うんちく・たれお

2020年10月12日 (月)

【お金の話】コロナ禍でも不安解消できる“貯蓄”の設計図。

 コロナ禍でもお金不安は解消できる!「将来の貯蓄」の作り方 

AllAbout 2020年10月9日(金)6時10分配信

人生100年時代にお金の不安を解決する方法は2つ

 2020年9月15日に厚生労働省が「全国の100歳以上の高齢者は過去最多の8万450人となり、初めて8万人を超えた」と発表しました。昨年から9176人増えて、なんと50年連続で増加だそうです。そして、見逃せないのが、女性が88.2%を占めていることです。

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 なぜお金を貯めなくてはならないのか、それは、長生きするからです。お金のご相談にのっていると、「私はそんなに長生きしないから」とおっしゃる人もいますが、次の数字を知ると、考え方が変わるかもしれません。

 平均寿命は、現在、男性81.47歳、女性は87.45歳ですが、平均寿命というのは、0歳児が何歳まで生きるかということです。死亡率の高い幼児期を越して生きた場合は、ある年齢の人があとどのくらい生きるかという平均余命を見た方が現実的なのです。

 例えば、60歳の平均余命は23.97年、女性は29.17年です(厚生労働省・令和元年 簡易生命表より)。しかしこれはあくまで平均値で、国立社会保障・人口問題研究所の予測では、30年後の2050年、男性の4人に1人は93歳まで、女性は98歳まで生きるとされています。まさに「人生100年時代」というわけです。

 老後は、公的年金をベースに、それまで貯めたお金を少しずつ取り崩して生活します。今の収入は、現在の生活費ですが、将来の自分を支えるお金でもあるのです。

 さて、新型コロナウイルスの影響で、収入がダウンした人もいるでしょう。これから減りそうだという人も多いかもしれません。先行きの不安から、目下の家計の貯蓄残高も上昇傾向にあります。

1:計画的にお金を貯めるそのためには人生設計の基本公式でチェックを

 しかし、将来の不安を解消する方法は2つあります。1つ目は、当たり前ですが、「計画的に貯めていくこと」です。それ以外の方法はありません。一部を運用に回して、長期的にお金を増やすことも、資産形成としてはぜひ考えたいところですが、まずは、漠然とした不安を解消するために、今、自分がいくら貯めていかなければならないのかを知ることです。

 漠然とした不安は、ときに間違った行動を引き起こし、かえってその人のお金を減らしてしまうこともあるからです。例えば、貯蓄には不適切な商品を買ってしまうなどです。

 さて、では、自分はいくら貯めていかなければならないのかをチェックしてみましょう。必要貯蓄率を知るのは簡単です。以前もご紹介しましたが、「人生設計の基本公式」で知ることができます。

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具体的事例:世帯収入年収720万円の3人家族の場合

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 具体的事例で見ていきましょう。大沢恵子さん(仮名・派遣社員・36歳)は、夫(会社員・36歳)と7歳の子どもの3人家族です。世帯の現在の手取り収入は、約550万円(年収720万円)で、現在の貯蓄額が300万円です。今後、今の働き方を続けるとして、「必要貯蓄率」を求めてみましょう。

 必要貯蓄率は、約17%です。今後、これを守っていくと、65歳以降の老後生活費は月30万円が確保できます。

 さて、ここで一つ、ご提案があります。今、恵子さんは、派遣社員として、年収200万円ほどの収入を得ています。これももう少し働く時間を増やして月額3万円増(年収236万円)とするとどうでしょう。

 将来受け取れる年金は約5.7万円増加します。フルタイムで働いて、仮に年収を300万円とした場合は、約16万円増えることになります。

2:一生受給できる公的年金を少しでも増やしておくこと

 日本の公的年金保険は、働いたほど年金を増やせる制度となっていて、保険料に応じて給付が行われる就労促進的な制度です。寿命の長い女性は特に、一生受け取れる公的年金額を少しでも増やしていくことが将来の安心につながります。つまり不安解消に有効な2つ目のポイントは、「年金受給額を増やす」ことです。

 日本の公的年金保険は、65歳の年齢に達したら年金を受け取らなければならないというものではなく、60歳以降70歳までの好きな時期から受給を開始できる自由選択制です。今後は75歳まで期間が延びることになっています。

 仮に、65歳で受給を開始すると、夫婦で326万円ですが、70歳まで受給を待てば(年金を繰り下げ受給する)、約463万円に増えます。年金を受給しない間は、70歳まで働き続けることになりますが、フルで働くというより、なるべく貯蓄を減らさないようにするという考えでよいと思います。

 公的年金は、「長生き」という「不確実性(リスク)」への備えを目的とした「保険」です。しかし、あえて損得で考えてみると、70歳まで繰り下げをした5年間の未受給分1300万円は、受給開始から11年11カ月で元を取れます。

 公的年金は、物価が上がったり、現役世代の賃金が上がったりすれば、ある程度それにあわせて増額されます。例えば、民間の個人年金保険などは、契約時に受給額が決まるので、今後、インフレになろうとも増額はありません。つまり、お金の価値が下がって、モノを買う力が減るということです。公的年金はとても心強い存在なのです。

 老後の安心を作るには、なるべく働き、受給できる公的年金を増やし、かつ、必要貯蓄率を守って貯金をしていきましょう。

 野村宏伸「8000万円を踏み倒されてアルバイト生活へ。逃げなかったから今がある 

婦人公論.jp 2020年10月11日(日)12時31分配信

 1980年代、テレビドラマ『教師びんびん物語』で大ブレイクした俳優の野村宏伸さん。最盛期の年収は2億円を超えるなど順風満帆の人生でしたが、お金のトラブルから30代でどん底に突き落とされ……(構成=丸山あかね)

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工場が倒産し一家離散

 コロナ禍で失業したり収入が減ったりして、経済的な不安を抱えている人が少なくないと聞きます。お金の悩みは、単になくて困るというだけでなく、プライドや希望をズタズタにして、生きていく気力さえ奪ってしまう。お金に翻弄されてきた経験上、僕にはよくわかります。

 僕も今、厳しい状況におかれていますよ。予定していた舞台が飛んでしまえば、たちまち収入は断たれてしまう。とはいえ、もとより役者という仕事は水物だと肝に銘じているからか、まったく動じてはいません。それとも、試練を通じて心が強くなったのか……。

 僕の場合、生まれ育ったのは幸運にも裕福な家でした。わが家は祖父の代から都内で化学薬品工場を経営していて、父は二代目社長。当時、暮らしていたのは200坪くらいの土地に立つ豪邸で、庭の池には鯉が泳いでいました。家族旅行で初めてハワイに行ったのは、まだ1ドル300円以上の時代だった、小学校の低学年の頃でした。

 でも当時は幼すぎて、普通の金銭感覚というものを知らず、「それが当たり前」。何のありがたみも感じていなかった。そればかりか僕はお金にルーズな父の背中を見て育ちました。父は人から頼まれると二つ返事でお金を貸してしまったり、簡単に何千万円もの保証人になってしまったり。

 母は「お父さんはお人よしだから」と言っていましたが、今思えば、見栄っ張りだったのでしょう。もっともこれは今だから言えることで、30代までの僕は、そういう気風(きっぷ)がよく男気のある人をカッコイイと思っていた節もありました。

 高校1年のある日、いつものように学校から帰宅すると、両親から「すぐに家を出て逃げなければ」と告げられました。工場が数十億円の負債を抱えて倒産したから、と。僕と妹はわけがわからないまま別々の親戚に預けられ、一家離散となったのです。

 とはいえ、僕たち子どもに悲愴感はそんなになかった。僕はいつも通り高校に通って友達に会っていたし、親戚の家に帰れば仲のいい従兄がいる。ただ、校門で強面(こわもて)の債権者が僕を待ち伏せしていたのは嫌でたまらなかった。車の中に連れ込まれ、「親はどこにいるんだ」と詰問されても、「知りません」としか答えようがない。

 タクシー運転手の職に就いたと父から連絡があり、再び家族4人で暮らすことができるようになったのは、工場が倒産して10ヵ月くらい経った頃です。でも住まいは小さなマンションの一室で、食べていくのが精いっぱい。そのうえ父はギャンブルに走り、ほとんど家に帰ってこない状態で……。後に両親は離婚しました。

賞金が欲しくてオーディションに

 高校時代は僕の人生における第一次氷河期でしたが、妹が勝手に応募した角川映画『メイン・テーマ』の薬師丸ひろ子さんの相手役オーディションに合格したことで、運命が大きく変わっていきます。高校卒業を控えた当時の僕は、父の失敗を目の当たりにしていたので、収入の安定したサラリーマンになりたいと考えていました。それなのに映画のオーディション会場へと出かけたのは、やっぱり賞金が欲しかったから。優勝者は500万円、推薦者は100万円と高額だったのです。

 2万3000人もの応募者の中から自分が選ばれたことは確かにうれしかったけれど、驚きのほうが大きかったですね。もらった賞金は家族のために使いました、と言いたいところなのですが……200万円くらいの新車を買ってしまいました(笑)。あとは「生活の足しにして」と母に渡したり、貯蓄をしたり……。

 このときはまだ役者として生きていこうとは思っておらず、「とりあえず、この1本に出て終わり」と考えていました。もともと自分で憧れて入った業界でもないし、続くとは思っていなかった。しかし、デビューの翌々年、僕は『キャバレー』という作品で主役に抜擢されます。僕は角川春樹事務所に所属して固定給をもらうように。デビューした頃の月給は同世代のサラリーマンと同じくらいで、15万円ほど。それが『キャバレー』以降は30万円になり、大出世した気分でした。(笑)

 そして、撮影現場で先輩方と話すうちにお芝居の楽しさ、やりがいを知るようになり、俳優という職業にのめり込んでいきました。

母のために買った2億円の豪邸

 その後、もう一作角川映画に出演したところで角川春樹事務所から芸能部門がなくなり、知人の紹介で事務所を移籍。すぐに決まったのが、田原俊彦さんと共演したドラマ『教師びんびん物語』の榎本英樹役だったのです。ドラマの大ヒットに伴って僕も顔が知られるようになっていき、CM出演など仕事のオファーがバンバン舞い込んできました。しかも新しい事務所での給料は歩合制だったので、20代後半で最高月収約6000万円ということもありました。まさにバブル期です。

 月末に桁外れの金額が口座に振り込まれることに最初は歓喜していましたが、徐々に金銭感覚が麻痺していきました。そのうち、通帳を経理の方に預けっぱなしで、自分でいくら稼いでいるか、使っているかわからないという状態に……。そして、「自分に買えないものはない」などと大いなる勘違いをするようになっていったんです。実際、ベンツやポルシェを所有して有頂天になっていました。

 一番高額だった買い物は、母を喜ばせたい一心で28歳のときに購入した世田谷区内の家です。敷地面積は110坪、50畳のリビングがある3LDKの家の価格は2億4000万円ほどでした。頭金を1億円入れて20年ローンを組んだのですが、利息が高くて、月の返済額は80万円くらいだったと思います。余裕で支払える予定だったんです。

父と同じ過ちを犯して……

 ところが30代半ば、僕の人生に第二次氷河期が訪れます。中途半端な年齢に差し掛かり、ニーズが減ってしまったんですね。仕事のオファーが激減しました。かといって自分がどう変わるべきかもわからず、俳優として停滞期を迎えたのです。

 こうなると、自宅の50畳のリビングにかかる冷暖房代なども気になり始めます。光熱費だけで月10万円くらい払っていましたからね。

 さらに、大きな間違いも犯しました。親しくしていた複数の友人に、トータル8000万円ほどのお金を貸してしまったのです。ある日、それまで散々ご馳走してくれていた友人から、不動産を買うという名目で「月末には返すから」と言われました。友達が困っているのだし、銀行にお金があるのだからということで、僕は5000万円を渡してしまった。

 これを皮切りに、遊び仲間から事業を始めるのでと持ち掛けられて1000万円、経営するカフェの運営資金が足りないと泣きつかれて、ポンと1500万円……。彼らとは昨日や今日のつきあいではありませんでした。だからこそ信頼して貸したわけですが、その後はことごとく音信不通に。いまだに一銭も返してもらっていません。

 僕は四の五の言わずに貸すのが男らしい行為だと思っていたし、ケチな男だと思われたくなくて、「貸した金を返してくれ」と催促することもしなかった。本当に馬鹿でした。当時、すでに結婚していて、子どもも2人いたのに、父と同じ過ちを犯してしまうなんて。しかもこんなお金の悩みを人に打ち明けるなど、当時の僕には考えられなかった。プライドが邪魔をして、人に助けを求めることができずにいたのです。

友人に1000万円借りたことも

「一言相談してほしかった」と訴える妻とは、当然のごとく喧嘩が絶えず、険悪に。プライベートも仕事も八方塞がりだった30代後半が一番苦しかったかな。子どもの学費を払うため、恥をしのんで友人に1000万円借りたこともあります。44歳の頃には、生活のために友人が経営する中古車販売店でバイトもしました。俺は何をやっているんだろう、とか思いながら……。

 そりゃ、貸したお金のことを考えない日などありませんでした。次第にそのことばかりが頭の中を占めて、自分がおかしくなりそうだった。だから、いつからか、もうお金のことを考えるのはやめようと決めました。

 月々の家のローンの返済もつらくなって、返済額を減らしてもらうなど手を尽くしたこともありました。そしてかなり迷いましたが、家を売却することに決めたのです。2011年のことです。

 同じ頃、妻とも離婚が決まりました。子どもたちには申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、別れる家族が暮らしていけるようにお金を渡し、家も手放して、借金もなくなった。すると気持ちが楽になって、気づいたらもう一度、役者として頑張ってみようかなという気力を取り戻していたのです。

執着心を手放し前を向いて

 まさにゼロからの再スタートです。僕はまず、事務所から独立しよう、と考えました。個人事務所を設立して、なんでも自分でやってみよう、と。実行に移したところ、田原俊彦さんと再会するという企画のオファーがバラエティ番組から来たのです。

 仕事を選んでいる場合ではないと引き受けたら、番組を見ていたテレビ局のプロデューサーからドラマ日曜劇場『とんび』(13年)への出演オファーをいただきました。そして、このドラマで頭を丸めて挑んだ僧侶の役が、役者としてのターニングポイントになりました。

 個人事務所を設立したことで、これまで以上に仕事の流れや、自分に求められているものを理解するようになりました。お金に関してもそうです。ギャラがいくらか、自分できちんと把握していますし、お金の管理も徹底しています。もう、誰かに通帳を預けるなんておそろしいことはしません。(笑)

 角川映画のオーディションを受けなければ、そして個人事務所を立ち上げていなければ、今の僕はなかった。行動を起こすと、人との出会いが生まれます。人との出会いから新たな仕事が生まれ、自分が助けられたりする。

 友達に借金を踏み倒された後、正直、「あの金さえあれば」と貸したお金に執着していた時期もありました。でもそれでは悪縁を断ち切れない。僕は人のせいにするのをやめ、「不義理する人を見抜けなかった自分のせいだ」「お金を貸した自分が悪いのだ」と考えを改めることで執着心を手放し、前を向くことができた。

 お金に苦しんだ30代後半から40代まで、本当につらかったけれど、僕は人生を断つことだけは考えませんでした。それは、自分が行動を起こすことによって出会ったいい友人に支えられたから、そして「つらいときこそ逃げない」と自分に言い聞かせていたからです。あきらめなければ、きっと道が見つかる。

 幸い、今は俳優としてのオファーも増え、若いときには思いもよらなかったさまざまな役をいただいて、毎日が充実しています。50歳で今の妻と再婚し、子宝にも恵まれました。

 今、僕は豪邸にも高級車にも関心がありません。経験したからということもあると思いますが、何よりも今の家族を守りたいという気持ちが強いのです。

 目下の最大のテーマは「老後にどう備えるか」。でも結局のところ、目の前にある仕事をきちんとこなすことが大切なのだと思います。あとは節約でしょうか。物質的には質素ですが、家族であれこれと吟味するのが楽しくて、精神的には満たされています。今さらですが、地に足のついた暮らしができるのはありがたいことですね。

 

2020年9月23日 (水)

【羽生善治】快勝!<王将戦挑戦者決定リーグ>藤井2冠に初白星

 藤井聡太×羽生善治=新旧“天才対決”、羽生が勝利 

ENCOUNT 2020年9月23日(水)9時43分配信

第70期王将戦挑戦者決定リーグ開幕局を総括

 将棋の藤井聡太2冠(18)が、22日に都内で行われた第70期王将戦挑戦者決定リーグの初戦で、羽生善治九段(49)に敗れました。今回は、注目を集めた一局を振り返りたいと思います。

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 まず、本局の背景ですが、王将戦の挑戦者を決めるリーグ戦が新たに始まるタイミングで、リーグ戦自体の開幕局という位置づけ。藤井2冠は2019年、この王将戦のリーグ最終局で挑戦者決定戦を行い、敗れてその時点での最年少タイトル挑戦者の記録達成ならず、という悔しい思いをした棋戦。「今年こそは」の思いも強いはず。ご存じの通り、この王将戦挑戦者決定戦の後、20年春から夏にかけてたて続けにタイトルを2つ取り、藤井「2冠王」となって今や押しも押されもせぬ超一流棋士に。

 一方の羽生九段はどうか。最盛期を知る者としては、近年の成績は不思議としか言いようがないものですが、実は直近に竜王戦の挑戦を決めたばかり。羽生さんにとっての最大のモチベーションは、タイトル数100の記録。現状99なので、あと1つのタイトル獲得での達成なのです。そのためのタイトル挑戦者の権利を手に入れたばかり。羽生さんの調子も意欲も、上向いている状況です。

これまでは藤井2冠の3連勝だった

 中学生棋士という天才を証明する経歴を持つ2人の対戦。ここまでの公式戦での戦績は藤井2冠の連勝。意外にも偏っていて、全ての対局で藤井快勝という内容。今回の対戦は藤井2冠として、羽生さん相手に対局時に「上座」に座るという状況。藤井2冠にとって、いやが上にも第一人者であることを認識する状況ですが、これは今後も続いていくので慣れるしかありません。

 ちなみに対局時の上座と下座の関係は、年齢や棋士年数より実績が優先されるので、今や藤井2冠の上座に座れるのは基本的に同等のタイトル2冠以上の棋士だけなので、圧倒的に上座に座る機会が増えることになります。

 好調同士の一戦は、リーグ戦という負けたら終わりのトーナメント戦ではない状況も合わせ、余計なプレッシャーを両者が感じなくて済む、内容に専念しやすい状況での対局で熱戦が期待できました。

藤井2冠が一方的に攻めまくる展開に

 その肝心の対局は、後手の羽生九段が横歩取りという戦型に誘導する展開に。対する藤井2冠の構想は非常に攻撃的で、攻めの力が問われる組み立てとなりました。あらゆる展開を苦にしない藤井2冠ですが、一方的に攻めまくる展開でどのように指すのか、これもまた楽しみな内容となりました。

 ひとつ、特徴的だったのが46手目後手の羽生さんが△5五歩と突いた局面。ここは藤井2冠の指し手が、プロの目から見ても3通りはある局面で、どの手を選ぶかで後の展開が全く変わってくるという、非常に重要な局面。結果、ここで藤井2冠が選んだのは一番穏やかな選択肢。逆に激しく攻め合う順がどちらに分があったのか、プロでも意見が分かれそうな難解な変化であったことは確かです。

 藤井2冠が穏やかな変化を選んだ結果、羽生九段の「強気」を引き出すことになりました。自陣に手を入れず、攻め合いに活路を見いだす展開で勝負をかけました。と言っても、基本的に藤井2冠の攻めが一手早く見える展開で、かなりの対応力と勇気がなければ選べない順です。

 それを可能にしたのが54手目△4八歩。突如藤井玉の真横に飛んだ手裏剣。この手を見て私は直感的に、羽生さんが勝ちやすくなったのではと思いました。いかにも羽生さんらしい、才能を感じさせる一手だったからです。

藤井2冠が羽生九段の手のひらの上で踊らされる内容に

 果たしてここからは、羽生さんが強さを見せました。「好きに攻めてこい」と言わんばかりの指し口で、藤井2冠に自由にやらせながら、結局、一手遅かったはずの攻めを間に合わせて、いつの間にか羽生勝勢になっていました。我々プロが表現するところの「強い勝ち方」というやつです。

 これを実践するためには、あらゆる攻め筋をいなせるという判断力と読みの力、そして度胸が必要で、1か所でも読みに穴が開いていれば即負けとなります。現実的には羽生さんとはいえ全ては読み切れないので、感性と判断力も総動員しての選択だったと思いますが、まさに羽生将棋ここにありというような、非常に強さを感じさせる指し回しでした。

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 藤井2冠はどう感じたでしょうか? このような、まるで手のひらの上で踊らされるような内容は、これまで経験したことがなかったはずです。この懐の深さというような、円熟の至芸を経験したことは、今後の大きな財産となるはずです。これまで3戦3勝で、羽生さんの「怖さ」を知らなかった分、勝ちっぱなしであるより良かったと言えると思います。将棋には怖いものがいくらでもある。そのことを「天才の先輩」が教えてくれたと言ってもいいでしょう。

遂に羽生さんが本気を出したか…!

