に大雨特別警報を出した。雨量が基準を下回る見通しのため、正午前に警報に切り替えた。ただ、河川の氾濫などが発生しているとして、身の安全を確保するよう呼びかけている。

 岐阜県によると、同県下呂市萩原町中呂付近で飛驒川が氾濫し、JR高山線禅昌寺駅付近の民家4棟が床下浸水した。県警によると、8日午前8時25分ごろ、高山市朝日町西洞の住宅で「土砂が流入した」と通報があった。付近で土砂崩れがあったとみられ、家には、夫婦と親族とみられる70~90代の3人が取り残されているが、大きなけがはないという。

 気象庁によると、北上した梅雨前線に南から暖かく湿った空気が流れ込み、山沿いを中心に激しい雨が降った。8日午前2時ごろまでの3時間降水量は、下呂市で135ミリ、高山市で104ミリに上り、いずれも観測史上1位を更新した。8日夕にかけて土砂災害や河川の増水・氾濫、浸水被害などに最大級の警戒が必要としている。

 梅雨前線の停滞は少なくとも9日まで続く見通しで、気象庁で8日午前7時半から記者会見した中本能久予報課長は「九州地方に集中した湿った空気が、今回は東海地方に流れた」とし、特別警報の対象外の地域でも避難情報などに従うよう呼びかけた。

 9日午前6時までの24時間予想雨量は、いずれも多い地域で東海300ミリ、近畿、九州南部200ミリ、関東甲信180ミリ、四国150ミリ、北陸100ミリ。10日午前6時までの48時間予想雨量は、東海350~450ミリ、近畿250~350ミリ、九州南部200~400ミリ、四国、関東甲信200~300ミリ、九州北部150~250ミリ、北陸、東北100~150ミリ。

危険と感じる前に避難 夜間は自宅待避垂直避難の選択を

tenki.jp 2020年7月7日(火)18時37分配信

 すでに九州各地で発生している大雨災害。この先も九州では引き続き厳重な警戒が必要です。さらに大雨の範囲は、西日本から東海地方にまで広がります。

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 危険と感じる前に避難し、自分の身の安全を第一に考えた行動をしてください。

警戒レベルを活用 レベル4は"速やかに避難"

 活発な梅雨前線の影響の影響で、九州ではすでに多くの地点で災害が発生しています。

 この先も九州ではさらに降水量が多くなる予想もあり、引き続き厳重な警戒が必要です。さらに大雨の範囲は、西日本から東海地方にまで広がる予想です。自らの命は自らで守るという意識がとても重要になります。
自治体からの避難指示を待たず、自らの判断で避難をするようにしましょう。

 避難の判断基準になるのが「警戒レベル」です。

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 警戒レベルには5段階あり、最も危険度が高いものが「警戒レベル5」となっています。

 ただし、避難開始になる目安は「警戒レベル3」や「警戒レベル4」であることに注意しましょう。

 市町村は、防災気象情報をはじめとするさまざまな情報をもとに避難情報を発令するため、同じレベルの避難情報と防災気象情報の出るタイミングは、必ずしも同じになるとは限りません。

 避難情報が発令されていなくても、避難が必要とされる警戒レベル3や警戒レベル4に相当する「防災気象情報」が発表されたら、自主的に避難行動をとるように心がけましょう。

夜間の避難は危険 自宅待避や垂直避難の選択を

 夜間の、見通しが悪い中での屋外での行動は大変危険です。外に行くよりも自宅にいた方が安全である場合は、「自宅待避」することも可能です。また、マンションなどの下層階に住んでいる方は、少しでも上の階に避難する「垂直避難」も有効です。

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 その際は、窓やドアから土砂が流入していたり氾濫した川の水が浸水したりする危険性がありますので、家の中でも崖や川からなるべく遠い場所に避難することを心がけましょう。

 これらの選択は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止することにもなります。

指定避難所以外への避難も検討

 屋内での待機が難しいといった場合は、立ち退き避難が必要になりますが、避難先は自治体が定めた指定避難所でなければいけないわけではありません。

 指定避難所の数は限られています。さらに、今は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3密(密閉・密集・密接)を避けることも必要です。なるべく避難先を分散できるよう、より安全な近くの親戚や知人の家などを自主避難先とするのも手段の一つです。

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 また、近隣の方で相談して、その地区の頑丈な建物の上層階を避難場所とするといったことも検討しましょう。

避難の際は安全な服装で 近所への声がけも忘れずに

 避難の際は、けがを防止する安全な服装を心掛けましょう。靴ではなくスニーカーなど動きやすい靴で、両手を空けた状態で行動するようにしてください。

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 また、移動する際には、極力、一人ではなく複数で行動することも重要です。近隣の方に声がけをすることも忘れないようにしましょう。

トイレの逆流感染症こう防ぐ。被災地で  気を付けたい5つのポイント 

HUFFPOST日本版 2020年7月7日(火)12時43分配信

熊本県南部などを襲った九州豪雨で、建物の浸水被害が広がっている。

トイレの逆流をどう防ぐ?感染症にならないためには?

豪雨の被災地で注意すべき5つのポイントをまとめた。

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1 トイレの逆流は、手作りの「水のう」で防ぐ

大雨で急激に水位が増加することで下水が逆流し、トイレや風呂場、洗濯機の排水口などから水が噴き出ることがある。排水口がある室内のこれらの場所に、 ビニール袋に水を入れた「水のう」を置くと、逆流を抑える効果がある。

2 ポリ袋と新聞紙で即席トイレ

断水で水が出なかったり、逆流の恐れがあったりする時も、家の便器を活用して簡易トイレを作れる。

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便器にポリ袋(45リットル)をかぶせ、その上からもう1枚ポリ袋をかぶせて、細かくちぎった新聞紙を中に敷き詰める。排泄後はトイレットペーパーも入れて、上の1枚だけを交換すれば良い。空気を抜いて口を強く縛り、蓋付きのゴミバケツや汚物処理専用の保管袋などに入れて保管。自治体のゴミ収集方法にしたがって処理する。

3 清掃は「乾燥」と「換気」が必須

洪水後、数日して自宅に戻るときは、屋内にカビが発生している可能性がある。素早くドアと窓を開放し、30 分以上換気した後に家の中に入るようにする。

避難先から戻ったら、まずガス漏れがないかを確認。停電していない場合は、電気系統の安全が確認できるまでブレーカーを切っておく。

ここで気を付けたいのは、プロパンガスボンベ、車のバッテリーなどの危険物だ。もし発見したら、近づかずすぐに消防や市町村役場等に相談する。

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室内を乾燥させる

ドアと窓を開放して、室内を乾かす。扇風機を回すのも効果的。

厚手のゴム手袋、ゴム長靴(あればゴーグルで目を保護)、マスクを着用して清掃する。床、壁、金属部分、キッチンなどは水と石鹸(洗濯用石鹸や食器用洗剤)を使い、泥や破片を取り除く。洗えない家具(カーペットやソファー)などは撤去する。浸水した衣類は、熱水に10分以上漬けた後に洗濯し、乾燥させる。

清掃を終えたらしっかり手を洗ってシャワーを浴びる。

消毒する

消毒は、必ず泥や汚れを取り除き、乾かした後に行う。清掃が不十分だと、効果を発揮できない。消毒液は布に含ませるか、薬液に漬ける方法で使用する。

噴霧は吸い込みの恐れがあるためしない。作り置きした消毒薬は、効果を十分に発揮できないため、使用する時に希釈する。

消毒液を使う時は、ゴム長靴とゴム手袋を着用する。消毒薬が肌についたらすぐに水で十分に洗い流す。

4 ケガが命を脅かすことも

衛生環境が悪い場所でのケガにも注意が必要だ。

ケガをしたら、傷口を流水で洗浄してから消毒する。 特に深い傷や汚れた傷は「破傷風」になる場合があるため、 医師に相談する。 破傷風は傷口に破傷風菌が入り込んで起こる感染症で、医療機関で適切な治療を受けずに放置すると、死亡する危険もある。

土ほこりが目に入って結膜炎になったり、口から入ってのどや肺に炎症を起こす恐れもある。清掃時などにはゴーグルやマスクを着用し、目や口を保護することが重要だ。

5 できるときに備えを

さらなる大雨被害に備えて、非常用品を備えておくことも重要だ。

懐中電灯、乾電池式の携帯用ラジオ、救急薬品、衣類、非常用食品、携帯ボンベ式コンロ、貴重品など必要なものを揃えておく。断水に備えて飲料水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保しておくとよい。

 

2020年7月 7日 (火)

【記録的豪雨】球磨川氾濫に続き✍筑後川氾濫<線状降水帯>北九州に移動

 筑後川氾濫 大分で浸水通報相次ぐ8日朝まで大雨の恐れ 

毎日新聞 2020年7月7日(火)12時39分配信

 停滞した梅雨前線に暖かく湿った空気が次々に流れ込み、九州北部は7日も局地的に激しい雨が降り続いた。大分、福岡両県などを流れる1級河川・筑後川は大分県日田市内で氾濫が発生。福岡県大牟田市で87歳女性の死亡が確認されるなど、各地で住宅の浸水被害の通報が相次いでいる。気象庁は6日夕方に福岡、長崎、佐賀県に出した大雨特別警報を7日午前11時40分に警報に切り替えたが、8日朝にかけても大雨が続く恐れがあるとして、土砂災害や低い土地の浸水などに引き続き警戒を呼びかけている。

 気象庁によると、各地の1時間雨量は、大分県日田市で午前3時前までに80・5ミリの猛烈な雨を観測したほか、大分市67・5ミリ▽熊本県山鹿(やまが)市61・0ミリ▽佐賀県嬉野(うれしの)市55・5ミリ▽大牟田市51・0ミリ――の非常に激しい雨となった。大分県日田市と玖珠(くす)町では午前6時ごろに記録的短時間大雨情報が出された。降り始めから7日午前5時までの降水量は日田市で519・5ミリ、大牟田市で492・5ミリとなっている。

 国土交通省筑後川河川事務所によると、筑後川が氾濫したのは日田市北友田付近の花月川と筑後川の合流地点付近で、具体的な被害を確認している。一方、大分県九重町によると、7日午前に町内を流れる野上川が氾濫し、川にかかるJR久大線・豊後中村―野矢駅間の鉄橋が流失しているのが確認された。

 大分県警日田署によると、7日午前7時50分ごろ、日田市天瀬町の男性から「(70代の)妻が流された」と110番があった。玖珠川沿いの自宅が浸水し、夫婦で排水作業をしていたところ、増水した川に流されたという。

 福岡県大牟田市では6日から7日にかけて浸水被害の通報が460件以上に上った。同市樋口町では6日午後11時50分ごろ、田中春子さん(87)が冠水した自宅で心肺停止の状態で発見され、その後に死亡が確認された。

 また、同市上屋敷町の市立みなと小学校と三川地区公民館の周囲が冠水し、避難していた近隣住民約240人が一時孤立。県が災害派遣要請した陸上自衛隊がボートなどで住民らの救助に当たった。

 7日午前9時半ごろに夫婦で救助された同市南船津町の芹川利雄さん(74)は「助かりました。小学校は1階が浸水して3階に避難していたが、眠れなかった。こんなに浸水したのは初めてだ」と話していた。

 山鹿市消防本部によると、7日午前6時45分ごろ、熊本県山鹿市小原で「田んぼに車が転落している」と通行人の男性から119番があった。午前7時ごろ、水没した軽乗用車の車内から80代の男女2人を発見したが、その後に死亡が確認された。

 福岡、長崎、大分、佐賀の4県では7日午前10時半現在、長崎市や福岡県久留米市、福岡県大牟田市、大分県日田市など18市町村の48万2242世帯、計105万7905人を対象に避難指示が出された。

 気象庁によると、対馬海峡を通って東北地方に延びた梅雨前線の活動は、活発な状態が続く見込み。九州北部の8日午前6時までの24時間雨量はいずれも多いところで、大分県、熊本県250ミリ▽福岡県、佐賀県、長崎県200ミリ▽山口県150ミリ――と予想。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水などに厳重な警戒を呼びかけている。

大分県日田市で筑後川氾濫 水位5メートルを観測

朝日新聞デジタル 2020年7月7日(火)9時40分配信

 国土交通省と気象庁は7日午前8時35分、大分県日田市の筑後川の上中流部で氾濫が発生したと発表した。日田市では、氾濫による浸水が想定されるとしている。

 日田市の水位観測所では午前8時20分、氾濫危険水位の4・5メートルを上回る5・35メートルを観測した。

 筑後川は、熊本、大分、福岡、佐賀の各県を流れる1級河川。氾濫が発生した場合の浸水想定区域は、日田市のほか、福岡県久留米市、朝倉市などを挙げている。

九州豪雨 135万人に避難指示…熊本で49人死亡、福岡で死者1人

読売新聞オンライン 2020年7月7日(火)12時19分配信

 梅雨前線が停滞した影響で九州北部は7日午前、非常に激しい雨が降り続いた。河川の氾濫などが起き、読売新聞のまとめでは、同日正午現在、福岡や長崎、熊本など5県で計約136万人に避難指示が出された。

 福岡県では死者1人が確認されたほか、4日の豪雨では熊本県では49人の死亡が確認されている。熊本、鹿児島両県によると計12人が行方不明になっており、捜索活動が続いている。

 九州北部の雨について、気象庁は6日午後4時30分、福岡、佐賀、長崎の3県に「大雨特別警報」を発表。7日午前11時40分に3県とも「警報」に切り替えたが、同庁は「土砂災害や河川の氾濫の発生に油断することなく、市町村が発令する避難勧告などに従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけている。雨は8日にかけて降り続く見通し。

 7日午前9時までの1時間の最大雨量は、熊本県南小国町で82ミリ、大分県日田市で80・5ミリ、佐賀県嬉野市で55・5ミリ、福岡県大牟田市で51ミリを観測した。

「まだ一緒にいたかった」結婚50年 妻を豪雨に奪われ…夫は絶句

西日本新聞 2020年7月7日(火)9時44分配信

 記録的な大雨が九州全域を襲った。既に甚大な被害が出ている熊本県でも再び雨脚が強まり、行方不明者の捜索活動は一時中断。各避難所に身を寄せた住民たちは「さらに被害が広がるのでは」と不安を募らせた。

 「まだ一緒におってもらいたかった。お礼もできず…」。6日、熊本県芦北町内の寺院。亡くなった同町箙瀬の山本レイ子さん(78)の夫守さん(75)は通夜の準備の手を止め、絶句した。

 激しく雨が降っていた4日午前3時すぎ、隣人から「そこまで水がきている」と電話があった。外に出るとみるみる水かさが上がり、雨どいにしがみついて屋根に上がった。家の中にいたレイ子さんを呼ぶ声は雨音にかき消された。「水がきとるね」「増えとるね」と交わした言葉が最後になった。

 集落の人が流してくれたボートに乗って助かった。水が引いた午後、自宅に戻ると、玄関でレイ子さんが倒れていた。「長男の遺骨を取りに行ったのだろう」。48歳で急死した長男の法要を終えたばかりだった。

 けんか一つしたこともなかった。いつも「おまえがおらんと、俺は何も分からんとよ」と話した。今年で、結婚から50年だった。

仲良し両親「まさか

 豪雨は各地で土砂崩れも起こし、多くの命を奪った。「最後は2人が近くにいてくれて良かった。仲良しだったから」。同町女島で命を落とした小崎清一さん(69)、峰子さん(68)夫婦の三女奈美さん(40)は話した。

 4日午前5時ごろ、心配した姉からの電話で目が覚めた。居間でニュースを見る父と、台所にいた母を見たのが最後だった。「ゴォー」という音が聞こえたと思うと、数秒後に土砂が入ってきた。倒れるタンスをよけ、携帯電話で119番した。近くの住民に引き出してもらうまでの10分間は「両親の安否だけを気にしていた」。

 心残りは、新型コロナウイルスの影響で延期したままだった清一さんの退職祝いと、来年に予定していた両親の古希のお祝いができなかったこと。土木会社に勤めていた清一さんは、災害で傷んだ道路や橋の修復に関わっていた。「まさか、自分が土砂崩れで亡くなるとは思ってなかったでしょう」と目を伏せた。

人気者も救助直後に

 天災は、朗らかな地域の人気者の命も奪った。犠牲になった同町佐敷の酒井民子さん(82)は「民ちゃん」と親しまれていた。知り合いを見つけると、道路の反対側からでも「なんばしよっとかー」と大声で手を振った。隣に住む義理の兄大瀬政美さん(92)によると、友人の多い酒井さんはよく自宅に人を招いては、食事や趣味のマージャンを楽しんだ。知人の働き口探しや縁結びに奔走することもあった。

 酒井さん方周辺の冠水は4日午前3時半ごろに始まった。大瀬さん夫婦は酒井さんを助け出そうと、3人で玄関先にあった植木鉢を置く台(高さ80センチ)に上り、棒で屋根を突き破って顔を出した。首付近まで水に漬かった状態のまま、約5時間耐えた。消防署のボートが到着した直後、酒井さんは心肺停止状態となった。「助かったと思ったのに」。大瀬さんは唇をかむ。

