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2021年2月 6日 (土)

【新型肺炎】“ワクチン接種後”の世界✍考え得る3つのシナリオ

 新型コロナワクチンその特性と接種後世界 

Yahoo!コラム 2021年2月6日(土)8時30分配信/高山義浩(内科医)

 アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスに対するワクチンについて、間もなく国内承認される見通しとなりました。筋肉内への注射による投与で、21日の間隔を空けて2回接種となります。

 まず、今月中には医療従事者(370万人)に先行して接種が始まり、来月以降、高齢者(約3,600万人)、基礎疾患を有する者(約820万人)、高齢者施設従事者(約200万人)へと順次接種が進められます。

 なお、接種の対象者は当面16歳以上とし、過去にワクチン成分で重いアレルギー反応が出た方への使用は認められない方針です。

ワクチンの作用と効果

 このファイザー社のワクチンは、人間に対するワクチンとしては新しいタイプのもので、mRNA(メッセンジャー・アールエヌエー)というタンパク質を生成するための設計図が封じ込められています。

 これを接種すると私たちのマクロファージという細胞内に取り込まれ、そこでコロナウイルスの表面にある「スパイク」というトゲトゲした突起の部分に該当するタンパク質を作ります。

 このトゲトゲが細胞表面に出てくることで、コロナウイルスに対する免疫が誘導され、私たちの免疫細胞がウイルスの侵入を早期に認識できるようになり、コロナウイルスを中和する抗体を大量に産生する準備も整います。

 なお、このmRNAは細胞内でタンパク質を作りますが、私たちの遺伝情報が入っている細胞核に入ることはなく、つまり、私たち自身のDNAが書き換えられることはありえません。

 このワクチン、臨床研究によって発症予防効果 95%という結果が確認されています。これは「プラセボ(偽薬)群よりも、ワクチン接種群の発症率が95%少なかった」というもので、まあ、ビックリするぐらい高い有効性ですね。少なくとも、インフルエンザワクチンとは比較にならないほど期待してよいと思われます。

 また、この臨床研究では、重症化した10名のうち1例がワクチン接種群、9例がプラセボ群だったとのことで、どうやら重症化も予防しているようだと考えられます。

 発症を防ぐ効果は明らかですが、感染そのものを防ぐ効果があるかどうか、まだ分かってはいません。ワクチン接種後に感染した場合、周囲に感染させなくなるかも分かっていません。ただ、mRNAワクチンには、侵入早期に反応する細胞性免疫までもを活性化する作用機序があるため、感染予防効果まで期待できるのではないかと言われています。

 一方、気になる副反応ですが、接種した部位の痛みは強いようですね。8割ぐらいの人が12~24時間の痛みを訴えています。しかも、かなり痛い・・・ らしいです。また、2回目の接種後には11~16%の方に38以上の発熱があったそうです。免疫をつけている証拠なんでしょう。

 さらに、アメリカCDCによると、190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こったとのこと。接種後30分ぐらいは、気分が悪くなったりしないかを確認し、医療従事者のいるところで休んだ方が良さそうです。

ワクチン接種後の世界

 ワクチン接種が進んだあと、私たちの暮らしは元に戻るのか・・・? よく聞かれますが、誰にも分かりません。ただ、先が真っ暗よりは、何らかの道標があった方が良いかもしれません。

シナリオA国民7割以上への接種が完了し、集団免疫を達成

 もっとも楽観的なシナリオですね。ワクチン接種が進んで集団免疫が達成されれば、地域流行しなくなることが期待できます。

 米国のファウチ博士は、「ワクチンによる集団免疫は70~90%が目標になる」と言ってますが、その根拠は明白ではありません。実際は、ワクチンの感染防御効果と持続期間によると思いますが、いずれにせよ数年はかかるでしょう。それまでは、次のシナリオBのような状態が続くと考えます。

 なお、ワクチン接種が進んでいない国においては、ウイルスが定着して風土病になることも考えられます。こうした国から就労や長期滞在を目的として日本を訪れる場合には、事前ワクチン接種を推奨するとともに、出国前のPCR検査、入国後14日間の自己隔離を求めるようになるかもしれません。

