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2020年10月18日 (日)

【千人計画】✍流出する「日本人研究者」なぜ中国へ行くのか

 自民・甘利「『学術会議』は千人計画に協力」発言修正 

朝日新聞デジタル 2020年10月14日(水)21時30分配信

 自民党の甘利明税調会長が8月、日本学術会議について、中国の外国人研究者を集める国家事業「千人計画」に積極的に協力している、と自身のブログに投稿していた。同会議の中国の軍事研究への関与も示唆していた。「誤った情報だ」との指摘が相次ぎ、記述を修正した。

 甘利氏は8月6日付のブログ「国会リポート第410号」で、「日本学術会議は中国の千人計画に積極的に協力しています」などと記述。千人計画について、「他国の研究者を高額な年俸(報道によれば年収8千万円!)で招聘(しょうへい)し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させる。研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けている」と説明。「中国では民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体」と指摘し、学術会議が中国の軍事研究に協力していると示唆した。

 一方で、同会議は2017年に軍事研究に否定的な声明を出しており、甘利氏は同会議の方針を「一国二制度」と批判した。「日本学術会議には日本の英知としての役割が期待されます。政権の為(ため)ではなく国家の為にです」と記し、学術会議会員の国家への貢献を求めた。

 こうした記述は、菅義偉首相が学術会議の会員候補の6人を除外して任命したことが今月初めに報じられて以降、まとめサイトを通じてソーシャルメディアで拡散。ツイッターでは日本学術会議について「『防衛研究は認めないが、中国の軍事研究には参加する』という反日組織」「日本の大学に籍を置いて、中国に情報を流している」「日本学術会議が千人計画に協力してたことがバレた」といった投稿が相次いだ。

注目の「学術会議あり方に、研究者からも疑問の声

NEWSポストセブン 2020年10月16日(金)16時05分配信

 菅義偉首相による日本学術会議の任命拒否問題に各界から批判が起きている。騒動の発端は、10月1日に『しんぶん赤旗』が〈菅首相、学術会議人事に介入 推薦候補を任命せず〉と報じたことだった。その後、野党やメディアは首相が任命拒否をした理由は何か、6人を候補者リストから外したのは誰か、などについて追及の度合いを強めている。一方、与党自民党は学術会議のあり方を見直そうと、改革のためのプロジェクトチームを立ち上げて議論を始めた。

 今回の「任命拒否騒動」とは別に、学術会議のあり方についてはアカデミズムの世界からも異議を唱える声が出ていた。戸谷友則・東京大学大学院理学系研究科教授(宇宙物理学)もそうした声をあげた一人だ。2018年9月の日本天文学会秋季年会で、戸谷教授は学術会議を批判する内容の講演を行なっている。

 当時、戸谷教授が問題にしたのは、学術会議が2017年3月に発した「軍事的安全保障研究に関する声明」だ。同声明は、1967年の「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を継承し、軍事的研究と見なされる可能性のある研究については、各々の学会等で適切性を審査する制度を設け、ガイドライン等を設定することが求められる、としている。

 同声明に対する戸谷教授の考えは、講演の後に刊行された学会誌『天文月報』2019年1月号に戸谷教授が寄稿した論考「学術会議声明批判」で知ることができる。

〈「いかなる軍事研究も禁止されるべきである」という考えが、現在の研究者あるいは一般社会の間で広くコンセンサスを得ているとは到底思えません。「軍事」と「戦争/平和」の関係はそう単純なものではないでしょう。戦争の惨禍が軍事によって生み出されるのは自明ですが、一方で、パクスロマーナの例を持ち出すまでもなく、平和を生み出し維持するうえでも軍事というものが大きな存在となっていることは、古今東西の人類史を見ても明らかです〉(『天文月報』2019年1月号「学術会議声明批判」)

 アメリカの圧倒的な軍事力によって現在の世界秩序があるのは事実であり(パクスアメリカーナ)、核開発や軍備増強を続ける周辺国に囲まれた日本で、研究者がみな軍事に関わる研究をやめれば平和になるという考え方は、むしろ危険ではないかと問いかけている。

学術会議声明は戦前の裏返し

〈こうした極端に理想的な平和主義は、やはりイデオロギーと呼ぶべきものでしょう。[中略]個人としてどのようなイデオロギーを持とうが勝手ですが、すべての人に一つのイデオロギーを押しつけ、従わない人は審査制度を作って取り締まれというのは、私には「戦前の裏返し」にしか見えません〉(同前)

