東京五輪中止、32年に延期説も…ならば選手村マンション『晴海フラッグ』どうなる?
デイリー新潮 2021年1月26日(火)5時58分配信
英タイムズ紙が1月21日、与党幹部が今年の五輪開催を非公式ながら中止を決定、2032年の開催を目指していると報じた。これに対して内閣官房は「そのような事実は全くございません」と否定。しかし、仮に今年の開催が中止となった場合、選手宿舎を改修した上、販売される「晴海フラッグ」群は一体どうなるのか?


東京五輪は今年が無理なら、2024年への再延期説も出ている。もっとも、それには24年開催のパリ、28年開催のロサンゼルスの承諾を得なくてはならない。となると、32年開催がにわかに現実味を帯びてくるのだが……。
「今年、強引に五輪を開催してコロナの感染者が増えたら、日本の責任問題になりますからね……」
と話すのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏である。
「アメリカやフランス、イギリス、ドイツはロックダウン状態ですし、アメリカの死者は第2次世界大戦と同じくらいに増えています。選手を五輪に出場させない国が続出し、参加が激減する可能性があります。五輪開催を完全にあきらめるか、32年に開催するか、二者択一となるとみています」
自転車で通勤
いずれにしても、今年の開催は難しいと見ているようだ。
晴海フラッグは2019年7月、分譲4145戸のうち第1期分譲として940戸が売りに出され、うち893戸に2220件の申し込みがあった。平均倍率は2・36倍で、最多販売価格帯は6400万円。入居は当初2023年の予定だったが、五輪延期で24年になっていた。第2期分譲は20年3月の予定だったが、延期となり、販売時期は未定となっている。
五輪が1年延期となったことで、第1期分譲で契約した人には、契約を解除できるようになった。むろんその場合、手付金も全額返却されるという。いまのところ、解約した人はほとんどいないようだが、先の榊氏はこう断言する。


「手付金が戻るのであれば、解約することをおススメします。今年五輪が開催されなかったら、晴海フラッグは単なる駅から遠い不便なマンションになってしまいます。最寄り駅の大江戸線勝どき駅から歩いて20分なんて遠すぎます。今どきこんな立地のマンションは建てませんよ。しかも、勝どき駅周辺にはタワーマンションがどんどん建っており、勝どき駅はキャパオーバー。朝の通勤ラッシュはものすごく混雑します」
交通混雑の解消のため、晴海フラッグと新橋駅を結ぶBRT(バス高速輸送システム)の運行を計画している。ピーク時には1時間で20便程度(乗客2000人)を運行するというが、
「BRTを運航させても足りないでしょう。結局、大手町まで自転車で通勤する人も出ると思います」(同)
五輪中止で2割下落
実際、今年の五輪開催が中止となれば、間違いなく解約者が相次ぐという。
「晴海フラッグの売りは、五輪の選手宿舎として使われたということでしょう。中止となれば、ただのマンションですよ。資産価格はガタ落ちです。契約した人の半数は解約するでしょうね。契約者が450戸に減れば、4145戸のうち、約9割が売れ残ることになる。その後の販売は苦戦を強いられるでしょう。とはいえ、すでに契約した人がいるため、2、3年間は値引きができないでしょう。結局、全て売るには7年くらいかかるのではないでしょうか」(同)
五輪中止なら、すぐに販売価格は2割程度下げる可能性もあるという。


「すでに契約した方も含め、2割下げればいいわけですからね。例えば7000万円だったものが、5600万円になります。それでもデベロッパーは、利益が出ると見ています」(同)
なぜ利益が出るのか?
