« 【座間9人殺害】公判✍白石被告「“承諾殺人”ではない」 | トップページ | 【耳学】✍知らなかった!「お風呂掃除」の知恵袋 »

2020年10月29日 (木)

【日経平均】4日続落<欧米“コロナ禍”再拡大>景気回復“腰折れ”懸念

 〔NY株〕ダウ急落 943ドル安=コロナ拡大で 3カ月ぶり安値 

時事通信 2020年10月29日(木)6時00分配信

 28日のニューヨーク株式相場は、欧米での新型コロナウイルス感染拡大を嫌気し、大幅続落した。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比943.24ドル安の2万6519.95ドルで終了。

 終値としては7月末以来、約3カ月ぶりの安値となった。ハイテク株中心のナスダック総合指数は426.48ポイント安の1万1004.87で引けた。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比3億3124万株増の11億6765万株。

 欧米でコロナの新規感染者が再び増加し、景気回復の妨げになるとの懸念から、この日の欧米市場の株価は大幅安となった。米国では中西部などで感染が拡大。

 フランスは全土で外出制限を再び発動したほか、ドイツも飲食店や商業施設を閉鎖する方針を発表した。フランスCAC40種指数は3.4%安、ドイツ株式主要30銘柄指数(DAX)は4.2%安でそれぞれ取引を終えた。

 米大統領選の郵送投票の開票作業が長引き、勝者の確定が11月3日の投開票日以降にずれ込む可能性があることも、投資家のリスク回避姿勢につながっている。また、米追加経済対策の早期の成立が困難なことも、相場の重しになった。

 追加対策をめぐる議会与野党の協議難航を受けて、トランプ大統領は前日、大統領選前の成立を断念する考えを明らかにした。

 投資家の不安心理の指標となる恐怖心指数(VIX)は一時40を上回り、6月中旬以来の高水準を付けた。

 個別銘柄(暫定値)では、フェイスブックが5.5%安、マイクロソフトが5.0%安など、ハイテク大手が相場を下押した。エクソンモービルが3.8%安など、エネルギー株の下げも目立った。また、決算が嫌気されたボーイングが4.6%安、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が8.8%安。一方、決算が好感されたゼネラル・エレクトリック(GE)が4.5%高と買われた。

 〔東京株〕小幅 4日続落=コロナ感染再拡大嫌気 

時事通信 2020年10月29日(木)15時30分配信

 日経平均株価は前日比86円57銭安の2万3331円94銭、東証株価指数(TOPIX)は1.62ポイント安の1610.93と、小幅に4日続落した。新型コロナウイルス感染の再拡大を嫌気して売られたが、輸出関連株に押し目買いが入り、相場を下支えした。

 61%の銘柄が値下がりし、値上がりは34%。出来高は10億1237万株、売買代金は2兆0956億円。

 業種別株価指数(全33業種)は情報・通信業、小売業、陸運業などが下落し、電気機器、銀行業、輸送用機器は上昇した。

押し目買いが下支え

 29日の東京株式市場は新型コロナウイルス感染の再拡大を嫌気して欧米主要市場で株式が売られた流れを引き継ぎ、ほぼ全面安となる場面があった。しかし、株価の下落した場面では押し目買いや買い戻しが入り、下値を支えた。日経平均株価は一時前日比250円近く下げた後、下げ幅を縮小した。

 新型コロナ感染拡大による世界的な景気不安の再燃に加え、米大統領選の先行き不透明感もマイナス要因となった。しかし、中長期的な業績拡大が期待される電子部品株を中心に、下値ではまとまった買いが入った。市場関係者からは「株価下落を買いのチャンスとみている投資家が多く、相場が一方的に崩れる展開は考えにくい」(大手証券)との指摘があった。

 225先物は2万3090~2万3360円で推移した。オプション11月きりはコールが総じて値下がりし、プットはしっかり。

禁じ手の“ロックダウン”、欧州で再び

朝日新聞デジタル 2020年10月30日(金)6時00分配信

 新型コロナウイルスの「第2波」が猛威を振るっている欧州で、各国政府が再度、厳しい行動規制にかじを切り始めた。病床が埋まりつつあるフランスは春の流行時を超える危機を迎え、「禁じ手」だった外出禁止令に踏み切った。クリスマス商戦を救いたいという思惑もにじむ。

