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2021年1月13日 (水)

【コロナ第3波】政府「緊急事態宣言」✍11道府県に拡大

大阪福岡愛知など7府県に緊急事態宣言11都府県に拡大

毎日新聞 2021年1月13日(水)18時30分配信

 菅義偉首相は13日、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて政府対策本部の会合を開き、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域として新たに大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡の7府県を追加すると表明した。期間は14日から2月7日まで。既に東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県では今月8日から宣言を再発令している。対象地域は3大都市圏を含めた11都府県に拡大した。

 首相は対策本部会合で「年末からの首都圏、特に東京での急速な感染拡大に加え、年明けからは中京圏、関西圏でも感染者数が急増し、強い危機感を持っている」としたうえで、「大都市圏についてはそこから全国に感染が広まる前に、対策を講じる必要があることを踏まえて判断した」と表明した。国と宣言対象都府県との連絡会議を設置する方針も明らかにした。会合に先立ち、首相の諮問を受けた専門家による「基本的対処方針等諮問委員会」は、宣言の対象に7府県を追加する政府の方針を了承した。

 西村康稔経済再生担当相は、衆院議院運営委員会で対象地域拡大について事前説明を行い、「7府県では感染が拡大し、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)するなど非常に厳しい状況だ。知事と状況認識を共有し、7府県も緊急事態措置を実施すべき区域に加えるべきだと判断した」と述べた。

 7府県では4都県と同様に、飲食店の午後8時までの営業時間短縮と、酒類の提供を午前11時から午後7時までに短縮することを要請。要請に応じない場合は店名を公表できる。映画館、スポーツクラブといった運動・遊興施設などを対象に午後8時までの時短を働きかける。

 「出勤者数の7割削減」に向けたテレワークの推進も求める。昼間を含めた不要不急の外出自粛も要請し、特に午後8時以降は徹底するよう求める。学校への一斉休校は求めず、大学入学共通テストや高校入試は予定通り実施する。

 菅義偉首相迷走記者会見 言い間違え、質問に答えず… 

朝日新聞デジタル 2021年1月13日(水)23時09分配信

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の対象区域を広げる重要な局面を迎えた13日、菅義偉首相は肝心の県名を言い間違え、記者会見ではやりとりがかみ合わない場面も見られた。コロナ対応を担う西村康稔経済再生相や、政府分科会の尾身茂会長がそのフォローに追われた。

 まずは13日夕の政府対策本部。NHKの中継が入るなか、首相は「大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、静岡県、栃木県の7府県について、特措法に基づく緊急事態宣言の対象といたします」と述べた。県名に「岡」が共通する福岡と静岡を言い間違えたようだった。慌てた記者団に、会議を終えた西村経済再生相は福岡県ですと言い残して首相官邸を去った

 その後の記者会見。感染者が保健所による行動歴などの調査を拒否した場合の罰則導入や、事例の公表などについて問われると、首相は「どのぐらい協力のいただけないケースがあったのか、実例について申し上げる必要があると思っていると述べ、罰則導入については語らずじまい。尾身会長が「協力してもらえるような支援の仕組みというのをした方がいいという意見と、最低限の罰則も場合によってはやむを得ないという意見がある」と解説を加えた。

 飲食店への営業時間の短縮要請の効果や、休業要請に踏み込む可能性について質問が飛ぶと、首相は「今回、さらに対策をお願いするので、必ず効果が出てくる」としたうえで、「専門的な視点から、先生、よろしいですか」と発言。尾身会長が最悪のことも想定しなくてはいけない。最悪の場合は休業要請は選択肢としてあり得るし、そうではないベスト系のシナリオもあると語った

国民皆保険、見直し?

