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2020年10月28日 (水)

【座間9人殺害】公判✍白石被告「“承諾殺人”ではない」

 〔強盗強制性交殺人罪など〕白石被告、承諾殺人を否定ー東京地裁 

時事通信 2020年10月28日(水)17時48分配信

 神奈川県座間市のアパートで10~20代の男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が28日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)であり、6番目の被害者となった福島市の女子高校生=当時(17)=に関する被告人質問が行われた。

 被告は殺害の承諾や同意があったか問われると「ありません」と答えた。

 被告は女子高校生について、「恋人と別れ、顔にも自信がないと言っていた。好きになってくれる人を求めて(自分の所に)来たと思った」と話した。

 被告人質問に先立ち書証調べも行われ、検察側は、女子高校生が2017年9月27日に福島駅から高速バスで東京都内へ移動し、翌28日に被告と合流して座間市のアパートを訪れたと説明。事件について「絶対に信じたくない気持ち」「犯人が許せない」とする女子高校生の母親の供述調書も読み上げられた。

 一方、弁護人は、女子高校生の友人らが捜査段階で語ったとされる内容を紹介。女子高校生が事件前、たびたび「死にたい」などと口にしていたと述べた。 

白石被告、捜査段階も「同意なかった」供述 5人目被害者巡り

毎日新聞 2020年10月28日(水)20時27分配信

 神奈川県座間市のアパートで2017年に9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判は28日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で、5人目の被害者とされる埼玉県春日部市の女性(当時26歳)の事件に関する白石被告の捜査段階の供述調書が読み上げられた。「(女性は殺害に)同意していなかった」と供述していた。

 検察側が読み上げた供述調書によると、女性は17年9月24日、白石被告と会った後に「寝ている間に殺してほしい」と伝えたという。9人の被害者の中で、会った後にも「殺してほしい」と言ったのはこの女性だけだったというが、白石被告は「(女性を襲った際に)抵抗していたので(殺害への)同意はありえない。私がしたことは殺人罪に当たる」と話していた。白石被告は27日の被告人質問では、殺害の経緯について「正確に記憶していない。捜査段階の方が記憶が新鮮だと思う」と述べていた。

 公判は6人目の被害者とされる福島市の女子高生(当時17歳)の審理に入った。被告人質問で白石被告は「(女子生徒は)金払いがよかった。ヒモになるつもりで口説いた」と述べ、当初は殺害するかどうかを見極めていたが、眠っている姿を見て襲うことを決意したと説明した。

 女子高生の母親の供述調書も読み上げられた。「娘が本当に死にたかったとは到底思えない。17歳で命を絶たれ、悔しくて残念。のうのうと生きている被告を許せない。死刑になってほしい」と心情を吐露していた。

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年10月28日(水)6時01分配信/渋井哲也(ジャーナリスト)

「失神した女性でなければ…」白石被告が法廷で明かした異常な“こだわり”

「4人目を殺害後、失神した女性でなければ、快感を得られなくなった」

 2017年10月に発覚した神奈川県座間市のアパートで男女9人を殺害した事件の裁判員裁判が、10月27日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われた。この日は、5人目に殺害したEさん(当時26、女性)に関する被告人質問が行われた。

Eさんの悩みは、「家族から愛されたい」

 白石隆浩被告(30)は、4人目のDさん(当時19、女性)を2017年9月16日に殺害した後、殺害していない女性と同意の上で性行為をしたが、「快感が足りなかった」と証言した。失神した状態で強制性交をすることが目的化していくことを明らかにした。

 冒頭陳述等によると、Eさんは当時無職。弁護側が明らかにしたEさんの悩みは、「家族から愛されたい」というものだった。19歳で夫と結婚。長女を出産する。しかし、家事や育児がうまくできないことから、夫の両親とはうまくいかず、夫と長女と3人で暮らすようになる。その後、Eさんの両親が中古の戸建てを購入。3人はその住宅で暮らすようになった。

 しかし、夫には十分な収入がなく、お金のことで喧嘩になることもあった。そのため、1回目の離婚をする。ただし、3人の生活は続き、復縁する。Eさんは長女を保育園に預けて働こうと思っていたものの、長女に発達障害傾向があり、保育園がなかなか決まらなかった。そのため仕事を始められず、実母から責められることになる。育児疲れから、自殺未遂をしたこともあるが、常に夫が止めていた。