 数十年来の知人の桑本憲任さん(73)は「一緒にビールを飲んだばっかり。残念、無念…。言葉が見つからん」と表情をゆがめた。 

梅雨末期の大雨続く 九州から東北の広範囲で土砂災害河川の氾濫に厳重警戒

ウェザーマップ 2020年7月8日(水)5時45分配信

 西日本から東北の広い範囲で、あす9日(木)にかけて局地的に非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある見込み。すでに記録的な大雨となっている所もあり、災害発生の危険度が高まっている所も多いため、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重な警戒が必要だ。

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梅雨前線の活動は活発な状態が続く

 梅雨前線が西日本から東北にのびていて、あさって10日(金)頃にかけて、西日本、東日本に停滞する見込み。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となり、前線活動の活発な状態が続きそうだ。

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九州は大雨の峠超えるが 引き続き警戒が必要

 九州北部の大雨の峠は越えたとみられるが、西日本や東日本では局地的に非常に激しい雨が降っている。3日(金)からの大雨により、九州を中心に広い範囲で土砂災害や洪水の危険度が高くなり、地盤の緩んでいる所や、増水や氾濫している河川があって、新たな災害の発生に警戒が必要な状況だ。

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 今後も、西日本から東北の広い範囲で、あす9日にかけて局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある見込み。
 記録的な大雨となった九州北部では、きょうは雨は小康状態となるが、あす9日以降再び激しい雨の降るおそれがある。

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 西日本から東北の広い範囲で、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重な警戒が必要だ。また、竜巻などの激しい突風や落雷にも注意し、発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど安全確保につとめたい。

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関西まもなくのピークに 冠水土砂災害警戒

ウェザーニュース 2020年7月8日(水)4時59分配信

 7月8日(水)4時30現在、梅雨前線上を移動する低気圧が瀬戸内海から大阪湾付近に東進しています。

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 この低気圧近傍に活発な雨雲があり、兵庫県の阪神地区にかかっていて、神戸では1時間に50mm以上の非常に激しい雨を観測しています。関西では雨のピークを迎えようとしています。

 気象予報士が詳しく解説します。

近畿や東海で激しい雨や突風に警戒

 4時地上局地解析によると、低気圧の中心はすでに大阪湾西部に到達。前線は四国太平洋側を通り鹿児島県南部まで南下。

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 低気圧付近では強い下層渦度を伴う対流雲が急発達しており、これから6時すぎにかけて京阪神を通過。短時間強雨とともに竜巻などの突風に注意。いわゆる線状降水帯ではないが、スーパーセル的な積乱雲の形状も見られ、部分的に停滞度が高まっている。この付近では50-70mm/h(非常に激しい雨)、局所的に100mm/h前後の猛烈な雨の降る可能性も考慮。

 低気圧は6時には東海地方の濃尾平野西部に進む予想のため、この方面も今後注意。

 四国付近の降水帯は一部線状にも見えるが前線と共に移動が明瞭。ただし前線の南下速度が鈍ると長時間降り続くことになり危ないので、継続監視。

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 前線の南下下限となっている鹿児島県南部から宮崎県南部で停滞度が増大。線状降水帯化しつつある状況。水蒸気フラックスおよび鉛直シアのピークは越えており、バックビルディング系の状況にはなりにくいと見るが、9時頃にかけて50-70mm/hの非常に激しい雨、局地的には100mm/h前後猛烈な雨の再発にも警戒。

他人事にしないで

 河川の増水や氾濫、土砂災害等が発生する危険性が高まっています。九州以外でも、大阪府内を含む多くの都道府県に土砂災害警戒情報【警戒レベル4(避難)相当】が発表されています。

 レベル5を待たずに避難することが重要ですので、ご自身のいる場所の危険性を正しく把握せねばなりません。決して他人事と思わず、最新の気象情報や避難情報を入手し、早めの避難を心がけるようにしてください。

 

2020年7月 6日 (月)

【自粛から自衛へ】鹿児島市内「接待を伴う飲食店」✍休業<再>要請

 ショーパブクラスター感染拡大 鹿児島県休業要請 

朝日新聞デジタル 2020年7月6日(月)14時38分配信

 鹿児島県は6日、鹿児島市内のショーパブでクラスター(感染者集団)が発生し、感染者が急増しているとして、県内全域の「接待を伴う飲食店」に対し、休業を要請すると発表した。これらの店への休業要請について、県は5月15日に解除していたが、再要請に踏み切る。

 発表によると、期間は8日から21日までの2週間。要請対象は、キャバレーやナイトクラブ、ダンスホール、スナック、バー、パブのうち、接待を伴う飲食店。休業する協力金として中小企業20万円、個人事業主10万円、複数店舗を持つ場合には10万円を上乗せして支払う。

 市がクラスターが発生したとみているのは、鹿児島市の繁華街・天文館地区にあるショーパブ「NEWおだまLee男爵」。本格的なダンスをショー形式で披露し、県外からを含めて多くの客が訪れていた。

 県によると、利用客や従業員、その接触者などパブ関連の感染者は今月1~5日で81人にのぼった。県内の累計感染者数は6月末までは11人だったが、7月5日時点で計98人に急増している。

鹿児島ゲイバークラスター”発生で見えた夜の街感染防止の限界

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年7月6日(月)15時00分配信

 先月末まで新型コロナウイルスの感染者が11人だった鹿児島県で「ゲイバークラスター」が発生。今月に入って県内の感染者は一気に87人増え、そのうち80人超が客を含めた同店関連の感染者だった(5日現在)。

 鹿児島市の繁華街・天文館のゲイバー「NEWおだまLee男爵」で先週、ホステスの40代女性とダンサーら従業員の男性7人の感染が確認された。

 女性は先月27日に咳や咽頭痛の症状があり、翌日から3日間、自宅で静養。今月1日にPCR検査を受け、感染が判明した。女性が最後に出勤した先月27日には、県内外から30~40人が来店。市が今月2日、店名を公表すると、その直後から同日夜まで約130件の相談が寄せられ、感染が次々と判明した。

大雨でドアや窓を閉め切り

 市の保健予防課の担当者がこう言う。

「感染した従業員はお客さんの横について接客をしていました。先月30日に大雨が降った際、入り口と裏口のドアと窓を閉め切ったことがあったそうです。市では50日間、新たな感染者がいなかったため、市民は以前の生活に戻りつつありましたが動揺が走っています」

 最初に感染が判明した従業員8人は誰ひとり、県外に行っていないことから、客から感染が広がったことも考えられる。

 店は県の休業要請に従い4月24日から約1カ月間、営業を自粛。

 5月22日に再開した際はSNSで「まだまだコロナの収束では無いので、さらに対策強化してオープンさせて頂きます」「再開にあたっては引き続き健康安全の取り組みを徹底してまいります」と発信。

「3密」を避けるため従業員たちは、<ショウタイム以外の時間ドアを開けて換気しております><除菌スプレーの噴霧><手洗いうがいの励行><各自の意識向上>と書かれたボードを手にして動画を配信。客やスタッフが手を触れるところやマイクなどを小まめに消毒していたという。

「オーナーママは地元の南日本新聞で『すいもあまいも』という人生相談の回答者を務めるなど、ちょっとした有名人です。紙面上でかつて自分が男性だったことをカミングアウトしています。県外からの客も多く、店では1日3~4回のショーがあり、10人ほどのダンサーがステージで笑いを交えてショーを踊ります。ステージを取り囲むように客席があり、ダンサーはショーの最中、マスクを着けていなかったそうです」(地元関係者)

 いくら対策を講じたところで、「3密空間」で感染を防ぐのは難しい。

デパート休業知事選候補の集会中止 鹿児島のクラスター震源地おだまLee男爵」とはどんなところか

毎日新聞 2020年7月6日(月)8時00分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、鹿児島市で発生したクラスター(感染者集団)が地元で影響を広げている。感染は市内にある1軒の老舗ショーパブから広がったとみられ、デパートが臨時休業に追い込まれたほか、舌戦が続く鹿児島県知事選にも余波が及んでいる。鹿児島県はこれまで感染者数が比較的抑えられてきたが、突然のクラスター発生に行政や企業などが対応に追われている。

 ◇ 店の名「NEW おだまLee男爵」公表、相談呼びかけ

 きっかけは今月2日の鹿児島市の記者会見だった。前日、新型コロナへの感染が分かった市内の40代女性の濃厚接触者らを調べたところ、同居男性1人と勤務先の同僚男性7人の感染が確認された。市は男性らの勤務先を、鹿児島を代表する繁華街・天文館地区にある飲食店(ショーパブ)「NEW おだまLee男爵」と公表し、感染が疑われる利用者に帰国者・接触者相談センターに連絡するよう呼びかけた。

 ニュースが流れた2日だけで市民130人からの相談が市に殺到した。県全体で3日に30人、4日には34人の感染者が判明した。県内の感染者数はそれまで11人と低い水準に抑えられていたが、5日時点で98人に急上昇。このうち81人がこの店の関連という異例の事態となった。

 ◇ 市民、出張者でにぎわった「男も女も楽しめる」店

 「ショーが面白かった。仕事場の2次会で行ったけど、店も広くて男も女も楽しめる。いかがわしくもなんともなく、特に女性の知り合いが喜んでいた」

 「おだまLee男爵」を客として訪れたことのある市内の40代の女性事務員は語る。店は“夜の街”の関係者だけでなく、市民や出張中のサラリーマンらが2次会などで利用する有名店だったという。

 それだけに利用客は県外を含めて幅広い。北九州市は4日、出張中に店を訪れていた会社員の男女2人の感染を発表した。鹿児島のお隣の宮崎県も、店を訪れた県民に相談を呼びかけた。鹿児島市から南へ約350キロ離れた奄美大島でも、店名こそ名指ししなかったものの島内5市町村長が連名で注意を呼びかける共同メッセージを発表した。

 ◇ テナント従業員感染、デパート臨時休業

 感染拡大を受けて、同市の老舗デパート「山形屋」は5、6の両日を臨時休業とした。婦人服店のテナント従業員の1人が6月26日に「NEW おだまLee男爵」を訪れ、7月4日に感染が確認されたため、5日は店内消毒作業にあたった。

 JR鹿児島中央駅前で屋台26店が軒を連ね、観光客らに人気の「かごっまふるさと屋台村」も、同様に店舗の従業員1人の感染が確認され、5日から臨時休業に入った。屋台村は4月13日~5月20日も感染対策で休業を強いられており、再度の休業になる。

 ◇ 他市にも飛び火、鹿児島知事選にも影響

 地元経済への影響だけではない。鹿児島県は今月12日投開票の県知事選の真っ最中。現職と元職、新人合わせて7人が舌戦を繰り広げているが、今回の感染拡大を受けて多くの陣営が集会を取りやめるといった事態に追い込まれている。

 鹿児島市内で予定していた大規模集会を中止したある陣営の幹部は「集会をやろうにも『ウイルスを広げるのか』などと非難されかねない。選挙運動がはばかられるようで、今回のクラスターは陣営にとって痛い」と語る。

 また、同県枕崎市の病院は、店を訪れた職員4人が感染したと公表し、3日から当面外来診療と入院患者への面会を中止した。同様の例が相次げば、今後県内の医療体制に影響が広がる可能性もある。

 ◇「残念ながらあり得たこと、休業補償など対策を」

 人口60万人の地方都市で、降って湧いたようにも見える突然のクラスターをどう見ればいいのか。休業を決めた「ふるさと屋台村」理事長の古木圭介さん(77)は「全国的に県境を越えた移動が解除され、東京であれだけ感染者が増えている中で、残念ながらあり得たことだ」と語る。かつて九州新幹線の並行在来線「肥薩おれんじ鉄道」の社長を務め、観光やまちづくりに長く携わってきた古木さんはさらに「コロナで飲食店の疲弊は限界を超えている。同じことを起こさないために、行政は改めて独自の休業補償といった対策を取るべきではないか」と語る。

 ◇ ためらわず相談し検査、が終息への道

 医療関係者からは、相談が殺到し、それが感染確認につながった流れを評価する声も聞かれる。鹿児島市保健所は会見の中で「たくさんの陽性患者が出ているが、不安を抱えたまま検査をしないで町の中で感染が広がるより、早く検査にいってもらった方が終息に向かう。安心して検査を受けられるよう感染者を非難したり特定したりしないでほしい」と語った。

 石垣海保職員コロナ感染 寄港の鹿児島でゲイバー訪れる 

琉球新報 2020年7月7日(火)9時49分配信

 第11管区海上保安本部は7日、石垣海上保安部の巡視船乗組員の40代男性職員が新型コロナウイルスに感染したと明らかにした。男性職員は現在鹿児島県内の医療機関に入院している。11管職員の感染は初。

 11管によると、男性職員は6月26日、クラスター(感染者集団)が発生したとみられる鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」に同僚ら2人と訪れた。その後、4日のPCR検査で陽性となり、鹿児島県内の指定医療機関で治療を受けている。

沖縄には戻らず

 男性職員は6月に石垣海上保安部所属の巡視船で船の整備のために鹿児島市を訪れた。26日に市内のショーパブを訪れた後、同店での感染者発生の報道を受け7月2日、同市保健所に相談し、指示に従い医療機関を受診した。

 店を訪れた後、感染が確認されるまでの間は巡視船内に隔離され、自宅がある沖縄県内には戻っていない。当初、男性職員は無症状だったが、5日に発熱やのどの痛み、鼻づまりを訴えている。一緒に同店を訪れた10管区の男性職員1人もPCR検査の結果、陽性だった。

 感染者が確認された石垣海上保安部所属の巡視船は現在、鹿児島市内に停泊中。職員らが消毒作業を実施した。これまで乗組員の中に、コロナの症状を訴える報告はないという。

無症状者を徹底的に検査すべきなのか」…新型コロナ分科会が始動

BuzzFeeD JAPAN 2020年7月6日(月)20時08分配信

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に代わり、新たに設置された新型コロナウイルス感染症専門家の分科会の第1回目の会合が7月6日開催された。

 専門家会議は新型コロナウイルス感染症対策本部のもとに設置されていたが、政府はこれを廃止し、新型インフルエンザ等対策有識者会議の下に「新型コロナウイルス感染症対策分科会」を7月3日に新設した。

 これまでは感染症の専門家のみで構成されていたが、分科会には経済学者や自治体の首長など、幅広い分野の専門家が集う。初めて開かれた分科会は当初の予定を大きく上回る形で長引いた。そこでは、一体どのようなことが議論されていたのだろうか。

 会合後に開かれた会見で尾身茂会長の口から語られたのは、政府に提言した検査体制拡充のための戦略と今後とるべき対策の3つのポイントだ。

4月上旬とは状況が異なるとの共通の認識を得た

 会見の冒頭、西村康稔経済再生担当大臣は首都圏で見える感染拡大の兆しについて、「医療提供体制、逼迫はしていない。検査体制は整備されてきた。こういった点を踏まえると、緊急事態宣言を発出いたしました4月上旬とは状況が異なるとの共通の認識を得た」と説明した。

 その上で、今後の対策を取る上では、迅速に感染者に関するデータを共有する仕組みが必要であるとの認識を示した。

 会議の中では、「日々、毎日、感染者数の数字だけは報道されることで、不安が広がっている側面がある」との指摘も上がったと言及。改めて、丁寧にコミュニケーションを重ねていくことの重要性を強調している。

「二次感染防止の観点から、積極的にPCR検査を受けてもらって増えている側面もある。特定のエリア、特定の業種などに集中していることを(国民と)丁寧にコミュニケーションすることが大事だとのご指摘をただきました。引き続き丁寧に進めていきたいと思っております」

 政府は7月10日にイベントの開催制限について、もう一段階解除する方針だ。これにより、コンサートや展示会、プロスポーツの試合などの入場者の上限は施設の定員の50%の範囲内であれば、5000人まで認められることとなる。

 この点について、西村大臣は「今後もガイドラインを踏まえて、感染防止策を徹底してもらうことを前提」としながら、制限解除することに変わりはないとした。

検査体制の議論、ネックは無症状者への検査

 尾身会長は今回の会合では7月10日以降に予定している社会経済活動の緩和について、専門家として意見を述べると共に、分科会メンバーから政府に提案を行ったと語った。

 その中でも特に強調されたのが、検査体制拡充を戦略的に進める必要性だ。

「検査体制についても、極めて高い関心がある。検査は国の方も拡充した方が良いと思い、様々な努力をしていただいた。もう少し拡大して欲しい。ここは、多くの方の関心だと思います」

「実は検査拡充をするため、一体どういう風な戦略を取るのか、今まで十分に議論されていなかった」と尾身会長は振り返り、「経済との両立が求められており、感染リスクをどこまで許容できて、どこまで防ぎたいのか、コンセンサスが必要」との認識を示している。

 その上で、感染リスクを評価すると同時に、検査を受ける段階で予想される陽性率(事前確率)を踏まえて、検査体制を考えていくことが「感染症対策の王道」と説明し、3つのカテゴリーに分けて必要な検査の戦略を示した。

(1)有症状者

(2)無症状者+事前確率が高い

(3)無症状者+事前確率が低い

 受診の目安も改善され、医療現場ではPCR検査と精度の面ではほぼ変わりのない抗原検査や唾液を用いたPCR検査が導入されている。そうした、検査体制の整備が進む中で、新型コロナと思われる症状を有している患者には、医師が必要と判断した場合には今後も検査を行う方針に変わりはない。

 また、無症状者でありながら、事前確率が高い人々にも「PCR検査を徹底的に行う」ことが重要だ。

 このカテゴリーには感染が1例でも出た病院あるいは高齢者施設の濃厚接触者、夜の街クラスターの関係者といった人々が当てはまる。

 その上で、議論をする必要がある対象として提示されたのが、無症状者かつ事前確率の低い患者に対して検査を行うべきかどうかという点だ。

 一部では、無症状者に対しても検査を徹底的に行うべきとの意見も上がっている。尾身会長は「このカテゴリーに対する検査のあるべき姿についても、一定のコンセンサスを構築する時期にきたのではないか」と語った。

もしもリスク低い人々に検査をしたら、どうなる?