「都から非常に格安な値段で土地を購入したからです。1戸当たりの土地の価格が約250万円ですよ。あまりにも安く都が売却したので、現在、東京都を相手取って住民訴訟が起こっています」(同)
東京都は、2016年末に三井不動産などの開発業者11社に13万3906平米の土地を129億6000万円で売却。周辺の地価に比べて10分の1以下の激安価格だったため、17年8月、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の住民33人が値引き分を不動産会社に請求するよう都に提訴している。
仮に、五輪が2032年に延期されたらどうなる。
「32年開催なら、11年後でしょ。そんな先まで待つことは不可能です。晴海フラッグは選手村としては使用するのを諦め、すぐに分譲マンションとして売却するしかありません。有明には他にも東京都の土地がありますから、新たに選手村を建てるしかないでしょうね」(同)
いずれにせよ、晴海フラッグはあまりおススメできる物件ではないということか。


『AKIRA』の予言が現実に?無観客の五輪会場をコロナ直撃
ダイヤモンドオンライン 2021年1月28日(木)6時01分配信/窪田順生
● 漫画『AKIRA』の不吉な描写 東京五輪は無観客か規模縮小で開催?
「五輪中止」の世論が高まっている。
NHKが今月9日から行った世論調査では、「開催すべき」という回答は16%で、「中止すべき」「延期すべき」という回答は合わせておよそ80%となっている。また英タイムズが、「連立与党幹部が『日本政府内でも開催が難しいという意見で一致している』と述べた」と報じたことも、こうした傾向に拍車をかけている。
ちなみに英タイムズ報道は、個人的にはかなり信憑性が高いとみている。実は、年明けから「五輪後」と言われる総選挙の当落予測が出始めており、軒並み与党に厳しい結果が出ているからだ。
GoToゴリ押しや最近の医師会優遇策からもわかるように、基本、日本の政策は「選挙に勝てるか」という視点が重視される。五輪強行で支持率がさらに下がれば、多くの与党議員が「失業」してしまう。これを是が非でも避けたい与党内勢力が、「中止」を外堀から埋めていくために海外メディアにリークする、というのは自明の理だ。
このような五輪をめぐる情報戦が水面下で繰り広げられる中、現実的な落としどころではないかと言われているのが、「無観客または規模縮小開催」である。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算では、五輪を中止した場合の経済的損失は約3兆4624億円だが、無観客開催は約2兆4133億円と、金銭的被害を少なく抑えられるからだ。

確かに、まったくの「中止」にしてしまうと、コロナでイベント業界の人たちが大打撃を受けたように、多種多様な業界への悪影響は必至だ。「無観客または規模縮小」は、コロナ対策をしながらGoToを進めるような、「コロナと経済活動の両立」を目指す菅政権が流されやすそうな「折衷案」である。
ただ、個人的にはこの「無観客または規模縮小開催」には嫌な予感しかない。昨年、コロナの流行や五輪延期を「予言」したとして大きな話題になった漫画『AKIRA』の中に、不吉な描写があるからだ。
それはズバリ、「時の権力者がガラガラのオリンピックスタジアムで、国民強制参加のイベントを強行すると、コロナに直撃されて東京が壊滅的な被害を受ける」ともとれる描写なのである。
● ネット民が騒然となった 「AKIRAの予言」の中身
「ちょっと、何を言っているのかわからない」とシラけている人も多いと思うので、この不吉な描写を説明する前に、まずは『AKIRA』という作品と、昨年ネットで話題になった「予言」について簡単に解説しよう。