〈いつごろがいいですか? 早く死にたいです〉

 2017年8月30日、夫と2度目の離婚をする。そして、元夫は長女を連れて、自分の実家に住むことになる。自宅はEさんの両親が3人の生活のために購入したものであり、実母は「家から出ていくように」と言ってきた。Eさんは頼る先がなくなった。

 9月23日午前3時8分、EさんはTwitterで、一緒に自殺をする相手を募集するツイートをする。それをきっかけに、白石被告のアカウント「@_」とやりとりが始まる。

@_ フォローありがとうございます。まだ探していますか? 一緒に死にましょう。

Eさん 探しています。よろしければ、ご一緒に死にましょう。

@_ いつごろがいいですか? 早く死にたいです。

Eさん 奇遇ですね。私も今すぐ死にたいです。

@_ 方法は?

Eさん 確実に死ねるなら何でもいいです。

@_ 首吊りはどうでしょうか?

Eさん 問題は場所ですね。失敗したら苦しいので(経験済)

 このやりとりについて、白石被告は「会うことが目的でした。会ったのちに、お金を引っ張るか、もしくはレイプして殺害するか」と検察官に答えている。

「同じ年齢のほうが信用されやすいと思った」

@_ 成功させましょう。森や公園は、整備されたところだと警備は厳しい。整備されていないところだと、樹海のようでとても入りにくい。Eさんの部屋か私の部屋でどうでしょうか?

Eさん 自分の部屋は失敗しています。

@_ 自分の部屋ではどうでしょうか?

Eさん 今日会えればいいのですが。性別や年齢を教えてください。

@_ 大丈夫です。何時ごろがいいですか。26歳男性です。

 このときのやりとりは、白石被告の自宅へ誘い込むための誘導だった。そして、これまで「24歳」と言っていた白石被告だが、今回は本当の年齢を告げた。なぜか。その理由について「Eさんのプロフィールに26歳とあったため、同じ年齢のほうが信用されやすいと思った」と話した。

 ただ、Eさんは日にちをずらす返信をする。

Eさん 1日だけ待ってもらっていいですか? 会いたい人がいます。

@_ まだ幸せになれそうなんですね。

Eさん なれないです。救ってくれるといいんですが。

@_ 元気出せそうなら、死ぬのは中止にしましょう。

Eさん 本当は死ぬ気がなかったんです。でも、2日前から連絡がなくて。

@_ 心の大部分を占めていたものがなくなれば、苦しいですよね。

Eさん 最近、人の感情がわからないんです。

@_ いろいろあって人を信用できないんです。父とTwitterで会った人くらいです。

Eさん お父さんがいればいいじゃないですか。

@_ でも、6年会っていません。両親は離婚しましたし。

Eさん 同じ境遇ですね。自分は話を聞くことはできます。

@_ 死ぬしかできません。

Eさん 一緒に死にましょう。

 こうしたやりとりについて、白石被告は「いい人だと思わせるため」と述べた。

同意に基づく性行為では……

 実は、失神した女性をレイプするという白石被告の“こだわり”が強まるのは、4人目のDさん殺害後だ。

 1人目のAさん殺害より前、お互いの同意に基づいて性行為をしたXさんがいたという。筆者が拘置所で白石被告と面会したときに殺害しなかった4人の存在をあげ、そのうちの1人とは「交際していた」と言っていたが、このXさんのことだろうか。Xさんとは、Dさん殺害後にもう一度会って、同意に基づく性行為をした。その時のことについて、法廷でこう述べた。

「事件前に知り合ったXさんと同意の上で性行為しました。4人を殺害後にも、再びXさんと同意の上でセックスをしたのですが、射精ができませんでした。興奮が足りなかったのです。レイプされることがわかっていない状態で襲うことに興奮しました。いきなり女性に襲いかかることが楽しみになりました。普通の性行為よりもスリルを感じたのです」

 また、弁護側の質問にほとんど黙秘していた白石被告だが、こうも答えている。

「今、冷静に考えれば、いきなり女性を襲うことも楽しみだったと推察します」

女性を無理やり襲うこと自体も、事件の動機だった?