 なぜ、このカテゴリーに対して検査を行うことが合理的でないのか。ポイントは検査による偽陽性・偽陰性が出る確率にある。

 偽陽性とは、陽性でない人を誤って陽性と判定すること。偽陰性とは、陰性でない人を陰性と判定することだ。

 PCR検査の感度(陽性を正しく陽性と判断する割合)は70%、特異度(陰性を正しく陰性と判断する割合)は99%とされている。単純計算で100人の検査を行った際には、30人の陽性者を見落とす可能性がある。

「リスクが低いところで、ほとんど感染者のいないポピュレーション(集団)を対象にやると、どんどんと偽陽性が増え、偽陰性が減っていく。これは感染症対策の常識なんです」

 仮に1%の人が感染していると思われる1万人に対して検査を行った場合、99人が偽陽性と判定される。この99人は実際には陽性ではないにも関わらず、隔離措置をとられることになる。

 また、30人は感染をしているが陰性と判定される可能性がある。この30人は安心して、知らず知らずのうちに感染を拡大する可能性がある。

 こうした問題が生じることを理解してもなお、無症状かつ事前確率の低い人々にも検査を徹底的に行うべきなのか。議論を行う上での土台となる、検査の基本的な考え方を尾身会長は改めて提示した。

感染拡大の地域での調査、個人情報を守って

 検査体制の戦略の必要性を改めて訴えたと同時に、尾身会長が示したのは東京を中心とした感染拡大に対して取るべき対策だ。

 そのポイントは3つある。

(1)感染拡大の核になっている場所、人に対する重点的な対応

(2)保健所機能の強化

(3)疫学情報の迅速な集計と自治体間の共有

 感染拡大の核になっていいる場所や人に対する重点的な対応を行う上では、1. 個人情報、2.健康、3.生活を守ることが必須であると尾身会長は断言。

 新宿区ではこの3つを守りながら、感染者が相次いでいるエリアで事業者、従業員と相談をしながら感染対策に取り組んでいると明かし、そうした取り組みを他地域でも展開するよう求めた。

 また、(1)クラスターを特定し、濃厚接触者の調査等を行うサーベイランスと、その情報に基づくリスクの分析について、そして(2)感染者に対する偏見・差別とプライバシーについてはワーキンググループを作り、別途検討すべきとしている。

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関連エントリ 2020/07/04 ⇒ 【記録的豪雨】球磨川氾濫<新型コロナ再拡大>✊Wパンチ

 

2020年7月 5日 (日)

【特別読み物】凶悪犯にみる「監獄生活」レポート

 死刑になった殺人鬼たち、実は牢屋で意外な暮らしをしていた 

現代ビジネス 2020年7月5日(日)8時01分配信/隼二郎(フリーライター)

世界の「猟奇殺人犯」たちと交流する日本人専門家

 大量殺人、連続殺人の「専門家」が日本にいるのをご存知か。

 阿部憲仁氏は桐蔭横浜大学で教鞭をとるかたわら、凶悪犯罪を研究。実際、これまでアメリカの猟奇犯罪者たちと面会や文通でやりとりを続けてきた。

 カルト集団の教祖として、「シャロン・テート事件」をはじめとした無差別連続殺人を起こしたチャールズ・マンソン(2017年没)との面会は叶わなかったものの、今でも阿部氏の手元には彼から送ってもらった自作の絵画と肉声の歌が入ったUSBメモリーもある。

 また、1976年から翌年にかけて、若いカップルを中心に13名を銃撃し、6名を射殺したデイビッド・バーコウィッツも面会した中の一人。その奇抜な犯行声明から「サムの息子事件」と呼ばれ、映画化もされた。

「大物」殺人犯が入る「デス・ロウ」とは…?

 マンソンもバーコヴィッツも全米の連続殺人犯の中で、知名度では間違いなく5本の指に入る”大物”だ。

 「死刑判決を受けるほどの重大犯罪を犯した者たちは、アメリカでも日本同様、デス・ロウ(Death Row)と呼ばれる死刑囚だけの棟で独居生活を送ることとなり、他の受刑者との接触はできません。州によって多少のバラつきはあるものの、日本の確定死刑囚には考えられない特権が与えられているケースもあります」(阿部憲仁氏。以下同)

 あえて名前は伏せるが、日本で死刑判決を受けた数々の”有名殺人犯”とも交流を持ち、彼らの処遇についても十分に理解している。そんな阿部氏に、死刑囚の処遇について日本とアメリカの違いを語ってもらった。

 「大きな違いといえば、外部との交信が比較的容易である点があげられます。出版社がデイビッド・バーコウィッツに多額のオファーで手記の出版を持ちかけたため、『サムの息子法』(犯罪加害者が自身の犯罪に関する手記などで利益を上げることを阻止する法律)が制定されました」

殺人鬼と面会した

 「メディアで大きく取り上げられた殺人者のもとには、特に収監直後はそれこそものすごい数のファンレターが届きます。中にはそうしたやり取りで手に入れた手紙をネットオークションで売りさばくような金目当ての連中もいます。彼らの多くはそのことを知っているのでよほど気に入った人間にしか返事を書きません。

 面会はもっとハードルが高く、幾度もの書面のやり取り、面会者の身元チェックなどを経てようやくそれが叶うという感じ。面会時の写真撮影はそれからもう一段ハードルが高く、余程仲良くなっていても撮影を断る囚人もいますね」

 アメリカの刑務所で囚人と面会する際に「NG」とされる服装がある。州によって異なるが、一般的にオレンジや青、また、ジーンズなどは刑務所内で囚人に間違われるリスクがあるため禁じられており、カリフォルニアのサン・クエントン(SQ)では条件に合う服を一時的に貸してくれるという。

殺人鬼と一緒に「飲み食い」や「ハグ」も

 ただし、そうしたハードルはあるものの、それをクリアして面会が叶えば、日本では考えられないくらい、囚人と近い距離で接触することができるという。

 「州によって多少のバラつきはあるものの、アメリカはあらかじめ電話で予約を入れておけば、刑務所から面会を断られることはまずありません。

 アメリカの刑務所は州立と連邦の二種類に分かれますが、州立の場合には、親族でなくても『友人・知人』の肩書で面会ができますし、日本のようにアクリル板越しではなく、およそ2,5メートル四方の鉄格子の折の中ではありますが、自販機からの食べ物や飲み物を飲み食いしながら同じ空間で握手やハグすることもできます。そうそう、日本では考えられないかもしれませんが、その鉄格子の檻の中で死刑囚とツーショットの記念写真を撮影することもできます」

 この記事に掲載する阿部氏と凶悪犯罪者が並ぶ写真は、すべて刑務所内で撮影されたものだ。

 「とはいえ、アメリカの塀の中は非情な暴力が横行する”弱肉強食”の世界でもあるため、ナイフや薬物、携帯電話を持ち込もうとする訪問者が多く、面会前のX線検査や執拗な所持品検査は必須。また、訪れる者たちは犯罪者の身内ばかりなので、プリズンギャングのリーダーは、面会前の手紙でしつこいほど駐車場の車の窓を完全に締切り、ドアはすべてロックし、金目のものはトランクに入れるよう注意していました」

 アメリカの有名犯罪者と会うため、時には飛行機を乗り継ぎ、時にはレンタカーを8時間以上も走らせた。その先では何人もの生身の死刑囚や終身刑の受刑者(lifer)と向き合ってきた。

 小さな独立州の集まりでできているアメリカでは州によって死刑制度を含めた刑事制度も違えば、死刑囚(終身刑囚)の処遇もまったく異なってくる。一概にひとくくりに語れない点もあるので、ここからは、これまでに会った有名死刑囚各々の暮らしぶりがわかる面会エピソードを紹介していきたい。

「ストーキング規制法を作らせた男」の場合

 ケース1
リチャード・ファーリー
(1948年7月25日生まれ/サン・クエントン州立刑務所/カリフォルニア)

 勤務先のOLに思いを寄せて、求愛行動はやがてストーカー行為にエスカレート。それをきっかけに会社を解雇されると、1988年に同勤務先へ複数の銃器を携えた完全武装で侵入。同社社員7名を射殺し、好意を寄せていた女性を含む4名に重症を負わせた。1992年に死刑判決。この事件はアメリカ初のストーキング規制法が制定されるきっかけにもなった。

 「ファーリーにとって最大の楽しみは日曜日に房内でアツアツのエッグサンドを食べながらフットボールをテレビ観戦することでした。しかしサン・クエントン州立刑務所では死刑囚は他の囚人が利用するチャウホール(食堂)への出入りはおろか、身内の面会の際ですら自分で自動販売機に触れることも許されません。

 ではなぜエッグサンドが食べられるのか。それは彼が電器ポットの中に針がねでパンを吊るして、お手製のパン焼き機にしていたから。中身に入れる具は、それまで食事として出されたオカズを保管しておいたものでしょう」

 ふだん出される食事に関しては、「残飯」のようなものが多く、スパゲティにキャベツの屑が混ざっていたこともあったという。

 「お金さえあれば、ポテトチップスを買うこともできますが、肉に関しては『人工肉がほとんどだ』とのことでした。面会は鉄格子に覆われた動物園のオリのような場所でしたが、『(差し入れは)何がいい? 』と尋ねると、ファーリーは糖尿病であるにもかかわらず、チーズバーガーと”ダイエット”ではない普通のクラシックコーラをリクエストしました。

 カリフォルニアは死刑に慎重で、控訴している限り、刑が執行されることはまずありません。執行される頃には糖尿で死んでいるだろうとタカをくくっている様子でした。彼の話で印象的だったのは、この刑務所暮らしも老後の生活設計のひとつということ。『ここは無料の老人ホーム』とまで言っていました。

 つい最近の2019年のクリスマスシーズンにも、なぜか棟内の共有スペースに飾り付けされたクリスマスツリーがあったそうです。それだけならまだしも、その写真を囚人の誰かがネット上にアップしてしまった。所内では一斉に所持品検査が行われ、150台もの携帯電話が押収された。ファーリーは模範囚だったので、携帯電話は持っていませんでしたが、『検査の際にテレビのリモコンを壊された』と憤慨していました」

 ファーリーは彼のストーカー行為からも分かるように、ある事にハマってしまうとそこから抜け出せなくなってしまう一面もあったようだ。パズルや暗号の解読にのめり込み、新聞に掲載された難問を解いては、こまめに答えを応募。日本円にして2000円程度の賞金を手にするのを趣味にしているという。

12名を強姦・殺害した「ヒルサイドの絞殺魔」

 ケース2
ケネス・ビアンキ(1951年5月22日生まれ/ワシントン州立刑務所)

 1977年から79年にかけて、従兄弟のアンジェロ・ブオーノとともに12名の女性を殺害。被害者女性を強姦後、残忍な方法で殺害し、遺体を小高い丘の斜面に遺棄したことから「ヒルサイドの絞殺魔」と呼ばれた。

 「ビアンキは終身刑で、事件から40年以上経った今でも無罪を主張していることもあって、かなり自由な生活を送っている印象でした。面会したのも、丸テーブルが並べられたごく普通の面会スペース。差し入れにピザを頼んだら、上機嫌で事件や刑務所の処遇について話してくれました」

 驚くことに、ビアンキは刑務所公認でiPadを使用。外部の人間とメールでやりとりをしている。

 「iPadの使用を許可する施設は徐々に増えてきているんですよ。つい最近も、ガールフレンドができたようで、『もしよかったらケンジからもメールしてやってくれよ』と言われました。

 ビアンキは外部の支援者の協力を通してみずからの音声データを販売しています。『サムの息子法』の影響かもしれませんが、そこから直接収益を得るのではなく、支援者が差し入れする形で間接的に金銭を得ているのかもしれません。私が書籍等を送って『貴重なお金を無駄に使わなくていいよ』と断ったのは彼くらいです。

 刑務所ではジムにも行けるし、カウンセリングも受けられる。環境はかなり恵まれているようです。

 私には警察にハメられたとして犯行すべてを否認していましたが、帰り際に握手した際、ギュッと握りしめたその常人離れした感触は、『この手で何人もの女性を絞め殺してきたんだな』と私を確信させるに足るものでした」

緊縛、拷問、殺害…懲役175年のシリアルキラー

 ケース3
デニス・レイダー(1945年3月9日生まれ/ウィチタ州立刑務所)

 カンザス州のウィチタで10名を殺害したシリアルキラー。その犯行期間は1974年の一家殺害に始まり、実に17年間におよんだ。「Bind(緊縛)」、「Torture(拷問)」、「Kill(殺す)」の頭文字を取って「BTK」と名乗り、メディアに犯行声明を送り続け、2005年に逮捕。175年間仮釈放なしの終身刑を言い渡される。

 「デニスの場合は犯行そのものがかなり残虐で、特殊なケースだったためか、面会と言っても直接会話できるわけではありません。それぞれ別の部屋に入って、ビデオカメラを通じて会話することになります。

 それでも実際に動く映像を見ながら会話することに意義があると思ったのですが、アメリカに渡った際、悪天候の関係でウィチタ行きの便がキャンセルされてしまい断念せざるを得ませんでした。ただし元々、私と彼とは日本の自宅でも電話で月に一度は話す仲でした。彼の銀行口座に送金しておくと、タイミングを見計らって私の自宅に電話をかけて、あれこれと話ができました。

 チャールズ・マンソンの場合は、刑務所にいる本人から自宅に三度ほど電話がありました。また、一時は彼が結婚の約束をしていたフィアンセが仲介するやり方で、ちょくちょく電話で話をしました」

凶悪殺人鬼たちの死刑執行は?

 面会者と同じ空間で語り合うこともできれば、メールや電話で塀の外との人物とやりとりができる。金さえあれば衣類や軽食を買うのも自由だ。こう書くと、重大犯罪者に似つかわしくない生活のように思えるが、「最期の時」は誰にも等しく訪れる。

 「日本の場合、死刑執行はその日の朝に伝えられ、中には錯乱状態になる人間も多いと聞きます。しかしアメリカではそんなことはありません。カリフォルニア州では地方での裁判から最高裁判所に辿り着くまでには30年ほどは掛かると言われ、特に最近では新たに選出されたニューサム知事が死刑廃止論者であることもあり、めったに死刑が執行されることはありません。

 死刑が実際に行われているフロリダやテキサスなどでも、前もって房を移動させるなどして、それとなく死期を悟らせるのが通例です。とある65歳の死刑囚は、最期の日の朝食に、長いこと食べたいと言っていたローストビーフサンドイッチとカリカリに焼いたベーコン、フライドポテトとソーダを食したと聞きました」

 阿部氏は今も日米の凶悪犯罪者と交流し、彼らが生まれ育った家庭環境などから、殺人鬼を生む要因を研究し続けている。凶悪犯罪が起きない社会を願って――。

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「だって、バレちゃうからね」臆面も節操もない女帝小池百合子の素顔

PRESIDENT Online 2020年7月5日(日)11時16分配信/松井 清人(文藝春秋前社長)

だって、バレちゃうからね」――臆面も節操もない“女帝”の正体

 都知事選を目前にして、小池百合子知事への疑惑がまたしても浮上している。「カイロ大学を首席で卒業」という経歴への疑惑で、その引き金となったのが本書だ。

 小池が留学中の約2年間、アパートで同居していた早川玲子(仮名=カイロ在住)の証言を軸に、疑惑を徹底検証するのだが、彼女は当時の手帳、メモ、日本にいる母親に近況を書き送った手紙などを保存していて、その証言は微に入り細を穿つ。

 小池は結局、留学生活を断念。カイロ大学を卒業したと装って日本に帰るのだが、帰国前夜、小池は早川に言う。

 「あのね。私、日本に帰ったら本を書くつもり。でも、そこに早川さんのことは書かない。ごめんね。だって、バレちゃうからね」

 7年後、小池は初の著書を出版するが、早川のことには一行も触れていない。早川証言の重みを誰よりもよく知るのは、小池本人だろう。

 花形キャスターの座を捨てて1992年、小池は政界に身を投ずる。日本新党を率いる細川護熙を皮切りに、次いで新進党の小沢一郎に急接近。ついには自民党に寝返って小泉純一郎内閣の環境大臣に就任する。〈「権力と寝る女」、「政界渡り鳥」と揶揄されながらも、常に党首や総理と呼ばれる人の傍らに、その身を置いてきた〉のだ。小池という政治家を象徴するエピソードを本書から引く。

震災後の窮状を必死に訴える彼女たち

 95年の阪神大震災からしばらく経ち、以前の選挙区だった芦屋の女性数人が議員会館に小池を訪ねた。震災後の窮状を必死に訴える彼女たちに、〈小池は指にマニキュアを塗りながら応じた。1度として顔を上げることがなかった〉。塗り終えると指先に息を吹きかけ、こう告げた。