『AKIRA』は大友克洋氏が1982年から『週刊ヤングマガジン』で連載したSF漫画で、1988年にはアニメ映画も公開された。スティーブン・スピルバーグ監督をはじめ、世界中のクリエイターたちからも高く評価されている。SFだけあって、そのストーリーはかなりぶっ飛んでいる。
1982年に東京で新型爆弾が炸裂し、これが引き金となって第三次世界大戦が勃発。凄まじい爆発で巨大なクレーターができ、大半が水没してしまった東京は、戦争が終わると「ネオ東京」として復興の道を歩み出した。そして、東京オリンピックを翌年に控えた2019年のこの街で、『AKIRA』という凄まじい超能力を持つ子どもを巡って、薬で超能力が目覚めた少年・島鉄雄とその親友・金田、そして軍隊や新興宗教などが入り混じった争いが繰り広げられていく――という物語だ。

では、「予言」とは何かというと、まずはもうおわかりの通り「東京2020」の開催だ。そしてそれだけではなく、「東京2020中止」も示唆しているということで、大きな話題になったのだ。作品内で、その東京オリンピックの競技場の建設現場が描かれているのだが、そこには「開催まであと413日」という看板とともに、「中止だ 中止」という落書きがなされている。

またそれだけではなく、「コロナの流行」も的中させたと話題になった。劇中の世界で発行されていると思しき新聞に「WHO、伝染病対策を非難」という見出しがあったからである。

強引に結びつけているだけではないかと思う人もいるだろう。筆者もそう思っていた。実はこれらの「予言」については、筆者は昨年3月の記事「漫画『AKIRA』が新型コロナを予言!?ネット民が震える怖い噂の種明かし」の中で解説している。
作者の大友氏自身が『AKIRA』を「昭和の自分の記録」と位置付けているという事実から、1960年代に実際に起きた五輪反対運動、コレラやエイズなどの伝染病パニックが、作品に投影されたものではないかという指摘をさせていただいた。
令和日本の社会問題の多くが昭和日本から繰り返される「リバイバル」であることが、予言の正体ではないかと考察したのだ。
この考えは、基本的に今も変わらない。が、今の段階で改めて『AKIRA』をじっくり読んでみると、現在の日本が置かれた苦境を示唆しているとしか思えない「不気味な描写」がいくつかあるのも、また事実なのだ。
その中の1つが、前述した「時の権力者がガラガラのオリンピックスタジアムで、国民強制参加のイベントを強行すると、コロナに直撃されて東京が壊滅的な被害を受ける」ともとれる場面だ。
細かな背景は割愛するが、この作品では、AKIRAの力が解放されたことで壊滅的な被害を受け、無政府状態になったネオ東京で、2つのグループが勢力争いをする。鉄雄をリーダーとする「大東京帝国」と、ミヤコというこれまた超能力を持つ女性を教祖と崇める新興宗教だ。
瓦礫の中でボロボロの衣服を身にまとい、飢えや怪我に苦しむ都民を、ミヤコ教は教団本部に受け入れて、手厚くサポートする。一方、大東京帝国は、鉄雄の超能力を目覚めさせた薬物を配布するが弱者救済には力を入れない。当然人心が離れて、ミヤコ教にすがる都民が増えていく。
● 国民に全員参加を呼びかけても 五輪スタジアムはガラガラ
そこで、大東京帝国は勢力拡大を目指し、士気の高まるようなイベントをボロボロになったオリンピックスタジアムで開催する。「大東京帝国大集会」である。注目すべきは、都民にこんなアナウンスをしていることだ。

「大東京帝国国民に告ぐ 大集会である全ての国民は参加せよ!いかなる例外も許されない」
しかし、そんな「国の威信をかけた一大イベント」にもかかわらず、オリンピックスタジアムは、大量の都民が押し寄せるミヤコ教本部と比べると、ガラガラでイベントもちっとも盛り上がらない。その寒々としたムードは、現在のコロナ禍で「無観客」や「規模縮小」を余儀なくされた大型イベントと妙に重なる。