 「11月半ばにはフランスの集中治療室は限界を迎える」

 フランスのマクロン大統領は28日の国民向けテレビ演説で、こう危機感をあらわにした。医師が治療すべき患者を選別することになるとも指摘。「第2波は第1波より大きな犠牲者が出るだろう」と警告し30日から全土で1カ月、外出を禁じると明らかにした。市民の外出は食料品の買い出しなどに限られ、違反者には再び罰金が科される見通しだ。飲食店など「必要不可欠でない」店舗はすべて閉鎖される。一方、教育格差を広げる恐れがあるとして、学校は大学をのぞいて閉鎖しない。

 マクロン氏は規制を2週間ごとに見直すことも明らかにした。「感染をより制御できていれば、クリスマス前の大事な時期に、一部の商店は再開できる期待を持てるだろう」と語った。 マクロン氏は8月末、ロックダウンについて「もっともやぼで、単純すぎるやり方だ。(ペストが蔓延(まんえん)した)中世からすでにやってきた」などと否定してきた。代わりに採った戦略は「ウイルスと生きる」という感染対策と経済を両立させる道だった。5月に最初のロックダウンを解除すると、国民に職場で働くよう呼びかけ、夏休みには国内旅行を促進した。9月からの新学期も全学校を再開させた。感染者の隔離期間は2週間から1週間へ短縮した。

 市民にほぼふだん通りの生活を促し続けた結果、5月に200人以下に抑え込んだ1日の感染者数は、10月に5万人まで膨らんだ。全国の入院者数も春のピーク時に迫り、もはやほかに打つ手がなくなっていた。

  度目ロックダウン 12月1日まで“外出禁止 

FNNプライムオンライン 2020年10月29日(木)18時54分配信

 新型コロナウイルスの感染再拡大が深刻化するヨーロッパ。

 フランスは、ついに2度目のロックダウンを決定した。

 市民には、動揺が広がっている。

 フランス産ワインを傾けながら友人と語らうのは、いわばパリ市民のルーティン。

 その楽しみが、再び制限されることになった。

 新型コロナウイルスの第2波が急拡大している、ヨーロッパ各国。

 累計感染者数が128万人を超えたフランスでは、28日、マクロン大統領がテレビ演説で、「(4月に)ウイルスを止めた原則外出禁止を、金曜日から再び実施すると決めた」と宣言した。

 感染対策のため、現地時間30日の午前0時から、少なくとも12月1日までの1カ月余り、外出を原則禁止すると発表。

 加えて、感染にブレーキをかけないと病院はすぐに飽和状態になってしまうと、医療崩壊の可能性にも言及した。

 マクロン大統領「ウイルスは、予想していなかったスピードで広がっている」

 2度目の原則外出禁止の決まったマクロン大統領の演説から一夜明け、パリ市民たちは、自由に外出できる最後の日を普段通り過ごしている。

 2020年の春に続き、2度目のロックダウンに踏み切るフランス。

 レストランやバーなどの飲食店は閉鎖され、外出の際には、理由を証明する書面が必要。

 通勤・通学、医療機関の受診、家族の介護、生活必需品の購入などのための外出は許可される。

 およそ4カ月余りの再発動に、市民は「大惨事だ。わたしは経済を止めるという手段はないと思っている。そんな余裕はもうない」、「隔離が唯一の方法なら仕方がない。小さいお店は大変だと思う。もうすぐクリスマスだから、できれば営業を続けてほしかった」などと話した。

 フランスだけではない。

 累計感染者数が48万人の隣国ドイツでは。

 午前6時ごろのベルリンにあるブランデンブルク門の前は、人影がまばらだった。

 メルケル首相は、来週から再び、厳しい全国のロックダウンに踏み切ることを決断した。

 11月2日から4週間、飲食店のほか、映画館などの娯楽施設の閉鎖に踏み切ることになった。

 ベルリン市内では、「またロックダウンになることは、本当に残念なことだ。ただ、感染者は増えているので、意義があることだと思う」という声が聞かれた。

 人の動きを制限する措置が相次いでいるヨーロッパ各国。

 感染の第1波に見舞われた春には、各国のロックダウンなどが功を奏し、ウイルスの抑え込みに成功したとみられていた。

 しかし、10月に入ると、感染者数は一気に激増。

 第2波が深刻な状況。

 では、累計感染者数が94万人を超えるイギリスはどうか。

 イギリスは、経済への影響を考え、極端なロックダウン政策をとっていない。

 午前7時ごろ、通勤時間帯ということもあり、多くの人が駅から出て来ていた。

 ロンドン市内では、「誰も望んでいないが、必要ならば再びロックダウンせざるを得ない」という声が聞かれた。

 ヨーロッパで感染が深刻化する背景について、昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「個人の感染対策に対する意識が、日本に比べると少し脆弱。いわゆるホームパーティーですとか、プライベートな会合ですとか、マスクの着用率が非常に低いというような話も聞きます」と指摘する。

