« 【特別読み物】MMA“レジェンド”「完敗」後、勝者を称える振る舞い | トップページ | 【白昼の銀座】ルビー盗難(30億円相当)警視庁「事件性なし」と判断!? »

2021年1月26日 (火)

【台湾新幹線】台湾高速鉄路<価格交渉打ち切り>提示額に不満表す

 日本の提示額高すぎる台湾新幹線 日本連合との交渉打ち切り 

読売新聞オンライン 2021年1月25日(月)22時32分配信

 台湾新幹線を運営する台湾高速鉄路は20日、日立製作所、東芝の日本連合が提案していたJR東海の新型車両「N700S」の購入交渉を打ち切ると発表した。日本側の提示額が高すぎるとしている。

 台湾高鉄は、「今後は第三者からの購入も含め、新たな調達戦略の検討を行う」としている。台湾新幹線の利用客の増加などで、新たに12編成を調達することになり、日本側と交渉を進めていた。

 現地報道によると、2012年に東芝と川崎重工業の日本連合が受注した現行の「700T」は、1編成あたり約20億台湾ドル(約53億円、当時)だった。だが、今回の日立・東芝連合の提示価格は約50億台湾ドル(約185億円)だったという。

 旧型よりも調達が少ないことに加え、台湾向けの独自の仕様に対応するコストがかさむことなどが要因とみられる。

 台湾側は提示価格を受け入れず、「航空機価格で鉄道を買うようなものだ」との批判も出ているという。連合を組む日立と東芝インフラシステムズはいずれも「個別案件には答えられない」としている。

 07年に開業した台湾新幹線は、東海道新幹線「700系」をベースに台湾向けに開発された「700T」34編成が、台北―高雄間を1時間半で結んでいる。

Photo_20210126130401

 安倍・菅政権肝煎り新幹線輸出頓挫 台湾が新車両購入拒否 

日刊ゲンダイDIGITAL 2021年1月24日(日)9時26分配信

「一体、日本は何様のつもりか! 客はこっちなんだ!!」

 日本の新幹線輸出唯一の成功例とされる台湾高速鉄道関係者は怒気を隠さずに吠えた。台湾高鉄は2019年に日本製新規車両の購入を決定。2年近くたった今年1月20日、2回の入札を経て、日本製新規車両購入を拒否する決定を下した。

 台湾高速鉄道は07年に開業。川崎重工、日立車両、日本車両が製造した700系の台湾仕様である700Tを34編成(1編成12両)購入している。旅客需要の伸びから19年2月には新規車両の購入を決定。世界の車両メーカーに入札を呼び掛けた。しかし、応札したのは日立、東芝を中心にした日本企業連合だけ。

「独シーメンス、仏アルストムの欧州連合は全く興味を示そうとはしませんでした」(同)

 欧州連合は1997年すべてを落札しながら、その直後から李登輝ら親日派を動員して巻き返し工作をした日本連合に、上下分離方式の上の部分である車両と通信を逆転受注された。このため今回は洞が峠を決め込んだ。19年2月と20年8月の2回の入札に応じたのは日立、東芝を中心とする日本企業連合だけ。その応札価格は台湾側の希望価格と大きな隔たりがあるという。

「当初導入した700Tの原型である700系が日本では既に退役。パーツすら提供しないというんだ。となると後継車両であるN700Sのフルスペックで台湾仕様にしたものを買わざるを得ない。日本側は洗浄便器までつけてくるが台湾では全く必要ない」(同)

 日本連合の入札価格は12両8編成で869億円、1編成当たり約108億5000万円。12年に700Tを4編成追加購入した際の約45億9000万円の倍以上に相当。これでは流札もやむを得まい。今後は新たな購入計画を模索、第三国からの購入の可能性も追求するという。台湾高鉄のいう第三国は欧州連合を念頭においてのものであることは言うまでもない。

 第2次安倍政権以来、国策として推進してきたインフラ輸出は原発が絶望。台湾では唯一の成功例である新幹線も切られ、米国で進めてきた東海岸、テキサス新幹線も、アムトラックが最大の支援者であるバイデン当選でさらに暗雲が垂れ込めている。安倍政権を継承した菅政権、掛け声ばかりのインフラ輸出のメッキが就任4カ月で早くも剥がれ始めた。