さて、ここまで説明をすれば、筆者が何を言いたいのか、何となくご理解いただけたのではないか。日本において、このように「全員強制参加」を呼びかけられる国家イベントといえば「五輪」しかない。
実際、JOCのスローガンには「全員団結」が掲げられているし、18年末には「朝日新聞」が、都立高校の教師が、クラスの生徒たちに本来は任意参加であるボランティアの申し込み用紙を配り、「全員出して」と言っていたと報じている。やっていることは、JOCも大東京帝国とそれほど変わらないのだ。
このような図式を踏まえると、大東京帝国がオリンピックスタジアムで開催した参加者がスカスカの「大集会」というのは、今夏に開催されるであろう観客席がスカスカの「無観客または規模縮小五輪」を暗示しているのではないか。
「そんなのはこじつけだろ」と冷笑するかもしれない。しかし、劇中においてこのオリンピックスタジアムで開催されたイベントが、その後空から降り注ぐ「コロナ」によって大混乱に陥った、と聞いたらどうだろう。
● 大量破壊兵器「SOL」が 連想させるコロナの恐怖
「大東京帝国大集会」の最中、会場には鉄雄を倒すために金田、さらにはかねてから鉄雄の命を狙う軍隊の大佐がやってくる。そして、この大佐が鉄雄の前に立ちはだかり、人工衛星からレーザー光線を地上に照射する大量破壊兵器「SOL」(ソル)を使用。


天から降り注ぐ巨大なレーザーに対して、鉄雄はかろうじて直撃を避けるも、その攻撃をきっかけに能力が暴走して肉体が崩壊し、化け物のような姿へと変化。そして大東京帝国の部下も次々殺してしまうなど、オリンピックスタジアムは大混乱に陥ってしまうのだ。


この後、物語はクライマックスを迎える。なんやかんやとあるが、最終的には東京では1982年時のような凄まじい爆発が起き、再び壊滅的な被害を受けてしまうのである。
ここで筆者が強調したいポイントは、「ソル」が五輪スタジアムに降り注ぐことによって、阿鼻叫喚の地獄が始まるということである。「SOL」とはラテン語で「太陽」を意味する。
このご時世、人々を地獄に突き落とす「太陽」と聞くと、どうしても「コロナウイルス」が連想される。この1年、何度もニュースで見かけたように、このウイルスを電子顕微鏡で見ると、膜に覆われた表面に突起のようなものが出ている。
「この突起が王冠(ギリシャ語でコロナ)や太陽の光冠(コロナ)のように見えることから、「コロナウイルス」という名前が付きました」(朝日新聞2020年3月22日)
ちなみに、「コロナ」の直撃を回避して化け物に変貌する鉄雄は、大東京帝国を立ち上げる前は「クラウン」という暴走族を牛耳っていた。クラウンの語源は「コロナ」である。
これらの奇妙な符号を眺めていると、このコロナ禍の中で、「無観客または規模縮小五輪」を強行するということが、東京、ひいては日本にとって何か恐ろしい悲劇を招くことになるのではないか、と感じざるをえない。
●「AKIRAの予言は正しかった」と 言われないよう、賢明な決断を
――などということを、「やりすぎ都市伝説」風にいろいろと語ってみたものの、もちろんこれは筆者が勝手に想像でつくり上げた話なので、あまり真に受けないでいただきたい。巷に溢れる「陰謀論」を見ていただければわかるように、まったく関係のない2つの事象をそれっぽく結びつけることは、実はそれほど難しくはないのだ。


たとえば、『AKIRA』で東京壊滅のきっかけをつくる「島鉄雄」と、五輪開催のカギを握る我らがリーダー、「菅義偉」。名字が「菅」「島」で一字という共通点があるが、そのビジュアルもよく似ている。画像検索していただければわかるように、鉄雄はかなり「おでこ」が広く、金田から「デコ助」などと呼ばれる。一方、菅氏も「おでこ」が印象的だ。
