【イチロー】強豪・智辯和歌山✍高校球児相手に“初指導”。
イチロー氏(47)智弁和歌山で指導者デビュー、フリー打撃も実演
スポニチアネックス 2020年12月4日(金)16時08分配信
昨年3月に現役を引退したイチロー氏(47=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が4日、甲子園で春1度、夏2度の優勝を誇る高校野球の強豪校・智弁和歌山で、選手指導を行った。指導は2日から始まり、3日目となったこの日で今回の指導は終了。今後については現状未定だ。
濃密な3日間となった。初日となった2日は、イチロー氏からあえて声をかけず、選手を観察。いかに指導すべきか、じっくりと見極める日となった。2日目からは実際に指導を開始。さらに3日目となったこの日、全体練習後に、選手自ら自主トレーニング内容を決めるように指示した。その中では、イチロー氏が実際に選手の前でフリー打撃を行う実演もあった。選手が何を感じるか、前日に教わった指導内容も踏まえて、改めて何に気が付くか、選手それぞれに問いかけたようだ。
今回の指導の経緯は、2年前にさかのぼる。イチロー氏が一昨年の秋、智弁和歌山の試合を観戦し、熱心な応援に感銘を受けたことから、学校側と交流が始まった。昨年12月には草野球チーム「KOBE CHIBEN」を率い、智弁和歌山の教職員チーム「和歌山智弁」と、オリックス時代にプレーした神戸市のほっともっとフィールド神戸で対戦。「9番・投手」としてフル出場し、慣れない軟式球ながらも、投げては9回で16奪三振、打っても3安打するなど貫禄を見せつつも、草野球を楽しんだ。
最終日となったこの日、イチロー氏の「2日間、気を張っていたと思うけど、リラックスしてやりましょう」との声掛けで、練習がスタート。ウオーミングアップを学生と一緒にこなし、談笑する姿もあった。
走塁の技術指導も行った。一塁ベース付近で、スタートの切り方や帰塁の方法などを伝授。「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」と伝えた。
アマチュア指導者としてのデビューとなった。今回は3日間の臨時指導で、この日で指導は終了。
学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会は特例を容認した。
イチロー氏は昨年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、今年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となっていた。
イチロー氏は11月26日に神戸市で行われた新聞大会の記念講演で、高校野球の魅力にも言及。司会者から「近いうちに学生に野球を教える姿は見られるか?」と問われて「見られると思います。引退はしたが、野球人として何かお返しできたら」と前向きに話していた。記念講演では「現役の時は追い込むことができなかったが、今はできてしまう。47歳で球が速くなった」と近況報告もしていた。
イチロー氏と学生野球/今年2月資格回復、指導に意欲
日刊スポーツ 2020年12月4日(金)16時05分配信
昨年に現役引退し、マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が4日、智弁和歌山の野球部員に対して、和歌山市内の同校グラウンドで3日間の“アマ初指導”を終えた。 今回は3日間の日程で行われ、最終日のこの日は選手たちの前でイチロー氏がフリー打撃を披露。手本を見せることで選手たちに考えさせた。以下はイチロー氏の現役引退後アラカルト。
◆ 引退 19年3月21日 東京ドームで行われたアスレチックスとの開幕第2戦後に引退を発表した。日米通算4367安打(日本1278、米国3089)を記録。
◆ マリナーズで指導者へ 19年4月30日、マリナーズの球団会長付特別補佐となることが発表された。18年と同じ肩書のままでインストラクターとなり、マ軍と傘下3Aタコマの若手に主に打撃、外野守備、走塁を教えることとなった。インストラクターとしてはGM直属の立場となった。
◆ 草野球で大活躍 草野球チーム「KOBE CHIBEN」を結成。19年12月1日に初戦として智弁和歌山の教職員チームとほっともっとフィールド神戸で対戦。「9番投手」として、軟式球ながら投げては131球で6安打、完封。16奪三振。打っても3安打を放ち「めちゃくちゃ楽しかった」と笑顔。