 ここだけの話、私は今回の内容と結果を見て、「遂に羽生さんが本気を出したか」と思いました。もちろん、羽生さんがこれまで手を抜いていたという意味ではなく、相手が相応の立場と実績になれば、それに合わせて強い将棋を指してみせるという超一流にしかできない対応力を砕いて表現した言葉で、棋士の世界では昔から内々で使われているものです。いずれにしても今回の対戦では、新旧天才対決でようやく先輩が初勝利。羽生健在を強烈に印象付けました。

 敗れた藤井2冠は、全く失うものはないでしょう。王将リーグもまだ始まったばかり。挑戦の可能性は全く失われてませんし、何より「強い羽生さん」を体感したことはむしろ喜んでいるかも知れません。今後はまだいくらでも2人の対戦はあるでしょう。いずれ両者にとってはるかに重要な、共に負けられない状況での対局もあるかも知れません。まだまだ成長するであろう藤井2冠と、円熟期で凄みを増す羽生九段、2人の対戦は名局の期待しかありません。

 羽生九段「手が震えた」初勝利最新将棋へ対応の必要性実感 

日刊スポーツ 2020年9月23日(水)7時58分配信

 渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権を争う、将棋の第70期王将戦挑戦者決定リーグが22日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で開幕した。午前10時から始まった注目カード、藤井聡太2冠(18)対羽生善治九段(49)は午後7時17分、後手の羽生が中盤、接戦から抜け出して80手で勝利を手にした。ここまで4連敗と相性が悪かった史上最年少プロから初白星を挙げた。19日に竜王戦7番勝負の挑戦権を獲得した。27日の50歳の誕生日を控え、40代最後の対局で連勝し、こちらも好スタートを切った。

 羽生の手が激しく震えた。勝利を意識したときのしぐさだ。76手目後手2五香。2六に逃げてきた藤井玉を頭から押さえ付けた。「最後に詰みが見えて、やっと勝ちだと思いました」。40代最後の対局には、「特別なことはなく、一生懸命やろうと思っていました」とだけ、応えた。

 2018年2月、朝日杯オープン戦準決勝で初めて対戦して以来、公式戦で4連敗。今局はきわどい形勢の競り合いから抜け出した。「今までほとんどチャンスらしいチャンスがなかった。今回は良かったかな」。ホッとした様子だった。

 上座にいる史上最年少プロは今年、立て続けに棋聖と王位を獲得した。過去4局は段位が上だったため、上座だった羽生は今回、下座。相手がタイトル保持者の場合は、九段でも序列が下になるからだ。厳然たる現実を受け止めた。

 前局、竜王戦挑戦者決定戦では往年の手堅い指し回しで竜王戦の挑戦権を得た。タイトル獲得通算100期がかかる大舞台に、2年ぶりに戻る。その会見で藤井の活躍ぶりについて問われ、「2冠という大きな実績を残されている。日々の対局や棋譜を見て参考にしたり、勉強しているところです」と、存在を認めた。

 強い年下との対局が増えるなか、最新の将棋に対応する必要性を実感している。「考えなくてはいけないことがたくさんありすぎ。最近の将棋を理解しているかは分からないが、後れを取らないように心掛けている」と、自らの立ち位置も理解している。

 王将リーグとほぼ同時期に、2日制の竜王戦7番勝負も10月から加わる。前後の移動まで含めると4日を費やしながら、豪華メンバーの王将リーグや他棋戦も掛け持ちする。タイトル獲得計99期(内訳は竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16期)のトップランナーは、気力を充実させてこちらでも挑戦権獲得を目指す。

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王将戦 将棋の8大タイトル戦の1つ(ほかは竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・棋聖)。挑戦者決定リーグは、前期シードの4人(広瀬・豊島・藤井・羽生)と、1次~2次予選を勝ち上がった3人(永瀬・木村・佐藤天)の計7人による総当たり戦。成績最上位者が挑戦者となる。95年の第44期には、当時まだなかった叡王を除く6冠を保持していた羽生が、谷川浩司王将に挑戦した。阪神・淡路大震災に遭いながら対局をこなした谷川が4勝3敗で防衛した。翌年の第45期は、6冠すべてを防衛して再度挑戦者として登場した羽生が谷川に4連勝。史上初の7冠全制覇を達成した。

藤井聡太2冠羽生善治九段公式戦5戦目初黒星

スポーツ報知 2020年9月23日(水)6時00分配信

 将棋の羽生善治九段(49)が22日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第70期王将戦挑戦者決定リーグの開幕戦で藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=に後手の80手で勝ち、渡辺明王将(36)=名人、棋王=への挑戦権に向けて白星発進した。羽生は、公式戦5戦目で藤井から初勝利をあげた。3冠を目指す藤井は、デビュー227戦目で5度目の連敗(未放送のテレビ棋戦は除く)を喫した。

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 少年時代のように、悔しさを隠そうとしなかった。終局後、がっくりと首を折る藤井。最近では珍しくなった光景に羽生戦への思いが見て取れた。

 投了直前、指す手がなくなった藤井は自らの心を静めるようにコップの水を飲み干し、マスクをした後で「負けました」と告げた。

 苦い記憶を払拭できなかった。今月12日のJT杯で豊島竜王に敗れた戦型「横歩取り」の戦い。主導権争いの中盤戦で67分を投じる大長考を末に▲5六角を決断した。2枚の角を盤上中央に据える大胆な構想を見せたが、羽生陣を攻略する糸口を発見できなかった。「盤上にあった2枚の角が働かない展開になって苦しくしてしまいました」

 連敗は昨年7月にNHK杯と銀河戦本戦で久保利明九段(45)に2連敗を喫して以来1年2か月ぶりだった。「攻めが不発で形勢を損ねてしまいました」

 今期、タイトル奪取の可能性を残すのは王将戦のみ。今年度中の3冠を目指す上では痛い黒星となったが「厳しいスタートになりましたけど、また良い状態で次の対局に臨めるようにしたい」と前を向いた。

 次戦は公式戦で0勝5敗とまだ勝利がない豊島との一局。1敗が許されるのがリーグ戦の利点でもある。実力者相手に初白星を挙げて、再び上昇気流に乗りたい。

 王将戦挑戦者決定リーグ7人全員タイトル経験者 

スポニチアネックス 2020年9月23日(水)5時30分配信

 ◇ 王将戦 挑戦者決定リーグ

 将棋の王将戦挑戦者決定リーグで渡辺明王将(36)への挑戦権を争う7人は、全員がタイトルホルダーか経験者という豪華な顔触れだ。実力者たちがぶつかり合う21局の見どころをピックアップした。

 ▼ 豊島将之竜王(叡王と2冠)VS藤井聡太2冠(10月5日) 対戦成績は豊島5勝に対して藤井0勝。希代の天才高校生棋士が、不思議なほど歯が立たない。“天敵”相手に苦手意識を払拭(ふっしょく)する初白星を挙げられるか。

 ▼ 藤井VS永瀬拓矢王座(10月26日) 永瀬の研究室に藤井が通い、研鑽(けんさん)を積む“同志対決”。過去の対戦成績は藤井の2戦2勝でいずれも今年6月に挙げたもの。永瀬はタイトルホルダーとして3連敗は避けたいところ。

 藤井VS木村一基九段(11月20日) 藤井が2つ目のタイトルを獲得した今夏の王位戦7番勝負と同じカード。王位戦では藤井が4連勝で冠奪取したのが記憶に新しいが“中高年の星”木村が心機一転、意地を示すか。

 藤井VS広瀬章人八段(対局日未定) 昨年11月の挑戦者決定リーグ最終戦、勝てばタイトル初挑戦が決まる対局で藤井は勝勢で進めながら、最後の最後で痛恨のミスとなる悪手を指し敗北。それ以来の対戦で悪夢払拭なるか。

 豊島VS永瀬(同) 叡王戦7番勝負で火花を散らした若き実力者同士のライバル対決。叡王戦では持将棋2局を含む9局までもつれ込み、豊島が最終的に21日の9局目で勝って4勝3敗で冠を奪取。ここでも再び激戦は必至。

 豊島VS羽生善治九段(11月20日) 竜王戦の挑戦者決定3番勝負で豊島への挑戦権を獲得した羽生。勝てば前人未到のタイトル通算100期に到達する7番勝負は10月9日に開幕するが、同じ時期の対決となるだけに心理的な探り合いにも注目。

 藤井聡太2冠、史上最年少3冠 天敵豊島竜王 

スポニチアネックス 2020年9月23日(水)5時30分配信

 ◇ 王将戦 挑戦者決定リーグ

 藤井聡太2冠が王将戦挑戦者決定リーグの初戦で羽生善治九段に敗れた。棋聖、王位に続く高校生での3冠に向けて黒星スタートとなったが「いい状態で次の対局に臨みたい」と前を向いた。

 敗色濃厚の73手目▲3七王を指し終え、外していたマスクを再装着した藤井は形づくりの逃避行を終えて駒を投じた。しきりに首をひねり、そしてうなだれる。視線は焦点を定めないまま虚空をさまよっていた。

 「(羽生の)△4八歩(54手目)から△8六飛車(56手目)というのはちょっと見えてなかったので…」。苦悩の表情を微妙に隠しつつ衝撃の告白だ。中盤の出口で仕掛けた53手目の▲4四角で4筋の歩を払ったまではよかったが、その代償として4八に歩を打つ可能性を羽生に与えてしまった。読みにない手。痛すぎる失着。「飛車をさばかれてみると少しこちらの角が働く形が難しいので、苦しくしてしまっているのかなと思いました」。形勢は徐々に永世7冠資格保持者へと傾いていく。以降は亀裂の修復どころか、差は広がる一方だった。

 対局開始30分前。特別対局室に入った藤井は規定通り、迷うことなく上座に就いた。未放映対局を除く過去3度の対決ではいずれも下座。新旧天才棋士のつばぜり合いは、この日で立場が入れ替わった。盤上に置かれた駒箱から駒を取り出すしぐさに、ぎこちなさはもう見られない。

 苦手なはずの横歩取りの誘いを堂々と受け入れる。2冠のプライドと探究心の極みがあえて困難な道を選ばせたのだろう。つい10日前、JT杯で豊島将之竜王(30)に敗れた同じ手順にもかかわらず、だ。しかし誤算があった。「その後、変化が多い。難しいのかなと思いました」。29手目の▲3三飛成は意表を突く角との交換。その直前、羽生の2三に浮いた金が問題だと主張する意図だ。そこに軽微な誤算があった。「こちらがその形をとがめるというのも具体的には難しいのかなと」。方針転換で9筋の端攻めも敢行したが「不発になってしまって」。35手目には角2枚を横に並べ、一見迫力ある布陣を敷いたが、これも空振り気味。序盤の細かいやりとりから羽生のプレッシャーを受け続け、はね返す体力は徐々に失われていった。

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 これで羽生戦は初黒星。6局で争う挑決リーグとしても痛い始動だ。しかも次戦(10月5日)の相手は過去5戦全敗の豊島。ここで連敗してしまうと、高校生3冠への道は極端に狭まってしまう。「厳しいスタートにはなりましたが、またいい状態で次の対局に臨めるようになんとかしたいと思います」と締めた藤井。痛恨の敗戦後にもかかわらず、口調には活力が残されていた。この程度でくじけてはいられない、と。 

 《藤井と王将戦》藤井は第69期の昨年11月、挑戦者決定リーグに初出場し、広瀬章人八段と同じ4勝1敗で最終日を迎えた。勝てば渡辺明王将への挑戦権をつかむという大一番は126手で広瀬が勝利。詰将棋解答選手権5連覇で抜群の終盤力を誇る藤井が広瀬の盲点を突く攻めを受け損ない、タイトル初挑戦を逃した。

 翌12月、地元名古屋市であったイベントでは2019年の印象的だった将棋としてこの広瀬戦を挙げ、「現状の課題を知った。来年に生かせれば」。序中盤偏重のままきた、持ち時間の使い方を再考するとした。

 第67期はデビュー以来の歴代最多29連勝を樹立後、菅井竜也八段と1次予選7組決勝で対戦し、公式戦では自己最短81手での敗戦だった。第68期は1次予選6組初戦で元王将の南芳一九段に自己最長230手で逆転勝ちし杉本昌隆八段との千日手指し直しの末の師弟戦を経て、準決勝で井上慶太九段に137手で敗れた。その3月28日は、中学生棋士として最後の対局だった。

 ▼ 王将戦 王将と挑決リーグ優勝者が例年1月から3月にかけて7番勝負で激突。持ち時間は8時間。タイトル戦では名人戦に次いで歴史が長く1951年から始まった。番勝負の各局で勝者が会場のご当地色をヒントにした仮装で記念撮影するのが恒例。ユニークな構図から棋士やファンの間で「勝者の罰ゲーム」と称されている。

  王将戦の挑戦者決定リーグ 例年9~11月に実施。シードされた前期リーグ上位4人(順位1~4位)と、予選を勝ち上がった3人(同5位)で争う。リーグ戦で同率首位が複数出た場合は原則として順位上位2人による1局だけのプレーオフが行われ、挑戦者を決める。

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2020年9月13日 (日)

【耳学】なぜ「海水👅ショッパイの?」と訊かれた時の解答

 子供に「海水何故しょっぱいの」と聞かれたら、こう 

現代ビジネス 2020年9月13日(日)11時01分配信

46億年の歴史が海水を塩辛くさせた

 「ゲホッ、ゴホッ!」ーー海でうっかり海水を飲めば、十中八九咳き込んでしまう。けっして忘れられない塩辛さだ。

 しかし実は、太古の地球の海水は塩辛くなかった。むしろ、その味は酸っぱかったことが分かっている。

 地球が誕生した46億年前に時を戻そう。太陽系ではたくさんの小惑星が集まり、衝突を繰り返していた。地球にも、一日数千個の隕石が降り注ぎ、地球という星は成長を続けていった。

 衝突した瞬間に発生する熱で隕石はどろどろに溶け、地表は真っ赤なマグマに覆われた。また、衝突の熱で水蒸気が発生し、太古の地球は大気に包まれていった。

 地球誕生から約2億年が経つと、隕石の衝突も収まってきた。地表の温度も下がり、今度は大雨が降り始めた。年間雨量10mを超える雨は1000年近く続き、いよいよ地上には広大な海が出来上がる。

 実はこの雨には、塩化水素が含まれていた。そのため雨が溜まってできた古代の海はとても酸っぱかったのである。といっても、塩酸を飲めば口の中が溶けて爛れる。古代の海水も、もし飲めばとんでもない激痛を感じたはずだ。

 生命が誕生するような「母なる海」は、ここから長い年月をかけて酸性度が弱まることで誕生した。酸性の海によって地表のナトリウムやマグネシウムが溶かされ、中和反応が起きたからだ。

 酸性とアルカリ性が混ざると中性になる。そしてこの化学反応と同時に生まれるのが「塩」だ。現在、海水には約3・5%の「塩」が含まれ、うち約78%をいわゆる食塩、「塩化ナトリウム」が占めている。

 海水に含まれる「塩」にはほかに、苦みを感じさせる塩化マグネシウム(10%)、ほのかに甘い硫酸カルシウム(約4%)もある。海水を蒸発させて作られている天然塩の複雑な味わいは、海水に含まれるさまざまな「塩」によって決まる。

 海水の強烈な塩辛さは、地球が歩んできた46億年の歴史の積み重ねなのである。

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世界漂着ゴミ食品包装用プラスチック最多

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年9月11日(金)配信

 世界の海岸に打ち上げられた漂着ごみで、キャンディの包装材やスナック菓子の空き袋といったプラスチックの食品包装材が初めてタバコの吸い殻を上回り、最多となった。

 歓迎されないこの統計値は、環境保護団体オーシャン・コンサーバンシーが毎年行っている海岸清掃活動(ビーチクリーンアップ)の最新の報告書で明らかになった。2019年の清掃活動では、116カ国の海岸から9400トンを超えるごみが1日で回収された。その数は3250万点にのぼる。

 プラスチック包装材は、2002年から2014年の間に米国、ヨーロッパ、中国、インドで生産されたプラスチックの45パーセント近くを占めており、世界のごみの中でも主要な位置を占める。それでも、オーシャン・コンサーバンシーの34年に及ぶ海岸清掃活動では、小さなタバコのフィルターがずっと1位を維持してきた。2位に後退した2019年も、タバコの吸い殻は420万本も回収されている。1位になった食品包装材は、合計で470万点以上が回収された。

 回収されたごみの概要は国別、種類別に集計され、9月8日付けでインターネット上に公開された(外部サイト)。ごみは、南極を除くすべての大陸の海岸から回収された。

 10位以内にランクインしたその他のアイテムは、プラスチックボトルやキャップ、ストローとマドラー、プラスチック製のコップやふた、持ち帰り用容器、ビニール袋など。ほとんどが食品や飲料に関連するごみで、その多くはリサイクルできない。ボトルはリサイクル率が高いが、軽量のプラスチック包装材は機械に詰まってしまうため、リサイクル工程で除外されることが多い。

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 タバコのフィルターは酢酸セルロースを原料とする。環境団体は長年、タバコのフィルターは例外的な存在とみなし、プラスチックごみに関連する広範囲の消費者動向に左右されないと考えてきた。参加するボランティアの人数や海岸にもよるが、至るところにあるタバコの吸い殻が今後の清掃活動で1位に返り咲く可能性はあると、オーシャン・コンサーバンシーの海ごみゼロプログラムを監督するニコラス・マロス氏は話している。

「食品包装材がトップになりましたが、これは単に、飲料や食品の使い捨て包装材という持続可能ではないものが生産されている現実が再確認されたにすぎません」。厄介なのは、食品包装材の大部分は消費者がリサイクルしていないか、もともとリサイクルができないかのどちらかだという現状だ。プラスチックごみの扱いが、世界中のほとんどのコミュニティーで「目に余るほど不十分」であることを際立たせる事実だと、マロス氏は言う。

 米国環境保護局によれば、2017年に米国でリサイクルされたプラスチック容器や包装材は13パーセントにとどまる。あらゆる素材の容器や包装材のなかで、リサイクル率は最も低い。

 オーシャン・コンサーバンシーは、1986年に海岸清掃活動を開始して以来、回収したごみの目録を作成し続けてきた。蓄積されたデータは約4億点以上の海洋ごみを網羅しており、世界最大規模の種類別データベースと考えられている。時系列でみると、大まかな消費者行動の傾向やさまざまな製品の流通状況を知ることができる。

 たとえば、飲料用の缶や紙袋は、2009年の清掃活動を最後に上位10位から消えた。その10年ほど前に、ペットボトル入り飲料水が世界中で広く流通し始め、食料品店のビニールのレジ袋が紙袋を上回っている。2017年にはガラスびんが上位10位から姿を消し、この年に初めてプラスチックごみが回収数の上位10位までを独占した。

「オーシャン・コンサーバンシーのデータは、プラスチック汚染を懸念している世界中の人々にとって、大変重要な記録です」と、米ジョージア大学工学部教授で、ナショナル ジオグラフィックのフェローであるジェナ・ジャムベック氏は話す。「このテーマを19年前に研究し始めてから、私はずっとこのデータを参照しています」

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 チームの統計学者たちは、2019年の清掃活動の成果を、海の生き物たちを用いて数値化した。たとえば、回収されたストローは、322匹のタコが1日8杯のスムージーを1年間飲み続けるのに十分な数、プラスチック製カトラリーは、6万6000匹のサメに3品のコース料理を提供できる数だった。ボランティアが回収した釣り糸は、89キロ上空から海鳥が魚釣りできるほどの長さになる。

 毎年のことだが、アジア太平洋から北大西洋、南米まで3万9358キロに及ぶ海岸の清掃では、奇妙なものもたくさん見つかった。日本の海岸ではガーデン・ノーム(庭に飾る小人像、ヨーロッパ発祥)が見つかり、ノームはどこにでもいることが裏づけられた。そのほかに、香港ではバーベキューグリル、ジャマイカでは浴槽、ベネズエラではアイロン台、メキシコ西岸では長椅子、ノルウェーではゴルフバッグ、そしてカリフォルニアではポリネシア風の屋外用トーチが回収された。

 この清掃活動は、今年も9月の第3土曜日に実施されるが、新型コロナ流行の影響で、ボランティアは単独または少人数のグループで作業するよう勧められている。海岸には出かけずに、自宅でごみの削減に取り組むことも一案だ。

