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2020年11月

2020年11月30日 (月)

【タイソン54歳】15年ぶり<エキシビション・マッチ>元4階級王者を圧倒!!

 海外メディアは54歳タイソン復帰戦“ドロー”に終わるも高評価「茶番ではなかった」「史上最高エキシビション 

THE PAGE 2020年11月30日(月)6時30分配信

 プロボクシングの元ヘビー級3団体統一王者のマイク・タイソン(54、米国)と元4階級制覇王者、ロイ・ジョーンズ・ジュニア(51、米国)のレジェンド2人が拳を交える注目のヘビー級エキシビションマッチが28日(日本時間29日)、米国ロサンゼルスのステープルズ・センターで無観客試合として行われ、両者は8ラウンドをフルに戦い“ドロー”に終わった。2分×8ラウンドの特別ルール。正式なジャッジはなかったが、WBCの元王者ら3人の特別ジャッジがリモートで非公式採点を行い3者3様の引き分けと判定した。

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 15年5か月ぶりのリング復帰となったタイソンは、45キロもの減量をし鍛え上げた肉体でこの試合に挑み、随所に54歳とは思えぬ、小刻みに上体を揺らす往年の動きと、フック、ボディのパワーを披露。一方のジョーンズは、クリンチでその攻撃を止めるが精一杯で、米の専門メディアの調査によると、データのトータルは、タイソンが193発中67発(ボディが35発)の効果パンチを放ち、ジョーンズは236発中37発(ボディが4発)というものだった。

 試合はタイソンが優勢で、元2階級制覇王者で映画の題材にもなったビニー・パジェンサがつけた「80―76」でジョーンズ支持のフルマーク採点は理解できないが、それもエキシビションゆえのリスペクトだったのか。米英メディアは、この試合に総じて高評価を与えた。

恥ずかしい試合ではなかった

 米ヤフースポーツは、「タイソンとジョーンズの合わせて105歳のボクサーがリングに復帰した。(試合は)悪くなかった」と伝えた。
 記事は「公式な採点はなかったが、WBCからの有名人によるジャッジはドローとした。ヤフースポーツ採点はタイソンに6ラウンドを付け、78-74とした」と紹介。

「50歳以上の男が戦うというアイデアは良いものではないが、懸念にもかかわらず、ショーとしては面白かった。演出は一流で合間の音楽も良く、これらが試合を上回ることもなかった」と評価した。

 さらに「昔の戦いからはほど遠いパフォーマンスだったが、恥ずかしいものでもなかった。カリフォルニア州アスレチックコミッションのアンディ・フォスター氏が『彼らは激しく、しかしお互いに殺し合おうとはしないように戦う』と語っていたように戦った。両選手は3ラウンドまでに激しく息をしていたが、最後までやり遂げた。彼らは2分の8ラウンドを戦い、プロのヘビー級が使用する10オンスの代わりに12オンスのグローブを着けた。だが、茶番のようには見えずレジェンドたちが取り組む様子を見るのは楽しかった」と伝えた。

 米CBSスポーツは、「タイソンとジョーンズのレジェンドによる土曜日のエキシビションマッチは、リングで何が起こるかを予想するのは不可能だった。合わせて105歳という年齢や、ルールの不確かさが予想をさらに難しくしていた。だが彼らはWBCが指名したジャッジの採点で引き分けとなる2分8ラウンドの間、できる限りハードに戦った」と絶賛した。

 試合内容については、「どちらの男も適切な量のパンチを打ち込むことができず、荒れるぎりぎりのところだった。レフェリーのレイ・コロナ氏によってほどかれるクリンチになる前に両者ともに1度にパンチ2発以上を放つようには見えなかった。ジョーンズはノールックジャブや足の動きといった往年のスタイルをちらりと見せた一方で、タイソンは、時折彼の代名詞である左フックを少し離れた距離から決めた」とレポートした。

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 米フォックススポーツは「完全なる狂気のタイソンが戦って見せるが、復帰戦はどういうわけか引き分けに終わる」との見出しを取り、「タイソンとジョーンズは存在感を見せた。ただ我々が見慣れたものとはいかなかった」と伝えた。

 記事は、「54歳のタイソンは優勢に見られたにもかかわらず、快く引き分けを受け入れた」と大人の対応を見せたタイソンに注目。

「ノックアウトパンチもなかったが、迫力に欠けるスパーリングセッションとなる恐れは、元ヘビー級王者のタイソンがスリルを大衆に楽しませようと序盤に前に出たことでなくなった。我々は、何を見ることになるか分からなかったが、両者の顎は持ちこたえた。印象的だったのは、ラウンド後半までまだ試合があったことだった」と、1ラウンド2分の特別ルールだったとはいえ、準備を積んだ2人が、フルラウンドを戦い切ったことを称えた。

 英国のBBCは「タイソンとジョーンズが『エキシビションマッチ』で人を惹きつけるドロー」という見出しを取り、「エンターテインメント性を十分に引き出したことで、この2人が金儲けのための茶番をつくり上げるのではないかの不安は消えた」と称えた。

 同記事はタイソンの試合後の「さらに踏み込んでもっとやり続ける」とのコメントを紹介した上で、ヘビー級の“レジェンド”ジョージ・フォアマンの『これまで見た中で最高のエキシビションだった』とのツイートや、元2階級制覇王者のデビット・ヘイ氏の「試合は好戦的だった」とのコメント、元WBC世界スーパーミドル級王者のリッチー・ウッドホールの「2人のどのような姿、体形でも面目を失わなかった」とのコメントを掲載した。

 一方、厳しい見解を伝えたのが、ボクシング専門サイトのBoxingnews24.comだ。

「タイソンとジョーンズは土曜日夜に行われた50ドル(約5200円)のペイパービューによるエキシビションマッチで失望の8ラウンド引き分けを戦った」と報じた。

「審判たちはペイパービューで今後もエキシビションマッチを売り続けたいタイソンにとって良くない引き分け試合とした」と紹介した。 公式採点はなかったが、WBCが用意した特別ジャッジの元WBC女子世界スーパーウェルター級王者のクリスティ・マーティンは「79ー73」でタイソン、元WBC、IBF世界ライトヘビー級王者のチャド・ドーソンは「76-76」のドロー、そして前出のビニー・パジェンサは「80―76」でジョーンズに付けてドローとなった。

「今後、タイソンはファンが見たいと興味を示す相手と対戦しない限り、もう試合を行うのは難しくなるかもしれない。何よりもファンは今夜のイベントを台無しにしたジョーンズの汚いホールディング行為のない本当の戦いを見たがるだろう」と、反則ギリギリのクリンチ作戦でタイソンの攻撃を封じたジョーンズを批判した。
 さらに「タイソンが今後もエキシビションマッチを続けるためにはノックアウトを奪う必要がある。ファンは、相手に対して気楽に構えるタイソンを見るために50ドルを払いたくはならないだろう」と厳しい意見を掲載した。

 試合後、タイソンは、「次のエキシビションマッチでは、さらに動きがよくなるだろう。私はまた再び戦う」と、第二章があることを宣言した。

 英国のメトロ紙によると、タイソンは南フランスでのエキシビションマッチを計画しているという。「54歳の鉄人タイソンは、ここを彼のボクシングの旅路の終わりとは考えておらず、この戦いの主要目的である慈善活動をさらに進めるため、グローブをもう一度手にしたがっている。彼は、フランスで欧州の選手と対戦できるというエキシビションマッチ計画を持ちかけた。彼と共にリングに上がりたがっているボクシング界のレジェンドたちは数多くいる」と説明。タイソンは、「2カ月ごとに定期的にエキシビションマッチを行いたい」とも語っているという。

 マッチメイク次第では、54歳とは思えぬ動きを見せたタイソンがKOシーンを演出するのも可能だろう。そのうちタイソンはリアルファイトを求めるのかもしれない。

 タイソン初黒星」「耳噛み」「破産」「大麻etc.破天荒ヒストリー 

スポーツ報知 2020年11月30日(月)6時00分配信

プロボクシング ▽エキシビションマッチ8回戦 マイク・タイソン(引き分け)ロイ・ジョーンズ・ジュニア(28日、米ロサンゼルス・ステープルズセンター)

 元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン氏(54)=米国=が、2005年6月以来、5649日ぶりのリング復帰で鉄人ぶりを見せつけた。元世界4階級制覇のロイ・ジョーンズ・ジュニア氏(51)=米国=との慈善目的のエキシビションマッチは、50歳過ぎとは思えない、スピードとスタミナで終始相手を圧倒。勝負はドローに終わったが「俺は人々を励ますために戦ったんだ」と笑みを浮かべた。

 ◆ タイソンの破天荒ヒストリー

  最年少記録 少年院でボクシングと出会う。1986年11月22日、WBC世界ヘビー級王者バービックを2回TKOで破り20歳4か月の史上最年少で世界ヘビー級王座を奪取。

  王座統一 87年8月1日、タッカーを判定で下し、WBA、WBC、IBFの史上初の3団体ヘビー級王座統一に成功。

  東京ドーム こけら落とし興行の88年3月に元王者タッブスを2回KOで粉砕。90年2月の防衛戦でダグラスにKOで敗れ、プロ初黒星を喫する。

  逮捕 91年に婦女暴行で逮捕。禁固6年、罰金3万ドルの実刑判決が下り95年3月まで収監。99年2月には暴行罪で約3か月収監。

  耳かみ事件 97年6月、WBA世界ヘビー級王者ホリフィールドに再挑戦し、3回途中に耳をかむ反則行為で失格負け。無期限のライセンス停止と罰金300万ドルの処分。

  破産 03年8月、3億ドルを使い果たし破産申請。全盛期は虎をペットにしていた。

  大麻 カリフォルニアに購入した東京ドーム約3個分の土地で、州内で合法の大麻を中心としたリゾート農園を経営中。

 UFC社長想像以上だったタイソンVSジョーンズ戦絶賛 

eFight 2020年11月30日(月)11時35分配信

 北米MMAメジャー団体「UFC」のダナ・ホワイト社長が、11月29日(日本時間)にヘビー級エキシビションマッチで戦ったボクシング元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(54=米国)とボクシング元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ・Jr(51=米国)を絶賛した。

 ”世紀のエキシビションマッチ”として世界中の注目を集めた本試合は、15年ぶりのリング復帰を果たすタイソンのKO劇に期待が集まったが、タイソンが始終積極的に攻めボディを効かせ、ジョーンズがクリンチやアウトボクシングで凌ぐ展開だった。
 エキシビションのためドロー決着となったが、50代の両者が2分8Rを戦い抜いた姿に感動した多くの声が聞かれた。

 ホワイト社長は同日に行われたUFC大会の試合後会見で、タイソンvsジョーンズ戦に尋ねられると「格闘競技は本来、若い人間が行う競技だ。しかし(タイソンは)本当に素晴らしかった!ぶっ飛ばされた気持ちになったよ」と興奮。続けて「ロイ(ジョーンズ)が心配だ。彼の方が疲れただろうね。二人のパフォーマンスは満足さ。二人が莫大な金を稼いだことを期待するよ。とにかく、私の想像を越えた内容だった」と話し、タイソンが今後もこのエキシビションマッチを続ける考えに賛同した。

 ホワイト社長は学生時代にボクシングのトレーニングを重ね、その後、ボクシング指導やフィットネスボクシングのジム経営など行っており、自身も51歳と同世代の年齢から、タイソンとジョーンズのパフォーマンスの凄さを身に染みて実感したのかもしれない。

 〔試合後会見〕タイソン出れたことが幸せ」ジョーンズ「生きて還れた」 

eFight 2020年11月29日(日)18時59分配信

 11月29日(日・日本時間)に米ロサンゼルスのステープルズ・センターで”世紀のエキシビションマッチ”として対戦したボクシング元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(54=米国)とボクシング元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ・Jr(51=米国)。2分8ラウンドのヘビー級エキシビションマッチでは、タイソンが始終積極的に攻めボディを効かせたが、ジョーンズがクリンチやサークリングで凌ぎ、エキシビションのためドロー。二人は試合後の記者会見でそれぞれ心境を語った。

 ジョーンズは試合を振り返り「少し疲れたが、気分は良い。なんせ生きて帰ってくることができたので。明日から生きていける」と満足げな表情。

 タイソンのパンチについて聞かれると「痛かったさ。全てのパンチが強烈だった。私に当たった全てのパンチは痛かったよ」と話し、接近戦の展開でタイソンのパンチを被弾しない為に、レノックス・ルイス戦やホリフィールド戦の過去の試合を参考。用意していた戦術として、接近戦ではクリンチワークで身を守り、アウトボクシングで攻めるようにしたと説明した。

 さらに「ボディショットは効いた」と話すも、もらったパンチで意識を飛ばすこともなくドローに持ち込めたことを満足した。

 しかし、米スポーツメディア『ESPN Ringside』の情報によれば、タイソンとジョーンズがパンチを当てた数はタイソン「67」に対しジョーンズが「37」。その内の強打に関しては、タイソンが57発でジョーンズが28発と、数字の上でもタイソンが圧倒した結果となった。

 一方、内容も結果も圧倒的だったタイソンだったが、開口一番で「相手にKOされなかったのでよかった」と謙虚なコメント。その理由を尋ねられると、これまでの練習でスパーリングパートナーにやられていたので、実際の試合では死ぬ可能性があると対戦相手に畏怖の気持ちを持って挑んだからだと説明。

 自身のパフォーマンスについても「全ての面でもっとやれたはずだった。次戦はもっと良いものにする」と語った。

 対戦したジョーンズについては「彼の戦いはスマート。ダメージを与える硬いパンチを与えるのは難しかった。良いパンチを当てても、一切顔に出さないので効いているか、分からなかった」と、ジョーンズの戦いぶりを賞賛。

 そして「8ラウンドも彼とあの場に立てて幸せだった。だからスコアカードも無観客も、私にとって意味のないものだった」と満足した様子を見せた。

 タイソンは次の展開として、南フランスのモナコなどで欧州のファイターとのエキシビションマッチにも興味があるとも語った。

 54歳タイソン肉体キレキレ終始優勢Rドロー 

サンスポ 2020年11月29日(日)18時18分配信

 プロボクシング・ヘビー級エキシビションマッチ(28日=日本時間29日、米カリフォルニア州ロサンゼルス、ステープルズ・センター、観衆=無観客)「鉄人」vs「天才」。レジェンド同士による夢の対決が行われた。元WBA、WBC、IBF世界同級統一王者のマイク・タイソン氏(54)が約15年ぶりにリングに上がり、同級を含む元世界4階級制覇王者のロイ・ジョーンズ氏(51)=ともに米国=と2分×8ラウンドで対戦。ダウンシーンはなかったが、フルラウンドを闘い抜き、引き分けに終わった。

1ラウンド2分が3分のように長かった

 2005年の試合を最後に実質引退となっていたタイソン氏だが、キレキレの肉体で帰ってきた。約15年5カ月ぶりのリングで年齢を感じさせない軽快な動きを披露。左右のフックなどを振るい終始優勢に進めたが、WBCが指名した元世界王者3人によるリモート採点は引き分けだった。

 「みんなが喜んでくれたならそれでいい。8ラウンド闘い抜けたことに喜びを感じている」

 試合は無観客で実施。通常の1ラウンド3分ではなく、安全面を考慮して2分で行われた。タイソン氏は「この2分が3分のように長かった」と、さすがに現役時代のように豪快なKO勝ちとはいかなかったが、「またやりましょう」と“次戦”にも前向きだった。

ジョーンズ氏彼のパンチは本当にすごかった

 タイソン氏のパワーとスピードに手を焼いたジョーンズ氏は「彼のパンチは本当にすごかった。ボディーへのパンチも効いた。マイクのことが大好きだが、彼のパンチを食らうとなれば別」と脱帽した。

 前日の計量ではジョーンズ氏より5キロ近く重い99・9キロ。この2年で体重を45キロほど落とし、ランニングマシンで走る時間は15分から2時間に増えた。妻の協力を得て食事を菜食中心に切り替えるなどして体を絞り込んだ。 かつてヘビー級で圧倒的な強さを誇ったスターは「全てが地獄だった」という努力を経てリングに戻った。

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人々励ますためファイトマネー大半寄付へ

 ファイトマネーは最低でもタイソン氏が約1000万ドル(約10億4000万円)、ジョーンズ氏が約300万ドル(約3億1200万円)とされる。タイソン氏はその大半を寄付する意向。暴行事件などを起こして何度も逮捕されるなど“悪童”ぶりも有名だが、「人々を励ますために試合に出た」と紳士的なコメントを残し、笑顔でリングを後にした。

 54歳タイソン試合直前マリファナ使用していた!

THE PAGE 2020年12月1日(火)5時00分配信

 プロボクシングの元世界ヘビー級3団体統一王者のマイク・タイソン(54、米国)が15年ぶりの復帰戦となった元4階級制覇王者のロイ・ジョーンズ・ジュニア(51、米国)との2分8ラウンドの特別ルールのエキシビションマッチの直前にマリファナを使用したことを告白して波紋を広げている。USAトウデイ紙のインタビューに答え明らかにしたもの。今回の試合ではドーピング検査が実施されていたが、マリファナは禁止薬物から除外されていた。カリフォルニア州では大麻(マリファナ)の娯楽使用は合法で“罪”には問われないが、今後のタイソンの現役続行の障害にはなっていきそうだ。

試合直前にマリファナを吸ったか?「もちろん、イエスだ

 衝撃の告白だった。

 USAトウデイ紙の報道によると、タイソンは28日(日本時間29日)に行われたエキシビションマッチ後に「試合直前にマリファナを吸ったのか?」と同メディアに質問され、なんら表情を変えることなく「もちろん、イエスだ」と答えて使用を認めた。
 そして、こうも続けた。

「私は(マリファナの)喫煙をやめられないんだ。私は戦いの間にも喫煙した。申し訳ないが、私は(マリファナの)喫煙者なのだ。…私は毎日、(マリファナを)喫煙する。(試合が決まってもマリファナの)喫煙をやめなかった」

 同紙は、「タイソンは、2年半前にコカインを止めたと宣言していたが、マリファナの使用については別だった。それはリング内でもだ」と伝えた。

 今回の試合ではエキシビションマッチでありながらカリフォルニア州のアスレチック・コミッションは、ドーピング検査を実施したが、その禁止薬物から大麻(マリファナ)は除外していた。タイソンが常用者であることに配慮したとみられる。それゆえエキシビションマッチの試合直前に使用したことに問題はない。

 しかも、米国では、カリフォルニア州など8つの州で大麻(マリファナ)の医療目的だけでなく、娯楽目的での使用も合法化されているため、罪に問われることもない。

 またカリフォルニア州は大麻の販売もOKで、タイソンは、数年前から「タイソン農園」という巨大な“大麻農園”をカリフォルニア州の郊外に所有して、“大麻ビジネス”に手も出している。

 タイソンは、マリファナ使用の理由を「私自身が何ものであるかを示すためだ」と説明した。

「(マリファナ使用は)ジョーンズ戦の試合中の痛みを麻痺させるためにも役立ったのか?」との問いに「いや痛みを麻痺させることはできない。それは私自身を麻痺させただけだ」と答えている。

 54歳のタイソンvs51歳のジョーンズの“レジェンド対決”は“ドロー”に終わったが、その試合内容は、全米のファンやメディアに好意的に受け止められていた。

 USAトゥデイ紙も「タイソンにはフィット感がありパワフルで、ジョーンズにハードパンチを放ち試合は面白かった」と評価した。 

 2005年6月のケビン・マクブライド(アイルランド)戦で、6回TKO負けして以来、15年ぶりの復帰となったタイソンは、45キロもの減量を試みて99,9キロのシェイプアップされた肉体でロスのステープルズ・センターに作られた無観客の特別リングに上がった。

 1ラウンドから、現役時代を彷彿させる、上体を素早く小刻みに揺らしながらプレッシャーをかけるスタイルでジョーンズを追い詰め、現役時代同様、鋭いステップインから左フック、左ボディを叩き込んだ。ヘッドスリップで、パンチを外してから左を上下に放つ往年のコンビネーションブローも披露した。

 ジョーンズのクリンチワークに苦しみ、使用グローブが通常の10オンスでなく12オンスだったこともあり、KOシーンは演出できなかったが、専門機関のデータによると、この夜、タイソンは193発のパンチを放ち67発の効果打を命中させた。

 ジョーンズの効果打は37発しかなく、タイソンの優勢は明らかだったが、WBCが依頼した非公式ジャッジの3人の元世界王者のうちの一人、元2階級制覇王者のビニー・パジェンサは「80―76」でジョーンズを支持。また元WBC、IBF世界ライトヘビー級王者のチャド・ドーソンも「76-76」のドローとつけ、2人のレジェンドが傷つかないように配慮した。

 ジョーンズが、度重なるクリンチを仕掛けて、タイソンの腕を絡みとるホールドの反則を犯しながらもレフェリーが厳しく注意しなかったのは「この試合はエキシビションであって殺し合いではない」とのカリフォルニア州のアスレチック・コミッションの方針に従ったものだとも考えられている。

 タイソンも「引き分けでいいよ。みんなが喜んでくれればそれでいい」と、大人の対応をしていた。さらに「これからは(調子が)どんどん良くなっていくだろう。今後も戦う」と、エキシビションマッチの続行を宣言した。

 だが、マリファナの常用を明らかにした以上、今後の活動には障害が生まれることが予想される。

 タイソンはUSAトゥデイ紙に、今後、南フランスのリゾート地であるサントロペや、モナコで欧州のボクサーとの対戦計画があることを明かしたが、フランスではマリファナの使用は認められていない。

 過去、タイソンは日本でも東京ドームで2度防衛戦を行い、1990年のジェームズ・ダグラス(米国)との試合ではKO負けして王座から陥落、世界中に衝撃を与えたが、大麻の常習を明らかにした以上、エキシビションマッチでの日本凱旋も難しいだろう。

 また同紙によると、タイソンは、ジョーンズとの再戦だけでなく、WBC世界ヘビー級王者のタイソン・フューリー(英国)や、WBA、IBF、WBOの3団体統一王者のアンソニー・ジョシュア(英国)、前WBC世界同級王者のデオンテイ・ワイルダー(米国)ら現役のヘビー級トップとの戦いに関心を示しているという。

 もし、それが“リアルファイト”であれば、マリファナがドーピングの禁止薬物から除外されることはなく試合の実現は不可能。たとえ、エキシビションマッチであっても、相手が現役王者ゆえに、今回のようなドーピングの禁止薬物からマリファナを除外するという寛大なルールになるかどうかもわからない。いずれにしろ一躍、スポットライトを浴びたタイソンの復帰ロードには、この先、問題は残る。

 タイソンは、試合後、「私は自分のエゴのために戦ったわけではない。自分のことよりも恵まれない人々を助けることを目的にしている」とも語り、今後も、チャリティーが目的の試合を続け、今回、最低保証で10億円あるとされるファイトマネーも慈善団体に寄付することを明らかにしている。その志は素晴らしいのだが…大麻を吸いながらファイトして子供たちに夢は語れないのかもしれない。

 71歳フォアマンタイソンタイトル戦チャンスある 

THE ANSWER 2020年12月1日(火)11時33分配信

 ボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン氏は28日(日本時間29日)、米ロサンゼルスで元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.氏とエキシビションマッチを行った。15年ぶりのリング復帰は引き分けだったものの相手に猛攻。元世界ヘビー級統一王者ジョージ・フォアマン氏(いずれも米国)は戦いを称賛し、「彼はチャンピオンになれる。相手をKOできる」などと語ったようだ。米メディアが報じている。

 久々のリングで強烈なボディーを放つなど、ジョーンズJr.に攻勢を緩めなかったタイソン。大注目の一戦で、50代とは思えない力強さを披露した。米紙「USAトゥデー」は「フォアマンは54歳のタイソンがヘビー級のタイトルを獲得する道を心に描いている」と見出しを打って記事を掲載している。

 フォアマン氏は45歳だった1994年、WBA&IBF世界ヘビー級王者マイケル・モーラーにKO勝ちして王座を獲得しているレジェンド。同紙は「そして26年後の今、54歳のマイク・タイソンにその記録を塗り替えられる可能性があると話している」と本文に記載し、驚きの予想をしているフォアマン氏のコメントを紹介している。

 同氏は「もし彼(タイソン)が今のように体をシャープに保ち、他の全てのことも上手く行けば、彼はタイトルを懸けて戦うチャンスがやってくるだろう」「もし適切なマネジメントがしっかり行われれば、彼はチャンピオンになれる。相手をKOできるはずだ」と語ったという。

ジョーンズJr.戦で光った修正能力とは

 15年ぶりのリング復帰を果たしたタイソンの戦いぶりについて、フォアマン氏は「タイソンは見事だった。彼は成し遂げたんだ。ジョーンズJr.はKOされない為に自分の持っている全てのスキルを使わないといけなかった」と称賛。続けてこう語っている。

「私が最も注目したいのは、最初の彼の多くのパンチが不発だったことだ。自分のポジショニングがずれていると分かったんだ。そして彼は軌道修正した。その後、ジョーンズJr.は初回や2回のときのタイソンと違ったことに困惑しただろうね。そのことが何より感心したことだ。彼は試合の中で冷静さを保っていた」

 試合中の修正能力に感心したというフォアマン氏。タイソンのエキシビションマッチは、71歳のレジェンドの心を奮わせていたようだ。

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2020年11月29日 (日)

【座間9人殺害】公判✍白井被告の母親「何故こんなことが出来るの?」

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年11月26日(木)18時42分配信/渋井哲也(ジャーナリスト)

Aさんと手をつないで白井被告が明かした幸せな日々謝罪の言葉

 2017年10月に神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件の裁判員裁判が11月25日、東京地裁立川支部で行われ、強盗、強制性交等殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)に対する最後の被告人質問が行われた。

一部の被害者には謝罪したかった

 被害者一人ひとりに対する現在の思いについて聞かれると、白石被告は、一部の被害者や遺族に対しては「何を思っていたのか、周囲の人がどんな思いで接していたのか、聞いているとわかりました」として、「深い後悔がある」と話した。その他の被害者や遺族との差について、「一緒に過ごした時間の長さやその被害者の家庭環境、逮捕につながったかどうか」を挙げ、謝罪をしたい旨を述べた。そして、実際に「申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 前日の白石被告は弁護人の質問にはすべて答えたが、この日は、約50問について小さな声で「黙秘します」と繰り返した。そんな中でも答えた質問は、裁判を通じて弁護人が白石被告の意に反して争ってきたことへの反論だった。

「私の親族に多大な迷惑をかけることはわかっていました。できるだけ公判前整理手続きを簡単に終わらせて欲しかったです。そこを配慮して欲しかったです。できるだけ報道されないようにして、その上で、一部の被害者には謝罪したかったです」

Aさんとは幸せな日々だった

 白石被告は、できるだけ審議せずに、簡単に終わらせたかった旨を話した。最初から最後まで、弁護人との関係は良好にならなかった。ただ、他にもいくつかの質問には答えた。最初の被害者Aさん(当時21、女性)については「幸せな日々だった」と話した。

「相武台前駅付近を歩いたときや不動産屋めぐりをしたときに、手をつないでいて、なんとなく落ち着いて、幸せな時間でした。死にたい話はしたとは思いますが、普通に異性として接しました。口説きがうまくいって、なんとなく、Aさんの方から『ホテルへ行こう』と誘ってくれた。希死念慮を消滅させるのも楽でした。口説くのはうまくいきました」

 また、Aさん、Cさん(当時20、男性)と3人で会った2017年8月15日の夜、Aさんからカカオトークで「Cさんは死ぬのをやめた。私もやっぱり、生きていこうと思います」とのメッセージを受けた。弁護人から「このメッセージは、Aさんが亡くなった後に、カムフラージュするために指示したのか?」と聞かれて、白石被告はこう答えた。

「私が(2人の)前を歩いていて、CさんがAさんを口説いていたんです。その状況で送られてきたので、カムフラージュではありません」

白石被告の部屋で首を吊る練習をした女性がいた

 これはBさん(当時15、女性)が白石被告にLINEで「生きていこうと思います」と送ったときと同じように、指示したものではないとした。

 弁護人は、被害者9人のほか、3人の女性と会っているかという点についても問いただした。1人は、事件前の8月上旬に会って10月中旬まで交際していたXさん。もう1人はDさん(当時19、女性)を殺害する前後に白石被告の部屋に泊まっていたYさん。この2人については、公判ですでに明らかになっていた。

 弁護人によると、もう1人はZさんだ。Zさんは2017年9月11日に白石被告の部屋に来た。当時はロフトの梯子にロープが結ばれていて、そこで首を吊る練習をした。その練習を白石被告が手伝っている。その上で、刃物を見せて「解体する道具なんです」と説明した。すると、Zさんは部屋を出て行ったという。

 筆者の面会では、被害者以外に4人と会い、1人は男性。残り3人の女性のうち、1人とは「8月から10月まで付き合っていた」と話した。それがXさんだろう。もう1人は「10日間住んでいた」と言っていたが、それがYさんだろう。残りの1人については、「部屋を見てクーラーボックスがあるのを見て逃げた女性がいた」という。それがZさんなのだろう。

 このZさんに関しては、検察側の質問に答えている。Zさんは女子高生だった。

「(首吊りの練習は)記憶にはないのですが、言われてみれば、そうしたかもしれません。『クーラーボックスの中に生首が入っている』と話しました。そのためか帰りました。その女性とはその後もLINEでやりとりをしていましたが、もう会うことはありませんでした。お金を持っていそうで、私に対して好意を持っている感じがありました。お金を引っ張れるかもしれないと思いました。女性をしっかりと口説いてから情報を与えたので、通報することはないと思っていました」

ヤクザでも警察官でも、殺すつもりでした

 白石被告の部屋のロフトには、布団が敷かれており、横にナタを置いて寝ていた。

「身を守るためです。被害者の人数がそれなりになっていましたので、関係者や、関係者の身内にヤクザがいるかもしれませんので、家に乗り込んでくるんじゃないかと思っていました。そのときは殺すつもりでした。もし警察官が1人で来た場合でも、殺すつもりでした」

拘置所内で売っているおやつを食べたかったから

 また、白石被告は拘置所内で筆者を含めて、複数のメディア関係者の取材を受けている。検察官は「どうして取材を受けたのか? 遺族の気持ちを理解しようとしたのか?」と聞いた。すると、こう話した。

「拘置所内で売っているおやつを食べたかったからです。(被害者の遺族の心情を思うよりも)おやつを食べたいという欲求には勝てませんでした」

 お金を無心するなら、女性のヒモになるのではなく、親族を殺害する選択はなかったのか、という検察側の質問には、

「選択をするとしたら父になります。しかし、父から(金銭的)援助を受ける態勢はできあがっていましたので、殺す必要はないです。母や妹は、7年間会っておらず、居場所もわかりませんでした」

 と述べた。事件後、家族は面会に来ていないという。

「面会には1人も来ませんし、手紙もありません。寂しい。悲しい。しかし、これだけのことをしたのだから、見放されても仕方がない。本当に申し訳ない。自分の存在があったことを忘れて生活をしてほしい」

一部の被害者には深い後悔を持てません

 白石被告自身は親族を思う気持ちがあるようだが、一部の被害者や遺族に対しては、同情心や共感的な態度はないようだ。

「正直、一部の被害者には本当に後悔しています。しかし、一部の被害者には深い後悔を持てません。(後悔の感情を)持てているのは、AさんとEさん(当時26、女性)、Fさん(当時17、女性)、Iさん(当時23、女性)です。その違いは、過ごした時間の長さと、家庭環境。逮捕につながったかどうかです。ただ、自分でも家族が同じことをされたら、殺した人間を執拗に追い詰め、殺していただろうと思います。

 一部の人には、どこかのタイミングでしっかりと謝罪をしようと思っていました。私が起こした行動によって、命を奪ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。大人しく、罪を認めて罰を受けようと思います」

 また、検察官にEさんの元夫が傍聴に来ていると告げられた。Eさんと元夫との間には子どもがいた。

「まだ未来のある子どもさんに、しっかりと母性を伝えることができない状況にしてしまい、申し訳ありませんでした」

育て方が悪かったの?何故こんなこと出来るの?」母親の悲痛な叫び

文春オンライン 2020年11月27日(金)12時12分配信/渋井哲也(ジャーナリスト)

 11月26日、2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判員裁判が結審した。検察側は死刑を求刑した。強盗、強制性交等殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)の被告人質問を聞いていると、自身と、被害者の母親に関するエピソードがよく出てきた。

 改めて、法廷でのやりとりを振り返る。

母親が心配しているという言葉を聞いて

 まず、殺害をしなかった女性3人のうち、Yさんは、「母親が心配している」と言ったことで、白石被告は実家へ帰宅することを許している。

 実は、6人目の被害者だったFさん(17歳、女性)も「母親が心配している」と言って、白石被告のアパートから帰ろうとしていた形跡がある。しかし、白石被告もFさんも寝てしまい、最初に白石被告が起きる。そのとき、Fさんが寝ている顔をみて、性欲が増したことから、レイプして殺害することを思いついたという。もちろん、月5000円でもいいから、お金を引っ張れるのなら、生かしてヒモになることを考えていた。ただ、「母親が心配している」という言葉を聞いて、女性を自宅に帰そうとする心情が湧いた。

 一方で、同じように「帰るかもしれない」と思ったEさん(26歳、女性)は殺害している。元夫とのやりとりのために、白石被告の部屋を何度も出入りしていた。Eさんからは、「夫とうまくいっていないことや、他にも彼氏がおり、その彼氏ともうまくいってないということを聞いていた」というが、実際には離婚をしていたので「元夫」になるし、彼氏がいたとしても不思議ではない。「子どもがいると聞いていたか?」と問われると、白石被告は「話が出ていない」と答えた。つまり、Eさんの母親の話と、Eさん自身が母親であることについての会話はなかった。

母親母性へのこだわりがある?

 白石被告は「深い後悔がある」として4人の名前をあげたが、その一人がEさんだ。帰ろうとしていたときに、もし、いずれかの話があれば、殺害しなかったのだろうか。

 検察官は、Eさんの元夫への謝罪を促されたとき、白石被告は「まだ未来のある子どもさんに、しっかりと母性を伝えることができない状況にしてしまい、申し訳ありませんでした」と述べた。わざわざ「母性」という言葉を使った。白石被告は、「母親」や「母性」へのこだわりがあるのかもしれないと筆者は感じた。

母親とは7年間会っていない

 事件発覚から公判が始まるまで、少なくとも、報道レベルでは、母親の姿のイメージができない。ただ、拘置所での面会では、多少母親のことを聞くことができた。中学では塾に通っていたが、その理由は「親に言われてなんとなく」だと語り、筆者が「どちらか?」と聞くと、「母親です。父親は仕事中心で、子育ての時間はなかったです」と答えている。そして、思い出としては「料理」を挙げていた。

 そんな母親とは7年間会っていない。白石被告が卒業後、スーパーに就職したことで一人暮らしを始めた。その後に両親は離婚することになる。

 白石被告の逮捕後、家族から手紙が届いたことはなく、面会に訪れたこともないという。

「寂しいし、切ない。しかし、これだけのことをしたのだから、仕方がない。本当に申し訳ないことをした。自分の存在があったことを忘れて生活をしてほしい」

 白石被告は父親とは不仲で、そのために一人暮らしをしたといっても過言ではない。家族からの手紙がなく、面会にもこないがないことへの感情的な吐露は、母親を念頭に置いた発言ではないだろうかと筆者が思うほどだ。そんな母親の供述調書の一部を抜粋する。

◆ ◆ ◆

 平成元(1989)年に夫と結婚し、平成2(1990)年10月9日、隆浩を出産しました。3086グラムでした。隆浩という名前は、いろいろな本を読んで、画数などから決めました。初めての子育てでした。幸せに暮らしていました。

 平成4(1992)年に長女を出産。手狭になったために、座間市内に家を買いました。年に1回は家族旅行をしたり、実家に行ったりしました。自由に物事を考えてもらいたいと、過剰には干渉しないようにしました。そのため、わがままに育ったかもしれません。言うことを聞かなくても、手を挙げることはしていません。

 5歳のとき、幼稚園に入りました。活発な子と比べると、内気でしたが、友達はできました。サッカークラブに入りましたが、ボールを回してもらえないため、1年でやめました。いじめがあったわけではありません。

 小学校の低学年では扁桃腺の病気があり、月1回は熱を出し、病院に行っていました。大人しい性格で、内弁慶でした。ただ、学校の出来事は話してくれました。小学校入学のとき、テレビゲームを買ってあげました。当時は1日2時間。ゲームに夢中でした。何度も注意しました。しかし、外にも遊びに行きました。

 小学校のころはよく外で走り回っていました。低学年のうちに、高学年で習う漢字を知っていました。ゲームの攻略本を読むのに調べたと言っていました。国語だけ、成績がよかったです。クリスマスや誕生日にも新しいゲームソフトを買ってあげました。

 中学に入ると、ゲームの時間が守れなくなりました。しかし、注意をすると、最終的には言うことを聞いていました。野球部に入りましたが、1年でやめました。大人しいので個人競技が、向いていたと思います。このころ、学習塾へ行きましたが、1年も経たずに行かないようになり、やめてしまいます。

 中3になると、成績は中の上。しかし、もともと勉強好きではないので、塾をやめると、成績は下位になりました。仲の良い子とはクラス分けで別々になり、この頃から、「学校へ行きたくない」「気が強い人ばかりなので合わない」と話し、不登校になりました。食事のとき以外は部屋に閉じこもるようになりました。必要最低限の会話のみになりました。

 高校受験は、大学を目指してもらいたかったのですが、少しでも就職に有利な学校へ行きました。家では、学校のことを話さなくなりました。高校ではクラブ活動に入ってないと思いますが、刑事さんから「柔道部に入っていなかったか?」と聞かれました。柔道着を持ち帰って来たことは記憶しています。体育で必要だったと思っていました。

 このころ、「高校はレベルが低い」「クラスメイトがだらだらしているからつまらない」といい、楽しい学校生活ではないようで、休みや遅刻が多くなってきていました。

 家にいるときはゲームをしていました。部屋は散らかっていました。ゲームの時間制限と部屋の掃除を約束したのですが、約束が守れないので、何度も注意しました。すると、「今するところだったのに、やる気がなくなった」と言い、人からの干渉を嫌っていました。

 何度も言っても言うことを聞かないと、夫が注意していましたが、言ってもゲームをやめないことがありました。そんなときは、ブレーカーを落とし、ゲームをやめさせました。隆浩は、部屋の壁に穴をあけるほど、激昂しました。夫とは会話がなくなっていきました。ただ、いつか親の言っていることをわかってもらいたいとは思っていました。

 高校時代はスーパーなどでアルバイトをしていました。スーパーはサミットです。卒業後、就職をしましたが、学校推薦では就職できませんでした。休みや遅刻が多かったからです。

 そのため、バイトをしていたサミットに就職しました。本意でなかったかもしれません。

 しかし、私も夫も安心しました。

 卒業するまでに家出を3回しています。北陸、山陰、北海道。山陰に行ったときは、電車賃を持っておらず、夫が迎えに行きました。このころ、ケータイで自殺系サイトを見ていました。自殺するために家出をしたのではないでしょうか。数日間で帰宅しました。「どうでもいい」「生きていてもしかたがない」と口にしていましたが、突発的に死にたいと思ったのではないでしょうか。「そんなことをしたらだめだよ。生きてさえいれば、いいことはあるよ」と言いました。自殺未遂や自傷行為は見たことはありませんが、練炭自殺のグループに行ったことがあると言ったことがありました。

 サミットでは、ベーカリー部門の担当になりました。××店だったので一人暮らしをしました。不器用でむいていないのではないかと思いましたが、応援していました。この頃、私は夫と別居することを考えましたが、隆浩には相談していません。

 夫は「隆浩のことは俺に任せてくれ」「連絡は取らないでほしい」と言っていました。連絡をとると、私にお金を求めることが予想されたためです。たしかに、連絡がありましたが、私の口座から隆浩の口座に振り込んだこともあります。先輩との付き合いだ、と言っていました。その後は、連絡をとっていません。

 一緒に住んでいたことを考えると、このような事件を起こすとは信じられない。なぜか知りたいです。育て方が悪かったの? なぜこんなことができるの? ご遺族に謝っても謝りきれない。

◆ ◆ ◆

猟奇性の根源を探ることができない

 白石被告は、11月24日、母親の供述調書が読み上げられたことについて、「今はそのこと(母親の供述調書)で頭がいっぱいです。本当に迷惑をかけたんだな」と話した。母親のことになると、いろんな感情がめぐったのだろう。

 ただ、調書など明るみに出た情報では、白石被告の猟奇性の根源を探ることができない。問題にするほどの親子関係でもない。精神鑑定をした精神科医は、父親とは面会しているものの、母親とはしてない。

 弁護側は、11月26日の最終弁論にて、白石被告が母親や妹と面会してないことを指摘した。鑑定書の欄には「家族歴」がなく、証拠提出されていない「メモ」があるだけで、検証可能な方法になっていないとして、精神鑑定に疑問を投げかけている。

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年11月28日(土)6時12分配信/渋井哲也(ジャーナリスト)

悪魔の所業」「同じ人間として許せない法廷に響いた遺族の涙の声

 神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判員裁判が11月26日、結審した。強盗、強制性交等殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)の被告人質問を、被害者遺族たちも傍聴席で聞いていた。

 報道記者席や一般傍聴席との間が遮蔽された遺族席が設けられ、涙でかすれる声や怒りの声が漏れ伝わってくる場面もあった。遺族の中には、意見陳述をする人たちもいた。その一部を紹介する。

他人事のように話す白石被告への怒り

 まず、最初に殺害されたAさん(当時21、神奈川県)の母親は証言台で話をした。白石被告との間にも遮蔽物があり、声だけを聞いている状態だ。傍聴席からは曇りガラス越しに姿を確認できる程度だった。他人事のように話す白石被告への怒りが伝わってきた。

◆ ◆ ◆

 あの日から3年の月日が流れました。しかし、私たち家族の中では、時が止まったままです。娘は責任感が強く、思いやりのある子でした。ただ、思春期の頃から、精神的に不安定になり、通院や入退院を繰り返していました。娘なりにバランスを保とうと努力していました。そんな中で、仕事を続けながら、パソコンの資格を取りました。正社員を目指し、5月ごろから準備をしていました。信頼できる人と出会い、生活をすることを望んでいましたが、身勝手な被告人に命を絶たれました。娘が味わった苦しみ、痛みを思うと、引き裂かれる思いで、娘のことを思うと、無念でなりません。

 私がもっと娘の話を聞いたり、寄り添っておけばよかったのかとも思います。私たち家族は何一つ心が癒えることはありません。当たり前の日常は取り戻せない。加害者には、憎しみや怒り、悔しさが湧き上がってきます。報道関係者の取材や裁判では、他人事のように話しています。

 しかも、報道では、娘の名前、顔、生活の一部が書かれました。マスコミが押しよせてきました。数日間は恐怖で仕方がなかったです。現実がなかなか受け止めきれない思いで、被害者の中に娘がいることが夢であってほしいと思いました。加害者には、同じような苦しみや痛みを味わって欲しい。

 死刑が執行されるまで、人権を守られて生活をすると思います。しかし、娘が戻ってくることはありません。21歳という短い人生を、身勝手な犯人に奪われました。強い憤りを抱きました。死刑をもって償ってほしい。

◆ ◆ ◆

同じ人間であることが許せない

 続いて、Aさんの兄が意見陳述をした。振り絞るように、妹との思い出を話した。

◆ ◆ ◆

 妹が亡くなって数年が経ちましたが、今でも妹のことを思い出します。優しくて、嫌なことでも文句を言わずにしていました。2人で出掛けたことを思い出します。妹は楽しんでいました。お世話になった人へのプレゼントをあげることもあり、私ともプレゼントを贈り合っていました。喧嘩もしましたが、仲が良かったと思います。

 裁判では、犯人が第三者のように質問に答えているのを見てびっくりしました。妹は本気で死ぬ気がなく、頑張ろうとしていたことがわかりました。平気でいる犯人が同じ人間であることが許せない。一刻も早くこの世から消えていただきたい。

◆ ◆ ◆

棺のなかの姿はもはや人のものとは思えず……

 Aさんを殺害した証拠を隠滅するために殺害されたCさん(当時20、神奈川県)の父親も陳述した。口封じのための犯行を「悪魔の所業」と話していた。

◆ ◆ ◆

 私たちは、息子がいなくなったとき、時間が許す限り、探し続けました。私立探偵を雇い、借金までしました。事件の一報を知りましたが、まさかとためらっていました。自分自身が不安定になりましたが、仕事の終わりに高尾署に電話をしました。息子の存在が分かり、血の気がひきました。何も考えられなくなりました。残忍な犯行と残虐な内容。私たちは衝撃を受けました。

 息子を引き取りましたが、棺のなかの姿はもはや人のものとは思えず、本当に息子かと信じることができませんでした。あまりの衝撃に麻痺をしていましたが、自宅に戻って、一気に感情が吹き出しました。

 もっと、音楽をよりどころにしていた息子の人生を理解してあげればよかった。一生懸命にギターの練習をしていました。息子の参加したライブの映像をみることができましたが、いきいきと輝いている息子が映っていました。勤めていた施設の利用者にギターを聴かせようと出勤していたこともありました。最初は、息子が音楽で生きていこうとすることを理解できずにいました。しかし、本気なら理解しようと思っていましたが、もう叶いません。

 犯人は絶対に生かしてはおけない。息子は、一時的に、「死にたい」と思うほどの苦しみを抱えていたと思います。しかし、死ぬことをやめ、生きることをあきらめていなかったのです。被告人は、事件の発覚をおそれ、口封じのために殺害し、遺棄しました。人の未来を奪った悪魔の所業です。絶対に許すことはできません。生かして、再び社会に放って欲しくはない。極刑を希望します。

◆ ◆ ◆

被告人は今でものうのうと生きています

 同じくCさんの母親も意見を表明した。高尾署で遺体を見た時のショックは言葉にできないほどの悲しみだったという。

◆ ◆ ◆

 息子は優しく、繊細でした。ゆえに、悩みを抱えましたが、その都度、家族はサポートしましたし、職場の方も支えてくれました。そのことに早く気がつかせ、救ってあげられればよかったと後悔しています。

 次男を出産したとき、息子がポケモンを差し出し、「これをあげる」と言ったときのことを思い出します。

 とても可愛かった。それが目に焼き付いています。息子は、私にとって、愛おしい存在です。もうその表情を見ることができないと思うと、心の中が空っぽになりました。

 事件前、息子は病気になりました。入院し、治療を受けていました。入院中の様子を見ていくと、順調に回復していました。入院前と変わらない生活が送れる、日常に戻れると信じていました。

 行方不明になったとき、思いつく限りの場所に行き、探しましたが、8月29日、あの日から息子の姿をみることができなくなりました。事件が発覚し、数日後に高尾署へ行きました。あの姿をみて……(涙声で聞き取れない)……大切な子……(同)……胸が引き裂かれる思いです。

 生きていこうとした息子を騙し、犯人の身勝手な理由のために殺されましたが、どれだけ無念だったことでしょうか。息子の人生はたった20年で終わらされました。しかし、被告人は今でものうのうと生きています。これからつながっていただろう命、人生も奪われました。どれだけ罪深いことなのか。極刑をもって、この世から消えて欲しいです。

◆ ◆ ◆

証言の最中に白石被告はうなだれた

 ヒモになろうと思ったYさんをカラオケボックスで待たせている最中に、白石被告は、アパートに呼んだDさん(当時19、埼玉県)を殺害している。そのDさんの母も話をした。DNA鑑定で、身元が特定できたのは、Dさんの誕生日だった。

 この証言の最中、白石被告はうなだれた。刑務官に取り囲まれているために、傍聴席から白石被告の様子が見えにくい。凝った肩を動かしたり、深呼吸をしたり、机の上のノートや資料を見たり、だるそうにすることは公判ではよく見かけたが、うなだれる姿を筆者は見たことがなかった。

◆ ◆ ◆

 小学校ではクラブ活動や宿泊学習でのキャンプファイヤー係になり、がんばっていました。中学校ではクラス対抗の合唱や委員会活動を頑張っていました。教員になりたいと思ったのもこの頃です。高校受験の面接で、部活をやり直したいと言っていた通り、3年間、演劇部で頑張っていました。

 大学入学後、ともだちと泊まりがけで遊びに行ったこともあります。成人式の準備もしていました。年越しのカウントダウンのイベントも楽しみにしていました。しかし、約束を果たすことなく、19歳9ヶ月でこの世を去りました。

 娘が行方不明になって事件発覚までの数ヶ月、昼夜問わず探し続けました。結局、見つけることはできませんでした。DNA鑑定で娘であると分かっても、すぐには受け止められませんでした。対面できた日は、娘の誕生日でした。変わり果てた姿でした。声をかけたのは、「誕生日、おめでとう」ではなく、「やっとみつけられた」「ずいぶん探したよ」ということでした。どれだけ苦しい思いをしたことでしょう。

 被害者が特定される前に、マスコミの報道が過剰になりました。インターホンを押されたり、家族だけでなく、近隣にも迷惑をかけました。実名報道を控えて欲しいとお願いをしましたが、無視されました。なぜ、被害者だけが苦しまなければならないのでしょうか。

 被害者は自殺願望があり、自ら犯人に接触したと言われていますが、間違っています。娘はこれまでも悩みを抱えてきましたが、一つ一つ問題を解決してきました。事件の直前、成績に悩んでいました。しかし、娘がこのような小さなことで希死念慮を抱くはずがありません。

 大学から面談通知が来ていました。両親とともに呼ばれていたため、「留年が決まったわけじゃない。きっと避けるためのヒントをくれるんだよ」と諭すと、娘も納得していました。生きてさえいれば解決できた悩みです。少し、気が重かっただけで、逃げたい、話を聞いて欲しいとツイートしただけと思います。

 被告人のように悪意があり、下心をもって近づいてくる人がいることを知らなかったのです。なぜ、19歳で殺されなければならなかったのでしょうか。娘は、夢や希望、未来の全てを奪われました。

 被告人は、女性に会い、ヒモになれるかを判断し、ヒモになれないとレイプし殺害しました。犯行を重ねるたびに目的が変化していき、異常な性欲を満たすことが多くなり、殺害までの時間が短くなっていきました。そして、次第に殺害や解体に慣れていったのですが、裁判では「記憶がない」と繰り返すばかり。「悩みを深掘りした」というが、内容を覚えていない。身勝手な通り一遍な発言を繰り返しました。

 被告人は、娘のことを「無口な人、職業のことしか聞き出せなかった」と言っていました。無口なのは、心を許していないからで、警戒をといていないからです。

 今でも19歳の娘が心の中に生き続けています。時々、家の中で娘の気配を感じます。「ただいま」「おなかすいた」と帰ってくるような錯覚をすることもあります。寂しさに耐えきれず、涙が止まらなくなることはあります。生きている限り、こうした感情が続くのでしょう。どうか、娘を返してください。娘との幸せな生活を戻してください。私たちの願いはそれだけです。それが叶わないなら、重い罰を受けてください。

 娘を殺害した被告人には、極刑が下ることを信じています。娘を思い、自分たちを振り返る3年間でした。私たち遺族を支えてきた方々には感謝します。

◆ ◆ ◆

捕まらなければ、後悔していません

 こうした遺族の意見を聞いて、白石被告はどのような心境になっていたのだろうか。翌日の被告人質問では、弁護側から「一連の事件について後悔しているか?」との質問がされた。白石被告は「結果として捕まってしまったので後悔している」と答えた。

 これまでに話をしていないことがあるかを問われても「これまでに話した通りです」と、あっさりした反応だった。検察側の質問にも「捕まらなければ、後悔していません。捕まったら失敗したことになると思った」と、それまでと変わらない言動に終始していた。

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2020年11月28日 (土)

【座間9人殺害】公判✍鑑定医「精神障害を想定しないと説明できないものではない」

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年11月17日(火)18時42分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

ロフトに吊して…白石被告が9人目の被害者、23歳女性の遺体を撮影した理由とは

「(死ぬのは)本日、希望です」

 2017年10月に発覚した、神奈川座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、強盗・強制性交等殺人で起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれている。11月16日には、9人の殺害に関する証拠調べ、被告人質問、中間論告が終わった。

犯行が徐々にエスカレートしていった

 9人目に殺害された東京都八王子市のIさん(当時23、女性)は冒頭の文章をTwitterのダイレクトメール(DM)を送った。Iさんの事件については、他の被害者と違って、白石被告は会う前に殺害を決意している。また、殺害後に遺体を携帯電話で撮影していることが明らかになり、犯行が徐々にエスカレートしていったことがわかる。

 冒頭陳述によると、Iさんは、幼少期は引越しを繰り返していた。両親は離婚。中学3年生で不登校になった。高校に進学するが、退学。2014年に統合失調症と診断された。2017年6月、一緒に住んでいた母親が亡くなり、9月からはグループホームに入居。生活保護を受給していた。この頃から投薬治療を始めている。

 Iさんは人見知りで、引っ込み思案の性格だ。兄の供述調書によると、病気のため兄以外とは話せず、人との関係を築くのが苦手だった。時に男性は苦手であった。一方、兄とは頻繁にLINEのやりとりがあった。Iさんは「寂しくてTwitterで話をしてしまう」と兄に話をしていた。

〈部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉

 そんな中、9月20日、IさんはTwitterで、こうつぶやく。

〈#自殺募集 死にたいけど、一人じゃ怖いので、一緒に死んでくれる人いませんか?〉

 このツイートに、白石被告とは別の5つのアカウントとやりとりをした形跡がある。

 このころ、白石被告は複数のアカウントで「死にたい」「寂しい」「疲れた」などと呟いている女性を物色していた。白石被告は9月22日、「@死にたい」というTwitterアカウントからIさんに「ご一緒に死にませんか?」とDMを送った。これに対して、Iさんが返信することはなかった。

 しかし、Iさんは、10月2日になってから「@死にたい」にDMを送った。このとき、白石被告はこんなメッセージを送った。

〈薬やお酒で恐怖を和らげて、首吊りはどうですか? 部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉

 このやりとりの後、IさんはDMを送っていない。しかし、3週間後の10月23日になって、Iさんは「@死にたい」にいくつかDMをする。

〈本日、希望です〉

〈所持金は1000円しかありません。(首吊りの)道具は(持参しなくて)大丈夫でしょうか?〉

〈どこ住みですか?〉

〈男性ですか?〉

「私は、死ぬつもりはありません」

 そして、白石被告を信用させるためだろうか、自ら自身の写真を撮って送信している。白石被告は、お金を引っ張れるヒモになるか、ヒモになれないなら、失神後にレイプして殺害しようと思っていた。この時点でIさんに収入がないと判断し、殺害を決意している。

「一緒に死のうというやりとりをしていました。私は、死ぬつもりはありません。お金がないとわかり、レイプして殺害しようと決めました」

 それまで、白石被告の犯行は、自宅に呼んでからヒモになれるかを判断し、できないなら失神後にレイプして殺害し、所持金を奪うという手口だった。しかし、Iさんの場合は、会う前から「お金がない」と判断し、すでに“見極め”を行っていた。他の被害者とは違う手順だ。

 9人を殺害したことから、それぞれの殺害状況と混同したり、忘れてしまっていることが多いが、イレギュラーなことが起きた場合は、「覚えている」と述べることが多い。そのため、会う前にレイプして殺害する決意をしたことは、白石被告の中では、特異な点として記憶に残ったのだろう。

弁護側は「Iさんは、死を決意していた」と主張

 待ち合わせ場所はJR八王子駅だった。時間は13時45分ごろだ。Iさんは白石被告に会う前、白石被告へのDMで〈楽しみにしています。ワクワクしています〉と送信するなど、楽しみにしている様子もあった。

「(8人目の)HさんとIさんの2人は、他の人と違った特徴がある。白石さんから電車に乗って迎えに行っている。特に、Iさんの場合は、お金がない白石被告が、わざわざ(小田急線)町田駅まで行き、(JRに)乗り換えて八王子駅まで行っています」(弁護側中間論告)

 Iさんと合流したとき、白石被告が「私の部屋で首を吊るか、Iさんの部屋でするか」と聞くと、Iさんは白石被告の部屋を選んだという。以前のDMで、白石被告は「部屋にロフトがある」ことを伝えており、Iさんは知っていた。弁護側はこの点を強調し、「Iさんは、死を決意していた」(同)と主張している。

 合流後、白石被告とIさんは、八王子駅から町田駅へ向かい、JRから小田急線に乗り換えて、14時47分、相武台前駅に着いた。そして、15時ごろには白石被告のアパートまで行くことになる。

「合流した直後は、私の部屋で自殺しましょう、という会話はありましたが、その後は、自殺の話はありませんでした。楽しそうに話をしていたので、出会い目的かと思いました」

逮捕後は「本当に死にたい人はいなかった」と供述

 Iさんの「楽しみ」や「ワクワク」は、白石被告との出会いが目的だったのか。それとも、自殺願望を実現することへの気持ちだったのか。白石被告は、出会い目的と勝手に判断した。気持ちの確認は何もしていない。

 逮捕後、白石被告は「本当に死にたい人はいなかった」などと供述し、筆者との面会でも同じことを繰り返した。たしかに、死ぬのを止めたことを明言した犠牲者もいるが、Iさんを含めて、気持ちを確かめていない人もいたのだ。

 部屋では1時間半から2時間後にIさんを殺害しているが、白石被告はこれまでのような“見極め”をせずに、いきなり背後から胸を触り、押し倒し、首を絞めるという行動をとった。そして、殺害後、白石被告は、吊るしたIさんの胸と陰部の写真を携帯電話で撮影した。

「容姿がタイプだったんです。自慰行為をするために撮影しました。そして、床に寝かせて、死姦しました」

 Iさんを含め、9人の殺害は、殺害の承諾があったのかが争点だ。そのことを考える上で、議論になっているのが、抵抗があったのかどうかだ。Iさんの場合は、白石被告の記憶が曖昧になっている。

 ただ、逮捕後の調書(2017年11月27日、同年12月23日)によると、「胸を触ろうとしたときに肘打ちされました。馬乗りになったときには、足で蹴飛ばされそうになりました。首を絞めている手を引き離そうとしました」など、Iさんの抵抗の様子を白石被告は供述している。

通常の刑事裁判とは、逆になっている

 こうした供述について、白石被告は公判の中で「今の時点で記憶はないが、取り調べ時点のほうが記憶が新鮮なので、そう話したのなら、それが正しい」などと話す。今回の事件の被告人質問では、一貫して、こうした答え方をしている。

 ただし、「逮捕後に何がなんだかわからない状態で供述したことと、落ち着いてきて喋れるようになったときの供述と、証拠を見せてもらった後の供述」とはニュアンスが異なる旨の発言もしている。そのため、検察側は供述の一貫性を主張するが、弁護側は供述が信用できないと反論。被告人の供述を信用するかどうかについて、通常の刑事裁判とは、逆になっている。

 その上で、検察側は、「殺害の承諾も、所持金を奪取する承諾もない」とした上で、「性欲を満たしつつ、所持金を奪った、自己中心的な単なる殺人であり、強盗・強制性交等殺人である」と結論づけた。

 一方弁護側は、会うまでのやりとりでは、「Iさんが自ら白石被告のところへ会いに行き、部屋にも強制されずに入っている。部屋に入ってからは、ロフトがあり、ここで首を吊るんだと分かったはずだが、帰るそぶりはない。白石被告に死を委ねている。そして、白石被告に勧められた安定剤を拒否することなく飲んでいる。それは死への決意を加速させた。承諾がないとするには疑問が残る」と反論した。

肉片はジップロックに入れて、新聞紙で包みました白石被告が語った悍ましい遺体解体の実態

文春オンライン 2020年11月25日(水)20時51分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

「1日8時間の冷蔵庫のアルバイトは体力的にキツくはなかったんですが、面倒でした。バイトで物を運んだり、走り回るよりも、一人の女性を家に連れ込んで殺害し、解体をして遺棄する方が楽でした。(殺害して、解体することは)負担にはなったが、引き換えで得られる(失神後の強制性交の)快楽のほうが勝りました」

一貫して「楽をして生活をしたい」と語っていた

 2017年に神奈川県座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で11月24日に行われ、強盗・強制性交等殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)は被告人質問でこう答えた。これまでに9人の殺害に関する証拠調べが終わり、それを踏まえた総括的な質問が行われた。また、白石被告の母親の供述調書も読み上げられた。

 これまでの被告人質問では、弁護人に「黙秘します」という回答を連発していたが、この日は、すべてに答えていた。白石被告はこれまで一貫して「楽をして生活をしたい」と語っていたが、逮捕前の仕事である、SNSを使っての風俗のスカウトの仕事をしていたことについて弁護人から「自宅にいて、楽に稼げる仕事だと思ったのか?」と聞かれ、「はい、そうです」と答えた。しかし、売春をすることを知りながら風俗店に斡旋した職業安定法違反で逮捕されたことについて、「人生こんなこと、というか、出来事があるのか」と思ったようだった。

成功体験となった高校時代の”家出”

 事件前について、弁護人が質問をした。職業安定法違反事件で有罪判決が出た後、一時、父親と一緒に実家で暮らすことになったが、父親との関係はうまくいかず、父親からお金を無心しようとして、希死念慮があるように装っていたという。

「落ち込んだふりをしました。具体的には、『死にたい』と言ったり、『働いていく自信がない』などと言いました。また、父親が家にいることを知りながら、ロープを横に置いて寝たり、ロープをベランダのつり革にぶらさげて首を吊るふりをしました。父がこれを知って、心配させました。公園で首を吊ろうとしたり、20メートルの高さの橋まで行ったこともあります」

 なぜこんなことをしたのか。実は、白石被告にとって、成功体験となる出来事があった。それは高校生のときの家出だ。3回している。場所はそれぞれ北海道、北陸、山陰地方だった。このときは、両親に自殺系サイトを見て、練炭自殺をするグループに参加したことがあると伝えていた。

「父親とは不仲でしたが、家出後、態度が軟化し、お金を引っ張ることができました。お小遣いを引っ張れたのです」

「解体している間も、DMのやりとりをしていました」

 事件を起こす1ヶ月前には、遺書のようなメモを書いている。家族と、通っている病院に宛てたものだった。内容は「意識不明になったら、治療をせずに殺してください」「今日こそ、自殺するので、殺してください」などだ。

「私が自殺する意思がある内容を示すものです。しかし書くだけで、未遂はしていません。死のうとしたわけではありませんから。そのメモは、自分の部屋の、目立つところに置いていました。父に対して、私が精神的に弱っていることをアピールしたのです。自殺しそうな状態でお金を無心すれば、お金を引っ張れると思ったのです。メモを読んだかはわかりませんが、父は態度を軟化させました。お金を引っ張ることが目的です。創作の文章であり、私が強い希死念慮を持っているように、父に印象付けをしたかったのです。その目的に沿って書きました」

 その結果、「効果を発揮」して、市民税や国民健康保険料を全額支払ってもらうことができたという。

 また、弁護人は、9人の遺体を解体している間のことについても質問した。

「解体している間も、他の人と(TwitterのDM等で)メッセージのやりとりをしていました。解体中にメッセージが来ても、追われている感じではありませんでした。解体しているときは、一回、一回、目の前のことに集中していました。一方で、やりとりをしながら、相手からお金を引き出せるか、引き出せないなら、レイプして殺害できる相手を探していました。寝る時間はありました。(メッセージのやりとりは)肉体労働とは違って、布団の中で寝ながら携帯を触っているだけでした。半睡眠状態のような感じです」

「一人あたり、大きな骨が8本出ます」

 遺体解体では、「血抜きをしていれば、肉をそぐときには血はほとんど出ません。食肉を切ったり、魚をさばくときの心境とはまったく違います。やらなければ、つかまってしまうという必死な面と、こうすれば効率的に作業ができるなとも考えていました」と白石被告は述べる。その上で、頭部遺体は猫砂を入れたクーラーボックスに入れているが、弁護人から「表情は目に入ったのか?」と聞かれて、こう答えている。

「目に入りました。こんな顔をするのか、という感じでした。ただ、全員のことは思い出せません。(今日のやりとりでは)最後の方、Iさんの表情は思い出しました」

 その後、匂いを消すために、腕や足、肋骨などの骨を鍋に入れた。

「一人あたり、大きな骨が8本出ます。両側を煮ます。そのため、16回、煮ることになります。2~3時間で終わりましたので、1回10分ぐらいだったと思います。その後、冷蔵庫に入れて、乾燥させました。長くても30分ぐらいだったと思います。

 肉片はジップロックに入れて、新聞紙で包みました。新聞紙に包むジップロックは1つのときもあれば、2つのときもありました。4つぐらいにわけて、ゴミ袋に入れました。40リットルや50リットルの大き目な袋です。1回では4~5袋になりました。一度では捨てられないので、2~3回にわけて捨てました。朝になって、出勤する人や通学する人がいるときに捨てれば、怪しまれないと思いました。他の住民が捨てて、ゴミがたまり、匂いがあるような時に捨てたのです」

 協力した女性に対する恨みは」白石被告が法廷で声を荒らげた瞬間 

文春オンライン 2020年11月25日20時51分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

 2017年に神奈川県座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、11月24日、白石隆浩被告(30)の被告人質問が東京地裁立川支部の法廷で行われた。検察側の被告人質問の模様をレポートする。

直前までは正直、やってしまっていいのか

 一貫して「楽をして生活したい」と語っている白石被告に対して、検察官が「働いたらよかったのでは?」と聞くと、実はアルバイトの面接をしていたことを明らかにした。

「9月か10月、途中で面接をしました。近所のファミレス。デニーズです。しかし、ホールとキッチンは埋まっていて、『配達ならいい』ということだったんですが、断りました。実際に働こうと思ったのは、デニーズだけでした」

 また、1人目の被害者Aさん殺害の直前、躊躇はしなかったのか、という点についても質問があった。

「正直、やってしまっていいのか、と直前までは思っていました。殺害しているときは無我夢中でした。殺害後は、(逮捕されないように)完璧な状態にしないといけないと思いました。悪いことをしたな、これは罪になることをしたんだなと思いました。ただ、殺害後は、解体と遺棄に集中しました。Aさんのことを顧みることなく、次の標的を探しました」

 それぞれの被害者の悩みを聞いて、同情や感情移入をしたかも聞いた。

「正直に言うと、自分の損得しか考えておらず、相手のことを考えていませんでした。悩みを聞きながら、『お金があるのか? それとも、私に好意があるのか?』しか考えていませんでした。死にたいという希望を叶えようというのもまったくありません」

虫に食べさせるか、薬品で溶かすか

 殺害した9人の他にも、白石被告は、女性2人と会っている。殺害した女性と、殺害しなかった女性との差はなんだったのか。検察官が聞いた。

「私に対する好意があるかどうか。お金があるかどうかです。短時間で見極められると当時は考えていました。それは、態度や言葉使い、表情で判断しました、ただし、事件前は、相手が仕事をしていたら、お金を借りたり、部屋に入り込もうとしていました。おごってもらえればいいと思っていたときもあります」

 遺体を解体するのではなく、他の選択があったのかも聞かれた。

「(遺体を)虫に食べさせるか、薬品で溶かすかです。虫はミルワームです。私のイメージではミミズのようなものです。しかし、成虫になると、ハエのように飛び回るというので、部屋の中で飛び回ったら嫌だなと思いました。虫は嫌いでしたから」

 殺害を重ねていくと、頭部遺体を入れたクーラーボックスが増えていくが、遺体の確認をしたのだろうか。

「テトリスのように下から敷き詰めていました。移動させるときには確認をしています。逮捕後にも確認しましたが、表面が欠け落ちていました。見たときは、逮捕されたこともあって、まずいことをしたと思いました。同じ人間という生き物をこんな状態にしてしまった、と」

殺されていい人ではなかったと思います

 逮捕数日前の10月27日、座間市立図書館で、白石被告は7冊の本を借りている。どんな本を、どんな目的で借りたのだろか。

「洗脳と宗教関係の本です。今後、知り合う人に対して、洗脳を使うことができれば、より、お金を引っ張れると思ったからです」

 この日の最後の質問は、被害者への思いだった。Aさんに対してはこう語った。

「過ごした時間が長かったこともあり、何も殺すことはなかったのではないか。まじめにお付き合いをしていればよかった。公判が始まり、Aさんの状況を聞くにつれて、そのように考えました。Aさん自身がいろいろな人に必要とされていました。殺されていい人ではなかったと思います。証拠調べを聞いて、もしかしたら、私に対して本当に好意があったのではないかと思いました。ただ、Aさん以外に、強い感情が湧きません」

 Bさん、Dさん、Gさん、Hさんに対する答えは次のような同じ回答だった。

「会って短時間で殺害してしまったので、正直印象が薄い。遺族の方とも面識がないので、何も思いません」

 Cさんは唯一の男性だが、「(Aさん殺害の隠蔽という)明確な殺害の目的がありました。証拠隠滅の達成感しかありません。悪いとは思わないです。遺族に対しては面識がないので、深くは思いません」と話した。Eさんに対しては、「会って数時間で殺害をしました。子どもがいらっしゃる方ですかね。証拠の中でお子さんに触れた部分がありましたので、これからのことを思うと申し訳ないと思っています」と述べた。

逮捕の原因になりましたので、恨んでいます

 Iさんに対しては「(待ち合わせ後)そのまま、Iさんの部屋に行き、真面目に付き合っていればよかった」と、振り返った。

 事件の発覚は、IさんがTwitterで自殺募集のツイートをしていることを知ったIさんの兄が、Twitterを使って探そうとし、それに協力した女性が現れたからだ。その女性が囮役になったことで、事件が明るみになった。捜査段階では白石被告は、「Iさんの兄がいなければ、捕まることはなかった。とても恨んでいます」と供述したというが、現在の心境について、次のように答えた。

「今は、正直、Iさんのお兄さんと、協力した女性に対する恨みは残っています。警察で協力者がいたと聞いたので、この女性かと思いました(※やや、声を荒らげる)。結果的に逮捕の原因になりましたので、恨んでいます」

 この日は、白石被告の母親の供述調書が読み上げられた。母親は「亡くなった方や遺族の方のことを思うと、自分が生きていていいのかと考えます。責任の取り方が思い浮かばない」などと話していたという。

 精神鑑定をした医師の尋問も行われた。医師によれば、中核となる犯行動機は、楽して生活をしたいということと、楽して性欲を満たしたい、という2つとし、なんらかの精神障害を想定しないと犯行を説明できないというものではないとして、刑事責任能力に影響する所見がないと判断した経緯を説明した。

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関連エントリ 2020/11/26 ⇒ 【座間9人殺害】公判✍「若く尊い命が奪われた」白石被告に死刑求刑

 

2020年11月27日 (金)

【ナショジオ】ヒトの半数『色覚異常』✍どのように進化してきたのか㊦

 ヒトのような野生のサル発見! 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年11月28日(土)12時37分配信

なぜ私たちには色覚があり、どのように進化してきたのか

 東京大学大学院新領域創成科学研究科・人類進化システム分野の河村正二教授は、脊椎動物の色覚について、魚類から霊長類、さらにヒトまでを視野に収める研究を進めている。

 多様性を極めているかのような魚類の不思議な色覚から始まり、いったん高次の色覚を失った哺乳類の中でふたたび3色型色覚を取り戻した霊長類。さらにはヒトがなぜ色覚多型を持っているのか、という問題まで。現在はコスタリカの新世界ザルのフィールドと実験室を行き来する21世紀スタイルの研究室としてフル稼働している。

 ここからコスタリカの新世界ザルの話に入っていきたいのだが、その前に、河村さん自身の研究史に触れておきたい。現在のフィールドに至るまでには、やはり、一筋縄ではいかないストーリーがある。

 そもそも、色覚研究は、本当に広く深いテーマで、興味が尽きない。ぼくはお話をうかがいながら、古典的な学問としてニュートン(光学)からゲーテ(色彩学)までをひとまたぎした上で、ダーウィン(進化論)によって筋を通し、ティンバーゲンやローレンツ(動物行動学)の肩を借り、生理学や医学の知識も総合しつつ、21世紀の超最新型・分子生物学が肉付けをしていくような、広さ・深さを常に感じないではいられなかった。

 河村さんは、いったいどういう経路で、このテーマにめぐりあったのか、それ自体、とても興味深い。

「僕はもともと進化に興味があって、遺伝子レベルで進化に切り込みたいという思いはありました。子どものときから、虫が好きだったり。何であんなに小さいやつがあんなにうまくできていて、うまいこと生きているんだろうというのを不思議に思っていたんです。それで、進化の研究をしたいなと。僕が大学生のころは遺伝子のことがよく分かるようになってきていたので、遺伝子から進化の研究ができたらいいなと思っていたわけです」

 子どもはなぜか、虫に惹かれる。そして、虫に惹かれた子のいくらかは、長じてもその思いを、人生におけるキャリア形成にまで反映させたりする。河村さんが大学の学部生だった80年代前半は、遺伝子と進化をからめた研究が勃興しつつある時期だった。そこで、東京大学の教養課程から専門課程に進むときに、当時、唯一「進化研究」を看板に掲げていた理学部生物学科の人類学教室を選んだ。目論見どおり、霊長類の遺伝子レベルの進化研究と出会ったわけだが、最初は、色覚とはまったく関係がない方面だったそうだ。

河村さんがオプシンに出会うまで

「大学院時代は植田信太郎先生のご指導で免疫関係の遺伝子の進化の研究をしていました。ヒトとチンパンジーやゴリラの塩基配列の違いを調べてました。学位を取って博士研究員(ポスドク)先を探しているときに、アメリカのシラキュース大学(当時)で、魚のオプシンの研究をやっていた横山竦三(しょうぞう)先生がポスドクを探しているのを知ったんです。それに応募して、そこからですね、オプシンを自分の研究対象としたのは。でも、ポスドクでやっていたのは、アメリカン・カメレオン、一般にグリーンアノールといわれていますけど、その全オプシン遺伝子を決定して、次にハトでした」

 なんと、河村さんは、ポスドク時代に爬虫類と鳥類のオプシンを調べて、色覚については、やはり「魚類から霊長類まで」脊椎動物を俯瞰する足がかりをすでに作っていたわけだ。その後、古巣の東京大学に復帰して、その時点では、魚類(ゼブラフィッシュ)と新世界ザルという二本柱をすでに決めていたという。ポスドク時代に、オプシンの研究を深めたことで、昔から抱いていた「遺伝子で進化の研究を」という目標への具体的な切り込み方を決めることができた。

 前に紹介したゼブラフィッシュやメダカの研究も、その成果のひとつだ。

 一方、新世界ザルの方は? ゼブラフィッシュのように研究室で手軽に飼うわけにもいかないし、行動を見たいならどのみち、野生のフィールドが必要だ。偶然に助けられつつも、コスタリカでオマキザルを研究しているカナダ、カルガリー大学のリンダ・フィディガンさんや、クモザルの研究をしているジョン・ムーア大学(イギリス、リバプール)のフィリッポ・アウレリさんたちのフィールド調査に参加することになった。

Photo_20201127183901河村さんが研究しているクモザル、ホエザル、オマキザル。

色覚多型の野生での例を探しに新世界

「新世界ザルは色覚がオスとメスで違っていて、メスの中でもさらに違っているんです。それが行動の違いにも反映しているかもしれないという話をして、それは、面白い! と言ってもらえたんです。でも、最初は、相手も半信半疑でした。オプシンの遺伝子を見るには、糞のサンプルがあればいいんですが、そもそも、そんなに採れるのかと。彼らも観察している群れの血縁関係とかを知るのに糞サンプルを採っていたんですが、そんなにたくさん集まらないというのが実感だったみたいです。だから、どれくらい集められるのか、集めたところでどれくらいDNAが抽出できて、ちゃんと遺伝子を増やせるのか、増えたところでオプシンの多様性はあるのかとか、何段階もの疑問はあったんだけれども『1回試しに来るだけ来てください』ということで、行ってきました。2003年7月ですね」

 河村さんたちも、ニホンザルなどの糞からDNAを採る練習をして、問題なく抽出できることがわかっていて、では実際に新世界ザルをやってみたらどうなるか、という挑戦だった。

Photo_20201127184001捕獲の必要や生体を傷つける恐れがないため、野生の哺乳類からDNAを採る場合、糞や毛を用いることが多い。

「それが、わりと採れたんですよ。行動観察をしている人はそれに専念していて、その合間に糞を採っているんだけれど、こっちは糞を採るだけなので、一緒について行って、あ、糞したと言っては、そのたびに行って集めて回る。やっぱり、専念する人間がいると採れるんですね。たった1週間で、オマキザルもクモザルもそれぞれ20くらいは採れて、彼らも『へえっ、いっぱいとれますね』という感じでしたね。それで日本で分析してみたら、DNAはちゃんとあると。それでオプシンの遺伝子をPCRという方法で増やして、実際に多様性があるとわかりました。これで向こうも俄然やる気が違ってきて。それから、かなり緊密な共同研究体制ができて、僕の研究歴の中でも非常にうまくいっている共同研究です」

 新世界ザル、この場合、オマキザルとクモザルでは、同じ群れの中に、複数の種類の色覚を持った個体が混ざっている。以前から、色覚多型があることは知られていたが、それらが、例えば地域個体群ごとに違うのではなく、同じ場所で暮らしている群れの中にすべてのバリエーションが見られることが分かった。これは、河村さんたちの発見の「その1」である。

Photo_20201127184201円グラフが各地域の個体群のなかにおけるオプシンの多様性を示している。色覚多型が維持されている群れが野生のなかに本当にあった!

新世界ザルの色覚多型はこうなっている

 なお、新世界ザルの色覚の多型は、大変なもので、実は、同じ群れの中に6種類の色覚が混在することもある。3色型だけで3種類、そして、2色型に3種類だ。3色型になるのは、ある割合のメスだけで、残りのメスとすべてのオスが2色型。なぜ、こういうことになるかというと、やはり性染色体が絡んでいる。X染色体の上に、オプシンの遺伝子があるのは、一緒。ただ、違いは、ヒトや多くの「旧世界ザル」の場合、1本のX染色体の上に赤と緑、2つのオプシン遺伝子があるのに対して、新世界ザルでは1つだけ、ということだ。

Photo_20201127184501新世界ザルの色覚多型の仕組み。赤・緑・青の矢印はそれぞれ赤オプシン、緑オプシン、青オプシンで、黄色い矢印は赤と緑の中間的なオプシン。ヒトではX染色体に赤・緑の2つのオプシン遺伝子が重複しているのに対して、新世界ザルでは1つしかない。

「オスはX染色体が1本だから、常染色体の上にある青オプシンとあわせて2種類のオプシン遺伝子しかもちません。オスはすべて2色型色覚になるわけです。一方、メスはX染色体が2本なので、2本の間で違う型だと3色型になります。ちょっと複雑ですが、同じ場所を占めるオプシン遺伝子が3種類の場合だと、メスだけ限定で、ABOの血液型に似ているかもしれません。組み合わせがAAとかBBとかOOですと、同じ遺伝子なので、メスでも2色型になります。AB、AO、BOなどですと、違うオプシン遺伝子を持つので、3色型です」

 血液型の場合、AAとAOはともにA型、BBとBOはともにB型と分類されるので、ちょっとややこしい面もあるが、3種類の対立遺伝子(今は「アリル」と言うそうだ)の関係という意味では確かに似ている。とにかく、オスは2色型のみで、メスは2色型と3色型がありうる。3種類のオプシン遺伝子のどれをX染色体に持つかによって、2色型でも3種類あるし、3色型にも3種類あることになる。しめて、同じ群れの中に6種類の色覚を持った個体が混ざることになる!