また、島鉄雄の「鉄」の字も菅氏を連想させる。『破産した弟がなぜJR企業の役員に? 菅首相と慶應卒弟のJR“既得権益”』(文春オンライン20年12月31日)や『菅官房長官の強固な「運輸人脈」 鉄道業界のヒト・カネの繋がり』(選択2019年8月号)などで追及されているように、菅首相はかねてから「鉄道」が政治力の源ではないかと指摘されている。
実際、地元で「菅系企業」の筆頭と言われているのは「京浜急行」。また、菅首相に大きな影響を与えたという父・和三郎氏は、「南満州鉄道」の社員だった。このように、数々の「鉄」との深い関係に加えてビジュアルの共通点を踏まえると、「菅義偉=島鉄雄」としか考えられない――といった感じである。
「世の中にはこんなアホなことを考えるヒマ人もいるのだな」とぜひ笑っていただきたい。誰もがイライラ、ギスギスしている今の日本に必要なのは、くだらない与太話を笑い飛ばす心の余裕だ。しかし、今の状況で五輪を強行することが、さらなる日本の混乱を招く恐れがあるということは、笑って済まされない事実だ。
菅義偉首相には、後世で「やっぱりAKIRAの予言は正しかった」などと言われないよう、日本国民の生活と健康を守るための賢明な判断をお願いしたい。


関連エントリ 2013/09/09 ⇒ 【2020年五輪】やはり最大課題は✍「汚染水対策」
「菅さん、貴方に総理はムリだったね」全国民が思ってること
現代ビジネス 2021年1月28日(木)7時02分配信
情熱と意志をこめたリーダーの言葉を、国民は欲している。だが彼は下を向き、原稿を棒読みして、ぶつぶつ呟くのみ。ああ、総理の器じゃなかったのか―。国難のさなか、皆、不安でいっぱいです。
当たり散らす日々
「小池が、犬と猿と雉を連れて来るんだって?」
2021年の新年は、コロナ禍とともに明けた。もはや隠しようもない。この国の為政者としての、菅による大失敗である。
菅は、東京都の小池百合子知事が緊急事態宣言を要請すべく、1月2日に神奈川、埼玉、千葉の知事と共に官邸に乗り込んでくると聞いた際、冒頭のように吐き捨てた。
「菅さんは『小池のパフォーマンスにやられた』と地団太を踏んだ。ただ、その後の世論調査でも『緊急事態宣言が遅すぎる』という声が圧倒的多数を占めているように、先手を打てなかった総理の判断ミス。これまでのコロナ対応はすべて裏目に出ていて、焦る菅さんは官邸で怒鳴り散らしています」(官邸関係者)
菅は普段、小池のことを「おてもやん」と呼んで揶揄している。
おてもやんとは熊本民謡などに登場する、白塗り厚化粧で頬に丸い紅という、滑稽で奇妙な容貌をイメージさせる女性像だ。「おかめさん」のような女性と言えば分かりやすい。
小池のことをその「おてもやん」に喩えて笑っているという話は、菅の周辺では有名な話だが、こんなことが小池の耳に入ったら、ただでさえ軋轢が噂される両者の関係が、ますます険悪になってしまうことは確実だ。
いずれにせよ、菅に対する国民の信頼は、完全に失われたと言える。1月7日、「必要ない」という自身の言を翻して1都3県への緊急事態宣言を発出した際も、なぜか時折ニヤニヤとしながら会見を行い、国民を失望させてしまった。
「こんにちは、ガースーです(ニタァ)」
先が見えないコロナのトンネルの中でもがく人々が見たいのは、そうした頓珍漢な人気取りをしたり、ヘラヘラと誤魔化したりするリーダーの姿ではない。覚悟と意志、決断力を持って、自分の言葉で国民に語りかけ導いてゆく総理大臣だ。
だが、どうやら菅には荷が重い。「器」ではなかった―。いまや、誰もがそう思っているだろう。
「官邸がまったく、機能していない」
そう語るのは、政権の中枢を知る政府関係者の一人である。
「菅総理に直接、進言をする人間が誰もいない。総理が話すのは、側近の和泉洋人補佐官だけ。菅さんは、自分の意に反する意見を聞くとキレて激怒してしまうから、誰も何も言えなくなった。
田村(憲久)厚労相すら、『コロナの感染状況が危機的だ』という報告をしたら逆鱗に触れ、同席した官僚が渡したペーパーを机の上に投げ捨てられたほど。田村大臣は精神的にかなり追い詰められ、心身ともに参っています」