 17世紀の残虐な海賊を無罪放免にした1冊の地図 

NATIONAL GEOGRAPHIC 2020年9月12日(土)12時14分配信

25隻を破壊、200人を殺したバーソロミュー・シャープはなぜ刑を免れたのか

 1680年、イングランドの海賊バーソロミュー・シャープと300人の部下たちは、中米のパナマ地峡を横断してスペインの船トリニティ号を拿捕すると、この船を利用して中南米の太平洋岸を行き交うスペイン船を次々と襲撃した。

 シャープの行いはやがて広く知れ渡るようになる。それは主に、彼らが非常に教養の高いバッカニア(17~18世紀にカリブ海でスペイン船を襲った海賊たち)だったためだ。彼らのうち、シャープを含む5人が、詳細な日誌を残している。

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 こうした記録からは、彼らが手に入れた財宝のうち最も価値の高いものの一つに、スペイン製の海図集があったことがわかる。シャープは後に、この地図帳を元にカラフルな図入りの英語版を作らせ、それをイングランド王に献上している。そしてこの贈り物によって、彼は裁判で無罪を勝ち取った。

 大胆不敵なその略奪行為が行われた現場はエクアドル沖だった。1681年7月29日の朝、シャープの海賊団の一人が、スペイン船の帆を見つけた。彼らはその後を追い、一斉砲撃によってスペイン人の船長を殺害し、船を乗っ取った。

 ロサリオ号からは、大量の陶器詰めワインとブランデー、果物、いくらかの金銭が見つかった。彼らは戦利品をトリニティ号に持ち帰ってから、ロサリオ号のマストを切り倒し、40人の乗組員を乗せたまま海に置き去りにした。

 このときロサリオ号には、鈍い灰色をした金属板700枚も積まれていたが、シャープらはこれを錫であると判断して手を付けなかった。後に、実はこれらが精製前の銀であったことが判明すると、海賊たちは大いに悔しがった。あれは「自分たちがすべての航海で手に入れた中で最高に豪華な略奪品」となったはずだと、船員の一人は記している。

 彼らはしかし、ロサリオ号で見つけたもう一つのお宝の価値は十分に理解していた。シャープはこれについて、自身の日誌の中で「莫大な価値を持つスペインの文書」と表現しており、また海賊団の一人は、以下のように書いている。「海図と地図が満載のすばらしい本で、南海(South Sea)のあらゆる港、水深、入江、川、岬、海岸に関する非常に正確かつ的確な描写と、この海にいるスペイン人が普段から駆使している航海術のすべてが詰まっている」

スペイン人は大声で泣き叫んだ

 ここでいう「南海」とは、太平洋のことを指す。アメリカ大陸経由で初めて太平洋に到達した最初の欧州人であるバスコ・ヌーニェス・デ・バルボアは、1513年、大西洋と太平洋を隔てる狭い陸地を横断した。のちのパナマ地峡である。陸越えのルートは北から南へと進むため、バルボアはこの海を南海と呼んだのだった。

 それから150年がたっても、スペイン人はまだこの海域を支配しており、イングランド人はなんとしてもその分け前を手に入れたいと考えていた。だからこそ、スペインの地図帳(デロテロ)には価値があった。ロサリオ号の船員は乱闘の最中、地図帳を海に投げ入れようとしたが、シャープがこれを確保することに成功した(その詳細な経緯は不明だが、シャープの日誌には、彼がこの地図帳に手をかけると、スペイン人は大声で泣き叫んだとある)。

 ロサリオ号を襲撃した後、シャープ率いる海賊団は太平洋沿岸でさらに船の襲撃を続けてスペインに多大な金銭的損失を与え、25隻の船を破壊し、200人以上を殺害した。ようやく帰路についた彼らは、南に向かって南米大陸の最南端を回り、西洋から来てこの航路をとった最初のイングランド人となった。

 1682年にロンドンに戻ったシャープは、やっかいな問題に巻き込まれた。スペイン大使がロサリオ号の船長殺害に大いに腹を立て、シャープを海賊行為で裁判にかけて絞首刑にせよと要求したのだ。裁判では、二人の証人がシャープの犯罪行為に対する説得力のある証言をしたが、驚くべきことに、彼はそれでも無罪放免となった。

海軍の船長にまで

 その理由はおそらく、地図帳にあったと思われる。シャープには最初から、イングランド王チャールズ二世がこの品に大いに興味を引かれることがわかっていた。裁判が始まるまでに、チャールズ二世はすでにこの地図帳を目にしており、英語版の複製を作るための手配も済ませていた。

 海図を書き直すために雇われた地図製作者は、元船乗りで、かつては自身も海賊だったとも言われるウィリアム・ハックだった。元英国図書館の地図部門長だったエドワード・ライナム氏のエッセイによると、ハックはどうやら「地元のパブでブランデーを飲みながら、仕事にあぶれたバッカニアたちから秘密や興味深い情報を集め、政府のメンバーや貴族に売りつけて」生活した方が安全だと考えるようになったと思われるという。

 ハックは、ロサリオのデロテロを元に、南海の海図集の複製をいくつか作っている(一部、海賊ヘンリー・モーガンが略奪したデロテロを参考にしたところもあるようだ)。

 色彩豊かなハックの絵は、子どもの絵のような無邪気さを感じさせるが、手書き文字で記された、卓越風、安全な係留地、その土地の目印となる目標物などの説明書きは、船の航行に大いに役立ったはずだ。ハックは南北米大陸の海岸沿いの港を数十箇所も描き入れている。木や家が並ぶ緑の丘が頻繁に登場し、またグアテマラの地図に見られるように、噴火する火山が描かれているところもある。

 一冊目の複製は当然ながら、シャープの献辞入りでイングランド王に献上された。この如才ない作戦が功を奏し、シャープは絞首刑になるどころか、イングランド海軍で船長の地位を与えられ、財宝を積んだままバハマで沈んだスペイン船を探す仕事を請け負った。これは割のいい仕事ではあったものの、彼にとってはややおとなしすぎたのかもしれない。シャープは自らの意志で西インド諸島に向かい、そこで時おり犯罪行為を働いて暮らす生活に戻った。生涯の終わりまで、その心は海賊であり続けた。

 

2020年8月27日 (木)

【IR誘致問題】コロナ直撃!「カジノ構想」暗礁に乗り上げた?

 IRカジノは日本経済の足枷…オンライン化とコロナ、函物の終焉 

47NEWS 2020年8月27日(木)7時02分配信

 日本での統合型リゾート施設(IR)事業に意欲を示し、進出競争のトップランナーと目されていた米カジノ大手ラスベガス・サンズは5月、「目標達成は困難だ」として日本撤退を宣言した。同業の米ウィン・リゾーツも8月、横浜事務所を閉鎖。米MGMリゾーツ・インターナショナルは第2四半期決算報告会で、オンラインギャンブル路線の強化を鮮明にし、対日投資は「相応のリターン」があればとトーンダウンした。

 世界のカジノ市場は、新型コロナ感染で壊滅的打撃を受けている。浮き彫りになりつつあるのが「地上型カジノ」(ランド・カジノ)の構造的収益性の喪失だ。巨大ハコモノ施設による集客とカジノへの誘導で収益化を図るビジネスモデルの終焉が今、確実に始まっている。オンラインへと軸足が移る中、日本が「成長戦略」の要と期待するIRを巡る環境は厳しさを増しているのだ。(静岡大学教授=鳥畑与一)

 ▽ パンデミック下の苦境

 世界最大のカジノ市場マカオでは2月初旬に全ての営業を停止。2週間後に再開したものの、前年比90%以上のカジノ収益減が続いている(表1)。感染防止対策で外国人観光客の入国が禁止され、中国本土などからの客も2週間隔離されることからマカオを訪れる人が前年比99%以上、減少し続けているためだ。

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 米国では新型コロナ感染が深刻化した3月半ばからカジノ閉鎖が始まり、4月には全米989カ所が全て閉鎖した。6月4日から営業を再開したネバダ州のカジノ収益は4月と5月がほぼゼロとなった(表2)。シンガポールも閉鎖措置を受けた4月から6月はやはりほぼゼロ収益である。

 日本進出を狙っていた企業は、高収益を支えてきたカジノ市場消滅による大幅な収益減少にあえいでいる。これら企業は「ゼロ収益シナリオ」のもとで新規の社債発行や銀行借入枠設定を通じて手元流動性の強化に懸命となった。それでもゼロ収益の現実化は、容赦なくカジノ企業の体力を奪い続けている。

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 大半がカジノ閉鎖期間と重なり「ゼロ収益シナリオ」が現実化した第2四半期では第1四半期より厳しい赤字決算に追い込まれている(表3)。カジノ収益99.6%減となったラスベガス・サンズは、第2四半期決算の赤字拡大で2020年前期は10.4億ドルの純益赤字となった。MGMもまた第2四半期はカジノ収益95%減となり、不動産投資信託関係利益14億ドルを含めても前期9.4億ドルの純益赤字となっている。

 ウィンも赤字拡大で前期12億ドルの純益赤字である。いずれも手元資金が大きく減少し株主資本(利益剰余金)の毀損も進む。とりわけウィンは株主資本が3億ドル以下となり株主資本比率が2%を切っている。

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 ▽ 困難なV字回復

 問題は、営業再開後にカジノ収益がどの程度V字回復するかである。ワクチン開発競争が国際的に展開されているものの、実用化は早くても1―2年先だと言われている。新型コロナウイルス感染は現在2390万人に達し、死者も82万人を超え、その勢いは増している。

 カジノ営業が再開されたとしても厳しい感染防止対策を取らざるを得ず、かつ長期化する見通しの中で、収益回復は2023年までかかるとの予測(フィッチ、6月)もある。

 ネバダ州では、マスク着用や消毒、検温のほかにソーシャルディスダンス確保として稼働スロットマシン間の距離確保やテーブルゲーム毎の人数が制限されている。ブラックジャックは3人、ルーレットは4人以下とされ、収容定員の50%以下の入場制限もある。

 現時点のデータによれば、ネバダ州での回復状況は低調と推測される。

 営業が再開されたラスベガスの6月のカジノ収益は61.4%減である。ラスベガス・サンズのラスベガス地区カジノ収益は前期比87.5%減であり、第2四半期カジノ収益が6月分のみと仮定すれば前年6月比で37.5%の回復でしかない(表4)。IR収益全体で同様の推計をすれば23%水準の回復でしかない。

 MGMも同様の推計を行えば、6月の回復度はラスベガスとその他の国内地域でも約30%でしかない(表5)。スロット数削減とテーブル当たりの収益の落ち込みが顕著で、営業を再開してもカジノの収益力は半減せざるを得ないことを裏付けている。

 スロット数やテーブル数、定員制限はマカオやシンガポールでも行われている。マカオでは7月15日、隣接する広東省客の2週間隔離が撤廃された。ラスベガス・サンズによれば、マカオ市場の中国人客のうち、広東省からの客が約4割を占める。このため回復が期待されたものの、7月のカジノ収益は前年比95%減(表1)だった。

 これは、入国規制緩和の効果がほとんどなかったことを意味する。感染リスクを冒してまでカジノに来ることのハードルの高さを物語っている。

 ネバダ州ではカジノ営業が再開された6月以降、州内の感染者が激増しており感染防止策が有効に機能していない。実際、カジノ内での感染者の増大も報道されており、「三密ビジネス」であるカジノにおける感染防止の難しさと、顧客のV字復帰の難しさを示している。

 ▽ オンラインへの急速な移行

  対面でのギャンブルが敬遠される中、急速に進むのが、オンラインギャンブル(カジノ)への客の移動だ。

 英国ではオンラインカジノが合法化されてから劇的に収益が増大し、地上型カジノの3倍の規模にまで膨らんだ。この傾向は、新型コロナの感染拡大で拍車がかかっている。

 米国も同様だ。周辺州とのカジノ競争に敗れたニュージャージ州が試みたオンラインのスポーツ賭博合法化が、2018年に最高裁判決で勝利し、以降、全米に急速に広がっている。

 例えばMGMは「BetMGM」なるスポーツ賭博のほかに「iGaming」と呼ばれるオンラインカジノを戦略的課題に掲げて推進している。

  オンライン賭博拡大に活路を見いだそうという動きは、新型コロナの影響も相まって今後、一層加速するだろう。実際、米国ゲーミング協会は、オンラインカジノの合法化を戦略的重点に据えている。米国以外の各国でも合法化に向けた政治的圧力が高まりつつある。

 ▽ 幻想 

 これまで見てきたように、IRカジノに100億ドル規模の投資を行い、投資家が求める収益率を達成して回収することは極めて困難になっている。

 IRカジノではカジノ企業は3割前後を自己資金で賄い、残りをファンド等の投資に依存する。ところが今、巨額の自己資金を用意する余裕は失われ、投資ファンドからの投資資金調達も困難になっている。

 シンガポールのIR大手ゲンティン・シンガポールは本年2月の臨時株主総会で対日投資を決定している。前提に、シンガポールやマカオ並みの20%前後の投下資本収益率が可能という見込みがあった(表6)しかし、そうした高い収益性は失われた状況である。

 日本では、IRカジノを「成長戦略の柱」と位置づけ、推進派は、税収増や雇用創出などにつながると主張してきた。2020年代半ばの開業を想定し、全国に最大3カ所を整備する計画だった。

 ところが新型コロナの影響を受け、IR実現に向けた政府の「基本方針」の策定時期は先延ばしされたまま白紙の状態だ。本年度の「骨太方針」からIR関連の記述が削除された。

 誘致を目指してきた横浜や大阪などの各自治体も具体的作業に遅れが出ている。それは100億ドル規模のIR投資に手を上げるカジノ企業が消滅した現実の反映である。

 横浜で起きた反対運動では、カジノに依存しない街づくりの具体的提案もされている。衰退産業化したIRカジノの幻想に固執し単なる延期でこの現実を糊塗することは、アフターコロナを展望した成長戦略への転換を停滞させ、豊かな可能性を閉ざすことになるだろう。

 新型コロナが追い打ちとなったIRカジノの惨状を前に、なお突き進むのか。政府や自治体には、賢明な判断が求められている。

 IR汚職秋元司支援者ら「偽証を持ち掛けられた贈賄認める 

読売新聞オンライン 2020年8月26日(水)22時21分配信

 カジノを中核とする統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、贈賄罪などに問われた中国企業「500.com」元顧問・紺野昌彦(48)、同・仲里勝憲(48)両被告の初公判が26日、東京地裁(丹羽敏彦裁判長)で開かれた。両被告は起訴事実を認め、証人買収事件についても、収賄罪で起訴された秋元司・衆院議員(48)の支援者らが「偽証を持ちかけてきた」などと述べた。

 IR汚職事件を巡っては、贈賄側に偽証の報酬として現金提供を申し込んだとして、秋元被告の支援者の会社役員ら3人が組織犯罪処罰法違反(証人等買収)で起訴され、保釈中だった秋元被告も同法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕される異例の事態となっている。この日の公判では、紺野、仲里両被告がどう供述するかが注目されていた。

 起訴状では、両被告は2017年9月~18年2月、内閣府のIR担当副大臣だった秋元被告に総額約760万円相当の賄賂を提供したなどとしている。

 両被告は罪状認否で「間違いない」と述べ、17年9月に議員会館で現金300万円を渡したことを含め、秋元被告への賄賂提供をいずれも認めた。関係者によると、証人買収事件で会社役員らは、議員会館での現金提供を否定するよう持ちかけたが、紺野、仲里両被告とも拒否したとされる。

 一方、検察側はこの日の冒頭陳述で、日本でのIR事業への参入を計画していた「500」社が有利な取り計らいを受けられるよう、両被告が秋元被告への現金提供を計画したと主張。秋元被告が18年4月、IRは国内3か所となるものの、上限数の増加を検討する可能性があることや、認定する地域として「500」社の候補地だった北海道や沖縄県が有力だと、仲里被告に教えたとも指摘した。

 秋元被告はIR汚職事件の起訴事実を否認し、証人買収事件への関与も全面的に否定している。公判の日程は決まっていない。

 秋元容疑者国会議員と思えぬ裏人脈手配犯とも接触か   

産経新聞 2020年8月20日(木)20時44分配信

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件に続き、証人買収事件でも逮捕された衆院議員、秋元司容疑者(48)。

 資金力のある支援者に囲まれ、献金や政治資金パーティーの収入は多く、政党支部、後援会とも多い年で1億円前後の収入がある。一方、他の国会議員が距離を取るような人物とも親密につきあうことでも有名だった。ある支援者は「地縁のない選挙区で票と資金をがむしゃらに集めてきた。ブラックマネー(汚い金)もいとわず、脇が甘いところがある」と話す。

 秋元容疑者は昨年12月、IR汚職事件で、事業参入を目指す中国企業「500ドットコム」側から現金などの供与を受けたとして、収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。今年2月3日までに総額約760万円相当の賄賂を認定され起訴された。

 同月12日に保釈されると、14日に記者会見を開き「起訴された事実すべてを否認して無罪を主張していく」と強調。起訴段階で認定された賄賂のうち、平成29年9月に衆院議員会館で受け取ったとされる現金300万円については「そもそも贈賄側とは(渡したとされる日に)会っていない」と訴えていた。

 関係者によると、秋元容疑者は保釈後、支援者だった会社役員、淡路明人容疑者(54)や、逮捕状が出ながら行方が分かっていないコンサルタント会社経営の男と複数回、面会していたとみられる。淡路容疑者は独自の暗号資産(仮想通貨)を連鎖販売取引(マルチ商法)で販売していた会社を経営していたことがあり、会社経営の男も幅広く事業を手がける。2人を知る人物は一様に「(2人とも)資金力がある」と話す。

 淡路容疑者は佐藤文彦容疑者(50)と共謀し、IR汚職事件の贈賄側である中国企業「500ドットコム」元顧問、紺野昌彦被告(48)に接触。紺野被告らが300万円を渡したと供述している29年9月に「会っていないことにしてほしい」と持ちかけた疑いがもたれている。

 関係者によると、淡路容疑者は特捜部の調べに「(買収は)秋元容疑者に依頼された」と話しているといい、秋元容疑者の逮捕につながったもようだ。特捜部は今後、面会時の会話など、秋元容疑者の関与について捜査を進めるとみられる。

 特捜部は紺野被告だけでなく、「500」社元顧問、仲里勝憲被告(48)の買収工作についても秋元容疑者の関与がないか捜査を続けている。会社経営の男は那覇市の会社役員、宮武和寛容疑者(49)と共謀し、仲里被告に同趣旨で、現金の支払いを申し込んだ疑いがもたれている。

 関係者によると、宮武容疑者が仲里被告に提供しようとした現金は、会社経営の男が用意したという。宮武容疑者と秋元容疑者を会社経営の男がつないだ疑いがある。

 秋元容疑者をよく知る人物は「国会議員とは思えないほど、裏の人脈はすごい。資金力のある支持者を集めて、互いに利用しあう関係なのだろう。犯罪行為を上塗りするとは驚いた」と話した。

IR汚職事件

 日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業への参入を目指す中国企業「500ドットコム」側から賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部は令和元年12月25日、収賄容疑で秋元司容疑者を、贈賄容疑で同社側の3人を逮捕。

 特捜部は、議員会館での現金提供や北海道留寿都村への旅費負担、中国旅費負担など計約760万円相当の賄賂の授受があったとして、秋元容疑者らを起訴した。秋元容疑者は無罪を主張し、今年2月の保釈後に議員活動を再開。公判日程は未定だが、贈賄側は26日に初公判がある。

証人等買収罪

 刑事事件で、うその証言や証拠隠滅をしてもらう報酬として、事件の関係者に金銭を提供する行為を処罰する組織犯罪処罰法の規定。相手が受領しなくても、提供を申し込めば対象となる。法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金。平成29年に「テロ等準備罪」の趣旨などを盛り込んで組織犯罪処罰法を改正した際に新設された。

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2020年7月20日 (月)

【財テク】お金を“どうやって増やせばよいのか”考察

 1億円を貯めた男末路とは貯金バカ」はする 

ダイヤモンドオンライン 2020年7月20日(月)6時01分配信

 インフレによってお金の価値が実質的に下がっていく。そのうえ給与は大幅に上がらず社会保険料ばかりが増えていく…。そんな厳しい状況にもかかわらず大半の日本人は「ひとまず貯金をしておけば安心」と考えています。このような「貯金神話」を妄信するのではなく、つねにお金との付き合い方を考えていくことが大切です。「おカネは、貯金に頼らずに守りなさい。 ~『将来が不安…』がなくなる唯一の具体的方法~」(きずな出版)から抜粋して、とある男性のエピソードを紹介します。

なぜ、働いても働いても豊かになれないのか

  「貯金バカ」である日本人は、本当に幸せなのでしょうか?貯金がそれなりにあれば、豊かといえるのでしょうか?もちろん、幸せや豊かさの定義は人それぞれ。せっせと節約に励み、貯金の額を増やしていくことに生きがいを感じる人もいるでしょうし、「宵越しの銭はもたない」とばかりに、あるだけのお金を使い切ることに幸せを感じる人もいるでしょう。それは、その人の生き方の問題ですから否定するつもりはありません。