 「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?  私、選挙区変わったし」

 2002年の小泉訪朝。横田めぐみさんは死亡と知らされた会見の席で、父の滋さんは涙で言葉を詰まらせた。妻の早紀江さんは気丈にも、夫の分まで思いを訴える。夫妻の真後ろには、黄緑色のやけに目立つジャケットを着た小池が立ち、被害者家族の肩に手を回しつつ、涙を拭った。会見が終わり、部屋には家族らが残され、大きな悲しみに包まれていた。そこへ、いったん退出した小池が駆け込んできて、大声を上げる。

 「私のバッグ。私のバッグがないのよっ」

 部屋の片隅にそれを見つけると、横田夫妻もいる部屋で、彼女は叫んだ。

 「あったー、私のバッグ。拉致されたかと思った」

 目撃した蓮池透さんは、「あれ以来、彼女のことは信用していない」と自身のツイッターで明かしたという。

 臆面のなさ、節操のなさ。この政治家に真面目さを求めることの虚しさを、著者は鮮やかに浮き彫りにする。

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女帝 小池百合子』 石井妙子(文藝春秋)

都知事選小池百合子氏が圧勝 350万票超を獲得

共同通信 2020年7月5日(日)20時00分配信

 任期満了に伴う東京都知事選は5日投開票され、無所属現職の小池百合子氏(67)が再選を果たした。得票は350万票を超え、前回2016年の約291万票を上回って2位以下に大差をつけての圧勝。都政は感染の再拡大傾向が顕著になっている新型コロナウイルス対策や来年に延期された東京五輪・パラリンピック対応など多くの課題が山積しており、新たな4年間のかじ取り役として手腕が問われる。

 都選挙管理委員会によると、投票率は55.00%だった。前回を4.73ポイント下回った。

 小池氏は都庁近くの事務所で「2期目の重責を担う責任を感じる」とあいさつした。

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JR東海リニア令和9年開業延期を事実上表明 静岡県が着工認めず

産経新聞 2020年7月3日(金)23時37分配信

 JR東海は3日、リニア中央新幹線計画の静岡工区での準備工事着工が遅れている問題に関し、目指してきた令和9(2027)年の品川-名古屋間の開業を延期することを事実上表明した。大井川の流量減少などへの懸念から着工に反対してきた静岡県が同日、JR東海に対して着工を認めない意向を正式に伝えたことを受けて判断した。

 JR東海は3日のコメントで「残念ながら2027年の開業は難しいという認識である」と言及した。今後の対処については「現時点で決めていない」とし、工事実施計画の認可を出した国土交通省との協議を進めるという。一方、静岡県の判断について「納得できない」とし、改めて意向を確認するともしている。

 開業が遅れることで、主要駅周辺や沿線の自治体などでの開発計画への影響は不可避だ。災害で東海道新幹線などが被災した場合に備える主要都市圏をつなぐ交通網としての役割も実現が遅れるおそれがある。

 政府高官は3日夜、リニアについて「手を替え品を替えやっていく。一緒になってやっていく」と述べ、政府としてJR東海を側面支援する考えを示した。

 JR東海は静岡工区について6月中に各ヤード(作業基地)での準備工事に着手できるよう求めてきたが、静岡県は3日にJR東海に提出した正式回答で「ヤード整備はトンネル掘削工事の一部」とし、着工には県との協定締結が必要だと指摘。そのうえで「現時点では県としては協定を締結する状態に至っていないと判断している」と記し、準備工事は認められないと結論付けた。

 川勝平太知事は6月26日のJR東海の金子慎社長との会談で着工の可否について明言を避ける一方、会談後、記者団に「本体工事に関わるものだから一切認められない」としていた。

大井川水問題「県境断層の追加調査を」破砕帯過小評価の可能性

静岡新聞 2020年7月3日(金)11時45分配信

 南アルプスの地質に詳しい狩野謙一静岡大防災総合センター客員教授(構造地質学)が2日までに、静岡新聞社の取材に応じ、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、トンネル湧水の県外流出の要因とされる山梨県境付近の大規模断層について、追加の詳しい地質調査が必要だとの見解を明らかにした。

 JR東海による調査が不十分で、断層にある破砕帯(岩石が砕かれ、水を多く含みやすい地質)の規模を過小評価している可能性を指摘した。破砕帯の大きさは県外に流出するトンネル湧水の量に関係するため、大井川の流量減少への影響が大きくなる可能性があるとしている。

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 JRは調査で、この大規模断層をボーリングし、幅800メートルの破砕帯があると推定したが、その際に「コア」と呼ばれる棒状の地質試料を採っていない。狩野氏は「(コアの有無で)地質の情報量が全く違うのでコアを採取すべきだ」と詳細なボーリング調査を求めた。周辺の地質状況から、山梨県方面や大井川直下に破砕帯が広がっている可能性に言及し、調査の範囲を拡大すべきだとした。

 狩野氏は「破砕帯の定義によっても、その幅が異なってくる」とし、JRが定義を示す必要性も指摘。また、大規模断層はJRの言う畑薙山断層ではなく、県境沿いに南北に延びる井川―大唐松山断層の一部と推定した。

 南アは、プレートの沈み込みによってはぎ取られた地質(付加体)で、破砕帯は至る所にあるという。狩野氏は「これだけの付加体にトンネルを掘ったことは世界的にない。うまくいけば画期的だ」と述べた。

 

2020年7月 4日 (土)

【記録的豪雨】球磨川氾濫<新型コロナ再拡大>✊Wパンチ

 熊本南部豪雨50100年に一度の稀な大雨」…防災科技研 

読売新聞オンライン 2020年7月4日(土)18時25分配信

 防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は4日、3~4日にかけての熊本県南部での豪雨について「50~100年に1度のまれな大雨」だったとする解析結果を発表した。

 同研究所は、過去約30年分の降雨データと、今回の3日午前8時から4日午前8時までの24時間降水量を統計的に解析。土砂崩れが多発した県南部の芦北町周辺では、南北約5~10キロ・メートル、東西約30~40キロ・メートルの範囲が50~100年に1度の雨量となっていた。

 同研究所水・土砂防災研究部門の三隅良平部門長は「比較的狭い範囲だが、氾濫した球磨川流域にも重なっており、被害につながったとみられる」と話した。

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 国土交通省八代河川国道事務所は4日、熊本県八代市坂本町の球磨川にかかる深水橋(長さ154・9メートル)が、川の氾濫で流されたことを確認したと明らかにした。

 橋は1966年3月に完成した鉄骨造りで、熊本県が管理している。同事務所によると、橋は川の水につかっている状態で、流されたのが橋全体か一部かは不明だという。

熊本13人不明 土砂崩れ浸水も 11自治体9万世帯以上に避難指示

毎日新聞 2020年7月4日(土)11時44分配信

 熊本県では4日未明から降り続いた大雨の影響で、県南部を中心に各地で土砂崩れが発生し、1級河川の球磨川が氾濫した。県によると、午前10時現在、芦北町と津奈木町で少なくとも13人の安否が不明という。

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 同県は5段階の警戒レベルで最も高い「レベル5」に当たり、災害が発生していることを示す「災害発生情報」を芦北町など4自治体1万6127世帯3万8615人に出した。この他、同県と鹿児島県では一時、計11自治体の9万2233世帯に避難指示、計11自治体の8万4992世帯に避難勧告が出た。

 熊本県によると、芦北町田川地区では土砂崩れで民家が流失し、10人程度が行方不明に。女島地区では土砂崩れが民家に流れ込み、80代の女性1人を救出したが、この他に2人が行方不明になっているという。

 また、同町の滝ノ上地区では住宅8棟が流されたとの情報もある。同町伏木氏地区では冠水により複数の住宅で避難ができず、同町吉尾地区では屋根の上で救助を待っている人が複数いるという。県警芦北署などによると、芦北町内では土砂崩れの発生に関する通報が20件以上寄せられている。同町小田浦地区でも土砂崩れが発生し、2人の安否が不明だという。

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 津奈木町役場によると、4日午前5時40分ごろ、同町福浜の平国地区の住民から「家が土砂崩れでつぶされている」と通報があった。この家に住む80代夫婦と50代の息子の計3人が土砂に生き埋めとなった。2人の容体や安否は不明だが、同地区では土砂崩れで埋まった住宅から救助された2人が心肺停止状態との情報がある。

 水俣芦北広域行政事務組合消防本部(熊本県水俣市)によると、4日午前3時40分ごろ、同県芦北町女島地区で土砂崩れが発生し、住民から「住宅に1人生き埋めになっている」と119番があった。就寝中だった80代女性が自宅に流れ込んだ土砂に巻き込まれたが、消防隊員が救出して病院に搬送した。女性は意識があり、会話ができる状態だったという。このほか、女島地区ではもう1人女性が不明になっているという情報もある。

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 国土交通省八代河川国道事務所(同県八代市)によると、県南部を流れる球磨川の球磨村小川合流点で4日午前5時20分ごろ、水位が11.11メートル(氾濫危険水位8.7メートル)に達し氾濫を確認した。人吉市内でも氾濫しているという。熊本県は貯水容量を超える恐れがあるとして球磨川上流の県営市房ダム(水上村)の緊急放流を予定していたが、雨が弱まるとみて見合わせた。

 大雨の影響で交通の足にも乱れが生じた。JR九州によると、九州新幹線の熊本―鹿児島中央間、在来線の鹿児島線川内―鹿児島中央間▽日豊線南宮崎―鹿児島間▽肥薩線全線――などがいずれも始発から運転を見合わせた。高速道路も九州道や東九州道、宮崎道などで通行止めが相次いだ。

1人心肺停止、1人重体 球磨川氾濫9人不明 熊本鹿児島で集中豪雨

時事通信 2020年7月4日(土)17時18分配信

 梅雨前線の影響で熊本、鹿児島両県は4日、記録的な大雨となり、気象庁が午前中に一時、特別警報を発表した。

 熊本県の球磨川が氾濫し、多数の住宅が浸水。同県内で1人が心肺停止、1人が重体となったほか、9人が行方不明となり、警察や消防、自衛隊が救助を急いでいる。

 熊本県の午後1時半時点でのまとめによると、県内各地で土砂崩れが発生。津奈木町福浜で1人が救助されたが心肺停止となった。さらに2人が行方不明となっており、自衛隊が救助活動を続けている。

 芦北町女島で夫婦が行方不明になったほか、同町田川でも3人が不明となった。同町伏木氏では複数の民家が浸水し、1人が重体、1人が不明という。また、人吉市下薩摩瀬町でも1人が行方不明となっている。このほか八代市、人吉市、相良村などで浸水により多数の住民が孤立し、自衛隊や消防のヘリが救助を進めた。

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 国土交通省によると、熊本県内で15件、鹿児島県で1件の土砂崩れが発生。球磨川では10カ所で氾濫が起きたとみられる。九州地方整備局は八代市坂本町の深水橋と、人吉市矢黒町と相良町をつなぐ西瀬橋が流失したのを職員が確認したことを明らかにした。

 熊本、鹿児島両県には4日未明から朝にかけて梅雨前線が停滞し、発達した雨雲が連なる「線状降水帯」が形成されたとみられる。熊本県では1時間雨量が110~120ミリ以上との記録的短時間大雨情報が相次いで発表された。同県水俣市で午前9時20分までの12時間雨量が415.0ミリに上るなど、観測史上最多雨量を更新する地点が続出。各地に避難指示や避難勧告が出された。

 気象庁は4日午前4時50分に熊本県南部の八代市や天草市などと、鹿児島県北西部の阿久根市や伊佐市などに大雨特別警報を発表。同庁の中本能久予報課長が記者会見し、直ちに安全を確保するよう呼び掛けた。雨雲が遠ざかった同11時50分に警報に切り替えたが、洪水や浸水、土砂災害に厳重な警戒が必要な状況が続いた。

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 鹿児島ゲイバーの利用客など、県内で新たに23人感染確認 

KYT鹿児島読売テレビ 2020年7月4日(土)18時13分配信

 県と鹿児島市は4日新たに23人が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。

 新たに感染が確認されたのは23人。このうち20人が、クラスターが発生した鹿児島市のショーパブを利用した客とその接触者だ。陽性が確認されたのは、鹿児島市や指宿市の20代から60代の男女。クラスターが発生したショーパブに絡む感染者は57人となった。県と鹿児島市はこのほかにもPCR検査を行っている。

 鹿児島市は、先月13日から29日まで店を利用した人に対し、帰国者・接触者相談センターに連絡して欲しいと呼びかけている。県内の感染者はこれで74人となった。

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 鹿児島のゲイバーでクラスター 宮崎からの出航客は相談センターへ 

宮崎ニュースUMK 2020年7月4日(土)18時30分配信

鹿児島の接待を伴う飲食店で新型コロナウイルスの集団感染が発生している事を受け、宮崎県は、この飲食店を利用した県民へ相談センターへの相談を呼びかけている。

鹿児島市の接待を伴う飲食店「NEWおだまLee男爵」では、3日までに37人の感染が確認されている。この飲食店へは鹿児島県外からも訪れていることがわかっていて、宮崎県では、先月13日から29日の間でこの飲食店を利用した県民の感染を懸念している。県では、鹿児島をはじめ感染が拡大している地域への訪問には十分注意するよう呼びかけている。

小池都知事他県への不要不急な移動遠慮して

共同通信 2020年7月4日(土)16時34分配信

 東京都の小池百合子知事は4日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに131人報告されたことを受け「他県への不要不急な移動は遠慮してほしい」と都民に対して呼び掛けた。都内で記者団の取材に応じた。

コロナ感染者多数の新宿ホスト店オーナー「いのは保健所だよ

文春オンライン 2020年7月4日(土)18時09分配信

 7月4日、東京都では新型コロナウイルスの新規感染者が131人に上ったことが確認され、3日連続で1日あたりの感染者数が100人を超えた。特にホストクラブなど「夜の街」に勤める従業員ら20~30代の若い世代を中心に感染は拡大しており、いわゆる“第2波”が懸念されている。

 小池百合子都知事は2日に「都民には夜の街、夜の繁華街への外出を控えてほしい」と呼びかけたが、「文春オンライン」取材班が同日の深夜、ホストクラブが軒を連ねる新宿・歌舞伎町を訪れると、界隈は酔客で溢れ、ホストクラブにはこの日も女性客が集まり、店内からは高級酒を注文した際にかかる“シャンパンコール”や、カラオケの歌声が鳴り響いていた。

 取材班は3月以降、新型コロナウイルスのクラスターとなってきたホストクラブの内情について、たびたび警鐘を鳴らしてきた。だが、当のホストたちやオーナーの耳には届いていないようだ。

 6月中旬、10人以上の感染者を出したホストクラブ「A」グループの店舗関係者はこう証言する。

「店では、従業員がコロナに罹っても、濃厚接触者の検査もせず、感染者以外のホストで営業を続けて、『コロナに負けるな』と売り上げを上げることに必死です。こんな状況なので、店舗内の感染者は増える一方なんです」

 ホストクラブ「A」は、歌舞伎町の中心地の雑居ビル2Fにあり、「A」のほかに「B」や「C」など複数の系列店が営業をしている。業界では中堅グループに位置付けられる。6月中旬に「A」で数名、「B」「C」でも複数の感染者が確認されている。

「店は4月の緊急事態宣言の直後も、1週間ほど休んですぐに営業を再開していました。お客が集まらないと『店舗対抗新規獲得レース』というイベントを実施して、『1万円でフリータイム飲み放題』などという宣伝文句を使ってSNSで営業をかけ、新規客を積極的に入れていた。5月25日に緊急事態宣言が全面解除されてからは、バースデーイベントを頻繁に開催。

 他の飲食店がソーシャルディスタンス確保のために座席を制限する中、うちはテーブル数も制限せず、『入れるだけ入れろ』って感じで、ホストも客もかなり“密”でやっています。ドンペリを入れると担当ホストは他のお客に『お前ら自粛中とか言ってないで頑張れや』などと煽ってイッキ飲みをさせたり、シャンパンの回し飲みをしたり。最初こそマスクをしていましたが、ベロベロになったら関係ない。いつも通り、店が終わったらアフターでご飯にも行くし、客の買い物にも同行していますよ」(同前)

ホストの恋人がコロナに罹患した女性の証言

 客の多くはホストに入れ揚げた女性たちだ。業界では「ホス狂い」と呼ばれ、風俗や水商売で働く女性が多いという。ホストと交際しているY子さんも、コロナ禍でも恋人の勤める店舗に飲みに行っているというが、その彼氏がコロナに罹患してしまったという。

「彼氏(担当ホスト)はコロナになり、今は入院しています。ここ1週間、店でもよく『暑い、暑い』って言っていた。重篤化はしていないのですが、こんな状態になっても今月やる自分のバースデーイベントのことを気にしていて、『お金貯めといて』『お前が来られなかったら売り上げ最悪だから』って。体よりも売り上げが大事みたい。(売り上げを上げるように)店からだいぶハッパをかけられていて、店の経営陣も彼の感染が発覚してもさほど気にしていない様子でした」(Y子さん)

 なぜそこまで無理をするのか。「A」をはじめ「B」「C」など、ホストクラブグループの経営を統括する代表者X氏(30代)を電話で直撃した。

――6月中旬に「A」「B」「C」の従業員から新型コロナウイルスの感染者が出たのは事実ですか。

「確かに『A』を含め、系列店の従業員からも次々とコロナ患者が発生しています。ですがほとんどが無症状。陽性者は現在10人いて2人は入院しましたが重篤化していませんし、若いから体力あるんだと思います。

 それにこれまでやれる対策はやってきました。店は換気をするように心掛け、空気清浄機や加湿器を置き、入店時はもちろん検温、消毒を徹底。ホストはマスクやフェイスシールドをつけることを現場には呼びかけています。これでも罹ってしまうなら、もう仕方ないと思っています。俺たちも食べていかないといけないから。

 コロナが怖くて出勤したくないホストは出なければいい。自由出勤にしているので休んでいても罰金は取っていません。ホストはそれぞれが個人事業主だからそれぞれの判断に委ねようと思っています」

――なぜ感染者が広がったと思いますか?

