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2019年10月 4日 (金)

【腕時計投資】鑑定士が語る✍「ビンテージ・ウォッチ」ガイド

なんでも鑑定団の時計担当ビギナーに薦める実用時計

GOETHE 2019年9月29日(日)17時30分配信

テレビ東京「開運!なんでも鑑定団!」の鑑定士としても知られるケアーズ会長・川瀬友和さんをゲストに迎え、ヴィンテージウォッチの「今」を全3回にわたって掲載。

第1回は入門機にふさわしいオメガ&ロレックスの実用時計4本を紹介する。

ヴィンテージウォッチ専門店で購入するメリット

個体のオリジナリティやコンディション、果ては真贋などが問われてくるヴィンテージウォッチの購入は、たとえ熟練のマニアでも一筋縄ではいかない。それこそ骨董品も然りだが、「高価だから安心」という方程式は通用しないと考えた方が賢明だろう。

「SNSなどでの個人売買も盛んになっていますが、ビギナーの方はヴィンテージウォッチの専門店で買うことをおすすめします。そこには、いくつか理由があるのですが、そのひとつがメンテナンスなどのアフターケアです。機械式時計は新旧問わず、使い続けていくうちに必ずトラブルが生じます。その点、専門店では一部の例外を除くと何らかの保証がつきます。これがあるかないかで購入後の安心感が大きく変わるはずです」

ヴィンテージウォッチという鉱脈は掘りきれないほど奥深い。そこでのより良いスタートを切るためにも1本目の購入が重要な鍵になる。なぜなら、それがある種の成功体験となって、次のステップへと導いてくれるからだ。

「1本目に選ぶのは、なるべくシーンを限定せずに使える時計が好ましいと思います。次に普段使いする上で目を向けるべきポイントが“防水性”です。ヴィンテージウォッチは基本的に水が大敵ですから無視することはできません。これらの条件を踏まえると購入すべきアイテムがかなり限定されるはずです」

ビギナーにおすすめは、オメガ&ロレックスの実用時計

川瀬さんが選んだ4本の時計は、飽きのこないデザインであることを前提に、いずれも普段使いできる実用性を兼ね備えている。まずは「シーマスター」を中心に多彩な防水時計が揃うオメガの魅力について話を聞いた。

「クルマやバイクと同じ話になりますが、機械式時計もデザインの良し悪しだけで選ぶというのはリスクが伴います。ですから、購入する際は必ず機能性にも目を向けてみましょう。例えば、オメガの場合、普及モデルの開発に力を注いでいたため、量産用のムーブメントであっても非常にクオリティが高いことが特徴として挙がります。そのため、精度・堅牢性ともに申し分ありません。自動巻きか、手巻きかどうかは、好みで選んで問題ないかと思います。ケースの構造も防水を意識したものが多いため、普段使いに適しています。ジュビリーブレスレットの出来栄えも大変素晴らしい。コマ数が多いこともあり、なめらかな装着感があります。ただし、伸び切っていると元には戻せないので必ずコンディションを重視したいですね」

オメガと同様、実用時計の絶対王者であるロレックスもビギナーにやさしいブランドだと言える。エントリーモデルであれば、20~30万円前後から購入できる。

「ロレックスがすごかったのは、どこよりも早く自動巻きの機構に目をつけていたところです。しかもハーフローターや主流だった時代にすでに全回転のローターを着手し、1950年代前半にリバージングシステムを開発して特許を取得しています。これによって、あらゆる姿勢で精度を保つことができるようになったわけです。実際、ヴィンテージウォッチに該当する時計は非防水の仕様が多いのですが、ロレックスはその点でも優秀です。かの有名なオイスターケースの信頼性はもちろん、リュウズがスクリューダウン式なので水の侵入を防いでくれます」

ヴィンテージウォッチの魅力として欠かせないのが、絶妙なバランスのサイズ感にある。

「オメガやロレックスに限らず、ヴィンテージウォッチ全般に言えることですが、現行の時計と比べると小ぶりなサイズ感であることも注目すべき点です。35mm前後のケース径が多く、シャツの袖口に引っかかることはまずありません。つまるところ、ファッションアイテムとしても秀逸なのです」

なんでも鑑定団の時計担当一押しするレアモデル5選

GOETHE 2019年10月1日(火)10時30分配信

第2回は名だたるブランドから厳選した5本のレアモデルを紹介する。

オリジナリティを保つ良質な個体を選ぶのが基本

国内のヴィンテージウォッチ専門店の草分け的存在であるケアーズ。その商品構成は実に幅広く、1920~70年代を中心にクオリティにこだわった品々が常時並んでいる。

「これはどんなブランドについても言えることですが、購入のポイントとして、できればブレスレットが付属している個体を狙いたいところです。そもそもヴィンテージウォッチのパーツはどれも希少で年々価格が高騰しています。特にレアなモデルになると後からパーツを探すのは骨が折れます……。ですからオリジナリティはできる限りこだわりたいですね」