台湾新幹線新車両日本側提示価格高騰破談日台協力の象徴暗礁

産経新聞 2021年1月24日(日)19時30分配信

Photo_20210126130701

 日本の新幹線技術を海外で初めて採用し「台湾新幹線」とも呼ばれる台湾高速鉄道(高鉄)は20日の役員会で、日本側と交渉していた新車両の導入案件を取り消すと発表した。高鉄は日本側が提示した価格が8年前の追加購入時の2・5倍に上るのは高額すぎると反発し、政治案件化していた。今後は日本以外からの導入も検討するとしており、「日台の経済協力の象徴」は暗礁に乗り上げた。

 高鉄は2007年に開業し現在、川崎重工などが製造した「700T」型の車両を1編成12両で34編成、運行。北部・台北と南部・高雄を約1時間半で結ぶ。利用客の増加などから12編成の追加を計画し、19年2月に国際入札を行ったが不調に。昨年8月に再度、入札を実施したが今月20日、「提案価格と市場実態に過大な差がある」として案件を取り消した。

 台湾の報道によると、応札していたのは日立製作所と東芝の2社による「日本連合」のみで、日本側は最新の「N700S」型を1編成当たり約50億台湾元(約185億円)で提案した。これに対し、高鉄側は、12年に4編成を追加購入した際の700Tは1編成当たり約20億台湾元だったのと比べ、価格が2・5倍に高騰したことに加え、日本でのN700S型の1編成(日本では16両)当たりの価格約45億円(約12億台湾元)と比べても高すぎると反発。台湾メディアの上報によると、高鉄の役員は「電車ではなく航空機の価格だ」として、値下げ交渉に向け、日台双方の交通当局の介入を希望した。

 台湾の林佳龍交通部長(国土交通相に相当)は昨年12月10日、「価格は合理的でなければならない」と発言。これに先立ち、林氏自らJR東海の有力者に手紙を送り、日本連合への影響力発揮を依頼したとの報道もあった。

 そもそも高鉄は1997年にいったん独仏企業連合が受注したものの、99年に日本企業連合が逆転で受注した経緯がある。同年の台湾中部大地震を受け、李登輝総統(当時)が日本側を推したとされ、「日台協力の象徴」と位置付けられてきた。日本では「新幹線システムの初の海外輸出例」とされるが、台湾では「欧日混血」と表現され、一部に欧州の安全基準を採用したため、追加費用で日本での販売額より車両価格が高くなる要因も指摘されている。

 だが、高鉄関係者の話によると、列車運行システムの特許は日本側が一手に握っているため欧米企業の参入は困難で、一連の国際入札も事実上、日本企業以外に選択肢はなかった。台湾側には、日本側が特許を盾に不当に高い価格を押し付けているのではないかとの不信感もある。

 一連の入札案件について産経新聞の取材に、日立製作所は「個別案件の回答は控える」、東芝は「個別の商談に関わり答えられない」としている。

Photo_20210126123801

 台湾新幹線国際入札りの裏側、欧州製を導入

東洋経済オンライン 2021年1月23日(土)5時31分配信

 日本の新幹線輸出唯一の成功例、台湾高速鉄路(高鉄)が1月20日、日本企業連合の新規車両購入に関する交渉を打ち切り、第三国からの購入も含めて新たな調達を模索することとなった。高鉄の今回の決定は第2次安倍政権以降、国策として推進してきたインフラ輸出にも今後大きな影を投げ落とすこととなろう。

 高鉄はこの日、役員会を招集。日立製作所・東芝を中心とする日本企業連合の新規車両購入に関する対応を緊急討議した。高鉄は2019年2月、旅客需要の伸びから新規車両購入を決定、世界の車両メーカーに入札を呼びかけたが応じたのは日立・東芝を中心とした日本企業連合だけ。この時、入札価格と高鉄側希望価格の間に大きな隔たりがあったため、昨年8月に再度入札を行ったが、価格差は埋まらずこの決定に至った。

なぜN700Sよりも高いのか

 高鉄は12両1編成で12編成の新規購入を予定。このうち8編成を入札にかけた。現地報道によれば日本連合が高鉄に提示した1編成当たりの価格は50億台湾ドル(約186億円)。一方で、高鉄の関係者は日本連合の入札価格は8編成で233億台湾ドル(869億円)、つまり1編成当たり29億台湾ドル(108億5000万円)としている。