 しかし、資産を増やしている人たちのお金の哲学や、それに基づいた実践方法を知らないのであれば、不幸といわざるをえません。資産を築いている人は、お金が増えていくだけではなく、自分がしたい仕事をしたり、欲しいものを購入したり、好きな場所に住めたりしています。また、趣味やライフワークに十分に時間を割くこともできています。彼ら彼女らは、資産を増やしながらも、自分の理想とする生活を着々と手に入れ、自己実現をしているのです。

 私自身も、いまは「お金のストレスフリー」といえる生活を実現しています。そして、お金の専門家として、講演や執筆活動にいそしむ日々です。その合間に趣味である旅行にも出かけて、日本や世界の各地に足を運んでいます。もちろん私にも悩みはありますが、少なくともお金にまつわる悩みやストレスはゼロの状態です。だからこそ、ライフワークや趣味に思う存分、時間をかけることができますし、その時間に幸せを感じています。

 しかし、私が見るかぎり、多くの日本人は日々の仕事に疲弊し、「お金のストレスフリー」にはほど遠い状態に見えます。働いても働いても豊かになれない……。多くの人がそう感じているのではないでしょうか。その原因はどこにあるのでしょうか?お金のストレスを抱えている人たちは、じつは「お金の置き場所」が適切ではないのです。

 ここでは、私がこれまで見てきた、「お金の置き場所」に失敗した人のエピソードをお伝えしましょう。

30年以上かけて貯金1億円を達成したが…

 北海道在住のAさんは、50代後半の男性。大学卒業後に入社した地元の中堅企業に30年以上勤めていました。あまり仕事ができるタイプではないので、役職は係長止まりでしたが、長年同社でコツコツと真面目に働いてきたため、上司や部下からの一定の信用を得ていたようです。ただ、プライベートでは良縁にめぐまれることはなく、一度も結婚することはありませんでした。

 そんなAさんの唯一の趣味は「貯金」でした。給料はそれほど高くはなかったものの、両親の家でずっと同居していたので、給与の3分の2以上は貯金にまわすことができました。もともと交友関係が狭く、友人や会社の同僚と飲みに行く機会もほとんどなく、恋人ができたのは一度だけ。ほかに趣味といえるものもありませんでした。会社と自宅を往復する日々は単調でしたが、とくに大きな不満を抱えることはなかったようです。

 そんな彼が54歳のとき、ついに貯金が1億円を突破しました。家や車など大きな買い物や贅沢もすることなく、給料が出るたびにせっせと貯めてきた結果です。Aさんは、知人にはそれとなく1億円の貯金があることをにおわせるなど、預金額に誇りをもっていたようです。そんなAさんが、私のセミナーに参加してくれたことがあります。「1億円ある貯金をもっと増やしたい」とのことだったので、投資することなどをすすめてみましたが、「もし元本割れしたら怖い」と頑なに拒否されました。

 「それだけ元手があるのだから、お試しで100万円から始めてみては?」とも提案してみましたが、決して首を縦にふることはありませんでした。1億円のうちの100万円でさえ投資にまわす意思がないのですから、10万円でも投資することはむずかしい、と私はそのとき思いました。

 貯金に固執する人は、1円でも預金額が減ることを嫌がります。もちろん投資はリスクがありますから、元本割れすることはありますが、健全な取引の範囲であればゼロになることはありません。逆に、運用することで不労所得を得られる可能性があります。

 Aさんの場合、投資のプラス面もマイナス面も理解したうえで、「NO」という判断をしたのですから、それ以上のアドバイスをすることはありませんでした。貯金だけで資産を築くというのが、Aさんの価値観なのですから。Aさんに限らず、貯金にこだわる人は、貯金額がアイデンティティになっているケースもあります。「1億円貯めた自分はすごい」という意識がどこかにあるため、貯金が減るのが我慢できません。貯金が減ることは、自分の人生が壊れていく感覚になるのです。

1億円の貯金がきっかけで遺産トラブルに

 それからAさんとお会いすることはなかったのですが、数年後、人づてでAさんの「その後」を知ることとなりました。Aさんは急性心筋梗塞で亡くなってしまったのです。1億円以上貯めた貯金を使うことなく、彼はこの世を去ってしまいました。

 Aさんの死後、1億円の貯金は同居していた母親が相続することになりました(父親はすでに死亡)。ところが2年後、今度は母親が寝たきり生活の末、亡くなりました。母親もAさんの貯金にはほとんど手をつけていませんでした。

 その後、1億円の貯金をめぐるトラブルが勃発します。Aさんには妹と弟がいました。2人とも結婚してAさんとは離れて暮らしていましたが、Aさんの死後、体調を崩して寝たきり状態になってしまった母親を妹が引き取り、自宅で介護をしていました。母親が相続したAさんの1億円と実家の一軒家は、妹と弟が相続することになりました。遺書はなかったため、妹と弟は遺産相続の話し合いの場を設けました。そのとき弟はこう主張しました。
 
「実家の不動産はいらないから、法定相続分として貯金の半分はほしい」

 しかし、妹としては納得できません。

「寝たきりになってしまった母親を介護していたのは私。あなたはこれまで好き勝手やって実家にもほとんど寄り付かなかったくせに。実家なんてもらっても、古くてたいした額にもならないし」

 残された預金はできるだけ多く相続したい、というのが妹の本音でした。弟も負けじと応戦します。

  「お母さんと同居していたから、生活費には年金を充てていたんだろ。むしろ得しているのはそっちじゃないか」

 もともと妹と弟は仲がいいほうだったのですが、遺産相続をめぐり、険悪な関係になってしまいました。結局、遺産分割の調停で2人は争うことになり、1年がたった現在も決着していないそうです。

 Aさんは何のために貯金をしていたのでしょうか。結果論になってしまいますが、せっかく1億円も貯めたのに、自分の幸せのために使うことはできませんでした。本人は1億円を貯めたことに満足したのかもしれませんが、私を含めて多くの人が「もったいない」と感じるのではないでしょうか。しかも、自分が一生懸命貯めたお金がきっかけで、きょうだいの関係も最悪の状態になってしまいました。

 もちろん、Aさんの人生が幸せだったかどうかを判定することはできませんが、少なくとも貯金に固執することについて考えさせられるエピソードでした。

 米ミシガン州の宝石商、総額1億円宝探しゲーム開催 

スプートニク日本版 2020年7月19日(日)5時21分配信

 米国のジョニー・ペリーさんはコロナウイルスの影響で、23年間経営してきた宝石店を畳むことになった。

 ペリーさんと妻のエミさんは、宝石を引き取り引退するのではなく、宝石をミシガン州全域に隠し、年金生活を楽しく過ごすことにした。というわけでペリーさんのヒントをもとに宝探し大会がスタートする。

 ペリー夫妻は4ヶ月かけてミシガン州全域を旅し、街や森、滝の近くなどに宝石を隠した。夫妻が隠した宝石は総額100万ドル(約1億700万円)に相当する。

 宝探し大会の参加チケットは無料ではなく、かつ限定数で販売される。

 参加者はチケットとともに宝石の隠し場所に関するヒント集を受け取る。各宝石の単価は約4000ドル(42万8千円)とのこと。初回レースは8月1日に始まる。

 ジョニー・ペリーさんによると、宝石にはGPSトラッカーが埋め込まれており、誰かの手に渡った場合にはペニーさんに分かるようになっているという。

 巣ごもりの反動  ウナギ商戦、プチ贅沢需要で活況

産経新聞 2020年7月19日(日)17時48分配信

 新型コロナウイルスの影響で消費が伸び悩む中、小売りなどが21日の「土用の丑(うし)の日」を前に、うなぎ関連商品の展開に熱を入れている。豊漁などで安値傾向にあるほか、外出自粛でちょっとしたぜいたくを家庭で楽しむ需要が高まっているためだ。すでに予約販売分を売り切ったチェーンまであり、商戦は近年にはない活況を呈している。

ネット予約は2・5倍に

 「自宅で食べるごちそうとしての需要が高い」。イオンリテールの松本金蔵水産商品部長は声を弾ませる。5月下旬から始めたインターネットでのうなぎ予約件数は前年同期の2・5倍に達した。

 目玉商品は、大きさ約30センチという「鹿児島県産うなぎ蒲焼(特大)」。価格は1パック2580円(税別)だが、家族など2~3人で食べることを想定しており、豪華かつ手ごろな価格で楽しめるのが特徴だ。

 「3月から実施した水産物のセールでも、これまでスーパーにはなかった高価格帯の商品が好評だった」と松本氏。19日から本格化する店頭販売でもニーズの拡大を期待する。

取引価格は下落傾向

 今年はニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が豊漁で取引価格は下落傾向にある。この相場安を反映する形で、イオンは通常サイズのうなぎを前年の約1割安とするほかセブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のヨークも「うな重」などの価格を前年比で最大2割程度引き下げた。

 さらに商戦を後押しするのは、外出自粛の反動から家庭での“プチぜいたく”を求める消費者心理だ。

 エヌピーディー・ジャパンの東さやかフードサービスシニアアナリストは「消費者が旅行などの代わりに、家族で楽しむイベント的な体験を求めている。コロナにならないよう夏バテを防ごうとの意識もうなぎ消費へのハードルを下げている」と分析する。

 実際、大丸東京店(東京都千代田区)では11日の入店客数は例年の半分程度だったが、デパ地下のうなぎ専門店は販売個数が前年の2割増。ファミリーマートはうなぎ商品全4品目の予約数が上限に達し、受け付けを9日で終えた。

外食業界も反転攻勢狙う

 新型コロナの影響を受ける外食業界も、うなぎメニューで反転攻勢を狙う。

 外食大手ゼンショーHDはファミリーレストランや牛丼など各チェーンで展開する。なか卯ではうなぎ1本分を使った「うな丼 豪快盛」を9日から発売し、「想定以上の売れ行き」という。吉野家は高まる持ち帰り需要に対応。21日受け取りで「鰻重」などを事前予約すると本体価格を10%引きにする。

 担当者は「消費者は今年の丑の日を特別に感じている。なるべく店内で待たせない仕組みで安心を提供したい」

 家賃滞納退去者も…自分で管理選んだ不動産投資家の末路 

幻冬舎GOLD ONLINE 2020年7月20日(月)10時00分配信

  入居率や家賃水準を高く維持するためには「適切な賃貸管理」が重要です。しかし、ひとくちに賃貸管理といってもその手法は「自主管理」と「委託管理」の2つがあります。サラリーマンが不動産投資を行ううえでよりプラスとなる選択肢はどちらなのでしょうか。※本記事は『最強「レアボロ」不動産投資』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

自主管理と委託管理…それぞれのメリット・デメリット

 不動産投資において、購入した物件の管理は管理会社に委託するのが普通です。管理会社に委託することで費用は発生しますが、その分、不動産投資家は労力と時間を費やすことなく物件を管理運営していくことが可能となります。

 一方で、不動産投資家が自ら物件を管理していく「自主管理」という方法もあります。自主管理では、通常であれば管理会社に委託する作業を、すべて自分で行わなければなりません。そのため、多くの不動産投資家にとってハードルが高くなります。

 では自主管理と委託管理には、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。実際に物件管理を行う場合を想定して利点と欠点に着目しつつ、両者の違いについて比較してみましょう。

 まず自主管理のメリットとしては、管理会社に支払う委託料が発生しないことが挙げられます。委託料が節約できる分、利回りを高くできることになります。もともと利回りが低い物件などでは、委託料の節約が大きく影響するでしょう。

 また、物件の状況を自分の目で把握するという意味でも、自主管理は優れているでしょう。自分で物件を管理するということは、建物の経年劣化や入居者の状況、共有スペースの使用環境など、さまざまな部分の変化をウォッチすることができます。

 もともと空いた土地を所有しており、そこにアパートを建設して不動産投資をスタートしている不動産投資家などは、近隣に住んでいるなどの事情から、積極的に自主管理を選択しているケースもあります。

 ただしその多くは、アパート経営やマンション経営で生計を立てている地主や富裕層であり、本業を持ったまま不動産投資をしようと考えている人とは事情が異なります。また不動産投資で目指すべきゴールも異なっているでしょう。

 その点、自主管理のデメリットとしては、入居者対応や建物管理など24時間365日対応しなければならないということが挙げられます。本業を持つ人にとってこれはまず不可能だと考えられます。

 費やさなければならない労力と時間という観点からも自主管理のデメリットは大きいのですが、さらに入居者との間で生じるトラブル対応のむずかしさも見逃せません。それらは往々にして専門的なスキルが必要となります。

 たとえば不動産投資の収益面に直結する家賃管理。集金から滞納者の対応など、人的トラブルはデリケートな要素を多分に含んでいます。場合によっては法的な対応が求められることもあり、専門知識が欠かせません。

 さらに、そうした管理体制が整っていないと入居者の不満が募り、退去者が続出する可能性もあります。入居者の安定的な獲得と維持は、不動産投資の収益性と密接に関連しています。退去者が出るということは、また入居者を確保しなければならないということです。

 このように自主管理と委託管理には、それぞれメリット・デメリットがあります。不動産投資をほぼ完全に自動化するには委託管理を選択することになりますが、状況に応じて自主管理を選ぶケースもあるかもしれません。それぞれの違いを理解し、自分にとってよりプラスとなる意思決定を行いましょう。

地域性をベースに、3つの視点から判断

 不動産を販売している業者がたくさんいるように、物件を管理する管理会社も多種多様です。不動産投資の成功確率を高めるには、どのような管理会社を選んでもよいわけではありません。最適な管理会社を適切な基準で選ぶことが大事です。

 管理会社を選ぶ際のポイントとしては、まず「地域性」を意識しておく必要があります。つまり、どの地域で投資物件を購入するのかをベースに、その地域に根ざして活動している業者を中心に検討するのが通例です。

 もちろん、全国対応している管理会社のうち、各地域に拠点を置いている事業者もあります。そのような事業者に管理を委託することもできますが、地域に根ざした管理会社と比較したうえで、よりよい業者を選ぶことが大切です。

 では、どのような視点で最適な管理会社を選べばいいのでしょうか。いくつかのポイントを紹介しましょう。

 そもそも建物管理を行っている業者には、仲介業務も兼ねている業者と、管理業務を専門に行っている業者があります。従来型のいわゆる「町の不動産会社」といえば、前者を意味することが多いです。駅前などに実店舗を構え、事業を行う業者です。

 一方で、管理業務を専門に行っている業者もあります。入居付けなどの賃貸仲介業務を行わず、物件の管理運営に特化している事業者です。管理を専門に行うため、必要なスキルやノウハウは充足されていると考えていいでしょう。

 兼業業者と専門業者のどちらを選ぶべきなのかは、不動産投資家のスタンスにもよりますが、冒頭で述べたような地域性もヒントになります。つまりその地域で評価されている管理会社がどの業者なのかによって、選択肢は変わるのです。

 加えて一般的な要素として、「管理体制の内容」「過去の実績」「対応力」の三つが判断材料になります。

 管理体制の内容として着目しておきたいのは、担当者の有無についてです。特に物件ごとに担当者を付けてくれるかどうかは、物件管理の質に直結することもあり重要です。場合によってはオーナーごとに担当者を付けている業者もあるでしょう。

 いずれにしても適切な物件管理には、当該物件およびそのエリアの知見が不可欠です。管理する物件と地域に精通していることは、業者の選定における基本事項といえるでしょう。仲介も兼業している業者であれば、それが入居率にもつながります。

 過去の実績については、管理している物件数や建物の種類だけでなく、各物件がどのような状況で推移しているのかもチェックしておきたいところです。つまり不動産投資の視点から、管理している物件の成績を見ておくということです。

 管理会社の成績としてわかりやすいのは、やはり入居率でしょう。入居率には地域差があるので一概にはいえませんが、おおむね80~85%を上回っていることが一つの目安になります。併せて、空室対策の中身についても確認しておけば万全です。

 三つ目の対応力については、トラブル対応の種類とスピード感、さらには対応時間がポイントになります。現状、遠隔による24時間365日の対応は基本となりつつあり、それができるかどうかだけでもチェックしておくといいでしょう。

 相続人がいない管理費滞納…老朽化マンションの負動産地獄 

幻冬舎GOLD ONLINE 2020年7月17日(金)10時00分配信/牧野 知弘(オラガ総研代表)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

管理費・修繕積立金の滞納マンションが増加

 高齢者の単身世帯が激増している。

 マンションにおける高齢者の単身世帯数については正確なデータが存在しないが、2013年度に実施された国土交通省の「マンション総合調査」によれば、東京都内のマンション世帯主のうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占める。現在では当然、事態はさらに深刻だろう。こうした現状からは、今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが、容易に想像される。

 かつては、親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが自宅だった。不動産は財産としての価値が高い。つまり、相続人が「住む」こともできれば、人に「貸す」こともできる。最後には「売る」ことで現金にも換えられるということで、相続人の間ではこの親の残した自宅の相続をめぐって醜いトラブル=「争続」問題が生じていた。

 ところが、最近はやや状況が異なるようだ。都心居住が主流となる中、親の自宅を相続しても、自身で「住む」つもりはない。賃貸に出しても、築年数が経過したマンションでは住宅設備は古く、部屋の内装も時代遅れでなかなか借り手がつかない。かなりのお金をかけてリニューアルしても、立地に劣るマンションになると、満足な賃料で貸せるケースは少なくなっている。賃貸住宅の空き家は東京都内だけでもなんと59万8000戸も存在することが、この状況を物語っている。

 親の残した自宅の不動産価値がそれほどでもないことに気づき始めた相続人たちは、むしろ現金や株式を優先し、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうような場面も増えているという。

 こうした状況で相続したマンション住戸。管理上でもやっかいな問題を引き起こしている。相続人がマンション住戸を相続したことを管理組合に連絡をしないケースが、増えているのだ。

 親のマンション住戸を相続はしたものの、部屋内の片付けだけでも一苦労。住戸は傷みが激しく、賃貸するとしても相当額のリニューアル費用がかかる。ただでさえ欲しくもなかった住戸を無理やり相続した相続人は、その事実を告げずに放置、結果として管理費・修繕積立金が滞納となるのだ。

相続人がいないおひとり様マンション急増中

 通常であれば管理組合は、相続人が確認できれば、当然のこととして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行なうことになる。ところが相続人としての届け出が行なわれておらず、どこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生しているのだ。

 相続人を見つけ出して、滞納分を請求できても、相続人が外国住まいであったり、相続人が複数存在するとなると、各相続人間の共有財産ということでコミュニケーションが取れずに、なかなか思うように徴収できないケースも増えている。

 首都圏郊外のあるマンション管理会社の社員は、最近の事情を次のように話す。

「最近は相続人の方をつきとめても、本人にマンションを継ごうという意識がさらさらありません。中には『困っているなら差し押さえでもして売ってくださいよ』と言ってくる人までいる始末です」

 この相続人が言うように、最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、時代環境は変化している。

 以前であれば、流通市場に出せば確実に売却できたマンションも、立地や築年数、設備の状況などによってはまったく買い手がつかないケースも出始めている。競売によって確実に滞納金が回収できるという保証は、どこにもない。

 管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も、珍しいことではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用なども組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合もおいそれと手が出しにくいというのが現状だ。

 さらに問題がやっかいになってくるのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。「おひとり様」があたりまえになってきた日本社会。少子高齢化の進行は核家族どころか結婚をしない、兄弟、身寄りのない単身者の増加を招いている。こうした区分所有者に相続が発生すると、相続人がいないということになる。

マンションはスラム化への道を歩むのか

 相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を、相続財産管理人に対して行なうこととなるのだ。通常、相続財産管理人を選定する場合は東京地裁などの場合、100万円ほどの予納金を納付しなければならない。相続財産からあらかじめ差し引ければよいのだが、該当金額を引当できない場合はやはり管理組合の負担となる。

 このような住戸は最終的には売却することによって現金化することとなるが、現実は予納金すら回収できないケースも見受けられるのだ。

 こうした事態に対して、市場性がないのであれば無理に売却せずに、国庫に入れて国から管理費・修繕積立金を徴収すればよいという人もいるが、国が国庫として取ることは事実上ない。仮に国庫に帰属させたとしても法律上、国は「特定承継人」ではないので管理費・修繕積立金等を支払う義務はないということになる。

 管理費・修繕積立金の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、市場における流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続をしたがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れつづける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっているのだ。

 マンション永住化などというが、世代を跨いで価値が持続できない多くのマンションが、今後スラム化への道を歩む可能性が高いはずだ。そんなマンションに資産価値を求める現代人は、マンションというあやふやな共同体の持続可能性をよく見極めるべきなのだ。

 

2020年6月 7日 (日)

【コロナバブル】✍週末のNY株<3箇月ぶり>2万7000ドル台回復㊥

コロナで大暴落した株価が急回復 ! から相場に参戦したい人へ贈る相場格言

LIFE&MONEY 2020年6月5日(金)20時35分配信

株式相場が急回復、日経平均株価は23,000円目前まで上昇

株式相場の急回復が続いています。6月4日の日経平均株価は、一時22,907円まで上昇して2月21日以来となる約3カ月半ぶりの23,000円台回復を目前にしました。

今回の株価上昇は、幻に終わった大型連休明けから徐々に顕著となっています。5月7日の終値19,674円から1カ月も経たないうちに最大+16%上昇しました。特に、直近2週間強では+14%弱上昇しており、今回の株価上昇はあっという間の出来事だったと言えましょう。

まずは、コロナショックで大暴落となった年初からの株式相場(日経平均株価)の動きを、改めて簡単に振り返ってみましょう。

3月には稀に見る大暴落発生、しかし“谷深ければ、山高し”の相場なのか?