昼の世界でもいくらでも感染者はいる

「店は対策を徹底していたし、店の外が原因だと思っている。アフターでバーに飲みに行ったり、従業員同士が営業後に食事をするからそういうところで感染するし、寮暮らしの若いホストは集団生活するからそこで広がってしまう。店を営業していることが悪いとは思わない。

 僕も感染しましたが、しばらく店に出入りしていなかったから、感染したのは外です。そもそも夜(の街)だけが悪く、感染拡大させているように報道されていますが、これだけ無症状が多いんだから、昼の世界でもいくらでも(感染者は)いるだろうし、そういう人から僕らがうつされた可能性もありますよね」

インフルエンザで亡くなる人とどっちが多いか

――自粛期間中に新規客獲得イベントを開催したり、無理な誕生日イベントを繰り返したことが感染に繋がったという声もある。

「お客や店からもいろんな声が出ているが、僕のなかで答えは1つで、営業を止めることが悪だと思っている。ホストクラブはランニングコストが高く、人件費が全体の60%以上、その他に家賃が200万、それに広告費なども入れたら毎月1店舗あたり最低500万~600万円かかる。新宿でも小さなバーとかは、100万円の給付金で家賃や経費もまかなえるだろうけど、僕らの業界は絶対に無理。自粛して店を全部閉めたら、すぐに数千万の赤字なんです。4月は大赤字、5月はトントン。6月に(客足が)やっと戻ってきた。誰も補償をしてくれないのだからやるしかないじゃないですか」

――若いホスト男性は重篤化しないケースが多いかもしれないが、軽症や無症状の感染者が子供やお年寄りにうつして感染を拡大させることもあります。

「子供はかかりにくいというから大丈夫じゃないですか。お年寄りは……わかんないですけど、でもインフルエンザで亡くなる人とどっちが多いとかいうじゃないですか。僕らも店をやらなきゃ食えなくなって死ぬことになるわけですから。やっぱ従業員を食わせていく責任があるんで」

――今後も従業員に感染者が出ても営業は続ける?

2度目のクラスターが発生したホストクラブも

「やらないと生活できないので。大手のホストクラブでも最近クラスターが出て、20人くらいが感染していましたが、実はクラスター発生は2度目で、みんなの対応は慣れたものだったようです。若いからほとんどが無症状で重症になるホストの話は聞きません。保健所にも確認しましたが、陰性の人間だけだったら営業やってもいいと話していました。だから本当は安全のために、どんどん検査をしていきたい。ですが、何度も保健所に電話をしているがなかなか検査に来てくれない。そっちのほうが問題だと思いませんか? 東京都が意図的に感染者の数をコントロールしていると疑っています」

 現役ホストでもあるX氏は、あくまで正当性を主張する。検査を管轄する東京・新宿区保健所にX氏の言い分を伝えると、担当職員は遣る方ない様子でこう答えた。

保健所の担当者の回答は……

「個別の案件についての回答は差し控えますが、一般論として、飲食店などで濃厚接触者が出た場合、こちらとしては2週間の自粛要請をしています。ですが、要請なので効力はなく、『店を開けてよいか』と聞かれると、『閉めなければ駄目だ』とは言えないのが現実です。(X氏は)それを違った解釈をされているのではないでしょうか……。

 我々がホスト店などに感染者がいるという情報を掴んだ場合は、クラスター検査に積極的に応じるようにしています。ただ感染された方に『新型コロナウイルス感染症発生届』を提出していただく際、職業欄にホスト店の名前などではなく、『フリーター』や『自営業』と記入されると、(ホスト店内の感染を)我々は把握できません。本人以外の方からお電話で『あの店を検査しろ』と言われても、検査に入るのは現状ではなかなか難しい。店舗名を記入することで店に迷惑がかかると勘違いされている方も多いのだと思いますが、正確に書類を書いて頂きたいです」

 朝日が差し始めた7月3日早朝の新宿・歌舞伎町では、飲み明かしたホストたちがマスクを外し、千鳥足で店外に現れた。仲間や客の女性にもたれ掛かり、道端に嘔吐するホストも。女性客とホテル街へ向かうホストも数多く見かけた。

 東京都の感染者3ケタを受けて、メディアの中には「第1波のときより若者の感染者が多く、軽症や無症状が多いから大丈夫だろう」といった言説も見かけるが、その無症状感染者からコロナが拡大していく危険性は大いにあると、歌舞伎町の光景は物語っていた。

 

2020年7月 3日 (金)

【自粛から自衛へ】都の新規感染者124人<新型コロナ再拡大>2日連続100人超

新規感染者100人でも新たな要請ナシ。東京の感染状況について

BuzzFeed JAPAN 2020年7月2日(木)20時06分配信

 7月2日、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数の速報値は107人。緊急の記者会見を開いた小池百合子東京都知事は「感染が拡大しつつある」状況であるとの専門家の総括を発表した上で、休業要請などが必要な段階ではないとの認識を示した。感染者数が増え続けてるのに、なぜこのような対応を取るのか?小池都知事、そして専門家の医師2名から語られたのは、現在の感染者の7割は20代・30代の若年層であること、検査体制が3月時点よりも拡充されていること、そして若年層は重症化するケースが少ないため、現在の医療提供体制にはまだキャパシティがあるということだ。

 感染者数の増加をどのように捉えれば良いのか。今後、取るべき対策は。小池都知事、そして専門家が会見で語ったことをまとめた。

感染が拡大しつつあると思われる

 東京都は7つの指標をもとに、感染動態をモニタリングしている。この指標をもとにそれぞれ4段階で評価を行う。

【感染状況】:「感染が拡大しつつあると思われる」

(1)新規感染者数

(2)東京消防庁救急相談センター(#7119)における発熱などの相談件数

(3)新規感染者における感染経路不明者数および増加比

【医療提供体制】:「体制強化の準備が必要であると思われる」

(4)検査の陽性率

(5)救急医療の東京ルールの適用件数

(6)入院患者数

(7)重症患者数

 今回、感染状況については「感染が拡大しつつあると思われる」として、4段階評価のうち上から2番目の評価を下した。また、医療提供体制については「体制強化の準備が必要であると思われる」として、4段階評価のうち上から3番目の評価を下した。

 これらの分析を踏まえ、都知事は「感染拡大要警戒」と記されたフリップを掲げ、改めて注意を呼びかけている。

・年代別の感染者数では20代、30代が約7割

・地域別では新宿エリアと池袋エリアで多くの感染者

・感染経路別では、「夜の街」関連が約4割を占めている。

 こうした感染者の傾向を発表した上で、小池都知事は接待を伴う飲食店だけでなく、「若年層の友人同士のパーティー、会食での感染」も確認されていることに言及。特に若者の場合は無症状である場合も少なくないため、「無意識のうちに感染拡大する恐れがある」とした。

「先日の会見でも申し上げましたように、宿泊療養含めまして、医療提供体制は十分確保されております。ただし、専門家の分析を踏まえ、高齢者層に感染が広がるなど、急速に感染増加する可能性は否定できない。より一層の警戒が必要です」

 このままだと8月は接触歴不明の患者が6倍に

 人口10万人あたり2.5人の感染者が確認された際に、社会に対して協力要請を行うことが望ましいと厚労省が定めた医療提供体制に関するガイドラインで定められている。

 現在、東京都の新規感染者はこの数値を上回るペースで増えている状況だ。

 国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師はこうした感染状況を分析する上で、こうした目安が3月、4月の段階での状況を踏まえて策定されていることを「頭に入れておきたい」とコメント。当時からは「状況が変わった」ことを強調した。

「PCR検査数も1日2000件以上に増えていますし、以前は陽性になられる方の中に50代、60代の方がかなりおられた。今は若い方が多い。慎重に捉えて、見ていきたいと思います」

 大曲医師は同時に、警戒も呼びかけている。懸念されているのは、接触歴が不明な新規感染者の増加だ。

「7月1日時点での陽性者数の接触歴不明者は158%増。この状況で、変化なく増えていきますと、4週間後には1日あたり6倍の接触歴不明者となります。さらに4週間後には40倍になる。1400人の新規入院患者さん。これはかなりの数です。今日は、どういう状況かとお伝えしようかと考えました」

患者さんの年齢層が変わるだけで、大きく医療の需要は変わってきます

 このままのペースで感染者数が増えれば、医療崩壊の危機が再び訪れるのだろうか。新規感染者数の増加が医療のキャパシティをどの時点で上回るかは「現段階で明確に示すことはできない」としながらも、このままでは4週間後には東京都がレベル1で用意している1000床の病床も埋まることも想定される。

 このペースで感染者数が増えることは医療現場に「相当な負荷をかける」と大曲医師は強調した。

 東京都医師会副会長の猪口正孝医師は、感染者の年代の変化に注意が必要だと語った。

「今日の107名のうち若年者、20代、30代が70%くらい。これが50歳、60歳以上となると重症化率が高くなってきて、入院の需要がグッと増してくる」

「今の数字が倍数化していくだけでなくて、患者さんの年齢層が変わるだけで、大きく医療の需要は変わってきます」

都知事心からのお願いです

 感染者が増加する現状は「第二波」と捉えることができるのだろうか。小池都知事は明言は避けたものの、「第二波を起こさないために、堪える必要があるけれども、伸びていることが非常に嫌な感じ」と表現し、感染拡大を食い止めるためには都民の協力が必要であるとしている。

 感染拡大を防止するため小池都知事は「夜の街」、夜の繁華街への外出には注意をするよう呼びかけた。「夜の街」関連の事業者には、従業員に積極的にPCR検査を受けさせるよう要望した。

「法律的なことはさることながら、協力のお願いをする。基本的な、心からのお願いです。また戻ってしまいますと、これまでのご協力が振り出しに戻る。このようなことはあってはいけない」

「学校も再開ということになって、子供たちの学びも改めて始まったところ。学校を止めてはいけない想いもありますし、経済社会活動との両立、新しい日常の定着、感染拡大防止とともに進めていきたいと考えています」

 小池さん有利の都知事選に見る「無風」とはほど遠い動乱の兆し 

ダイヤモンドオンライン 2020年7月3日(金)6時01分配信

7月5日投開票予定の 都知事選は奇妙な選挙に?

 奇妙な選挙になりそうです。7月5日に投開票予定の東京都知事選の話です。

 今回の記事は、先日発売の拙著『日本経済予言の書』の中で、私が「6番目の予言」として述べたことと関連する話です。その予言とは、これから10年以内の間に、日本に「ポピュリズム政権交代」が起きる可能性があるというものです。

 実は、国政とは関係ないはずの東京都知事選に、そのポピュリズム台頭の兆しが見えます。順を追ってお話ししましょう。

 過去5年間、世界の政治情勢を振り返ると、ポピュリズムの台頭が顕著になっていることに気づかされます。アメリカではリーマンショック以降、一部の富裕層に富が集中する一方で、まじめに働いてきた中流層のアメリカ人が失業し、貧困層に転落し始めました。特にラストベルトと呼ばれる中西部の工業地帯で働く人々が、グローバル経済の中で職を失い、みじめな生活へと追いやられていきます。

 そこに出現したのがトランプ氏で、「職を奪うメキシコ国境に壁をつくる」「中国に高額の関税を求める」といった聞こえがいい政策を掲げて、アメリカ大統領に上り詰めました。イギリスではボリス・ジョンソン氏が、「EUから離脱すれば、イギリス人は経済的にもっと豊かになる」と説き、国民の支持を得てブレグジットを実現しました。

 いずれも、経済学的にはクエスチョン・マークのつく主張でありながら、国民の支持を得てダークホース的に政権を射止めたのです。

 ポピュリズムが台頭するメカニズムは、シンプルです。最初の原因をつくったのは資本主義経済の行き過ぎで、一部の富裕層や大企業に極端に富が集中する状態ができ上がったことです。資本主義の結果として、99%の国民が1%の富裕層に搾取される社会ができ上がったのですが、その結果、民主主義においては不満を持つ国民が多数派になりました。

 世界の大半の国々では、与党の政治家は1%の側の上級国民です。99%の国民の側の怒りがふつふつと湧き上がり、やがて沸点に達すると、民主主義国家では政権交代が起きます。そして、日本以外の国を見ると、新たに政権に就く政治家や政党は、国民が望む「平等」や「もっといい生活」を公約に掲げる、聞こえがいい人たちです。

国民の怒りのバロメーター ポピュリズム政権交代の予兆

 ここで、2020年代の日本の論点として考えなければいけないのは、「では、日本でも同じことが起きるのか」という問題提起です。それは、国民の怒りのレベル次第なのですが、新型コロナ感染拡大、麻雀検事長の定年ゴリ押し問題、桜を見る会問題などで、溜まりに溜まった国民の怒りを測定するバロメーターとして、今回の都知事選が役立つと思います。

 2020年の東京都知事選は、過去最多の22名が立候補する中で、世論調査を見る限りは奇妙な対立構図の中で、現職の小池百合子都知事が圧倒的に有利に選挙戦を進めている様子です。

 私が「奇妙な」と表現する理由は、ご存じの通り、第一に国政与党である自民党が独自候補を立てなかったこと。第二に立憲民主党、国民民主党、社民党、日本維新の会、共産党の主要野党が公認候補を立てられなかったこと。そのため、現職の小池百合子知事の再選が確実ともいえる状況ができ上がりましたが、なぜかそこで他の候補に票が割れている点が奇妙なのです。

 とはいえ、立憲民主党、社民党、共産党の支援を受ける元日弁連会長の宇都宮健児候補と、日本維新の会が推薦する元熊本県副知事の小野泰輔候補は、ともに無所属とはいえ、小池候補に対抗する従来野党の候補と位置付けることができます。この2候補の得票は、従来型の選挙分析としては、小池都政に対する反対票ないしは批判票だといえるはずです。

 そして従来の選挙戦でいえば、それ以外の候補は十分な得票を得られない、マスコミが言う泡沫候補の位置付けで終わる、というのが手堅い流れのはずでした。実際、22名の候補者の政見放送やポスターを見ると、とんでもない意見をお持ちの候補も少なくありません。

 しかし予測ですが、この選挙は当選結果とは別に、票の流れは荒れるはずです。今回の選挙は現職、主要野党2候補以外に注目すべき第三極があり、その第三極への票の流れ次第で、日本でも海外と同じような政権交代が起き得るのかという、国民の「怒りの度合い」が測定できるのです。

 その注目すべき候補者が、山本太郎候補と立花孝志候補です。今回の都知事選の一番の注目点は、この2人に合計して有効投票の何%が投じられるかです。その結果次第で、今後行われる2020年代の日本の国政選挙の未来が、変わるかもしれないのです。

山本太郎氏と立花孝志氏が もたらす想定外のインパクト

 その未来予測の話をする前に、まず2人の候補について簡単に解説してみます。

 山本太郎候補は、政党要件を満たした国政政党である「れいわ新選組(以下、れいわ)」党首です。元俳優の経歴を持ち、2012年に政治家に転身し、2013年に無所属から参議院議員に当選。2019年の参議院議員選挙ではれいわを設立し、比例区最多の99万票の個人票を獲得することで、れいわが政党要件を満たす原動力となる一方で、自身は名簿順位の関係で現職でありながら落選しました。その政治演説は、常に大きな盛り上がりを見せることに特徴があります。

 立花孝志候補は元NHK局員で、2013年に「NHKから国民を守る党(以下、N国党)」を設立し、やはり2019年の参議院議員選挙で自身が比例区で当選するとともに、N国党も政党要件を満たしました。その後、参議院の埼玉県の補欠選挙に出馬したことで失職します。そして今回はN国党ではなく、新たにホリエモン新党を設立して代表となり、都知事選に立候補します。

 細部で興味深い点は、ホリエモン新党は堀江貴文氏と公式には関係ないとされる点です。堀江氏はツイッターで「ええと、俺は特にメリットないですね笑。俺何も知らんので絡まれても困る」と投稿している一方で、なぜか堀江氏のマネジャーの斉藤健一郎候補が立花孝志候補とともに都知事選に出馬して、ポスターには堀江貴文氏の写真を使っている。公式には関係ないけれど、においがプンプンするという過去にないタイプの政党です。