 戸谷教授がそう批判した学術会議の声明は、日本の研究者の総意であるように思われがちだが、実際は学術会議総会での決議を経ていない。幹事会の決議のみで決定し、公表された経緯があるという。

「学者の国会」と称されることもあるが、そもそも学術会議の会員は選挙で選ばれるわけではなく、現在は会員による推薦で次期会員の候補者が決まるシステムが採用されている(任期は3年)。その幹部が学術界全体のルールを決め、会員ではない研究者の研究まで縛ろうというのであれば、それはある意味で“独裁的”とは言えないか。

 戸谷教授は前述の論考でこうも指摘している。

〈安全保障と科学についての議論は、第2次大戦におけるわが国の状況に対する反省から始まっているわけですが、学術界として何を反省すべきかと言えば、それは「軍事研究をしたくない人に強制的にさせてはならない」ということに尽きるのではないでしょうか〉

多様性や研究の自由が縛られる

 学術会議の声明を受け、北海道大学は、防衛省の研究助成制度(防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」)に応募し助成を受けていた同大研究者に、助成の継続を辞退させていたという。その研究テーマは、「船舶の航行時に水の抵抗を減らす技術」についてだった(『産経ニュース』2018年6月8日付)。

「すべての研究者に軍事に関わる研究を禁止すること」こそ学問の自由の侵害であり、学問の自由を守るとは「軍事研究をしたくない人に強制的にさせないこと」だとする戸谷教授の指摘は、正論と言うほかない。

 研究者の多くが先の声明に口をつぐむ中、公に学術会議を批判した理由を戸谷教授に訊いた。

「学術会議から声明が出て、天文学会でも年長者の先生方が同じ方向で意見をまとめようとする動きがあり、このままでは意見の多様性や研究の自由が縛られるという印象を持った。特に、若手の研究者の間に萎縮して意見を言えないような雰囲気があって、私のような世代(編注・戸谷教授は48歳)が代弁すべきと思ったのです。若手からは『よくぞ書いてくれた』、年長者のある先生からは『反省したよ』と言われました。学術会議側からは特に何も反応はありません」(戸谷教授)

 戸谷教授の論考が掲載された『天文月報』2019年1月号には、学術会議声明を支持する立場からの論考も同時掲載されている。同誌は「安全保障と天文学」と題したシリーズを展開しており、少なくとも日本天文学会では、多様な意見を認めるムードがあったと言えるかもしれない。

 現在の任命拒否騒動を、戸谷教授はどう見ているのか。

「学術会議の会員は政府機関の公務員です。自分たちで人選してそのまま認めろというのは、さすがに無理があるように思います。もしそうしたければ、欧米のアカデミーのように、政府から独立した組織になればいい。政府と距離を取れば、人選も自由になり、政府批判も自由にできます」(戸谷教授)

 騒動をきっかけに、今まであまり知られていなかった学術会議に注目が集まり、改革が促されるのであれば、それはそれでいいことかもしれない。

 中国擁護か千人計画デマというデマ日本学術会議 

MAG2NEWS 2020年10月9日(金)配信

 菅首相の「推薦候補6人の任命拒否」により、にわかに注目を浴びることとなった日本学術会議。各界で同会議を擁護する動きが高まっていますが、彼らと中国の間の「不都合な関係」を疑う声もあるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、「軍事目的のための研究を行わない」と宣言している同会議が、人民解放軍と無関係のはずがない中国の「千人計画」に積極的に協力しているとするリポートを紹介。さらに彼らを始めとする日本の学者たちが、他国の軍事技術や侵略に寛容な理由を明らかにしています。

【日本】なぜ日本の学者は中国の軍事的脅威をわざと無視するのか

 日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人を菅首相が任命拒否したということが大きな話題となっていますが、同会議の問題点が次々とあぶり出されている点は、非常に意義があることでしょう。

 マスコミなどは、この6人が安倍政権の安保法制などに反対していたから排除されたかのような報じ方ですが、菅首相はそのことを明確に否定していますし、日本学術会議が発表した新会員99人の名簿を見ても、平田オリザ氏など、安倍政権に批判的だった学者が含まれており、反安倍派を意図的に外したという説明には矛盾があります。

第25期 日本学術会議連携会員名簿(全体版)

 私は今年2月19日号のメルマガで、「軍事目的のための科学研究を行わない」と宣言している日本学術会議が、軍事目的の科学研究を行っている中国科学院と交流していることの危うさを指摘しました。