昨年の大納会における終値は23,656円でした。年明け以降、米国とイランの紛争危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の懸念材料が出て上値が重くなりましたが、それでも2月6日の高値は約24,000円(正確には23,995円)と高値圏を維持しました。

しかし、2月下旬の3連休明けから株価急落が始まり、2月25日に23,000円割れ、2月27日に22,000円割れ、3月6日に21,000円割れ、3月9日に20,000円割れ、3月12日に19,000円割れ、3月13日に18,000円割れとなり、3月18日に17,000円割れと、正しく坂道を転げ落ちるような暴落となりました(終値ベース)。

実は、株式市場では1月下旬から既にCOVID-19の懸念は認識されていましたが、今振り返ると、その時はまさかこれほどの惨状になるとは誰も予想できなかったでしょう。

その後、3月19日のザラバに付けた16,358円が最安値となっています。これは、2月6日の高値(約24,000円)から見て約▲32%安まで下落したことになります。わずか1カ月半で株価指数が▲32%下落する事態は、紛れもなく「大暴落」と言えます。個別銘柄では、半値以下に下落した優良株も数多く見られました。

ところが、その16,358円を大底に回復基調へ転換し、前述したような株価上昇が続いて今日に至っています。ちなみに、この最安値から見ると、直近高値は+6,500円超の上昇(+40%高)です。

この急回復相場において個人投資家が抱く3つの思惑

こうした株式市場を見て、個人投資家の方々には様々な思惑があるでしょう。大きく分けると、1)なぜこんなに急回復するのか理解できない、2)そろそろ株価は再び急落する気がするので現状の株価水準では手が出せない、3)すっかり上昇相場に乗り遅れたが今からでも間に合うだろうか、の3パターンではないでしょうか。

もちろん、3月の暴落時にリスクを覚悟でエントリーし、今は利益確定のタイミングを計っているという成功者もいるでしょうが、圧倒的な少数派だと推測されます。

コロナショックが払拭されない中での相場急回復、今からでも間に合うのか?

多くの人が、今回の株価上昇を納得できない気持ちで眺めていると考えます。確かに、COVID-19による経済的な大打撃についてはご存知の通りであり、それが企業業績に影響してくるのはこれからです。

さらに、現時点では十分に期待できるワクチンも治療薬も世に出ていない訳ですから、世界大不況を織り込む形で株式相場はもう一段の暴落があるだろう…と考えるのが普通かもしれません。

しかしながら、現実的に株価は急回復しています。株式相場は本当に難しいですね。そして、今後注意しなければならないのが、前述3)で指摘した“上昇相場乗り遅れ組”です。これだけ回復が続くと、“上昇相場乗り遅れ組”となった個人投資家が、今から参戦するのはどうなのかと悩んでいると推察されます。

行き着く先が見えない急回復相場で噛みしめる5つの厳選相場格言

さて、こうした時に役に立つかもしれないのが「相場格言」です。相場格言はあくまでも格言であり、常に正しいとは限りません。しかし、昔から株式相場に伝え残る格言には、先人たちの経験と知恵が凝縮されています。COVID-19の懸念が払拭されない中での株価急上昇を受け、改めて吟味しておきたい5つの格言を選んでみました。

  もうはまだなり、まだはもうなり

これは株の売買の好機・タイミングを表す代表的な諺です。その名の通り、「もう底(天井)だと思えるようなときは、まだ下値(上値)があるのではないかと一応考えてみなさい。反対に、まだ下がる(上がる)のではないかと思うときは、もうこの辺りが底(天井)かもしれないと考えてみてはどうか」という内容です。“なるほど”と感心させられる格言です。

ただ、この諺に従うと、絶好の買い場・売り場を逃すことになり兼ねません。真の意味は、売買する前にもう一度よく考えてみた方がいいということなのです。

  買いにくい相場は高く、買いやすい相場は安い 

これは、「買いづらい相場に限って(その後)高くなり、買いやすい相場に限って(その後)安くなる」という意味です。“買いづらい相場”とは、例えば、株価指標などで非常に割高感がある、株価が天井圏にある、相場が弱気一色にある、などの状況と言えます。

こういう時、投資家はなかなか手を出し難いものですが、そういう時に限って、その後に株価が上昇するという皮肉めいたことが多々起こります。また、“買いやすい相場”とは、この逆の場合で、その後に株価が下落することが多いということになります。

  二度に買うべし 二度に売るべし 

これから新たに買い向かおうとしている人には、ぜひ心に留めてほしい格言です。この意味を一言で表すなら「買い急ぐな、売り急ぐな」ということです。一気に売買して、その後に株価がさらに上昇・下落となったとき“あー、早まった”と後悔しないためです。

また、仮に売買に失敗したとしても、二度に分けていれば、被害は半分で済むという意味も含まれます。投資家に必要なことは、周囲に流されずに冷静に行動するということではないでしょうか。

  万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし 

全ての人が何らかの理由をつけて強気になった時、それが天井を形成することが多いため、人に何を言われようが利食い売りをするべきだという意味です。冷静になって周囲の声に耳を傾けてみましょう。

たった2週間で+14%上昇した現在の株式相場。皆が皆、強気になっていませんか?  逆に、皆が皆、(株価がピークだと)慎重になっていませんか?  なお、これと同義の格言として、「野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし」があります。

  相場は明日もある 

株式相場はこれからも続きます。今日1日で終わるわけではありません。相場は生き物ですから、買いにしても売りにしても上手くいかないことは珍しくありません。そのような時は、いったん立ち止まって、相場の大局を見極めることが必要です。ズルズルとやり続けても上手くいかないことが多いという意味です。同じような格言で「休むも相場」があります。

いずれにせよ、大切な投資資金を失わないためには、ムキにならず、ムリをしないことが重要でしょう。

終わりに

いずれの格言にも当てはまることは、“急がずに冷静に”ということです。株式投資である以上、損失を出すことはよくあることです。ただし、それが日常生活を脅かしたりするようなことがあってはいけません。現在のような上昇相場だからこそ、今一度、相場の動きと自らの懐を見つめ直すことが求められます。

今すぐ辞めよう」「次の仕事すぐ見つかる」…フェイスブックの技術者に退職を勧める

BUSINESS INSIDER 2020年6月4日(木)8時10分配信

何人かのテックワーカーは、トランプ大統領に対するフェイスブックの対応に不満を抱いている同社従業員に会社を辞めることを勧めている。

これらのコメントは、フェイスブック従業員が声を上げ、仮想ストライキを実行しているときに投稿された。

フェイスブックのエンジニアの1人は、すでに会社の方針に抗議して退職している。

ドナルド・トランプ大統領の投稿に対処しないことに対してフェイスブック(Facebook)の社員が反対の声を上げる中、技術者のコミュニティの一部では、抗議して会社を辞めるよう促す人もいる。

フェイスブックの従業員は6月1日、ジョージ・フロイド(George Floyd)氏の死を巡って行われている抗議活動に関するトランプ大統領の投稿に対して、同社が行動を起こさないことに抗議して、仮想ストライキを行った。問題の投稿には「略奪が始まると発砲が始まる」というフレーズが含まれていた。ツイッター(Twitter)は、暴力を賛美しているとして、プラットフォーム上でこの投稿に対して警告を出した。

フェイスブックの社員数人が、会社の方針に不服を表明するためにツイッターに投稿したことを発端に、ストライキが行われた。何人かのテックワーカーは、抗議のためにフェイスブックを辞めるように勧めている。

「国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた」と、Squarespace社のエンジニアであるアレックス・イダルゴ(Alex Hidalgo)は5月30日、フェイスブック従業員の抗議のツイートに反応した。

「それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる」

国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた。それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる。

フェイスブックのソフトウェアエンジニア、ティモシー・J・アベンニ(Timothy J. Aveni)は最近のリンクトイン(LinkedIn)の投稿で、ソーシャルメディアの巨人を退職したと述べている。

「アメリカ国民が過激になることを目的とした大統領の偏見に満ちたメッセージに対して、フェイスブックが行動を拒否し続けることに耐えられない」アベンニ氏は書いている。

グーグルの元シニア・リサーチ・サイエンティストで、物議を醸した中国向け検索エンジンプロジェクトを巡って2018年に辞任したジャック・ポールソン(Jack Poulson)も、ツイッターで同様の見解を述べた。彼は「労働者の小さなグループが大きな影響力を持つことがある」とツイートしている。

連邦政府のクラウド認証をブロックするのに必要だったのは、たった9人のグーグルの労働者だった。そしてドローン戦争へのグーグルのサポート拒絶の端緒となり、国防総省が独自のAI利用原則を採用することになった。少数の労働者が、大きな影響を与えることもある。

グーグルの主任ソフトウェアエンジニアであるティム・ホッキン(Tim Hockin)は、フェイスブックの技術者に「自分の力を良い方向に使うように」と勧めている。

フェイスブックで働いている友人やフォロワー、特に技術者へ。これはよくない。出ていこう。今すぐ辞めよう。これはあなたの問題だ。善のためにあなたの力を使ってほしい。

元グーグル従業員でStripeのソフトウェアエンジニアのランディ・リューク(Randy Luecke)は、フェイスブックには「すぐ次の仕事が見つかる人」がたくさんいるとツイートしている。

学生ローン、就労ビザ、家族など、それぞれに事情があるので、それらを考慮せずに仕事を辞めるを勧めるわけではない。

しかし、フェイスブックには、仕事を辞めても、すぐ次の仕事に就くことができる人がたくさんいる。

私にはザックが変わるとは思えない。

フェイスブックは、「真実の裁定者」にはならないという同社の長年にわたる見解を堅持し、トランプ大統領の投稿に対して何の措置も取らないという決定に固執している。

「多くの人が大統領の投稿を放置していることに憤慨しているのは分かるが、利用規約に明記された特定の損害や、危険を招くリスクを引き起こすことにならない限り、可能な限り多くの表現を可能にすべきだというのが我々の立場だ」と、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは5月29日に書いている。

フェイスブックはここ数年、特に虚偽のニュースや誤った情報を厳しく取り締まっている。たとえば2020年1月には、ユーザーに誤解を与えるように改ざんされたビデオの削除を求める新しいルールを導入した。

しかし、政治的言論を妨害したり、政治的広告のファクトチェックをしたりしないという同社の方針は、多くの批判を集めてきた。

ザッカーバーグは最近、FOXニュースのダナ・ペリーノ(Dana Perino)とのインタビューで、「私は、人々がオンラインで発言するすべてのことの真実の裁定者になるべきではないと強く信じている」と述べ、「一般的に言って、民間企業、特にプラットフォーム企業はそうすべきではないと思う」と付け加えた。

フェイスブック社員反乱に苦慮するザッカーバーグ

Forbes JAPAN 2020年6月4日(木)12時00分配信

フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは6月2日、オンラインで開催した85分間の社内ミーティングで、彼の判断でドナルド・トランプの投稿を放置したことが、ジョージ・フロイドの殺害に抗議する人々の暴力的デモを引き起こし、会社の評価を損ねたことを認めた。

フェイスブックの社員らは、同社がトランプの人種的偏見に満ちた投稿を放置したことに、怒りを噴出させている。トランプはその投稿で、「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と警告していた。

ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、今後は7つのポイントにもとづき社員らの懸念に対処していくと述べた。そこには社内の意思決定についての情報共有を進めることや、より幅広い意見を取り入れること、悪趣味なコンテンツへのラベルづけを検討することなどが盛り込まれていた。

ニュースサイトThe VergeのCasey Newton記者によるとザッカーバーグは、トランプの投稿を放置したことが、同社に「高い授業料」を支払わせることなったと述べたという。

ザッカーバーグはまた、今後も暴動が続くようであれば、フェイスブックが一時的にコンテンツポリシーを見直し、新型コロナウイルスに関する誤情報が問題化した際と同様の措置を講じる可能性についても言及した。

しかし、Newtonの取材に応じた従業員らは、ザッカーバーグが社員からの反発を恐れていることが、彼の表情や口ぶりから見てとれたと話した。「彼が本当の事を話していると思う社員は一人もいない」と従業員の一人は述べている。

ザッカーバーグは今回の社内ミーティングに先立ち、投稿を放置するという決定が正しかったと話し、この決定は自社のポリシーに違反していないと述べていた。

複数の幹部クラスの社員が、フェイスブックの上層部の決定を公然と非難し、多くの社員がツイッターでザッカーバーグに対する反発を表明した。

ザッカーバーグは社員らに次のように語った。「私は、自身の考えとプラットフォームの原則を分けて考える必要があることを認識していた。そこから導いた決定が、多くの人々を怒らせ、メディアの批判を浴びることになることも分かっていた」

トランプから電話を受けたと告白

フェイスブックでは6月1日に多くの社員が仮想ストライキ(社員の多くが在宅勤務のため、こう呼ばれている)を行ったが、その翌日には一人のエンジニアが会社の方針を公然と批判し、辞職した。

ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、彼が投稿を放置する決断を下した後、トランプから電話を受けたことを明らかにした。彼はその電話で大統領に対し、投稿の内容に失望したことを伝えたという。

トランプによる投稿は、フェイスブックが16年前に創業して以来で最大の試練をザッカーバーグに与えている。社員らによる反乱は、前例を見ない事態を引き起こし、ザッカーバーグと社員らの間の亀裂を広げている。

フェイスブックはこれまで比較的、統合のとれた社内体制を維持してきており、2016年の大統領選挙後の混乱の際にも、社内から反発の声があがることは無かった。

ザッカーバーグは「SNSが世論の審判役になってはならない」という主張を繰り返しており、5月28日のFOXニュースのインタビューでは、ツイッターがドナルド・トランプの投稿に「根拠がない」とフラグ立てを行ったことを非難し、「フェイスブックは、人々のオンライン上での発言が真実であるかどうかを判断する裁定者になるべきではない」と発言していた。

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2020年3月31日 (火)

【新型肺炎】喜劇王の殉死は「功績」で間違いない✍何十万の日本人の命を救った(筈だ)

◆愚かな野党議員が、都知事発言の揚げ足を取って、ネットで炎上してるね。過去のスーパースター、美空ひばりにしろ、高倉健にしろ、“死”は、ただの死でしかないから、何時・何処で・どんな風に死んでいったか思い出せる者はいない。“死”に、生産的な死などないし、意味など無いから。

但し、今回「志村けんのコロナ肺炎死」は、多くの日本人が、その事実から「大事なメッセージを受け取る」ことになった。これを「功績」と呼ぶのは完全に正しいと思う。私は「ゆり子のことは大嫌い」だけどね(笑)。

志村さんは、生きてる間も、そして、死ぬ瞬間まで、日本人の幸福の為に働き、そして記憶されることになった。

彼の“死に様”は、日本国民が、その顛末まで熟知している。皆の心に深く刻まれている。このコロナ騒動が収束した時、彼の死によって、失われたはずの命が救われたことを、感謝する日が必ずくると信じる。

蓮舫議員、小池都知事の志村さんの死に対する“最後の功績”発言に「心が無さ過ぎる

スポニチアネックス 2020年3月30日(月)21時34分配信

 立憲民主党の蓮舫参院議員(52)が30日、自身のツイッターを更新。東京都の小池百合子知事(67)が、新型コロナウイルス肺炎のため29日に死去した志村けんさん(享年70)について述べたお悔やみのコメントを批判した。

 小池都知事は、亡くなった志村さんへのコメントを求められ「謹んでお悔やみを申し上げたいと存じます。志村さんといえば、エンターテイナーとして皆に楽しみであったり、笑いを届けてくださったと感謝したい。最後に、悲しみとコロナウイルスの危険性について、しっかりメッセージをみなさんに届けてくださったという、最後の功績も大変大きいものがあると思っております」と述べた。

 これに対し蓮舫氏は、ツイッター上で「今。言葉はとても大切です。知事、あまりにもです。心がなさすぎます」とコメント。コロナウイルスの危険性を世間に伝えたことを、志村さんの“最後の功績”と小池都知事が表現したことに怒りを見せた。

 コメント欄には「人の生死を語るには、余りにも軽い」「この小池百合子氏の言霊は、許せません」「国、都知事は人間の命なんだと思っているんですかね」といった、賛同する意見が数多く寄せられた。

 しかし「功績という言葉に違和感はあるが言わんとする趣旨はわかる」「日本語は難しいですよね でも日本人には愛情がちゃんと伝わってます」「今後国民の意識が上がって、犠牲者が減れば功績になると思います」と、小池都知事を擁護する意見が同数以上集まる結果に。さらには「なぜ君がそう言えるのか」「今重箱の隅をつつくように揚げ足取るより、他にやることあると思うんですよね」といった批判も届き、相反する主張が飛び交う事態となった。

東京都で新たに78人の感染を確認 1日の感染者数の最多を更新

AbemaTIMES 2020年3月31日(火)17時03分配信

 東京都で新たに78人が新型コロナウイルスへの感染が確認されたことがわかった。そのうち14人が感染が相次いでいる東京・台東区の永寿総合病院の関係者だということだ。1日あたりの感染者数としては過去最多となる。

 これで東京都で感染が確認されたのは500人を超えた。(ANNニュース)

志村けんさんの活躍はTV以外も、笑わせ泣かせた舞台での姿

NEWSポストセブン 2020年3月31日(火)16時00分配信

 新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった志村けんさん(享年70)。コメディアンとしてテレビを中心に活躍した志村さんだが、舞台では意外な姿も見せてきた。志村さんを何度も取材してきたコラムニストのペリー荻野さんが振り返る。

 * * *

 志村けんさんが亡くなった。多くのメディアがその功績を報じているが、テレビでの活躍が大半なので、ここではあまり紹介されない舞台での志村さんについて書きたいと思う。
 
 志村さんに私が初めてインタビューをしたのは、2006年、念願の座長公演『志村魂』の初めての上演が決まったタイミングだった。舞台のメインの演目のひとつが人気キャラクター「バカ殿様」のコントだったため、時代劇研究家を名乗り、バカ殿様の大ファンでもある私に声がかかったのである。

 舞台で共演するダチョウ倶楽部の面々も交えての楽屋でのインタビューであったが、志村さんは、「飲みに行きたいから、早くインタビュー終わってくれ~」と言いつつも、ずっと観客の前でコントをしたいと考えていたこと、松竹新喜劇の芝居をしたいと思っていたことを静かに語ってくれた。自信満々というより、舞台に立たせていただくという謙虚な姿勢が強く感じられた。以来、欠かさず公演を観てきたが、『志村魂』は、一部がバカ殿様を一時間ほど、そのあとショートコントが続き、二部はずっと続けてきた三味線演奏、三部は松竹新喜劇の芝居という基本的な構成は、公演を重ねても変わらなかった。

 バカ殿様の面白さはご想像の通り。桑野信義演じるまじめ家老とダチョウ倶楽部のおとぼけ家臣三人組とのズッコケぶりは息があっているし、「そなた、名は?」「さやかと申します」「ああ、くさやか。そのお尻には何が詰まっておるのだ?」「夢と希望でございます」などという腰元(磯山さやか)とのやりとりにも大いに笑わせてもらった。

 そして毎回感動したのが、芝居だ。聞けば、志村さんは松竹新喜劇で活躍した昭和の喜劇スター・藤山寛美さんを尊敬していて、いつか自分もその作品を演じてみたいと思っていたという。その寛美さん十八番演目のひとつで『志村魂』が何度かとりあげた芝居「一姫二太郎三かぼちゃ」で、志村さんは、実家に残ってコツコツと働く三男・三郎を演じた。母親の喜寿の祝いのために都会から帰ってきた兄弟たちにバカにされ、悔しさをにじませる三郎。それでも懸命に家族を助けようとする彼の姿に、涙する観客も多かった。