クロノグラフ市場を牽引する名門ロンジンの実力

数あるヴィテージウォッチの中でクロノグラフは最も奥深いジャンルのひとつだと言われている。一部のレアモデルの資産性は極めて高い。

「名門中の名門であるロンジン製のクロノグラフは、サイズ感、ムーブメントの質、文字盤のデザインと三拍子揃った傑作が多いです。こちらのモデルは、ロンジンのクロノグラフ専用自社ムーブメントの三代目にあたるCal.30CHという名キャリバーを積んでいます。軍用時計からはじまったフライバック機能を備えたムーブメントは、耐久性、精度のみならず、仕上げの美しさという点でも抜きん出ている。優れたデザインも人気の理由で当時ならではのディテールを楽しむことができます」

往年の超複雑機構が堪能できるユニバーサルの「トリコンパックス」

機械式時計のクオリティは「最新=最高」だとは限らない。ヴィンテージウォッチの名機では、現代では失われてしまった技術が数多く存在する。

「ユニバーサルは複雑機構を得意としていたメーカー。なかでもこちらの『トリコンパックス』は、クロノグラフ、トリプルカレンダー、ムーンフェイズという3つの機構が搭載された人気モデルです。古いクロノグラフは非防水のモデルが多いのですが、防水仕様のケースを採用しているため、実用性も優れています。こちらの個体の場合、スイスのブレスレット専門メーカーであるゲイ・フレアー製のブレスレットや当時の貴重な付属品が付いていることも評価に値しますね」

ロレックスのクロノグラフ、通称“プレデイトナ“

ロレックスのクロノグラフといえば、「コスモグラフ デイトナ」が有名だが、それ以前にもさまざまなモデルが展開していた。

「通称“プレデイトナ”と呼ばれるRef.6238はその名の通り、「コスモグラフ デイトナ」の前身にあたるクロノグラフです。ワントーンで統一された文字盤にはいくつのバリエーションが存在します。針を錆びさせないために、時針と分針以外の針がすべてブルースチールで焼きを入れていたりときめ細やかな工夫がなされています。文字盤が焼けてしまっていることが多いのですが、この個体は素晴らしいコンディションを保っています」

希少なイエローゴールド製のIWC「インヂュニア」

ロレックス、オメガに匹敵する高い実用性が評価されているIWCのヴィンテージウォッチ。数ある商品の中から川瀬さんが選んだのは、上品なイエローゴールドのケースを持つ「インヂュニア」だった。

「IWCの『インヂュニア』は耐磁時計であるため、ケースは二重構造、文字盤も厚く初期には2枚重ねた仕様も見られます。古い年代だと、文字盤にはIWCのロゴが入らず、筆記体でブランド名が綴られています。IWCは“ペラトン構造”と呼ばれる極めてユニークな自動巻きムーブメントの開発に成功したことで知られています。この機構は、耐久性と巻き上げ効率が飛び抜けて優れているため、メンテナンス次第では現代の時計に比肩する精度を保つことができます。搭載されているcal.8541はカレンダー表示が付くため、普段使いにも最適です。ケース素材が18Kイエローゴールドであることも注目すべき点で、同じ『インヂュニア』でもステンレススチールよりも製造本数が極端に少ないため、いざ探すと状態のいい個体はなかなか出てきません」

希少なブレスレットが付属するゼニスのレアモデル

見るからにただならぬ雰囲気が漂うゼニスのヴィンテージウォッチ。小ぶりなサイズ感がレトロなデザインと絶妙にマッチしている。

「『S.58』は軍用時計からはじまったコレクションであり、こちらは回転ベゼルとカレンダー表示が付く後期型にあたります。ご存知のように、ゼニスはクロノグラフを得意とするブランドゆえ、3針のムーブメントに関しては特別なスペックはないのですが、それでも十分な精度は確約できると思います。きめ細やかな作りのオリジナルのブレスレットが付属していて装着感も抜群にいいですね」

なんでも鑑定団時計担当ロレックス・デイトナを語る

GOETHE 2019年10月3日(木)7時33分配信

第3回は、ロレックスの最人気モデルであり、プレミアムウォッチの頂点に立つ「コスモグラフ デイトナ」の魅力について話を聞いた。

優れた資産価値を持つ、極上のヴィンテージウォッチ

この数年、世界的なオークションハウスの落札価格からも分かるように、一部のヴィンテージウォッチの評価が著しく上がり、数千万円どころか、数億円超の個体を見かけることもめずらしくはなくなった。

「ヴィンテージウォッチの価格が高騰する場合、そこには市場を牽引しているモデルが必ず存在します。この数年、クロノグラフの人気を支えてきたのが、言わずと知れたロレックスの『コスモグラフ デイトナ』でした。今では、それなりに玉数がある標準的な手巻きモデルですら1000万円超えが当たり前になっていますが、その反面、オリジナリティを保たれていない個体への評価が厳しくなっています……。今後、価格が頭打ちになると、『コスモグラフ デイトナ』の圧倒的な人気に煽られて値上がりした無名ブランドのクロノグラフなどは、よほどデザインやテイストがよくない限り値下がりしていくことが予想されます」