◆ イチロー特例 19年12月13日から3日間、都内で学生野球資格回復研修を受講した。プロ経験者が学生野球を指導するために義務付けられた研修。これまでは、プロ球団に所属している人は資格回復できなかった。今回、(1)学生への指導はマリナーズでの活動と重ならないオフ期間に行うこと(2)新人のスカウト活動をしないこと、の2点が確認され、日本学生協会理事会で承認されたことで資格回復への道が開かれた。
◆ イチロー杯 19年12月22日、96年から継続してきた大会会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」が、この年限りで終了となった。
◆ 資格回復 20年2月7日、都内で開かれた日本学生野球協会による学生野球資格回復審査委員会で、イチロー氏を含む94人の資格回復が認められた。
◆ 球児への指導意欲を初めて公言 20年11月26日、神戸市内で行われた日本新聞協会主催で加盟社向けの第73回新聞大会で講演。高校野球は「面白い。興味がある。野球人として、何かお返しできたら」と近い将来の指導を示唆していた。
イチロー氏のフリー打撃に、高校球児「エグい」連発
日刊スポーツ 2020年12月4日(金)16時52分配信
昨年に現役引退し、マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が4日、智弁和歌山の野球部員に対して、和歌山市内の同校グラウンドで3日間の“アマ初指導”を終えた。
1日目は教えず観察に徹し、2日目から指導を始めるイチロー流だった。最終日となるこの日は午前11時28分、黒のパーカー付ジャージー、サングラス姿で登場した。「2日間、気を張っていたと思うけど、リラックスしてやりましょう」と球児に声をかけ練習へ。
球児たちと一緒にランニング、ウオーミングアップを行い、その後は走塁練習。一塁ベース付近で「(盗塁は)スタートで全部決まります」とスタートの切り方などを細かく指導した。
イチロー氏は日本ハムからドラフト4位で指名された細川凌平内野手(18)と2人1組で1カ所でフリー打撃を行った。イチロー氏が本塁打を放つたびに、智弁和歌山ナインは驚き、何度も「えぐい」の声が起きた。
イチロー氏は昨年12月に学生野球資格回復研修を受けて今年2月、高校生や大学生を指導できる立場になった。夏24度、春14度甲子園出場、夏2度、春1度全国制覇した名門校の球児たちは、イチロー氏の指導に目を輝かせていた。
イチロー氏のフリー打撃柵越え19発、智辯和歌山ナイン驚愕
デイリー 2020年12月4日(金)16時55分配信
米大リーグのマリナーズなどで活躍したイチロー氏=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が4日、2日から甲子園優勝経験のある智弁和歌山で臨時コーチを務めていたことが分かった。当初からの予定通り、同校グラウンドでの3日間の指導最終日となったこの日は、自らフリー打撃も行い、76スイングで19本の柵越えを披露した。
イチロー氏はフリー打撃の合間に、智弁和歌山・中谷仁監督に「俺は好きな練習」と話し、場外弾も数本放ち、選手からは何度も「えぐい」といった声があがっていたという。その後も、選手らに精力的に技術指導を行っていた。
フリー打撃後に行われた約1時間30分の自主練習の後、イチロー氏は選手らから花束を受け取り記念撮影も行った。最後に「とにかく僕が伝えられることはこの3日間で伝えたので。期待しています。がんばって」とエールを送って締めくくった。
指導受けた智辯和歌山野球部4番「状態の使い方教えて頂いた」
中日スポーツ 2020年12月4日(金)21時36分配信
大リーグのマリナーズなどでプレーしたイチローさん(47)=現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター=が4日、和歌山市の智弁和歌山高グラウンドで同校野球部を指導した。期間は2日から3日間で、1年生の夏から4番を任されている徳丸天晴外野手(2年)も打撃技術などを学んだ。
「やっぱり、初めて見たときはすごいオーラがあって、ただすごいのひと言で、そのなかで技術だったり、いろいろな質問をして、いろいろ学べることができてとても良かったです」
ポジションもイチローさんと同じ右翼だけに、練習中に語る教えをひと言も聞き漏らさないとばかりに頭に刻み込んだ。
「言葉一つひとつ、一つって絞りにくいところがあって、何かイチローさんが発した言葉一つひとつが心に残るというか、そういうイチローさんの発言ひとつに重みがありましたね」
キャッチボールの相手も務めた。