シナリオB十分な接種率に至らず、国内で散発的流行が続く

 比較的安全なワクチンが開発されたと思ってますが、それでも、若者たちが接種してくれるかは不明です。このあたり、冒頭で紹介したように、ワクチンに期待される効果を正確に読み取り、副反応のリスクについて適切に情報提供することが必要です。

 報道の在り方などにより、ワクチン忌避の風潮が高まってしまえば、おそらく集団免疫には至りません。ワクチンの感染防御効果や持続期間が不十分であった場合にも、集団免疫には至らないでしょう。

 その場合でも、ハイリスク者や医療介護従事者への接種を着実に進めていくことが必要です。あるいは、飲食店や小売店、あるいは観光事業者など接客にあたる方々についても接種に協力いただくことを期待します。

 そうなれば、ワクチンによって重症者や死亡者を抑え込んでいくことが期待できます。ワクチン効果の持続期間が短い場合でも、年に1回など定期接種にすることで免疫維持できるでしょう。さらに、一般の方々へと接種への協力が広がれば、集団免疫に至らなくとも、地域流行の規模や頻度は減らしていけると思います。

 こうして、社会全般に求めるような自粛要請は行われなくなり、地域流行を認めたときには、一般にはマスク着用や手指衛生を呼びかけるレベルで済むかもしれません。多少の緊張感は残しつつも、ある意味、社会は日常を取り戻していくことでしょう。

 ただし、社会福祉施設や病院は相変わらず大変だと思います。疑われる患者さんが出たときに、念のため、さっとゾーニングを確立したり、そこで設定されたレッドゾーンに入るときの防護具を適切に着脱できたり・・・ といった感染対策が日常になっていくかもしれません。

シナリオCワクチン耐性の変異株が発生し、世界的流行が続く

 微生物との闘いは、しばしば進化とのイタチごっこになります。治療薬を開発すれば耐性ウイルスが出現し、ワクチンを開発すれば耐性株へと置き換わります。流行している状況で使えば、さらに耐性株が選択されやすくなります。とくに、遺伝子変異の活発なRNAウイルスでは、そのリスクが高まります。

 すでに世界では、3種類の変異株を認めています。イギリス変異株は、国内でも市中感染を認めていますが、幸いなことにワクチンへの耐性は生じていないようです。しかし、南アフリカ変異株とブラジル変異株については、従来型の抗体への活性が低下しているようで、ワクチンについても有効性が低下している懸念があります(結論は出ていません)。

 ワクチン接種による集団免疫の獲得が、耐性株の出現に間に合わなければ、世界的流行が繰り返されることになります。病原性が上がったり、あるいは小児への感染性が高まれば、より悲劇的なことが生じるかもしれません。

 そのとき世界は・・・ このウイルスを封じ込めるしかないでしょう。国際的な協調のもとで人の移動を制限し、活動を自粛して、封じ込めた状態を世界的に維持しながら、ワクチンの再開発とともに、ワクチン接種プログラムを途上国を含めて迅速な実施する・・・ というオペレーション。

 あまり想像したくはないのですが、そうしたシナリオも考えておく必要があるかもしれません。まあ、耐性株が広がる前に、さっさと皆が接種して封じ込めるのが、変異の速度も低下するし、制御しやすくなるし、一番だと私は思ってます。

 コロナワクチン接種から3週間感染拡大抑制との報告 

Bloomberg 2021年2月6日(土)4時05分配信

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの接種率が世界で最も高いイスラエルでは、米ファイザーとドイツのビオンテックのワクチンの接種開始から新規感染者と入院者数の伸びが抑制され始めるまでに要した期間は3週間だった。昨年12月20日に始まった全国的な接種プログラムについて研究者が暫定的な所見を報告した。