 二木教授は、今後、季節が冬に進むと、さらに状況が悪化する可能性があるとしていて、さらなる警戒が求められる。

Photo_20201030071801

 学術会議問題、ついにリベラル派が分裂「内部崩壊始まる 

現代ビジネス 2020年10月23日(金)6時02分配信/長谷川 幸洋(ジャーナリスト)

お粗末な野党への「ブーメラン」

 日本学術会議の会員任命問題が、なんとも見苦しい展開になってきた。政権追及の矢がブーメランとなって、追及した側に戻ってきたと思ったら、今度は「内ゲバ」まで始まった。なぜ、こうなってしまうのか。当事者たちは言えないだろうから、私が代わりに答えよう。

 私は先々週のコラムで「北大事件」を取り上げて、野党や左派マスコミの追及を「やぶ蛇」「ブーメラン」と指摘した。そのうえで「赤旗報道から始まった今回の騒動は、野党と左派マスコミ、おバカ学者をそろって撃沈する結果になるだろう」と書いた(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76267)。

 続けて先週は、野党が追及の矛先を政権の意思決定プロセスに変えてきた点を指摘したうえで、50年近く前の個人的な記憶を基に、「左翼の楽園」が長続きしない理由について「バリケードの中で内ゲバが始まったからだ」と書いた(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76462)。私としては、ほんのご参考のつもりだった。

 すると、学術会議問題でも、本当に「内ゲバ」が始まってしまった。これには我ながら驚いたが、まさに左翼がこの半世紀、まったく進歩していない証拠である。彼らはいつまで経っても、どんな問題を取り上げても、同じ失敗を繰り返しているのだ。

学術会議をめぐる「内ゲバ」の顛末

 学術会議をめぐる内ゲバは、どう始まったか。

 日本学術会議の梶田隆章会長が菅義偉首相を官邸に訪ねたのは、10月16日午後だった。首相との会談を終えた梶田氏は記者団に囲まれ、記者から「総理から、6人の任命拒否の件について、明確かつ具体的な説明はありましたか」と問われた。

 すると、梶田氏は「あ、あの、ま、今日はあのう、そこの点について、まあ、あの、とくに御回答を求めるという、そういう趣旨ではないので、あの、ま、とくにそこについて、あの、明確なことがどうこう、ということはあの、ないです」と伏し目がちに答えた(https://www.news24.jp/articles/2020/10/16/04742595.html#cxrecs_s)。

Photo_20201030070301

 やたらと間投詞の多い話しぶりが、梶田氏の動揺を物語っている。

 記者から「お聞きにもならなかったんですか、梶田さんから」と追及されると、「一応(任命拒否の理由説明と任命を求める要望書を)お渡しはしましたが、それよりも未来志向で学術会議が今後、しっかりと、たとえば学術に基づいて社会や国に対してどういう風に貢献していくか、そういうことについて、主にお話しました」と述べた。

 さらに「あらためて6人の任命は求めなかったのか」という質問には「本日は、そこまで踏み込んでお願いはしておりません」と明言した。

 梶田氏が会見を開いて、菅首相に「任命しない理由を説明せよ」「任命されなかった方を速やかに任命せよ」と要求したのは、10月2日だ。学術会議として要望書を提出する件もそのとき、決まった(http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo301-youbou.pdf)。

 それから、わずか2週間である。せっかく首相との会談がセットされたのに、自分のほうから議論を避けてしまった。これでは、要求を取り下げたも同然だ。それだけではない。「学術会議の今後のあり方」を政府と検討することで合意した、という。

 菅首相は、梶田氏の会見後、ぶら下がりで会見し、次のように語っている(https://www.news24.jp/articles/2020/10/16/04742700.html#cxrecs_s)。