「そのなかでイチローさんに教えてもらったことをやって、それで、いいねということを言ってもらったので、それはうれしかったです。肩甲骨の使い方であったり、上体の使い方を主に教えていただいた。それを意識して、自分のなかでも変わったので良かったです」
今秋の和歌山県大会を終えた時点で高校通算30本塁打を放ったが、県大会は3位となり、来春のセンバツ大会の重要な選考資料となる近畿地区大会は準々決勝で敗退。主砲としてセンバツ出場に確定ランプをともすことができなかった。
頼れる4番打者となるために、特に収穫となった金言については「やっぱり、精神的な話」と語り、「イチローさんはいろんな経験をされてきて、その経験を教えてもらった。とても自分のなかで勉強になりました。来年が最後の年になるので、この機会をいただいて、これを生かすのも、これからの取り組みだと思うので、しっかり春、夏、チームを勝たせられる選手になっていきたい」。今回の打撃指導が大きな力となりそうだ。
イチロー氏の指導哲学=“考える力”身につけさせる
スポニチアネックス 2020年12月5日(土)5時30分配信
◇ イチロー氏 智弁和歌山を指導
イチローさんの指導哲学について、大リーグの選手時代から取材を続ける笹田幸嗣通信員(57)は「考える力」をテーマに挙げた。
イチローさんの指導哲学は、野球というスポーツが持つ一番の素晴らしさである「考える力」を身につけさせるために何をするか――。決して「第2のイチロー」を育てることではない。
インストラクターの肩書を持つマリナーズでは、打撃投手も務める。首脳陣からは「気持ちよく打たせてくれ」と言われたが、「全力ではないけど、ただ投げるだけじゃね…」と真剣に投げた。あくまでも実戦を想定した練習が重要であり、「練習のための練習」は無意味と考える。
野球とは一球一球で変化する状況を瞬時に把握し、考える「知恵比べ」。その上で技術力で結果につなげていく。これがイチローさんの考える野球の素晴らしさであり、それがメジャーでの成功の根底にある。マリナーズに移籍した01年。当時のメジャーは「ステロイド時代」とも呼ばれ、本塁打全盛だった。そんな中、日本で培った「野球」で全米を席巻した。わざと詰まらせて左翼前に落とす技術も「美」とした。
昨今のメジャーは、スイングスピード、打球角度など「トラックマン」をはじめとするハイテク機器が導き出す数値が選手を評価する。その流れは日本のプロ野球にも浸透し、アマチュア球界にも広がりつつある。だからこそ、高校生には野球の本質を忘れてほしくないとの思いで、今回の指導に臨んだのだろう。
上手下手は二の次。大事なことは最善の結果を導くためには何が必要なのか。そのためにはどんな鍛錬が必要なのか。考える力を身につけることが未来の自分のためになる。そんな思いでイチローさんはグラウンドに立っていたに違いない。(大リーグ担当・笹田幸嗣通信員)
▽ イチローさんの学生野球資格回復 19年夏に事務所を通じて日本野球機構(NPB)、日本学生野球協会に資格回復研修受講の希望が伝えられた。同年12月13日から3日間、都内で行われた研修会を受講。修了証が交付され、今年2月にはプロ野球経験者が高校、大学の指導をする「学生野球資格回復制度」の認定を受けた。学生野球の指導には、プロ球団の退団が必要だが、功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことから、特例的に退団前の回復を認められた。
イチロー氏“流離のコーチ”に?全国高校から“ラブコール”
東スポWeb 2020年12月5日(土)5時15分配信
夢は膨らむばかりだ。マリナーズの球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(47)が高校野球の強豪・智弁和歌山で3日間の臨時コーチを務め、アマチュア指導者としてスタートを切った。自らフリー打撃で場外弾を連発させ、走塁論、精神論も細かく指導。質問攻めにも笑顔で応じるなど充実の時間を過ごしたが、今後は指導者としてどんなプランでいくのか…。他校からもラブコールが相次ぎそうな中、学校関係者からある〝注文〟もついた。
4日に同校グラウンドで3日間の指導を終えたイチロー氏は「とにかく僕が伝えられることはこの3日間で伝えたので。期待しています。頑張って」とあいさつし、部員から花束を受け取った。イチロー氏と理事長との親交から臨時コーチが実現。昨オフの神戸での同校職員との草野球対決に続いての交流となった。
指導も〝イチロー流〟で初日は選手を観察し、2日目から指導を開始。3日目は自ら練習に参加し、守備走塁の技術論、精神論などを伝え、フリー打撃では右中間に驚がくの打球を披露して部員のどよめきを誘った。自らバリバリの打撃を実戦できるのもトレーニングを継続し、衰え知らずのイチロー氏ならではだろう。