ワクチン接種開始から感染拡大の抑制まで3週間、イスラエルが報告

 韓国は社会的距離の規制を緩和する。ソウル首都圏以外の地域ではレストランやカフェ、ジムなどの営業が午後10時まで認められる。丁世均首相が6日発表した。カラオケバーの営業や訪問販売なども可能になる。韓国では1日当たりの感染者数がこの1週間で300人程度に減少。昨年12月末には1000人を超えていた。

 米カリフォルニア州ではコロナ検査の陽性率の14日平均が6.6%に低下した。昨年11月30日以来の低水準で、1カ月前は12.7%だった。同州でこれまでに実施されたコロナ検査は計4340万件に達した。

 州保健当局のウェブサイトによると、4日に報告された新規感染者数は1万4021人と、14日移動平均の1万7600人を下回った。死者数は558人と、同平均の518人を上回った。累計の感染者数は330万人を超え、死者数は4万3024人に達した。

 スペインは英アストラゼネカのコロナワクチン接種対象を55歳未満に限定する。保健省が発表した。「科学的エビデンス」に基づいた判断だとしている。同社のワクチンについては欧州連合(EU)加盟国の間で高齢者への接種を推奨しない動きが広がっており、ドイツやフランス、イタリアも同様の制限を設けた。

 アストラゼネカのワクチンは、英国で出現した変異株に対しても同等の効果があることが、同ワクチンを共同開発した英オックスフォード大学の研究で示された。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、医療従事者と高齢者の接種が終わった国々は残りのワクチンを他国に回すべきだと述べた。これまでに行われた接種の4分の3余りは、世界の国内総生産(GDP)の約60%を占める10カ国に集中しており、総人口25億人の約130カ国ではまだ1回の接種も行われていないと指摘した。

 米ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによると、世界の感染者数は1億530万人を超え、死者数は230万人に近づいている。ブルームバーグの集計データによれば、世界のワクチン接種回数は1億2400万回を超えた。

 アストラゼネカワクチンも承認申請、大半を日本国内生産 

朝日新聞デジタル 2021年2月5日(金)17時34分配信

 新型コロナウイルスのワクチンについて英アストラゼネカは5日、製造販売の承認を厚生労働省に申請した。政府が供給契約を結んだ計3社の中で、発症を防ぐ効果はやや劣るとされる。一方で大半を国内生産するため安定供給を見込めることや、より高い温度で保管でき接種する人数や地域を広めやすいことが利点だ。国内での申請は米ファイザーに続き二つ目。

 申請を受け、田村憲久厚労相は「安全性、有効性を審査した上で承認を決定したい。コロナワクチンなので最優先に審査する」と述べた。

 ワクチンは供給への不安が高まり、各国で奪い合いが起きている。接種が始まった欧州連合(EU)は輸出に許可制を導入。日本への供給に影響を及ぼす可能性がある。政府が契約したファイザーと米モデルナのワクチンは、すべて海外から輸入される予定だ。

 日の丸ワクチン最前線年内3000万人分製造 

FNNプライムオンライン 2021年2月5日(金)18時24分配信

 国内第1弾となるアメリカ・ファイザー社のワクチンに続き、5日、イギリスの製薬大手・アストラゼネカ社が、厚労省にワクチンの承認を申請した。3月中に日本で行った臨床試験の主要データを提出する予定だという。

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 こうした中、厚労省は5日、過去に新型コロナウイルスに感染したことのある人の割合を調べる抗体検査の結果を公表した。

田村厚労相「(抗体保有率は1%足らずということで、多くの方々がかかって、集団免疫という話はもう全然ない

 検査は2020年12月、東京や大阪など5つの都府県で行われ、東京都の抗体保有者は0.91%。2020年6月の0.1%からは9倍に増えたが、それでもまだ1%に満たない数字。こうしたことからも、より重要となるワクチン。では、海外に続く国産ワクチン作りはどうなっているのか。

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 FNNが訪れたのは、岐阜・池田町にある医薬品製造工場「UNIGEN」。

 大手製薬会社「塩野義製薬」が開発するワクチンの生産ラインを準備している。UNIGEN 戦略渉外部・福岡真マネジャー「タンクの容量は2万1,000リットル。遠心分離機で、重いもの・軽いものに分けて、欲しい方を取り出す」