 ーーーーー
本日、梶田会長、就任のご挨拶ということでいらっしゃいました。私からはこれまでのインタビューなどで申し上げているように、学術会議が国の予算を投ずる機関として、国民に理解をされる存在であるべき、そうしたことを申し上げました。梶田会長からはこの場でもお話があったようですが、未来志向で今後の学術会議のあり方を政府とともに考えていきたい、こうしたお話がありました。政府としても、そこはそうしたいと思っています。それで井上(信治・科学技術政策)担当大臣を中心として梶田会長とコミュニケーションをとりながら、そうした方向にお互いに進めていこう、そういうことで合意をいたしました。以上です。
ーーーーー

 菅氏は「以上です」と言うとき、わずかに「ニヤッ」と笑みを漏らして、会見を切り上げた。自分の「完勝」を確信したに違いない。これは、菅氏の癖だ。官房長官時代に衆院解散、総選挙に関連して、記者団をケムに巻いたときもそうだった(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/40957)。

 ようするに、梶田氏は振り上げた拳を、自ら下ろしてしまったのだ。完敗である。

 すると、政権批判で有名な元文部科学事務次官の前川喜平氏がツイッターで、梶田氏にこう噛みついた。「梶田学術会議会長は、何をしに官邸まで行ったのか。腰砕けもいいところだ。菅首相の思う壺にはまってしまった。情けない」(https://twitter.com/brahmslover/status/1317043553172779009)。

 なんとまあ、正直なことか。前川氏のいらだちが目に浮かぶようだ。それはともかく、私はこれを読んで、かつての学生運動の末期を思い出した。過激派が穏健派をなじったときの口調と、まったく同じなのだ。こういう台詞が出てくると、戦いは終わりである。

Photo_20201030070801

 前川氏だけではない。立憲民主党の蓮舫代表代行もツイッターに「『任命見送り説明なし』これがニュースの見出し、でしょう。双方が6名削除に触れずにどんな『未来志向』があるというのか」と投稿した(https://twitter.com/renho_sha/status/1317234249460707328)。

 本来なら、梶田氏に怒りをぶつけるところだが、なんとか思いとどまって、マスコミに文句を付けている。八つ当たりである。一般人によるツイッターの投稿を見ると、梶田氏について「呆れてモノが言えない」「学者バカ」などと厳しい批判がある一方、「梶田氏を責めるのは、かわいそう」といった同情論もある。

 まさに内ゲバだ。内ゲバは闘争に破れたガックリ感から始まる。過激派は穏健派を軟弱と追及し、穏健派は呆れて、次第に運動から離れていく。

左翼が同じ失敗を繰り返す理由

 ここからが本題である。なぜ左翼は失敗を重ねるのか。

 それは、彼らが「反権力」を至上命題にしていて、権力と戦うためには、どんな理屈でも持ち出すからだ。争点はなんでもいい。理屈もなんでもいい。それぞれ勝手な理屈を掲げて戦いを始める。だからこそ、ひとたび敗色が濃厚になると、次は理屈の争いになる。

 「オレの言ってることが正しい」「いや、それは甘い。オレの話こそが根本だ」「それより、こっちの話が現実的ではないか」「そんなことはどうでもいい。大事なのは攻めているかどうかだ」などと言い争いを始める。本来の敵に勝てないからこそ、身近な同志を敵視するようになる。

 実は「どれが正しいか」など、だれにも分からないし、証明もできない。現実に根ざした主張ではなく、頭でっかちの理屈にすぎないからだ。学術会議問題で言えば、最初の「学問の自由に対する侵害だ」という主張が、まさにそれだった。

 いったい、学術会議の会員になれないと、どうして学問の自由が侵害されるのか。

 学問は大学でも公園でも、それこそベッドの上でも、どこでもできる。そもそも、学術会議は学問研究をする組織ですらない。むしろ独自の研究を妨害したのは、コラムで紹介してきたように、学術会議自身だった。学問の自由を守るためには、左に傾いた学術会議などないほうがいい。

 にもかかわらず「学問の自由」だの「任命拒否は法律違反」だのと、まったくレベルの異なる勝手な理屈を言い出すから、最後は「オレの言い分が正しい」とケンカになる。

 これに対して、普通の人々はどのように政治と社会を考えるか、と言えば「自分の税金が無駄なく使われるように、政府の統治(ガバナンス)がきちんと機能しているかどうか」が根本だ。そのうえで、税金の使い道について議論を戦わせ、最終的には選挙で決着をつける。前提はもちろん、多様な意見の存在である。