 旧世界ザルの世界では、テナガザルにせよ、ニホンザルにせよ、チンパンジーにせよ、「正常な」3色型色覚に自然選択が強く効いているというこれまでの結論とは違い、こういった多型色覚が、進化的にも安定しているわけだ。例外といえば、夜行性のヨザルが1色型色覚であることと、ホエザルが「全員3色型」であることくらい。分類群で「科」をこえて、ほぼ普遍的なことなのである。

 なぜ、こういうことになっているのか。河村さんの探求は続く。

Photo_20201127185301遺伝子からフィールド調査まで、さまざまな角度からアプローチしている河村さんが関わる学会は多岐にわたっている。

 」が本当に有利なのか 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年11月29日(日)12時32分配信

ヒトの色覚は正常」「異常と言えるものなのか

 河村さんたちの探求は、実験室でのオプシン遺伝子の研究から、新世界ザルの行動観察をするフィールドまで、すっきりとつながったものになった。

 これは、ある意味、進化生物学者の夢の達成だ。どんどんミクロに見て、遺伝子レベルで解明できたことが、実際に生き物が日々の行動の中でどのように影響しているのか、その適応的な意味とはなになのか、直接、調べることができるテーマは、未だにそうたくさんある話ではない。

 そして、河村さんたちのフィールドワークは、これまでの常識をひっくり返す発見をもたらした。

「3色型の有利性がどれくらいのものなのか、本当にあるのかということも含めて調べましょうということで、何をしたかといいますと、まず、果実や葉っぱの反射率を測定して、色を数値化する作業をしました。同時に降り注ぐ太陽の光の波長測定をすれば、サルのオプシンの吸収波長はわかっているので、そのサルにとってその色がどんなふうに数値化できるかといえるわけです。2004年から2005年にかけて、博士課程の学生だった平松千尋さん(現・九州大学助教)が、25頭の群れを8カ月見続けて得たデータです。こういった研究を練り上げるのは、平松さんとアマンダ・メリンさんという当時のカルガリー大学の学生さん(現アシスタント・プロフェッサー)が相談して決めました。それで、2人の共同研究でどんどん面白いことがわかってきたんです」

Photo_20201127190101サルのオプシンがどの波長を見やすいかがわかっているので、果実や葉っぱが反射する光の波長を測定すれば、サルにとっての見え方がわかる。

 例えば、クモザルが主に食べる果実を採集してきて、熟したもの未熟なものの反射特性を見る。果実といっても、熟すとはっきりと色が変わるものもあれば、あまり色が変わらないものもある。さらに様々な木の葉も測定する。そして、それらが、3色型のクモザルを想定した色度分布のグラフでは、葉と果実がきっちり区別して見えることが分かった。一方、赤・緑の区別がつかない2色型では、葉と果実の区別がまざってしまい区別がつかないこともわかった。ここまでは、以前、紹介した2000年の論文と同様の結果で、ある意味、予想通りだ。

Photo_202011271903013色型のクモザルでは葉と果実がはっきりと区別されて見えることが明らかになった。

3色型と2色型の行動を比較した結果、驚くべきことが明らかに

「そこで、行動観察もちゃんと数値化することにしました。果実を発見してから食べるまでの流れを考えると、まず見つけるところから始まりますね。これを『発見』とします。それからかじったり、臭いをかいだり、触ったり、じっと見つめたりして確かめる。これをインスペクション、『検査』。それから最終的に食べるか、口に入れてからペッと吐き出すか、あるいは食べずにポンと捨てるか。これを『摂食』。そういったふうに定義して、単位時間当たりにどれだけのことをやるか割り出してみたんです。果実検出の頻度ですとか、正確さ、そして、時間あたりで考えたエネルギー効率ですとか。さらに、嗅覚にどれだけ依存するか。けっこうサルはよく臭いをかぐので、気になりだして、これも観察して評価しました」

 その結果、驚くべきことが分かった。理論的には、3色型が有利になって然るべきなのだが……。

「予想に反して、3色型と2色型に違いがまったくありませんでした。さきほどの3つの行動指標のどれでも、まったく差がない。どういうことだというので、結局あれこれやってわかったことは、実は明るさのコントラストが一番利いていたということになったんです」

Photo_20201127190401クモザルにとっての輝度の見え方を示した図。横軸が輝度。全体として果実と葉の輝度は重なっているが、部分部分でみると違うところが多い(赤い果実は葉よりも暗い傾向がある)。

 これは、えええっ、というくらい驚きの結果だ。

 だって、3色型の色覚なら背景の葉っぱから、果実の赤がポップアップして見えて有利なはずではないか。明暗だけをたよりにしても区別しにくいのではなかったのか。

2色型のほうが有利なケースも!?

「ひとつの解釈は、僕たちの観察は、サルが果実のすぐ近くに行ってから先の行動を見ているんですね。一旦近くまで行ったら、色覚型の優位性ってほとんどなくなっちゃうんじゃないかというものです。それから、臭いをよくかぐんですけど。これ熟してもあまり色が変わらなくて葉っぱと見た目が似ている果実の方をよく嗅ぐんです。3色型も2色型も同じです。つまり、眼で見てよくわからないのは、臭いをかいで、その結果として食べたり食べなかったり決めると。使える感覚は何でも使って採食を行っていると。言われてみれば当たり前のことがわかったんですけども、要するに3色型がすべてを決定しているキーではないということですね」

 研究はさらに続く。

「実は、2色型のほうが良いという事例まで見つかってきたんです。それは昆虫を食べる時です。2色型色覚は確かに赤・緑の色コントラストに弱いけれども、逆に明るさのコントラストや形や形状の違いに非常に敏感なんです。それで、カムフラージュしているものに対しては2色型のほうがより強いと。それで、単位時間当たりにどれだけ昆虫をつかまえたかというのをオマキザルで実際に調べたら、2色型のほうが良いとわかりました。特に森の中で日が差さない暗いところに行けば行くほど、2色型が有利で、3倍近く効率がいいんです。統計的にもきちんと有意です。これは、アマンダ・メリンさんが学生時代から頑張ってとってくれたデータです」

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Photo_20201127191101森の中でノドジロオマキザルが昆虫を1時間に何匹捕まえたか(捕獲率)を調べた結果。縦軸が捕獲率で、横軸が左から日向・日陰・森の中から空が見えない暗い状態。棒グラフペアの茶色(左)が2色型で、緑色(右)が3色型。

 野生の動物で2色型のほうが有利であったというデータはこれが初めての報告だったので、この研究は、「サイエンス」誌のオンラインニュースに内容がピックアップされて紹介されるほど話題を呼んだ。

 こういう2色型有利の結果が出る理論的な説明として、非常に興味深いものがあるので紹介する。

カギはやはりヒトのオプシンにある?

「霊長類の赤・緑色覚というのは、実は物の形を見る神経回路をそのまま使っていて、物の輪郭を見る機能を犠牲にしているんですよ。なので、サルに丸いパターンを選ぶと餌がもらえるという訓練をして、それを緑だけ、赤だけで訓練を重ねていって学習をしたあとに、ときどきモザイクになっているやつを混ぜる実験をします。そうすると3色型色覚のサルは、とにかくすぐにエサがほしくて手を出して、正答率が偶然レベルまで落ちてしまうんです。人間に同じテストをやると、間違えはしないんですが、答えまでの時間が長くなります」

Photo_20201127191501上左側が3色型での見え方、右側が2色型での見え方を表した図。下の棒グラフはサルでの実験結果で、左2本が3色型で右4本が2色型。

 2色型は、明暗を使ってものの輪郭を見分ける明度視に秀でている、と。それは、霊長類の赤・緑の色覚が実はものの輪郭を見るための神経回路をそのまま流用しており、輪郭を見る能力を犠牲にしているからという説明だ。これは、東京大学総合文化の博士課程の学生だった齋藤慈子さん(現在、武蔵野大学講師)の仕事で、前述の平松さんやメリンさんとあわせて、河村研究室の新世界ザル研究におけるレジェンド的な存在である。

 さらに河村さんたちは、3色型と2色型では、繁殖成功率に変わりがないことを示したり、むしろ2色型の方が高い傾向があることまで示した(有意な差ではない程度)。本当に驚くべき結果が、次々と出てきたのである。

 さて、なぜ、こういうことになっているのか。ヒトを除く旧世界ザルや類人猿のほとんどに、3色型の強い選択圧がかかっていることを考えれば、本当に不思議な話だ。なにかもっとシビアな環境、たとえば、乾燥で森に果実が少なくなり、探索が難しい時期が10年か20年に一度あって、その時に、3色型が圧倒的に有利になるとか、もっと長い間みないとわからないことかもしれないし、単にデータの量の問題かもしれない。素人ながら思いをめぐらせた。

「完全に2色型と3色型で差がないとなると、遺伝の多様性をどうやって維持するかという話になってきて、中立変異と同じになっちゃいます。中立変異はいずれは消える運命なので、それにもかかわらずさまざまな色覚の型が残っているということは、何らかのメリットがないといけないはずです。やはり、2色型には2色型のよいところがあって、3色型には3色型のよいところがあって、両方いることはいいのではないかということですね」

ヒトが色覚多型を維持している意味は

 魚類から始まって、ヒトを経由して、新世界ザルの色覚の世界を旅したあとで、やはり、立ち戻るのはヒトだ。

 旧世界の霊長類、とりわけ狭鼻猿類(ヒトや類人猿やニホンザルや多くの種類を含む)のほとんどが、保守的でゆらぎない3色型色覚なのに、ヒトだけがはっきりと色覚多型を維持している意味とはなんだろう。新世界ザルのフィールドに、河村さんが飛び込んだのも、その疑問があったからだ。

「少なくともヒトでは、3色型を維持する選択圧は緩んでいるんでしょう。では、なにが選択圧を緩ませているのかなんですけども、少なくとも産業革命や農耕文明といったことではないんじゃないかというのが、今の考えです。というのは、赤オプシンや緑オプシンの一方がないのも、オプシン遺伝子の前半後半が組み換わったハイブリッド・オプシンも、ほとんど集団によらないんです。ヨーロッパ系であろうと、アフリカ系であろうと、アジア系であろうが。狩猟採集民だろうが、農耕民だろうが、どこでもわりと簡単に見つかるんですよね。そうすると、こういったものはずっと前からあるということになるわけです」

 ヒトにおいて、色覚多型は、普遍的。どこにいっても一緒。ということになると、ヒトがヒトとして成り立った時には、もう「3色型だけ」を維持する選択圧は緩んでいたということだろうか。

「ひとつ考えられるのが、森林の外での狩猟です。3色型色覚はそもそも、霊長類の森林適応だとされているわけですから。ヒトは約200万年前、ホモ属になったあたりから森林を出てサバンナを主な生活の場にして、石器をつくって狩りをして生き延びてきた種であって、それはゴリラやチンパンジーとはまったく違う生態系であるわけですね。そうすると、狩猟において獲物はカムフラージュがかかっているし、狩猟をすれば自分も肉食獣に狩られるかもしれない。肉食獣はたいていカムフラージュがかかっているから、集団の中に2色型や明確な変異3色型の人がいることが、それぞれの生存に有利につながる可能性も考えられる。単に緩んだだけではなく、多様性のなかにメリットがあるんじゃないかという話です」

 ここで、なにか涼やかな風が吹いたように感じた。「2色型や明確な変異3色型」というのは、今の医学の言葉では「色覚異常」とされる。しかし河村さんの研究の上に立って見渡すと、実はヒトの集団が持っているのは「異常」ではなく、「多型」なのだ。

 河村さんたちの研究と呼応するかのように、色覚を「正常」「異常」という枠組みで捉えるのをやめようという動きもあると教えてもらった。

 これまでの「正常色覚」を、「C型色覚」(Cは Common のC、「よくある」とか「ありふれた」という意味)と呼ぶ。「正常」かどうかはともかく、少なくとも多数派ではあるわけで、それを「コモン」と呼ぶのは理にかなっている。

 一方、かつて「色弱」「色盲」と呼ばれた少数派の色覚は、欠けたり変異しているオプシン遺伝子をもとに再編された新カテゴリーとして、P型、D型などと呼ばれる。Pというのは、Protanopes のことで、「proto(第一の)」+「an(欠損)」+「opia(視覚)」、つまり「第一の欠損色覚」のような語感。具体的には、赤に相当する波長を感じるオプシンが変異したり欠けている色覚を指す。D型の方は、Deuteranopes の「deuter(deutero)」が「第二の」という意味で、緑に相当する波長を感じるオプシンが変異したり欠けたりしている色覚だ。

 C型、P型、D型という言い方をする時に、問題とされているのは、多数派か少数派か、そして、遺伝子のどこに変異や欠損があるか、ということで、優劣の問題は前景から退く。

「感覚について、これが優れているとか、優れていないとかいうのは、間違っていると思います。3色型は2色型より優れている、あるいはその逆とかいうのは、進化の視点から見たらかなり違う。常識で思っている優劣、とくにそれが遺伝子に根ざしているものには、多くの場合、別の理由があるんです。ここに至るまでにものすごく長い歴史があって、その中で培われてきたもので、そこで生き延びてきたことには意味がある。一見、不利なようなものが、実はそれがあったからヒトがいるのだと。ヒトの色覚多型は、その一例なんだと思います」

 河村さんとの対話は4時間近くに及んだ。

 話し終えて、ふうっと深呼吸した。

 色覚研究の深い世界を垣間見るとこができて、それ自体、好奇心を掻き立てられた。本当に、この世界は底知れず、興味深い。それに加えて、河村さんが最先端の研究を通じて感得した多様性への思いに、深く共鳴し、胸が熱くなった。

 そして、そんなぼくに対して、河村さんは、スライドに記されたすでに公になった研究とは別のことも、さらに熱を込めて語ってくださるのだ。つまり、現在進行形の研究について。

「今後、これまでの魚類と霊長類のオプシン研究(色覚研究)を基盤に、嗅覚や味覚へと研究を広げていこうとしているところです。野生のフィールドに出て、色覚だけではなく、他の感覚との統合が大事だと感じまして。だから、新世界ザルの同じサンプルを使って嗅覚や味覚の遺伝子の多様性を調べたり、サルたちが食べている森の果実の匂い成分を調べたりしているんですよ」

 嗅覚や味覚にかかわる遺伝子は、色覚とは比較にならないほど複雑で、これまでなかなか手を出せなかったそうなのだが、今は次世代シーケンサーに代表される新技術で、複雑なものを複雑なまままとめて扱う研究もできるようになっている。色覚を通じてフィールドとラボをつないだ河村さんの研究が、さらに幅広く深く進むための道具が追いついてきたともいえる。

 遠からず成果が続々報告されそうだ。引き続き、楽しみに待とう!(おわり)

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2020年11月26日 (木)

【座間9人殺害】公判✍「若く尊い命が奪われた」白石被告に死刑求刑

 座間9人殺害公判「卑劣かつ冷酷、猟奇的」白石被告に死刑求刑 

産経新聞 2020年11月26日(木)12時42分配信

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、15~26歳の男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第23回公判が26日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれ、検察側は「卑劣かつ冷酷、猟奇的で残虐、非人間的な犯行だ」として死刑を求刑した。同日午後には弁護側の最終弁論が行われ結審する予定で、判決は来月15日に言い渡される。

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 殺害の承諾の有無が最大の争点となった今回の公判では、被害者9人を3グループに分けて審理。検察側は被害者全員について殺害の承諾がなかったとする一方、弁護側は「自分の意思で被告宅に行っており、殺害されることを想定していた」などとして承諾殺人罪の適用を主張していた。

 検察側はこれまでの中間論告で、4~7人目の被害者について「自殺願望は被告宅に行くことになったきっかけにすぎない」と指摘。8、9人目の事件は「一緒に死ぬ」と嘘をついておびき出した上での「極めて自己中心的な単なる殺人だ」と厳しく非難していた。

 座間9人殺害、白石被告に死刑求刑 判決1215の予定 

毎日新聞 2020年11月26日(木)12時27分配信

 神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)に対し、検察側は26日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた裁判員裁判で死刑を求刑した。

 起訴状などによると、白石被告は17年8~10月、ツイッターなどで自殺願望をほのめかした15~26歳の男女9人をアパートの自室に誘い、女性8人には性的暴行したうえ、9人全員をロープで首を絞めて殺害したなどとされる。判決は12月15日の予定。

 座間9人殺害、検察側「承諾なし明らか」全被害者の審理終了 

産経新聞 2020年11月16日(月)20時50分配信

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第20回公判が16日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。検察側は8、9番目に犠牲となった2人に関する中間論告で「2人が殺害を承諾していなかったのは明らかだ」と主張。弁護側は「2人とも死を強く決意していた」と述べ、全被害者の審理が実質終了した。

 次回24日と25日には被告の責任能力に関する審理や遺族の意見陳述などを実施し、26日に検察側が論告求刑する予定。

 8番目の被害者は横浜市のアルバイトの女性=当時(25)=で、9番目は東京都八王子市の女性=当時(23)。

 検察側は、被告が自殺願望のあった2人に「一緒に死ぬ」と嘘をつき、性的暴行や所持金を奪う目的を隠していたと指摘。「2人が本当の目的を知っていれば承諾したはずがない。自殺するつもりであることと、他殺されてもいいということは全く別だ」とした。

 これに対し弁護側は中間弁論で、2人とも対人関係が苦手だったのに初対面の被告に会いに行き、被告宅で自ら薬を飲んだことなどを挙げ、「死の実現を被告に委ねていた」と述べた。

 座間9人殺害白石被告「すごく楽な生活犯行2カ月 

産経新聞 2020年11月24日(火)19時47分配信

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第21回公判が24日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。白石被告は殺害や遺体の解体を繰り返した約2カ月間を振り返り「すごく楽で、自分の快楽をずっと追い求めたような生活だった」と述べた。

 白石被告は29年8月下旬に最初の被害者を殺害してから10月末に逮捕されるまで、犯行を繰り返す傍ら、新たな女性に出会うためのやりとりをSNS(会員制交流サイト)で進めていたとされる。

 被告人質問では「誰かに会うとき以外は布団の上で携帯(電話)をいじっていた」「1日8時間、物を運ぶ倉庫内のアルバイトより楽だった」などと述懐。「証拠の処分をしなきゃとか、今やり取りしている人は金になりそうかとかを考えていた」とし、被害者の気持ちを考えることは「なかった」と淡々と述べた。犯行は自身を養ってくれる女性に出会うまで続けるつもりだったという。

 また2人目の被害者までは「本当に殺していいか迷った」ものの、以降は「罪の意識が薄くなった」と説明。ただ、逮捕後に捜査員と部屋に残していた頭部の遺体を確認した際、初めて「ちょっとまずいことをしたなと思った。同じ人間という生き物をこんな状態にしてしまった」と気付いたと明かした。

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 検察側が、改めて被害者に対しての気持ちを1人ずつ質問すると、数人について「申し訳ないと思う」「死んでいい人間では決してなかった」などと話す一方、多くは「正直、印象が薄い」と回答。公判を通じて遺族の気持ちを「しっかり確認した」と述べたが、ほとんどは遺族と面識がないことを理由に「何も深くは思わない」などとした。

 事件は最後の被害者の兄がSNSで情報提供を呼びかけたことで発覚した。白石被告は「兄らへの恨みは残っている。結果として直接の逮捕の原因となった」と話した。

 法廷では白石被告の母親の調書が朗読された。事件について「信じられず、育て方が悪かったかと疑問ばかり。9人のご遺族には謝っても謝り切れない気持ち」とし、被告を「虫を殺すことができないくらい気の小さい子だった」と振り返った。また被告の精神鑑定を担当した医師は、法廷で「被告に精神障害は認められない」と証言した。

 座間9人殺害鑑定医被告の説明は合理的精神障害を否定 

読売新聞オンライン 2020年11月25日(水)7時14分配信

 神奈川県座間市で2017年に起きた男女9人殺害事件で、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第21回公判が24日、東京地裁立川支部であり、被告の刑事責任能力を巡る審理が行われた。起訴前に検察側の依頼で精神鑑定を行った精神科医が証人出廷し、「精神障害はなく、犯行への影響は認められないと判断した」と説明した。

 被告の刑事責任能力を巡っては、検察側が鑑定結果を踏まえて問題ないと主張し、弁護側は何らかの精神障害の影響で事件を起こしたと反論している。

 精神科医は、18年4~9月の間に計約60時間、被告と面談するなどして鑑定結果を出したとし、「精神障害の診断名は付かなかった」と証言。犯行の内容も「(金や乱暴が目的だったなどとする)被告の説明は合理的で、精神障害を想定しなくても説明がつく」と語った。

 この日は被告人質問も行われた。検察官から、被害者への心境を問われた被告は、最初に殺害した同県厚木市の女性(当時21歳)について「公判で女性の周囲の状況を聞いた。女性はいろんな人から必要とされており、死んでいい人では決してなかった」と話した。

 座間9人殺害白石被告まってしまったので後悔している 

テレ朝news 2020年11月25日(水)12時00分配信

 神奈川県座間市で9人が殺害された事件の裁判で最後の被告人質問が行われ、被告が「結果として捕まってしまったので後悔している」などと述べた。

 白石隆浩被告(30)は3年前、座間市の自宅アパートで男女9人を殺害した罪などに問われています。25日は22回目の公判が開かれ、最後の被告人質問が行われました。弁護側が「一連の事件を起こして後悔はしていますか」と聞くと、白石被告は「結果として捕まってしまったので後悔しています」と述べた。

 また、検察側が「判決を待つ今の心境は」と尋ねると、白石被告は「頭のなかは母親のことでいっぱいで、迷惑を掛けて申し訳ないと思っています」と述べた。午後には被害者参加制度に基づいて遺族らが意見を述べることになっていて、26日の検察側の論告では厳しい求刑が予想される。

 座間9人殺害白石被告極刑でも控訴しない」一部遺族に謝罪 

毎日新聞 2020年11月25日(水)19時40分配信

 神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)は25日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた裁判員裁判の被告人質問で、一部の被害者や遺族に「命を簡単に奪ってしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪した。そのうえで「(判決が)極刑でも控訴しない」と述べた。

 白石被告は、被告人質問で検察官から、遺族に謝罪をしていないと指摘されると、「どこかのタイミングで謝罪するつもりでした」と述べ、「私の起こした行動により命を簡単に奪ってしまい、申し訳ありません。おとなしく罪を認めて罰を受けます」と述べた。

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 ただし、謝罪は、最初に殺害されたとされる神奈川県厚木市の女性(当時21歳)ら4人の被害者・遺族に向けてのものだと説明。「一部の被害者には深い後悔は持っていない」とも述べたほか、「捕まったことは後悔しているが、(事件には)感情が湧いてこない」とも話した。

 検察官に判決後の考えを問われると「このままいけば極刑。私の親族に迷惑をかけたくないので控訴せず、罰を受ける」と語った。

 矢野裁判長は同日、弁護側が求めていた白石被告への再度の精神鑑定を却下した。捜査段階の鑑定を担当した医師は24日の証人尋問で「被告に精神障害はなかった」と述べたが、弁護側は「何らかの精神障害があり、今回の事件に影響を与えた疑いがある」と主張していた。

 座間9人殺害公判、遺族「かけがえのないして」意見陳述 

毎日新聞 2020年11月25日(水)21時08分配信

 神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判は25日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。この日の法廷では5人の被害者の遺族や弁護士が、被害者参加制度を利用して意見を述べた。我が子の命が奪われた怒りを、その思い出とともに裁判官・裁判員や被告本人に訴え、全員が極刑を求めた。

 「かけがえのない娘を返してください」。埼玉県所沢市の女子大生(当時19歳)の母は訴えた。証人出廷した際には、被告と傍聴席のいずれもから姿が見えないようついたてが立てられていたが、被告との間のついたてが外され、被告を前にして心境を述べた。公判を傍聴してきたという母は白石被告に「反省や後悔が感じられず、今までにない嫌悪感と激しい怒りを感じた」とぶつけた。

 娘の遺体と警察署で対面した場面も振り返った。娘の20歳の誕生日になるはずの日だった。修復が施された遺体に触れることができず、「誕生日おめでとう。やっと見つけられた。つらかったね」と声をかけ、顔の周りに花を供えたという。「重い刑を科してもらうしか運命にあらがうすべが無い。必ず極刑だと信じています」と述べた。

 神奈川県横須賀市の男性(当時20歳)の両親も同じ形で陳述した。母は「我が子の骨をどうして私が拾わなくてはならないのか。胸が引き裂かれる思いでした」と訴えた。父も「被告は口封じという身勝手極まりない理由で息子を惨殺した。被告だけがのうのうと生きながらえる理不尽は断じて許せない」と語った。

 陳述の間、被告はうなだれるように頭を下げていた。26日にも他の遺族が意見陳述する。

 座間9人殺害白石被告の母親せない子供だった 

TBS NEWS 2020年11月24日(火)21時23分配信

 2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判で、「虫も殺せない子どもだった」とする白石隆浩被告の母親の供述調書が読み上げられた。

 白石隆浩被告(30)は2017年、座間市のアパートで男女9人を殺害し、現金を奪うなどした強盗強制性交殺人などの罪に問われていて、起訴内容をすべて認めている。

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 24日の裁判では、白石被告の母親の供述調書が読み上げられ、彼の母親の調書によると、白石被告は「虫を殺すこともできないような子ども」で、高校を卒業するまでに3回、家出をしたことがあったこの家出について母は、「隆浩は自殺について(インターネットで)調べていたので、自殺のための家出だったと思う」とした上で、白石被告が「生きていても仕方がない」と話すこともあったというまた母親は、「亡くなった9人には謝りきれない」と話した。白石被告は調書が読み上げられる間、被告人席から前のめりになって聞いていた

 これまでの裁判では、被害者9人全員の審理が終わっており、24日の裁判では審理を総括する被告人質問が行われた。この中で白石被告は「遺体と2か月間、一緒にいたが、何を思っていたか」と問われると、「『証拠の処分をしなければ』とか、他にやり取りをしている人でお金を引っ張れる人はいないかと考えていた」と明かした。さらに、「遺体を解体しているときの心境は」との問いには、「やらなければ捕まってしまうと思い、必死だった」と答えた。

 24日の裁判では、白石被告の精神鑑定を担当した医師の証人尋問も行われ、医師は「白石被告には当時も今も、精神障害が認められない」と証言した。25日は、被告人質問と被害者遺族の意見陳述が行われる。

 座間9人殺害、被害者遺族「きてしてほしかった」意見陳述 

TBS NEWS 2020年11月25日(水)19時53分配信

 2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判で、被害者遺族が出廷し、「娘の夢や希望、未来の全てを奪われてしまった」などと話した。

 強盗強制性交殺人などの罪に問われている白石隆浩被告(30)の裁判では、殺害された9人全員の実質的な審理が終わり、25日は5人の被害者遺族の意見陳述が行われた。4人目の被害者となった女性(19)の母親は、「白石被告のせいで、娘の夢や希望、未来の全てを奪われてしまった」「承諾殺人ではなく、身勝手な連続殺人です」と話した。

 また、2人目の被害者の女子高校生(15)の両親の意見陳述は女性の検察官が代読し、「生きて返してほしかった。楽しかった日常を返してください」と涙声で読み上げました。

 下を向いて聞いていた白石被告ですが、被告人質問で、「命を奪ってしまい、申し訳ありませんでした。」と、一部の被害者には謝罪したうえで、「控訴はせずに大人しく罪を認めて罰を受けるつもりです」と話した。

 被害者参加制度を使い、神奈川県の男性(当時20)の父親は息子は心の底では生きることを諦めていなかったと確信していますと話した。母親は涙で体を震わせながら「たくさんの人が人生を狂わされたのです」被告は極刑をもってこの世から消えてほしいですと訴えた。

 26日の裁判では、検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が行われる。

 座間9人殺害、被害者遺族「被告には絞首刑相応しい 

産経新聞 2020年11月26日(木)19時57分配信

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、15~26歳の男女9人が殺害された事件で強盗強制性交殺人などの罪に問われ、26日の裁判員裁判で死刑を求刑された白石隆浩被告(30)は、これまでの20回超の公判でも一貫して「殺害の承諾はなかった」と述べ、検察側の立証にほぼ沿う形での証言に終始して結審した。具体的な殺害状況の直接証拠は被告の供述に限られており、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立。厳しい判決も予想される中、どこまで被告の供述を事実として認定するのか、裁判員は難しい判断を迫られている。

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 検察側が最終論告で力点を置いたのは、被告の供述の信用性だった。弁護側が「捜査段階から供述が変遷している」とした被害者の抵抗状況などについて、「一時的な記憶の混乱や減退で、事件の発覚直後から一貫した明確な供述は揺らがない」と説明。「わずかな現金と、殺人をてんびんにかけるのは不合理だ」という指摘に対しても、「常識にかなった判断ができる人間なら、そもそも罪を犯さない」と反論した。

 弁護側は最終弁論で、被告の「全体のイメージとして被害者の抵抗があった」という発言について、「あいまいで、忘れるはずのない重要な場面でも『記憶にない』と答えている」と言及。捜査段階での供述との矛盾点が複数存在するとし、「本当は抵抗がなかったが、取り調べの長期化を避けたかったのでは」と虚偽の供述だった可能性を強調した。

 また、弁護側は「9人の命を奪った重大な責任は負わせる」と述べた上で、強盗強制性交殺人罪ではなく、承諾殺人罪や強制性交致死罪などの成立にとどまるとし、「(有期刑のみの承諾殺人罪であれば)死刑は選択できない。裁判員は上っ面を触るだけでなく、精緻な事実認定をしてほしい」と訴えた。

 最後の審理となったこの日の公判には、8番目に殺害されたアルバイトの女性=当時(25)=の父親らが意見陳述で出廷し、「法廷で娘のことを人ごとのように話をしているのを見て、憎しみが一層強くなった」と声を震わせた。また、6遺族が被害者参加制度に基づく「被害者論告」で一様に死刑を求刑し、「『首吊り士』を名乗る被告にとって、絞首刑がふさわしい刑罰だ」とする遺族の言葉も紹介された。

 座間9人殺害公判、裁判員一同被告は万死に値する死刑求刑 

スポニチアネックス 2020年11月27日(金)5時30分配信

 神奈川県座間市のアパートで2017年、男女9人の切断遺体が見つかった事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が26日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれ、検察側は「2カ月の短期間に9人もの若く尊い命が奪われ、万死に値する」と死刑を求刑した。弁護側が「承諾殺人が成立し死刑は選択できない」と最終弁論し、結審した。判決は12月15日。

 極刑の求刑にも遺族の怒声にも、白石被告は感情を表に出さなかった。

 検察側が論告で「(遺族は)苦しみ、悲しみが一生続く。まさに生き地獄」と非難し、被害者の父親が意見陳述で「死んでも許さない。娘を返せ!」と怒声を上げても被告は気だるそうな様子。被告がツイッターで「首吊(つ)り士」を名乗って自殺志願者を探していたため、被害者の弁護士は「絞首刑こそ最もふさわしい」と死刑を求めた。結審直前に裁判長に発言を促されても白石被告は「何もありません」と答えるだけだった。

 被害者らはツイッターに「死にたい」と書き込むなどしていたことから、争点は殺害の承諾の有無となっている。検察側は、被害者が失神するまで抵抗を続けたという被告の供述は信用できるとして「殺害の承諾がなかったことに疑いを差し挟む余地はない」と指摘した。

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Photo_20201127070401過去の短期間に起きた主な連続殺人事件

 

2020年11月25日 (水)

【日経平均】2日続伸<NYダウ✍初の3万㌦突破>“利確”で上げ幅縮小

 〔東京株〕ワクチン開発期待で続伸利益確定売りで上げ幅縮小 

時事通信 2020年11月25日(水)15時30分配信

 日経平均株価は前日比131円27銭高の2万6296円86銭、東証株価指数(TOPIX)は5.27ポイント高の1767.67と、ともに続伸。新型コロナウイルスのワクチン開発進展により投資家心理が上向いており、リスクを取る動きが続いた。

 35%の銘柄が上昇、61%が下落した。出来高は15億4946万株、売買代金は3兆1507億円。

 業種別株価指数(33業種)は空運業、海運業、鉄鋼などが上昇した。下落は電気・ガス業、食料品、サービス業など。

 後場は利益確定売り広がる

 前場は欧米株の上昇を引き継いで景気敏感業種中心に買いが広がり、日経平均株価の上げ幅は一時500円を超えた。ただ、前日も600円超上昇していたことから、買い一巡後は利益確定売りに押される銘柄が見られ、日経平均も後場にかけて上げ幅を縮めた。

 新型コロナウイルスのワクチン実用化による経済活動正常化への期待感は続いている。しかし、「株価は来年度のみならず、再来年度の景気回復と収益拡大まで織り込むような水準になっていた」(投資助言会社)とされ、「いくら株価が景気の先行指標だとは言え、短期的に見て行き過ぎ」(同)だったようだ。

 もっとも、日経平均、東証株価指数(TOPIX)ともに大引けにかけては持ち直した。短期的な株価調整への警戒感はあっても、先高感は根強いことをうかがわせる値動きだった。

 ダウ3万突破、ワクチン開発進展や米政権移行開始に安堵 

ロイター 2020年11月25日(水)9時11分配信

 米国株式市場は続伸して取引を終了。ダウ工業株30種は初めて3万ドルを突破した。景気回復への期待や新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る進展、米国の政権移行開始に支援された。

 トランプ米大統領は23日、バイデン次期政権への移行プロセスを開始することを一般調達局(GSA)にようやく許可した。

 バイデン氏が次期財務長官に連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長を指名するとの報道も、市場の地合いを押し上げている。

 新型コロナのワクチンに関しては最近のデータで、年末までに利用できるようになる可能性が示されており、S&P500は月間で4月以来の良好なパフォーマンスを記録する勢いだ。当初の感染拡大を受けた市場の混乱で売り込まれていたバリュー株の需要が高まっている。

 ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏は「選挙に関して不透明感がやや後退した。市場はイエレン氏に関するニュースについてもかなり好意的に受け止めているとみられる。あらゆることがやや前進した良い日のようだ」と指摘した。

 ダウは一時、3万0116.51ドルまで上昇。S&P500も終値ベースで最高値を更新した。

 電気自動車(EV)大手テスラは6.4%高とS&P500への採用を控え、買いが加速。時価総額が5000億ドルを突破した。

 航空機大手ボーイングも3.3%上昇。2度の墜落事故を受けて運航停止となっている同社の旅客機「737MAX」について、欧州当局が運航再開の承認に向けた手続きを開始したことが材料となった。

 資産運用世界最大手の米ブラックロックは23日の投資家向けノートで、米国株の投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた。大型ハイテク株のほか、小型景気循環株にも強気に転じた。

 ただ、米国では新型コロナの感染者が急増し、多くの国民が失業状態にあることから、米株市場は今後数カ月、ボラティリティーの高い展開や最高値圏からの後退に見舞われやすい状況が続く可能性があると一部のアナリストは指摘している。

 テスラ 株式時価総額“初”5000億突破…年初来547%上昇 

Bloomberg 2020年11月25日(水)2時53分配信

 24日の米株式市場で、電気自動車(EV)メーカーのテスラは初めて時価総額が5000億ドル(約52兆2750億円)の節目を突破した。S&P500種株価指数の構成銘柄入りを控え、買いが過熱している。

 年初来で株価は6.5倍近くに膨らんだ。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが16日にS&P500指数の構成銘柄に採用すると発表して以降、上昇は加速している。テスラの創業者であるイーロン・マスク氏は純資産が年初から1000億ドル余り増加し、ビル・ゲイツ氏を抜いて世界2位の富豪に躍り出た。

 ニューヨーク時間午前の取引でテスラは一時4.1%上昇。過去最高値の543.17ドルを付け、時価総額は5060億ドルを超えた。マスク氏は1年半前に投資家に対し、テスラの時価総額は5000億ドルを超えることになると予想していたが、かなえてみせた格好になる。

 運用効率手数料ゾンビ投信乱立、整理進まず 

朝日新聞デジタル 2020年11月25日(水)5時30分配信

 老後の資金作りで投資信託が注目されている。選ぶ際に要注意なのは、手数料の一つ「信託報酬」の差だ。日経平均株価に連動させるなど運用成績が同様なはずの投信も、信託報酬が違えば投資家の得る果実が異なる。最近は手数料競争が激しいが、古い投信には手数料が高く運用効率も悪いのに残り続け「ゾンビ投信」と呼ばれるものもある。

 投信は投資家のお金をまとめて株や債券に投じる商品。運用はプロに任せ、保有期間中などに手数料を払う。最近は購入時手数料がゼロの「ノーロード」型も増えるなど引き下げ競争が盛んだが、同様な商品でも手数料率は違う。購入者からみると「一物二価」どころか三価・四価が実情だ。

 たとえば、日経平均株価の値動きに連動して運用する投信。野村アセットマネジメント(AM)の7商品の信託報酬は年0・17~1・52%と幅がある。三菱UFJ国際投信は、0・14%と業界最安水準の「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」を持つ一方で、「三菱UFJ インデックス225オープン」は0・62%と4倍超だ。同社は理由として販売経路の違いをあげる。前者は主にネットで、後者は主に対面で販売。「顧客対応を直接行うことや報告書郵送などのコストが異なる」という。

 販路が同じでも、投信の設定時期の差で信託報酬が違うこともある。大和AMは日経平均連動の商品を10本持ち、信託報酬は0・14~1・52%。その差の理由として、同社は設定時期の違いもあげる。「近年設定しているファンド(投信)は、競争上の観点から低水準」という。

 こうした信託報酬の差について、専門誌「投資信託事情」の島田知保編集長は「古いことは、他より高い信託報酬を課す合理的な理由にならない。投資家にも不公平な状態だ」と話す。

 老後への資産形成の重要性が叫ばれ、長期の積み立て投資に関心が集まる。保有中に払い続ける信託報酬の差は長期の運用成果に響く。金融庁は6月、古くに設定された小規模投信は運用効率が悪く信託報酬も高め、と分析した報告書を公表。小規模ファンドが乱立する課題を指摘した。

 業界では「ゾンビ投信」と呼ばれ、複数商品を一本化する併合の必要性が叫ばれている。併合すれば運用会社の管理費は下がる。さらに「仮に併合する場合、信託報酬は低い方に合わせる」(三井住友DSAM)、「原則として高い(方の)信託報酬率は採用しない」(三菱UFJ国際投信)など投資家への恩恵も多い。

 しかし、販売会社の手間がかかったり、投信を管理する信託会社を代えたりする必要も生じる。こうした「しがらみ」から多くの運用会社は消極的で、顧客本位ではなく業界本位とも言うべき現実がある。

 大和AMは「販売会社各位に多大な負担をおかけすることも勘案する」と説明し、三菱UFJ国際投信は「効率的な運用をめざしてファンドの統合・併合は当社としても切望するが、課題も多く販売会社との調整に難航している」という。

 NYダウ3万ドル突破、経済回復や政治安定へ期待 

BBC NEWS JAPAN 2020年11月25日(水)13時24分配信

 米ニューヨーク株式市場で24日、ダウ平均株価が初めて3万ドルを突破した。経済回復と、政治の先行き不透明感が終わることへの強い期待に後押しされた。S&P500種も1.6%上昇し、3635.4ドルの史上最高値を記録した。

 一連の値上がりは、新型コロナウイルスのワクチン開発のニュースや、ジョー・バイデン次期米大統領への政権移行プロセスが始まったことを受けたもの。

 ハイテク株比率が高いナスダック指数は1.3%上昇した。欧州でも、ロンドンのFTSE100種が1.5%上昇して終了した。

 翌25日のアジア市場では、東京株式市場で日経平均株価が一時、前日比500円以上、値上がりした。終値は131円27銭高の2万6296円86銭で、続伸した。

来年の経済正常化に期待

 ドナルド・トランプ米大統領は23日夜、ジョー・バイデン次期大統領による政権移行手続きの開始を認めるとツイートした。

 新型ウイルスのワクチンに関する朗報も、アメリカや世界の経済が来年には正常化するとの期待につながっている。

 さらに、バイデン氏が財務長官に米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長(74)を任命する見通しと報じられたことも、市場に活気を与えた。

 ニューヨークでは、航空機製造ボーイングの株価が3.3%、石油シェブロンが5%上昇。投資会社ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェイスもそれぞれ3.8%、4.6%値上がりした。

 また、ディズニーやアメリカン・エクスプレス、IBMも株価を上げた。さらにテスラの値上がりにより、電気自動車市場の市場価値は5000億ドルに達した。

 アメリカでの原油価格も上昇した一方、投資家が不安を感じた時に買い注文が増える金価格は1.6%下落した。

 しかし、アメリカではなお新型ウイルスの感染が広がっているほか、数百万人が失業しており、一部のアナリストからは株価が現実を反映しているかチェックすべきだという声も上がっている。

 ワクチン有効性9割報道本当に“脱コロナの始まりなのか。米金利の動きが示す厳しい現実 

BUSINESS INSIDER 2002年11月19日(木)8時10分配信/唐鎌大輔(みずほ銀行チーフエコノミスト)

 11月9日、米大手製薬ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのバイオンテックが、新型コロナウイルスのワクチン治験で高い有効性を確認したと発表したのに続き、16日には米バイオ医薬品大手モデルナも同様に高い有効性が得られたことを明らかにした。

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 矢継ぎ早のワクチン開発報道を受け、NYダウ平均株価は連日のように史上最高値を更新し、いよいよ史上初の3万ドル突破かとの声も聞こえてくる。この調子でいくと、日経平均株価の3万円到達を期待する声も上がってくるに違いない。

 しかし、過去の経験を踏まえると、株式市場や為替市場が一方的に噴き上がっているときは、意識的に債券(金利)市場の動きに目を向けたほうがいい。

 株式や為替の動きに相互矛盾が生じた際は、最終的に債券市場が正しいことが多いからだ。

 その理由は一つではないだろうが、「プロ」だけで構成される債券市場と、多種多様な投資家のマネーが交錯する株式・為替市場には、おそらく思惑の齟齬があるのだろう。

 さて、そうした「ワクチン相場」に沸く足元の状況で、米10年国債利回り(以下、米10年金利)は0.90%前後での推移を続けている。

 ワクチン開発は吉報に違いないが、それを受けて実体経済が復調し、金融政策(すなわち金利)が正常化するまでにはラグがある。金融政策は実体経済の現状と展望に割り当てられるものなので、利上げや量的緩和の縮小は相当先になるはずだ。

 裏を返せば、低金利の継続がおおむね約束されているからこそ、悲惨な実体経済のなかでも株高が続くのだろう。

ワクチン報道はゲームチェンジャー

 筆者はほぼ毎日のようにウェビナーや取材対応で話す機会があるのだが、ここ1週間はとくに高い頻度で「もうアフターコロナになったと考えるべきか?」という質問を受けた。

 なるほど、確かに今後歴史をふり返ったときに、11月9日や16日のワクチン報道こそがアフターコロナの号砲を鳴らすゲームチェンジャーだったと見なされる可能性はある。

 そうなれば良いなとは思いつつ、しかし金融市場の様子を見る限り、そのように考えるのは時期尚早だというのが筆者の抱く率直な印象だ。

 ここからは、筆者がそう考える理由を簡潔に記したい。

 確かに、米金利動向からは明確にムードが変わった印象を受ける。上述したように、過去をふり返れば、債券市場は比較的冷静な見方を提供することが多かっただけに、その発するメッセージが変化しつつあることは看過できない。

 米10年金利はワクチン開発報道後、一時0.97%台まで上昇し、本稿執筆時点でも0.90%をはさんで推移している。いまだに歴史的な低水準だが、とはいえ7~8月にかけて0.50%台で推移していたことを思えば、それなりに大きな変化と言えるだろう。

 ちなみに、0.90%前後という数字は、3月中旬に米連邦準備制度理事会(FRB)が100ベーシスポイント(=0.01%)の利下げに踏み切る直前と同じ水準だ【図表1】

Photo_20201126051301【図表1=アメリカ10年金利の推移

 つまり、アメリカがゼロ金利を導入する前の水準まで戻ってきたということで、それだけに「ワクチン報道はゲームチェンジャーになったのか」という点に関心が集まるのも当然のことだ。

 また、米10年金利が0.50%台で推移していた7~8月は、金価格の史上最高値更新が連日話題となっていた。

 金は(過剰流動性の行きつく投機対象のひとつであるため)単体で見るのではなく、世界経済の先行指標たる銅などとの相対価格で市場心理を推しはかることが重要だと筆者は考えている。

 そこで銅価格と金価格の比率(相対価格)に目をやると、本稿執筆時点でコロナ禍(3月以降)における最高値を更新している【図表2】

Photo_20201126051401【図表2=銅と金の相対価格の推移

 このことからも、アフターコロナの萌芽に期待を寄せようとする人々の心情が感じとれる。

金利は上がっていない、ドル買いも起きていない

 それでも、米金利は上がっていない。だからこそドル買いも起きていない。それどころか、ドル売りに傾いている。

 こうした事実は、前回記事『バイデン当選でも、ワクチン開発成功でも変わらない、金融市場の先行きを示す「3つの本質的論点」』でも解説したところだ。

 結局、米10年金利の0.50~1.00%程度の上昇の動きは、ゼロ金利政策のもとでの可動域にすぎず、ドル売りの流れを断ち切るほどのパワーは持ちえない、ということだと筆者は解釈している。

 米10年金利が1.00%をはっきり超えて上方シフトしてくれば、ドル買いも戻ってくる可能性はあるかもしれない。

 ただし、すでに述べたように、それは「ゼロ金利導入以前」の債券相場に回帰することを意味する。FRBが金利上昇方向に向けた何らかの情報発信を行う必要が出てくるだろう。

 しかし、FRBは今年8月に新たな政策戦略として「インフレ率平均+2%」を打ち出したばかり。2023年末までのゼロ金利継続についても意見集約している以上、そのような(金利上昇に向けた)挙動は残念ながら望むべくもあるまい。

 目下、「ワクチンへの希望よりも目先の感染者数」という雰囲気が強く、FRBがハト派(=緩和政策寄り)化することはあってもタカ派(=引き締め政策寄り)化することはないだろう。

足元の株高ばかり凝視しても何も見えてこない

 結論としては、米金利とドルが相互連関的な上昇に至らない限り、ワクチン報道をゲームチャンジャーと評価し、アフターコロナの相場が始まったと考えるのは難しい、というのが筆者の認識だ。

 もちろん、株価は下がるよりも上がったほうが良いに決まっている。足元の株高は素直に喜んでいいだろう。

 だが、前回のコラムで論じたように、株高は近年常態化している相場現象であり、ここ最近始まったものではない。

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 ふり返れば、リーマンショック以降、実体経済の成長以上に株式市場の伸びが大きくなる構図が定着している。おそらく、株高の小さくない部分は低金利で説明できるのだろう。

 株高が当然視されるような現状のもとで、それを仔細に見てみたところで、「ワクチン報道がゲームチェンジャーになったのか」という問いに対する答えは出てこない。

 くり返しになるが、今、現状を冷静に照らしているのは、米金利の低下とこれに合わせて低位安定しているドル相場だ。

 裏を返せば、米金利とドルの相互連関的な上昇が確認できるようになった時こそ、アフターコロナを視野に入れた議論を始めるべきとき、と言っていいだろう。

 

2020年11月24日 (火)

【第45代大統領】✍共和党内から「『バナナ共和国(政情不安な小国)』のように見られる」と批判

 バナナ共和国」「恥さらし」…共和党内からトランプ氏を批判の声 

AFPBB News 2020年11月23日(月)19時35分配信

 米共和党内で大統領選の結果をめぐり、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領の勝利を認めたり、少なくとも政権移行に向けて連邦資金を拠出するよう一般調達局(GSA)に求めたりする声が広がりつつある。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が選挙結果を認めず、根拠のない不正の主張を繰り返す中、バイデン陣営は機密情報の絡んだ国内外の政策問題に関するブリーフィングを受けられずにいる。中でも急を要するのは、米国で猛威を振るう新型コロナウイルス流行への対応だ。

 こうした中、2016年大統領選後にトランプ氏の政権移行チームに携わったクリス・クリスティー(Chris Christie)前ニュージャージー州知事は、米ABCテレビの番組で、トランプ氏の弁護団を「国民的恥さらし」と批判。もはやGSAが政権移行資金を拠出すべき時だと述べた。

 また、CNNに出演したメリーランド州のラリー・ホーガン(Larry Hogan)知事は、トランプ氏の振る舞いのせいで米国が「バナナ共和国」のように見られつつあると述べ、政情が不安定で指導層が腐敗した途上国をやゆする表現を用いて非難。その後ツイッター(Twitter)に、「(トランプ氏は)ゴルフをやめて敗北を認めよ」と投稿した。

 下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー(Liz Cheney)議員は、大統領選で不正があったとの主張を弁護団が証明できなければトランプ氏は「選挙プロセスの神聖さを尊重」すべきだと主張。

 熱心なトランプ氏支持者として知られるデビン・ニューネス(Devin Nunes)下院議員さえも、バイデン氏について「大統領選で成功を収めた」とFOXニュース(Fox News)に語り、遠回しにトランプ氏の敗北を認めた。

 バイデン氏は、大統領選の結果を覆そうとのトランプ氏の試みをよそに、来年1月20日の大統領就任へ向けた準備を進めている。バイデン氏が首席補佐官に指名したロン・クレイン(Ron Klain)氏は22日、ABCの番組「ディス・ウイーク(This Week)」の中で、バイデン氏が24日に閣僚人事を発表すると明らかにした。

 【米大統領選2020】トランプ氏支持者敗北認めるよう呼びかけ 

BBC News JAPAN 2020年11月23日(月)12時20分配信

 米大統領選で民主党のジョー・バイデン次期大統領に敗れたことを認めず不正選挙だと主張し続けるドナルド・トランプ米大統領に対して、与党・共和党の中から徐々に、負けを認めるよう呼びかける声が上がっている。トランプ氏を長年支持してきたクリス・クリスティー前ニュージャージー州知事は22日、トランプ陣営の弁護団を「国民的な恥さらし」と厳しく批判した。

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 共和党のクリスティー前知事は米ABCニュースの番組で、「正直に言って、大統領の弁護団のふるまいは国民的な恥さらしだ」と述べた。

 クリスティー氏は、トランプ氏の弁護団が「不正選挙があったと法廷の外ではしきりに主張するが、いざ法廷に入ると、不正選挙だと主張しないし、不正選挙だと陳述しない」と批判した。

「私は大統領を支持してきた。2度にわたり、大統領に投票した。けれども選挙には結果というものがある。実際に起きていないことが起きたかのようなまねをし続けるわけにはいかない」と、前知事は述べた。

 クリスティー氏は2016年大統領選で、現職州知事としては真っ先にトランプ氏を大統領候補として表立って支持した。今回の選挙では、大統領候補討論会に向けての準備を手伝った。ただし、11月4日未明の時点でまだ開票が続いているにもかかわらずトランプ氏が勝利を宣言した際には、時期尚早だと述べていた。

 トランプ氏の弁護団のうち、クリスティー氏はとりわけ、シドニー・パウエル弁護士を厳しく批判した。

 パウエル弁護士は、弁護団が19日に共和党全国委員会本部で行った記者発表で登壇。弁護団を率いるルディ・ジュリアーニ氏らと並び、不正選挙があったと具体的な証拠を示すことなく力説した。特にパウエル弁護士は、投票機が数百万もの票をトランプ票からバイデン票に切り替えたと、裏づけを示さずに主張。ヴェネズエラや「共産主義の資金」などの介入があったなど、さまざまな陰謀論を、声を震わせながら強調していた。

 しかし、トランプ陣営は22日、パウエル弁護士と距離を置く声明を発表。パウエル氏は「独自に法律家として活動」しており、「トランプ弁護団の一員ではない」と述べた。

 一方で、トランプ氏は今月初めのツイートで、パウエル弁護士は自分の弁護団の一員だと明記していた。

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 パウエル弁護士は米CBSニュースへの声明で、自分が「トランプ弁護団の一員ではない」という陣営の声明は理解しているとした上で、「トランプ氏や他の共和党候補に投票ながらその票を奪われた大勢の有権者」のために近く提訴するとコメントした。投票機による不正投票があったとしているが、その根拠は示していない。パウエル氏は保守派の活動家で、元連邦検事。

 22日にはほかにも、複数の共和党関係者の間から、トランプ氏に負けを認めるよう呼びかける動きが続いた。

 メリーランド州のラリー・ホーガン州知事が米CNNに対して、トランプ陣営が選挙結果を覆そうと様々な形で画策する様子から、「まるでこの国がバナナ・リパブリック(独裁政権が汚職まみれの政情不安定な途上国の意味)みたいに見えてきた」と述べた。ホーガン知事はさらにツイッターで、トランプ氏が「ゴルフをやめて負けを認めるべきだ」と書いた。

 ミシガン州選出のフレッド・アップトン下院議員はCNNに対して、自分の州はバイデン氏を選ぶと意思表示したと発言。ノースダコタ州選出のケヴィン・クレイマー上院議員は米NBCニュースに対して、バイデン氏の勝利を認めるとは発言しなかったものの、「政権移行手続きをとっくの昔に開始するべきだった」と述べた。

 アラスカ州選出の穏健派、リーサ・マーコウスキ上院議員は、「すべての州は自由で公平な選挙プロセスを確保するために取り組んだ。トランプ大統領は主張を法廷で争う機会を得たが、裁判所はこれまでのところ、いずれも根拠がないと判断している。選挙結果を変える目的で、多くの州議会議員に圧力をかける作戦など、前例がないだけでなく、この国の民主手続きと相容れない。もはや、正式な政権移行手続きを全面的に開始すべき時だ」と声明を発表した。

 トランプ陣営や支持者たちは、トランプ氏が負けた複数の州で票の無効化などを求めて提訴してきたが、そのほとんどの訴えが棄却されたり、原告側が取り下げたりしている。

 同陣営は激戦州ペンシルヴェニア州では数百万票の郵便票を無効にするよう提訴していたが、連邦地裁は21日、この訴えを棄却した。

 共和党支持者のマシュー・ブラン連邦判事は判決文で、トランプ陣営が「700万人近い有権者の権利を奪おうとした」と指摘。トランプ陣営の主張は「手当たり次第に雑につなぎ合わせた」「フランケンシュタインの怪物」のようで、「アメリカ合衆国において、これでは、たった1人の有権者の権利を奪う理由にさえならない。ましてや、人口6番目の州の有権者全員となれば、なおさらだ」と書き、この判決の結果、同陣営による同じ内容の再提訴を認めないという意味の表現を使い、強く批判した。

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 陣営の法廷戦略を指揮するジュリアーニ弁護士は、控訴する方針を示している。

 連邦地裁の判断を受けて、選挙人20人を擁するペンシルヴェニア州は23日にも、バイデン氏の同州での勝利を認定する見通し。バイデン氏は同州で、8万1000票以上の差で勝ったとされる。

バイデン陣営は組閣作業

 トランプ氏が負けを認めず、通常の政権移行手続きの開始を認めないことから、バイデン陣営は通常ならば政権移行チームが利用できるはずの連邦政府の施設や予算を使えずにいる。また、次期大統領をはじめ次期政権チームに共有されるはずの機密情報など重要情報を得られずにいる。新型コロナウイルスのワクチン供給計画に関する情報も得られていないとして、バイデン氏は人命にかかわりかねない事態だと批判している。

 そうした中で、バイデン氏は24日にも閣僚候補の第一弾を発表する方針という。すでに大統領首席補佐官に選ばれているロン・クレイン氏が22日、ABCニュースに明らかにした。

 クレイン次期首席補佐官は、「記録的な人数のアメリカ人がトランプ政権を拒絶した。それ以来、ドナルド・トランプは民主主義を拒絶している」と述べた。

 さらにクレイン氏は、来年1月20日の就任式について、バイデン陣営は新型コロナウイルスの感染拡大が国内でまた急激に悪化している状況から、「規模を縮小」した式典を計画していると話した。

アメリカの選挙人制度

 全国的な得票数ではバイデン氏が約600万票リードしているが、アメリカの大統領は全国的な得票数では決まらない。

 各州の人口などをもとに割り当てられた選挙人計538人(連邦上下両院の定数合計に、首都ワシントンの代表3人を加えたもの)が大統領候補に直接投票し、過半数270人の票を獲得した候補が当選する。バイデン氏が今月3日の選挙で獲得した選挙人は306人、トランプ氏は232人となっている。

 各州がそれぞれの選挙結果を認定する最終期限は、12月8日。

 これを受けて各州の選挙人が12月14日、それぞれの州で集まり、大統領候補に直接投票する。通常ならば11月3日の選挙の結果を受けて、選挙人538人のうち、306人がバイデン氏、232人がトランプ氏に投票する。この投票結果を1月6日に連邦議会の上下両院合同本会議が開票し、その時点で次期大統領が正式に決まる。

 各州の選挙人は11月3日の選挙の結果に沿って、自分の州で勝った候補に投票するのが通常の手続き。選挙結果を受けて、勝った側の党が選挙人を決める州もあれば、選挙前に各党が選挙人候補を指名し、選挙結果を受けて州知事が任命する場合もある。通常の手続きでは、たとえばミシガン州の選挙人16人は全員がバイデン氏に投票する。

 しかし、トランプ陣営が選挙結果を法廷で争うかたわら、共和党が多数のミシガンやペンシルヴェニアなどの州議会に働きかけ、選挙人の選定に影響力を行使しようとしているとみられる。

 連邦法によると、もしも州の有権者が「選択をしなかった」場合は、州議会が選挙人を選ぶことができることになっている。

 ただし、有権者が「選択をしなかった」と立証するのは困難で、トランプ陣営はこれまでのところ大規模な不正があったと法廷で立証できずにいる。

トランプ盟友「トランプ氏弁護団国家の恥」痛烈批判

CNN.co.jp 2020年11月23日(月)14時20分配信

 米国のトランプ大統領が大統領選の結果を覆そうとし続けていることについて、大統領の盟友だったニュージャージー州のクリス・クリスティー前知事が22日、無益な策略はもうやめるべき時だと進言した。

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 クリスティー前知事は、選挙に不正があったという証拠をトランプ大統領は何も示すことができず、弁護団は混乱状態にあると指摘、今は国家を優先させるべき時だと訴えている。

 ABCの番組に出演したクリスティー氏は「もし不正の証拠があるのなら出すべきだ」と述べ、投票に不正があったという大統領の主張に同調しない共和党の知事を大統領の弁護団が中傷しているとして非難。「率直に言って、大統領の弁護団の振る舞いは国家の恥だ」と断じ、トランプ陣営のシドニー・パウエル弁護士が、共和党のブライアン・ケンプ・ジョージア州知事を非難している行為をやり玉に挙げた。

 ジョージア州は20日に最終集計結果を確定させ、バイデン前副大統領が勝利したと発表した。これに対してトランプ陣営は21日、再度の集計を行うよう申し立てていた。

「これは弁護士として言語道断の行為だ」とクリスティー氏は述べ、「私はこれまでずっと大統領の支持者だった。私は大統領のために2度投票した。だが選挙には結果がある。まるで起きなかったことが起きたかのように行動し続けることはできない」と強調。「もしも証拠を出すことができないのであれば、それは証拠が存在しないということだ。最も大切にしなければならないのは国家だ。私が共和党員であり、自分の党を愛しているのと同じくらい、国家を優先しなければならない」と力説した。

 共和党のメリーランド州知事ラリー・ホーガン氏も22日、CNNの番組の中でトランプ陣営を手厳しく批判し、「党内でもっと多くの人が声を上げないことを恥ずかしく思う」と語った。

「我々はかつて、世界中の選挙監視を行い、選挙に関しては最も尊敬されている国だった。それが今ではまるでバナナ共和国(訳注:政情が不安定な貧しい小国の意味)のように見え始めている。馬鹿げたことはもうやめるべき時だ」とホーガン氏は述べている。

 この発言に対してトランプ大統領は22日、ホーガン知事は「RINO(「名ばかり共和党員」の意味)」だとツイートした。対するホーガン知事は大統領に対し「ゴルフをやめて敗北を認めよ」と迫った。

 ホーガン知事は以前からトランプ大統領に対して批判的で、今年の大統領選挙では投票用紙に「ロナルド・レーガン」と記入すると宣言していた。

 ホーガン知事やクリスティー前知事に加え、ポール・ミッチェル下院議員やスーザン・コリンズ上院議員、リサ・マコウスキー上院議員といった多くの共和党の大物議員が、正式な政権移行プロセスの開始を支持すると表明している。共和党のフレッド・アプトン下院議員も22日、円滑な政権移行プロセスの必要性を強調した。

 中韓が「RCEPに込めた真の狙い”」日本どう振る舞うべきか 

ダイヤモンドオンライン 2020年11月24日(火)6時03分配信/真壁昭夫(法政大学大学院教授)

わが国を含め15カ国がRCEP協定に署名

 11月15日、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、およびアセアン10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の計15カ国が「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定」に署名した。

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 インドは国内事情から参加しなかったものの、世界のGDPの約30%を占める大貿易圏構想が形になったことの意義は大きい。特に、わが国にとって最大の輸出先である中国、第3位の韓国を含む大型の自由貿易協定(FTA)が合意に至ったことは重要だ。

 今回のRCEP形成の陰には中国の思惑が強く影響している。国際社会において孤立が目立つ中国は、RCEPを一つのきっかけにアジア地域での存在感を高め、米国に対抗する力をつけたいと考えているはずだ。中国にとってRCEPは自国経済の成長を目指し、共産党政権の体制を強化する有力な手段だ。

 また、経済面で中国を重視してきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって、中国が関税撤廃を重視することは都合がよい。韓国はTPPには参加せず、中国が重視するRCEPには参加する。RCEP署名によって文政権は、米中に対してうまく振る舞い、より有利なポジション取りを華南が得ているのだろう。韓国にはRCEPを通してわが国に接近する意図もあるだろう。

 今後、わが国に求められることは、RCEPを足掛かりにして世界経済の成長の源泉として重要性高まるアジア新興国との関係を強化することだ。それは、わが国が、RCEP参加を見送ったEUや米国、インドとの経済連携を強化するために欠かせない。中長期的に考えた場合、わが国が自力で親日国を増やし経済連携の強化を目指すことが国益に合致する。

RCEPの全体像と署名成立の重要性

 わが国をはじめ中韓など15カ国が参加するRCEPの意義は、アジア地域に世界最大規模の自由貿易経済圏が誕生することだ。まず、その全体像を把握しよう。RCEPはGDPだけでなく、貿易総額や人口の約3割、わが国の貿易総額のうち約5割を占める地域をカバーする。その規模は世界のGDPの約13%をカバーする「TPP11」を上回る。わが国の工業製品の輸出に関して、14カ国で約92%の品目の関税が段階的に撤廃される。

 米国とEUはRCEP参加を見送った。その一方、わが国は米国とはFTAを、EUとはEPA(経済連携協定)を結んでいる。

 RCEP署名によって、わが国には世界の自由貿易を促進する“ハブ”としての機能を発揮することへの期待が高まったといってよい。英国の経済学者であったリカードは比較優位の理論を提唱して自由貿易の促進が経済成長に資すると説いた。その理論に基づいて世界経済は成長してきた。わが国はより多くの国・地域を巻き込んだFTAおよびEPAを目指すべきだ。

 足元の世界経済の環境を踏まえると、米中対立が激化し、米国の大統領選挙が終了したタイミングでRCEP署名が行われたインパクトは大きい。

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 そう考える要因の一つとして、米国のトランプ政権の政策がある。2017年1月20日にドナルド・トランプ氏が米国の大統領に就任した後、米国は対中制裁関税などを発動し、世界のサプライチェーンは混乱し、貿易量は減少した。また、トランプ大統領は点数稼ぎ(トランプ・ファーストの政策)のために中東政策を重視し、アジア地域を軽視したといえる。

 2020年11月の米大統領選挙で国際協調を重視する民主党のジョー・バイデン氏が当選を確実とした直後のタイミングでのRCEP署名は、今後の米国の通商政策に無視できない影響を与えるだろう。バイデン氏はインド太平洋地域の安定を重視し、アジア政策を強化するとみられる。

 そして制裁関税とは異なる方策(人権問題や知的財産と技術の保護強化)などによって、対中強硬姿勢を強めるだろう。安全保障や経済運営面で、米国にとってアジア地域の重要性は高まる。バイデン氏がTPP復帰に言及していない中、RCEPが米国の外交・通商政策とどのような化学反応を起こすかが注目される。

RCEPに込められた中国と韓国の思惑

 また、わが国とFTAを締結してこなかった中国と韓国がRCEPに参加することも重要だ。これまで、中国は貿易の自由化に積極的ではなかった。本来であれば中国は、関税引き下げが伴う自由貿易よりも、補助金政策などの強化によって自国産業を保護し、その競争力の向上を優先しなければならない。

 しかし、足元の中国は、米中対立に加えて、インド、台湾、オーストラリア、EUなどとの関係の冷え込みに直面し、国際社会から孤立している。中国は関税引き下げを受け入れることでRCEP参加国にある意味で譲歩し、孤立を食い止め、アジア地域での存在感を高めたい。中国のRCEP参加は、共産党指導部の焦りの裏返しといえる。

 中国のメガFTA参加は、国際通商体制が大きな転換点を迎えたことを意味する。RCEPによって、わが国の工業製品の対中輸出にかかる関税の86%が撤廃される見込みだ。アジア地域における中国経済の重要性は一段と高まるだろう。

 それと引き換えに、中国は様々な要求を参加国に突き付け、アジア地域での足場を固めようとするはずだ。長めの目線で考えると、RCEP加盟国の一部において中国の“デジタル人民元”を用いた資金の決済が行われるなどし、米ドルの信認に支えられた国際通貨体制に揺らぎが生じる展開は排除できない。

 国家資本主義体制を強化して一党支配体制をつづけるために、共産党政権がRCEPをどう活用するかは重要な論点だ。対中輸出の増加は重要な一方で、RCEP参加国における中国の影響力拡大のリスクをどう防ぐか、わが国は方策を各国と練らなければならない。

 経済面で中国との関係を重視してきた、韓国の文在寅大統領にとってRCEPの意義は大きい。それによって文大統領は、中小企業などに対中輸出増加の活路を提供したいだろう。また、韓国はわが国との貿易に関しては産業への打撃を警戒し、自動車や機械の関税撤廃は見送った。

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 その一方で、韓国にはRCEPによってわが国の高純度素材などを輸入しやすくなるとの目論見もあるだろう。そう考えると、RCEPは韓国が経済面での中国への依存を一段と高めるとともに、わが国に近づく重要な契機になる可能性がある。わが国は韓国に対して引き続き毅然とした態度で臨めばよい。

自由貿易推進に向けたわが国の役割期待

 ワクチンの国際供給体制の確立を含めコロナショックから世界経済が立ち直るために、FTAやEPA推進の重要性は高まっている。それによって各国は自国の得意な分野を伸ばし、雇用の創出などを目指すことができる。

 わが国はTPP11、日米貿易協定、日・EU、日印のEPA、さらにはRCEPなどを通して、直接的、間接的に各国と国際貿易体制の強化に取り組んでいる。自由貿易の推進によって経済の安定と成長を目指すという点において、国際社会の中でわが国の立場は相対的に良いといえる。RCEPが署名された今、自由貿易推進の旗手としてのわが国の役割、期待は高まっていると考えるべきだ。

 今後、わが国に求められるのは、中国の進出に直面するアジア新興国との連携強化だ。公衆衛生や環境、安全な上水道の整備といったインフラ整備支援などをわが国は迅速に実行し、アジア新興国の信頼を獲得しなければならない。

 そのためには、着実な実行力が欠かせない。インドとの関係強化も重要だ。経済成長の限界を迎え労働コストが上昇する中国からインドなどに生産拠点を移す各国企業は増えている。

 このように、世界経済のダイナミズムの源泉として、アジア新興国地域の重要性は一段と高まっている。わが国がアジア新興国との関係を強化することは、わが国と欧州各国との関係強化に不可欠だ。それができれば、わが国が米国のバイデン次期政権にTPP復帰を促すことも可能だろう。

 つまり、わが国は自力で国際世論を味方につけ、自由資本主義の考えに則った、より高次元の(競争やデータ管理などのルールの統一化を伴った)経済連携を目指し、それに米国を巻き込むべきだ。突き詰めて考えれば、それが、わが国が自力で自国経済の安定を目指し、国家資本主義体制の強化のために海外進出を目指す中国への包囲網を形成することにつながる。

 わが国政府は国内企業の強み(精密な製造技術や高品位の素材開発力)の向上をより積極的にサポートし、アジア新興国や米中から必要とされる存在を目指すべきだ。政府がRCEP署名成立をアジア新興国向けの経済外交の推進に生かすことを期待したい。

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2020年11月23日 (月)

【ナショジオ】ヒトの半数『色覚異常』✍どのように進化してきたのか㊥

 色覚」は凄い!その驚くべき仕組みと能力 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年11月21日(土)12時22分配信

なぜわたしたちには色覚があり、どのように進化してきたのか

 色覚に関係する視物質オプシンには、大きく分けて5種類あり、それらは脊椎動物の共通祖先の時代には出揃っていた。

 進化の初期の段階で、だいたいのレパートリーが出揃って、その後、刈り込まれていくような現象は、よく聞く。約5億年前に起きたいわゆる「生命のカンブリア爆発」では、生物の進化の歴史の中でも特筆すべき多様性が花開き、後に刈り込まれていったとされる。

 見せていただいた「脊椎動物視覚オプシンのレパートリー」の表がとてもおもしろい。

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「4種類の錐体オプシンと、1種類の桿体オプシンということで、5種類。それらを、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、そして、哺乳類の中でも特に霊長類で、どんなものを持っているか表にしています。『○』をつけているのはそれを1個持っているという意味で、『◎』にしているのは、同じ型でも2つ以上の微妙に違ったサブタイプを持っている場合です。そうすると、魚類はすべて『◎』で多様な色覚を発達させたのがわかります。それと、哺乳類を除く四足動物は基本的にこれらを1個ずつ持っている4色型ですね。先祖代々のセンサーをずっと大事に1個ずつ維持していると。ただ、両生類だけ緑型のオプシンが見つかっていません。これは単に見つかっていないのか、本当になくしちゃったのかは、まだわかりません」

 ここで際立つのは、とにかく魚類の色覚を司るオプシンが多様であることと、哺乳類以外の脊椎動物はだいたい4色型の色覚を持っていることだ。

 哺乳類についてもうちょっと詳しく見ると、いったん緑型と青型をなくして、2色型になってしまったことが分かる。また、さらに霊長類は、いったんなくした緑型を、赤型のサブタイプとして新たに創りだしたことや、紫外線型だったものを青方面に寄せて青型のように使っていることなども。

 ここでは、魚類の持つ多様な色覚の話に進む。

なぜ魚のオプシンの種類は多いのか

「どうして魚類がそれだけ各タイプを多様化させるのかということですが、それは水中の光環境が非常に多様だということであろうと考えています。水深によっても届く光の波長がずいぶん変わってくるし、大洋とか深海溝でも違います。バイカル湖みたいな非常に広くて深い、透明度も高いような環境と、河川、ふつうの湖とか沼というところでも、透過できる波長や水深がまったく違ってきます。

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 海ですと、だいたい400数10ナノメーターくらいの光が最も透過性がよくて、あとは吸収されたりしちゃう。目に飛び込んでくるのは残った波長だけだから、海は青っぽく見えると。湖や川の水が何となく緑っぽく見えるのは、より長波長にシフトしていて、それは植物プランクトンとかいろいろなものが混ざっているからですね」

 色覚の起源は、浅瀬で明暗が変わりやすい環境だったという話があったけれど、ここでは魚類というグループとして見た時の環境の多様性が、色覚の多様性を維持している、みたいな話だと理解した。個々の種では、それほどではなくても、魚類全体では、いろいろな色覚があるのだろう。いかにも、ありそうなことだ。

 などと、思っていたら、実は同じ種、それどころか個体レベルでも多様な色覚がある! ということがすぐに判明した。

「ウナギとかサケみたいに、海と川を行ったり来たりするものもいますよね。彼らは、海にいるときはより短波長のセット、川に来たらより長波長のセットに切り替えたりするんですよ。網膜上に発現してくる視細胞が違ってくる、と」

 これは、すごい。

 たしかに海と川で周囲の光が違うなら、それぞれに最適化した視物質のセットを持った方が有利だろう。それを実際にやっているとは!

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 魚類の色覚の神秘はそれだけではない。河村さんみずからの研究室で手がけている研究でも、非常に面白いことがわかっている。

4種類、5種類は当たり前!?

「魚類と一口に言ってもいっぱい種類がありますけど、僕たちのところでやっているのは、まず骨鰾類(こっぴょうるい)。コイとか金魚とかが入るグループで、ゼブラフィッシュというのを特に研究をしています。

 それと、棘鰭類(きょっきるい)というグループがあって、メダカとかグッピーとかトゲウオなどが入っています。ここからメダカを特に選んでいます。ゼブラフィッシュもメダカも、実験動物として非常によく研究されていて、遺伝学や発生学のいろいろな実験ツールが使えるというメリットがあるし、世代時間も比較的に短くて飼育しやすい。骨鰾類と棘鰭類が分岐したのは、かなり昔でだいたい2億5000万年くらい前ですので、この2つを調べることでかなり広く魚類の一般的なところに迫れるかもしれないと思っているわけです」

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 ゼブラフィッシュもメダカも淡水の魚だ。ウナギやサケのように海水と淡水を行き来することはない。とすると、比較的シンプルな生活史で、視物質のレパートリーもそれほど複雑なことにならないんじゃないだろうか。

 河村さんたちはオプシン遺伝子の種類を確認するだけでなく、遺伝子を転写したRNAを網膜から抽出して、実験室で視物質(タンパク質オプシン+色素レチナール)を実際に再構成した。そして、吸収波長を測った。

「ゼブラフィッシュは、吸収波長の違う赤オプシンを2種類持っていて、緑オプシンは4種類持っているとわかりました。そして青オプシンと紫外オプシンを1つずつ持っています。桿体オプシンもあります。あとで、外国の研究者が桿体オプシンをもう1つ見つけたのでオプシンは全部で10種類です。メダカは、赤2、緑3、青2、紫外線1で、それに桿体のものを加えれば、9種類。ただし、メダカの2つの赤オプシンの吸収波長は同じでした」

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 ちなみに、緑オプシンのサブタイプは、棘鰭類(メダカ)と骨鰾類(ゼブラフィッシュ)の系統が分岐した後に、いわゆる遺伝子重複という現象の結果、独立して獲得されたそうだ。オプシン遺伝子の配列をもとに系統樹を書いてみると、それが鮮やかに分かる。

たくさんの種類を使いこなす驚異のメカニズム

 さてさて、では、ゼブラフィッシュもメダカも、これだけたくさんの種類のオプシン遺伝子を持っていて何に使っているのだろうか。いちいち、同時に発現させているのだろうか。あるいは、サケやウナギのように、環境に応じて使うセットを変えているのだろうか。

 河村さんの研究では、少なくともゼブラフィッシュでは、なんと「同時に全部」だ。

「見える波長の異なるいろんな種類のオプシンがあることはさっき言いましたが、ゼブラフィッシュでは、それが実際に発現していて、使われている網膜上の場所も分化しているということが分かったんです。遺伝子にラベルしておいて、どこで発現しているか分かる方法がありまして、それで確認しました」

 これは概念図を見た方がいい。

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 ゼブラフィッシュには2種類の赤オプシンの遺伝子があるけれど、それが、ちょっと偏った「同心円状」に発現する場所が分かれている。また4種類ある緑オプシンも同様で、これは4つあるのでさらにはっきりとその傾向が分かる。

 これにはどんな含意があるのか、眼球全体を縦に切ったような形で図示すると驚くべきことが明らかになった。

(※) 図はTakechi, M., & Kawamura, S. (2005) The Journal of Experimental Biology, 208 (Pt 7) より改変

「同心円状」の理由が一目瞭然

「魚の眼球の断面で見て、おおまかに当てはめると、こんな感じになっているんです。網膜の腹側(下側)、つまり上を見る視角ですね。それがより長波長のオプシンのサブタイプを使っていると。一方で、より短波長のやつは背側(上側)で、下を見る視角に使っている。

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 つまり、見る角度によって色覚を変えていると。このほかに紫外線オプシンや青オプシンを持っているので、ゼブラフィッシュは基本、4色型なんですね。でも、その構成要素を変えているということで、違う4色型にしているわけですね」

 いやあ、これは意表を突かれた。

 言われてみれば、たしかに意味があるような気がする。水の中を泳ぐ魚にしてみると、水面方向と水底方向では、まったく光の環境が違う。それぞれ違うセンサーのセットを使って見るのは、理にかなっているかもしれない。ただし、なぜこういう分かれ方をしているのか、どれくらい魚類の中で普遍的なのかはまだよくわかっておらず、これも合理的な説明を探さなければならない、という状況だそうだ。

 河村さんの研究チームは、どうしてこのような発現の仕方になるのか、メカニズム的な部分については、きれいに解き明かしている。「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」という著名雑誌に論文が掲載されたほどの良い研究成果なのだが、正直、この連載の水準で追いかけるのはちょっと困難だ。思い切りざっくり言うと、遺伝子の発現を制御する「エンハンサー」の場所を特定し、わずか500の塩基配列にまで追い詰めたというに留める。

「ゼブラフィッシュやメダカの研究では、僕が研究室を構えた初期から、知念秋人くん、武智正樹くん、松本圭史くん、そして辻村太郎くんといったやる気のある優秀な学生たちが来てくれたおかげで、すごく進んだということを述べさせてください」と河村さんは付け加えた。

 彼らは、ここまでの研究に心血を注いだ、河村研究室のレジェンド的な存在なのだそうだ。

 なぜ霊長類また3色型色覚を獲得したのか、そしてヒトだけの特殊事情とは… 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年11月22日(日)12時22分配信

ヒトの半分が「色覚異常」!? そんな話は聞いたことがないけれど…

 霊長類は教科書的に言っても、視覚の動物であるというふうに昔から言われている。発達した視覚システムが霊長類の大きな特徴だ、と。

 眼球が正面を向いていて立体視ができるとか、視細胞の密度が高くて、空間解像度が高い(デジカメでいうと、画素が多い)とか、さらには3色型色覚。

 前回は、魚類の色覚の話で、ゼブラフィッシュは4色型色覚を持つのみならず、水面方向と正面や水底方向で、網膜上に違うセンサーのセットを持っていることを知った。

 しかし、哺乳類は、魚類のみならず、両生類、爬虫類、鳥類とは違って、いったん2色型色覚になっており、霊長類で3色型になったという経緯を持っている。

「中生代の恐竜の時代、おそらくわれわれの祖先は、夜行性の小動物だったと考えられていて、暗いところでは高度な色覚は必要なかったと考えられています。むしろ夜行性への適応をしたほうが、はるかに彼らにとってはよかったのではないかと。それで基本的に脊椎動物は4色型なんだけれど、哺乳類は錐体を2種類失って、2色型になったんです。霊長類以外の哺乳類はだいたいそうです」

 というわけで、今、視覚の動物である霊長類は、失った緑のオプシンを、赤のオプシンを変異させることで、また、青のオプシンは、紫外線オプシンを青方面にスライドすることで、RGBの色空間を得た。その背景には、霊長類が暮らしていた森の環境があるのではないか、と考えられている。

「葉の緑と果実が熟した時などの赤を識別できるかというと、2色型はできないんです。明度(明暗)が違えば識別できますけど、同じ明度で、色度だけをたよりに区別しようとしても完全に埋もれてしまう。2000年に発表された有名な研究があって、森の中での3色型色覚の有利性を示した図があります。これを見てください」

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 縦軸に「黄─青」をとって、横軸に「緑─赤」を取る。本当は赤緑青のRGBの色空間で見るとよいのかもしれないが、簡略化するため適切な切り口で2次元に落としていると考えてほしい。横軸に「緑─赤」を取ってあるのは、2色型と3色型の色覚の違いが、ここを識別できるかどうかにあらわれるからだ。

 さて、この平面の中で、森の中にある葉は縦に並ぶ。つまり、「黄─青」成分は様々だが、「緑─赤」成分は「葉は緑」ということでだいたい同じなのだ。一方で、熟した果実は、葉とは離れたところにかなりばらついて分布している。どうやら、3色型の色覚を持っていれば、葉と熟した果実を、色覚を使って見分けられそうだ。

 一方、2色型の色覚では、「緑─赤」が区別できないので、横軸に「明暗」を取ってみる。つまり、「緑─赤」の色覚の代わりに、明暗を手がかりにするとどうなるか。すると、葉と果実はぐちゃーっと混ざってしまった。区別できそうにない。

「3色型の色覚なら、緑の背景から黄色やオレンジや赤っぽい果実がポップアップして見えるということです。そういう効果は遠距離ほど緑の背景が同時にひとつの視野に入るわけで、効いてくるはずです。近寄ってみれば、2色型でもそれなりに識別できるはずなんですが」

(※) 図の出典:Sumner, P., & Mollon, J.D. (2000) The Journal of Experimental Biology, 203より改変

ヒトの半分が「ハイブリッド・オプシン」を持っている!?