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これはワクチンのもととなる、タンパク質を作るための世界最大級のタンク。

 シオノギ製薬では、2020年4月に国産ワクチンの開発をスタートさせ、12月から臨床試験に入っている。医薬品の生産ラインを整備するのは、通常、製品化が決まってからとされ、今回は異例のスピードだという。

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UNIGEN 戦略渉外部・福岡マネジャー「開発が終わってない中で工場を作る。そのやり方自体が異例。1日でも早く届けるためには、こういう方法をとらなきゃいけない」

 塩野義製薬が開発しているのは、遺伝子組み換え技術を応用したワクチン。安全性などを含め、すでに実用化されている技術で製造できるという。

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塩野義製薬 広報部・中川慎也さん「12月末には、年間3,000万人分のワクチンを製造できる生産体制の構築を進めています」

 ワクチンが、新型コロナ収束への切り札となるのか。東京都では5日、新たに577人の感染が確認された。1日の感染者が1,000人を切るのは、8日連続で、1月29日と比べると、3割以上減少。重症者の数は、4日より2人増えて117人だった。

 現役医師断言「日本コロナ対策くのった 

PRESIDENT Online 2021年2月6日(土)11時16分配信/大和田潔(総合内科専門医)

 日本のコロナ対策は失敗だったのか。医師の大和田潔氏は「海外では厳しい規制をかけても大きな被害が出た。日本の対応はメディアに否定的に報道されているが、緩やかな規制と人々の協力で被害は小さく、最適解だったといえる」という――。

日本人の気質

 私たち日本人は、謙遜と謙譲を美徳としてきました。つらくても努力し続け、その上で評価を待つ。自らを鍛え、成果をあげて人から評価されることを受動的に待つことを教えられて育ちます。

 目的と手段が本末転倒になり、最短で目的が達成するよりも努力し続ける非効率さが美徳とされることもよくあります。細かいところまで気を配り、「石橋をたたいて渡る」ことが日常茶飯事です。さらに武士道の文化もあわさり、自己研鑽(けんさん)の美徳と統合されています。

 たとえうまくいっても「それほどでも」と謙遜し、決して「うまくいったでしょ!  スゴイでしょ」なんて自慢しません。みんなで一緒に行動することを良しとし、誰かが独り占めすることを良しとしません。少ない国土でも多くの国民が公平に平和に暮らせる、奥ゆかしさの工夫の中で培われた知恵だと思っています。

 これまでの日本の新型コロナウイルスへの対応は否定的に報道されたり、考えている人が多く見受けられます。しかし私は完璧だと考えています。

 「イヤイヤ全然ダメでしょ」と即座に否定されそうです。

 でも現実を見てみましょう。

 日本は先進国の中ではとりわけ新型コロナによる被害は少なく、流行は下火になっています。人々のいさかいもほとんどありません。政府と人々の対立もなく、みんなで協力してなんとか乗り越えたと言えるでしょう。

 私は、新型コロナは蔓延後に収束しすでに「季節性ウイルス」になったと考えています。国内では抗原検査は不要になりつつあると思っています。陰性を証明しないと、食事や観光などができないのは理に合いません。季節性になっている新型インフルエンザも通年で存在していますが検査は行われないからです。

日本の3つの勝因

 私は、日本の勝因は3つに整理できると考えています。

 1つ目は、日本の保険医療システムが充実し基礎疾患を日頃からあまねく管理できていたことや、重篤化した人々も医療者が献身的に治療できたことだと思います。高度な医療機材や治療薬を有して使えることや、国民の教育度も高いことも含まれます。

 教育度が高いことは、ウイルスの概念を理解しマスクの必要性を実感したり、飲食店での飛沫経口感染を予防するための緊急事態宣言を国民全体で実行することにつながります。

 2つ目は、清潔観念が徹底していることです。疫病が繰り返しはやることに対応し、靴を脱いで入浴が好きで部屋にあがり手洗いうがいをするといった個人個人の日常保清、下水道などの都市設計、ネズミや蚊など媒介動物を駆除などもふくめた人間を守る公衆衛生の総合力です。