 だが、左翼たちは「自分が正しい」が出発点で、かつ大前提だ。「民主的統治かどうか」とか「選挙の結果」などは2の次、3の次なのだ。たとえ、選挙で負けても「有権者がバカだ」くらいに思っている。それが古今東西、左翼の発想である。元左翼の私が言うのだから、間違いない(笑)。

 そんな身勝手な左翼を相手にしなければならない梶田氏に、私は同情する。梶田氏は学術会議で決まった話なので、首相に要望書を手渡さなければならなかった。だが、彼自身が確信的左翼とは思えない。いかにも自信なさそうな話しぶりを見れば、明らかだ。

 振り上げた拳を下ろせない連中は「梶田会長の不信任」を言い出すかもしれない。そうなると、騒動はますます泥沼化して、学術会議は解体的出直しを迫られるだろう。「ブーメラン」「内ゲバ」ときて、次はいよいよ「自爆テロ」に走るのだろうか(笑)。

Photo_20201030070001Photo_20201030070101

 学術会議問題、とうとう野党とマスコミ事実上の敗北宣言 

現代ビジネス 2020年10月30日(金)6時02分配信/長谷川 幸洋(ジャーナリスト)

「尻すぼみ」になった野党の追及

 日本学術会議をめぐる騒動は、政府を追及する左派マスコミの中からも「負け戦」と認める声が出てきた。野党は追及ネタが尽きてきた一方、肝心の学術会議は政府に対して、将来のあり方を検討する方針を表明している。まさに「負け戦」の様相だ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は10月28日、衆院本会議の代表質問で学術会議問題を取り上げた。どんな新ネタが登場するか、と思って、私はテレビ中継を録画して見たが、中身はまるで拍子抜けだった。おさらいのように、同じ質問をしただけだ。

 枝野氏は冒頭からえんえんと「彼らが目指す社会」を語り続け、学術会議問題に触れたのは、ようやく23分後だった。枝野氏は「推薦された方を任命しないのは条文上、明らかに違法」「任命しなかった理由は何か」「早く6名を任命して」などと訴えた。

 菅義偉首相は「憲法15条第1項で公務員の選定は国民固有の権利と規定している」としたうえで「必ず推薦どおりに任命しなければならないわけではない点は政府の一貫した考え」「理由については、人事に関することで答えを差し控える」などと答弁した。

 追及する側も答える側も、すでに報じられた内容ばかりである。

 ただ、立憲の軌道修正も明らかになった。彼らは当初、声高に「学問の自由に対する侵害」と主張していたが、代表質問では学問の「が」の字もなかった。それは10月16日公開コラムで指摘したように、学問の自由を侵害していたのは、学術会議自身だったことがバレてしまったからだろう(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76462)。

 学問の自由に対する侵害を主張しないとなると、話は単なる「政府の人事問題」に矮小化してしまう。首相に任命拒否を含めた人事権があるかどうか、であれば、あるに決まっている。もしないなら、学術会議は税金を使って、なんでも好き勝手にできてしまう。そんな政府機関を国民が認めるわけがない。

マスコミの報道も下火に…

 単純明快な話だから、野党は追及しようにも、線香花火のようにすぐ終わってしまうだろう。野党がそうかと思えば、左派マスコミも似たようなものだ。

 朝日新聞の編集委員である高橋純子氏は10月28日付の「多事争論」という署名コラムで、哲学者の故・鶴見俊輔氏を引用して、次のように書いた(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14674224.html? iref=pc_ss_date)。

 「負け戦のときに目を開いていることはたいへんに重要で、それが次のステップにつながる」(「戦争が遺したもの」)。以上は鶴見氏の文章だ。そして、彼女は書く。「学術会議の会長は、首相を前に目を閉じてはいなかっただろうか。勝負はまだこれから。私はあなたの背中を目を開いて見つめ、野性の念を送ります。ファイト」。

Photo_20201030071201

 私はこれを読んで、思わず苦笑を禁じ得なかった。なぜかと言えば、学術会議の会長に声援を送っているようでいて、実は「もはや、負け戦」と認めているからだ。目を開いていたか、閉じていたかなど、この際、どうでもいい。