 なにかこれですっきり説明できてしまった気がする。ストーリーとしてとてもよくできている。河村さんの研究でも、狭鼻猿類、つまり、ヒトに近い類人猿やニホンザルのグループは、「恒常的な3色型」で、森の中で果実を見つけやすい。

「類人猿やニホンザルを含む狭鼻猿類の3色型色覚は、非常に保守的なんです。つまり、非常によく保存されていて、例外が少ないという意味です。恒常的3色型といいます。僕たちの研究では、東南アジアの小型類人猿テナガザルを調べました。生息地の東南アジアのいろんなところからDNAサンプルを集めてきて、3属9種、個体数で152個体、まったく例外なく普通の3色型でした」

 そして、河村さんたちは、集めたテナガザルのサンプルから、「3色型色覚が非常に強固に守られている」ことも、しっかりと示した。この話は、さらにさっきまでのストーリーを補強するもので、やっぱり、霊長類は3色型色覚が有利よね! という話になる。

 ところが!

 ヒトのことを考えると、とたんに「景色」が変わる。

 というのも、ヒトはバリバリの「狭鼻猿類」なのに、はっきりと「色覚多型」があるからだ。つまり、3色型ではない個体(人)が、普通に混じっている。

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「ヒトをサーベイすると、通常の3色型色覚だけではなくて、緑オプシンと赤オプシンの遺伝子の前半と後半が組み換わったハイブリッド・オプシンが、50パーセント近く見られます。こういうのは、テナガザルを150個体以上みても、1個体もいませんでした」

 混乱した。

 ヒトの50パーセントが、テナガザルにまったく見られなかった「ハイブリッド・オプシン」を持つという。緑オプシンと赤オプシンの遺伝子の前半と後半が入れ替わったものだ。これって、つまり、「色覚異常」ということなのではないのだろうか。ヒトの半分が「色覚異常」、というのは聞いたことがない。

ヒトの特殊事情のヒントを求めて「新世界」へ

「これは、軽微な変異を含んでいるんです。軽微というのは、遺伝子の入れ替わり方によっては、色覚の検査をしても検出できないくらいの違いしか出ないものです。『軽微な変異3色型色覚』と言っています。でも、別の組み合わせになると検出できる違いが出てきて、『明確な変異3色型色覚』になります。これが赤緑色弱と呼ばれてきたわけです。さらに、2色型色覚があってこれは赤緑色盲と呼ばれてきました。明確な色覚の変異の頻度は、ヒトの場合、男性の3~8パーセント。あいだをとってだいたい5パーセントです」

 なるほど、これで納得できた。

 ぼくたちが日常的な意味で使う「色覚異常」は、男性の5パーセント。今更なかんじだけれど、注釈すると、「男性」なのは、赤オプシンとそこから派生した緑オプシンの遺伝子は性染色体(X染色体)の上にあり、どちらかに変異があると、X染色体が1本しかない男性の場合は直接効いてくるからだ。女性はX染色体を2本持っているので、変異があっても、正常型も同時に持てば、そっちでカバーできる。だから、「色覚異常」は基本的に男性に多い。

 さらに、用語について注釈しておくと、日本眼科学会では、2007年以来、「色覚異常」という言葉は使っても、色盲や色弱という言葉は使っていない。色盲は「2色覚」(まれだが1色覚もあり得る)で、色弱は「異常3色覚」だ。色盲や色弱という言葉に、否定的な響きかあるというのが大きな理由だ。「異常」というならやはり否定的ではないか、という意見もあるけれど、本稿では基本的に日本眼科学会の用語に従うことにする。

 さて、ヒトの場合、男性の5%だった「色覚異常」が、テナガザルではゼロ。チンパンジーでは、0.6パーセント。カニクイザルなどのマカクでは、さんざん探して0.4パーセントとの報告だという。ヒトとは文字通り「桁」が違う。

 これは、ヒトだけの特殊事情なのだが、なぜこういうことになっているのだろう。

 ヒトのことだけに気になる。

 では、ヒントはどこにあるだろう。

「僕たちは、新世界ザルに注目しました」と河村さん。

 新世界ザルとは、ユーラシア、アフリカの旧世界ザル(主に狭鼻猿類)に対する呼び方で、文字通り、「新大陸」の中南米に分布するグループだ。広鼻猿類ともいう。クモザルやオマキザルやホエザルやタマリンや、中南米の霊長類はこの中に入る。英語だとニューワールドモンキーだ。

「新世界ザルでは、色覚多型であることがごくふつうなんです。ひとつの集団の中に2色型と3色型がふつうにいるので、彼らの果実採食効率を比較するとかすれば、3色型色覚が本当に果実を食べるのに良いのかとか、さまざまな色覚型を持つ意味が検証できるだろうということです」

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2020年11月22日 (日)

【ナショジオ】ヒトの半数『色覚異常』✍どのように進化してきたのか㊤

 色覚何故、どのように進化してきたのか 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年10月24日(土)18時08分配信

 色とは何か、色の見え方にはどんな違いあるのか

 ふだんの生活で、ぼくたちは日々、目を通したいわゆる視覚情報に晒されている。

 もちろん、耳や鼻や皮膚などにある様々なセンサーを通しても、環境を認識しているわけだけれど、その中でも、目からの情報は膨大で、圧倒的に思える。活字を読むのも、ネットを見るのも、主に視覚情報を通じてだ。

 そして、ぼくたちの視覚には「色」がある。赤だとか緑だとか青だとかを区別できるというのは、ただ明るい暗い(明暗)だけを識別するよりも、便利なことが多いし、しばしば、「美」を感じるきっかけにもなる。情緒的な言い方にすぎるかもしれないが、色覚があるからこそ、世界は彩りにあふれて、美しい。

 実は色覚について、強い関心を持ってきた。小説の中でも、特異な視覚を持った一族を登場させたことがある(『天空の約束』と『雲の王』)。もっと知識を深めたいと思っていたところ、東京大学の柏の葉キャンパスに、色覚をめぐって幅広く、かつ、深く追究している研究室があると知った。大学院新領域創成科学研究科・先端生命科学専攻(さらに細かくというと人類進化システム分野)の河村正二教授が推進役になり、「魚類から霊長類」まで進化史を貫くような研究成果をつぎつぎと発表しているとか。ぜひ訪ねてみたい!

 東大・柏の葉キャンパスは、東京から見ると「つくば市の手前」、千葉県柏市にある。この連載では、バイオロギングでペンギンの研究を手掛ける塩見こずえさん(大気海洋研究所(当時))を訪ねたことがある。同じ敷地には、宇宙論研究の小松英一郎さんが上席研究員を兼務するカブリ数物連携宇宙研究機構や、先日、「ニュートリノ振動の発見」でノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんの宇宙線研究所もあって、つまり、宇宙から生物まで学際的な雰囲気に満ちたキャンパスだ。

「生命棟」にある研究室にたどり着くと、河村教授は、みずから説明用のスライドを整えて待っていてくださった。スライドの数、100枚以上。色覚をめぐる最新研究の「旅」は、この時点でも、長く発見に満ちたものになると予感した。

 それはどういう「旅」になるのか。河村さんはまずこう言った。

イカやタコの色覚は?

「はっきりと色覚を持つのは、いろいろな動物の中でも、昆虫などの節足動物と、われわれ脊椎動物だけです。じゃあ、イカやタコはどうなんだというと、レンズは脊椎動物と似たものを持っていますが、色覚の証拠は今のところありません。脊椎動物は、魚類から霊長類まで、共通祖先の段階で色覚を持っていて、それが進化に大きな役割を果たしたと考えられています」

 どうして、ぼくたちの世界は色彩にあふれているのか。色覚が脊椎動物の進化にとって、ひとつの鍵となる感覚だったという話。魚類も、哺乳類も(その中の霊長類も)、それぞれ、色覚について様々な工夫を繰り返してきた。ダイナミックな進化の物語として、興味深そうだ。

 さらに──

「色覚の場合、実験室での遺伝子レベルの研究から、野生の生息地で動物たちが色覚に応じてどう行動しているのかということまで、ひとつながりにして確かめることができるんです。つまり、遺伝子と進化というテーマに、遺伝子を配列レベルで議論する分子生物学からも、フィールドの行動学からも切り込むことができるわけです」

 遺伝子の進化と、遺伝子が発現した形質の進化や、それに応じた行動、というのはもちろんセットになっている。理屈の上ではそうだ。でも、これまで、それらを同時にきちんと見て確かめることが難しかった。河村さんは、色覚というワントピックから一点突破して、その様子を垣間見ることに成功した数少ない研究者の一人だ。これまた、どういう内容なのか、興味がつきない。

 それでは、しっかりとお話をうかがっていこう。

ヒトの目の断面図をよく見ると

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 最初は、ぼくたちヒトの目の断面図から。

「目の奥にある網膜に、光を感じるセンサーとなる細胞があるのはご存知ですよね。視細胞といいます。大きく分けて2種類あって、桿体(かんたい)細胞と錐体(すいたい)細胞」

  網膜は眼球の奥にある層状のもので、それを細かく見ると、手前からガングリオン細胞だとか、双極細胞だとか、水平細胞だとかが並んでいる。それらがどんな役割を果たしているかはここでは触れない。むしろ、それらの奥にある、桿体細胞と錐体細胞に注目する。これらが、光を感じる細胞、いわゆる視細胞なのだ。

 おやっ、と思うのは、眼球のレンズである水晶体から見て、視細胞の手前にいろいろ別の細胞があることだ。邪魔ではないかと心配だが、これが脊椎動物のスタイルだという。タコやイカではこんなことはない。脊椎動物は初期のたまたまのデザインをそのまま踏襲して引き継いでいるのだろう。一見不合理に見えつつもそれほど問題でもないようで、今もそのままになっている。

 そして、視細胞に集中しよう。

光子1個をとらえる究極の超高感度光センサー!

Photo_20201122162901桿体細胞Photo_20201122163101錐体細胞

「桿体、錐体は、どちらも非常に複雑で特殊化したかたちをしています。外節部分と呼ばれるところに、すごく入り組んだ膜構造があります。桿体の場合は円盤状の膜構造体がぎっしり詰まっている。錐体の場合は細胞膜そのものが入り組んでいる。ここの部分の膜に、光のセンサーの分子が埋まっています。入り組んでいることで表面積をかせいで、よりたくさん埋め込むことができるわけですね」

 なお桿体の桿は、棒のような形を指す。飛行機などの操縦桿の「桿」だ。一方、錐体の「錐」は、文字通りキリのように尖っている。それぞれ形のまんまの命名だ。

 では、それぞれの機能に違いはあるのだろうか。

「まず感度が違います。桿体はすごく高感度で、薄暗いところでも見えるんです。薄明視といいます。光子1個でも反応する感度です。究極の高感度光センサーです」

 光子1個! これは驚くべきことだ。

 ニュートリノ振動を見出した「スーパーカミオカンデ」も、宇宙から来たニュートリノが時々発生させる光子を捉えて観測していた。その際のセンサーは直径50センチもある真空管のようなものだった。今では指先に乗る小さな半導体センサーが開発されていると聞いているけれど、我々の体にはもっと小型で同じくらいの感度のセンサーがとっくに搭載されていたわけだ。

 とにかく、桿体は暗がりでも機能する超感度。それが大事な点。

「一方、錐体のほうはそこまで感度はよくなくて、ある程度明るいところで働きます。ですので、桿体と錐体があることで、夜の星明かりの明るさから真昼のところまで、ものすごく広いレンジをカバーできるわけです」

 光子1個レベルの暗がりから光降り注ぐ真昼まで! そう書くとやはりすごい。

 しかし、ここでぼくたちが関心があるのは明暗ではなく、色、だ。それについては、どうなのだろう。

多くの生物に共通する「ものが見える」しくみとは

「色覚に関係するのは、明るいところで働く錐体の方です。たとえば、人間について言えば、赤、緑、青に反応する3種類の錐体があって、それらを使って色を識別しているんです」

 桿体は高感度で、薄暗いところでうまく働く(薄明視)。

 錐体は感度はそれほどではないが、明るいところで働き(桿体とともに広いダイナミックレンジを実現)、色を識別する(色覚)。

 こういう理解でいいだろうか。

 特筆すべきは、このような働きの違いがありつつも、桿体でも錐体でも同じ構造のタンパク質を視物質として持っていることだ。

 混乱するかもしれないので注釈すると、視細胞というと桿体や錐体のことをさす。大きく見れば、これが光センサーだといえる。しかし、もっとミクロに見ると、視細胞の中に、特に光に反応する視物質というものがあって、その部分で光の刺激が電気信号に変換されている。さっき、河村さんが言及した、入り組んだ膜の上にぎっしりとある「光センサーの分子」というのが、視物質ということだ。

Photo_20201122163301視物質「ロドプシン」の構造

「視物質は、オプシンと呼ばれるタンパク質と、レチナールと呼ばれる色素の組み合わせでできているんです。これは、生命の歴史の中で、光を感じる仕組みとして、かなり普遍的なものです」

 網膜→視細胞(桿体と錐体)→視物質とだんだん細かく見てきて、今、視物質がオプシン(タンパク質)と色素(レチナール)の組み合わせでできているとわかった。ぼくたちの視覚の基礎になる「光を捉える」仕組みは、このタンパク質と色素の働きによる。

 さて、タンパク質と色素のコンビはどのように光を受けるのか。

「ものが見える」起点は小さな物質のわずかな変化

「タンパク質オプシンの中に、色素レチナールが組み込まれています。レチナールは光を受けるとぱっとすばやく構造が変化して、オプシンがそれを刺激として構造変化を起こすんです。それを引き金に一連の情報伝達系が活性化されて、最終的に視細胞全体が『過分極』します。つまり、視細胞が興奮した状態になります。それが電気刺激となって、最終的に脳に行って『光が来たぞ』ということが分かるわけです」

 光を受ける→色素(レチナール)が構造変化→タンパク質オプシンが構造変化→視細胞(桿体や錐体)が興奮→神経伝達→脳が「光が来た」と知る。

 こういう流れだ。

 実は、色素レチナールは、ビタミンAから合成されるもので、脊椎動物ではだいたい同じものが使われている(ビタミンAのわずかな種類の違いはある)。

 一方、タンパク質オプシンは、様々なバリエーションがある。人間の錐体細胞に赤・緑・青に対応する3種類があるのは、視物質の色素レチナールではなく、タンパク質オプシンの違いによる。だからここから先、錐体に使われているオプシンの違いを見ていくことが、色覚について考えるキモとなるのだった。

」はにはなく、の中にある

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年10月25日(日)18時08分配信

なぜわたしたちには色覚があり、どのように進化してきたのか

 ヒトの、ひいては脊椎動物の色覚について、前回は基礎固めをした。

 網膜にある視細胞には、桿体(かんたい)と錐体(すいたい)があって、桿体は薄暗いところでの「薄明視」用、そして、錐体は明るいところで働き、色覚に関係している。

 視細胞が光を感じ取るには、視物質が必要で、その視物質はオプシンというタンパク質と、レチナールという色素でできている。

 レチナールの方は、脊椎動物ではだいたい決まったものが使われるので、様々な色覚の違いは、主にタンパク質のオプシンのバリエーションによってもたらされる。

 ヒトの錐体は、赤、緑、青の3色に対応するオプシンを持っている。

 とりあえずここまでが、前回の復習だ。

 では、これらのオプシンを使って、色覚というのはどんなふうに実現しているのだろうか。

 河村さんは、こういうところから説き起こす。

「まず、色というのはそもそも光線にくっついているものでもなく、物質についているものでもないということを理解しておいてください。例えば、虹は太陽の光が屈折率の違いから、波長がバラけたものですよね。我々にはそれらが、それぞれ違って見える。波長を識別する感覚があるということです。その波長の違いによって光線を識別できる感覚が色覚です。別に色が光線にくっついているわけではないんです。識別しているということは、つまり脳が色を塗っていると思ってください」

 このあたり、ぼくたちには「見えるようにしか見えていない」わけで、「色」と「光の波長」を混同しがちだ。また、「色」と「光の波長」を混同して語っても、現実的には問題ない場面も多いだろう。しかし、今、ぼくたちはまさに「色覚」について語っているので、「光」と「色」は、いったん区別した方がいい。河村さんの言うとおり、「色は光線にくっついている」わけではなく、「物質にくっついている」わけでもない。むしろ、光の波長を識別する能力に応じて、「脳が色を塗っている」わけである。

 とすると、どんなふうにぼくたちは、光の波長を識別しているのだろうか。

ヒトは「3色型」。ではほかの動物は?

「それは先の錐体のレパートリーによって決まってきます。ヒトの場合、光の感受性の異なる3種類の錐体、L、M、Sがあります。波長がロング、ミドル、ショートという意味です。赤、緑、青と言ったりもします。3種類の視細胞、錐体細胞。言い換えると3種類のオプシンがあるわけですね。この3つのアウトプットの比率が色になるわけです。ヒトの場合は3種類ということで3色型といいます」

 専門的には、オプシンがどの波長に感受性があるかということで、L(ロング)、M(ミドル)、S(ショート)だが、さすがにこのままでは混乱するので、ここはちょっと妥協してL(赤)オプシン、M(緑)オプシン、S(青)オプシンなどと書くことにする。光の波長は色そのものではないと、力説した直後に申し訳ないが、ことヒトの視覚において、赤や緑や青をもたらすセンサーということで。

 そして、ヒト、多くの哺乳類、ミツバチ、多くの鳥類というカテゴリーで、錐体オプシンの多様性を示す図表を見せてもらった。ミツバチは脊椎動物ではないが、昆虫もやはりオプシンを使ってものを見ている。

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「まず、ヒトは、3色型色覚ですね。この3種類の組み合わせによって、数百万種類の色を見分けることができると。波長だけでなくて、明暗の情報も含めてですが。パソコンのモニタなどが、RGB(赤緑青)なのは、まさにそのためです」

 ところが、「多くの哺乳類」となると、M(緑)オプシンがなくて、L(赤)とS(青)だけだ。

「2色型色覚といいます。霊長類以外の哺乳類ということで、イヌもネコもウシもこのタイプです。2つのセンサーの組み合わせで色をつくっているということで、よくイヌが白黒の世界を見ているというふうなことがいわれると思うんですけど、あれは間違いです。白黒ではないです。青と黄の世界と言ったほうがまだ近いです。2種類のセンサーだけで色をつくり出すので、色の種類数はぐっと落ちるわけですね」

 2種類のセンサーでも、それで光の波長を識別できるわけだから、それに応じた色の世界があるわけだ。白黒というのは単に明るいか暗いか、明暗の階調で表現しているものなので、根本的に異なる。

さらに、同じ3色型にも違いがある

「実は、この2色型というのは、ヒトですといわゆる「赤緑色盲」に相当します。そして、こういうメガネがありまして、僕なんかは、プレゼンで見えにくい色使いをしないように確認するために使っているんですが──」

 河村さんが取り出したのは、特殊なフィルターを使ったサングラスのようなものだ。バリアントールと呼ばれていて、ヒトが擬似的に2色型色覚を体験するためのものだ。それを装着すると、パソコンの画面の色の様相がかなり変わってしまう。元もと赤だった部分が黒っぽくなって、緑が黄色っぽくなる。細かな色の識別が難しくなるが、やはり白黒というのとはまるでちがう。

「実は、ミツバチも3色型です。でも、ヒトとの違いは分かりますか」と河村さんは指差した。

「ミツバチの場合、L、M、Sの感度のピークが、ヒトに比べて離れているんです。ヒトは、L(赤)とM(緑)が近づいていますよね。色はセンサーのアウトプットの比率だと言いましたけど、ヒトの場合、L(赤)とM(緑)がかなり重なっているから、片方だけがすごく興奮して、もう片方がまったく興奮しない、ということはありえないんです。その一方で、ミツバチの場合は、3種類のセンサーがかなり独立しているので、識別できる色が増えるわけです」

 ミツバチは、ヒトよりももっと色彩あふれる世界に住んでいるともいえるかもしれない。

 そして、さらに鳥類!

「4色型です。L(赤)、M(緑)、S(青)のほかに、VS(ベリーショート、紫外線)のセンサーかあります。ヒトやミツバチはいわば3次元の色空間を持っているわけですが、鳥は4次元ですから、もう3次元では表せません。例えば、絵の具のセットの中に、紫外線色の絵の具というものがあったとします。ヒトにとっては、それは見えないので、パレットの中でほかの色と混ぜていっても、ヒトにはまったく色が変わったようには見えません。でも、鳥が見ればどんどん色が変わっていくように見えるわけです。そういう感じですね」

 紫外線が識別できると、たとえば、人間の目には1色にしか見えない花に、実は模様があるのが分かったりする。識別する能力のある鳥にとっては、それはやはり「色」だ。

 さて、ここまでで、L(赤)、M(緑)、S(青)、VS(紫外線)のタイプの錐体オプシンが出てきた。また、桿体にも特有のオプシンがある。

 細かいバリエーションはありつつも、脊椎動物がこれまで使ってきたのはこの5種類だという。実は脊椎動物の共通祖先の段階で、これらは出揃っていたと考えられる。今後の議論でさんざん登場してくるので、表記をさらに「妥協」して、赤オプシン、緑オプシン、青オプシン、紫外線オプシンとする。「色」は光にくっついているわけではなくセンサーのアウトプットに応じて脳が「色付け」しているということとさえ理解しておけば、こういう表記も議論をミスリードしないですむはずだ。

もしも自然のなかで色が区別できなかったら?

 そして、ここまでで河村さんによる、色覚の基礎講座は終了だ。背景知識自体すでにディープだけれど、さらにディープで興味深い世界を、河村さん自身の研究として語っていただけるところまでやってきた。

 河村さんは、こんな問いかけをした。

「そもそも色覚って、どのような環境で最も役に立つと思いますか。これが色覚の進化を考えるうえで重要になるんです」

 さて、それはどんな環境なのだろう。色が区別できると便利にはちがいないけれど、それが特に効いてくるような環境とは?

「ひとつは、明度が非常に不規則に変動する環境です。というのは、もし明暗だけで物を見ようと思っても、明るさが予測不能にちょこちょこ変わってしまったら困りますよね。その代表的な環境のひとつは水中、特に浅瀬です」

 なるほど。屋外のプールに日が差した時のことを考えてみるといい。水面が常に揺らいでいるので、水底に届く光も常に揺らいでいる。ああいう状況だ。

「そういう時に、明度だけで物を見ようとすると、すごくノイズの高い環境になってしまいます。一方で、明るくても暗くても、青は青で黄色は黄色なわけです。というのは、色とはセンサーのアウトプットの比率だからです。全体に暗くなっても明るくなっても変わらない。だから、色覚が役に立ちます」

 例えば、浅瀬にいるような魚(あるいはその祖先)にとって、色覚を発達させるのは、とても有利なことだったかもしれないのだ。

 そして、さらにもうひとつ。

「森です。葉っぱが風や何かで、非常に不規則に常に揺らいでいるわけです。霊長類が住んでいるところですね。僕が、魚類と霊長類に注目するというのは、そういう背景があるんです」

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2020年11月21日 (土)

【新型肺炎】重症化✍「ネアンデルタール人遺伝子」説の根拠『ファクターX』とは・・・・

 ネアンデルタール遺伝子がコロナ重症化原因 リスク3倍東アジアアフリカ殆ど 

AERAdot. 2020年11月15日(日)7時02分配信

 現在の人類と一時は共存し、4万年前に絶滅したネアンデルタール人。私たちの体内にある彼らの遺伝子が、新型コロナの重症化と深く関わっていた。AERA 2020年11月16日号で掲載された記事を紹介。

*  *  *

 日本を含む東アジアでなぜ、新型コロナウイルスの死者数が少ないのか。この「ファクターX」をめぐる謎に有力な仮説が浮かんだ。私たちの祖先が約6万年前、当時共生していたネアンデルタール人との交雑で受け取った遺伝子が、重症化のリスク要因だというのだ。

 9月末にこの論文を英科学誌ネイチャーに発表したのは、独マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ進化遺伝学部門長らの研究グループだ。沖縄科学技術大学院大学教授も兼任するペーボ氏は、アエラの取材にこうコメントした。

「約4万年前に消滅した人類の絶滅形態が、今日の新たな感染症の流行の中で私たちに影響を与えていることは大変興味深いことです」

 ネアンデルタール人は約4万年前に絶滅した、現在のヒト(ホモ・サピエンス)に最も近い旧人で、共通の祖先から約55万年前に枝分かれした。ペーボ教授は2010年の論文で、アフリカ人を除く現代のヒトの遺伝情報の1~4%がネアンデルタール人に由来すると報告。約4万~6万年前にホモ・サピエンスとネアンデルタール人が交雑し、その遺伝情報の一部が現在にまで受け継がれていることを明らかにした。

遺伝子継ぐ割合と符合

 ヒトには23対、計46本の染色体があり、ここに全てのDNAが収まっている。これまでの研究で、新型コロナの患者約3千人を調べたデータから、重症化の遺伝的要因として23対のうち3番目の染色体が関与している可能性が指摘されていた。

 ペーボ教授らが今回この遺伝子領域を調べたところ、南欧で見つかった約5万年前のネアンデルタール人と類似していることが判明。さらなる解析で、この遺伝情報は約6万年前にネアンデルタール人との交配によって現代人の祖先に渡ったことも明らかになった。

 このネアンデルタール人に由来する新型コロナの重症化に関係する遺伝子は、現代世界のどの地域に多く見られるのか。

 研究グループが世界各地の遺伝情報と比較した結果、少なくとも両親のどちらかからこの遺伝子を受け継いだ人は欧州で16%、インドなど南アジアで50%。最も割合が高かったのはバングラデシュの63%だった。一方、東アジアとアフリカにはほとんどいなかった。

 この分布は、新型コロナの死者数が東アジアで少ない半面、欧米やインドなどでケタ違いに多い実態と符合する。英国では、バングラデシュにルーツを持つ人の新型コロナの死亡リスクが英国白人より2倍高いとの報告もある。

 研究グループによると、ネアンデルタール人の遺伝情報を持つ人は、新型コロナに感染した際に重症化するリスクが最大3倍になるという。

 この研究報告を評価するのは、薬理学が専門の飯村忠浩・北海道大学教授(55)だ。

「異なる環境で暮らし、異なる免疫系を持っていた人たちの遺伝情報が作用し、特定の病気にかかりやすかったり、かかりにくかったりすることは人類の進化上、十分あり得ると思います」

 ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子をめぐっては、C型肝炎ウイルスに対する免疫力を高めている、との研究報告もある。つまり良い面、悪い面の両方があるのだ。

年齢に次ぐリスク要因

 飯村教授も加わる日米の研究グループは8月、新型コロナへの感染のしやすさは、遺伝子レベルでは地域や民族間の差がないとの分析結果を発表した。一見、ペーボ教授らの研究結果と矛盾するように映るが、飯村教授はターゲットにした遺伝子がそもそも異なる、と説明する。

「私たちが調べたのは、ウイルスが細胞内に入るまでのくっつきやすさや、入りやすさといった『入り口』に関与する七つの遺伝子で、この範囲では差異がなかった、というものです」

 新型コロナウイルスは表面にあるとげ状のたんぱく質が、ヒトの細胞表面にある受容体たんぱく質に結合して細胞内に侵入する。その後、体内にある免疫細胞がウイルスに反応するが、研究グループの李智媛(イジウォン)助教らが調べたのは、こうした免疫応答の手前までだ。これに対し、ネアンデルタール人の遺伝情報の関与が指摘されているのは免疫反応の段階というわけだ。

 8月の研究報告では、重症化する比率の違いに「生活習慣の違いや医療格差といった環境因子が深く関与しているのではないか」との見方も示した。背景には、米国でアフリカ系の人たちに最も深刻な新型コロナのダメージがあるとのデータが、一部で人種差別問題と重ねて捉えられていたことがあった。

「早期に病院で最新治療を施してもらえるか、診察さえ受けられないか、という医療格差によって重症化リスクが大きく分かれるのは当然です。米国に住むアフリカ系の人たちの多くが重症化するのは、遺伝的要因より環境因子に由来すると考えるのが妥当でしょう」(飯村教授)

 たしかにペーボ教授らの研究結果でも、アフリカでネアンデルタール人の遺伝情報はほとんど確認されていない。

 ペーボ教授はアエラの取材に「(重症化における)一番の危険因子は年齢ですが、その次にくるのがおそらくこれ(ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子)だと考えられます。もし両親のどちらかから受け継いだ場合、感染によって重症化するリスクは年齢が10歳上であるのと同等に。両親の両方から受け継いだ場合には20歳上であるのと同等にまでなると考えられます」とコメントした。

高まる新薬開発の期待

 研究者が遺伝子レベルで病気の原因を探るのは、特定の遺伝子やその遺伝子が作るたんぱく質の情報が関与しているのを突き止めることで、そのたんぱく質に結合する分子や抗体から治療薬を開発するゲノム創薬につながるからだ。

 ファクターXの候補としてはBCGワクチン接種の影響なども挙がっている。決め手はいつ見つかるのか。

「ネアンデルタール人の遺伝情報もBCGも、重症化や死亡率との相関関係から類推している段階です。治療薬の開発につなげるには、そこから掘り下げて体内でどう作用しているのか生体科学的に解明していく必要があります」(飯村教授)

 ネアンデルタール人由来の遺伝子領域が、なぜ重症化リスクと関連しているかについてもわかっていないのが実情だ。また遺伝子から作られるたんぱく質の量は「生活環境や食べ物によって変わる」(同)といい、後天的要素も無視できない。

 だが悲観する必要はない。ネアンデルタール人やBCGと新型コロナの関係のように、当該の病気とは何の接点もないように思われる要因との掛け合わせが治療薬開発のヒントになった例は実際にある。

 飯村教授は17年、李助教らとともに、HIV治療薬の標的分子である「CCR5」という遺伝子が骨の代謝も調節していることを解明。これにより、HIV治療薬が、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を始めとする骨吸収性疾患に対してもメリットをもたらす可能性を明らかにした。

「HIVに感染した人は骨粗鬆症になりやすい、と1990年代から言われていたのですが、HIVと骨粗鬆症の研究は全く別の方向で進められていました。そんな中、私たちが相関関係に着目して研究を進めたことで、ポンとつながったんです」

 新型コロナをめぐる「ファクターX」は一つではないかもしれない。だが、世界の研究者が多面的な切り口で相関関係を指摘するのは、治療薬の開発に欠かせない道程なのだ。

 ファイザーワクチン米国申請、来月にも接種開始 

時事通信 2020年11月21日(土)20時45分配信

 米製薬大手ファイザーは20日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を米当局に申請した。

 米国でのコロナワクチンの申請は初めてで、来月にも接種が始まる可能性がある。先進国製ワクチンに期待が高まる一方、世界的な普及に向けては課題も残る。

 アザー米厚生長官は「数週間以内に食品医薬品局(FDA)の決定が出され、その後24時間以内に(ウイルスに対して)最も脆弱な人々向けに配布が始まる」と、今後の見通しを示した。ファイザーによれば、医療従事者などに限定した接種は来月半ばに始まる可能性がある。基礎疾患のない一般の米国人の接種は、来年4月以降になるとの当局者の見方が伝えられている。

 同社は、日本や欧州などでも承認申請に向けた準備を進めている。日本へは、来年6月末までに6000万人分(1億2000万回分)を供給することで政府と基本合意している。

 ファイザーのワクチンは、コロナウイルスの遺伝情報を伝える「メッセンジャーRNA(mRNA)」を体内に取り込んで免疫を作る仕組み。共同開発相手の独バイオ医薬品企業ビオンテックの技術を活用した。通常は数年以上かかるとされるワクチン開発だが、約8カ月という異例のスピードで当局への申請までたどり着いた。

 4万人以上が参加した最終段階の臨床試験(治験)では「95%の有効性」が示され、深刻な副作用も起きなかった。ただ、感染予防効果がどの程度続くかなど、今後の研究を待たなければ分からない部分も多く残されている。

 また、ファイザーのワクチンはセ氏マイナス70度前後でなければ長期保存ができない。

 このことが普及のネックになるとの指摘も出ていることから、希望する米国民に普及するのは早くても来年春以降との見方が強い。来年1月に予定される政権交代で、ワクチン配布計画が円滑に移行されるかどうかも不透明だ。

 米トランプ政権によると、20日に申請を受けた米食品医薬品局(FDA)が速やかに許可したとしても、メーカー側の供給量の関係で、高齢者施設の入所者や医療従事者などを優先する。

 米メディアは、後続のメーカーのワクチンを見込んでも、行き渡るのは来年4~7月ごろと指摘している。

 ネアンデルタールの“遺伝子”がファクターX !? 

Wedge 2020年11月2日(月)12時26分配信/足立倫行 (ノンフィクションライター)

 10月に入って欧米各国で新型コロナウイルス感染の第2波が急拡大している。

 10月下旬現在、世界最多の22万人強の死者を出しているアメリカは、1日当たりの新規感染者が過去最高の8万人を越え、欧州ではスペインやフランスで感染者数が100万人を超過し、欧州全体では合計約560万人。EU(欧州連合)の感染者数が、アメリカとインドに次いで世界で3番目の規模になった。

 こうなってくると、感染者の合計が9万6000人、新規の感染が数百人(死者は連日10人内外)に止まっている日本の特殊さが、以前にも増して際立ってくる。

 日本だけではない。中国、韓国、台湾、ベトナムなど東アジア全域が、第2波の感染爆発を免れている状況なのだ。

 改めて浮上するのは、5月段階で山中伸弥京大教授が提唱していた「ファクターX」である。

 ロックダウン(都市封鎖)を行わず、PCR検査も少ない日本。それなのになぜ、欧米よりも感染者や死亡者の数が少ないのか?その未知の要因がファクターX だった。

 要因候補には、(1)マスク着用や毎日の入浴など衛生意識の差、(2)ハグや握手など生活文化の違い、(3)BCG接種などの影響、(4)SARSなど過去のウィルス感染の影響、(5)何らかの遺伝的要因、などが挙げられた。

 以後、要因探索は各方面で続けられている。国立国際医療研究センターが発表した「ACE1(エース・ワン)遺伝子タイプの違い」もその一つ。欧州にはACE1がよく働くタイプの人が多く、ACE1が働くと血管が収縮し血圧が上昇、炎症が悪化して重症化や死亡につながる。一方、東アジアでは余り働かないタイプの人が多く、死者が少ないという。

 10月に入ると、新たな要因候補が登場した。「ネアンデルタール人遺伝子」説である。

 ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ教授(沖縄科学技術大学院大学兼任教授)らのグループが9月30日に英科学誌『ネイチャー』に発表したものだ。

 それによると、新型コロナウイルスの感染者約3000人の調査から重症化を起こす遺伝子領域を特定したが、それは現代人の祖先がネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子の領域だった、と解明したのだ。

 ネアンデルタール人由来の遺伝子を持つと重症化のリスクは最大3倍になるが、持つ人の割合は地域ごとに開きがあり、南アジア(インド、パキスタンなど)では約50%、欧州では約16%。一方、日本、韓国、中国など東アジアではほとんどの人が当該遺伝子を持っていない。

 ネアンデルタール人由来の遺伝子領域がなぜ重症化につながるのか、因果関係はまだ不明だが、この説は素人の私にはとても興味深い。

 なぜなら、毎週目にするコロナ感染の世界地図(欧州、中東、南アジア、欧州人が移民した南北アメリカが真っ赤で、東アジア、オセアニア、アフリカが白い)の意味を、うまく説明してくれるように思えるからだ。

 私は人類の進化史に関心があり、今年3月、人類学など内外の研究者6人が最新成果をまとめた西荻良宏編『アフリカからアジアへ 現生人類はどう拡散したか』(朝日新聞出版、2020年)を読んだところだった。

 現生人類(ホモ・サピエンス、新人)は、約30万年前アフリカで誕生したとされる。

 最初の出アフリカは20~10万年前、第2次は6~5万年前。両時期とも、ヨーロッパやユーラシア大陸には先住集団がいた。

 180万年前頃にアフリカを出た原人(ホモ・ハビタスやホモ・エレクトス)は大陸の端まで達していた(ジャワ原人など)し、ユーラシア各地には原人の子孫である旧人のネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)がいて、東アジアにはその兄弟種のデニソワ人もいた。

 現生人類は、そんな先住集団との生存競争に打ち勝ち、地球上で唯一の人類集団(ヒト)になったのだった。だが、どうやって?

 かつては、私たち新人の認知能力が優れていて旧人を駆逐した、と考えられていた。

 しかし近年の研究では、両グループの能力差はほとんどないとわかり始めた。狩猟用の石の槍や握り部のある石のナイフは共通。獲物のアカシカなどの大型有蹄類やイノシシ、カメ、トカゲなどの小動物、食用の豆類も同様。新人は貝製ビーズ、ネアンデルタール人は2枚貝や鳥の羽根などの装身具を用い、両者共に埋葬行為を行った。行動様式を比べると、相違点より共通点の方が多かったのだ。

 新人は、獲物を巡って旧人と競合しながらも、各地で長期間(1万年以上?)にわたり旧人と交配した。そのため、現生人類の非アフリカ集団におけるネアンデルタール人ゲノム(生物学的遺伝情報)の混合率は1・5~2・1%に及ぶと推察されている(東アジアやオセアニアではデニソワ人由来のゲノム混入も)。

危機を乗り越えた新人

 重大な転機は5~4万年前に訪れた。

 それまでも周期的な気候変動によって長期的人口減少を続けていた原人、旧人、新人の集団は、この時期の大規模な寒冷化と乾燥化の進行で存亡の危機に直面した。アカシカなど主要な獲物の大型動物が急減したのである。

 新人集団より構成人口が1桁少ない原人や旧人の集団は、近親婚による有害変異の蓄積もあったのだろう、4万年前頃には絶滅してしまった。

 この危機を「文化の力」で切り抜けたのは、私たち新人だけだった。

 稀少だった石刃(ナイフ型石器)を増産し、投げ槍に使える小石刃も考案。それらの利器で、狩猟対象にならなかったウサギ、リス、野鳥などの小動物を捕え、新たな食料とした。

 貝殻ビーズや籠形ビーズ、骨や歯牙の装飾品をさかんに作るようになったが、こうした品々の交換・贈答が言語の発達を促進し、より大きな集団形成に役立ったとも言われる。

 現生人類の生き残りの理由については、化石人骨の空白地帯があるのでまだ不明な点が多いが、大まかな流れは前掲書で次第に見えてきた。

 さて、前述のペーボ教授チームの「コロナ重症化=ネアンデルタール人遺伝子由来」説だが、南欧にいたネアンデルタール人の遺伝子が交配によって約6万年前に現生人類にもたらされたものだという。

 となると、南欧を含む西アジアの新人はその後、ヨーロッパの基底集団やアメリカ先住民を形成するとされるから、現在のコロナ感染者分布の世界地図とも矛盾しない。

 ただ、論文の元データを見ると、当該遺伝子を持つ人の割合が、コロンビア(11・7%)やペルー(5・9%)は確かに高いが、アフリカ系アメリカ人では1・6%と低く、これはアメリカ国内で黒人重症者の多い現状とは合わない。

 重症化の要因はやはり単一ではなく、複雑かつ重層的なものなのだろう。

 10月28日に、1日当たり死者が500人を越えたフランスが、2度目の全土ロックダウンを宣言した。ネアンデルタール人遺伝子説のさらなる研究成果の発表を待ちたいと思う。

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2020年11月20日 (金)

【異常気象?】千葉県<九十九里浜✍全域>大量のハマグリ出現!

 九十九里浜大量ハマグリ『採取禁止』持ち去り相次ぐ…漁業関係者「死活問題」「採取は密漁 

千葉日報 2020年11月20日(金)11時59分配信

 九十九里浜の各地で、海岸に大量のハマグリが打ち上げられているのが確認されている。一帯の漁業権を持つ九十九里漁業協同組合の担当者は「水産資源が枯渇し死活問題になりかねない」と困惑。ハマグリを持ち帰る一般の人も相次いでいる。

 同組合によると、山武市から一宮町にかけての九十九里浜一帯で、1週間ほど前から打ち上げられているのが見つかっている。潮が引いた後に、大粒のハマグリが砂地を埋め尽くす状況が連日繰り返されているという。

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 千葉県漁業資源課によると、死んだ貝などが局所的に打ち上げられることは2年に1回ほどあるが、今回のような規模は記録に残る限り初めて。同課の担当者は「漁業にどれほどの影響があるか分からず、定期的に調査していかなければ」と話している。

 また、海岸の様子がテレビのニュースで紹介されたこともあり、ハマグリを拾いに来る一般の人も。19日午後、九十九里町の片貝海岸周辺では、膝まで水に漬かり貝を採取する人が何人もいた。千葉市から来たという若い男性は、1時間ほどで発泡スチロールの箱をいっぱいにしていた。

 一方、稚貝を放流するなどして資源管理をしてきた同組合は「ハマグリには漁業権が設定されているため一般人の採取は密漁にあたる」と指摘。地元の東金署も巡回を増やして警戒を強化し、浜や周辺道路などで採取しないよう呼び掛けている。

 同組合は漁業関係者らと一緒にハマグリを海に戻す作業を繰り返しているが、終わりが見えない状況だ。担当者は「将来的に九十九里浜からいなくなってしまったら本当に困る」と表情を曇らせている。

 九十九里浜全域で大量ハマグリ発生、専門家「文献でも確認できず 

ABEMA TIMES 2020年11月19日(木)19時32分配信

 18日、千葉県の九十九里浜の浜辺に打ちあげられていた大量のハマグリ。15日に撮影された写真では、大量のハマグリが波打ち際を埋め尽くし、足の踏み場もないほどだ。実は今月10日ごろから連日、九十九里浜の全域で大量のハマグリが打ちあげられているという。

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 九十九里浜全域には漁業権が設定されていて、一般の人がハマグリを許可なく獲ることは禁止されている。違反した場合は20万円以下の罰金に処されるが、大量のハマグリを求め浜辺には人が集まっていた。中には200個近く獲ったという人も。地元の漁協はハマグリを保護して沖合に戻していて、勝手に持ち帰らないよう呼び掛けている。

 突如として打ち上げられた大量のハマグリについて、貝の専門家である千葉県立中央博物館の黒住耐二上席研究員は「大量にハマグリの大きな個体が打ちあがったというのは聞いたことがないし、実際に文献で確認できることはなかった。極めて珍しい現象だと思っている」と話している。

 九十九里浜「ハマグリ大量打ち上げ騒動」大地震前兆か? 

東スポWeb 2020年11月19日(木)11時30分配信

 大量のハマグリ打ち上げは何のサインなのか? 千葉・九十九里浜の海岸で、今月11日から大量のハマグリが海岸に打ち上げられている。原因は不明で、県や地元の漁協も対応に苦慮している。神奈川・三浦半島で発生している異臭騒動と合わせ、大地震の前触れとして警戒する声も上がっている。

「これだけの規模のハマグリが打ち上がったのは、なかなかない」と、千葉県の漁業担当者が困惑を隠せない、ハマグリの大量出現だ。
 県によれば、北は匝瑳市堀川浜から南は長生郡までの約40キロにわたる海岸に11日夜から断続的に打ち上げられたハマグリが見つかっている。

 その数はあまりに多すぎて、県や漁協でも把握できないほど。エリアによっては集中的に打ち上げられている箇所もあり、数千個レベルでは収まらないとみられる。

 気になるのは原因だが、現時点では全くもって不明。最近、天候の異変や、海水に異常があったこともないという。県の水産総合研究センターは貝を持ち帰り、調査しているが、「(生きている貝は)砂に潜ることができるし、特に痩せたりもしていない。これだけの数ですから、誰かがばらまいたということはなく、自然現象です」。

 九十九里沖はハマグリの絶好の漁場として知られるが、生息環境の変化で漁獲量は増減が激しく、その生態もまだ謎が多い。海岸に打ち上げられたことは過去にもあるというが、県では「平成元年(1989年)の夏場にある程度のハマグリが打ち上がった記録があるが、今回は規模が大きい」と、過去に例を見ないという。

 この謎の現象に対し、防災関係者の間では、大地震の前触れとなる「宏観(こうかん)現象」ではないかと危惧する声が多い。東日本大震災の前にもクジラやイルカの大量打ち上げ、深海魚のリュウグウノツカイが漂着したことなどが、宏観現象だったのではないかといわれている。科学的根拠はないとされているが、無関係とも言い切れないため、独自で情報収集している自治体もある。

 防災アナリストの金子富夫氏は「今年6月から、横須賀や横浜など三浦半島で発生している異臭はいまだ原因が分かっていません。そこに今回のハマグリ大量打ち上げ。関東エリアの東と西ですから何らかの地殻変動が起きていて、連動している可能性がある。大地震が起きる前の予兆現象かもしれないと、自然からの警鐘ととらえた方がいい」と話す。

 日本は現在、新型コロナの第3波が到来しているさなかだ。金子氏は「もし、この状況で首都直下地震が発生したら大変なことになる。東京はもちろん、国内の医療態勢が逼迫している中で、何十万人ものケガ人が発生すれば、東京崩壊、日本崩壊にもなりかねない」と心配する。

 その上で金子氏は「食料品の買い置き、緊張感ある生活形態、地域社会のあり方の考え直しなどをさらに継続することが、コロナ禍で発生するかもしれない大規模地震への備えになる」と説く。コロナ第3波と大地震は、最悪のダブルパンチだけに発生しないことを祈りつつ、用心するに越したことはない。

新型コロナ後遺症”、意識失い嘔吐・記憶曖昧などまで侵入か

朝日新聞デジタル 2020年11月14日(土)6時00分配信

 新型コロナウイルスは脳にも感染し、「深刻な脳障害を起こす恐れがある」という報告が相次ぐ。髄膜炎や脳炎、意識障害のほか、記憶障害が出る人もおり、後遺症が心配される。脳の中で何が起きているのか。

 3月、山梨県に住む20代の男性が新型コロナに感染した。意識を失ったままけいれんし、嘔吐したまま床に横たわっていたところを家族が発見。救急車で山梨大病院に運ばれた。

 脳を覆う脳脊髄液をPCR検査で調べると、新型コロナ陽性だった。頭蓋骨と脳の間の髄膜が炎症を起こす髄膜炎とみられ、脳のMRIでは記憶領域にあたる海馬に炎症があった。

 退院後は日常生活に問題はないものの、直近1、2年間の記憶があいまいになったという。新型コロナへの感染が関係していると疑われているが、明確な原因はわかっていない。

 英国では、発熱や頭痛を訴えた後に意識障害を起こした59歳の女性が、入院後に新型コロナに感染していることがわかった。MRIで脳の腫れや出血が確認され、急性壊死(えし)性脳症と診断された。集中治療を受けたが、入院10日目に死亡したと報告されている(https://nn.neurology.org/content/7/5/e789)。

 ドイツのチームは7月、新型コロナの神経症状について、92本の論文や報告を分析した(https://link.springer.com/article/10.1007/s00415-020-10067-3)。感染者の20%に頭痛、7%にめまい、5%に意識障害があった。髄膜炎や脳炎、手足がまひするギラン・バレー症候群も数例ながら報告された。

 コロナ第3波襲来菅政権に対し風向き変わった 

現代ビジネス 2020年11月21日(土)6時31分配信/歳川 隆雄(ジャーナリスト)

批判を浴びたにも拘わらず

 マスコミ各社の世論調査から菅義偉内閣支持率を見てみる。新型コロナウイルス感染者数が急増する中で、内閣支持率は健闘しているのだ。

 NHK(調査実施は11月6~8日):支持56%、不支持19%、「朝日新聞」(同14~15日):支持56%、不支持20%、「毎日新聞」(同7日):支持57%、不支持36%、「読売新聞」・日本テレビ合同調査(同6~8日):支持69%、不支持22%、共同通信(同14~15日):63.0%、不支持19.2%、テレビ朝日(同14~15日):支持55.9%、不支持22.5%――である。

 菅首相が今臨時国会の衆参院予算委員会で「日本学術会議問題」(推薦した6人が拒否された)について、野党から「学問の自由を侵すもの」と徹底追及されただけでなく、学者・識者からの批判を浴びたにも拘わらず高い内閣支持率を維持しているのだ。

 驚いたのは、政権との距離を持つ、というよりも批判的な社論で知られる「朝日新聞」は支持が前月比3ポイント増の56%、不支持は同2P減の20%だったことである。「読売」はともかくとして、筆者が相場観として参照する「共同」も支持が2.5P増で不支持は2.7P減である。

 菅首相は最近、すこぶる上機嫌であり、政権運営に自信を増しているというのだ。一体全体、なぜなのか。

大統領選に比べたら…

 今なお「敗北宣言」を拒み続けるドナルド・トランプ米大統領と、来年1月20日の次期政権誕生に向けての人事に着手し、新たな政策を披露し始めたジョー・バイデン次期大統領が対峙した第59回アメリカ合衆国大統領選――。

 米国の政権移行期に出来した混乱を目の当たりにした日本国民は、政権党の自民党総裁選を経て安倍晋三政権から菅政権へ平和裏に移行したことを高く評価しているということなのか。民主主義体制と自由主義経済を標榜する国家では「当然」であることが当然でなくなったことに呆然としながらも、何だかんだ言っても「日本って良い国じゃん」という気持ちなのか。定かではない。そうは言っても、国民は「ベター(よりマシ)論」から判断しているようだ。

 では、菅首相ご本人は当然ながら目指しているだろうが、果たして菅政権はこれから4年間の「本格政権」になるのだろうか。その可能性は相当程度ある。政界には「運も実力のうち」という言葉があるが、ツキに恵まれれば菅長期政権は十分考えられる。

 その「ツキ」というのは、言うまでもなく世界的なパンデミックと国内のコロナ感染の収束の目途がつくということである。

 それ如何で来夏の東京五輪・パラリンピック「有観客」開催が成功裏に実現するからだ。問題はそれだけではない。菅氏が首相の座を掛けて政治決断した「Go Toトラベル」の先行きもコロナ次第である。

神のみぞ知る

 ところが、今週になって瞬く間に東京を筆頭に政令指定都市でコロナウイルス感染者が激増している。所管する西村康稔経済財政・再生相が思わず「神のみぞ知る」と漏らすほどの勢いである。

 菅政権が感染対策に全力投球していることは承知している。それでも治療薬やワクチンの開発・供与は時間との闘いであり、多分にツキも関わって来るのは否定し難い。これまでの政権・国会運営を振り返ってみれば分かるように、菅氏は明らかにツキまくっていた。

 しかし、ここに来て菅氏が胸中に秘める来年初頭の衆院解散・総選挙に黄色信号が点滅し始めたのだ。この数日に永田町では早くも9月総選挙説が取り沙汰されるようになった。

 これまで筆者は一貫して「1月19日解散・2月7日投開票」、「1月22日解散・2月28日投開票」のいずれかであるとの見立てを披瀝してきた。この見立てを修正せざるを得なくなるのか未だ分からない。

 菅氏が運に見放されたのかどうかは、11月連休明けの来週末の政府新型コロナウイルス感染症対策本部発表を待つ他ない。

はぐらかし批判回避菅首相答弁鉄壁ゼロ回答

西日本新聞 2020年11月16日(月)10時51分配信

 臨時国会で答弁能力を不安視された菅義偉首相だが、一問一答形式の衆参予算委員会での初論戦をひとまず乗り切った。焦点の日本学術会議問題では譲歩せず、会員任命拒否の理由を一切明かさない答弁ぶり。有識者に読み解いてもらうと、「鉄壁」「はぐらかしてばかり」と評価が分かれた。

 「人事に関することなので、お答えは差し控える」。今月2~6日に開かれた予算委。任命拒否に関する質問が核心に迫ると首相はこう繰り返してかわし、立憲民主党の枝野幸男代表から「壊れたレコードのようだ」とやゆされた。

 麗沢大の川上和久教授(政治心理学)は「たたかれても理由は絶対言わない、との覚悟を感じた。野党の時間切れを狙った戦術だろう。失言もなく『鉄壁のガースー(首相の愛称)』は健在だ」と分析。「全集中の呼吸で答弁させていただく」と人気漫画「鬼滅の刃」のせりふを引用した点も「話題をつくることで批判の矛先をそらしてみせる」テクニックだったとみる。

 「総合的、俯瞰的な活動を求めたい」「閉鎖的、既得権益のようになっている」と、学術会議に関する首相の主張は二転三転。「多様性が大事」としながら、任命拒否した6人のうちには若手や女性の研究者も含まれ、野党側は「支離滅裂」と批判。審議はたびたび紛糾した。

 街頭で国会質疑を上映する「国会パブリックビューイング」に取り組む上西充子法政大教授は「質問に正面から答えておらず、臨機応変な判断が見られなかった」。加えて首相が、内閣府と学術会議の間の事前調整がなかったことを拒否の背景の一つとして持ち出したことを「調整に応じなければ任命拒否する、忖度しろということか」と疑問視した。

 では、話す様子はどう映ったか。企業人らを対象にプレゼンテーションの方法を教えている「ベストスピーカー教育研究所」(大阪府)の高津和彦所長は、首相の答弁の声量が「官房長官時代に比べ大きくなった」と評した。特に何かを伝えたい場面で目を見開けば、より真剣さが伝わるとアドバイスした上で「『えー』『まぁ』といった感嘆詞が多く、人ごとに聞こえるところは要注意。余裕を演出したのかもしれませんが」とも。

 答弁書の棒読みや秘書官による紙の差し入れが目立ち、ちぐはぐな印象も与えたが、政府高官は「(首相は)初々しかった。場数を踏めばもっと良くなる」と今後に期待した。

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 渋谷区のバス停で殴り殺された“ホームレス女性”が最期に見たもの 

FRIDAY DIGITAL 2020年11月20日(金)13時02分配信

 所持金8円とわずかな身のまわりのものを抱えた女性が、11月16日の早朝、渋谷区幡ヶ谷のバス停で亡くなった。

 女性の名前は、まだわからない。年齢は「60歳代」。彼女の最期の場所になったバス停のベンチにいるのを「この数か月、見かけるようになった」と近所の人はいう。足元にキャリーバッグを置いて、ベンチに座っていたという。

 11月16日の午前5時、この女性がバス停のベンチの前に倒れているのを通りかかった人が見つけ、警察に連絡した。彼女は病院に運ばれ死亡が確認された。住所も、年齢もわからない。

 彼女は何十年か前、誰かの赤ちゃんとしてこの世に生を受けた。よちよち歩きをし、おしゃべりができるようになり、学校に行き、少女時代を過ごした。成人して、それからも年齢を重ねて、生きてきた。

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 そして今年、2020年11月16日の早朝に、東京・渋谷区「幡ヶ谷原町」のバス停で、何者かに殴り殺された。

 彼女の最期の場所になったバス停の近くに防犯カメラがあった。帽子をかぶりチェックのシャツを着た人物が、持っていた白い袋で彼女の頭を殴りつけた。彼女はその場に倒れ、亡くなった。死因は外傷性くも膜下出血。

 新宿や渋谷にも近いこのあたりは、通りを入ると落ち着いた住宅街だが、片側4車線の甲州街道の上に首都高4号新宿線の高架が覆いかぶさるようにして、街を貫いている。バス停は「笹塚」の大きな交差点のすぐ近くで、ベンチは道路に背を向けて固定されている。奥行き25センチの、小柄な人でもゆったりとは座れない木のベンチが、彼女の「定位置」だった。

「終バスが行ったあと、どこからかやってくるんですよね。で、朝にはいなくなってるんです」

「新宿のほうに向かって、キャリーバッグを引いて歩いてるのを何度か見ました。足取りはわりとしっかりしていて。おばあさんという感じじゃ、ぜんぜんなかった」(近くの住人)

22:44 渋谷駅行の最終バスが通り過ぎた後のこの場所で、彼女が夜を過ごしていたことを知っている人は少なくなかった。

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 彼女を殴った人物の姿は、周辺の防犯カメラの映像にたくさん写っている。まもなく警察に見つかり、司法の手にかかり、罪を問われ、罰を受けるだろう。でも、無残に殺された彼女は帰らない。

 コロナ禍で、女性の自死が激増している。街で、路上で過ごす女性の姿を多く見かけるようになった。

「声をかけられなかった周囲の人を責められるのか? 自分だったら? と自問自答しています。食べるものや着るもの、お金を渡していた人たちが近隣にいたかもしれません。でもなにより、安全な場所『ハウジングファースト』の仕組みが必要と、あらためて痛切に思いました」

 ホームレスの状態にある人を支援する「ビッグイシュー日本」東京事務所の佐野未来さんは絞り出すようにこういった。

「自助」が求められる日本。公的なセイフティーネットが機能しないこの国で、孫子の代まで生活に困らない資産のある家に生まれたひと握りの人以外、だれもが、いつ家を失うかわからない。今、路上やネットカフェなどで過ごす、家がない=ホームレスの状態にある人は東京都内で4000人。30代、40代の若年層も多い。

 オリンピックを歓迎する「TOKYO2020」のフラッグがはためく。昼間のバス停には、ひっきりなりにバスがやってくる。傍に7つの花束と、「あったかいはちみつレモン」と「焼酎の緑茶割り」と、マドレーヌが2つ、供えてあった。バス停横のイチョウは黄色く色づいて、首都高の高架とビルの間から青空が見えた。夜の間だけここを居場所にしていた彼女は、この風景を見ていなかったかもしれない。

 11月16日の早朝、渋谷区幡ヶ谷のバス停で殴り殺された人。女性で、もう若くはなく、安全な家を持たなかった彼女は、守られなかった。彼女が最後に口にしたものはどんな味がしただろう。彼女が最後に見たのはどんな景色だっただろう。殺されていい命はひとつもない。

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コロナ禍でも「ホームレスに仕事」…BIG ISSUE“17年目の思い”

FRIDAY DIGITAL 2020年9月24日(木)13時02分配信

 景気悪化が止まらない。失業する人が増えて、自殺する人が増えて、この国はどうなってしまうんだろう。新しい総理大臣が掲げるのは「自助」だ。自分でなんとかしろという。なんとかできない人たちは家を失い、文字通り、路頭に迷う。

「ホームレスの人に仕事を、という日本でのビッグイシューの試みは17年になりました。駅前などで雑誌『THE BIG ISSUE』を売って、その売り上げの半分以上がそのまま販売者の収入になる仕組みです。今、全国で110人ほどが販売をしています」

 創刊当時から関わる、ビッグイシュー東京事務所の佐野未来さんは続ける。

「新型コロナの影響で3月から、街に人がいなくなってしまい、路上での販売部数は激減しました。けれども、販売をやめたら収入がゼロになってしまうし、『ステイホーム』といわれても、そもそも『ホーム』がないんです。

 生活保護は、家族に連絡がいくことへの抵抗や、劣悪な環境の寮に入れられた経験などさまざまな理由で利用をためらう人が多い。どうやって生き延びればよいのか、という不安も耳にしました」

これから、増えるかもしれない

「ビッグイシューはホームレス状態の人が『自分で働いて稼ぐ』事業なんですが、今回ばかりはそれを一時的に返上しました。通信販売の呼びかけをしたところ、思った以上に多くの方が賛同してくださり、4月から6月にかけては毎月5万円、7月から9月にかけては毎月3万円を販売者に販売継続協力金として渡すことができて、なんとか乗り切れました」

「コロナ緊急3ヶ月通信販売」は、第1次におよそ9500人、7月からの第2次にも5000人の参加があったという。

「ありがたかったです。販売者は感染予防対策をしながら販売を続けていますが、減った収入を協力金で補填することができて、安心につながっているようで、雰囲気も明るいです。でも、ホームレスの当事者が、自分で雑誌を売って稼ぎ、部屋を借りて自立できるよう応援するのが本来の姿。それに、街頭で販売して常連のお客様と一言二言、話をするのが生きがいという人もいます」

 路上での販売自体は、注意深く進めていく。さらに「今後、収入や家を失い販売を希望する方が増える可能性も大きい」という。

 厚生労働省の2020年1月の調査結果によると、全国の路上や公園などで暮らす「ホームレス」は全国で「3992人」といわれている。が、

「路上生活者だけが、ホームレスではありません。家がない人、たとえば居候や、ネットカフェで寝起きしている人はホームレスです。家がありませんから。2017年に東京都がネットカフェやサウナなどで寝起きする人の数を調査したところ約4000人いらしたそうです。4月の緊急事態宣言で、ネットカフェが営業自粛の対象となったとき、この人たちの多くは泊まる場所を失いました」

 特別定額給付金は、住民票がないと申請できないため「全国民」に給付されたはずの10万円も、彼らの手には届かなかった。

 コロナ禍では、すべての人がさまざまな影響を受けている。なかでも、もともとホームのない人はじめ、社会的な弱者、生活が困窮している人の受けた打撃は凄まじい。

自助に殺される前に

「30代前半に販売者登録をしていた男性が最近、10年を経てビッグイシューに戻ってきました。この方は自立して、全国各地で日雇いや派遣の仕事などをして11年間、日々生きつないできたのですが、この春、新型コロナの影響で仕事を失いました。数か月仕事を探しても見つからず、悩んで悩んで、ビッグイシューに戻ってきたんです。健康な若者が真面目に働いて、それでもこういうことが起きる。これは、彼個人というより、社会にとっても損失じゃないでしょうか。

 生活保護は受けたくないとおっしゃって、なんとか自分でやろうとするけれど、一度ホームレス状態になってしまうとそこから自力で抜け出すのは至難の業です。そんななかで体や心の健康が損なわれたりすれば、安定した住まいや仕事を探すことはますます困難になる。この人の向こうに、今、ネットカフェで暮らしている人や非正規雇用で働いている人の姿が見えるようです」

 ある日突然「住まいを失う」。それはもう、人ごとではない。

「ふつうに一所懸命生きている若者を使い捨てにするような社会って、いいわけないです。頼れる家族や友人がいなくても安心して生きられるセーフティネットが機能してなければ、いくらだって人が『落ちて』くる。それが今の日本です。これは、当事者だけでなく社会全体にも負の影響を及ぼします」

ホームレスの状態は、けっして人ごとではない

「創刊のときは、長引く不況で失業して住まいを失った『ホームレスの人に仕事を』つくり、そしていつか『BIG ISSUE』が要らなくなることが目標でした。でもやればやるほど、問題はそんなにシンプルじゃなかった。本来、仕事をして、スキルを身につけ、社会や地域に貢献できるはずの人が使い捨てられたり、一人で路頭に迷ったりすることのないように、ホームレスを生み出す社会構造を変えなければと。

『BIG ISSUE』がほんとうに要らなくなる日。それは、かりにひとりぼっちになっても社会が助けてくれる、人が安心してやりがいを持って生きられる社会が実現するときだと思います」

 2008年の秋のリーマンショックが引き金となった世界経済不況のとき、日本では半年の時差でホームレスになる人が急増した。新型コロナの感染拡大から半年になる今、佐野さんたちスタッフは「ドキドキしている」という。

「ホームレスになる過程に決まった形はありません。みなさん、それぞれの事情があってそうなるんです。2007年に立ち上げたNPO法人ビッグイシュー基金では、生活自立応援のためのシェルターを用意したり、福祉につなげるなどの相談も受けています」

 誰もが「落ちる」可能性があることが明らかになったこの国で、どう生きのびていくか。なにを選び、なにをすればいいのか。みんな、問われている。

「わたしたちは、販売者が誇りをもって売れる雑誌を作り、誰もが排除されない、生きやすい社会、とくに若い世代が希望をもって生きられる社会を作るのに役立つ情報発信をしていきます」

 渋谷女性撲殺46歳男逮捕 傷害致死容疑「死ぬと思わず」 

時事通信 2020年11月21日(土)12時46分配信

 東京都渋谷区のバス停で女性が殴られ死亡した事件で、警視庁捜査1課は21日、傷害致死容疑で同区笹塚、職業不詳吉田和人容疑者(46)を逮捕した。

 容疑を認め、「まさか死んでしまうとは思わなかった」と話しているという。

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 逮捕容疑は16日午前4時ごろ、同区幡ケ谷のバス停でベンチに座っていた大林三佐子さん(64)の頭を殴り、外傷性くも膜下出血で死亡させた疑い。

 同課によると、吉田容疑者は21日午前3時ごろ、母親に連れられて渋谷区内の交番に出頭した。「痛い思いをさせれば(大林さんが)バス停からいなくなると思った」と話しているという。

 吉田容疑者は深夜にたびたび付近を散歩し、路上生活していた大林さんがバス停にいるのを認識していたとみて、同課が経緯を調べている。 

 

2020年11月19日 (木)

【タイソン54歳】「72㎏減量した」エキシビジョンマッチ出場決定!!

 タイソンヤバい」20歳&54歳の肉体ビフォーアフター大反響 

THE ANSWER 2020年11月18日(水)8時13分配信

54歳タイソンに海外注目今の方がシャープな気がする

 ボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン氏は、28日(日本時間29日)に元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.氏(ともに米国)とのエキシビションマッチに臨む。注目のリング復帰を前に、英記者はタイソンの34年前と現在の肉体を比較した写真を公開。20歳と54歳の姿に、海外ファンからは「今の方がシャープな気がする」とコメントが寄せられていたが、「スーパーサイヤ人1と3だ」「伝説と伝説のその後」と反響が広がっている。

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 タイソンはいつまでも恐ろしい男だ。黒のパンツでリングに上がった20歳の写真と、現在の肉体が比較された画像。顔のしわなどは変化が見られるが、いずれも屈強な体つきだ。右腕には血管も浮き出るほど筋肉も引き締まっており、54歳という年齢を感じさせない。パンプアップした胸筋が迫力を感じさせる。

 実際の比較写真を、英ラジオ局「トークスポーツ」のマイケル・ベンソン記者がツイッターで公開。「1986年のタイソンと2020年のタイソン」などとつづられた投稿に対し、海外ファンからは「34年の違いがあるけど、今の方がシャープな気がする」「冗談だろ?」などと驚いた様子のコメントが相次いでいたが、反響はさらに拡大。こんな声が集まっている。

「首がヤバイ」
「筋肉隆々だ」
「スーパーサイヤ人1とスーパーサイヤ人3だ」
「恐怖」
「尋常じゃない」
「伝説と伝説のその後」
「モンスターが戻ってくる」
「もっと強くなってそう」

 迫る決戦のリングではどんな姿を見せてくれるのだろうか。

 タイソン72減量した」復帰戦へ“激やせ”「Rスパー 

THE ANSWER 2020年11月7日(土)18時03分配信

タイソンの猛練習にリング誌10年前は130kgをはるかに超えたが…

 ボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン氏は、28日(日本時間29日)に元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.氏(ともに米国)とのエキシビションマッチに臨む。決戦まで3週間となる中、米専門誌「ザ・リング」は最近の調整について記載。「1日8ラウンド(R)のスパーリングをしている」と伝えている。

 本当に54歳なのか。同誌は6日にタイソンへインタビュー。記事では過去の騒動などに触れたほか、最近の調整についても報じている。そこにはこう記されていた。

「タイソンは1日8Rのスパーリングをしているという。10年前には300ポンド(約136キロ)をはるかに超える体重があったが、そこから160ポンド(約72.57キロ)以上減量した」

 28日のエキシビションは8R制。記事にはインターバルなど詳細な時間は記されていないが、54歳で猛烈なトレーニングに励んでいるようだ。しかも、体重130キロを大きく超えた10年前と比べて72キロ減。仮に170キロあったとしたら100キロくらいということか。今年、復帰が決まってからの減量幅ではないが、激変ぶりが努力の大きさを感じさせる。さらに記事では今の心境を説明している。

リング誌はタイソンの表情にも注目幸せそうだ

「タイソンは30代と40代で現在のような生活を送るべきだったと話している。精神的、肉体的に腐っていたものを今は洗い流した。15年も前にリングを離れた54歳だが、新鮮さを覚えているという」

 SNS上では豪打を繰り出しまくるド迫力のミット打ち動画などが話題となっているが、短い動画にスタミナ面を不安視する声も上がっている。しかし、同誌はレジェンドの表情に注目。「タイソンは幸せそうだ。これが最高の状態に限りなく近いタイソンだろう。なぜならリングに戻ったことで、彼の大好きなボクシングができて満足そうにしているからだ」とつづっている。

 世界のファン待望の復帰戦。どんな戦いを演じてくれるのだろうか。

 極真史上最強八巻健志56)帰国、セミナーで“一撃”伝授 

eFight 2020年11月16日(月)12時41分配信

 極真歴代最強説では必ず名前が上がる八巻建志(56)。身長187cm、体重110kgの体格から一本勝ちなどのノックダウンを量産、95年に百人組手を達成し、同年の極真会館 第6回世界大会で優勝を果たした。その伝説の空手王者 八巻氏のセミナーが15日、都内スタジオにて行われ、定員となった13名が汗を流した。

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 八巻氏は2001年に渡米、2002年から極真会館を離れ八巻空手を主催し多くの弟子を育てた。道場はカリフォルニア・トーランスに構え、昨年には地域のベストオブ道場で表彰を受けたほどだったが、同時に米国の道場を弟子に任せ帰国を決意。今年8月から日本で活動を開始し、9月に1度目のセミナーも密に配慮しながらの定員に達し盛況、今回は2度目の開催となった。

 「打撃力強化」を目的とした今回のセミナーだが、まずは体を整えるために念入りに骨盤を調整することから開始、骨盤が歪んでいると、威力あるパンチは出にくい。

 次に身体を一体化させるため中国拳法の意拳にある立禅を指導、打撃力にこの立禅はなぜ重要化を説明し、全員で立禅に挑んだ。次にその感覚をつかんだまま、移動。そして自身の研究で進化させた発力(はつりょく:元々は意拳にある足の踏み込みで打撃パワーを出す技術)を分かりやすく指導。最後には全員がミットを打ち、八巻氏が一人ひとりのパンチ力アップを確認して終了した。

 参加者たちもパンチ力向上を実感しており「皆さんがこの技術を持ち帰って向上してくれるのが何よりも嬉しい」と八巻氏。参加者たちは日々の練習でこの打ち方をしっかり身につけていくだろう。

 八巻氏は選手引退後も空手の打撃力を徹底して追求。現役時代は高強度のウエイトトレーニングを行った時期もあったが、「基礎体力としてのウェイトトレーニングや自重トレーニングで十分」とし、姿勢や立禅、移動、発力の重要さを説いた。八巻氏自身、56歳の今も怪我や後遺症もなく「絶好調」と語る。

 セミナーでは現役時代、ヒットすればアバラ骨も折ることのできた打撃技も伝授した八巻氏「空手は一撃必殺を追求するもの。とにかく手数ばかりの試合内容ではせっかくの空手がもったいない」と最近よくフルコンタクトの試合で見られる始終パンチを打ち続け、判定勝ちするスタイルに苦言を呈した。そして「クリーンヒットすれば2~3発で倒せるほどの打撃力は身につけることができる」と力説した。

 次回、セミナーの企画として、打撃力向上の身体の使い方のほかに、自身が危険なアメリカ社会の中で身につけた護身術、どうやって倒すかよりもいかに怪我をせず、逃げるなどの方法を身体に覚え込ませることを教えていく。なお、この護身術セミナーはアメリカの女性も含め大盛況だったという。

【今後のスケジュール予定】
1月10日、9時半~12時45分、打撃力強化と身体の使い方
1月16日、10時から12時「セルフディフェンス(護身術)セミナー」

 マイクタイソン、月に4万㌦分のマリファナと明かす 

FNMNL編集部 2019年8月15日(木)配信

 昨年初め、カリフォルニアにある16ヘクタールにおよぶマリファナ畑を購入し、話題となったボクシングの元世界チャンプのマイク・タイソン。そんな彼が1ヶ月で4万ドル(約420万円)分のマリファナを吸うと明かした。

 タイソンがホストを務めるポッドキャスト『Hotboxin' With Mike Tyson』にて自身が月にどれだけマリファナを吸うか話している。

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 Jim Jonesをゲストに迎えた最新エピソードの冒頭、彼は同じくホストを務める元NFL選手のEben Brittonに「俺たちは月にどれくらいウィードを吸ってる?4万ドル分くらいだよな?」と問いかけた。その質問に対し、Brittonは「うーん、分からないけど、俺たちは月に10トンはウィードを吸っているな」と飄々と答えている。このやりとりを聞いたJim Jonesも思わず驚きを隠せずにいるが、4万ドル分のウィードとなると相当な量だろう。

 また、話題は先述したタイソンのマリファナ農園にも及んでいる。現在、開発が進められているようで2020年にマリファナ農園とリゾートを併設した施設としての開業を目論んでいるとのこと。

 タイソンは10歳頃からウィードを吸い始めたほどのマリファナ愛好家だが、彼の健康の秘訣はもしかしたら4万ドル分のウィードなのかもしれない。

 ロイジョーンズJr.51)ミット打ちに驚愕「タイソン待ってろ 

THE ANSWER 2020年11月19日(木)20時03分配信

トレーナーがミット打ち映像公開11月28日に照準

 ボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン氏(米国)とのエキシビションマッチ(28日=日本時間29日)に臨む、元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.氏(米国)。こちらも決戦へ向けて順調な仕上がりを披露している。トレーナーが自身のインスタグラムで軽やかにミット打ちする映像を公開。海外ファンからは「流れるような動き」「スムーズだ」などと感嘆の声が漏れている。

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 決戦ムードが高まってきた。タイソン戦まで2週間を切り、ジョーンズJr.がキレキレの動きを披露した。黒のウェアに身を包みリングに上がると、ミットを持ったトレーナーに対して「パン、パン、パンッ!」と軽快に左右の連打を打ち込んでいく。

 相手のパンチをかわし、小刻みに動きながらジャブ、フック、アッパー、ストレートと多彩なパンチを繰り出していく。時折「ウォーッ」と発する気合の入った声と、小気味の良いミットをたたく音が交錯。熱気がジム内に充満していた。

 映像を公開しているのはトレーナーのトーマス・ヤンケロ氏だ。「ピッツバーグの私のジムで、レジェンドとのトレーニングキャンプ。11月28日に照準を合わせる」と記して投稿。51歳の軽快の動きに海外のボクシングファンからは感嘆の声が漏れている。

「流れるような動き」
「力強く、シャープだ」
「仕上がっているね」
「モーションがスムーズだ」
「エクセレント!」
「あの歳の男がボクシングをする姿は刺激になる」
「レジェンドは死なず」
「良いトレーニング」

 タイソンもド迫力ボディーを披露するなど、実戦仕様への最終仕上げを施している。エキシビションとは言え、意地と意地がぶつかるレジェンド対決は必見だ。

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 2日に1度だけ「メリハリボディになる」簡単スクワット 

withonline 2020年11月19日(木)19時20分配信/坂詰真二(インストラクター)

1日3分、2日に1度のスクワット&有酸素運動で運命のダイエット

運動が苦手で、筋肉の量も少ない。そんな人にこそピッタリなのが、自宅でできる2日に1度のスクワット。体が引き締まって理想のメリハリボディに!

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筋肉量の多い下半身を 鍛えるからやせる!

「スクワットは運動が苦手な人、最近運動をしていない人ほど、効果が出ます」と、言うのはトレーナーの坂詰真二さん。

それはどうして? 

「運動をしていない人がやせないのは、筋肉が少ないことが原因。全身の筋肉の6~7割を占める下半身を鍛えると、効率的に代謝アップできます。ですから、腹筋をしなくてもスクワットで下半身の筋肉を鍛えるだけで、おなかをへこませ、全身をサイズダウンさせることが可能。筋トレは週3回でも十分に効果が出ます」 

運動が苦手でも面倒くさがりでも、1日3分、週3回なら続くはず!?

疲れやすかったり、冷えているのは筋肉量が少ないサイン。スクワットを続ければ姿勢も改善し、その影響で体型も整っていきます!

□ 運動が苦手または運動不足

□ 疲れやすい

□ 冷え性である

□ 姿勢が悪い

□ 食事を減らしてもやせない

□ 体重を減らすより体を引き締めたい

今回は基本の「ベンチ・スクワット」を紹介します!