 3つ目は、季節性コロナウイルスにさらされてきたことと公的補助による小児ワクチンと高齢者の肺炎球菌ワクチンの徹底などによる獲得免疫の恩恵が大きいと思っています。

 この3つの条件がそろっていたため、実効性をもちつつ経済被害を最小限にする「ユルユル対策」が奏功したのだと思っています。乳児から高齢者まで健康管理やフリーアクセスをあまねく提供してくれている国民皆保険による保険医療制度を、今後も大切にしなくてはいけません。

 新型コロナは、日本人が普段から積み重ねてきたこうした努力によって、甚大な健康被害を減らすことができることを教えてくれたと思っています。

厳重な管理は効果が少ない

 日本とは比較にならない厳格な対応をしている海外の国々は沢山あります。

 中国では、武漢で新型コロナウイルスが発生した際に新設病院を短期間で造り、全国の軍隊所属の医療班を招集し制圧し、感染を完全に鎮圧したと考えられていました。

 ところが2021年1月になり、患者が発生した都市を容赦無くロックダウンし、市民が困窮していることが報道されました。2月近くになっても情け容赦無くプライバシーも無く、肛門から検体を採取するという徹底した検査もおこなわれています。

 欧州でも、強力な措置が取られました。

 ドイツでは、10万人あたり新規感染者が200人以上の場合は移動制限になります。1400万都市東京では、1日に3万人という規模です。500人を目標にしている東京が、世界的にみてどれだけ完璧すぎるか良くわかる実例です。

 フランスでは、夜間外出禁止令も出されており大型ショッピングモールの閉鎖が指示されています。全土で夜間外出制限が命じられ午後6時までに帰宅という厳しい措置が取られています。

 オランダでは、1月23日から夜間外出禁止令が発令されました。それに呼応し、規制を行う国側と市民が衝突。各地で放火などを伴う暴動が起きています。

ロックダウンは解決にならない

 イギリスでは、1月に3度目のロックダウンを行いました。それでも長引く規制にもかかわらず、死者が10万人を超え国民に大きな不満が蓄積しています。

 オーストラリアは、厳しい外出制限とほぼ鎖国に近い状態により市中感染が起きないところまできていました。ところが、2021年になり市中で変異ウイルス感染の感染拡大が再発しました。

 2021年になり暴動を抱えながらも厳しい行動制限を国民に課しているオランダから、ロックダウンは意味がなかったという分析報告がありました。

 新型コロナウイルスに対して、人間は完全に封じ込める力をもたないことを証明しています。厳しい制限をして発生数を減らすことはできるかもしれません。けれども一時ゼロにまで持っていってもどこかで発生してきます。

 PCR検査を無限にやっても陽性者の隔離を厳密に行っても、封じ込めはできません。濃厚接触の掘り起こし追跡調査の終了は賢明な判断です。流行は下火になりました。昨年9月の「感染者ゼロを前提にすると、新型コロナは終わらない」で予想したとおりの経過をたどっています。

厳しいロックダウンで窮地のインド

 JETROで、世界最大の厳しいロックダウンを課したインドの窮状が伝えられています。この報告の中で、インドを含め米国や欧州ドイツに比べて日本が大変に緩い規制だった調査結果がグラフで示されています。

 自粛を強要する警察が、生活のためにやむなく家から出た国民を暴行している映像も流れました。

 2020年3月にはすでに厳しい取り締まりが開始されていますが、1日に10万人以上の陽性者を出した9月中旬まで増加しつづけました。その後ゆっくり自然減少に転じていきました。これだけ厳しく取り締まっても、コロナの死亡者は15万人を超えロックダウンによる経済被害と合わせ甚大な被害は免れませんでした。