 高鉄は現在使われている700T(東海道山陽新幹線700系の台湾仕様。Tは台湾のT)を2012年に4編成を追加購入しているが、この時の1編成価格45億9000万円の倍以上に相当する。しかし、今回新規購入をするのは700Tではなく、700Tの後継車両。日本メーカーが製造するとしたら、最新の東海道新幹線N700Sを台湾向け仕様に改める可能性が高い。高鉄関係者は怒気を隠さずにまくしたてる。

「N700Sは日本では1編成16億台湾ドル(約60億円)と聞いている。それが台湾向けになるとなんでこんなに跳ね上がるんだ!」

 高鉄は日本企業連合に抜き差しならぬ不信感を抱いている。高鉄の開業は2007年。これまで12両編成34本の700Tを購入している。しかし、700Tの原型となった700系は2020年に東海道新幹線から退役。これに伴って700T用のパーツも製造停止となり、高鉄は新型車両の購入を模索しなければならなくなった。

「日本から購入した700Tはまだまだ使えるのにパーツは提供してもらえなくなった。新規車両購入に追い込まれたあげく、応札してきた価格は倍以上。日本の古き良き商道徳はどこへ行ったんだ。これではもはや話のしようもない!」(同)

 日本企業連合はN700Sに若干の台湾仕様を施すものの、基本はフルスペックでの購入を譲らないという。日本では台湾高速鉄道を日華親善協力の象徴と受け止められているが、台湾の受け止め方は決して日本とは一致しない。特に高鉄の日本に対する不信感は開業のはるか前まで遡ることができる。

 台湾が高速鉄道建設を決めたのは李登輝が初の民選総統となった翌年の1997年のことだった。BOT(一括事業請負後譲渡)方式で民間会社が建設、運営して投下資本回収のための一定期間の後、政府が高速鉄道そのものを回収するというプランである。

Photo_20210126124101

 これに応じたのが李登輝の金庫番と言われた劉泰英率いる中華高速鉄道連盟と、台湾実業界立志伝中の人物であるエバーグリーングループの総帥、張栄発とゼネコン女性経営者、殷琪(伯父は日中戦争時、国民党から対日協力に走り、北京郊外に冀東防共自治政府を建てた殷汝耕。日本の敗戦後、漢奸として銃殺)ら台湾財界が結集した台湾高速鉄道連盟の2社で一騎打ちとなった。

鉄道車両と戦闘機がバーターに

 台湾高鉄は独シーメンス、仏アルストムのヨーロッパ方式、中華高鉄は日本の新幹線方式導入を目指し、日欧の代理戦争となった。当初、日本語を流暢に操る李登輝の金庫番、劉泰英が率いる中華高鉄有利とみられていたが、ふたを開けてみれば台湾高鉄欧州方式が受注した。当時、日欧代理戦争を取材したベテラン記者は振り返る。

「最も力があった時の李登輝ですら、その決定には口をはさむことはできませんでした。まず劉泰英自身が政府の中で疎まれていたこと。金庫番というのは国民党の党有資産を投資、管理する中華開発の責任者だったということですが、黒い金を李登輝のために集めていた。それで行政院長(首相)、交通部長(国土交通相)が支持しなかった。価格面では台湾高鉄が中華高鉄よりも圧倒的に安価ではあったが、安全保障の要因がさらに大きかった」

 アメリカはクリントン政権時代、対中関係を重視して台湾のF16売却を拒否。台湾は仏独に代替武器を求めるほかなかった。フランスはミラージュ200-5を60機台湾に売却した。それとバーターで高鉄が日欧代理戦争に勝利することとなったというのだ。

 これにあわてたのが橋本龍太郎、小渕恵三の2人で、何とか逆転発注しなければいけないと親台派の梶山静六、佐藤信二らを台湾にお百度参りさせ、政財界要路に対する工作を開始した。当時を知る台湾政商はその熱気は凄まじいもの立ったと振り返る。