中国科学院代表団の表敬訪問を受ける金澤会長

 今回の任命拒否で、日本学術会議をはじめ、野党やマスコミ、芸能界などからも「学問の自由が犯される」といった批判が出されていますが、べつに日本学術会議の会員にならなければ学問ができなくなるわけでもなく、学問の自由の問題とはまったく無関係です。

 彼らの主張はどことなく、日本の輸出管理において、アジアで唯一「ホワイト国」として優遇されていた韓国が、ホワイト国から除外されて他のアジア国と同じ扱いになったとたんに、「差別的措置だ」などと既得権死守に躍起となった姿と似ていると感じるのは、私だけでしょうか。

 しかもかつて日本学術会議は、2016年に防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募した北海道大学に対して、これを「軍事研究」と決めつけ、2017年3月24日付の「軍事的安全保障研究に関する声明」で批判、学術会議からの事実上の圧力で、北海道大学は研究を辞退せざるをえなかったことも明らかになっています。

学術会議こそ学問の自由を守れ

 その一方で、日本学術会議は軍事研究を行っている中国の科学機関と連携しており、海外の技術を中国に持ち込ませるために世界中の中国人科学者や外国人科学者を中国に呼び込む「千人計画」に実質的に協力しているといえます。

米国で次々と逮捕される千人計画に参加した学者

 自民党における、国際的なルール形成を審議するルール形成戦略議員連盟の会長である甘利明氏は、2020年8月6日の「国会リポート第410号」で、以下のように書いています。

 日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には間接的に協力しているように映ります。

 他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。

 中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。

 そもそも民生を豊かにしたインターネットが軍事研究からの出自に象徴されるように、機微技術は現在では民生と軍事の線引きは不可能です。更に言えば、各国の学術会議は時の政府にシンクタンクとして都度適切なアドバイスをしています。

 評価されたドイツのメルケル首相の会見もドイツアカデミーの適切な助言によるものと言われています。学術会議には日本の英知としての役割が期待されます。政権の為ではなく国家の為にです。

 日本学術会議のホームページによれば、同会議は中国の「民間組織」だという中国科学技術協会とも協定を結んでいますが、中国には純粋な民間組織などありえません。実際、日本学術会議のレポートでも、中国科学技術院の経費の67%は政府からの支出、その他は事業収入だとしています。中国科学技術協会も当然、「千人計画」に関連していることは間違いありません。

各国アカデミー等調査結果

 今回任命拒否された学者の一人がテレビに出て、菅政権の批判を展開していましたが、「日本学術会議の学者が千人計画に協力しているなんて聞いたこともない、デマじゃないですか」と述べていました。

 しかし、アメリカで「千人計画」に参加した学者が次々と逮捕されていることは、メディアでも大きく報じています。アメリカ政府から補助金をもらっている学者が、中国のために研究を行い報酬を得て、それを隠していたということで、詐欺罪で逮捕されるケースが多いのです。

1月28日 ハーバード大学科学・科学生物学部の学部長チャールズ・リーバー氏が「千人計画」に参加、多額の報酬を得ていたにも関わらず、これを隠蔽した詐欺の容疑で逮捕。

ハーバード大の研究者を逮捕、中国との関係巡り虚偽の説明-米当局

 3月10日、ウェストバージニア大学の物理学科の教授を務めていたジェームズ・パトリック・ルイス博士が虚偽の申請で有給休暇を不正取得して「千人計画」に参加していた詐欺の容疑で逮捕。

米司法省、千人計画に参加の米教授を起訴 偽りの休暇取得で

 5月12日 アメリカ司法省は、元エモリー大学教授で中国系アメリカ人生物学者の李暁江が、「千人計画」に参加し中国の大学に所属していたが、連邦税申告書で海外所得を申告しなかった虚偽の収入申告を提出した罪で有罪判決を受けたと発表。

米エモリー大教授、中国「千人計画」参加 虚偽申告で有罪

 7月30日 「千人計画」に参加し、夫と共謀して勤務先の研究所から企業機密情報を盗み出して中国で会社を設立していた中国出身の科学者の陳莉が、米地方裁判所で行われたビデオ会議で罪を認めた。

米企業機密盗んだ中国人女性科学者、千人計画参加を認める

 その他、まだまだ逮捕事例はたくさんあります。また、オーストラリアや台湾でも中国による学術界への浸透工作、技術盗窃は数多く暴かれています。

日本の学会が他国の軍事技術や侵略に寛容な理由

 日本学術会議のメンバーに推薦される人物が、そのような国際状況を知らないはずがありません。「自分のまわりでは聞いたことはない」というのは、よほど危機感のない能天気な人物か、あるいは中国が無視するようなつまらない研究しかしていないということなのでしょう。どちらにしても、日本の科学技術を守り、発展させるような人物ではないということです。