 ただ、弁護側としては初耳だったようで、「そのことはこの公判で初めて言いましたよね?」と問いただした。白石被告は「取り調べでは話したかもしれない」と述べた。弁護側は「それは動機に関わる重要なこと。楽しみと話していたら、必ず調書に書かれているはずだが、書かれていない」と再度問いただす。

 それに対して、白石被告は「失神後の女性との性行為については話したが、そもそも、女性を襲うこと自体について、捜査段階で深掘りがされなかったのだろう。初めて言ったのかどうかは思い出せません」と答えた。つまり、失神後にするレイプだけでなく、抵抗している女性を無理やり襲うこと自体も、事件の動機だったことになる。これが当時の感情なのか、今の感情なのか、現段階では判断できない。

壮絶な犯行現場「ノコギリで首を切り落とし、ぴちゃんぴちゃんと血が一滴ずつ落ちて…」

 神奈川県座間市のアパートで男女9人を殺害した事件をめぐる、白石隆浩被告(30)の証言は続いた。

 10月27日の法廷では、5人目に殺害されたEさん(当時26、女性)の場合は、それまでの4人と違って、部屋で話をして、薬や酒を飲ませて、眠くなってきた状態で襲ったわけではないことが明らかになった。Eさんは、元夫とLINEをしたり、電話をするために、白石被告のアパートを少なくとも5回以上は出入りしていたという。

「私が寝た後で、殺してください」とEさん

 Eさんは、2017年9月24日7時台に相武台前駅で白石被告と合流している。8時ごろには、部屋についているが、その後、元夫とLINEをしている。

Eさん 今日会えない。出かけることにした。

元夫 大丈夫?

Eさん さいなら。

元夫 どうした?

(その後、元夫から4分55秒の通話)

元夫 連絡して。

(その後、Eさんから40秒の通話)

Eさん 死ぬの怖い。

元夫 ちゃんと話し合おう。

Eさん うちが死んだら悲しい?

元夫 悲しむよ。あたり前だろ。

Eさん ありがとう。今、吊っているけど、うまくいかない。

元夫 やめたら。

Eさん やめないよ。みんな私を煙たがっている。

 こうしたやりとりをした後、Eさんはまた白石被告の部屋に戻る。部屋に来る前、Eさんは「私が寝た後で、殺してください」と白石被告に話をしていた。しかし、部屋に来たときには、Eさんは何度も出入りをしていたため、ヒモになれるのかどうかの見極めに時間がかかった。

バッグの中にあったポーチから、所持金数千円を奪った

 そのため、白石被告は「(Eさんが)帰ってしまうのではないか」と考え、Eさんが部屋に戻ってきたときに、玄関の鍵を閉め、薬やお酒が十分に効いていないかもしれない段階で襲った。

「Bさん、Dさんを殺害するときは、薬やお酒が効き、床に手をつき、ぐったりしていた状態のときに、いきなり背後から胸を触って、首を絞めるという手順でした。しかし、Eさんの場合、急に襲って、胸を触らずに、首を絞め、引き倒したという記憶があります。(Eさん以外の)他の人は部屋で話し込んでいたのでそうしましたが、Eさんの場合は、出入りを繰り返していましたので、部屋に戻ったときに急に襲いました」

 襲いかかる時、壊れないようにメガネを外し、浴室に置いていた。その後、レイプをして、下着や上着を着せて、ロープに吊るし、バッグの中にあったポーチから、所持金数千円を奪った。そして、30分から1時間放置し、死亡確認をした。検察側の質問にこう答えた。

「立ち姿勢か、座り姿勢だったかは覚えていないが、背後から右手で首を絞め、左手で顎や口をおさえました。首を絞めるときは、Eさんの顔を見ていません。もし、指で目を突かれたら困るから、顔はEさんの胸やお腹の付近にありました。基本的には相手の指が届かない位置です。

 その後、失神するまでの記憶はありません。おなかを殴ったかどうかは記憶にありません。やったかもしれないし、曖昧です。失神したとわかったのは、相手の抵抗がなくなったからです。一方的な格闘でした。私のほうが力が強いからです。失神後は、陰茎部を挿入し、射精しました」