「張栄発、殷琪ばかりか親日派財界人総なめといってもいいほどの活動でした。李登輝さんが最終的に決断したと巷間言われていますが、事実は違う。政府はすでに高鉄に受注させていたのだから、政府はもはや口出しはできない。高鉄が独自に判断した。その決定権者は最高実力者だったエバーグリーンの張栄発しかいません」

 その決断は鉄道を車両と通信システムを日本方式、そして軌道・トンネル・橋梁などを欧州方式とするというものであった。

高鉄とJR東海のあつれき

 日本企業連合は当時の東海道新幹線の主力だった700系を台湾向け仕様の700Tとして、川崎重工業が19編成、日本車両製造が8編成、そして日立が7編成の計34編成を高鉄に納入。運行システムに関してはJR東海が技術協力をするという陣立てである。この陣立てを日本式と欧州式の“上下分離”が直撃する。上下の下に当たるプラットフォームの長さから700Tには、700系の全編成に整備されている乗務員乗降用扉が設けられず、JR東海がこれでは日本が誇る安全運行の保証はできないとクレーム。また、高鉄がフランスから乗務員を招聘するとJR東海は日本での台湾乗務員研修にノーを出す。

「葛西さんは何様のつもりか知らないけれど、高鉄でフランスから乗務員を招聘するなど主要業務の中心的人物だった米系中国人の解雇を要求しましたよ。殷琪らが日本に視察に行った際には極めて冷淡な対応で、帰台後には台湾人は今でも植民地統治時代の2等国民なのか、どっちが客だったのか分からない、と立腹していました」(同)

Photo_20210126131001

「葛西さん」とはJR東海の名誉会長、葛西敬之氏であることは言うまでもない。高鉄にとっては納入業者でもなく、運行システムの協力者に過ぎない葛西氏がなぜそれほど居丈高に台湾に臨めたのか、理解の範疇を越えていたのだろう。

 最大の納入業者だった川重は高鉄への納入後、台湾海峡の向こう側で高速鉄道を模索していた中国と車両、技術提供の契約を結ぶ。これに葛西氏は世界一安全な日本の新幹線とその運行システムが中国に盗まれると強硬に反対。JR東海自体が中国との関係を結ばなかったばかりか、川重をN700Sの開発から外してしまう。

 川重は中国に対し、単独でJR東日本のE2系をベースに3編成を完成品として納入。ライセンス契約も取得した中国は6編成分を部品として輸入した後、ノックダウンで完成させ、中国国内で51編成を製造。2005年から2015年までの間に60編成を中国にもたらした。葛西氏の懸念するように中国と川重は運行速度などでもめごとはあったものの、同時に中国はシーメンス、ボンバルディアなど世界的な車両メーカーからも車両と技術を導入。中国は日欧から導入した車両、技術を種子として独自に開発を進め、浙江省温州で重大事故はあったものの今では営業距離で3万kmを超える高速鉄道網を築き上げてしまった。

 高鉄は1月20日の役員会で今後は新たな車両調達先に第三国を挙げたが、欧州連合を念頭に置いてのことであることは間違いない。上下分離が解消されれば日本式の新幹線よりもぴったりと身の丈に合ったトンネルや橋梁などを欧州規格の車両が走り抜けていくかもしれないし、日欧からの種子をもとに独自に発展を遂げた中国製車両が海峡を越えてやってくる可能性も完全に排除することはできない。

菅首相も官房長官時代に答弁

「ご指摘の案件は民間企業ベースの問題ではありますが、日台の企業間に置いて適切に交渉が進んでいくことを期待しております。(中略)今後も台湾高速鉄道が台湾の経済、社会および日台関係、その更なる発展に引き続き寄与することができるように期待してまいりたいと、こういうふうに思います」

 昨年8月5日、当時官房長官だった菅義偉首相は会見で高鉄入札不調の情報を入手した記者の質問にこう答えた。そのときには宰相の座を虎視眈々と狙っていたのだろう。施政方針演説で言及した政治の師匠、梶山静六が上部逆転受注のためにどれだけの汗をかいたのか、その記憶は頭の中には皆無だろう。

Photo_20210126125801

関連エントリ 2017/02/18 ⇒ 【日経平均】5営業日ぶり✍大幅反発<2万3000円>目前!!
関連エントリ 2016/02/21 ⇒ 【台湾新幹線】違法な“削井(試錐)工事”多発✍「地盤沈下」拡大中
関連エントリ 2014/05/12 ⇒ 【中国高速鉄道】アフリカの地で✍「チャイナ・スタンダード」。
関連エントリ 2011/07/12 ⇒ パクリ新幹線作った技術者「怖くて乗れない」!!