 立法して警察組織が厳しく刑事罰を科しても、流行の急速な沈静化はできなかったのです。

 さてここで、日本の流行を見てみましょう。

 2019年末の計測できなかった大流行はさておいて、冬の流行は多い時でも1日に7000人ほどですでに下火になりました。こちらも昨年予想した2月ごろまでに急減するとお示しした通りに推移します。

 皆さんご存じの通り、昨年4月の緊急事態宣言に引き続き2回目が出されています。1回に比べると国民は緩い対応をしています。前回はGDP30%実質14兆円の損害を出したのに比べ、今回は半分の被害で済んでいます。

 菅義偉首相は2日、栃木県を除く10都府県で3月7日まで延長することを表明しましたが、流行が落ち着くにつれ一つずつ規制が解かれていくのではないかと思っています。

コロナウイルス対策による被害の要因

 まとめると、新型コロナウイルスによる被害は以下の3点に要約されると思います。

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1. 人類は、完全に封じ込めることはできない必ず、散発し蔓延する
2. その国の医療体制の普及充実度や国民の公衆衛生に依存する
3. 季節性コロナウイルスやワクチンによる獲得免疫が影響する
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 日本では、2と3が完備されていたので、1に対応したユルユル型の管理が功を奏しました。とてもよい方策だったと考えています。欧州では医療費削減により2が、インドは2と3が十分ではなかったことが推測されます。

 日本では、厳しい規制を行うとそれによる被害の方が大きくなってしまいます。1年以上経過し、国民の集団免疫は上昇しました。疫病は、ふつうは国土に広まった最初が一番被害が大きいものです。変異型にも、この期間に追加獲得した免疫による交差免疫で対応できることでしょう。

緩い日本のコロナ対策はむしろ多くの命を救った

 リアルな生活は人を守ります。

 私は、緊急事態宣言でも通勤電車に乗り診療を続けました。患者さんもがんばってクリニックを受診されました。採血、検尿、心電図、画像などの外来検査で大病が発見できた方がたくさんいらっしゃいました。

 胆石による閉塞性胆管炎、虫垂炎、尿管結石の方もいました。心臓にステントを入れたり、大動脈や膵臓、婦人科の手術をされた方もいました。緊急を要する脳の病気がMRIで判明した方もいらっしゃいます。リモート診療では行えない判断でした。

 コロナで混乱・遅延する外来をかき分け、総合病院の先生方と協力して加療しました。感謝される患者さんの電話をひきつぐスタッフも皆、クリニックを開け続けたことを誇らしく思ってくれています。医療現場では、感染症の一部にすぎないコロナ以外の病気対応の方がはるかに多かったのです。

 もし、欧米のような厳しいロックダウン(都市封鎖)が長期間なされ、私がクリニックに行けなかったり、患者さんが家で症状を過剰に我慢してしまったりしていたら手遅れになっていました。日本のコロナ対策がユルいからこそ、むしろ多くの命を救うことができたのです。

 また、私のクリニックには妊婦の患者さんが来院されます。コロナ禍と言われる最中でも、新しい命の誕生に携わることができました。今、お子さんの誕生を待っている患者さんも複数いらっしゃいます。最近では、ある栄養士さんは出産を経て、元気に復職されました。医師としてうれしいエピソードです。

 このように管理のユルさで得た恩恵がたくさんあったのです。掘り起こしPCRで市中の無症状陽性者を発見し、警察が取り締まったりしていたら、悪影響の方が甚大でした。診療も出産(計画)も見送らざるを得なかったかもしれません。

変わらない日常が心身を守る

 診療以外でも、私は何も気にせず新型コロナのPCR検査で陽性だった方や濃厚接触者になった方とも普段通り仕事をしてきました。

 先日、ある方から「先月コロナ陽性だったのですが、お伺いしても良いですか? 」と尋ねられた時は驚きました。「気にしないで一緒にお会いして仕事しましょう」と答えたところ、「普通に仕事していいかどうか心配でした。感動です」とおっしゃっていました。咽頭炎や胃腸炎、インフルが治ったことを気にする人はいないでしょう。新型コロナも、それと同じ話です。

