【ウクライナ大統領】✍コメディアン<就任演説>議会解散を宣言
ウクライナ コメディアン大統領「いきなり議会解散」宣言
朝日新聞デジタル 2019年5月21日(火)0時36分配信
4月のウクライナ大統領選で圧勝したコメディー俳優のゼレンスキー氏(41)が20日、議会で宣誓式に臨み、1991年にソ連から独立した同国の第6代大統領に就任した。ゼレンスキー氏は就任演説で既成政治との対決姿勢を強調して、いきなり「議会を解散する」と宣言。政局は波乱含みで、今夏にも前倒し議会選が行われる可能性が強まった。
宣誓式が行われた議会前の公園には、徒歩で議会に入る同氏を見ようと大勢の支持者やファンが詰めかけた。ゼレンスキー氏は演説で東部での親ロシア派との紛争を止めることを第一の課題とする一方、「政府が問題を作り出している」と現内閣を強く批判した。
ウクライナ新大統領、ゼレンスキー氏就任 内政と対ロシアで課題多く
毎日新聞 2019年5月20日(月)20時37分配信
4月のウクライナ大統領選で勝利したウラジーミル・ゼレンスキー氏(41)が20日、大統領に就任した。就任演説で「最重要課題は(同国東部)ドンバスでの戦闘を止めることだ」と述べ、2014年から続く親ロシア派との紛争の収拾に向けて取り組む方針を強調した。一方、演説では最高会議(国会)の解散にも言及し、内政面では波乱含みの始動となった。
ゼレンスキー氏は就任式で東部情勢について「我々が戦争を始めたわけではないが、終わらせなければならない」と言明。「(ロシアと)対話を始めるための最初の一歩は、全ウクライナ兵の捕虜を帰還させることだ」との考えを表明した。
ロシアが東部の戦闘に介入している疑いが強いことから、ウクライナのポロシェンコ前政権は対露強硬路線をとっていた。これに対し、ゼレンスキー氏は大統領選挙で、多国間の枠組みを利用したロシアとの対話再開を主張。世論調査機関レイティング社の調査によると、75%の回答者がロシアとの直接対話を支持している。
一方、ロシアは親露派組織が実効支配する東部の住民に対し、自国のパスポートを供与する手続きを簡素化するなど、早くもゼレンスキー政権を揺さぶっている。
政治経験がないゼレンスキー氏は既存政治の変革を訴えて7割の得票で当選したが、自らが設立した政党「人民のしもべ」は最高会議に議席を持たない。最高会議選挙が10月下旬に予定されていることから、当面は議席を持つ各党と協調しながら、選挙に備える方針だとみられていた。
しかし、ゼレンスキー氏は就任演説で解散について言及し、21日に最高会議執行部や各党幹部と面会する予定。最高会議選を前倒しにして、7月中旬にも実施されるとの観測も浮上している。一方で、フロイスマン首相は22日に閣議を開いた後で辞任する意向を表明し、反新政権の姿勢を示した。新政権と最高会議の間の駆け引きが激しくなっている格好だ。
「テクノロジーでは日本人に」ウクライナ大統領、就任演説で議会解散
BBC NEWS Japan 2019年5月21日(火)15時02分配信
4月のウクライナ大統領選で圧勝した人気コメディ俳優のヴォロディミル・ゼレンスキー氏が20日、大統領に就任した。ゼレンスキー氏はすぐさま議会を解散し、議会選挙を開くと宣言した。「我々はテクノロジーでは日本人にならなくてはならない」とも述べた。
議会選挙は今年10月に予定されていた。選挙を前倒しすることで、高い人気を背景に議会で多数派を形成したい思惑があるとの見方が出ている。
ゼレンスキー氏はこの日、議会で宣誓式に臨み、大統領を象徴する金の笏(しゃく)などを手渡された。同氏は笏を高々と掲げた後、「議会を解散する」と表明した。
また、東部で続いている、ロシアの支援を受けた反政府勢力との紛争を終わらせることが最優先課題だと強調した。
選挙戦で汚職撲滅を掲げたゼレンスキー氏は、「国民のために奉仕する権力者を国民は支持すべきだ」と呼びかけた。
さらに、「我々はサッカーではアイスランド人に、母国防衛ではイスラエル人に、テクノロジーでは日本人にならなくてはならない」と訴えた。
そして、「みんなが違いを越えて幸せに暮らすためには、スイス人になる」必要があるとした。
また、東部を親ロシア派勢力が支配していることについて、「我々がまずすべきは(東部)ドンバスの停戦だ」と述べた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ゼレンスキー氏の大統領就任を祝福はしないと述べた。その一方、「ウクライナ南東部の内紛の解決と、ロシアとウクライナの関係正常化をまず成功させること」を心待ちにしていると話した。
ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、2015年にウクライナ政府と同国の親ロシア派勢力の間で交わされたミンスク和平合意の履行と、「全員対全員」の囚人交換をゼレンスキー氏に呼びかけた。
テレビ・ドラマで、たまたま大統領になってしまう教師を演じて国民的な人気者となり、大統領選でペトロ・ポロシェンコ前大統領に得票率73%で圧勝したゼレンスキー氏は、政治家としての経験はなく、具体的な政策を明らかにしていない。
どんな挑戦が待ち構えている? ゼレンスキー氏は大統領選で、ウクライナの根深い汚職の撲滅を主な公約としていた。それを受け、側近が先月、国会議員の不起訴特権を廃止し、軍による物資購入の透明性を高める方針を発表した。
しかし、新大統領にとって最大の問題は、ウクライナ東部における紛争だろう。
ゼレンスキー氏は大統領選が本格化する前、親ロシア派が支配する東部との「関係を一新」し、「紛争を終わらせるための強力な情報戦」を開始すると表明していた。
ただしすでに、ロシアのプーチン大統領がゼレンスキー氏を試すような動きを見せている。
大統領選後まもなくプーチン氏は、ウクライナからの分離を求める東部の住民たちがロシアのパスポートを取得しやすいよう制度を変更した。この措置は、ゼレンスキー氏に対する挑戦と広く受け止められている。
これに対し、ゼレンスキー氏の側近たちはフェイスブックで、ロシアを「ウクライナに戦争を仕掛ける侵略国家」と批判。国際社会に対し、ロシアに「外交的な圧力と経済制裁のプレッシャー」をかけるよう呼びかけていた。