 さて、この2人の候補の結果になぜ注目すべきなのか、解説を始めたいと思います。

 実は、2012年に自民党が民主党からの政権交代を実現し、連立与党に返り咲いて以降、日本では既存野党に対する批判が強すぎるのです。「与党は嫌いだが野党は頼りにできない」と考える国民が多いのが、アメリカなどと比較した日本の世論の特徴です。そのせいで、第三極の政党に対する期待が徐々に高まり始めています。

 その旗色がはっきりし始めたのが、2019年7月の参議院議員選挙で、れいわとN国党というそれまで諸派扱いだった2つの政党が、政党要件である2%の得票率を満たし、もはや泡沫候補ではない第三極として、注目を集める存在となったのです。

 この2つの勢力の昨年7月の参院選比例区における得票数を単純に足すと6.5%となり、全国民の中でまずまずの支持を得たことがわかります。さらに私が驚いたのは、2019年10月に行われた埼玉県の参議院議員補欠選挙です。前埼玉県知事の新人候補・上田清司氏が圧勝すると思われたこの補欠選挙に、対立候補として出馬した立花孝志候補は、想定通りの落選となった一方で、なんと13.6%の得票率を実現したのです。

 そして、この流れを汲んで行われるのが2020年7月の東京都知事選ということです。埼玉県の補欠選挙は、投票率が低かったことで第三極の獲得票が多かったと分析すれば、投票率の高い都知事選で第三極にどれくらいのレベルの票が投じられるかを見ることで、昨年以来の第三極の台頭が本物かどうかが判明するという理屈です。

 与党、現職ないしは大物候補に批判的意見を持つ有権者の票が、既存野党ではなく第三極に流れるのが新しい政治の潮流だと仮定すれば、今年7月の都知事選挙においては、その第三極への支持が全得票の何%に及ぶところまできているのかが、最大の注目点なのです。

第三極が台頭すれば 野党よりも怖いポピュリズム勢力に

 私なりの尺度を申し上げると、結果的にこの2人の得票率の合計が10%を超えたら、第三極へ投票する流れは本格化してきたと言えるでしょう。昨年の補欠選挙とは違い、投票率の高い選挙で1割を超える有権者が第三極に投票するならば、国民が新しい流れを望んでいることがはっきりする。言い換えると、今後の国政選挙で第三極は野党よりも怖い与党の対立候補となる可能性が出てきます。

 安倍政権の支持率が下がる中、次の総選挙では自民党への批判が高まる一方で、それ以上に弱体化している野党のお陰で議席を多少減らしたとしても、自民党の与党の座はゆるぎないと予想されます。しかし、自民党にとって本当に怖いのは、自民党の議席数ではなく、対立候補である野党の顔触れががらりと代わることです。

 そして問題となるのは、遅くとも2025年までに実施されるその次の総選挙です。そこで仮に自民党と公明党の議席が過半数を割った場合には、不安定な連立野党政権が誕生する悪夢が起こり得る。私は新刊の中で、そのような流れができる可能性が高いと予言していますが、実際はどうなるのか。

 有権者の心の中でふつふつと煮えたぎる思いの熱量が、7月5日夜には判明するのです。

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藤井聡太七段、木村一基王位にも先勝! 千駄ヶ谷の受け師を攻め切る 勝ち将棋、鬼のごとし。7月9日にも初タイトルなるか。

ABEMA TIMES 2020年7月2日(木)17時37分配信

 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が7月1、2日に行われた王位戦七番勝負の第1局で木村一基王位(47)に95手で勝利した。自身初の2日制の長時間対局にもしっかり対応、史上最年少タイトル獲得、さらには二冠達成に一歩前進した。

 藤井七段は初参加となった王位戦挑戦者決定リーグ白組を5戦全勝、さらに挑戦者決定戦でも永瀬拓矢二冠(27)に勝利する快進撃で、自身2つ目のタイトル挑戦を決めていた。昨期、史上最年長46歳3カ月での初タイトルを獲得した木村王位との「最年長VS最年少」対決として注目を集めた第1局は、先手番の藤井七段が得意の角換わり腰掛け銀を採用。1日目から積極的に攻めると、木村王位もこれに応じて早々に戦いが始まる激戦模様で進行した。

 2日目に入り、徐々にリードを拡大した藤井七段は、木村王位の受けや反撃にケアしながらも、ひるまず鋭い寄せを継続。“千駄ヶ谷の受け師”の異名を持つベテラン棋士を振り切る快勝で、王位戦七番勝負としては初勝利を手にした。

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 対局後、藤井七段は先手番の角換わりは予定どおりだったと語り、激しい戦いには「際どかったと思います。応手が多いので分からなかったです」と振り返った。また自身初の2日制対局については「初めてで充実感もあったんですが、体力面では課題が残ったかなと思います。次回はそういうところも気をつけたいと思います」と疲労についても触れていた。

 藤井七段は、並行して行われているヒューリック杯棋聖戦では渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に第1、2局と2連勝。9日の第3局で勝利すれば、屋敷伸之九段(48)が保持している18歳6カ月を大幅に更新する17歳11カ月でタイトルを獲得。棋聖戦は7月中、王位戦は9月中に番勝負を終えるため、どちらのタイトルでも獲得すれば最年少記録を更新することになる。

 6月に入ってからの藤井七段の快進撃は、デビュー以来29連勝を達成した際の「藤井フィーバー」再来を感じさせる盛り上がりで、各種メディアでも連日、藤井七段の将棋以外でも、関連情報でも取り上げられる状況になっている。

 王位戦の第2局は13、14日に北海道札幌市「ホテルエミシア札幌」で行われる。藤井七段の次局は、6日の順位戦B級2組、橋本崇載八段(37)戦。

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NumberWeb 2020年7月2日(木)20時01分配信

 7月1日、第61期王位戦(新聞三社連合主催)七番勝負第1局は、先手の藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に先勝した。

 前日に木村王位が54手目で封じ、この日朝に対局再開。立合の谷川浩司九段が封じ手の封筒を開封し、2九角成が示された。

 終盤に入り藤井七段がそのまま押し切るかという展開の中で「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村王位が78手目の3一桂など、粘り強い受けを繰り出した。しかし藤井七段は一歩間違えば奈落の底に落ちるような木村王位の守備網をかいくぐり、最終盤も鋭く相手玉に迫って、95手までで木村王位を投了に追い込んだ。

 藤井七段は39手目以降は守備の手を一切指さず、攻め倒した。最後は61手目に打ち込んだ5三銀までが寄せに働き、将棋界の格言「勝ち将棋、鬼のごとし」を地で行くような勝ち方だった。

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 この日も30歳年上の木村王位相手に力強い差し回しを見せた藤井七段。

 2018年の朝日杯将棋オープン戦で佐藤天彦九段、羽生善治九段、広瀬章人八段を立て続けに破って優勝した際には、中村太地七段が「NumberWeb」の取材に対して「藤井さんがよく言っている『目標は強くなること』をそのまま出しましたよね」と語っていたが、2年の時を経て挑むタイトル戦の中で、その「強さ」は日ごとに増している印象だ。

 藤井聡太七段は現在、渡辺明棋聖(棋王、王将=36)との棋聖戦五番勝負でも挑戦者となっており、9日に行われる第3局に勝てば初タイトル獲得となる。また王位戦第2局は13・14日に北海道・札幌で開催される予定。

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2020年7月 2日 (木)

【受信料裁判】NHK敗訴<視聴不可テレビ>契約義務認めず

 契約義務認めずNHK敗訴 視聴不可テレビ設置 東京地裁 

時事通信 2020年6月26日(金)18時47分配信

 東京都文京区の女性がNHK放送を視聴できないテレビを自宅に設置し、NHKを相手取り受信契約を締結する義務がないことの確認を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であり、小川理津子裁判長は女性の訴えを認めた。

 女性が設置したテレビはNHKの信号だけを大幅に弱めるフィルターが取り付けられていた。NHKによると、同様の仕組みのテレビを設置して契約義務がないことの確認を求めた訴訟は過去に4件あり、3件で原告の敗訴が確定。1件は取り下げられており、NHK敗訴の判決は初めて。

 判決によると、女性はNHKによる受信料の強制徴収に批判的な意見を持っていた。インターネット上で、筑波大准教授がNHKの信号だけを減衰させるフィルターを開発していることを知り、連絡。2018年10月、准教授が代表理事を務めるNPOからフィルターを取り付けたテレビを3000円で購入し、自宅に設置した。

 NHKは、フィルターを取り付けたとしてもテレビの構造上、NHK放送を受信できる機能が備わっており、復元も容易だと主張。女性は受信契約の締結義務を負っていると訴えていた。

 小川裁判長は、女性が設置したテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と指摘。復元するのも困難だとして、NHKの主張を退けた。その上で、「受信契約締結義務を負うと認めることはできない」と結論付けた。

 NHK広報局は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメントした。

受信料裁判でNHK敗訴 秘密兵器「イラネッチケー」開発した筑波大学准教授掛谷英紀氏に訊く

デイリー新潮 2020年7月2日(木)8時00分配信

 NHKが受信料裁判で敗れた。6月26日、東京都内の女性がNHKが映らないテレビを自宅に設置したことを巡り、受信契約を結ばなければならないのかを争った裁判で、東京地裁は女性の主張を認めた。NHKが受信料の裁判で敗訴したのは初のことだという。

 気になるのは、NHKが映らないテレビである。「イラネッチケー」というフィルターを取り付けたもので、筑波大学システム情報工学研究科の掛谷英紀准教授の研究室で開発したという。掛谷氏に話を聞いた。

 ***

――まずは、勝訴おめでとうございます。

掛谷:ありがとうございます。といっても、まだ1審です。当然、NHKは控訴するでしょう。最高裁で勝ち、判決が確定しなければ意味がありません。それに、私はあくまで技術的協力をしただけですから。

――NHKだけを映らないようにする技術とはどういうものなのか。

掛谷:テレビとアンテナを繋ぐ同軸ケーブルに、NHKの信号のみを減衰するフィルターを割り込ませるんです。フィルターは技術的には簡単なもので、電子工学を専攻する大学2年生程度の知識があれば理解できますよ。私の研究室配属の学生が卒業研究として開発しました。

――なぜ、そんな研究をしたのでしょう。

掛谷:きっかけはNHKの国会中継でした。もう7~8年前になりますが、辻元清美議員(当時・民主党)と中山成彬議員(当時・日本維新の会)が、従軍慰安婦について質問をしました。いずれも誰かがYouTubeにアップロードしたんですが、なぜかNHKは中山議員の質問だけを削除要請したんです。

――13年3月8日の衆議院予算委員会でのことだ。慰安婦問題に対して、先に質問に立ったのは辻元代議士で、「(慰安婦関連の資料に)ただ単に強制するという文字がなかったというだけで、果たして(強制はなかったという)その論理は成り立つのか」という旧日本軍の強制ありきの主張だった。一方の中山代議士は、「(当時の朝鮮は)警察、ナンバーツーの警部と高等刑事も朝鮮人が務めていた。これらの体制で、官憲の強制連行というのは考えられないんじゃないですかねと、強制はなかったとする反対の主張だった。そこでNHKは、従軍慰安婦に強制はなかったとする主張のみを削除要請したのだ。

掛谷:私は慰安婦の問題について、どうこう言うつもりはありません。ただ、正反対の意見を国会で議員が述べているにもかかわらず、一方だけ削除要請するのはいかがなものでしょう。放送法には「政治的に公平であること」とあるのですから、両論併記が当然です。片方だけ削除させるのであれば、公共放送とは言えません。

――おっしゃる通りだ。

裁判で実験までするNHK

掛谷:NHKの放送には、ヤラセや意図的編集など、公共放送として問題のある事案が数多く発生しています。こうしたことが続くのは、NHKに公共性を担保するシステムがないからです。NHKに対して、国民が自らの声を反映させる何らかの手段を確立することが必要です。受信料不払い運動もその一環だったでしょうが、これは放送法に違反する行為に当たります。ならば、合法的にNHKとの契約を拒否する手段を提供しようと思ったのです。

――放送法第64条は、受信料契約と受信料についてこう規定している。

《第64条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない》

掛谷:さらに、旧郵政省(現総務省)は「復元可能な程度にNHKの放送を受信できないよう改造された受信機については、受信契約の対象とする」との見解も示しています。つまり、復元できないまでNHKが映らない改造をしなければなりません。

――「イラネッチケー」はネット(現在5800円)でも販売されているが、取り外しができるようにしては、ダメということだろうか。

掛谷:そういうことになります。そのため、「NHKから国民を守る党」の立花孝志さんは、テレビの後ろのアンテナ端子に「イラネッチケー」を取り付け、接着剤で固めて裁判に挑みましたが、NHKから「外せる」と指摘されて敗訴しました。また、彼はアンテナコンセントを開けて壁の中に「イラネッチケー」を埋め込むという工事をし、「素人には外せない」と裁判で主張しました。しかし、NHK側に「設置業者に依頼すれば元に戻せる」と主張され、再び敗れています。今回、原告の女性はネットで「イラネッチケー」のことを知って、私に相談してきました。そこで、絶対に外せないようにするために協力しました。

――どんな加工をしたのだろうか。

掛谷:外からは触れぬよう、テレビの中に入れ込みました。そしてアクリル板とアルミ箔を重ねた板で、テレビのチューナーと「イラネッチケー」を覆う枠を作り、その中にエポキシ樹脂を流し込んで固めました。電波を遮蔽するために樹脂の間にはアルミ箔を重ね、その上からさらに樹脂で固めました。例え外そうとしても、テレビが壊れるように加工したわけです。

――ガッチガチである。

掛谷:でも、何とかNHKを映すことができないものか、彼らは実験するんですよ。同じ型のテレビと、「イラネッチケー」を購入して、同じような加工をして……。

――NHKはそこまでやるんですか? 

掛谷:そうです。そして、NHK側が我々のマネをして作ったテレビでは、同軸ケーブルをチューナーに近づけると映ると主張しました。ただし、先ほど申し上げた通り、我々はかなり厳しく電波の遮蔽加工もしましたから、同じ実験をしても我々のテレビでは、NHKは映らなかったんです。

――実験はどのように行われたのか? 

掛谷:NHK側の弁護士事務所で、双方の弁護士、NHKの技術者と我々の立ち会いの下、お互いが見ている場で実験をやりました。結果的に、この実験が裁判のヤマバだったと思います。NHK側が我々のマネをして作ったテレビの検証は信用できないということが、この判決では決定打になったとみています。

無理矢理の申し立て

――判決文には「原告が、どのような意図をもって本件テレビを設置したものであれ、現に本件テレビが被告(註:NHK)の放送を受信することのできる受信設備(註:テレビ)と認められない以上、放送受信契約締結義務を負うと認めることはできない」とある。至極当然のように思えるが、NHK側の主張は強引だったというのは、原告女性の代理人を務めた高池勝彦弁護士だ。

高池:原告のテレビではNHKが映らないからと、“民放が映るんだから、NHKを受信できるテレビに当たる”(「本件テレビが民間事業者による放送を受信することができる以上、被告の放送を受信することのできる受信設備に当たる」)とまで主張していました。もちろん、裁判官は「放送法は『協会の放送を受信できる受信設備』と明文で規定しているのであって、(中略)分離上採用できない解釈と言わざるを得ない」と言っています。まあ、NHKも大手の弁護士事務所に依頼して、実験もして、東大の先生にまで意見書を書いてもらっていますから、かなりお金をかけたようですよ。

――その裁判費用は、もちろん受信料からの支出である。NHKが毎年、公表する収支予算は実に大雑把なものだが、裁判費用も明らかにしてもらいたいものだ。再び、掛谷氏が語る。

掛谷:NHKが4月にスタートさせた同時ネット中継も今は無料ですが、いずれはネットでNHKを観ている人にも受信料を払えと言ってくるはずです。それでないと、今の規模の収入を維持できませんから。うちの学生にも「インターネットで十分」と、テレビを持っていない人は多いですからね。そうなれば受信料収入はどんどん減る一方です。元々、NHKの受信料は、全国で視聴できるよう、電波塔を建てるために徴収していました。一方、通信となると、通信事業者がインフラを整備してきました。にもかかわらず、ネットでNHKが見られるからと受信料を払えというのは、ありえない話です。これだけは絶対に許してはいけないと思っています。

――ところで、今回の報道では、国立の筑波大に変わった先生がいると思い人も多いはず。大学内での立場は大丈夫だろうか。

掛谷:Yahoo! のヘッドラインにも何度か名前が出たこともありますけど、立場的には……あんまり良くないです(笑)。ただまあ、もしこれで最高裁で勝てれば、社会にとって大きな貢献になると思います。こういうことをやる人も世の中には必要。みんながみんな私のようだと、困りますけど……。

――ところで先生は、NHKの受信料は? 

掛谷:払ってますよ。BSの受信料も払っています。私、本当はNHKのBSだけ見たいんです。「ワールドニュース」ってあるんですけど、各国がどういう報道をしているか知るのに便利です。英語はともかく、中国語やドイツ語、韓国語など翻訳してくれるのはありがたい。でも、NHKはBSだけの契約を認めてくれません。そういう選択の自由もない。最高裁で勝てたら、地上波は「イラネッチケー」で見られないようにして、BSだけの契約にしようと考えています。

――それが最高裁で勝つまでの目標? 