アマチュア指導者として上々の第一歩を踏んだイチロー氏を高校野球関係者も「最高のお手本ですよ。打って投げて走ってと実戦して見せることができるなんてイチローさんしかできない。それもレベルがすごく高いとなれば誰もマネができない」と大歓迎。当然、今後も引く手あまたになりそうだ。
一方でイチローコーチへの〝注文〟も聞こえてくる。今回はイチロー氏の個人的なつながりから智弁和歌山だけで実現したこともあり、在阪の野球部関係者は「ウチにもきてほしいよ。どうやって申し込んだらいいのか。ツテもない学校がほとんど。やるなら公平にやってもらいたいですね。みんなが教えてもらいたい気持ちを持っている。高野連を通してとか、ちゃんと申し込めるようにできればいい。それで全国行脚すればいいじゃないですか」と声を大にして訴える。
今年は新型コロナウイルスの影響で3月から帰国していたというが、オフには現在も神戸で草野球の練習を兼ねたトレーニングを継続中。昨年12月に指導者資格を回復して高校野球指導者への興味を口にしており、今後もオフ期間の〝出張コーチ〟に乗り出すと見られる。そこに強豪だけでなく、地方の無名校もあっていいはず。凄腕コーチとして全国をさすらうのもイチロー氏らしいかもしれない。
ドラフト4位・日ハム 細川凌平、“イチローバット”で打撃練習
中日スポーツ 2020年12月4日(金)20時12分配信
大リーグのマリナーズなどでプレーしたイチローさん(47)=現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター=が4日、和歌山市の智弁和歌山高グラウンドで同校野球部を指導した。2日から3日間にわたって指導。今秋のドラフトで日本ハムから4位で指名された細川凌平内野手(3年)は、プロでのスタートを前に貴重な財産を得た。
メジャー通算3000安打を達成しているイチローさんと2人1組でフリー打撃を行い、「本当に夢のような、と言うか、幸せでもありますし、学ぶことしかない時間でした。(練習用のシャツやジャンパーは51番をつけ)本当に保育園のころからずっとイチローさんのことが大好きで、自分自身、51番というのは中学からずっとつけていて、高校でもつけさせてもらって、イチローさんのような選手になりたいという、ずっとあこがれとして持っていたので、まさか、そのイチローさんと会えて、指導受けたりとか、できるというのは思っていなかった。本当に幸せな時間でした」
あこがれの人がポンポンと柵越えを放つ姿に圧倒されながらも、積極的に質問をぶつけ、打撃論を吸収した。
「緊張はもちろんありましたけど、こんな時間はあるかないか分からないので、この3日間で聞けることは、すべて聞こうと思って質問しました。(印象に残っていることは)選べないです。すべてが刻み込まれている。イチローさんのようなプレーヤーを目指してやりたいです」
イチローさんから愛用のバットを拝借して打撃を行い、新たな発見があったという。「打ってみたら、と言っていただいて、それで使わせていただいた。今までのバットで一番、感触が良かったです。あれだけヒットの数が多いイチローさんが、バッティング練習であればホームランを狙って、あれだけ遠くに飛ばせる。自分自身が小さくなる部分があるので、いいものを見させていただきました」
指導を終えたイチローさんを見送る際、こんな激励の言葉もかけてもらったという。「また、どこかで会おう」
細川も感激の面持ちで至福の瞬間を振り返った。
イチロー氏“走塁の極意”「50%の確率では盗塁しない」
中日スポーツ 2020年12月4日(金)17時57分配信
イチローさん(47)=シアトル・マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター=が4日、和歌山市の智弁和歌山高校グラウンドで同校野球部を指導した。2日から3日間の予定で指導していた。
指導は午前11時半ごろにスタート。球児が一塁側ベンチ前に整列して出迎え。イチローさんは黒のパーカー付きジャージーに青の半パン、タイツ、サングラス姿で三塁側ベンチへ。スパイクに履き替えてから、選手に「2日間、気を張っていたと思うけど、リラックスしてやりましょう」と声を掛けた。
球児と一緒にランニングとウオーミングアップをしながら、気軽に話し掛けるシーンも。塁間ほどのダッシュでは球児に勝つと、走りながら両手を上げて喜ぶ姿も見られた。
午後12時ごろには盗塁指導。一塁ベース付近でスタートの切り方、帰塁、心構えなど技術論を説いた。
「(一塁走者でリードを取るとき)一回(重心を)下げることで見やすくなる」