レベル1 基本のベンチスクワット

下半身の筋肉と同時に体幹の筋肉も鍛えられる基本のスクワット。慣れるまでは鏡で正しいポーズでできているか確認しながら、勢いをつけずに、ゆっくりと呼吸に合わせて行いましょう。

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【10回×3セット インターバルは30~90秒】

1 お尻を突き出して 腰掛ける

イスに浅く腰掛け、脚を肩幅に開いて、両腕を胸の前で交差します。お尻を突き出すようにひざと股関節を曲げて。ひじが太ももに触れるまで前傾します。

2 ひざと股関節を伸ばして立つ

息を吐きながら1~2秒かけてひざと股関節を伸ばして立ちます。息を吸いながら2~3秒かけて元の姿勢に戻り、お尻がイスにふれたらすぐに立ちます。

【POINT】立ち上がる直前に 体を前に倒すなど、 反動を利用して立 ち上がらないこと。

【正面から見ると】Photo_20201119204001

ひざを開きすぎたり、内股になったりしないように意識して。

【真横から見ると】Photo_20201119204301

頭からお尻までがまっすぐになるように、背すじを伸ばしたまま前傾します。ひざはつま先より10センチ以上前に出ないように注意。

これはNG!!

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背中が丸まった猫背姿勢にならないように!背中が反ってしまうと腰に負担がかかります。

坂詰式スクワット4つのルール

1 筋トレは 毎日行わない

筋トレは中1日開け、疲れた筋肉を休ませてあげることが大事。また、一気に行うより、インターバルをはさみながら10回×3セットと分けて行うほうが、効果的に鍛えられます。

2 余裕ができたら、 負荷をアップ

人によって筋力は違います。自分のレベルに合わせて、数を10回より減らしても増やしてもOK。15回×3セットでもラクにできるようになったら、レベルアップポーズに挑戦して。

3 有酸素運動は 毎日行ってOK

筋トレは毎日行わないほうがいいけれど、体脂肪を減らす有酸素運動は毎日行うのがおすすめです。有酸素運動は行うほど、脂肪が燃焼して、やせるスピードが加速します。

4 たんぱく質と 「3K食材」を積極的に

筋肉のもとになる、肉、魚、大豆製品などのたんぱく質は欠かせません。また、糖質の吸収をゆるやかにして、血糖値の急上昇を防ぐ、きのこ類、海藻類、こんにゃくの3K食材も積極的に!

 

2020年11月18日 (水)

【ゴーン被告逃亡】仏TV<独占インタビュー>「日本は地獄、レバノンは天国」

 認めるのはハラ斬り」仏TV連続インタ カルロスゴーン独白 

Foresight 2020年11月18日(水)6時01分配信/広岡裕児(ジャーナリスト)

 11月のはじめにフランスのテレビ局で、1週間の間に立て続けに3回、レバノンに逃亡中のカルロス・ゴーン日産自動車元会長の単独インタビューが放送された。

 ゴーンの著書が4日にフランスで発売されたのにあわせ、宣伝と復権を狙ったものである。

 著書の題名は『Le temps de la vérité(真実の時)』(未邦訳)。

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 以前『カルロス・ゴーン経営を語る』(日本経済新聞出版、原題はCitoyen du monde)を書いたフランスの『AFP通信』元東京支局長フィリップ・リエスとの共著で、副題に「カルロス・ゴーン語る」とあるように、ゴーンのインタビューにリエスが補足情報を入れてまとめたものである。

日本司法の人権無視を強調

 最初に放送されたインタビューは、11月1日の民放局『TF1』の報道番組『7 à 8』。日曜日の午後7時から、1時間で3~4本のルポを流す番組で、ゴーンのものは「生涯逃亡者」という題名で12分間のインタビューであった。

『TF1』はもとは国営放送で、民営化の時に土木建設から出発して携帯電話などまでカバーする大グループになった「ブイグ」が買収した。

 ゴーンは逮捕後、「ルノー」の社長時代に使っていた広報エージェントにマスコミ戦略をさせているが、テレビについてはずっと同局とそのニュースチャンネル『LCI』を優遇していた。1月8日にベイルートでおこなわれたゴーンの記者会見のあとも、すぐ事務所での独占インタビューをした。

 日本のマスコミも参加していた会見でゴーンは、司法や日産は別にして日本と日本人は素晴らしい、ともちあげていたが、インタビューでは逮捕されると掌を返したような日本のマスコミ、世論への不満といった本音を吐いていた。

 今回のインタビューは、ベイルートの自宅近くのホテルで行われた。別室では武装したボディガードが待機していた。そこでまず女性インタビュアーが問うたのは、

「逮捕や誘拐される恐怖はありませんか?」

 であった。

「誘拐は、日本人のやり方ではないと思います。しかし、何が起こるかわからないので用心するに越したことはない」

 ボディガードはゴーンが雇っているもので、

「べつに監視されているわけではありません。レバノンのどこへでも自由に行けます。私はレバノン、フランス、ブラジルの国籍を持っていますが、それらの国は、自国民を引き渡すことはしません。しかし、そこに行く途中でどこかの国で捕まって日本に引き渡されるリスクはある。それが嫌だからレバノンにいるのです」

 とにかく、日本に戻りたくない。そこには、実利的な理由もある。

「現在日本で弁護士はうごいているのか?」

 という問いに対して、

「日本では、物理的に存在していないと裁判はない。今一旦停止している。私が国内に戻らない限り、刑事訴追は停止している」

 という。

 フランスでは、本人がいなくても捜査がつづき、欠席裁判が行われるが、日本にいない限り安心して生活できるのだ。

 1月8日の記者会見で、ゴーンは自分にかけられた容疑をすべて否定すると同時に、日本の司法の前近代性や人権無視を非難し、容疑者ではなく犠牲者であると強調した。今回のインタビューでも同じである。

 たとえば、ゴーンと共犯だとされたグレッグ・ケリー元役員について、

「彼は誠実だし、検事に譲歩することはなかった」

 といいつつ、すぐに、

「検事は私の自白が取れないので彼から取ろうとしました。彼らのシステムは自白システムです」

 と司法批判に移った。

「あなたの逃亡で彼が不利になったことに罪悪感はありません?」

 と尋ねられると、

「彼が被っていることを考えると、彼や彼の家族に悪いことをしたと思っている」

 という。共犯にしてしまったことや自分だけが逃げてしまったことに対する反省ではなく、日本の司法制度が、彼を酷い目にあわせているから気の毒だ、というのである。そして、すぐ付け加えた。

「私も同じことを被った。もっと酷く」

 日本から逃亡したとき、

「これで生涯逃亡者になると考えたか?」

 と問われると「ウイ」と答えたが、

「でもそれは私にとって最悪のことではありません。最悪なのは日本で死ぬことです。無言のまま。ある意味鎖につながれて、私が経験したことを説明する機会もなく、弁護することもできず」

 さらに、

「生涯逃亡者になるより、罪を認めて刑務所に何年か入るということは考えなかったのか?」

 と問われると、

「日本で罪を認めるだって! それはハラキリだ。罪を認めたらおしまいだ!」

「フランスの司法からは逃げないのか?」

 という問いには、

「どうして私が逃げなければいけないのですか? 質問にはきちんと答えます。容疑は全く根も葉もないことなのだから。全く心配していない」

 ゴーンは7月に、事情聴取のため予審判事からパリに召喚されたが拒否した。だが、それはあくまでも国外に出られなかったからであって、来年早々フランスから予審判事がベイルートに出向くことになっており、それには全面的に協力するという。

 日本へのあてつけもあろうが、フランスではゴーンは容疑者であるだけではなく、自分の方から報酬や退職金、年金などを請求する訴訟をいくつも起こしている。その関係から、フランスの司法について批判を差し控えている部分もあるだろう。

恥知らず

 このゴーンのインタビューを視聴者はどう受けとめたのだろうか。フランスの「ヤフー」の記事によれば、SNSの反応は、否定的なものばかりだ。

「スキャンダル」「彼は英雄ではなく泥棒だということを忘れるな」「恥知らず。まったく品位のない奴」……。

 そしてテレビ局に対しても、

「指名手配されている者ではなく、本当のメッセージを持っている正直な人々にインタビューすべきだ」

「正直な男に見せるなんて恥だ」

「ロックダウンの最中に、許可なく国外に出た男に発言させるとはなんたる皮肉!」

 というのもあった。

 濃色のジャケットにノーネクタイでワイシャツの第1ボタンをはずし、高級ホテルで言いたい放題のゴーンの姿は、たしかに挑発的だ。もっとも、彼にとっては一般大衆など関係ないのかもしれないが。

 国営放送『France 2』は、『TF1』放送の1週間後(11月8日)、昼のニュース後の45分のドキュメンタリー枠で「カルロス・ゴーン、大脱走」という番組を流した。

 なお、「大脱走」がどのように行われたのかについては、この番組でも他でもゴーンは口を閉ざしている。ただ、自分1人で決めた。準備期間は、逃亡するしかないと決めた時から数週間だけ。

「逃亡するときにはダラダラしてはいけない。情報漏れ、疑い、躊躇があればその代償は非常に高くつく」

 とはいっている。

 番組では逃亡の再現、マンガ仕立てでのゴーンの半生、関係者やフランスの専門家、弘中惇一郎弁護士のインタビューなどをまじえた中に、5分ほどレバノンでとった本人のインタビューが入っている。その大部分は、日本の司法についての批判である。

「私が日本を離れた理由は、司法の否定があったと思ったからです。私がレバノン、フランス、ブラジルに求めるのは、これら3カ国の市民として、きちんとした司法です。 私は法を超えることを求めていませんが、法を下回ることも求めません」(「司法」と訳した原語「justice」には「正義」という意味もある)

 インタビュアーの、

「でも日本は民主国家でしょう。その司法を信じないのですか?」

 という質問には、こう答えた。

「そう思うのですか!?  司法がなければ本当の民主主義はありません。私は決して自分のためだけに話すのではありません。日本でこの運命に苦しんでいる何万人もの人々のために話しているのです。私のように声や手段を持つ特権を持っていない人たち、私が恩恵を受けていることは重々承知です。しかし、恩恵を受けられない人もたくさんいるのです」

 この前日の7日に、民放のニュースチャンネル『BFM』でもロングインタビューが放送された。そこでも熱がこもっていたのは、日本の司法批判だ。

「日本の司法について人々は誤解しています。もし北朝鮮だったら、私が何をしても必ず負けるということはわかっています。でも日本でまさかそんなことになっているとは思いません。彼らの司法制度は別物で、それは経済大国から想像されるものではありません」

「無実であろうと有罪であろうと、検察官にとっては問題ではないのです。彼らは、自分の保身と出世のために勝たなければならない。結果は初めから決められているのです。私は有罪になると確信していました。だから、ここから去らなければならないという結論に達したのです」

個人活動と平穏な暮らし

 ゴーンは以前から、

「日本の司法システムと日産の経営陣、さらに日本の政府の陰の支援について明確な証拠を明らかにする」

 といきまいていたが、これらのインタビューを子細に観ても、新著『真実の時』でも、1月8日にベイルートでおこなわれた記者会見の時以上の明確な証拠は出てきていない。

とくに日本政府の支援については、日本のマスコミ情報や彼の推測でしかない。たとえば『真実の時』では、

〈日本の政界はどの程度まで関わっているのか? 知られているのは、川口(均・現日産自動車特別顧問)と日本政府のナンバー2だった菅義偉が、2014年9月以来、友情といってもいいような、とても密接な関係だということです。(…中略…)

 日本の『リテラ』によると、「近年、(菅と川口は)頻繁に連絡を取り合い、夕食会や会議に参加している。ゴーン事件が官房長官に事前に提起されなかったとは考えられない」。同筋によると、「日産では、菅が川口の援護射撃をしているというのが常識だ」とのこと〉

 一方、日本の司法に対する不満については、『真実の時』の章名だけをみても、「小菅の凍った地獄」「モスクワの裁判『メードインジャパン』」と、ソ連の強制収容所や裁判になぞらえて、多くのページが割かれている。

 今年8月にベイルート港で大爆発事件が起きたとき、邸宅が粉々になったという報道があった。だがそれは、うけた被害が針小棒大につたわった誤報である。

現在のゴーンは、所有するワイナリー「IXSIR」のレバノンワイン事業、ベイルート近郊にあるカスリク聖霊大学での会社幹部と起業家向けの講座、環境分野を中心にしたスタートアップ企業への投資やアドバイスと、個人的な活動をしつつ最愛の妻と平穏な日々を暮らしているという。

 大爆発事故や経済崩壊、政情不安でレバノンは大変だが、『真実の時』では、

「私が経験した日本の地獄にくらべれば天国だ」

 と述べているほどの暮らしぶりなのだ。(敬称略)

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 窮地カルロスゴーン打って出た驚き奇策 

FRIDAY DIGITAL 2020年11月17日(火)8時02分配信/桐島 瞬(ジャーナリスト)

 レバノンで悠々自適な生活を送っているカルロス・ゴーン被告(66)が、再び窮地に立たされるかもしれない。

 昨年末、音響ケースに入って国外脱出するという前代未聞の逃亡劇を演じたゴーン被告には、3人の協力者がいた。今年5月に米国で逮捕されたそのうちの二人について、米国務省が10月27日付で日本への引き渡しを認めたのだ。

「陸軍特殊部隊『グリーンベレー』元隊員のマイケル・テイラーと、その息子ピーターです。マイケルが音響ケースに入ったゴーンを運び、ピーターは逃亡準備のためのホテルの手配や道具の受け渡しを行ったと見られています。時期は未定ですが、米国政府が承認した以上、引き渡しは間違いなく行われる。二人は日本で徹底的に取り調べを受けることになります」(全国紙司法担当記者)

 その過程で不法出国に関して新たな事実が明らかになれば、日本はレバノン政府に対してより強くゴーン被告の引き渡しを要求できる。深刻な経済不況が起きているなか、今年8月には首都・ベイルートで大規模爆発が発生。日本から500万㌦もの緊急支援を受けた手前、レバノン政府がいままでのようにゴーン引き渡しを拒否できなくなる可能性は十分にある。

 まさに絶体絶命の大ピンチ――。毎晩のように家族や友人とワインを飲み交わし、気が向いたときに現地メディアのインタビューに応じて言いたい放題言ってきたゴーン被告のレバノン豪華ライフも、いよいよ終わるのか。

 しかしそこは、日産会長時代からさまざまな奇策で業界を賑わせてきたゴーンである。逃亡協力者親子の引き渡しが行われる前に、今回もこんな奇策を考えているという。ゴーン被告と親しい友人が証言する。

「ゴーンはいま、レバノンの大臣になろうとしている。友人の弁護士に相談するだけでなく、実際、ツテのある政府高官にも打診をしている」

 なぜ、大臣になりたいのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が分析する。

「大臣になれば、日本への引き渡しは行われず、さらに国外に出ても逮捕されないと考えているんでしょう。実際、’02年にはベルギーの司法当局がコンゴの大臣に逮捕状を出しましたが、国際司法裁判所が無効の判決を下している。国際慣習上、国家を代表する大臣には外国の法律によって裁かれることを免除される、いわば〝特権〟があるのです」

 経済混迷と爆発事故の責任を取る形で、8月にレバノンのディアブ内閣が総辞職。現在、組閣が進んでいるが、ゴーン被告はそのタイミングでの入閣を狙っているようだ。

「9月29日、ゴーンはホーリースピリット大学というキリスト教マロン派系の大学で会見を開いた。複数の宗教が入り乱れるレバノンにおいて支配層を占めるのがマロン派で、ゴーン自身も信徒。この大学で会見をするということは、マロン派に対してのアピールに他ならない。会見の目的は大学支援の表明。ゴーンは『この国に奉仕する』『レバノンのあらゆる問題に対処する方法がある』と語った。何大臣になるか? 大臣になれるなら何でもいいと考えているよ」(前出・友人)

 日本との関係を考慮し、現状、レバノン政府はゴーン被告の大臣就任に難色を示しているという。しかし、世紀の大脱走同様、何をするのかわからないのがゴーンという男。近いうちに、仰天ニュースが世界を駆け巡るかもしれない。

 日本批判本」出版のゴーン被告“起死回生の奇策 

FRIDAY DIGITAL 2020年11月16日(月)8時01分配信

「ゴーン氏は今月発売された新著の中で日本政府批判を展開し、自らを正当化しています。自分は悪くないと世界に訴えることで、マイナスイメージを払拭したかったのでしょう」(全国紙記者)

 会社法違反(特別背任)で起訴され、レバノンで逃亡生活を送る元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(66)が、逃亡後初の著作となる『ル・タン・ドゥ・ラ・ベリテ(真実の時)』を11月4日にフランスの出版社から発刊した。日産会長時代から親交のある元AFP通信東京支局長のフィリップ・リエス氏と共著。同書は480ページに及び、日本政府や日産だけでなくフランス政府、ルノー、自らの当初の弁護団まで批判している。

 ゴーン氏は、役員報酬の一部を有価証券報告書に記載しなかったことで金融商品取引法違反に問われた。だが著書では「それに関して証拠がない」と否定。西川廣人・元日産社長、ハリ・ナダ専務、豊田正和・社外取締役、川口均・前副社長、今津英敏・元監査役らの名前を挙げて、今年1月にベイルートで会見したときと同じく「日産側が企てた陰謀だ」と主張している。ゴーン氏の知人が明かす。

「1月の会見でゴーン氏は、『策略に関わっていた』とする日本政府関係者の名前は明らかにしませんでした。しかし新著では、川口前副社長と菅義偉首相が近い関係にあったことが重要な役割を果たしたこと。また安倍晋三・前政権に近いとされる熊田彰英弁護士が、日産、政府、検察と接触していたことなども指摘しています」

募る危機感

 ゴーン氏は出版の直前、高級紙フィガロを始めとするフランスの新聞、雑誌、テレビに次々と出演して自らの無実を訴えかけた。身柄の引き渡しを求める日本政府に対してメディアを使っての徹底抗戦に映るが、前出の知人は「本人は危機感を募らせている」と話す。

「レバノン政府は自国民であるゴーン氏を日本に引き渡さない立場を取っていますが、経済危機とベイルートで起きた大規模爆発の責任を取って8月にディアブ内閣が総辞職しました。政情不安な状態ではこの先、何が起きるかわからない。かといって出国すれば第三国で逮捕されるリスクがあるため、ゴーン氏はこの先もずっとレバノンから出られません。危機感は相当強いようです」

 そこで、こんな奇策を講じているという。

「9月にレバノンのキリスト教マロン派の私立大学で記者会見を開き、ゴーン氏は『我が国が直面するあらゆる問題に対処する方法がある』とぶち上げて大学への支援を約束しました。レバノンの支配層はマロン派が占めていて、ゴーン氏も同じマロン信徒。国内の実力者たちに向けて自らをアピールしたわけです。

 現在、目論んでいるのが、組閣中のレバノンで大臣になること。政府の要職につけば簡単には逮捕されないうえ、外国への出国も自由です。何の大臣でもいいから空きポストはないかと政府関係者に持ち掛けています。ただ、ゴーン氏を大臣に起用すれば、日本やフランス政府との関係にヒビが入りかねない。実現の可能性は薄いでしょう」

 状況が好転しないゴーン氏。日本を激しく批判した著書の出版は、焦りの裏返しなのかもしれない。

日産賠償請求100億円ゴーン被告側“棄却求める

朝日新聞デジタル 2020年11月14日(土)7時30分配信

 日産自動車がカルロス・ゴーン元会長に対し、会社資金の流用などの不正行為で損害を受けたとして、100億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、横浜地裁(浦野真美子裁判長)であった。ゴーン元会長側は請求の棄却を求めた。

 ゴーン元会長側は、日産側から証拠書類がほとんど提出されておらず、「このままでは適切な認否をすることが不可能だ」とする答弁書を提出。代理人の郷原信郎弁護士らが記者会見し、「不正や犯罪の疑いの根拠がまったくないことが明らかになると確信している」とするゴーン元会長のメッセージを公表。郷原氏は「ゴーン氏をめぐる事件の真相解明を行う場として(代理人になることを)受け入れた」と話した。

 一方、日産は「一連の不正行為に関する真実が判決により明示されるものと期待しています」とのコメントを出した。

 訴状で日産側は、ゴーン元会長が国内外の住宅の賃貸料を日産に負担させたり、社のジェット機を私的に利用したりして、損害を与えたと主張。元会長の不正行為が発覚して逮捕されたことにより、株価が大きく下落したり臨時株主総会の開催を余儀なくされたりし、信用が毀損されて損害を被ったと主張している。

 

2020年11月17日 (火)

【日経平均】2日続伸<29年ぶり✍2万6000円台>'91年5月以来

 〔東京株〕続伸29年ぶり2万6000円台回復 

時事通信 2020年11月17日(火)15時30分配信

 日経平均株価は前日比107円69銭高の2万6014円62銭と続伸し、終値として1991年5月以来約29年半ぶりに2万6000円台を回復した。新型コロナウイルスワクチンの開発による経済正常化期待が投資意欲を刺激した。東証株価指数(TOPIX)も2.85ポイント高の1734.66としっかり。

 銘柄の35%が値上がりし、値下がりは62%。出来高は13億7344万株、売買代金が2兆7284億円。

 業種別株価指数(33業種)は空運業、保険業、鉄鋼の上昇が目立ち、下落は精密機器、情報・通信業、サービス業など。

  近づく本格調整局面? 

 17日の東京株式市場で、日経平均株価は連日の高値更新となったが、上値の重さも目立った。値下がり銘柄数が値上がりを大きく上回り、市場関係者からは「本格的な調整局面を迎えつつある」(銀行系証券)との声が上がっていた。

 米国での新型コロナウイルスワクチンの開発進展期待を受けて、買い注文が先行。日経平均は2万6000円台を回復し、29年半ぶりの水準まで上値を切り上げた。しかし、取引開始直後に付けた高値は抜けず、上げ一服感をうかがわせる相場展開だったのも確かだ。

 日経平均は11月に入ってから、わずか2週間余りで約3000円上昇。「経済の実態と株価はかけ離れている」(中堅証券)との見方が多いだけに、反動安には注意が必要だ。前出の銀行系証券では「1000円幅の値下がりがいつ起きてもおかしくない」と警戒していた。

 のバブル崩壊が近い」といえるつの理由 

東洋経済オンライン 2020年11月14日(土)11時01分配信/小幡 績(慶應大学大学院准教授)

 11月に入って、株価の大幅な上昇が続いている。

 これはなぜか。バブルだからだ。

「バブルおじさん」なのにトレーダーに嫌われる理由

 「また性懲りもなく言うのか」と指を差されそうだ。私は「バブルおじさん」と呼ばれるほど「今はバブルだ!」などと言い続け、嫌われ者になっている。

 だが、バブルおじさんが嫌われる理由はないはずだ。なぜなら、バブルになることは、トレーダーにとって最も望ましいことだからだ。

 それなのに、私は嫌われる。「バブルだ、バブルだ」、と言うたびに嫌われる。それは、私に理由があるのではない。「嫌う側」に理由があるのだ。なぜなら、彼らはバブルであることを知っており、さらにバブルが崩壊しそうであることまで知っており、それが来るのをいちばん恐れているからだ。

 さらに重要なのは、バブルは「バブルが崩壊する」という認識が広まることで実際に崩壊してしまうからだ。

 バブルが膨らむのも「これがバブルだ」と投資家が信じることによって買いが殺到しバブルが膨らむ「自己実現メカニズム」なのだが、バブル崩壊こそ、崩壊すると人々が恐れることがそれを実現させるという「恐怖の自己実現メカニズム」だからだ。

 したがって「バブルがそろそろ崩壊するかも」、という恐れが生まれることがいちばん怖い。雲ひとつない晴天に雲がぽっかり浮かび始めるのがいちばん怖いのだ。

 しかし、雲と同じように、晴天であればあるほど、雲は生まれやすい。地表の温度が上がり、水蒸気が上昇気流となり、雲となるからだ。バブルも同じで、バブルの上がり方が激しいほど、その上昇の興奮からふと覚めたとき、冷静になったとき、「バブルもそろそろ終わりかも」と一点の曇りが生じ、それが急速に黒雲となり、大雨となりかねないのだ。

 だから、私などがネットで吠えるだけでも彼らは怖いのだ。だから、嫌い、叩き、必死で否定する。私は、だからこそ「バブル崩壊が近い」と確信するのだ。

 さて、今はそのような状況なのか。ぽっかり浮かんだ雲はあるのか。黒雲の気配はあるのか。「大あり」だ。

「4つの好材料」が出尽くし、今後は悪材料しかない

 まず、好材料出尽くしだ。

 第1に、アメリカの大統領選挙が終わった。とりあえず当選者は決まった。不透明要因が除去された。最大の好材料だ。

 第2に、新型コロナのワクチンが実用化できそうだ、というニュースが飛び込んできた。今回の暴騰の最大の原因だ。人々も株式市場も待ち望んでいた最大、最高のニュースだ。

 第3に、GDPや企業の数字の見通しが上方修正されている。経済指標は回復基調で、しかもこの数カ月予想されてきた数字をほとんどの見通しで上回っている。コロナ回復に時間はかかっているが、それは当初懸念されたよりはましなようだ。

 第4に、それにもかかわらず各国中央銀行は緩和姿勢を改めようとはしていない。欧州においては、拡大すら見込まれている。

 これらの好材料で株価はとことん上げた。さて、次はどんな好材料があるか。もうない。まさに好材料出尽くした。今後は悪いニュースしかない。

 いちばん危ないのはワクチンだ。

 第1に、新型コロナのワクチンについては、専門家ほど懐疑的だ。まず、新型コロナは変異が速く、次の流行に現在開発するワクチンが適合するかわからない。

 第2に、そもそもインフルエンザと同様にワクチン自体の効果が天然痘など「ほぼ完全に効くもの」とは違って効率が悪い。

 第3に、生産量が確保されるか、貧しい国、人々へ行き渡るか、という実務上の問題がある。ワクチンの効果は「集団免疫的な効果」であるから、金持ちだけがワクチンを打っても流行は止められない。

 むしろ、衛生的にも経済的にも余裕のない貧困国、貧しい人々がワクチンを打たないと効果が薄いはずだ。したがって、ワクチンへの期待が大きすぎるために、実際にワクチンが利用可能になったときにそれほど効果がないことがわかり、失望が広がる。だから、ワクチンの希望で株価が上がるのはおかしいのだ。

 しかし、株式市場の人々はそんなことはおかまいなしだ。あるビジネスニュースに登場していた専門家なども「ワクチンができるというニュースが出たこと自体が重要であり、その効果についての議論は関係ない」と、自信満々にコメントしていた。

 彼らは確信犯なのだ。そして、将来のことは気にしない。今日の株価が上がればそれでいいのだ。それはそれで、彼らの「職業病」だから責める気は起きない。しかし、ということは「明日以降はいつ下がってもおかしくない」という事実が残る。

これから垂れ込める「3つの黒雲」

 このように、第1の黒雲は、ワクチンのニュースだ。そして、それに飛びつき、確信犯的に相場を盛り上げる市場関係者だ。

 黒雲はまだまだある。第2の黒雲は、アメリカの大統領選挙の開票速報に対応した株価の上げ方だ。どんなニュースが出ても、株価は上がった。いや、強引に上げた。これはバブルそのものだ。

 そもそも、選挙投票直前は「大統領も上院も下院も、すべて民主党が制す。いわゆる『トリプルブルー』で、ねじれが解消され、政策が一気に動く、ということで株価は上げていた。

 ところが「ドナルド・トランプ大統領がまさかの優勢か?」となったら、今度は「トランプなら株式市場にはプラスだ」などと言い出して上げた。結局、トランプは事前予想通り郵便投票が出てくると失速したが、今度は「上院が共和党になりそうだ」というニュースに飛びついた。

 市場は「これで民主党の思い通りにはならない。富裕層への増税、金融課税強化はない」と勝手に解釈して、株価はまた上げた。そして、事実上次期大統領がジョー・バイデン候補に決まると、株価はさらに上げた。

 要は、大統領選挙は関係ないのだ。ただ、株価を上げたいだけなのだ。そして情勢が二転三転すると、それを利用して「別々の上げる理由」として取り上げ、とことん株価を上げた。これは、バブル以外の何物でもない。まさに、欲望の自己実現だ。

 第3の黒雲は、株価の上げ方、取引の動きだ。これは、バブルであることを示しているだけでなく、バブル末期であることを示している。

 アメリカの株価上昇は、異常だった。代表的な指標であるNYダウは11月9日、寄り付きで約1600ドルも上げたが、引けにかけては上げ幅を縮め、この日は800ドルあまりの上昇で終わった。

バブル末期の典型的な症状が出ている

 こうした乱高下もバブルの典型的な動きだが、それよりも重要なのは、ダウが急伸したのに対し、ナスダックは急落したことだ。

 これは数日間続いた。すなわち、ダウやS&P500が上昇すれば、逆にナスダックが下げるという現象だ。日本でも同じで、日経平均株価が大幅上昇する一方で、東証マザーズ指数は大幅に下落した。

 一連の値動きの解釈は単純だ。ワクチンのニュースが伝わったことで、これまでコロナで暴落していた航空会社の株価などが急騰する一方、これまでコロナの恩恵を受けていた巣ごもり関連株、ネット関連株が急落したからだ。アメリカのズームなどは20%近くも下げた日があった。

 このような動きは、まさにセクターローテーションと言われる。バブル末期には、物色対象を次々と変えて、上がっていないものを狙って「これまで上がっていない」という理由だけで、投資家たちはそれに飛びつく。そして、バブルを作る。

 イナゴが農作物を食いついして移動するように、次から次へと物色対象を変えていく。

 実際、11月11日は、ダウなどのオールドセクターからもう一度ハイテクセクターに物色を戻した。「上げすぎ、下げすぎ」ということらしいが、これはバブルの末期的な症状だ。

 さらに、アメリカでは、暴騰したにもかかわらず、その割に、取引高は増えてはいるものの急増とまでは言えない。これは、もはやこの水準で売買する人々がさほどいないことを示している。

 今相場に残っているのは、バブルであるがゆえに投資している異常に強気な人々や、バブルが続くことだけを信じて(祈って)投資、いや取引しているトレーダーだけなのだ。売り手が少ないから、少しの買いで株価は急騰する。一方で、少しの売りで株価は急落する。乱高下を繰り返す、というのはまさに、バブルの末期的な症状なのである。

 これから、株価は一段と乱高下を繰り返すだろう。そして、何か明らかなネガティブニュースが出たときに、株価は一気に下落するはずだ。そこからも、乱高下を繰り返しながら、全体としてみると下げ基調になるだろう。

ダウの史上最高値更新後、株価は一気に下落する? 

 そのきっかけの第1は、もしかすると、ダウの史上最高値更新かもしれない。バブルが崩壊する最大の原因は上がりすぎることであり、ナスダックはすでにその領域に入った。後は乱高下の中で下げトレンドが確定するだけだ。ダウもこれに続けば、バブル崩壊は確定となろう。

 一方、日本株は、上昇局面で取引高がかなり増えている。これは理由が2つある。ひとつは、日本のトレーダーは気が小さいので、利食いが早く、上がるとすぐ売ってしまうからで、ついこの間買った人々も売っているから売り手が多くいるということだ。

 もうひとつは、これと関連するが、日本の個人投資家は、細かい逆張りが好きで「上がれば売り、下がれば買う」という習性があるからだ。

 いわゆるボックス圏相場にあれば、これは小銭稼ぎとしてはいいかもしれない。だが現在のような大きな転換局面ではもっとも危険な取引なので、日本の個人投資家には、こまめな売買は当分避けたほうがいい、と言いたい。

 なるほど、見方はそれぞれであろうから「買い」だと思うなら、当分保有するつもりで買うべきだ。一方、売るほうは売ったら当分買わないつもりで売るべきだ、とアドバイスしたい(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。

 週末の競馬は、エリザベス女王杯(G1、11月15日阪神競馬場11R、距離芝2200メートル)。古馬と牝馬が相まみえる最強馬決定戦で、3歳牝馬3冠目の秋華賞を経た牝馬も混じり、世代対決も興味深いレースだ。

 しかし、今年は、いつも以上に盛り上がっている部分と、盛り下がっている部分がある。盛り上がっている部分とは、ラッキーライラック、ノームコア、ラヴズオンリーユーと勢力を維持しているG1馬が3頭もそろっていることだ。人気も上位を独占しそうで「3強対決」の様相だ。

今年のエリザベス杯は最強牝馬決定戦ではない

 一方で、最強牝馬決定戦とはなりえないのが盛り下がっている部分。それはもちろんアーモンドアイという史上最強牝馬、いや牡馬を入れても史上最強馬ともいえる彼女がジャパンカップ(11月29日)に回ってしまう。

 しかも、今年の無敗の3冠牝馬で圧勝を続けるデアリングタクトもジャパンカップに回る。さらに、だ。こちらも無敗の3冠牡馬馬コントレイルも交えて、最強牝馬対決どころか現在の日本最強馬、いや「日本史上最強馬を決める対決」が、ジャパンカップで行われることになったからだ。

 それにしても、21世紀に入ってから牡馬をなぎ倒す最強牝馬が生まれ続けているのはなぜだろうか。これは日本だけでなく世界でも顕著であり、アメリカのゼニヤッタ、欧州のエネイブル、豪州のウインクスと枚挙にいとまがない。

 1つの理由として挙げられるのは、フランスの凱旋門賞が、3歳牝馬が勝ちやすいといわれる斤量が牝馬に有利に定められていることだろう。日本では牝馬はおおむね牡馬にくらべ2キロ減だ。しかし、これは昔から同じであり、なぜ近年牝馬が強くなったのか、というのには別の理由が必要だ。

 もう1つ言われるのは、調教技術の進歩だ。牝馬はこれまで気性の問題などから目いっぱいに仕上げたり、強い調教を繰り返したりすることができなかった。だが近年は牡馬と遜色ないトレーニングができるようになった。

 さらにこれと関連するが、20世紀までは牝馬はレースで走るよりも母親となってからの繁殖牝馬としての仕事のほうが重要で、目いっぱいレースを走ることなく、早く引退することが多かった。牡馬を倒さずとも「牝馬最強」であれば十分市場価値が得られたからであった。

 これが近年変わった。欧州の「競馬不況」や、世界から馬を集めるための一流レースの賞金高騰(欧州の賞金は凱旋門など一部のレースを除くと、今も昔も重賞でも驚くほど少ない)などで、レースを続けることの意味ができたことなどがある。

 私は、やはりレースは能力検定に過ぎず、牡馬も牝馬も繁殖としての価値だけが重要だと思っている。よって、牡馬も牝馬もレースを使いすぎて事故になることのないことを望む。

 しかし、その私でもレースをすることの意味があると思うのは、生物学で論争になっているのだが、「獲得形質が遺伝するのではないか」という点にかかわるからだ。このことは私が競馬をもっとも熱心に観察していた高校生時代(1985年前後)に考察した。厳密に言うと、遺伝子自体が変わるわけではないが、鍛えれば、とりわけ短距離レースをより多く使うことでスピードの遺伝子が活性化されて遺伝しやすくなるのではないか、ということだ。あるいは遺伝したものが「スイッチオン」の状態で遺伝されるのではないか、ということだ。

エリザベス女王杯はラッキーライラックの単勝で

 この獲得形質が、牝馬から牝馬に伝わりやすい要素があるのではないか。そうだとすれば、年々牝馬が厳しいレースを多くすることで、獲得形質のレベルが高まることによって、より強くなる理由とも言えそうだ。

 現在のところ、生物学の領域でどこまで有力説であるかは、私には議論できない。だが高校生のときに、競馬をきっかけに生物学者になっていればノーベル賞も夢ではなかったかもしれない。それよりもギャンブラーの心理に自己嫌悪から関心を抱きすぎたため、しがない行動経済学者になってしまった。

 この週末はそれを取り返すためにも、エリザベス女王杯が引退レースとなるラッキーライラック(8枠18番、クリストフ・ルメール騎手騎乗)に託したい。名種牡馬オルフェーヴルの遺伝子を広く残す存在になってほしい。単勝で勝負だ。

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 バイデン勝利で、なぜ株高…市場参加者“思い込みの正体 

マネーポストWEB 2020年11月17日(火)19時00分配信/真壁昭夫(法政大学大学院教授)

 人は常に合理的な行動をとるとは限らず、時に説明のつかない行動に出るもの。そんな“ありのままの人間”が動かす経済や金融の実態を読み解くのが「行動経済学」だ。今起きている旬なニュースを切り取り、その背景や人々の心理を、行動経済学の第一人者である法政大学大学院教授・真壁昭夫氏が解説するシリーズ「行動経済学で読み解く金融市場の今」。第6回は、米大統領選後の株価の動きについて分析する。

 * * *

 11月3日の投票日から4日もかかって、ようやく民主党のジョー・バイデン前副大統領の当選が確実となったが、この期に及んでもなお、ドナルド・トランプ現大統領は敗北を認めようとせず、“悪あがき”を続けている。政権移行に必要な手続きも遅れ、両者の対立は泥沼化、どうにもすっきりしない格好となっている。

 一方で、株式市場は、ホワイトハウスに居座ろうとするトランプ氏の向こうを張って、連日大きく上昇している。バイデン氏の勝利がまだ確定していなかった6日には、早くも日経平均株価が29年ぶりの最高値を更新し、バブル崩壊後以来の高値に沸いた。米国のNYダウも、9日には前日比800ドル超もの上昇を見せ、史上最高値更新に迫る勢いを見せている。

 だが、そもそも大統領選前は「トランプ氏再選なら株高、バイデン氏当選なら株安」という見方が、市場では目立っていた。それまでのトランプ政権とは対照的に、バイデン氏は大企業や富裕層向けの増税を打ち出し、それが株価下落を招くという理屈だ。それなのに、なぜバイデン氏勝利で株価は上昇したのか。それもやはり、「行動経済学」で説明できる。

 大統領選前は、どちらが勝つかわからないことで、マーケットは行動経済学でいう「コントロールの欠如」に陥った。不確定要素が多く株価も金利も今後どうなるかはっきりしないため、市場参加者がコントロール出来ない状態だったのだ。

 それが徐々に開票が進んでいくにつれ、「少なくとも“トリプル・ブルー”にはならない」ということが見えてきた。トリプル・ブルーとは、大統領だけでなく、上院でも民主党が過半数の議席を獲得し、すでに民主党が多数を占める下院を含めて、大統領選と上下院選の全てを民主党が制し、民主党カラーの「青」一色の状態になること。現状では、大統領と下院が「青」でも、上院だけは共和党優勢の「赤」になっているためトリプル・ブルーは回避された。

 そうした上院と下院の「ねじれ」によって、バイデン氏が掲げる大企業や富裕層への課税強化などの政策に上院が歯止めをかけることで、少なくとも民主党主導での政策運営は見込みづらく、むしろ民主党と共和党の“いいとこ取り”の政権となるのではないかという期待が高まり、株価が上昇したと考えられる。

29年ぶり高値更新の日本株は割高

 これに加え、世界中の中央銀行がコロナ対策のため、市場に供給する資金量を増やすなど金融緩和を実施したことで、「少なくとも米国経済はこれまでとあまり変わらない成長が望めるだろう」、「今後も株が上がるに違いない」という思惑も重なって、マーケットには「コントロール・イリュージョン」が広がった。

「コントロール・イリュージョン」とは、市場の阻害要因をコントロール出来るという状況、つまり環境を自分の意志でコントロール出来るようになったという“思い込み”である(結果的に思い込みが間違っていたとしても、多くの市場参加者が思い込むことで株価は上がる)。これによって市場には安心感が広がり、マーケットを取り巻く状況は「不安」から「安心」へと180度変わったのである。

 ここまで安心感が広がると、この先トランプ氏がいくら悪あがきを続けようとも、当面は株価上昇が続く可能性が高い。特に、コロナ禍でも「GAFAM」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)などの巨大IT企業は業績を伸ばし、これらをはじめとした「NASDAQ100」(米ナスダック上場の100銘柄)は、更なる高値更新も十分考えられる。

 そこで気になるのは、日本株の行方だろう。日経平均株価は29年ぶりの高値更新に沸き、年内に2万7000円台を期待する声もある。だが、日経平均株価のPER(株価収益率=株価が割高か割安かを見る指標)は現在20倍を超えている。PERは15~20倍が適正な水準とされ、現状では割高な水準と言える。ここから先は、企業業績が良くならないと、更なる株価上昇は望みにくい。トヨタ自動車が業績予想を上方修正するなど、一部で持ち直す動きは見られるものの、まだまだコロナの影響が払拭されたとは言い難い。まして国内にはコロナ禍でも業績を拡大してきた「GAFAM」に追随できるIT企業も見当たらず、当面は日本株の大きな上昇は見込めないのではないか。

 目先では、ワクチン開発の期待から米国経済の回復を織り込んでNYダウも上昇しているが、コントロール・イリュージョンの恩恵を受けるのは、やはり「GAFAM」をはじめとする巨大IT企業が上場するNASDAQ100に分がありそうだ。

 

2020年11月16日 (月)

【東京2020】バッハIOC会長✈来日「コロナ禍での開催」明言

 IOC会長「トンネルの先の光になる」東京五輪、来年開催に前向き 

THE PAGE 2020年11月16日(月)18時01分配信

 東京五輪・パラリンピック開催に向けた協議で来日した国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は16日、大会組織委員会の森喜朗会長と合同記者会見を開いた。バッハ会長は冒頭、大会が開幕する9か月後までには「ワクチンが入手可能になるだろう」との認識を示し「安心な環境で大会を開く道具箱はそろっている。日本と手を携えて(大会を)開催したい。開催すれば団結のシンボルとなる。トンネルの先の明かりになる」と述べ、大会開催に依然、前向きな姿勢であることを示した。

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 バッハ会長は、日本で観客がいる中でプロ野球試合が開かれている例などを挙げ、「完全なスポーツイベントをできると証明できた」と説明。他にも世界で多くのスポーツ大会が「成功裏に」行われたことも強調した。

 森会長は、「フェイクニュースなどがスマホなどで(拡散され)何かバッハさんがお見えになったのは強硬論の森を抑え込むために来たとか、その会談のためにお見えになる(などと)と随分流れたが、きょうの(バッハ)会長の行動、発言によって疑念を持っていた方は払しょくされたと思う。ますますIOCとお互いの価値観を共有しながら、しっかり絆を深めていきたい」と語った。

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 バッハ会長ワクチン接種IOC費用負担明言 

日刊スポーツ 2020年11月16日(月)18時16分配信

 来日中の国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長(66)と、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)らが16日、東京・晴海の組織委オフィスで合同会見を行った。

 冒頭、森会長が「バッハ会長の来日に際し、開催強硬論を唱える森を抑えに来た、というようなフェイクニュースが多く流れていたが(バッハ氏の開催確信発言を受け)その疑念が払拭されたはず」とあいさつ。その後、質疑応答が始まった。

 菅首相や小池都知事らと会談した際、バッハ会長が海外からの入国者に「ワクチン接種」を要望する考えを示したことについて説明した。「私が言ったのは、すべての努力をします、ということ。多くの参加者にとって、できる限り接種してほしいと明確に申し上げたい。うわさが流れているようだが、受けないとダメだとは言っていない。説得をしていく」。

 その上で「まずは医療従事者、我々の社会のために働いている人の接種が1番。その次、もしワクチンをさらに確保できるのであれば、IOCがコストを見ます」と費用負担を約束した。NOC(各国・地域オリンピック委員会)と協力し、接種人口を広げていく考えという。

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 入社6カ月希望退職迫られたホテル勤務22歳…コロナ失業の現実 

BUSINESS INSIDER 2020年11月16日(月)8時10分配信

 東日本にある客室数500を超える大型ホテルで、2020年4月から新卒正社員として働いていた22歳の男性は、同じ年の10月末でこのホテルを退社した。

「希望退職」という形ではあるものの、コロナで経営不振に陥った会社から「入社1年目から3年目の社員」は、「組織スリム化」のためのリストラの標的にされたのだ。「希望退職」は名ばかりで、実質、選択肢のない失業だった。

 東京商工リサーチによると、2020年は8月13日までに、早期・希望退職者募集を開示した上場企業は52社にのぼる。前年の2019年は1年間で35社だったのに比べると、とっくに過去一年分を上回っている。コロナの終息が見えない状況では、希望退職を募る企業は今後も増えると予想される。

 入社後、わずか6カ月で男性は「退職」を突き付けられた。

「コロナでホテルが苦しいのはよく分かります。でも会社が社員を大切に思っているとも思えません」

 男性はやり場のない気持ちをため込んでいる。

入社直後、ホテルが閉鎖に

 私立大学に通っていた男性は、学生時代に飲食店でのアルバイトの経験を持ち、「将来は接客業に携わりたい」と考えていた。

 就職活動では、エンターテイメントや宿泊に関する企業を中心に選考を受け、第2志望だったホテルでの就職が内定。

「第2志望とは言え、あこがれのホテルでした。会社説明会で出会った社員の方が生き生きと働いていて、当時は仕事ができることを楽しみにしていました」

 しかし2020年、新型コロナウイルスが、ホテル業界を直撃した。

 男性が働くホテルは入社後に閉鎖。同期の新入社員は20人以上いたが、入社後は出社はするものの、ビジネスマナーやベッドメイキングなどの研修を受けるだけで、ホテルの再開を待つ毎日だったという。

「ゴールデンウィークには、コロナも落ち着くと思っていました。でも結局、5月も6月もホテルは休業になり、仕事ができない状況が続きました。5月以降の給与は、約6割に減額されてしまい、『これからどうなるのだろう』と不安でした」

GoToトラベルで週末には客戻るも……

 新型コロナの感染者数が落ち着いてきたこともあり、7月になってやっとホテルが再開された。

 団体客や会社の宴会などの需要は壊滅的な状況だったが、7月下旬には政府の旅行需要喚起策である「GoToトラベル」も開始され、週末は客室がほぼ満室になることもあったという。

 男性もホテルの現場に出て働くようになり、「ホテルの顔としての緊張感を味わった」という。

「ずっと人のいないホテルを見てきたので、お客様が入るようになると、がらっと雰囲気が変わりました。社員として売り上げも意識しながら仕事をするのは初めての経験でしたし、再開したホテルでいい接客をしたいと気合も入っていました」

 また人事部からメールで、今後給与が満額支払われるという連絡もあった。

「どうにかこのホテルで働き続けられそうだと、やっと安心できました」

 しかし9月。その期待は裏切られることになる。

突然告げられた「組織のスリム化」

 男性が働いていたホテルは、複数の系列ホテルをもち、それぞれの運営会社を子会社に持つ親会社が存在する。親会社が実質的な経営を握っており、傘下ホテルの管理職として、親会社の社員を出向で受け入れることも珍しくないという。

 9月上旬。男性ら社員に、親会社の社長が参加する説明会が開催されるとのメールが届いた。これまでも、ホテルの休業前後などに社員向けの説明会が開かれていたので、特に気に留めることはなかったという。

 コロナ対策として説明会は複数回に分けて行われ、立食パーティーなどに使う宴会場には、数十人の社員が集まった。

 社員を前にした親会社の社長は、「グループの経営が厳しい状況にあります。不動産の賃借料の支払いも滞納している状況だ」と窮状を説明。すぐにその場を去ったという。

 その直後、ホテルの総支配人が「組織のスリム化を図るため、従業員を半数程度にします。希望退職を募ります」と切り出した。

希望退職の対象に……「何も考えられず」

 ステージ上のスクリーンにはスライドが投影され、各部門での削減人数が示された。「対象者選定基準」として、「入社1~3年目までのスタッフ」と、統廃合される部署が挙げられたという。

 入社1~3年目の社員が選ばれた理由については、「まだ研修の段階で、トレーナー役も必要だから」と説明されたという。

「その時はショックで何も考えられませんでした。直前に給与が戻ると言われたばかりだったので」

 男性は、希望退職に関わる肝心な部分は説明しなかった社長に対して、不信感をおぼえたという。

「社長はリストラについてほとんど説明せずに、会場を去りました。『僕たち働き手のことを何だと思っているのか』と、後から怒りが湧いてきました」

新入社員は全員「希望退職」に応じる

 男性が務めていたホテルには労働組合もあり、人員削減の方針について、会社側に撤回を求めたものの、会社側は応じなかったという。

「部署によっては『人員を半分にする』とだけ説明されていたので、(明確にリストラを示されたわけではない)4年目以降の社員は『誰が切られるか分からない』という状況で働いていました」

 集会から数週間後、男性は総支配人と人事責任者が同席する面談の場で、「希望退職に応じれば、1カ月分の給与は多く支払う」と説明された。

 男性は仕方なく、希望退職を決めたという。

「ホテルの経営が厳しいのは分かりますし、仮にこのまま働き続けられたとしても、ホテルが倒産したらどうしようもありません。身を守るためにも、転職するしかないと思いました」

 男性を含めて、20人以上いた新入社員は、全員が希望退職を選択したという。

増えるアルバイト雇用に違和感

 男性が働いていたホテルでは、男性を含め半数がホテルを去ることになったが、正社員が減った分、アルバイトは増員している。希望退職した元社員が、引き続きアルバイトとして働いているケースもある

「アルバイトを雇う金があるなら、なぜ解雇するのか。会社の方針には、歯がゆい思いがあります。元従業員の間では、『2021年の東京オリンピックでは人が必要で、それまではアルバイトとしてつないでおきたいからでは』と話しています」

 男性は人員削減を告げられていた9月から転職活動を始め、希望退職後に、ホテル業ではない他のサービス業への転職が決まった。

「現場で働いている同僚は、優しい人ばかりでした。ホテルの経営を考えるとしょうがないという気持ちもありますが、社員を大切にしないような会社のやり方には、納得できない」

親会社「雇用の維持は大前提だった…」

 男性が勤めていたホテルの親会社の関係者は、Business Insider Japanの取材に応じ「会社を守るため、希望退職の募集はやむを得なかった」と説明した。

 関係者によると、系列ホテルでは2月以降、外国人観光客を含む宿泊者や、レストラン・イベント会場の利用が激減。3月以降は赤字経営が続いた。

 従業員の雇用維持のため、政府が休業時の賃金を一定量支給する「雇用調整助成金」や、金融機関からの無利子での融資、社会保険料や法人税などの支払猶予を申請。また全ホテルの従業員を対象に給与の一部カットを実施した。

「雇用の維持を大前提として、あらゆる対策をとってきました。ただ感染の拡大を受け、客室の稼働率が数%台にまで落ち込んだホテルもあり、希望退職を募らざるを得ませんでした」

 管理職を対象に希望退職を募り、ホテル内に複数のレストランがある場合などは、一部閉鎖を進めるなど、人件費の削減に取り組んだ。

 しかし、コロナの影響は続き、一部屋当たりの客室料金も下げざるを得なかった。そうした末に、若手社員も対象に希望退職を募ることになったという。

土日に利用が集中「正社員では対応できない」

 正社員に希望退職を募りながら、一方でアルバイトを雇用している点については、こう説明する。

「あくまで希望退職をした社員も、アルバイト募集からは除外していません。正社員をアルバイト化しているわけではありません。コロナの影響でビジネス利用が激減したことで、土日に利用が集中しているホテルも多い。『土日にだけ来てほしい』というのは正社員にはできず、アルバイト雇用を増やすしか方法がありません」

 関係者は、「このまま政府の対応が遅れたら、多くのホテルが倒産する」と危機感を募らせる。

「雇用調整助成金は申請してから支払いまで数カ月かかりました。そして条件によっては8割程度しか支給されない。しかも、それは人件費だけの話。ホテルにとっては建物の賃料も莫大で、上限600万円の持続化給付金では桁が違います。今を乗り切れても、その先いつまでもつか展望を持てないホテルは多いと思います」

GoToトラベルよりも「直接給付を」

 東京商工リサーチによると、2020年11月11日までにコロナに関連し経営破綻した企業は全国で675件。このうち55件を宿泊業が占め、飲食業、アパレル関連に次いで、ホテル業界は厳しい状況が続く。

 この親会社の関係者は、宿泊業や飲食業を対象にした特別の補償が必要だと話す。

「確かにGoToトラベルで客足が戻ってきたホテルもありますが、エリアや業態によって全く人が戻っていないホテルもあります。現状では冬のボーナスを支給できる宿泊業者は少ないと思いますが、それではローンを払えない人も出てきてしまいます。ホテルや飲食店など、危機に瀕している業界に直接給付などの施策がないと、生き残れません」

 また、政府には今後の展望を明確に示してほしいと訴える。

「GoToトラベルがいつまで続くのか分からないと、経営計画も立てられません。今は生きるか死ぬかと言う状況。ハンコの廃止を進める前に、支援策を含め、先の見通しをしめしてほしいです」(ホテル親会社関係者)

十分な説明なしの希望退職はグレーゾーン

 労働問題に詳しい今泉義竜弁護士は、ホテル勤務だった男性のケースについて「企業側は希望退職を募る場合でも、社員にきちんと説明する必要がある」と指摘する。

「希望退職なのか整理解雇なのか、線引きが難しい場合も多い。退職させようと誘導したり、十分な情報を与えなかったりすることは、法律的にはグレーゾーン。企業側は雇用を維持するという前提に立ち、なぜ、どのような基準で、何人の社員に希望退職してもらいたいのか、財務状況など根拠を示すべきです。その上で、社員が希望退職を選択するかしないかの判断ができないといけない」

 コロナの影響で失業者は増えているものの、訴訟の場で解雇を争う例は少ないという。

 不当な解雇に当たる事案であっても、裁判では時間と費用がかかる上、再就職先を探す必要もあるためだ。

 しかし今泉氏は、こう指摘する。

「グレーな解雇を野放しにしないためにも、希望退職を求められた場合は、簡単に納得はせすにきちんと説明を求めるべきです。仮に見切りをつける場合でも、労働基準監督署や労働弁護団の無料ホットラインなど、専門家に相談してみてほしい」

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 羽生結弦教授驚かせたAI卒論フィギュアの歴史変える研究 

女性自身 2020年11月17日(火)6時06分配信

「モーションキャプチャといって、体中や指先に30本くらいのセンサーをつけ、動きを3Dで記録したり分析する技術があるんです」

 教え子である羽生結弦(25)の大学時代とその研究について語ってくれたのは、早稲田大学人間科学部人間情報科学科の西村昭治教授。

 羽生は、'13年に入学した早稲田大学の人間科学部通信教育課程を7年半かけて今年9月に卒業した。'16年ごろからは西村教授のゼミへ所属。その卒業論文は、「フィギュアスケートにおけるモーションキャプチャ技術の活用と将来展望」というもの。

 羽生が書いた卒論の文字数は3万字で、これは平均的な学生の倍はあるという。そこまで研究に入れ込めたのは、確たる動機があったからのようだ。

 まず一つは、自分の競技に生かしたいという思い。

「“いいと思ったときと悪いと思ったときではどこがどう違うのか、自分の滑っているときの感覚的なものを数値化してみたい”と。どうなると失敗で、どう兆候が表れるのか、モーションキャプチャで調べようという話になりました」以下、「」内は西村教授)

 そして、もう一つの動機は“フィギュア界の発展のために”。

「私の研究室は“遠隔教育”というのが一つの研究テーマなんです。たとえば踊りやスポーツなんかは言葉だけで伝えるのは難しいですよね。それらをインターネットなどを通じて教えていく仕組みを作れないかという研究です。

 羽生さん自身もカナダに移住していますが、フィギュア選手は優秀な指導者の近くに引っ越すことが多いですよね。ですが、遠隔である程度、教えたり教わったりできれば、わざわざ引っ越さずとも練習ができるようになる。それを実現するために、選手が跳んだり回っている動きを、モーションキャプチャを使ってデータにして、コーチと共有すればいいのではないか。

 羽生さんは、自分のことだけでなく、いろんな人のことを考えてこの研究テーマを選んだんです」

1番の成績と指導教授も太鼓判

 さらに発展して羽生が考えていたのが、モーションキャプチャ技術をフィギュアスケートのAIによる自動採点に生かすこと。

「たとえば、フィギュアスケーターのなかには、回転が足りないのに、4回転に見せかけるような、ごまかしがうまい人もいるようで。高度な技だと、審判が完全に正確なジャッジをできていないときもあるみたいなんです。羽生さんは“見えないところでごまかして跳ぶといったことも行われているけれども、それはよくない”と言っていました」

 ルール違反でも審判がOKといえばセーフ、と考えるスポーツ選手もいるものだが……。

「“それじゃいけない。ちゃんと規定があるんだから、それを順守して試合に臨んでほしい”と」

 史上初の4回転アクセルを目指す羽生としては、“ずるジャンプは許せない!”という気持ちは誰よりも強いのだろう。

 こうした“正義の魂”が込められた研究は、卒業論文として7月に書き上げられた。

「羽生さんが卒論を本格的に書き始めたのは3月ごろでした。幸か不幸か、コロナの影響で5~6月のアイスショーが中止になって、卒論に集中できたのでしょうね。出来も非常によく、私の受け持ちのなかでは1番の成績をつけました。文章もうまいんです。

 私自身、彼の卒論で新しい発見もありました。曖昧な部分もあるフィギュアの採点をAIを使ってクリアにする。この研究を続けていけば大がかりな装置も必要なく、普通のテレビカメラでもなんとかなるという可能性を示してくれました。これは本当にフィギュアスケートの歴史を変えるような研究になるのではないかと思います」

 研究段階とはいえAIによる採点は本当に実現可能なのだろうか。

「あとはもうデータさえとれれば技術的には実現できます。羽生さんだけでなく何十人かの選手を集めて、モーションキャプチャと映像でいろんな技のデータをAIに学習させるんです。それをスケート連盟とオフィシャルデータとして共有すれば、どこでも使えるようになるでしょう」

先生に褒められたのがうれしかった

 研究のために定期的に連絡を取り合っていたとはいえ、主なやり取りはスカイプなどネット上だった羽生と西村教授。それだけに、実際に顔を合わせたときの思い出は強く心に刻まれているそう。

「羽生さんと直接、会ったのは4~5回ほどですね。アイスショーの後に研究の打ち合わせを兼ねて会ったときのことが印象に残っています。彼はショーが終わったのにずっとスケート靴を履いたままで、靴を脱ぐ間も惜しんでファンと写真を撮ったりして触れ合っているんです。本当にファンを大切にしていて、自分は最後にするんだなと思いました。

 私のところにも『先生、一緒に写真を撮りましょう』と言って来てくれて。そのときの写真はいまでも大切にしてあります」

 羽生の両親とも会ったことがあるという。

「お母さんは羽生さんの体調をすごく心配されていました。お父さんもケガやプレッシャーに悩む息子さんを見ていてつらかったと思います。お2人とも奥ゆかしいというか、それでもお子さんへの愛情が感じられて、やっぱり羽生さんのご両親だなと感じました」

 卒業直前、西村教授は羽生にこんなことを言われていたという。

「日ごろ、論文のやり取りで彼からは感謝の言葉をたくさんもらいましたが、“先生に褒められたのがうれしかった”と言ってくれたのが、いちばんうれしかったですね」

 最後に、多忙の合間を縫って卒業した羽生へ激励のエールを送る。

「少し休む時間があったので、まずはコンディションをしっかり元に戻して、焦らずにゆっくり再始動していただければと思いますね」

 羽生の研究が、フィギュアスケート界を変える日も近いかもしれない――。

 羽生結弦卒論3万字ゼミ教授が語った凄すぎた大学生活7年 

女性自身 2020年11月17日(火)6時05分配信

「入学時は今ほど有名になられる前でした。でも数年たったら“国民栄誉賞を”なんて言われる人間になっていったので。これは無理難題な課題を出してスケートがうまくいかないってことになったら大変だと。むちゃをさせたらいけないなぁと思いましたね(笑)」

 穏やかな口調で羽生結弦(25)の大学時代を話してくれたのは、早稲田大学人間科学部人間情報科学科の西村昭治教授。

 羽生は、'13年に入学した早稲田大学の人間科学部通信教育課程を7年半かけて今年9月に卒業。在学中は五輪で2度の金メダルを獲得し、数々の世界大会で優勝するなど、フィギュア選手として輝かしい活躍を見せてきた。

 西村教授は、そんな羽生が所属したゼミの指導教員で、卒業論文まで研究を見守ってきた人物だ。初めて羽生と顔を合わせたのは'12年の秋のことだという。

「大学入学前にパソコンを使ってスカイプで面接を行ったんです。そのときから“この人はただスケートだけをやればいいとは思ってないんだな”という印象でしたね。たとえば、彼は帰国すると積極的に日本の伝統芸能を見学していたようです。フィギュアだけでなく、それに関連するさまざまなことに興味を持っていたんです。

 少し話しただけでも“勉強したい、研究したい”という彼の熱意がひしひしと伝わってきました」(以下、「」内は西村教授)

 当初から、広い視野としっかりした考えを持って勉学に励む覚悟があったようだ。本人がインタビューで、大学進学について次のように語っていたこともある。

《陸上や野球はすごく科学的にも証明されていることが多いのに対し、スケートは、これだけ人気になってもまだまだ解明されていない部分が多いように感じます。だからこそ、自分で考えなきゃいけないし、それゆえの面白さもある。スケーターとしての視点の幅を広げたいというのが、大学進学を決めたきっかけです》('14年1月1日の産経新聞)

抑えめの課題を出しても3倍はやる

 在学中は、オフの日にまとめて授業をオンデマンド受講し、遠征の移動の飛行機の中でレポートを書く日々が続いていたという。そして、'16年ごろから西村教授のゼミへ所属。

「カナダにいる羽生さんとは時差の関係もあり、基本的に毎週月曜日に、研究の進捗報告を彼にメールしてもらい、私がフィードバックを返信するというかたちを繰り返して、授業を進めていきました。ほとんど個別指導でしたね」

 羽生はどんな内容の研究に取り組んでいたのだろうか。卒業論文は、「フィギュアスケートにおけるモーションキャプチャ技術の活用と将来展望」というものだが……。

「モーションキャプチャといって、体中や指先に30本くらいのセンサーをつけ、動きを3Dで記録したり分析する技術があるんです」

 羽生は研究のために、自らの体にセンサーをつけてジャンプを跳び、デジタルデータ化したという。

「これはなかなか1人で設定するのは大変で。でも、『仙台まで行って手伝おうか?』と私が言っても、『いやいや、なんとか自分でやります』と。彼はすぐに機械の使い方を理解して、使いこなせるようになっていましたね。私だったら、“そんなにセンサーをつけて1人でデータをとるなんて嫌だな”と思うのですが、彼はしっかり1人でやっていたから、すごい人だなぁと思いました。

 やっぱり自分が納得しないと気が済まないみたいで、抑えめの課題を出しても私が言った3倍はやるんです。だから、羽生さんに『そんなにやらなくていいよ。もっとゆるく、ゆるく』と言うのが私の仕事になっていましたね。

 彼の卒論も文字数にして3万字ほど。平均的な学生の倍はあります。完璧を目指している人なので、本当は10万字くらいは書きたかったんじゃないかと思いますね」

 常に努力を惜しまない、実に羽生らしいエピソード。選手としてだけでなく、研究者としての姿勢も“超一流”レベルといえそうだ。

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 羽生結弦ひたすら勉強してました書き終えた卒論”…コロナ禍の今を語る 

日テレNEWS24 2020年8月25日(火)18時53分配信

「勉強してました。ひたすら」――。フィギュアスケートの羽生結弦選手(25)はそう振り返ります。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、金メダリストはどんな思いを抱いているのか。“コロナ禍の今”について語りました。

突然のシーズン中止逆にホッとした

 今月13日。新型コロナウイルスの感染拡大が続く“今”について、羽生結弦選手は。

「不思議だなって思っている。自分の中でこれから世の中が変わっていくのかな。その変わり方がどういう風に変わるのかなとか」

 世界を変えた新型コロナウイルスのパンデミック。羽生選手が感染拡大を実感したのは今年2月。当時、集団感染が起きていた韓国で行われた試合でした。

「体温測って(会場に)入ったり。みんなマスクしてないといけないとか」

 試合直前までマスクをつけるのは初めてのこと。

「かなり重々しい空気もありましたし、これは本当に大変なことなんだなっていうのはずっと感じながら試合をやっていた」

 去年は埼玉で行われた世界選手権は、今年は中止に。シーズンは突然、終わってしまいました。

「世界選手権がなくなったときはモチベーションの喪失感はあった。逆にほっとしたという気持ちもすごくあった。試合に出るのも怖かったんですよね。あの時は」

 現在は感染対策に取り組む日々が続いています。

「出来る限りのところでマスクをして、出来る限りのところで全て消毒して」

 感染対策は練習中も。

「何をするにもこれ大丈夫かな、あれ大丈夫かなっていうのが常に脳裏にちらついている。練習にしっかり集中できないというのはある」

 例えば、スケート靴はウイルスの多い床と接触しますが、練習の際は手入れが必要です。また、羽生選手はルーティーンでリンクに入る前にエッジケースをおでこにつけますが・・・。

「スケート入るときにエッジケース外しておでこにつけるじゃないですか。ああいうのも結局、床に触れちゃってるので。気をつけないといけないと思う。この状況下では怖いと思う」

勉強してました。ひたすら卒論書き終え

 一方、例年、6月には決まる新シーズンの出場試合もまだ正式発表はなく、不透明な状況です。

「(新シーズンが)本当に始まるのかな、始まらないのかなっていう気持ちもなくはない」

 夏のアイスショーも軒並み中止。練習時間も削られる中、羽生選手が動いていたことがありました。

「勉強してました。ひたすら」

 早稲田大学の通信課程で人間情報科学を専攻しスケートと両立してきた羽生選手。卒業論文を書いていたといいます。

「フィギュアスケートにおいてモーションキャプチャ技術をどれだけ使えるか、どういう展望があるかをまとめた論文です」

 羽生選手の卒業論文。3Dモーションキャプチャによるジャンプの研究です。自らの体に動きを記録するモーションキャプチャをつけ、実際にジャンプを跳びました。それをデジタル化。3回転半ジャンプ=トリプルアクセルの細かい動きがわかります。

 世界トップの技術を持つ羽生選手ならではの研究で、将来的に選手の技術の向上やAI採点などスケート界の発展に役立てたいと願っています。

「練習する時間が少なくなってしまったからこそ、勉強にすごい集中できていて自分の論文を完成させられたことが、一番動いたことかなって思います」

4回転アクセルへ原点に返って

 卒業論文は7月末に書き終え、現在はスケートの練習に集中。世界初の4回転半ジャンプ、 4回転アクセルの練習に取り組んでいるといいます。

「自分が一番いまスケートをやっていて大事にしないといけないのは(4回転)アクセルだと思っている。ある意味この時間は原点に返って今まで自分が多くの先生に習ってきたことを考え直しながら練習できる時間にはなっている」

 一方で感染拡大が続く現状について。

「医療の最前線でウイルスと戦っている方々ってすごく大変だと常日頃感じている。雇用主の方々、本当に生きるためにどうしたらいいかって思いながら。でも雇っている方々をなんとか養わなければいけない。本当に苦しい世の中だと思う」

 この状況で、自分に出来ることとは。

「パンデミック、第二波という状況と戦わないといけないのは僕たち一般人が一番戦わないといけない。ウイルスをまずは自分に感染させない。そこから広げないことが一番の皆さんへの応援(になる)。感染拡大につながるような行動をしないという選択をしているだけで、僕たちは回復した未来に向かって動けているんだなって思っている」

 再び、人々の前でスケートが出来る未来へ。金メダリストは動き続けます。

「早く皆さんの前で思い切って少しの不安もなく、少しの心配もなく、自由に演技して自由に声を出して自由に笑える、自由に泣ける。そんな日が来ることを願っています」

 

2020年11月15日 (日)

【RCEP】15カ国「東アジア地域包括的経済連携協定」署名✍世界最大の自由貿易圏か

 日中など15カ国✍RCEP署名、世界最大の自由貿易圏が誕生 

ロイター 2020年11月15日(日)15時41分配信

 日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。世界最大の自由貿易圏が誕生する。

 署名したのは日中韓とASEAN10カ国のほか、オーストラリア、ニュージーランドの合わせて15カ国。米国は参加していない。インドは昨年11月に交渉から離脱したが、ASEANは、復帰への扉は開かれているとしている。

 RCEP協定は向こう数年間に、多くの分野で関税の段階的な引き下げを目指す。議長国ベトナムは、RCEPは世界経済の30%、世界の人口の30%に相当し、22億人の消費者をカバーすると強調した。

 ベトナム商工省の高官は、RCEPは「工業製品や農産物の関税の引き下げもしくは撤廃、データ送信に関するルール策定につながる」と説明した。

 米政府がアジアにどの程度関与する意向なのか不透明な中、今回のRCEP協定署名により、東南アジアや日韓の経済パートナーとしての中国の地位がさらに強化されるとみられる。中国が今後、域内の通商ルール形成を主導する可能性もある。

 対中貿易赤字拡大懸念離脱も、将来の参加に含み 

聯合ニュース 2020年11月15日(日)16時35分配信

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、世界最大規模の自由貿易協定(FTA)となる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について、「地域を超え、多国間主義の回復と自由貿易発展に寄与すると確信する」と述べた。青瓦台(大統領府)の康珉碩(カン・ミンソク)報道官が会見で伝えた。

 文大統領はオンライン形式で開かれたRCEP首脳会合で、「新型コロナウイルスや保護貿易の拡散、多国間貿易体制の危機の中で、若くて力動的な東南アジア諸国連合(ASEAN)が中心となり、自由貿易の価値の守護を行動に移した」と評価した。「歴史的な瞬間」とも表現した。

 韓中日やオーストラリア、ニュージーランドなど15カ国の首脳はこの日、RCEPに署名し、その意義を盛り込んだ共同宣言を採択した。

 RCEPは当初、インドを含め16カ国で交渉を開始したが、同国は対中国の貿易赤字拡大を懸念し、昨年交渉から離脱した。

 これについて、文大統領は「長い間、交渉を続けてきたインドの迅速な加盟を望み、加盟国の積極的な努力を期待する」とコメントした。

中国にらみ日本主導、インド参加に「RCEP特別文書採択

産経新聞 2020年11月10日(火)20時57分配信

 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などでつくる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)をめぐり、交渉から離脱したインドがほぼ無条件で即時加入できることを規定した特別文書を採択することが分かった。15日に予定するRCEPの首脳会合で正式に発表される見通し。中国の台頭をにらみ日本が主導した。複数の政府関係者が10日、明らかにした。

 RCEPは2012年に16カ国で協議を始めたが、安価な中国製品の流入などを警戒したインドが最終局面で離脱した。インドを除く15カ国は、今月11日にオンラインで開く閣僚会合を経て、15日の首脳会合で協定への署名を行う方向だ。

 日本は、インドがRCEPにとどまるよう説得を続けてきた。離脱が決まってからは、インドが参加しやすいよう協定とは別に特別文書の策定を提唱。RCEPは一定期間、新規加入を認めない方針だが、インドは例外とすることなどを明記した。外務省幹部は「市場アクセスなど最低限の交渉は必要だが、インドが望めば即時参加できる環境を整えた」と語る。

 日本がインドの参加にこだわるのは、中国を見据えた外交戦略の一環でもある。RCEP参加国のうち、1割のGDP(国内総生産)と4割の人口を誇るインドの離脱は、参加国の中で中国の存在感が相対的に増すことを意味する。一方、インドが将来的に参加しやすい道を残せば、中国の台頭を抑えることにもつながる。

 インドは米国やオーストラリアと並び、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の主軸の一角でもある。政府はRCEPにインドが加入すれば、自由貿易の推進を柱とする「FOIPの発展」(外務省幹部)にもつながると判断している。

 RCEP署名、インド復帰にらみ始動する“巨大経済圏 TPPとの重複解消カギ 

産経新聞 2020年11月15日(日)23時38分配信

 地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉は15日、インドを除く15カ国の枠組みでまとまった。インドを通じて中国の影響力拡大を抑え込みたい日本は、インドを含む16カ国での署名を目指したが、交渉の席に引き戻すことはできなかった。特例措置でインド復帰の可能性を残しつつ、15カ国による新たな巨大経済圏が動き出す。

 インドは昨年11月の首脳会合で離脱を表明して以降、交渉の舞台から遠ざかってきた。RCEP交渉国11カ国に対して貿易赤字を抱え、特に対中貿易赤字は2019年時点で約487億ドル(約5兆1千億円)と巨額。RCEPへの参加により中国などからの輸入増大を懸念する声が国内に広がっていた。そこに、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。

 インド離脱で懸念されるのが中国の影響力拡大だ。インドはRCEP参加国のうち、GDPで約1割、人口で約4割を占める。民主主義や法の支配の価値観を共有する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現を、外交・安全保障戦略の柱とする日本にとって、価値観を共有するインドは対中国の牽制役との期待があった。

 16カ国の枠組みの中でサプライチェーンを構築しようとしていた日本企業への影響も少なくない。日本政府が中心となり、ぎりぎりまでインドに交渉復帰を働きかけてきたが、署名式にインドの姿はなかった。

 一方、複数の自由貿易協定(FTA)が重複することで、それぞれの関税や規則などが絡み合い、貿易が混乱する可能性があるとの見方もある。現にオーストラリアなど7カ国はRCEPと環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に重複参加する形になる。

 キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「重複の問題を避けるには、将来的に一つの大きなFTAに関係国すべてが参加することが望ましい」と話す。RCEPには中国が参加することから、国有企業など中国の経済活動を規律するようなレベルの高いルール作りは期待できない。このため山下氏は「国有企業などですでに高い規律を持つTPPにまずは米国が復帰し、中国などの参加を促すことが有益だ」と指摘する。

 民主党内の反対意見などもあり、米国のTPP早期復帰は厳しいといった見方もあるが、この点で来年、TPP議長国を務める日本のリーダーシップが求められそうだ。

 RCEP合意 台湾への影響「限定的」中国不参加TPP加入目指す 

フォーカス台湾 2020年11月15日(日)19時18分配信

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉に15カ国が合意し、署名したことについて、鄧振中(とうしんちゅう)行政院政務委員(無任所大臣に相当)は15日、中央社の取材に応じ、台湾への影響は限定的だとの見方を示した。また、中国が参加していない環太平洋経済連携協定(TPP)への加入こそが蔡英文(さいえいぶん)政権の目標だとも語った。

 台湾への影響が限定的である理由として、RCEPの貿易自由化の水準がTPPより低いこと、既存の貿易協定が土台となっていること、インドが交渉から離脱したことを鄧氏は挙げた。

 また、RCEP に署名した15カ国に台湾が輸出している製品のうち、7割がゼロ関税の対象であるICT製品であることにも言及。残り3割の機械や鉄鋼、紡績などの産業が影響を受けるとしつつ、打撃はそこまで大きくならないとした。ただ、これまで自由貿易協定を結んでいなかった日中間や日韓間などの市場で、台湾企業にどれだけの影響があるかについては観察する必要があると分析した。

 鄧氏は、初期は台湾もRCEP参加を模索していたが、中国の圧力が背景にあったことを指摘。蔡政権が2016年に発足してからはTPPへの参加と東南アジアや南アジア諸国との関係強化を目指す「新南向政策」の推進を目標としてきたと紹介した。中国が未参加のTPPには加入できる可能性が高い上、複数の参加国がRCEPと重複していることや、TPPが高い水準の自由化を掲げていることなどから、台湾にとってより利益が大きいとの考えを示した。

 王美花(おうびか)経済部長(経済相)は同日、経済部(経済省)でメディアの取材に応じ、他国が自由貿易協定を結んできた中で、台湾はすでに長年のプレッシャーに耐えてきたと言及。今後は台湾の競争力をさらに向上させていく方針を示し、TPP参加に向けても引き続き努力を続けていくとした。

 日本AIIB削除要求、中国インド太平洋反対ASEAN声明応酬 

産経新聞 2020年11月12日(木)21時16分配信

 日本政府が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議でまとめられる成果文書をめぐり、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)や巨大経済圏構想「一帯一路」に関する文言の削除を求めていることが12日、分かった。一方、中国は日本が主導する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を念頭に、地理的概念を含む「インド太平洋」を盛り込むことに反対しており、日中両国がASEANを舞台に牽制(けんせい)し合っている形だ。

 ASEAN外交筋が明らかにした。それによると、中国政府は14日にテレビ会議形式で開かれるASEANと日中韓3カ国(ASEANプラス3)の首脳会議、米露も含む東アジア首脳会議(EAS)などでまとめる声明で、AIIBに言及するよう主張。日本は「特定の国がイニシアチブ(主導権)を持つ内容を入れるのは不適切だ」と反対し、米政府なども同様の立場を取っているという。

 昨年11月のASEANプラス3では交通インフラの整備などを盛り込んだ「連結性イニシアチブ」に関する共同声明でAIIBに言及した。だが、AIIBなどを活用したインフラ投資の結果、中国が返済に窮した発展途上国に政治的要求を突き付ける「債務の罠(わな)」が関係国の懸念を招いており、日本による削除要求はこうした動きを牽制する意味もある。

 一方、中国側は日本主導のFOIPを連想させる文言を成果文書の草案から削除するよう要求。ASEANが昨年6月に採択した「インド太平洋に関するASEAN・アウトルック(AOIP)」にも反対している。中国は昨年のEAS議長声明などでAOIPへの言及を認めたが、日米が主導する対中封じ込めにつながる恐れがあると警戒を強めたとみられる。

中国の「RCEP締結」推進は「外交的クーデター

WoW!Korea 2020年11月13日(金)12時16分配信

 中国を含めたアジア・太平洋地域の15か国が、今週末 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を締結すると、米国のブルームバーグ通信が12日(現地時間)報道した。

 全世界の総生産および人口の約3分の1を占めるRCEPは、中国がここ10年近く 積極的に推進してきた協定である。日本からオーストラリアとニュージーランドにまで至る参加国たちを対象に、関税引き下げ、共通原産地規定による供給網強化、新たな電子商取引の条項などを目標にしている。一時はインドも参加していたが、昨年 対中貿易赤字への憂慮から不参加を宣言した。

 RCEPの15か国は今月15日、ベトナムが主催するASEAN(東南アジア諸国連合)のTV会議で、協定に署名する。RCEP協定が通過すれば、米国およびその他の多国籍企業にとって不利に作用する可能性があると、ブルームバーグ通信は説明した。ドナルド・トランプ米大統領は去る2017年に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を脱退している。

 中国は米国との摩擦が激化する中、RCEPを貿易関係が多角化できる機会とみなしてきた。RCEP協定の進展は、TPP脱退により この地域で中国とその隣国たちとの経済的バランスをとろうとする米国の影響力が、どれほど縮小されたのかを表している。

 ただ トランプ大統領とは異なり、ジョー・バイデン氏はTPPに再び加入する可能性が高い。

 S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋担当チーフエコノミストのショーン・ローチェ氏は「中国はRCEP推進により、一線を越える外交的クーデターを起こした」とし「RCEPはTPPと比べて浅いが広範囲であり、最近のような保護貿易主義時代には珍しく、多くの経済と商品を合わせもっている」と語った。