掛谷:実は他にやりたいことがあります。子供がいる貧困世帯に、NHKが映らないテレビを配りたいんです。いま、NHK受信料の免除は、ほとんどないと言っていい。生活保護世帯は免除となりますが、貧しくても金額を支払わされている人はたくさんいます。受信料はけっこうな負担ですからね。それが払えないために、テレビを置けなくなって、民放の「仮面ライダー」を見ることができない子供もいるんです。ホテルもNHKが映らないテレビを必要とするでしょう。部屋数分の受信料を取られていますからね。ホテルには有料でNHKが映らないテレビを売って、そのお金で貧困家庭には無料で配ってあげたいです。

 映らないテレビ判決、NHK控訴へ 受信契約義務めぐり 

朝日新聞デジタル 2020年7月2日(木)19時16分配信

 NHKを見られないテレビであれば受信契約の義務がないことを認めた東京地裁判決について、NHKの前田晃伸会長は2日の定例会見で控訴する方針を表明した。主張の内容については「裁判の中でお伝えする」と述べた。

 東京地裁は先月26日、NHKを映らないようにしたテレビを自宅に設置し、契約義務がないことの確認を求めた原告の訴えを認めていた。

 東京地裁の判決によると、原告はNHKの受信料の徴収に批判的な意見の持ち主。2018年10月、筑波大学の准教授が開発したNHKの番組を映らないようにするフィルターがついたテレビを3千円で購入し、自宅に設置した。NHKは、フィルターや電波の増幅器を使うなどの実験をした結果、原告のテレビでは「NHKを受信できる状態に簡単に復元できる」と主張した。だが、判決は「増幅器の出費をしなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とはいえない」と判断していた。

“NHKが映らないテレビ”フィルター開発者「まず第一歩だ」、籾井勝人元会長「見られないのは勿体ない」…受信料の未来を考える

ABEMA TIMES 2020年7月1日(水)8時02分配信

 「NHKだけ映らないテレビ」を購入した女性がNHKと受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた裁判で、東京地裁は26日、「専門的な知識がない原告が復元することは少なくとも困難」として、「契約締結の義務は存在しない」との判断を示した。つまり、受信料の支払い義務もないということになる。

 裁判で電波を増幅するブースターを使えば受信は可能と主張していたNHK側は判決を受け、「判決の内容を精査して、今後の対応を検討する」としている。

 争点となったのは、NHKの放送信号のみを弱くするフィルターをチューナーに取り付けているテレビだ。フィルターを開発した筑波大学の掛谷英紀准教授が中古で購入した3000円のテレビを改造、女性に同じ3000円で譲ったものだという。

 掛谷氏によると、このフィルターは7年前、YouTubeにアップされた国会中継の映像に対しNHKが削除要請した問題で違和感を覚え開発。「秋葉原で部品を買い集めればすぐに作れる」ものだという。

 「似たような裁判は今までもいくつかあったが、NHKの方に有利な判決が多かった。最高裁で勝たなければ安心できないので、今回の判決はあくまでも第一歩と考えている。私自身はNHKと契約し、受信料も払っている。ただ、実際に見るのはBSの番組ばかりで、地上波の番組はほとんど見ない。BSだけの契約など、視聴者の需要に合わせた柔軟な契約ができれば、NHKの印象も少しは変わると思う」。

 在任の頃からフィルターの存在を知っていたという元NHK会長の籾井勝人氏は、「一番良いテレビ局を見られなくしているという意味では、大変な損失だと言えると思う。国会中継にしても、政治討論にしても。我々が一番平等にやっているという自負もある。先生がせっかく一生懸命作られたものが世のため人のためにならないのはもったいない。もっと他の物を作って下さい」と苦笑する。

 一方、元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏は「僕は受信料によって色々な技術を身に付けさせてもらったし、後輩たちのことを考えても、この制度はやはり維持してもらいたい。NHKだからこそできることもいっぱいあるし、最前線で一生懸命やっている職員もいる」とした上で、次のように指摘した。

 「受信料という安定した収入にあぐらをかいている人たちもいる。そして電波はみんなのものなのに、政治の報道で言えば安倍さんに近い記者ばかりが出てきて解説するのが物足りないという声もある。だから、公共放送の在り方に一石を投じたいという掛谷先生のアクションを取られたことには大賛成だ。信頼を勝ち取れるようしようという機運も高まると思う。ただ、裁判までしなければ声が届かないというところは課題だ」。

受信料制度は今のままでよいのか?

 NHKの支払い率は2019年度で82.8%(前年度+0.7%、過去最高)で、受信料収入は7115億円(前年比-7億円)となっている。

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 そんな中、26日に開かれた「公共放送の在り方に関する検討分科会」について、高市早苗総務大臣が「テレビ離れが進む中で公共放送を社会全体でどのように支えていくのか、テレビを持たない方の同時配信の視聴ニーズにどのように対応していくべきか、といった通信放送融合の時代を見据えた課題についても議論をいただいた」と説明。「先進諸国における公共放送の受信料制度について資料を用意させていただいたが、私としてはこうした点も参考にしたい」とし、罰則のある海外の制度も参考にする考えを示している。

 また、NHKでは今年4月からネットでの同時配信や見逃し配信を行う『NHKプラス』を提供しているが、現状では受信契約している世帯しか登録ができないため、ネットのみの利用者から受信料を徴収する“ネット受信料”についても検討課題として挙げられている。

 籾井氏は「ネットだけで見ている人がタダで見られるというのではバランスが取れない。やはり月額を払ってほしい。また、中には気に入らない番組もあるかと思うが、皆さんが納得のいく、いい番組を作るべく努力をしている。私が現役の時には、“いただいたお金は、ケチらないで使いなさい”と言っていた。それは無駄使いをしろという意味ではなく、いい番組を作ろうということだ。それが視聴者に対するお返しというものだ。ただ、BSが出てきて、さらにネットになりという流れの中で、受信料についても真面目に見直すべき時期に来ているのかもしれない」と話す。

 Black Diamondのリーダーのあおちゃんぺは「払わなかったからといって罰則、というのはやりすぎだと思う。ただ、以前うちに徴収しに来た方の態度がめちゃめちゃ悪かった。ちょっとしたところを変えるだけで納得して払ってもらえるようになると思うので、徴収はNHKをちゃんと愛している方にお願いした方がいいのではないか」と指摘。さらに「見ていないのに払っている人もいれば、見ているのに払っていない人もいる。NHKが映らないフィルターではなく、NHKをどれだけ見たか測定できるものを作って、歩合制にすれば良いのではないか」と提案した。

 掛谷氏は「技術的には可能だが、NHKがやらせないだけだ。また、NHKの受信料を使って電波塔を立てたり、人工衛星を打ち上げたりして、インフラにも投資してきた。しかしインターネットの場合、インフラは通信業者が整備している。そこにタダ乗りし、同じように受信料を取るというのは制度の立て付けからいっておかしい。その点ははっきりさせる必要がある」と話した。

 お笑い芸人のカンニング竹山は「正直、出演する立場としては民放よりも多少ギャラが安いということはあるが(笑)、年を取れば年を取るほどNHKの番組が好きになってきた。宇宙が好きなので、NHKのそういう番組を見ると、よく撮ったな、面白いなと感じる。ただ、時代とともにメディアの見せ方は変わっていくるので、改革をしていかなければならない部分もある」とコメント。

 堀氏は「公共放送というのは、基本的に使えること、参加できることが前提になると思う。YouTuberがこれだけ育ってきている中、地域の情報を発信したいということであれば、例えば支局のスタジオを開放するとか、ディレクターやカメラマンと一緒になって制作できるような付加価値があれば、受信料を払おうかなと思うのではないか。すでにGoogleはある程度の登録者数のあるYouTuberにコンサルティングを行ったり、スタジオを開放したりしている。イギリスのBBCも受信料だけでは成り立たないということで、公益性の高いCMであれば流してもいいのではないかなど、そういう議論もされている」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

 「NHKの受信料200300円十分」高橋洋一が主張する根拠 

Voice 2020年6月29日(月)17時03分配信

 受信料の構造をぶっ壊せ――NHKを民間部門と公的部門に分割すれば、国民が払う受信料は劇的に下がる。既得権に守られた「公共放送の嘘」を明らかにし、本来あるべき経営のかたちを提言する。

※ 本稿は、高橋洋一著『「NHKと新聞」は嘘ばかり』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。

放送はいまや誰でもできる

 インターネット同時配信時代を迎えた令和の時代に放送制度改革を止めているのは、受信料を既得権にしたNHK、電波利用料を既得権にした民放各社です。

 しかし、いまやインターネット動画を使えば誰でも「放送」ができます。近年、自らインターネット動画の番組を立ち上げて意見や情報を伝える専門家が増えています。

 筆者も、インターネット動画を用いた私塾を行なっています。コストも安く、速報性も高い。何よりも時間の制約やテレビ局の方針で発言がカットされることがないので、歪曲されずに1次情報を直接、視聴者に届けることができます。

 テレビで伝わるのは、編集の手を経た2次情報にすぎません。鮮度が落ちているのです。

 有識者が直接、発信するのが本物の「1次情報」。人から聞いた話を伝えるテレビや新聞は、あくまで2次情報にすぎません。

 1次情報の発信者は、識者や著名人に限りません。SNS全盛のいまは、学生でも漁師でも職人でも、本人が発する1次情報にこそ需要があります。

 事件報道でも、街中で起きている犯罪や火事、津波などの災害情報、ハプニング映像をその場でスマホで撮影し、SNSで拡散すれば、あっという間に広がります。

 ところが、インターネット動画による「放送」は放送法の範囲外です。放送法は「電波に希少性がある」と考えるので、電波を与える対象を絞ります。「電波の希少性」という物理的な制約がなければ、放送法の規制は最小必要限で済むのです。

NHKの分割民営化

 では、どうすべきか。一つの案は、NHKを(1)「公共放送のNHK」と(2)「民間放送のNHK」に2分割することです。

 これなら肥大化したNHKのスリム化にもなるし、公共放送部分のNHKは、受信料制度によって彼らのいう「社会的使命」を果たすことも可能です。

「偏向」と批判されるような報道ドキュメンタリーや、視聴者全員の納得が得られる保証がない紅白歌合戦や大河ドラマなどの芸能ショーやドラマ、各種スポーツ中継などは民間放送部分のNHKで放送し、同じ土俵で民間放送と競争すればよい。

「NHKを2分割する」という考え方は、公共経済学に基づくものです。

 公共経済学は、ある分野への公費支出が正当化されるか否かを考える理論的根拠となるものです。学者の最大公約数的な理解として、文化的な財・サービスは「準公共財」である、とされます。

 たとえば、絵画は市場で取引されるので私的財であるといえますが、個人が名画を所有することで作品を見る機会が個人と家族などに限定され、私的便益と社会的便益のあいだに乖離が生じる、ともいえます。

 他方で、美術館で作品が一般に公開されて大勢が鑑賞できる機会が設けられれば、両者の乖離はなくなり、絵画は社会的に正当な価値が得られる。こうした対象を「準公共財」といいます。

「準公共財」は価値財(merit goods)ともいわれ、専門家による鑑定など一定の価値判断ならびに社会的判断が求められます。

 準公共財の前提は、公費を払う国民が公的支援の必要性について納得することにあります。「表現の自由があるから、どのような内容であれ公費支出を受けられる」という話ではないのです。

 じつは、放送にも同じことがいえます。

 多くの国民が賛同し、広く便益を与えることが、真に「公共」の名に値する放送です。NHKが「公共放送」の名にどれほど固執したとしても、国民の一部にしか恩恵をもたらさないメディアであれば、受信料というかたちで公費を支出する理由はありません。

 公費でなく私費であれば、表現の自由は認められます。受信料で公費を取るから、番組の内容に批判が生じるわけです。

 また、広告収入で賄われる「民間放送のNHK」であっても、自分たちが考える「公共性」のある番組を自由に好きなだけ流すことはできます。

 それでもどうしても受信料を使いたいのであれば、「公共放送のNHK」として切り離し、アメリカの「非商業教育局」のように教育に特化した番組、あるいは災害情報だけを放送してもらう。

 災害報道は国民全員の生命・財産に関わることだし、教育番組は公共、経済学の考え方でいえば、国公立大学に公費を支出する外部効果と同じと見なすことができるでしょう。

受信料は劇的に下がる

 NHKを民間部門と公共部門に分割すれば、受信料は劇的に下がります。

 現在は地上波のみの契約で年間約1万4000円、衛星放送の契約を入れると約2万5000円。年間総額約7000億円という受信料は、必要最低限の公共放送を維持するだけのものになり、ぐんと安くなる。

「公共放送のNHK」に消費者が納得できる受信料の額は、せいぜい月200~300円でしょう。

 NHKの分割民営化は過去にも検討されたことがありますが、そのたびにNHKのみならず民放業界からも反発があり、実現しませんでした。

 しかし、これからはインターネット全盛の時代がやってくる。インターネットが中高年層にまで普及しはじめた現在、テレビを見ない人の数は増える一方です。どちらの主張が優るかは、考えるまでもありません。

 受信料やハードを通じた課金が現実的に困難になることを考えれば、最もニーズが高く収益化が容易なのはインターネット広告です。よしんば国民から受信料を取りつづけるとしても、収入の柱を広告収入に転換することで、受信料の徴収コストも劇的に低減するでしょう。

NHK、衛星放送含め受信料全体の見直し検討 有識者会議の提言受け

毎日新聞 2020年7月2日(木)20時55分配信

 NHKの前田晃伸会長は2日の定例記者会見で、NHKのあり方を議論する総務省の有識者会議が6月下旬、衛星放送の受信料見直しなどを提言したことに関連し、「料金を見直す時は、全部見直さないといけない。衛星放送は昔とかなり変わってきたので、全体を見直す必要がある」と述べ、地上波も含めて全体の中で見直しを検討する考えを示した。

 有識者会議は、衛星契約数が増えたのに衛星の受信料額がほぼ変わっていないことについて「割高感につながっている」と指摘。NHKに値下げを含めた見直しを求めた。

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2020年7月 1日 (水)

【香港返還記念日】前日✍「国家安全維持法」成立「一国二制度」終了。

香港に歴史的転換点、中国が安全法案可決 民主派政治団体は解散

ロイター 2020年6月30日(火)11時05分配信

 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は30日、香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法案」を可決した。可決を受け、香港の民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らは民主派政治団体「デモシスト(香港衆志)」からの脱退を表明。デモシストは解散を発表した。1997年に英国から中国に返還されて以降、高度な自治が保障されてきた香港は、歴史的な転換点を迎えた。

 中国国務院(内閣)新聞弁公室は香港国家安全維持法に関する政府当局者による記者会見を7月1日午前10時(日本時間午前11時)に開くと発表した。

 同法の詳細はまだ公表されていないが、中国は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託の4つが処罰対象になるとしている。

 中国国務院(内閣に相当)の香港マカオ事務弁公室傘下のシンクタンクの幹部、Lau Siu-kai氏はロイターに、国家安全維持法は賛成票162票を集め、全会一致で可決されたと明らかにした。ただちに施行するとみられる。

 環球時報の胡錫進編集長は30日、同法の下で科すことのできる最も重い処罰は終身刑と述べた。

 こうした中、民主活動家の黄氏は、「デモシスト(香港衆志)」から脱退すると表明。「世界が知っている香港の終わりを意味する」とツイッターに投稿した。

 欧米諸国は、「一国二制度」下で保障される香港の高度な自治が損なわれると警戒感を強めており、中国と欧米諸国の対立が一段と強まる恐れがある。

 米政府は29日、国家安全維持法の制定をにらみ、香港に対する優遇措置の縮小に乗り出した。香港への防衛機器の輸出を停止し、香港によるハイテク製品へのアクセスを制限する。

 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は30日、同法案についてコメントするのは適切ではないと述べた上で、「いかなる制裁措置もわれわれを脅かすことは決してない」と述べて米政府の動きをけん制した。

<中国の締め付け強まる>

 国営新華社通信は今月、国家安全維持法の一部詳細を伝えた。それによると、新たな国家安全法制は香港の現行法に優先し、全人代常務委員会が法解釈の権限を持つ。

 中国政府は香港政府の「監督、指導、支援」のために香港に国家安全維持公署を設置する見通しで、特定の案件で中国政府が管轄権を行使する可能性もある。

 国家安全法に関する案件を審理する裁判官は行政長官が指名する。香港はこれまで、司法の独立を確保してきた。

 中国と香港の当局はこれまで繰り返し、国家安全法制はごく一部の「トラブルメーカー」だけを対象としており、香港における人権や言論・集会の自由、投資家の権利は守られると述べてきた。