「右足の(曲げる)角度をキープしてスタートを切りたいけど、難しい。キープしたままスタートを切る角度がそれぞれある。それを探していく」
「なるべく動きはシンプルなほうがいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」
「盗塁のときに(相手投手が)左のときはイチかバチか、リスクを取らないといけない」
「僕は(捕手からの送球が)1・2秒台だと難しい。1・3秒以上ないと成功しないスピード。(盗塁は)スタートで全部、決まります」
「僕は50%の確率では盗塁は絶対にしない。真っすぐのタイミングでセーフになるタイミングをはかる。変化球でセーフになる(タイミングをはかるような)ことはしない」
「ギャンブルのスチールが僕くらい(のスピード)ではできない」
「はっきり(投手の)クセが出て入ればいける。基本的には(クセは)ないものとして。醸し出す雰囲気で感じてほしい。それは隠せないので」
「緊迫したときは全体を見る。筋肉が緊張するとパフォーマンスが下がる。それを避けたい。打撃でもリリースポイントだけを見ると緊張する。全体を見ようとする」
などとアドバイスした。
日本記録更新 新谷仁美「好みはイケメン、金持ち」爆笑コメント集
スポニチアネックス 2020年12月4日(金)18時20分配信
女子1万メートルで東京五輪代表になった新谷仁美(32=積水化学)は、類い希な実力だけでなく、歯に衣(きぬ)着せぬ発言でも注目を集めてきた。トップランナーの歩みを、個性的なコメントとともに振り返る。
☆ 05年全国高校駅伝「最高のクリスマス」☆ 3年連続で1区の区間賞を獲得。3年時は今も残る区間記録を樹立して、興譲館高校を初の日本一に導いた。12月25日に行われたレースにちなんで、「最高のクリスマス」と勝利のコメント。「皆に夢や希望を持ってもらえる笑顔の似合うマラソン選手になりたい」と将来の夢も口にした。
☆ 12年ロンドン五輪「宇宙人と走っているわけではない」☆ 五輪初出場で1万メートル9位。アフリカ勢を恐れずスタートから飛び出す積極策に「別に宇宙人と走っているわけではない」と堂々のコメント。8位入賞まであと一歩の好走をしながら「1万メートルは気が遠くなって嫌。もう走りません」と拒否反応。当時の本職5000メートルは予選落ちした。
☆ 13年モスクワ世界選手権「好みはイケメン、金持ち…」☆ 1万メートルのレース前に、「好みはイケメン、金持ち、年上、世の男性をとりこにするような走りをしたい」と意気込んで出場。ラスト1周まで先頭集団に残って5位。97年千葉真子の銅以来となる表彰台を逃し「陸上が仕事と言っている割にできなかった」と号泣した。
☆ 18年復帰戦「才能どこ行った?」☆ 日体大記録会で約5年ぶり実戦。納得できない記録に「ほぼ一般ランナー。なんちゃってアスリートをしている感じ」と自虐コメント。17年秋から練習を始めた矢先に恥骨骨折をしたことも明かし、「才能あると思いきや、骨折。才能どこ行った?と笑ってしまうくらい」と新谷節をさく裂させた。
☆ 19年ドーハ世界選手権「恥」☆ ロンドン五輪以来となる世界大会。1万メートル11位に「ただただ日本の恥。メダルを取らなきゃ恥。過程なんか誰も見ていないじゃないですか」と厳しい自己採点。
☆ 20年ハーフマラソン日本新記録「漏れそうだった」☆ 1月のヒューストン・ハーフで1時間6分38秒をマークし、福士加代子が06年に出した記録を14年ぶりに48秒塗り替えた。帰国後にレースを振り返り「(日本記録を出した)理由があるとすれば、ラスト5キロは漏れそうだった」とビックリ発言。
☆ 20年厚底シューズ問題「走るのは私の足」☆ 自身もはいた厚底シューズが長距離界を席巻していることについて「走るのは私の足。シューズではない。最高のシューズを提供してもらっているが、それに合わせて最高の力を出すのが選手」と、論争をぴしゃりとする一幕があった。
☆ 20年全日本実業団対抗選手権「メンタル弱い私でも…」☆ 5000メートルで日本歴代2位の14分55秒83をマーク。「コロナの間に田中希実ちゃんが日本記録(1500メートル、3000メートル)を出したり、世界の中距離界でも記録が出ていた。メンタルが弱い私には焦りになったが、自己ベストを出せて1万メートルへのつながりができたと思う」と、周囲に触発されたことを明かした。
☆ 20年全日本実業団対抗女子駅伝 ☆ 3区の区間新を1分10秒更新する脅威的な区間新を樹立しながら、「国内だけでなく、先を見ると、後半ペースを上げなきゃいけない。後半にタレたのは現実的には厳しい」と激辛ジャッジ。
新谷仁美、女子1万㍍18年ぶり日本新V!2大会連続五輪代表!