 私はこどものころ、テレビで松竹新喜劇に親しみ、寛美さんの舞台も見た経験もある。この演目もよく知っているつもりだったが、それでも泣けた。再演でも泣けた。ライブで笑わせる志村けんは想像しやすいかもしれないが、実は大いに泣かせてもいたのである。

『志村魂』のラストには、ご存知、変なおじさんも出てきて会場は大盛り上がり。さっきまで泣いたのにな~と思うが、これが『志村魂』のいいところ。「バカ殿様」「変なおじさん」など長く愛されるキャラクターやギャグだけでなく、昭和に愛された芝居が、今も多くの人の胸を打つことを、志村さんはよくわかっていたのだと思う。

『志村魂』は今年の夏も公演予定だった。殿といっしょに会場全員でする「アイ~ン」の挨拶がもうできない。とても残念だ。

「大変なんだよ~」と言いながら舞台を走り回った志村座長。心よりご冥福をお祈りいたします。

志村けん、取材記者だけが知る素顔「シャイで繊細な人でした」

文春オンライン 2020年3月31日(火)9時45分配信

 新型コロナウイルスによる重度の肺炎を患い入院中だった志村けんさんが、3月29日に逝去したことが分かった。70歳だった。

 これまで、自身についてあまり多くを語ってこなかった志村さんだが、芸能界40周年となる節目で、 「週刊文春」2012年10月11日号のロングインタビュー に応じていた。そのインタビューを担当したジャーナリスト・中村竜太郎氏が、取材時に垣間見えた志村さんの“意外な一面”や、誌面に載せられなかったエピソードを語る。

(構成:文春オンライン編集部)

◆◆◆

とても人見知りで、最初はそっけないふうだった

 志村さんのインタビューは、乃木坂にあるイザワオフィス(志村さん所属の芸能事務所)で行いました。私は1964年生まれで、まさにドリフとともに育ってきた世代なんです。『ドリフ大爆笑』も『志村けんのバカ殿様』もずっと見ていました。ただ、それまでの記者人生の中で志村さんに直接お会いしたことはなかったので、気持ちとしては一人のファンとして、「どんな方なのかな」「やっぱりひょうきんで、軽やかな感じの方なのかな」と思って、取材に向かったんです。

 そして、いざ事務所の応接室でテーブルを囲んでお会いしたら、とても人見知りの方で。非常にシャイで繊細な人なんだな、というのが強く印象に残っています。インタビューでは、限られた時間の中で用意した質問を一つずつ聞いていくんですけど、最初はなんだかそっけないふうでした。

「いつもどうやってギャグを考えているんですか?」と聞いたら、「うーん……。まぁ、どれもたまたまですよ」みたいな。そこで変な間が空いてしまうので、次はより具体的に「では、東村山音頭はどうやってできたんですか?」と聞いたり、少し質問を噛み砕いたり……そうすることで徐々に場の空気がほぐれていった、という感じでした。

普段の志村さんは「静」の人

 私たちが思う“志村さん像”には、爆発的なギャグを繰り出したり、舞台上で突然暴れだしたり、やっぱりそうしたイメージがありますよね。でも、それが「動」だとしたら、普段の志村さんは「静」なんです。特にインタビューの序盤は言葉が重たいといいますか、あぁ、実はとても慎重な方なんだな、という印象を受けました。

 私が知る中では、北野武さんの雰囲気にちょっと似ているかもしれません。武さんとは『ビートたけしのTVタックル』で共演したことがありまして、直接お話ししたこともあるんですが、武さんも素顔は人見知りで知られます。でも、ひょっとしたら武さんよりも志村さんの方が、言葉が少ない、寡黙な方かもしれないです。テレビで見ている印象とは全く違いましたね。

「笑ってるとさ、また頑張ろうって思えるじゃない」

 特に記憶に残っているのは、志村さんに「お笑いとは何ですか?」とお聞きしたときのやりとりです。その質問に対して志村さんは、「お笑いって、よくわかんないけど元気とパワーをもらえるよね」と仰って。「笑ってるとさ、また頑張ろうって思えるじゃない」と。それは本当に良い言葉だなと思いましたね。

 お話を伺っていると、志村さんは一つ一つのコントをとにかく作り込んでいるんだな、と感じました。こうすると面白いんじゃないか、いや、こっちの方がいいんじゃないかと、何度も試行錯誤しながら作っていく。でも、そうした努力は外に見せない方なんだと思います。

 私もインタビューでは、「あのときはどうだったんですか?」「あの伝説のギャグはどうやって生まれたんですか?」と聞くわけです。でも、やっぱり自分がやっているお笑いを解説するというのは、どこか気恥ずかしいことだと思うんですよね。志村さんが自分の話をされるときに、終始照れ笑いのような、はにかんだ表情をされていたのも、そうした気持ちがあったからじゃないかな、と感じます。

“厳格な父親”のもとでお笑いを目指した日

 ただ、それでも「自分は喜劇人なんだ」「コメディアンなんだ」という自負は、すごく伝わってきました。そもそもお笑いの道に進んだきっかけは、子供時代の経験にあるそうなんです。

 志村さんのお父さんはもともと軍人で、戦争が終わってからは小学校の先生をやっていて、教頭にまでなった。そうした職業柄か、とにかく厳格な父親だったそうで。いわゆる、“日本のお父さん”が強い時代の家庭で、ときに堅苦しいような、窮屈なような、そうした家だったんだと仰っていました。

 でも、そんなお父さんも、テレビにエノケン(榎本健一)さんが出てきてお笑いをやると、「ふふっ」と笑いをこらえるようなところがあったみたいです。志村さんは子供時代にそんな姿を見ていて、「こんなに厳しいお父さんが笑うこともあるんだ……。お笑いって、なんかいいな」と思ったそうです。それがお笑いを目指した原点なんだと教えてくれました。

4年前に肺炎を患ってからは健康面にも気を遣っていた

 実は最近も、志村さんのことはよくお見かけしていたんです。私の事務所は麻布十番にあるんですが、十番にはよく志村さんがいらっしゃって。地下鉄の麻布十番駅から上がっていくと、地上出口の前にちょっとした広場のようなところがありますよね。そこで待ち合わせをして、「志村けんファミリー」の方と飲みに行っている姿を、よく目にしました。

 2016年に肺炎を患って2週間ほど入院された後は、それまで多いときは1日60本くらい吸っていたタバコをやめたり、お酒も少し控えるようにしていたそうなんです。今年の1月には胃のポリープ切除の手術もしていて、健康面にも気を遣っていたと聞いていたのですが……。

 突然の訃報は本当に残念で、ショックです。言葉も見つからないほど悲しいです。一人のファンとして、あのとき取材させていただいた記者として、心からご冥福をお祈り致します。

皆に愛された不世出の喜劇王志村けん もっと笑わせてほしかった

夕刊フジ 2020年3月31日(火)16時56分配信

 「変なおじさん」「バカ殿様」…。独特のキャラクターやギャグで日本中を笑いで包み、昭和から平成、令和と時代を超えて、お笑い界の第一線を走り続けた志村けんさん。新型コロナの感染拡大に沈む今だからこそ、もっとみんなを笑わせてほしかった。

 1974年、ザ・ドリフターズの正式メンバーになると、TBS系『8時だョ!全員集合』で披露した「東村山音頭」や「カラスの勝手でしょ」「おこっちゃやーよ」などのヒットフレーズや、加藤茶(77)との「ヒゲダンス」などで子供の心をつかんだ。仲本工事(78)とのコントで披露した「最初はグー」は今では幼稚園児でも普通に使っている。

 その後も「バカ殿様」や「変なおじさん」の人気キャラクターや「アイーン」「だいじょうぶだぁ」などがヒットし、今も日本テレビ系『天才!志村どうぶつ園』やフジテレビ系『志村でナイト』の冠レギュラーを持つ現役選手だった。

 2001年から2年間、夕刊フジで「志村けんの人生だいじょぶだあ~」を連載したことも。

 『全員集合』で一緒に仕事をした放送作家の奥山てる伸氏(82)は「ドリフの前に『マックボンボン』という漫才コンビを組んだが長続きしなかった。しゃべくりで笑いをとる人じゃない。でも私の孫は今も『全員集合』のDVDで笑っている。動きや見た目、フレーズで笑いを取れるからこそ、老若男女に受けるのだろう。不世出のコメディアンだ」。

志村けん「だっふんだ」誕生秘話、ビートたけしとの数奇な

AERAdot. 2020年3月31日(火)12時11分配信

 新型コロナウイルスによる肺炎で志村けんさんが29日夜に旅立った。

 数々のキャラクター、そして人気フレーズを生み出してきた志村さんだが、代表的なギャグの一つ“だっふんだ”が生まれた背景を取材すると、笑いの職人としての真摯な姿勢が表れていた。

“だっふんだ”のルーツは落語にある。上方落語の伝説的な噺家・故桂枝雀さん(1999年逝去)が得意ネタとした噺「ちしゃ医者」に出てくるフレーズに、志村さんが着目したのがきっかけだった。

 枝雀さんの弟子・桂南光から話を聞いた。

「“だっふんだ”は『ちしゃ医者』の中に出てくる医者が見せる大げさな咳払いの音として師匠がやっていたもので、それを見た志村さんが『これは面白い!』と思ってギャグにされたんです。志村さんもハッキリと『枝雀さんのを使わせてもらっています』とおっしゃってました。師匠と志村さんが飲みに行くとかそういうことはありませんでしたけど、桂枝雀独演会には何回もお客さんとして来られてました」

 噺の中で“だっふんだ”というフレーズが殊更クローズアップされる作りにはなっていないが、敏感に語感の面白みをキャッチし、ギャグへと昇華させる。そして、それを枝雀さんにも伝え、認めさせる誠実さも、このギャグが生まれるために必要不可欠な要素だった。

「だいじょうぶだぁ」は福島県の親戚が発した言葉を、「カラスの勝手でしょ」は近所の子どもが遊んでいた時の言葉から生まれたと言われているが、常にアンテナを高く張り「何かしら笑いのタネはないか」と探し続ける。その姿勢が志村けんという存在を形づくっていた。

 こういった笑いの求道者としての姿勢も敬意を持たれてきた所以だが、もう一つ、志村さんが愛された大きな理由が人間性だ。

“偽ドリフ”のヒゲダンスに志村さんは…

 1979年頃からTBS「8時だョ!全員集合」で大人気になった志村さんと加藤茶のヒゲダンス。これはガダルカナル・タカから聞いた話だが、タカとつまみ枝豆のコンビ「カージナルス」が当時の所属事務所から言われるがままにヒゲダンスを完全コピーし、台湾各地をまわって“偽ドリフ”として公演を打っていくという、リアル闇営業というか、荒唐無稽な裏営業的なものがあった。

 もちろん志村さんサイドには許可を取らず、二人の事務所が勝手にやっていたことだったのだが、結果、そのまま事務所は潰れ、ギャラも未払い。何もかもゴタゴタになっていく中、二人はビートたけしに拾われる形で「たけし軍団」に入る。

 軍団加入後、多くの番組で仕事をするようになる中、偽ドリフから10年近く経って、志村さんと初めて会うことになった。

 自分の意志ではないとはいえ、タカとしては偽物をやってしまっていた過去があったので、そのことを話さないといけないと思っていた。しかし、初対面ではその事実を告白できず、会って二回目の時に「実は…」と意を決して伝えた。

そこで、志村さんがどう出るのか。全く分からない中での告白だったが、すぐさま志村さんは「えぇ、そうだったの!面白いなぁ!」と大爆笑。今日まで繋がる縁が生まれた。

ビートたけしとの縁

 また、そこから志村さんとたけしとの縁も繋がっていく。志村さんとたけしと言えば、長らくTBSの「全員集合」、フジテレビの「オレたちひょうきん族」と、両局の威信をかけた視聴率戦争の看板同士でもあったので、なかなか接点が生まれることはなかった。

 しかし、時が経ち、テレビ朝日「神出鬼没!タケシムケン」(1999年から2000年)などで共演の機会も生まれ、その流れで、志村さんとたけしが飲みに行くこともあったという。そこでは「けんちゃん」「たけしさん」と呼び合い、店の会計は志村さんより3歳上のたけしがしていたという。

 そんな中、タカがとりわけ印象的だと振り返るのが、共演番組の収録後。たけしがテレビ局から車で出て行く時、スタッフや軍団が一列になってたけしの車に頭を下げて見送るのだが、いつの間にか、列に志村さんも加わっていて同じように深々と頭を下げていたという。

 無論、その時点で既に志村さんも大御所だったが、偉ぶることなく、計算でもなく、シンプルに先輩に敬意を払う。その素直さと柔軟性に心が揺さぶられたとタカは話す。

 どの角度から見ても魅力の塊。そんな人物が愛されないわけがない。そして、その人物が急にいなくなって悲しくないわけがない。

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2020年2月23日 (日)

【新型肺炎】横浜港停泊のクルーズ船<ホット・スポット>になったワケ

ダイヤモンドプリンセスが、新型コロナウイルスの危険地帯になったつの理由= 旗国主義 

WIRED 2020年2月21日(金)19時11分配信

大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が日本の横浜港を出港した1月20日、2,666人の乗客は、中国、ヴェトナム、台湾への旅でくつろごうとしていた。ところが2週間後、乗客たちは船室に閉じ込められ、1日に数時間しか船室を出ることを許されなくなった。そして乗員乗客542人が、世界で75,000人以上が感染した新型コロナウイルスに陽性の反応を示したのである。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のアウトブレイク(集団感染)の拡大は中国の国外では緩やかだが、ダイヤモンド・プリンセス号は感染のホットスポットとなっている。中国の国外で確認された感染者のうち、半数以上がこのクルーズ船の人々だった。

その次に感染者が多いシンガポールでも、感染者数は77人にとどまっている。東アジアへの観光旅行が、いかに人を死に至らしめる伝染病と戦う“戦場”へと転じたのか。

乗客の大半はさらなる忍耐の日々に

ダイヤモンド・プリンセス号の乗客は2週間以上にわたり、フルコースの食事の代わりに、マスクと手袋をした乗務員によってボックスに入った食事が1日3回届けられている。普段は自然災害時に食事を提供している慈善団体が、陸上に設置した仮設キッチンでつくったものだ。

船内のカジノは閉鎖されたが、不安定なWi-Fiはまだ使えるし、アマゾンは船内へも配達していると伝えられている。ただし、隔離期間半ばでアルコール飲料は底を尽き始めた。

ウイルス検査で陰性が出た乗客への隔離措置は2月19日で終了したが、乗客の大半はさらなる忍耐を要求されそうだ。それぞれの母国へ帰ってからもさらに2週間隔離され、不運にも新型コロナウイルスに感染した人々は病院に入院することになる。

2月1日には、その5日前に香港で下船した乗客のひとりが、新型コロナウイルスに感染していると診断された。これを受けて日本の厚生労働省は2月4日、検疫のためにダイヤモンド・プリンセス号の航海を24時間差し止めた。

船を運営するプリンセス・クルーズはただちにその後の日程をすべて中止し、時間をかけて乗員乗客を検査するために横浜港に停泊した。10人の乗客の感染が確認され、感染者は治療のため陸上へと移送された。

増え続けた感染者

その2日後、感染者数は41人に増加した。しかし厚生労働省は、その時点ではそれ以上の検査は必要ないと考えた。残りの乗客は船内にとどまるように要請されたのだ。

プリンセス・クルーズは無料のインターネットアクセスを提供したほか、衛星テレビのチャンネルを増やし、窓がない部屋の乗客がときどきデッキに出て新鮮な空気を吸えるようにした。乗客は乗務員からもらった花やチョコレート、子どものためのゲームやトランプといったプレゼントの写真をツイートした。

このときプリンセス・クルーズ副社長のライ・カルオリは、「大変なときですが、こうしたことが乗客の皆さまの気持ちを明るくするうえで役立ってくれればと思います」と、文書による近況報告で述べている。公式の近況報告はプリントアウトしたメモとして船室のドアの下に差し込まれ、乗客は乗務員への感謝のメッセージをドアに貼りながらも、退屈や不満や不安を語るためにSNSも利用していた。

こうしたなか、2月8日になって新に6人の感染者が発見され、その1日後にはさらに66人の感染が確認された。プリンセス・クルーズは乗客に対し、航空券の代金を含むすべての費用を払い戻すこと、隔離中の船上サーヴィスには一切課金しないこと、希望者には今後1回分のクルーズを無料で提供することを伝えた。

さらにプリンセス・クルーズは、陸上での検疫という選択肢も乗客に示した。ただし、同社には医療スタッフがいないうえ、食事はすべて日本風の弁当になり、下船に際してウイルス検査を受けることになると強調していた。

感染拡大の防止という点では「隔離は成功」

その後ほどなく、米国が自国の乗客を帰国させると発表した。船に残ることを選んだある乗客によると、迎えが到着した際には「USA!」と繰り返し叫ぶ声や、「船から降ろして!」と言う声を聞いたという。

その後も感染者は増え続け、2月18日には169人の新たな感染者が確認された。あるオーストラリア人医師は、隔離されている船に乗船している両親について次のように語った。「父は閉じ込められた時点の検査では陰性だったのに、いまは陽性になっています。閉じ込めることは功を奏していません」

船内で隔離されたにもかかわらず、計542人が感染した。これは隔離作戦がうまくいかなかったことを意味するのだろうか。

隔離の主な理由は、感染しているかもしれない人が休暇を続けて世界各地へと出かけたり、家に帰ったりして感染を広げることを阻止することだ。この点に関して今回の隔離措置はこれまでのところ成功していると、イースト・アングリア大学医学部教授のポール・ハンターは「サイエンス・メディア・センター」を通じてコメントしている。

カンボジアに停泊したクルーズ船「ウエステルダム」は乗客の下船を許可し、感染者が発見されたのは乗客が家に向かって散っていったあとだった。ダイヤモンド・プリンセス号の場合、これまでのところウイルスを遠くまでまき散らしてはいない。「この数日に報告された感染者数の多さから、隔離後の乗員乗客間の感染を防ぐ方策は効果がなかったように見えます」と、ハンターは言う。

豪華客船にとどまった人々は、こんな言葉は聞きたくないはずだ。チャーター機で救助に来てほしいとYouTubeやFacebookを使って政府に訴えていたデイヴィッド・エイベルと妻のサリーのような英国人にしてみれば、なおさらだろう。

エイベル夫妻には、いまではコロナウイルス陽性の診断が下っている。こうした状況を受けて英国の外務省は、次のように説明している。「船内の状況を考慮し、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船している英国人を早急に退避させるため、航空便を手配しているところです」

隔離下の船内でウイルスが拡散した可能性

乗船者の隔離が失敗に終わった可能性は3通り考えられると、エクセター大学で公衆衛生の講師であるバーラト・パンカニアは言う。ひとつ目は、船が隔離される前にウイルスに接触した人がいた可能性だ。香港で下船した乗客のなかに少なくとも1人の患者がおり、その数日後にはさらに10人の患者がいた。「そこからゆっくりと時間をかけて感染していったのです」と、パンカニアは推測する。

ふたつ目は、隔離したにもかかわらずウイルスが拡散した可能性だ。乗客を船室に閉じ込め、乗務員はマスクを着けて食事を運ぶといった予防策をとったことを思えば、これは考えにくいと思いたいところである。

だが、1,045人の乗務員の大半は寝室を共有し、14人が座れるテーブルで食事をとっていた。『TIME』の報道によると、プリンセス・クルーズは2週間の隔離期間が始まってから10日後になって、ようやく乗務員に隣の人との間に席をひとつ置いて座るよう指示したという。

高熱を出したある乗務員は、仕事を休んで船室から出ないように言われたという。しかし、その船室は仕事を続けていた別の乗務員と共有していた。そのルームメイトにも、のちに新型コロナウイルスの陽性という診断が下った。

空調を通じて感染が拡大?