 ビル・クリントン米行政府当時 貿易を担当していたウィリアム・ラインシュ 国際戦略研究所(CSIS)上級顧問は「RCEPが地域的な力動性を中国に有利に変えるかは、米国の対応にかかっている」とし「もし 米国がその国々を無視しつづけ むやみに対するなら、振り子は中国の方に向かうだろう」と語った。

 バイデン勝利文在寅特使派遣日韓関係修復を焦る理由 

現代ビジネス 2020年11月16日(月)6時31分配信/武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)

文在寅の特使がやってきた

 11月8日、朴智元(パク・チウォン)国家情報院長が訪日した。

 今回の朴氏の訪日は行き詰っている日韓関係の突破口を作ることが任務で、事実上の文在寅大統領の特使という扱いである。菅義偉総理との面談を求め、文在寅大統領の意見を口頭で伝えたという。

 朴氏は菅総理及び二階幹事長との会談で、小渕総理と金大中大統領(いずれも当時)が発表した「日韓共同宣言…21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」に続く新たな首脳同士の政治宣言で日韓関係を解決して行こうと提案した由である。

 これまで韓国側からは、徴用工問題解決のため、様々な形の財団設立案などが提案されてきたが、いずれも日本側として受け入れられる案ではなかった。

 今回韓国側から提案され政治宣言案に関し、与党民主党の尹建永(ユン・ゴンョン)議員はMBCのラジオインタビューで「実現の可能性があるかは別として」「文・菅宣言は一度首脳間においてビッグディール方式でやってみようというもので十分に検討のできる案」と述べた。

 尹議員は4月15日の総選挙で初当選した議員であるが、それまで青瓦台の国政状況企画室長をしていた文在寅氏の腹心であり、この案は文在寅氏の了承を得たものと考えていいだろう。

 徴用工問題が両国で直ちに解決することは難しいことから、まず指導者が大きな枠組みで未来志向的に進んでいこうという約束、すなわち政治宣言をすることで関係改善の転換点とみなすことができるようにしようという趣旨だと韓国側は説明している。

 これに対し、毎日新聞は、日本政府は「非現実的」という立場を表した、と伝えている。朝日新聞も「徴用工問題がある中で現実的ではない」と報じている。

 また、時事通信によれば、徴用工の問題について菅総理は「非常に厳しい状況にある日韓関係を健全に戻していくきっかけを韓国側が作ってほしい」と応じたという。徴用工問題で日韓請求権協定に違反する状況を韓国側から作っておきながら、それを棚上げして、日韓関係を未来志向的に進めていこうという考えに日本側が同意できないのは当然である。

 いずれにせよ、この提案によって日韓関係改善のため前進したとは言えないだろう。

韓日議員連盟も動き出す

 韓国からは11月12日、韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョウ)会長ほか7人の議員も日本を訪問、成田空港で会長は「韓日間の懸案に対し両国首脳が会って政治的決断をする時期になった。議員連盟が中心となって友好的な環境になるよう努力したい」と述べた。

 議員団は同日日本側と合同幹事会を開催。同会長は冒頭、「政界がすべきことはこのように韓日の懸案が難しい時こそ発想を少し変えること」と訴えた。

 韓国の報道によれば、日本側の額賀会長は「日韓共同宣言」に触れたうえで、「大局的見地で新たな日韓関係が作れるよう互いに努力できればうれしい」と応じた由である。

韓国が日韓修復を急ぐわけ

 韓国側の言う発想の転換が「政治宣言」のことか。徴用工という日韓間の懸案を避けて関係を改善する方策として、どのような意味があるのか。

 韓国側が「政治宣言」で問題を解決しようというならば、徴用工問題に対する文在寅氏の認識が変わらなければならない。

 これまで私の長い外交官生活の中で、日韓関係が膠着した時に、日韓の議連には問題解決の根回し、環境整備の面で大変お世話になった。しかし、議員連盟が日韓間の間で調整に入るのであれば、より具体的かつ率直な議論を経る必要があり、それに耐える人間関係が必要である。現在の文政権に近い韓国側の議連幹部とそのような人間関係を築くのは難しいであろうし、文在寅氏に対する影響力もないだろう。

 日韓の議連の努力には敬意を表するが、本当に関係改善に成果を上げるのであれば、お互い儀礼的な発言を繰り返すのではなく、率直で厳しいやり取りがあってもいいのではないか。

 文在寅氏は、バイデン氏が大統領に就任すれば日韓の関係修復を求めてくると予測している。

 しかし、政府間では先般の外務省局長レベルの会合が平行線に終わり、日中韓首脳会談のソウル開催の道筋もつかないことから、政治家レベル、議員外交を通じて糸口を模索しているのであろう。

 韓国とすれば、バイデン政権に一番期待していることは北朝鮮との対話、関係改善、北朝鮮への制裁緩和である。これの障害となる状況は少しでも取り除いておきたいのであろう。そのためには、日韓関係の改善は不可欠である。

 日韓関係を改善したいのであれば、単に窓口を変えるのではなく、徴用工問題の抜本的な解決に向けて韓国政府の実質をともなう大胆な決断が必要である。

小渕金大中宣言の認識

 日韓友好を政治宣言で確立しようという韓国側の考え方が非現実的なのは、その環境が整っていないということである。

 小渕・金大中両首脳でまとめられた98年の共同宣言は、小渕総理が「日本が韓国に」という具体的な国名を入れて、「過去の植民地支配に対する日本の反省とお詫び」を文書化する一方、金大中氏は「(小渕総理の」歴史認識の表明を真摯に受け止め、これを評価する」「両国が過去の不幸な歴史を乗り越えていこう」と宣言したものである。

 この宣言の起草に関わった崔相龍(元駐日大使)によれば、金大中氏が「過去を乗り越える」というには大きな決断が必要だったが、それができたのは金大中氏が「日本は第2次大戦後変わった」「日本国民は汗と涙を捧げて平和民主主義の発展」に尽力してきたことを認めたからだという。

 日本人の感覚から見れば、「日本が民主主義国である」というのは当たり前のことであるが、韓国では「日本が右傾化・保守化している、軍国主義が復活しないか心配」という見方が一般的である、というより政治家やマスコミがそのように煽っていると見た方がいいだろう。

 それを否定し、日本が民主主義国になったというのは勇気のいることであるという。それをできたのは、金大中氏が民主主義の旗頭だったからだろう。

 金大中氏は、言葉だけで日韓関係改善を言ったのではない。金大中氏の日韓関係に果たした大きな業績の一つが、日本文化を韓国で広めることを認めたことである。それは日本にとって好ましいことであった。同時に韓国の大衆文化が急速に発展し、「韓流ブーム」を引き起こす土台となった。金大中氏が行ったことは日韓にとってウィン・ウィンだったのである。

文在寅の歴史認識は金大中とは真逆

 しかるに文在寅氏はどうか。日本は「歴史問題で謙虚であるべき」「日本は歴史問題を政治利用している」と歴代政権の中で最も過去の日本にこだわっている大統領である。日本の自衛隊機に韓国軍レーザー照射をしながら、自衛隊機が低空飛行してきたからだと偽りの言い訳をしており、自衛艦が旭日旗を掲揚して韓国に来ることを拒否している人である。

 日本が民主主義国だと認めていればこのようなことは起きないだろう。要するに金大中氏とは日本に対する認識が180度違うのである。

 徴用工の問題を解決しようというのであれば、文在寅氏の歴史認識から改めてもらう必要がある。しかし、文在寅氏は国内でも「漢江の奇跡」の否定、「光州事件の歴史」の修正など、一方的な歴史認識を韓国国民に求めている人である。

 このように歴史の事実を自分の都合のいいように変える人とどのような政治宣言ができるのだろうか。

文政権になって以降の政治宣言

 韓国元老知識人67人(市民団体「東アジア平和会議」座長李洪九)は2019年8月12日、日韓関係の平和的解決方法を求める声明を発表した。声明は「日本政府は韓国人に与えた苦痛と悲劇に対する深い理解と謝罪の姿勢を、韓国政府は日本人の戦後の経済発展と東アジアへの平和寄与を認めて和解の心を持つことが重要」と述べている。

 朴智元氏が持ってきた構想は、こうした知識人の考えがベースにあるのかもしれない。

 この考えは小渕・金大中宣言に近いものであるが、日本にして見れば「なぜまた過去の歴史を反省し謝罪しなければならないのか」との思いがある。金大中氏の時に「過去の歴史を乗り越えた」のではないのか。韓国側が歴史を持ち出すたびに「反省と謝罪」を述べなければならないのか。

 また、「日本が韓国の発展に多大な貢献をした」ことも認めて欲しい。それは日本に感謝しろという趣旨で言うのではなく、それを認めることにより、いつまでも反省だ、謝罪だ、と言わなくて済むようになるからである。

 この声明には、両国が遵守すべき行動要領が示されている。

韓日間の葛藤拡大姿勢の自制

日本政府の報復姿勢撤回

多方面の直接対話を直ちに再開

過去の協定及び約束と関連する両政府の持続的な交渉

 この行動要領には賛成できるものもあるが、日本側として納得いかないものがある。

 ◇「日本の報復姿勢の撤回」というが、戦略物資の個別許可制導入は、韓国側の管理に問題があったためである。◇「協定及び約束斗関連する両政府の持続的交渉」とあるが、日本としては「交渉」ではなく「遵守」を求めたい。仮にそこに解釈の疑義があるのであれば、それは「仲裁」によって解決すべき事項である。

日本には徴用工の問題でできることはない

 この韓国側の声明は、7月25日、日本の和田春樹氏など日本の各界指導者77人から「韓国は敵なのか」というタイトルで出された知識人宣言への回答として出されたものである。その内容は、日韓間の葛藤中断及び協力再開を求める内容の声明であるという。

 日韓の問題は政治宣言を出したからと言って解決できるものではない。それは韓国側、特に文在寅氏の歴史認識、政治姿勢が変わらないと難しい。

 文在寅氏は11月11日、青瓦台で外交安保分野の元老や・特別補佐官らと昼食懇談会をおこなった。それはバイデン氏との電話会談を控えての意見交換だったという。そこでは北朝鮮の核問題への対応が中心であったが、日韓関係についても話が及んだ。

 その中で文在寅氏は「韓日関係の解決は日帝被害者の同意と合意が先決条件で、韓国と日本の立場の隔たりが大きすぎて克服することが容易ではない」と述べた。出席者によれば「文大統領は韓日関係をどのように解決していくか苦心しているように見えた」という。

 文在寅氏の言うように徴用工問題に関する日韓の隔たりは大きい。しかし誰が大きくしているかと言えば文在寅氏である。金大中氏は日韓の歴史問題を乗り越えていこうといった。文在寅氏は歴史問題を新たに作り上げ、それに執着している。

 文在寅氏は被害者中心主義を言うが、日韓の間では個人の請求権の問題は解決している。問題が残っているとすれば、韓国政府と被害者の関係である。日本は国交正常化交渉の際、個人補償も打診したが、韓国政府はこれを断り、被害者への手当は韓国側ですると言い切った。今更日本に何を求めるのか。日韓の隔たりが大きいというのは、その大前提を受け入れていないからである。

文在寅氏の対日姿勢の転換が必要

 文在寅氏は日本とは徴用工の問題は対話で解決するといった。しかし、対話で解決するのであれば、請求権協定に見解の相違があれえば「仲裁」で解決すると規定されている。

 なぜ「仲裁」を拒むのか。文在寅氏にとって都合のいい、大法院判決を前提とする対話に固執するからである。これは日本側にとって話し合いの前提とはならない考え方である。

 日本としても、日米韓の連携強化のためには日韓関係改善を進めたい。特に長年日韓関係に携わってきた人間としてはなおさらである。しかし、これを妨げているのは文在寅氏その人である。文在寅氏が日韓関係に対する姿勢を転換するのが最善かつ唯一の方策である。

 海図の「日本海表記継続、韓国要求の「東海」併記却下 

読売新聞オンライン 2020年11月17日(火)5時01分配信

 韓国が日本海の呼称に「東海(トンヘ)」の併記などを求めている問題について、国際水路機関(IHO)の総会は17日未明、日本海と単独表記する指針の継続を暫定承認した。各海域を名称ではなく、数字で表記するデジタル版の海図を新たに作成する方針も合わせて暫定承認とした。

 日本政府関係者が明らかにした。オンライン形式による総会は16~18日の日程で開催され、IHOの事務局長案として日本海単独表記の指針継続とデジタル版海図の作成が提案された。総会は出席国による全会一致が原則で、日本政府関係者によると、韓国を含め加盟国から明確な反対は出なかった。IHOが総会の報告書を月内にまとめ、正式に承認される。

 IHOは各国が公式の海図を作成する際に参考にする指針「大洋と海の境界」を作成している。指針には各海域の名称が記載されており、日本海の海域は1928年の初版から現行版の第3版(53年作成)まで「Japan Sea」と記され、日本海単独表記の根拠の一つとなっている。

 

2020年11月14日 (土)

【座間9人殺害】公判✍躊躇なく“殺害と解体”を重ねた白石被告

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年10月30日(金)6時01分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

「寝ている姿を見て、レイプしようと…」5人を殺害し、変質していった白石被告の“犯行動機”

「金払いがいいので、帰そうと思っていました。しかし、寝ている姿を見て、レイプしたくなりました」

 2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判員裁判で、10月28、29日、福島県の女子高生・Fさん(当時17歳)が殺害された事件の証拠調べと白石隆浩被告(30)の被告人質問が行われた。

家族や容姿、恋愛などで悩んでいた

 タクシー代や飲食代を支払うFさんから、お金を引っ張れるかどうかを見極めている最中だったにもかかわらず、「寝ている姿を見て興奮した」などと語り、これまでの殺害動機とは違う話をした。また、Fさんの友人たちが、白石被告の家に行くことを止めていたことも明らかにされた。

 冒頭陳述によると、Fさんは家族や容姿、恋愛などで悩んでいた。これまでにも家出の経験があり、小学生の頃、父親の母親に対しての暴力を目撃したことがきっかけだった。このときはすぐに警察に保護されている。高校生になってからも家出をしている。1回目は、Twitterで知り合った友人宅の家で過ごすが、警察に保護された。母親の叱責を理由に、高校2年のときにも家出した。この時もネットで知り合った女性の家にいた。3回目が事件前日、9月27日だった。

 Fさんは、2017年9月18日、「首吊りか練炭希望です。つりじゃないです。#自殺募集 #自殺オフ #集団自殺」などとツイートしていた。このツイートに反応したのが白石被告だった。ただ、2人のダイレクトメール(DM)のやりとりは証拠提出されていない。

「まず、会ってお金を引っ張れるか」

 Fさんが、追跡を避けるためにアカウントを削除している。白石被告も「@首吊り士」というアカウントでやりとりしていたが、「Fさんの殺害後に消している」と答えている。理由については、証拠隠滅ではなく、「他の人とのやりとりが重なって、単純に邪魔だから」としている。そのため、2人がどんなやりとりをしていたのかは明らかにされていない。

「最初のDMは9月末だと思います。28日からはLINEのやりとりが始まります。少なくとも、DMはその1日か2日前にやりとりしていると思います。まず、会ってお金を引っ張れるか、引っ張れなければ、レイプし、殺害し、所持金を奪おうと思いました」

 DMのやりとりで覚えていることもあるという。それは「頸動脈洞反射」というキーワードだ。このとき使っていた「@首吊り士」というアカウントは、首吊り自殺に詳しく、自殺幇助をする、もしくは、同意殺人をするという設定だ。そのため、首吊りした場合に起きる現象である「頸動脈洞反射」について、Fさんから聞かれたときに、白石被告はそのことを説明したという。

「私が死ぬのを見届けてから、後から追ってくれる」

 そんなやりとりをしながら、Fさんは9月27日11時すぎに、福島駅から高速バスに乗り、17時過ぎに東京駅八重洲口に到着する。同日は、ネットで知り合った別の男性の家に宿泊。28日の正午過ぎに、相武台前駅で集合する。

 Fさんは、高2の時に家出をした先の女性に、9月17日、LINEのやりとりで、容姿のこと、恋愛のこと、仕事のことなどの悩みをあげて、「何もかもがうまくいかない。一人でいるのが怖い」などとメッセージを送っていた。その後、9月25日、「首吊り士に会う。一緒に死んでくれる人であり、私が死ぬのを見届けてから、後から追ってくれる人」と話していた。その後、「28日に、首吊り士に会う」ともLINEしていた。その女性は何かあるかもしれないと思い、当時のFさんのTwitterをスクリーンショットで保存した。

 相武台前駅で集合すると、白石被告はFさんと2人で駅前の吉野家へ行き、牛丼をテイクアウトして、自宅に向かった。

「Fさんから『ご飯食べましたか?』と聞かれたので、『食べていない』と言うと、『どこかで食べませんか?』と言われました。近くに牛丼屋があったので、2人で店に入りました」

 このときの姿が防犯カメラに写っており、法廷のモニターに示された。Aさん、Bさん、Cさんを殺害するときには、距離を離して歩いていたりしていた。すでに5人殺害しているが、警察が聞き込みにこず、逮捕もされていないことで油断していたという。また、このとき、白石被告は「お金がない」とストレートに話した。すると、Fさんは「私が払う」と言った。そのため、2人分の牛丼は、Fさんが支払っている。

タクシー運転手は「恋人同士のようにも見えた」

 その後、白石被告のアパートに行った後も、15時47分、アパート前から駅前のセブンイレブンまで行き、スイーツなどを購入した。コンビニでの代金やアパートまで戻った際のタクシー代はすべてFさんが支払っている。タクシーの運転手の証言では「男性が支払った」とされているが、そのお金はFさんのものだった。しかも、運転手からは「いちゃいちゃしているように見え、恋人同士のようにも見えた」というほど話が弾んでいた。

 こうしたことから、白石被告は「お金を引っ張れるか」を見極めていた。

「悩みを深掘りしていましたが、容姿のこと、恋人のことでした。悩みを解消してあげようと、容姿を褒めました。会う前は、死にたいなどの話はありましたが、会ってからはそうした話は出ませんでした。スイーツもかたっぱしから買い、衝動買いをすることでストレス発散をするタイプの子だと思ってました。

 金払いもいいので、お金を引っ張れるのではないかと思いました。17歳で、居酒屋のバイトと聞いていました。当時の家賃が安いので、月に5万から10万あれば、生活ができました。そのため、Fさんからは月5000円から1万円引っ張ることができればいいと思っていました」

福島県に生きて帰そうと思っていた

 部屋で宅配ピザを頼み、その代金もFさんが支払っている。食事をし、コーラで割ったウィスキーを飲みながら、ヒモになろうという流れになっていった。このとき、Fさんもウィスキーのコーラ割りを飲んでいたという。そして、話をしているうちに、白石被告が持っていた安定剤のデパスと、睡眠薬のハルシオンを勧めることになる。

「話をしていたら、不安を感じたと言っていました。そのため、『これを飲めば、安定するよ』と、安定剤を勧めました。また、(1人目に殺害した)Aさんが持っていた薬の瓶を見て、興味を示したので、その薬を飲ませました」

 この頃、Fさんは友人たちとLINEをしていた。捜索願が出されるかもしれないという話になっていた。白石被告は、Fさんからお金を引っ張ろうとしていたことから、この段階では、福島県に生きて帰そうと思っていた。Fさんを心配していた友人とのLINEでは、朝から自殺の話になっていた。以下はその一部だ。

Fさん 今日の夜、実行なんだ。遺書を置いてくるのを忘れた。親に連絡をとって、遺書を送ってほしい。

友人 自殺をするのを協力するのは犯罪になってしまうので、できない。

Fさん じゃあ、現場に(遺書を)添えることにする。

Fさんの最後のツイートは「ろれつが回らない」

 この後、2人はLINEで9時46分から10時25分の間、通話した。その後、友人は、110番通報している。そして、警察から「LINEのやりとりをやめないでほしい」と言われて、その後も続ける。Fさんが白石被告と会う直前にはこんなやりとりがあったという。

友人 どこにいるの?

Fさん ああ、心中相手のところ。あと2駅かな。

友人 どこか教えて。

Fさん 連れ戻そうとするから嫌だ。

友人 心中相手には会えた?

Fさん 場所は夜に言う。またね。

友人 どこにいるの?

Fさん 今、家だから無理かも。ごめん、死ぬ直前じゃないと通話できない。

 夕方を過ぎると、「帰るよ、信じて」と友人に送っている。同じ頃、母親にも「今から帰る」とのメッセージを送った。これは、白石被告が指示したものだった。しかし、お酒を飲んでいると、いつの間にか2人は寝てしまっていた。Fさんの最後のツイートは「ろれつが回らない」というものだった。お酒と薬が効いてきたのだろうか。

次第に変質していった「殺害の動機」

 2人は眠ってしまったが、先に起きたのが白石被告だった。そのとき、「寝ている姿を見て、レイプをしようと考えました」と証言する。Aさん、Bさん、Dさんを殺害した動機は、ヒモになれないなら、レイプして殺害し、所持金を奪うというものだった。しかし、5人目の被害者・Eさんは、見極めが曖昧なまま、帰ってしまわないように殺害している。そして、Fさんは、ヒモになれそうだと判断したにもかかわらず、レイプしようと考えた。殺害の動機が変質していっている。

「Fさんの寝ている姿を見て、起きないように性行為をするか、起きてしまったとしても、抵抗できない状態で性行為をしたくなりました。そのため、ロフトの階段の下に布団を敷き、眠っているFさんを移動させ、布団の上に仰向けで載せ、後ろ手に結束バンドで縛り、足が動かないように両膝のところをビニールテープで縛りました。ロフトの階段から吊るしたロープの輪のところに首をひっかけました。目が覚めても、すぐに失神させることができますから。両膝が宙吊り状態で、そこから性行為をしました」

 ただし、途中で、Fさんの目が覚める。その後の情景について、検察官や弁護士の質問に詳細に答えた。

「途中で覚醒したとしても呼吸ができないように、口や鼻にガムテープを貼ろうとしました。口にガムテープを貼るときは、誰のときでも、真横に貼り、さらにバツ印になるように、3枚にして貼っていました。

 しかし、真横に貼った段階で、覚醒してしまいました。そのときに、テープの片側がビラビラしていたのを覚えています。口の左側が剥がれていました。完璧に貼っていたら声がでない状態ですが、剥がれていたので、大声をあげられたら困るので、首にあるロープを使って失神させました」

きちんと回答したのは30問ほどだった

 その後の手順は、これまでの被害者と同じだ。ただ、白石被告は、一つだけ自らの回答の撤回を申し出た。

「犯行当時のことについて、先ほど、弁護側の質問に、『捜査段階の記憶のほうが新鮮なため、基本的には、裁判の証言ではなく、取り調べ段階の記憶が正しい。しかし、録音、録画しているわけではないので、100%正しいとは言えない』と言いましたが、『大まかなことでは断片的な記憶があります。しかし、具体的な時刻などはわからない』に訂正します」

 10月29日、Fさんの事件に関する弁護側の被告人質問は、検察側の後に行われた。弁護側は、細かなやりとりを含めると120問以上、質問した。しかし、白石被告は80問以上については、小さな声で「黙秘します」と続けた。一方、「はい」「覚えています」など簡単なやりとりを含め、きちんと回答したのは30問ほどだった。

「悩みは話してくれましたが、私に対して、心の底から打ち解けるのではなく、なんとなく、薄っぺらい内容であったから記憶も曖昧です」

文春オンライン 2020年11月3日(火)20時12分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

 2017年神奈川県座間市で起きた男女9人殺害事件の裁判員裁判の第15回公判が11月2日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われた。この日は、7人目に殺害された埼玉県さいたま市の高校生Gさん(当時17歳、女性)に関する被告人質問が行われた。

自転車の前カゴには被害者の内臓が…

 白石隆浩被告(30)は、検察官や弁護人の質問に対して、記憶が曖昧であり、証言に一貫性がなかった。そんななかで、Gさんの遺体の一部を買い物袋に詰め、自転車で運んだことを証言した。また、現在着用しているメガネは、Gさん殺害後に奪った現金で買ったものだったことも明らかにした。

 白石被告は、Gさんを殺害後、自転車で駅方向に向かった。2017年9月30日18時59分、アパートと駅の間の防犯カメラにその姿が映っていた。その静止画像は、証拠調べでモニターに示されていた。そのとき、たしかに、自転車の前カゴには買い物袋があった。

「大きさから推察するに、衣類やカバン、財布、そして、Gさんの内臓が入っており、線路の反対側にあるコンビニのゴミ箱に捨てに行ったと思います」

一切の葛藤なく殺害に及ぶ白石被告

 遺体を解体した後に、内臓を処分するため、白石被告は、その一部はコンビニのゴミ箱に捨てているということだ。他の部分は、燃えるゴミの集積場に捨てている。防犯カメラに映っていた時間帯の後も、ドラッグストアとコンビニで食料品を買っている。クリエイトS・Dでは、カップ焼きそば2つ、ローソンではペペロンチーノ、スモークチキンサラダ、にんにく43グラム、明治チョコレートなど。これらは食事用に購入している。検察官に「(遺体の)臭いがあったと思うが」と聞かれたが、「Gさんの頃には慣れていました。食欲も減退していません」と答えた。

 筆者の面会時には1人目を殺害した後には頭痛がしたと言っていたが、それ以降は、慣れてしまったのだろう。殺害に葛藤はほぼない。Gさん殺害後、所持金3万円程度を奪った。弁護人の質問に、白石被告は「たしか、(お札を)数えて、これだけあればメガネが買える(と思った)」と答えた。実際に、奪った現金でメガネを買っている。そのメガネは、現在、法廷でかけているものだという。

 冒頭陳述などによると、Gさんは埼玉県内に在住していた高校2年生。家族関係に悩みはあったものの、弁護側が「命を絶つほどの悩みは誰にもわからない」と指摘すると、明確に死にたい理由を周囲の人には話していないという。そんな中、白石被告の「首吊り士」のアカウントは、Gさんと相互フォローをするが、白石被告はどのアカウントでやりとりしたのか忘れている。

女性への警戒を解くための周到なやり取り

「どのアカウントでやりとりしたのか忘れましたが、(相互フォローしていたのであれば)首吊り士でしていたのだと推察します。目的は、会ってお金を引っ張れるか、そうでなければ、レイプして殺害し、現金を奪うことです。(やりとりの内容は)一緒に死にましょうだったか、殺してあげるだったかは、どちらかは覚えていません。自殺のいくつかの方法、いくつかの場所を提案し、最終的には方法として首吊りを、場所は私の部屋になるように誘導しました。首吊りが一番確実だと言ったり、公園など外で実行すると、通報されてしまうと言ったり」

 また、検察官に「なぜ首吊り以外のツイートをしないのか?」と聞かれると、白石被告は「私の部屋まで来る理由がなくなってしまいます」と答えた。また、なぜ、この段階で「(白石被告が)首を絞めるとは言わないのか?」と問いただされると、こう答えた。

「首を絞めるということは、肌と肌が触れ合う作業です。男性から女性に触れるような行動をする前提になると、女性側がひいてしまう可能性があるからです。ただし、当時、私は、一緒に死ぬつもりも、ロープで苦しませずに殺すつもりもありませんでした。Gさんにお酒や薬を飲ませ、どちらかが効いている状態になってから首を絞めて、失神させ、性行為をして、現金を奪おうと思っていました。殺害も目的です

 白石被告が、いかに女性が警戒をしない方法で会おうとしていたのかがわかる証言だ。

被害者女子高生が白石被告に会うと決意するまで

 Gさんは9月30日に、「昼食を買いに行く」と言って家を出てから、白石被告に会いに行くことになる。

 ただ、失踪する直前の9月26日から27日の間に、友人と以下のようなやりとりがあったことが示された。

Gさん 学校に不満がある。今日はずる休み。学校楽しくない。

友人 9月になって1回行ったぞ。

Gさん このままではもうダメ。屋上からダイブするか。

友人 学校からダイブ? 楽器とかできるのか?

Gさん ライブじゃなく、ダイブ。

 友人とのやりとりの中では、明確な悩みは示されていない。しかし、学校生活の悩みがあり、この友人は、心療内科や精神科に行くことを助言した。担任や母親の証言によると、9月26日、Gさんは欠席した。登校中に「具合が悪い」と母親に連絡があり、1日休んだ。帰宅後は、漫画を読んだり、スマホをいじっていた。

精神科では診察を受けられず

 9月27日には1時間目は出席したが、学校にいられない状況となり、担任が「もう少し頑張れないか?」と聞いたが、無理な様子だった。そのため、担任は母親に電話をし、帰宅させた。このとき、Gさんは精神科へ行っている。しかし、未成年のためか、診察を受けられず、母親に電話をしている。

Gさん お母さん来て。一緒じゃないとだめと言われた。

母親 なんで一緒じゃないとダメなの? どこの病院? 急に言われても行けない。

Gさん もういい。

母親 大丈夫?

Gさん もういい。治った。

 Gさんはこのとき、病院名を言わなかった。担任は翌28日、Gさんが登校後、面談した。学校に行けなくなった理由を明確にはしなかったが、Gさんは「弟が中学から不登校で、通信制の高校へ行っている。私も通信制高校へ行きたかったが、親に反対された。そのため、ベランダから飛び降りをしようと思ったことがあったが、誰かに止められた」と話していたという。担任は「お母さんも心配している」と言ったものの、心には響かない様子だったという。

「昼食を買いに行く」が最後の一言となった

 9月30日10時30分すぎ、Gさんは「昼食を買いに行く」といい、家を出る。Gさんは、いつもなら近所のスーパーに行くときにはスリッパを履いているが、このときはスニーカーを履いていた。

母親 なんでそんなの履くの?

Gさん いいじゃん

 Gさんは、家を出たあと、10時49分、ゆうちょ銀行で2万円を引き出した。この2万円を引き出したのは、白石被告の指示だったのか? 検察官の質問には指示だったと回答したが、「捜査段階では、指示していないと答えている」と紹介されると、「捜査段階のほうが記憶が鮮明ですので、そちらが正しい」と述べた。

 こうしたやりとりは、この日の質問では多かった。これまでの面会で、「最初の3人目までは覚えているが、それ以降はあまり覚えていない」などと話していたが、そうした記憶の曖昧さを象徴しているやりとりだ。

 11時15分、「Suica」に2000円をチャージし、Gさんは最寄駅の改札を入場した。12時14分、JR新宿駅を出て、同15分、小田急線新宿駅に入り、いったん、町田駅で降りた。白石被告は待ち合わせ場所を相武台前駅に変更し、Gさんは13時16分に改札を出ている。証拠調べの中で、白石被告は13時35分、アパートから駅の間の防犯カメラに、一人で写っている。ただ、同51分、駅方面から一人で自宅に向かう様子がカメラに写っている。

「最初は(待ち合わせに)遅刻しました。なぜなら、(6人目の)Fさんの遺留品が部屋に散乱していて、片付けをしていたからです。Gさんには『過去に何人も人を殺した』とは言っていないので、遺留品が散乱していると不審に思われてしまいます。玄関にあったFさんの靴などは、奥にある電動式保冷庫の横に置いたんです。床にもノコギリや包丁が置いてあったんです。それも、保冷庫の横に置きました」

「部屋になんとなくついてくる子だと判断しました」

 Gさんはその間、駅前のロッテリアで待っていた。白石被告が自殺に関連する話をしている中で暑く感じたため、一度、帰宅することになる。暑くなったので着替えるためでもあった。そのとき、Gさんは「わかりました、待っています」と言っていたという。その後、死にたい理由を深掘りしながら、白石被告の部屋にGさんを連れていく。そこからGさん殺害までの時間は、9人の被害者の中で最も短かったようだ。

「例えばになってしまうのですが、出会い系サイトを通じて初めて会ったとき、部屋になんとなくついてくる子がいます。一方で、誘っても信用されないので、部屋にこない子がいます。Gさんは、なんとなくついてくる子だと判断しました。

 しかし、口説いてみたり、悩みを深掘りしても、心の距離が縮まらないと思ったんです。つまり、信用、信頼、恋愛、依存のいずれの感情でもないことがわかりました。悩みは話してくれましたが、私に対して、心の底から打ち解けるのではなく、なんとなく、薄っぺらい内容であったから記憶も曖昧です」

レイプして殺害しようと即断する

 だからこそ、お金を引っ張れるかどうかの見極めが早く、引っ張れないと判断した。そのため、レイプして殺害しようと、次のような行動を取った。

「まずは玄関の鍵を閉め、チェーンをかけ、背後からいきなり襲っています。仮に暴れて、逃げようとしても、少しでも逃げる手間をかけさせるためです。その次はメガネを外し、浴室に置いたと推察されます。抵抗をされると、破損することが困るからです」

 Gさんを襲った際の抵抗の有無やその程度は、記憶が曖昧だ。失神するまで首をしめたと言ったものの、検察官の質問に、最初は「被害者9人のうち、一番抵抗していたのを覚えている。抵抗が強く、ひっくり返されそうになった。腕を外そうとしていた腕の力が強かった」と述べた。しかし、弁護人から「捜査段階では、Gさんの抵抗が一番強かったとは証言していない」と聞かれると、こう答えた。

「正直、正確には覚えていない。捜査段階の記憶は不鮮明だが、一部は明確、一部は不明瞭になったのも事実です。ただ、捜査段階といっても、逮捕直後のときと、落ち着いてきてからのときと、証拠を見せられたときとでは違っていますので、整合性のない調書になっています」

 加えて、裁判官からの同様の質問にはこう答えた。

「抵抗が強かったという印象があったのですが、現在では、定かではなくなってきました。格闘のような状態になったことに自信がないです。ただ、吊るした後に、足を伸ばしたり、曲げたりしていたというのは覚えています」

 9月30日昼、Gさんはアルバイトがあったため、両親は帰宅しないことを心配しつつも、「アルバイトに行ったのかな?」と思ったという。しかし夜になっても帰宅せず、両親が相談。翌10月1日朝になっても帰宅しないことから、110番通報をした。このときにはすでに殺害されていたことになる。

 座間9人殺害事件公判で振り返る「死にたい若者たち 

文春オンライン 2020年11月12日(木)20時12分配信

「昏睡状態の女性をレイプすることが……」すでに7人を殺害した白石被告が犯行をやめなかった理由

「『@首吊り士』のコンセプトは、殺してあげるというものです」

 2017年に神奈川県座間市で男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗、強制性交殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われている。

知人に自殺に関するメッセージを送っていたHさん

 11月11日は、8人目に殺害されたHさん(当時25、女性)に関する被告人質問が行われた。その中で、白石被告は、同事件でもっとも話題になったと思われる「@首吊り士」のコンセプトについて答えた。一方、Hさんの殺害状況については「覚えていない」を繰り返した。拘置所での筆者との面会時には、「最初の3人以外はあまり覚えていない」と話していたが、同様の発言を繰り返したことになる。

 冒頭陳述等によると、Hさんは神奈川県内で両親と兄との4人暮らしをしていた。中学2年生のときにいじめに遭い、不登校になった経験がある。中3のときは欠席も多く、卒業に必要な出席日数ギリギリで卒業した。高校は3年生のときに自主退学。その頃から7年間ほど自宅に引き篭もった。2017年4月、コンビニで働くようになった。しかし、同じ頃、知人に対してLINEで、自殺に関するメッセージを送っている。

「死にたい。疲れた。#自殺募集」

 HさんがTwitterを開設したのは2013年10月。2017年10月2日までは、主にゲームに関するツイートが多く、自殺に関連した内容はなかった。しかし、同年10月17日午前1時7分に、「25歳女 神奈川に住んでいます。死にたい。疲れた。#自殺募集」というツイートをする。このツイートを発見した白石被告は、「私がフォローしたか、Hさんがフォローしたかで(DMの)メッセージを送りました」といい、「@終わりにしたい」と、「@首吊り士」の2つのアカウントでやりとりをすることになる。

 ちなみに、白石被告は筆者との面会で、「5つのアカウントを使っていた」と話していたが、「@終わりにしたい」はその中に含まれていない。

「昏睡状態の女性をレイプすることに快感を覚えていた」

@終わりにしたい はじめまして。私も神奈川県に住んでいます。一緒に死にませんか?

Hさん はじめまして。私も死にたいです。

@終わりにしたい 自殺をするとしたら方法はどんなものがいいですか?

Hさん できるだけ苦しまない方法で。

@終わりにしたい 薬を飲んで、首をつって、意識を飛ばす方法はどうでしょうか?

 白石被告は、これまで同様、心中目的で女性を探していたわけではない。「お金を引っ張れるか。引っ張れないならば、失神後にレイプして殺害し、所持金を奪う」(検察官や裁判官への回答)ことを目的としていた。ちなみに、すでに7人を殺害していることから、「こうした犯行をやめようと思わなかったのか」と検察官に聞かれて、こう答えている。

「当時のことを正直に話すと、昏睡状態の女性をレイプすることに快感を覚えていましたので、やめようとは思いませんでした」

 そのため、Hさんに会うまでに、遺体を解体するために使っていた「猫砂」やストッカー、ハサミ、ナイロンロープなどを追加購入している。ナイロンロープは12メートルのものを購入した。「どうして12メートルを購入したのか?」と聞かれて、白石被告は、「このとき、TwitterのDMでやりとりをしている人が3、4人いたため、必要な分として購入しました。たしか、3~4メートルに区切って購入していたはずです」と述べた。

「一人暮らしではないので、私の部屋は無理です」

 白石被告とHさんのやりとりは深夜であったが、このやりとりの途中で朝になった。Hさんは「そしてまた朝が来た。寝たまま死ねたらいいのに」とツイートをしている。そして、再び、白石被告とHさんのやりとりが始まる。

@終わりにしたい 病院を回って、薬を大量に手に入れました。よろしければご一緒に。

Hさん 死にたいです。

@終わりにしたい いつごろ?

Hさん 何日でも大丈夫です。

@終わりにしたい 明日はどうでしょうか?

Hさん 18時以降から大丈夫です。

@終わりにしたい 場所はどこが希望ですか? 山や森、部屋がありますが。

Hさん 部屋がいいですね。

@終わりにしたい Hさんの部屋と、私の部屋と、どちらがいいですか?

Hさん 一人暮らしではないので、私の部屋は無理です。

自殺場所としてなぜ山や森を選択肢にあげたのか

 白石被告の、これまでの犯行手順としては、白石被告のアパートに連れてくるのが第一歩だ。しかし、DMでは、自分のアパートのほか、山や森を選択肢にあげていた。「これは、なぜか?」と検察官が聞くと、「最初から自分の部屋だけの選択肢ですと、選択の幅が狭い。そのため、相手の女性が『家に来たくない』と思ったら、連絡が途絶えてしまうかもしれないからです」と答えた。

 案の定、Hさんは、自分から「部屋がいいです」「私の部屋は無理です」と答え、白石被告のアパートに来るように誘導された。そして、待ち合わせをすることになる。

@終わりにしたい 失礼しました。では、相模大野駅で待ち合わせでどうでしょうか?

Hさん はい。行ったことないですが、大丈夫です。

@終わりにしたい 18時以降の待ち合わせでどうしょうか?

「@首吊り士」と「@終わりにしたい」の人格の違い

 白石被告は、Hさんに会うまでに、「@首吊り士」でもやりとりしている。

@首吊り士 フォローありがとうございます。自殺を考えているんですか?

Hさん はじめまして、死にたいです。

@首吊り士 今日、これからはどうでしょうか?

Hさん 今日はちょっと。

@首吊り士 明日以降は? 本当に辛いなら、未遂にならないようにサポートしています。

 どうして、「@首吊り士」でもメッセージを送ったのだろうか。

「『@終わりにしたい』のアカウントは、自殺願望か、一緒に死にたいことをツイートするのがコンセプトでした。一方、『@首吊り士』のコンセプトは、殺してあげるというものです。『@終わりにしたい』では、Hさんからの返信が途絶えそうだったからです。『@首吊り士』のコンセプトのほうがいいのか?と思ったんです」

手足をバタバタと……法廷で明かされた8人目の被害者、25歳女性への悍ましい犯行

文春オンライン 2020年11月12日(木)20時12分配信/渋井 哲也(ジャーナリスト)

「18時以降から大丈夫です」

 座間9人殺害事件で8人目の被害者となったHさん(当時25、女性)は、自殺を呼びかける白石隆浩被告(30)のTwitterアカウント「@終わりにしたい」にこんなDMを送っていた。

コンビニで働き始め、明るくなっていたのに……

 なぜ、Hさんは「18時以降」と言ったのか。それは週2、3回しているコンビニのアルバイトの勤務があったからだ。母親の証言によると、犯行のあった前日の10月17日は、いつも通り、午後1時からアルバイトのシフトが入っていた。

「以前は引きこもりで、部屋でゲームをして、食事の時だけ部屋から出るような生活でした。しかし、コンビニで働くようになって、ハキハキ喋るようになり、表情も明るくなりました。家では冗談を言ったり、明るいのですが、外では引っ込み思案な性格です」(11月10日、母親の証人尋問)

 しかし、Hさんは、自殺願望が強まり、「自殺募集」する前日、10月16日、自殺関連のキーワードを検索している。例えば、「ストレス」「息苦しい」「うつ病」「精神安定剤 市販」「殺され願望」「殺されたい願望」「睡眠薬 首吊り」「自殺オフ会」「とにかく死にたい」「なんかもう疲れた」「今すぐ死にたい」などだ。

 その中には、「酸欠少女」も入っている。シンガーソングライターだが、どんな曲を検索していたのか明らかになっていない。あえて死を連想するものとしては「来世で会おう」があるが、アニメ「僕だけがいない街」や、アニメ「僕のヒーローアカデミア」のエンディングテーマ曲も歌っているので、必ずしも「死」を連想させるものばかりではない。

白石被告が相模大野駅まで足を運んだ理由

 白石被告の犯行手順であれば、それまでは相模大野駅で待ち合わせをしたとしても、最寄駅である相武台前駅まで相手を誘導していた。しかし、Hさんの時は、相模大野駅まで白石被告も行っている。

「相武台前駅は、神奈川県の中では田舎な方です。もし、相武台前で待ち合わせをしたら、Hさんが来る気をなくしてしまうのではないかと思ったからです。ネットの出会いの話になりますが、直前になって会うのをやめたり、当日来なかったりのようにバックれられたとしても、自分の時間が無駄にならないようにしていました」

「悩んでいるようには感じませんでした」

 Hさんに会ったとき、「私の部屋で一緒に死にましょう」といい、白石被告のアパートに行くきっかけにしたという。そんなHさんの印象としてはこう答えている。

「悩んでいるようには感じませんでした。シンプルに言えば遊びに来たような感じでした。補足が必要ですが、『寂しい』『疲れた』『死にたい』と呟いている人の中には、出会い目的の人もいます。Hさんも、出会い目的なのではないかと推察します。なぜそう思ったのかといえば、出会った後は深刻そうには見えませんでした。『今すぐ死にます』という感じではなかったです」(弁護人への回答)

 殺害状況については、「今は記憶にない」「覚えていない」を繰り返した。

「お酒や薬が効いていたと思ったため、背後に周り、胸を触り、突き倒して、馬乗りになり、首を絞めました。この記憶はありますが、はっきり説明すると、全体的な意識として、一人ひとりにしていることは同じなので、Hさんも同じ手口でやったと思います」(裁判長への回答)

初対面で外見を褒められた

 つまりは、最初の3人と、寝ているときに縛った人(Fさんと思われる)の4人については「腹を殴った」ことはない、ということになる。Hさんをどうしたのかは記憶が曖昧だ。ただ、Hさんの個別の記憶については「明確な記憶はない」としながら、こう話した。

「部屋に入って、30分から1時間、長くても2時間ほどは雑談していました。自殺の話は、会った直後はしていました。私に好意があるかどうかを確認しようとしました。私に対する好意の面では、笑って話をしていましたし、態度や雰囲気でイケそう(=口説けそう)でした。他の人からのDMで『胸は何カップあるんですか?』というものがあって、『気持ち悪いね、変態だね』と言って、打ち解けていました。また、初対面で外見を褒められたというのもあります。しかし、収入がなさそうだったので、レイプして殺害し、所持金を奪おうと思いました。奪ったのは数百円です」

 失神させる過程で腹を殴った人もいる、との捜査段階での供述ついても聞かれたが、「Aさん、Bさん、Cさんと、(寝ているときに)縛った人以外で、殴った人がいるという記憶はあるのですが、具体的に誰かは覚えていません」と答えるのみだった。

ぶら下がっているときに上着をはいで……

 抵抗の有無についても、殺害の承諾があったかどうかの争点の一つになっているが、裁判長の質問にこう答えた。

「Hさんの抵抗については具体的には覚えていません。しかし、全員が、首を絞めている私の手を外そうとしたり、手足をバタバタさせたり、体を動かすことはしていたのは間違いない。縛った人のときはものすごく簡単に失神させることができました。他の人は、その記憶がありません」

 失神後はどうか。

「レイプした後、首を吊る状態にしたときに、ロープと首の間にはタオルを使いました。縄があたるあたりの、あごの、喉側の部分です。警察の科学捜査がどこまでできるかわからないのですが、仮に遺体を埋めたときに、死因がわからないようにするためです。また、失禁して飛散するのを防ぐため、ズボンは履かせました」

 また、「上着はどうしたのか?」と検察官に聞かれた。

「Hさんは、ぶら下がっているときに、上着をはいで、胸をみていた記憶があります。ハサミで切っていたので、胸の部分が開いていたのを覚えています。これを理由に、Hさんの首つりのことは覚えています。しかし、首を絞めたあたりの記憶が薄れてきています」

母親は「自分の命にかえても、罪を償ってください」

 Hさんの母親は、証人尋問で「ビッグサイズのポテトチップスを買って、ケンタッキーを買って、10月31日にハロウィンパーティーをしようと言っていました。7年間引きこもって、バイトの面接も20回以上しました。やっとコンビニに合格したのです。ほっとしたのも束の間で、こんなことになってしまいました。残念で悔しいです。生きていれば、いろんな未来がありました。(白石被告は)それを壊したのです。十分に反省して、自分の命にかえても、罪を償ってください」と訴えていた。

 失神させた状態乳首舐めて硬くなる様子興奮…異常な性癖かされる白井隆浩被告 (30)そして審理を見守る「女性裁判員」 

文春オンライン 2020年11月14日(土)6時12分配信

 神奈川県座間市のアパートで男女9人を殺害したとして、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が続いている。舞台は、東京地裁立川支部の101号法廷。地裁は9月30日の初公判以来、被害者9人を犯行順に3組に分けて裁判を進めてきた。11月10日の第17回公判からは3組目、残る8、9人目の被害者の審理が始まっている。

「法廷は遺族など被害者参加人が着席できるよう、傍聴席の3分の1はパーテーションで区切られています。新型コロナウイルス対策で座席は一席飛ばしで、一般傍聴席は十数席程度。初公判時は625人、以降も50人前後の希望者が抽選に並んでおり、地方の裁判所としては注目度が高いと言えます」(社会部記者)

 白石の口からはこれまで、被害者の首を絞めて失神させ、遺体をノコギリ等で解体していく手順や、遺体の一部を鍋で煮ていたことなどが具体的に語られてきた。さらには女性の被害者8人は全員、失神させた上で姦淫したことや、その際に乳首を舐めて硬くなる様子に興奮していたことなど、異常な性癖についても次々と明かされていく。

「遺族の代理人からは、裁判が始まる前から報道内容には配慮するよう求められました。実際、法廷での白石の証言内容はあまりにおぞましく、報道各社も表現を丸めるなどの対応を迫られている。民放では、性的暴行の内容に触れていない局もありました」(同前)

気丈に審理を見守る若い女性裁判員

 事件の残虐さもあってか、懸念されていた通り、裁判員には辞退者も出た。そうした中、この“異常法廷”に臨んだ6人の裁判員。中には若い女性もいるが、おぞましい白石の証言から目を背けることもなく、気丈に審理を見守っている。

「白石は遺体を解体する手口など、犯行の残虐さを問う検察側の質問にはしっかりと答える一方、『水を飲みたい』としばしば公判を中断させるなど、弁護団には反抗的な態度を貫いてきました。中でも男性弁護人の1人からの質問には、『あなたは信用できないから答えません』と回答の拒否が目立ちます」(同前)

 そのため、白石証言の信用性を巡っては、検察側が「信用できる」、逆に弁護側が「信用できない」と主張するなど、“ねじれ状態”が続いているのだ。

「争点は、被害者自らが殺害されることを承諾していたかどうか。女性たちは自殺願望をツイッターに投稿していましたが、白石自身は『死を承諾していた人はいなかった』と一貫して主張し、9件の『殺人』を認めています」(同前)

 ここまで、証人として公判で証言した被害者の家族らは一様に「死刑を望みます」と話している。裁判所の判決は12月15日に言い渡される予定だ。

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2020年11月13日 (金)

【日経平均】9日ぶり反落<コロナ“第3波”✍列島襲来>再々拡大に警戒感

 東京株〕9日ぶり反落=コロナ再拡大警戒感 

時事通信 2020年11月13日(金)15時30分配信

 前日まで続伸し過熱感が漂う中、欧米で新型コロナウイルスの感染が再び拡大したことで警戒感が強まり、売りが優勢となった。日経平均株価は前日比135円01銭安の2万5385円87銭と9営業日ぶりに反落。東証株価指数(TOPIX)は23.01ポイント安の1703.22と続落した。

 銘柄の82%が値下がりし、値上がりは16%だった。出来高は13億3373万株、売買代金は2兆7215億円。

 業種別株価指数(全33業種)はゴム製品、不動産業、空運業の下落が目立った。

 週末で手じまい

 13日の東京株式市場は終日軟調だった。12日の欧米株式市場で新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感が強まり、リスク回避の動きが鮮明になった。東京市場でもこの流れが続き、利益確定売りが優勢。週末を控え、断続的に手じまい売りが出た。ワクチン開発期待で上昇が続いた後とあって「コロナへの警戒感がスピード調整のきっかけとなった」(銀行系証券)。

 日経平均株価は下落して始まり、午後には下落幅が約300円に拡大した。その後、値がさ株であるファーストリテ株が堅調だったため日経平均の下げ幅は縮小したが、地合いは弱く、約8割の銘柄が値下がりした。

 コロナの感染拡大の悪影響が大きい不動産株や空運株、陸運株などが売られた。一方で、ゲームなど「巣ごもり関連」と呼ばれる銘柄がにぎわった。

 東京外為〕ドル104円台後半=材料難揉み合い 

時事通信 2020年11月13日(金)15時30分配信

 13日午後の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、新規材料が乏しい中、1ドル=104円台後半でもみ合っている。午後3時現在は104円88~88銭と前日(午後5時、105円27~28銭)比39銭のドル安・円高。

 前日の海外市場では、新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感から欧米株式が下落。東京時間ではリスク回避ムードや米長期金利の低下を受けて、午前9時台に105円を割り込んだ。その後は実需勢のドル買いが入って104円80~90銭台で下げ渋り、もみ合っている。

「市場では104円80銭を割ろうとする動きが続いているが、新たな材料がなければ105円台前半に戻り、居心地のいい水準に落ち着くのではないか」(FX会社)との声があった。

 新型コロナウイルスの感染再拡大による経済停滞の懸念からドルは上値が重い展開が続いている。

「米大統領選が終わり材料が乏しい中、市場はコロナ関係に反応しやすくなっている」(国内銀行)との指摘があり、ワクチンをめぐっては「楽観ムードから今後はあら探しをする展開となりネガティブ材料が出やすいのではないか」(先のFX会社)との見方があった。

 ユーロは対円で小幅安、対ドルで上昇。午後3時現在、1ユーロ=123円82~83銭(前日午後5時、123円92~93銭)、対ドルでは1.1806~1806ドル(同1.1771~1771ドル)。

 全国コロナ新規感染者1700超、2日連続最多 

毎日新聞 2020年11月13日(金)21時06分配信

 新型コロナウイルスの感染者は13日、全国で新たに1709人が確認され、初めて1700人を超えた。1日当たりの感染者数は12日の1653人を上回り、2日連続で過去最多を更新。クルーズ船の乗客乗員を合わせた国内の感染者数は11万6125人、死者は12人増えて1898人となった。

 東京都は374人で、3日連続で300人を超えた。大阪府は過去最多となる263人の感染を確認。北海道は235人で、前日に続き200人を超えた。また愛知県は148人、神奈川県は146人で、依然として大都市圏や北海道を中心に感染拡大が深刻化している。

 一方、長野県は過去最多の23人の感染を確認。茨城県も最多だった前日と同数の26人だった。山口県では繁華街のクラスター(感染者集団)の発生が確認されるなど、地方でも感染が広がりつつある。

岩手県盛岡市飲食店クラスター医師ら6人コロナ感染

岩手日日新聞 2020年11月13日(金)23時06分配信

 盛岡市と県は13日、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が同市大通の飲食店「ヌッフ・デュ・パプ」で発生し、新たに岩手医科大附属(矢巾町)、盛岡赤十字(盛岡市)、県立宮古(宮古市)各病院の医師5人を含む6人の感染が確認されたと発表した。現時点で院内感染は発生していないという。県内の感染は、12日夜発表の9人を含め計57人となり、相次ぐクラスターの発生により感染が拡大している。

 市などによると、感染が確認されたのは、岩手医大のいずれも医師の50代男性、20代女性(以上盛岡市)、20代男性(矢巾町)と事務職員の30代女性(盛岡市)、盛岡赤十字病院の40代医師男性(盛岡市)、宮古病院の20代医師男性(宮古市)。発熱や倦怠感などの症状があり、いずれも感染症指定医療機関に入院している。

 県内外の医師を含む医療関係者約20人が7日、同店でプライベートの会食をし、県外の医師1人を含む7人の感染が確認された。

 岩手医大では、関連する職員111人を検査し、不検出だったことから今後は通常通りの診療を行う。盛岡赤十字は、114人を検査し現時点で74人が不検出。今後患者38人の検査を予定している。感染した医師が担当していた血液内科外来は、当面休診とする。宮古は、感染した医師が派遣先の医療機関に勤務し、7日以降勤務実績がないことから、院内での濃厚接触者はおらず休診はしない。

 4件目のクラスター発生を受け県は、医療体制について、現在のフェーズ1(発生初期)から、フェーズ2(発生拡大期)の引き上げを検討していることも明らかにした。

 医師少数の本県で、複数の医師が感染したことによる地域医療への影響について、野原勝県保健福祉部長は「さらに感染が増えれば医療体制が逼迫する可能性はあるが、現時点では重大な影響を及ぼすものではないと考えている」との認識を示した。

 市では感染の可能性がある飲食店利用者の特定が難しいとして店名を公表した。従業員2人も感染が確認されているとし、今後詳細を発表する予定。10月24日~11月11日の利用者を最大で1日100人程度の約2000人と想定しており、市保健所や管轄の保健所へ相談するよう呼び掛けている。

滝沢女児ら9人

 12日夜には10歳未満~50代の計9人の感染が確認された。

 盛岡市などによると、感染が確認されたのはクラスター(感染者集団)関連で、同市菜園の飲食店「海鮮季節料理おおいし」で感染した経営者の家族で60代看護師女性のほか、店舗を利用したいずれも滝沢市の50代自営業男性と40代無職女性、10歳未満女児の家族の計3人。

 盛岡中央消防署葛巻分署関連では、職員の家族でいずれも滝沢市の50代会社員男性、50代教職員女性の計2人。

 10日に感染が確認された久慈市の県北広域振興局の職員関連では、県庁に勤務する県農林水産部の20代女性、同局農政部の20代女性と20代男性の計3人。県職員の4人はクラスターが発生した盛岡市大通の飲食店「ヌッフ・デュ・パプ」で7日に会食し、感染したとみられる。

 滝沢市では、教職員と女児の感染確認を受け、市内の小学校2校について、15日まで休校の措置を取った。対象は1500人程度で、今後濃厚接触者の状況などを踏まえ対応する。

 株で2億円稼いだ現役サラリーマンの教え「底値買い天井売りの罠 

ダイヤモンドオンライン 2020年11月14日(土)6時01分配信/弐億貯男

 大卒入社3年目のこと。貯金100万円を元手に、
40歳をちょっと過ぎるまでに株式投資で生涯賃金2億円を稼ぐことを決意した。
でも、投資はまったくの素人。完全に知識ゼロの状態だった。
そこで、日中はサラリーマンとして忙しく働きながら、
株式投資の入門書を買って勉強するところから始めた。
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『10万円から始める! 割安成長株で2億円』の著者・弐億貯男が、
すべてのサラリーマンにおすすめの投資スタイルを手取り足取り伝授する。
「会社の人は誰も知らないけれど、実はボク、いつ会社を辞めても大丈夫なんです!」――弐億貯男

底値も天井も後から ふり返ってわかるもの

 「株式投資は、底値で買って天井で売れば最大限儲かる」

 こう聞くと、株式投資で儲けるのは簡単に思えます。

 しかし、実際に株式投資をやってみると、それは難しいことがわかります。

 底値と思って買った株がさらに下がり続けたり、天井だと思って売った株がさらに上がり続けたりすることがあるからです。

 底値も天井も神のみぞ知るようなもので、あくまでも後からふり返って、「あのときが底だったのか」とか「あのときが天井だったのか」とわかるものなのです。

 株価は景気(経済動向)と密接に関連していますが、底値で買おうとしても、現在進行系で「いまが景気の底だ!」とはわからないものです。

 今年は新型コロナウイルスの蔓延により、景気が悪化して株価が急落し、いまでは「コロナ・ショック」と呼ばれるようになっています。

 コロナ・ショックでは、日経平均株価が2月下旬から急落し、3月19日に1万6552円83銭と約3年半ぶりの安値を付けましたが、あの日に「いまが底値だ!」と判断できた人が果たしていたでしょうか?

 底値というものは、やはり後からふり返ってわかることであって、その時点では、いまが底なのか、さらなる株価の下落が待ち構えているのかは判断がつきません。

景気が悪くなったときに 投資を始めるのは正解

 景気が悪化しているときに株式投資をはじめるという考え方は、目の付け所が良くて正しいと思います。

 実際、株価が下落した今年2月後半から、多くの証券会社で新規口座開設数が増加したそうですから、「今が投資のチャンスだ」と考えて株式投資をはじめた人が多かったのでしょう。

 ただし、景気の底に達してから反転するまで1~2年かかる可能性もあります。

 そうなれば、景気の底から反転するまでに膨らむ保有株の含み損に耐えかねて損切りしてしまい、相場から退場しかねません。

 そうならないように、少なくとも余裕資金を一度に全額投入することは、手控えたほうがいいと思います。

 一方、保有株を天井でピンポイントに売るというのも至難の業です。

 私は2008年のリーマンショックの際、非正規雇用の労働者の雇い止めが発生しているのを見て、株価が大幅下落していた業務請負の銘柄を買いました。

 その後の景気回復の過程で、その銘柄の株価は50倍くらいまで上昇したのですが、私は底値から株価が2倍くらい上昇したところで利益確定してしまいました。

 底値と同じく天井の株価も事前に予測することはできませんし、その時点で「いまが天井だ」とわかるものでもありません。

 結局、底値も天井も、後からふり返ってわかるものなのです。

 だからこそ、株価が上昇して、ある程度含み益が膨らんだところで、利益確定したいという誘惑に駆られるのです。

 やはり、底値で買って天井で売り、最大限に儲けようというのは難しい。

 言うは易し、行うは難し、なのです……。

 刺激を与えない”ほうが人は創造性が高まる 

ダイヤモンドオンライン 2020年11月14日(土)6時01分配信/ブルース・デイズリー

 イギリスからの翻訳書『Google・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめたワークハック大全』が本年9月に発売された。コロナ禍で働き方が見直される中で、有益なアドバイスが満載な1冊だ。著者のブルース・デイズリー氏は、Google、YouTube、Twitterなどで要職を歴任し、「メディアの中で最も才能のある人物の1人」とも称されている。本書は、ダニエル・ピンク、ジャック・ドーシーなど著名人からの絶賛もあって注目を集め、現在18ヵ国での刊行がすでに決定している世界的なベストセラー。イギリスでは、「マネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤー 2020」の最終候補作にノミネートされるなど、内容面での評価も非常に高い。本連載では、そんな大注目の1冊のエッセンスをお伝えしていく。

なぜ、僕たちは”せっかち病”に陥っているのか?

 最近、ある人から興味深い話を聞いた。その人が子どもの頃、仕事から帰ってきた父親が、ただ椅子に座っていることが多かったというのだ。

 テレビも見ないし、ラジオも聞かない。本も読まないし、誰かと話をするわけでもない。ただ、椅子に座り、静かにじっとしていた。何を考えているの、と尋ねても、「別に」としか答えない。

 積極的に何かを思考しているのではなくて、ただ穏やかに心の中を見つめているだけだからだ。

 現代では、こんなふうに何もしないことは、風変わりで非生産的な行為だと思われている。世の中には刺激が満ちあふれ、すべきこともたくさんあり、行動的であることがよしとされている。

 そんな時代では、何もしていないことは野蛮であり、時間の無駄だと見なされる。こうして僕たちはみんな、”せっかち病”にかかっているのだ。

 それは、必ずしも悪いことではない。忙しく動き回っているからこそ、僕たちには多くのことを成し遂げられる可能性がある。

 「仕事を頼むのなら、忙しい人に頼め」というビジネスの世界の格言もある。僕たちは、行動こそが生産性を向上させると信じているのだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙は2004年の記事で、街中の交通量の多い交差点の横断歩道の歩行者用ボタンが、ピーク時には青信号までの時間を短縮する仕組みにはなっていないことを報じている。

 歩行者はボタンを押したことで目の前の信号が早く青になったような感覚を得るが、これはプラセーボ効果にすぎない。

 細かく調整された交通システムは、通勤で急いでいる歩行者ではなく、大量の自動車をうまく捌くことを主眼にしてつくられている。

 世の中にはこんなふうに、”早く何かを終わらせなければならない”という思いに駆り立てられているせっかちな僕たちの気を紛らわせるためにつくられた、ダミーのシステムがいくつもある。

 なぜ、僕たちは”せっかち病”に陥っているのか?

 絶えず過剰な刺激にさらされている現代人は、”すべきことを全部終わらせられない”という絶え間ない不安につきまとわれている。

 インターネットが普及したことで仕事量も増えた。米カリフォルニア州の市場調査会社ラディカティ・グループによれば、現代人は1日当たり平均で約130件のメールを送受信している。

 この数字は世界中のメールユーザー全28億人を対象にしたもので、先進国のオフィスワーカーは毎日200件近くのメッセージを送受信していると考えられている。

 そして、会議だ。

 企業の大半は、社員が会議に費やしている時間の正確な記録をとっていない(たぶん、世間にそれを知られるのを恥ずかしいと思っているからだ)が、最近の調査によれば、イギリスの平均的な会社員は週に16時間を会議に費やしている。

 アメリカの管理職は週に23時間を会議室で過ごしているという調査結果もある。

急かされている気分になったら本当に急ぐべきかと自問する

 問題はメールや会議だけではない。現代人が毎日処理している情報の量は、めまいがするほど膨大だ。

 情報化時代への対処方法を脳科学の視点から解き明かした『The Organized Mind』の著者ダニエル・J・レヴィティンはこう述べている。

 「2011年にアメリカ人が1日に処理している情報の量は1986年の5倍だ。そのデータ量は新聞175紙分に相当する。仕事以外の余暇の時間にも、毎日34ギガバイトまたは10万ワードの情報を処理している」。

 その結果、人々は常に不安な気持ちにさせられている。僕たちの親の世代なら、手書きの「やることリスト」のいくつかが残っていたら、不安になったかもしれない。

 僕たちは受信トレイを空にしたときにちょっとした喜びを感じることはあるが、それすらもどこか他の場所でやり残したことがあるのを忘れているかもしれないという不安で打ち消されてしまう。

 ”せっかち病”は深刻な症状だ。常に仕事から離れられないと考えている人の不安レベルが高いという調査結果が出ているのもそのためだ。

 イギリスでは、従業員が会社を休む理由の半分が、仕事上のストレスから生じた病気によるものだ。仕事の多さやプレッシャーは、僕たちを病気にしているのだ。

 この切迫感に抗うために、何ができるか。

 まずは、”いつも忙しくしているからといって、良い仕事ができるわけではない”と自覚することから始めよう。

 ロンドンの有名な建築家グループの1人から、こんな愚痴を聞かされたことがある。

 「会議は、以前は週に1回だけだった。必要なことはその会議ですべて話しあい、あとは仕事に打ち込めばよかった。それが、いまは会議だらけだ。会議についての会議をしているといった有様だ」。

 その結果、業績は良くなったのだろうか。

 「会社が手がけている建物の数は、以前と変わらない。違いは会議が増えて、仕事がキツくなったことだけさ」。

 次に考えるべきは、その仕事の緊急度を見極めることだ。「ASAP」(as soon as possible
=できるだけ早く)という仕事の世界でお馴染みの頭文字は、僕たちの職場に不要な不安を引き起こしている。

 ソフトウェア企業ベースキャンプ社の創業者は言う。

 「ASAPという言葉は膨張する。いつのまにか、ASAPというラベルを貼ることが、仕事を片づけるための唯一の手段になってしまう」。

 急かされているような気分になったときは、本当にそれがASAPでしなければならないものなのかを自問してみよう。

 急ぐ必要があるものとそうでないものをうまく分別できるようになれば、自分の心を冷静に見つめられるようにもなるし、周りにも良い影響を与えられる。それは、良い労働環境をつくることへの貢献にもなる。

 じっくりと自分と向きあう時間や、あえて何もしない時間も必要だ。心の平穏や静寂を感じる瞬間はストレスレベルを下げるし、創造性も高まる。

 「退屈」の研究で知られる英セントラルランカシャー大学のサンディ・マン博士は、デフォルトネットワークの力を利用すべきだと主張している。

 「ぼんやりと考えごとをして、心をさまよわせていると、人の思考は意識を超えて、潜在意識に入り始める。それは、さまざまな結びつきを可能にし、極めて大きな価値をもたらす」。

 つまりデフォルトモードに入ると、脳の中にある異なるアイデア同士が意外な形でつながり始める。エネルギーは、急いで何かをすることではなく、楽しい夢の状態を歩き回ることへと向けられる。

 ただしこの状態に入るには、退屈さとじっくりと向きあう必要がある。携帯電話で遊んだり、オーディオブックを聴いたりしてはいけない。心を刺激から解放しなければならないのだ。

 逆に、せっかち病に陥るときは、悪循環に嵌まっていることが多い

 「人はストレスを感じると、注意の対象を素早く切り替えるようになることがわかっている」。この分野の研究者であるグロリア・マーク博士は言う。

 当然ながら、落ち着きなく注意の対象を切り替えるほど、さらにストレスは高まる。こうした状態が続くと、長期的に甚大な悪影響も生じ得る。

 毎日夜になると、スマートフォンで次々に画面を切り替えながらSNSやネットサーフィンなどをして過ごしている10代の若者を長期的に調べた研究がある。

 その結果、2年後、自分の将来や社会問題の解決策を考える際、これらの子どもたちの想像力や創造性が低下していたことがわかった。

 冒頭の仕事を終えて帰宅するとしばらくじっと椅子に座っていた父親は、何もしていないわけではなかった。

 それは、自由に心をさまよわせるための時間だったのだ。

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2020年11月12日 (木)

【日経平均】8日続伸「(バブル崩壊以降)最高値」終値2万5520円88銭

 東証8連騰バブル後最高値 計11%上昇、ワクチンに期待 

共同通信 2020年11月12日(木)15時09分配信

 12日の東京株式市場は、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展期待を背景に日経平均株価(225種)が8営業日続伸した。終値は前日比171円28銭高の2万5520円88銭で、1991年6月以来約29年5カ月ぶりの高水準に達し、バブル経済崩壊後の最高値を5営業日連続で塗り替えた。8連騰で計2543円75銭(11.1%)上昇した。

 ただ新型コロナは国内で第3波の流行が始まったと懸念され、欧米の感染被害も深刻で、相場の重荷となった。東証株価指数(TOPIX)は2.84ポイント安の1726.23で、8営業日ぶりに反落した。出来高は約13億4800万株。

 都モニタリング会議急速な感染拡大の始まり 

朝日新聞デジタル 2020年11月12日(木)15時18分配信

 東京都内の新型コロナウイルスの感染状況について、都は12日、モニタリング会議を開き、警戒レベルは4段階で上から2番目に深刻なレベル3の評価を10週連続で維持した。ただ、感染者数が急増する中、評価の表現を「感染の再拡大に警戒が必要」から「感染が拡大しつつある」に変更。「急速な感染拡大の始まりと捉え、今後の深刻な状況を厳重に警戒する必要がある」と注意を呼びかけた。

 都内では12日、2日連続で300人超えとなる393人の新規感染者を確認した。8月8日(429人)以来最多で、過去5番目に多い。

 評価を維持した理由について、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は会議後、検査体制の拡充が感染者増加の一因になっていることなどを挙げ、「総合的な判断だった」と述べた。その上で「ほとんど赤(最も深刻な警戒レベル)に近いオレンジ(同2番目)だと思う」との認識を示した。

 会議では、1日あたりの感染者数(1週間平均)が11日時点で約244人と、前週(約165人)よりも47・7%増加したことが報告された。会議に出席した大曲氏は、このペースで増加すると、4週間後には1日約1160人に達すると指摘。「多すぎるのではないか、絵空事ではないかと言われるもしれませんが、私たちは夏に同じような状況があり、本当に週単位で患者さんが急速に増えていったことを経験している」と強調した。

 また、他の感染者との接触が確認できず感染経路が不明な人(1週間平均)は、前週の約91人から約137人となり、51・5%増加した。検査の陽性率も11日時点で5・0%と8月下旬以来の高水準となった。都医師会の猪口正孝副会長は「検査数は増加しているが、それ以上に陽性者が増加している」と述べた。

 小池百合子知事は会議後、「外が寒くなり、暖房を入れておられるかと思うが、それでもこまめな換気をお願いいたします」と話し、手洗いやマスクの徹底を改めて呼びかけた。

 1日当たり感染者1662人過去最多更新第3波鮮明 

毎日新聞 2020年11月12日(木)19時56分配信

 新型コロナウイルスの感染者は12日、全国で新たに1662人を確認し、これまで最多だった8月7日の1607人を超えた。東京で393人、大阪231人、神奈川で147人の感染が確認されるなど大都市圏での拡大が目立つ。また、北海道も236人に達し、地方の感染も依然として深刻だ。「第3波」の到来が鮮明となり、政府や自治体などは換気の徹底などの対策を改めて呼び掛けている。

 北海道のほか、茨城、神奈川、兵庫の各県で感染者数が過去最多を更新した。

 東京は今年9月以降、1日100~200人台の日が多かったが、増加ペースは速まっている。今月12日は、1日あたりの感染者数が8月15日以来、ほぼ3カ月ぶりに350人を超えた。

 北海道は10月下旬から札幌市のススキノ地区で複数のクラスター(感染者集団)が発生したことなどから感染者が急増。11月5日に119人と初めて1日の感染者が100人を超え、9日には200人を記録していた。

 今月11日までの1週間の人口10万人当たりの感染者数は、北海道が21・7人と最も多く、大阪府13・5人、沖縄県13人、東京都12・6人――と続く。

 「第2波」に見舞われた8月7日までの1週間は、沖縄33・5人、東京17・3人、福岡16・2人の順。北海道は1・9人で、「第3波」の10分の1以下だった。東京、大阪は「第2波」の数値に近づいている。

 累計ではクルーズ船の乗客乗員らを合わせた感染者数は計11万4427人。死者は10人増えて計1886人になった。

 4週間後に最悪のシナリオ…東京都で「1日1160人超感染」の危険性 

FNNプライムオンライン 2020年11月12日(木)19時06分配信

東京都で1日1160人感染の危険性

 新型コロナウイルスの感染者が急増している。11月12日、東京都では393人の感染が新たに確認された。11日の感染確認も317人と多かったが、それよりもさらに増えた形となる。

 東京都の小池百合子知事は、11日の発言で「過去最多の100名が無症状患者であり、全世代に感染が広がっている」としたが、12日に開かれた都のモニタリング会議では、衝撃的な予測が発表された。

国立国際医療研究センター 大曲貴夫センター長: 

 現在、増加比は147.7%ですが、これが4週間そのままの増加比で継続すると計算すれば、新規陽性者数は約4.8倍、1日あたり約1160人程度となります。これは極めて深刻な深刻な状況です。

 モニタリング会議の資料を基に、具体的な都の感染者の予測を見てみると、11日までの1週間の新規陽性者は約241.6人で、先週からの増加比は147.7%となる。この状況が続くと、4週間後には新規陽性者数が1日で1160人程度発生することになるという。

加藤綾子キャスター: 

 二木先生、この東京都の予測はどうご覧になりますか?

昭和大学医学部 二木芳人客員教授: 

 大きい数字ですけれども、考えてみれば今ヨーロッパ各国とかアメリカで見てみると、1日6万とか10万といった数字が出るような状況になっています。それが増える時を見ていくと、1日にも倍々と増えていくんです。爆発的増加ですよね。今少しそういうリスクがある状態ですから、そうならないように何とかしなければいけないと感じます。

加藤綾子キャスター: 

 今は検査数も、以前と同じく1日だいたい約5000件ぐらいなんですよね。その中で感染者数が増えているということは、やはり陽性率が高まっているということですよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 ということだと思います。検査数が増えているから新規感染者の数が増えている、当然と言われますが、陽性率で見ると完全に陽性率も上がってますからね。

加藤綾子キャスター: 

 そこは気にしないといけないところですよね。

全国の自治体でも感染者が急増

 東京都の医療提供体制を見ると、11日時点で確保病床数2640床のうち、1076床が利用されているなど、入院患者数も増えつつある。そして、感染者の増加は東京だけではない。

 FNNのまとめによると、11月に入ってから全国の9自治体で感染者数が過去最多を記録した。9日には北海道で200人、11日には大阪で256人の感染者が確認されている。

 こうした中、12日に開かれた政府の新型コロナウイルス対策分科会では、次のようなポイントが示された。

・情報や対応が遅れがちになる外国人や若者への支援

・クラスターの多様化に基づいた政策の必要性

・大規模イベントの人数制限の維持(2021年2月末まで)

加藤綾子キャスター: 

 地域によって感染が拡大している理由はさまざまだと思うのですが、医療体制がひっ迫する前に踏み込んだ対策というのも必要になってきますよね。

昭和大学医学部 二木芳人客員教授: 

 そうですね。ある程度経済を動かそうと思えば、新規感染者が人の動きや接触の頻度の増加によって起こってくるのは仕方のないことかもしれませんね。ですが、やはり一番大事なのは、重症者の方や亡くなる方を増やさないことです。政府も東京都などもずっと言っていることですけれども、これだけ数が増えてきますと、重症者の人がそれだけいなくても、医療機関に対する圧力はじわじわ来ているんです。ベッドの占有率なども出ていましたが、出ている数字以上にすでに医療提供体制に対する圧力が上がりつつあると考えていただいた方がいいと思います。

加藤綾子キャスター:  

 重症者の数が11日の時点で39人、入院患者は1076人という数字なんですね。そこで医療体制が大丈夫なのかと。

昭和大学医学部 二木芳人客員教授: 

 私は決して十分にゆとりがあるというわけではないと思います。特に地方に行きますと、もっとギリギリでやっているところもありますよね。北海道辺りでで聞いてみると、すでに宿泊療養する人たちを振り分けると。以前、東京都もそういう問題がありましたが、そういうところでもいろいろと苦労されているようですね。

加藤綾子キャスター: 

 柳澤さん。経済を回していくと感染者は増えるだろうと予想されていたんですけれども、ここに来てぐっと上がっているというところは、今一度緊張感を持つことが必要になってきますよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 感染抑制のための積極的なこれまで以上に踏み込んだ策というのは、今何も取られていないんですよね。結局そうなってしまえば、我々一人一人が自分で感染予防策をとるしかないですけれども、ここはひとつ考えてほしいなと思いますね。重症者についても、全ての世代で感染者が増えているということは、ハイリスクの高齢者も増えてきているということ。今の時点で東京都で39人ということですけど、さらに40人50人と増えていっても、まったく不思議じゃないような段階に来ていると思います。

石本沙織アナウンサー: 

 感染者はいろんな世代で増えているのと、感染経路不明者も増えている点でいうと、若者から高齢者へという流れも少し変わってきている、市中感染が広まっているということですか。

昭和大学医学部 二木芳人客員教授: 

 その通りですね。以前だとクラスターを中心に対策をとっていましたし、クラスター対策をとればある程度、囲い込みができるのですけれども、クラスター自体が非常に多様化している。どこで起きてもおかしくない。それに加えて今一番多いのが、おそらく家庭とか職場とか。普通に生活している場で、感染経路がクラスターでないような散発例が多いので、おっしゃる通り市中感染が増えた。一人一人が常に注意しておかなきゃいけないということになります。

大阪・吉村知事は2つのルールを呼び掛け

加藤綾子キャスター: 

 ものすごい数字が出た時、以前はクラスターが至るところで起きていたから、それで人数が増えていたという印象だったんですが、今回はそうでもないんですよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 個別のクラスターというより、もう社会全体がクラスターになっていると考えたほうが自然な気がしますね。

石本沙織アナウンサー: 

 そういった意味だとクラスター対策を国に求めたいところですけれど、やっぱり私たちの対策というのが大事になってくるのかなというところですね。感染拡大が続く大阪府の吉村知事は、このように私たちに呼びかけています。

大阪府 吉村洋文知事: 

 マスクの徹底をお願いしたいと思います。そして飲食する際は大騒ぎせずに、静かに飲食をして楽しんでいただくということをこの2週間ぜひお願いしたいと思います。

加藤綾子キャスター: 

 今回は数が増えてきても、夜出歩かないでくださいとか飲食店に行かないで下さいということではなく、しっかりとルールを守った上で楽しみましょうという呼びかけということですよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 営業についての要請をすると、また春にあった議論で補償の話に戻りかねない。そうはしたくないというところが、どうも政府側のモノの言い方、対応からにじみ出てきているような気がするんですよ。

加藤綾子キャスター: 

 二木先生、吉村知事の言っている通り、マスクの徹底、それからあまり喋らないように静かに飲食をする、これは重要になってきますよね。

昭和大学医学部 二木芳人客員教授: 

 大事だとは思いますが、なかなか若い人には静かに飲食というのは難しいんじゃないかなと思います。若い人たちを中心にどんどん社会に広がっているような雰囲気もありますので、ぜひ若い人にいろんなメッセージを伝えていかなきゃいけないかなと思います。

加藤綾子キャスター: 

 少し世の中の流れにも、コロナに慣れてきてしまったという部分もあって、そこが気の緩みにつながりすぎないようにしないといけない。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 ここのところ発表される数字も確かに多くて、「うわっ増えたな」と思うのですけど。春に我々が感じていた時ほどのインパクトを持って、果たして自分たちを受け止めているかどうかというと、さほどでもないような気がする。「また増えた」の感じじゃないかなと。やはりもう一度原点に立ち返って、個人レベルでやらなきゃいけないことを点検してやっていくことが必要になってくると思います。

加藤綾子キャスター: 

 こういう状況になってくると、もう一度、自治体に権力をもう少し持たせたほうがいいんじゃないかという議論も生まれてくると思うんですけれども、いかがですか。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏: 

 地域の実情は自治体が一番よく分かっていますから。全体的に網をかけようとすると無理があるかもしれませんけど、地域の実情に即した対策をとっていくことを、国レベルで後からバックアップするという考え方。上から落とすのではなくて、自治体がそれぞれやっていくことを中央から応援してあげるというようなことを考えていくことじゃないでしょうか。

 NY株続落317㌦安2万9080㌦ コロナ感染急増を懸念 

共同通信 2020年11月13日(金)6時32分配信

 12日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は続落し、前日比317.46ドル安の2万9080.17ドルで取引を終えた。米国での新型コロナウイルス感染者の急増を受け、リスク回避の売りが優勢となった。

 米東部ニューヨーク州が経済活動の制限を再び強化する措置を打ち出したことなどから、米景気回復が遅れるとの懸念が強まった。米製薬大手ファイザーなどが開発を進める新型コロナワクチンを巡り、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「(景気への影響を)評価するのは早過ぎる」と述べたことも重荷となった。

まだわらない米大統領選挙バイデン三日天下あり得るのか

現代ビジネス 2020年11月12日(木)23時01分配信/大原浩(投資アナリスト)

まだ確定できない

 本稿を執筆している11月11日時点で、日米のオールドメディアは、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏がまるで大統領に就任したかのような記事を垂れ流している。しかし、もちろんこれは大きな誤りである。

 大統領就任式は来年の1月20日であり、それまではトランプ氏が「現役大統領」であるのは当然だ。また、その大統領就任式で「いったい誰が就任演説をするのか?」という問いに対する答えは、今のところ誰にも答えられないというのが、憲法を始めとする米国の法律にしたがって考察した結果必ず行きつく結論である。

 いくら、「バイデン好き」で「トランプ嫌い」のオールドメディアがバイデン勝利を騒ぎ立て、大手SNSがバイデン氏に不利な情報に「拡散制限」をかけても、彼らが大統領を選ぶわけでない。

 確かに、オールドメディアや大手SNSの情報に踊らされる国民もいるだろうが、「米国大統領は、国民が選んだ国会議員が制定した法律と有権者の意思(投票)で決まる」のだ。

 現状を見ると、オールドメディアや大手SNSは、中国共産党の機関紙「人民日報」に匹敵する、民主党の機関紙「民主日報」になっていると言える。大本営発表ならぬ「共産党発表」が満載されている人民日報の記事の信憑性はほとんどなく、今や中国共産党員でさえ誰も読まないと言われるほどだが、「民主日報」化しつつあるオールドメディアや大手SNSも同じ運命をたどるのだろうか?