 医療体制を強化するための法整備をめぐっては、首相は「国民皆保険、そして多くのみなさんがその診察を受けられる今の仕組みを続けていくなかで、コロナがあって、そうしたことも含めてもう一度検証していく必要があると思っている。必要であれば、そこは改正をするというのは当然のことだと思うと述べた発言の真意は不明だが、国民皆保険を見直す考えを示したとも受け取れる発言だった

西村最後の船発言、福岡県知事言った撤回

朝日新聞デジタル 2021年1月13日(水)23時41分配信

 政府が緊急事態宣言を出した福岡県の小川洋知事は13日夜に開いた臨時記者会見で、同日朝の記者団とのやり取りで明かした西村康稔経済再生相の発言内容を一部修正した。

 小川氏は13日朝、県庁への登庁時に記者団の取材に応じ、12日に政府のコロナ対応を担当する西村氏と2度電話で協議したと説明。福岡県を宣言対象に加えたいという西村氏に対し、小川氏は感染状況がさらに悪化した場合に福岡県を宣言対象に加えるよう求め、西村氏から「(宣言の)追加指定は考えていない。最後の船だ」との説明があったとした。小川氏はそれを理由に「私としては(宣言は)やむをえないと判断した」と述べた。

 小川氏の説明を受けて、朝日新聞を含む複数のメディアが西村氏が「最後の船だ」などと発言したと報道した。

 だが、小川氏は13日夜の会見で「言い過ぎたところがあり、発言を撤回したい」と自ら言及した。西村氏とのやり取りを振り返り、福岡県を宣言対象とするかもう少し時間をかけて判断するべきだと主張した小川氏に対し、西村氏は「時間をかける余裕はない」「国としては福岡県と九州の感染状況を踏まえれば、福岡県において短期集中的に感染を抑えこむ必要がある」と述べたと説明を修正した。

 小川氏は「(西村氏の)その答えをもって『追加指定はないと私自身が判断し、私が追加指定がない』『最後の船だと表現してしまった。(西村大臣がおっしゃったわけではない」と話した。

 1週間足らずで方針転換緊急対象拡大」菅首相、えぬ出口戦略 

時事通信 2021年1月14日(木)7時12分配信

 新型コロナウイルス感染拡大への対処に苦慮する菅義偉首相が13日、緊急事態宣言の対象地域拡大を決めた。

 感染状況が急速に悪化する大都市圏を中心に抑え込みを図る狙いだが、首相自身が7日に否定したばかりの対象拡大とあって、「1週間遅れた。後手に回った」(立憲民主党の枝野幸男代表)などと批判を浴びた。宣言の期限とした2月7日までに感染拡大を抑えられるかは見通せず、出口戦略も見えない。

 「先週の段階では、大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、専門家からも原因を分析すべきだとの評価だった」。首相は対象地域の拡大を決めた直後の記者会見で、1週間足らずの方針転換をこう釈明した。

 これに先立つ衆院内閣委員会の閉会中審査では、立憲民主党の今井雅人氏が「発令基準がよく分からない。自治体から要請されると国が認める形で行われているようにしか見えない」と知事主導の対応を追及。西村康稔経済再生担当相は「緊迫した状況の表れだ」などと弁明に追われた。

 今回、対象に加えた7府県のうち、福岡を除く6府県で知事の要請が先行する形となった。首相は再発令を決めた7日の会見で、大阪などへの対象拡大を「現時点においてはそうした状況にはない」と否定。緊急事態宣言の再発令自体も、昨年末までは慎重姿勢を示していた。

 政府関係者によると、首相は対象地域を追加するに当たり、西村氏と12日に協議。要請がなかった福岡県を対象とした。人口が集積する大都市圏として大阪府や愛知県などを指定するのに合わせた形で、政府が主導した例外的なケースとなった。

 福岡県の関係者によれば、西村氏は12日、小川洋知事に電話で、感染拡大を抑えるため福岡を対象としたいと伝達。知事は消極的だったが、西村氏は「(今後は)追加指定は考えていない。最後の船だ」と押し切ったという。

 ただ、感染拡大は衰えを見せておらず、今後も対象を広げずに済む保証はなさそうだ。一貫性を保てていない政府対応は既に厳しい批判を招いており、不用意な発言は政権を一段と窮地に追い込みかねない。西村氏の発言を伝え聞いた自民党幹部は「余計なことを」と不快感をあらわにした。

 首相は7日の会見で「1カ月後には必ず事態を改善させる」と決意を示していたが、解除の目安は感染状況が2番目に深刻な「ステージ3」相当。東京都に当てはめれば、13日に1433人に上った新規感染者数を、500人以下に減らす必要がある。人々の「コロナ慣れ」や自粛疲れから十分な効果が期待できないとの指摘もあり、政府内でも「期間を延長せざるを得ないだろう」(関係者)との見方は根強い。