首を切り落とすための時間は1分から3分

 首を吊った後、放置している中で、遺体を解体するため、ノコギリや包丁の準備をした。

「包丁で皮を剥ぎ、ノコギリで首を切り落とした。切り落とすための時間は1分から3分。切り落とした後は、血抜きをするために、30分から1時間放置しました。最初は水道から水が出るように血が出ているのですが、そのうち、ぴちゃんぴちゃんと血が一滴ずつ落ちている状態になり、血抜きが終わったと判断しました。

 その後、大きな骨と頭部は、猫砂を入れたクーラーボックスの中に入れました。しばらく胴体は浴槽に浮かせて、腐敗を防ぐために、ロックアイスも入れました。消臭のため、柔軟剤を浴槽に入れたり、浴室の換気部分にかけました」

 白石被告は、1人目のAさん殺害後は頭痛に悩まされたという。しかし、Eさん殺害では頭痛などの症状はなかった。コンビニで買ったペペロンチーノやサラダチキンを食べていた。

「食欲の減退はありませんでした」

遺族は「罪を償ってほしいです。死刑を求めます」

 前日、Eさんの母親が証人として出廷。「事件が起きてからすごく苦しくて、これからも苦しい思いをしていかなければならない。そのことをわかってほしい。被告人には少しでも苦しさを理解してほしい。罪を償ってほしいです。死刑を求めます」と涙ながらに証言した。

 また、元夫も証言し、「離婚したのは、一度離れてみようと思ったから。娘とも2週間に1回は会う約束をしていました。最後に会ったのは9月20日。元妻はいつもと変わらない様子でした。(事件後の)9月27日には、これからどうするかの家族会議が開かれることになっていました」などと話した。

 ちなみに、Eさんがいなくなって、母親は警察に行方不明者届を出している。そのとき、Eさんの家にいくと、正面玄関には「おそ松さん」グッズが大量に置かれており、勝手口から家の中に入ったという。そして、テーブルの上にあった名前や作成日はないメモには、「ひつようとされていない。じゃまものあつかい。きらわれもの、もういやだ。こんどこそせいこうさせよう。じさつしたひとがうらやましい」などと書かれていた。

 ただし、この日の法廷でも、白石被告は承諾殺人を否定した。

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 神戸教員いじめ事件」大バッシングを受けた加害者たち“その後 

現代ビジネス 2020年10月28日(水)7時31分配信/秋山 謙一郎(ジャーナリスト)

 やはり、もう、教壇に二度と立つことはないのだろう。犯した罪は、それだけ大きかったということだ。

 昨年、2019年秋に発覚した神戸市教員間いじめ問題で、今年2月、いじめ行為を行っていた加害4教諭のうち、蔀俊、柴田祐介ら両教諭に懲戒免職処分、“女帝”とよばれ、いじめの黒幕とされた40代女性教諭と、その使い走りといわれる30代男性教諭に、それぞれ停職3ヵ月、減給3ヵ月の処分が下された(拙稿『神戸「教員いじめ・暴行事件」、加害者たちは今何をしているのか』)。

 いじめ被害にあった教諭も、関係者によると、すでに復職、現在は、事件の舞台となった神戸市立東須磨小学校とは「別の小学校で心機一転、元気に勤務している」ことから、事件そのものは、コロナ禍での喧噪もあってか、日を追うごとに風化の一途へと向かいつつある。

 だが、事件の舞台となった神戸市民はもちろん、小学生の子を持つ親にとって、やはりこの事件は、未だ忘れられるものではない。

教育現場復帰は現実的ではないが…

 「もしかしたら、また復職して、うちの子の担任になるのではないかと思うと不安でたまりません」

 こう語るのは、神戸市内に住む小学校4年生の子を持つ母親だ。神戸市民のみならず、全国にいる小学生の子を持つ親の不安は、まさに、「やがて、いじめ加害教諭が復職、自分の子の担任になるのではないか」という一点に尽きよう。