 そのプロパガンダの本場である共産主義中国やロシアの、今回の米国大統領選挙に対する態度は非常に興味深いものだ……

 菅首相は11月8日早朝、ツイッターに「ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。」から始まる投稿をアップした。

 日本時間8日未明までに米主要メディアは相次いで、民主党・バイデン氏の「当確」を報じ、大統領候補のバイデン氏、副大統領候補のカマラ・ハリス氏が勝利を宣言して演説を行ったことが影響していると思う。

 しかし、これは安倍前首相と比べて外交面の弱さが懸念されていた菅首相の大失態になるかもしれない。また、外務省を始めとする政府機関が情報収集・分析をきちんと行い首相に報告を行わなかった責任も追及されるべきであろう。

ますます怪しい

 「選挙不正疑惑」に関しては、11月7日の記事「郵便投票不正疑惑―結局、不信と分断を決定的に増幅した米大統領選挙」や10月25日の記事「【米大統領選】ヒラリー疑惑もバイデン疑惑も『報道しない自由』って…」で述べたように、民主党の機関誌化したオールドメディアや大手SNSが「報道しない自由」や「拡散制限」を駆使して、国民の目に触れないようにしようと必死だが、そのような(隠蔽)行為そのものが「疑惑が真実である」事の証明だと言える。

 もし、トランプ支持者が訴える「選挙不正疑惑」がでたらめであるのなら、むしろその主張を公にして証拠を基に議論したほうが民主党に有利だ。トランプ支持者の欺瞞が明らかになるはずである……

 しかし、その逆に「報道しない自由」を駆使したり「拡散制限」を行うのは「疑惑を追求されると困る」=「疑惑が真実である」と考えざるを得ない。

 一例として、朝香豊氏のブログ「民主党の不正を訴えるホワイトハウスの会見を中断! フォックス・ニュース!」でも取り上げられている、ホワイトハウスのマケナニー報道官の会見の模様をフォックステレビが途中で打ち切った「事件」に触れたい。

 彼女が放送を打ち切られる直前に述べていたのは、

 「隠すことがないのであれば、我々の努力や透明性に反対しません。こうした姿勢を取るのは不正を歓迎しており、違法な投票を歓迎しているからです。私たちの姿勢は明確です。私たちはアメリカ国民の参政権を守りたいだけです。私たちはウソのない正確で合法的な集計を求めています。私たちは最大限の透明性を求めます。私たちはすべての合法的な投票はカウントされることを望み、すべての非合法な投票がカウントから排除されることを望みます…」

 である。このようなまっとうな発言を押しとどめようとするのは、よほど悪いことをしていると考えざるを得ない。

中国もロシアもバイデン氏当選を認めていない

 11月9日、中国外務省の汪文斌報道官は定例会見で、「バイデン氏が大統領選で勝利宣言をしたことは認識しているが、選挙結果は米国の法と手続きに則って確定すると、われわれは理解している」と述べた。

 これに対して記者から色々と質問を受けたにも関わらず、同報道官は「バイデン氏の勝利は認めず」に「米国の新政府は、中国と歩み寄れることに期待する」と述べるにとどまった。

 これはどういうことなのか? 

 中国共産党系メディアの環球時報の胡錫進編集長が11月8日未明にツイッターで「トランプ氏が敗北を受け入れるべきだ」主張しているが、これも中国共産党の方針と考えて良いだろう。

 つまり、中国共産党は「トランプ氏に敗北宣言をしてもらって、自分たちに都合が良いバイデン氏に勝ってもらいたいたいが、それは望めない。だとしたら、今ここでバイデン氏勝利を認めた後に『トランプ氏再選』になったら取り返しのつかない外交的失態になるから取りあえず様子を見よう」と考えているのだ。

 海外での工作活動を通じて、米国の大統領選挙に関する情報を大量に集め真剣に分析している中国共産党の判断であるだけに注目すべきだ。しかも、中国は心の底からトランプ氏落選、バイデン氏勝利を望んでいるのである・・・

 同じく、諜報活動にすぐれたロシアの大統領は秘密警察・KGB出身のプーチン氏だがバイデン氏に祝辞を述べていない。

270人を本当に確保できるのか?

 今回の大統領選挙において「組織的不正」があったかどうかは、既に数千件にも達したとも伝えられる選挙不正に関する告発の裁判・審査などを通じて明らかにされていくだろうが、それ以前にオールドメディアが「バイデン勝利」と報道する根拠そのものが崩壊しつつある。

 2000年に創設された評価の高い政治ニュース・世論調査データ収集サイトである「リアル・クリア・ポリティクス」によれば、バイデン氏が現在獲得可能な(と見積もられる)選挙人の数は259人だけであり、バイデン氏は「当選確実」などではないことは明らかだ。

 ちなみに、このサイトでも当初はバイデン氏が280人以上獲得と報じていたようだが、その後の開票作業結果の「訂正」によってバイデン氏の票が大幅に減ったとのことだ。

 その「訂正」しなければならなかった票は「不正」なのか「間違い」なのか今のところ定かではないが、今回の大統領選挙の投票・集計がきちんと管理されていなかったことだけは明らかである

 各州は12月8日までに選挙結果を最終確定させ、大統領選挙人が同月14日の公式投票に臨む予定だが、トランプ陣営が激戦州で集計作業をめぐる複数の訴えを起こしていることもあり、どちらの候補も選挙人538人の過半数となる270人を確保できないまま、投票を迎える可能性も大だ。

 次期米国大統領は、まだいったい誰になるのか皆目見当がつかないのだから、中国やロシアのように静観するのが正しい選択といえよう。私なりに現在の情報を総合的に判断すると、たぶん50%以上の確率でトランプ再選となるであろうから、そうなった時、菅首相を始めとするバイデン氏に祝辞を送った首脳は大変な思いをするはずである。

バイデン氏は三日天下に終わるのか?

 もちろん、トランプ氏が必ず勝利するという状況ではないのも確かだ。

 しかし、現在のバイデン氏はまるで「本能寺の変」の後の明智光秀のように思える。

 光秀は、信長がほとんど警備をしていない状況であることを察知し、卑劣にも大軍で取り囲んだ。そして、「主君殺し」と言う大罪を犯したのだ。

 それにも関わらず、安易に「自分が天下をとった」気分になった「三日天下」の後、中国大返しを見事に決めた豊臣秀吉に山崎の合戦で敗れた。最後は野武士狩りで農民に打ち取られるというみじめな最期となったのである。

 もちろん、中国大返しで不意を突かれたことが光秀の敗因の1つだが、「主君殺し」の大罪人が、多くの人々の支持を得て天下人になる可能性は低かったと思う。

 「バイデン勝利」と言うのは「三日天下」どころか「蜃気楼」のようなものかもしれない。

 バイデン氏は、息子のハンター氏などとともに「疑惑のデパート」であるから、今回の選挙で負けたらどのような「追求」をされるのかとびくびくしていたのは間違いないと思う。

 だから、「手段を択ばずに勝とうとする動機」は十分にある。その動機が犯行に結びついたかどうかはこれから検証されていく(バイデン氏勝利で握りつぶされなければ……)はずである。

 民主党は、ヒラリー・クリントン氏の「メール疑惑」など、「疑惑の発表展示会」のような状況だが、トランプ氏を落とし入れるために行ったと疑われる「(トランプ氏への)ウクライナ疑惑」にはヒラリー氏だけではなく、オバマ元大統領が関わった可能性も指摘される。

 バイデン氏は「天下をとった」気分でいるかもしれないが、今回の選挙では「民主党の闇」もかなり明らかになった。

 オールドメディアの「報道しない自由」や大手SNSの「拡散制限」によって、真実が国民に伝わりにくい部分があるのは事実だ。しかし、奴隷制度維持を主張して、奴隷解放を目指すエイブラハム・リンカーン率いる共和党と南北戦争を戦った民主党の未来は、次のリンカーンの演説の一節に集約されると思う。

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すべての人を少しの間騙すことはできる。
一部の人を永遠に騙すこともできる。
しかし、すべての人を永遠に騙すことはできない。
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 いくら「報道しない自由」を駆使し、「拡散制限」を行っても「すべての人を永遠に欺くことはできない」のである。

 

2020年11月11日 (水)

【日経平均】7日続伸「終値(バブル崩壊以降)最高値」2万5千円台回復

東証  7営業日続伸  2万5000円回復 29年ぶり

共同通信 2020年11月11日(水)15時06分配信

 11日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は7営業日続伸。新型コロナウイルスワクチンの開発が進み、将来的に経済活動が復調するとの期待が高まった。終値で2万5000円を突破し、約29年5カ月ぶりの高水準で取引を終えた。

 終値は前日比444円01銭高の2万5349円60銭。東証株価指数(TOPIX)は28.27ポイント高の1729.07。出来高は約16億8320万株だった。

安倍前総理物価目標上昇率2%事実上達成した

朝日新聞デジタル 2020年11月11日(水)22時11分配信

 安倍晋三前首相は11日、自らが会長に就任した自民党の議員連盟の会合で、安倍政権が掲げた物価上昇率2%が未達成との批判があるとして「ある意味、間違った議論。完全雇用に近い状況をつくった。事実上政策ターゲットに到達したと考えていい」と反論した。

 議連は、「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」。これまで安倍氏に近い議員有志でつくってきた「アベノミクスを成功させる会」を改称して、同日に設立総会を開いた。

 安倍氏は冒頭のあいさつで、2013年に政府と日本銀行がデフレ脱却などの実現に向けて掲げた「物価上昇率2%」に言及。安倍氏は目標として掲げたが、正しく言えば2%以下で安定させることでもよかったと強調。安倍政権下で雇用が増えたとし、マクロ政策の目標は雇用なので達成したのではないか。開き直るのかと言われたら、それは分かっていない議論だと思うと述べた。

 東京新たに317人感染 300人超8月20日以来 

朝日新聞デジタル 2020年11月11日(水)14時41分配信

 東京都内で11日、新型コロナウイルスの感染者が新たに317人確認されたことがわかった。1日の感染者数が300人を超えるのは8月20日(339人)以来、約3カ月ぶりとなる。また「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使用」とする都基準の重症者数は、前日から5人増えて38人だった。

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 感染者317人を年代別に見ると、30代68人、20代61人、40代58人、50代43人と続いた。65歳以上の高齢者は40人だった。

 日本国内感染者1500人超💥3カ月ぶり最多迫る 

時事通信 2020年11月11日(水)15時07分配信

 国内では11日、新たに1542人の新型コロナウイルス感染が確認された。

 1500人を上回ったのは8月8日以来で、過去最多の1605人に迫る水準。東京都は8月20日以来の300人超えとなる317人、大阪府では最多だった8月7日を上回る256人が陽性となった。

 埼玉県(116人)、兵庫県(70人)、茨城県(20人)、新潟県(16人)、岩手県(8人)でも最多を更新。北海道は過去2番目の197人だった。

 都によると、年代別では30代が68人と最多で、20代61人、40代58人、50代43人と続いた。65歳以上は40人だった。重症者は38人で前日より5人増えた。

 小池百合子知事は記者団に「全世代で感染が増え、皆さん不安に思っていることは事実だ」と述べた。一方で、国内の感染第3波到来が指摘されていることについては「いろいろ分析されているんだろうと思う」と話すにとどめた。

 大阪府は、豊中市にある大阪大とカラオケ喫茶店で発生したクラスター(感染者集団)を新たに認定。重症者数は63人に増加した。吉村洋文知事は「確実に陽性者は右肩上がりで増え、第3波に入っている。いま一度、一人一人の感染症予防策を徹底していただきたい」と危機感を示した。

 新潟県警南魚沼署では警察官ら15人の感染が判明。同署の感染者は計16人となり、県はクラスターの可能性があるとみている。県警は同署員約90人のうち約80人を自宅待機とし、本部から応援を送った。

 全国の死者は、北海道、東京都で各3人など計11人増えた。

 トランプ氏の再選ならず過去の大統領選の現職敗北は戦後3人のみ 

AFPBB News 2020年11月8日(日)14時38分配信

 米大統領選で当選確実が伝えられた民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は7日午後(日本時間8日午前)、地元のデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)で演説し、大統領選での自身の勝利を宣言した。

 再選を目指した共和党の現職ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は、敗北を認めない姿勢を示しているが、各州でほぼ終了した開票結果からはバイデン氏が勝利に十分な票を確保したことが示されており、メディア各社は歴代の選挙と同様、この結果に基づいてバイデン氏の当選を判断した。

 米国では歴代大統領44人のうち、2期連続で務めた大統領はわずか15人しかいなかったが、近年の大統領選では特に現職大統領に好意的な展開となっており、第2次世界大戦(World War II)以降、再選を果たせなかった現職大統領は3人のみだった。トランプ大統領の前のビル・クリントン(Bill Clinton)、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)、バラク・オバマ(Barack Obama)の3氏は、いずれも2期目の大統領選で勝利している。

 1976年の共和党のジェラルド・フォード(Gerald Ford)氏の2期目の大統領選では、再選へ向けた挙党体制が取れないと致命的であることが証明された。同氏は、保守派のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)氏の挑戦を受け、どうにか共和党の指名を獲得したものの、本戦では民主党のジミー・カーター(Jimmy Carter)氏に敗北した。

 そのカーター氏は、1980年の2期目の大統領選で、エドワード・ケネディ(Edward Kennedy)民主党上院議員を相手に苦戦を強いられて消耗し、共和党のレーガン氏に惨敗した。

 ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)大統領の暗殺後に後継者となったリンドン・ジョンソン(Lyndon B. Johnson)氏は、ベトナム戦争(Vietnam War)に対する国民の不支持を受け、1968年、再出馬しない考えを表明した。

 1992年にはジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)氏が、失業率上昇などの経済指標悪化を受けて2期目の大統領選で民主党のビル・クリントン(Bill Clinton)氏に敗れた。ブッシュ氏は、ポピュリストの独立系候補だった実業家のロス・ペロー(Ross Perot)氏に票を奪われ、後にペロー氏の選挙運動が自身の敗北につながったと語っている。

 クズだ」「消えろ」風当り強くても…“転売ヤー続ける理由 

西日本新聞 2020年11月11日(水)10時08分配信

 コロナ禍前夜、今年1月末のある日。レジに並ぶ恭一(26)=仮名=が両手に持ったかごは大量のマスクであふれていた。仲間と2人、福岡県内のドラッグストアを車で約30軒回り、段ボール5箱分のマスクを買い占めた。フリマアプリで売り、翌朝に発送。もうけは2人で10万円。「こんな実入りのいい商品は珍しい。めっちゃうまかった」

 彼はいわゆる「転売(てんばい)ヤー」。品薄が見込まれる品を定価で大量購入し、インターネットで高く売り、利ざやで稼ぐ。酒類や医薬品、偽ブランド品など禁止されている品物以外、転売は原則自由だ。マスクも3月に国が禁じるまで違法ではなかった。コロナ禍において、消毒液やゲーム機、ホットケーキミックスが姿を消したのも転売ヤーの仕業だ。損しないように大規模な転売業者に売りさばくことも多く、さらに高騰して消費者の手に渡る。中古品販売店の買い取り価格や同業者の情報網を駆使し、狙いを定める。

 「もうかる商品は一気に買い占める。品薄が本格化する前に動くのが大事。マスクもがっつり買えたのは最初の3日間だけだった」

転売をやめられなくなった

 モットーは「楽して稼ぐ」。その考え方があだとなり、学生時代にマルチ商法や外国為替証拠金取引(FX)で借金300万円を背負った。コールセンターでバイトしても利息しか返せずにいた5年前、スマートフォンにバイト募集の知らせが。「原付で福岡市内を回ります。実際にやることは当日教えます」

 現場に着くと、加熱式たばこキットの買い占めを指示された。教えられた通り、流通業者のトラックの搬入ルート沿いにコンビニを回ると、入荷直後の商品を簡単に買い付けることができた。1個当たりのもうけが約7千円と知り、自ら転売を始めた。収入は多いときで月に百数十万円に上った。「ずっと苦しんでいた借金がたった2カ月で返済できた。転売をやめられなくなった」と振り返る。

 人生観も変わり、大学を中退した。「サラリーマンとしてあくせく働いても月給20万か30万円程度。学歴ないから出世できないし、就職する気がうせた」。定職に就いたことはない。

転売消えろ」「転売ヤーはクズだ

 「転売消えろ」「転売ヤーはクズだ」。ネット上にはこんな声が目立つ。世間の風当たりは強い。ただ、恭一は涼しい顔で言い放つ。「商品が買えないのはその人の努力不足だ」。それでも友人がマスクが買えずに困っていた時は、わずかに罪悪感を覚えた。

 転売のネタがないときは料理の宅配バイトでミニバイクを走らせる。家も車もいらない。「そこそこの生活でいい。転売で1カ月頑張って、その稼ぎで3カ月休む生活が心地いい」。福岡市内のアパートの家賃は3万7千円。交際中の彼女はいても「扶養家族ができればリスクになる」と結婚願望はない。将来の夢を抱いたことなんてあっただろうか。「楽な道ばかり選んできてしまった」と自嘲する。

 それでも、将来に不安はない。「たとえ転売できなくなっても、また新たな隙間が生まれる。そこで稼げばいいから」。屈託のない笑顔を見せた。

【記者ノート】

 「両親にもマスク転売してたって、バレているんですよ。さすがに怒られましたね」。恭一(26)=仮名=はそう打ち明けた。マスク転売で稼いでいることは友人にも隠しておらず、ドラッグストアのレジで「転売ですか?」と聞かれても、「はい」と答えて買っていたらしい。

 国がマスクの転売を禁止した3月15日以前は、マスクの転売は違法ではなかった。5月には消毒薬も禁止に。いずれも8月末に解除されたが、主なフリマアプリはマスクなど新型コロナ関連商品の転売を引き続き禁じている。

 マスクの品薄が深刻化していた時期は、私もドラッグストアを探し回ったが、なかなか手に入れられなかった。かといって、インターネットで高騰したマスクを買うのもためらい、1枚を繰り返し使った。マスクが買えずに困っていた人が多い中で、周囲の目が気になっただろうと思っていただけに、恭一の態度は意外だった。

 転売行為への罪悪感が薄い理由は、ネット上で非難する人の顔が見えないこともあるが、新型コロナウイルスの予防効果について「マスクは気休め程度」と受け止めている恭一自身の考えにもあるようだ。実際、恭一はいつもマスクを着けずに外出していた。「感染する確率は低いから怖くない」と強気だった。恭一のような若者だけでなく、カップルや夫婦、親子で買い占め、転売しているグループもいると明かし、「たとえ俺が買い占めなくても、遅かれ早かれ誰かが買い占めるんだから」と続けた。

 一方で、同業者への疑心は強かった。転売で大きく稼ぐには人海戦術が重要。恭一も8人ほど雇って加熱式たばこを買い占めていた時期があった。ただ、彼らがちゃんと働いているかを管理するのがストレスで、毎日飲み歩いていたという。仲間が金を持ち逃げし、トラブルになったこともあり、少人数で商品を買い付けする方が気楽なのだ。

 さらに恭一はこう言ってのけた。「転売はグレーな商売だから、他人を信用しにくい。品薄で困っている人がいても、『買えないやつが悪い』とずぶとく思わないと生きていけないよ」 (御厨尚陽)

    ◇    ◇

 「NICHE(ニッチ) INDUSTRY(インダストリー)」は、英語で隙間産業を意味する。小さな分野や市場は時流の変化に影響を受けやすい。連載「NICHE-MEN(ニッチメン)-オレの仕事、アウトですか?」に登場するのは、隙間のさらに奥、吹けば飛ぶようなニッチな世界で実にたくましく、時にふてぶてしく生きる男たち。アダルト系、転売ヤー…。子どもが憧れる職業にはランクインしないが、需要があればこそ、存在するなりわい。あらゆる業種がコロナ禍で打撃を受けている今、見えにくい隣人の山あり谷ありの人生をお届けします。

 東京五輪中止?”会場周辺のマンション所有者は「心の準備」を 

夕刊フジ 2020年11月10日(火)16時56分配信/榊淳司(住宅ジャーナリスト)

【マンション業界の秘密】

 新型コロナウイルスは、どうやら日本国内では大きな厄災をもたらさないであろうと思える展開になってきた。感染者数も死亡者数も欧米に比べて2ケタ少ない。これは中国や韓国、台湾やベトナムでも同様。発表されている数字は、いずれも日本よりも低い。

 なぜアジアと欧米ではここまで違うのか、ということについては諸説紛々である。初期の頃は「BCG説」が有力に思えたが、最近の欧米では「ネアンデルタール説」というのがささやかれているそうだ。ネアンデルタール人の遺伝子割合が高いほど新型コロナには弱いのだとか。

 信憑性はさておき、欧米では日本にいるわれわれが実感できないレベルでコロナ禍が深刻なことだけは確かだ。

 日本人はこれを「対岸の火事」と眺めているだけでは済まない。さまざまな面で影響はあるが、とりわけ大きなことは東京五輪が開催できるか否か。菅氏が総理になってから「何としても開催」という動きになったと伝えられた。ただこれは日本だけの努力でどうにかなる問題ではない。コロナがどうなるのか、というのが開催の可否を決める最大の要因になる。

 ワクチンや特効薬ができ上がって広く行き渡ることが収束に向かうための一里塚であろう。しかし、日々報道されるニュースを見ている限り、まだ明るい見通しを抱けない。

 100年前に流行したスペイン風邪に対しては、ワクチンも特効薬もできなかったが、約2年で収束した。多分、多くの人が抗体を持ったことによるのではないか。

 そう考えると、今回のコロナもあと1年と少しで収束に向かう可能性が期待できる。しかし、それでは東京五輪には間に合わない。2021年の開催を22年に延ばすのか。そうなれば北京の冬季五輪と同時開催になってしまう。

 マンション業界にとっての気がかりは、湾岸エリアでの市場動向だ。選手村跡地の大規模マンションはどうなるのか。すでに約900戸の販売契約が終わったと伝えられた。しかし、いつ引き渡しになって住み始められるのかが、今のところ見えていない。

 競技会場が集まる江東区の有明周辺ではいくつものタワーマンションが販売されている。これも五輪が開催されるか中止になるかで、資産価値には大きな影響が生ずる。開催されれば「五輪の街」、中止されれば「不運な場所」となる。

 ただ、現時点の状況を見ている限り、悲観せざるを得ない。例えば「今から3カ月後の開催」であれば、確実に不可能だと断言できる。半年後の開催でも、かなり危うそうである。そして、現時点では「8カ月後の開催」ということになる。

 そろそろ悲観的なシナリオに対して心の準備を始めるべきではないか。

 身代金要求ランサムウエア』企業にサイバー攻撃、各国で被害 

毎日新聞 2020年11月11日(水)21時02分配信

 企業がサイバー攻撃を受けて機密情報が流出したり、金銭を要求されたりする被害が国内外で相次いでいる。グローバル化や情報通信技術の進展で、被害は複雑で大規模になっている。

 2018年、仮想通貨(暗号資産)の取引所「コインチェック」から約580億円相当の仮想通貨が流出した事件では、補償対象は約26万人に上った。自動車大手「ホンダ」は20年6月にサイバー攻撃を受け、北米、トルコ、インド、ブラジルの世界4地域で一時生産停止を余儀なくされた。

 ネットセキュリティー大手「トレンドマイクロ」(東京)によると、近年は「ランサムウエア」と呼ばれる身代金要求型のウイルスによる被害が多い。「ランサム」は身代金のことで、感染させたパソコン内のファイルを勝手に暗号化するなどして使えなくし、復旧と引き換えに金銭を要求する手口だ。17年には約150カ国で被害が発生。日本でも日立製作所やJR東日本などが標的になった。

 最近は、新型コロナウイルス禍でテレワークが普及し、外部から会社のネットワークに接続する機会も増えている。家庭のネット環境はセキュリティーが脆弱な場合も多く、ハッカー集団に狙われる恐れもある。トレンドマイクロの岡本勝之さんは「パスワードをこまめに変更し、社内ネットへの接続ルールを見直すなど、対策を強化する必要がある」と話す。

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カプコンサイバー攻撃、情報漏洩か?犯罪集団が犯行声明

毎日新聞 2020年11月11日(水)11時55分配信

 企業の機密情報を盗んで金銭を要求するサイバー犯罪集団が、大手ゲーム会社「カプコン」(大阪市中央区)にサイバー攻撃を仕掛け、同社の内部情報や個人情報とみられる大量のデータをインターネット上に公開したことが、関係者への取材で判明した。グループは仮想通貨(暗号資産)を要求し、日本時間の11日午前8時までに連絡するよう求めていた。相談を受けた大阪府警が情報収集を進めている。

 関係者によると、グループは「RAGNAR LOCKER(ラグナロッカー)」と名乗っている。カプコンのネットワークを攻撃し、同社の顧客や従業員の個人情報、業務情報など約1テラバイト(テラは1兆)のデータを入手したとする英語の犯行声明を9日に公開。取引に応じればデータを消去するとしていた。

 11日には、特定のソフトを使わないとアクセスできない「ダークウェブ」上に、カプコンの内部情報とする約67ギガバイト分のデータを公開。毎日新聞が解析を依頼した上原哲太郎・立命館大教授(サイバーセキュリティー)によると、データには、ゲームソフトの売り上げや社員の給与に関する記録、関係者のパスポート画像や社内メールなどとみられる文書が含まれていた。

 グループは同日、「カプコンは正しい決断をしなかった」などとする声明も発表。公開した情報は一部だけだとして「データの流出や多額の訴訟費用などの損害を避けたければ、取引に応じろ」と脅している。

 カプコンは4日、外部からの不正アクセスで、2日未明からメールシステムやファイルサーバーなどにアクセスしづらい障害が発生したと発表。同社は取材に「まだ調査中で、現時点では顧客情報の漏えいは確認されていない。不正アクセスについては府警に相談している」と説明している。

 カプコンは1979年設立で東証1部上場。「ストリートファイター」や「バイオハザード」「モンスターハンター」などのゲームが世界的に人気を集めている。

カプコン11億円要求ランサムウエアとは?

テレ朝news 2020年11月10日(火)23時30分配信

 企業の機密情報を人質に「返して欲しければ11億円を払え」という声明文が、アメリカのネットメディアで公開されました。

 公表された声明文の冒頭には「ハロー、カプコン」と書かれ、日本の大手ゲームメーカー『カプコン』を指しているとみられます。

 送り主は『ラグナ・ロッカー』と名乗るグループで、大量の機密データをダウンロードし、その中には個人情報や契約に関する情報などが含まれていると主張。暗号解除のための特別なカギを購入しなければ、データはすべて公開されるか、オークションを通して第三者に売り渡されるとしています。カギの値段は約11億円で、仮想通貨『ビットコイン』での支払いを要求しているということです。

 こうした手法は『ランサムウェア攻撃』と呼ばれ、企業の新たな脅威となっています。

 犯行グループはまず、企業のシステムに不正に侵入し、機密情報を抜き取ったうえで、企業内のデータは暗号化して使えないようにします。そして、抜き取った情報を漏えいすると脅しをかけ、暗号解除の見返りに金銭を要求します。

情報処理推進機構・柴田直研究員:「基本的には、攻撃者しか復号ができないものとなっていて、暗号化されてしまうと中身がみられなくなってしまう。企業・組織のパソコンが一斉に数万台単位で暗号化されてしまうので、事業を進めることができなくなる、最悪そういったパターンもあり得る」

『ラグナ・ロッカー』と名乗るグループは9日、新たな声明文を発表し、日本時間11日午前8時までに連絡をするよう求めています。

 アメリカのサイバーセキュリティーに関するサイトによりますと、このグループは、過去にも海外の企業に身代金を要求しているということです。

 カプコンは「不正アクセスによるシステム障害」が発生していると発表していて、すでに警察などに相談をしているということです。ただ、“身代金”の要求との関係など詳細については、コメントできないとしています。

 

2020年11月10日 (火)

【日経平均】6日続伸「一時(バブル崩壊以降)最高値」利確で上げ幅縮小

〔東京株〕6日続伸伸び悩み=利益確定売り圧迫

2020年11月10日(火)15時30分配信

 日経平均株価は前日比65円75銭高の2万4905円59銭、東証株価指数(TOPIX)は18.90ポイント高の1700.80と、ともに6営業日続伸した。新型コロナウイルスワクチンの開発期待を背景にした買いが先行したが、高値警戒感を受けた利益確定売りもかさみ、急速に伸び悩んだ。

 ▽ ワクチン開発も明暗

 10日の東京株式市場で、日経平均株価は上げ幅を一時前日比400円超に広げ、2万5000円台に乗せる場面があった。しかし、その後は急速に伸び悩み、新型コロナウイルスワクチンの開発期待は「業種によって明暗を分ける形になった」(銀行系証券)という。

 値上がりが目立ったのが、旅客需要の持ち直しが期待された空運株や電鉄株。また、「ワクチンが普及すれば世界的に景気は拡大基調に入る」(大手証券)との見方から、鉄鋼や金融などの景気敏感株も買われた。一方、これまで「ウィズコロナ銘柄」として注目された巣ごもり関連のゲームや食品、通信株の一角は大幅に値下がりした。

 日経平均は11月に入り急伸し、29年ぶりの高値水準まで駆け上がっている。それだけに、主力銘柄にも利益確定売りがかさみ、「スピード調整場面を迎えつつある」(同)との声が上がっていた。

 東証一時2万5千円台回復 29年ぶり、ワクチン期待急騰 

毎日新聞 2020年11月10日(火)11時28分配信

 10日の東京株式市場の日経平均株価は続伸し、前日終値比の上げ幅が一時400円を超え、取引時間中として1991年11月以来、約29年ぶりに2万5000円台を回復した。米製薬大手ファイザーが開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、90%超の確率で感染防止の有効性が確認されたとする臨床試験結果を公表したことを受け、欧米市場の株価が急騰した流れを引き継いだ。

 ファイザーは9日、独ビオンテックと共同開発するワクチンについて、11月後半にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する見通しを示した。欧米メーカーのワクチンの中で、最終段階で有力な結果が示されたのは初めて。

 景気回復の切り札となるワクチンの実用化が現実味を帯びたことで、9日のニューヨーク株式市場は大幅反発し、優良株で構成するダウ工業株30種平均は、前週末比834・57ドル(3・0%)高の2万9157・97ドルで取引を終えた。

 上げ幅は一時1600ドル超に達し、2月12日に記録した取引時間中の過去最高値を約9カ月ぶりに更新した。

 10日の東京株式市場もワクチン実用化で景気が本格回復するとの期待が高まり、買いが先行した。日経平均の午前終値は前日終値比268円37銭高の2万5108円21銭。

 東京外国為替市場でも投資家のリスクをとる姿勢が強まり、比較的安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが拡大。円相場が前日午後5時時点より1円超円安・ドル高の1ドル=105円前後で推移し、輸出銘柄を中心に株価上昇を後押しした。菅義偉首相が10日の閣議で追加経済対策の策定を指示したことも好材料となった。

 野村証券の沢田麻希エクイティ・マーケット・ストラテジストは「節目となる2万5000円台に達したことで利益を確定するための売りが出やすくなり、今後は上昇ペースが緩やかになる可能性もある」と指摘した。

 ファイザーのコロナワクチン、供給のネックは「超低温保管 

ロイター 2020年11月10日(火)13時49分配信/Carl O'Donnell

 米製薬大手ファイザー<PFE.N>と独バイオ医薬ベンチャーのビオンテック<BNTX.O>が共同開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンは、臨床試験(治験)で高い有効性を示したことが9日に発表され、供給網構築の取り組みが加速している。しかし保管に超低温の温度管理が可能な設備が必要なため、供給網がすぐに地方の薬局にまで広がることはなさそうだ。

 公表データによると、ファイザーの新型コロナワクチンは臨床試験で有効率が90%を超えた。発表を受けて米株式市場は過去最高値を更新。ファイザーとビオンテックは安全性に関するデータの収集を続けており、今月内に結果が出るとみられる。

 市中への供給には当局の承認が必要。承認後は政府が供給の優先度を判断し、医療従事者や老人ホーム入居者などが最優先されそうだ。

 ただこのワクチンは複雑な超低温保管設備が欠かせない。この点は米国で最も高度な医療体制を持つ病院にとってすら供給を受ける際のネックで、資金など資源が乏しい地方や貧困国ではワクチン入手の時期や範囲に影響が生じるかもしれない。

 ファイザーらのワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づいており、セ氏マイナス70度以下で保管する必要がある。

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 ジョンズ・ホプキンス大学ヘルス・セキュリティー・センターのアメシュ・アダルジャ氏は「このワクチンの供給面における最大の課題の1つが低温の維持だ」と述べた。「大都市の病院でさえ超低温でワクチンを保管する設備を備えておらず、あらゆる面で厄介だ」という。

 実際に米国で最も権威ある病院の1つであるミネソタ州ロチェスターのメイヨー・クリニックによると、今はこのような設備はないという。

 メイヨー・クリニックのワクチン研究者、グレゴリー・ポーランド氏は「このワクチンはセ氏マイナス70-80度で保管しなければならない。米国のみならず西側諸国以外でも物流上の重大な問題だ」と述べた。「メイヨー・クリニックは大病院だが、このような保管設備は備えていない。どの病院もそうだろう」という。

 ファイザーの広報担当者によると、同社は米国やドイツ、ベルギーなどにある拠点からワクチンをどのように出荷するかについて、米政府や州当局と密接に協力している。ドライアイスを使い、推奨温度で最長10日間のうちに空路もしくは陸路で凍結したワクチンを輸送するといった具体的な計画も含まれているという。

<氷で冷やす>

 ワクチンの配送後は州や地方の医療機関が保管や投与の責任を負う。ファイザーの広報担当者によると、このワクチンが保管できる期間は超低温で最長6カ月間、病院で普通に入手可能な冷蔵庫のセ氏2-8度で5日間。ファイザーの保管設備は最大15日間にわたり氷を補充できるという。

 しかし氷点をやや上回る普通の冷蔵庫の温度では5日間程度で傷んでしまう。ビオンテックのウグルー・サーヒン最高経営責任者(CEO)によると、同社とファイザーはこの期間を2週間に延ばすことができるかどうか研究を進めている。

 一方、ファイザーと同じ技術を使うモデルナ<MRNA.O>の新型コロナワクチンは、このような超低温で保管する必要がない。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)<JNJ.N>とノババックス<NVAX.O>が手掛けるものなど、他の新型コロナワクチンは普通の冷蔵庫で温度管理可能なセ氏2-8度で保管できる。

<超低温設備は奪い合い>

 ニューヨークの大型医療機関ノースウェル・ヘルスは、超低温保管能力の拡充に取り組んでいる。ノースウェルの担当者によると、ファイザーのワクチンを品質を保った状態で届けることは可能だが、冷凍設備の導入によって円滑な供給が確保されると判断した。

 専門家によると、超低温保管が欠かせないことで、ファイザーは地方の医療機関や老人ホーム、貧困国など超低温設備を備える資金を持たないかもしれない場所への供給能力に支障が生じる恐れがある。

 予防接種管理者協会(AIM)のクレア・ハンナン氏は「今後数カ月以内に承認を得るのがファイザーのワクチンだけなら、地方にも平等に供給されるかとても心配だ」と話した。

 ノースウェルの担当者によると、超低温設備は病院が在庫の確保に殺到したため、すでに手に入りづらくなっている。

 州が米疾病予防管理センター(CDC)に提出した文書によると、一部の州では超低温設備が不足している。この文書によると、ニューハンプシャー州は超低温設備を追加で購入しており、トランプ政権に対して資金支援の強化を求める動きもある。

 カリフォルニア州も、超低温設備の供給が制限されていると指摘。州の医療当局の半分程度が超低温設備の販売業者やリース業者を探している。

 カリフォルニア州はワクチンが届きにくい地域向けに、移動式のワクチンクリニックを配備するなど、超低温設備による供給網を構築することを提案している。超低温設備を持たない機関にはワクチンを提供しないという。

 超低温設備がないと医師は非常に困難な事態に直面する。AIMのハンナン氏によると、ファイザーのワクチンを普通の冷蔵庫で保管する場合、1コンテナが975回分なので、そのすべてを5日以内に接種するか、ワクチンの使用期間を延ばすためにドライアイスで保管し、保管庫のふたを開けるのを1日2回にとどめなければならない。「大変なことになるが、重要な仕事だから最善を尽くす」と話した。

 ファイザーのコロナワクチン安全性有効期間不明 

Bloomberg 2020年11月10日(火)21時28分配信/James Paton

 米ファイザーとドイツのビオンテックが発表した新型コロナウイルスワクチン候補の暫定結果は、パンデミック(世界的大流行)からの出口が近いとの期待を世界に抱かせた。だが、このワクチン候補が乗り越えなければならないハードルはまだ多いと、専門家は警告する。

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 暫定結果の数字は極めて有望に見えるが、ワクチン候補の有効性や能力を巡る疑問は依然残り、生産や供給の問題もあるとワクチンの専門家らは指摘する。ファイザーの臨床試験は4カ月足らず前に始まったばかりで、このワクチン候補の有効期間がどれくらい長く、どれほど多くの人に有効なのかなどは今のところほぼ全く分からない。

 米セントルイスのワシントン大学に所属するワクチン専門家マイケル・キンチ氏は「大きな疑問は引き続き、時間についてだ」と述べ、「さらに多くの人々が接種した場合にも有効なのか、経過を見なければならない」と続けた。

 今回の結果は報道向け資料で発表されたもので、査読を経て掲載された論文ではない。それでも投資家は一斉に飛び付き、世界中で株価が急騰。米S&P500種株価指数は2カ月ぶりの高値で引け、パンデミックの間に売り込まれた旅行や娯楽関連の銘柄が反発した。

 ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRP)のマイケル・オスターホルム所長は、両社の発表は「実際に何が達成されたのか、何も伝えていない」と厳しい見方だ。同氏は9日のラジオインタビューで、「今回の暫定結果をどう定義するかを判断するには全く時期尚早だ」と語った。

 両社は90%を超える確率で感染を防いだと発表したが、どのような類いの感染が防止されたのかはほとんど明らかにしていない。高齢者ら重症化しやすい人々に対する効果の詳細発表もこれからだ。

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 ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は臨床試験参加者のほぼ半数を高齢者が占めていることを挙げ、暫定結果から高齢者の80%以上に有効だったと推定することが可能だと説明。ただ、さらに分析し確認することが必要だと続けた。

 ファイザーでワクチン臨床研究開発を率いるシニアバイスプレジデントのウィリアム・グルーバー氏は、暫定結果で重症化に至った例はないが、試験が進むに従いその可能性も見込んでいると語った。

 ファイザーのコロナワクチン報道トランプ氏は不満爆発 

HUFFPOST 2020年11月10日(火)20時26分配信/中村 かさね

 アメリカの製薬会社「ファイザー」は11月9日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床実験で90%以上の予防効果が確認できたという暫定結果を発表した。

 ドイツの「バイオエヌテック」と共同開発しているワクチン。

 4万3538人を対象とした臨床実験で、対象者をワクチンと偽薬を投与する二つのグループに分け、11月8日までに3万8955人に対して2度ずつ接種したという。参加者で陽性が確認されたのは94人で、実際にワクチンを接種した人と偽薬を接種した人を比較分析した結果、予防効果が90%以上となったという。

 ファイザーは、「研究はまだ終わっていない。追跡を行う中で最終的なワクチンの予防効果の数値は変わる可能性がある」としている。治験は164件の症例が確認されるまで続けるという。

 現在までにワクチンの安全性に問題はないが、今後さらに安全性が確認できれば、アメリカ食品医薬品局(FDA)に対して「緊急時使用許可」の申請を行う。

 2020年中に最大5000万回、2021年には最大13億回分のワクチンが生産できる見通しという。

「早計に素晴らしいとは言えない」

 東京都医師会の尾崎治夫会長は10日の会見で、ファイザーのワクチンについて「どういう効果なのか、どのくらい効果が持続するのか、詳しいことがまだ分からない」と述べた。

 安全性についても、「日本は特にワクチンの安全性を気にされる方が多い。早計に素晴らしいとは言えない」と慎重に語り、「希望は出てきたが、これで収束だという話にはならないだろう」と指摘した。

 ファイザーが開発中のワクチンはマイナス80度で保存する必要があり、尾崎会長は「従来の不活化ワクチンは冷蔵保存できるが、マイナス80度となると輸送体制も問題となる。かかりつけ医で打つ、というのは不可能に近いのだろう。まだまだハードルが高い」と語った。

トランプ大統領は不満を連投

 ファイザーの発表を受けて、トランプ大統領は公式Twitterで「私はずっと、ファイザーは選挙が終わった後でないとワクチンを発表しないだろうと言ってきた。選挙前に発表する勇気がなかったからだ。FDAも政治的な目的ではなく、命を救うために、もっと早く発表すべきだったのに!」と不満を連投した。

ジョー・バイデンが大統領だったら、ワクチンができるまでにあと4年はかかったし、FDAもこんなに早く承認しないだろう。数百万人の命が失われただろう

FDAと民主党は選挙の前に、私にワクチンという勝利を手にさせたくなかったので、選挙の5日後に発表したんだ。私がずっと言ってきた通りだった

 ファイザーのコロナワクチントランプ資金を受け取らなかった 

Newsweek日本版 2020年11月10日(火)17時29分配信/エミリー・チャコール

<科学者たちを「政治的な圧力」から守るために米政府の補助金は受けず、研究開発費は全額自社で賄ったという資金力と矜恃>

 新型コロナウイルスのワクチン開発に期待がかかる米製薬大手ファイザーは11月9日、ワクチンの開発にあたって、米ドナルド・トランプ政権が推し進める「ワープ・スピード作戦」からの助成金は受け取っていないことを明らかにした。

 ワープ・スピード作戦は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃にトランプ政権が発足させた、ワクチン開発・供給の迅速化を図るための計画。契約企業と協力の上、2021年1月までに安全かつ効果的なワクチンを開発し、3億回分の供給をめざす内容だ。

 ファイザーは同計画の下、少なくとも1億回分のワクチンを約20億ドルで政府に供給することに同意しているが、研究開発費については自社で賄っていると強調した。

 同社の広報担当者は9日、本誌に宛てた声明の中で、「ファイザーはワープ・スピード作戦の協力企業の一員として、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチン供給を目指していることを誇りに思っている」とした上で、次のように述べた。「当社は政府との間で、前払いでワクチンを提供することに合意しているが、米生物医学先端研究開発局(BARDA)からの研究開発のための資金提供は受けていない」

<外部からの圧力にさらされないために>

 ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は9月、CBSニュースのインタビューに応じ、研究開発のための資金提供を受けなかった理由について、科学者たちを政治的圧力から「解放する」ためだと語っていた。

 ワープ・スピード作戦の一環としてBARDAから資金提供を受けることができるのに、なぜファイザーは自らリスクを負って研究開発費を負担したのか。ブレナンからのこの質問に、ブールは次のように答えた。

「新型コロナウイルスのワクチン開発に、当社は少なくとも15億ドルを投じている。開発がうまくいかなかった場合、それで会社が潰れることはないだろうが、痛手であることは確かだ。それでも資金提供を受けないことにしたのは、当社の研究員たちが一切、政治に縛られないようにしたかったからだ」

 ブーラはブレナンに、研究員たちが「科学的な挑戦」だけに集中できる環境を確保し、ファイザーとして外部からの介入や監視にともなう圧力にさらされることなく、ワクチンの開発を進めたかったとも語った。

「第三者から資金提供を受ければ、そこには必ず条件がついてくる。彼らは私たちの開発の進捗状況を確認したがり、今後の計画を知りたがる。報告を求めてくる」と彼は述べ、こう締めくくった。「それに、ファイザーが政治に巻き込まれるのを避けたかった」

<臨床試験で「90%以上の有効性」確認>

 ファイザーは9日、ドイツの製薬会社ビオンテックと共同で開発しているワクチンの臨床試験について、暫定的な結果を発表。数万人が参加した最終段階の臨床試験で、新型コロナウイルスの予防に「90%以上の有効性」が確認されたと明らかにした。

 ファイザーが発表した時点で、この結果について、専門家による相互評価の対象となる出版物での報告はなされておらず、科学者たちからはさらに詳しい情報の開示を求める声も上がっている。

 ファイザーでは、さらなるデータを収集した上で、11月の第3週にも米食品医薬品局(FDA)に対して緊急使用の許可を申請する計画だ。

 トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領は、この発表を歓迎。ペンスはツイッターに「トランプ大統領が築いた官民のパートナーシップ」が功を奏したとのメッセージを投稿した。

 しかしファイザーのワクチン開発責任者であるキャスリン・ジャンセンはニューヨーク・タイムズ紙へのコメントの中で、トランプ政権のワープ・スピード作戦とは距離を置く姿勢を示した。

「我々はワープ・スピード作戦の一部ではない」と彼女は同紙に語った。「当社はこれまで、米政府からもほかの誰からも、資金提供を受けてはいない」

 ファイザーはその後に発表した声明の中で、ジェンセンの発言は、「研究開発のための投資は全額、ファイザーがリスクを冒して負担した」事実を「強調した」ものだと説明した。

<追記> 新型コロナウイルスの早期の開発は、感染予防より経済を優先するトランプ政権の目玉政策だった。大統領選挙前にはトランプは、ワクチンは大統領選挙前か直後にもできると繰り返し、選挙目当てと批判されていた。

 ファイザーのコロナワクチン報道都医師会早計過ぎる 

THE PAGE 2020年11月10日(火)18時00分配信

 東京都医師会の尾崎治夫会長は10日の記者会見で、米製薬会社のファイザーが開発中の新型コロナウイルスのワクチンが臨床試験で9割以上に予防効果がみられたと伝えられていることについて記者から問われ、「予防効果があるのか、できた抗体がどれくらい持つのか」などワクチンの効果の詳細が「まだ分かっていない」と述べ、「少し希望は出てきた面はあると思うが、これで半年、1年後には収束できるんだという話にはまだまだなっていかないだろう」との見方を示した。

 また日本ではワクチンの安全性や副反応を心配する人が多いとして、「欧米人に打って安全性に問題ないと言われているが、どの程度の副反応が出ているのかもはっきりしない」と指摘。「9割にどういう効果があったのかも分からないうちから『これは素晴らしい、ぜひ打ちたい』とは早計に言う話ではないのではないか」と述べた。

 保管方法にも言及。インフルエンザ用など従来の不活化ワクチンであれば普通の冷蔵保存で使用できるが、今回のワクチンは「マイナス80度」の環境が必要だとして、「このレベルになると輸送体制とか、しっかりした冷凍庫がないとできない。今までのように、かかりつけ医を中心にワクチンを打っていくということは、おそらく不可能に近いんだろう。そういうことを考えると、まだまだハードルは高い」とした。

 ファイザーのコロナワクチン報道、Zoomなど「巣ごもり株急落 

Forbes JAPAN 2020年11月10日(火)17時00分配信

 パンデミックの影響で株価を上昇させていた、いわゆる「巣ごもり銘柄」は11月9日、製薬大手ファイザーが開発中のワクチンが、臨床試験(治験)で90%以上の感染予防効果を示したとの発表を受けて、他の銘柄と比べて大きく値を下げた。

 米国株式市場は9日、パンデミックからの脱出を祝うムードを受けて、ダウ・ジョーンズとS&P500がそれぞれ約4%と3%上昇した。しかし、ビデオ会議のZoomや在宅フィットネスのペロトン(Peloton)、ネットフリックスやアマゾンなどのテック銘柄が主流のナスダック市場はわずか1%程度の上昇だった。

 この日の最大の敗者の一つと言えるのが、コロナを追い風に株価を急騰させ、先月末に時価総額でエクソンモービルを抜いたZoomだ。Zoomの株価は9日に15%の下落となった。ただし、同社の株価は年初来では今も500%以上の値上がりとなっている。

 在宅フィットネスのペロトンの株価も、同じく約15%の下落となり、年初来の上げ幅は約260%まで縮小した。

 一方で、ネットフリックスは5%安という小幅な値動きだった。年明けから70%上昇となっているアマゾンも9日、約3%の値下がりとなった。

 その他の銘柄に比べれば、穏やかな下落ではあるものの、TwilioやSlack、Datadogなどのクラウド関連も、それぞれ約3%、1.5% 、1%の下落となった。

 ロサンゼルス本拠のHercules InvestmentsのCEOのJames McDonaldは、「Zoomやネットフリックスのような銘柄は、長期的な勝者となるべきだが、実際の収益よりもバリュエーションが先行しているため、短期的には負けるだろう」と述べ、短期的には「収益のピークレベルに達した可能性が高い」と分析した。

 しかし、株式の専門家らは9日に見られた傾向が長続きするとは思っていない。デビア・グループのナイジェル・グリーンCEOは、「バイデン新政権への期待から市場は強気ムードになっているが、現状ではワクチンの前向きなニュースを過大評価している。まだまだ長い道のりがある」と述べた。

 グリーンCEOによると、次の見極めのタイミングは、ファイザーがFDAにワクチン候補を提出して承認を得る予定の11月の第3週以降になる見通しだ。

 テクノロジー銘柄が多いナスダック市場の総合指数は1月以来、約30%上昇し、その他の市場を大幅にアウトパフォームしてきた。一方で、S&P500とダウ・ジョーンズはそれぞれ約11%と2%の上昇に留まっていた。

 しかし、9日のファイザーの発表を受けて、パンデミック中に好調だった企業と打撃を受けた企業との間で、逆転現象が起きた。巣ごもり銘柄が値を下げた一方で、銀行やエネルギー関連、クルーズ船会社、映画館の株は急上昇した。

 ファイザーのコロナワクチン報道ダウ終値800㌦高最高値更新 

サンデー毎日×エコノミスト 2020年11月10日(火)16時32分配信/石原哲夫(みずほ証券ストラテジスト)

 11月9日の米市場でダウ平均は終値800ドル高、「フル・リスクオン(リスクの高い資産を増やすこと)状態」(市場参加者)となった。

 ◇ ダウ最高値3つの要因

 好感された材料は3つある。

(1)バイデン陣営の暫定勝利で、選挙に伴う不透明感が後退したこと。

(2)上院では共和党、下院では民主党が多数党になることが予想され、ねじれ議会によって政策の左傾化が限定されるという予想。

(3)大手製薬会社ファイザーがコロナ・ウィルスのワクチンの治験で、90%を超える有効性が得られたと発表したこと--。このうち、もっともインパクトがあったのはワクチンのニュースだったようだ。

 ◇ 在宅銘柄が売られ、景気循環銘柄が買われた

 株式市場の「在宅勤務取引(Work From Home Trade)」で恩恵を受けてきたウェブ会議サービス、動画配信サービス、消毒剤メーカー、料理器具メーカー、家庭内事務機メーカーなどが売られ、反対に景気回復を見込み、航空会社やクルーズ船銘柄などの景気循環銘柄が買われたようだ。「無難なものを売って、景気循環銘柄やコロナショックで暴落したディープバリュー銘柄(“超”割安銘柄)が買われるだろう」(市場参加者)との声もあった。

 選挙直後のワクチン発表で「トランプは激怒しているのではないか」という冗談も聞かれた。ワクチン期待が高まったことで、米議会で議論されてきた追加コロナ・ショック対策「フェーズ4」への期待は低下するだろう。

 ◇ ブルーウェーブの可能性はまだあり

 市場はねじれ議会を予想しているようだが、上院議会選挙の結果は非改選を含む100議席中、現在民主党48vs共和党50になる見通し。

 ジョージア州で勝者が決まらなかったため、残り2議席の結果は1月5日のジョージア州決選投票まで不明。黒人牧師(民主党)vs超保守派ビジネスウーマン(共和党)と、若手メディア幹部(民主党)vs元大企業CEO(最高経営責任者)のベテラン上院議員(共和党)と、ジョージア州の候補は対照的。

 保守色の強いジョージア州で2議席とも民主党が獲得することは難しいとされているが、もし獲得すれば、民50vs共50のタイとなり、上院議長を兼ねるハリス副大統領の1票で民主党が多数党になる。つまり、大統領、上院、下院ともに民主党が制する、「ブルーウェイブ」の可能性はまだ消えていない。

 市場は中道回帰を織り込んだ

 だが、市場は「最もプログレッシブ(左派的)な政権を目指す」と宣言してきた、中道のバイデン氏の左傾化(ニューセンター、新・中道)は実は限定的で、「中道」回帰を概ね織り込んだようだ。

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 よって選挙結果よりも、ワクチンへの期待が今後大きなドライバーになりそうだ。そして米連邦準備制度理事会(FRB)の総資産に表れる緩和的な金融政策もバリュエーションを押し上げたことで、引き続き株価を支えている模様だ。

 

2020年11月 9日 (月)

【ナショジオ】2000年前<ベスビオ火山✍大噴火>災害大量死の謎

 ベスビオ火山災害の死因高熱で脳が沸騰しガラス化、窯焼きも 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年11月8日(日)18時09分配信/Frank Viviano&Robin George Andrews

2000年前の遺体から読み解く死の真相、現代に活かす研究続く

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 西暦79年に起きたベスビオ火山の噴火は、猛烈な火山灰と高温の噴出物によって、古代ローマの都市ポンペイやヘルクラネウムを埋め尽くした。2000年近く前の噴火の甚大な被害に疑問を呈する専門家はいない。だが、多くの犠牲者がどのように死んでいったかは、多くの謎に包まれている。

 長い歳月の間にはっきりした証拠がほとんど失われてしまったため、彼らの死の真相をすべて知ることはおそらく不可能だ。しかし、謎解きに挑む価値はある。同じような噴火を起こす火山は世界にたくさんある。つまり、歴史は繰り返すということだ。過去の噴火が人々を傷つけた仕組みが解明されれば、火山の被害に遭った人々の治療に役立つだろう。

 以前は、噴火に巻き込まれて亡くなった多くの人々の死因は、火山灰や有毒ガスによる窒息死、高温による内臓のヒートショックなどと考えられていた。だが、今年発表された2つのグループの研究成果により、より複雑なヘルクラネウムの悲劇の物語が明らかになった。

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 1つめの研究グループは、犠牲者の脳がガラス質になっており、その中に無傷の脳組織も発見した。まるで魔法だ。これらの研究成果は学術誌「New England Journal of Medicine」と「PLOS ONE」に続けて発表された。

 別の研究グループは、石造りのボート小屋に隠れていた人々の死因について、それまで指摘されていた直接のやけどではなく、石窯の中で蒸し焼きにされたようになって死亡したと結論づけている。こちらの論文は「Antiquity」に掲載された。

 はたして、彼らはどのような状況で死亡したのだろうか。それぞれを詳しくみていこう。

脳内で液体が沸騰して頭骨が爆発

 西暦79年の夏、ベスビオ火山から噴出した高温の火山灰と火山ガスは時速80kmの猛スピードで山肌を流れ下った。この現象は火砕流と呼ばれることが多いが、ヘルクラネウムを襲ったような火山ガスの比率が高いものは火砕サージと呼ばれている。

 2018年、フェデリコ二世ナポリ大学病院の古生物学者ピエル・パオロ・ペトローネ氏らは、犠牲者の体内で液体が蒸発していたという論文を発表した。骨にこびりついた赤黒い残留物が、体内の組織が蒸発してできた赤血球の残骸であるというのがその根拠だ。また同時に、脳内の液体が沸騰して頭骨を爆発させたとも主張した。

 一方で、こうした主張に疑問を投げかける専門家もいた。遺体を火葬するときには、もっと高温で焼いても、蒸発することはないという。

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 そこでペトローネ氏らが、1960年代に発見された1人の犠牲者を詳しく調べてみると、ひび割れた頭骨の中からガラス質の物質が見つかった。ベスビオ火山の噴火自体でガラス質の物質は生じず、これは意外な発見だった。

 頭骨の中のガラス質には、脳組織によく見られる物質が含まれていた。こうした物質を作り出すようなほかの生物は、近くには見当たらない。そのため、ペトローネ氏は、脳組織が一気に加熱され、液体になった直後に急冷されたことによりガラス質になり、またその結果、中に無傷の脳組織が保存されたと結論を下した。

 遺体の近くの炭化した木から、温度は約520℃まで上昇したことがわかっている。これは体脂肪に火をつけ、軟組織を蒸発させ、脳組織を溶かすのに十分な高温だ。脳の物質はそれから急冷されたことになるが、そのときどんなことが起きたのかはまだわからないとペトローネ氏は言う。

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「脳がガラスになるほどの高熱が発生したと考えるのは非常に面白いですが、恐ろしくもあります」と、ナショナル ジオグラフィック協会の自然人類学者ミゲル・ビラール氏は語る。とはいえ、ここで提案されたガラス化の過程はまだ十分に解明されておらず、多くの犠牲者の中で(今のところ)この人物の脳だけが特殊な運命をたどった理由はわからない。

直火ではなく天火のように

 もう1つの研究では、ヘルクラネウムの海岸地域で死亡した犠牲者たちの死因が調べられた。男たちはおそらく海上に避難する準備をしようと海岸に集まっていて、女性と子どもの多くは石造りのボート小屋に隠れていた。この地区では現時点で340体の遺体が発掘されている。

 犠牲者たちの骨は長らくただの燃え残りと考えられてきた。しかし、この10年間の科学的手法の進歩により、焼けた破片から彼らの死の前後の状況がわかるようになってきた。

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「火葬された遺体からは、その人物の生涯について多くのことがわかります」と、研究を行った英国ティーズサイド大学の応用自然人類学者ティム・トンプソン氏は言う。そこで、この手法をベスビオ火山の犠牲者に応用したらどうかと考えた。

 研究チームは6つのボート小屋で見つかった152人の肋骨を調べた。なかでも重点を置いたのはコラーゲンだ。コラーゲンは長い年月にわたって保存される頑丈なタンパク質だが、高温の下では分解する。

 152人のうち、コラーゲンが激しく分解していたのは12人だけで、その大半が子どもだった。一方、高温にさらされるほど結晶化が進む骨の主成分ヒドロキシアパタイトは、あまり結晶化していなかったことを研究チームはつきとめた。

 どちらの発見も、ボート小屋の犠牲者が死亡時またはその直後に、超高温の火砕サージにはさらされていなかったことを示唆していると、ポーランド、ワルシャワ大学の骨考古学者エルズビエタ・ヤスクルスカ氏は認める。

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 漆喰、木材、モルタルなどの損傷や物質の磁気特性の変化から、ベスビオ火山の火砕サージの温度は240℃~800℃だったと見積もられている。今回の研究では、見積もりの下限の数字が妥当だったことになる。しかしこの温度でも、犠牲者の骨はもっと損傷されていたはずなので、なにかが遺体を火砕サージから保護していたことになる。

 熱による損傷が少なかったのは、近くに堅牢な小屋の壁があったからだろう。体表の組織が膨張し、体内の水が手足の長い骨のまわりに集まっていたことは、骨格が直火ではなく天火のような状態で焼かれたことを意味している。

 犠牲者たちの体は、じかに火がついたのではなく、火砕サージによって周囲の空気が高温になったことで焼かれたのだ。

現代社会にそっくりだった古代都市

 恐ろしい災害に見舞われたとき、古代ローマ帝国は全盛期だった。火山の噴火で一瞬にして失われたヘルクラネウムやポンペイは、はたしてどんな都市だったのだろうか。

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 大規模な修復プロジェクト「グレート・ポンペイ・プロジェクト」の陣頭指揮をとった考古学者のマッシモ・オサンナ氏が、山のようなデータをさらって浮かび上がってきたのは、現代の私たちの生活に驚くほどよく似た社会だった。紀元1世紀のポンペイには、多様な文化が混在し、さまざまな言語が飛び交い、人々はファストフード店でランチをとり、高級輸入食材を自宅で楽しんでいたという。

 食生活は健康的で、未精製の小麦、オート麦、大麦、それにひよこ豆や果物、木の実など、現代なら栄養士お勧めの健康食品店で売られているような食べ物が多かった。味の引き締め役である高価な輸入香辛料、さらにエジプトからはレンズ豆、アラビア半島からはナツメヤシなどの珍しい食材も入ってきていた。「彼らの食生活を見ると、とても商業的な文化だったことが分かります」と、オサンナ氏は語る。

 その一方で、ファストフードのような軽食を出す店も市民から人気を得ていたことが、遺跡からうかがえる。「どの地区にも、地元の人々がランチを楽しめる『テルモポリウム』と呼ばれる飲食店がありました」と、40年前から遺跡のガイドを務める歴史家のマッティア・ボンドンノ氏は説明する。小さな食堂には、料理を入れる素焼きの器が並んだ石のカウンターがあった。「これがポンペイ人のファストフード店です」

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 今日でいえばロンドンやニューヨークに匹敵する人種のるつぼとして、ポンペイにはローマ市民、帰化した外国人、奴隷の身分から解放されて職人や商人になった人々が集まり、豊かな社会を築いていたという。

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ポンペイで発見された『首なし遺体』本当の死因

NATIONAL GEOGRAPHIC 2018年7月3日(火)配信/ERIN BLAKEMORE

 西暦79年、イタリアのベスビオ火山の噴火で灰に埋まった古代都市ポンペイ。2018年5月の調査で、頭部のない男性の白骨遺体が発掘された。当初は噴火から逃れる途中で、巨石に押しつぶされたと考えられていたが、その後、頭部も発見。ポンペイ考古学公園は、新たな死因を発表した。(参考記事:「古代都市ポンペイは、現代社会にそっくりだった」)

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 頭部が発見されたのは、遺体の近くで、口は大きく開かれていた。ポンペイ考古学公園は、「岩による圧迫死ではなく、火砕流に巻き込まれて窒息死したものと考えられます」とフェイスブックで発表した。

 2000年前に大噴火したベスビオ火山は、巨大な柱のような噴煙を噴き上げ、翌日には火砕流が山の斜面を駆け下った。(参考記事:「【動画】ポンペイの馬、馬具を付けていた理由は?」)

 火砕流は、火口から出た火山ガス、火山灰、石や岩が混じり合って山の斜面を高速で流れ下る現象。「岩や灰を含んだ熱風で、風速はハリケーン級。熱風の通り道にあるものはすべて破壊します」と、米スミソニアン協会の世界火山学プログラムGVPのディレクター、ベンジャミン・アンドルーズ氏は火砕流の恐ろしさを語る。アンドルーズ氏は火砕流を、野球やボウリングのボール大の岩石が混じる非常に高温のサンドブラスト(研磨材を吹き付ける加工法)にたとえた。

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「火砕流に巻き込まれたら、人はまず死んでしまいます」と、アンドルーズ氏は続ける。ポンペイで発見された、頭骨がなかった男性の足の骨には感染症に侵された跡があり、速くは歩けなかったと推定されている。その彼に、猛スピードで迫る摂氏500度を超える高温の火砕流から逃げ切れるチャンスはなかっただろう。

 今回見つかった頭部は、遺体があったところより低い場所で見つかっている。ポンペイが初めて発掘されたのは1740年代。その後、掘られた地下道が崩れ、遺体の頭部が流されたと考えられている。

 18世紀と比べ、現在の発掘技術ははるかに向上している。例えば、ポンペイ北部にある発掘場レッジョ5は、発掘が始まってからまだ日が浅いため、さらなる発見が見込まれる。現場の発掘責任者がイタリアの通信社に語った話によると、レーザーやドローン、VR(仮想現実)映像技術などの最新技術も駆使されるそうだ。(参考記事:「2000年前の美女の肖像を復元、ベスビオ火山で埋没」)

 ベスビオ火山の噴火を再現することはできないが、今回明らかになったことから、この不運な男性が火山を見上げたときに目にした光景を思い描くことはできる。「山頂付近から大きく不気味な雲が下へと下りて迫ってくる様子を想像してください」とアンドルーズ氏は言う。それこそ、この男性が最期の瞬間に見たものだろう。

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 2000年以上前のベスビオ火山 💥 噴火の犠牲者の頭蓋骨から完璧な保存状態の脳細胞が発見される 

カラパイア 2020年10月9日(金)配信

 西暦79年8月24日に始まった、イタリア、ヴェスヴィオ(ベスビオ)火山の大噴火により、ヘルクラネウム、ポンペイなどの古代都市に高温の火砕流や火山灰が大量に降り注ぎ、多くの人々が犠牲となった。

 急速に高温にさらされたせいで、犠牲者の頭蓋骨にガラス化した脳組織が見つかっているが、今年の始め、この驚くべき脳組織のサンプルについて、イタリアの研究者から詳しい説明があった。

 この希少な脳組織の中に脳細胞や神経細胞が痕跡が"完璧に"残っていることを突きとめたという。

犠牲者男性の頭蓋骨のガラス化した脳から神経細胞を発見

『PLOS One』誌に発表された研究によると、フェデリコ2世・ナポリ大学のピエル・パオロ・ペトローネが主導する研究グループは、犠牲者男性の頭蓋骨のガラス化した脳から脳組織と神経細胞を発見した。

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 2000年以上前に亡くなった人間の遺体から中枢神経系組織が完全な状態で発見された最高の例ではないかという。

 走査電子顕微鏡(SEM)や先進画像処理ツールを使って、このガラス化した脳組織を詳しく調べたところ、人の脳や脊髄の痕跡から、神経や軸索だとはっきりわかる奇跡的に保存状態のいい部分を発見したという。

 ガラス化した脳の発見自体も稀有なことだが、中枢神経系全体の中からそれを構成する神経や軸索が発見されるとは、驚きとしか言いようがない、とペトローネは語る。

脳組織に存在するタンパク質も発見

 さらに、人間の脳組織に存在するタンパク質もいくつか発見されており、これによりこの黒い塊が単なる光沢のある黒い石ではないことを確認したという。

 特定のタンパク質が確認できたことによって、このサンプルが脳のどこの部位なのかも判明した。

ガラス化したこの黒い物質を分析した結果、大脳皮質、脳幹神経節、中脳、下垂体、扁桃、小脳、海馬、視床下部、脊髄といった人間の脳のさまざまな部位にそれぞれ存在する特定のタンパク質が保存されていることがわかりました(ペトローネ)

脳疾患のある患者に、これらタンパク質の遺伝子変異が見つかっているため、神経機能にとって非常に重要なものです。例えば、ガラス化したこの脳組織から見つかったMED13Lというタンパク質は、成人の小脳にとくにたくさんあり、その変異は知的障害を引き起こすのです(ペトローネ)

史上最悪の自然災害の1つ、ヴェスヴィオ火山の噴火

 紀元79年のヴェスヴィオ火山の噴火は、史上最悪の自然災害のひとつで、近隣のポンペイやヘルクラネウムの町が壊滅し、何千という人が死んだ。

 犠牲者のほとんどは降り注ぐ火山灰に埋もれて亡くなったため、のちに考古学者たちが、遺体のあった窪みに漆喰を注いで型をとり、犠牲者たちがどのような状態で亡くなったのか、最期の瞬間の様子を明らかにすることができた。噴火の熱で焼かれ、急激に冷やされた犠牲者もいた。

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 今回分析したガラス化した脳もそうしたプロセスをたどったようだ。おそらく、この犠牲者の脳は、摂氏520℃もの高温でいきなり焼かれ、その後急速に冷やされたに違いない。

 第二次世界大戦のドレスデン爆撃のときの犠牲者に似たような現象が起こっていたことがこれまで確認されているが、このような例は極めて稀だ。

 

2020年11月 8日 (日)

【速報!米大統領選】“郵便投票”開票で趨勢決まる✍バイデン氏「当選確実」

 バイデン氏当確、NY中心部お祭り騒ぎ「トランプ、お前はクビだ 

朝日新聞デジタル 2020年11月8日(日)8時38分配信

 米大統領選でバイデン前副大統領の当選確実の報が伝わると、ニューヨーク中心部では沿道で飛び上がったり、手を振ったりして喜ぶ人たちの姿が見られた。車からクラクションを鳴らす人たちもいた。

 観光名所のタイムズスクエアには直後から大勢の人が集まった。歌を歌い、踊って喜びを爆発させる若い女性らの姿もあり、お祭り騒ぎに。トランプ大統領が過去に出演していたテレビ番組での決めぜりふ「お前はクビだ!」などとの声も上がった。

 民主党の上院トップでニューヨーク州選出のチャック・シューマー上院議員も姿を見せ、「米国の暗黒の時代は終わった」などとバイデン氏の当選を歓迎した。

 近くに住む演劇制作者のトム・タンゴラさん(41)は「すばらしい気分だ。国家的な悪夢がようやく終わった。この4年間、世界の恥だった」と語った。劇場関係者のトニー・スタントンさん(58)はカマラ・ハリス上院議員が初の女性副大統領に決まり、「ホワイトハウスに女性が入るときがきた。とても興奮している」と話した。

 菅首相バイデンハリス両氏に祝意 大統領選勝利確実で 

ロイター 2020年11月8日(日)8時07分配信

 菅義偉首相は8日朝、米民主党のバイデン候補が大統領選に勝利したとの米メディアの報道を受け、バイデン氏とハリス副大統領候補に対して祝意を表明した。

 菅氏は日本語と英語でツイッターに投稿し、「ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域及び世界の平和、自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております」とした。

菅首相とは良好バイデン東アジア各国首脳相性

JBpress 2020年11月8日(日)18時01分配信

 「私は誓う。国を分断させるのではなく、団結させる大統領になると。赤色(民主党)と青色(共和党)に分かれた州ではなく、団結した州を見る大統領になると。この国を、世界が尊敬する、癒やされた国にする!」

 日本時間の11月8日昼前、米デラウェア州ウィルミントンで、ジョー・バイデン前副大統領が、副大統領に就くカマラ・ハリス上院議員を伴って、高らかに勝利宣言した。大統領選挙の投票から4日も経っての勝利宣言は、極めて異例である。

菅首相、ツイッターを使っていち早く祝福メッセージ

 日本では、菅義偉首相がいち早く、ツイッターに祝福メッセージを投稿した。

 <ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域及び世界の平和、自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております>

 早速、日本政府関係者に聞くと、菅首相は「バイデン勝利」に上機嫌だという

 菅首相は、表向きは内政不干渉を貫いていたが、心の中ではバイデン勝利を願っていたのではないか

 もしもトランプ大統領が再選されたら、これまで世界で一番トランプ大統領から信頼を勝ち得ていた安倍晋三前首相のような芸当は、菅首相にはとてもできないそうなると、『日本に頼めばトランプ大統領に伝えてくれる』として擦り寄ってきていた各国首脳も、日本に期待しなくなるだろう

 その点、バイデン大統領なら、すべては一から仕切り直しなので、菅首相としてはよほどやりやすい加えてバイデン氏は、トランプ大統領のような直感によって物事を決め、かつ朝令暮改する指導者ではない国務省などが積み上げてきたものを重視するオーソドックスなスタイルだから、菅首相としては、自分と似たタイプに思えて親近感が沸くのだ

 日米ともに新時代というわけだ。

 次に、隣の韓国は「バイデン当確」をどう見ているのか。韓国政府関係者に聞くと、こう答えた。

 「バイデン氏は、故・金大中(キム・デジュン)大統領の旧友で、金氏が亡命中は何かと面倒を見てくれた。そして金氏が大統領になると、訪韓してネクタイをプレゼントしてくれたほどだ。2000年の歴史的な南北首脳会談も、バイデン氏が陰でバックアップしてくれた。そのため、金大中政権の流れを汲む文在寅(ムン・ジェイン)政権と、うまくいかないはずがない。

 文在寅政権でバイデン氏と一番パイプがあるのは、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官だ。アメリカ時代に、バイデン氏の側近たちと太いパイプを築いてきた。

 本来なら、年末に予定される内閣改造で、スキャンダルのあった康長官は交代すると見られてきた(注:行動自粛要請が出ているコロナ禍に、夫がアメリカに約1300万円のヨットを買いに行って大顰蹙を買った)。だがバイデン大統領誕生となれば、一転して留任するのではないか」

 バイデン当選の一報は、「青瓦台」(韓国大統領府)の人事にも影響を与え始めているというわけだ。 

かつては友好深め合ったバイデンと習近平だが・・・

 続いて、中国の関係者にも聞いてみた。

 「一言で言えば、これまで4年間のアメリカの『素人政権』が、これからは『プロ政権』に変わるという印象だ。つまり中国にとって、バイデン政権はトランプ政権以上に、手強い交渉相手になると覚悟している。

 第一に『同盟』の重視だ。トランプ大統領は『アメリカ一国主義』だったので、TPP(環パートナーシップ協定)、パリ協定(地球気候変動枠組協定)、イラン核合意など、次々に国際協定から離脱してきた。これは自由貿易や国際協定を重視する中国の存在感を、相対的に高めた。

 また、EUとの亀裂も深め、NATO(北大西洋条約機構)は半ば機能不全に陥っていた。中国が進める『一帯一路』(ワンベルト・ワンロード)は、陸上ルートも海上ルートもヨーロッパがゴール地点なので、トランプ時代の米欧分断は中国に有利に働いてきた。ところがバイデン時代の到来とともに、米欧の再結束が図られるだろうから、中国包囲網が強まるだろう。

 第二のキーワードは『人権』だ。民主党は伝統的に人権問題を重視するので、バイデン政権は新疆ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区、香港などに関して、中国を批判してくるだろう。

 バイデン氏は、オバマ政権時代に副大統領を務めていた頃、習近平副主席とカウンターパートで、相互に往来して友好を深めてきた。孫には中国語を習わせているとも言っていたほどだ。

 だがアメリカのトップに立てば、立場もまったく異なる。つまり『バイデン副大統領』と『バイデン大統領』は別人と考えている」

 中国と対立する台湾の与党・民進党の関係者にも聞いた。

 「蔡英文政権とトランプ政権は、1979年に中華民国(台湾)がアメリカと国交を断絶して以降、最も緊密な関係を築いてきた。もしトランプ大統領があと4年務めるなら、その任期中に、蔡英文総統とトランプ大統領の歴史的な台米首脳会談を開いたり、台米間の国交を再び樹立したり、台湾に米軍が駐留したりというところまで進む可能性があった。それだけに非常に残念だ。

 だが、台湾とアメリカの民主党との関係が悪いわけではない。民主と人権を重視するという理念を共有しているからだ。この伝統的な理念外交を前面に押し立てながら、新たな台米関係を築いていきたい」

オバマがしたように無視だと困る北朝鮮

 もう一カ国、北朝鮮の当局者には聞けていないので、想像するしかないが、トランプ大統領と3度も会談したことを誇り、大統領選直前にトランプ大統領がコロナウイルスに感染した際には見舞いの電報まで送った金正恩(キム・ジョンウン)委員長なので、さぞかし落胆しているのではないか。一方のバイデン氏は、10月22日のテレビ討論会で、金正恩委員長のことを「悪党」呼ばわりしている。

 かつてのバラク・オバマ政権の対北朝鮮政策は、「戦略的忍耐」だった。いわば無視である。北朝鮮のような国にとって、アメリカに強硬に来られるのも困るが、無視されるのはもっと困るだろう。

 ともあれ、バイデン新政権が東アジアにも、新時代をもたらすことは確実だ。菅政権には、ぜひ機を掴んでほしいものだ。

 落選トランプ氏、資金不足深刻法廷闘争へ献金呼びかけ 

スポーツ報知 2020年11月8日(日)5時00分配信

 CNNなど米主要メディアは7日(日本時間8日)、米大統領選で民主党のバイデン前副大統領(77)が共和党の現職トランプ大統領(74)を破り、勝利を確実にしたと伝えた。一時、トランプ氏の優勢が伝えられていたペンシルベニア州において、郵便投票で票を積み上げて逆転したことなどを背景に、選挙人の過半数である270人以上を獲得した。一方、トランプ氏は一部州で票の集計停止を求めて法廷闘争に打って出る姿勢を示しており、バイデン氏勝利で最終決着するかどうかは、依然として不透明な部分もある。

 開票が始まって数時間後の現地時間4日未明に、早々に行った“勝利宣言”は、完全に勇み足だった。トランプ氏が現職大統領では1992年のブッシュ(父)氏以来となる敗北を喫した。

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 とはいえ負けを認めるつもりは一向にない。米大統領選では、劣勢の候補者が「敗北宣言」をして勝者をたたえ、それを受けて当選者が「勝利宣言」をするのが通例。だが、トランプ氏は敗北宣言どころか、ツイッターでバイデン氏に対し「大統領職を奪取したと誤った宣言をするべきではない。私だって宣言できるのだから」とけん制している。