 首相は一度決めたことは「ぶれない」ことを信条としてきたが、コロナ対応ではここへきて次々と方針転換を強いられている。残り1カ月足らずで「約束」を果たせるのか。首相は正念場に立たされている。 

 切れ者の官房長官だった”筈の菅首相のコロナ対策が御粗末な訳 

文春オンライン 2021年1月13日(水)6時12分配信

〈「みなさん、こんにちは。ガースーです」――インターネット番組でこう自己紹介する菅義偉首相の姿を見て“これが一国の宰相か”と、全身から力が抜ける思いがしました。安倍政権を官房長官としてあれだけ長く支えてきたのだから、推進する政策の是非は脇に置くとしても、少なくとも“カミソリのような切れ者”だったのではなかったのか、とこれまでの認識も裏切られました〉

「ニコニコ生放送」(昨年12月11日)での菅首相の挨拶に、こう“愕然とした”というのは、慶應義塾大学教授で政治学者の片山杜秀氏だ。

ちぐはぐなコロナ対応

 菅首相は、12月31日の時点でも「緊急事態宣言」に消極姿勢を見せていたが、わずか4日後の1月4日には前言を翻し、結局、発令に至った。

 しかし「緊急事態宣言」発令後も、「(中韓を含む11カ国・地域からの)ビジネス関係者の入国」は継続するという、ちぐはぐな対応をいまだに続けている。

 今回「飲食店」に時短営業を要請するにあたって、「飲食による感染リスク」をとくに強調する菅首相の言葉も、(みずから夜の会食を続けていただけに)あまりに説得力を欠いている。

 まさに“迷走”というほかなく、片山氏は「統治権力としてあまりにお粗末」だと指摘する。

〈例えば、政府として「5人以上の会食」を控えるよう呼びかけているにもかかわらず、「GoToの全国一斉停止」を発表した、まさに当日の夜に、菅首相みずから「8人での会食」に行ってしまう。本来、誰かが「まずいですよ」と言えば止められる話なのに、首相の周囲にそういうスタッフがいないわけです。権力中枢のあり方として由々しき問題です〉

〈さらに、西村康稔経済再生担当大臣が、「一律に5人以上は駄目だと申し上げているわけではない」と釈明すると、これまたその日のうちに、「国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省している」と、菅首相自身がひっくり返してしまう〉

〈多岐にわたる行政機構の各部門を束ねる“調整力”こそ、権力の中枢たる首相官邸の“力量”であるはずです。にもかかわらず、驚くべきことに官邸の内部ですら、この程度の行動や発言を“調整”できていないのです。統治権力としてあまりにお粗末です。こんな官邸に危機管理などできるわけがありません〉

見せかけの危機本物の危機

 だが、片山氏によれば、このような“迷走”は、菅政権からではなく、安倍政権から始まっていた。

〈安倍首相の辞任は、表向きは「健康上の理由」とされています。実際、本人のご体調の問題もあったのでしょう。しかし、安倍政権末期の一連の経緯を見ていると、結局のところ、コロナ危機を前にして、それまでのやり方が手詰まりになった。いわば“政権を放り出した”と思えてならないのです〉

〈ここに言う安倍政権の「それまでのやり方」とは、一言で言えば“平時の非常時化”です。つまり“平時”において“非常時”を煽る。ありもしない“危機”を演出して、その危機から国民を守っているように見せかける。現在を実際よりも深刻に見せて、未来に希望を先延ばしする。これが安倍政権の得意技で、これによって政権浮揚を図ってきたのです〉

〈それほどの危機でないような時に、Jアラート(ミサイル発射などに対する全国瞬時警報システム)を鳴らして“危機”を煽ってみたり、東京五輪や大阪万博を誘致して、未来に何か良いことがあるかのように見せる。それは一種の幻影にすぎません。しかし、そう疑われても、また次の幻影を見せればいい。安倍政権は、こういう演出を一生懸命にやって延命してきました〉

〈ところが、コロナ危機で、安倍政権は“本物の非常時”に直面することになります。こうして“見せかけの危機”を演出して長期政権を維持してきた安倍政権は、コロナという“本物の危機”に直面することで迷走し始めました〉