規則を守らない乗客によって感染が拡大した可能性もある。「USA!」と繰り返し叫んでいたのはバルコニーに立っていた女性と思われるが、彼女はほんの数メートルしか離れていない隣のバルコニーの乗客とマスクをせずにしゃべっていたという。乗客のひとりであるマシュー・スミスは、「船内で2次感染が起きているとすれば、これがその理由だ。常識をわきまえない愚か者のせい」と、ツイートしている。

3番目の感染ルートは、先例があるとはいえ推論にすぎないとパンカニアは言うが、憂慮されるべきものだ。それは、船室同士をつないでいる空調システムである。

この視点は、SARS(重症急性呼吸器症候群)のアウトブレイク後に、直接の接触がなかったホテルの宿泊客同士で感染が広まった理由を研究者が解明しようとした際に浮上した。「感染は建物の下部から空調システムを介して建物内の離れた場所まで移動し、互いに非常に離れた場所にいた人々に感染しました」と、パンカニアは言う。

新しいコロナウイルスについては、まだわかっていないことが多い。このため問題が複雑になっているが、いくつかの注意点がある。SARS-CoV-2は、いまのところ飛沫感染するとみられている。せきやくしゃみによって出る飛沫だ。ウイルスの拡散には「濃厚な接触」が必要という前提で衛生当局が取り組んでいるのは、このためである。

ここでいう濃厚な接触とは、相手と15分にわたって2m以内の距離にいたことを意味する。例えば、感染した女性がUberのクルマで5分かけて病院に行ったとしても、ドライヴァーに危険は及ばないはずとされる。

今回もこのケースと同じ可能性がある。船室は狭く、乗客は一日中その中で過ごしているため、部屋にウイルスがごくわずかしかなかったとしても長時間さらされている。

「人々は非常に狭い船室に閉じこもっており、そこには空気の動きがあまりありません。とりわけ隔離指示を守っている場合は、なおさらです」と、パンカニアは言う。「新鮮な空気への交換は、適切なフィルターを備えているとは限らない空調設備のみなのです」

ホテルでの隔離にも感染拡大リスク

船外への退避は、乗客にとってありがたいことかもしれない。だが、感染している可能性のある旅行者をホテルに詰め込むことは、船内と同じリスクになるとパンカニアは警告する。というのも、完全な隔離にはホテルにも弱点があるうえ、同じように空調の問題もあるからだ。

このため、船内でウイルスに長時間さらされた可能性のある人々のように深刻な感染リスクを負っている人々は、症状が出ないか全員を慎重に見守るべきだとパンカニアは言う。もし症状が現れたら感染を避けるために、ホテルへの滞在を許可せずに病院へ移送すべきだろう。「ホテルへの滞在は、はっきり言って船にいるのと同じようなものです。部屋が少々広いくらいでしょう」と、彼は言う。

ダイヤモンド・プリンセス号でアウトブレイクが続いている原因は、以上のいずれか、あるいは3つすべての可能性がある。いまだに解明できていない疑問は、なぜ乗客をクルーズ船という、疾患を広めることで悪名高い場所に隔離しようと考えたのか、ということだろう。

米疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、クルーズ船においては昨年、10件のアウトブレイクが発生している。そのうち8件はノロウイルスだった。

「クルーズ船は、ありふれた風邪と嘔吐ウイルス、つまりノロウイルスのアウトブレイクが非常に起きやすいのです」と、クイーン・メアリー大学のウイルス学教授であるジョン・オックスフォードは、サイエンス・メディア・センターから出したコメントで指摘している。「船は必ず混雑していますし、乗客があれだけ多いと衛生レヴェルも落ちることがあります。実際に船上で適切に人々を隔離するのは不可能かもしれません。乗客は家に帰った時点で適切に隔離される必要があると、わたしは確信しています」

「この施策は間違っている」

ダイヤモンド・プリンセス号を所有・運航しているプリンセス・クルーズはノーコメントを通している。クルーズ船の業界団体であるクルーズライン国際協会(CLIA)で英国とアイルランドのディレクターを務めるアンディ・ハーマーは、こうした船には乗員乗客の健康チェックがあるほか、医療スタッフも乗り込んでいるなど特定の衛生基準が設けられていると語っている。

「乗務員は全員、船と乗客と乗務員の衛生をいかに保つかについて多岐にわたる訓練を受けています。船舶衛生プログラム(VSP)のメンバーが船を訪問し、クルーズ船がVSPのオペレーションマニュアルの衛生基準を満たしているか調査する公衆衛生検査を実施しています。さらにCLIAのクルーズ船は、乗員乗客の健康監視を維持することにおいて豊富な知識と経験をもっています」

しかし、乗船している人々の努力や隔離が失敗した特定の理由がどうであれ、うまくいかなかったという明白な事実は、当局が進路を変更すべきだったことを意味しているとパンカニアは言う。

「当局は感染のコントロールと封じ込めに必要な施策を導入しましたが、結果として新たな感染者が出ました。わたしなら『これはうまくいっていない。別の対策を考える必要がある』と言わざるをえなかったでしょう」と、ハーマーは言う。「わたしは船がウイルスによる感染を拡大していると思います。わたしなら、乗客や乗員たちを閉じ込めておきたいとは思いません。間違っています」

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高須院長、ドクター中松開発マスクで外出「一般でも買える?」と反響

しらべぇ 2020年2月23日(日)14時30分配信

高須クリニック院長・高須克弥が1日、自身のツイッターを更新。新開発されたというコロナ対策のマスクを装着した姿を投稿した。

ドクター中松氏が開発

右手でグーをつくりながら、「外出なう」とつぶやいた高須院長。顔には見慣れないものがついているが、これはコロナ対策のマスク「ドクター中松スーパーメン SUPER M.E.N」だ。

インパクトの強いこのマスクは発明家のドクター中松が開発したもので、透明な板で口、目、鼻を防ぐようにできている。顎のあたりに空間があるが、ドクター中松は「飛沫感染なので問題ない。そこから飛沫が入りますか?」と回答している。

高須院長は、20日にも「武漢肺炎ウイルス完全防御マスク手にいれたぜ。今日から装着なう」と嬉しそうな投稿をしていた。

外出なう pic.twitter.com/kNcFpqtXnv — 高須克弥 (@katsuyatakasu) February 22, 2020

一般でも買えますか?

新発明のスーパーメンにフォロワーの人々も興味津津だった様子。「一般でも買えますか?」「インパクトすごいですね。どこで手に入れるんだろう」といった質問コメントが相次いだ。ちなみに、ドクター中松の公式オンラインショップで誰でも購入可能となっている。
また、高須院長の後ろで笑顔の妻・西原理恵子が写っていることから、「外出デートですか? 楽しんでくださいね」「奥様もご一緒なんですね」といったコメントも多くみられた。

約2割が常にマスクを着用

コロナウイルスやインフルエンザ、花粉症といった病への対策として用いられるマスク。海外と比較してもマスクをつけている人の割合が高いと言われる日本だが、どの程度の人がマスクを常につけているのだろうか。

しらべぇ編集部が全国の20代~60代の男女1,357名を対象に「マスク」に関する意識調査を実施したところ、全体で約2割の人が「常にマスクを着用している」と回答した。

一見するとサイズも大きいため、使いづらそうにも見えるスーパーメン。高須院長が使い心地について感想を綴ってくれるのだろうか。

 

2020年2月20日 (木)

【仮想通貨】<デジタル通貨戦争>各国中央銀行✍覇権争いの行方

日本人が知らない、スウェーデンの「デジタル通貨」のヤバすぎる実力

現代ビジネス 2020年2月20日(木)8時01分配信/砂川洋介(ジャーナリスト)

デジタル通貨「覇権争い」が始まった…!

 2020年は「中央銀行が発行するデジタル通貨元年」になるだろう。

 実際には、ビットコインが普及する前から各国中央銀行を中心にデジタル通貨に関する研究はスタートしており、実証実験を行うと「決定」している国も存在している。

 その目的は、自国通貨にペッグしたデジタル通貨を発行して関係諸国に流通させたり、新たな決済手段として用いることだったりする。基軸通貨ドルに対抗する手段にデジタル通貨を利用するなど、世界の覇権争いにも絡む思惑が、各国様々に存在しているのだ。

 本稿では主だった中央銀行のデジタル通貨に対する考えや取り組み状況を見ていこう。

 まずは、昨年から様々な話題を振りまいている中国の動向を確認しよう。

 2019年12月、中国人民銀行のデジタル通貨研究所長は、金融フォーラムにおいて「デジタル人民元は、投資商品のような使い道ではなく使用するために存在し、投資対象としてのイメージが先行しているビットコインとは根本的に違う」と述べている。

 「法定通貨に連動するステーブルコインとも異なる」とも述べていることから、デジタル人民元は暗号資産で最大の時価総額を誇るビットコインや、Facebookが発行を目指しているリブラのようなステーブルコインとも異なる方式であることが判明した。

 デジタル人民元は、2020年の早い段階で深圳と蘇州での運用が試験的に実施されると伝わっている。デジタル人民元発行の目的は、ビットコインやリブラへの対抗が分かりやすい説明となっているが、実際のところは「一帯一路」戦略の一つと考えることができる。

中国vs米国vs欧州

 一帯一路で出来上がりつつある巨大な市場にてデジタル人民元を流通させることができれば、デジタル人民元の一大流通市場が容易にできあがることとなる。

 このような中国の野望を警戒しているのが、既存の通貨を有する米国や欧州であることは明白だ。

 基軸通貨ドルをコントロールする米国政府のムニューシン米財務長官は昨年末、「今後、5年間は公的なデジタル通貨を発行しないだろう」と述べたと伝わっているが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事は「デジタル通貨について注目している」とも話していることから全く無視しているわけではない。

 一方、欧州のユーロ側は、今年1月に欧州中央銀行(ECB)が、日本銀行、イングランド銀行、カナダ銀行、スウェーデンのリクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)が参加するグループにて、各国・地域における中央銀行デジタル通貨の活用可能性の評価に関する知見を共有すると発表した。

 同グループは、「中央銀行デジタル通貨の活用のあり方、クロスボーダーの相互運用性を含む経済面、機能面、技術面での設計の選択肢を評価するとともに先端的な技術について知見を共有する」と説明している。

 ECBはすでに独自のデジタル通貨が実現した場合の解決策などを検討していたほか、イングランド銀行も以前からデジタル通貨への関心を高めていた背景がある。

 じつは、日本も出遅れているわけではない。

じつは「日本」もなかなかやる

 日本銀行は昨年、雨宮正佳副総裁が、デジタル通貨について近い将来に発行する計画はないとの従来見解を示しながらも、技術革新が急速に進むなか、発行の必要性が高まる可能性があるとの認識を示している。

 日銀は、ビットコインの価格が高騰し知名度が一気に高まる前の2016年、決済機構局内にFin Techセンターを設置した経緯がある。

 2018年9月に日銀が発表した「キャッシュレス決裁の現状」における生活意識アンケートによれば、日本での民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は約2割にとどまっている。アンケート回答者の約8割がキャッシュレス決裁を利用しているにもかかわらず、実際の最終消費支出の割合が2割にとどまっていることは、キャッシュレス決済を利用している人々も、用途に応じて現金決済を利用し続けていることを示している。

 現金つまり紙幣に対する信頼感が日本は非常に高いという考えもあるが、地方でキャッシュレス決裁ができないため、現金決済しかないというインフラ事情も影響している。

 同じく現金志向の強いドイツのバイトマン連銀総裁が、熟考せずに中央銀行がデジタル通貨を発行することを警告していることを考慮すると、現状の日銀のデジタル通貨への動きは「柔軟である」と評価することもできるだろう。

 とはいえ、ECBや英国の動きに日本も遅れてはならないといった構図はある。日本、イングランド、カナダ、スウェーデン、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)の6カ国・地域の中央銀行のなかでは、目立っているのはスウェーデンのリクスバンクの動きだ。

スウェーデンの知られざる実力

 リクスバンクは2016年に、キャッシュレス社会を推進するため、法定通貨クローナのデジタル通貨である「eクローナ」の開発を検討し、翌年からそのプロジェクトに着手した。

 発行するかどうかの決定はまだ行っていないものの、2020年からは、コンサルティング大手のアクセンチュアと組んで、eクローナの試験運用を開始する方針であることを発表している。

 アクセンチュアは幅広いモバイル・プラットフォームでの用途など、eクローナの消費者向け機能を構築し、模擬店舗を使ったテスト環境で運用するとのことだ。試験運用が噂されるデジタル人民元と比較すると、eクローナは既に試験運用を行う方針を明らかにしている分、中国より一歩先を進んでいるとの見方もできよう。

 2020年の年末までこの試験運用を続け、最短では2021年にeクローナを発行する可能性も考えられるとのことだ。

 リクスバンクが2019年に公表した調査によると、2018年時点で現金を使用したスウェーデン人の比率はわずか13%と、2010年時点の39%から大幅に低下している。

米中欧のデジタル覇権争いが始まった

 正直、中央銀行がデジタル通貨を発行することで、ビットコインを筆頭とした暗号資産の価値が高まるかは微妙なところだ。

 そもそもデジタル通貨は、既存の自国通貨の利便性を高めるために発行し、自国通貨の経済圏を狭まることを防ぐといった意味合いが大きいと考える。つまり通貨の覇権争いの新たなステージといったところだ。

 デジタル人民元の試験運用がいつからスタートするかに注目が集まっている一方、静観を貫いているFRB=米国が基軸通貨ドルを守るためにどのような手段を取るのかも関心を高めておきたい。

 こうした通貨の覇権争いは米中貿易戦争の行く末にも深く絡んでくるはずである。

新型肺炎💢感染拡大は「仮想通貨追い風になる」?

ForbesJAPAN 2020年2月18日(火)8時30分配信

アジアの仮想通貨市場は、今や世界の取引量の80%を占める。仮想通貨に特化した米国の大手投資会社であるパンテラ・キャピタルやパラダイム、ポリーチェーン・キャピタル、コインベース、ドラゴンフライは、拡大を続けるアジア市場に商機を見出し、香港に本拠を置く仮想通貨取引企業「Amber」に総額2800万ドル(約30億円)を出資したことが明らかになった。このラウンドでのAmberの評価額は1億ドルに達した。

Amberを創業したのは20代の若者5人で、そのうち4人は元モルガン・スタンレーのトレーダーだ。同社は、設立当初「Amber AI」という社名で、人工知能を使って中国の株式や債券を取引きしていた。しかし、彼らは仮想通貨の価格が取引所ごとに大きく異なることに気付き、アービトラージ(裁定取引)で儲けるために2017年の夏に仮想通貨取引に事業を転換した。

当時は今より価格差が大きく、例えばある取引所でビットコインを7300ドルで購入し、すぐに別の取引所で7700ドルで販売し、5%の利益を得ることができたという。「かつて扱っていた社債では0.01%の差でも大きいため、最初は信じられなかった」とAmber のCFOを務める28歳のTiantian Kullanderは話す。

Kullander によると、2017年10月から12月の間に月間100~200%の利益を得たが、当時の運用資産は数百万ドルに過ぎなかったという。Amberは自己資金だけでなく、他の仮想通貨スタートアップの資金も運用して利益を稼いでいる。

多くの仮想通貨スタートアップはICO(イニシャル・コイン・オファリング)で数千万ドルを調達し、余剰のデジタル資産をAmberで運用している。Kullanderによると、2018年にビットコイン価格が70%下落して3800ドルになった際、Amberは500億ドルを運用して平均40%のリターンを得たという。

Amberは、18カ月前からテクノロジー企業への脱却を目指してきた。仮想通貨市場はまだ歴史が浅く、洗練された戦略を取りたいトレーダーが求めるツールが存在しない。

Amberは独自のソフトウェアを作成し、大手プロ投資家向けに取引きプラットフォームを作ろうとしている。同社は、10を超える取引所を繋ぎ、最も条件の良い取引所で顧客の注文を約定させている。今後は、融資やオプションなどのサービスを追加するほか、顧客がよりレバレッジを高めたり、予め設定した価格で資産を売買できる金融商品の提供を行う予定だという。Amberは、当初予定していた人工知能の活用が実現しなかったため、昨年社名から「AI」を削除した。

Amberの売上高と純利益率

純利益率は50%以上

Kullanderによると、同社の2019年の売上高は1000万から2000万ドルの間で、純利益率は50%を超えるという。2020年には売上高を倍増させる計画だ。

Amberの現在の従業員数は105名だ。同社が香港を拠点とする上で大きな利点が2つある。1つは、シンガポールの「Binance」や北京の「Huobi」、香港の仮想通貨デリバティブ取引所「BitMEX」など世界最大規模の取引所がすぐ近くにあるため、良好な関係を築いてテクノロジーを統合しやすいことだ。

もう1つは、香港の仮想通貨規制が米国に比べて緩いことだ。米国では、SEC(証券取引委員会)が一部の仮想通貨を「未登録有価証券」と見なしており、先行きが不透明だ。一方、香港では2018年に証券先物事務監察委員会が「仮想通貨は有価証券に該当しない」と宣言し、投資家はより安心して仮想通貨を購入できるようになった。

現在、Amberの顧客は、30カ所の取引所で700以上の仮想通貨を取引きすることができる。同社の顧客の80%はアジアに拠点を置いている。これに対し、米国最大の取引所であるコインベースでは、取引きできる仮想通貨の種類は30に満たない。

Kullanderの規制に対する考え方は、米国の起業家や投資家に比べてリベラルだ。かつて、仮想通貨スタートアップ「Origin X Capital」の幹部は、Amberが売買双方の当事者となる仮想売買を行い、特定の仮想通貨の人気が高まっているように見せかけたとして同社を非難したことがあった。

感染拡大は仮想通貨ビジネスに追い風

これに対し、Kullanderは仮想売買を一度もしたことがないと否定しつつも、「仮想売買が悪だとは思わない。従来の金融商品では仮想取引きは違法だが、仮想通貨の世界では注目を集めるために行われている」と述べている。

「我々は、規制に対して反対でもなければ、賛成でもない。規制よりも重要なのは、社会的な信用を得ることだ。正しいことをしていれば何も心配することはない」とKullanderは話す。これまでのところ、同社の戦略は当たっているように見える。規制の抜け穴を突くことで有名なBinanceも順調に事業を拡大している。

現状、アジアに本拠を置くリスクの1つがコロナウィルスの感染拡大だ。Amberでは、全従業員が在宅勤務となっている。「顧客を訪問するばかりが仕事ではない」とKullanderは述べ、コミュニケーション効率が多少落ちても業績への悪影響はほとんどないという。

「仮想通貨ビジネスの良い点は、年中無休で市場にアクセスできることだ。感染拡大を受けて家で退屈に過ごしている人が増加したため、仮想通貨取引きは停滞するどころかますます活況だ」と彼は語った。

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2019年11月 1日 (金)

【耳学】誰も教えてくれない「フィギュアスケート」✍ジャンプ仕分け

ポットキャストkiss&CryⅡ第一回ネイサン・チェンと羽生結弦

惑星ハニューにようこそ! 2019年10月25日配信

 

<出演>
フランチェスコ・パオーネ(司会)(F
マッシミリアーノ・アンベージ(ジャーナリスト、冬季競技アナリスト)(M
アンジェロ・ドルフィーニ(元ナショナルチャンピオン、国際テクニカルスペシャリスト)(A

 

F:今回のポッドキャストではスケートアメリカとスケートカナダについて話そう。
スケートアメリカでは大差で圧勝し、ライバル達を全滅させたネイサン・チェンに触れないわけにはいかないだろう。
2位との差は44点だった。
しかも彼が大差で圧勝するのはこれが初めてではない。
これからもこういう状況が続くと思う?