話を聞かない、信用しない
菅が執念を燃やしているのは、コロナ対策よりも、「情報統制」だ。1月5日、朝日新聞が、「外国人新規入国、全面停止へ」という記事を報じた。
イギリス、南アフリカなどで確認されている変異ウイルスの国内への侵入を防ぐため、中国・韓国を含む外国人の入国を全面停止することを、政府が検討に入ったとする記事だった。
これに菅は、「漏らしたのは誰だ!」と激怒し、官邸内で厳しい「犯人捜し」が始まったという。
「菅総理に言わせると、検討中に過ぎない情報を漏洩したのは内閣官房の人間に違いないということで、和泉補佐官に指示を出し、躍起になって『犯人』を割り出そうとしました。メディアと付き合いがあるスタッフは、LINEで情報をやり取りしていないかなど、徹底的に調べられたようです。
菅さんは一部の外部有識者とは会って話を聞きますが、身内をまったく信用しない。部下は無能か、裏切り者ばかりと思っている。周囲もそんな総理の態度に辟易して、何も言わなくなる。すべてが悪循環になっている」(官邸スタッフ)
菅本人が宣言した通り、現在は緊急事態、日本にとっての国難だ。
コロナの感染拡大は止めなければならない。だが、経済を崩壊させるわけにはいかず、同時に国民の生活を守らなければならない―。
そこに明確な「正解」はない。そんなことは誰もが分かっている。だからこそ、国のトップは多種多様な意見に耳を傾け最善策を探り、その中で決断を下し、結果には責任を負うという、強い覚悟を示す必要がある。
だが、菅にはそれができない。「Go Toキャンペーンは感染拡大と関係ない」と強行しながら、批判を浴びると折れて中断する。「緊急事態宣言は必要ない」と言っていたのに、知事や世論の突き上げを食らうと、緊急事態を宣言する。
「柔軟」なのではない。菅の場合、支持率の急落(1月9~10日、共同通信社調査で前月比9ポイント下落の41・3%など)といった「世間の顔色」を窺い、その場しのぎで泥縄式に対応をコロコロ変えているだけだ。
「菅さんの信条は、『ブレないこと』だった。ところがコロナ禍の中で単に話を聞かない頑迷固陋な政治家と化してしまい、やることなすことすべてが非難を浴び、結果としてブレブレの状態になっているのは皮肉なことです」(自民党ベテラン議員)
官邸も党もバラバラ
リーダーとしての器、政治家としての「器量」とは何か。こんな話がある。菅の政治上の師である梶山静六(元官房長官)は、定期的に「悪口会」と称する会合を番記者たちと開いていたという。
「梶山さんは、記者を集めて『俺に関する悪評をすべて教えてくれ』と言って、自分がどんな批判を世間やメディアで受けているか、ひたすら聞く会を開いていました。
時には、記者たちが正直に伝える罵詈雑言があまりに酷いため、『バカにしているのか! 』と梶山さんが激怒して退席してしまうこともあった。それでも本人がすぐ気を取り直し、会は続いたのです。
菅さんには、そうした懐の深さがない。だから、周囲にイエスマンや太鼓持ちしかいなくなる。批判する者、反対意見を唱える者は、即時排除する。その器の小ささ、狭量さが、これまでのすべての失策に繋がっている」(自民党閣僚経験者)
官邸はもちろん、与野党も役所も、民間もすべてが一丸となって協力しなければ、到底、このコロナ禍は乗り切れそうにない。だが、菅にはそれをまとめるだけの「器量」がない。したがって、迷走し、混乱だけが広がっていく。
自民党代議士の一人がこう証言する。
「年明けから、加藤(勝信官房長官)さんが、森山(裕国対委員長)さんの事務所に何度も通っている。本来、官邸と国対委員長との間を繋ぐ坂井(学)官房副長官がまったく機能しないからです。
森山さんは『こんなに相談や報告に来ない奴は初めてだ』と怒っていた。それで仕方なく、加藤さんが国対とやり取りをする羽目になっている」