 もっとも、懲戒免職となった蔀、柴田の2元教諭は、すでに教員免許状が失効、神戸市以外の自治体や私立学校での教育現場復帰は、もはや現実的ではない。

 制度上、失効した教員免許状の再申請も可能ではあるものの、これだけ世間を騒がせた事件の当事者であることから、他自治体や私立学校が「教諭職」として、あらたに採用する可能性は、ほぼゼロだからだ。

 「わざわざ、世間を騒がせて、いじめ事件の当事者として名が知られている“元教諭”を採用する自治体はない。私立学校でも、二の足を踏むだろう。そんなリスクを取らなくても、もっと教員として相応しい人格の、若い優秀な人は、募れば大勢いるのだから」

 このように、神戸市の小学校で校長を最後に退職した校長経験者は、懲戒免職となった2教諭をはじめ、事件に関わり、その後、神戸市教育委員会へと異動となった加害2教諭と、事件の大きな遠因を作ったとされる前々校長(元校長)らの教育現場復帰は、「まず、あり得ない」と断言する。これは概ね教育関係者たちの間では衆目の一致した見方だ。

仁王前校長は何をしているのか

 さて、前出の校長経験者が言う、「事件に関わった者たち」のうち、事件発覚時の校長、仁王美貴前校長だけが抜けていた。これは、その受けた処分が「監督責任のみを問われたもの」だからだそうだ。

 そうすると事件で処分された者のうち、唯一、仁王前校長のみが、教育現場復帰の含みが残されているといったところか。神戸市教育委員会(以下、市教委と略)に問うてみた。

 「まず、ありません。すくなくとも、今年度、来年度といった期間では、ありえません」

 市教委によると、仁王前校長は、事件後、市教委の上席にある者から、「厳しい内容を持つ研修の意味合いを含めた説諭」(市教委)を受け、校長職を外された。そして市教委へと異動。現在は、ここで事務の仕事に就いている。特に研修を受けることを求められておらず、ごく一般の勤務を行っているという。これは教員や公務員らによると、その世界では、すでに「禊は済んだ」という理解だ。

 とはいえ、事件時、55歳だった仁王前校長の年齢、先の市教委の回答を踏まえると、実質的に教育現場への復帰の道は閉ざされたものとみるのが妥当かもしれない。

前々校長と加害2教諭の現在

 もっとも、教員世界、あるいは公務員のそれでは、皮一枚、首が繋がった格好の仁王前校長とは異なり、他の事件関係者は、すでに懲戒免職となった蔀、柴田の2教諭を除き、現在も、事件への反省を余儀なくされており、教育現場復帰は、完全に閉ざされたといえよう。

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 「前々校長の芝本、残る加害2教諭については、市教委にて、カリキュラムを組み、研修を受けさせています」(市教委)

 その内容は、芝本前校長がパワハラ、残る加害2教諭がいじめやハラスメントといった内容への理解を深めるものだそうだ。彼らは、現在、市教委で勤務の傍ら、上席者の指導の下、時にワークショップ型の研修を施されているという。その主眼とするところは、関係者によると、あくまでも、「教育関係職としてふさわしい適格性を養うためのもの」だという。実際、彼らは、事件後も、その職種は「教諭」のままだ。

 こうしてみると、やはり、遠い将来、事件のほとぼりが冷めた頃、彼らが教育現場に舞い戻ってくる可能性が残されているようにも思える。そうした記者の声なき声に応えるかのように、市教委は、こう回答した。

 「研修の目的は、教育現場復帰を目指すためのものではなく、教育委員会という教育に携わる場で働く者として、必要なそれを身に着けさせるためのものです」

 教育行政を掌る教育委員会の仕事は、学校教育、図書館や公民館といった社会教育、その他、ありとあらゆる事務と多岐に渡る。そのどれもが、教育という一点に集中する。そこでの事務の仕事を行うといえども、やはり教育に携わる者としての適格性が必要だ。そのための研修であり、決して、「来る教育現場復帰に備えてのそれではない」(市教委)という。

加害側に取材を申し込んでみると…

 さて、この事件処分者への待遇について、前出の神戸市校長経験者らに謎解きをしてもらった。その内容は概ね、次の通りだ。

 「監督責任のみを問われた仁王前校長は、定年退職後、例えば児童館など、教育関連職での再就職の可能性が残されている。そして神戸市の校長や教員経験者OB・OGの集まりでも、それなりの居場所を用意されるはずだ。ただし叙勲は難しいだろう」