 鶴見氏のように、彼女も、いまは「負け戦のとき」と認識しているのである。前段の文章を読むと、もっとはっきりする。彼女は「私が鶴見氏を敬愛するのは、闘いに身を投じつつ、『よい負け方』という選択肢も常に頭においているからだ」と書いていた。

 もはや、明らかだろう。いくら「勝負はまだこれから」などと言っても「負け犬の遠吠え」と言って失礼なら「負けを認めたくない者の悪あがき」にすぎない。先週のコラムで紹介したように、学術会議の梶田隆章会長と菅首相との会談は、梶田氏の完全敗北で終わった(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76652)。

 梶田氏は6人の任命を求める要望書を首相に手渡したものの、口頭では一言も任命拒否問題を持ち出さず、会議のあり方を政府とともに検討していく、と約束したのである。高橋氏は梶田氏を批判しても良かっただろうが、そうはせずに、精一杯の声援を送った。

 あからさまに批判したら、私が先週のコラムで書いたように、内ゲバになってしまうからだったのか。だが、鶴見氏を引用して送った声援は、敗北前提だった点を忘れてしまったのだろうか。私が彼女の立場だったら「負け戦」などという不吉な言葉は、けっして綴らない(笑)。

軍事研究を潰す「圧力運動」

 さて、左翼勢力が大学や研究機関に圧力をかけて、学問の自由を侵害してきた事実は、別の方面からも明らかになった。私は、北海道大学の奈良林直名誉教授にインタビューした10月28日付の産経新聞記事から、それを知った(https://www.sankei.com/politics/news/201027/plt2010270056-n1.html)。

 奈良林氏はそこで、軍事研究に反対する学者らでつくる「軍学共同反対連絡会」という団体が北大総長との面会を要求したり、公開質問状の送付を繰り返すなどして、研究を断念するよう圧力をかけていた事実を明らかにしている。

 この連絡会は軍事研究に反対する目的で、2016年9月に設立された。共同代表には、名古屋大学名誉教授の池内了氏、立教大学教授の香山リカ氏、岡山大学名誉教授の野田隆三郎氏の3人が名を連ねている(http://no-military-research.jp)。

 連絡会の「申し合わせ事項」によれば、参加者はメールで連絡をとりながら、ホームページやニュースレターで情報を発信し、次のような活動をしている(http://no-military-research.jp/? page_id=900)。

・必要な要請や抗議の提起とその取り組みを行う。
・日本学術会議・同会員への働きかけを行う。
・全国の各大学に軍事研究禁止の明確な見解を出すよう働きかける。
・様々な学会等へ働きかける。
・市民、学生との連携を重視し、追求する。
・学習会の講師派遣などを行い、全国のさまざまな軍学共同反対の活動を支援する。
・記者会見や情報提供などを通してメディアへ働きかける。
・ブックレットや市民向けのパンフを作成し、この問題の普及活動を行う。

Photo_20201030071501

 ここに記されているように、連絡会は主要な活動の1つに「日本学術会議・同会員への働きかけ」を掲げている。大学・研究機関への「申し入れ」も重ねてきた。連絡会のホームページをみると「筑波大学」「宇宙航空研究開発機構」「大阪市立大学」「山口大学」「大分大学」「岡山大学」「東京農工大学」「東海大学」「島根大学」などが彼らのやり玉に挙がっている(http://no-military-research.jp/? cat=11&paged=1)。

北大以外にも及んだ「被害」

 1例として、直近の2020年3月に出された筑波大学への要請文と同大の回答を紹介しよう(http://no-military-research.jp/? p=1717)。

 彼らは、防衛装備庁が安全保障技術研究推進制度として公募した研究開発資金供与に、筑波大学が応募した「高強度カーボンナノチューブを母材とした耐衝撃緩和機構の解明と超耐衝撃材の創出」研究について、次のように横やりを入れた。

 まず、大学への要請文で「軍事利用が明白な制度に最高学府である大学が応募することは、学問研究を本来の目的から逸脱させ、学問研究の軍事協力を推進し、軍事研究との訣別を誓った先人たちの痛切な反省を無にするものです」と断じている。