菅政権の後ろ盾は、言うまでもなく、二階俊博幹事長。両者の関係は蜜月と言われてきた。ところが実際は、双方の意思疎通がうまくいかなくなっているという。
「森山さんは、『国会議員の会食は4人まで』というルールを作ろうとして猛批判を浴びた。会食好きの二階さんに配慮したものでしたが、完全に『戦犯』扱いとなり、すこぶる機嫌が悪い。
一方で、下村(博文政調会長)さんが、『4月には政局になる』などと言い出し、『(下村が所属する)細田派が仕掛けてきた』と、派閥抗争の火種も生じている。
つまり、官邸、国対、党すべてが、いまやバラバラになって政府が空中分解しかけている。コロナ対策がうまくいくわけがないんです」(同)
菅が無力ぶりを露呈して苦悶する中、後見役を自任するはずの二階は、表面的には菅を擁護する立場を取っている。
「二階さんは1月7日、党本部に側近の林幹雄選対委員長代理らを集め、観光立国調査会を開き、『緊急事態宣言終了後の、速やかなGo Toキャンペーン再開』などを求めました。
政府へのかなりのプレッシャーになることは間違いありませんが、菅総理については、『支持率なんか気にすることはない。文句をつけようと思ったらいくらでもつけられるが、だったらお前がやってみろってんだ』などと言って庇っています」(二階派担当記者)
とはいえ、融通無碍で朝令暮改の二階のこと。こうした発言を真に受ける者はそう多くない。
「二階さんは、ポスト菅を見越して、自分の手駒探しを始めています。幹事長代行に据えた野田聖子に、『どんどん発信していい』とお墨付きを与えて露出させている。昨年末には密かに石破(茂元幹事長)とも会談し、手持ちのカードとして保持している」(二階派関係者)
菅がコロナ対策に失敗したのは、観光産業を重視する二階に対する度を越した配慮が原因と見られているが、だからと言って二階は、「菅と心中する」と考えるような男ではない。
重要なのは、「選挙に勝てる(人気の)総理総裁であること」。支持率が暴落した菅は、今後あっさり切り捨てられる可能性が高まっている。
もう解散もできない
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「菅政権は、かつての三木武夫政権に似ているような気がする」として、こう語る。
「'74年、田中角栄が金脈問題で辞任した後、当時の椎名悦三郎副総裁が、後継に三木さんを指名して三木政権ができました(椎名裁定)。ところが、三木さんがロッキード事件の真相究明に積極的に動き出すと、自民党内から猛反発を食らって、追い込まれたのです」
三木批判に回った者の中には、後継指名をした張本人の椎名も含まれていた。「なぜ?」と聞かれた椎名は、「(政権を)生んだのは私だが、育てると言った覚えはない」などと嘯いたとされる。
「三木さんは解散総選挙に打って出て局面を打開しようとしましたが、閣僚を含め周りが反対して任期満了まで選挙ができず、最後には惨敗して辞任しました。
三木さんと菅さんの共通点は、三木さんは弱小派閥で菅さんは派閥さえなく反主流派だったこと。そして、権力者の二階幹事長による『裁定』でできた政権という点です。
二階さんも、自分が作った政権だからといって、体を張って菅総理を守るかといえば、それは考えられない。三木おろしをやったのは当時の福田派と大平派ですが、今で言うと、細田派と麻生派になります」(伊藤氏)
菅の命運はこのまま尽きてしまうのか。自民党幹部の一人もこう語る。
「ここまで不人気になっては、菅総理に解散をする力はなく、10月の任期満了まで待って選挙が行われる可能性が高い。
その直前、9月の自民党総裁選で国民人気の高い『選挙の顔』を選ぶことになるが、小泉進次郎などは経験不足だし、めぼしい候補がいない。顔になり得るのは河野太郎(行革相)くらいか」