 あるいは「軍事研究をしない」と宣言している以上、たとえ軍事関係であっても、「軍事とは関係ない」という脳内変換が起こるのかもしれません。

 私の新刊『親中派の崩壊』にも書きましたが、アメリカの国務省関連のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、2020年7月末に「日本における中国の影響力」という報告書を発表、そのなかで中国が世界各国で展開する孔子学院をスパイ活動の拠点だと示唆しています。

 そのためアメリカでは孔子学院を閉鎖する動きが加速していますが、日本では全国で15校開設されており、ほとんど問題視されていません。これも、孔子学院をスパイ拠点だと考えることが「軍事研究」につながるということで、日本の学者や学会は「考えないようにしている」のではないかと思うのです。

 だから日本の学者や学会は「他国によるスパイの危険性」「他国からの侵略」ということに思いが及ぶことがないのでしょう。たぶん彼らは、中国からミサイルから飛んできても「人工衛星ではないか」「一発なら誤射だろう」と考え、軍事行動だとは考えないようにするのではないでしょうか。軍事行動だとみなして中国の意図や戦略を考えることは軍事研究にあたりますから、「考えないようにする」わけです。

 もっとも、日本にはスパイ防止法もないわけですから、学者のみならず政治家の怠慢も批判されるべきでしょう。

 日本は戦後、GHQの公職追放によって、国立大学からマスコミのトップまで首がすげ替えられました。当然、東京裁判を支持するような人たちが社会の中心になったわけです。法曹界もアメリカ謹製の日本国憲法を敬うような学者ばかりになりました。

 私も一時、大学で教える立場にいましたからわかるのですが、学会はムラ組織であり、代々、そこで通用してきた論理を弟子たちが継承し続けなくてはならず、異論を掲げるものはメインストリームから排除されます。だから憲法学者のほとんどが護憲論者なのです。

 こうして戦後の各学会は東京裁判史観を代々受け継ぐかたちで既得権益化していったのです。渡部昇一氏は、このように日本の敗戦によって得た利益を既得権益化する者たちを「敗戦利得者」と呼びました。

 日本学術会議をはじめとする日本の学会が日本の軍事技術には絶対協力しないと宣言し、戦前の日本を侵略国と定義したがる一方、他国の軍事技術や侵略に寛容なのは、そういうわけなのです。

 千人計画で「流出する日本人研究者」彼らはなぜ中国行くのか 

Newsweek日本版 2020年10月14日(水)17時36分配信

<世界中から優秀な頭脳を招致する中国の国家プロジェクトが話題だが、既に日本の研究者の100人に1人が米中で活動している。この流れを変えるにはどうすべきか。本誌「科学後退国ニッポン」特集より>

 古くは電機メーカーの技術者から近年はスポーツ選手やアニメ制作者まで、有能な人材の海外流出は形を変えながら繰り返しメディアをにぎわせてきた。

 その最新事例が中国政府の推進する「千人計画」。世界中から優秀な頭脳を招致するという野心的な国家プロジェクトによって多くの日本人研究者が中国に奪われ、研究成果が軍事転用されるのではないかとの懸念が取り沙汰されている。

 確かに、行き過ぎた頭脳流出は国家にとって大きな損失となり得る。国は研究資金などの形で研究者に「投資」をするが、人材が流出すれば研究成果や後進の育成といった形での「見返り」が見込めなくなる。

 一方で、研究者がどの国で活動しようと基本的には個人の自由だ。外国を拠点にしながら日本との共同研究の橋渡しをしたり、将来的に帰国して日本にポジティブな影響をもたらす可能性も十分にある。

 中国に渡った日本人研究者が直接的に軍事研究に携わっている証拠もない。しかも、中国による高度人材の引き抜きが日本の国力衰退につながるとの不安ばかりが叫ばれるが、数の上で引き抜きが圧倒的に多いのはむしろアメリカだ。

 外務省の海外在留邦人調査では、2016年時点でアメリカに長期滞在中の「留学生・研究者・教師」とその同居家族は7万4000人余り。日本生まれでアメリカ在住の理工学系の博士号保持者約8800人(全米科学財団の15年調査)の多くも、この数に含まれるとみられる。