効果ゼロでもとにかく何かやらなければいけない

 “本物の危機”に追い詰められた安倍首相は、どのような行動に出たか。

〈象徴的だったのは、2020年2月27日に、安倍首相から唐突に発表された「全国一斉休校の要請」です。私はすぐに、東日本大震災後の当時の菅直人首相による「浜岡原発の停止要請」を思い出しました。トップダウンだと言えば、トップダウンですが、あまりに唐突。何の手続きも、何の科学的根拠も、何の法的根拠もない。事故を起こした福島第一原発にヘリコプターから水をかけたのと同じで、効果はほぼゼロなのに“とにかく何かやらなければいけない”というので動いただけ〉

敵前逃亡でうやむやにされたままの政治責任

〈結局、安倍政権は、コロナ危機にうまく対応できず、“平時の非常時化”という得意技も封印されることで終わりを迎えることになりました。にもかかわらず、8月末の辞任会見では、「あくまでも健康上の理由による辞任だ」として、みずからの“政治責任”について言及することを巧みに避けました。私には“敵前逃亡”にしか見えませんでした〉

〈このような形で安倍政権を引き継いだ菅政権は、実は“敗戦処理内閣”としての役割を担っています。ところが“安倍路線を継承すれば上手くいく”という表向きで菅政権はスタートしました。ここに私は、政治責任をうやむやにする不誠実さを感じるのです〉

 コロナ大拡大、わかりきっていた危機に日本はなぜ対応できなかったのか 

ダイヤモンドオンライン 2021年1月14日(木)6時01分配信/窪田順生(ノンフィクション作家)

なぜ、今ごろ? 民間病院の協力を政府が呼びかけ

 連日のように「医療崩壊」が叫ばれる中、政府が「民間病院の協力」を呼びかけている。

 今月10日のフジテレビの番組に出演した田村憲久厚生労働相は、補助金を拡充するなどして、民間の医療機関にコロナ患者の受け入れを促していく考えを示した。公立病院など一部の医療機関に患者を集中させてきた体制が、いよいよここにきて破綻しつつあるのだ。

 という話を聞くと、「そんなことになるのは、前からわかり切っていただろ」と呆れる方も多いのではないか。

 ご存じのように、「コロナが冬に大流行する可能性が高い」ということは、半年以上前から世界各国の研究者が警鐘を鳴らしていた。日本でも昨年7月、山形県衛生研究所が、従来のコロナウイルス4種類が冬に突出して流行をすることがわかっているので、新型コロナも同様の傾向を示す可能性がある、という論文をまとめている。

 というより、感染症が冬に大流行するのは、一般庶民でも知っている「常識」だ。厚生労働省によれば、2019年1月21から27日の1週間で、全国の医療機関を受診したインフルエンザの患者数は推計で約222万6000人に及び、1999年以降、最多となっている。ワクチンのあるインフルが年末年始後にこれだけ広がっていることに鑑みれば、新型コロナもこの時期にどんなに気をつけたところで数十万人レベルで感染爆発する、というのは素人でも予想できる。

 だから、半年以上前からメディアや専門家は「医療体制の見直し」を訴えてきた。たとえば、昨年の5月25日の「日本経済新聞」では、人口当たりの感染者数が少なかったにもかかわらず医療現場が逼迫したことを受け、脆弱な医療体制を見直すべきだと提言し、「感染のペースが落ち着いた今の『猶予』をいかに活用して態勢を再構築するかが問われる」と結んでいる。

 しかし、年末に感染者が急増してから血相を変えて、「民間病院の協力」を呼びかけていることからもわかるように、日本はこの7カ月あまりの「猶予」を活かすことができなかった。今回の緊急事態宣言を受けて、元厚労省医系技官で医師の木村盛世氏も、政府と医師会にこんな苦言を呈している。

 「昨年の春以降、国や医師会は国民の頑張りに応えて、医療を総力戦の体制にしておくべきだった。私は厚生労働省にいたし、医師でもあるので、非常に憤りを感じている」(ABEMA TIMES 1月6日)

 もちろん、政府も医師会もサボっていたわけではなく、昨年8月には前回の緊急事態宣言の教訓を生かし、医療資源を重症者に集約することを目的とした「新型コロナウイルス感染症対策の新パッケージ」を決定した。が、メディアから「内容は既定路線の寄せ集めにすぎない」(日本経済新聞9月10日)と酷評されたように、現状の医療体制の抜本的な見直しがなされたわけではなかった。