 台湾新幹線たった4編成国際入札のナゼ 

東洋経済オンライン 2017年12月18日(月)5時30分配信

新型N700S登場待てず台湾日本見限ったのか

 台湾を南北に貫く高速鉄道「台湾新幹線」は日本の新幹線技術を導入して運行している。その運営会社・台湾高速鉄路から、高速鉄道車両4編成を国際入札方式で調達するという話が今年7月に飛び出した。

 台湾高鉄の担当者は「入札スケジュールは未定」としながらも、入札の前段階として「世界中の大手車両メーカーに対し、EOI(関心表明書)の提出を打診しようとしている」と、国際入札に向け着々と準備を進めている。

 台湾の高速鉄道車両は34編成すべてが日本製。日本にとっては、新幹線の海外展開の成功例という位置づけだ。台湾高鉄が4編成を新たに調達するといううわさはかねてからあり、新幹線製造で実績のある川崎重工業が受注することが当然視されていた。そこへまさかの国際入札。はたして、台湾高鉄は日本を見限ったのか。

川崎重工が追加製造オプションを持っていたが…

 台湾の高速鉄道は2007年に台北―左営(高雄)間が開業。もともとこの計画は、商社やメーカーで構成される日本連合と、ドイツやフランスのメーカーを中心とする欧州連合との間で争われ、1997年に入札額の低い欧州連合が優先交渉権を得た。しかし、1998年にドイツで高速鉄道ICEの脱線事故が発生したこと、そして1999年に台湾で大地震が発生し地震リスクが懸念されたことで、形勢が逆転。新幹線の安全性がクローズアップされ、最終的には、日本連合が車両や運行管理システムなど根幹部分の受注に成功した。

 高速鉄道車両「700T」は東海道・山陽新幹線「700系」をベースに開発された。川崎重工業、日本車輌製造、日立製作所の3社が2005年までに30編成を製造。その後、台北―南港間約10kmの延伸が決定し、2016年の延伸開業時には車両数が不足することから、川重が2012~2015年にかけて4編成の700Tを追加製造した。その際、台湾高鉄は将来さらに利用者が増えた際に生じる車両不足に備え、川重に700Tをさらに4編成追加製造するオプションを与えていた。

 こうした状況で突如浮上した国際入札。自然に考えれば、台湾高鉄は手続きの煩雑な国際入札ではなく、オプション契約を持つ川重に発注するのが利にかなう。しかし、「オプションは消滅してしまった」と川重の担当者は話す。

 たったの4編成。台湾高鉄がそれを川重への発注から国際入札に切り替えるのはなぜだろう。まず考えられるのは、同社が2015年に「実質国有化」されたことの影響だ。台湾高鉄は新幹線開業の遅れや運賃収入が当初計画を下回ったことから累積赤字が膨らみ、経営破綻の危機に陥っていた。そのため2015年経営再建を図ろうと、政府の出資を受け入れた。国の関与が強まったことから、従来の随意契約ではなく、透明性の高い国際入札が求められているという理屈は筋が通る。

「日本メーカーの車両価格が高いので、国際入札に切り替えた」という見方も現地で出ている。台湾高鉄が2012~2015年に川重から調達した4編成の購入価格は66億台湾ドルとされる。当時の為替レートで1編成当たり45億円。東海道新幹線700系は1編成当たり約40億円で、確かに割高感はある。1編成当たりの車両数も700Tが12両、700系が16両で、台湾のほうが少ないことを考えれば、割高感はさらに強まる。

部品が調達できず、車両が造れない

 しかし、34編成がすべて日本製の同一車両なのに、追加の4編成だけをわざわざ国際入札で調達すると、車両の仕様が変わって運行管理やメンテナンスを煩雑にするだけだ。現行車両で統一しておくほうが格段に楽だということは誰にでもわかる。そもそも、経営破綻の危機から国有化された台湾高鉄であれば、新型車両を導入することで発生する余計な支出も避けたいはずだ。