 これに対し、同じ外務省調査で中国に長期滞在中の同カテゴリーの人数はわずか8800人ほど。日本学生支援機構の統計では、17年度に中国に滞在していた日本人留学生は短期も含めて約7100人だ。08年以来1000人以上の科学者が「千人計画」などで日本から中国にリクルートされたというオーストラリア戦略政策研究所の分析を加味しても、「流出組」を含む日本人研究者の数は中国よりアメリカのほうが桁違いに多いとみるのが自然だろう。

 いずれにせよ、より重要な論点は米中だけで約1万人は日本人研究者が活動していることだ。少なく見積もっても日本人研究者の約100人に1人。彼らはなぜ日本を出るのか。

 国家間の人の移動には、移住国に引き寄せられた理由(プル要因)と、母国から押し出しされた理由(プッシュ要因)の両面がある。米中に共通するプル要因としてまず挙げられるのは、高度な研究・教育環境だ。

<中国の研究者ポスト、報酬自体の相場はそれほどでもないが>

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<アメリカの総合力に勝つには>

「どこの大学かにかかわらず、博士課程の修了者は問題解決のエキスパートと見なされる。だから専門領域だけでなく、コンサルティング企業などに就職する人も多い」

 ハーバード大学医学部の研究所で研究員を務める嶋田健一は、アメリカ社会での博士号の価値の大きさをそう説く。

 薬学を専門とする嶋田は、東京大学を経てコロンビア大学で博士号を取得した。渡米した一因は当時日本で学べなかった最先端の情報生物学に引かれたことだが、博士課程の学生に給料が支払われることも含め、アメリカの高等教育に日本の「徒弟制度的」な大学制度にはない魅力も感じたという。

 将来は企業か大学で研究を続けるつもりだが、当面は帰国する気はない。

「同じ研究をしてもアメリカのほうが国際的発信力が大きく、キャリアのつぶしが利く」

 一方、日本国内の大学での助教を経て中国の大学に生物学の教授として赴任した40代の日本人男性も、恵まれた研究環境を理由に挙げる。

 トップレベルの人材を破格の待遇で招致するという千人計画のイメージもあり、中国の研究者ポストには高給の印象が付いて回るが、報酬自体の相場はそれほどでもないと、この教授は言う。

 研究チームを率いる新任の教授の「平均的な年収は600万円程度で、日本のほうが高い」。将来的には年金制度がより安定しており、人脈もあって共同研究がしやすい日本に戻るつもりだ。

 それでも、15人の研究室を率いて豊富な研究資金で自由に研究ができる点は日本にはない魅力だ。研究室の開設費として約1500万円が大学から拠出されたほか、大学、国、地方自治体などの研究費提供プログラムも多く、日本のように資金確保が過大な負担となることもない。

 任期も長く、10年契約を結んでいる。「日本では若いうちに自分のラボを持てる機会はなかなかない」と、この教授は言う。

 もっとも、頭脳流出の背景には、こうしたプル要因以上に日本国内の就職難というプッシュ要因があるのかもしれない。博士号取得者の就職難が深刻化した世代に当たるこの教授も、国内で必死に就職活動をしたが希望のポストを得られなかったため、自ら応募して中国に渡った。

 早稲田大学の村上由紀子教授(労働経済学)がアメリカで実施した調査でも、在米の日本人研究者の4割が移住の動機として、日本で希望する条件を満たす仕事がないことを挙げたという。

<参考になるEUの外国人向け助成金プログラム>

 こうしたプッシュ要因を減らすために、何をすべきか。

 まずは、国からの運営費交付金の減額などによって研究者のポストが減らされ、足腰の弱ってしまった日本の科学界を立て直す必要がある。

 それだけでなく、国家の競争力の源泉である研究者を世界中の国々が奪い合っている今、日本人か外国人かを問わず優秀な頭脳を日本に引き寄せるための新たな戦略も必要だ。

 アメリカのような研究・教育の総合力で太刀打ちできないのであれば、EUが外国人向け助成金プログラムとして300種以上の豊富なメニューを打ち出しているように、制度で補完するのも一つの手だ。

 例えば、現行の外国人研究者の招聘事業に欠けている2年以上の長期滞在ポストを用意するなどの方策が考えられる。

 中国の千人計画には、確かに大きなインパクトがある。だが、それだけに気を取られ、各国がそれぞれの「千人計画」によって高度人材を奪い合っている現実を見誤れば、日本の科学技術が競争力を取り戻す日は遠のく一方だ。

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