M:僕から答える?
問題はこの選手は未だかつて見たことがないほど4回転ジャンプの成功率が高いということだ。今シーズンの成功率は10本中9本で90%。
だから他の選手に比べてスタート地点の基礎点が圧倒的に高い。
通常、10月に300点近い得点を出す選手はいないからスケートアメリカでの300点近い得点は大きな意味を持つ。
おそらくフリーでは4回転をもう1本増やす余地があるから、彼に勝つのは誰にとっても簡単なことではない。

彼に勝つことが出来る選手は1人。
数日後のスケートカナダに登場する羽生結弦だ。
他の選手達は正直に言って彼と対等に戦える技術的手段を持ち合わせていない。
だからグランプリのような大会で2位の選手と40点の点差が開くのは当然だ。

ここまでを前提とした上で、彼がリンクで披露する4回転ジャンプのクオリティについては別のことが言える。
彼のジャンプは現時点では、実際のクオリティに比べて過剰な高得点を貰っている。
どういう意味かというと、幾つかのジャンプにリンクで披露された内容にそぐわない高い出来栄え点が与えられている。

これはスケートアメリカの傾向ではなく、大分以前から彼方此方の大会で見られている傾向で、彼はこれを上手く利用している。

ネイサン・チェンの多くのジャンプは入りに何の工夫もされていないが、バカ高いGOEが与えられる。
このような傾向は、他の多くの選手を困難な状態にしている。

僕がスキャンダルだと思ったケースを例に挙げよう。
スケートアメリカの男子ショートにおけるネイサン・チェンの4ルッツ。
彼がこの大会で着氷した4回転ジャンプの中であまりうまく行かなかったジャンプだった。
なぜなら、ジャンプ着氷後にオーバーターンしたからだ。
ジャッジ達の意見ではこれはGOE+に値するジャンプだったらしい。
+1点近い加点を得た。

ドニトリー・アリエフは同じくショートの4トゥループで全く同じミスをした。
ミスのタイプは全く同じだが彼らのジャンプには違いがあった。
ネイサン・チェンの4ルッツは40メートルの助走から前に何も入れずに実施された。
アリエフは踏み切る2秒前に少なくとも何らかのステップを入れていた。
アリエフの4トゥループはGOEでマイナス評価だった。

こういう事を目にすると僕達は考えさせられる。
勿論、ネイサン・チェンは傑出したレベルに達した。これは間違いのないことだ。
ただし、得点は少し高過ぎるという印象を受ける。

分かりやすく別の要素で説明しよう。
フリーにはコレオシークエンスという要素がある。
この要素にはレベルはなく、GOEのみで評価される。
もしジャッジ全員がGOE+5なら、この要素は非の打ちどころがなく完璧だったということになる。
ネイサン・チェンのコレオシークエンスのGOEを見て欲しい。
これらのことが、彼に対する採点の傾向を物語っていると思う。

技術点について話したから、今度は演技構成点に注目してみよう。
一言でいうとフリープログラムで平均9.5点を獲得した。
僕の意見では、この大会で彼と40点差で2位だったジェイソン・ブラウンは演技構成点の5項目の内、少なくとも4項目でチェンより優れていたと思う。

つまり僕の質問はこうだ。
アンジェロに答えてもらおう。
4回転ジャンプには、GOEとPCSを自動的に銀河点まで引き上げる価値があると思う?
例えばフリープログラムのチェンのフリップ
もしこれが4フリップではなく、3フリップだったら、+4/5点ではなく+2/3点程度だったと僕は思う。
前に何も入っていない、助走の長いフリップが4回転というだけでより高いGOEを獲得する。
僕はこの点において、何か辻褄の合わないことがあると思う。
勿論、僕の見間違え、または勘違いかもしれないけれど。
君にバトンタッチしよう

A:非常に興味深いテーマだね。
幾つかの点に関して僕も完全に同意見だ。

チェンのオーバーターンした4ルッツから始めよう。
彼のジャンプはプラス評価、同じようなアリエフのトゥループはマイナス評価だった。
このようなジャッジングには困惑させられる。
しかも2つとも4回転ジャンプだったから、4回転ジャンプになるとGOEが過剰評価になるという先ほどの君の理論とも矛盾している。

それにここはスケートアメリカだ。
ホームの選手に対してジャッジは多少有利に評価するし、彼らも自国の観客の前でいい演技をしたいという思い入れが大きい。
しかもジャッジ達の前にいるのは現世界チャンピオンだから、間違いなくこういった先入観もジャッジの評価に影響を与えるのかもしれない。

4ルッツのGOEがプラスであるべきではないという君の意見に僕も同感だ。
もっと言えばマイナス1が妥当な評価だったと思う。

ハイスピードから実施された幅のあるジャンプだったから、プラスの要素があったのも事実だ。でも難しい入りやトランジションという点に関しては他の何人かの選手より劣っている。
確かに非常に野心的な高難度の構成だし、高難度ジャンプとトランジション/入りの工夫を両立させることは難しい。
でもこの(4ルッツに対する)評価に少々困惑されられたのは事実だ。

このアメリカの選手についてポジティブな点も強調したい。
3アクセルが急激に上達した。
高いGOEを獲得したし、僕の見方では、特にショートプログラムの3アクセルは飛躍的に向上したと思う。
3アクセルが苦手だった選手がだ。

M:アンジェロ、フリープログラムでは彼の3アクセルにジャッジ全員が+4を与えた。

A:そうだね。

M:入りの工夫は何もなかったし、長い助走から跳んでいたことを考えると+4点は寛大な得点だと思う。

A:この点は勿論、考慮しなければならないが、ジャンプ自体の質は明らかに向上した。
それでも+4は少し高い。+3が妥当だったと思う。

+4になると獲得するのがより困難なレベルになってくる。
確かに難しい入り方というのはGOEのプラス要件の一つだけれど、+3に求められるハイスピードから実施され、幅と高さがあり、空中姿勢が良いという条件は満たしていた。
例えばこの3アクセルが音ハメして実施されていたら(ネイサン・チェンがこれにこだわっている可能性がある)、+4になるかもしれない。
繰り返すけれど、僕はいずれにしても+4は少し高過ぎると思う。

M:君に質問するけれど、助走から跳んでいるジャンプ。
すごく長い助走じゃないにしても、準備期間があってプログラムの流れが一時中断されるジャンプを「エフォートレス」、つまり「無駄な力を入れずに実施された」と見なすことが出来ると思う?
エフォートレスの定義と矛盾していない?

A:興味深い質問だね。
このテーマの問題は何か?
誰にとってもエフォートレスなジャンプか否かを正確に判断するのは難しい。

事実を言うと・・・僕の依怙贔屓かもしれないけれど(笑)、エフォートレスジャンプで僕が真っ先に思い浮かべるのは羽生結弦だ。
なぜなら彼は特に3アクセル、それに綺麗に決まった時の4サルコウもそうだけれど、ジャンプを本当にナチュラルに実施する。
つまりエフォートレスというのは非常にナチュラルという意味だ。

ただし、長い助走が必ずしも「エフォートレス」の項目を排除するとは限らないが、ボーダーラインだろう。
長い助走は確かに「ナチュラルさ」を減少させる。
でもエフォートレスなジャンプとは、何よりも実施されている間、無駄な力が入っていない印象を与えるジャンプのことだ。
つまり、力みのない軽やかな離氷、非常にリズミカルな実施、膝の柔らかな屈曲といった特徴を挙げることが出来る。

ジャンプの前にフィギュアの要素が挿入されていると、スケーターの動作にリズムを与えるから、上述の特徴がより強調される。

だから、長い助走は必ずしもエフォートレスの条件を妨げるものではないけれど、ナチュラルさが低下する分、エフォートレスの印象を弱める可能性がある。

M:もう一つ付け加えると、現行のルールで片手、または両手を上げてジャンプを跳ぶ選手達は、まさにこのエフォートレスのプラス要件を獲得するためにこのような跳び方をしている。なぜなら手を上げて跳べるということは、このジャンプを簡単に跳べることのアピールになるからだ。
「タノ」がプラス要件ではなくなった現行のルールでは、他に手を上げて跳ぶ理由はない。

A:この手を上げて跳ぶことについて、非常に興味深い技術的考察を付け加えたい。
確かに手を上げて跳ぶと、エフォートレスをより印象づけることが出来るけれど、同時に回転速度を一層上げることが可能になる。

このような技術的観点から注意深くこのタノジャンプを観察すると、とりわけ上半身と肩の捻り、回転を容易にし、美しい空中姿勢を維持するのを助けていることが分かる。

時々に見かける手をピンと伸ばせていないタノジャンプは審美的に美しくないし、空中姿勢も綺麗ではないから、諸刃の剣と言えるけれど、でも技術的にタノ姿勢は肩のポジションを改善するから、選手によっては両手を上げた方が跳びやすい場合もあるし、中には両手を上げないと跳べない選手すらいる。

P:視聴者からの質問
チェンのPCSについてどう思うか、彼のどこがこの得点に値するほど優れているのか?

M:平凡な質問じゃないね。
僕は議論の余地なくジェイソン・ブラウンの方が優れていると思う。
スケーティングについて。

A:膝の柔らかさとスケーティングにおいてね

M:別次元と言っていいだろう。
ジェイソン・ブラウンはこの点においてまさに熟練の域にあり、スケーティングの滑らかさは明らかにチェンより優れている。
僕の意見ではトランジションにおいても勝負にならないと思う。

A:とりわけ、彼らのプログラムのスペック故にね

M:3:1の比率でブラウンに軍配が上がる。

その他の項目は・・・Performanceについても、もしこの項目の意図を正しく解釈して評価したなら、ジェイソン・ブラウンの方が少し優れていると僕は思う。
この項目についてはネイサン・チェンもいい線を行っていると思うけれど。

A:同感だね。
パフォーマンスについてはネイサン・チェンには彼独自の良さがあるし、ハイレベルだ。

勿論、ジェイソン・ブラウンもパフォーマンスにおいて卓越している。事実を言えば、彼は全ての項目において卓越していると言わなければならない。
ただ、僕の見方ではパフォーマンスではネイサンと互角だと思う。

M:振付はジェイソン・ブラウンの方が優れていると僕は思う
音楽の解釈は主観が入る項目だから、好みが分かれるだろう。
でも4:1でジェーソン・ブラウンに軍配が上がると思う。
スケートアメリカではネイサン・チェンは演技構成点でジェイソン・ブラウンを4点近く上回った。

A:3.3点だね。

M:僕の意見ではジェイソン・ブラウンが5点チェンを上回るべきだったと思う。
ジェイソン・ブラウン90点、ネイサン・チェンは84~85点とか。

A:実際、ネイサン・チェンが獲得した94点は非常な高得点だ。
勿論、僕達は演技構成点でも強い2人の選手について話している。
コンポーネンツに関してネイサン・チェンを過小評価してはならない。

M:でも演技構成点85点は各項目で平均8.5ということだ。
問題は演技構成点の解釈だ。
僕は全項目がどんどんインフラして、男子シングルの上限である100点に近づいていることが問題だと思う。
それに男子の演技構成点満点が100点というのは低過ぎると僕は思う。
全てを設定し直す必要があると思う。

A:確かに、でもこれは別の議論になるね。

M:まず演技構成点の上限を引き上げるべきだと思う

A:係数を変更するということだね。

M:そして何よりも、どの選手にもむやみにやたらに9~10点を与えるという傾向を何とかしなければならない。

僕は客観的に見てジェイソン・ブラウンの方が優れていると思う。
でも異存がある人がいれば、その人の言い分を聞く準備はある。

ジェイソン・ブラウンは演技構成点において現在、世界ナンバー3だ。
いや、フェルナンデスは引退したから世界ナンバー2か。
ナンバー1は勿論、羽生だ。

A:そうだね。
ジェイソン・ブラウンはこの点において圧倒的に優れている。議論の余地はない

P:ネイサン・チェンのコーチは、ネイサンがいずれ全種クワドを跳ぶと言っている。
彼の意見によれば、4トゥループと4サルコウが得意な選手には4アクセルも可能だそうだ。
これについて君達の意見は?

M:ハハハハハ
ネイサン・チェンのコーチであるラファエル・アルトゥニアンが大法螺を吹くのは今に始まったことではない(笑)

A:(爆笑)

M:理論的にはこのような思考は可能だ。

僕達は常にジャンプを2つのカテゴリーに分けてきた。
トゥを突いて踏み切るトゥループ、フリップ、ルッツ
そしてエッジ、つまりブレードを使って踏み切るサルコウ、ループ、アクセル

でも実は別の分類の仕方もあるのだ。
踏み切った足と同じ足で着氷するルッツ、フリップ、ループ
そして踏み切った足とは別の足で着氷するジャンプ、つまり空中で一種の軸移動があるジャンプ:トゥループ、サルコウ、アクセルだ。

ここまでを考慮すると、ラファエル・アルトゥニアンの言っていることはあながち的外れではないということが分かる。

でもここで別の問題を考慮しなければならない。
つまりアクセルは実施中の空中における身体感覚が他のジャンプとは全く違うということだ。
アクセルは前向きで踏み切る。

A:前向きで踏み切る唯一のジャンプだ

M:だから他のジャンプとは根本的に異なるのだ。
僕達は過去にショートプログラムで4トゥループと4サルコウを跳びながら、3アクセルではなく2アクセルを跳んでいた選手達を思い出すことが出来る。
例えばランビエールは4トゥループと4サルコウは問題なく簡単に跳べていたけれど、3アクセルはずっと苦手だった。

だからアルトゥニアンの持論は彼にとっては好都合だけれど、理論と実践は違う。
それに僕の記憶違いでなければ、ネイサンが4ループを成功させたのは、チャレンジャーシリーズの一試合だけだ。だから今もこのジャンプを安定して跳べるのかは分からない。

確かにネイサン・チャンの3アクセルはここ最近、飛躍的に進歩したが、あの3アクセルが4アクセルになるとは思えない。
ネイサン・チェンはジュニア時代、長い間2アクセルを入れていた選手だ。

A:一言付け加えさせてもらうと、この(アルトゥニアンの)発言をもし昨シーズンに聞いていたら、一笑に付しただろう。
でも、もしかしたらネイサン・チェンの3アクセルの急激な上達によって、4アクセルへの一縷の望みを見出したのかもしれない。
多くの四回転ジャンプを跳べる彼の傑出した技術的・身体的資質は誰の目にも明らかだ。

でも注意して欲しい。
君が開始した議論を締めくくると、ジャンプのタイプに関する君の議論通り、確かにトゥループ、サルコウ、アクセルは空中で軸が移動し、フリーレッグを振り上げて回転の勢いをつけるという共通点によって同じカテゴリーに分類される。

でも、注意して欲しい。
3アクセルは4サルコウの仲間だ。OK?(笑)
つまり、4アクセルは5サルコウの仲間ということだ。

分かるかな?
つまり4アクセルは確かに4回転だけれど、ワングレード上のジャンプなのだ。
3回転アクセルは4回転サルコウ及び4トゥループと並べて考えることが出来る。
3アクセルは3回転半、4アクセルは4回転半、つまり5回転と同じグループだ。

M:もう一つ、細かいことを言うと、ネイサン・チェンにとって最も難しいジャンプはアクセル、次がループということだ。

実際、4ルッツは2人の女子を含む多くの選手が成功させている。ジュニア女子も含めると3人だけれど、ジュニア女子の4ルッツは微妙だから、とりあえず女子2人としておこう。

でもこれまでに4ループを成功させた選手は?
史上初めて成功させた羽生、宇野昌磨

A:グラッスル

M:現在、最も4ループの成功率が高い選手と言える
そして、ネイサン・チェンで終わりだ
クラスノジョンも何とか着氷したことがあるけれど、まあ除外してもいいだろう。

A:おそらくループは4回転になると最も実施するのが難しいジャンプなのだ。
これはアンジェロ・ドルフィーニだけの意見ではない(笑)。ミーシンのようなフィギュアスケートの大御所も4ループは最も難しい4回転ジャンプと発言している。

でも4フリップを跳んでいる選手もそれほど多くない。

M:4フリップは・・・ヨーロッパ圏から始めるとサマリンが何とか着氷した。
宇野昌磨
そしてアメリカの選手達
ヴィンセント・ジョウとネイサン・チェンだ

A:そんなに多くないね。

M:でも4ループに比べると多くの選手が挑戦している。
マッテオ・リッツォは4ループに挑戦している。
例えばエッジの問題でルッツが苦手な選手は4ルッツではなく4フリップに取り組む。
宇野昌磨が典型的な例だ。

P:ネイサン・チェンについて20分話したから、今度は羽生結弦について話さなければならない
皆が聞きたいだろう。
羽生結弦はこのチェンに勝つために何をするのか?

M/A:(爆笑)

M:僕の意見では昨シーズンの世界選手権までは、彼の考えは明確だったと思う。
彼は70%のコンディションで埼玉にやって来たが、完璧な演技をすれば勝てると確信していた。

でも彼はフリーで小さなミス、ショートで致命的なミスを犯したから、完璧な演技ではなかった。
でも彼の脳裏にある種の迷いが生じたのではないだろうか。

つまり「もしノーミスの演技をしていたら、果たしてこの試合で勝てていたのか?」という疑念だ。
僕は彼が自分自身に出した答えはおそらく「ノー」だったのだと思う。
彼は「ノーミスでも多分勝てなかった」と判断したのだろう。

そして内容のあらゆる細部まで綿密に分析する羽生のような選手のことだ。様々な考えが入り乱れたに違いない。

羽生は自問自答しただろう

ネイサン・チェンは何故これほど高いGOEを獲得することが出来たのか?
ネイサン・チェンは何故これほど高いPCSを獲得することが出来たのか?

そして彼が導き出した答えはフリープログラムの基礎点を上げることだった。
全てのリスクを覚悟で圧倒的な高難度プログラムを構築する。

僕はもしジャッジが公正なら、羽生は4トゥループと4サルコウだけでネイサン・チェンを含む全ての選手に勝てると確信している。特にショートプログラムでは

フリーはよりデリケートな問題になる。
これまでに見られた不可解な様々な要因によって判断するのは難しい。
蚊帳の外にいる僕にとっても判断するのが難しいのだから、実際に渦中にいる彼にとってはもっと判断が難しいだろう。

彼は既にあらゆるタイトルを総なめにした選手だ。
グランプリファイナル、世界選手権、オリンピック。
引退して他の道を選ぶことも出来るのにそうはしない。

彼が何を披露してくれるのか興味がある。
4ルッツは彼の目標の一つだろう。

僕の一番の関心は、彼がどのジャンプを跳ぶかではなく、彼がノーミスの演技をした場合、どんな評価が得られるかということだ。

なぜなら、もしネイサン・チェンがミスのないフリープログラム(4Tがダブルになるミスがあったけれど、振付にもプログラムの流れにも影響を与えないミスだった)でPCS94点を持ち帰るなら、クリーンな羽生は何点持ち帰るべき?105点?

問題はここなのだ。
先ほどの議論に戻るけれど、もはやこの採点システムにはひずみが生じてきている。

A:その通りだ。
演技構成点の係数の問題、そして何よりも採点基準の問題だ。
4回転ジャンプを跳ぶ選手全員に9点以上を与えていたら、本来あるべき評価ではなくなってしまう。

技術点に関しては、ネイサン・チェンは多くの点を積み上げる力があるし、実際に高得点だ。
そして忘れてはならないのが、彼はこれらの高難度ジャンプを非常に高い確率で実施出来るということだ。彼の恐ろしいところはそこなんだ。

羽生は4ルッツ、4ループ、4サルコウ、4トゥループを跳ぶことが出来る。
4サルコウと4トゥループの成功率は非常に高いが、ルッツとループでは少し確率が下がる。

そして僕が一番怖いのは・・・彼がこれらのジャンプの練習中、またはこれらのジャンプが原因で何度も怪我をしていることだ。

だからこれらの特定のジャンプを練習する際、彼は自分のフィジカルそしてメンタル・コンディションを把握していなければならない。
そしてどのくらい継続してこれらのエレメントを練習出来るのかを理解しなければならない。
練習で跳ぶのと、プログラムの中で跳ぶのとでは全く違う。

4ルッツをフリー冒頭に跳んだとして、プログラムはまだ続いていくし、多くのエレメンツをこなさなければならない。
このエレメントは身体的・精神的に膨大なエネルギーを消耗する。
だから通し練習で何度も何度も試してみなければならない。

ショートについては(笑)・・・君は僕の意見をよく知っているよね。
僕は羽生のショートはサルコウとトゥループでも現在、無敵だとずっと前から言い続けている。
このような高難度ジャンプが組み込まれているにも拘わらず、彼が披露する振付とトランジションの豊かさによって

フリーになると議論は変わってくる。
フリープログラムではネイサン・チェンは誰にとっても恐るべき相手だと思う。

M:特に羽生のフリープログラムの後半は4回転ジャンプと3アクセルのコンビネーションという非常に高難度なエレメンツが詰まっているけれど、トランジションという点においてはショートほど豊かではない。

A:当然だろう。

M:ネイサン・チェンと比べてではなく、羽生自身のショートと比べてという意味だ。
でもジャッジの評価を見ると、モヤモヤが湧いてくる(笑)
演技構成点の評価については唖然とさせられることがある。

P:この点について視聴者から質問が入っている。
「ジャッジに公正さが欠けていると思いますか?
客観的に見て、4回転ジャンプに関係なく、羽生が圧倒的に優れているのは明らかです。
もし前後に何もないチェンの3アクセルに+3が与えられるなら、羽生には何点加点を与えるべきですか?」

M:これは試合中、そして試合後に無数の視聴者から寄せられた質問だ。
僕はジャッジに悪意があるとは思わないし、思いたくない。
彼らの能力の問題だと思う。

僕も2つのプログラムを客観的に見て、羽生の優越は圧倒的だと思う。
でも現在の採点方法では演技構成点でそれほど差がつかないから、選手達は実質、技術点だけで競わなければならなくなっている。

羽生とチェンは全く異なるタイプのスケーターだ。

ただの長い助走から実施するジャンプにも同じようにGOE+4~5点が与えられたら、一体どうすればいい?

エネルギーをあまり消耗せずにジャンプを跳ぶ選手に、4回転や3回転の前後をトランジションや難しい入りや出で装飾しながら滑る選手と同じ得点が与えられたら?

言っておくけれど、これは全く別物のフィギュアスケートなのだ。
後者は膨大なエネルギーを消耗する。

ジェイソン・ブラウンは身体的に4回転ジャンプが跳べないとか、3アクセルに問題があるといった特徴に関係なく、フリープログラム終盤に疲労困憊していることがしばしばある。
何故なら彼のプログラムは膨大なエネルギーを消耗するからだ。
だから後半のジャンプが抜けたり、回転不足になったりすることがあるのだ。

羽生のもエネルギーを消耗するプログラムだ。
ネイサン・チェンのプログラムはエネルギー消耗がより少ない。

でもジャッジがより消耗の激しい特定のプログラムと、消耗の少ないプログラムに同等のPCSを与えたら、当然、リスクの少ない省エネ・プログラムの選手が有利になる。

 

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