 対して、厳しい処遇が続く、芝本元校長、残る加害2教諭については、定年後も茨の道が強いられそうだ。

 「勝手にマスコミに登場し、単独で取材を受けた芝本元校長は、もう居場所はない。定年後、すくなくとも神戸市の教育関連職への再就職への斡旋もなければ、採用もないだろう。当然、叙勲もない。残る加害2教諭も同じ」

 一般人には窺い知れない処遇の差は、このような形で“処分”として続くのだ。これが生涯続く。これこそが彼らにとっての罰なのかもしれない。

 しかし、それでも、ごく一般の市民感覚では、彼らが手厚い公務員身分に守られ、安定した給与を手にしながら、勤務の傍ら、研修という名の“お勉強”を税金でさせて貰っていることに、すくなからず怒りを覚える向きもあるだろう。

 そんな彼らは、今、何を思い、事件にどう向き合ってきたのか。市教委に、加害2教諭と、仁王前・芝本元両校長への取材を申し込んでみた。その回答は「仲介は致しかねます――」(市教委)と、にべもないものだった。

 ところが、「市教委として仲介はしないが、マスコミ側が本人と接触、本人が単独で取材を受けることについては市教委側は関知しない」(同)と言う。

 裏を返せば、これはもう、「いちいち市教委や神戸市を通さず、好きに本人とコンタクトを取れ」という意味と理解できる。事実、市教委幹部のひとりは、私的な意見と前置きしつつ、「組織としてマスコミ取材から彼らを庇いだてやしない」「ノーガード」と語った。

 市教委としても、もう、彼らを、持て余しているようだ。

 もちろん、これまでにも、懲戒免職となった蔀、柴田の2元教諭を含め、彼ら事件処分者たちに取材受けの交渉を行ってきたが、現時点では、残念ながら捗々しい回答を得ることができなかった。

公務員はこんなに手厚く守られている

 神戸市教諭の身分を持つ彼らは、今でこそ教壇にこそ立っていないものの、歴とした教育職の公務員だ。市民への責任がある。今日明日とは言わないが、事件後から今日まで、どう過ごし、何を思うのか、公務員として、みずからの声で市民に説明しても罰はあたらないだろう。

 懲戒免職処分により、「神戸市や市教委とは、もう何の関係もない人」(市教委幹部)となった蔀、柴田の両元教諭も、今では“元”がつくとはいえ、やはり公務員、その身分は手厚く守られている。教育関係者や弁護士らによると、彼らが、みずからに下された処分が重たすぎるとして訴訟を起こせば、それが覆る可能性がまだ残されているからだ。

 もし、司法が、そのような判断を下せば、細かい手続き上の問題はさておき、「神戸市教諭」として復職、その際には、「懲戒免職後から復職時までの給与、ボーナスなどの支給が行われることになる」(弁護士)という。

 あくまでも仮定の話だが、もし懲戒免職となった2教諭が復職した場合、他の加害教諭らと同様、「市教委で研修を受けつつ事務を執る」仕事に就き、そのまま定年退職を迎える公算が強い。

 かくも公務員とは、一度、なってしまえば、辞めてもなお、手厚く守られる。はたして、これは、今の時代、市民に受け入れられるのだろうか。

 教育職であるか行政職であるかどうかを問わず、懲戒処分を受けた公務員は、その後、懲戒理由となった事件に、どう向き合い、何を思ったか、一定期間、地方自治体や教育委員会のHPなどで、これを市民に伝えるような仕組みを制度化が急務である。

 そうでもしなければ、彼らもまた、ずっと、ネットを通した大勢の声に苦しめられることになる。声をあげるネット民のなかには義憤に駆られて、あらぬ行動に出る者もいるかもしれない。そうした暴挙を事前に防ぐためにも、市教委による彼らへの“処分後の対応”の可視化が必要だ。

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関連エントリ 2020/10/27 ⇒ 【座間9人殺害】公判✍被害者遺族「“殺害同意”あり得ない」
関連エントリ 2020/10/13 ⇒ 【耳学】“犯罪者天国”✍「南アフリカ共和国」警察機構の闇
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