 感染が国内で広がり始めたころ、1歩でも外に出たらウイルスを吸い込むかのようにメディアが視聴者を脅していた時期がありました。しかし私は基準を守り仕事を続けました。私のように、フェイクを排してファクトに基づいて同じペースで仕事を継続してきた方も多いでしょう。

 国が国民を信頼しちょうどいい制限を与え、民度の高い国民がそれに応えた日本式の勝利だと思っています。陽性者数とPCR検査を連呼するメディアは有害無用でした。

 私は食材を買いにスーパーに出かけ食事に気をつけ外で外気の中で運動し、コロナ中に体調を整えました。海外のように、厳格にひきこもりを強要されていたら体だけでなく心の健康も損なっていたに違いありません。

 実際、ロックダウンなどの行動制限を強力に科しているフランスではうつ病が2倍に増えています(注18)。人間は、外に出て光を浴びて自然の中でリフレッシュしたり人々と会話をしたりして心身の健康を保っています。

 強力な感染拡大予防対策やプライバシーの無い検査強要は、人間の尊厳や生き生きした生活を奪います。法律のもとに東京駅前や銀座で突然検閲が始まり肛門PCRのためにおしり出せと強要されて、何らかのウイルス陽性で隔離。それが平気でいられますか? 

罪なき疾患で罰するべきではない

 日本人は、よく同調圧力が高いと自嘲(じちょう)ぎみに話します。私は、決してそんなふうに思いません。「出る杭は打たれる」文化などと語られますが、海外における優れた人への妬みや中傷は日本の比ではありません。

 日本の外出制限は、「自粛の要請」にとどまり、ユルユルで罰則もありません。しかし日本人の多くが早く自宅に帰ります。そういう国民に対し、コロナ関連法案で刑事罰まで検討された際にはハラハラしました。幸い刑事罰はなく行政罰のみになりましたが(注19)私はそれも必要ないと思っています。

 無症状で広がる罪のない感冒疾患に国家が介入し個人を罰すること自体が問題です。弱い感染症や他の理由で、国民が恣意的に隔離されていく危険をはらんでいます。

 もし次の感染症が流行したら、無症状で平和に暮らしている国民の生活に国家の取り締まりが乗り込んできて暮らしが破壊されていくことでしょう。今回はPCR検査でしたが、うかがいしれない他の検査にとってかわるかもしれません。

日本は正解を選んだ

 今回、新型コロナで学んだことは多岐にわたります。

 そのひとつは、国民の自主性に任せて緩い管理をした政府・自治体と、それに応じて国民が自主的に頑張ったことです。ワクチンがやって来れば鬼に金棒です。

 法律を作って個人を取り締まることは解決にならないことも学びました。人々は、鎖国もロックダウンも解決にならないことを学びました。

 日本にとっては、実践してきたユルユル型対応が実は正解だったのです。必要以上の経済被害や国民の暴動を抑えながらも、集団免疫を獲得していく理にかなったものだったのです。

 無症状のまま広がって行くこのウイルス(注19)に対し緩い対策をとっても、日本では被害が少なく過ぎ去りました。今後、ウイルスが存在しても発症者が少ないなら迷惑な隣人ではありません。

 ヒステリックに「角を矯めて牛を殺す」ことにならなくて本当に良かったです。日本の対応は評価されて良いものだと思っています。専門家は、国民の自由な生活や移動の制限、生活の否定が主な仕事になってしまっています。人生で1度しかない修学旅行は中止しないでもらいたいと願っています。

 奥ゆかしさと謙虚さといった日本人の気質、日本のコロナ対策の長所についてはなかなか語られることはありません。私は臨床の現場にずっと身を置いて、日本の伝統や民度、医療制度の普及と継続の大切さを明言すべきだと実感しています。

 不十分な情報で比較的正確に未来を予測できた「日本のコロナウイルスは終わった。さあ旅にでよう」を今でもお伝えしたい気持ちです。

 私たちは、一周してさらに学びましました。

 日本はこのまま順調に再興し、コロナ以前よりも繁栄することが約束されています。元気よく暮らしていきましょう。

 

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