 香港政府はただちに新法を公布、施行するとみられる。

<民主派に抗議の動き>

 香港の警察当局は新型コロナウイルス対策の行動制限を理由に、香港返還から23年となる7月1日の集会を禁じた。

 複数の活動家や民主派の政治家は禁止令に反して集会を実施する意向を示している。

 民主党の胡志偉主席は「国家安全維持法が香港の法律より優先させるとしても、同法の可決を絶対受け入れない」と述べた。

 1日までに国家安全維持法が施行された場合、集会への参加が犯罪行為とみなされるかどうかは不明。

 英、欧州連合(EU)、日本、台湾は、国家安全維持法を批判してきた。

 日本政府の菅義偉官房長官は30日午前の会見で、中国による香港国家安全維持法案が可決されたなら、香港と緊密な経済関係と人的交流がある日本にとって遺憾だと述べた。

 台湾は新法を強く非難し、蔡英文総統は「非常に失望した」と述べた。

 欧州連合(EU)欧州議会は先に、香港に国家安全法制が導入された場合、中国政府を国際司法裁判所に提訴するようEUに求める決議を採択している。

香港国家安全法成立、中国が71にも施行一国二制度形骸化

読売新聞オンライン 2020年6月30日(火)10時57分配信

 香港の複数のメディアによると、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は30日午前、香港での反体制活動などを取り締まる国家安全法制度の実施法を全会一致で可決し、法律が成立した。中国政府が香港政府の頭越しに法を執行することを可能とする内容で、香港に高度な自治を認めてきた「一国二制度」は形骸化が避けられない。

 実施法となるのは「国家安全維持法」で、香港の英国からの返還23年となる7月1日にも施行されるとみられる。

 国家安全維持法は、〈1〉国家の分裂〈2〉中央政府の転覆〈3〉テロ活動〈4〉外国勢力などと結託して国家の安全を脅かす――の4種の行為を禁じ、刑罰の対象とする。中国の治安当局が香港に出先機関「国家安全維持公署」を設置し、事案の内容次第では法執行などの管轄権を行使する。

 関連案件を取り扱う裁判官は香港政府トップの行政長官が指名することも定め、「司法の独立」が脅かされるとの懸念が出ている。

 施行後は、反政府抗議活動を主導してきた民主派のリーダーが摘発される可能性がある。香港の若手民主活動家の黄之鋒氏(23)は法律の可決を受けて、ツイッターに「これまでの香港が終わり、恐怖による支配の時代が始まった。それでも香港の自由と正義のために戦い続ける」と書き込んだ。

 中国は英国からの返還にあたり、香港の現行制度は「50年間は変わらない」と公約しており、米国など国際社会から批判が高まることは必至だ。

 全人代常務委は、成立した法律を香港で適用するため、香港の憲法に相当する香港基本法の付属文書に盛り込む決定を行う。

 香港では昨年6月以降、中国への容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案への抗議運動が大規模化した。一部のデモ参加者が破壊活動を行うなど社会が混乱し、香港政府は改正案の撤回に追い込まれた。

 これを受け、習近平(シージンピン)政権は昨年10月の共産党の重要会議で、香港に法制度を導入する方針を表明。今年5月下旬に開かれた全人代が法制度の導入方針を採択し、全人代常務委が今月、法制度の実施法案の審議を開始した。

 中国政府は、実施法案について、香港の各界代表から意見聴取を行ったとしているが、審議期間中も条文の詳細は公表されておらず、透明性を欠くと指摘されていた。

 世界金融 さらなる動揺も、香港国家安全法可決 

SankeiBiz 2020年7月1日(水)7時15分配信

 香港国家安全維持法が30日、可決された。日本経済に直接的な影響がただちに生じる可能性は小さいが、高度な自治を保障した「一国二制度」が形骸化することで、投資マネーや金融専門人材の流出につながる可能性がある。

 独立した司法制度も揺らぎ、経営環境の変化が企業活動の足かせになりかねない。香港自体の経済規模は大きくないが、同法の導入を強行した中国と米国が制裁措置を応酬し、新型コロナウイルスの影響で不安定化している世界の金融市場をさらに動揺させる懸念も強まる。

 東京商工リサーチが昨年10月にまとめた調査結果によると、香港に進出する日本企業は1688社で、2288カ所の拠点を展開。このうち半数以上が卸売業で、製造業は少ない。物流や旅行会社の現地拠点も102カ所あり、幅広い業種の企業が活動している。

 「国際金融センター」である香港には日本の大手銀行も進出しているが、短期的な影響は限定的との見方が強い。取引が多い日系企業は同法の対象とならないとみられ、中国企業との取引についても「ほとんどが上海など中国本土で行っている」(関係者)からだ。また、香港では個人向け取引がないため、送金といった業務にも関係はなさそうだ。中国や香港のビジネスに詳しい日系企業関係者も、「日本や欧米の企業には今のところ、香港から撤退するという動きはない」と指摘する。

 一方で、日本と同じように自由な経済が保障されていた状況が変わることへの懸念は大きい。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは、「企業活動の足かせになりかねない。また、新型コロナが収束しても、観光業が以前のようにはいかなくなるかもしれない」と指摘する。英国統治時代から続く独立した司法制度が維持されない可能性があることも不安材料だ。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、「世界経済で香港自体が担っている役割はさほど大きくないが、米中の貿易戦争がさらに厳しくなり、報復合戦になる可能性がある」と指摘する。

 トランプ米大統領は既に香港に与えていた優遇措置の解除に動いており、米国で上場する中国企業が米当局による検査を拒めば上場を廃止できる法律も成立させる方針。大統領選前に中国に強硬姿勢を取る公算も大きくなっており、貿易摩擦で起きたような対抗措置の連鎖につながりかねない状況だ。

香港国家安全法27カ国「中国再検討共同声明発表

AFPBB News 2020年7月1日(水)5時58分配信

 日本を含む27か国は6月30日、香港で施行された国家安全維持法は同市の自由を「害する」として、中国に対し再検討を求める共同声明を発表した。

 27か国はまた、中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)へのミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)人権高等弁務官の「有意義な立ち入り」を許可するよう中国に求めた。

 日本のほか英国、フランス、ドイツなどが署名した声明は、スイス・ジュネーブの国連人権理事会(UN Human Rights Council)で、英国のジュリアン・ブレイスウェイト(Julian Braithwaite)在ジュネーブ国連大使が各国を代表し読み上げた。同理事会で中国が口頭で非難されるのは異例。

 27か国は声明で、香港国家安全維持法が香港市民の人権に明確な影響を及ぼすとして、「深く、高まる懸念」を表明。香港の住民や立法・司法組織の直接的な介入なしに同法を成立させたことは、「一国二制度」が保障する高度な自治と権利、自由を「害する」ものだと主張した。

 声明はまた、「この声明に署名した複数の国が、新疆ウイグル自治区でのウイグル人など少数民族の恣意(しい)的な拘束、広範囲にわたる監視や制限をめぐり、懸念を表明する書簡を昨年提出した」と指摘。「これらの深い懸念は、このたび公になった追加情報により高まった」と述べた。

 新疆ウイグル自治区をめぐっては6月29日、中国当局が人口抑制策としてウイグル人など少数民族の女性に対し不妊手術を強制しているとするドイツ人研究者による報告書が発表されている。

周庭(アグネス・チョウ)さんと黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さん、民主派団体を離脱。国家安全法適用を懸念

HUFFPOST 2020年6月30日(火)15時03分配信

 香港の民主派団体「デモシスト」の周庭(アグネス・チョウ)さんと黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんは6月30日、それぞれのSNSで団体を離脱することを明らかにした。

 詳しい理由は分かっていないが、30日には香港版の「国家安全法」が可決されていて、団体に残ることで自分や他のメンバーが逮捕されるリスクを避けるための決断という可能性もある。

避けることができない決定

 周庭さんは30日、自身のTwitterとFacebookで脱退する意向を明らかにした。

 周さんは日本語で「これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。 絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。 生きてさえいれば、希望があります」などと綴った。

 周庭さんは「デモシスト」のメンバーとして、堪能な日本語を活かしてSNSや講演などで、香港の現状を日本に伝え続けていた。

 同じく、黄之鋒さんもTwitterとFacebookで脱退を表明。「私たちの声がすぐに届かない場合は、国際社会が香港のために声をあげ、最後の自由を守ってくれることを望みます」などと願いを託した。

 黄之鋒さんは、香港での愛国的な教育導入に反対する学生団体「学民思潮」の元リーダー。デモシストでは秘書長の立場にあった。

 2人は脱退の理由を明らかにしていないが、黄之鋒さんはFacebookで30日に可決した「国家安全法」について「世界の目は、安全法が施行されたあとの私個人の状況にも注がれています。この地上から消し去られるまで、故郷である香港を守っていきたいです」などと言及しており、脱退は、団体に残ることで、自分や他のメンバーが逮捕されるリスクを避けるための決断という可能性もある。

 香港国家安全法」で激化米中新冷戦」と「一国二制度」の変質 

Foresight 2020年6月30日(火)15時00分配信/野嶋剛

 香港の「国家安全維持法」が中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会で6月30日に可決、成立した。香港返還の記念日である7月1日に、同法は香港で施行される見通しだ。

 中国の改革・開放や米中接近の象徴でもあった香港の「一国二制度」の大きな変質は避けられず、同法案の成立に懸念を抱く米国など西側諸国の反発は確実で、香港問題が米中「新冷戦」の最前線となる様相が濃くなっている。

香港基本法の抜け穴

 1997年に英国から中国へ返還された香港は、「一国二制度」という制度設計のもと、「高度な自治」を50年間にわたって保証されていた。行政、司法などの独自性を支えるのが「香港の憲法」と呼ばれる香港基本法で、同法によって、英国式のコモン・ローに基づく香港と、社会主義体制下の中国は、別々の世界に分けられているはずだった。

 ところが、今回の国家安全法は、そんな香港と中国の境界を易々と乗り越えて、「国家安全」という錦の御旗で、香港に対する中国の支配力を直接的に及ぼさせる。従来の「一国二制度」の構想を覆してしまう恐れが強い。

 中国側にとっては望ましい習近平流の「一国二制度」かもしれないが、香港社会に「国家安全法は香港の一国二制度を踏みにじり、死に追いやるものだ」(民主派の公民党立法会議員・陳淑荘氏)という見方が広がるのも無理はない。

 中国が強引に見える手法で香港へ国家安全法を導入できるのは、香港基本法の抜け穴とも言える部分を活用することによる。香港人自身を含めて、多くの人が、今回の導入を予想できなかったと述べているのは、たとえ法律上は可能であっても、まさかそんな手は使ってこないだろうと思わせる「裏技的」なやり方によるものだったからだ。

 香港基本法には18条2項に、

「全国的な法律は、本法付属文書3に列せられたものを除いて、香港特別行政区で実施しない。本法付属文書3に列せられた法律は、香港特別行政区が現地で公布するか立法化して実施する」

 と書かれている。

 全国的な法律とは、香港独自の法律ではなく、中央が制定する法律という意味である。この条項は本来、国防や外交に関わり、しかも緊急度の高い余程の事情がない限り、「全国的な法律」は香港では実施しないという抑制のためのものだったのだが、今回はその立法趣旨とは逆の方向で使われる形となった。

立法会選挙に大きな影響

 6月28日から30日までの3日間の会期で始まった全人代常務委員会は、もともと年に数回しか開催されないものだ。直近では6月18日~20日に開催されたので、本来であれば数カ月先まで開催されなくてもおかしくない。それを同じ月にまた開催するというのは、何としても6月中に同法案を成立させたいという意欲の表れと見ていいだろう。

 そもそも5月21日に発表された国家安全法の制定について、5月28日に全人代で制定方針が決まり、さらに1カ月後の常務委員会で条文が決まることは、異例中の異例。あらかじめ導入ありきで動いていたとしか考えられない。

 30日の可決を経て、可能性としては同日中に香港で「官報」に掲載され、それが香港基本法18条の言うところの「現地での公布」となるので、香港での立法会での審議などは一切経ることはなく、7月1日、つまり香港返還から23年を迎える日に、香港で正式施行されることになる。

 当然、想定されるのは、国家安全法の運用により、9月6日に行われる立法会選挙で、民主派グループの立候補に制限が加えられることだ。具体的に制限を加えられなかったとしても、香港政府や中国政府を批判する言論が難しくなり、選挙活動に大きな影響が生じる。

香港にあきらめをつけた

 中国共産党指導部は、すでに香港政府の統治能力に信頼を置いていないのだろう。

 本来、「一国二制度」は、香港政府への信頼をもとに成り立っていた制度であった。そのため、香港行政長官選挙や立法会選挙は、親中派が勝利するように設計されている。

 だが、それでも香港は中国の思うようにはなってくれない。そのことを2014年の「雨傘運動」で痛感した中国は、2019年の逃亡犯条例改正案への抗議デモで、香港に対して「あきらめ」をつけたのだ。

 それは、昨年10月に開かれた共産党の四中全会(中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議)で、香港問題について以下の決定が行われていることによく示されている。

(1)現行の法律と制度を完全なものにし、香港に対する中央の全面管轄権を定着させる

(2)国家安全を守る法律制度と執行のメカニズムを立ち上げて健全化させる

(3)愛国者を主体とする香港統治でなければならず、中央は行政長官と主要官員に対する任命権、監督権、罷免権を有する

(4)教育制度を完成させ、国民教育の失敗を正視する

 この言葉のひとつひとつが、今回中国が打ち出した香港版国家安全法の狙いとほぼ完全に合致する。

 同時期、習国家主席は南米訪問の際、

「香港で続いている過激な暴力犯罪行為は、法の支配と社会秩序を踏みにじっており、『一国二制度』の原則への重大な挑戦だ」

 と述べている。

 このとき、すでに国家安全法の導入について、中国の方針は固まっていたとも思わせる発言である。

 法制化となれば一定の時間が必要だ。立法会選挙での民主派の過半数獲得を懸念したのだとすれば、制定方針の決定は5月の全人代がタイムリミットだった。コロナ禍の間、北京は密かに着々と準備を進めていた。

中国政府の出先機関が法執行も

 その内容について、現在までに最も詳しい形で公表されているのが、6月20日に『新華社通信』が報じた内容である。

 それによれば、法案は6章66条からなる。香港警察および司法省に専門部門が設置され、法執行に当たる。ただ、香港には中国政府の出先機関「国家安全維持公署」が設立され、「特定の状況」のもとで管轄権を執行する。つまり法執行を行うことになる。「特定の状況」がどのようなものなのかは一切分かっていない。また、通常の警察の法執行でも、この国家安全維持公署が背後で指揮・監督を行う可能性は高いだろう。

 一方、香港政府には「国家安全維持委員会」が設立され、そのトップには行政長官が就任する。この委員会には、中央政府から顧問が派遣される。つまり、香港における国家安全法の実施は、警察による現場レベルでの執行においても、逮捕・起訴後の裁判においても、中央の影響力下におかれることになる。

 取り締まりの対象は「国家分裂」「国家転覆」「テロ活動」「外国及び外国勢力との結託」という4つの罪状となる。これらが具体的にどのような行為を指すものであるのかは明らかにされていない。また、先述の通り「特定の状況」がいかなるものかも定かでない。

 すべてが不透明なまま、法律が執行されようとしている状況に、香港社会や香港司法界からも不安の声が高まっている。

 制度上の大きな問題は、香港政府が事件を起訴する原告となるだけでなく、裁判官も任命するという形になりかねない点だ。従来の香港の司法制度では、司法人員推薦委員会が裁判官を任命していたが、国家安全法に基づく案件の裁判官は行政長官の任命となり、外国人の裁判官などは回避されると見られる。

 さらに、国家安全法は「香港の法律よりも優先される」「解釈権限は全人代常務委員会にある」と規定されており、香港の独自性を守るための防壁はほぼなくなっている。

米中の共同作品だった香港

 そもそも「香港」は、中国のなかに自由主義の「都市」が存在することを、米国など国際社会が裏書きすることで成り立っているシステムだった。

 その背後には中国の改革開放をサポートし、国際社会に参画してもらうというエンゲージメント(関与)政策があり、そのおかげで香港はWTO(世界貿易機関)などにも単独の経済体として加盟することができ、香港ドルも米ドルとのペッグ制が保たれて、国際通貨の地位を維持できていた。

 一方、中国は香港で経済成長に必要な資金を調達でき、西側諸国も香港を踏み台に対中ビジネスを営むというウィン・ウィンの関係が築かれており、「香港」は東西冷戦末期に接近した米中による共同作品だと言えた。

 そうした米中の香港をめぐるコンセンサスが崩れたのは習国家主席の就任からで、香港情勢の混乱と習体制のタイムテーブルは、ほとんど一致したものになっている。

 香港繁栄の前提条件を壊していく中国に対して、西側諸国では座視できないとの見方が強まっている。

 これは、1984年の中英共同声明に対する違反であると受け止めている英国は、中国に対して強く翻意を求めながら、英国が発行する海外市民旅券(BNO)の香港人所有者に英国の市民権を与える方針を表明し、「香港棄民」の受け入れ体制を作っている。

 米国は、ドナルド・トランプ大統領が香港制裁案をすでに明らかにしているが、マイク・ポンペオ国務長官は29日、香港への優遇措置を取り消す考えを明らかにした。米議会でも上院で香港自治法案が全会一致で可決されている。これは、香港の自治の侵害に関わった中国の関係者に対して、資産凍結などの制裁を科すよう米大統領に求めるものだ。

 国家安全法の成立は、香港の自由を大きく制約するだけでなく、米中新冷戦を加速させ、東アジアの国際政治環境を大きく変化させるだろう。香港が中国色に完全に塗り替えられれば、台湾、そして日本にも波及しかねない。

 国家安全法の成立後、各国は香港の民主化活動家やデモ参加者、民主派人士らの人権や人身安全が守られるよう、国家安全法の抑制的運用を求めつつ、香港情勢を今まで以上に厳しく注視しながら国際的圧力をかけ続けなくてはならない。

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