根本的な問題解決に着手しなかった 現状維持バイアスの可能性

 では、なぜ政府や医師会は、「現状維持」に流れてしまったのだろうか。

 多くの専門家が「感染症2類相当見直し」や特措法改正の必要性を唱え、一部の医療機関への負担集中を解消すべきだと訴えたのに、なぜ「医療体制の見直し」という根本的な問題解決に着手しなかったのか。

 まず考えられるのは、政府も医師会も、「みんなこれだけ頑張っているんだから、今の調子でいけばなんとなるんじゃないか」という「ふわっ」とした現状維持バイアスに支配されてしまっていた可能性だ。

 医療専門サイト「m3.com」が昨年11月13日から18日までの間、医師会員2921人に対して、都道府県の体制整備についてこの冬を乗り切れるかについて質問をしたところ、「はい」と回答した医師は31.8%で、「いいえ」の20.1%を上回った。つまり医師会の中には、医療体制の見直しをせずに「現状維持」を続けても、なんとかコロナの流行を乗り切れるという淡い期待を抱いていた医師の方もかなりいたのである。

コロナ患者をみる病院とそれ以外役割分担のシステムエラー

 では、なぜ医療崩壊の恐ろしさを誰よりも知っているはずの医師の皆さんが、こんなご都合主義的な楽観論に囚われてしまったのか。

 1つには、多くの医師会員の方たちが「今の医療体制は間違っていない」という現状維持の観点から、すべての物事を考えている傾向があることが大きい。

 それを象徴するのが、今年1月6日の記者会見で、日本医師会の中川俊男会長が「民間病院では新型コロナウイルス感染者の受け入れが少ない」との記者からの指摘に対して行った、以下の回答だ。

 「コロナ患者をみる医療機関と通常の医療機関が役割分担をした結果だ。民間病院は面として地域医療を支えている」(読売新聞オンライン1月6日)

 客観的に見れば、他国と比べて圧倒的に少ない患者数で医療崩壊寸前になっているのだから、この「役割分担」に重大なシステムエラーがあるように感じてしまうのだが、医師会からすれば、そのような可能性はないというわけだ。

 このように「今の医療体制は間違っていない」という考えがビタッと固定されてしまっていれば、そこでどんなに議論を交わしても、どんなに知恵を絞っても、「今の医療体制」を微調整したようなコロナ対策しか出てこないのは言うまでもないだろう。今のやり方に大きな問題もないと考える人たちに、どんなに「改革せよ」「変われ」と説いたところで、まったくピンとこないのは当然なのだ。

 つまりこの半年間、「冬の感染爆発」の危機が叫ばれていた中でも、政府や医師会が「総力戦の体制」を構築することができなかったのは、日本医師会が現状の「コロナ患者をみる医療機関と通常の医療機関の役割分担」を見直す必要がないと信じていたであろうことが大きいのだ。

 それに加えて、日本のコロナ医療が「現状維持」に流れがちなのは、もう1つ大きな構造的な要因があるのではないかと、個人的に考えている。それは、「小さな医院・クリニックの経営者」が多いということだ。

 医療危機が叫ばれるようになってから、約8000といわれる日本の病院数は世界一だという話がよく出るが、実は「小さな医院・クリニックの経営者」の多さも、先進国の中でトップレベルだ。厚生統計要覧令和元年度によれば、小さな医院やクリニックを示す「診療所」(病床が0~19床以下の医療施設)は10万2105施設もある。

小さな医院・クリニックの経営者数が世界トップレベルであることの影響

 それは言い換えれば、実はあまり語られることがないが、日本というのは「小さな医院・クリニックの経営者」が世界トップレベルに多い国であるということなのだ。

 「それが医療体制の見直しという話にどう関係あるのだ」と首を傾げる方も多いだろうが、大いに関係している。実は「国民の生活インフラを担う小さな会社の経営者」は「現状維持」を好む傾向があることがわかっているからだ。

 『2020年版 中小企業白書・小規模白書』では、企業を4つに分類している。グローバル展開をするグローバル型、サプライチェーンでの中核ポジションを確保するサプライチェーン型、地域資源を活用する地域資源型、そして、地域の生活コミニティを下支えする「生活インフラ型」である。