 そんな中、事情をよく知る関係者が真相を明かしてくれた。「台湾高鉄は700Tを望んでいたが、必要な部品が調達できず700Tが製造できなくなったことが、国際入札に切り替わった理由だ」。

 700Tのベースとなった700系は、N700系が登場するまで東海道・山陽新幹線の主力車両として活躍。約90編成が製造されたが、2006年に製造が終了。すでにN700系への置き換えが始まっており、2019年度までに700系は東海道新幹線から姿を消す予定だ。つまり700系自体が古いため、必要な部品がすでに存在しないというのはありうる話だ。そうはいっても、部品が足りないならまた造ればよいのではないかという気もする。だが、「造れない」ということで決着した。

 実は、造らないほうが得策という理由が日本側にはある。東海道新幹線で700系が新製から十数年で引退していることを考えれば、700Tも2020年代半ばまでに引退時期を迎える。そして、700Tに代わる新たな車両は、JR東海が現在開発中で2020年に営業運転を行う「N700S」をベースに開発されるというのが、最も有力なシナリオである。

Photo_20210126125701Photo_20210126130101

 新幹線は車両ごとにコンバータや変圧器などの異なる床下機器が搭載されている。そのため東海道新幹線の標準である16両編成の列車から12両編成である台湾新幹線700Tを開発するためには、床下機器の再配置という開発工程が必要だった。

 N700Sは床下機器の小型・軽量化により、車両のバリエーションを大幅に削減。16両だけでなく、8両、12両といったさまざまな編成に対応できる(「JR東海・東日本、『新型』新幹線はこう変わる」)。つまり、N700Sをベースにすれば、700Tの開発で必要だった12両編成に対応させる改造工程が不要になり、車両の製造コストを下げられる。

 日本側のベストシナリオは4編成を新造せず、現行車両をフル稼働させることで当面は乗り切り、2020年以降にN700Sをベースとした新型車両を一気に受注するというものだ。しかし、台湾高鉄はそんな日本の思惑をくみ取ってくれなかった。

油断禁物、欧州勢が入札参加か

 現在の状況はどうなっているか。台湾高鉄は「各メーカーに意向を確認している段階で、まだ入札開始の予定は立っていない」としている。台湾高鉄の提案を受け独シーメンス、仏アルストム、あるいは中国中車といった世界のメーカーが採算性などの観点から入札すべきかどうか検討を行っているのだろう。日本が入札するとしたら、現行のN700系をベースに開発した車両ということになるだろう。では、その場合、日本に勝ち目はあるのだろうか。

「心配はしていない。おそらく日本勢が選ばれるはず」と、前述の関係者は自信満々だ。欧州の技術は信用されていないからだというのだ。台湾の高速鉄道は、車両など根幹部分は日本製だが、欧州システムが採用されている部分もある。しかしドイツ製の分岐システムでトラブルが多発するなど、現場で欧州製のシステムに手を焼いているのは事実だ。仮に入札不調に終わったら、2020年以降に一気にN700Sベースを導入というベストシナリオが待っている。

 しかし、油断は禁物だ。前回、日本製に逆転受注を許した欧州勢にとって、今回の国際入札は雪辱戦である。わずか4編成だけを考えれば、うまみの少ない案件だが、これを落札すれば、将来の700Tの置き換えというビッグプロジェクトで、再び日本から主導権を奪い返す可能性があるからだ。価格が決め手になるのであれば、中国勢参入の可能性もゼロではない。

 アジアでは高速鉄道の導入を検討する国が多い。小型案件でも、他国に先駆け新幹線を導入した台湾の動向は、アジア諸国の高速鉄道戦略に大きな影響を与える可能性がある。日本にとっては気の抜けない戦いが続く。

 

« 【特別読み物】MMA“レジェンド”「完敗」後、勝者を称える振る舞い | トップページ | 【白昼の銀座】ルビー盗難(30億円相当)警視庁「事件性なし」と判断!? »

高速鉄道関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 【特別読み物】MMA“レジェンド”「完敗」後、勝者を称える振る舞い | トップページ | 【白昼の銀座】ルビー盗難(30億円相当)警視庁「事件性なし」と判断!? »

無料ブログはココログ
2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31