 さらに、バイデン氏が勝利した州で不正投票があったことを証明するために提訴する準備を着々と進めている。ロイター通信によると、トランプ陣営が裁判費用などのために少なくとも6000万ドル(約62億円)を献金によって集めようとしているという。

 トランプ氏が大統領の座に必死にしがみつくのは、「破産危機」が理由との説もある。「不動産王」として米経済誌「フォーブス」の長者番付に名を連ねるが、今年9月に所得税未納を報じられた際には、ゴルフ場やホテルなどの主要事業で巨額の損失を出しているとも言われた。選挙戦でも年初にはバイデン氏の10倍近い資金量でスタートを切ったものの、10月の時点では3分の1ほどに。借金も積み上がっており、献金の半分はその返済に回される予定になっている。

 ただ、トランプ氏の主張には根拠がなく、共和党のキンジンガー下院議員が「不正の懸念があるなら証拠を示して裁判で主張すべきだ」と指摘するなど、身内から批判も噴出。すでに提訴が退けられた州もあり、瀬戸際に立たされている。

 英首相「歴史的功績」バイデン氏称える 大統領選勝利確実で 

産経新聞 2020年11月8日(日)7時32分配信

 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利したとの報道を受け、英国のジョンソン首相は7日、自身のツイッターで「歴史的功績を祝福する」とたたえた。「米国は私たち(英国)の最も重要な同盟国だ。気候変動や貿易、安全保障といった優先事項において緊密に協力することを期待している」とした。

 ラーブ英外相も同日、ツイッターでバイデン氏の得票数が歴代大統領選で史上最多だったことを受け、「歴史的な勝利」と投稿。「(バイデン氏が率いる)新たな政権と働けることを楽しみにしている」とした。敗北を認めない意向を強調している共和党のトランプ大統領については「(大統領選は)接戦で、トランプ氏は懸命に戦った」との発言にとどめた。

 一方、英国内では、バイデン氏の米大統領就任が、今年5月に開始した米英間のFTA交渉に影響を及ぼすとの懸念も広がっている。

 英紙テレグラフ(電子版)は今月7日、トランプ氏からバイデン氏への政権交代によって「(FTA交渉の進行が)遅くなる」と分析する国際貿易の専門家の発言を紹介した。英メディアによると、英国の欧州連合(EU)離脱を支持し、英国とのFTA交渉を前向きに進めてきたトランプ米大統領と異なり、バイデン氏はEU離脱に懐疑的でFTA交渉を優先しないとみられている。

 アイルランド系移民の子孫のバイデン氏は、1998年のベルファスト合意で終結したアイルランドと英領北アイルランドの紛争がEU離脱によって再燃することを懸念しているとの見方もある。

 ジョンソン英政権は今年9月、英国がEUから離脱する条件を定めた発効済みの離脱協定について、英EUが北アイルランド和平を維持するために決めた項目の一部を変更する法案を提出。EUは「国際法違反」と法案を批判したが、バイデン氏もジョンソン氏の動きを牽制した。バイデン氏はツイッターで「(北アイルランド和平が)EU離脱の犠牲になるのは許せない」と投稿。英国がベルファスト合意を尊重しなければ、米英のFTA協定は結べないとの考えを示した。

 バイデン氏は国益のために国際法違反もいとわないジョンソン氏の姿勢をトランプ氏と重ねて批判したことがある。英メディアによると、バイデン氏は昨年12月、「(ジョンソン氏は)トランプ氏のクローン」と表現した。

 ただ、英紙フィナンシャル・タイムズ(同)は、ジョンソン氏は環境問題やイラン核問題などでトランプ氏よりバイデン氏に近い考えを持っていると分析した。

BBC英米関係格下げも」英首相バイデン氏に祝意

朝日新聞デジタル 2020年11月8日(日)7時21分配信

 英国のジョンソン首相は7日、米大統領選で当選を確実にしたバイデン氏をツイッターで祝福した。ジョンソン氏は「米国は私たちの最も重要な同盟国だ。気候変動から貿易や安全保障に至るまで、共通する優先事項に緊密に協力して取り組むことを楽しみにしている」と投稿。女性初の副大統領となるハリス氏についても「歴史的偉業」とたたえた。

 ラーブ外相もツイッターで「接戦となり、トランプ氏も懸命に戦った」と現職を持ち上げつつ、「新政権との協力を楽しみにしている」とつづった。

 英メディアもバイデン氏の当選確実を速報した。トランプ氏はジョンソン氏を「英国のトランプと呼んで好意を示し、英国の欧州連合(EU)離脱を支持した数少ない世界の指導者の一人だった。英国内では、親EUとみられるバイデン氏は、貿易などで英国よりもEUとの関係を優先させるとの見方もある。英BBCは「英国と米国の『特別な関係』は格下げに直面するかもしれない」などと伝えている。

仏大統領もバイデン氏に期待

 フランスのマクロン大統領は7日、自身のツイッターに「米国民が彼らの大統領を選んだ。ジョー・バイデン、(副大統領となる)カマラ・ハリス、おめでとう!」とつづり、「我々は多くの克服すべき課題を抱えている。一緒に仕事をしよう」と呼びかけた。

 マクロン氏はこれまで、トランプ政権を自国第一主義だとして批判を重ねてきた。バイデン氏は、マクロン氏が重視する地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の復帰を掲げており、バイデン新政権が国際協調にかじを切るよう、期待を示した格好だ。

『親トランプ』📝ブラジル大統領沈黙まもる

朝日新聞デジタル 2020年11月8日(日)7時16分配信

 米大統領選でバイデン前副大統領の当選確実が報じられ、チリやアルゼンチンなど中南米の大統領らは相次いでバイデン氏と副大統領となるハリス氏を祝福するメッセージをツイッターなどに投稿した。一方、トランプ氏と関係の近いブラジルのボルソナーロ大統領は、当確が報じられてから4時間あまりがたってもメッセージを発していない。

 ボルソナーロ氏は投票翌日の4日、「私の姿勢ははっきりしている。トランプ氏の再選を信じている」と発言。選挙中にバイデン氏がアマゾン火災について言及したため、ボルソナーロ氏は「内政干渉だ」と批判していた。

 だが、バイデン氏勝利の公算が高まった6日、ボルソナーロ氏は「私がブラジルで最も重要な人物ではないように、トランプ氏は世界で最も重要な人物ではない。最も重要なのは神様だ」と軌道修正していた。

 また、トランプ政権で厳しい経済制裁を科されたキューバのディアスカネル大統領は犯罪的な経済封鎖でキューバをひざまずかせようと夢見る者がいるという故フィデル・カストロ氏の言葉をツイッターに投稿したまま更新していないベネズエラのマドゥロ大統領は、中国と関係を深めているとする動画付きのコメントを投稿し、米大統領選については反応を見せていない。

 北朝鮮韓国が『トランプ勝利』を熱望した理由 

現代ビジネス 2020年11月8日(日)8時01分配信/牧野愛博(朝日新聞編集委員)

各国がバイデン待望の中…

 11月3日投票の米大統領選は大接戦の様相を呈している。バイデン元副大統領が勝利する流れが強まっているようにも見えるが、トランプ大統領は敗北を認めず、法廷闘争も辞さない構え。当選者が決まるまで、なお、若干の時間が必要になりそうだ。

 選挙を見つめる西側諸国外交官の本音はバイデン支持。在京の西側外交官の1人は「バイデンの当選を祈るような気持ちで見守っている」と語る。日本外務省の本音も同様だ。外務省関係者の1人は匿名を条件に「もうトランプ政権と付き合うのは限界だ。再選したら、今度はG7(主要7カ国)首脳会議から離脱すると言い出しかねない」と語っていた。

 なんでもかんでも金勘定に置き換え、同盟国や友好国の事情など一瞥もしない。そんなトランプ大統領の再登場だけは勘弁してほしいというわけだ。

 そんななか、トランプ再選を待ち望んでいる首脳もいないわけではない。日本の近隣では、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領だ。

 なぜ、両政権はトランプ再選を願うのだろうか。その戦略は東アジアの安全保障にどんな影響を与えるのだろうか。

バイデンを罵る北朝鮮

 朝鮮中央通信など北朝鮮の国営メディアは7日夜現在、米大統領選について一切沈黙を守っている。ただ、これまでの報道ぶりをみれば、金正恩氏らがトランプ再選を願っていることは一目瞭然だ。

 金正恩氏の実妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は7月10日に発表した談話のなかで、「金正恩委員長は、トランプ大統領の活動で必ず良い成果があることを願うという自身のあいさつを伝えるようにと述べた」と強調している。「良い成果」とは、大統領再選という意味だろう。

 一方、北朝鮮はバイデン氏を悪し様にけなしてきた。朝鮮中央通信は昨年5月や11月の報道で、バイデン氏が金正恩氏を「独裁者」「暴君」などと中傷したとして猛烈に反発。こうしたバイデン氏の主張を「政治家はおろか人間として備えるべき初歩的な品格も備えていない俗物の詭弁」「狂犬の断末魔のあがき」などとこき下ろした。北朝鮮はもともと、バイデン氏が副大統領としてコンビを組んだオバマ大統領のことも「熱帯林の猿」などとひどい言葉を投げかけてきた。

 北朝鮮がトランプ再選に期待をかけるのは、2019年2月に決裂した米朝首脳会談のリターンマッチを願うからだ。

 当時、トランプ大統領は北朝鮮が「寧辺(ニョンビョン)核施設+α」の廃棄に応じれば、制裁の緩和が可能だと主張した。金正恩氏は当時、寧辺核施設だけの放棄にこだわり、会談は物別れに終わったが、「寧辺核施設+α」の提案は、北朝鮮にとって悪くない話だ。

 米政府は韓国に対し、北朝鮮の核関連施設は300近くあると説明している。このうち、ウラン濃縮施設だけで10カ所前後にのぼる。このうち、数か所の廃棄に応じたところで、北朝鮮にしてみれば痛くもかゆくもない。

 まして、北朝鮮はすでに核兵器を保有している。米政府は北朝鮮の核兵器は50~60個に達すると計算している。そのうち、わずか1個だけでも隠し通すことができれば、北朝鮮は体制を維持するための抑止力を失わずに済む。

 トランプ政権は北朝鮮の完全な非核化という目標は捨てていないが、2018年6月の米朝首脳共同声明は「朝鮮半島の非核化」を目指すとしている。北朝鮮は、北朝鮮が保有する核兵器・核関連物質だけではなく、北朝鮮を狙う可能性がある米国の核兵器・核関連物質もすべて廃棄してこそ、「朝鮮半島の非核化」が達成できると身勝手な解釈をしている。

 最終目標はもちろん、核の完全廃棄であっても、いつその目標が達成できるかは、誰にもわからない。結局、「核廃棄交渉」は「核軍縮交渉」に変質せざるを得ない。

 北朝鮮は現在、米中新冷戦の恩恵を受け、中国から最低限の食料やエネルギー支援を受けるめどをつけている。中国から北朝鮮に向けた食料や原油の公式輸出統計はわずかなものだが、国連安全保障理事会傘下の北朝鮮制裁専門家パネルの調査などによれば、中国などが洋上で、北朝鮮船舶に制裁決議が定めた量を上回る石油精製品などを輸出している模様だ。

一刻も早くトランプと会いたい

 ただ、外貨だけは思うように入ってこないようだ。平壌にあるロシア大使館は10月29日、フェイスブックへの投稿で、北朝鮮外務省が平壌駐在の在外公館と国際団体に対し、ドルではなく北朝鮮のウォン(1ドル=8000ウォン)を使うよう求めたと明らかにした。この措置の背景には、外貨不足に悩む北朝鮮当局が、外交団からも外貨を回収しようとする意図があるのかもしれない。

 韓国の情報機関、国家情報院が11月3日に韓国国会情報委員会でおこなった説明によると、このところ北朝鮮によるサイバー攻撃が増え、1日平均162万件に達している。2016年の41万件からほぼ4倍に増えた計算だが、その内訳は、金銭を詐取する目的が多いという。

 いくら食料とエネルギーが大丈夫でも、外貨が不足すると困ることがある。金正恩氏の権威を示すための国家プロジェクトが進まないのだ。

 金正恩氏は今年3月、「最大の重要事業」として平壌総合病院の建設を10月10日の労働党創建75周年までに終わらせるよう厳命したが、その後まったく音沙汰がない。同様に日本海側の元山(ウォンサン)葛麻(カルマ)海岸観光地区に建設していた大規模なホテル群も、建設途中でたなざらしの状態になっている。いずれも、外貨がないため、海外から購入する必要がある高級医療器具や内装品などが手に入らないからだとみられる。

 金正恩氏が側近たちに下賜するプレゼントの確保もままならない。国情院による11月3日の説明では、金正恩氏の体重は2012年8月に90kgだったが、昨年は130kg、そして今は140kgに達しているという。毎年6~7kg増え続けている計算だ。それだけ、ストレスが多いということなのだろう。

 金正恩氏にしてみれば、一刻も早くトランプ大統領と会談し、核関連施設の一部廃棄と引き換えに外貨を得る道筋をつけたいところだ。

文在寅が望むレガシー

 そして、同じようにトランプ大統領の再選を待ち望んでいるのが、韓国の文在寅政権だ。

 もちろん、韓国政府は公式には中立の姿勢を維持している。韓国大統領府の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は11月4日の韓国国会で、米国大統領選がどのような結果になろうとも、米韓同盟の緊密な協力のもと、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築にすべての努力を傾注すると語った。

 だが、ソウルの政界関係筋は「文政権の本音は、トランプ再選。この政権の唯一最大の関心事項は南北関係でレガシーをつくることだからだ」と語る。

 トランプ再登板により、米朝首脳会談が再び開かれ、北朝鮮による一部核廃棄と米国による制裁の一部緩和が合意されれば、文在寅政権が待ち望んでいた北朝鮮に対する経済支援が可能になる。北朝鮮から南北協議の席で「散々やると言って、何も進んでいない」となじられてきた南北の鉄道連結事業や、北朝鮮の名峰金剛山(クムガンサン)への個人観光なども実現できるかもしれないと期待しているからだ。

 こうしたなか、韓国大統領府は5日午後、文在寅大統領主催で外交・安全保障関係長官会議を開き、米大統領選後の対応について協議した。

 韓国メディアによれば、李仁栄(イ・イニョン)統一相は5日の国会答弁で、「ポスト『戦略的忍耐』にしっかりと備え、韓米間の協力関係を確立することが重要だ」と述べたという。バイデン氏が当選すれば、オバマ政権が行ってきた「北朝鮮が核・ミサイル廃棄の動きを示すまで、米国は制裁を続けながら、忍耐強く待ち続ける」という戦略に回帰するとみているわけだ。バイデン政権になって米朝関係が振り出しに戻れば、文政権が南北関係改善に乗り出す機運も遠ざかることになる。

落ち着いて考えてみれば…

 もちろん、バイデン政権の登場が、韓国の助けになることも多い。その代表格が、すでに今年3月に期限切れを迎えてしまった在韓米軍駐留経費を巡る交渉だ。

 トランプ大統領は在韓米軍の駐留経費の大幅増を繰り返し要求。当初の5倍増という途方もない要求は取り下げたものの、50%増を求め、13%増から一歩も退かない構えの韓国との間で交渉が暗礁に乗り上げている。在韓米軍の規模縮小など、米韓同盟への悪影響も懸念されているなか、バイデン政権が登場すれば、この問題は一気に解決に向かうかもしれない。

 また、日米韓3か国の政府関係者の間では、バイデン政権になれば、日米韓の3カ国協力に向けたテコ入れに乗り出すだろうという見方が強い。オバマ政権は定期的に日米韓外務次官級協議を開催。朴槿恵(パク・クネ)政権が2016年11月、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に署名することを後押しした。

 韓国は11月半ば、朴智元(パク・チウォン)国家情報院長を日本に派遣するが、これは日韓徴用工判決問題による日韓関係の決定的な悪化を避ける手段を避ける目的があるとされる。韓国の政界関係筋の1人は「バイデン政権が誕生すれば、当然、韓日関係の改善を求めてくる。それを見越して、ちゃんと関係改善に努力している姿を見せるという意味もある」と説明する。

 論理的に考えてみると、バイデン政権の方が、同盟関係を結ぶ韓国にとっては利益が大きいように見える。トランプ政権は確かに北朝鮮問題の進展を「促進」こそさせるかもしれないが、それは事実上の核軍縮交渉への変質といった、東アジアの安全保障にとって危険極まりない結果を招きかねない。

 米国をだまして事実上の核保有国の地位を得るとともに制裁の緩和をもくろむ北朝鮮が、トランプ政権の継続を望む気持ちは、よくわかる。だが、北朝鮮が喜ぶ展開は、逆に言えば韓国にとって「百害あって一利なし」という局面をもたらしかねない。加えて、トランプ政権は米韓同盟の弱体化をもたらす可能性もある。

 文在寅大統領の任期は2022年5月までだ。北朝鮮は当然、「なんでも支援したい」と言ってくれる文政権から、何らかの利益を得ようとするだろう。廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権の際も、2008年2月の任期切れまで4ヵ月と迫った2007年10月に南北首脳会談を行ったことがある。来年になれば、北朝鮮は再び韓国に秋波を送り、夏の東京五輪などの機会を使って朝鮮半島の平和機運を盛り上げ、韓国から支援を引き出そうとする可能性が高い。

 文在寅政権が、2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に続き、再び北朝鮮に手玉に取られることのないよう祈りたい。

 ゴルフ場で“敗戦知ったトランプ氏「選挙は全くわっていない」負けを認めず法廷闘争か 

HUFFPOST 2020年11月8日(日)5時48分配信

 民主党のジョー・バイデン氏が大統領選の勝利を確実にした11月7日(現地時間)、対立候補で現職大統領のトランプ氏はバージニア州スターリングでゴルフ中だった。

 バイデン氏の当確を知ったトランプ氏は、声明を発表。「バイデン陣営が誤った勝利を宣言している」と主張し、強い憤りを表した。

 声明には「この選挙が全く終わっていないのは、はっきりした事実だ。ジョー・バイデンはどの州でも勝者の認定はされていない。ましてや再集計が必要な激戦州や、我々の陣営が訴訟を起こして最終的な勝者を決めるであろう州では、勝利していない」と綴られている。

訴訟や不正投票…これまでの主張を繰り返す

 トランプ氏は、激戦州のフロリダ州やオハイオ州を制した後の11月4日に、勝利に必要な選挙人を集めていないにも関わらず、一方的に「勝利宣言」をした。

 しかしその後にバイデン氏がウィスコンシン州とミシガン州で勝利し、ペンシルベニア州とジョージア州でも票を伸ばすと、トランプ陣営は票集計の差し止めを求める裁判などを複数の州で起こした。

 これまで、それらの訴訟の主張が認められたケースはないが、トランプ氏は声明で「我々の陣営は月曜日に訴訟の手続きをとり、選挙の法律がきちんと守られ、正しい勝者が選ばれたかどうかを確認する」と述べて、新たな訴訟を起こす用意があることを伝えた。

 さらに、これまで繰り返してきた「バイデン氏は激戦州で不正な票を集計している」と根も葉もない主張を改めて強調。

「バイデンは何を隠しているのだ?私はアメリカの人々が、民主主義が求める正しい集計をされるまで、安心して休めない」とコメントした。

 トランプ氏は7日朝、Twitterにも「選挙の後に何千もの不法な票が集められた」と投稿したが、この投稿にはTwitter社から「コンテンツの一部またはすべてに異議が唱えられている」「誤解を招いている可能性があります」警告のラベルが貼られている。

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2020年11月 7日 (土)

【新型肺炎】欧州再拡大<コロナ感染者数>仏伊など過去最多

 仏伊ポルトガル過去最多 欧州コロナ再拡大深刻 

共同通信 2020年11月7日(土)5時50分配信

 フランス保健当局は6日、新型コロナウイルスの感染確認者が前日から6万486人増加したと発表した。同国で1日の増加数が6万人を超えたのは記録上初めて。イタリア、ポルトガルでも1日の新規感染者が過去最多を更新。感染再拡大の深刻度が増している。

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 イタリア政府は11月6日、感染者が前日から3万7809人増え、累計86万人を超えたと発表した。過去最多更新は2日連続。

 ロイター通信によると、ポルトガルでは6日、1日の新規感染者数が5550人を記録した。春に続き、政府の非常事態宣言を議会が承認、国民に外出制限を義務づけることを可能とした。

 コロナ禍後投資先に、マクロン大統領が売り込み 

ロイター 2020年11月7日(土)3時59分配信

 マクロン仏大統領は6日、新型コロナウイルスの危機が落ち着いた後の欧州の投資先としてフランスを売り込む好機とみて、世界の投資家に対するアピールを開始した。当局者が明らかにした。

 フランスや多くの欧州諸国が新型コロナ感染第2波の中にあるにもかかわらず、マクロン氏は投資家が欧州連合(EU)を離脱する英国や「安定的」なドイツよりもフランスの1000億ユーロ規模の経済復興策を好むとみている。

 ある大統領顧問は「投資家は今、白紙の状態にある。国際的な大手企業の最高経営責任者(CEO)は各国がどのように危機に対応しているかに注目していることもある」と話す。別の顧問は「英国はEU離脱で停滞しており、国をアピールできない状態だ。ドイツの復興策は供給側より需要側を重視しているため、新たに宣伝するものがない」と語った。

 マクロン氏はこの日、新たな投資を確保するためにタタやユニリーバ、コカ・コーラ、ザランドなどのCEOと電話会議を開催。これまで世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)前に開催していた「フランスを選ぼう」会談のオンライン版となる。

 新型コロナ感染が再び急増する中、フランスは先月にロックダウン(都市封鎖)の再導入を余儀なくされた。当局者らは、こうした状況下で投資のアピールをするタイミングについて、投資家が第2波以降を見据え、新型コロナ後の長期的な視点で勝てる国を今見極めていると指摘。ある当局者は「欧州全体で感染が急増している。CEOはこのような波がいくつか来ることを十分理解している」とし、「フランスが危機管理だけでなく、先を見て経済を一変させることに注力していると証明するのが重要だ」と述べた。

 仏経済は第3・四半期に16%持ち直した。第2・四半期は、新型コロナの感染拡大を抑えるために欧州の中でも非常に厳しいロックダウンを導入したことから、13.8%減と過去最大の落ち込みを記録した。2回目のロックダウンを受け、第4・四半期は再び縮小するとみられる。

 フランスは危機の打撃を抑えるために税控除や国が補助する一時帰休、企業への融資保証など4700億ユーロを超える支援策を導入してきた。そのほか、法人減税や再生可能エネルギーへの投資を含む1000億ユーロの2カ年計画を発表している。

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ロックダウンドミノ  欧州行動規制がる 

ロイター 2020年11月6日(金)15時54分配信

 英イングランドは5日、新たに1カ月間のロックダウンに入った。ギリシャも7日から3週間の全土封鎖を行うほか、仏パリでも夜間の食品販売が制限されるなど、規制強化の波が欧州全域に広がっている。

 5日、新たに1カ月間のロックダウンが始まった英イングランド。その空には紫色の霧がかかっていた

 前夜はロックダウン前の最後の夜を楽しもうと人々でごった返していたが、5日は打って変わって、静寂が通りを支配した。

 コロナ感染による英国の死者数は、欧州で最多。いまも1日2万人以上が新たに感染している。スナク財務相はロックダウンによる失業者の増加を抑えるため、追加経済支援策を発表した。

 全土でロックダウンを実施する国は、欧州で広がりつつある。そして次はギリシャが実施を決めた。

 ギリシャは5日、全土で封鎖措置を行うと発表。7日から3週間続けられる。封鎖期間中、スーパーと薬局を除いて 小売店の営業は一切認められない。市民の外出には許可が必要で、また時間も指定される。小学校は授業を行うが、高校は閉鎖される。

 一方、仏パリでは6日より、午後10時から翌朝6時までの惣菜やアルコールの持ち帰り販売や配達が禁止される。当局によると酒類を夜間、公共の場所で販売したり飲むことも禁止されるという。

 ロックダウン」再開で国民団結れかけている理由 

現代ビジネス 2020年11月6日(金)8時01分配信/川口 マーン 惠美(作家)

4週間のロックダウン

 10月29日、国会議事堂の演壇の前で、メルケル独首相は言葉に詰まった。

 前日に州の首相たちと定めたコロナ対策について説明していたところ、AfD(ドイツのための選択肢)の議員たちの激しいヤジが飛び、話を続けられなくなったのだ。メルケル首相のスピーチがこれほど妨害されることは珍しい。

 前日に決まったのは、11月2日から4週間の予定で宣言されたロックダウンで、飲食店は閉鎖、ホテルは観光客を泊めてはいけない。旅は日帰りもダメ。また、劇場、映画館、遊園地、美術館、プール、ジム、体育館などもすべて閉鎖、美容院以外のビューティーサロン(ネイルサロンなど)も閉鎖。

 仕事は、できる限りオンラインに切り替える。そして、家での飲み会やパーティーも、最高2世帯、計10人まで。ただ春のロックダウン時と違い、学校と幼稚園、通常の店舗は閉鎖しない。外出も規制しない。

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 メルケル首相は、これらの厳しい措置は感染者の増加を抑えるために「適切で、必要で、(防疫効果との)バランスが取れた」ものだとし、コロナの危険を軽視する人たちのことを、「嘘、歪んだ情報、憎悪は民主的な議論だけでなく、ウイルスとの戦いをも妨害する」と弾劾した。「今冬は厳しく、長い季節となり」、防疫対策には「人間の命がかかっている」。

 それに対し、AfDのガウランド氏は政府のやり方を、「戦時中のプロパガンダ」と攻撃。政府が行う「毎日の『新規感染者数』の発表は、『爆撃速報』さながらで、国民を恐怖に陥れる」と。

 さらに、政府が国会の頭越しに重要な決定を下していることを指し、メルケル首相に向かって、「我が国の主権は国民にあることを思い出していただきたい。それは、つまり、ここ、国民の代表者の集う国会です」と言った。

 この日、メルケル首相に異議を申し立てたのはAfDだけではなかった。FDP(自民党)の党首リントナー氏も演壇に立つと、「メルケル首相、あなたは議論が民主主義を強化すると言う。それは正しい。しかし、議論は決定の前に行われなくてはならない」と首相を名指しで批判した。

三権分立が溶解してしまう

 今回の問題は、言うまでもなく、1)規制が国民の基本的人権を制限するものであること。さらに、2)そのような重要な決定が、民主主義を無視した形で行われたことにある。

 まず、1)だが、飲食店やホテル、アーティストなどの営業禁止、さらには旅行や家で人と会うことまで制限するのは、憲法で保障されている人権を侵害する可能性が高い。

 基本的人権の制限については、ドイツの基本法(憲法に相当)により例外的に認められているものの、それは、制限が、ある合法な目的を達成するためにどうしても必要で、かつ、効果がある場合に限るとされる。つまり、今回の場合で言えば、ロックダウンがコロナの防疫のためにどうしても必要で、しかも、効果との相関性が明らかでなくてはならないということ。

 しかし、実際問題として、相関性の有無は疑問だ。すでに感染経路の75%は不明だし、政府の下部組織であるロバート・コッホ研究所でさえ、ホテルやレストランがコロナの感染源になっている証拠はないと言っている。

 また、人的交流を制限すれば一時的に感染者は減るだろうが、制限を解けば、また増えるというのが、春のロックダウンをした国々が、現在、体験していることなのだから、ロックダウンが長期的なコロナ防疫に役立つとは言えない。

 2)の国会の頭越し問題も根が深い。

 そもそも、連邦首相が州首相を招集して重大事項を決定するという政治システムは、ドイツに存在しない。元々、ドイツの首相はフランス大統領のように大きな権限を持たず、非常事態を宣言する権利もないし、それどころか、政府さえ非常事態は宣言できないことになっている。

 そこで、春のロックダウン時は、ごくありきたりの「感染防止法」を加工して、保健大臣と政府に大きな権限を持たせるという方法を使った。しかし、その権限がいつのまにか、保健大臣からメルケル首相に移行している。

 国会までが無力化され、このままでは本当にドイツの三権分立は溶解してしまう。なのに、不思議なことに、会議の前はロックダウンに反対していた州首相も、何故か突然、まったく何も言わなくなっている。

ロックダウン再開は正しい対策か

 一方、ニュースでは、集中治療室で医療関係者に囲まれながら生死の境を彷徨っている半裸の患者など、皆を怖がらせる映像ばかりが毎日流される。そして、メルケル首相や保健相は、「国民の総力結集が必要」とか、「これが最後のロックダウンである保証はない」とか、「規則を守るか、死者の数を増やすかのどちらか」などと盛んに脅しを掛ける。

 では、実際の状況はどうなのかというと、検査で陽性反応の出る人は増えているが、病状のある人が急増しているわけではないらしい。死者の数は、これまでの総計は10,812名(11月4日現在)。2017~18年のインフルエンザの死者は21,500人だったので、その約半分だが、そんなことはもちろん報道されない。

 いや、その反対で、コロナ患者の集中治療用ベッドが6割以上空いているという情報が出れば、すぐさま、「ベッドは空いていても看護師が足りないので、このままではすぐに医療崩壊する」。感染してもほとんどは軽く済むと言えば、「治った後、ひどい後遺症がある」。どれが正しいか私にはわからないが、いずれも、ロックダウンを正しい対策として肯定する理由は乏しいように感じる。

 そこで、今になって、これらに反対する人たちが声を上げ始めた。

 コンサートはダメなのに、なぜショッピングモールの雑踏はOKなのか? あるいは、通勤電車は満員のままなのに、なぜクラスターである証拠もないホテルや飲食店が標的となっているのか? あるいは、この措置で感染者を減らしてクリスマスを凌いだとしても、その先はどうなるのか? という質問にも、政府は答えられない。ロックダウンを繰り返すわけには行かないはずだ。

 また、複数の医師会や、ウイルス研究者、心理学者たちも、現在の政府の防疫政策を非難し始めた。

 このままでは経済的不安や孤独からの鬱や自殺、家庭内暴力、アルコール依存、また、感染が怖くて病院に行かず病気を悪化させるなど、他の弊害が大きくなりすぎる。高齢者や健康上のリスクを持つ人々を集中的に保護する形に、早急に変えるべきだというのが、彼らの主張だ。

国民の団結は崩れかけている

 つい最近まで政府やメディアは、コロナ政策に反対するのは極右や極左や陰謀論者であると決め付けていたが、今はもう、そんな風に片付けるわけにはいかない。現在、私のところにも、オペラやコンサートを解禁するよう当局に要請するための署名運動を始めた団体から、オンラインの書類が送られてきている。

 特に、多くのホテルや飲食店は、春以来の苦しい経営の中、営業を続けるために厳しい防疫基準を守り、新しい換気フィルターなどにも投資していただけに、今回の営業禁止で裏切られたように感じており、雪崩を打って裁判に訴え始めた。

 それだけではない。普通の市民も、休暇で滞在していたホテルから強制的に退去させられたり、親族と集まることさえ制限されたりと、だんだん行動の自由が狭められ、私生活まで監視されているように感じている。

 春の頃は、まだコロナが未知のものであったため、国民はロックダウンに対する理解を示したが、今は不満が膨張し、団結は崩れかけている。

 そこで、政府は急遽、新たに100億ユーロの支援を追加し、被害を受けている事業者の11月の粗利(去年の同月の最大75%)を保証することにしたが、コロナ不況は11月で終わるわけではない。

 また、パートで職を失った人たちは、この恩恵もどのみち受けられない。このままでは零細企業やフリーランスは近い将来、公金依存状態に陥り、政府の権限はさらに強まるだろう。片や、すでに巨額の補助や融資を受けている大企業も、コロナが収束した暁には、国営企業のようになっているかもしれない。

 国民の不満に気付いたメルケル首相は、11月2日、慌てて記者会見を開いた。これも稀なことで、焦っているのがよくわかる。

 そこで、対策の正統性を主張しようと思ったらしいが、「今回のロックダウンは感染拡大を遮断するきっかけになるかもしれない」とか、「皆でマスクを付け頑張っているのだ。きっとうまく行く」など、裏付けのない話に終始した。彼女が長々と行った感染学的な説明に対しては、すぐにある医師が反証をあげたビデオをアップしている。

 いずれにしても、国民は団結を要請されながら、ソーシャル・ディスタンスでバラバラにされていく。家族にさえろくに会えず、教会のミサでは、礼拝者はベンチの右端と左端に一人ずつ座らされ、サッカーの試合は観客なし。可哀想なのは学校の生徒たちで、授業中もマスク着用のうえ、頻繁な換気のため、毛糸の帽子と毛布で凍えながらの授業だ。

 また、店では、20平米あたり一人のみという規則だから、スーパーの外には行列ができる。これから本格的な冬が到来したら、あちこちで皆が風邪を引くだろう。

 こういう国民の日常を、メルケル首相が本当にわかっているとは思えない。ここに私はドイツ政府の本質的な問題があると思っている。

 コロナ新規感染者、5日は12万人超 2日連続過去最多 

ロイター 2020年11月6日(金)11時08分配信

 ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染者が5日、新たに少なくとも12万0276人確認され、1日当たりの新規感染者数として2日連続で過去最多を更新した。

 米国で1日当たりの新規感染者数が10万人を超えるのは過去7日間で3回目。

 この日は全米50州のうち20州で新規感染者数が過去最多を記録した。

 感染は全米で広範囲にわたっているが、新規感染者でみると中西部の状況が特に深刻。

 5日には、イリノイ州で新規感染者が約1万人報告され、テキサス州と並んで過去7日間の感染者が全米最多となっている。

 このほか5日に感染者の伸びが記録を更新した中西部の州は、ネブラスカ、インディアナ、アイオワ、ミシガン、ミネソタ、ミズーリ、ノースダコタ、オハイオ、ウィスコンシン。アーカンソー、コロラド、メーン、ケンタッキー、オレゴン、ニューハンプシャー、オクラホマ、ロードアイランド、ユタ、ウェストバージニアも記録を更新している。

 一部の都市と州は感染拡大抑制のため、夜間外出禁止や集会人数制限など新たな措置を発表しているが、連邦政府レベルでの措置は講じられていない。50州中17州ではマスク着用を義務付けていない。

 韓国各国で新型コロナ感染者急増、日10倍仏600倍米1200倍 

中央日報 2020年11月7日(土)11時59分配信

 韓国は100人、日本は1000人、ドイツは2万人、フランスは6万人、米国は12万人。最近の一日の新型コロナウイルス感染拡大ペースだ。欧州と米国では冷たい風が吹き始め、新型コロナの感染が急速に広がっている。日本も新規感染者数が韓国の10倍にのぼる。

欧州で死者30万人超える

 今年春の急速な感染拡大後、小康状態だった欧州では、冬が近づく中でまたウイルスが急拡大している。

 AFPによると、1週間前から全国に移動制限措置を施行中のフランスは、6日(現地時間)の集計基準で一日の新規感染者数が過去最多の6万486人となった。累計感染者数は166万人、累計死者数は3万9865人にのぼる

 ドイツでも6日、一日の新規感染者数が2万1506人にのぼった。ドイツで新規感染者数が一日2万人を超えたのは初めて。累計感染者数は61万9089人、累計死者数は1万1096人。

 イタリアでは5日、一日に445人の死者が出て累計死者数が4万人を超えた。累計感染者数は約87万人。

 今月5日から来月2日までイングランド全域で封鎖措置を施行中の英国は、新型コロナ累計死者数が4万8475人と、5万人に迫っている。英国の累計感染者数は約114万人。

 感染拡大で欧州全体の新型コロナ累計死者数は30万688人と、30万人を超えた。

米国で一日12万人の感染者

 米国でも新型コロナ感染者が急速に増えている。米ジョンズ・ホプキンス大学は5日の一日の新規感染者数を過去最多の12万1888人と発表した。コロラド州・イリノイ州・ミネソタ州・オハイオ州・ペンシルベニア州・ユタ州・ウィスコンシン州などで新規感染者数が過去最多となった。ワシントンポストは東部から西部にわたる20州で一日の新規感染者が過去最多を更新したと伝えた。

 5日の死者数は1187人と、1週間前に比べて20%ほど増えた。この日を基準に米国の累計感染者数は964万3922人、死者数は23万5199人となった。先月30日に累計感染者数が900万人を超えたが、10日も経たないうちに1000万人を超える可能性が高い。

韓国は新規感染者100人前後

 日本は5、6日の新規感染者数がそれぞれ1048人、1123人と、2日連続で1000人を超えた。累計感染者数は10万6916人。

 韓国の一日の新規感染者数は100人前後で統制されている。6日の新規感染者数は89人と、4日ぶりに100人未満となった。

中国入国制限再び強化 日本は帯同家族のビザ発給停止

時事通信 2020年11月7日(土)7時09分配信

 中国政府が新型コロナウイルスの流入を防ぐため、11月に入って外国からの入国制限を再び強化している。

 英国やフランス、インドなどでは発給済みの査証(ビザ)効力を相次ぎ停止。日本では駐在員ら本人の渡航は認めるが、帯同する家族へのビザ発給を停止した。

 駐日中国ビザ申請センターは2日、ビザ申請条件を、中国の地方政府発行の招聘(しょうへい)状を持つ本人らに限定すると発表。9月から認めていた「同行配偶者および未成年子女」を対象から外したため、日本にいる帯同家族は中国に戻れなくなった。

 一方、英仏印各国やイタリア、ベルギー、ロシア、フィリピンなどの中国大使館は5日までに、ビザの効力を停止すると発表。中国外務省の汪文斌副報道局長は5日の記者会見で「やむを得ない臨時的な措置だ」と理解を求めた。

 中国では、新疆ウイグル自治区で先月発生した集団感染が400人以上に拡大しているほか、海外からの入国者の感染が連日数十人規模で確認されている。11月以降は中国に向かう国際線の搭乗客全員にPCR検査に加え抗体検査も義務付けるなど、冬を前に警戒を強めている。

 体操中国代表防護服着用来日、母国でも非難 

東スポWeb 2020年11月6日(金)17時33分配信

 体操の国際競技会(8日、国立代々木競技場)に参加する中国選手団が、新型コロナウイルス感染防止のため防護服、ゴーグルなどの完全装備で5日、成田空港に来日し、中国でも物議を醸している。

「新浪体育」など各媒体は、中国選手団の来日の様子を報じる日本の記事を引用する形で報道。日本のネット上での反応を加え「中国体操選手団が防護服での訪日に、日本のネット民は『見くびらないでほしい』と怒りの声」などと伝えた。

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 ものものしい完全防備ぶりは中国でも違和感を感じる人は少なくないようで、中国のネット上でも「これは確かに失礼」「家に招かれたのに、手袋をしたり、椅子にカバーをしたりすれば家の主人はどう思う? やりすぎ」「ここまでする必要があるなら、行かないほうがまし」と疑問の声も上がっていた。

 今大会は新型コロナウイルス感染拡大後、日本初の国際大会。男子の内村航平(31=リンガーハット)が一度はPCR検査で陽性となったものの、実際は「偽陽性」だったことが明らかになり、話題となった。

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 コロナ禍で「在庫処分」大量発生、アパレル業界の地殻変動 

毎日新聞 2020年11月1日(日)9時30分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大で、アパレル業界が苦境に立たされている。外出自粛で小売店の販売が落ち込み、大量の売れ残りが発生したためだ。「大量生産のツケ」とも言える在庫処分の現場を訪れると、コロナだけでは説明できない業界の構造変化も垣間見える。 

 10月下旬、大阪市西成区の倉庫にはシャツやスカートなど全国から集まった売れ残りの服が段ボールに入ってうずたかく積まれ、従業員らは商品の検品やブランド品を示すタグの切り取りを手際よくこなしていた。倉庫は同市中央区の「shoichi(ショーイチ)」が運営している。

 同社はメーカーの売れ残りを定価の1割ほどで買い取り、東京、大阪など14カ所の直営店などで格安で販売している。ブランド品のたたき売りはメーカーのイメージを傷つけるため、販売前に自社のタグに付け替える。こうした厳格な管理がメーカーからの信頼を集め、2000社以上から在庫を引き取ってきた。

 ◇ 引き取り量が倍増

 山本昌一(しょういち)社長は「今年はコロナの影響で春物の服が売れず、6、7月の引き取り量は例年の倍以上になった」と語る。昨年8月に取材で倉庫を訪れた時は、空間に余裕を感じられたが、今は見上げるほどに段ボールが積まれている。

 同じブランドロゴの箱がいくつも積み重なる光景を目の当たりにして「売れるか分からないのにこんなに作らなくても」と感じた。倉庫を案内してくれた同社営業部の野崎陸さん(25)も「今は秋の決算期の処分に合わせて在庫が流れ込んでいる。昨年と比べたらものすごい量」と語る。

 新型コロナは、百貨店などのアパレル小売店を営業自粛に追い込み、メーカーの経営を圧迫させた。5月には紳士服「ダーバン」などを展開する老舗レナウンが経営破綻。オンワードホールディングスは2021年2月までに約700店を閉鎖する。東京商工リサーチによると、今年4~9月に倒産した3858社(負債額1000万円以上)のうち、アパレルを含む繊維業は245社に上った。

 ショーイチの山本社長は「引き取る商品の量は倍増したが売り上げは例年並み。残念ながら弊社の在庫量は増えている」とこぼす。それでも「アパレル業界が大変な中、うちが在庫を引き取るぐらいはやらないと。短期的な目線は捨てて、『在庫に困ったらショーイチに電話』というインフラ的な存在になれれば」と覚悟を決めていた。

 シーズン前に大量生産

 そもそも季節ごとに商品を入れ替えるアパレル業界では、シーズン前に流行を予想して商品を生産する。近年では価格を抑えた服を大量生産するファストファッションが潮流となっている。

 経済産業省によると、国内のアパレル商品の供給量は1990年代初頭で約20億点だったが、2010年には約40億点に倍増した。一方、国内のアパレル市場は15兆円から10兆円規模に縮小、大量生産による「売れ残り」も増加したとみられる。

 昨年取材した都内の産業廃棄物会社の社長は「有名ブランドの在庫を年間100トン以上焼却している」と明かした。無断転売や違法投棄によるブランドイメージの悪化を避けるため、メーカーの担当者が処分時まで立ち会うことも多いという。今回、コロナ禍での業界の裏事情を聞こうと再びこの会社に取材を申し込んでみたが、なぜか社長と連絡がつかなかった。

 「捨てる会社が減っている」

 しかし、在庫の増加はコロナ禍だけが原因ではないようだ。山本社長は「在庫を焼却処分するなどの『捨てる会社』が目に見えて減ってきている。今は一部のハイブランドだけで、サステナブル(持続可能)な方向に進もうとしている」と業界の変化を感じている。

 分岐点となったのは、18年の英高級ブランド「バーバリー」による在庫廃棄の報道だ。数十億円分の商品を焼却処分していたことが明らかになり、国際的な批判を浴びた。それ以降、各メーカーも在庫処分に神経をとがらせるようになった。

 バーバリーは毎日新聞の取材に「18年9月に在庫の廃棄をやめた。商品をニーズのある地域に移動させるなどしている」と説明。ユニクロなどを運営する「ファーストリテイリング」も「価格を下げたり、翌シーズンに繰り越したりして売り切っている。焼却などの廃棄はしていない」と説明する。

 より前向きな動きもある。ユニクロは顧客が不要になった自社の服を回収し、新しい服に作り替える取り組み「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」を9月にスタート。第1弾として、11月2日から国内での回収品62万着で作ったダウンジャケット(税別7990円)を販売し、今後も商品メニューを広げていくという。

 ただ、ある業界関係者は「リサイクル品は製造費がかかるため、正規品より高価になりがち。環境意識の高い欧州では受け入れられるが、リーズナブルな商品を求める日本では厳しいだろう」と冷ややかな見方を示す。

 生産体制の見直しが必要

 一方で、アパレル業界のマーケティングに詳しい大妻女子大の中島永晶教授は「今の業界は、服作りよりも在庫の圧縮が最大の関心事になった。今回のコロナを機に目先のトレンドに左右される生産体制を考え直すべきだ。翌シーズン以降も販売できる商品などで在庫を適正化しつつ、利益重視の経営にシフトする必要がある」と指摘し、業界の意識改革を促している。

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2020年11月 6日 (金)

【日経平均】4日続伸「29年ぶり(バブル崩壊以降)」最高値✍更新!!

 東証終値も「バブル最高値219円高2万4325円 

産経新聞 2020年11月6日(金)15時16分配信

 6日の東京株式市場は日経平均株価が4営業日続伸し、終値は前日終値比219円95銭高の2万4325円23銭だった。バブル崩壊後の終値ベースでの最高値2万4270円(平成30年10月2日)を上回った。終値は3年11月以来、約29年ぶりの高水準となった。

 米大統領選は民主党のバイデン前副大統領が優勢の一方、米連邦議会は上下院の「ねじれ」が続く可能性があり、法人税増税が難しくなるとの見方が好感されている。また、同日発表されたトヨタ自動車の令和3年3月期の連結業績見通しが上方修正されるなど、発表が相次ぐ企業決算が底堅いことも投資家心理の好転につながっている。

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劣勢トランプ大統領郵便投票開票は不正横行」と提訴

FNNプライムオンライン 2020年11月6日(金)16時16分配信

集計の差し止めを求め4州で訴訟

 アメリカ大統領選をめぐる混乱が続く中、11月5日大きな動きがあった。

 バイデン候補が過半数に自信を示す一方、トランプ陣営は重大な不正があったとして訴訟に出た。

民主党・バイデン氏 :

開票の結果、わたしたちはウィスコンシン州で2万票を得て勝利した。長い夜が明け、われわれが過半数を得るため、必要な州で勝利しているのは明らかだ。

 勝敗の行方を左右する接戦州のウィスコンシン州とミシガン州で、バイデン氏が勝利を確実に。これで獲得した選挙人は、あわせて253人となり、過半数の270人に大きく近づいた。

 一方、獲得した選挙人が214人にとどまり、劣勢に立たされているトランプ大統領はツイッターを更新し、「昨夜の時点では主要な州でリードしていたが、突然出てきた票が集計され始めるとそれが魔法のように次々と消えていった」と強い不信感をあらわにした。

 さらにトランプ陣営は重大な不正があったとして、集計の差し止めを求める訴訟を少なくとも4つの州に対して行ったことを明らかにした。

開票所には警察官が出動

 形勢逆転を招いた郵便投票の集計。その開票が進むにつれ、緊張が高まっている。

 バイデン氏が制した激戦州の1つ、ミシガン州デトロイトでは「集計やめろ! 集計やめろ!」との声とともに、窓ガラスをたたき、威圧するトランプ支持者とみられる集団。

 開票作業を見守る目的で約30人が集まったものの、入場が認められなかったため「集計をやめろ」と大声を上げ、開票作業を妨害。警察官が出動する騒ぎとなった。

 100万を超える郵便投票が未開封で、現在も開票作業が続くペンシルベニア州の開票所でも混乱を避けるため多くの警察官が投入され、周囲にはバリケードも設置されるなど物々しい雰囲気となっていた。

 一方、バイデン氏の支持者は開票の中止を求めるトランプ派に反発し、全ての票の集計を訴えるボードを持ちながら抗議のデモ行進。警戒にあたっていた地元警察との間で衝突も起きた。

バイデン氏の支持者 :

わたしはトランプ大統領が選挙を盗もうとしていると思う。だから投票した全市民の票が集計されるようにしたい。

トランプ大統領の支持者 :

高裁にいくだろうけどトランプ大統領が勝つ。暴動もあるだろうが、トランプ大統領はアメリカの全てを代表している。

 法廷闘争への突入は大統領選だけでなく、アメリカ国内で進む分断にも大きな影響を及ぼしている。

過激な支持者をあおる言動は避けるべき

 Live News αのスタジオでは津田塾大学の萱野稔人教授に話を聞いた。

三田友梨佳キャスター :

哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんに聞きます。アメリカ大統領選挙の集計をめぐる混乱を見ると、あらためて選挙とは何か?少し立ちどまって考えてみる必要がありそうですね

津田塾大学・萱野稔人教授 :

選挙制度が定着する以前の社会では、人々は武力によって権力を獲得しようとしていたわけです。それが広がれば、内戦にまで発展するということもありました。選挙はそうした暴力による権力の獲得を回避するための手段として、歴史的に編み出されて発展してきた側面があります

津田塾大学・萱野稔人教授 :

つまり、社会の分断や内戦の可能性を克服することこそ、選挙の意義だと言えるわけですよね。民主主義の意義もまさにそこにあると思います

三田キャスター :

その選挙に不正があったとしてトランプ陣営は提訴に踏み切りましたが、こうした動きについてはいかがですか?

萱野教授 :

司法に異議を申し立てることそのものは制度的に認められていることでもありますし、不正の可能性がないわけではありませんし、郵便投票についてもいろんな疑問も出されていますので、それは否定されるべきではないと思います。ただ、線引きは必要だと思います

萱野教授 :

たとえ、威嚇のためであろうと、暴力を使うような動きが広まりつつある中、過激な支持者をあおるような言動は避けるべきであると思います。トランプ大統領は現職の大統領でもありますので、やはり民主主義の基礎を守るために人々に抑制を求めて、民主主義国家としてのちゃんとした枠組みを維持してほしいなと思います

三田キャスター :

これだけの接戦ですから、不正があったのだとしたら、それこそ真実を追求するのが民主主義ともいえると思いますが、まだ開票が続く大統領選挙の分断を加速させる暴動の連鎖が、これ以上続かないことを祈るばかりです。

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法廷闘争に共和党からも批判「勝敗に関係なく受け入れるべき

時事通信 2020年11月6日(金)15時19分配信

 トランプ米大統領が5日、大統領選で一部の州の郵便投票の集計中止を求め、法廷闘争の意向を改めて明確にしたことについて、与党共和党の一部から厳しい批判の声が上がっている。

 最大の焦点となっているペンシルベニア州選出のパット・トゥーミー上院議員は声明で、すべての票の集計を求めるバイデン民主党候補に賛同し、集計結果が出た時点で「勝敗に関係なく、すべての党が結果を受け入れなければならない」と訴えた。

 ウィル・ハード下院議員はツイッターで、「政治プロセスを台無しにし、証拠も示さず米国民の意思表示の正当性を疑う現職大統領は、危険であり誤っている」と厳しく批判した。ブッシュ(子)元政権で国土安保長官を務めたトム・リッジ氏は、新型コロナウイルス禍の安全策として郵便投票を行った米国民を軽視するもので「恥ずべきことだ」と非難した。 

 日本で郵便投票が認められない訳はトランプ氏の指摘通り 

スポーツ報知 2020年11月6日(金)12時46分配信

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(51)が6日、自身のツイッターを更新。民主党のバイデン前副大統領(77)と共和党のトランプ大統領(74)が大接戦を展開。混迷を極めている米大統領選についてコメントした。

 焦点となっている郵便投票について、「アメリカ大統領選挙 郵便投票)アメリカのルールなのでアメリカが決めることだが、日本においては郵便投票は一般的には認められていない。投票所にどうしても足を運べない方にのみ、厳格なルールの下に認められているだけ。そして投票日必着は当然のこと。投票日後の到着は認めない」と説明した上で連続ツイート。

 「つまり日本においては、トランプが指摘する懸念を理由に、アメリカのような郵便投票を導入していない。そういう日本の選挙制度を甘受している日本人インテリがトランプの主張に知性がないと言うのは滑稽。日本に一般的郵便投票制度を導入しようとしたら、トランプが指摘している理由で反対となるだろう」とした。

 その上で「僕は生体認証などを使ったネット投票には賛成だが、アメリカのような簡易・一般的・投票後の到着を認める郵便投票を日本に導入することには反対。ただしアメリカのことはアメリカ人が決めたらいい」と結論づけていた。

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 トランプ仮に大統領めたら」“一文無し”になる可能性 

現代ビジネス 2020年11月6日(金)8時01分配信/小林 雅一(ジャーナリスト)

 米国の次期大統領選は事前の予想通り、もつれた展開となっている。現職のトランプ大統領はミシガンなど幾つかの州で郵便投票の集計停止を求める訴訟を起こした他、今後のさらなる法廷闘争も辞さない構えだ。何故、そこまでして彼は選挙に勝ちたいのか? 

 それは単に最高権力者の座に止まりたいという願いとは別に、極めて切実な理由に根差している。仮にトランプ氏が今回の選挙に敗れて大統領の座を追われた場合、それまでの大統領職に伴う免責特権が失われ、数多の訴訟リスクに晒されることになるからだ。これは以前から米国内外のメディアで報じられるなど、半ば公然の秘密と化している。

お金が足りなくなる可能性

 米ニューヨーカー誌の報道によると、トランプ大統領はこれまで推定4000件に上る訴訟と26件に上る性的不適切行為の訴え、そして昨年12月の米連邦議会における弾劾裁判等を生き残ってきた。

 しかしニューヨーク州・市政府の検察当局は未だに、トランプ氏が大統領になる前の商行為等に対し、潜在的な刑事責任の可能性があるとして捜査を進めている。他にも、こうした捜査や民事訴訟の準備が10件以上進んでいるという。

 “Why Trump Can’t Afford to Lose” The New Yorker,November 9, 2020 Issue

 仮に、これらが実際の訴訟へとつながれば、トランプ氏は弁護士費用など相当の出費を迫られることになる。ところが、そのためのお金が足りなくなる可能性がある。

 今年9月のニューヨーク・タイムズの報道によれば、トランプ氏は4億2100万ドル(400億円以上)に及ぶローンその他の負債の責任を個人的に負っており、そのほとんどが4年以内に返済期限を迎えるという。

 “LONG-CONCEALED RECORDS SHOW TRUMP’S CHRONIC LOSSES AND YEARS OF TAX AVOIDANCE” The New York Times, Sept.27, 2020

 とは言え、不動産王のトランプ氏のことだから、推定数十億ドル(数千億円)とも言われるホテルなどの資産を一部売却すれば問題ないと思われる。

 ところがトランプ氏が所有するリゾート・ホテルなど不動産の資産価値はコロナ禍の影響で相当目減りしており、その売却によって借金を返したり法廷闘争の資金を捻出するのは、それほど容易ではないと見られている。

国外脱出を考えているとの見方も

 こうした危うい展開を回避するため、トランプ氏は是が非でも今回の選挙に勝たねばならない。

 その切なる願いは先月、ジョージア州で開催された選挙集会でも現れている。会場に集まった多数の支持者らに向かって、トランプ大統領は次のように語りかけた。

 「私が(今回の選挙に)負けるなんて想像できるかい? (もしも負けたら)あまり良い気持ちはしないだろうな。ひょっとしたら、この国(アメリカ)を去るかもしれない。どうなるか分からないな」

 冗談めかして言ってはいるが、トランプ氏は案外本気かもしれない。

 同じくニューヨーカー誌の報道によれば、トランプ大統領の姪のマリー・トランプ氏も、大統領が今回の選挙に負けたら米国を去ることを考えているのではないかと見ている。たとえばモスクワのような都市で、新たなトランプ・タワーを建設することを生き甲斐にしていくのではないかという。

 また独裁制を研究する一部の歴史学者も、米国との間で身柄引き渡し条約を交わしていない国にトランプ氏が亡命する可能性はあると見ている。

 実際、国外脱出を真面目に考えたくなる程、一部のケースは深刻なようだ。たとえばニューヨーク市のマンハッタン地区検事らは、かつてトランプ氏が性的関係を持ったとされるポルノ女優ストーミー・ダニエルさんに同氏弁護士から渡された口止め料の件を未だに捜査しているが、これは今後の展開次第では重罪につながる可能性もあるという。

自らを恩赦する可能性も

 これ以外でもトランプ氏を巡る捜査が幾つも進められており、今回の大統領選挙に同氏が敗北すれば、特に税金に関する容疑の捜査が進むと見られている。

 立件は証拠不十分などを理由に難しいとされるが、ニューヨーク州政府の検察当局はかなりやる気がある、と見ている専門家もいる。

 このため一部識者の中には、トランプ大統領が来年1月まで残された短い在任期間中に自身を「恩赦(pardon)」するのではないか、と見る人もいるという。もちろん現実離れしたシナリオだが、法理論的には「100パーセント無い」とは言い切れないのだという。

 あるいは、もう少し現実的なシナリオとしては、トランプ大統領が残された在任期間中に敢えて辞任する。すると一時的ながらもペンス副大統領が大統領に昇格するので、彼にトランプ氏を恩赦させるのだという。もちろん両シナリオとも実際にはかなり苦しい筋書きだ。

 さらに別の可能性としては、次期大統領に就任したバイデン氏が米国社会のさらなる分断を避けるために、トランプ氏を恩赦することも考えられる。

 しかし、かつて1974年にウォーターゲート事件で大統領の座を追われたリチャード・ニクソン氏が、その後を継いだフォード大統領に恩赦されたことに対する批判的見解が根強く残っているため、法の公正性を訴える立場からバイデン大統領はトランプ氏を恩赦し難いと見る向きもある。

 以上のことを考え合わせると、トランプ氏は絶対に大統領選挙の負けを認めるわけにはいかないのだ。

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 バイデン氏、過半数270獲得でも…選挙人投票で造反」危機? 

デイリー 2020年11月6日(金)18時48分配信

 外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が6日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演。米国大統領選でバイデン氏が選挙人の過半数270人を獲得した場合でも、270人ギリギリの場合だと、「選挙人投票」(12月14日)で造反投票が出て、当選できなくなる危険性すらあると指摘した。

 選挙人投票は通常はセレモニー的に行われるといい、「通常は全くの形式でニュースにもならないが、今回はここが主戦場になる可能性がある」という。

 バイデン氏が獲得した選挙人全員が宣言通りに投票すれば過半数を超えるが、手嶋氏は「不誠実な選挙人」の存在を指摘。

 番組では、前回2016年の選挙人投票でも、トランプ氏は306人を獲得していたが結果は304人、クリントン氏も232人のはずが227人しか得票が入らず、両陣営で計7人が自陣営候補に入れない「謀反」があったとし、通常から発生していると説明された。

 手嶋氏は「前回は(トランプ氏が過半数を大きく超える)306とっていたので大勢に影響なかったが、今回はギリギリ270のケースだと、たった1人の不誠実で」と、バイデン氏が当選できなくなる可能性が出てくると説明した。

 「これは政治的に問題があるが、違法というわけでない」といい、「まったくセレモニーなどと軽視できない。現に違う人に入れている人はたくさんいる」と語った。

 双方270に届かない場合は、連邦議会の下院の投票で決めることになり、手嶋氏は「トランプ氏が有利になる」と分析した。

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木村太郎氏、トランプ大統領を往生際が悪いと評する意見反論米国の美徳は徹底的に往生際が悪いこと往生際が良い人は情けない人なんです

スポーツ報知 2020年11月16日(金)10時28分配信

 6日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)で、トランプ米大統領のホワイトハウスでの記者会見を午前8時46分から9時03分まで生中継した。

 トランプ氏は、現時点で民主党のバイデン氏が優勢に立つ大統領選について「選挙に不正な介入が行われている」、「お金を得るために票を斡旋するようなことが行われている」、「正統な形でできていない。国のシステムを悪くする選挙」などと訴えた。

 会見を受けてスタジオで元衆院議員の金子恵美氏はトランプ氏を「往生際が悪いなと思いました」と指摘した。この発言にジャーナリストの木村太郎氏は「往生際が悪いねって金子さん、おっしゃったけど、往生際が良くちゃいけないんです、米国は。米国の美徳は徹底的に往生際が悪い。最後まで死ぬまで戦うのが米国の美徳なんで、これは日本と米国の文化の違いだと思います」と反論した。

 これに金子氏は「ただ、分断を生まないようにしてきた配慮という部分でいうと、まださらにここで分断を作るのは往生際が悪いかなと思った」と主張した。これに木村氏は「分断は前からあったんです、実は。それが深くなったっていうだけの話で。僕は往生際っていいとは思わないですよ。ただ、米国人から見ると往生際がいい人って情けない人なんです」とコメントしていた。

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 YOSHIKI、大統領選後の暴動に備える”現地からのメッセージ 

ねとらば 2020年11月6日(金)14時40分配信

 ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんが11月5日にTwitterを更新。在住している米国ロサンゼルスから、米大統領選後の暴動に備える現地の様子を伝えています。

 現地時間3日から投開票が始まり、再選を目指すドナルド・トランプ氏と民主党のジョー・バイデン氏が激戦を演じている大統領選。米国各地の都市では、選挙後の暴動を恐れて多くの店舗が窓に板を打ち付けるなどの警戒態勢を採っており、そのことを報じた日本語のニュース記事を引用したYOSHIKIさんは、「自分の住んでいるLAでも暴動に備え、数日前より色々な場所で窓に板張りがされはじめた」と自身の言葉で現地の状況を報告しています。

 情勢の変化を肌で感じているYOSHIKIさんは、「日本では考えられない光景だと思う」と暴動がほとんど起こらない日本との違いにも言及。最後には、「何も起こらないことを祈ってる」と平和を願う言葉を残していました。

 ファンからは、「YOSHIKIさんやスタッフの皆様は大丈夫でしょうか?」「YOSHIKIさんの無事を祈っています」などYOSHKIさんを心配するコメントが多く寄せられた他、「日本で暴動なんて考えられません 何も起こらないことを祈ってます」「日本でもほぼ一日中報道されていますが、現地でないとわからない空気感はあるのでしょうね」「本当に、日本では考えられない事ですね…」など現地の深刻な状況に驚いた人も少なくなかったようです。

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米3大TVトランプ会見中継打ち切る主張に根拠欠ける」と異例対応

読売新聞オンライン 2020年11月6日(金)23時49分配信

 米3大ネットワークと呼ばれるABC、CBS、NBCの各テレビ局は、5日夜(日本時間6日午前)に行われたトランプ大統領の記者発表について、中継放送を途中で打ち切る異例の対応をとった。大統領選の投開票で組織的な不正があったとするトランプ氏の主張が根拠に欠けるためだとしている。

 記者発表は、各局がニュース番組を放送中だった米東部時間午後7時頃、ホワイトハウスの記者会見室で行われた。トランプ氏は、「大差で勝っていたのに我々の票数はひそかに奪い取られた」などと根拠を示さないまま主張し、質問は受け付けなかった。

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 ニュース専門テレビ局のCNNやFOXニュースは、15分余りの記者発表の様子を終わりまで放送した。

 

2020年11月 5日 (木)

【日経平均】3日続伸<年初来高値✍更新>9箇月ぶり2万4千円台回復

 〔東京株〕3続伸=米株高を好感2万4000円回復 

時事通信 2020年11月5日(木)15時30分配信

 米選挙開票状況から増税や規制強化が回避されるとの見方が広がり米国株が上昇した流れを引き継ぎ、ハイテク株などが買い戻された。日経平均株価は前日比410円05銭高の2万4105円28銭と3営業日続伸。1月下旬以来、約9カ月半ぶりに2万4000円を回復した。東証株価指数(TOPIX)も22.69ポイント高の1649.94と続伸。出来高は13億4474万株だった。

 ▽ コントラストはっきり

 5日の日経平均株価はハイテク株や医薬品株が主導する形で上昇し、2万4000円を回復した。米国選挙の開票状況をにらんだ売買が続き、「コントラストのはっきりした相場」(銀行系証券)となった。

 米上院選では共和党が優勢となり、民主党が大統領と上下両院の全てで勝利する「トリプルブルー」が困難となり、ハイテク株や薬品株が買い戻された。東京市場にもこの流れが及び、日経平均が押し上げられた。

 一方で大型財政政策への期待低下で、素材などの景気敏感株は軟調。米長期金利低下で金融株も値下がりした。日経平均は年初来高値圏まで上昇し「割安感が薄れつつある」(中堅証券)と高値警戒感を示す声も出ている。

 225先物12月きりは午後に入り一段高。じり高となり、2万4180円まで上昇した。225オプション11月きりは、プットが軟調で、コールはおおむねしっかり。

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 〔米大統領選〕バイデン郵便投票で「逆転ミシガンとウィスコンシン両州で 

時事通信 2020年11月5日(木)13時34分配信

 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が激戦州の中西部ミシガンとウィスコンシンを制した。

 3日夜時点では共和党のトランプ大統領優位に見えた両州でバイデン氏が「逆転」した背景には、時間とともに処理に手間がかかる郵便投票の集計が増えた事情がある。

 米紙ニューヨーク・タイムズの追跡調査によると、ミシガンでは開票率10%段階でトランプ氏の得票率が20ポイントほど上回っていた。二人の差は徐々に縮まり、開票率90%に到達したあたりで逆転した。

 こうした逆転現象をめぐって、トランプ氏はこれまで「新しい票がどこからともなく大量に現れる」と不正の存在を主張。4日には、開票作業で不正監視が十分にできないとしてトランプ陣営がミシガンの集計作業中止を求める訴訟を起こした。

 ただ、郵便投票が急増した今回、バイデン氏の票が後から増えることは当初から予想されていた。郵便投票の利用が民主党支持者で圧倒的に多い上、ミシガンやウィスコンシンでは、署名確認などの準備作業に直前まで着手できず、開票に時間を要するためだ。

 残る激戦州の東部ペンシルベニアは、開票率88%でトランプ氏が約3ポイントリードしている。だが、今後増える分の多くは郵便投票とみられ、バイデン氏は記者団に「ペンシルベニアも感触はいい」と自信を示した。 

〔米大統領選〕バイデン、大統領選史上最多7千万票高投票率が影響

共同通信 2020年11月5日(木)13時37分配信

 米大統領選の民主党候補バイデン前副大統領の得票が4日までに歴代大統領選で初めて7千万票を超え、史上最多となった。開票は続いており、さらに増えるのは確実。これまでの最多記録は民主党のオバマ前大統領が初当選した2008年選挙で、約6950万票だった。

 今回は関心が高まった上、新型コロナ対策から郵便投票の利用が拡大し、投票率が大幅に高まる見込み。フロリダ大のマクドナルド教授は1900年より後の大統領選で最高の66.9%になると分析している。

 米メディアによると、4日夜時点で、バイデン氏の得票は約7140万票、トランプ氏の得票は6790万票超。

すぎたトランプ勝利宣言」身内の共和党から批判噴出

Forbes JAPAN 2020年11月5日(木)14時00分配信

 11月3日に行われた米大統領選は、いまだ一部の州で開票作業が続けられており、数えられていない票は数百万にのぼっている。

 それにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領は自らが「民主党のジョー・バイデン候補を破り、勝利した」との“誤った主張”を続けている。また、4日には複数回にわたり、怒りをかき立てるようなコメントをツイッターに投稿している。

 こうしたトランプの速断に過ぎる“勝利宣言”と扇動的な発言に対して、共和党の著名議員や保守派の批評家などの間からも非難の声があがっている。

大統領自ら陰謀説を拡散

 トランプは3日夜遅くに開いた記者会見で、「率直に言って、私たちは選挙に勝った」と何の根拠もなく発言。その後ツイッターにも、「“投票が終了した後も”投票が行われていた」、民主党は「すべての票を数えることで選挙を“盗もうとしている”」など根拠のない陰謀説を投稿している。

 これに対し、選挙前に行われた大統領候補者討論会でトランプの事前の準備を手伝っていたクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事(共和党)は米ABCに対し、「(トランプが)そう主張する根拠はまったくない」とコメント。

 トランプは「再選された」と性急に過ぎる主張をすることで、「自らの信頼性を自分自身で損なっている」と指摘した。

相次ぐ批判

 ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、トランプの“宣言”は「恥ずべきもの」であり、「大統領の発言のなかで最も無責任なものだ」と発言。メリーランド州のラリー・ホーガン知事は、宣言は「“言語道断、不要な行動であり、とんでもない間違いだ」「大統領は、彼自身の最悪の敵になることがある」と述べている。

 リック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)はCNNに対し、大統領の主張に「非常に心を痛めている」と語った。トランプが「票の集計を行っている人たちが不正をはたらいている」と示唆していることは「間違っている」との見方だ。

忍耐は美徳だとも

 また、今回の選挙で再選を果たしたイリノイ州のアダム・キンジンガー下院議員はツイッターに、「投票は集計され、あなたは勝つか、あるいは負ける。そして、米国はそれを受け入れる。忍耐は美徳だ」と投稿。

 保守派の政治評論家ベン・シャピーロもツイッターで、トランプが「すでに選挙に勝った」と主張することは「非常に無責任」であると指摘している。

 そのほか、Foxニュースのアンカー、クリス・ウォレスは、大統領の発言は「まさに火が付きそうなところにマッチを投げ入れるようなものだ」と述べている。

 一方、バイデンはツイッターで、「この選挙の勝者を宣言するのは、私でもドナルド・トランプでもない。有権者だ」と発言。また、トランプとの法廷闘争に備え、選挙結果を守るための活動に向けて寄付を募る「バイデン・ファイト・ファンド」を設立したことを明らかにしている。

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 たとえバイデンが勝ってもトランプの米国は続く… 

Newsweek日本版 2020円11月5日(木)17時12分配信/ジョナサン・テッパーマン(フォーリン編集長)

この大統領選の最も重要なポイントは、有権者の半数近くが嘘にまみれたトランプ政治を支持したという衝撃的な事実だ

 米大統領選で最終的にどちらが勝とうと、最も重要なポイントは大接戦になったことだ。世論調査が予想していた民主党候補ジョー・バイデン前副大統領の地滑り的勝利とは程遠く、両陣営がハラハラしながら見守る展開となった。

 問題は、こうした結果がアメリカにとって何を意味するかだ。ニュース番組のコメンテーターは、現職の共和党候補ドナルド・トランプが意外なしぶとさを見せた理由として、有権者のロックダウン(都市封鎖)疲れを挙げたり、(現実はどうあれ)トランプのおかげで景気が良くなったと有権者が感じていたためだ、などと論じたりしている。

 だが、そうした解説では見落とされている点がある。最終的に誰が勝とうと、最も重要なのは、アメリカの有権者の半数近くが、白人至上主義の常習的な嘘つきで、この100年で最も深刻な公衆衛生上の危機に対して目を覆うばかりの無様な対応をした現職大統領を支持した、という事実だ。

前回の勝利はまぐれではなかった

 トランプの紛れもない冷酷さ、女性蔑視、政府と世界に対する無知あるいは興味の欠如、フェアプレーの精神や法の支配といったアメリカの伝統的な価値をあざ笑う態度、長年世界の平和と繁栄に貢献してきた国際機関をぶち壊そうとする執念。

 アメリカの有権者の半数近くが、こうしたトランプの欠陥に目をつぶるか、むしろ諸手を挙げて歓迎したのだ。

 2016年には、一部の共和党支持者はトランプをよく知らないか、大統領の責務を負えば少しはまともな政治家らしくなるだろうと期待して、トランプに投票した。

 だが今回は違う。トランプがどういう人間か、誰もがはっきり知っていた。

 トランプは今回、2016年よりも多くの票を獲得した。その内訳を見ると、前回よりもラティーノ(中南米系)と黒人の支持が増えたことが分かる。

 おまけに、連邦議会上院選では共和党が過半数数議席を維持する見通しだ。そうなると結論は1つ。2016年のトランプの勝利はまぐれ当たりではなかった。今回の大統領選で誰が勝とうと、アメリカはもはや「トランプのアメリカ」と化しているのだ。

共和党の良識派は排除される

 なぜか。まず、トランプと共和党が強さを見せつけたからには、仮に敗れたとしても、トランプは表舞台から降りないし、共和党は彼を見捨てないだろう。投票前には共和党の「トランプ主義」は終わりを迎えているように見えた。共和党には改革が必要だ、あと4年トランプ時代が続けば、共和党はダメになる──ひそかにそう危惧する共和党議員が続々と現れていた。

 ジョン・コーニン上院議員のような熱狂的なトランプ派ですら、トランプと距離を置こうとしていた。だがトランプとトランプ派の共和党議員が予想外に多くの票を獲得した今、共和党がすぐにもトランプとトランプ主義を捨て去ることは想像しづらくなった。

 共和党と半数近い世論の支持を得たトランプはさらに自信をつけ、大統領の立場であれ、野党のリーダーかフリーのツイッター投稿者、あるいはメディアのスターの立場であれ、何千万人もの関心と支持を集め、その影響力を民主党への嫌がらせと妨害に利用するだろう。そして過去4年間やり続けてきたように、憎悪に満ち、事実に反する「われわれVS専門家を含む彼ら」の対立をあおるメッセージを発信し続けるだろう。

 共和党内の反トランプ派、つまり、まともな統治や民主主義の手続き、国内外の諸機関の重要性を守ろうとする、かつての党主流派は党内で冷遇されるか、共和党から出て行くこととなる。

ねじれ議会がバイデンを縛る

 その結果は悲惨だ。トランプが勝つか、負けても共和党が上院の過半数議席を維持すれば、良くても過去4年間の米政府の機能停止状態が続き、場合によってはさらに悪化するだろう。バイデンが大統領になっても事態の好転は期待できない。上下両院を味方につけた大統領でさえ、就任後2年間はせいぜい1つか2つしか大きな成果を上げられず、有権者を失望させて中間選挙では与党が負けることが多い。

 たとえバイデンが勝利したところで、民主党が上院の過半数を取らなければ(現時点ではその見込みは薄い)、中間選挙を待つまでもなく、就任後ほどなくして支持率低迷に苦しむことになるだろう。

 こうなると先行きは暗い。バイデンはアメリカ政治を変えようとするだろうが、バラク・オバマ前大統領時代を振り返れば分かる。共和党が「何でも反対党」にとどまる限り、政治家としての長いキャリアを通じて超党派の合意づくりに努めてきたバイデンでさえ、共和党と調整を進めて政策を実現できる見込みはほぼゼロだ。

 ねじれ議会が続けば、バイデンは手足を縛られたも同然。新型コロナウイルス対策は大統領の権限を行使すれば一定の改善は可能だが、経済政策は議会の承認なしにできることは限られている。いずれにせよ重要課題で成果を上げることは望み薄だ。

対立の解消は遠い夢

 バイデンがコロナ禍で困窮した企業の救済など目玉政策の予算案を通せなければ、市場は混乱し、金融不安が広がるだろう。政府のあらゆる部門が一丸となって有効な政策を実施しなければ、コロナ禍がさらに悪化するのは目に見えている。

 つまりホワイトハウスの主が誰になっても、「トランプのアメリカ」は続き、この国の機能不全は解消されないということだ。今回の大統領選は有権者がトランプ政治にはっきりとノーを突きつける最後のチャンスだったが、そのチャンスは生かされなかった。

 自分たちを救うことに失敗した民主党政権への人々の怒り、あるいは外出規制で感染拡大を防ぎ、人々を救うために経済を停滞させる新しい民主党政権への共和党の怒りが、既に深まっているこの国の分断をさらに広げ、超党派の協力の望みをさらに砕き、場合によっては暴動すら招きかねない。

 対立と分断を和解へと導き、アメリカを1つにまとめる政治を行う──そんなバイデンの構想は、今では見果てぬ夢と映る。オバマも同じことを目指したが、それによって共和党はさらに頑なになり、「オバマはインドネシア生まれのイスラム教徒だ」などという作り話がばら撒かれ、荒唐無稽な陰謀説を信じるアメリカ人が増え、その動きがQアノンの誕生にもつながった。

 トランプの醜悪なアプローチがアメリカの有権者の半数近くの支持を勝ち得た今、バイデンが大統領になったところで、違いが分かるほど事態を改善できるとはとても思えない。トランプが再選されれば、改善どころか、悪化の一途をたどるのが関の山だ。

 バイデン氏「我々が勝者間違いない声明発表 

朝日新聞デジタル 2020年11月6日(金)6時57分配信

 バイデン前米副大統領は5日夕(日本時間6日朝)、地元のデラウェア州ウィルミントンで副大統領候補のハリス上院議員と並んで報道陣の前で声明を発表し、「我々が勝者になるのは間違いない」と述べた。5日中にも次期大統領として勝利を宣言する可能性がある。

 トランプ大統領は票の集計の停止を求めているが、バイデン氏は「投票は神聖なものであり、国民が自らの意思を表現する方法だ。そして他の何ものでもなく、投票こそが米国の大統領を決める」と批判した。

 票の集計をめぐっては、激戦州ペンシルベニアのフィラデルフィアなど各都市で、トランプ氏の支持者が抗議の声をあげている。ただ、バイデン氏は「集計の完了は近い」とも語り、国民に冷静な対応を求めた。

 バイデン氏、勝利を「確信国民に“忍耐呼びかけ 

AFPBB News 2020年11月6日(金)6時53分配信

 米大統領選の民主党候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は5日、自身がドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領を抑えて勝利を確定させることを「確信している」と表明し、結果は「すぐに」出るとして、有権者らに対し忍耐を呼び掛けた。

 地元デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)で記者会見したバイデン氏は「今の状況には非常に満足している。集計が終わった時に、(カマラ・)ハリス(Kamala Harris)上院議員と私が勝者と宣言されることを、われわれは確信している」と述べた。

 バイデン勝利なら「ねじれ上院選共和党過半数 

朝日新聞デジタル 2020年11月5日(木)21時14分配信

 米大統領選とともに行われた連邦議会選挙で、共和党が上院(定数100)の過半数を保つ見通しが強まっている。上院は閣僚人事の承認や経済政策の策定で強い権限を持っている。共和党が過半数を維持した場合、仮に大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利したとしても、議会との「ねじれ」が起こり、党派対立による政策の停滞につながりそうだ。

 上院議員の任期は6年で、2年ごとに約3分の1が改選される。今回の改選前の議席は共和53、民主47(無所属も含む)だったが、事前の世論調査では民主が6年ぶりに過半数を奪還する可能性が指摘されていた。

 3日の選挙の結果、コロラド州とアリゾナ州では民主党候補が共和党の現職から議席を奪ったが、アラバマ州では逆に現有議席を奪われた。また、共和党現職を倒す可能性があったアイオワ州とメーン州では、民主候補が敗北を認めた。

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 トランプ敗北なら「どんな事態待っているのか 

ダイヤモンドオンライン 2020年11月2日(月)6時01分配信

赤い蜃気楼か 青い蜃気楼か

 「レッドミラージュ(赤い蜃気楼)」

 いよいよ11月3日に迫った米大統領選挙を前に、こんな言葉が米国のマスコミで使われるようになった。もちろん光の屈折で存在しない景色が空中や地平線近くで見える現象ではない。

 ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンなどの激戦州で開票が始まると赤色がシンボルカラーの共和党のトランプ大統領がまず優勢となるが、郵便投票の集計が進むにつれてそのリードは蜃気楼のように消えてシンボルカラーが青色の民主党バイデン候補が勝利するというシナリオである。

 それとは逆に、投票日前から郵便票や期日前投票の集計が行なわれている州ではバイデンが序盤先行する「ブルーミラージュ」現象も起きることになるだろう。

 問題は赤青どちらの蜃気楼が最後まで消えずに残るのかだが、その主戦場は大統領選で常に最も注目されるフロリダだ。全米支持率で劣勢のトランプにとって絶対に勝たなければならない州である。

 だからトランプは昨年秋に税金逃れも兼ねて住民登録をニューヨークからフロリダ州に移している。

 フロリダは所得税、相続税ゼロ。金融犯罪捜査も手ぬるい租税回避地。同州最大の都市マイアミのすぐ北側にはトランプの名前を冠したホテルやマンションがずらりと建ち並び、日米首脳会談の開催地として日本でも有名になったトランプご自慢の別荘「マール・アラーゴ」もフロリダ州パームビーチにある。

フロリダ州司法長官に トランプが多額の寄付

 早い時期からトランプはフロリダ州に目をつけ、人脈開拓にも熱心だった。例えば、トランプが創設した不動産スクール「トランプ大学」の詐欺問題を巡り、フロリダ州司法長官パム・ボンディに多額の寄付をしていたことが明らかになっている。さらには大統領になって自らに対する弾劾裁判の可能性が浮上すると、すぐさま同氏を特別顧問に雇い入れた。このあたりがトランプのずる賢いところだ。

 フロリダは選挙開票の不手際でも知られている州だ。2000年のブッシュ対ゴア米大統領選では、再集計を巡って泥沼の法廷闘争の末ようやく連邦最高裁判断でブッシュの勝利が確定した。これも再選を狙うトランプには好都合だ。

 民主党支持者が圧倒的に多いといわれる郵便投票を「選挙詐欺だ」と言って有権者に疑問を抱かせ、2000年の法廷闘争の再現を狙っているのだろう。現在は9人の最高裁判事のうち6人がトランプに有利な保守派である。

 開票半ばで一方的に勝利宣言をして郵便投票の開票を打ち切るという暴挙に出る可能性もある。マフィアとの繋がりもささやかれる弁護士を使って訴訟を連発して相手に圧力をかけるのは不動産業時代からのトランプの得意技だからだ。

 だが、今年のフロリダ州当局はこれまでとは違う。新型コロナウイルス蔓延で郵便投票や期日前投票が記録的に急増していることを受けて、最新の投票計数機を設置し、票の読み込みがすでに始まっている。投票の締め切りである11月3日午後7時とほぼ同時に集計結果を出せる見込みだという。

 「フロリダ州でバイデン氏が勝てば、それで(大統領選の)決着がつく。かなり早い段階でわかると思う」

 ブルームバーグ通信社の取材にフロリダ国際大学のキャサリン・デパログールド政治学教授はそう答えている。

 確かに状況はトランプにとって悪化の一途だ。「こんなものすぐに消える」と豪語していたコロナウイルス大流行はさらに深刻化して自らも感染、入院。頼みの綱の好調だった経済も暗転。株価は急落。高齢者、若者、女性、黒人、ヒスパニックの支持も期待できない。大統領選と同時に行なわれる議会選挙で落選の憂き目に遭いたくない共和党議員たちも次々と反トランプに転向し始めた。

トランプが敗北を認め 静かに去る可能性も

 その一方で、トランプの敗北を断固として拒否する極右勢力が全米各地で暴動を起こすのではという不安が広がっている。すでにミリシアと呼ばれる極右グループによるミシガン州知事拉致殺害未遂やバイデン暗殺をほのめかした青年が逮捕されている。その為か、すでに3億丁の銃器が溢れている全米で、護身用に初めて銃を購入する女性やマイノリティが急増しているという。

 トランプがなりふり構わず再選を目指す理由は自己顕示欲を満たすためだけではない。来年1月20日正午に任期が終わり大統領特権を失った瞬間から司法妨害、選挙資金違反、詐欺など過去の悪行で監獄送りになる可能性があるからだ。

 それを避けるための手段も考えているはずだ。

 ひとつは、大統領が自らを恩赦する。前代未聞だが米国憲法の恩赦規定では明確に禁じられていない。あるいは1月20日の新大統領就任式前に突如辞任して、大統領代行となった腹心ペンス副大統領がトランプに恩赦を与えることも法的には可能だろう。まあ世間からは非難の嵐にさらされるだろうが。

 元ホワイトハウス報道官で政治アナリストのジョー・ロックハートによれば、もっと予想外の展開が考えられるという。それはトランプが敗北を認めて静かに去ることだ。

 えっ、そんなことあり得ないだろうと思われるかもしれない。だが冷静に考えてみればトランプは彼の著書『The Art of the Deal(トランプ自伝)』のタイトルが示すように狡猾なディール(取引)で成り上がってきた男だ。どんな手段を使っても常に自分の利益とイメージを最優先しながら生き延びる生存本能を身につけている。

 米メディアの報道によれば、今でもおよそ4億ドル(約420億円)の負債を抱えていて返済期限が迫っているという。経営が厳しいホテルやゴルフコースは簡単に現金化できない。ではどうするかというと、極右勢力をなだめて平和的に政権移行をする見返りに当局に悪行を見逃してもらうという裏取引をするのだ。

 大借金を返済するには新たにビジネスでもうけるしかない。権力の座から引きずり下ろされた悪者イメージを最小限にとどめて得意のメディアビジネスで利益を上げられれば、債権者や投資家そしてトランプの悪政から逃れられる国民にとっても悪い話ではあるまい。

 もちろん投票日前の最後の数日で何が起きるか誰にも想像できない。だが私が信頼するビッグデータを駆使した英国エコノミスト誌の分析通りなら、赤い蜃気楼が消滅するだけでなく、バイデン勝利と民主党の上下両院過半数獲得の「トリプルブルー」が実現するのではないだろうか。

 

2020年11月 4日 (水)

【速報!米大統領選】大票田で続々<トランプ候補勝利>決着は「郵便投票」開票次第!?