スポニチアネックス 2020年12月5日(土)5時30分配信
◇ 陸上 東京五輪代表選考会兼日本選手権長距離種目(2020年12月4日 大阪市・ヤンマースタジアム長居)
女子1万メートルに出場した新谷仁美(32=積水化学)が、日本記録を28秒45も更新する超人的な走りで7年ぶり2度目の優勝。2大会ぶり2度目の五輪代表を決めた。30分20秒44は、12年ロンドン五輪では金メダルに相当する超絶記録となった。女子5000メートルで優勝した田中希実(21=豊田自動織機TC)と、五輪参加標準記録を突破する日本新で男子1万メートルを制した相沢晃(23=旭化成)も東京五輪代表に内定した。
ただのカムバック、ではない。前回出場した12年ロンドン五輪から何もかもをレベルアップさせ、新谷が帰ってきた。3000メートルから独走。5000メートル地点は、直前に行われた5000メートルの優勝者に匹敵するタイムで通過した。3位以下は全員、周回遅れにした。競った相手がいた方が記録が出るという一般論は、32歳には関係なかった。
迎えたラスト1周。大記録を期待する観客3040人の歓声と拍手が響いた。「応援がある中で走るのが久しぶりで、終始、うれしい気持ちで走れた」。勝てば五輪代表に決まる状況でも、こだわったのは記録。渋井陽子の記録を18年ぶりに塗り替えた日本新は、一気に28秒45も更新。鬼気迫る顔が、泣き顔に変わった。
「復帰したときに、日本記録を更新しなければ世界と戦えないと思っていた。こうして切れて良かった」
30分20秒44は、12年ロンドン五輪の優勝記録、30分20秒75をも上回る。当時、4年に1度の祭典に初めて挑んだ24歳の新谷は、30分59秒19で9位に終わった。あれから、8年。右足裏筋膜炎に苦しみ14年に引退。会社員生活を経て、18年に現役復帰した。紆余(うよ)曲折が心を大きく育てた。
昨年の世界選手権は「敗北」の11位。練習メニューを横田真人コーチ(33)に一任した。栄養士やトレーナーの教えも請うようになった。故・小出義雄さんに指導を受けていた引退前は、何度も衝突。岡山に帰郷したことは1度や2度ではない。今は「背負ってきたことが分散できた。1人が当たり前と思っていた。分散することで気持ちが軽く走れる」と違いを口にする。
「結果が出なかったら全てコーチの責任にしようと思ったが、結果が出たので横田コーチのおかげ」。レースは独り旅でも、もう孤高の天才ではない。「東京五輪は関係なく、その都度、最高のパフォーマンスを、アスリートとして、パフォーマーとして、人として見せていきたい」。32歳は今、円熟期を迎えている。
【新谷 仁美(にいや・ひとみ)】
☆ 生年月日 1988年(昭63)2月26日生まれ、岡山県総社市出身の32歳。
☆ サイズ 1メートル66、43キロ。
☆ 種目を選ばない運動能力 山手小ではバスケットボールやサッカー、総社東中ではバトントワリングにも親しむ。
☆ 思い切りの良さは引き際も!? 13年モスクワ世界選手権1万メートルで5位になりながら、右足裏筋膜炎に苦しみ、14年1月に突如、引退表明。会社員を経て18年に復帰した。
☆ 名言(迷言?)のデパート 歯に衣(きぬ)着せぬ発言が注目に。「別に宇宙人と走っているわけではない」(12年ロンドン五輪)、「漏れそうだった」(ハーフマラソンの日本記録を出した20年ヒューストンハーフ)など。
☆ レースの鬼もメロメロ!? 愛犬2匹の名前は「むさし」と「こたろう」。江戸時代が舞台のアニメ「銀魂」にはまり、宮本武蔵、佐々木小次郎から命名。小次郎と劇中のキャラ、こたろうを混同したのはご愛嬌(あいきょう)。
▽ 女子10000メートル (1)新谷仁美(積水化学)30分20秒44=日本新(2)一山麻緒(ワコール)31分11秒56(3)佐藤早也伽(積水化学)31分30秒19 五輪参加標準記録 31分25秒00