国民にとって不幸なのは、いずれにしてもコロナ禍は当面、菅総理のもとで戦わざるを得ないということ。穴の開いた器で水を掬うような、虚しい努力になりはしないか……。(文中一部敬称略)
東京五輪「観客は50歳以下限定」医療関係者の仰天プラン
東スポWeb 2021年1月28日(木)11時30分配信
新型コロナウイルスの影響で東京五輪開催の可否や開催方式が見えてこない中、医療関係者から仰天プランが飛び出した。感染症に詳しいナビタスクリニックの久住英二理事長は「無観客開催が理想」とした上で、観客の入場年齢を「50歳以下」に限定することを推奨。一歩間違えれば差別問題に発展しかねないが、医療崩壊を食い止めない限り、安全な開催は保証できないという。
久住理事長はまず、新型コロナウイルスに感染した患者のリスクについて、こう説明した。
「英国での医療記録をもとに約1700万人を対象に調査をした結果、圧倒的に年齢がリスクだということが分かっている。糖尿病や高血圧なんてどうでもいい。合併症のある50歳より、合併症のない60歳の方がはるかに重症化しやすい。年齢が圧倒的に重症化や死亡リスクに関係している」
実際に厚生労働省のデータ(昨年11月時点)でも、50歳以下の重症化率は0・3%だが、60歳以上になると8・5%に上昇。死亡率も50歳以下は0・06%と低いものの、60歳以上は5・7%にまで膨れ上がっている。
そんな状況を踏まえて「どうしても観客を入れるのであれば、年齢制限をしたらどうか。ぶっちゃけ、重症化しても病院に入れてもらえない状況がある中で、入院するような状態になる人が増えなければいい。入院が必要なくて、医療現場に負荷がかからないような人たちに限定して観客を入れたらいいと思う」と提案した。
苦肉の策とはいえ、年齢制限を実施した場合、高齢者から批判の声が噴出するのは確実。差別問題にまで発展しかねない。それでも「ウイルスは明らかに高齢者の人たちをたくさん殺しにいっている。それを『みんな権利は同等だから』って言って、年齢で分けたりせずに、同等に扱ったりするのはちょっとどうかなと思う」と主張するのも、あくまで医療崩壊を危惧してのことだ。
その上で「お年寄りが亡くなる病気なのにお年寄りが出歩いていたら、病院がいくらあっても足らない。前回の東京五輪(1964年)を見て、もう1回、五輪を見られると思ってチケットを購入した高齢者は、若い方にチケットを譲ったらどうか。高齢者への差別でもなく(新型コロナウイルスに)かかったときに入院できる病院がなくなるので」と理解を求めた。
ただ理想とするのは無観客。「若い人たちの間でも感染が広がれば、やがて50歳以上の人たちのところにも新型コロナウイルスが届くので(年齢制限も)あまり望ましくはない」とくぎを刺すのも忘れなかった。最近は新型コロナウイルスに感染しても入院先が見つからず、自宅療養中に亡くなる高齢者が相次ぐなど医療崩壊の危機が迫っており、IOCや組織委も何らかの決断を迫られそうだ。
コロナ入院拒否の“懲役・罰金”削除で与野党合意
共同通信 2021年1月28日(木)10時52分配信
自民党の森山裕、立憲民主党の安住淳両国対委員長は28日、国会内で会談し、新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案修正を巡り、感染症法改正案に導入された入院拒否者らへの刑事罰を削除することで合意した。
行政罰の過料に変更する。特措法改正案で規定する営業時間短縮命令に従わない事業者への過料は、金額を引き下げる方向で検討する。
緊急事態宣言の前段階となる「まん延防止等重点措置」を発令する際の国会報告を政府に要請することも確認した。
入院拒否者に対する「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」と、疫学調査拒否者に対する「50万円以下の罰金」を過料に修正する。