 小規模事業者に自社がどのような分類を目指しているのかと質問をしたところ、「生活インフラ型」と回答した割合が高かった業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」(85.9%)、「金融業・保険業」(81%)、生活関連サービス(90%)などだが、その中でも最も多かったのは「医療・福祉」(92.3%)だった。

 このような町の小さな医院やクリニックを含めた「生活インフラ型小規模事業者」には、他の分類には見られないある特徴的な傾向が浮かび上がっている。それは「現状維持」だ。

 4分類の小規模事業者に、今後5年間の事業方針を質問したところ、グローバル型やサプライチェーン型の小規模事業者は7割超から6割で「成長・拡大」と回答し、「現状維持」との回答は2~3割の水準にとどまっているのに対して、生活インフラ型はまったく逆の傾向となった。「成長・拡大」は29.5%にとどまり、「現状維持」が58.5%に上ったのだ。

 断っておくが、筆者は「現状維持」を望むことが悪いなどと言っているわけではない。地域の生活者のインフラを守るには、何をおいても事業の存続を目指すのは当然だ。「成長・拡大」などのリスクをとって、廃業などに追い込まれてしまうことは絶対に避けなくてはいけない。医療や福祉という公的サービスならばなおさらだ。

 ただ、現状維持というのは良いことばかりではなく、急激な「環境の変化」に対して迅速に対応できないという「負の側面」もある、と申し上げたいだけだ。

 リスクを取らない経営方針をずっと貫いてきた小さな医院やクリニックの経営者が、「コロナを受け入れている病院が医療崩壊寸前だから、皆さんも協力してほしい」と言われても、「了解!やりましょう」とフットワーク軽く動けるだろうか。

存続を第一に考える医療機関の要望を代弁しがちな日本医師会

 前述のように、彼らが何よりも守るのは「存続」だ。施設も小さく、人員も少ない小さな医院やクリニックで院内感染が起きたり、「あそこの看護師がコロナになった」などという風評が流れたりしたら、すぐに経営危機に陥って通常医療が続けられなくなってしまう。「そんな危ない橋は渡れない」と考える小さな医院・クリニックの経営者は多いはずだ。

 そして、このような経営者側の要望をきっちりと政治に届けてくれるのが、他でもない日本医師会である。

 日本医師会会員数調査(令和元年12月1日現在)によれば、会員総数17万2763人のうち8万3368人は「病院・診療所の開設者」。今コロナで苦しむ公立病院などの勤務医の会員は少なく、発言力もないため、日本医師会は「病院経営者の団体」と呼ばれている。

 さらに、その内訳を見ればもっと興味深い。病院開設者が3985人なのに対して、診療所開設者が7万473人。つまり、「現状維持」を望む傾向の強い「小さな医院・クリニックの経営者」が大多数を占めているのだ。

 そんな「現状維持バイアス」が強く支配している日本医師会と、彼らに選挙で頭の上がらない菅政権が、いくら医療崩壊の危機が叫ばれているからといって、現状を大きく変えてしまう「医療体制の見直し」に着手できるだろうか。

 ぶっちゃけ、無理ではないか。

コロナ禍のブラック労働で疲弊する最前線の医療従事者に目を向けよ

 医療に限らず、日本ではこういうことがよくある。迫り来る「危機」を前にして、「変わらなくては」「改革が必要だ」という声だけは上がるが、政治に影響力のある団体がそれを骨抜きにする。弱い立場の人間が苦しみボロボロになっても、「がんばれ、がんばれ」と精神論を唱えるだけで「現状維持」に流れるのだ。

 多くの人の犠牲でどうにか「危機」を乗り越えた後も、喉元過ぎればなんとやらで、構造的な問題にはなかなかメスが入らない。だから、またしばらくすると同じような「危機」が再発する。こんな「危機の先送り」を、戦後ずっと繰り返してきている。

 低い賃金、低い生産性などはその最たるのものだが、1億2000万人という先進国で2番目に多い人口を生かした「規模の経済」と過去の栄光によって、どうにかうまく誤魔化してきた。しかし、最前線の医療従事者が壮絶なブラック労働を強いられるコロナ禍で、それが通用するとは思えない。

 取り返しのつかない事態になる前に、いつまで経っても「改革」を先延ばしにしてしまう、という日本の目を背けたくなる現実に、きちんと向き合うべきではないのか。

 

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