 トランプ氏「今夜声明出す。大勝利だ」—バイデン氏も勝利を確信 

Bloomberg 2020年11月4日(水)15時14分配信

 トランプ米大統領は4日、「私は今夜声明を出す。大勝利だ」とツイートした。どの勝利に言及しているかや、声明発表の時間は明らかにしなかった。

 トランプ氏は、民主党のバイデン前副大統領の陣営について、「選挙を盗もうとしている。われわれは決してそうはさせない」と別のツイートで主張した。一方、バイデン氏はこれより先、「今回の選挙で勝利する軌道にあると確信している」と表明した。

米大統領選で「ペンシルベニア州」が大きな注目を集める理由

Forbes JAPAN 2020年11月4日(水)16時30分配信

 開票が始まった米大統領選の勝者の決定において、重要なカギを握る州のひとつがペンシルベニアだ。激戦州のなかでも特に同州が注目されるのは、郵便投票が相当数にのぼったなかで、同州では投票日前に票の集計を行うことが認められておらず、一部の郡では投票日の翌日以降に集計が開始されるためだ。

 投票日当日の開票結果でドナルド・トランプ大統領の優勢が伝えられ、それを受けてトランプは一方的に勝利宣言が行うことも考えられる。その後に進められた郵便投票の開票で民主党のジョー・バイデン候補が追い上げ、勝利すれば、大きな混乱が生じることになり得る。

 特に他州で両候補が獲得した選挙人の数に大差がなく、同州での勝者が最終的な結果を決めることになった場合、または同州での両候補の得票数が非常に僅差だった場合には、その可能性が高い。

 選挙法の専門家、カリフォルニア大学アーバイン校のリック・ハーセン教授は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、選挙結果が僅差であれば、最終的にはペンシルベニア州によって、勝敗が決まることになるとの見方を示している。

選挙前から混乱

 ペンシルベニア州が郵便投票の開票を始めるのは、投票日の午前7時以降と決められていた。前倒しで作業を開始するための法案が提出されていたが、下院・共和党の協力が得られず、成立には至らなかった。

 同州の最高裁判所は10月23日、郵便投票に記載された署名と登録されている署名(有権者登録を行った際の署名など)が一致しないことを理由に票を無効としたり、異議を申し立てたりすることを認めない判断を示した。開票作業はこれにより、ある程度スムーズに行われるようになったとみられている。

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 ただ、同州では投票日から3日後(11月6日午後5時)までに届いた郵便投票を有効な票として受け付ける。共和党はこの締め切り日を認めた州最高裁の判断を不服として連邦最高裁判所に申し立てを行い、訴えは退けられたが、最高裁は同時に、投票日の後にこの決定を見直す可能性があることを示唆している。

ペンシルベニア州が結果を左右?

 つまり、僅差だった場合には、ペンシルベニア州の最終的な投票結果は、最高裁の判断に影響を受けることになるとも考えられる。

 同州は最高裁が結果を覆す可能性がある判断を示した場合に備え、投票日後に到着した投票用紙をほかの用紙と分けて保管。無効となる可能性がある郵便投票を明確に把握できるようにしている。これは、トランプが「すべての郵便投票が無効だ」と主張し始めることを予見しての対応だ。

 同州のジョシュ・シャピロ司法長官は10月29日、米紙ワシントン・ポストに対し、州内で郵便投票を行ったのは多くが民主党の支持者であり、トランプが郵便投票の結果について、「法廷で異議を申し立てることを予想している」と述べている。

トランプは同州の不正を批判

 トランプと共和党は激戦州のなかでも最も緊張感が高まっていたペンシルベニア州について、郵便投票の締め切り日から期日前投票の回収箱、投票立会人、郵便投票そのものまで、あらゆることに異議を申し立ててきた。

 選挙活動中には郵便投票の締め切り日について、「われわれの国にとっての災い」と批判。フィラデルフィアが回収した郵便投票を保管するために設置した衛星投票ステーションに立会人を配置しなかったことについては、それらが「正式な投票所ではないためだ」として、「不正が行われている」と主張していた。

 フロリダ大学の米選挙プロジェクト(U.S. Elections Project)によると、今回の選挙で郵便投票を申請した同州の有権者は309万8947人。そのうち投票日までに、250万6557票が回収された。同州のキャシー・ブックバー州務長官によれば、大方の開票作業が終了するのは6日になる見通しだ。

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 大阪都構想2度も否決されたたった一つの理由 

PRESIDENT Online 2020年11月4日(水)18時16分配信/沙鴎 一歩(ジャーナリスト)

府と市の「二重行政の解消」が目的だったはず

 いわゆる「大阪都構想」が11月1日の住民投票で否決された。なぜ大阪都構想は再び否決されたのか。ひとことで言えば、市民の間から盛り上がった「草の根運動」ではなく、どこまでも政治色の強い運動だったからである。

 沙鴎一歩は9月11日付の記事「吉村市長と松井市長は、なぜそこまで『大阪都構想』にこだわるのか」で、「公明党の政治的思惑で決まったことなのである」と指摘した。政治的思惑で決まった住民投票は盛り上がりに欠けるため、再び否決されるだろうとみていた。

 本来、大阪都構想の目的は、大阪府と大阪市の二重行政の解消だった。具体的には東京都をモデルに交通基盤整備などの広域行政を大阪府に一元化し、福祉や子育てなど身近な住民サービスを特別区に担わせる構想だった。

公明党の方針転換がなければ今回の住民投票は行われなかった

 大阪都構想は、日本維新の会が旗印にしてきた政策である。地域政党の大阪維新の会を創設した元大阪市長の橋下徹氏によって提案され、2015年5月に住民投票が実施された。だが、そのときも僅差で否決され、橋下氏が政界を引退するきっかけとなった。

 初めから政治的な産物だった。しかも橋下氏という勢いがあって発言力の強い政治家から生まれた構想だった。

 昨春、後を引き継いだ大阪維新の会代表の松井一郎氏と代表代行の吉村洋文氏が、知事・市長のダブル選を仕掛けてともに当選した。これもかなり強引な手法だったと思う。

 さらに驚かされたのが、公明党だった。公明党は松井・吉村コンビの圧勝を見て大阪都構想賛成に方針を転換し、その結果、賛成多数で今回の2度目の住民投票が決定した。

 公明党の方針転換がなければ今回の住民投票は行われなかった。大阪府内の衆院小選挙区で全国最多の4議席を持つ公明党は、次の衆院選挙で大阪維新の会(日本維新の会)と対決して票を減らすことを避けようとしたのである。維新は次期衆院選で対抗馬擁立をちらつかせていた。公明党はこれを恐れ、維新と手を結んだ。維新以外の全政党が反対した前回の住民投票での構図が一変したのである。

連立を組む自民党の大阪府連が反対するなかで異例の応援

 松井氏ら維新の幹部にとっての最大の誤算は、公明党の支持母体である創価学会の反発だろう。告示後の10月18日には、公明党の山口那津男代表が大阪入りし、松井氏らと街頭で都構想への賛成を訴えた。国政で連立を組む自民党の大阪府連が都構想に反対するなかでの異例の応援だった。

 松井氏が学会幹部に働きかけ、公明党がすり寄ってきた結果だったが、これまで維新と敵対してきた創価学会の反発は根強かったようだ。維新も公明党も、政治的思惑から大阪都構想を推進したツケだろう。

 大阪市長の松井氏は1日深夜に記者会見し、「2度負けたことは政治家としての力不足に尽きる。僕自身のけじめをつけなければならない」と語り、政界引退を明言した。一方、大阪府知事の吉村氏も記者会見を行い、「市民の判断を率直に受け止める。都構想再挑戦を僕がやることはない」と話した。

「『説明が不十分』との声は最後まで消えなかった」と朝日社説

 11月2日付の朝日新聞の社説はこう解説する。

 「大阪市が担う施策のうち、大型のインフラ整備など広域にわたるものを大阪府に移し、特別区は教育や福祉など身近な行政に集中する。そうして、過去に見られた府と市による二重行政や主導権争いを防ぐ。これが都構想のねらいだった」
「だが市民の間には、特別区に移行した後、行政サービスはどう変わり、どれだけの負担を求められるのか、疑問と不安があった。再編後の財政見通しについて試算が乱立したこともあって、『説明が不十分』との声は最後まで消えなかった」

 大阪市民は東京をライバルとみているわけではないだろう。大阪の文化や歴史は東京よりもずっと古い。「大阪市」という名称は、そんな大阪市民にとってかけがえのないものなのである。

 政治的思惑が優先され、本来の狙いがあやふやになったことで、住民投票で問われていることもわかりづらくなった。朝日社説が指摘するように大阪市民にとっての「疑問と不安」が解消されなかったのだ。

大阪市民は判断に迷い、翻弄され続けた。責任は政治にある

 朝日社説は続けて書く。

 「残念だったのは、これだけの労力と費用をかけながら、地方自治の本質に迫る議論が深まらなかったことだ。行政への参加を住民にどう促し、地域の特性に応じた街づくりを、いかに進めるかという課題である」

「人口270万人余の大阪市に対し、新設予定だった四つの特別区は約60万~75万人。区長と区議会議員は選挙で決まり、独自の制度を設けたり、施策を講じたりできるようになることが利点の一つとされていた」

「きめ細かく施策を展開するという考えも、都構想とともにお蔵入りということではあるまい。『大阪市』の下でどう工夫を凝らすか。引き続き検討してもらいたい」

 労力と費用だけではない。少なくとも5年以上の時間が費やされた。その間、大阪市民は「大阪市をなくすべきか。それとも存続させるべきか」と判断に迷い、翻弄され続けた。責任は政治にある。その責任を取る意味でも朝日社説が主張するように大阪市長や大阪府知事、そして維新には、工夫を凝らしてほしい。

「大阪市民の結論は示されたと受け止めるべきだ」と産経社説

 同じく11月2日付の産経新聞の社説(主張)は「平成27年の前回に続く否定である。大阪市民の結論は示されたと受け止めるべきだ」と訴え、こう分析する。

 「都構想は大阪維新の会が主導し、大阪の自民党などが反対してきた。賛成派と反対派の言い分は正面から対立し、都構想の長所と短所は分かりにくかった」

「住み慣れた市をなくすことへの抵抗は強かったとみられる。大きな権限を持つ政令指定都市であればなおさらだ。住民サービスや財政面での先行き不透明感もふくらんだのだろう」

 「分かりにくい都構想の長所と短所」「強い抵抗」「先行き不透明感」。どれも今回の住民投票が政治的思惑を優先したことに由来する。大阪市民という「草の根」から生まれた住民投票であれば、こうはならなかったはずだ。

問題の本質が「政治ショー」にあることを忘れてしまったのか

 産経社説はさらに訴える。

 「結果は出たといっても、反対派はこれでよしとしてはならない。投票運動では市がなくなることへの不安を強調してきたが、ならば市を残してどうするかという前向きな議論こそもっと必要だ」

「賛成票も相当数が投じられた。全体を見れば単なる現状維持でよいということにはなるまい。地盤沈下が言われてきた大阪を改革せよという声が強いことを、反対派も直視しなければならない」

 産経社説は、反対派にも賛成派にもこれまでの道のりを振り返り、大阪のこれからを見つめる「前向きな議論」を求めている。いわば喧嘩両成敗である。朝日社説がよく使う手法だ。スタンスが明確ですっきりする産経社説らしさが失われている。がっかりさせられた。

 社説はその新聞社らしさが出てこそ、読みごたえがある。読者はそれを期待している。産経社説は9月4日付でこう主張していた。

 「大阪の将来を決める住民投票である。推進、反対派の動きも加速しようが、丁寧な説明によって市民の冷静な判断を仰ぐべきだ。住民投票を政治ショーの場としてはならない」

 産経社説は、問題の本質が「政治ショー」にあることを忘れてしまったのか。残念である。

 大阪市守った“自民のマドンナ”投票用紙の文言が勝負の分かれ目 

デイリー新潮 2020年11月4日(水)17時02分配信/粟野仁雄(ジャーナリスト)

「勝つまでじゃんけんか」と揶揄されながらも大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)が実施にこぎつけた「大阪都構想」の住民投票が11月1日に行なわれ、約1万7000票差で反対派が勝った。これにより明治22年以来の「大阪市」の名が消滅することは避けられた。構想は大阪市を廃止して、24区を4つの特別区に再編成するというものだが、元々は知事時代の橋下徹氏がぶち上げた構想の修正版である。投票率は橋下氏が先導し僅差で否決された前回よりは下がったものの62・35パーセント。新型コロナ禍でも市民が強い関心を示した。

 堂島川沿いの超高級ホテル「リーガロイヤル大阪」で会見した松井氏は「すべて僕の力不足。けじめをつけなければならないので任期満了で引退する」と政界引退を明かした。橋下氏も2015年5月の住民投票で「維新の会の一丁目一番地」と掲げる「都構想が」が否決された際、任期満了での引退を決意しただけに、自分だけがいつまでもやるとは言えない。

 松井氏の決意を聞き、目にうっすら涙を浮かべて同席していた吉村洋文代表代行(大阪府知事)は「僕は都構想はもうやらない」としながらも進退については「任期満了までに考えたい」と含みを持たせた。二人の任期は2023年の春までだ。

 一方、勝利した自民党大阪府連本部での同党の会見は、新型コロナの影響で場所の狭さから記者クラブのみだった。大塚高司会長は「投票は市民を分断してしまった。今後は万博など維新と協力してやっていきたい」と話した。

 反対の急先鋒として走り回った同党大阪市議団幹事長の北野妙子氏(61)は「勝った負けたではなく結果に対しては安堵しています」と感謝し、「僅差のようですが、こんな投票が5年に二回もあってはならない。三度目は絶対にあってはならない」と強調した。北野氏は今回、関西では連日のようにテレビや新聞などに登場するなど、一挙に「大阪自民のマドンナ」になった感だった。

 10月末、淀川区の神崎川沿いのスーパーで街宣していた彼女は「忙しすぎて生まれて一か月の孫をまだほとんど抱っこしていないんですよ」と嘆いた。「都構想に反対票を」の訴えを聞いていた男性は「嘘やろ、ほんまに60過ぎとるんか、若いな」とその容姿に驚いていた。

 明るく振る舞っていたが想像を絶する重圧だった。前回まで、自民党で「都構想反対」の先頭を走ったのは「自民大阪のプリンス」、京大出身の柳本顕市議団幹事長だった。しかし柳本氏は維新の勢いに押され大阪市長選で二度続けて落選した。相手は維新の吉村洋文氏、そして一昨年、生き馬の目を抜く「クロス選挙」で府知事から入れ替わって立候補した松井氏だった。

 だが連敗とはいえ柳本氏は、都構想はなんとか阻止したのだ。北野氏は新幹事長としてこれを引き継いだ。個人の選挙なら落選してもある意味、「不徳の致すところ」で済む面もあるが、この住民投票の方が市民への影響、そして自民党への影響はずっと大きかった。

 しかも、当初、構想に反対していたはずの公明党が昨年の統一地方選で勢いを得た維新から前回の橋下氏同様に「構想に賛成しなければ選挙区に候補を立てる」と暗に脅され、おじけづいて賛成に回った。公明党発祥の地とされる大阪では重鎮の国会議員が複数いるためだ。府議会は単独過半数、市議会も半数近い維新、公明が賛成して投票実施は通ってしまった。

 さらには、一致団結して反対してきた大阪自民がこの夏、府議団から賛成者が出るなど足元もぐらついた。北野氏は「人気のある吉村知事が実現させた政策が自民の若手が言っていたことだったりで賛成に回ったようです」などと打ち明けていた。橋下氏は不在となれど跡を継いだ吉村洋文氏が、この春からの迅速なコロナ対策で人気が沸騰していたのも脅威だった。

 大阪市外選出の府議の離反は、権限がより強い市議の前で「お飾り」にされて面白くなかったことがあるとされる。都構想で府議の権限が高くなると目論んだのだ。元大阪府議でジャ-ナリストの山本健治氏は当時、「一生懸命やっとった北野妙子さんはまじめな女やから『この人ら、いったいなんなのよ』の思いやったやろう」と同情していた。

 自民府連が9月になってようやく「都構想反対」と決議した。それでも今回、自民支持層の3割以上が賛成に回ったことが出口調査などで判明している。

 もっとも難しいのは大阪と中央で、自民と維新の関係が「ねじれ構造」になっていることだ。地元では維新と生きるか死ぬかの戦いをしているのに中央では安倍政権時代から、改憲などで賛成してくれる維新が半ば「かくれ与党」になっている。

 事実、維新は国会で自民法案のほとんどに賛成している。このため10月12日の告示以来の都構想反対の運動期間も自民は党中央部から応援は一切来ず、菅義偉総理も「地元が決めること」と達観していた。

勝敗の分け目は「投票用紙の文言」

 こうした困難な状況で奮闘した北野妙子氏の父禎三氏(故人)は自民党市議を8期務めた政治家だったため、政治家の何たるかは知る。なんと「私、森友学園幼稚園の出身なんですよ。籠池泰典さんの先代の園長の頃でそろばん教育に熱心ないい幼稚園でした」。政敵だった橋下徹氏は大阪府一の名門、北野高校での後輩にあたる。「橋下さんと以前、同窓会で記念写真を撮ったんだけど、これだけは表に出せないんです」と笑った。

 北野氏は大阪大学人間科学部を卒業後、商社マンの夫の仕事で中国に長く駐在員家族として子育てをし、そこで日本商工クラブの活動。帰国後、市議に転じた。市議会本会議の代表質問では「今、二重行政は何があるんですか?」と松井市長を問い詰め、松井氏から「今はありません」の言葉を引き出した。

 NHKや関西の民放局のテレビ討論会にも連日出演した。賛成が松井氏と公明党の土岐恭生市議団幹事長ら。反対が北野妙子氏と共産党の山中智子市議団幹事長だ。二人の鋭い追及に松井氏は話を逸らしたり「デマや」としか言えないようなことが多かった。筆者が見る限り、視聴者へのアピールは勝っていただろう。

 この頃から、それまで「賛成派がリード」と伝えられていた各メディアの世論調査も「反対派の追い上げ」「拮抗」などに変じてゆく。とはいえ「呉越同舟」に見られるマイナス面も大きい。前回、共産党と自民党はともに維新と戦ったが、自民党内から「共産党と一緒になるとはどういうことや」の反発が出て、維新に票を投じてしまうような支持者も出ている。

 そんな中での僅差の決着について北野氏は投票用紙に議会議決通り正確に「大阪市の廃止」と明記されていたことを要因に挙げる。前回は記載されていなかった。「大阪都構想」というのは維新の言葉であり、実際は「大阪市廃止と特別区設置に関する投票」なのである。「大阪市が残るとか、大阪都になると勘違いしている人が多かったんですね」と語る。

 維新旋風、 内部分裂、呉越同舟批判、ねじれ構造…。「大阪自民は橋下維新のおかげですでに崩壊状態になっている」(山本健治氏)とも言われる中、浪花の自民党をどう復活させるか。地図から消えかけた「大阪市」を守ったものの北野妙子氏がゆっくり初孫と遊べる日は遠そうだ。

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関連エントリ 2015/05/18 ⇒ 【住民投票惜敗】橋下大阪市長「12月任期満了で引退」へ
関連エントリ 2014/02/03 ⇒ 【橋下徹】「出直し市長選」✍負ければ引退??
関連エントリ 2012/09/02 ⇒ 【大阪都構想】名称変更へ✍住民投票だとぉ・・・・

 

2020年11月 3日 (火)

【MSJ(旧MRJ)】コロナ禍<三菱重工✍業績悪化>国産ジェット事業凍結

 三菱国産ジェット事業凍結、サプライヤー冷ややか「わった話 

日刊工業新聞 2020年10月27日(火)10時46分配信

巨額の開発費、業績悪化

 三菱重工業の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の事業化が、事実上の凍結に追い込まれた。設計変更などで初号機の納入を6度延期し、新型コロナウイルスの影響による航空機産業の激変で行き詰まった。官民の一大プロジェクトだっただけに失望感が広がる。MSJの開発をめぐる混乱は、サプライヤーとの関係に影を落とし、国内の産業育成の課題も浮き彫りにした。

 「三菱リージョナルジェット(現MSJ)」の初号機が初飛行する前年の2014年、三菱重工は量産体制の構想を示した。航空機部品を生産する名古屋航空宇宙システム製作所の大江工場(名古屋市港区)、飛島工場(愛知県飛島村)などの活用を見据えていた。事業化を決定してから6年近くが経過し、すでに開発に遅れが生じており、初号機の納入を17年に延期していた時期だ。

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 しかし、その後も設計変更などが発生し、20年2月に納入を21年度以降に延期した。商業運航に必要な型式証明(TC)も取得できないまま、コロナ禍により「航空業界が非常に厳しく、先行きが見通しにくくなった」(三菱重工幹部)。期待していた航空機需要が失われた。

 1兆円とも言われる巨額の開発費を費やしたことで、同社の業績は悪化している。20年3月期にMSJの関連資産の減損損失などを計上し、事業損益が295億円の赤字だった。21年3月期もMSJが大幅な減益要因で事業損益はゼロを見込む。子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)は20年3月期に債務超過に陥った。

試験飛行継続

 同社は与えられた予算の範囲でTCの取得に向けた開発を継続する。3月にTCを前提とした試験機「10号機」の初飛行に成功し、開発の峠は越えている。5月を最後に実施していない試験飛行の継続がカギとなる。年内に過去の試験飛行データを“棚卸し”し、ムダなく試験飛行を行うように精査する。これにより試験飛行計画を21年3月までに練り直す方針で、コロナ禍の推移も踏まえながら米国での実施を軸に21年度以降の再開を目指す。

 これまでにANAホールディングス(HD)や日本航空(JAL)など国内外の航空会社から、MSJ約300機を受注済みだ。「三菱重工が責任を持たなければいけないプロジェクト」(三菱重工幹部)であり、顧客やサプライヤーが納得する方針の説明が求められる。

 一方、MSJの費用を圧縮しようとする動きは、株式市場で前向きに受け止められている。もはや火力発電システムなどの事業で、MSJへの投資余力を生み出すのは難しい。「歴代のトップがこだわってきたMSJに、見切りをつけようとする泉沢清次社長の判断は評価できる」(証券アナリスト)との見方もある。本業の回復を優先するしかない。

ボーイング発注減の方が深刻

 MSJを事業化するめどが立たないことで、三菱重工はこれまで以上に成長戦略を描きにくくなる。1000億円規模の事業利益を稼ぐエナジー部門も中長期で安泰とは言えない。脱炭素化の流れで、石炭火力発電への逆風も強い。頼みのガスタービンも、さらなる高効率化が迫られることは必至だ。

 三菱重工は30日に今後の事業計画を公表する。コロナ禍で閉塞(へいそく)感が漂う経営環境で、収益の柱を示すのは簡単ではなく、いばらの道が続きそうだ。

 航空機産業の育成を目指す政府にとってMSJはその中核的な存在になるはずだった。要素技術の開発に計500億円の公費を投入したのも、自動車産業のような巨大なサプライチェーン(供給網)の構築を夢見たからだ。政府関係者は「量産が進む中で国内調達率を引き上げ、産業全体を育てることが理想型と考えていた」と打ち明ける。だが、その構想は頓挫することになった。

 開発を支援してきた経済産業省では、5月に事業縮小を発表して以降も寄り添う姿勢を示してきた。7月に策定した政府の成長戦略にも、MSJを含む今後の完成機事業について開発完了後の販売を支援すると明記した。経産省の高官は「参入障壁が高く(開発に)苦しんでいるが、それは他にプレーヤーが少ないということでもある」と説明し、開発が終えれば持ち直せるとの見方を示す。

 MSJは事実上の凍結となったものの、政府はコロナ禍に伴う航空産業全体の問題が主因と見ており、スタンスに大きな変化はない。ただ資金面の支援については「(開発補助金を投入する段階は終えており)今後、政府が資金を投入することには意味がない」(関係者)と話す。

 一方、事業縮小の影響が及ぶサプライヤーには懸念を示す。「中長期的に戦略をどう変えるのかを示し(サプライヤーのことを)考えてもらいたい」(経産省高官)と指摘し、再開を見据えたロードマップ(工程表)の必要性を訴える。

 「やっぱりか」。MSJの事業凍結への印象を、ある協力企業の社長はこう打ち明ける。三菱重工は5月にMSJの開発体制の縮小を発表。同月末には部品生産工場での派遣社員の契約を延長せず、量産体制も解いた。同社長は「この時点で凍結と理解していた」と話す。別の協力企業の幹部も「量産計画が中止になった時点で終わった話」と冷ややかだ。

 もっともMSJへの協力会社の距離感は長年のものだ。08年の三菱航空機設立以降、中部地区を中心に金属加工メーカーの多くが関連需要の拡大を期待した。当時はまだ珍しく高価な5軸制御加工機を勢い込んで導入した中小企業も少なくない。しかし初号機の引き渡し計画は6度延期され、いまだゴールは見えない。「設備の減価償却が進んでしまった」と苦笑する。量産自体にも「単価が安く本当はやりたくない」との声があった。

 別のサプライヤーの役員は「MSJの凍結より米ボーイング関連の発注減の方が深刻」と漏らす。「航空機以外に自動車関連などの受注活動を強化している」状況だ。「将来の量産を心待ちにしている」とは話すものの、将来の夢より目の前の“糧”。サプライヤーにとってMSJはこれまで以上に遠い夢になった。

 愛知県の大村秀章知事は、MSJの事実上凍結という報道について「航空宇宙産業を自動車産業に次ぐ第2の柱に育てようとする姿勢は微動だにせず、揺るがない」とし、航空宇宙産業を引き続き支援する考えを強調した。また「(親会社の)三菱重工と連携し、厳しい試練を乗り越える」との決意を示した。

 愛知県はMSJの量産工場スペースの確保、国土交通省のTC担当部門の誘致など航空宇宙産業の振興に約200億円投資してきた。中部地域の航空宇宙産業は年間8000億円の事業規模があるとみられる。「新型コロナの影響から回復した暁に、中部の産業の柱の一つとして後押しする」と従来の方向性は変わらないとした。

三菱重工、「無謬性経営」が招いたスペースジェット挫折

日経ビジネス 2020年11月2日(月)配信

 三菱重工業は10月30日、国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の事業を事実上凍結する方針を明らかにした。中期経営計画のオンライン説明会で泉沢清次社長が開発費の大幅縮小を説明した。

 完成機開発をとりまとめるノウハウや知見、経験が乏しかったため、開発の途中で設計を大幅に見直したほか、空での安全性について航空当局によるお墨付きとなる「型式証明(TC)」の取得がうまく進まなかった。初号機の納期をこれまで6度延期し、新型コロナウイルスによる航空機需要の消失が追い打ちをかけた。

 「いったん立ち止まり、再開のための事業環境整備に取り組む。市場回復をしっかり見て、それ以降の事業展開は状況次第だ」。30日の説明会で泉沢社長はスペースジェット事業からの撤退の可能性を問われ、慎重に言葉を選びながらこう答えた。

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 スペースジェットの開発費は2024年3月期までの3年間で200億円と、21年3月期までの3年間に投じた3700億円から95%削減する。泉沢社長はこれまでとの違いに関して「多額の資金を投下してスケジュールありきで開発を進めるのは控える」と答え、「飛行試験は当面行わず、開発作業は大幅スローダウンする。これまでの飛行試験に基づくTC取得作業は進める」とした。

 「これだけ少ない予算だと機体開発の三菱航空機は何もできない。TC取得には欠かせない米国での試験飛行は無理だし、量産準備もできない。事業凍結と言われても仕方がない」。三菱重工のある幹部はこう解説する。

 泉沢社長が言うTC取得作業というのは、これまでの飛行試験で得た3900時間のデータを分析し課題をどうクリアすればいいかを考える作業。国土交通省の出先である航空機技術審査センターとともに取り組み、TC取得のための文書を作成する、いわば事務作業だ。

 書面作業で分かった問題点を乗り越えてTC取得にこぎ着けるにはさらなる飛行試験が欠かせない。だが、拠点がある米国ワシントン州での最終テストは予算的にできない。そのため次の3年間では日米航空当局によるTC取得は難しく、その先の量産もない。

 三菱重工はスペースジェットの事業化を08年に決めたが、初号機の納期は当初の13年から6度延期をした。部材の変更、設計変更、製造プロセス再検証、手続きの見直しなどさまざまな理由がある。

 16年には機体の大がかりな設計テコ入れが必要と分かり、17~19年にかけて900件以上の設計変更を余儀なくされた。電子制御機器や電気配線、機体の部品や機能などあらゆる点を見直した。

 知見とノウハウを補うため、外国人専門技術者を大量採用して設計変更をやり遂げ、最終テストを控えていた「10号」試験機にはそうした改良が反映されている。「TC取得まであと一歩のところまで来たのにいまさら諦めるわけにはいかない」(三菱重工社員)という悲願達成への気持ちは理解できる。

ホンダからのアドバイス

 しかし、「旅客需要の本格的回復は24年前後になる」。泉沢社長はスペースジェット事業化への大前提となる市場回復は少なくとも4年は見込めないと言及。先行きは視界不良で、スペースジェットの実情はほぼ撤退に近い。にもかかわらず、「いったん立ち止まる」と曖昧な表現で濁し、将来的な再開すらにおわすのはどうしてなのか。

 そこには重工内に失敗をそれとは認められない「無謬(むびゅう)性経営」があるとしたら言い過ぎだろうか。官僚制の特徴を表す言葉として使われることもあり、おごりや全能主義から間違いを直視できず抜本的な軌道修正が効かない状態を指す。こうした考えが広がった企業は、小さな間違いの正当化に無駄なエネルギーや時間を費やし、小さな穴埋めが重なって収拾がつかなくなる。

「TC取得についてアドバイスが欲しい」。15年末に米国連邦当局よりTCを取得した小型ビジネスジェット「ホンダジェット」。3~4年前、ホンダの開発担当者は国交省の官僚から要請を受け、三菱重工の取得作業の進め方に対して助言をした。だが、その場に重工の関係者はいなかった。

「重工さんは今日はいらっしゃらなかったんですか」。ホンダ社員がそう聞くと官僚はこう答えたという。「誘って素直に助言をいただきに来られるなら、今ごろTCを取得できているんじゃないでしょうか」。つまり重工には、官僚から見ても、「自分たちのやっていることは間違っていない」と思い込んでいる社員もいたということだ。

 その当時、三菱重工幹部はある講演で、ジェット旅客機は1機100万点の部品を使い、3万点の自動車の約30倍あることを理由に、「航空機産業は製造業の頂点にある付加価値が非常に高い産業だ」と豪語したこともある。軍用機を開発製造している三菱重工が民間航空機について自動車メーカーにヒントを教えてもらうわけにはいかない──。強烈な自尊心が生んだ自社内のプレッシャーも頭を下げられない集団にしてしまった。

 泉沢社長は説明会でスペースジェットについて、反省と成果を両論併記で語った。「試験飛行を少なくとも4000時間飛び、ある程度の飛行機ができた」とまず自賛し、その後に「TC取得は単純な技術ではなくノウハウ、知見、経験が欠け、補おうとしたが十分ではなかった」と説明した。よくある「勝負に勝って試合で負けた」といった理屈。もっとも伝わってくるのは、技術では間違っていないというプライドだ。

 さらに泉沢社長は経営責任を問われ、「開発期間が長くなり遅れて申し訳ないが、都度都度の判断は適切に議論して進め方を決めている。誰か特定の個人に責を課すというものではない」と反論した。これでは、あの時点では最適解だったという理屈がまかり通ってしまう。

 三菱重工の業績は厳しい。新型コロナの影響や火力発電機事業の環境悪化、航空分野の落ち込みで、20年4~9月期連結決算(国際会計基準)は最終損益が570億円の赤字(前年同期は292億円の黒字)に落ち込んだ。海外で2000人規模の人員削減を実施し、国内でも石炭火力、民間航空機、商船の縮小を見込んで3000人規模の再配置を実施する。グループ外企業にも人員を派遣するという。

 収益力回復に向けて、構造改革だけでなく、脱炭素化やIoTを使ったサービスでの新規事業など成長領域の開拓が待ったなしだ。24年3月期は連結売上高で4兆円、事業利益率で7%を目指す。事業利益は2800億円と今期見通しの5.6倍に増やさなければならない。果断な決断を避けていて、成長軌道に回復できるのだろうか。

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 スペースジェット」とはだったか?「YS-11」とのいは? 

乗りものニュース 2020年10月31日(土)16時20分配信/種山雅夫(元航空科学博物館展示部長)

国としては結構イケイケだったこともある旅客機産業

 2020年10月30日、三菱重工傘下の三菱航空機が手掛けるジェット旅客機「MSJ(スペースジェット)」の開発の大幅な縮小が発表されました。同社は、新型コロナウイルスによる航空需要減退などの影響としています。

 このことで、「国産旅客機」の実用化はしばらくお預けということになってしまったと言わざるを得ない状況です。とはいえ、日本ではかつてターボプロップ機「YS-11」が開発され、航空会社で実用化もされています。この2種類の旅客機には、どのような差があったのでしょうか。

 戦後、日本では航空機の製造がアメリカにより禁じられていました。YS-11は、1952(昭和27)年にこの規制が解除された後、通商産業省(現・経済産業省)の赤澤璋一課長が立案、推進した「国産民間機」計画に基づき、「輸送機設計研究協会」が設立され、そこで基礎計画が作成されます。

 ただ実際の製造では、航空機メーカーのノウハウが必要だったことから、現在の三菱重工、川崎重工、富士重工、新明和工業、日本飛行機など国内メーカーの総力を結集し、準国立の「日本航空機製造株式会社」が設置され、設計、製造、試作、飛行試験、製造販売が実施されています。つまりYS-11は、国と多くの企業が一体となって実用化に至ったというわけです。

 YS-11の実績が世界的にも評価された結果、日本の企業はボーイング社などから航空機部品の製造を受注することにつながり、1995(平成7)年にデビューしたボーイング777型機では、先述の企業が製造事業に参画するまでに成長したのです。

自国で旅客機を…その時期に到来した追い風

 一方、「YS-11に次ぐ旅客機を自国で造りたい」という野望もあり、YS-11の発展型やジェット旅客機開発も摸索されました。しかしYS-11の販売に課題があり、赤字のためにプロジェクトは頓挫しています。

 ところが1990年代に入ると航空業界のトレンドが大きく変わり、それが日本にとって「追い風」になります。

 この時代、「ジャンボジェット」ことボーイング747型機などに代表される、大型で長距離をカッ飛ぶことを強みにした旅客機から、100席以下の大きさの旅客機に「売れ筋」が変化します。小振りの機材は地方路線でも効率が良く、採算性が高いとして評価されるようになってきたのです。加えて、国内であればYS-11など、地方路線を支えてきた「ターボプロップ・エンジン」を搭載した旅客機の更新時期も近づいており、その後継機が模索されていました。

 また、こういったコンセプトの旅客機「リージョナルジェット」の開発は、ボーイングやエアバスといった業界最大手の航空機メーカーでなくても参画が可能です。実際にブラジルのエンブラエルやカナダのボンバルディア(旧・カナディア)といったメーカーが開発にトライし、実用化に成功しています。

 日本の経済産業省はそのような「追い風」のなか、すそ野が広く、高度な技術を要する国内の航空機産業を育成しようと2003(平成15)年、「環境適応型高性能小型航空機プロジェクト」を開始。産業全体のレベルアップに着手しました。

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そして固まるスペースジェットの全貌

 このプロジェクトでは、機体はもちろん、エンジンや装備品の国産化を進める事業を含め多様な計画案が出ましたが、最終的には「70席クラスのターボファンジェット旅客機」という形でコンセプトが決定されています。

 最終的に旅客機の開発、製造に関しては三菱重工が、エンジンは海外の大手メーカーを使い、開発は三菱が単独で手掛けることに。同社はボーイングやエンブラエルともつながりがあったこともあり、そこも総動員すれば実用化ができると判断したのでしょう。ジェット旅客機は「MJ」(三菱ジェット)と称され、2003(平成15)年から2013(平成25)年までの10年間で試作機を飛行させるスケジュールとなっていました。

 MJのライバルメーカーは「リージョナルジェット」の皮切りともいえるERJ145を手掛けたエンブラエルと、日本では、アイベックス、JAL(日本航空)グループのJ-AIR(当時)などで採用されているボンバルディアなど。MJは2007(平成19)年には「MRJ」(三菱リージョナルジェット)と名前を変え、開発も本格化し、ANA(全日空)を中心に航空会社もそれを後押しします。

 とはいえ、航空機のパーツ製造に長けていても、最終的にそれを組み立てて「1機」の飛行機に仕上げるまでとなると、また別の難しさがあるようです。MRJはその後、当初の計画から納入延期のアナウンスが5回繰り返されたのち、ブランドイメージ刷新のため2019年、「スペースジェット」に改称。2015(平成27)年に初飛行こそ果たしているものの、状況が好転することなく延期は続き、現在に至ります。

今回の足踏みはなぜ発生したのか

 今回の開発遅れの決定打として最も広く知れわたっているのが、航空機のモデルごとに必要な「型式証明」の取得でしょう。

 旅客機が飛ぶ際には所定の検査が必要ですが、量産された機体すべてを国が検査するのは現実的ではありません。型式証明は、そのモデルが一定の安全基準を満たしているかどうかを国が審査する制度です。クリアすれば、あとはメーカーが機体ごとに検査を実施するだけになります。

 今回のMSJの場合、旅客機を久しく造っていなかった日本企業、そして基準を設け審査をするCAB(国土交通省航空局)とともに経験が乏しいことから、「手さぐり」にならざるを得ません。さらに「スペースジェット」の顧客には海外の航空会社も含まれているため、FAA(アメリカ連邦航空局)やEASA(欧州航空安全機関)といった海外機関の型式証明の取得も必要になります。

 このため当然「世界で通用する基準」が求められることになるわけですが、この基準が甘く、万が一の事態に陥ってしまえば、日本の製造業の信用問題にも関わります。しかし型式証明に関する経験が乏しく、さらに言ってしまえば「さじ加減ひとつ」でNGにできるような曖昧なものもなかにはあります。

 ボーイングなどにはこういった審査に関するノウハウがありますが、審査を受ける「新参」の航空機メーカーとなる三菱重工グループ、そして審査を行うCABにはこれがありません。型式証明は、膨大な検査項目のひとつでもダメと判断されれば承認が下りることはない一方で、これが通らなければ実用化も難しい状態でもあるのです。

スペースジェット今どうなってるの?

 とはいえ、かつてのYS-11も、実際に飛ばしてみると横安定性が不足して急遽上反角を大きくしたり、ターボプロップ・エンジンの交流で昇降陀(エレベーター)の利きが悪くなり水平尾翼の改修を加えたり、実は運航してからも雨漏りで苦労したり……という話も。「工業製品あるある」ともいえますが、新たな製品は、基準をクリアしてもまだトラブルがあり、それを克服して、はじめて安定性の高いものにつながるともいえるでしょう。

 ただ、筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)がYS-11初飛行50周年の講演会に参加したとき、YS-11開発のノウハウを次の機体に生かせなかったのは、もったいないという意見を聞いたことがあったりもします。

 現在、渦中の「MSJ」はどうなっているのでしょう。2020年夏ごろ、「MSJ」の格納庫がある小牧空港を訪問した際、「Spacejet」と書かれた大きな格納庫にはすでに機体の部品は置いていないようでした。ゼロから航空機を開発する大変さがわかるエピソードといえるでしょう。

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2020年11月 2日 (月)

【訃報】名優ショーン・コネリーさん(享年90歳)逝去。

 名優ショーンコネリー栄光苦悩…代名詞「ボンド」毛嫌いし話題禁句だった 

日刊ゲンダイDIGITAL 2020年11月2日(月)13時00分配信

 英スコットランドの名優で、このほど90歳で亡くなったショーン・コネリー。映画「007」シリーズでは「歴代最高のジェームズ・ボンド」と称せられ、その勇姿が語り継がれているが、代名詞でもあるボンド役を毛嫌いしていた時期もあったという。

「出世作ではありましたけど、役のイメージが強すぎて、何を演じても『ボンドっぽい』と映画ファンから揶揄されていたことがあったのです。1967年公開のシリーズ第5作『007は二度死ぬ』は日本が舞台で、来日したときにはトイレまで記者たちに追いかけまわされ、写真を撮られ、『そのときボンドを降りる決心をしたんだ』と、コネリーは友人で3代目ボンドのロジャー・ムーアに明かしています。実際、彼の周りではボンドの話は禁句で、街で『あ、ボンドだ』と言われるのを心底嫌がっていたという話があります。一時期は『ボンドを殺したい』とまで言っていたそうです」(映画関係者)

 1930年、英スコットランドのエディンバラでトラック運転手の父と工場勤務の母のもとに生まれ、労働者階級で長い下積み生活を送っていたショーン・コネリー。俳優としてのキャリアでも、低迷期があり、アカデミー助演男優賞、ゴールデングローブ助演男優賞を受賞した映画「アンタッチャブル」(87年)こそ、ボンドのイメージを払拭し、キャリア再起を果たした代表作として挙げる声もある。

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 そしてボンド役以外でも、修道士を演じた「薔薇の名前」(86年)など、数々の名作を残した。「007は二度死ぬ」でコネリーと共演した浜美枝はこんな追悼コメントを発表している。

「ボンドガールとして渡英し、右も左もわからない撮影現場に戸惑っていた私に『大丈夫? 心配事はない?』と毎朝、声をかけてくださったのがショーン・コネリーさんでした。あのときの人を包み込むような優しいまなざし、深みのある穏やかな声を今も忘れることができません。(中略)役者として、ひとりの人間として、気骨のある生き方を貫かれたその生き方にどれだけ励まされ、勇気づけられたでしょう」

 スクリーンでショーン・コネリーに魅了されてきた日本の中高年世代ならば、浜と同じような感慨があるのではないか。芸能リポーターの城下尊之氏はこう言う。

「海外のスター俳優なのですけれども、その映画を見てきた私たち日本人にとっては、もう少し身近な、憧れの存在だったと思います。どの役を演じても、常に気品があり味わいがあって、ダンディズムを見せてくれた。心に残る人であり、どれもが大切なメモリーですよ。またあの懐かしい映画を見たい、見続けていきたいと思わせてくれる。そうやって、いつまでも人々の記憶のなかで生き続けていくのでしょうね」

 ボディービルで鍛えた分厚い胸板に、胸毛をたくわえた男の色気。それでいて知的で優しい生きざま。滞在先のバハマで睡眠中に息を引き取ったことが発表されて以来、世界中から哀悼の声があがっている。

コネリーさん訃報真の伝説英国の象徴」—英メディア

時事通信 2020年10月31日(土)23時30分配信

 英国を代表する俳優ショーン・コネリーさん死去の報を受けて31日、英国内では各界の著名人から悲しみの声が寄せられた。

 報道によると、ダウデン文化相は「真の伝説であり、英国の象徴だ」と功績をたたえた。

 現ジェームズ・ボンド役の俳優ダニエル・クレイグさんは「映画界の真の偉人の一人を失って悲しい。彼は俳優や映画制作者らに影響を与え続ける」とコメント。サッカーの元イングランド代表でテレビ司会者のゲーリー・リネカーさんも「最善のボンドだった。(訃報に)動揺している」と語った。

 コネリーさんは、出身地スコットランドの英国からの独立支持者としても知られた。スコットランドのスタージョン自治政府首相はツイッターで「心が砕けるようだ。最愛の人物の死を皆が悼んでいる」と悲しみを表した。 

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ダニエル・クレイグら“歴代ボンド”✍ショーン・コネリーを追悼

CinemaCafe.net 2020年11月2日(月)12時15分配信

 10月31日(現地時間)に、初代ジェームズ・ボンドことショーン・コネリーがバハマの自宅で亡くなった。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を控えている6代目ボンドのダニエル・クレイグは、ジェームズ・ボンドの公式ツイッターを通して追悼メッセージを発表。「映画界における真の偉人の1人が亡くなったと聞き、本当に悲しいです」。

「サー・ショーン・コネリーは、ボンドとしてもそれ以外の存在としても、名を残すことでしょう。1つの時代とスタイルを方向付けた人でした。彼がスクリーンで見せたウィットや魅力は100万ワット級で、 いまの大ヒット作の製作に一役買いました。この先もずっと、俳優やフィルムメーカーに影響を与え続けます。遺族にお悔やみを申し上げます。彼のいる場所には、どうかゴルフ場がありますように」。

 5代目ボンドで、8月25日に90歳の誕生日を迎えたショーンに祝福メッセージを贈っていたピアース・ブロスナンも、インスタグラムにメッセージを投稿。「サー・ショーン・コネリー。あなたは私が少年の頃、そして大人になって自分自身がジェームズ・ボンドになってからも、私の中で最高のジェームズ・ボンドでした」と敬意を表した。

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 妻のミシュリーヌ・ルクブルン(91)はショーンが晩年認知症を患い、自分の思いを伝えることができなかったと「Daily Mail」紙に明かした。「寝ている間に安らかに息を引き取る」というショーンの希望が叶ってよかったとも語っている。今年5月に結婚45周年を迎えた2人。ミシュリーヌは「彼は素敵な人でした。私たちは素晴らしい人生をともにしました」と結婚生活をふり返った。

 ミシュリーヌ夫人が明かす ショーンコネリー無念と苦闘の晩年 

スポニチアネックス 2020年11月2日(月)10時09分配信

 バハマで10月31日に90歳で亡くなった俳優ショーン・コネリー氏が、ここ数年にわたって認知症で苦しんでいたことをミシュリーヌ・ルクブルン夫人(91)が明らかにした。

 英メール・オン・サンデー紙に対してその事実を公表したもので、同夫人は「認知症が重荷になって、ここ数年は彼自身をうまく表現することができませんでした。彼の最後の願いは穏やかに去っていくこと。少なくとも眠っている間に静かに息を引き取ったので、彼が望んでいた通りになりました」とコメント。

 アルツハイマー症を含めてどのタイプの認知症だったかは語っていないが、コネリー氏にとっては無念の晩年だったようだ。

 コネリー氏は1962年にオーストラリア出身の女優ダイアン・シレントさん(2011年に78歳で死去)と結婚して、のちに俳優となるジェイソン・コネリー(57)をもうけたが、1973年に離婚。1975年にモロッコ系フランス人の画家だったミシュリーヌ夫人と再婚し(同夫人は3度目の結婚)、同夫人が2人の前夫との間にもうけていた3人の子どもを自身の養子としていた。

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 同夫人は「まさに模範的な男性。ゴージャスな人でした。素晴らしい人生だったので、彼なしで生きていくのはつらいです」と複雑な胸中を吐露。007シリーズを含めた多くの作品に出演した名優が認知症に苦しんでいたという一報は、英国や米国などの多くのメディアで報じられ、大きな衝撃を与える結果となっている。

 54年前007ロケ地”はファンの“聖地”に鹿児島南さつま市坊津 

南日本新聞 2020年11月2日(月)10時40分配信

 31日に訃報が伝えられた俳優ショーン・コネリーさん(90)は、代表作「007」の撮影で鹿児島を訪れていた。ロケ地になった南さつま市坊津の関係者からもしのぶ声が上がった。

 1967年公開のシリーズ第5作「007は二度死ぬ」の鹿児島ロケは66年夏。コネリーさん、共演の丹波哲郎さん、浜美枝さんらが訪れた。漁村のシーンの舞台となった同市坊津町秋目では、住民もエキストラとして参加。漁を休むなど、地域を挙げて撮影を後押しした。

 同地区には90年、コネリーさん、丹波さんのサインを刻んだ記念碑が建てられ、観光名所に。ロケ地を散策するツアーが開催されるなど、ファンの“聖地”として、地域活性化に一役買っている。

 県漁協組合長の宮内一朗さん(64)は、小学5年の時に撮影に参加。記念碑の建立にも奔走した。宮内さんは「世界の大スターが来るので、集落は大騒ぎになった。とてもかっこよく存在感があった」と振り返る。今も国内外からファンが秋目を訪れるといい「地元の名前を世界に知らしめてくれたコネリーさんに感謝している」と惜しんだ。

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 ショーンコネリー追悼54年前『極真会館』訪問秘話 

スポニチアネックス 2020年11月2日(月)5時30分配信

 初代ジェームズ・ボンド役の英俳優ショーン・コネリーさんが90歳で死去したと全世界に伝わってから一夜明けた1日、「007は二度死ぬ」(67年公開)の撮影で来日したコネリーさんが空手の極真会館(東京・池袋)を訪問した際のエピソードを極真会館最高顧問、郷田勇三氏(80)が本紙に明かした。

 訪問したのは1966年。コネリーさんは、極真会館設立者の大山倍達総裁とガッチリ握手。大山氏と並んで道場生の演武を見学した。「コネリーさんは組手を食い入るように見つめていた」と郷田氏。稽古に参加することはなかったが、服装はポロシャツ、ズボンともに白で統一。「自分も道着を着ているとの気持ちを表したのでは」。フルコンタクトの激しい稽古に「コネリーさんは“これが日本の武道か。(日本人の)強さが分かった”と語った」という。

 その後、コネリーさんと大山氏は個室に移動。しばらく談笑して、大山氏はコネリーさんに極真空手名誉段位の認定証を贈呈したという。郷田氏はコネリーさんの肉体美を鮮明に覚えているという。ボディービルで鍛えた胸筋は、シャツが破れそうな程パンパン。「良い体をしてましたね。手足も長く、空手をやれば相当強くなったと思います」と語った。道場への訪問は、映画に出演した道場生2人が瓦割りや頭突きでの氷割りをするのを見て感激したコネリーさんが「道場を見学したい」と望んで実現した。

 コネリーさんと大山氏は意気投合。大山氏が総裁を務めていた70年代には、コネリーさんを国際極真空手連盟の役員に起用している。76年には、大山氏の著書にコネリーさんが「マス大山の世界は(中略)鉄拳一筋に生きる執念と自信に裏打ちされている」と推薦文を寄せている。

 郷田氏は「紳士で礼儀正しく気さくな人でした」と“世界一有名なスパイ”の死を悼んだ。コネリーさんの強烈な印象だけは色あせていないようだった。

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 岡村隆史「差婚ましがる中年男性りかかる現実 

PRESIDENT Online 2020年10月30日(金)18時16分配信

芸能人は「年の差婚」が多い? 

 ナインティナインの岡村隆史さんが、10月22日深夜のラジオ生放送で、自身が結婚したことを報告しました。50歳で初婚の岡村さんに対して、お相手は30代の一般女性と報道されているので、少なくとも10歳以上の年(とし)の差婚となります。

 半年ほど前、自らの発言が炎上した岡村さんですが、皮肉にもその出来事がきっかけとなり、落ち込む彼を彼女が支えてくれたとのこと。それが今回の結婚に結びついたようです。ネット上でも、祝福の声が相次ぎ、好意的に受け取られました。中には、「あの岡村でさえ50歳で30代との年の差婚ができたんだから、俺にもワンチャンある」と希望を見いだした同年代の未婚男性もいることでしょう。

 さて、現実はどうでしょうか? 

 芸能人の結婚報道において、よくこの「年の差婚」が取り上げられることがあります。

 確かに、過去においても、俳優の西島秀俊さんは43歳で、16歳下の一般女性と、俳優の福山雅治さんは46歳で、女優の吹石一恵さんと13歳の年の差婚をしました。お笑い芸人の千原ジュニアさんも41歳で、18歳年下の方と結婚されています。

 こう書きだすと、芸能人には「年の差婚」が多いイメージを抱きがちですが、それは注目度が高いがゆえの単なる錯覚です。芸能人であったとしても、決して「年の差婚」が多いというわけではありません。

未婚の多さは「若者の結婚離れ」ではない

 日本では「未婚化」が進んでいます。2015年国勢調査時点で、男性の生涯未婚率(50歳時未婚率)は23.4%、女性は14.1%で、2040年には、これが男性3割、女性2割に増えると推計されています。つまり、50歳まで未婚のまま過ごす人がそれだけいるということであり、50歳まで未婚の人はその後も結婚する可能性が極めて低いのです。

 同時に、晩婚化も進んでいます。皆婚時代だった1970年代と比較すれば、40代以上で初婚の男性の数は増えています。しかし、これは中年男性が結婚しやすくなったわけではなく、単純に昔と比べて40代以上の未婚男性の絶対数が増えたからです。

 未婚というとどうしても若者を想起しがちです。「イマドキの若い男は草食化している」などという意見もそれを反映したものでしょう。ところが、それも事実と反します。未婚者は、もはや若者だけではありません。

 男性の20~30代の若者未婚数と40代以上の中年未婚数との比率を比較すると、1955年には、若者未婚が中年未婚の44倍もいましたが、2015年ではそれがわずか1.5倍と、その差はかなり接近しています。そのうち、40歳以上の未婚人口が若者未婚を上回ります。

 日本の未婚化問題とは、もはや未婚おじさん問題となりつつあるのです。

「夫が年上」のパターンは激減している

 そもそも、日本の婚姻において、夫が年上である「夫年上婚」は激減しています。

 厚労省の2019年人口動態調査によれば、この年の婚姻数は59万9007組でした。2018年と比較すると「令和婚効果」のおかげで、若干増えましたが、婚姻数がもっとも多かった1970年代と比べるとその数はほぼ半減しています

 また、初婚数だけを抽出すると、2019年は33万9418組で、これも1970年の初婚数と比べれば、半減どころか57%減少、組数にして約44万組も減っています。この激減の原因の大半が「夫年上婚」の減少なのです。

 1970年から2019年までの婚姻の組み合わせ推移をみれば、それは明らかです。全体の婚姻数が大きく減っているのに対して、実は「夫婦同い年婚」および「妻年上婚」の数は、婚姻数が多かった皆婚時代とほぼ変わりません。大きく減少しているのは夫年上婚だけなのです。

 1970年と2019年を比較すると、日本の婚姻数(再婚含む)は約44万組減少しているのですが、それは前述した通り、「夫年上婚」の減少と完全一致します。つまり、日本の婚姻が減った最大の要因は、年上の男性が結婚できなくなったからだとも言えます。

「お見合い」が盛んな時代は多かったが…

 これは、いわゆる「見合い結婚」の減少とリンクします。戦後からしばらくは、「見合い結婚」が7割以上を占めていました。「見合い結婚」と「恋愛結婚」の比率が逆転したのが1965年ごろです。その後、伝統的な「見合い結婚」は全体の5%台まで落ち込みます。この「見合い結婚」の減少と「夫年上婚」の減少とは強い正の相関にあります。

 言い換えれば、戦後から1980年代まで「夫年上婚」が多かった要因は「お見合い」によるものだったと推測できます。今後、伝統的な見合いによる結婚が増えるとはとても考えられません。よって、今後はより一層「夫年上婚」は減少し続けるでしょう。

 芸能人の特別な事例が印象的であるため、「若い女性との年の差婚をする中年男が増えている」と錯覚するようですが、そんな事実は存在しません。むしろ年を取った男性はどんどん結婚できなくなっていると考えるべきでしょう。

 結婚において「女の上方婚志向、男の下方婚志向」とよく言われます。これは、女性は、自分より収入や年齢や学歴が上の男性と結婚したがり、男性はその逆であるということです。もっと単純化すると、女性は自分より年収が上の男性との「玉の輿婚」を希望し、男性は自分より年齢が下の女性との「トロフィーワイフ」を希望するというものです。身も蓋もない言い方をすれば、結婚とは「男の年収と女の年齢とのトレードオフ」なのです。

10歳以上若い女性と結婚できる割合は0.2%しかない

 しかし、すべての結婚がそうとはなりません。高収入男性と結婚できる未婚女性は決して多くありませんし、実は理論上も不可能です。2017年就業構造基本調査によれば、年収400万円以上の未婚男性は、20~50代まで年齢層を広げても3割もいません。7割は300万円台なのですから、どだい無理なのです。

 同時に、若い女性と結婚できる中年未婚男性もごくわずかです。2019年の人口動態調査で、40~59歳までの未婚男性が初婚で10歳以上年の若い女性と結婚できる割合は、たったの0.2%。1000人に2人しかできません。芸能人になる確率よりは楽かもしれませんが、通常では可能性は低いということになります。

 晩婚化とはいえ、今でも初婚においては、男性は5割以上、女性は6割以上が29歳までの結婚で占められています。その多くは、同い年くらいの相手と、同じくらいの収入の相手と結婚しています。現実の結婚は、年齢も収入も近い「同類婚」が増えているのです。年齢および収入の同類婚が増えるということは、有り体に言えば、貧困同士、裕福同士の同い年カップルばかりになっているということです。「玉の輿」も「トロフィーワイフ」も一部のごく少数の人にしか実現できない「現代のおとぎ話」にすぎないのです。

 おとぎ話の虚構をいつまでも追い求めて、高年収の男を探し回る女性と、「若い女」に執着しすぎる男性だけがいつまでも結婚できないことになります。

「男も女も実は結婚したい」のウソ

 とはいえ、世の中のすべての男女が「結婚したい」と思っているわけではありません。メディアではよく「結婚したい男女は9割」などと報道されますが、あれは事実と反します。

 このデータは、出所が厚労省「出生動向基本調査(対象18~34歳)」によるものですが、選択肢が「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚するつもりはない」の二者択一です。どちらかを選べと迫られたら、現段階で「一生結婚するつもりはない」という強い意志をすでに持つ人以外は、「いずれ結婚するつもり」を選ぶしかなくなるのではないでしょうか。

 また、同調査ではこの後に、詳細を聞いています。「いずれ結婚するつもり」を選んだ人に対して、「1年以内に結婚したい」「理想の相手ならしてもよい」「まだ結婚するつもりはない」のいずれかを回答させているのです。これら2つの回答をまとめた未婚男女の結婚意思を数値化すると、「結婚に前向き」なのは男性4割、女性5割程度におさまります。この傾向は同調査でほぼ30年間変化がありません。

 つまり、実質「結婚したい」と思っている未婚男性は、半数にすぎないわけで、「9割が結婚したい」という不正確なデータだけを切り取って、「みんな結婚意欲はあるのにできない男たち」みたいな印象を作り上げようとしているとしか思えません。

「1人は寂しい」と思う独身男性ほど注意

 僕は、かれこれ独身者を延べ10万人以上調査していますが、個々人によって「ソロ生活耐性」というものがあることが分かりました。「誰かと一緒にいないと寂しい」と思う者と「1人でいても寂しくない」と思う者は、未婚男女とも大体半々です。「誰かと一緒にいないと寂しい」という男女ほど結婚意欲は高いようです。

 後者のソロ生活耐性のある人間は、独身だろうが1人で生活していようが、快適以外の何ものでもないのですが、前者の人間は、無理してでも若いうちに結婚しておいたほうがいいと思います。

 よく若い未婚男性が「金がないから結婚できない」と言いますが、それこそ「女は上方婚だ」という呪縛にとらわれている証拠です。百歩譲って、金を稼げるようになってから、40歳を過ぎて結婚しようと思っても、その時には女性から選ばれなくなってしまいます。「金があっても結婚できない」状態になります。「誰かと一緒にいないと寂しい」というソロ生活耐性のない人にとって、これはしんどいのではないですか? 

 繰り返しますが、「年の差婚」は、おとぎ話です。幻想です。

 最後に、故樹木希林さんの名言を置いていきます。

 「結婚なんて若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから」

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荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
コラムニスト・独身研究家
ソロ社会及びソロ男女を研究するソロもんラボ・リーダー。早稲田大学法学部卒業。博報堂入社後、自動車・飲料・ビール・食品・化粧品・映画・流通・通販・住宅等幅広い業種の企業プロモーション業務を担当。独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)、『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)など。
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2020年11月 1日 (日)

【井上尚弥】1年ぶり防衛戦<“モンスター”✍本場ラスベガス参上>無観客でKOショー

井上尚弥が奪った2つのダウン進化を証明、試合中に戦略変更カウンター狙い

デイリー 2020年11月1日(日)12時59分配信

ボクシングWBAIBF世界バンタム級タイトルマッチ」(31日、ラスベガス)

 WBAスーパー・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(27)=大橋=が10月31日(日本時間11月1日)、米国ラスベガスのMGMグランド・カンファレンスセンターで1年ぶりの試合に臨み、WBA2位・IBF4位の挑戦者ジェーソン・モロニー(29)=オーストラリア=に7回2分59秒KO勝ち。WBA王座4度目、IBF王座2度目の防衛に成功した。

 ラスベガス初陣を2度のダウンを奪い圧勝した。井上は6回開始直後に相打ちのタイミングで左フックを入れて先制のダウンを奪う。そして7回終了間際に、モロニーが右を打とうとしたところに、鮮やかな右ストレートのカウンターを打ち込む。まともに浴びたモロニーは腰から崩れ、立ち上がろうとしたがダメージが深く無理だった。

 井上は「フィニッシュのパンチは納得いくかたちで終わりました。(ダウンを奪った)2つのパンチは日本ですごく練習してきた。試合に出せてすごくホッとしてます」と中継局のインタビューで振り返った。

 序盤から強打を武器に圧力をかけたが、フットワークを使うモロニーの動きを封じることができない。「(モロニーは)テクニックももちろん全体的にレベルが高く、フルラウンド足を動かす選手。攻めきれなければ待つことも考えていた。前半攻めたが、なかなか捕まえられず中盤はカウンター狙いにしました」と戦略変更を施した。「試合を通して場面、場面での判断力をドネア戦で学んだ。その時よりパワーアップしていると思います」。試合中に冷静にスタイルを変化させるなど、フルラウンドの激闘となった前回の試合、WBSS決勝のノニト・ドネア戦を経て、また進化した。

 1年ぶりの試合ながら、フィニッシュの鮮やかさなど注目されたラスベガス初陣で、パウンド・フォー・パウンド・ランキング2位のポテンシャルを全世界に見せつけた。

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 「残忍なヘッドショット」井上尚弥の圧巻のKOショーモロニ-病院送り、豪メディアにも衝撃すぎた…」 

THE DIGEST 2020年11月1日(日)16時00分配信

強すぎたモンスター

 王者とのタイトルマッチの代償は小さくなかったようだ。

 WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が、WBA同級2位のジェイソン・モロニー(オーストラリア)との防衛戦に臨み、7回2分59秒でKO勝ちした。

 鋭いジャブを上下に打ち分け、主導権を握った井上は、6回に左フックをモロニーの顎にヒットさせて最初のダウンを奪取。そして迎えた7回終盤にモロニーの左ジャブをかわすと渾身の右ストレートを炸裂させ、この日2度目のダウンを奪って鮮やかなKO勝利を収めた。

 試合後に井上が「フィニッシュは納得のいくパンチだった」と振り返った一発を顔面に浴びたモロニーは、膝から崩れ落ち、10カウントを聞いてもなお、しばらくは立ち上がることができなかった。豪メディア『7News』は、モロニーが試合直後に現地の病院へ直行したと伝えている。

 王者のまさに“モンスター”級のパンチに対する反響は、モロニーの母国メディアでも広がっている。『7News』は、「チャレンジャーは負け犬根性を持って勇敢に戦ったが、無敗の日本王者にノックアウトされた」とマッチサマリーで綴っている。

「モンスターと評されるイノウエは、モロニーにはスピードとパワーの両面で強すぎた。そして7回の終盤にオーストラリアの戦士は残忍なヘッドショットで試合を終わらせられた」

 また、ポータルニュースサイト『Yahoo』のオーストラリア版は、「まさに獣のような残忍なKOだった」と井上のファイトを称えた。

「モロニーは、イノウエの素早いフットワークと変化するペースについていくことが出来ずに苦戦した。そして最後はモンスターが得意とする右手での残忍なノックアウトパンチで決着をつけられた。オーストラリアのファイターは勇敢だったが、誇らしげな王者を前に何も残せなかった」

 昨年11月のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で元5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちして以来、359日ぶりに白星を挙げた井上。その出色のパフォーマンスに対する賛辞はとどまるところを知らない。

 「鬼のようなスピード」「モロニ-は餌食になった」井上尚弥圧巻KO劇に現地ファンも驚愕! 

THE DIGEST 2020年11月1日(日)16時14分配信

 井上尚弥の圧倒的な強さに、目の肥えた現地のファンたちも満足したようだ。

 現地時間10月31日、ラスベガスのMGMグランドガーデンで、WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の井上が同級1位のジェイソン・モロニー(オーストラリア)を7ラウンドKO。鮮烈な右ストレートで挑戦者を沈めた。

 この試合後に、井上とプロモート契約を結ぶトップランク社がKOシーンの動画を公開すると「アメイジング!」「モロニーは餌食以外の何物でもなかった」「鬼のようなスピード」「この男は若い雄牛だ!」などと賛辞が殺到。タイミング、パンチのスピードや精度などはいずれも完璧で、ボクシングセンスの非凡さを証明した一撃だった。

 井上は試合後に次戦への展望について、次にWBCはドネアとウーバーリ(の勝者)であったり、WBOはカシメロ。両選手をターゲットとして考えているので、タイミングが合うほうとやりたいと思っています」と語っており、この一戦を文字通り「第二章の始まり」と考えているようだ。モンスターの進撃はどこまで続くのか。早くも次戦が楽しみだ。

 井上尚弥の鮮烈KO海外記者から絶賛「パッキャオを彷彿 

THE ANSWER 2020年11月1日(日)13時22分配信

井上尚弥に賛辞続々、海外記者が敗者を擁護マロニーは恥なくていい

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が31日(日本時間11月1日)、米ラスベガスのMGMグランドでWBO同級1位ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に7回2分59秒KO勝ちした。“聖地”ラスベガスデビュー戦は新型コロナウイルスの影響で無観客で行われ、WBAは4度目(正規王座の記録を含む)、IBFは2度目の防衛成功。井上の戦績は20勝、マロニーは21勝2敗。試合後は海外記者たちが続々と賛辞を送った。

 井上は6回、カウンターで強烈な左フックを顎に着弾させ、この日最初のダウンを奪った。7回には、またもカウンターで右ストレートを一閃。膝から崩れ落ちたマロニーは立ち上がることができず、2度目のダウンで試合終了となった。

 試合後は海外記者がツイッター上で続々と反応。米スポーツ専門局「ESPN」のスティーブ・キム記者は「完璧に着弾させた右のカウンター。イノウエが7回にマロニーを止めた。モンスターの寸分違わぬパフォーマンスだった」と記した。同局の名物コメンテーター、マックス・ケラーマン氏は「イノウエはまさにモンスターだ」と強さを認めたようだ。

 米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のランス・パグマイア記者は「イノウエのスピードと圧力は本当に次元が違う……印象的なベガスデビューだ」と絶賛。米国のみならず、豪紙「ザ・デイリー・テレグラフ」のジェイミー・パンダラム記者も「イノウエは異次元のビースト。その素早いフットワークとパンチのパワーはマニー・パッキャオを彷彿とさせる。マロニーは7回にKOされたが、こんな怪物を相手にしたのだから恥などない」と褒めちぎった。

 アジアのボクシング史で最強の選手、6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)になぞらえるほど、高い評価を受けたようだ。

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海外メディアも井上尚弥衝撃ラスベガス7回KO勝利大絶賛モンスターワンパンチで破壊」「最強証明

THE PAGE 2020年11月2日(月)5時28分配信

 ボクシングのWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(27、大橋)が10月31日(日本時間11月1日)、米国ラスベガスのMGMグランドの特別施設「ザ・バブル」で、WBA同級2位、IBF同級4位、WBO同級1位のジェイソン・マロニー(29、豪州)と無観客試合で対戦、7回2分59秒、KO勝利で両タイトルの防衛に成功した。

 序盤からプレスをかけてペースを握っていた井上は6回に左フックのカウンターで一度目のダウンを奪うと7回に右のショートカウンターで10カウントを聞かせた。

 新型コロナウイルスの影響で、昨年11月のWBSS決勝、ノニト・ドネア(37、フィリピン)戦以来、約1年ぶりの試合となったが、ブランクをものともせず、本場ラスベガスでのアピールに成功。海外メディアも井上のラスベガス衝撃デビューを大絶賛した。

次戦はWBO王者カシメロとの3団体統一戦が最有力

 試合を放映した米スポーツ専門メディアのESPNは、井上の7回KO勝利を伝えつつ、「井上はESPNのパウンド・フォー・パウンドで3位にランクされるボクシングとレベルを見せ、素晴らしいパフォーマンスの中で2つのダウンを奪った」と報じた。

 記事は、「比較的イーブンだった最初の2ラウンドの後、井上(20勝0敗、17KO)が攻勢に出始め、さまざまな左右のパワーパンチを放った。だが、序盤で素晴らしかったのは『ザ・モンスター』のスピードと敏捷性だった。ただのハンドスピードだけでなく、足を使って前に出たり下がったりして距離とテンポをコントロールする能力があった。試合序盤から勝利へ向けてボクシングをしていた」と絶賛した。

 また米国での井上の試合をプロモートしているトップランク社のボブ・アラムCEOが、別メディアの「ジ・アスレチック」に語った「井上対カシメロの試合は来年3月までに行われるはずだ」というコメントを引用。次戦が4月に新型コロナの感染拡大の影響で流れたWBO世界同級王者のジョンリエル・カシメロ(31、フィリピン)との3団体統一戦となる可能性が高いことを明らかにした。

 米で権威のある専門誌のリング誌は「井上がハロウィーンのご褒美を提供、ザ・モンスターがマロニーを切り刻む」との見出しで井上のKO勝利を伝えた。

 記事は「『ザ・モンスター』(と打ち出す)ビジネスはマーケティングに適しているが、決して、井上が野蛮な強さで、容赦のないような態度をとっていることを意味するものではない。彼は技術的に安定しており、リングでの彼が持つ視野が大きな武器になっている。彼はどこに動き、いつ足を6インチ(約15センチ)動かすべきか、より良い角度に立ち、素晴らしい一撃をどうもたらすべきかを理解している」と、その頭脳的テクニックを称えた。

「勝利の後、彼は『僕は年齢と共にさらに向上している』との思いを語った。そしてマロニーに対して『堅固なアスリートだった』と敬意を示し、次戦に向けて『118パウンド(バンタム級)でさらにベルトを得ることを望んでいる』と語った」と井上の談話を紹介した。

 注目の次戦については「カシメロがWBO世界バンタム級ベルトを保持しているため、もし井上対カシメロの試合が用意されるのであれば、それは理に適う。WBC世界同級王者のノルディ・ウーバーリ(フランス)とノニト・ドネア(フィリピン)についても同じだ」と記した。

 弟の拓真が統一戦で敗れたウーバーリと、井上が昨年11月に勝った元5階級制覇王者のドネアは12月12日に米国でWBCのタイトル戦を行う予定となっている。

 またアラムCEOの「ザ・モンスターはスペシャルなファイター。長い間、あのような若いファイターを目にすることはなかった。戦士のように戦ったマロニーも褒めたい。彼は全力でぶつかった」というコメントも紹介された。

 ラスベガス・レビュージャーナル紙は、「マロニーは痛い思いをして学んだ。バンタム級統一王者の井上は評判通りに素晴らしかった。もしくはそれよりさらに良かった」と伝えた。「27歳の井上はアグレッシブさ、獲物を追うスタイル、残忍でノックアウトを奪うパワーで『ザ・モンスター』の異名を持つ。なぜ、そう呼ばれるのか、を(マロニー戦で)容易に見て取ることができた」と絶賛した。

 CBSスポーツも、「井上がマロニーをラスベガスで7回に高速ノックアウト」との見出しを取り、「『ザ・モンスター』がマロニーを簡単に扱い、なぜ彼がパウンド・フォー・パウンドのトップ選手の1人なのかを示した」と称賛した。

 記事は、「井上はボクシングのパウンド・フォー・パウンドのトップに向かっているすべてのものを披露したが、試合で最も大きなインパクトは『ザ・モンスター』のトレードマークとなるパワーだった」と、2度のダウンを奪ったパンチ力を評価した。

「マロニーは戦いを通して、インサイドで泥臭く戦うという戦略を実行しようとした。マロニーにとって不運だったのは、距離を詰めることができても、アッパーカットを頭に、素晴らしいフックをボディーにドスンと打ち込んできた井上が、すべてにおいて(対応する)答えを持ち合わせていたことだった」と続けた。

 マロニーの地元、豪州のオンラインメディアnews.com.auは、「劣勢の豪州選手が『モンスター級の』ワンパンチによるノックアウトで破壊される」との見出しを取り、挑戦者側からの記事を報じた。

 記事は、「世界で最高のパウンド・フォー・パウンド選手の1人である井上が、魅惑のスピードとパワーでマロニーをバラバラにした」と、井上を褒め称え、「豪州選手(のマロニー)はプレスをかけられ次々にパンチを決めるチャンピオン(の井上)を相手に何ら答えを見つけ出すことができなかった」と、歴然とした力の差があったことを伝えた。

 海外メディアの報道にネガティブなものは一切なく、称賛のオンパレード。頭を使い7回に仕留めた井上のラスベガスデビューは大成功だった。

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 井上尚弥拳で家を建てる父との約束…世界体現 

日刊スポーツ 2020年11月2日(月)6時00分配信

<プロボクシング:WBA、IBF世界バンタム級タイトルマッチ>◇10月31日(日本時間11月1日)◇米ラスベガス・MGMグランド

 強さを世界に見せつけた。WBA、IBFバンタム級統一王者井上尚弥(27=大橋)が挑戦者のWBA2位、IBF4位のモロニーに7回2分59秒、KO勝ちし、「聖地」、ラスベガス