自動車や不動産と比べると転売しやすい機械式時計はまさに「動産」であり、近年投資の対象になっていることは周知の事実だろう。ただし、それは一部の人気モデル、あるいは優良な個体に限った話であり、ましてやヴィンテージウォッチとなると話は一層複雑になる。

「極論ですが、ヴィンテージウォッチについて言えることは、当時のままのコンディションを維持している極上の個体であれば、ジャンルやブランドは問わず、価値は落ちにくい。それどころか、何年も普通に使っていた時計を手放す時に驚くような値段がつくことがあります。このようなステップアップを繰り返すことで今まで手が届かなかった時計が買えるようになることもヴィンテージウォッチを収集する醍醐味なのだと思います」

手巻きデイトナの頂点に立つ“ポール・ニューマン ダイヤル“とは?

手巻き時代の「コスモグラフ デイトナ」の中でも圧倒的な資産価値を持つのが、通称“ポール・ニューマン ダイヤル”と呼ばれる希少な文字盤を持つモデルだ。そもそものバリエーションが多いことに加え、あまりの人気ぶりから購入の際は真贋の問題やパーツの整合性が問われてくる。

「こちらの“ポール・ニューマン ダイヤル“は、4年ほど前にケアーズに問い合わせがあって、お店で買い取らせていただいた個体です。2017年にフィリップスのオークションで約20億円で落札されたポール・ニューマン本人が所有していた Ref.6239とまったく同じデザインで、ワンオーナーであったこともあり、完璧なコンディションを保っています」

今日の“デイトナブーム“は、イタリアの時計市場とハリウッドの名優たちの影響が非常に大きいと言われている。

「私自身、俳優のポール・ニューマンやスティーブ・マックイーンは憧れの対象であり、彼らが好んで着用していた『コスモグラフ デイトナ』には特別な思い入れがあります。とはいえ、これまでケアーズでは、『コスモグラフ デイトナ』を特別意識して販売してきたわけでもなくて、数ある選択のひとつとして提案してきました。個人的な趣味だと、1930~1940年代の時計が好きだから、1960年代のデザインは少なくともストライクではないんです。もし自分で身につけるなら『コスモグラフ デイトナ』の前身にあたるRef.6238の“プレデイトナ”でギリギリかなと思っています(笑)。ただし、こちらの“ポール・ニューマン ダイヤル”のような特別な個体は話が別です。やはり一定レベルを越えた時計は有無を言わせないオーラがあり、世界中の愛好家から支持され続けている理由はそこにあるわけです」

ちなみに、川瀬さんが時計の鑑定士として出演している「開運!なんでも鑑定団」では、これまで「コスモグラフ デイトナ」を3回ほど鑑定している。

「2015年の1月に放送した回で査定した“ポール・ニューマン ダイヤル”は、とても面白いエピソードがありました。依頼人の方は、大学生の頃に父親に借金をして、「デイトジャスト」を銀座の和光に買いに行ったらしいのですが、残念ながら売り切れていて、たまたま1本残っていた“ポール・ニューマン ダイヤル“の『コスモグラフ デイトナ』を購入したそうです。今となっては信じられないかもしれませんが、当時このダイヤルは不人気でして……。結果的に、好きでもなく20数万円で買った時計が、数十年後に4桁を超えるほど値上がりしたわけですから、とてもラッキーですよね(笑)。残念ながら、箱や保証書などの付属品はすべて捨ててしまっていたのですが、時計そのものはほとんど着用していなかったこともあって素晴らしいコンディションでした」

プレミアムな1本を掴むためには、資金力はもちろんだが、引き合わせが不可欠になる。そして、簡単に物事が運ばないからこそ、余計にのめり込んでしまう。もしかするとヴィンテージウォッチ特有の“中毒性“はそんなところから生まれてくるのかもしれない。

「もう何十年もヴィンテージウォッチの仕事に携わっていますが、未だに素晴らしい時計が見つかると初心に帰れるような感動があります。完璧な状態の“ポール・ニューマン ダイヤル”のように、なかなかお目にかかれない希少モデルとの出合いは、人と人との繋がりがあってこそ。そこからオーナーとともに刻んでいく時間が時計にさらなる魅力を与えてくれるはずです」

 

 

ケアーズ森下本店
住所:東京都江東区森下1-14-9 
営:10:00~19:00(月~金曜)、11:00~19:00(土・日・祝日)
休:水曜(祝・祭日を除く)

 

Tomokazu Kawase
1957年東京生まれ。1989年、地元の江東区・森下でケアーズを創業。以来、30年以上もの間、厳選したヴィンテージウォッチのセレクションと自社に工房を構える独自のスタンスが内外で支持されている。現在は同店の会長に就任。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られている。

 

 

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