 そのうえで「様々な兵器や防衛装備品において、衝撃に耐える素材の開発は極めて重要な意味を持っており、貴学がこれを『民生にも使える基礎研究』と考えようと、防衛装備庁が20億円も出すのは兵器や装備品に利用するためにほかなりません」と決めつけた。

 そして「私たちは貴学の安全保障技術研究推進制度への応募・採択に強く抗議し、採択された研究を中止するよう申し入れます」と結んでいる。要請文だけではない。大学と学長に対して、日本学術会議の声明を引用する形で、執拗に質問攻勢をかけた。たとえば、次のようだ。

----------
日本学術会議声明では「安全保障技術研究推進制度では、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘しています。(略)
貴学の永田学長は国立大学協会の会長をされています。学術会議声明は「学術の健全な発展という見地から、むしろ必要なのは、科学者の研究の自主性・自律性、研究成果の公開性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実である」としています。このことは国立大学協会会長の立場でも強く政府に要請されていることと思います。(略)
国立大学協会は政府に対し、すべての国立大の総意として、「学術の健全な発展」のための科学・技術政策を要請していくべきではないでしょうか。ご存知のように多くの国立大学がこの制度への応募自体を否定している中で、大学として初めて防衛装備庁の大規模研究資金を獲得したことを国立大学協会会長の立場でどのように考えられているのか、お考えをお聞かせください。
----------

 これに対して、筑波大学は最終的に、次のように回答した。

----------
本制度の研究成果については、公募要領に「防衛装備庁が受託者による研究成果の公表を制限することはありません」と記載のあるとおり、防衛装備庁に制限されることなく広く一般に公表されるものである。その時点で、民間企業等も、大学等研究機関も、防衛装備庁も等しく研究成果を利用できるものであり、研究成果が利用されないという担保を取ることはできない。それは他の競争的資金制度での研究成果においても同様のことである。
上記のことから、研究期間中については、基本方針との整合性の確認を含め、継続的にフォローアップに取組み、これらが守られていないようであれば、直ちに研究を中止することとしているものである。
----------

 大学としては、ぎりぎり研究の自由を守る一方、中止の可能性もにじませて、なんとか連絡会の理解を得ようとした、苦しい立場が読み取れる。連絡会の申し入れを受けた別の大学や機関も似たような立場に置かれたであろうことは、容易に推察できる。

 連絡会が民間有志の集まりである以上、彼らがどんな活動をしようと、法に触れない限り、彼らの自由だ。だが、彼らの活動にとって、日本学術会議という政府機関が「錦の御旗」(産経インタビューでの奈良林発言)になっていたのは、隠しようもない。連絡会と学術会議が役割分担しながら「二人三脚」で、学問の自由を侵してきたのだ。

 北大事件について、連絡会のニュースレターは「北大が防衛省の軍事研究応募の3年目の継続申請を辞退したことは英断かつ快挙だ。一つには、大学が、私達の運動と世論、日本学術会議声明を無視し得なくなったからであり、画期的である」と書いている(http://no-military-research.jp/wp1/wp-content/uploads/2018/07/NewsLetter_No23.pdf)。まぎれもなく、彼らの「勝利宣言」だった。

 私は「北大事件」を紹介した10月9日公開コラムで「こうした例は北大に限らず、これまでたくさんあったのだろう」と書いたが、まさにその通りだった(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76267)。

 学問の自由を踏みにじる「左翼の圧力運動」は、多くの国民が知らない間に、あちこちのキャンパスと研究室で繰り広げられていたのである。菅政権はまず、学術会議の解体的見直しを手始めに、対応を急がなければならない。

Photo_20201030065801Photo_20201030070501

関連エントリ 2020/10/18 ⇒ 【千人計画】✍流出する「日本人研究者」なぜ中国へ行くのか
関連エントリ 2020/10/09 ⇒ 【第99代首相】見えてきた✍菅政権の「南北朝鮮政策」
関連エントリ 2020/10/07 ⇒ 【日本学術会議】“あり方”を巡り✍政府<検討委員会>立ち上げへ

 

« 【座間9人殺害】公判✍白石被告「“承諾殺人”ではない」 | トップページ | 【耳学】✍知らなかった!「お風呂掃除」の知恵袋 »

経済コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 【座間9人殺害】公判✍白石被告「“承諾殺人”ではない」 | トップページ | 【耳学】✍知らなかった!「お風呂掃除」の知恵袋 »

無料ブログはココログ
2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31